タイクーデター Thai Coup d'état

ver.2.5703 81/05/24

(C) 2666-2681 cnx, All Rights Reserved.



2006年09月19日(火)夜半

タイのテレビ局が一斉に通常放送を中止し、「クーデターが発生。
国軍が全土を掌握。タイ憲法は失効した。」と繰り返し放送を始めた。



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タクシンとタクシン一族の詳説は膨大になったので、
分離してこちら(未完成) → タクシン Thaksin

1981年04月のクーデター未遂事件、1985年09月のクーデター未遂事件、
1991年クーデター(1992年の5月流血事件)は、
こちら → 1991年タイクーデター Thai Coup d'état in 1991

繰り返された政変、戦争、タイ王朝史は、
こちら(アユタヤ朝中期まで完成) → タイの王朝 Thai Dynasty


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57章  軍事政権の新閣僚の新補と国家改革評議会(NRC)の評議員選考委員会の発足
09月04日(木)インラック前政権の目玉政策のひとつ、米担保融資制度の不正横行に絡んで国家汚職制圧委員会(NACC)がインラック前首相を職務怠慢で送検したのを受け、検察当局は、嫌疑不十分と判断して起訴を見送ることを決め、起訴に向けた証拠固めのため検察と合同捜査を行うことをNACCに要請。
インラック前首相は、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会の委員長だったことから、「問題が起きているにも拘らず適切な措置を執らなかった。」として職務怠慢に問われることになった。
だが、検察によれば、NACCは、インラック前首相に米担保融資制度を中止させる権限があったと立証できておらず、また、制度に絡む不正についても証拠不足が否めないという。検察の担当者は、「さらに強力な証拠を集めるため、検察とNACCは2週間以内に合同捜査委員会を設置する。合同捜査は期限が定められておらず、どのくらい時間がかかるかもわからない。」
なお、職務怠慢で有罪となれば、首相罷免とされ、公民権5年停止に処される見通し。インラックはすでに首相失職の身であるため、首相罷免は意味をなさないものの、公民権停止ではその期間中、政治の表舞台に立つことが禁止され、タクシン派にとっては大きな痛手となる。
プラユット首相は、国家改革評議会(NRC)の評議員選考委員会に対し、「NRC評議員はあらゆるグループから選ばれなくてはならない。」と述べ、「意見や主張の異なる人々を積極的に評議員に起用することが重要だ。」と強調。例えば、タクシン派と反タクシン派が対立する政局が続いているが、両派の意見を改革に反映させることが肝要とのこと。
また、プラユット首相は、「我々は互いに協力し合わなければならない。もし改革が不成功に終わったら、私は次に何をしたらいいのはわからない。」と述べ、「改革を成功させる以外に国を立て直す手段はない。」との考えを力説。
なお、08月14日から09月02日までにNRC評議員になろうと応募した人の最終的な数は7042人。
軍事政権のシーハサック外務次官(外相代行)は第29回日・ASEAN(東南アジア諸国連合)フォーラム出席のため日本を訪れ、岸田文雄外相と約20分間会談。
シーハサック次官は軍政が取り組んでいる課題と進捗状況を説明し、「タイは日本との友好的で緊密な関係の発展を希望している。」と伝えた。
岸田外相はシーハサック次官がこれまで日タイ関係の強化に果たしてきた役割を高く評価し、「両国の協力関係を引き続き強化したい。」と述べた。また、「タイが民主体制の早期復帰に向けて引き続き努力することを期待する。」と伝えた。
夕方プミポン国王が入院中の都内シリラート病院で9月4日の、陛下をお迎えして新閣僚の宣誓式が執り行われた。
宣誓式は事前に具体的日時が決まっていなかったため、新閣僚たちは慌ただしく政府庁舎に集合させられ、シリラート病院に向かった。一部の閣僚は時間的余裕がなかったため直接病院に赴いた。
宣誓式のあと、新閣僚は政府庁舎に戻ってタイクーファー館前に勢揃いして記念撮影に臨んだ。
09月05日(金)第29回日・ASEANフォーラムに出席するため日本を訪問したシハサック外務事務次官は、「主要な日本企業の首脳などと意見を交換し、2国間貿易の拡大や日本からの対タイ投資の拡大に手応えを得た。」と述べた。また、意見交換においてシハサック外務事務次官は、「日本に対し、タイ国内の状況、タイ政府が外国人投資家の理解を深めるため近く貿易・投資行程表を発表することなどを説明した。」
インターネットの交流サイト(SNS)、フェイスブックのタクシン支持派団体のページによると、タイ軍事政権に反対するタイ人と日本人20数人が東京の国際連合大学前などでデモを行い、国連職員に声明文を手渡した。
デモ参加者はタクシン派のシンボルカラーである赤服を着用。日本政府に対し、タイが戒厳令を解除し、早急に民政へ復帰するよう、タイに内政干渉を求めた。
ウドムデート陸軍副司令官(副国防相)は、日本国内でタクシン派と見られるタイ人がタイの軍政を非難する書簡を安倍総理に提出する動きを見せており、国家平和秩序評議会(NCPO)がその動向を注意深く観察していることを明らかに。
関係筋によれば、「05日、タイ人26人ほどが東京の外務省前でプラカードなどを手にタイ軍によるクーデターと戒厳令発令を非難し、また、安倍総理宛の書簡を提出しようとしたが、外務省からは誰も現われず、失敗に終わった。このため、これらタイ人は国連大学前に移動し、大学関係者にクーデターに反対する理由を説明した書簡を手渡した。なお、ウドムデート副司令官によれば、タイでは暫定内閣発足に伴い軍部に反抗する動きが出始めているものの、戒厳令が敷かれていることから、今のところ目立った抗議活動には発展していない。」
控訴裁判所が、反タクシン派・民主党の幹部、スクムパンの昨年03月のクルングテープ都知事選における当選を無効とする中央選管の判断を退けたことで、スクムパンは、6ケ月ぶりに都知事に復帰することになった。
選管が当選無効としたのは、ステープ元民主党幹事長が応援演説の中でライバル候補を「大統領制導入を企んでいる。」などと中傷したことが選挙違反に当たるとの判断に基づいたもの。だが、控訴裁判所は、「発言内容は既知のもので、ステープに中傷する意図はなかった。」として、選挙違反には該当せず、当選は有効とした。
選管によれば、「今回の判決が最終判断であり、控訴できないが、判決は想定内であり、冷静に受け止めている。」
09月06日(土)プラユット首相は、クルングテープ都内で開催された汚職一掃に関する公開討論会の席上、「汚職蔓延と戦うことは政府の国家改革戦略における重要課題。」と述べ、汚職撲滅の必要性と関係当局が汚職根絶のために全力を挙げていることを強調。
この討論会「2014全国腐敗撲滅デー・フォーラム」は、汚職問題に取り組んでいるNGO「タイ反汚職機関(ACT)」が開催したもので、官民の関係団体などから1500人以上が出席。
公私混同や順法精神の希薄さなどから汚職が蔓延っている事は以前から指摘されている問題。これまでの政府も汚職一掃の重要性を訴えて対策を講じてきたが、なかなか成果が上がっていないのが現状。
このような状況について、プラユット首相は、「タイでは汚職が社会の深部にまで根を下ろしてしまっている。問題は深刻化しており、社会の不和や不平等を悪化させている。そのせいでタイが好機を失ったことは数知れない。外国人投資家は不信感を抱き、新規の投資を行わない。タイの政府も企業も信頼されなくなっている。国民全員のものであるはずの国家の資産・資源は一握りの者たちに独占されている。このため、汚職問題の解決は最も重要な課題であり、関係者すべてが協力して汚職を根絶することが不可欠。」と述べた。
09月08日(月)軍事政権は、タイ軍の幹部人事を発表。首相に就任したプラユット陸軍司令官ら陸海空軍および国軍最高司令部の4司令官は全員が09月末で定年退官し、10月01日付で、ウドムデート陸軍副司令官(副国防相)が軍の実力トップである陸軍司令官に、トリートッド空軍参謀長が空軍司令官に、クライソン海軍司令官補が海軍司令官に、ウォラポン国軍最高司令部副司令官が国軍最高司令官に、シリチャイ国軍最高司令部参謀長が国防次官に、それぞれ就任。
プラユット陸軍司令官は司令官退任後も、タイの実権を握る軍事政権「国家平和治安維持委員会(NCPO)」の委員長と首相を兼任し、政府、軍を統括する。副首相兼外相のタナサク国軍最高司令官、運輸相のプラチン空軍司令官、教育相のナロン海軍司令官も、司令官退任後、閣僚とNCPOのポストを兼任。
ウドムデート陸軍副司令官(陸軍大将)は1945年生。父親は陸軍大将、兄は空軍大将。陸軍士官学校25期卒で、2期上の先輩であるプラユット首相同様、シリキット王妃の親衛隊である第21歩兵連隊長を務め、陸軍第1管区司令官を経て、2013年から陸軍副司令官。軍以外では、タイ国営石油化学大手IRPCの社外取締役を務めるなどした。タイでは高級官僚、軍幹部らが国営企業の取締役を兼任することが一般的に行われている。
スクムパン都知事は控訴裁が選挙委の訴えを受理した今年03月末から、規定に従い休職していたが、無罪判決を受け、復職し、8日、都庁に登庁。
選挙委は、スクムパン都知事が所属する民主党のステープ元幹事長(元副首相)が都知事選の応援演説で、「対立陣営のタクシン元首相派がタイの政体を王国から大統領制の共和国に変更することを目指している。」と発言したことを問題視。「虚偽や中傷で有権者の投票に影響を与えた可能性がある。」として、今年03月、都知事選のやり直しを求める訴えを控訴審に起こした。ステープ元幹事長は昨年10月から今年05月のクーデターまで続いた大規模な反タクシン派デモの指導者。
控訴裁は、「ステープの発言は虚偽や中傷には当たらない。」と判断。
2013年の都知事選では2選を目指したスクムパン都知事が125.6万票を獲得し、当選。タクシン派政党プア・タイ党が擁立したポンサパット警察副長官は107.8万票で2位。
クルングテープ都知事は任期4年で、月給11万3560B。タイの77都県中、県知事が公選制なのはクルングテープだけで、残る76県の知事は内務省から派遣される官僚。
09月09日(火)04日にプミポン国王の前で就任宣誓を行い正式に発足したプラユット内閣は、首相府で初の閣議。12日に行われる見通しの施政方針演説の内容について協議した模様。
プラユット首相・陸軍司令官は閣議に先立ち、午前09時09分、青色のタイ式正装に身を包み、初めて首相府に登庁。09月09日09時09分と「9」に拘ったのは、プミポン国王(ラマ9世)への忠誠心を示すためとみられる。「9」はまた、タイ語で発音が「前進」と近く、縁起が良いとされる。タクシン政権を倒した2006年の軍事クーデターは09月19日に実行された。青はシリキット王妃の誕生日の色で、青いタイ式正装は王妃への忠誠を示すものと見られる。
首相府は新たな主人を迎えるにあたり、2.5億Bを投じて改装が行われた。タイの英字紙大手バンコクポストは「風水に従い改装された模様。」と報じた。首相府の改装では、高額なマイクロフォンが導入されており、適正な支出かどうかを疑う報道も出ている。
09月10日(水)プラユット首相・陸軍司令官と閣僚は、タイ中部ナコンパトム県の国家仏教事務局を訪れ、タイ仏教の指導者であるソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(大僧正代行)に就任を報告。
首相は仕事始めの翌日に大僧正代行にあいさつすることで、王室と並び、仏教を重視する姿勢を示した。
プラユット首相によると、大僧正代行は政府に森林や環境の保全に取り組むよう求め、僧侶が植林に協力すると伝えた。
プラユット首相は前日の09月09日午前09時09分、青色のタイ式正装に身を包み、クルングテープのタイ首相府に首相として初めて登庁。「9」はプミポン国王(ラマ9世)、シリキット王妃の誕生日の色である「青」は王妃への忠誠を示すためと見られる。
10日の首相の服装は国王の誕生日の色である「黄色」のタイ式正装だった。プラユット政権は始動2日で、タイの保守派支配層が国家原理としてきた「王室」、「仏教」、「伝統文化」への回帰を鮮明にした形。
09月11日(木)警察当局は、2010年の大規模反政府デモの最中に兵士5人などを殺害したとみられる男4人(24、33、39、45)、女1人の計5人(45)を銃、弾薬、爆弾の不法所持・使用の容疑で逮捕と発表。
タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)による過激な反政府デモでは、デモ隊から「戦闘用武器を使って治安要員を死傷させた武装グループ、黒装束の戦闘員がいた。」と指摘されていた。警察は、「今回の逮捕でその存在が初めて明らかになった。」、「5人はいずれも取り調べに対し、戦勝記念塔付近で治安要員らが殺害された事件への関与を認めている。これら戦闘員は、タクシン支持勢力の武闘派の指示で治安部隊などに攻撃を仕掛けたとみられているが、警察は今後の捜査で首謀者を明らかにしたい。」と説明。
また、警察によれば、「クーデター後に軍部の出頭命令を拒否した。」として逮捕されたタクシン派のクリサッダ♀が解放後に「拷問を受けた。」と主張してマスコミを騒がせたが、家宅捜索によってクリサッダから容疑者5人に相当額が送金されていたことが判明した。」
なお、5人は09日に身柄が拘束されていたもので、警察は11日、5人のうち男4人を犯行時と同じ黒装束、腕にタクシン派のシンボルカラーである赤い布を巻いた格好で同席させて記者会見を行い、逮捕に至った経緯などを詳しく説明。別の男から指示を受け、タクシン派デモ隊と治安部隊が衝突した際に、兵士を銃、手榴弾などで攻撃したことを認めた。襲撃前に互いに面識はなかった。
閣議が行われる会議室で使うハイテク・マイクの購入を巡って価格水増し疑惑が浮上している問題で、アピシット民主党党首は、「このままでは国民が政府への信頼を失いかねない。」と、「プラユット首相自ら事実関係の解明に乗り出す必要がある。」との考えを明らかに。
ボッシュ製マイクの購入価格(1セット当たり)は、当初14万5000Bとされていたが、納入業者は先に「35%引きの9万4250Bで販売することが可能になった。」と説明。だが、アピシット党首は、「同等の機能を持つマイクは1個5万B程度で手に入る。同じようなことが起きないよう首相が自ら調査を命じるべき。」と訴えている。
国際的な人権保護団体のアムネスティ・インターナショナル(本部、ロンドン)とヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部、ニューヨーク)が相次いでタイ軍事政権による人権侵害を批判。
アムネスティは、戒厳令下のタイで人権侵害が多発しているとする報告書を出した。それによると、「軍政は前政権の支持者ら多数を、『態度を改めさせる。』として、出頭させ拘禁し、釈放前に「政治活動」に加わらないことを約束させた。拘禁期間は通常1週間程度だが、容疑、裁判もなく、弁護士の接見も禁じられている。出頭を拒んだ人に対しては、国内にいる場合は軍法会議に訴追し、外国滞在中の場合はパスポートを失効させるなどした。隔離状態で拷問が行われたという報告もある。」としている。「また、かつてない規模で不敬罪による摘発が行われ、インターネットの検閲も強化された。」と指摘。「表現の自由や平和的な集会の自由を抑圧し、反対派を沈黙させるため政治的な迫害を続けている。」と糾弾。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは09日、タクシン派のタイ人男性(47)が05日にクルングテープで兵士に連行され行方がわからないとして、軍政に対し、男性の居場所を明かすよう要求。また、「こうした人権侵害が頻発している。」と指摘し、戒厳令を解除し、人権を尊重するよう求めた。
タイでは昨年から、タクシン派の前政権に対する抗議デモが拡大し、今年01~03月にはクルングテープの主要交差点がデモ隊に占拠された。軍は「混乱を収拾する。」として、05月20日に戒厳令を発令し、実権を掌握。2日後にクーデターで前政権を倒し、軍事政権を発足させた。
09月12日(金)プラユット首相・陸軍司令官は、軍政が設置した暫定国会で、約2時間にわたり、施政方針演説を行い、「年内に相続税、不動産税(固定資産税)を導入する。」、「長期投資信託などに関連する税控除を廃止する可能性もある。」と明言。税制改革は、所得格差をなくし、徴税を効率化することを目的としたもの。
2005年から続く「タクシン派と反タクシン派の抗争の一因が経済格差にある。」と判断し、貧富の差の是正を図る。新たに導入される税に関しては、財務省と国の最高法律諮問機関である法令委員会が、5000万B以上の資産の譲渡に贈与税10%を貸し、不動産、自動車、現金、預金、有価証券の相続を課税対象とすることで合意している。
相続税、固定資産税の導入はタクシン派、反タクシン派の双方の政権で幾度も浮上したが、国会議員、幹部官僚の多くが庶民とかけ離れた富裕層であることから、実現しなかった。プラユット首相は暫定国会の議員の過半数に現役、退役の軍人、警官を充てており、子分の数の力で押し切る構え。
施政方針演説で、プラユット首相は取り組むべき課題として、第1に王室の守護を挙げた。次いで、治安維持と外交、社会的不公正の是正と行政サービスの普及、教育改革、医療改革、行政改革、司法改革などに言及。
プラユット首相・陸軍司令官は、スコータイ県の洪水被災地を訪れ、被災者に救援物資を手渡した。
タイ内務省によると、洪水が発生したのはスコータイ、北部ピッサヌローク県、ピチット県、中部アユタヤ県など。
閣議が行われる会議室用に購入されることになったマイクの価格水増し疑惑について、プラユット首相は、「政府として見て見ぬふりはできない。まず調査を行う必要がある。」と述べ、事実関係を明らかにする関係部署に指示したことを明らかに。
調査を担当するのは、国家予算調査委員会の小委員会という。この疑惑に関しては、すでに会計検査院が調査に乗り出しており、国家汚職制圧委員会(NACC)も12日、不正がなかったかを検証する方針を明らかに。
副首相兼外相に就任したタナサック・パティマープラコン国軍最高司令官は外相としての仕事始めの初日である12日、米国のクリスティー・ケニー大使、佐藤重和大使と相次いで会談。
在タイ米国大使館によると、タナサック外相とケニー大使はテロ対策、民主主義、人権などについて話し合った。
09月13日(土)2010年にタクシン派が当時の反タクシン派・民主党政権に退陣を迫って展開した大規模反政府デモで黒装束の武装集団が治安部隊などに戦闘用武器で攻撃を仕掛け兵士らを死傷させたとされる問題で、民主党幹部のタウォン前下院議員はこのほど、「黒装束の戦闘員4人から『戦闘員が誰の指示で動いていたかを現金と交換に明かす。』と持ちかけられたことがある。」と明らかに。
これら4人は、黒装束で治安部隊を攻撃した疑いで先に逮捕された5人とは別人物。しかし、要求額が1人当たり500万Bと高額だったため、タウォンは話に乗らなかった。4人の話では、黒装束の戦闘員は、カンボジアで武器の扱い方などの訓練を受けた者で、「任務遂行の報酬は1人当たり100万B。」と約束されていたものの、実際に受け取ったのは1人当たり10万Bに過ぎなかった。
デモ隊側から自動小銃などで治安部隊に攻撃を行ったとされる黒装束の戦闘員については、タクシン派がその存在を全面的に否定。タクシン派のインラック前政権が事実関係の解明に動き出すこともなかった。タイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)が2010年の大規模反政府デモの終結後、黒装束の戦闘員について捜査を開始したものの、翌11年8月のインラック政権誕生に伴う政治的圧力で捜査は事実上打ち切りとなった。
なお、警察が「黒装束戦闘員」の容疑者5人の逮捕を発表した先の記者会見について、人権団体からは容疑者4人を黒装束で同席させたことに対し、「犯人かどうかは裁判所が決めることなのに警察は容疑者を犯人扱いしている。」といった批判が出ている。
09月15日(月)プラユット首相は、国防大学第56期生の集いにおいて、「汚職一掃は、(軍政が推し進めようとしている)11分野の改革には含まれていないものの、政府、軍政にとり重要な政策である。」と述べ、その必要性を改めて確認。
軍政は民政移管に向けて政治対立などを解消すべく11分野の改革を推進する方針を打ち出しているが、ここでは汚職一掃に直接言及していない。これに対してプラユット首相は、「それぞれの分野で汚職防止を念頭に置いて改革を遂行することが想定されているため。」と説明している。また、プラユット首相は、第56期生が汚職問題などに本気で取り組むよう提案したことについて、「国防大学が政府と国家平和秩序評議会(NCPO)と同じ考えであることを知ってうれしく思う。」と述べた。
支那の寧賦魁大使は15日、外務省を訪れ、ドン・プラマットウィナイ副外相(元駐米大使、元国連大使)と会談。11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議首脳会議へのプラユット首相(陸軍司令官)の出席を求める習近平国家主席からの親書を手渡した。
タクシンは次女のペートーングターンと支那滞在を楽しんでいる模様。ペートーンターンさんが14、15日にインターネットに投稿した書き込みとツーショット写真で明らかに。タクシンは今後、香港に向かうと見られている。
09月16日(火)政府は9月16日の閣議で、局長や県知事を含む内務省高官37人を新年度がスタートする10月01日をもって異動するとのウィブン内務事務次官の提案を承認。関係筋によれば、これら37人の後任のほとんどは、反タクシン派・民主党政権(2008~2011年)で重要なポストに就いていたものの、インラック政権(2011~2014年)では冷遇された人々。
政府庁舎の閣議用会議室などで使用するため購入が予定されていたマイクの価格水増し疑惑で、プラユット首相は、現時点では価格が適正か否か判断できないため購入を見合わせるよう指示したことを明らかに。
問題のボッシュ製会議用マイクの価格は1台14万5000Bとされていたが、納入業者とメーカーとの交渉で約9万4000Bに値下げできるようになったと報じられていた。だが、同等の機能を持つボッシュ製マイクは5万Bほどで販売されているとのことだ。このため、関係当局が調査に乗り出すことになった。
プラユット首相も、「1台14万5000Bという価格は妥当と思うか。」との質問に対し、「適正とは思えない。」と返答。なお、計画では、政府庁舎には同マイクが合計192台設置されることになっていた。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「NCPO評議員を6人とした先の布告を取り消し、民間人2人を含む9人を新たにNCPO評議員に加えた。」と発表。
これまで軍人と警察官で構成されていたNCPO評議員に民間人として初めて参加することになったのは法律専門家のミーチャイ元上院議長とソムキット元財務相。その他の新評議員は、軍や警察の幹部となっている。
09月17日(水)警察庁犯罪制圧課は、戦闘用武器の不法所持容疑で7人を書類送検。これら犯人は、05月にロッブリー県、サムットサコーン県、6月にアユタヤ県で複数の戦闘用武器が見つかった事件に関与。
陸軍第3管区の副司令官だったマナットについては、2010年のタクシン派による大規模反政府デモの際に武装集団に武器を提供したとの疑い。
名門大学のひとつ、マヒドン大学のラチャター学長の保健相就任に学内で学長辞職を求める声が出ている問題で、マヒドン大学のウィチエン役員会議長は、「役員会の決定として、保健相と学長を兼任するか学長を辞職するかを3週間以内に決めるよう学長に求めることになった。」と明らかに。
学長と大臣の兼任に対しては、マヒドン大学付属音楽学校のスクリー校長が先に一斗缶のような金属の箱を頭に被って抗議。17日にも再び金属箱をかぶって学長に辞職を要求した。スクリー校長によれば、「学長も大臣もフルタイムで務めるべき仕事であり、掛け持ちはできない。」
プラユット首相は、政府庁舎で開かれた政府高官の会議で、「閣僚全員に対し、業務内容の報告書を3ケ月ごとに内閣と予算審査委員会に提出するよう指示した。」と明らかに。
報告は「内容が予算審査委員会、国家平和秩序評議会(NCPO)、国家汚職制圧委員会(NACC)などによって精査され、閣僚が実行しようとしているプランが準備不十分などと判断された場合、予算の執行は許されない。」
また、国営企業の役員に数多くの軍人が起用されていることへの批判について、プラユット首相は、「軍人が監視の目を光らすことで不正が防止できる」と釈明。また、「役員の仕事を全うできない軍人は解任する」と明言。
国家改革評議会(NRC)の評議員250人の内77人を選ぶため、軍高官14人からなる委員会を設置するとの国家平和秩序評議会(NCPO)の命令が、官報に掲載された。
NRCは11分野の改革を遂行するための機関。評議員のうち173人は、先にNCPOが設置した委員会によって、それぞれの分野ごとに50人に絞り込まれた候補者計550人の中から選出される。今回設置された委員会は、77都県の選考委員会がそれぞれ5人に絞り込んだ候補者計385人の中から評議員77人を選ぶことになっている。
09月18日(木)航空機や空港の運営を妨害した場合の罰則を強化する改正航空安全法案が、軍事政権が設置した暫定国会の第1読会で可決。法案は、空港の占拠・閉鎖、航空機の運航を停止に追い込む妨害行為に対する罰則が大幅に強化されている。
タイでは2008年、タクシン派のソムチャーイ政権に反対する、民主主義市民連合(PAD)がスワンナプーム国際空港とドンムアン空港を占拠し、両空港を一時閉鎖に追い込んだ。
09月19日(金)タクシン派の雑誌「ボイス・オブ・タクシン」の元編集者のソムヨット(53)が不敬罪などに問われた裁判の2審で、控訴裁判所は、1審の判決を支持し、被告に懲役11年を言い渡した。
1審の刑事裁判所は2013年01月、ソムヨットに対し、「ボイス・オブ・タクシンの2010年2、3月号に掲載された記事が王室を中傷した。」として懲役10年、反タクシン派の軍人に対する名誉棄損で懲役1年の実刑判決。
不敬罪とされた記事はタクシン政権(2001~2006年)で首相府相を務め、後に不敬罪に問われて国外に逃亡したチャクラポップが執筆。ソムヨットはこの記事を掲載したことで不敬罪に問われ、2011年04月、不敬罪の改正を求める署名活動中に逮捕された。以来、保釈を認められないまま、有罪判決を受け、服役中。
不敬罪は国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。
スラム地区での教育支援、生活向上などに長年取り組んでいる「ドゥアン・プラティープ財団」創設者であり、「スラムの天使」とも呼ばれるプラティープ・ウンソンタム・秦が平成26年度外務大臣表彰を受賞。在タイ日本大使公邸で表彰式およびレセプション。
外務大臣表彰は日本と諸外国との友好親善関係増進に大きな貢献のあった個人もしくは団体の功績を称えるもので、プラティープは「日本とタイとの相互理解の促進」が受賞理由となった。
プラティープは、曹洞宗国際ボランティア会(SVA/現シャンティ国際ボランティア会/旧称曹洞宗ボランティア会または曹洞宗難民救済委員会JSRC)の秦辰也と昭和62(1987)年に結婚。2006年のクーデターでは、タクシンを擁護し、タクシンの広告塔としての政治行動が非難を浴びた。SVAの活動を全否定はしないが、タクシン派の政治家であり、日本の税金や善意の浄財で政治運動を行っている。秦辰也などはボランティアと称する左翼で、もともとかなり怪しい。
09月21日(日)サンサーン政府副報道官が明らかにしたところによれば、プラユット首相はこの先3ケ月間、各地を視察して政府が各大臣に指示したことが適切に実行されているかを確認する予定。サンサーン副報道官によれば、「それぞれの大臣も指示がどのように実行されているかを現地視察してチェックする。なお、視察に伴い地方で閣議を行うことは予定されておらず、また、現時点では首相がどの県を視察するかも決まっていない。」
09月22日(月)軍事政権が民主主義や政治に関する言論弾圧を強めている。
18日にはタマサート大学で予定されていた独裁政権に関するセミナーを強制的に中止させ、学者、学生ら7人の身柄を一時拘束。25日にチエンマイ大学で予定されていた政治討論会も軍事政権の圧力で中止に追い込まれた。
国際的な人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部、ニューヨーク)はこうした動きについて、「軍事政権は自分たちは独裁者ではないと国際社会に伝える一方で、大学に介入し、民主主義や人権に関する議論を禁止している。」と指摘。「言論の検閲、批判者の訴追、政治活動の禁止といった弾圧は独裁につながる。」と警告。
民政移管に向けた重要なステップである11分野の改革を遂行するため、現在国家改革評議会(NRC)の評議員250人を決める選考作業が進められているが、ソムチャイ立法議会議員はこのほど、「複数の県で選考が適切に行われていない。」と指摘。
評議員のうち77人は、77都県に設置された選考委員会が応募者の中から選んだそれぞれ5人計385人から選出されることになっているが、ソムチャイ議員によれば、スリン、ターク、パッタルン、パンガー、チャチュンサオ5県の選考委員会では、「『さまざまな職種から選ぶ。』との指示に反して選考委員との個人的な繋がりを優先した選考が行われている。」ソムチャイ議員は、「何も手を打たなければ、悪評が残ったままになってしまう」として、国家平和秩序評議会(NCPO)に何らかの措置を講ずるよう求めている。
山際大志郎経済産業副大臣が首相府でプリディヤトン副首相と会談。山際副大臣は会談で、排気量3000cc以上の日本製大型車の関税引き下げを検討するようタイ側に要望。両者は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、対ビルマ投資、タイの投資奨励政策などについても話しあった。
05月のタイのクーデター後、欧米諸国はタイ軍事政権と高官レベルの公的な交流を停止している。日本政府の高官がタイ軍政閣僚と会談するのも初めてで、タイ側は大物のプリディヤトン副首相が応対することで、日本への謝意を示した形。
09月23日(火)当局が学術的な公開討論会を中止させたことに学識経験者らが「学問の自由を否定するもの」などと強く反発している問題で、プラユット首相はこのほど、「学術的な集まりを制限、禁止したことはない。」、「このような会合では政治が議論されるべきではない。」とと述べ、「政治に関する公開討論会などが国家平和秩序評議会(NCPO)が禁止している政治活動に当たる。」との見解を明らかに。
公開討論会「外国における独裁の衰退」が事前に許可を取得していなかったとの理由で警察官や兵士によって中止させられたことに対し、16大学の学者60人が先に「学問の自由を尊重せよ。」と軍政に要請。
プラユット首相によれば、「学者は自由に学術的な意見を表明することができるものの、政治に関する意見は例外。公開討論会などの開催に関しては、何が議論されるかを事前に報告して当局の許可を取得することが必要。」
09月24日(水)プラユット首相は、 「我が政権は腐敗の道を歩まない。」と明言し、現政権下で汚職を起こさないことに自信を示した。これは、「過去に公共投資などに絡んで汚職が起きていたが、 汚職発生を許さない自信があるか。」との質問に答えたもの。プラユット首相によれば、「現政権はこれまでの政権とは異なり、閣僚に個人的利益を求める者がいない。また、 計画などの承認において閣僚が内容を確かめもせず判を押すことはなく、問題のある計画がそのまま実施されることは考えにくい。」
なお、軍部が05月22日のクーデターでインラック政権に代わって全権を掌握することになったが、これまで政権が汚職問題に真っ向から取り組まなかったことが軍による政治介入の理由の1つ。
国家平和秩序評議会(NCPO)による2回目のエネルギー・フォーラムが開催されたが、燃料価格の引き下げに対し賛否両論が噴出し、今回も結論を出すことができなかった。
初回のフォーラムは08月27日に開催された。今回のフォーラムでは、石油・ガス最大手のPTT社のガスパイプライン使用などが議論の中心となったが、関係当局の代表と「エネルギー改革の断行」などを求める人々の間で意見が対立し、罵声が飛び交う状態となった。
09月25日(木)日本外務省によると、国連総会出席のためニューヨークを訪問中の岸田文雄外相とタイのタナサック副首相兼外相(タイ国軍最高司令部司令官)が約35分間会談。
岸田外相は「タイが民政復帰に関するロードマップに沿って、民主化を進めることを期待する。」と述べる一方、「日本とタイは長年の友好国であり、タイの新政府との間でも協力関係を強化したい。」と伝え、欧米諸国が距離を置くタイ軍事政権との関係強化に躊躇しない姿勢を見せた。また、タイに対し、透明、公正な投資環境の整備、東日本大震災後の放射性物質に係る食品輸入規制の早期撤廃を改めて要請。
タナサック副首相兼外相は「軍政の民主化に向けた取り組みを説明。経済分野を含め、日本との緊密な協力関係を強化していきたい。」と述べた。
09月26日(金)プラユット首相は、国家改革評議会(NRC)の評議員250人の選考作業が完了したことを明らかに。
現在内閣官房が選考結果をチェックしており、10月02日にも国王の認証を得るための手続きが取られる予定。認証後に評議員の氏名が発表されることになる。
NRCが担う11分野の改革は、政治対立の再燃などを防止すべくタイが抱えるさまざまな問題を解決するメカニズムの構築を目的としたもの。関係筋によれば、軍政の目指す民政移管後の政治的安定の回復は、改革が成功するかどうかにかかっている。また、今回の選考に漏れた人々について、プラユット首相は、「改革に参画したいという志を無駄にしないため、改革の現場で一定の役割が与えられる。」との考えを明らかにしている。
09月27日(土)国家汚職制圧委員会(NACC)が立法議会議員に資産申告を求めたことに対し、議員28人が先に行政裁判所に要請が合法か否かの判断を要請する手続きを取った。これに伴い、行政裁判所が「09月30日に判断を下す。」とメディアに通知。だが、この動きを当のNACCはまったく把握していなかった。サンサーンNACC事務局長は27日、「何も知らなかった。」と述べている。
なお、NACCによれば、現行の暫定憲法には、立法議会議員に資産申告を求める規定は存在しない。だが、憲法6条では、「立法議会議員は下院議員と上院議員の役割を担う。」とされており、NACCは、NACC法に照らして「立法議会議員は資産申告が必要。」と判断。
タナサック副首相兼外相(国軍最高司令官)は、米ニューヨークの国連本部での国連総会で、「タイが民主主義から遠ざかってはいないことをはっきりさせておきたい。しかし、国民和解、政治改革、民主的な制度・機構の強化のためには時間が必要だ。我々は05月22日に起きたこと(軍事クーデター)を繰り返したいとは思っていない。」と述べ、現在関係当局が政治の正常化などに全力を挙げていることを強調。
さらにタナサック外相は、軍部が政治介入に踏み切った理由について、「法律が守られず、全国的な政治的混乱が流血の惨事を引き起こす恐れがあった。」として、軍部の決断・行動に理解を求めた。
シハサック外務事務次官によれば、「タナサック外相の国連総会出席は、世界の指導者たちと信頼関係を築く良い機会であり、成功だった。」
09月29日(月)国家改革評議会(NCPO)が民政移管後の政治的安定などに不可欠としている11分野の改革を遂行するため設置した国家改革評議会(NRC)の評議員250人のうち、評議員173人の名簿とされるものがメディアに出回っており、その人選に対し、タクシン派のプア・タイ党や反独裁民主主義同盟(UDD)から「軍政の同調者が大多数。」と批判。
プア・タイ党幹部のスラポン元副首相は、「失望した。評議員には、NCPOのために働いてきた見慣れた顔が含まれている。このような評議員による改革では何も新しいものがもたらされない。」との見方。
一方、反タクシン派からは、「さまざまな分野の専門家で構成され、軍関係者一辺倒ではない。」などと評価。関係筋によれば、「軍部がタクシン派の汚職体質が政治対立などの大きな原因の1つと見なしているのは明白で、現在の軍政下での改革がタクシン派の歓迎するものになることは考えられない。」
なお、改革評議員は、NCPOの設置した委員会に応募した者の中から173人を選び、残り77人は77都県に設置された選考委員会に応募した者から選ばれる。
国内の主要空港を管理・運営するタイ空港社(AOT)のプラソン役員会議長はこのほど、「スワンナプーム空港の利用者増加に対応するため第2ターミナルを建設する案が今年12月にも閣議に提出される。」との見通しを明らかに。
第2ターミナルは、既存ターミナルとモノレールで接続する予定で、総工費は240億Bあまり。「スワンナプーム空港については、540億Bをかけて施設を拡張する。」との案が出ているが、費用が掛かりすぎることから、代替案として第2ターミナルの建設が検討されることになったもの。
09月30日(火)ヨンユット政府報道官は、「プラユット首相が10月09~10日にビルマを、16~17日にイタリアを訪問する予定。」と発表。
首相就任後初の外遊先となるビルマでは、ビルマ首脳と意見を交換する予定。また、イタリアではミラノで開催されるアジア欧州会合(ASEM)に出席し、タイ国内の政治状況などを説明する。
シハサック外務事務次官によれば、プラユット首相とビルマ首脳との会談では、国境地帯での協力、出稼ぎ労働者や難民の問題などが取り上げられる見通し。
また、国連総会に出席したタナサック副首相兼外相について、「ケリー米国務長官が握手を拒んだ。」と一部で報じられているが、シハサック事務次官は、「そのような事実はない。私はその場にいた。」と反論。
最高行政裁判所は、「立法議会議員は資産申告が必要。」とした中央行政裁判所の判断を支持する決定。
資産申告は、国家汚職制圧委員会(NACC)が立法議会議員に求めていたもので、これに対し、議員のうち28人が「義務はない。」などと訴えた。しかし、軍部による全権掌握に伴い国会の役割を担う機関として設置された立法議会の議員については、国家汚職制圧委員会(NACC)が、NACC法に照らして、国会議員や閣僚と同様に資産申告が必要と判断。09月07日までに資産申告するよう求めていた。
なお、立法議会のポンペット議長によれば、「議員28人は司法による明確な判断を求めようとしたのであり、訴えを起こす前、すなわち期限内に資産申告を済ませている。」
10月01日(水)プラユット首相は09、10日、首相としての初の外遊で、ビルマを訪問する。今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、ビルマを政府が招待。プラユット首相はクーデターで政権を奪取したため、欧米からは風当たりが強い。ビルマをは軍政が長く続いた国だけに、リラックスして訪問に臨めそう。
プラユット首相はその後、ミラノで開かれるアジア欧州会議(ASEM)に出席するため、16、17日にイタリアを訪問する予定。
プラユット首相は陸軍司令官だった今年05月、軍事クーデターで全権を掌握。8月に首相に就任し、9月末で陸軍司令官を定年退官した。
閣議で、生産費用を支援するとして、米農家345万世帯に一時金の支給を決定。支給額は1世帯当たり、農地1600㎡につき1000Bで、上限は1万5000B。予算は400億Bで、10月20日から支給。
05月の軍事クーデターで崩壊したタクシン派の前政権は事実上の米買い取り制度を導入し、市価より数割高値で農家からコメを買い取ってきた。しかし、この政策は巨額の損失と膨大な米の在庫を生み出し、汚職の温床とも指摘され、軍政によって打ち切られた。
プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)は、同日就任したウドムデート陸軍司令官ら軍・警察幹部を引き連れ、国王の諮問機関である枢密院のプレム議長(94)の都内の自宅を訪れ、議長に就任の挨拶。
05月に軍事クーデターで全権を掌握し、閣僚となったプラユット首相(前陸軍司令官)、タナサック副首相兼外相(前国軍最高司令部司令官)、プラチン運輸相(前空軍司令官)、ナロン教育相(前海軍司令官)らは09月末で軍を定年退官し、ウドムデート陸軍司令官(副国防相)、トリートッド空軍司令官、クライソン海軍司令官、ウォラポン国軍最高司令部司令官がそれぞれ昇格。
南鮮の仁川で開催されている「アジア大会で、南鮮に有利な判定を下す審判がいる。」として、タイでもネット上で南鮮に対する批判が相次いでいる。男子サッカーの準決勝でタイが南鮮に0対2で敗れた試合で、審判が度々南鮮よりの判定を下したことが、批判の始まりだった。微妙な判定だったが審判が南鮮にペナルティーキックを与えたこと、審判の目の前でハンドしたにもかかわらず、ハンドの判定を得られなかった。
今回の大会は、タイをはじめインド、日本、支那、インドネシア、モンゴルなどほとんどの国から批判が出ている。
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=PkYLm6SzXkY

これに対し、ゴキブリ(鮮人)が作ったプミポン国王侮辱画像
 https://pbs.twimg.com/media/By8JCnsCIAAdH84.jpg
10月02日(木)城内実外務副大臣と佐藤重和駐タイ日本大使がプラユット首相と会談。
タイ軍政の発足後、日本政府の政治レベルとして初の2国間訪問。プラユット首相が外国政府高官とタイ首相府で会談するのも初めて。
欧米から距離を置かれているプラユット首相は日本が柔軟な姿勢をみせていることに謝意を示し、写真撮影の際に城内副大臣の腰を抱き寄せるなど歓迎。タイ外務省によると、城内副大臣は会談で、安倍晋三首相の親書を手渡した。安倍首相はその中で、プラユット首相の就任を祝い、日本訪問を要請。
プラユット首相は会談で、「常にタイの友人である日本の政府と国民に感謝する。」と述べ、タイ王室と日本の皇室の親しい関係にも言及。また、「タイが民主主義に復帰することを日本は信じて欲しい。」として、政治改革を進めた後、民政復帰を約束。
ヨンユット政府報道官は、ダウェイ深海港プロジェクトへの日本の投資計画をスタートさせるため日本がタイ、ビルマと3国間の話し合いを行うことを提案した。」と述べた。提案に対し、プラユット首相は、「日本からの投資を促進、保護する。」と約束。同時に、タイがビルマ、ラオス、カンボジア、マレーシアとの国境地帯で計画している経済特区プロジェクトに投資するよう日本側に要請した。
プラユット首相は陸軍司令官だった05月、タクシン派の政府と野党民主党など反タクシン派の抗争を理由に、軍事クーデターで全権を掌握。欧米諸国はこれを強く非難し、民政への即時復帰を要求、タイと高官レベルの公的な交流を停止した。
こうした中、支那は07月中旬にタイのシーハサック外務次官が訪中した際に、王毅外相、楊潔?国務委員(副首相級)が会談に応じるなど厚遇。07月下旬には軍政幹部のソムキット元副首相が訪支して李源潮国家副主席と会談し、プラユット首相の習近平国家主席宛の親書を手渡した。09月15日には支那の寧賦魁駐タイ大使がタイ外務省でドン副外相(元駐米大使、元国連大使)と会い、11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議首脳会議へのプラユット首相の出席を求める習主席からの親書を手渡した。18日にはプリディヤトン副首相(元タイ中央銀行総裁)が寧大使と会談。日本は放置すればタイが支那に傾斜すると判断した模様。軍政との関係強化に動き出している。
09月22日に山際大志郎経済産業副大臣がタイを訪れ、プリディヤトン副首相、チャクラモン工業相(元工業省次官)、アピラディー副商務相(元商務省副次官)と会談した。日本政府の高官がタイ軍政の閣僚と会談するのは初めてで、タイ側は大物のプリディヤトン副首相を含む閣僚3人が応対し、日本が軍政を容認する姿勢をみせたことに謝意を示した。09月25日には、岸田文雄外相が国連総会出席のため訪問したニューヨークで軍政のタナサック副首相兼外相(前タイ国軍最高司令官)と薬35分間会談。岸田外相は「タイが民政復帰に関するロードマップに沿って、民主化を進めることを期待する。」と述べ、「日本とタイは長年の友好国であり、タイの新政府との間でも協力関係を強化したい。」と伝え、軍政との関係強化に躊躇しない姿勢を見せた。
10月04日(土)陸軍第1管区のカムパナート司令官によれば、地域が抱える問題を解決すべく、首都圏で軍人300人以上が住民の声を聞き取ることが予定されている。これは、「国民に軍部をよく理解してもらう。」という国家平和秩序評議会(NCPO)の計画の一環。
具体的には、軍人が市民の苦情を受け付け、その問題を担当する政府機関に善処を指示するというもの。市民から寄せられた意見は国家改革評議会(NRC)にも報告され、NRCによる11分野の改革にも役立てられることになる。
10月05日(日)昨年末の改憲が違憲とされたことに絡んで改憲に賛成した当時の上下両院議長の罷免請求が立法議会に提出されたことに反論が出ている問題で、立法議会のスラチャイ副議長は、「憲法裁が議会に罷免権限があるか否かを判断するまで議会における罷免手続きを延期する必要がある。」との考えを明らかに。
改憲は上院議員全員を公選とするというもの。タクシン派を中心とする国会議員の賛成で議会を通過したものの、憲法裁が違憲と判断。
その後、国家汚職制圧委員会(NACC)が先に当時の上院議長と下院議長の罷免を暫定立法議会に請求。これに対し、タクシン派、プア・タイ党の前議員らは、「暫定立法議会に罷免の権限はない。」として憲法裁の判断を仰ぐ構えを見せている。これら前議員によれば、「罷免請求は05月22日の軍事クーデターに伴い廃止された2007年憲法に基づいたもの。だが、現行の暫定憲法のもとで国会の役割を担う暫定機関として設置された立法議会には、国会議員を罷免する権限はない。」スラチャイ副議長は、「NACCの請求内容を子細に検討し、憲法裁の判断が出るまで立法議会における罷免手続きを延期するかどうかを決めることになろう。」と述べている。
10月06日(月)プラユット首相は、「現在のタイ国内の状況は戒厳令を解除できるほど平穏と考えているか。」との質問に対し、「戒厳令は政府が改革を遂行するために必要なツール。」と述べ、「近い将来に戒厳令が解除される可能性のない。[との見方。
戒厳令は、治安維持などにおいて軍部に大きな権限を付与するもの。軍部は05月20日に戒厳令を発令して政治対立の解消を試みたものの、対立する勢力が柔軟姿勢をみせなかったことから22日に全権掌握に踏み切った。
関係筋によれば、07日に政府と国家平和秩序評議会(NCPO)の首脳が話し合うことから、ここで戒厳令解除が検討されるとの見方が出ていたが、プラユット首相は、「戒厳令解除で何かが起きたら、国家改革が遂行できるだろうか。その責任を誰がとってくれるだろうか。」と述べ、その可能性を否定。
プミポン国王の認証に伴い11分野の改革を担う国家改革評議会(NRC)の評議員250人を任命。改革議会の初会合は21日に開かれる見通し。改革議会は改革案を取りまとめ、暫定国会、内閣、軍政に提出する。憲法起草委員会が起草する新憲法案の可否も判断する。
改革議会の議員は軍政が選出した。反タクシン派の元上院議員、反タクシン派団体のメンバー、タクシン政権(2001~2006年)を打倒した2006年のクーデターで発足したスラユット政権の関係者ら、反タクシン派が大半を占める。タイの一部新聞は、「軍政が掲げるタクシン派と反タクシン派の「和解」にはほど遠い人選。」と酷評。
改革議会の主な議員は、今年の大規模な反タクシン派デモで先頭に立った女性活動家チパット・クリダーコンの父でビール大手ブンロート・ブルワリー副社長のチュティナン・ピロムパクディー、強硬な反タクシン派として知られるエコノミストでテレビ司会者のチュームサク・ピーントーン、硬な反タクシン派として知られるローサナー・トーシトラクーン元上院議員、今年の反タクシン派デモを主導した民主党のアロンコン・ポラブット元下院議員、プレム枢密院議長の側近のパジュン・タームプラティープ海軍大将。プレム議長はタクシン派の一部が2006年のクーデターの黒幕と見做す人物、スラユット政権で商務相を務めたクリークライ・ジーラペート、ネーウィン・チッチョープ元首相府相の父で元下院議長のチャイ・チッチョープ。ネーウィンは2008年末にタクシン派から民主党に寝返り、アピシット民主党連立政権を発足させた、タクシン政権で内閣秘書官長を務めた法律家のバワンサック・ウワンノー、タイ字紙大手デーリーニュース取締役のプラパー・ヘートラクーンなど。
これら評議員は数千人に及ぶ応募者の中から約1ケ月に及ぶ選考を経て選出。民政移管後に政治対立の再燃などを回避すべく、法改正や制度の整備に努めることになっている。また、評議員は政治的バックグラウンドが異なることから、協力して改革に当たることができるかにも注目が集まっている。
南鮮・仁川で開催されたアジア大会で、審判の判定が南鮮寄りの結果となったことで、タイ人からの反韓感情が高まっているが、新たな火種がネット上に流布し大炎上。ある人物が南鮮国内にある歩道を撮った動画をFacebookにアップ。その動画には、タイの国旗に似た柄が描かれた歩道が映っていおり、歩く場所にタイの国旗と同じ柄を使用する南鮮を批判する声が多数上がった。この動画は現時点で5000件を超えるシェア数となっており、タイ人の注目を集めている。
http://news.mthai.com/hot-news/389142.html
タクシン派の前与党プア・タイ党によると、プア・タイ党幹部のアピワン元下院副議長(退役陸軍大佐)が、滞在先のフィリピンで肺炎のため死亡。65歳。
アピワンは05月の軍事クーデターでプア・タイ党政権が崩壊した後、不敬罪容疑で指名手配され、フィリピンに事実上亡命していた。不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。
アピワンの死去について、タクシンの妹のインラック前首相は、インターネットの交流サイト、フェイスブックに「民主主義者で紳士だった。」などと書き込み、死を悼んだ。
アピワンは1949年、タイ中部ノンタブリー県生。タイ陸軍士官学校卒。軍勤務後、1996年に下院選に出馬し当選。2008年に下院副議長。プミポン国王側近のプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)の批判者として知られた。「プレム議長ら支配階級が政官軍財界に張り巡らした人的ネットワークで国家を動かし、民主主義と法治を脅かしている。」と批判。2010年にタクシン派団体UDD(通称、スアデェーン=赤服)が反タクシン派のアピシット民主党政権打倒を掲げ、クルングテープ都心部を占拠した際には、「プレム議長は支配階級のエリート官僚と軍人による支配が国家開発を速めると考えていて、それが議長の愛国心だ。しかし私は民主主義が国家の発展の基だと思う。」と述べた。
10月08日(水)国防事務次官室は、首相公選制を導入するなどとした改革案を打ち出し、その詳細を記した書面を初登庁した国家改革評議会(NRC)の評議員に配布。この他、改革案案では、①50%以上の票獲得を国会議員選挙の当選条件とする、②政治任用職の汚職の時効を廃止する、③選挙権付与の年齢を現在の18歳以上から20歳以上に引き上げる、④被選挙権付与の年齢を30~70歳とする(現行法では下院選に立候補できる年齢は25歳以上)なども提案されている。
名門大学のひとつ、マヒドン大学のラチャター学長が保健相に任命された後も学長を続けていることに学内で「兼任は許されない。」との批判が出ていた問題で、ラチャター学長が、学長を辞任する意向を明らかに。
マヒドン大学の理事会は、付属音楽学校の校長などの辞任要求や、「学長を辞めないなら解任すべき。」といった学内の声を受けて、学長に対し、10月08日までに学長を辞任するか否かを明らかにするよう求めていた。
なお、学長はいつ辞任するかは明言していない。
10月09日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)は、インラック前政権の目玉政策、米担保融資制度の不正蔓延などに絡んでインラック前首相を過去に遡って首相罷免とするよう立法議会に要請することを決定。
これは、05月22日の国軍による全権掌握に伴い廃止された「2007年憲法でなく、1999年制定の汚職対策法に基づいて立法議会に首相らの罷免に向けた手続きをとる権限がある。」と判断したことによるもの。
米担保融資制度は、米農家を支援するためインラック政権が導入したもので、数千億Bに及ぶ予算が投入されたことから「財政危機を招きかねない。」との批判を浴びていた。同時に「不正が横行している。」とも指摘されていたが、NACCは、「米担保融資制度を監督する国家米政策委員会のトップ、インラック首相(当時)に職務怠慢があった。」と判断。首相罷免を請求。
また、インラックは政府高官人事で違憲行為があったとして05月に首相失職となっている。このため、首相罷免は実質的な意味を持たないものの、罷免となれば、インラックは公民権5年停止に処され、その間表立った政治活動ができなくなることから、タクシン派にとっては大きな打撃となる。
10月10日(金)プラユット首相は09、10日、首相としての初の外遊で、ビルマの首都ネピドーを訪問。
今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、ビルマ政府が招待。09日に行われたビルマのテイン・セイン大統領との首脳会談では、ビルマ南東部のダウェイ経済特区の開発を共同で推進することで一致。ビルマと国境を接するタイ北部ターク県メーソートの経済特区開発、両国国境地帯の交通網整備、麻薬や人身売買の取り締まりなどでも協力を強化することで合意。プラユット首相は会談後、テイン・セイン大統領主催の夕食会に出席し、その後、ネピドー市内の仏教寺院を訪れた。
国家汚職制圧委員会(NACC)が先にインラック前政権の米担保融資制度で不正が横行していたとされる問題に絡んでインラックを過去に遡って首相罷免とするよう立法議会に請求する方針を固めたことについて、検察が「請求は不完全」とみていることから、NACCは、検察側と協議。だが、結論は出ず、11月07日に再び協議することになった。
サンサーンNACC事務局長によれば、「今回の協議では、複数の点で意見が噛み合わず、数件しか話し合うことができなかった。」一方、検察担当者は、意見の相違点について明言を避け、次回の協議についても「結論が出るかもしれないし、出ないかもしれない。」と話している。
軍事政権が設置した暫定国会(定数220)の議員の資産公開が10月上旬に始まり、議席の過半数を占める軍・警察関係者の金満ぶりが話題。
軍・警察高官の国会議員の本人と配偶者の純資産はチャカティップ・チャイチンダー警察副長官(54)9億6207万B(約32億円)、カムトン・プムヒラン元海軍司令官(63)8億0179万B、ワチャラポン・プサーンラーチャキット前警察長官代行(60)4億6942万B、ソムヨット・プムパンムアン警察長官(59)3億5586万B、シリチャイ・ディサクン国防省次官(59)1億0882万Bなど、1億B以上がずらりと並ぶ。
国王の諮問機関である枢密院のプレム・ティンスラーノン議長(元首相・元陸軍司令官、94)の側近として知られ、暫定国会議員の資産公開に反対した議員28人のうちの1人であるパイロート・パーニチャサマイ元国軍最高司令部副司令官(67)は3億8821万B。
プラユット首相(前陸軍司令官、60)の弟のプリチャー・チャンオーチャー陸軍司令官補(58)は7982万B。
議員のうち純資産額が最も多かったのは製糖大手ミトポンシュガー、石炭大手バンプーなどを展開するウォンクソンキット財閥のイサラ・ウォンクソンキット・タイ商業会議所会頭(66)で52億2573万B。最も少なかったのは元商務省幹部で議員中最高齢のソムポン・テープシッター(88)で16万B。
軍・警察高官の金満ぶりには、軍政が設置し、政治・経済の制度改革に取り組む「国家改革議会」の議員や、軍政と対立するタクシン派前与党プア・タイ党などから、「資産の出所を調べるべき。」という声が上がっている。 こうした批判に対し、プラユット首相はテレビ演説で、「感情的に話したり、気分で決め付けるな。」と反論。「官僚や軍人がなぜこんなに裕福なのか、軍人でなければ皆貧乏人、月給12ケ月分ならこれだけの額になるはず、といった声があるが、こういった意見は公正ではない。相続した財産かもしれないし、不正があれば訴追する。」なとど述べた。
10月12日(日)チャルーム元副首相が、報道陣の前に姿を見せて「私はまだ死んでいない。」と述べ、ネット上で飛び交っている「チャルームは喉頭癌で死んだ。」といった死亡説を否定。
歯に衣を着せない発言で知られるチャルーム(67)はインラック前政権で副首相、労相を歴任。タクシン派政権が05月22日のクーデターで倒されてタクシン派の政治家は表舞台から姿を消すことになったが、チャルームはそれ以前から動静がほとんど伝えられていなかったことから、「死亡した。」との噂が広まっていた。
チャルームによれば、「昨年脳卒中の手術をしたことから表に出る機会が減っていただけで、現在は毎日エクササイズするのを日課しており、極めて健康。」
首都圏警察は先に「警察官に賄賂を渡そうとした交通違反者を逮捕した警察官に1万Bの報奨金を与える。」というキャンペーンを開始したが、首都圏警察交通部は、同キャンペーン中止の方針を関係部署に通達。交通部は、予算の不足を理由に挙げている。キャンペーンは、罰金を払わずに少額の賄賂を渡すことが横行している問題の解決を目的としたもの。
だが、「賄賂を要求しているのは警察官。」といった批判が噴出しており、「警察はキャンペーン中止に追い込まれた。」との見方も出ている。
10月13日(月)議会付属研究機関のキング・プラチャティポック研究所(KPI)傘下の政治開発評議会(PDC)のティラパット議長は、「国家改革評議会(NRC)と新憲法起草委員会のメンバーも資産申告が必要。」との考えを明らかに。
現行の軍政下で、上下両院の役割を果たすために設置された立法議会のメンバーはすでに資産申告を済ませている。
ティラパット議長によれば、「NRCによる11分野の改革や新憲法の制定は、それに携わる人々の利害に影響する可能性があるため、これらの人々がその立場を利用して私腹を肥やすことがないよう資産申告を義務づけることが必要。」なお、PDCは政治改革分野の諮問機関となっている。
国家改革評議会(NRC)の主要メンバー、ティエンチャイ元チュラロンコーン大学長は、「新憲法制定に向けて公聴会、国民投票を実施を支持する。」と表明。ティエンチャイはNRC議長の最有力候補と目されている人物。
現行の暫定憲法は、05月22日の軍部の全権掌握に伴い2007年憲法が廃止されたことから制定されたもの。これに代わって制定される新憲法のもとで総選挙が実施され、民政移管が完了する。新憲法起草委員会は36人で構成されることになっており、うち20人をNRCが指名する。
ティエンチャイによれば、「新憲法に国民の声を反映させることが必要であり、そのために公聴会と国民投票を実施するのが望ましい。」
プラユット首相は都内のタイ王室財産管理局本部で、王室系の財団関係者、関係閣僚らと会議を開き、プミポン国王が提唱する「足るを知る経済」の理念に沿って国家開発を進める方針を確認。「足るを知る経済」関連の計画に87億Bの予算。
10月14日(火)タイ外務省によると、佐藤重和駐タイ大使が首相府を訪れ、ウィサヌ・クルアンガーム副首相と会談。
ウィサヌ副首相は会談で、タイの政治状況を説明。近く憲法起草委員会を設置し、10~12ケ月後に新憲法を制定、その後、民政移管のための総選挙を行うという日程を伝えた。同時に政治、教育、司法などの改革を進める考えも示した。 ウィサヌ副首相は1993年から2002年まで内閣秘書官長を務め、チュワン、バンハーン、チャワリット、タクシンの4人の首相に仕えた。タイ屈指の法律家とされ、プラユット軍事政権下の新憲法制定、政治制度改革で中心的な役割を果たすと見られている。

* ウィサヌ・クルアンガーム
1951年、ソンクラー県ハジャイ市生。米カリフォルニア州立大学バークレー校法学博士。チュラロンコーン大学教授などを経て、1991年から内閣副秘書官長、1993~2002年内閣秘書官長。2002年、当時のタクシン首相の求めに応じ、副首相として入閣し、2006年06月辞任。タクシン政権はその3ケ月後、軍事クーデターで崩壊。2014年05月のクーデター直後に、国家平和治安維持委員会(NCPO)の顧問に就任。同年08月、副首相としてプラユット内閣に入閣。
閣議で、投資案件を審査・認可するタイ投資委員会(BOI)のウドム事務局長を工業省工業経済局長に異動する人事を決めた。後任は未定。
ウドムは軍政と対立するタクシン派プア・タイ党政権時の2012年に工業省審議官からBOI事務局長に転任。05月のクーデターでプア・タイ党政権を倒して以来、プア・タイ政権に近いとされる官僚を大量に異動、左遷した。
10月15日(水)政府が1年以内の完了を目指している11分野の改革について、プラユット首相は、いくつかの分野の改革はスケジュール通りには終わらず、次の政府に委ねられる可能性のあることを認めた。民政移管後の政治対立の再燃防止や国民和解の実現などを目的とした国家改革は、軍政が掲げる最重要課題の一つで、1年以内に完了することになっている。
だが、プラユット首相によれば、「国家改革評議会 (NRC)の評議員間で意見が一致せずに改革が完了しなければ、新政権にやり残した仕事を任せるしかない。」なお、プラユット首相は、遅れが出そうな改革の分野を明らかにしていないが、関係筋は、「選挙制度の改正や新政権の編成など政治改革が最も意見が対立する可能性がある。」
プラユット首相は、ミラノで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席するため、イタリアに向け出発。帰国は18日の予定。
プラユット首相は陸軍司令官だった今年05月、タクシン派の政府と野党民主党など反タクシン派の抗争を理由に、軍事クーデターで政権を奪取した。欧米諸国はこれを強く非難し、民政への速やかな復帰を要求、タイと高官レベルの公的な交流を停止した。
プラユット首相は今月09、10日にビルマを訪問しており外遊は2度目。ミラノでは欧州各国首脳と顔を合わせることになり、気まずい事態も予想される。
10月16日(木)安倍晋三首相は、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議出席のため訪れたミラノで、タイ軍事政権のプラユット首相と約30分間会談。プラユット首相の首脳会談は05月のクーデターによる政権奪取後初めて。
日本の発表によると、安倍首相は、プラユット首相の首相就任を祝うとともに、あらゆるレベルでタイとの関係強化を図ると約束。プラユット首相に日本を訪問するよう伝えた。「日タイ両国は長い伝統を有する友好国であり、幅広い協力関係をさらに強化していきたいと考えている。タイにおいて国民和解を通じ、早期の民政復帰が実現することを強く期待する。」タイが国家改革に取り組んでいることを称賛し、「日本としてはタイに圧力をかけるつもりのない。」と表明。同時に、「改革は大変な作業だが、タイが改革と国民和解に成功するよう期待している。」と述べた。
タイの持続的な成長のため、インフラ整備などで日本の技術を活用するよう呼びかけ、東日本大震災後の放射性物質に関する食品輸入規制の早期撤廃、透明・公正な投資環境の整備を要請。この他、外交チャンネルを通じて研究・開発のためタイに専門家を派遣し、また、最も安全な高速鉄道技術を紹介する意向を明らかにした。
一方、プラユット首相は、「国内の安定を重視しつつ、日本を含む国際社会の声に耳を傾けて改革を進め、民主化に取り組むと説明。鉄道、水資源管理、エネルギーなどのインフラ分野で、日本からの協力に期待する。」と述べ、国家改革を成し遂げようと努力していることを説明。高速鉄道、衛星、洪水対策などに関連する技術分野への投資を日本に呼びかけた。タイの発表では、プラユット首相は日本がタイとの友好関係を維持し続けていることに謝意を表明。また、国内問題が一区切りした段階で日本を訪れたい意向を明らかに。さらに、日本を含む国際社会からの助言を歓迎すると発言。日本製品の輸入条件を緩和することなどを約束。
これに対し、安倍首相はプラユット首相の首相就任を祝い、改革を全方面で支援すると伝えた。また、タイの高速鉄道計画、人工衛星、ビルマとタイが共同開発するビルマ南東のダウェイ経済特区などに関心を示した。
首脳会談の会場のホテル前ではタイ軍政に反対する小規模なデモがあり、2010年にクルングテープで起きた反政府デモの取材中に射殺されたイタリア人カメラマン、ファビオ・ポレンギの家族らが、プラユット首相に抗議した。2010年の反政府デモではタクシン元首相支持派の市民と反タクシン派政権の治安部隊が衝突し、ポレンギ、ロイター通信の日本人カメラマン、村本博之、デモ参加者ら91人が死亡、1400人以上が負傷した。当時陸軍高官だったプラユット首相はデモ弾圧の指揮を執ったとされる。
プラユット首相は安倍首相との会談後、支那の李克強首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、カンボジアのフン・セン首相と相次いで会談。
プラユット首相は陸軍司令官だった今年05月、タクシン派の政府と野党民主党など反タクシン派の抗争を理由に、軍事クーデターで政権を奪取した。欧米諸国はこれを強く非難し、民政への速やかな復帰を要求、タイと高官レベルの公的な交流を停止している。
10月17日(金)立法議会では、憲法改正問題に関連する元上下両院議長の罷免請求について審議・決定する予定だったが、延期を決めた。元議長2人の罷免は、国家汚職制圧委員会(NACC)が請求していたもの。
立法議会規則は、罷免請求の受理から30日以内に議会で請求を審議すると定めているが、立法議会議員の大多数が「NACCが十分な判断材料を提供していない。」などとして今回の請求に関しては立法議会規則の適用を見合わせることに同意。議会における罷免請求に向けた手続きが延期されることになった。ポンペット立法議会議長は、「少なくともこの先2週間のうちに請求が議会で審議されることはない。」としている。
NACCは、インラック前政権主導で進められた、上院議員全員を公選とするなどとした憲法改正が憲法裁判所によって違憲とされたことから、議会審議の過程で改憲を認めた当時の下院議長と上院議長の罷免を請求。だが、「請求は先のクーデターで廃止された2007年憲法に基づいたもので、法的に問題がある。」といった指摘も出ていた。
ウィサヌ副首相は、中央選管本部で行った国家改革に関する説明の中で、「新憲法が出来上がるのが来年09月か10月。総選挙は再来年初めに実施されることになるだろう。」と述べ、民政移管が当初予想より遅れるとの見通しを明らかに。総選挙については、これまで「来年10月実施」との見方が出ていた。 民政移管は、現行の暫定憲法に代わる新憲法を制定し、新憲法の下で総選挙を実施して新政権が誕生するという手順を踏むことになる。ただ、新憲法が制定されても公職選挙法、政党法など関連法を整備しないと総選挙は実施できない。そのため、ソムチャイ中央選挙管理委員会委員も、「総選挙は再来年01月となるかもしれない。」との見通しを示していた。
10月19日(日)タクシン派幹部のアピワン元下院副議長の葬儀に大勢のタクシン支持者が集まっていることから、一部では「葬儀をきっかけにタクシン派が反政府的な動きを活発化させようとしている。」との見方も出ている。だが、タクシン派プア・タイ党のプムタム幹事長は、「我党は静観する。政府に改革遂行の機会を与える。タクシンも国民和解が実現され、国が前進することを望んでいる。」と述べて、当面は反政府活動を起こさない方針であることを明らかに。同日はクルングテープに隣接するノンタブリー県の寺院で大勢のタクシン支持者が見守る中、アピワンの火葬が執り行われ、インラック前首相も姿を見せた。
プラチン運輸相はこのほど、主要空港の免税店運営を複数の業者に任せる計画を明らかに。これは、キングパワー・インターナショナル・グループがタイ空港社(AOT)が管理・運営する主要空港で免税店ビジネスを独占している現在の状態を改めようというもの。運輸相は近く、国家平和秩序評議会(NCPO)の経済部門に同計画を検討させる予定。これに伴い特別委員会が設置され、計画の具体化が話し合われる見通し。
10月20日(月)夜タイ字紙デーリーニュースなどによると、タクシンの妹のインラック前首相が1人息子のスパセーク・アモンラチャットとその友人家族とともに、タイ国際航空機でタイを発ち、日本に向かった。東京ディズニーランドを訪れるなど、日本に3日間滞在。その後、タクシンと合流し、プライベートジェット機でインドに向かい、26日に帰国予定。
一方、反タクシン派団体指導者で実業家のソンティ・リムトーングクンも、「日本に向かった。」と報じられた。北海道で休暇を過ごすと見られる。
インラックとソンティはともに、タイ軍事政権の監視下にあり、出国を希望する場合は事前に軍政の許可を得る必要がある。
10月20日(月)米農家に補助金を支給する政府のプロジェクトがスタートし、窓口の農業農協銀行(BAAC)には補助金を受け取ろうと大勢の農民が詰めかけた。
これは、政府が10月01日に承認した大型景気刺激策の一環。補助金支給が開始されたのは、ピサヌローク、ピチット、カンペンペット、ロッブリ、コンケン、スリン、シサケート、 マハサラカムの8県。これらの県で米農家として登録しているのは1万4311人で、支給額は合計1億7610万Bに上る。農家には1万5000Bを限度に耕作面積1ライ(ライ=1600㎡)当たり1000Bの補助金が提供される。補助金の対象となる農家は全国で349万人。BAACは11月中の支給完了を目指している。
10月21日(火)「11分野の改革を遂行するため設置された国家改革評議会(NRC)の評議員250人にも閣僚などと同様に資産申告が必要。」との意見が出ていたが、国家汚職制圧委員会(NACC)は、「評議員に資産申告は不要。」との判断を下した。
資産申告を求める意見は、「改革に携わることで評議員が利益を得る可能性がある。」といったものだが、NACCは、「評議員の仕事は学術的なものであり、評議員の利害に影響しないか」と判断。「不正蓄財の防止などを目的とした資産申告は評議員に必要ない。」と結論。
関係筋によれば、インラック前首相が10月19日から息子スパセークとともに日本を訪問中。
日本を訪れている実兄のタクシンと会い、また、タクシンのプライベートジェットでともにインドに行き、仏教行事に出席する予定。インラック前首相はインドでタクシンと別れてタイに帰国することになっている。仏教行事には、タクシン派プア・タイ党の幹部なども参加する予定。
今回の日本・インド訪問では、インラック前首相側が詳しい日程などを提出して事前に国家平和秩序評議会(NCPO)の許可を得ていた。軍政は05月22日の全権掌握に伴い、タクシン派幹部などが無断で出国することを禁じている。
インラックがNCPOの許可のもとに外国旅行するのは今回が2度目。なお、タクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定しているが、判決を不当として帰国して刑に服すことを拒み続けている。
国連総会で、国連人権理事会の理事国15ケ国を改選する無記名投票があり、アジア地域に割り当てられた4ケ国の枠に立候補していたタイは136票で、インド(162票)、インドネシア(152票)、カタール(142票)などに競り負け、落選。国連人権理事会の理事国は47ケ国。今回改選された15ケ国の任期は2015年01月から3年間。
クルングテープ中心部ディンデェーン区のアパートで暮らす日本語教師、愛知県出身の島戸義則(79)さんが約1ケ月前から行方がわからなくなり、島戸さんとつきあいのあったポンチャノック・チャイヤパー(47)が島戸さんの銀行口座から約70万Bを盗んだ容疑で逮捕された事件で、事実婚の夫のタクシー運転手、ソムチャイ・ケウバングヤング(47)が「島戸さんを殺害し死体を遺棄した。」と供述。警察は、自供に基づいて、クルングテープに隣接するサムットプラカン県でダイバーを使ってバンプリー郡の運河を捜索し、22時頃、バラバラに切断された遺体の入った肥料袋4つを発見。

島戸義則(79)さん → 

タイを訪れた島戸さんの息子が10月14日、「09月下旬から島戸さんと連絡が取れない。」と、警察署に捜索願を出した。これを受け、警官が島戸さんが住んでいた都内ラチャダピセーク通のマンション「シーワラーマンション2」を訪れたところ、島戸の部屋で、ポンチャノックを発見。警察署に連行して取り調べたところ、ポンチャノックの供述によれば、「島戸さんは心臓血管疾患があり、09月21日に診察を予約していた病院に男性を連れて行った。病院で別れて島戸さんはアパートに帰った。それ以降島戸さんとは会っていない。」、「島戸さんとは4月に知り合った。」キャッシュカードについては「男性から預かった。」と主張。17日に窃盗容疑で逮捕されたが、娘が10万Bで保釈した後、姿を消していた。警察が中部アントン県で事実上の夫のソムチャイと一緒にいるところを発見。戒厳令を適用して2人の身柄を拘束して取り調べを行っていた。ソムチャイは21日になり、「金銭目的で島戸さんを殺害し、死体を切断して袋に詰め、運河に捨てた。」と供述。ポンチャノックは「島戸さんは病死した。」と主張している。
また、「島戸さんは心臓血管疾患だった。」と報じられているが、女が12年前に、心臓血管疾患を抱える日本人男性田中カツトシさんと結婚し、「田中さんが階段から転落して死亡した。」として保険金300万Bを手にしていたことから、警察は田中さんの死亡に事件性がなかったかを改めて捜査する方針。当時、タイ警察は事故死として処理したが、田中さんの家族は死因に不審を抱いている。ポンチャノックは別の日本人男性とも金銭トラブルを抱え、過去に3度名前を変えている。
10月22日(水)国家改革評議会(NCPO)は、プラユット首相は11月09~11日にかけて支那を訪問し、北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳級会合に出席すると発表。12~13日にはビルマの首都ネピドーで開催されるASEANサミット、東アジアサミットに出席する予定。 この他、プラユット首相は10月30、31日、カンボジアのフン・セン首相と2国間の経済問題の解決などについて意見を交わす予定。ここではマレーシアのナジブ首相との会談も予定されている。
「インラック前首相が日本で実兄のタクシンと合流し、インドに向かう。」と報じられていたが、2人は国家改革評議会(NCPO)の要請に伴いインド行を中止。インドではタイ寺院で執り行われるカチンの行事に出席する予定だったが、ここにタクシン派の元閣僚や議員などが大勢集まることが予想されることから、NCPOが問題視。監視のためインラック首相に同行している警察関係者がインド行の中止を求めたもの。 一方、インラック前首相の側近は、「インラックは最初からインド行は予定していなかった。要請を受けてインド行を中止した事実はない。」と話している。
1ケ月前から所在不明となっていた島戸義則(79)さんとみられる切断された遺体がサムットプラカン県バンボー郡の運河から見つかった事件で、警察は、島戸さんの銀行口座から70万B以上を盗んだ容疑で逮捕されていたポンチャノックの自宅を捜索し、2階のバスルームやシンクから血痕、ピックアップトラックから血のついた大型のナイフを発見。
ポンチャノックと内縁関係にあるタクシー運転手ソムチャイは取り調べに対し、「2階バスルームで島戸さんの遺体を切断した。」と認めたものの、2人とも「島戸さんはショック死した。」と主張し、殺害を否認している。大型のナイフはソムチャイが遺体切断に使ったものと警察では見ている。警察関係筋によれば、切断された遺体の身体的特徴から遺体は島戸さんと見られるが、最終的な確認のため現在DNA鑑定が行われており、数日中に結果が明らかになる見通し。ただ、遺体は腐敗が進行しており、鑑定が難しくなっている。
また、ポンチャノックが過去に別の日本人男性田中カツトシさんと結婚し、その後田中さんが死亡し300万Bの保険金を手にしていたことから、警察が事件性がなかったかを捜査する見通し。田中さんは2002年にポンチャノックと結婚した後、階段から転落して死亡し、警察が事故死として処理。しかし、田中さんの家族は死因に疑問を抱いている。2人には娘がいて現在17歳というが、結婚前から関係があったのか、あるいは連れ子かなどは不明。また、ポンチャノックは田中さんと結婚する前からソムチャイと内縁関係にあり、2人の間にできた娘は現在27歳。
10月23日(木)ダーポン天然資源環境相は、 タリット元特別捜査局(DSI)局長の土地不正取得疑惑を調査するよう指示したことを明らかに。東北部ナコンラチャシマー県パクチョン郡の国有林の一部を不正な手段で取得したとの疑い。
ダーポン大臣は、今になって調査を決めたことについて、「タリット元局長の件は大臣に就任する前から知っていた。だが、他にも仕事がたくさんあって手がつけられなかった。」と説明。
なお、タリットは、インラック前政権下でタイ版FBI、 DSIのトップとして反タクシン派を標的にした捜査を何度となく指揮し、反タクシン派派から「タクシン派寄り」と批判を浴びていた人物。
クルングテープ在住の島戸義則(79)さんの殺害事件で逮捕されたポンチャノック(47)について、前夫田中カツトシさんの娘マッタ(ママ)・ケイコ(31)さんが「11年前の父の死に不審な点があるとして再捜査するよう警察に要請していることが10月23日までにわかった。

マッタ(ママ)・ケイコ(31)さん → 

マッタさんは田中さんの再婚相手との間に生まれた。ポンチャノックは田中さんの3人目の妻で、2人は2002年に結婚。翌2003年 に田中さんが死亡。警察は、「酒に酔って心臓麻痺で倒れて階段から転落して死亡した。」との説明を受け事故死として処理し、ポンチャノックは数百万Bの保険金を手にしたもの。
だが、マッタさんら親族は、田中さんが心臓病とは聞いたことがなく、酩酊するほど酒を飲んだこともなかったため、当初から殺人を疑っていた。幼少時からタイで暮らし、タイ語を話すマッタさんによれば、田中さんは、「妻に生命保険に入らされた。保険金は子供にそれぞれに100万B。」と電話してきた約2週間後に死亡。タイでは通夜が短くても3日間なのにポンチャノックは死の2日後に葬儀を行うとすぐに遺体を火葬。
また、ポンチャノックに促されてマッタさんら田中さんの子供たちは日本語の書類に署名させられたが、マッタさんらは日本語が読めず書かれていることを理解できなかった。後に「ポンチャノックが子供たちの代わりに保険金を受け取る。」という内容の書類だったことが判明。この件を問い質そうとしたが、ポンチャノックが悲しみにうちひしがれている様子だったので言い出せずにいるうちに、受け取った保険金を持ったまま姿を消した。
その後10年あまり連絡が取れずにいたが、島戸事件の報道でポンチャノックが逮捕されたことを知り、警察に再捜査を要請することにしたもの。
10月24日(金)警察関係筋によれば、島戸義則(79)さん殺害・死体遺棄容疑でポンチャノック(47)とともに逮捕された、内縁の夫、ソムチャイ(47)が取り調べに対し、島戸さんの殺害を認めた。ソムチャイはこれまで遺体を切断したことは認めていたが、「すでに死亡していた。」などと殺害は否認していた。23日、DNA鑑定の結果、遺体は島戸さんと確認され、ポンチャノックとソムチャイは殺人などの容疑で逮捕された。

 ← 左から、ポンチャノック・チャイヤパー(47)と事実婚のソムチャイ・ケウバングヤング(47)

自白によれば、「ソムチャイが島戸さんの顔に枕を押しつけて窒息死させた。」という。ポンチャノックもその場にいたことを認めており、ポンチャノックから「島戸さんが金をくれない。」との電話を受けたソムチャイが、ナイフを持ってオートバイでポンチャノックの自宅に向かい、ベッドで寝ていた島戸さんを殺害。遺体をバスルームに運んでバラバラに切断し、肥料袋に詰めて運河に遺棄した。
10月25日(土)警察によれば、島戸義則(79)さん殺害の容疑でポンチャノック(47)とともに逮捕されたソムチャイ(47)が、2003年10月に当時ポンチャノックの夫だった日本人田中カツトシ(当時56、報道により57)さんを事故に見せかけて殺害したことを自供。裏付け捜査を急いでいる。ソムチャイは殺害の動機について、「ポンチャノックと復縁し、田中さんが経営する農具店を乗っ取るのが狙いだった。」と話している。
田中さんの死は当時、事故死として処理され、ポンチャノックは300万Bの保険金を手にしていた。
ポンチャノックと内縁関係にあるソムチャイは、田中さんが農業機械の販売業をしていたサムットプラカン県バンプリー郡のビルで田中さんを階段から突き落とし、首を締め付けて窒息死させた。その日、ポンチャノックからの電話でビルに戻った田中さんは、ソムチャイの弟や父親(故人)らとともに会食。弟と父親は田中さんの会社で働いていたという。この時、ソムチャイは参加せず、ビル3階の部屋に隠れており、飲食後田中さんとポンチャノックは4階の寝室に行き、弟と父親は中2階で就寝。ソムチャイはそのまま部屋に隠れていて、田中さんが3階のトイレに行こうと寝室を出てきたところを階段から突き落とし、手すりの金属製支柱2本の間に田中さんの頭を挟み込み、首を10~15分ほど足で踏みつけて窒息死させた。
ソムチャイはポンチャノックが警察に連絡する前に逃走。ソムチャイの弟は当時、「兄(ソムチャイ)は不在。田中さんは誤って転落した。」と警察に虚偽の説明をしていたが、これはポンチャノックに証言を強要されたとのこと。
10月26日(日)インラック前首相は、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、「1人息子のスパセーク、兄のタクシンらと万里の長城を訪れた。」と書き込み、3人の写真を掲載。
タイでの報道によると、インラックは19日夜、スパセークらとタイを出国、東京に向かった。日本でタクシンと合流し、25日に北京に移動。タクシンとインラックは当初、日本からインドを訪れ、インドで宗教式典に出席する予定だったが、「タイ軍事政権から圧力を受け、インド行きを中止した。」と報じられている。
タイは昨年末から今年05月にかけての大規模な反政府デモ、今年05月の戒厳令発令と軍事クーデターなどで、外国人旅行者数が落ち込んでいる。09月にタイ湾のタオ島のビーチで、英国人男女バックパッカー、デビッド・ミラー(24)とハンナ・ウィザーリッジさん(23)半裸の半裸の遺体が発見され、今回、日本人が被害者となる殺人事件が起きたことで、外国でのタイのイメージ悪化、訪タイ観光客のさらなる減少を懸念する声が強まっている。タイのメディアは島戸さん殺害事件の日本での報道や反応を伝え、「日本人は個別の事件とタイの国全体を混同することはない。」といった駐日タイ大使の見方などを紹介。
今回の事件ではまた、ポンチャノックの保釈、田中さんの死因調査などについて、タイ国内から裁判所や警察の対応を批判する声が上がっている。タイでは殺人、麻薬売買、窃盗などの容疑者が保釈され、犯行を繰り返すケースが度々起きている。今年08月には裁判所の内部調査で、麻薬容疑者に対する不適切な保釈を理由に、元最高裁副長官、元控訴裁長官ら裁判官4人が解任された。
島戸義則さん殺害事件で逮捕されたソムチャイが11年前に内縁にあるポンチャノックの当時の夫、田中カツトシさんを殺害した事件で、当時のサムットプラカン県バンプリー警察署の担当者が田中さんの死を事故死として処理したことに問題がなかったかを調査する見通し。
ソムチャイは先に、「田中さんを事故に見せかけて殺害した。」と自供。これに伴い、当時この「事故」を調査した警察の担当者について「事故死と判断したのはおかしい。」といった見方も出ている。
10月27日(月)国家改革評議会(NRC)では、現行の暫定憲法に代わる新憲法を起草する委員会のメンバーのうち5人を政治対立の当事者などNRC評議員以外の部外者とする案が出ていたが、NRCは、賛成175反対39で、新憲法起草委員会(CDA)の委員36人のうちNRCが選出する20人を全員NRC評議員とすることを決定。
先に開かれたNRCの幹部会議では、20人の中に部外者5人を含める案が賛成8反対2で承認されていた。幹部らは、採決に先立って、「政治対立の当事者の意見を新憲法に反映させなければ、『新憲法はクーデターの産物』といった批判を受け、政治対立の解消に向けた努力が無駄になってしまう。」などと訴えたが、結局これに賛同したのは一握りのNRC評議員に過ぎなかった。
関係筋によれば、NRC幹部が想定していた部外者5人とは、反タクシン派の急先鋒である人民民主改革委員会(PDRC)、タクシンの強い影響下にあるプア・タイ党、プア・タイ党の実動部隊である反独裁民主主義同盟(UDD)、反タクシン派の民主党、チャート・タイ・パタナー党の代表。
なお、05月22日の軍部による全権掌握に伴い廃止された2007年憲法に代わって制定された現行の暫定憲法は、あくまでも民政移管までの国家運営を司るもの。民政移管を実現するための総選挙は、暫定憲法に代わって制定される新憲法のもとで実施されることになっている。/TD>
10月28日(火)閣議でタイ版FBI、法務省特別捜査局(DSI)の局長に法務省高官スワナー♀の起用が決まったことを受け、プラユット首相は、「現在人々は(タクシン派、反タクシン派などに)分裂しており、『次は誰が(DSIの)標的にされるのか。』と案じている。我々が公正でなければ、再び諍いが起きる。」と述べ、「DSI局長には公正中立であることが求められている。」との考えを明らかに。
タクシン前政権下では、タリットDSI局がタクシン派寄りの姿勢をとっていたため、反タクシン派からは「DSIはタクシン派の言いなり。」といった批判が出ていた。
タリットは、先の国軍による全権掌握に伴い局長を解任され、チャチャワン警察庁副長官が局長代行を務めることになったが、その後チャチャワンが法務事務次官に任命されたことから、スワナーが代わりに局長代行を務めていた。
なお、「スワナーの夫である判事とプラユット首相が親しい関係にある。」と一部で報じられていたが、プラユット首相は、「友人ではない。」と否定。
スウィラ警察庁長官補によれば、日本人男性2人の殺害容疑で逮捕されたソムチャイとポンチャノックが他の犯罪にも関与していた可能性があることから、警察では余罪追及のため本格的な捜査を開始。
具体的には、2人の周辺でこれまでに外国人が死亡した事例がないか、犯罪の可能性がないかが詳しく調査される見通し。 なお、先にバラバラ遺体で見つかった島戸義則さん(79)について、ポンチャノックは当初、「今年4月ごろからつきあっていた。」などと供述していたというが、最近の報道によれば、「2人は結婚していた。」
10月29日(水)ポンペット立法議会議長は、「米担保融資制度の不正横行に絡んでインラック前首相を過去に遡って首相罷免するかどうかの審議を11月12日に行う。」と発表。
インラック前政権が目玉政策のひとつとして導入し米担保融資制度は米を高値で買い上げることでタクシン支持者が大多数を占める農民を経済的に支援するというものだったが、数千億Bに上る国家予算の投入に厳しい批判が出ていたほか、不正の蔓延が指摘されていた。
このため、国家汚職制圧委員会(NACC)は、米担保融資制度を監督していた国家米政策委員会のトップであるインラック首相(当時)が問題解決に向けた有効な手立てを講じなかったのは職務怠慢に当たると判断。過去に遡ってインラックを首相罷免とするよう請求することになった。首相罷免となれば、インラックは公民権5年停止に処され、この間政治の表舞台に立てなくなるため、タクシン派にとっては大きな痛手となる。
10月30日(木)プラユット首相は、カンボジアの首都プノンペンを訪れ、フン・セン首相と首脳会談。ここで両首脳は2国間関係の将来のビジョンを共有することができたという。31日に帰国する。
プラユット首相は陸軍司令官だった今年05月、タクシン派の政府と野党民主党など反タクシン派の抗争を理由に、軍事クーデターで政権を奪取した。08に首相に就任。10月09、10日、首相としての初の外遊で、ビルマを訪れた。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国訪問はカンボジアが2ケ国目。
国家改革評議会(NRC)により新憲法起草委員会(CDC)の委員に選ばれた20人の1人、パイブンは、「新憲法は過去の憲法を模範としたものにはならない。」と述べ、新憲法が1997年憲法や2007年憲法とは内容が大きく異なるものになるとの見通しを明らかに。
1997年憲法は、「極めて民主的」などと評価の高い憲法だったが、タクシン派による「議会制独裁主義」を許す結果となったなどの理由から2006年9月にタクシン政権を倒した軍部によって廃止され、これに代わって2007年憲法が制定された。だが、パイブンによれば、「新憲法は、軍政が現在進めようとしている11分野の改革に合わせた内容とされ、国会議員の選挙制度や内閣の構成などが大幅に変更される見通し。」
スラチャイ立法議会副議長は、「議会はインラック前首相の首相罷免請求の受理から25日以内に請求通りに罷免の手続きをとるか否かを決定しなければならない。」と述べた。同請求については、先にポンペット立法議会議長が「11月12日に議会で審議する。」と発表している。
インラック前首相は不正蔓延とされた米担保融資制度を監督する立場にあったことから、国家汚職制圧委員会(NACC)がインラック氏を過去に遡って首相罷免とするよう請求することになった。
ただ、これに対しては、「05月のクーデターで廃止された2007年憲法に基づいた請求であるため無効。」との指摘も出ている。しかし、スラチャイ副議長によれば、「NACC法に基づいた請求であり、立法議会が請求を受理、審議することは可能。」
ウドムデート副国防相は、「現在発令中の戒厳令について継続する。」と発表。
タイ地元紙によると、「観光業界を中心に戒厳令の解除を求める声が上がっているものの、治安の維持を第一に考えた場合、現時点で解除するべきではない。」と語った。
戒厳令は現臨時政権の首相であるプラユットが、今年05月に発令。その後タクシン派と反タクシン派勢力の和解が厳しいと判断しクーデターを実行。以降プラユットが中心となり国家運営を行っており、戒厳令も継続となっている。
タクシンと妹のインラック、国家平和治安維持委員会(NCPO)幹部のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)が同時期に支那に滞在し、「何らかの話し合いがあった。」という噂が流れている。
インラックはNCPOの許可を得て、10月19日にタイを出国、日本でタクシンと落ち会い、25日、揃って支那入りした。当初は26日にタイに戻る予定だったが、NCPOに帰国延期を要請し認められた。NCPOは帰国時期を明らかにしていない。
タクシンとインラック、インラックの息子のスパセークは25日から30日にかけ、万里の長城や成都パンダ基地などを訪れ、インラックがフェイスブックやツイッターに写真やコメントを上げた。タイ字紙マティチョンによると、こうした「観光旅行」には一時、元駐タイ支那大使が同行したという。
一方、プラウィット副首相兼国防相は28~31日の予定で支那を訪問している。同行したのはNCPO顧問で、タクシン政権(2001~2006年)で財務相、副首相などを務めたソムキット。ソムキットはタクシン政権当時、タクシンの後継者に擬せられたが、2006年の軍事クーデター直前に離反した。
プラユット首相(前陸軍司令官)は29日、プラウィット副首相兼国防相が支那でタクシンと会ったことを否定。首相自身も、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、11月09~11日、北京を訪問する予定。
10月31日(金)プラユット首相は、 2日間のカンボジア公式訪問を終えて帰国し、記者会見において、「カンボジアのフン・セン首相との会談で2国間の国境貿易を促進することで意見が一致した。」と訪問の成果を説明。具体的には、貿易の拡大を図って暫定的な国境通行所4ケ所が恒久的なものに格上げされる予定。
また、両国間では、 国境地帯に位置する世界遺産「カオプラウィハーン(プレアビヒア)」と周辺地域の領有権争いの解決が課題となっているが、今回の会談では、同遺産の観光開発を両国が共同で進める件は取り上げられなかった。
国家汚職制圧委員会(NACC)は、閣僚から提出された資産報告の内容を公表。資産額は配偶者のものも含む。最も資産が多かったのはプリディヤトン副首相で13億8000万B(負債0)。逆に最も少なかったのはナロン教育相で980万B(負債290万B)。一方、プラユット首相は1億2800万B(負債65万B)。これについては、プラユットが09月末に陸軍司令官を定年退官した公務員であったことから「裕福すぎる。」とみる向きもあるようだが、プラユットは、「きちんと説明できる。隠し事はない。」と述べている。
「プラウィット副首相兼国防相が支那でタクシンとインラックに会った。」との見方が出ていることについて、プラウィット副首相は支那から帰国した10月31日、「噂に過ぎない。」と述べ、面会の事実を否定。国外逃亡中のタクシンと実妹のインラックは日本で合流し支那を訪れたが、プラウィット副首相の支那訪問と時期が重なったことから、「支那で密会。」との情報が流れていた。
プラウィット副首相の今回の支那訪問は、先にイタリアのミラノで開催された第10回アジア欧州会議でプラユット首相と支那の李克強首相が意見を交わした2国間の貿易・農業分野での協力強化について支那と話し合うことを目的としたものという。
11月01日(土)日本人男性2人の殺害に関与した疑いでポンチャノックらが逮捕された事件で、スウィラ警察庁長官補代行はこのほど、「ポンチャノックが別の日本人男性3人にも接触していたと見られることから、これら3人が生存しているかを日本大使館に問い合わせる予定である。」と明らかに。
両事件とも殺害の実行犯は、ポンチャノックとともに逮捕された内縁の夫と見られているが、警察では、「2人の罠にはまった日本人男性が他にもいる。」と疑っている。
11月02日(日)日本、支那を訪れていたインラック前首相がタイに帰国。
インラック前首相は10月19日、息子のスパセークとタイを出国、日本で兄のタクシンと落ちあい、25日、揃って支那入り。その後、万里の長城や成都パンダ基地、西双版納タイ族自治州などを訪れた。旅行の一部日程には元駐タイ支那大使が同行。
05月のクーデターでタクシン派プアタイ党政権を倒したタイ軍部は欧米との関係が冷却化する中、支那、日本との関係強化を図っている。タイの一部メディアは今回のタクシン兄妹の日中訪問について、将来の復権を睨み、軍部を牽制し、タクシン派勢力と日本、支那との関係を維持するのが狙いと分析。
11月03日(月)31に及ぶ市民団体が、「政府が進めようとしている11分野の改革に市民の意見を反映させるため。」として、独自の改革評議会を設置する方針を発表。
軍政は改革遂行のため250人からなる国家改革評議会(NRC)を立ち上げている。だが、これら市民団体は、「わずか250人で国民の意に沿った改革を達成することは不可能。」としている。市民団体が設置する改革評議会は、提言の内容を11月中に発表。その後検討を加えて最終的な提言を打ち出し、これをNRCに提出することにしている。
元上下両院議長の罷免請求を巡って反タクシン派・人民民主改革委員会(PDRC)とタクシン派・反独裁民主主義同盟(UDD)が対立姿勢を鮮明にしたことを受け、プラユット首相は、両陣営に対し自制を求めるとともに、「騒ぎを起こした者を厳しく処罰する。」と警告。
元議長2人の罷免は、インラック前政権主導の上院議員関連の憲法改正が違憲とされたことから、上下両院で改憲案承認を許した者の責任を問うべく国家汚職制圧委員会(NACC)が請求しているもの。PDRCは立法議会に対し請求を速やかに審議し、罷免手続きを進めるよう迫っているとされる。
これに対して、UDDは反発の姿勢を強めている。このため、両陣営が自らの意見を通そうと支持者を大量動員し、混乱が再燃する事態が懸念されているため、プラユット首相は、「人々を集めて抗議するのは正しくない。これに対抗するのもやめてほしい。国家平和秩序評議会(NCPO)も政府も現在、その権限を用いて問題を解決しようと努めている。我々が厳しく対応しなければならないような事態を作り出さないでほしい。」と牽制。
午後プラユット首相は、首相府でトニー・ブレア元英首相約1時間にわたり意見交換。ブレア元首相の事務所によると、ブレア元首相は会談で、、「タイが前に進むことを望む。その最も良い方法は来年中に総選挙を実施し、民政に移管すること。戒厳令を解除し、人権を尊重すべき。」と述べた。タイ政府発表によると、「ブレア元首相は『軍による介入の必要性を認め、軍政が経済発展、社会開発、教育促進を達成できると信じる。』と述べた。」また、プラユット首相は、タイ当局が現在、改革を推進するという形で、タイが長年にわたり抱えてきた問題の解決に務めていることを説明。
民政移管を実現するための総選挙は当初、来年10月にも実施可能との見方も出ていたが、新憲法制定の兼ね合いから再来年01月頃との見方が有力。
プラユット首相は午前、米ASEANビジネス協会のアレクサンダー・フェルドマン会長らと会談。
11月04日(火)現行の暫定憲法に代わる憲法制定のため設置された新憲法起草委員会(CDC)の委員36人が元裁判官、法律家を中心に選出が完了。国王の承認を受け発足した。120日以内に新憲法案をまとめ、内閣、暫定国会、国家改革議会に提出する。
CDC委員はまず、国家改革評議会(NRC)が20人、立法議会(NLA)が5人を選出。その後、NCPOと政府がそれぞれ6人、5人を選び出した。NCPOが選んだ6人のうち、議会付属研究機関であるキング・プラチャティポック研究所(KPI)のボウォンサック事務局長がCDC委員長を務めることになっている。
刑事裁判所は、「フェイスブックでで王室に関する不適切な書き込みをしたのがコンピューター犯罪法違反と不敬罪に当たる。」として、男子大学生のアカラデート(24)に禁錮2年6ケ月の有罪判決。裁判所はまず禁錮5年を言い渡したあと、被告が罪を認めたことを酌量して最終的に禁錮2年6ケ月を言い渡した。
アカラデートは今年03月に書き込みをしたとして06月に逮捕された。4回にわたり保釈を請求したが、いずれも却下。アカラデートは「控訴せずに刑が確定してから国王の恩赦を願い出る。」という。
なお、不敬とされた書き込みの内容は、伝聞であっても不敬罪に問われるため、メディアは報じていない。
05月の軍事クーデターで発足したプラユット軍事政権の閣僚の資産公開。
最も金満だったのは王族で経済政策を担当するプリディヤトン・テワクン副首相(元タイ中央銀行総裁、67)で、資産から負債を引いた純資産が13億7839万Bに上った。2位は同じく王族のパナダー・ディサクン首相府相(前首相府次官、58)で13億1533万B。3位は王室の流れをくむピティポン・プンブン・ナ・アユタヤ農相(元農業協同組合省次官、67)で8億3052万B。4位は実業家のコープカーン・ワタナウォラーンクーン観光スポーツ相(前東芝タイランド会長、53)で3億0520万B。
33人の閣僚のうち、資産が1000万B以下だったのは695万Bのナロン・ピパッタナーサイ教育相(前海軍司令官、61)だけだった。
クーデターを実行したプラユット・チャンオーチャー首相(前陸軍司令官、60)の純資産は1億2801万B。プラユット首相の弟で軍政が設置した暫定国会の議員であるプリチャー・チャンオーチャー陸軍司令官補(58)は議員の資産公開で純資産を7982万Bと申告。
暫定国会議員の資産公開では、純資産がチャカティップ・チャイジンダー警察副長官(54)9億6207万B、カムトン・プムヒラン元海軍司令官(63)8億0179万B、ワチャラポン・プサーンラーチャキット前警察長官代行(60)4億6942万B、ソムヨット・プムパンムアン警察長官(59)3億5586万Bなど軍・警察高官の金満ぶりが話題となった。
インラック前政権が目玉政策の1つとして導入した米担保融資制度。数千億Bに及ぶ予算投入に厳しい批判が浴びせられ、不正蔓延とも指摘されていたが、政府系シンクタンクのタイ開発調査研究所(TDRI)のニポン所長によれば、「米担保融資制度がもたらす損失は、買い上げた米1800万tを10年で売却すると仮定した場合、1兆Bに上る。」という。これは、プリディヤトン副首相が先に示した損失予想5000億Bの2倍。同制度は、農民支援プログラムとしては過去最大規模のもの。タクシン支持者の多い農民を支援することでタクシン派・インラック政権の支持基盤をより盤石なものとすることが狙いだった。
11月05日(水)ウィサヌ副首相は、「新憲法の内容は既に決まっており、新憲法起草委員会(CDC)が新憲法を作成するというのは見せかけに過ぎない。」との批判を全面的否定。
現行の暫定憲法に代わる新憲法については、その作成を担当するCDCの委員全員が決まったばかりだが、一部では、「新憲法は、タクシン派を封じ込めること などを主眼とした内容にすることが既に決まっている。」といった批判意見が出ている。だが、ウィサヌ副首相は、「新憲法は国民が見守る中で作成される。草案が既に出来上がっているということはない。」と明言。
また、2007年憲法制定の際に行われた国民投票を今回は実施しないことに一部で「民意が反映されない。」といった批判が出ているが、ウィサヌ副首相によれば、「政府は、単に国民に賛否を問うより、国民に意見を表明してもらい、それを新憲法に可能な 限り盛り込む方が重要と考えている。」
新憲法案を起草する憲法起草委員会委員長にはバワンサック・ウワンノー元内閣秘書官長が就任。バワンサックは、「国民の、国民のための、そして、可能であれば、国民による憲法を目指す。」と抱負。
タイではクーデターなどで度々憲法が廃止され、その度に新たに制定されてきた。1997年には、選挙で選ばれた憲法議会を通じて作成された新憲法が施行され、初の国民参加型で最も民主的な憲法との評価を受けた。この1997年憲法は、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒した軍部により破棄された。軍政下の2007年に制定された新憲法は、議会上院のほぼ半数を非民選とするなど、特権階級の政治介入を制度化し、政党の力を殺ぐ内容となった。この憲法も今年05月の軍事クーデターで破棄され、現在は軍部が実質的に全権を握る暫定憲法が施行されている。
立法議会(NLA)が11月12日 に国家汚職制圧委員会(NACC)の請求通りにインラック前首相の罷免に向けた手続きをとるか否かを決定する予定であることから、インラックとプア・タイ党幹部らを代表する弁護士チームが、「現段階で決定を下すのは法的に問題がある。」などとして決定の延期を求める文書をNLAに提出。
NACCは、「インラック前政権の米担保融資制度の不正蔓延に絡んでインラック前首相に職務怠慢があった。」として、NLAに過去に遡ってインラックを首相罷免とするための手続きを取るよう請求。これとは別にインラックを最高裁に提訴するよう請求。
だが、弁護士チームによれば、NACCの罷免請求は、05月22日 の軍事クーデターに伴い廃止された2007年憲法に基づいたものだが、現行の暫定憲法には政治任用職の罷免に関する規定は存在しない。
また、「NACCの請求でNLAが罷免の手続きをとる場合はNACCの報告書のコピーをNLA議員全員と罷免が求められている者に送付する必要があるものの、インラックはまだコピーを受け取っていない。」という。現在の予定では、NLAで12日にまずNACCとインラック前首相が意見を述べることになっているが、インラックの代理人が代読すること可能。また、最高裁への提訴については、検察とNACCがどちらが起訴すべきかを07日に協議する予定。
11月06日(木)新憲法起草委員会(CDC)の広報担当ラートラットによれば、「新憲法の是非を問う国民投票は行わないとされているものの、内閣が新憲法に国民の意見を反映させたいと考えていることもあって国家平和秩序評議会(NCPO)が国民投票の実施に同意する可能性がある。また、CDCでは、1997年憲法と2007年憲法に準じて新憲法を起草するか否かを決める必要があるが、過去の憲法を手本としないことで意見が一致するとの見通し。」という。 ラートラットはその理由について、「過去の憲法の問題点を改めて新憲法とするのは比較的容易。だが、この方法では過去の憲法の枠組みに縛られることになる。」と説明。 ラートラットによれば、新憲法の作成が完了するのは来年09月頃。憲法を具現化するための法整備にさらに2~3ケ月必要。また、国民投票には最長で5か月ほどかかるため、総選挙実施は再来年01月か02月になる見通し。
11月07日(金)現行の暫定憲法に代わる新憲法について、アピシット元首相(民主党党首)はこのほど、「国民に受け入れられなければ、真っ当な憲法とは言えない。」と述べ、新憲法の内容がまとまった時点でその是非を問う国民投票を実施すべきとの考えを明らかに。
新憲法は、憲法起草委員会(CDC)が起草の作業を開始したばかりで、出来上がるのは来年後半と見られている。
この他、11分野の改革を断行すべく作業を開始した国家改革評議会(NRC)について、アピシットは、「国会議員の人数や選挙制度の改正など個別問題の検討に多くの時間が費やされており、このままでは改革が不完全に終わる恐れがある。」 と指摘。視野を広げて、汚職や職権乱用といった諸悪の根源を根絶することにも力を入れるよう注文を付けた。
11月08日(土)民主党の広報担当チャワノンは、国民和解のための赦免などに反対する姿勢を明らかにした。民主党は反タクシン色の最も強い政党であるが、民主党もタクシン派も、また、現在の軍政も、政治対立を解消して国民和解を実現することの必要性を認めている。
ただ、タクシン派のインラック前政権は、政治関連犯への恩赦適用を和解手段の1つとして打ち出したことで「国外逃亡中のタクシンの免罪が狙い。」との批判を受け、政治対立の再燃を招くことになった。
チャワノンは、「民主党は、国民和解が必要だと考えている。しかし、無実の者を罰し、罪を犯した者を罰せずに和解を成し遂げることはできない。」と強調。軍政に対し、恩赦などを用いずに国民和解を実現するよう求めている。
起草作業が始まったばかりの新憲法について、「国民の支持、理解を得た憲法を制定するため国民投票の実施が欠かせない。」といった意見が出ている中、国家改革評議会(NRC)のチャルンウィット評議員はこのほど、「国民投票は必ず実施しなければならないものではない。」との考えを明らかに。
国民投票は今のところ予定されていないものの、憲法起草委員会(CDC)の委員からは実施の可能性が示されているほか、アピシット元首相(民主党党首)などが実施を求める考えを表明している。だが、チャルンウィット評議員によれば、「憲法の作成段階で国民の意見を積極的に取り込むことができれば、時間と費用をかけて国民投票を実施する必要はない。また、05月の政変に伴い廃止された2007年憲法は制定前に国民投票が実施されたものの、国民の多くは2007年憲法についてあまり知らされていなかったが、(2007年憲法の承認、制定に伴う)総選挙実施を希望して賛成票を投じたもので、意味のない国民投票だった。」としている。
プラウィット副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)は06~08日、日本を訪問し、江渡聡徳防衛相らと会談。訪日にはシリチャイ国防省次官が同行。
11月09日(日)00時頃プラチュアッブキリカーン県で、バス4台の玉突き事故があり、バスに乗っていた僧侶5人と一般人2人が怪我。
事故に遭ったバス4台はスラタニ県ーの仏教寺院が仕立てたもので、僧侶約160人などが乗り、クルングテープを目指していた。バスにはこの寺で僧侶として修行中のステープ元副首相(元民主党幹事長)も乗っていたが、ステープに怪我はなかった。
ステープは昨年10月から今年05月の反政府・反タクシン元首相デモを指揮し、クルングテープ都心部を数万人で長期占拠するなどした。今年05月の軍事クーデターでタクシン派政権が倒れたことを受け、07月に出家。
プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は09日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪れた北京で、支那の習近平国家主席、李克強首相と会談。プラユット首相は習主席に対し、クルングテープからラオス、支那南部の昆明とを結ぶ全長約2000㎞に及ぶ道路建設に対する支那側の姿勢に感謝の意を示した。この他、両首脳は、両国を結ぶ複線鉄道建設などについても意見を交換。また、プラユット首相は、通信機器大手ZTE(中興通迅)など支那の大手企業経営者らと会談。
現行の暫定憲法に代わる新憲法の制定前に国民投票を実施すべきか否かについて様々な意見が出ている中、憲法起草委員会(CDC)のボウォンサック委員長は、「新憲法を国民に認められたものにするための1つの手段になり得る。」と述べ、国民投票の実施に前向きな姿勢を明らかに。暫定憲法には、新憲法の是非を問う国民投票を実施するとの規定はない。
だが、ボウォンサック委員長によれば、「CDCも、CDCにアドバイスする立場にある国家改革評議会(NRC)も軍政主導でメンバーが選出されており、国民の信任を十分に得たものとは言えない。このため、新憲法を国民の納得のいくものにするには、起草段階で国民の意見を積極的に取り入れるとともに、国民投票を実施するのが望ましい。」
11月10日(月)アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪れた北京で、プラユット首相は、フィリピンのアキノ大統領と会談。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席するため支那を訪問中のプラユット首相によれば、米国、ロシアなど各国の首脳に対し、現在のタイの状況について説明するとともに、「現在進められている改革が完了してからタイ当局の取り組みを判断してほしい。」と伝えた。プラユット首相によれば、米露首脳に対しては、「タイ国内の政治状況は改善しているが、改革を遂行するためにまだ時間が必要。」などと説明。また、「日本や支那からは、自国民のタイ渡航への注意喚起を撤廃するとの説明があった。」
11月11日(火)立法議会で、幹事役の議員らがインラック前首相の罷免請求の扱いについて協議し、12日に予定されていた請求に関する審議を28日に延期を決定。インラック前首相を過去に遡って首相罷免とすることは、国家汚職制圧委員会(NACC)が前政権の米担保融資制度に絡んで前首相に職務怠慢があったと判断し求めているもの。
当初の予定では、請求通りに首相罷免の手続きをとるか否かを12日に立法議会で話し合うことになっていた。だが、前首相の代理人弁護士が、「立法議会の規則では、審議の20日前までに当事者に連絡をするとされているにも拘らず、前首相に連絡があったのは11月07日(審議の5日前)。」と訴えて審議の30日間延期を要求。これを受けて立法議会の幹事役らが話し合い、28日まで16日間審議を延期することで意見が一致。
また、プア・タイ党の法律専門家ルアンカイが、「現行の暫定憲法は、立法議会の罷免限を認めていない。」などと主張して罷免請求の審議を取りやめるよう求めていたが、立法議会は、「ルアンカイは部外者で提訴の権利がない。」と判断し、この要求を却下。
北京を発ち、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議が開かれるビルマのネピドーに到着。
現行の暫定憲法に代わる新憲法の是非を問う国民投票を巡って様々な意見が出ている中、ウィサヌ副首相はこのほど、「国民に新憲法の内容をすべて理解、判断してもらうのは困難。」、「新憲法のいくつかの要点について国民投票を行うのが望ましい。」との考えを明らかに。
新憲法は今後数ケ月をかけて作成、制定され、新憲法のもとで総選挙実施、新政権誕生、民政移管完了となる。
ウィサヌ副首相によれば、「国民投票では、新憲法が良いか悪いかを判断してもらうより、憲法の重要なポイント、例えば、上院議員を任命制か公選制のどちらにするかなどを問う方が国民も判断しやすくわかりやすい。新憲法全体の是非を問うて国民投票を実施し、承認された場合、将来的に問題が発覚し、改正が必要になっても、それをするのが非常に困難。」
11月12日(水)アピシット民主党党首(元首相)は、「戒厳令下で政治集会が禁止されていることが新憲法に関する検討を行う上で障害になっている。」として、国家平和秩序評議会(NCPO)に対し、一定の条件下で政治家が会議を行うのを許可するよう求めた。
アピシット党首は、「憲法起草委員会(CDC)の求めに応じて新憲法に関する意見をCDCで述べることになっており、党内の意見をまとめることなどが必要となっている。だが、『5人以上の政治集会を禁止する。』とした戒厳令の規定のため党幹部が集まって意見を交換することができないのが現状。そのため、NCPOに対して、政治集会が安全保障に影響を与えたり政治的不安定を招くことがないよう条件を設定して、新憲法について政治家が集まって話し合うのを許可すべき。」と訴えている。
11月13日(木)ASEAN首脳会議が開催されたビルマの首都ネピドーで、安倍首相はプラユット首相に対し、日本政府が高速鉄道なども含めさらに多くのタイのインフラ計画に関心を示していることを伝え、民政への移管を求める考えを明らかに。
これに対し、プラユット首相は、民政移管に向けて努力中であること、2国間の経済協力のさらなる拡大を望んでいることなどを説明。
さらに安倍首相は、日本の原発事故に伴う日本からの食品輸入規制を全面的に撤廃するよう要求。プラユット首相は、「規制緩和の用意がある。」と返答。
ランサン財務事務次官は、「過去11年間に政府が実施した米作支援プログラムによって生じた損失が合計6800億Bに上り、うちインラック前政権の導入した米担保融資制度の損失が5180億Bを占める。」との調査結果を発表。
また、米担保融資制度のもとで農民から買い上げた米が政府や民間の倉庫に大量に保管されている問題について、プリディヤトン副首相(経済担当)は、「(米を管理している)商業省には同情する。米を早期に捌こうとすれば、市場に米が溢れて米価が下がってしまう。かといって、売却を遅らせれば、米の品質が劣化し安値で販売せざるを得ない。」と述べた。。インラック政権が買い取った米の在庫は現時点で1920万t。
11月14日(金)財務省が先に「インラック前政権による米担保融資制度の損失が5000億Bを超える。」と報告したことを受け、国家汚職制圧委員会(NACC)のパンテープ委員長は、「米担保融資制度の不正蔓延に絡んだ職務怠慢でインラック前首相を過去に遡って首相罷免とする。」との請求の裏付け強化にこの報告を使用する考えを明らかに。
具体的には、立法議会で28日に予定されている、請求通りに罷免手続きをとるか否かの審議の冒頭でNACCは報告の内容を盛り込んだ意見陳述をする。NACCは、これによって罷免請求の説得力が強まると考えている。
警察は、タイの政治状況を分析した英語書籍「ア・キングダム・イン・クライシス」のタイへの輸入販売を禁止。
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙と英インディペンデント紙の書評から、タイ王室を批判する内容と判断。 「ア・キングダム・イン・クライシス」はロイター通信元記者の英国人ジャーナリスト、アンドリュー・マクグレガー・マーシャル氏の著作。
11月16日(日)軍部が05月に全権を掌握したあと報道に規制がかけられていることについて、タイ記者協会(TJA)のマノップ副会長はこのほど、「会員らが近く報道規制の撤廃を求めるキャンペーンを展開する。」と明らかに。
軍当局が発した97番目と103番目の命令では、「特定の政治勢力を批判したり、その意見を代弁したりすることが対立・混乱を招き、安全保障を脅かす恐れがある。」として、報道機関が元官僚、元判事、独立機関の元メンバー、学識経験者などとのインタビューを報道することを禁じられているが、TJAに所属するジャーナリストたちは、これらの命令の撤廃と戒厳令の解除を求めていく方針。
マノップ副会長は、「報道規制は、対立する政治勢力の間で意見を交わしたり、溝を埋めたりする機会を奪っている。」と指摘。また、「今はまだ戒厳令下にあるものの、(現行の)暫定憲法では国民の権利と自由が保障されている。」と述べ、「報道規制が憲法にも違反する。」との考えを示した。
プラユット首相が11月19日、首相就任後初めて東北部のコンケン県とカラシン県を視察する予定だが、東北部と北部がタクシン支持者の多い地域であることから、これら2県では不測の事態を避けるべく、首相視察に備えて厳重な警戒態勢が敷かれつつある。
タクシン派のインラック政権が軍事クーデターで倒されたあと、タクシン派は表立った抗議活動を控えて静観の姿勢をとっている。だが、軍政は、今でも「タクシン派が反撃の動きを見せ、これが民政移管に向けたプロセスを大きく脱線させる恐れがある。」と考えている。
ヨンユット政府報道官によれば、プラユット首相は両県で地元の当局者や住民と意見を交わすとともに、政府が東北部で実施を予定しているプロジェクトになどについて説明する予定。
クルングテープ都内ラチャダムヌン通コクウア交差点の10月14日記念碑前で、この場所で同日に土地改革に関するトークショーなどの開催を予定していたグループ5人が、当局が開催を許可しなかったことに抗議。警察署に連行されて事情聴取を受けたが、その日のうちに罪に問われることなく帰宅が許された。
主催者側は、開催の許可を事前に申請していたが、当局はショーの出演者の顔ぶれに問題があるとして開催を不許可。このため、主催者側は抗議の記者会見を16日に同じ場所で行おうとしたが、当局が同日、バリケードを設けて記念碑前を封鎖。主催者5人が口に黒いガムテープを貼るなどして抗議の行動に出たもの。
11月17日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)のウェラチョン報道官は、プラユット首相が12月に日本を訪問し、タイのプロジェクトやビルマの深海港開発などへの投資を呼びかける予定と発表。プラユットが日本を訪れるのは首相就任後初めて。
ウェラチョン報道官によれば、プラユット首相は11月26~27日にラオ、27~28日にベトナム、12月01日にマレーシア、11~12日に南鮮を訪れる予定で、その後、日本を訪問することになっている。
テレビ局「タイPBS」の報道番組「改革の前に市民の声を聞くべき」の女性司会者が外されたことに「報道への不当介入。」といった批判が出ていることをきっかけにメディアが当局に報道規制の撤廃を求めている問題で、プラユット首相はこのほど、「報道の自由が保障されている。」と述べ、「司会者交代は局の判断であり、当局が強いたものではない。」と強調。
タイPBSテレビ局では軍人らが訪れた直後に司会者が交代となったことで、メディアから「当局が圧力をかけた。」といった批判が出ている。タイPBSは14日、軍政から圧力を受け、降板させたことを認めた。タイジャーナリスト協会、タイ放送ジャーナリスト協会などは15日、共同声明を出し、軍政の報道機関への圧力を非難した。一部のジャーナリストがインターネットの交流サイトに、自分の目、口、耳を閉ざした写真を掲載して抗議するキャンペーンを開始。
だが、プラユット首相によれば、「軍人らは局の幹部と司会者とあることについて話し合っただけ。」としている。なお、関係筋によれば、局を訪れた軍人は、市民がクーデターをどのように受け止めているかを取り上げた11月08日放送の番組の中で司会者が投げかけた質問に異議を唱えたもので、このため、「当局が司会者を降板させた。」との見方が出ている。
11月18日(火)プラユット首相の記者会見で、一部の記者がプラユット首相の父親が昨年、都内の土地を6億Bで売却した件について質問。プラユット首相は「君には関係ない。」と言葉を荒らげ、具体的な回答を拒否した。別の記者が、土地を購入した企業が購入の7日前に設立されたことを指摘すると、プラユット首相は「その会社に聞けばいい。」と応じた。
駐タイ露大使は、ロシアのメドベージェフ首相の招請に伴い、プラユット首相がロシアを公式訪問する予定と明らかに。先にビルマでASEANサミットが開催された際、ロシア首相がプラユット首相に招請を伝えたもの。
同大使によれば、「タイ国内の政治問題のため、両国間では首脳会会談などが延期されてきた。だが、2国間関係は正常化しつつあり、ロシアは関係強化を通じて2ケ国が協力を拡大する新しい時代に入ることが可能になっている。」
憲法起草委員会(CDC)の聞き取りでプームチャイ・タイ党、チャート・タイ・パッタナー党の2党は、「これまでの憲法に規定されていた解党処分の条件が緩すぎる。」として、新憲法では条件を厳しいものにするよう要請。この規定に基づいて、これまでに党幹部の選挙違反でタクシン派の複数の政党が解党処分を受けているが、これら2党は、「一部の者の違法行為のために政党を解散させるのは罰が重すぎる。」としている。
聞き取りでは、各党に50分の発言時間が与えられており、19日にはルアムチャイ・タイ・チャート・パッタナー党とパランチョン党への聞き取りが予定されている。
なお、関係筋によれば、「党幹部の選挙違反による解党処分を最も恐れているのは、『金権選挙』との批判を浴びてきたタクシン派の政党。」
プラユット首相は、国家平和秩序評議会(NCPO)、内閣、国家改革評議会(NRC)、立法議会(NLA)、憲法起草委員会(CDC)の代表による初めての会合の席上、これら機関に対し、NCPOが発表した行程表通りに政治改革などが進むよう一致団結するようよう要請。
関係筋によれば、「プラユット首相は、これら5機関を5つの川に例えて、『これらの流れを合流させて1つの流れにしてほしい。』と述べた。」ワンロップNLA議員によれば、首相は内閣が近く100件以上の法改正案を承認するとの見通しを示すとともに、NLAに対し、スケジュール通りに改革を具体化できるよう300余りの法改正を速やかに成立させるよう要請。
また、CDCの広報担当ラートラットによれば、「会合の中でプラユット首相は、新憲法の是非を問う国民投票を実施する可能性のあることを明らかにした。」
11月19日(水)プラユット首相は、東北部コンケン県を訪れて県庁前で現政権の政策などについて演説を行い、東北部20県の知事や関係政府機関の代表らと旱魃対策の進み具合などを話し合った。プラユット首相が東北部を訪れるのは首相就任後初めて。
東北部はタクシン派が優勢な地域だけにコンケン県庁舎の周辺では軍事クーデターを批判するビラが撒かれ、演説中、会場にいた地元の大学生5人が立ち上がり、上着を脱いで、中に着ていた「クーデター要らない。」とプリントしたTシャツを見せた。5人はまた、指3本を立てる仕種をした。5人は警備の兵士、警官に身柄を拘束されたが、大きな混乱はなかった。指3本を立てる仕種は米人気映画「ハンガー・ゲーム」で主人公らが支配者への抵抗を示す仕草で、タイでも反軍政のシンボルとして使われている。警備担当者に取り押さえられたが学生らは軍の施設に連行され、聞き取りが行われた。
プラユット首相は5人が連行される間、「気にするな。」、「まだ抗議したい人がいたら早く来てくれ。」、「大半の人は我々が今何をしているかわかっている。」などと笑顔で話した。
夜、クルングテープの民主記念塔に集まった民主主義のための自由タマサート連盟(LLTD)の大学生11人がコンケンで拘束された学生への支持を表明し、治安当局に連行された。
この事件を受け、バンコク都心の映画館「スカラ」と「リド」を経営するサヤームマホラソップ社は、「ハンガー・ゲーム」シリーズの最新作「ハンガー・ゲーム:モッキング・ジェイPart1」の公開を中止したことを明らかに。
プラユット首相は陸軍司令官だった今年05月、タクシン派政府と野党民主党など反タクシン派の抗争を理由に、軍事クーデターで政権を奪取した。軍政は05月に発令した戒厳令を現在も解除しておらず、政治活動を禁止、報道統制を続けている。
11月20日(木)憲法起草委員会(CDC)のボウォンサック委員長は、「新憲法の概要が12月29日に決まり、それを条文化する作業が年明けに始まる。」との見通しを明らかに。 新憲法は、軍政が進めようとしている改革に合わせた内容のものとなるが、同委員長によれば、国家改革評議会(NRC)は12月15~17日の会合で改革案をまとめ、それを19日にCDCに提出する予定。CDCでは改革案や政党の提言などに基づいて同29日に憲法の概要を決める。 また、現行の暫定憲法が「国家平和秩序評議会(NCPO)と内閣は、CDCから憲法草案の提出を受け、草案変更などについて提言することができる。」と規定していることに「NCPOの介入」といった批判意見が出ているが、ボウォンサック委員長は、「CDC委員は36人もいる。(不当な)介入があったら隠し通すことはできない。」と述べている。
東北部コンケン県でプラユット首相の演説中にクーデター反対を表明した学生5人が捕らえられたことをきっかけにクルングテープでも大学生などが軍政に反対する動き。
スカラ映画館近くでメディアのインタビューに答えた学生2人、サイアムパラゴンの映画館の前で3本指を立てて「クーデター反対」のポーズをとった学生1人の計3人が一時身柄拘束。
戒厳令の継続に批判的意見があることについて、プラユット首相は、「メディアは戒厳令に関し私に質問するのを止めるべきだ。(戒厳令が敷かれていることで)誰が迷惑しているのか教えてほしい。今最優先に考えなくてはならないのは国の将来のこと。対立や不和があってはならない。」と述べ、戒厳令が治安維持や国家改革遂行に不可欠との考えを改めて強調。プラユット首相は、「特別法(戒厳令)の施行は私にとって嬉しい事ではない。戒厳令で付与された権限を行使すればするほど私は不幸せになる。」と述べ、戒厳令を施行せざるを得ないような状況を作り出さないよう呼びかけた。
11月21日(金)「プラユット首相が民政移管後も政治的影響力を維持するため自ら政党を立ち上げる。」との見方も出ているが、プラユット首相は、政府庁舎に集まった報道陣を前に、「政党設立は考えたこともない。」と明言。
また、「首相退任後は何をするつもりか。」との質問に対しては、「私は今まだ首相の職にある。首相を辞めてから質問してもらいたい。」と返答。
現在の政権は、民政移管までの暫定的なものであり、新憲法制定後に総選挙が実施されて新政権が誕生した時点でプラユットの首相としての役割は終わることになる。 このほか、現在の政権について、プラユット首相は、「100%民主的な政権とは言えないかもしれない。だが、完全に民主的な政権でも国のためにならない政権なら意味がない。」との考えを示した。
11月23日(日)警察は、「ポンパット警察中将(中央捜査局局長)、コーウィット警察少将(中央捜査局副局長)ら警察高官7人と民間人1人を不敬罪、贈収賄、権力乱用などの容疑で逮捕し、民間人2人を指名手配した。」と発表。警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長の関係先を家宅捜索して現金約10億B、高僧などを象った大量のペンダントトップ、膨大な数の土地権利書など100億B相当の資産を押収。逮捕された警官7人は同日付で解雇された。
警察はまた、同様の容疑で取り調べを受けていた犯罪制圧課幹部のアカラウット警察大佐が20日に「高所から転落して死亡した。」と明らかに。「火葬が早すぎる。」との疑惑の声が出ていた、左遷後に飛び降り自殺したと見られている。
ポンパット中将、コーウィット少将、アカラウット大佐の3人は11日に事実上の停職処分を受けていた。ポンパット中将とコーウィット少将は現在、軍基地で取り調べを受けている模様。報道によると、「ポンパット中将は不敬罪などすべての容疑を認めた。」警察は今回の逮捕について、25日に記者会見を開く予定だ。
タイ警察は汚職体質で知られ、麻薬、誘拐、殺人などの重大犯罪で警官が逮捕されることもしばしば。現場レベルから幹部まで、警官の多くは、給与からは考えられないほど、生活水準が高いとも指摘されている。今年公開された警察高官の純資産はチャカティップ警察副長官9億6207万B、ワチャラポン前警察長官代行4億6942万B、ソムヨット警察長官3億5586万Bなどで、金満ぶりが話題となった。
タイ警察はタクシン元首相の出身母体で、タクシン派の影響力が強いことでも知られる。05月のクーデターで発足したタイ軍事政権は政官界でタクシン派の排除を進めており、今回の汚職捜査は警察内部の綱紀粛正とタクシン派の弱体化の双方を狙ったものと見られている。
新憲法に市民に意見を盛り込むべきとの声が強まっている中、憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長はこのほど、国民の声を新憲法に反映させるべく少なくとも10回公聴会を行うとの考えを明らかに。公聴会は、憲法起草にアドバイスする役目を担っている国家改革評議会(NRC)と調整を行って実施する予定。
また、NRCも新憲法に関する聞き取りを地方で実施することになっている。新憲法は、現行の暫定憲法に代わるもので、新憲法のもとで総選挙が実施されることになっている。
3本指を立てて「クーデター反対」を表明した大学生らの身柄が拘束されたことに国連人権高等弁務官から批判的な意見が出ていることについて、サク外務報道官はこのほど、「タイ外務省が国連に説明する予定だ。」と明らかに。 タイの国連大使からも弁務官に説明が行われる予定。だが、サク報道官は、具体的にどのような説明を行う方針かには言及しなかった。
ただ、サク報道官は、「(大規模反政府デモが連日行われていた)1年前に比べたらタイは前進している。以前より平和になったので政府機関が改革と国民和解の実現に向けて動き出している。」と述べており、国連にも国内状況の改善が伝えられるものと見られている。
11月24日(月)インラック前首相は、「息子のこと、キノコの栽培、読書、執筆に全エネルギーを傾注している。選挙に立候補するなどと言ったことはない。」と述べて、「次期総選挙への出馬を考えている。」との見方を否定。
今のところ、総選挙実施は再来年初めとなる可能性が高いとされている。
また、インラックは、インラック前政権が導入した米担保融資制度の不正蔓延に絡んだ職務怠慢で、過去に遡って首相罷免、公民権5年停止となる可能性があり、その場合立候補は不可能となる。
タイ人学者の「チャイ・ウンパーコンが書いたプミポン国王を批判する文章をウェブサイトに掲載した。」として、タイのニュースサイト「タイEニュース」編集者のヌット・ロングウォングが不敬罪に問われた裁判で、タイ軍法会議は、男性に懲役4年6ケ月の実刑判決を下した。
05月のクーデターで全権を掌握したタイ軍部は戒厳令に基づき、不敬罪、安全保障関連の刑法違反などを軍法会議で裁いている。
チャイは元タイ国立チュラロンコン大学政治学部准教授。不敬罪で訴追され、英国で事実上の亡命生活を送っている。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、1990年から2005年にかけ、不敬罪の裁判は年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン元首相派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。容疑者のほとんどは反タクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま実刑判決を受けるケースが多い。
11月25日(火)ソムヨット警察長官は、クルングテープの警察本部で記者会見を開き、「ポンパット警察中将(前中央捜査局長)ら警官7人、民間人5人を、不敬罪、収賄、資金洗浄などの容疑で逮捕し、20億B以上の資産を差し押さえた。」と発表。「さらに多くの警察官や民間人が逮捕される。」との見方を示した。ポンパット中将宅11軒、コーウィット警察少将(前中央捜査局副局長)宅1軒、20日に転落死したアカラウット警察大佐宅2軒など、クルングテープ首都圏を中心に15軒を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙などを押収。
警察によると、ポンパット中将らは、違法な賭場や石油密輸業者などから賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。ソムヨット長官は、捜査の進展にともない、逮捕者がさらに増える見通しであることを示唆。
また、このような警察の取り組みに対し、プラユット首相は、「誰であろうと(犯罪に)関与した者は捕らえられる。すべては証拠に基づいて行われる。」と述べ、全面的に支持する姿勢を明らかに。さらにプラユット首相は、「警察改革によって汚職や職権乱用を排除することが私の夢。」と明言。
ソムヨット長官が明らかにしたところによれば、これまでに逮捕された警察官や民間人の容疑は、警察官から賄賂を受け取って昇進の便宜を図る、石油密輸業者に賄賂を要求する、違法賭博場から賄賂を受け取る、マネーロンダリング、私的利益のために王室に言及するなどとなっている。ソムヨット長官は、「ポンパット前局長らのグループに全国の違法賭博場から金が集まる仕組みになっていた。」などと述べ、」警察幹部らによる大規模な不正が数年間に及ぶもの。」と説明。だが、「現在捜査中」との理由で不正の全貌は明かさなかった。
この他、これまでこれほど大規模な不正が摘発されなかったことについて、ソムヨット長官は、「過去に長官職にあった人々がどのように考えていたかはわからない。だが、私が長官になったからには、どんなに大物であろうと見過ごすことはできない。」と強調。
タイの警官は裕福なことで知られる。今年公開された警察高官の純資産はチャカティップ警察副長官9億6207万B、ワチャラポン前警察長官代行4億6942万B、ソムヨット長官3億5586万Bなどで、金満ぶりが話題となった。ソムヨット長官は2008年05月末に中央捜査局長に就任し、同年10月に警察長官補、今年10月に警察長官に昇進。
今回の逮捕は、公然の秘密と言われるタイ警察の汚職に切り込んだ形。ただ、「表に現れた事件は氷山の一角で、水面下では重大な権力闘争が進行中。」という見方がある。
関係筋によれば、プラユット首相は、軍部による全権掌握に関するインラック前首相の発言に不快感を露わにしており、治安当局がインラックの言動を制限する措置を取る可能性がある。
インラック前首相が先に新聞とのインタビューの中で、首相に選ばれたことを国家統治のために車のキーを託されたようなものと例えて、05月の軍事クーデターを「人々を車に乗せて運転している最中にピストルを頭に突きつけられて『車から降りろ。』と言われたようなもの。」と批判。
これに関する質問に対し、プラユット首相は、「誰がピストルを頭に突きつけたというのだ。」と返答。また、政治家が公の場で政治的発言をすることが許されているのかとの質問に対し、プラユット首相は、「国家平和秩序評議会(NCPO)が判断する。混乱を招く発言に対しては、外国旅行が禁止されたり、預金の出し入れが禁止されたりするかもしれない。」と説明。名指しは避けたものの、インラック前首相に言及したものと見られている。
憲法起草委員会(CDC)の広報担当ラートラットによれば、CDCが11月25日に行った聞き取りで、最大の反タクシン勢力である人民民主改革委員会(PDRC)は下院議員の比例代表選挙を廃止し、上院議員全員を任命制とすることなどを要求。
05月のクーデターに伴い廃止された憲法では、上院議員は公選と任命で選ばれるとされていた。だが、昨年、インラック政権主導で上院議員全員を公選制とするとの憲法改正が行われ(改正はのちに違憲、無効とされた)、これが反政府デモをエスカレートさせる大きな要因の1つとなった。
PDRCは、下院議員の定数削減、選挙管理委員会に当選を無効とする権限を付与しないことなどを求めた。
23日未明、クルングテープの民主記念塔周辺の路上に、軍事政権を批判するチラシがばら撒かれているのが見つかった。当局は防犯カメラに映っていたメルセデス・ベンツの乗用車からチラシを撒いた容疑者を割り出し、クルングテープ都内の民家で建築士の男性(54)を逮捕。
男性は取り調べに対し、「自分がチラシを作成し、別の男性(38)にバイクからばら撒かせた。」と供述。動機については、「軍政に権利を奪われたと感じたため。」などと話した。男性は2010年にタクシン派、今年は反タクシン派の集会に参加していたという。
一方、24日、タマサート大学のキャンパスで、学生8人が反軍政のチラシを撒き、兵士・警官に警察署まで連行され、一時拘束された。同日、チエンマイ大学でも反軍政のチラシが撒かれた。
タイでは昨年10月から、タクシン派政権打倒を目指す反タクシン派市民のデモがクルングテープなどで活発化。今年01、02月には数万人がクルングテープの主要交差点を長期間占拠した。軍は治安回復を理由に、05月に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握した。戒厳令は現在も解除されず、政治活動の禁止、報道統制などが続いている。
11月26日(水)民主党元副党首で国家改革評議会(NRC)の議員であるアロンコーンが、民主党を離党することがわかった。
タイ地元紙によると、アロンコーンは「民主党に所属していることで、NRC議員の立場に影響を及ぼしかねない。」と、明日正式に離党手続きを行う予定。アロンコーンは反タクシン派が集まる民主党の議員でありながら、反タクシン派団体によるデモ活動に反対する立場を示していた数少ない議員の1人。
警察当局は、「先に逮捕された警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット・チャーヤーパン前局長らと結託して不正を働いていた容疑で民間人5人を逮捕した。」と発表。また、これまでに前局長の関係先などから押収した多数の仏像などを報道陣に公開。
この他、ソムヨット警察庁長官は同日、「現在捜査中であり、さらに逮捕者が出るようなら警察は公表する。」と述べ、「警察が新たに前CIB局長らと繋がりのある警察官40人以上の逮捕状を取ろうとしている。」との一部報道を全面的に否定。報道では、「逮捕される警察官のうち、3人が警察少佐、2人が警察大佐、1人が警察中佐。」とされていたが、ソムヨット長官は、「まったくのデタラメ。」と断言し、「このような噂は、警察の捜査を妨害することになる。」と述べて、メディアに対し、未確認情報を報じないよう呼びかけた。
国家改革評議会(NRC)は、国家改革について市民の意見を聞くため全国で公開討論会を1350回開催する予定であり、参加者が少なくとも7万人に上ると見込んでいる。NRCの市民参加・意見聴取委員会のプラチャ委員長によれば、公開討論会は12月01日から12ケ月間にわたって開催される予定。また、討論会では改革に関する18のポイントについて意見が交わされることになっている。この他、NRCは、公開討論開催をサポートするため77都県すべてに作業部会を設置することを決めたとのこと。
11月27日(木)来年中に総選挙が行われ民政復帰する予定だったが、その総選挙が2016年にずれ込む可能性が高まった。
タイ地元紙によると、プラウィット副首相兼国防相は、「現在の暫定政権に反発する勢力が存在する。」とし、それを延期の理由に挙げている。新憲法制定の準備が整えば、2016年初め頃には選挙を実施できる見通し。
アピシット民主党党首(元首相)は、新憲法の是非を問う国民投票の実施を改めて要求。
草案の作成作業が始まったばかりの新憲法については、現行の暫定憲法で国民投票の実施が義務づけられておらず、また、「ただ単に賛成か反対かを問うのはあまり意味がない。」といった国民投票に否定的な意見も出ている。
だが、アピシット党首によれば、「新たに制定された憲法の正統性を問う声が出て問題となったことが過去に何度もある。国民投票を実施して新憲法を国民の信任を得たものとすることで、『正統性に欠ける。』と批判して憲法を改悪しようとする動きを封じ込めることができる。」
約1年前に上下両院で承認された憲法改正が違憲とされ、国家汚職制圧委員会(NACC)が当時の下院議長、上院議長の責任を問うべく2人を過去に遡って罷免とするよう立法議会(NLA)に請求している問題で、NLAは、ニコム前上院議長から出されていた証拠の追加提出要求を賛成96反対82で却下。
ニコム前議長が自らの潔白を証明するため追加提出しようとしていたのは、改憲案に関する国会審議の重要部分だけを4時間にまとめたビデオ。関係筋によれば、証拠の追加提出は、罷免請求に関するNLAの審議を遅らせようとしたものと見られる。
だが、NACCは、「改憲審議をすべて録画した120時間のビデオがすでに証拠として採用されている。」などと説明。このため、ニコムの要求は退けられることになった。 また、要求却下を受けてポンペットNLA議長は、「NLAが来年01月08日に罷免請求の審議を開始する。」と宣言。
警察当局が警察庁中央捜査局(CIB)の前局長らの不正容疑の捜査を進める中、南部の大物石油密輸業者が作成したと見られる贈賄先送金記録を入手し、捜査を進めていることを明らかに。警察が本格的な捜査を開始しようとしていることが、11月27日にまでにわかった。
警察が密輸業者所有の住宅を家宅捜索した結果、贈賄先には水上警察局、財務省関税局、法務省特捜局などの職員約50人の名前があり、1回につき1500~1200万Bを警察官などに送金したことを示す記録が見つかった。送金記録によれば、警察官の他、内務省職員、軍人、法務省特別捜査局(DSI)職員、関税局職員などが金を受け取っていた。この密輸容疑者は今年10月、公文書偽造で実刑判決を受けたが、裁判所から刑務所に護送される途中に逃走。逃走には警官が関与したと見られている。
また、この新たな不正疑惑について、ソムヨット警察庁長官は、「誰であろうと罪を犯した者は裁かれねばならない。」と強調。「送金記録の内容が事実かは現時点では不明であり、事実関係を解明するための捜査の結果を待つ必要がある。」との見解。
ポンパット警察中将(前中央捜査局長)、コーウィット警察少将(前中央捜査局副局長)ら警官7人と民間人が逮捕された、不敬罪、収賄、権力乱用などをめぐる疑惑がさらに拡大する様相を見せている。
警察によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。 ポンパット中将とコーウィット少将は11月11日に中央捜査局の局長、副局長を解任され、23日までに逮捕された。11日に事実上の停職処分を受けた犯罪制圧課幹部のアカラウット警察大佐は20日、「高所から転落して死亡。」(警察発表)した。自殺と見られている。警察はこれまでに、ポンパット中将宅11軒、コーウィット少将宅1軒、アカラウット大佐宅2軒など、首都圏を中心に容疑者宅15軒を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など合計20億B相当を押収。26日には、ポンパット中将を中心とする犯罪組織のメンバーとされる民間人5人が恐喝、不敬罪などの容疑で逮捕され、民間人の逮捕者はこれで10人を超えた。
一方、ソープランドチェーン元オーナーでラック・プラテートタイ党々首のチューウィット・カモンウィシット前下院議員は26日、クルングテープの警察本部前で記者会見し、違法カジノにポンパット中将ら以外に複数の警察幹部が関与していると主張した。チューウィット前議員は記者団に対し、都内の違法カジノの内部という動画を見せ、「この賭場があったラマ9世通やラチャダピセーク通は当時、ポンパット中将の縄張りではなかった。」と説明。「カジノオーナーのカンボジア人女性から警察に月6億Bが賄賂が支払われていた。」とも話した。賄賂を受け取っていた警察幹部について、チューウィット前議員は「ソムヨット長官は犯人を探し回る必要はない。振り向けばそこにいる。」と述べた。
11月28日(金)立法議会(NLA)は、罷免請求に絡んでインラック前首相サイドから出されていた証拠提出要請を賛成165反対15で却下を決定。
インラック前政権の目玉政策だった米担保融資制度の不正蔓延に絡んで国家汚職制圧委員会(NACC)が「職務怠慢でインラックを過去に遡って首相罷免とする。」との請求をNLAに提出。これに対し、インラック前首相側はインラックの潔白を証明すべく新たな証拠をNLAに提出するのを許可するよう求めていたが、NLA議員の大多数がこれに同意せず、要求は退けられることになった。
また、ポンペットNLA議長は、「NLAが来年01月09日に前首相の罷免請求に関する審議を開始する 」と発表。
警察庁中央捜査局(CIB)の前局長らが不正を働き、巨額の不正蓄財をしていたとされる事件で、刑事裁判所は、不正に関わった容疑で民間人3人、軍人2人(身柄拘束済み)の計5人の逮捕状を発付。これら5人は、26日に逮捕された容疑者5人と繋がりがあり、また、王室に言及して利益や現金を得る、違法に金銭を集める、人を拉致・監禁する、恐喝するといった行為を繰り返していたとされる。首都圏警察によれば、「これら10人全員が前CIB局長らによる犯罪に関わっていた。」
ワチラロンコン王太子の事務局は、内務省に対し、王室が与えた姓「アカラポンプリチャー」を剥奪するよう指示。
ポンパット警察中将(前中央捜査局長)、コーウィット警察少将(前中央捜査局副局長)らが不敬罪、収賄、権力乱用などで逮捕された事件で、「アカラポンプリチャー」姓の兄弟3人が不敬罪、恐喝、傷害などの疑いで逮捕されたためと見られる。兄弟3人のうち1人は王太子事務局の幹部職員で、事件を受け、解雇された。ポンパット中将は3人の母方の叔父にあたる。「アカラポンプリチャー」姓はポンパット中将以外も使えなくなる。
警察によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。 ポンパット中将とコーウィット少将は11月11日に中央捜査局の局長、副局長を解任され、25日までに逮捕。11日に事実上の停職処分を受けた犯罪制圧課幹部のアカラウット警察大佐は20日、「高所から転落して死亡。」(警察発表)自殺と見られている。
警察はこれまでに、ポンパット中将らが所有する家屋十数ケ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など合計20億B相当を押収。押収された美術品について、タイ文化省は02日、「1000年以上前のカンボジアの仏像など貴重な品が多数含まれる。」との鑑定結果を明らかに。
11月29日(土)ウィサヌ副首相は立法議会議員を集めてペチャブリ県で開催されたセミナーの席上、「総選挙は2016年02月に実施されると考えている。政府と国家平和秩序評議会(NCPO)に総選挙を遅らせる理由はない。」と述べて、一部の大臣から出ている「2016年半ばにずれ込む。」との見方を否定。
ウィサヌ副首相によれば、新憲法は来年09月初めには内容がまとまり、国王の承認を得て同月末か10月初めに制定される見通し。新憲法に基づいて公職選挙法などの基本法の整備が完了するのが同年12月と予想されている。その後で総選挙が実施されることになる。ウィサヌ副首相は、「憲法と基本法を同時に制定することは不可能。」と述べ、「憲法制定直後に総選挙を行うことはできない。」
11月30日(日)プア・タイ党の法律専門家チームのシントンによれば、立法議会で来年01月09日にインラック前首相の罷免請求に関する審議が開始されたあと、インラックは息子とともに外国旅行に出かける予定。
出国には国家平和秩序評議会(NCPO)の許可が必要だが、シントンは、「インラックはこれまでトラブルを起こしたことはなく、許可されるだろう。」また、審議においてインラックが自ら陳述を行うか定かではないが、これについて、シントンは、「インラックが決めること。」と述べるに止まった。
12月01日(月)プラユット首相が11月19日に東北部コンケン県で演説を行った際、「クーデター反対」と書かれたTシャツを着た、コンケン大学の学生グループ「ダオディン」の5人が会場に乱入し、3本指を立てるポーズで軍政への反抗の意を示して身柄を拘束された事件で、陸軍第3管区のカムパナート司令官はこのほど、「地元の政治家が学生らに5万Bを払ってやらせたもの。」と述べ、「学生たちが自らの考えで行ったものでなく、ヤラセだった。」との見解を明らかに。
だが、同グループに属する女子学生は新聞社との電話インタビューの中で、「『当局が地元政治家が仕組んだものとして処理しようとしている。』といった噂が以前から流れていた。」と指摘し、「学生たちが金銭をもらった事実はない。」と述べ、「ヤラセ」を否定。
なお、コンケン県の事件がきっかけとなって、クルングテープでも一部の学生らが公衆の面前でクーデターを批判する発言などをして身柄を一時拘束された。
軍事政権の主要閣僚が、「民政移管の総選挙が2016年にずれ込む。」という見通しを相次いで示した。プラユット首相(前タイ陸軍司令官)が国民と国際社会に示した民政移管の行程表は2015年後半の総選挙を謳っていた。欧米諸国はできるだけ早期に総選挙を行うべきとしており、軍政の動きは反発を招きそうだ。
11月26日に放送された英BBC放送のインタビューで、ソムマイ財務相(元財務副次官)が「個人的な感触」とした上で、「総選挙が当初予定より半年程度遅れる。」という見通しを示した。
翌27日には、プラユット首相の元上官であるプラウィット副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)が、軍政に反対する動きがあることを理由に、「総選挙は2016年になると思う。」と話した。
29日には、新憲法制定や政治制度改革の司令塔であるウィサヌ副首相(元内閣秘書官長)が、「憲法制定と関連法の整備にかかる時間から見て、総選挙は2016年02月になる。」という見通しを示した。
ポンパット前警察庁中央捜査局(CIB)局長らが不正を繰り返して巨額の不正蓄財をしていたとされる事件で、警察庁のプラウット報道官はこのほど、「ポンパット前局長とともに逮捕された警察幹部に賄賂を贈っていたとされる南部の実業家ノポンの逮捕に繋がる情報の提供者に100万Bの報奨金を付与することになった。」と明らかに。
ノポンは石油密輸グループのリーダーとされる人物。報奨金提供は、ソムヨット警察庁長官が決めたもの。ノポンは10月09日、公文書偽造でパタニー地方裁判所から禁錮1年9ケ月の有罪判決を受けたものの、警察内の協力者に助けられて身柄拘束中に逃亡。現在所在不明。
12月02日(火)警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らが不正を繰り返していたとされる事件で、警察庁のプラウット報道官は、不敬などの疑いで大物実業家、ノポンの逮捕状を取った事、ノポンと連絡が取れず国外に逃亡した可能性のあることを明らかに。 ノポンは、ウィンド・エネルギー・ホールディング社の創設者で会長。フォーブス誌のタイ長者番付で31位にランクされたことがある。
報道官によれば、警察は過去数日間、ノポンと連絡を取っていたが、逮捕状が発付されたあと、電話が繋がらなくなった。すでに国外に逃亡したと考えられる。警察によれば、ノポンはある実業家から1億2000万Bを借りていたが、これを2000万Bに引き下げさせるためポンパット前CIB局長らの一味を雇って実業家を誘拐させたという。ノポンから一味への報酬は減額分1億Bの10%だった。
12月03日(水)タクシン派政党プア・タイ党のプラシット前下院議員が今年05月07日の都内のデパートでの演説で王室を批判したとして、不敬罪に問われた裁判で、タイ刑事裁判所は、被告に禁錮2年6ケ月の実刑判決を言い渡した。裁判所はまず被告に禁錮5年を言い渡したあと、被告が容疑を認めたことを理由に刑を軽減し改めて禁錮2年6か月を言い渡した。プラシット前議員は控訴せず、服役する模様。
タイでは05月22日の軍事クーデターでプア・タイ党政権が崩壊し、保守色の強い軍事政権が発足した。プラシット前議員は05月29日に逮捕・収監され、保釈を認められないまま、判決を受けた。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、不敬罪の裁判は1990年から2005年にかけ、年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。容疑者のほとんどは反タクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま実刑判決を受けるケースが多い。
前警察庁中央捜査局(CIB)ポンパット局長らによる不正事件で、警察当局は、犯罪に関与した疑いでさらに2人の逮捕状を取った。逮捕状が出たのは自動車セールスマンとその知人。セールスマンは、借金3000万Bを減額させようと、前局長の一味を雇って貸し手を誘拐。知人はセールスマンと一味を引き合わせた。
また、この事件では先に、「指名手配中の実業家ノポンが国外逃亡した可能性がある。」と報じられていたが、首都圏警察はこのほど、「ノポンがカンボジアに逃げ込んだことを確認した。」と発表。
一方、タイ空港社(AOT)によれば、ノポンはカンボジアに逃亡する前、ドンムアン空港からプライベートジェットで出国しようとしたものの、その時すでに逮捕状が出ており、許可が下りなかった。
東北部コンケン県で先にプラユット首相が演説中に「クーデター反対」と書かれたTシャツを着た学生5人が会場に乱入して身柄を拘束された事件で、ウドムデート副国防相(陸軍司令官)は、「学生らは金銭をもらって行為に及んだ。」とのカムパナート陸軍第1管区司令官の指摘について、「情報をチェックする必要がある。」と述べ、同司令官と距離を置く姿勢を見せた。「金をもらった。」との発言に対しては、学生から反発の声が上がっているが、ウドムデート副副国防相は、「大事にはしたくない。」と述べており、学生をこれ以上刺激するのは得策ではないと考えているようだ。
なお、カムパナート司令官は、先の発言に関して「諜報の最初の段階で入ってきた情報。真偽を確かめるにはさらなる判断材料が必要。」と述べるに止まった。
12月06日(土)クルングテープ都内の病院で、タクシン(65)の長女のピントーンター(32)が双子の女の子を出産。タクシンにとって初孫。
ピントーンターの兄のパーントーンテー(36)、叔母のインラック前首相(47)らも病院を訪れ、双子と対面。ピントーンターは2011年に実業家のナタポン・クンナーコンウォン(34)と結婚。
12月07日(日)警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らが不正を繰り返して巨額の不正蓄財をしていたとされる事件で、指名手配中の大物ビジネスマン、ノポンが、報道機関などに「自分は被害者。」、「身の危険を感じている。」などとする文書を送りつけた。
これに対し、警察は同日、「ノポンの主張は虚偽。」、「確固たる証拠が存在する。」などと反論した。容疑は、不敬、恐喝、脅迫など。警察の担当者は、「容疑を裏付ける証拠がある。そうでなければ、軍事裁判所が逮捕状を発付するわけがない。」と述べている。
報道機関に送付された文書によれば、ノポンは、保釈が認められないのではないか、警察による身柄拘束中に口封じがあるのではないかと懸念している。なお、ノポンは、逮捕状が出た直後にカンボジアに出国したとみられているが、その後の所在は不明。
12月08日(月)国家改革評議会(NRC)内に設置された政治改革委員会が、首相を含む閣僚を国民が選挙によって直接的に選ぶ制度を導入すべきとしたことに対し、「首相の権限が強大になり過ぎて抑制均衡が機能しなくなる恐れがある。」といった懸念の声が早くも出ている。
政治改革委は、委員会として公選制導入を推すと決定。これに伴い、同制度についてNRCと憲法起草委員会(CDC)が検討を行う。だが、政治改革委の広報担当を務めるプラサンNRC評議員は、「国民に直接選ばれた首相・閣僚には大きな権限が付与され、(権限の乱用などを)チェックするのが難しくなる。これは、政府でなく国民により大きな権限を与えるという改革の精神に反する。」と指摘。さらに、「首相が最大議席を有する政党以外から選ばれた場合、議員の支持を得られずに国会運営が難航することが予想される。」との見方を示した。
このほか、民主党のニピット副党首によれば、「首相公選制では、議会で最も支持を得ている人物が首相に選ばれるとは限らないため、首相の不信任決議案がすんなり可決され、政権が容易に崩壊する危険性がある。」
「警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らが不正を繰り返していた。」とされる事件で、警察、軍部、芸術局の合同チームが、前局長と繋がりがあるとされる、チェンワタナ通り骨董店を家宅捜索し、大量の骨董品を押収。同店のオーナーは、事件の容疑者の1人。警察の説明によれば、「この店は骨董品を売買する許可を取得していなかった。」なお、芸術局の専門家によれば、「店内にあった骨董品はほとんどが偽作と見られる。」
12月09日(火)消息筋によれば、「国民和解を実現するため政治関連犯への恩赦適用を憲法で規定することが憲法起草委員会(CDC)の第10改革・和解小委員会で検討されている。」恩赦案は2つ出ており、最初の案は、2005~2014年に政治関連で罪に問われた者全員に恩赦を適用するというもので、第2の案は、殺人罪と不敬罪の者を適用対象外とするというもの。
また、タクシン派が過去に、国民和解を実現するためとの理由で恩赦案を打ち出し、これが「タクシンの免罪が狙い。」といった反タクシン派の強い反発を招き、政治的混乱をエスカレートさせる結果となったが、小委員会で現在検討されている案でタクシンが恩赦の適用対象となるか否かは今のところ定かでない。
タクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定しているが、判決を不当として、帰国して刑に服すのを拒み続けている。
首相を含む閣僚を国民が直接選出するという公選制の導入案に一部から批判が出ていることについて、ボウォンサック憲法起草委員会(CDC)委員長はこのほど、「公選制はさまざまな委員会から出されている案の1つに過ぎない。決定事項ではなく、検討にまだまだ時間が必要。」と述べて、反対派に冷静な対応を求めた。「公選制に対しては、首相を含む閣僚の権限が強大になりすぎて、チェックのメカニズムが働かなくなる。」といった批判意見が出ている。
一方、公選制導入を提唱している、国家改革評議会(NRC)の政治改革委員会によれば、「国民が首相を含む閣僚全員を選ぶのは世界初で画期的。」
12月10日(水)国家改革評議会(NRC)の法務改革委員会が、候補者の当選を無効とする権限が選挙管理委員会に付与されていることを問題視し、この権限を廃止するよう提言。選管による当選無効は、選挙違反の度合いによって再選挙に立候補が可能と不可能の2種類あり、これらはサッカーの罰則に準えてイエローカード、レッドカードと呼ばれている。
これについて、法務改革委員会のセリー委員長は、「選管の権限は大きすぎて、その信頼性、中立性に疑問の声が出ている。」と指摘。委員会としては、当選を無効とするか否かは裁判所に委ねるべきと考えていることを明らかに。
これまでは選管が当選を無効とするか否かを判断するのに1年も掛かっていた事例があるが、委員会は2ケ月以内に当落が決められるようにすべきと考えている。
国家改革を進めるための検討の中で首相を含む閣僚の公選制を導入すべきとの意見が出ていることについて、アピシット民主党党首(元首相)は、「政治家の権限乱用問題の解決には役立たない。」と指摘して、公選制導入に反対する考えを明らかに。
アピシット党首によれば、国民が直接首相を選ぶことになれば、アピシット首相の権限は下院で首相を選ぶ場合より強大なものとなる。これは、首相による権限乱用の可能性を高めるものであり、新たな政治問題に発展する恐れがある。
公選制は首相選出に民意を反映させることになるものの、アピシット党首によれば、国民の支持のもとに選ばれた首相は大きな権限と高い人気のためその行動をチェックするが難しくなるため、公選制導入は政治の清浄化に逆行することになるとのことだ。
警察庁中央捜査局(CIB)の前局長らが不正を繰り返していたとされる事件で、警察当局は、ポンパット・チャーヤーパン前局長らとともに逮捕された警官幹部の妻を不敬容疑で再逮捕。
この妻は11月に石油の密輸や違法賭博に関与している者らに金銭を要求した容疑で逮捕されたが、警察は不敬容疑についても証拠が十分と判断し、逮捕に踏み切ることになった。
関係筋によれば、「今回は王室と繋がりがあるように偽ったことで不敬罪に問われることになった。」
12月12日(金)立法議会(NLA)で、NLAの17の委員会が打ち出した新憲法起草に向けた提言が了承された。首相を含む閣僚の公選制導入などを含む提言は15日にも憲法起草委員会(CDC)に提出される予定。
なお、NLAによる提言は、「CDCはNLA、内閣、国家平和秩序評議会(NCPO)からアドバイスを受けるとともに、国民や関係機関の意見に耳を傾けて決定を下さねばならない」と規定した暫定憲法34条に基づいたもの。
12月13日(土)インラック前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢があったとして国家汚職制圧委員会(NACC)がインラック前首相を過去に遡って首相罷免とするよう請求している問題で、サンサーンNACC事務局長は、検察庁がさらなる証拠の提出をNACCに求めていることに対し、「同意できない。」と述べ証拠提出に応じない姿勢を明らかに。
サンサーン事務局長によれば、「検察庁は米担保融資制度に関連する政府間米取引の情報が必要としているものの、この情報は職務怠慢容疑とは全く関係がなく、検察がなぜこの情報を求めているのか理解に苦しむ。」
12月14日(日)軍事政権のプラユット首相は22、23日に支那を訪問し、ラオ国境のタイ東北部ノンカイ県とタイ湾に面した東部ラヨン県マプタプット港を結ぶ標準軌の複線線路を支那政府と共同で開発することをうたった了解覚書に調印する予定。建設を予定しているのはノンカイから東北部ナコンラチャシマー県、中部サラブリー県ケンコイを経てマプタプット港に至る全長734㎞の路線とケンコイ-クルングテープ間133㎞の路線。支那政府が建設資金を融資し、2016年着工を目指す。
12月15日(月)警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長による大がかりな不正事件で、関係筋はこのほど、ポンパットと繋がりのあったCIB職員やCIB傘下の機関の職員202人が左遷される見通し。これら職員は、ポンパットがCIB局長だった期間中に昇進した職員たち。前局長らによる不正に貢献した見返りが昇進だったと見られる。
また、この事件では刑事裁判所が新たに警察官1人と民間人1人の逮捕状を発付した。これら2人は資金洗浄の疑いをかけられて警察から出頭命令が出ていたが、これを無視。このため警察が逮捕状を取ることになった。
国家改革評議会(NRC)は、18の委員会が打ち出した提言の検討を開始。
まず政治家や公務員による汚職を取り締まる独立機関にどのような権限を付与するかが集中的に論議された。
12月16日(火)ポンパット前中央捜査局(CIB)局長らによる大がかりな汚職事件で、資金洗浄対策室(AMLO)はこのほど、「容疑者らから約1億Bの相当の資産を押収した。」と発表。これは、先週の約4億B相当の資産押収に続くもの。
また、シハナートAMLO室長によれば、「ポンパット前局長は巨額の賄賂を受け取っていたと見られるが、銀行口座の預金額は7万Bに過ぎなかった。このことから、ポンパットが証拠を残さない方法で賄賂を受け取っていたことが窺える。」
国家汚職制圧委員会(NACC)がインラック前政権の目玉政策、米担保融資制度の不正蔓延に絡んでインラック前首相を職務怠慢で過去に遡って首相罷免とするよう請求している問題で、サンサーンNACC事務局長はに開催されたNACCと検察当局の合同会議において、インラックに不利な証言をしている人々やNACC委員を保護するよう検察に要請。
なお、NACCの罷免請求については、来年01月初めに立法議会で審議が開始されることになっている。
国家改革評議会(NRC)の経済金融財政委員会は、「政党が大衆迎合策に巨額の国家予算を投入するのを防止する法律の制定が必要。」と強調。これは、過去において政権が支持拡大のために支持者が喜ぶ政策に巨額の予算を注ぎ込んで財政状態の悪化を招いたことによるもの。
同委員会のソムチャイ委員長は、「政党は大衆迎合策で有権者を勧誘している。これを防ぐための法律が必要。」と述べている。
12月17日(水)国家改革評議会(NRC)で、首相を含む閣僚を国民が直接選ぶ制度の導入案が議論されたが、公選制に強く反対する意見が少なくなかった。これまで首相は議会で選出されていたが、反対派のNRC評議員らは、従来の首相選出方法より公選制の方がより多くの問題が発生する恐れがあるとの懸念を表明。なお、閣僚公選制導入は、NRC内に設置された政治改革委員会が提案しているもの。
プラウィット副首相(治安担当)は、タイ当局が国外に逃亡した不敬容疑者の拘束、身柄引き渡しを諸外国に求めていることを明らかに。
タイでは刑法112条に不敬罪が規定されており、最高刑は禁錮15年となっている。
また、当局は何人の不敬容疑者がどの国に潜伏しているかなどをある程度把握しているものとみられるが、これらの情報は公表されていない。
プラウィット副首相によれば、「容疑者が潜伏中とみられる国には、タイと犯罪人交換条約を締結していない国や不敬罪が存在しない国もあり、これがこれらの国々に協力を要請する際の障害になっている。」
12月18日(木)刑法112条が不敬罪を規定し、これに基づいて不敬を働いた者に重い刑が科せられていることに見直しを求める意見も出ているが、プラユット首相は、「国王は自ら釈明や説明をすることができないことから、不敬罪規定が必要。」との考えを明らかに。また、不敬罪が存在することへの批判意見に対しプラユット首相は、「不敬罪規定をよく理解していない。また、君主を守らなければならないというタイの特殊な事情がわかっていない。」と反論。
「首相を含む閣僚全員を国民が直接選ぶ公選制とすべき。」との提案に賛否両論が出ている中、憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長がこのほど、5つの理由を挙げて改めて同案に反対する考えを明らかに。
公選制導入は国家改革評議会(NRC)内に設置された18の委員会のうち政治改革委員会が提案しているもの。「政治改革委員会は、首相のみならず他の閣僚まで公選制とするのは画期的。」と説明。だが、ボウォンサク委員長によれば、「閣僚を国民が直接選ぶことになれば、次の選挙まで首相はその座に留まり、内閣改造をすることもできない。これによって閣僚が独立機関などに不当に介入する危険性が高まる。」
12月19日(金)インラック前政権が導入した米担保融資制度で6800億Bあまりの損失が生じたとされる問題で、プラユット首相は、刑事、民事双方で責任を追及する考えを明らかに。これは、市民団体がインラック前首相の責任を明らかにするようプラユット首相に求めたことを受けたもの。
この実質的な米買い上げ制度は、タクシン支持者が大多数を占める農民を支援するために導入されたものだが、買上価格が市場価格を大きく上回っていたことから、買い上げに巨額の国家予算が投入されることになった。また、政府は高値で買い入れたことから米をなかなか売却することができず、保管されていた米が品質が劣化したものにすり替えられていたなどの不正も見つかっている。
このため同制度を監督する立場にあったのが国家米政策委員会。インラック首相(当時)がこの委員会のトップだったことから責任を問われることになった。これに関連して、国家汚職制圧委員会(NACC)がインラックを過去に遡って首相罷免とするよう請求しており、この請求の審議が年明けに立法議会で開始されることになっている。
12月20日(土)憲法起草委員会(CDC)のボウォンサック委員長は、「憲法の起草は01月12日にスタートする。」と述べ、「新憲法の内容はすでに決まっている。起草は見せかけに過ぎない。」といった批判に改めて反論。
一部報道では、「新憲法は国防省の提言に基づいたもので、その約8割がすでに決まっている。」とされている。だが、ボウォンサック委員長によれば、「新憲法に青写真は存在しない。」 タイでは05月の軍事クーデターに伴い、それまでの憲法が廃止され、暫定憲法が制定された。これに代わるのが新憲法であり、新憲法のもとで総選挙が実施されることになる。
12月21日(日)02月02日の総選挙が無効とされ、その準備に投じられた国家予算が無駄になった問題で、民主党のニピット副党首はこのほど、「選管にも責任があった。」と指摘して、先に中央選管のソムチャイ委員が「責任者に賠償させる必要がある。」との考えを示したことを批判。
ソムチャイ委員は、「選管は、『総選挙が無効とされる危険がある。』とインラック政権に警告していた。」と述べ、インラック政権の責任との見方を示しているが、ニピット副党首によれば、「選管は総選挙を実施せよとの政府の要求を拒否することも可能だったわけで、選管も責任を免れることはできない。」
12月22日(月)警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らが大がかりな汚職を働いていたとされる問題で、警察庁の委員会が「ポンパット前局長ら警察高官6人を懲戒免職とすべき。」と判断。この判断は、検討のためエーク警察庁副長官に報告される予定。同委員会は、「これら高官らが恐喝や収賄など非常に重い罪を犯したことから警察から追放すべき。」と判断したもの。
都内クイーン・シリキット国立会議センターで開催された法務省セミナーの席上、汚職問題に取り組んでいるNGO、タイ反汚職機関(ACT)のプラモン代表は、「タイは汚職によって大きな損失を被っている。」と指摘し、汚職問題を専門に扱う裁判所を設置する必要があるとの考えを明らかにした。プラモン代表によれば、「国際通貨基金(IMF)は、タイで汚職に起因する損失が年間1兆Bに上ると見込んでいる。」
汚職裁判所設置に対し、パイブン法相は賛成の意を明らかにしたものの、「既存の裁判所や独立機関の意見を聞かねばならないだろう。」と述べ、さらなる検討が必要との考えを示した。
12月23日(火)軍事政権のプラユット首相(前タイ陸軍司令官)は22、23日、支那を訪問し、習近平国家主席、李克強首相らと会談。ナラーポン夫人とともに北京-天津間の高速鉄道に試乗。
タイ支両国は今月19日、李克強首相の訪タイに合わせ、ラオ国境のタイ東北部ノンカイ県とタイ湾に面したタイ東部ラヨーン県マプタプット港を結ぶ標準軌の複線線路を両国が共同で開発することをうたった了解覚書に調印。建設を予定しているのはノンカイからタイ東北部ナコーンラチャーシーマー県、タイ中部サラブリ県ケンコイを経てマプタプット港に至る全長734㎞の路線とケンコイ-クルングテープ間133㎞の路線で、2016年着工を目指す。
警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らによる大がかりな汚職事件で、資金洗浄対策室(AMLO)はこのほど、「ポンパット前局長の関係者などから新たに10億Bあまりの資産を押収した。」と発表。AMLOはこの事件に関連してすでに2回合計5億B以上の資産を押収しており、今回の押収は3回目。新たに押収されたのは、金の装飾品、絵画、骨董品、宝石、木製家具、乗用車、外国の通貨など2万7000点以上。
12月24日(水)警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らによる大がかりな汚職事件で、警察当局は、さらに複数人の逮捕状を取る方針を明らかに。
ポンパット前局長らは、インターネット上の違法サッカー賭博に関与していたと見られているが、警察が逮捕を予定している容疑者らは2009~2010年にかけてサッカー賭博にかかわっていた者たち。
憲法起草委員会(CDC)の広報担当、ラートラットによれば、「CDCは、タマサート大学のプリンヤ副学長がドイツ・スタイル選挙制度の利点を説明して同制度を支持する考えを表明したことを受け、この制度を採用することで意見が一致した。」これは、混合議席比例代表制(MMP)と呼ばれる下院議員選出方法。1つの政党が議席の過半数を獲得するのが困難であり、複数の政党が連立政権を組む必要があるとされる。
プリンヤ副学長によれば、下院議員は選挙区で250人、比例代表で200人の計450人を選出する。選挙区はこれまでより大きくなり、比例代表選挙は全国を8つの地域に分割して実施。また、有権者は投票において選挙区選挙で候補者を選び、比例代表選挙で政党を選ぶため2枚の投票用紙を投ずることになる。ここまではこれまでの選挙制度と類似しているが、MMPでは、例えば政党Aが比例代表選挙で全体の10%の票を得た場合、450議席の10%、45議席を獲得できる。仮に同党が選挙区選挙で20議席を得ていた場合、比例代表選挙では25議席が与えられることなる。ただ、同党が選挙区選挙で50議席を獲得していた場合には、比例代表選挙での議席は与えられない。プリンヤ副学長は、「この制度を導入することで小さな政党が議席を獲得しやすくなり、大きな政党が議席の過半数を得ることが難しくなる。」と説明。
12月25日(木)プラユット首相は、「過去3ケ月間の政府の仕事ぶりについて、安全保障と安定を約束するものとはなっておらず、不満足との見解を明らかにするとともに、政府は目標達成のためにこれまで以上に努力する必要がある。」と指摘。この他、今後の国内状況についてプラユット首相は、「武器を使うような暴力が勃発したなら、戒厳令を厳格に適用して対処する。」と明言し、「戒厳令は平和を維持するツールであり、人々を投獄したり処罰したりするためのものではない。」とも強調。
憲法起草委員会(CDC)の広報担当、カムヌンは、CDCが新憲法に「首相が下院議員である必要はない。」との規定を盛り込むことに同意したことを明らかに。ただ、民間人が首相に就任する場合、国王の承認を得る前に下院の承認を得ることが必要となる。
カムヌンによれば、「政治が八方塞がりになった場合、議員以外から首相を選ぶことで局面を打開することが期待できる。」
だが、関係筋によれば、民間人の首相就任を可能とすることについては、強い反対意見のが出ることが予想され、激しい論戦が展開される可能性がある。
警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らによる大がかりな汚職事件で、刑事裁判所は12月25日、犯罪制圧課(CSD)の職員など警察官9人の逮捕状を発付。これら警官は、5年ほど前にインターネット上の違法サッカー賭博の摘発に関わったあと、容疑者らと裏取引をして巨額の賄賂を受け取ったとされる。
プラウィット国防相が明らかにしたところによれば、カンボジアで開催されたタイ・カンボジア国境委員会においてカンボジアのフン・セン首相は、カンボジアが指名手配中のタイ人を匿っているとの一部報道を全面的に否定。
フン・セン首相は、タクシン元首相と親交があり、また、過去にタクシン支持を表明したこともあって、「カンボジア当局が、指名手配中のタクシン派幹部などのカンボジア潜伏を手助けしている。」との見方が強い。
なお、「フン・セン首相のコメントを信用するのか。」との質問に対し、プラユット国防相は、「信用するか否かは個人的な見解であり、明らかにすることはできない。」と述べるに止まった。
12月26日(金)憲法起草委員会(CDC)が新憲法で「下院議員以外の民間人も首相に選出できる。」と規定する方針を固めたことについて、ボウォンサクCDC委員長は、「超憲法的な措置で政治の行き詰まりを打開するのを回避することに繋がる。」と述べ、民間人の首相起用を可能とすることに賛意を表明。
これまでの憲法では、「下院議員から首相を選出する。」と規定。
ボウォンサク委員長によれば、「軍部が国内を正常化すべく、05月22日に全権掌握に踏み切ることになったが、当時の憲法が民間人の首相起用を禁じていなければ、問題が速やかに解決され、軍部による政治介入を回避できた可能性がある。」
12月27日(土)憲法起草委員会(CDC)が12月26日に選挙管理委員会の権限を削減することに合意し、これに一部で批判が出ていることに対し、CDCの広報担当ラートラットはこのほど、「時代に逆行するものではない。選挙をスムーズに実施することに繋がる。」と釈明。
これまでの憲法では選管に選挙実施などの権限が付与されていたが、CDCは、これを変更し、新憲法では選挙実施を内務省、教育省、保健省などに委ね、選管を選挙を監督する機関とすることを予定している。
ラートラットによれば、「選管の権限削減によって、選管は投票用紙の印刷や投票所の選定などに労力を割く必要がなくなり、また、投票所の選定において『特定の候補者や政党に肩入れしている。』との批判を受けることもなくなる。」
12月28日(日)警察によれば、警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット前局長らの不正事件に関与した疑いで指名手配されていた警察官4人が、都内パホンヨティン署に出頭。これら4人は、ネット上の違法サッカー賭博の摘発に絡んで容疑者から賄賂を受け取ったとして逮捕状が出ていた。
12月29日(月)軍事政権のプラユット首相(前タイ陸軍司令官)は、閣僚、軍幹部らを引き連れ、タイ国王の諮問機関である枢密院のプレム議長(元首相)(94)都内の自宅を訪れ、議長に新年の挨拶を行った。
首相一行を迎えたプレム議長は終始上機嫌で、タクシン派政権を倒した2014年05月のクーデターとその後の政権運営について、「治安を回復し、国家の安定を取り戻した。」とプラユット首相を賞賛。「我々(軍)は必要とあれば国政に介入する必要がある。」、「6000万人超のタイ人のほとんどは首相の行動に賛同し、誇りに思っているだろう。」、「軍は銃を撃つ以外に能がないと言ったのはタイ人の中で1人だけ。」などと述べた。この「1人」が誰を指すかは明らかにしなかった。
「現政権の行程表では1年以内に全てを片付けなければならないとされていることをどう思うか。」との報道陣の質問に対し、「首相は公務員ではなく定年退職する必要はない。」と述べ、プラユットが1年を超えて首相を務める場合も支持する考えを明らかに。元陸軍司令官でもあるプレム(94)は今でも軍内部に信奉者が多い。
プレム議長はタクシンと対立関係にあると報じられ、タクシン派の一部はプレム議長がタクシン政権を追放した2006年の軍事クーデターの黒幕として議長を批判している。
12月30日(火)タイ軍によれば、国境未画定地域でカンボジア軍が2国間の協定に違反して土木工事のため重機などを持ち込んでいることにタイが抗議。両国が国境地帯の警備を強化しており、緊張が高まっている。問題の国境未画定地域は、東北部ウボンラチャタニー県とカンボジアの国境地帯に位置している。国境未画定地域は双方が人員を入らせないことで合意しているはずだが、カンボジア軍は重機を搬入したことから、タイは抗議のためウボンラチャタニー県ナムユンの国境通行所を閉鎖。また、ウボンラチャタニー県の知事が12月30日、国境地帯を視察。知事によれば、カンボジアは国境未画定地域にカジノやホテルを建設するとともにマーケットを開設したり、道路を拡幅したりすることを計画しているものと見られる。
12月31日(水)クルングテープ在住の島戸義則(79)さんが殺害され、切断された遺体が運河から見つかった事件で、検察当局は、ポンチャノックと内縁の夫ソムチャイの2人を起訴する手続きを取った。これを受けて刑事裁判所は初公判を01月05日に開くことを決定。
検察によれば、島戸さんは、サムットプラカーン県のポンチャノック宅で刃物で刺された後、枕で口を塞がれて窒息死したもので、ソムチャイが遺体を切断して遺棄。
また、ポンチャノックは、島戸さんのキャッシュカードを使ってATMで複数回にわたって総額52万Bを引き出した。
2015年01月01日(木)今年は11分野の改革が遂行され、新憲法が制定される見通しだが、「このままではタクシン派の台頭回避を目的とした制度が導入されたり法律が整備されたりするのが明らかである。」として、タクシン派からは危機感を訴える声が出ている。
東北部のタクシン支持団体のある幹部によれば、「支持者らは大ボスであるタクシン(国外逃亡中)が軍政に反抗せず、沈黙を守っていることに不満を抱いている。このままタクシンが行動を起こさなければ、支持者たちの心は離れ、タクシンも復活のチャンスを完全に失う恐れがある。」
この他、関係筋によれば、景気が低迷すれば軍政は支持を失い、またインラック前首相が米担保融資制度に絡んで過去に遡って首相罷免となればタクシン派の強い反発を招く可能性がある。
01月03日(土)元下院議長、元上院議長、インラック前首相などを過去に遡って罷免とするとの性急に関する審議が立法議会(NLA)で予定されていることについて、ポンペットNLA議長は、議員たちが時間を取られて本来の職務遂行に支障が出るほか、政治的な対立を招くことに繋がるなど問題が多すぎるとの否定的見解を示した。
これら3人の罷免請求は近く審議が開始される予定だが、憲法改正が違憲とされた問題に絡んで当時の国会議員200人以上を過去に遡って罷免とするとの請求が近く提出される見通し。
罷免自体は実質的な意味合いを持たないものの、罷免となれば、公民権5年停止とされ、この期間中は選挙に立候補したり、公職に就いたりすることができず、政治的に大きな打撃を受けることになる。
なお、ポンペットNLA議長は、NLAでの罷免請求審議は望ましくないと考えているものの、「NLAは法に則って公正に審議を行う。」と明言。
01月04日(日)アピシット民主党党首(元首相)は、「憲法が国民の信任を得られなければ、政治対立が再燃することになる。」として、新憲法の是非を問う国民投票の実施を改めて行った。
昨年05月の軍事クーデターに伴いそれまでの憲法が廃止され、暫定憲法が制定された。暫定憲法下で新憲法が制定され、新憲法のもとで総選挙が実施されることになっている。
アピシット党首は、「新憲法は多くの人々に受け入れられる内容のものになるだろう。だが、新憲法が国家改革評議会(NRC)に承認されたあと、国民投票が実施されなければ、意見の対立が起きることになる。」と警告。
01月05日(月)邦人男性を殺害した容疑で逮捕された男女の裁判手続きが、ラチャダピセーク通の刑事裁判所で行われた。タイ地元紙によると、男女は殺害などの容疑を否認。次回審理は03月09日午前09時から。
この事件は日本人男性、「島戸義則さん(79)と連絡が取れなくなった。」と親族が警察に助けを求め捜査を開始。島戸義則さんのアパートにいた不審な女性、ポンチャノック(47)を一時拘束。ポンチャノックが島戸義則さんの銀行口座から多額の現金を引き出していたことが判明し逮捕。直後にポンチャノックは保釈金を支払い保釈され、そのまま行方を眩ませた。数日後に地元警察が、行方を眩ませていたポンチャノックを見つけ逮捕。またこの事件に絡んで、ポンチャノックの内縁関係にあるソムチャイ(47)も逮捕。
その後、ポンチャノックは、「島戸義則さんと一緒にいたところ突然息を引き取った。」と殺害を否定したものの、」サムットプラカーン県バーンボー郡の運河に島戸義則さんの遺体をバラバラにして遺棄した。」と自供し、ポンチャノックの証言のもと現場を捜索したところ、島戸義則さんの遺体が発見された。ただしこの供述の際、ソムチャイは殺害を認めていた。
外務省のセク報道官はこのほど、不敬罪に問われているタクシン派の幹部エカポップの所在などについて外務省がニュージーランド当局に問い合わせていることを明らかに。
エカポップは「昨年05月の軍事クーデターに伴い国外に逃亡した。」と見られているが、昨年12月に「ニュージーランドに滞在中で、ニュージーランドの旅券を取得した。」などとネット上に書き込んだことから、タイがニュージーランドに事実関係を確認するよう求めていた。
01月06日(火)立法議会で元上下両院議長とインラック前首相の罷免請求に関する審議が間もなく開始されることについて、プラユット首相は、審議に関連して政治的な活動が活発化する恐れがあることから、戒厳令を適用して対処する考えであることを再確認した。
元上院議長と元下院議長を過去に遡って罷免とするとの請求は、インラック前政権主導で下院と上院を通過した改憲案が違憲とされたことによるもの。また、インラックを過去に遡って首相罷免とするとの請求は、インラック前政権の米担保融資制度の不正蔓延に絡んでインラック首相(当時)に職務怠慢があったとの判断に基づくもの。関係筋によれば、元議長2人とインラック前首相の罷免請求が立法議会で承認されれば、タクシン派が猛反発することが予想される。
01月07日(水)プラユット首相は、優秀青少年に選ばれた771人の表彰式において、「両親に政治論争をしないよう言ってほしい。」と呼びかけた。このイベントは、毎年1月の第2土曜日の子どもの日に因んだもの。
プラユット首相によれば、「タイは現在、限られた時間の中で改革を遂行しようとしており、政治問題にかかわっている暇はない。このため、子どもたちから大人に政治的な問題を起こさないよう呼びかけてほしい。」
国家汚職制圧委員会(NACC)が憲法改正に絡んで元下院議長と元上院議長、米担保融資制度に絡んでインラック前首相を過去に遡って罷免とするよう請求していることについて立法議会(NLA)で審議が行われる予定だが、タクシン派、プア・タイ党幹部のスラポンは、「NACCの請求に法的問題があり、NLAが請求を取り上げることも同様に問題だ。」として、罷免に賛成したNLA議員を告訴する考えを明らかに。
関係筋によれば、3人ともすでにその役職にないため罷免自体はほとんど意味を持たないものの、罷免となれば公民権5年停止に処されるため、政治家としては大きなダメージとなる。なお、罷免請求の可決にはNLA議員の5分の2の賛成が必要だが、議員の間からは「罷免を支持する議員は多くはない。」との声も聞かれる。
01月08日(木)昨年05月のクーデターで崩壊したタクシン派前政権の幹部に対する弾劾審議が、タイの暫定国会で始まった。タクシンの妹であるインラック前首相が事実上の米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失で、ソムサック前下院議長とニコム前上院議長が上院の全議席を公選制に変更する憲法改正案の国会審議をめぐり弾劾に掛けられる。
犯罪への関与や汚職体質で批判を浴びているタイ警察で、幹部、中堅幹部の解任が相次いでいる。
07日に中央捜査局の56人、首都警察の73人が異動処分を受け、翌08日にはトンチャイ経済犯罪取締局長(警察少将)が解任された。トンチャイ前局長の解任理由は公表されていない。
タイ警察では昨年11月、ポンパット前中央捜査局長(警察中将)、コーウィット前中央捜査局副局長(警察少将)、コーウィット前サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが相次いで逮捕され、不敬罪、収賄、権力乱用などで取り調べを受けている。
警察によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。犯人グループは監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。この事件では、米経済誌フォーブスがまとめた2014年版のタイ富豪番付で31位、資産8億US$とされた風力発電事業会社ウインド・エナジー・ホールディングのノポン・スピパット社長が不敬罪、恐喝などの容疑で12月に指名手配。ノポンは国外に逃亡したと見られている。
警察によると、ノポン社長は自分の借金1億2000万Bを減額させるため、貸し手のタイ人男性実業家をポンパット中将らの犯罪グループに誘拐させ、借金を2000万Bに減額するようこの男性を脅した。誘拐、恐喝はクルングテープのチャオプラヤ川で旅客ボートを運航するチャオプラヤ・エクスプレス・ボート社の社長、パリンヤー・ラックワーティン海軍中佐が仲介したと見られている。
警察はこれまでに、ポンパット中将らが所有する家屋十数カ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など合計20億B相当を押収。押収された美術品、骨董品約3万点について、タイ文化省は12月、1000年以上前のカンボジアの仏像など貴重な品が多数含まれるとの鑑定結果を明らかにした。一連の事件で陸軍少佐ら兄弟3人が逮捕されたある一族は11月、タイ王室から与えられた姓を剥奪された。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。
01月09日(金)立法議会(NLA)で、前政権の米担保融資制度の不正蔓延などに絡んだ職務怠慢でインラック前首相を過去に遡って首相罷免とするとの国家汚職制圧委員会(NACC)の請求かに関する審議が開始され、インラック前首相は、暫定国会で自ら釈明し、「米担保融資制度は農家の収入を増やすための正しい政策で、不正はなかった。」などと主張。また、「すでに首相の職を失い、弾劾対象とはならない。」と、審議の正当性自体に疑問を投げかけた。
実質的には米買い上げ制度である米担保融資制度は国家米政策委員会が監督していたが、委員会のトップがインラック首相(当時)だったことから、NACCは、首相(当時)が不正を正すなどの措置をとらなかったのは職務怠慢と判断し、罷免を請求することになった。
立法議会(NLA)のスラチャイ副議長によれば、NLAで先に審議が開始されたインラック前首相、ソムサック前下院議長とニコム前上院議長3人に対する弾劾は23日に暫定国会で投票が行われる予定。弾劾が成立すると、公民権が5年間停止され、インラック前首相は次回の総選挙に出馬できなくなる見通し。
今回の弾劾審議については、「クーデターで2007年憲法が廃止されたため、暫定国会に弾劾を行う法的権限はない。」とするという見方がある。また、タクシン派を追い詰めることで、タクシン派対反タクシン派の政治対立が再燃する恐れがある。
01月10日(土)新憲法の起草作業が進められる中、中央選挙管理委員会の権限を縮小して単に選挙監督機関とする案が出ていることに対し、ソムチャイ元中央選管副事務局長は、「中央選管には選挙違反を取り締まるという重要な役割がある。これに影響が及ぶような権限の削減は容認できない。」との考えを明らかに。
これまで中央選管には選挙を実施する権限や、当選を承認あるいは承認しない権限が付与されていたが、憲法起草委員会で現在検討されている草案では、中央選管は選挙を監督するだけで、実施の権限は内務省、当選の不承認は裁判所が担当することになっている。
ソムチャイによれば、「中央選管が単なる監督機関に成り下がっては選挙違反問題の解決が大きく後退する。」
01月11日(日)立法議会(NLA)で国家汚職制圧委員会(NACC)のインラック前首相罷免請求の審議が開始されたが、米担保融資制度の損失に関する前首相と財務省の説明が食い違うことから多くのNLA議員がこの点についてインラック前首相に質問しようとしている。
NACCは米担保融資制度の不正蔓延に絡んでインラック前首相に職務怠慢があったとして過去に遡って首相罷免とするよう請求。この請求の審議開始に伴いNLA内には調査委員会が設置されたが、議員から出された質問に基づいて調査委員会が前首相から聞き取りを行うことになっている。
議員からは、「インラック前首相は、不正が蔓延し、損失も膨らんでいたのになぜ米担保融資制度を中止しなかったのか。」といった質問も出ている。
01月12日(月)憲法起草委員会(CDC)はこのほど、憲法に直接関係しない事柄についても憲法裁判所が判断を下すことができるとする一文を新憲法7条に加えることで合意。
昨年05月の軍事クーデターに伴い廃止された2007年憲法の7条では、憲法裁が対応できない問題の解決のため、「憲法に規定がない問題については、国王を君主とする民主的政権による憲法的判断によって決定が下される。」と規定されていた。だが、CDCによれば、「この規定は難解であり、解決策を導くというより論争を引き起こす原因となっており、このため、憲法でカバーできない問題についても憲法裁が対応できるよう明文化することにした。」
一昨年末から昨年05月の軍事クーデターまで大規模な反政府デモを展開した人民民主改革委員会(PDRC)に市民からの寄付金の不正流用疑惑が浮上。
01月09日にネット上に掲示された書簡によれば、「PDRCに寄せられた寄付金は総額20億Bに上るが、寄付をした有名人らが寄付金の使い道について懸念を表明し、PDRCに対して寄付金の使途を明らかにするよう要求している。」
だが、PDRCの広報担当者によれば、「寄付金を不正流用した事実はないほか、寄付金をなにに使ったかは随時報告しているという。さらに、これら有名人に確認したところ、書簡の内容が虚偽であることも判明した。」
01月15日(木)暫定立法議会(NLA)で進められているインラック前首相の罷免請求審議で、前首相側が汚職制圧委員会(NACC)による捜査の違法性を明らかにすべく準備を進めていることがわかった。
NACCは、前政権の米担保融資制度の不正蔓延などに絡んで「インラック首相(当時)に職務怠慢があった。」と判断し、過去に遡ってインラックを首相罷免とするよう請求することになったが、インラックの弁護チームによると、「NACCによる捜査や権限などに問題がある。」
01月15日(木)インラック前政権主導の憲法改正が違憲とされたことに伴い国家汚職制圧委員会(NACC)が当時の下院議長と上院議長の罷免を請求している問題で、ソムサック元下院議長が、立法議会(NLA)の調査委員会で潔白を強調。
関係筋によれば、元上下両院議長が過去に遡って議長罷免、公民権5年停止となれば、改憲案に賛同した当時の大勢の国会議員(その多くはタクシン派)も罷免・公民権停止となる可能性がある。その場合は、タクシン派が強く反発し政治的混乱が起きる可能性が否定できないため、過度にタクシン派を刺激する決定は避けるとの見方が強い。
憲法起草委員会(CDC)は、①消費者の保護および②報道の自由・福利・倫理-を扱う2つの独立機関の設置を新憲法で規定するとの案を承認。
①は消費者保護に携わる政府機関に助言を行うとともに、消費者を啓発する措置を提案する。②は、報道に関する問題に常に注意を払うとともに、報道によって影響を受けた市民からの苦情も受け付ける。
01月16日(金)立法議会(NLA)では、インラック前首相の罷免請求に絡んで調査委員会が用意した質問にインラックが答えることになっていたが、インラックが出席しなかったことから、前首相の代理人たちが代わりに発言することも許されなかった。
代理人は、元閣僚5人と弁護士4人の計9人。質問にはインラックが直接返答することが想定されていたものの、欠席は議会の規則に違反するものでもない。このため、議会が対応を協議。その結果、質問が読み上げられただけで代理人らが返答することは許されなかった。
読み上げの途中でインラックの弁護士の1人が「私はこのような質問のやり方に同意しない。これを議事録に記載するよう要求する。」と発言。このため、議会が「インラック前首相が議会に現われて自ら返答するのを午後6時まで待つ。」としたものの、代理人らがインラックと連絡をとることができなかったため、質問の読み上げが続行されることになった。
プラユット首相は「教師の日」の01月16日、「国家平和秩序評議会(NCPO)に反感を持たせるような教育をしている学校があるとの情報を得たため、事実関係を調査するよう指示した。」と明らかに。
NCPOは昨年05月に軍事クーデターで全権を掌握した軍首脳などで構成される機関で、プラユット首相が議長を務めている。クーデターによってタクシン派インラック政権が倒されたことから、タクシン支持者はNCPOやプラユット政権に批判的。しかし、プラユット首相によれば、「軍政を嫌うよう学童たちに仕向けているような学校は非常に少ない。」
01月18日(日)タクシン派プア・タイ党幹部のスラポンはこのほど、「立法議会(NLA)が国家汚職制圧委員会(NACC)の請求通りに過去に遡ってインラック前首相を首相罷免とするのを承認するのは明らか」と述べ、「NLA議員の多くが01月23日の採決で罷免に賛成するのをすでに決めてい。」るとの見方。
タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の主要メンバーでもあるプア・タイ党幹部ウォラチャイは、「インラック前首相の罷免は決定事項。クーデターを起こした者たちとプラユット首相を権力の座に座らせ続けたい者たちにとって前首相罷免は障害除去の一環。」と指摘し、「インラック前首相が首相罷免と公民権5年停止に処されるのは確実。」との考えを明らかに。ウォラチャイによれば、「インラック前政権主導の憲法改正問題に絡んだ当時の下院議長と上院議長の罷免請求も立法議会で承認される可能性が高い。」
01月19日(月)インラック前首相と元上下両院議長2人の罷免請求が立法議会で承認され、これを不満とする者たちが騒動を起こすとの見方が強まる中、プラユット首相は、「立法議会が3人とりわけインラック前首相の罷免を決めても騒ぎは起こさせない。法律は守らなければならない。」と述べ、いかなる暴力も許さないとの姿勢を明らかに。
また、「国民和解のため立法議会は罷免請求の審議・採決を中止すべき。」との意見が出ていることについて、プラユット首相は、「法を破った者たちと和解することができるだろうか。それは、人を殺し、汚職を働いた者たちと和解することだ。和解は話し合いを通じて成し遂げられるものであり、法律は曲げてはならない。」と述べている。
01月20日(火)サンサーン国家汚職制圧委員会(NACC)事務局長によれば、NACCと検察庁の合同委員会は、インラック前政権が導入した米担保融資制度の不正蔓延に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相を刑事訴追することで意見が一致。
合同委員会は近く検事総長に対し前首相を刑法157条違反で裁くよう最高裁判所に起訴するよう要請する予定。有罪となった場合の最高刑は禁錮10年となる。
NACCは、記者会見を行い、「タイと支那の政府間米売買に絡んで不正を働いた。」として、「ブンソン前商業相、プーム前副商業相、商業省高官ら19人を訴追すべきである。」と訴えた。「これら21人は、支那当局から米購入の許可を得ていなかった支那企業2社が米質入れ制度のもとでタイから優先的に米を輸入できるよう便宜を図って見返りを得た。」という。「これら2社は、安値で購入した米をタイの米業者などに転売して利益を得ており、NACCはこれが大きな損失につながった。」と指摘。
立法議会で01月23日にインラック前首相の罷免請求を承認するか否かの採決が予定されているが、軍関係者の議員らが請求可決の鍵を握っている。関係筋によれば、可決には立法議会議員220人の5分の3、132人の賛同が必要だが、これまでのところ80~100人が罷免に賛成。
ここで注目されるのが、議員のうちの現役軍人と元軍人の動き。軍首脳部で構成される国家平和秩序評議会(NCPO)が罷免支持のシグナルを出せば、軍関係者の議員らが賛成に回って罷免請求が可決となる可能性が高い。
同筋は、「インラック前首相を罷免できなければ、立法議会は信頼を失う。NCPO、政府、国家改革評議会、立法議会を乗せた船は難破することになる。」と述べている。
憲法起草委員会(CDC)は、最高裁判所と憲法裁判所を合体するとの案を不採用とすることを決定。また、最高裁の判事はこれまで通り9人、任期は1期9年間のみとすることも合意。
立法議会では、「独立した憲法裁を維持するのは不要であり、最高裁に憲法裁の役割を担わせるべき。」といった意見も出ていたというが、ボウォンサクCDC委員長によれば、「裁判所合体は裁判所を政治問題に引きずり込むことにつながるため、好ましくない。」
01月21日(水)国家汚職制圧委員会(NACC)のサンサーン事務局長が先にNACCと検察庁の合同委員会がインラック前首相を刑事訴追することで意見が一致したと発表したことに対し、検察庁の広報担当者は、「合同委員会では新しい情報について意見を交換しただけ。」と述べ、「刑事訴追で検察とNACCが同意した事実はない。」との見解を明らかに。サンサーン事務局長によれば、刑事訴追で意見がまとまったのは20日に開かれた最後の合合同委員会で、ここには検察側から3人、NACC側から10人が出席した。
だが、合同委員会の委員長であるウティポン次長検事は、「20日の合同委員会については事前に何も知らされておらず、私は出席していない。これが最後の合同委員会だという話も聞いていない。」と話している。
だが、検察庁関係筋によれば、「NACCから19日に合同委員会開催の知らせがあったが、検察側委員の多くが多忙で3人しか出席できなかった。」
なお、刑事訴追は米担保融資制度の不正蔓延に関連するものだが、この問題でNACCはインラック前首相を過去に遡って首相罷免とするよう求めているものの、検察当局はこれについても慎重な姿勢をとっており、両者の足並みが揃っていない感がある。
立法議会で01月23日にインラック前首相の罷免・公民権5年停止が決まった場合、タクシン支持者たちが抗議のため街頭デモを展開するとの見方が出ているが、副国防相を務めるウドムデート陸軍司令官は、戒厳令違反で治安当局が動き出すような事態を避けるべく関係者全員に法律を守るよう呼びかけた。
インラック前首相は米担保融資制度で不正が蔓延し、また巨額の損失が生じたにもかかわらず何も対策を講じなかったとして職務怠慢に問われ、過去に遡っての首相罷免が請求されることになった。罷免となれば、公民権5年停止に処され、その間表立った政治活動が禁止される。このため、議会で罷免が承認されれば、タクシン派が強く反発するとの見方が支配的。
01月22日(木)インラック前首相の罷免請求に関する立法議会の審議で、最後の釈明を行った。
だが、議員のほとんどが疑惑が晴れたとは考えておらず、23日の採決で罷免請求が承認される可能性が高い。承認には、立法議会議員220人の5分の3、132人以上の賛成が必要。関係筋は、「議員150人以上が罷免に賛成する見通し。」と述べている。
憲法起草委員会(CDC)は、「ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)禁止を新憲法で規定する。」との案を退けることを決定。
CDCは同案に1度は賛成したものの、「報道の自由を制限する恐れがある。」と判断して決定を覆すことになった。CDCの広報担当カムヌンによれば、「ヘイトスピーチを憲法で禁止すると、これを悪用する者が現われて報道の自由が脅かされる恐れがある。」
01月23日(金)国家汚職制圧委員会(NACC)が請求した、昨年05月のクーデターで崩壊したタクシン派前政権の幹部に対する弾劾決議案の投票が、立法議会で行われ、タクシンの妹のインラック前首相の弾劾が賛成190票、反対18票で可決。
インラック前首相は、「事実上の米買い取り制度、米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を知りながら米担保融資制度を継続した。」として、職務怠慢で弾劾された。インラックは暫定国会で自ら釈明し、「米担保融資制度は農家の収入を増やすための正しい政策で、不正はなかった。」などと主張。「すでに首相の職を失い、弾劾対象とはならない。」として、審議の正当性自体に疑問を投げかけたが、受け入れられなかった。
インラックは弾劾可決で参政権が5年間停止。軍政が約束する民政移管の総選挙に出馬できなくなる見通しで、東北部や北部で人気の高い前首相を失ったことはタクシン派にとって打撃。
インラックについてはまた、最高検察庁が、米担保融資制度をめぐる職務怠慢で刑事訴追する方針を固めた。有罪の場合、最高で禁固10年が科される。
インラックは弾劾決議案可決を受けて都内で記者会見する予定だったが、軍政の「協力要請」に伴い会見は中止。代わりに前首相はインターネットに弾劾に抗議する書き込みを行った。
議会上院の全議席を公選制に変更する憲法改正案の国会審議をめぐり弾劾にかけられたソムサック前下院議長とニコム前上院議長は立法議会の投票で、賛成95反対120、賛成100反対115で、弾劾を回避。ポンペット立法議会議長は、「『NACCは元議長2人が2007年憲法に違反した。』と指摘していたが、この憲法はすでに廃止されており、このため罷免は不適切と判断された。」と説明。昨年のクーデターで廃止された2007年憲法は2006年のクーデターで発足した前軍政が作成したもので、タクシン派牽制のため、上院議席の約半数が任命制となっていた。タクシン派は2013年に、全議席を公選制とするよう憲法改正を図ったが、反タクシン派の影響力が強い憲法裁判所により阻止された。
こうした強権的な手法にもかかわらず、タイの政情は今のところ安定している。タイでは軍事政権が長く続き、軍政に対する国民の拒否感が弱い。また、現軍政を率いるプラユット首相(前タイ陸軍司令官)は率直な物言いなどで人気が高く、軍は政権運営に自信を深めているようだ。今回のインラック前首相弾劾は、「タクシン派を刺激しても大事には至らない。」という判断から実施されたと見られ、軍の自信が窺える。ただ、タクシン派の地盤である東北部や北部、クルングテープの中低所得者層では、「軍政が掲げる和解は口先だけで、タクシン派潰しに終始している。」として、軍・反タクシン派への反発が鬱積しているという見方もある。今回、前首相の弾劾を無風で乗り切ったとしても、タクシン派が結束し、来年予定されている総選挙でタクシン派が再度勝利すれば、政争が再燃するのは必至。
検察庁は、「トラクン検事総長が米担保融資制度に絡む職務怠慢でインラック前首相を刑事訴追することを決めた。」と発表。検察と国家汚職制圧委員会(NACC)の合同委員会が20日に刑事訴追の方針を固め、これを検事総長に報告。検事総長は罪を裏付ける十分な証拠が揃っていると判断。訴追にゴーサインを出したもの。
検察では近く訴追の準備に当たる委員会が設置される予定で、訴状が最高裁判所に提出されるのは03月頃の見通し。
01月24日(土)検察が刑事訴追を決めたことから「インラック前首相が国外逃亡する。」との見方も出ている中、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「これまでのようにNCPOの許可を得ていれば、インラック氏は外国旅行することができる。」と明言。
インラック前政権の導入した米担保融資制度の不正蔓延と巨額の損失に絡んで職務怠慢に問われ、先に立法議会で弾劾決議案が可決され、過去に遡って首相罷免、公民権5年停止。さらに検察が職務怠慢で刑事訴追の方針を固め、重い刑罰が科せられる可能性が出てきたことから「インラックも実兄のタクシンと同じように国外に逃亡するのではないか。」といった声が挙がっている。
インラック前首相が職務怠慢で過去に遡って首相罷免、公民権5年停止となったが、タクシン派プア・タイ党のアムヌアイ元議員は、「我が党には優れた人材がたくさんいる。」と述べ、これらの人々がインラックに代わってプア・タイ党を牽引することが可能との見方を示した。
タクシンの実妹であるインラックはプア・タイ党の顔としてプア・タイ党の人気を高めることに大きく貢献したことから、インラックの不在はタクシン派にとって大きな痛手との見方が支配的。
だが、アムヌアイ元議員によれば、タクシン派を率いるのはタクシン一族である必要はなく、党内の優秀な人材がインラックの代わりを務めることができるとの見方。
01月25日(日)検察が米担保融資制度に絡む職務怠慢でインラック前首相を刑事訴追する方針を固めたことについて、サンサーン国家汚職制圧委員会(NACC)事務局長は、インラックが検察の命令に従わない場合、逮捕状が請求されるとの見方を明らかに。
検察は約1ケ月後にインラックの訴状を最高裁判所に提出する見通しだが、同じ日にインラックは出頭を命じられることになっている。インラックが姿を見せなかった場合、検察はインラックに直接連絡することになるが、インラックが刑事訴追を免れようとしていると判断された場合、逮捕状が請求される。
01月26日(月)ダニエル・ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が、タイを訪れ、タクシンの妹のインラック前首相、反タクシン派の政党である民主党のアピシット党首(元首相)、タナサック副首相兼外相(前国軍最高司令官)らと相次いで会談。
なお、昨年05月にタイで起きた軍事クーデターに対し、米国を含む諸外国は当初、厳しい反応を示すことになったが、そのせいもあってクーデター後に米政府の高官がタイを公式訪問したのはダニエルが初めて。軍事政権が設置した非民選の暫定国会「立法議会」が23日にインラック前首相を弾劾し、参政権の5年間停止処分を下した直後だけに、タイ国内では、米国が高官派遣で懸念を伝えたという見方が出ている。
これについて、軍政のプラユット首相(前タイ陸軍司令官)は、「ラッセル国務次官補の訪タイはインラック前首相の弾劾と関係ない。」と主張。メディアに対し、関連付けて報道しないよう要求。タイの一部テレビ局は、ラッセル国務次官補の訪タイとアピシット党首、タナサック副首相兼外相との会談は報じたが、インラック前首相との会談は報じなかった。
ラッセル国務次官補とインラック前首相との会談は米国大使公邸で約30分間行われ、インラック政権のスラポン前外相、ニワッタムロン前副首相兼商務相、スラナン前首相秘書官長らが同席。スラポン前外相によると、「インラック前首相らがタイの政治状況を説明し、ラッセル国務次官補はタイの人権、法治の状況に懸念を示した。」
ラッセル国務次官補は次に、民主党本部でアピシット党首と会談。次いで、タイ外務省でタナサック副首相兼外相と会談。米国務省によると、タナサ
ク副首相兼外相との会談では、軍政に対し、戒厳令を解除し、集会や言論の自由を回復するよう求めた。また、軍政が進める新憲法の起草に際し、「様々な意見を取り入れ、透明性を確保することが、安定的な民主主義の再確立に欠かせない。」との考えを示した。また、「タイが民主主義に復帰するまで、米国とタイの関係は正常化しない。」と伝えた。これに対し、タナサック副首相兼外相は、「戒厳令は治安維持のため必要だ。」と応じた。
ダニエル・ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、チュラロンコーン大学で開催された会議の席上、「国民に選ばれたリーダーがその座を追われ、クーデターを起こした勢力によって弾劾され、また、刑事訴追されようとしている。国際社会はこれを政治的なものと見ている。」などと述べ、「インラック前首相が弾劾によって過去に遡って首相罷免、公民権5年停止となったのは政争の結果であり、望ましくない。」との見解を明らかに。
このほか、ラッセル次官補は、「米国はタイのどの政治勢力にも与しないが、言論の自由や集会の自由が制限されており、これを懸念している。」と述べ、「戒厳令は解除すべきである。」と提言。
立法議会は、インラック政権が導入した米担保融資制度について、「汚職と巨額の損失を知りながら制度を継続した。」として、23日、インラック前首相の弾劾決議案を採択。インラックについてはまた、最高検察庁が同日、米担保融資制度をめぐる職務怠慢で刑事訴追する方針を固めた。有罪の場合、最高で禁固10年が科される。
インラックは軍政のこうした動きに対し、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、「自分は無実で、最後まで戦う。」などと書き込んだ。
今のところ、インラックの弾劾に抗議するタクシン派市民のデモなどは起きていない。軍政は昨年05月から戒厳令を施行し、反対派のデモを弾圧。政治活動を禁止し、報道統制を敷いている。
01月27日(火)タイを訪れたラッセル米国務次官補が戒厳令がいまだに解除されていないことに批判的な意見を述べたのに対し、プラユット首相は、「米国は暴力が起きて混乱が生じたら、戒厳令無しにどうやって秩序を維持できるのか。」と反論し、国内状況を安定させるために戒厳令が不可欠との考えを示した。
プラユット首相によれば、タナサック外相が「米国がタイの立場なら、戒厳令を用いずに暴力・混乱にどのように対処するのか。」と質問したが、ラッセル次官補は返答できなかった。
プラユット首相は、「治安当局の執っている措置が適正であると確信しており、これを9月に開かれる国連総会で説明する意向である。」と明らかに。
憲法起草委員会(CDC)はこのほど、選挙管理委員会に代わって選挙を指揮監督する機関を新たに設置することで意見が一致した。この新機関は、「選挙組織委員会(EOC)」と呼ばれるもので、政府関係者7人、民間人1人ないし2人で構成される。
当初の案では、選挙は内務省、教育省、保健省が実施するとされていた。だが、CDC委員の一部から、「内務省が主導的役割を果たせば、依怙贔屓が横行する時代に逆戻りしてしまう。」といった懸念の声が出たため、専門の機関を設置することで意見がまとまったもの。なお、従来の選挙管理委員会は選挙運営のための事務局の地位に実質格下げされる。
01月28日(水)先にタイを訪問したラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が戒厳令とインラック前首相の弾劾に批判的な意見を述べたことに対し、ドーン副外相は、パトリック・マーフィー駐タイ米国臨時代理大使を外務省に呼んで失望の意を伝えた。
米大使館は、新大使がまだ着任していないため、マーフィーが代理大使を務めている。
ドーン副外相は約30分間にわたってマーフィー代理大使と会ったあと、「タイの政治状況を理解してもらうために代理大使を呼んだ。」、「もしタイが米国の立場だったら、あんなふうには反応(タイ当局を批判)しないと明言できる。」、「タイの各方面が懸念を持ち、失望した。」と主張。「インラック前首相の参政権停止は法的なもので、政治的なものではない。」と反論。
01月29日(木)ドイツの非営利政治財団、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)とタイ記者協会(TJA)が01月30日にクルングテープ都内のホテルでアジア諸国における報道の自由に関する記者会見を予定していたが、国家平和秩序評議会(NCPO)が難色を示したことから、会見が中止されることになった。
FESによれば、NCPOから28日に「非常に微妙な問題であり、ダメージが生ずる恐れがあるため、タイのメディアに関する報告を遅らせてほしい。」との要請があった。これを受け、FESは29日に報道機関などに対し「要請に従う。」と伝えた。マノップTJA副会長は、「NCPOの懸念は理解できる。だが、(中止要請は)タイの国際社会におけるイメージ低下に繋がりかねない。」
プラユット首相は、政治対立を煽る発言をした者にはそれが誰であろうと出頭を命じる用意があると述べて、クーデター反対の動きが再燃して国内が再び混乱するのを避けるべく、政府を批判した者に厳しく対処する考えを明らかに。
これは、タクシン派プア・タイ党幹部などの政治家が政府を批判したとして当局から呼び出されて取り調べを受けたことによるもの。
また、これら政治家の政府批判は、先にタイを訪問したラッセル米国務次官補がインラック前首相の弾劾や戒厳令が解除されていないことに批判的な意見を述べたことに触発されたものと見られる。
01月30日(金)警察庁中央捜査局(CIB)幹部らが不正を繰り返して巨額の蓄財をしたとされる事件で、刑事裁判所は、CIBのポンパット元局長とコウィット元副局長に対し、違法賭博への関与と不敬などの罪で禁錮12年との判決を下し、また、2人が容疑を認めたことを考慮して減刑し禁錮6年を言い渡した。
不敬については、2人が王室関連のピンやバッジをつけて自分たちが国王から信頼されていると偽り、また、違法賭博場が王室と繋がりがあるかのように見せかけたことから罪に問われることになった。
軍事政権が軍政に批判的な前政権幹部を相次いで軍基地に召喚した。「態度を矯正するため」(プラユット首相)で、批判を止めない場合は国外渡航を禁じ、銀行口座を凍結する方針。
召喚されたのは軍が昨年05月のクーデターで打倒したタクシン派インラック政権のチャトゥロン前副首相、スラポン前外相、ナタウット前副商務相ら。29日、30日にクルングテープの陸軍基地に呼び出されて数時間拘束され、軍幹部から、政治的な意見を表明しないなど「軍政への協力を要請された。」(チャトゥロン前副首相)。
スラポン前外相は、ダニエル・ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が26日、クルングテープでインラック前首相と会談した際に同席し、会談後、「ラッセル国務次官補がタイの人権や法治の状況に懸念を示した。」などと話した。チャトゥロン前副首相はラッセル国務次官補の訪タイに合わせ、インターネットの交流サイト、フェイスブックで軍政を批判。
ラッセル国務次官補は、軍政幹部に対し、戒厳令の早期解除や集会・言論の自由の回復などを要求。「タイが民主主義に復帰するまで、米国とタイの関係は正常化しない。」と伝えた。また、タイの名門国立大学、チュラロンコーン大学で講演し、選挙で選ばれた首相が解任され、クーデターによる政権で弾劾され、刑事訴追されるという事態に懸念を示し、「国際社会はこうした動きは政治的なものだという印象を持つ。」と述べた。
軍政はラッセル国務次官補の言動に強い不快感を示している。28日にはドン副外相(元駐米大使、元国連大使)がパトリック・マーフィー駐タイ米国代理大使をタイ外務省に呼び、ラッセル国務次官補の発言に、「タイの各方面が懸念を持ち、失望した。」と主張。「インラック前首相の参政権停止は法的なもので、政治的なものではない。」と反論。プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は28日、「(米国に)失望した。なぜ理解してくれないのか。」と発言。翌29日の記者会見では、矛先を軍政と対立するタクシン派に向け、「批判的な言動には容赦しない。」、「出頭させ、態度を矯正する。」と語気を荒めた。途中、興奮のあまり机を叩いてマイクが大きく揺れ、記者団から「怒ってる、怒ってる。」という声が上がった。立法議会のポンペット議長は同日、ラッセル国務次官補の発言を「外交儀礼に反する。」と批判。「米国にとっては選挙が民主主義で、選挙があれば後はなんでもいいと思っている。」などと述べた。また、「(外交官に批判される方が)CIAのスパイを送り込まれて内政に介入されるよりまし。」と皮肉った。
軍政は発足当初、タクシン派と反タクシン派の和解を進めるとしていたが、政権幹部や立法議会議員を軍関係者と反タクシン派で固める一方、タクシン派の官僚、軍・警察幹部を大量に粛清。昨年05月に発令した戒厳令を継続して、政治活動を禁止、報道統制を敷き、タクシン派への圧力を強めている。30日には、ドイツの非営利政治団体、フリードリヒ・エーベルト財団がクルングテープ都内で予定していたアジアのメディア状況の調査開始を発表する記者会見を中止させた。
01月下旬には、2014年の反タクシン派デモを率いたチパット・クリダーコンが天然資源環境相補佐官に起用されていたことが明らかになった。ダーポン天然資源環境相(退役陸軍大将)は27日、任命した事実を認めたが、「チパットはすでに辞任した。」と述べた。チパットはビール大手ブンロート・ブルワリーを傘下に持つ旧貴族系ピロムパクディー財閥の令嬢。デモの際に、「多くのタイ人、特に地方住民は民主主義をよく理解していない。」と述べ、地方住民が多いタクシン派の反感を買った。
01月31日(土)先にタイを訪れたラッセル米国務次官補が軍政に批判的な見解を示したことや米国大使館のスタッフがタクシン派幹部に接触しようとしたとされることにタイ当局が反発を強める中、立法議会(NLA)外交委員会のキティ副委員長は、米国のタイ政治への関わり方について話を聞くべく、マーフィー駐タイ米国代理大使に02月11日に議会に出向くよう伝えたことを明らかに。
国務次官補は国立チュラロンコーン大学で開かれた会議の席上、インラック前首相の弾劾や戒厳令が解除されていないことに批判的な考えを明らかにした。
キティ副委員長は、「委員会は、ラッセル次官補の発言についてマーフィー代理大使の意見を聞きたいと考えている。また、代理大使あるいは米大使館の代表者がタクシン派幹部に会ったかも確認したい。」
02月01日(日)在タイ米大使館がタクシン派幹部に会おうとし、タイ当局の神経を逆なでしたと報じられているが、東北部ウドンタニー県のタクシン派組織の幹部クワンチャイは、「2週間ほど前に米大使館のスタッフから会いたいとの連絡があった。だが、コミュニティー・ラジオ局、ラブ・ウドン・クラブを再開したいと考えており、これに影響する恐れがあったため会うのを断った。」と明らかに。
「赤服軍団」として知られる反独裁民主主義同盟(UDD)などのタクシン派組織は東北部や北部に支持者が多く、クワンチャイなど地元の幹部も大きな影響力を有している。
クワンチャイによれば、軍部からは「ニュースになるようなインタビューには応じないでほしい。」と言われており、また、「ウドンタニーで会いたい。」という話だったが、当時はクルングテープにいた。
なお、ラジオ局は昨年05月の軍事クーデターに伴い閉鎖されたまま。放送再開の許可を求めているが、当局からはまだ返答がない。
タイが未だに戒厳令下にあることに一部の国から批判的な意見が出ているが、国家平和秩序評議会(NCPO)の顧問であるノパドン立法議会議員は、「外国からの圧力をかわすため、NCPOの顧問委員会が戒厳令を解除し、代わりに暫定憲法44条を発動するよう提言している。」との報道を全面的に否定。
44条は、「改革、団結を促し、治安・王室・経済に関連する問題の解決のため、NCPO議長は立法、司法、行政に対する権限を行使することができる。」と規定されている。
だが、ノパドン議員によれば、戒厳令を解除する必要はなく、また、44条に基づいた権限発動も話し合われたことがない。44条は戒厳令よりさらに大きな権限をNCPOに付与するものであり、44条を発動すれば、批判をかわすどころか批判がさらに強まる。」
20時過ぎクルングテープ都心のショッピングセンター(SC)、サイアムパラゴン前の2ケ所で手製の時限爆弾が爆発。都庁(BMA)のキオスク型サービスカウンター「BMAエクスプレス・サービス」の変圧器近くに仕掛けられていた。男性1人が軽傷を負ったほか、都庁のサービスカウンターのシャッターが破損し、通路側壁のガラスが割れるなどした。爆発があったのは高架電車BTSサイアム駅とサイアムパラゴンをつなぐ通路。この爆発により高架鉄道(BTS)は一時サイアム駅を閉鎖。約30分後に再開。
警察は現場周辺を立入禁止にして捜索したが、他に爆弾は見つからなかった。現場から発見された時計や金属片などを回収、爆発の原因を調査中。爆弾は鉄パイプに爆薬を詰めた手製の時限爆弾。警察は「爆発力から判断して人の殺害を目的に仕掛けられたとは考えにくい。」、「反軍事政権勢力による犯行の可能性がある。」と見て捜査を進めている。
サイアムパラゴンは近隣のセントラルワールドと並んでクルングテープを代表する大規模SCで、日本人など外国人客も多い。
02月02日(月)プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は、東北部ナコンラチャシーマー県を訪れ、コメ、キャッサバ、トウモロコシ、天然ゴム、サトウキビなどの農家の代表と会談。チャチャイ商務相(タイ陸軍司令官補)、アヌポン内相(元タイ陸軍司令官)らが同行。
東北部は軍政と対立するタクシン派の地盤だが、プラユット首相の訪問中、デモなどは起きなかった。軍政は昨年5月のクーデターでタクシン派政権を打倒。戒厳令を発令し、政治活動を禁止、報道統制を敷いている。
クルングテープ中心部のサイアム・スクエアで何者かが仕掛けた爆弾が爆発した事件で、一部で「戒厳令を続けるために政府が仕組んだ。」との見方が出ていることに対し、ウドムデート陸軍司令官(副国防相)は、事件への政府の関与を強く否定。
昨年05月のクーデターの直前に発令された戒厳令については、米政府高官が先にいまだに解除されていないことに懸念を表明し、これに対し、タイ当局は、「混乱や対立に対処するために必要。」と説明。そのなかで爆弾事件が起きたことから、「戒厳令を維持すべくその必要性を知らしめるために政府が爆弾を爆発させた。」との見方も出ている。
なお、関係筋によれば、軍部は国家平和秩序評議会(NCPO)による不正摘発で影響を受けている者たち、軍政に不満を持つ政治家たち、先の人事異動を不満とする警察官のいずれかが爆弾事件の犯人と見ている。
01日20時過ぎに都内サイアム地区で発生した爆発事件の現場近くに監視カメラは設置されておらず犯人の捜索が困難な状況。タイ地元紙によると、現場はクルングテープ都が管轄外の私有地であることから、都がバンコク全域に設置しているような監視カメラはなかった。
この爆発で1人が負傷、現時点で何者かが時限式の爆弾を設置し爆発させたとの見方が強い。そのため現場近くにある以前から傷害事件などが度々発生している学校絡みの事件との見方や混乱を目的とする爆弾テロといった見方が出ている。
警察庁中央捜査局(CIB)のポンパット元局長らによる大がかりな不正事件で、刑事裁判所は、事件に関与した警官の妻(48)に対し不敬の罪で禁錮2年6ケ月を言い渡した。被告は2002年から昨年まで王室に食品を納入する仕事を請け負っていたが、業者選定の入札において、王室に言及して競争相手を排除したことから不敬罪に問われることになった。
プレム枢密院議長(元首相)は、国防大学の創設60年を記念した演説の中で、「汚職を働いた者を速やかに厳しく処罰する必要がある。」として、「汚職に関する裁判を迅速に行うために汚職を専門に扱う裁判所を設置するのが望ましい。」との考えを明らかに。
プレム議長によれば、汚職問題に取り組んでいた者に「なぜ汚職の裁判は時間がかかるのか。」と質問したところ、「手続きがたくさんあるため。」という返答だった。そこで「手続きを改めれば良いではないか。」と進言したが、誰もそれを実際にやろうとはしなかった。汚職だけを扱う裁判所が設置されれば、不必要な手続きを省いて迅速に裁判をすることが可能。
02月03日(火)政府は閣議で、タイと日本の間で実施されるパートナーシップ計画を承認。プラユット首相(前タイ陸軍司令官)が08~10日の日本訪問を正式発表。プラユット首相が首相として日本を訪問するのは初めて。プラユット首相と安倍首相は昨年10月、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議が開かれたミラノで初の首脳会談を行った。翌11月にも、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議が開かれたビルマのネピドーで会談。
また、サンサーン副政府報道官によれば、「タイを訪れた経団連首脳らが03日、プラユット首相に会ってタイへの投資を継続することなどを約束。プラユット首相の訪日で、タイでの鉄道建設、ビルマ南東部のダウェイ経済特区の開発について、日本政府と趣意書に調印する。」と述べた。詳細は明らかにしていない。
タイのプリディヤトン副首相によると、「カンボジア国境のタイ東部サケーオ県アランヤプラテート-タイ東部チャチュンサオ県-クルングテープ、クルングテープ-ビルマ国境のタイ西部カンチャナブリ県、自動車、化学などの産業が集積するタイ東部ラヨン県-クルングテープの3路線に標準軌の高速鉄道を開発する方向で日本政府と調整を進めている。」サケーオ-クルングテープ-カンチャナブリのルートはベトナムのホーチミン市からカンボジア、タイを経由しビルマに至る「インドシナ半島南部経済回廊」の一部。構想中の高速鉄道の西側の終点であるカンチャナブリからさらに進むと、ダウェイ経済特区に至る。タイとビルマはダウェイ経済特区の開発でも日本の参加を求めている。ダウェイ経済特区はマレー半島の西側の付け根にあり、深海港の開発とタイとの陸路接続で、アンダマン海、インド洋とタイ湾、南シナ海を結ぶ物流拠点になると期待されている。タイ、ビルマ両国が開発に乗り出しているが、資金とノウハウ不足で進展は遅い。
01月29、30日にはダウェイ開発に関するタイとビルマの閣僚級の会合がクルングテープで開かれ、ビルマのニャン・トゥン副大統領、タイからプリディヤトン副首相、プラチン運輸相、ソムマイ財務相らが出席。会議に出席したタイ関係者によると、日本政府はカンチャナブリとダウェイを結ぶ道路(全長138㎞)建設に円借款を供与する方向。
サイアム・スクエアで02月01日20時頃屋に手製とみられる爆弾2個が爆発して2人が軽傷を負った事件で、シーワラ首都圏警察長官は、「都内ミンブリで昨年03月にオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発してオートバイに乗っていた男性2人が死亡した事件との関連が強く疑われる。」との見方を明らかに。「現場に残されていた爆弾の破片は90%まで同じであり、2つの事件で爆発した爆弾が同じ者たちの手によるものである可能性が高い。」
ミンブリの事件では、2人がオートバイを目的の場所に放置して爆弾を爆発させようとしたが、何らかの理由で目的地に着く前に爆発し2人が死亡。
今回の事件では防犯カメラが犯人らしき男2人の姿を捉えていた。警察はその画像を手がかりに昨年起きた反政府デモ隊への爆弾攻撃の容疑者の中から犯人を割り出そうとしており、シーワラ長官は、「04日には2人の逮捕状が出るだろう。」
国家汚職制圧委員会(NACC)は、一昨年12月の下院解散時とその1年後における前下院議員479人の資産を発表。
政権党だったプア・タイ党の幹部の多くは、資産を減らしていたが、インラック前首相はこの1年間で資産が約5億7500万Bから約5億8600万Bへと約1100万B増加。
資産が最も多かったのは、民主党所属のプラコープの約21億3900万B、第2位も第3位も同じく民主党所属のカラヤの17億8100万B、ソーパーの10億6600万B。
憲法起草委員会(CDC)がオンブズマン室と国家人権委員会の合体に同意したことに対し、30に及ぶ市民団体の代表が再考を求める要望書をCDCに提出。これら団体によれば、「オンブズマン室と国家人権委はそれぞれ異なる役割を担っており、合体によってこれまで通りに役割を果たすことができなくなる恐れがある。」
なお、ボウォンサックCDC委員長は、「この件について広く意見を聞きたいと考えている。07月23日まで意見を受け付ける。」と述べている。
02月04日(水)未明王室管理事務所が発行したよう装った国王の健康状態などに関する偽造文書がインターネットの交流サイト「フェイスブック」や短文投稿サイト「ツイッター」で拡散した問題で、タイ警察は、偽造文書の流布に関与したとみられるミュージシャンのクリット・ブッディーチン(25)を不敬罪などの容疑で逮捕。
クリットはタクシン支持派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)(通称、赤服)のメンバー。軍と警察は、ペチャブン県ムアン郡のクリットの自宅を捜索して、男を逮捕し、ノート型パソコン、スマートフォンなどを押収した。クリットはクルングテープの陸軍基地で行われた取り調べで、「別のUDDメンバーから文書を受け取り、ネットに転載した。偽発表の作成には関わっていない。」などと主張。軍・警察はUDDが組織ぐるみで関与した可能性を含め慎重に捜査する方針。
偽造文書は02日夜にネットに投稿されて急速に拡散し、03日未明、反タクシン派の大手新聞ASTVプーチャッカーンのウェブサイトに転載された。反タクシン派軍事政権のプラユット首相は03日、文書は偽物だとして、国民に動揺しないよう呼びかけ、軍・警察に犯人逮捕を厳命した。ASTVプーチャッカーンは偽造文書をサイトに掲載した担当者を即日解雇。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、不敬罪の裁判は1990年から2005年にかけ、年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。容疑者のほとんどはタクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま実刑判決を受けるケースが多い。
今回の偽造文書の内容は不敬罪に抵触するとみられ、タイ国内の報道機関は具体的な内容を報道していない。
国家警察は先日サイアム・パラゴン前で爆発物を設置した人物2人を特定したことを明らかに。爆発前に現場にいた不審な2人は、それぞれ白と黒の野球帽をかぶった男という。容疑者の氏名は判明していないため、氏名不詳のまま逮捕状が出ることとなった。
爆発があったのはサイアム駅と大規模ショッピングセンター(SC)、サイアムパラゴンをつなぐ通路で、都庁のサービスカウンターのシャッターが破損し、通路側壁のガラスが割れた。
タイ地元紙によると、設置されていた監視カメラの映像などを元に、容疑者2人(ともに30歳前後)を特定。すでに刑事裁判所から逮捕状が出ており、現在行方を追っている。警察の聞き込み調査と防犯カメラの映像によると、この2人組はBTS戦勝記念塔駅からタクシーで現場に現れ、時限式の爆弾を設置した後、駅南側の商店街サイアムスクエアを経て、パヤタイ通まで歩き、そこからバスに乗って南のサームヤーン方向に向かった。その後の足取りは?めていない。
また、職業訓練学校の学生がライバル校の学生に発砲したりする事件が起きていることから、今回の事件も「学生が犯人。」との見方もあるが、チャクティップ警察庁副長官は、「政治に関連した事件である可能性が80~90%。過去に政治絡みで同様の事件が起きている。」と述べ、「学生の関与は考えにくい。」
政府関係筋によれば、プラユット首相は02月08~10日の日本訪問において、安倍首相と会談するほか、自民党幹部、経団連の代表、三菱、三井、ホンダ、丸紅の首脳と話し合いを行う予定。プラユット首相にはタイ企業の幹部など50人以上が同行することになっている。また、プラユット首相と安倍首相の立ち会いのもと、タイ国内3区間の鉄道建設と2国間のビジネス協力に関する2つの覚書が取り交わされる予定。
一昨年末にインラック前政権主導の改憲案が上下両院を通過したあと憲法裁判所によって違憲とされた問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)は、同案に賛成した前議員269人の罷免・公民権5年停止を立法議会に請求する可能性を示唆。この件については、調査を担当している小委員会が02月半ばにNACCに報告を提出する予定。NACCが「証拠十分」と判断した場合、これら前議員を過去に遡って議員罷免、公民権5年停止とする弾劾決議案が立法議会に提出される見通し。
02月05日(木)選挙管理委員会は、憲法起草委員会が新憲法の下で選管の権限を縮減しようとしていることに抗議する文書を国家平和秩序評議会(NCPO)、内閣、国家改革評議会(NRC)、立法議会(NLA)、憲法起草委員会(CDC)に提出。
これまでにCDCが了承した案では、選管を選挙の監督機関として、これまで選管に付与されていた選挙実施の権限を新機関に与えるとの規定を新憲法に盛り込むことになっている。だが、選管によれば、「選挙の監督と実施を異なる機関が担うことは国際的標準ドに合致せず、これまで通り選管が選挙を実施することが望ましい。」
ウィサヌ副首相は、「政府が来年01月に総選挙の日程を発表できると考えている。」と表明。
総選挙は国家統治を現在の軍部主導から国民が選んだ政府に委ねる民政移管に向けた手続きであり、また、総選挙実施にはまず新憲法を制定する必要がある。
プラユット首相も先に「新憲法の草案作成は当初の期限である今年04月より早く完了する見通しで、総選挙は来年初めに実施できそうだ。」と述べていた。
なお、軍部は昨年05月のクーデター直後には「2015年10月に総選挙を実施する」とのタイムスケジュールを明らかにしていた。だが、憲法の作成・制定や選挙関連法の整備に当初予想より時間が掛かる見通しで2015年中の総選挙実施は不可能な状況。
ヨンユット政府報道官は日、プラユット首相が02月08~10日の日本公式訪問の際、皇太子への面会が予定されていることを明らかに。皇太子は09日に東京でプラユット首相に面会の予定。
02月06日(金)プラユット首相一行が、日本公式訪問のためドンムアン空港を出発し、羽田空港に到着。同行は妻、副首相兼外相、運輸相、スポーツ観光相、タイ財界の代表など。10日までの日本訪問の間、プラユット首相は大阪にも足を伸ばす予定。
米国務省はこのほど、駐タイ米国代理大使に公開文書を提出したルアンカイ元上院議員が当局から呼びだれたことを受けて、タイ政府に対し、政府に批判的な人々を呼び出して身柄を拘禁しないようした。
タクシン派フア・タイ党の法律専門家であるルアンカイは、文書の中で昨年05月のクーデターに伴い軍部主導で現政権が誕生したことなどを批判。このため、ルアンカイは当局に呼び出されて02月03日から軍の施設に留め置かれた。
これに対し、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「現在の政治状況の中で相互理解を図るべく話し合いを求めたに過ぎない。拘禁ではない。」と説明。「当局が政府に批判的な人々を黙らせるために強権を発動している事実はない。」と訴えた。
国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「インラック前首相の出国については許可するか否かの検討に時間がかかる。」との見解を明らかに。これは、先に米担保融資制度に絡む職務怠慢で過去に遡って首相罷免、公民権5年停止となったインラック前首相がこの職務怠慢で訴追される可能性があるため。
タイ地元紙によると、インラック前首相が先に実兄のタクシンと会うためか、NCPOに香港、支那や英国などを旅行する許可を求めていたが、NCPOは現在検察が「米担保融資制度でインラックに職務怠慢があった。」として起訴する方針を固めたことから、現時点での海外渡航を禁じた。
王室管理事務所が発行したように装った国王の健康状態などに関する偽発表がネット上に出回った問題で、警察当局は、偽発表を掲載したタイ字紙「ASTVプーチャッカーン」インターネット版のウェブマスターだった男性の逮捕状を請求する方針であることを明らかに。同紙は掲載後に発表がニセモノであることが判明したため掲載を取りやめ、男性をウェブマスターから外すともに給与減額などの懲戒処分とした。
だが、ネット上に偽発表を広めたとしてタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)とつながりのある男が先に不敬とコンピューター犯罪法違反の容疑で逮捕されていたことから、UDD幹部が「ASTVプーチャッカーン(反タクシン派)の責任も問う必要がある。」と主張。このため、警察はウェブマスターも不敬とコンピューター犯罪法違反の容疑で逮捕することにした。
02月07日(土)クルングテープのタイ軍基地で身柄を拘束されていたタクシン派政党プア・タイ党のルアンクライ元上院議員が釈放された。
ルアンクライ元上院議員は、軍事政権が設置した非民選暫定国会「立法議会」が今年01月、タクシンの妹のインラック前首相を弾劾し、参政権の5年間停止処分を下したことについて、タクシン派の弾圧を狙った政治的なものだとする書状を駐タイ米国代理大使に送った。軍政はこれを不快として、03日、ルアンクライ元上院議員を軍基地に出頭させ、身柄を拘束。
02月08日(日)国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「インラック前首相の出国については許可するか否かの検討に時間がかかる。」との見解を明らかに。これは、先に米担保融資制度に絡む職務怠慢で過去に遡って首相罷免、公民権5年停止となったインラック前首相がこの職務怠慢で訴追される可能性があるため。」
なお、ネット上には、「インラックが先に実兄のタクシンと会うためか香港行を許可するようNCPOに要請したが、却下された。」との情報が流れているが、その真偽は不明。
02月09日(月)安倍首相は、タイ軍事政権のプラユット首相と東京で首脳会談を行い、ビルマとタイが共同で開発に乗り出しているビルマ南東部のダウェー経済特区プロジェクトに日本が参画する方針を伝えた。プラユット首相は「日本の参画を歓迎する。」と表明。
ダウェーはマレー半島の西側の付け根にあり、深海港の開発とタイとの陸路接続で、アンダマン海、インド洋とタイ湾、南シナ海を結ぶ物流拠点になると期待されている。タイ、ビルマ両国政府は特別目的事業体(SPV)を設立して開発に乗り出しているが、資金とノウハウ不足で進展が遅く、両国が日本に参画を求めていた。日本はSPVに出資するほか、国際協力機構(JICA)の専門家を派遣し、幹線道路建設に関する調査を実施する方針。
両首脳はまた、プラチン運輸相(前タイ空軍司令官)と太田国交相が同日、タイ国内の鉄道整備に日本が協力することを記した意図表明覚書(MOI)に署名したことを歓迎し、両国が具体的な協力を進めていくことを確認。
タイ政府が今年01月に施行した新投資奨励制度については、安倍首相が、「日本企業が安心して長期の投資ができるビジネス環境の整備が重要。」として、日本企業の具体的要望を踏まえた善処を要請。プラユット首相は、「日本企業の要望も考慮しつつ、前向きに対応したい。」と述べた。
タイの民主化については、安倍首相が早期の民政復帰を働きかけたのに対し、プラユット首相は、「国内の安定、国民和解を図りつつ、早期の民政復帰に向け引き続き努力する。」と応じた。
プラユット首相と安倍首相は昨年10月、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議が開かれたミラノで初の首脳会談を行った。翌11月にも、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議が開かれたミャンマーのネピドーで会談しており、今回が3度目の首脳会談。
プラユット首相が首相として日本を訪問するのは初めて。08日に到着し、09日に首脳会談を行ったほか、皇太子夫妻と面会し、経団連の榊原会長、日本自動車工業会の池会長らと会談した。10日に帰国。プラユット首相は03月に仙台で開かれる第3回国連防災世界会議、07月に東京で開かれる日メコン首脳会議にも出席する予定。
国家平和秩序評議会(NCPO)事務局長のウドムデート陸軍司令官は、インラック前首相が出国のため許可を申請したものの、NCPOが許可しなかったことを明らかに。
インラックは、香港に行こうとして出国許可を申請したもので、関係筋によれば、香港で実兄のタクシンと会うつもりだったと見られている。
また、インラックは、米担保融資制度に絡む職務怠慢で刑事訴追される見通しであることから、出国が許可されなかったものとみられるが、ウドムデート司令官は、「出国を許可しないというNCPOの決定は適切。」と述べている。
クルングテープ中心部のサイアム・スクエアで金属パイプに爆薬を詰めた爆弾2個が爆発して近くにいた2人が軽傷を負った事件で、プラウィット副首相兼国防相は、「捜査は70%まで進んでいる。現在警察は犯人逮捕に向けて一層の努力をしているところ。」と説明。
防犯カメラに映像が捉えられていた容疑者の男2人の逮捕状が出ているが、これら容疑者は、これまでの捜査で、戦勝記念塔でサラブリー発の乗り合いバンを降りてタクシーでサイアム・スクエアに向かったことが判明している。また、容疑者がすでに国外に逃亡したとの見方も出ているが、プラユット副首相はこれには言及しなかった。
タイ治安当局は、不敬罪容疑で行方を捜査していたハサディン・ウライプライワン(64)を都内ソイ・スーンウィチャイ、A-ワンホテルで逮捕し、都内の軍基地に連行。グループのメンバーとされる2人は先に逮捕されている。
当局によると、ハサディンはタイ王室を批判中傷する活動を行っている地下組織の幹部で、ネット上のニュース映像などを加工して反王室的なビデオクリップを作成してメンバーにダウンロードさせ、インターネットやCDなどで配布。当局は同容疑者の逮捕につながる情報に20万Bの報奨金を懸けていた。
グループは毎月10万B以上の資金援助を受けており、警察庁のプラウット報道官は、資金を提供していた者を突き止めるよう資金洗浄対策室(AMLO)に要請。
2014年05月のクーデターでタクシン派政権を倒した現軍事政権は不敬罪による逮捕摘発を強化し、タクシン政権元幹部ら国外にいる不敬罪容疑者約40人についても、各国に身柄引き渡しを求める方針。
02月10日(火)日本公式訪問最終日、プラユット首相は、「新幹線タイプの高速鉄道は将来のタイの鉄道開発プランとなるもの。タイも新幹線を導入したいが、(導入が実現するかどうかは)日本の支援次第。」と述べた。このあと首相は東京の新幹線司令所を訪れ、その足で新幹線のぞみ221号のグリーン車に乗車して大阪に向かった。
なお、タイが支那や日本の協力で整備しようとしている複線鉄道は、新幹線などに使われているレール幅1435㎜の標準軌を採用するため、将来的に高速鉄道を走らせることが可能となっている。
ソムヨット警察庁長官は、「警察機構に政治的影響が及ぶのを避けるべく国家改革の一環として警察委員会の廃止を政府に提言する。」との考えを明らかに。警察委員会は、首相を委員長、事務次官クラスの政府高官を委員とするもので、警察に関する重要事項を決定する権限が与えられている。
ソムヨット長官は、「プラユット首相は、警察委員会を解散することで警察官全員のヒーローになれる。」と述べている。
02月11日(水)インラック前首相が米担保融資制度に絡む職務怠慢で刑事訴追される見通しであることから、これを回避すべく米国への政治亡命を画策しているとの見方が出ている。
インラック一行は先に出身地の北部チエンマイで移動中に当局のチェックを受けたことから「軍部が国外逃亡に神経をとがらせている。」といった指摘があり、そのため亡命説がマスコミで取り上げられることになった。
ウドムデート陸軍司令官(副国防相)は、「インラック前首相が国内にとどまって裁判を闘うつもりなのか、あるいは国外に逃亡するつもりなのかわからない。」と発言。また、マーフィー駐タイ米国代理大使は、「前首相の亡命については聞いていない。また、米国が政治的に対立している勢力のどちらか一方を支持することはない。」と述べ、インラック前首相の政治亡命を受け入れないとの姿勢を示した。
一方、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)を率いるチャトポンは、亡命説が出ていることについて、「インラック前首相に国外逃亡を促しているのではないか。彼らは、インラック前首相が有罪となって投獄された場合、市民(タクシン支持者)の反応(怒り)に対処できないと考えており、このため、インラック前首相に国外に逃げてほしいと考えている。」と述べて、国外逃亡を望んでいるのはむしろ当局との見方を示した。
王室への反感を煽るようなビデオクリップを作って配布したなどとして逮捕されたハサディンは、「どのようなグループからも資金援助を受けていない。」と述べ、単独犯であることを強調。「ハサディンをリーダーとするグループのメンバーである。」として先に6人が逮捕されているが、ハサディンは、「わたしがみんなやった。先に逮捕された人々には迷惑をかけた。もうやらない。やったことの結果(処罰)を受け入れる。」と述べている。
警察によれば、ハサディンはこれまでに400以上に上る王室に関する不適切なビデオクリップを製作、配布。
02月12日(木)米担保融資制度に絡む職務怠慢で刑事訴追される見通しのインラック前首相に対し、プラユット首相は、「潔白ならそれを法廷で証明すべきであり、ルールを守らなければ誰も潔白を信じてくれない。」として、国外逃亡しないよう呼びかけた。
国家改革評議会(NRC)によって国家改革の検討が進められているが、憲法起草委員会(CDC)の小委員会がこのほど、NRCが打ち出した方針に沿って民政移管後も改革を推進するための委員会の設置を提言。これは、総選挙で新政権が誕生したあと、改革が中断してしまう恐れがあるためという。
小委員会の案では、委員会は民政移管後、1~9年のうちに改革を完了する必要があり、これを達成でなかった場合、刑事訴追されることになっている。
02月14日(土)クルングテープ都心の高架電車ナショナルスタジアム近くのバンコク芸術文化センター前で、軍事政権に反対する小規模なデモがあり、「戒厳令による政治集会禁止命令に違反した。」として、デモ参加者のタイ人男女4人を治安当局が逮捕。
デモ参加者は民主主義の回復を訴え、指3本を立てるジェスチャーで軍政に抗議した。指3本を立てるジェスチャーは米人気映画「ハンガー・ゲーム」で主人公らが支配者への抵抗を示す仕草で、タイでは反軍政のシンボル。
4人は15日、それぞれ2万~4万Bの保釈保証金を支払い保釈。
憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長は、「国民和解を実現すべく恩赦請求を扱う特別機関の設置が新憲法に規定される可能性がある。」と明らかに。
国民和解については、政治対立の再燃を回避するために必要とする点では各陣営で意見が一致しているものの、恩赦については、「罪を犯した者は償いをしなければならない。」として反対する意見が根強く、国民和解のための恩赦適用は難航が予想されるとの見方も出ている。
ボウォンサク委員長は、「特別機関は国家和解委員会と呼ばれる見通し。対立解消のための仲介機関であり、対立する人々の間で意見の一致が見られたら、恩赦の適用を請求する。委員会は5年のうちに任務(国民和解実現)を完了する必要がある。」と述べた。
02月16日(月)政治対立を解消して国民和解を実現するためとして国家改革評議会(NRC)のワンチャイ評議員がプラユット首相とタクシン元首相の話し合いを提言しているが、プラユット首相は「タクシンは犯罪人。指名手配されている者と話し合うことはできない。」と明言。
現在の政治対立の主因はタクシン派と反タクシン派の対立であることから、ワンチャイ評議員はタクシンとの話し合いを進言したという。なお、国外逃亡中のタクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定した犯罪人。判決を不当として帰国して刑に服すのを拒み続けている。
昨年05月の軍事クーデターを批判するデモが最近になって増えていることから、ウドムデート陸軍司令官(副国防相)は、「現在はまだ戒厳令下にあり、政治集会が禁止されている。抗議デモには法的措置が執られる可能性がある。」と述べ、軍政に反対する人々に法律に違反しないよう呼びかけた。
また、先にクルングテープで数人が抗議デモを行って逮捕され保釈されたことから、軍部に批判的な意見が出ているが、ウドムデート司令官は「逮捕したのは警察官であり、軍人ではない。」と強調。
02月17日(火)国民和解を実現するためプラユット首相にタクシン元首相との話し合いを求める声が一部で出ていることについて、プラユット首相は、「私が特定の個人やグループと和解のため話し合いをすることはない。」と改めて強調。
首相の役割は、国が抱える問題の解決であり、当事者として国民和解を実現することではないとのこと。
プラユット首相は、「なぜ私が誰かと和解しなければならないのか。私は彼らの敵ではない。タイ国民全員で国民和解を実現しなくてはならない。」と述べている。
インラック前首相の警護を首相在任中から現在に至るまで同じSPが担当していることに一部で批判意見が出ていることから、ソムヨット警察庁長官がこのほど、要人警護のあり方を見直し、規則違反あるいは不適切であればSPによる警護を中止するよう命じた。 立法議会のソムチャイ議員などは、「政治家や有力者の活動に警察官が参加することを警察は禁じている。」と指摘。現在も現職警官がインラック前首相を警護しているのは問題としている。
警察庁のプラウット報道官によれば、「ソムヨット長官は、元警察官をインラック前首相などの警護に当たらせることを検討する必要があると考えている。」
02月01日にクルングテープ中心部サイアム・スクエアで爆弾2個が爆発し、近くにいた2人が軽傷を負った事件で、警察庁のプラウット報道官は、「近隣国から来た者が犯人。」と述べたとの一部報道を全面的に否定。この事件では、防犯カメラに写っていた男2人が氏名不詳のまま指名手配されており、身元などは明らかになっていない。
プラウット報道官によれば、報道は「犯人はタクシーに乗って運転手と話したが、タイ語の発音が明瞭だったため外国人ではないだろう。」と述べたのであり、「犯人が外国人とは言っていない。」
02月19日(木)最高検察庁は、インラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度、「米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を知りながら米担保融資制度を継続した。」として、インラック前首相を職務怠慢と職権乱用でタイ最高裁判所政治家刑事犯罪部門に起訴。最高裁は03月19日に受理するかどうかの判断を下す。有罪となれば、前首相は20年までの禁錮刑、20万Bまでの罰金刑に科せられる可能性がある。
今月17日には、タイ汚職取締委員会が、「米担保融資制度で国が被った損失6000億Bの損害賠償をインラック前首相に求めるべきだ。」として、財務省に民事裁判を起こすよう促した。汚職取締委はまた、2008年に国会議事堂前で反タクシン派デモ隊と警官隊が衝突し、2人が死亡、500人近くがけがをした事件で、当時首相だったソムチャーイ・ウォンサワットらを権力乱用で最高裁政治家刑事犯罪部門に告発、10日に受理。ソムチャーイ元首相はタクシンの妹でインラック前首相の姉のヤオワパー元下院議員の夫。
高裁政治家刑事犯罪部門は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷で、1回の審理で判決が確定し、上訴できない。タクシンは2008年に同法廷で汚職で実刑判決を受けたが、判決前にタイから出国し、以来、収監を避けるため、帰国していない。インラック前首相は有罪の場合、最長で10年の禁錮軽を受け、即収監される可能性があり、「タクシンと同様に、国外亡命を迫られる。」という憶測が出てきた。
インラックは02月上旬に軍政に出国許可を求めたが、拒否。ただ、最高検察庁は起訴後も裁判所にインラックに対する出国禁止命令を出すよう求めない方針を示している。プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は18日の記者会見で、「インラック前首相は国外に逃亡せず、裁判で争うべき。」と述べたが、インラック相が収監されれば、タクシン派と反タクシン派の対立激化が避けられないだけに、「内心ではインラックの国外亡命を望んでいる。」という見方がある。

タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、クルングテープの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、特権階級、南部住民とクルングテープの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。
反タクシン派はタクシン氏を反王室の腐敗政治家と糾弾し、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒。タクシン派は2007年の民政移管選挙で勝利したものの、2008年に司法クーデターと呼ばれた裁判所によるタクシン派与党解党で反タクシン派に政権を奪われた。反タクシン派政権下の2009年、2010年、タクシン派は、「特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治を捩じ曲げている。」として、政権打倒のデモを行い、2010年のデモでは治安部隊との衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷。
タクシン派は2011年の下院総選挙で再度勝利し、インラック政権が発足。しかし、2013年10月から、インラック政権打倒を目指す反タクシン派市民のデモがクルングテープなどで拡大。2014年01、02月には数万人がクルングテープの主要交差点を長期間占拠。05月に入り、軍が治安回復を理由に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握。軍は当初、「両派の和解を目指す。」としていたが、タクシン派の官僚、軍・警察幹部のほとんどを左遷し、地方のタクシン派団体を解散に追い込むなど、タクシン派潰しを進めた。今年01月には、軍政が設立した非民選の暫定国会、立法議会が、「米担保融資制度をめぐる職務怠慢」でインラックを弾劾にかけ、インラックの参政権を5年間停止。


* 米担保融資制度
事実上、政府が農家から米を買い取る制度で、インラック政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になった。国際通貨基金(IMF)も、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判。2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒したプラユット軍事政権によって廃止。
タイ財務省の2015年01月時点のまとめによると、米担保融資制度による最終的な損失額は5000億B近くに上る見通し。
商業的な代理出産を禁止するなどとした法改正案が、立法議会の第3(最終)読会で賛成160反対2で承認。
代理出産については、昨年半ばにオーストラリア人カップルや光通信の重田康光(49)の長男、「御曹司」重田光時(24)に絡んだトラブルがマスコミで大きく取り上げられたが、これに伴い、報酬を目的とした代理出産を禁止するなどの法改正案が作成された。
この案は国家平和秩序評議会(NCPO)に承認され、昨年11月には立法議会で第1読会を通過。その後第2読会、内容の精査などを経て今回最終的に議会で承認されることになった。
02月20日(金)立法議会で、汚職に時効を適用しないなどとした法改正案が賛成172反対5で第1読会を通過した。これに伴い、第2、第3(最終)読会に向けて法案の内容を精査する21人の委員会が設置された。
国連腐敗防止条約に則った同案では、その権限を強化して国家汚職制圧委員会(NACC)が国外における汚職についても捜査することが可能とされている。
02月22日(日)高架電車BTS戦勝記念塔駅前、戦勝記念塔近くのデパート前で、嘴と足を縛られた鳩のイラストが描かれたTシャツを掲げ、要求を記したビラを配るなどの抗議デモを行った男性3人(42、45、47)で、軍事政権に国民の意見を聞く場を設けるよう求めてチラシやTシャツを配った3人を警察はに一時身柄を拘束。
3人は「市民参加の公開討論会を毎週開催することなどを政府に求めているが、政府や戒厳令を批判するつもりはなかった。」と説明。
警察は市民に迷惑をかけた罪で3人にそれぞれ200Bの罰金刑を科し釈放。
昨年05月のクーデターで全権を掌握した軍政は戒厳令を発令し、政治活動を禁止、報道統制を敷いている。
国外逃亡中のタクシンが02月初めにビルマを訪れ、タクシンの友人であるタイ人実業家と投資について話し合ったということを、タクシン派の政権党であったパラン・プラチャーチョン党に所属元下院議員スラチェートが明らかに。
この実業家によると、タクシンは、「政治以外のことならなにを話し合っても楽しい。」、「ビルマは投資家にとって大きな可能性を持つ国であり、投資をした方がいい。」などと話していた。
なお、汚職で禁錮2年の有罪が確定しているタクシンは、中東のドバイを生活の拠点としている。
02月23日(月)「2013年にタマサート大学のキャンパスで演じた劇『狼の結婚』でタイ王室を批判した。」として、コンケン大学4年のパティワット・サライイェーム(24)♀と政治活動家、パラカイ・ファイ劇場の前コーディネーターのポーンティップ・ムンコング(27)♂が不敬罪に問われた裁判で、刑事裁判所は、被告2人に5年の求刑を減刑し、禁錮2年6ケ月の実刑判決を言い渡した。

 ← 左から、パティワット・サライイェーム(24)、ポーンティップ・ムンコング(27)

2人は2014年08月に逮捕、拘留され、保釈を認められないまま、判決を迎えた。罪を認め、控訴しない方針と見られる。警察はこの劇に関与した他の容疑者数人の行方も捜査している。
2014年05月のクーデターで発足した軍事政権は不敬罪による摘発を強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発し、短期の裁判で重刑を科している。タクシン派の元政権幹部ら国外にいる不敬罪容疑者約40人についても、各国に身柄引き渡しを求める方針を示している。
不敬罪の容疑者のほとんどはタクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま実刑判決を受け、控訴せずに服役する場合が多い。殺人容疑でも保釈が比較的容易に認められ、控訴が普通のタイの司法システムの中で、異例ずくめの法律と言える。
プラウィット国防相がカンボジアを訪れたことについて、プラユット首相は、「国境貿易と国境通行所に関する話し合いが目的。」と述べ、領土紛争などに関する交渉が狙いとの見方を否定。
また、カンボジアのフン・セン首相は国外逃亡中のタクシンと親交があるとされることから、今回の国防相の訪問は、「タクシン派の動きに関する話し合いが目的。」といった見方も出ていた。
なお、プラウィット国防相のカンボジア日帰り訪問には、陸軍司令官、副外相、国防事務次官など15人あまりが同行。
02月24日(火)ランサン財務事務次官が発表したところによれば、インラック前政権が導入した米担保融資制度(実質は米買い上げ)によって生じた損失が当初見通しの5180億Bを190億Bあまり上回る5370億Bに上ると見られることが明らかに。
これによって2004年から昨年までの10年間に歴代の政府が実施した米担保融資制度の損失は総額7000億Bあまりに達することになったが、その8割近くがインラック前政権下での損失。
検察が先に米担保融資制度に絡む職務怠慢でインラック前首相の起訴状を提出したことを受け、最高裁判所は、起訴状を受理するか否かを検討、決定する判事9人を選出。これら判事は03月19日に受理か不受理を決める。
米担保融資制度に関する職務怠慢については、先に立法議会でインラックを過去に遡って首相罷免、公民権5年停止とする弾劾決議案が可決されたが、今回の起訴状は、インラックの刑事責任を追及するものとなっている。
この他、「関係当局が米担保融資制度で生じた巨額の損失の賠償をインラック前首相に求める民事訴訟の準備を進めている。」と報じられている。
2010年にクルングテープでタクシン派が当時の民主党政権の退陣を要求して過激な反政府デモを展開し、治安部隊によるデモ制圧などで多数の死傷者が出たことについて、汚職制圧委員会(NACC)の調査小委員会は、「当時のアピシット首相(民主党党首)とステープ副首相(治安担当)が状況に適切に対応しなかった。」として、その責任を追及することで合意。
ウィチャNACC委員によれば、「04月10日のデモ隊と治安部隊の衝突で多数の死傷者が出たにもかかわらず、デモ対策が改められず、これが死傷者を増やす結果につながった。このため、小委員会は、その責任を追及すべく2人を弾劾すべき。」との結論に到った。なお、2人を刑事訴追するか否かについて、NACCはまだ決定を下していない。
02月25日(水)憲法起草委員会(CDC)は、元首相、元最高裁長官など5つの候補者グループの中から200人を上院議員に選び、その任期は6年で連続2選は禁止を6年とするなどとした憲法条文案を承認。
上院の判断が政治に少なからぬ影響を及ぼすことから、上院議員の選出方法などを巡ってこれまでにも論争が起きたことがある。
一昨年末には当時のインラック政権主導で上院議員全員を公選制とするとの憲法改正案が議会を通過したが、憲法裁によって違憲とされ、この憲法改正が反政府デモのエスカレートを招く結果となった。
02月26日(木)憲法起草委員会(CDC)は、政治危機を解決する必要に迫られた場合に限り非議員の民間人を首相に起用できるとの条文を新憲法に盛り込む案を承認。委員会には委員36人中31人が出席し、うち17人が同案に賛成。同案では、民間人首相の起用には下院議員の半数以上の賛成が必要で、任期は2年のみをとすることも承認。
カムヌンCDC報道官は、「新憲法下でも(通常は)首相は下院議員から選ばれる。だが、CDCは政治が行き詰まった場合に備えて打開策を用意しておく必要があると判断した。」と説明。
立法議会で、集会や街頭デモを規制する法案が賛成182反対0で第1読会を通過。
タイでは政治対立のエスカレートに伴い街頭デモがあちこちで行われ、政府の活動にも大きな支障が出ることになったが、同案では、グランドパレス、王族の居所、王室が招いた賓客の居所については、その半径150mの地域で集会を行うことが禁じられている。この他、政府庁舎、国会議事堂、裁判所に関しては、立ち入り許可エリアが設けられた場合を除き集会を行うことは禁止。また、政府機関、空港、海港、駅、バスターミナル、病院、教育機関、宗教施設、大使館、総領事館、国際機関などは、集会やデモなどによってサービスや業務が妨害されたり、出入り口がふさがれたりすることがあってはならないとされている。
02月28日(土)ウドムデート陸軍司令官はこのほど、憲法起草委員会(CDC)を批判する発言をしている人々について、「(批判)意見は直接CDCに伝えるべきである。」と述べ、今後も批判が続いた場合は何らかの措置を執る考えを明らかに。
CDCが作成する新憲法のもとで総選挙が実施され、新政権が誕生することになるが、新憲法の内容が徐々にまとまりつつあることから、軍政に反対する人々によるCDC批判も強まっている。そのためか、CDCの委員36人のうち、女性の権利拡大などに取り組んできた活動家のティチャ♀がこのほど、国家改革評議会(NRC)の評議員と憲法起草委員会(CDC)の委員を突然辞任。その理由については、ティチャは居心地の悪さなどを挙げている。
ウドムデート陸軍司令官は、「国軍としては、(CDCへの批判が強まるなどして)状況が手に負えなくなるのを黙って見ているわけにはいかない。平和と秩序を維持するのは我々の任務。」と述べた。
03月01日(日)ティチャ♀の国家改革評議会(NRC)の評議員と憲法起草委員会(CDC)の委員の突然辞任について、プラユット首相は「何を言いたいのかわからないが、辞めるのは自由。私が理由を問い質す必要はない。」と述べ、「ティチャが抜けたことで憲法起草などに影響が及ぶことはない。」との見方。
関係筋によれば、「ティチャの辞任は女性の地位向上などへの否定的反応などが原因と考えられる。」
憲法起草委員会(CDC)によって新憲法の内容がまとめられつつあるが、タクシン派プア・タイ党だけでなく、反タクシン派民主党の関係者からも批判や要求が出ていることから、プラユット首相は、「新憲法は起草の最中だ。まだ内容が決まったわけではない。」と強調。批判的発言をしている人々に対し、まずはCDCによる作業を見守るよう要請。
これまでにCDCが承認した草案の内容のうち、「政治危機を打開する場合に限って非議員の民間人を首相に起用できる。」という条項などに強い批判や懸念の声が上がっている。そのため、民主党のコーン副党首は、新憲法の是非を問う国民投票の実施を改めて要求するとともに、CDCが先に承認した「上院議員を特定のグループから選ぶ」に「利点が明確でない。」と異議を唱えた。また、プア・タイ党幹部からも「民間人の首相起用には異論がある。政治対立を招きかねない。国民投票で是非を決めるべきだ。」といった意見が出ている。
03月02日(月)国家改革評議会(NRC)は、政治家などの行いが道徳に反していないかをチェックする政治倫理審査機関の設置案を大筋で承認。倫理規範を定めるとともに、政治家、公務員、政府と事業契約を結んだ民間企業の行いが道徳的であるかを調査する。
政治倫理審査機関の設置は、倫理、道徳、グッド・ガバナンス(良き統治)を検討するNRC委員会が、新憲法に盛り込まれる予定の条文に基づいて提案したものだ。同委員会の委員長を務めるポンデートNRC評議員は、「政治家や企業などに道徳心が欠けていることがタイが直面してきた危機・不正の一因。政治倫理審査機関の設置がこの問題を解決する具体的な一歩。」と述べている。
プラユット首相が財務相、農相、商業相を交代させる考えと一部で報じられているが、プリディヤトン副首相(経済担当)は、「何も聞いていない。もし本当なら、私が知らないはずがない。」と述べ、根拠のない憶測との見方。「閣僚入れ替えの1つの理由は、ゴムなどの作物の価格下落問題が解決できていないこと」というが、プリディヤトン副首相は、「閣僚はよくやっている。」、「閣僚を入れ替える理由が見当たらない。」
プラユット首相が03月半ばに仙台で開催される第3回国連防災世界会議に出席するため、内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)の初の移動会議が延期。プラユット首相は13~14日に仙台を訪問の予定。
移動会議は13~15日にプラチュアプキリカン県で開催予定だったが、27~28日に変更。
03月03日(火)2010年のタクシン派による過激な反政府デモの制圧などにおいて多くの死傷者が出た問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)はこのほど、当時のアピシット首相とステープ副首相(治安担当)の容疑を03月10日に説明する予定と、2人が代理人に説明を受けさせる予定を明らかに。アピシット民主党党首の代理人は午前中、ステープの代理人は午後にNACCに来ることになっている。
NACCによれば、「タクシン派の反政府デモを制圧するため治安部隊が出動して死傷者が出た後、デモ対策を改めていれば、大勢の死傷者を出さずに済んだはずなのに当時の政府トップはこれを怠った。」
一昨年のインラック政権(当時)主導の憲法改正が違憲とされたことで国家汚職制圧委員会(NACC)がこの改憲に賛成した当時の下院議員250人の責任を問おうとしていることについて、NACCはこのほど、これら元議員の不正容疑に関する調書の立法議会提出を延期したことを明らかに。これは、議会で現在、同じ容疑を掛けられている元上院議員38人の事例が取り上げられていることによるもの。同事例に決着がついてから、NACCは元下院議員250人の調書を議会に提出する予定。
なお、これら元議員の多くはタクシン派であり、仮に有罪となって公民権5年停止に処されれば、タクシン派にとって大きな打撃となるのは必至。
03月04日(水)新憲法制定から2年間、現在の軍政の関係者などが政治に関与するのを禁止すべきとの案が憲法起草委員会(CDC)の一部委員から出ている。これは、軍政の役割が終わったあとも権力の座に留まろうとする者が現われる恐れがあることによるもの。具体的には、立法議会、国家改革評議会、憲法起草委員会、内閣、国家平和秩序評議会のメンバーが新憲法制定から2年間、政治に関わるのを禁止するというもの。
有能な人々が政治の場で活躍する機会を奪うことにもなるため、立法議会やCDCの主要メンバーからはすぐに批判意見が飛び出した。同案については今後論争が繰り広げられる可能性が高い。
2010年のタクシン派による過激な反政府デモの最中に命を落とした市民への賠償が高額すぎるとの訴えが出ている問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)はこのほど、「インラック前首相を訴追するか否かを03月中に決定できる。」との見通しを明らかに。
犠牲者の多くはタクシン支持者だったが、タクシン派のインラック前政権は、賠償プログラムを打ち出し、遺族に対しそれぞれ750万Bまでの賠償金を支払った。
反タクシン派の民主党がこれを問題視してNACCに提訴。遺族に支払われた賠償金は総額5億7700万Bに上る。
2009年04月にタクシン派がクルングテープで過激な反政府デモを展開し、パタヤで開催中だったASEAN首脳会議の会場に乱入した事件で、パタヤ地方裁判所は、会議を妨害した罪でアリスマンなど15人に禁錮4年の有罪判決。
この事件では、当時の民主党政権に反対するタクシン支持者たちが治安部隊に抵抗を続けてクルングテープを騒乱状態に陥れ、また、パタヤではタクシン派が首脳会議の会場を占拠したことから、ヘリコプターや船で避難した首脳もいた。首脳会議は06月に南部プーケットで厳戒態勢のもとで改めて開催された。
03月05日(木)一昨年末に当時のインラック政権主導の憲法改正が違憲とされた問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)が弾劾を請求している元上院議員38人について、ウィチャイNACC委員は、立法議会において「読会を行う中で改憲案の内容が変更されていたのに気づかなかった筈はない。」と述べ、これら元議員が憲法に抵触することを承知していたとの見方を示した。
立法議会では13日に弾劾決議案の採決が行われる予定。仮に弾劾となれば、元上院議員は過去に遡って上院議員罷免、公民権5年停止に処されるほか、改憲案に賛成した当時の下院議員についても弾劾決議案が立法議会に提出されるものと見られる。
立法議会議員70人あまりが親族を国から給与が支給される補佐役に起用していた問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)はこのほど、補佐役に採用された親族の能力や資格を詳しく調査して職権乱用に該当するか否かを判断するとの方針を明らかに。NACCはこれまで立法議会議員について調査できるかどうか定かでないとしていたが、検討の結果、権限があると判断したもの。
また、「国家改革評議会(NRC)の評議員の中にも親族を国から給与が支給される補佐役に起用した者がいる。」と報じられており、問題となる可能性がある。
憲法起草委員会(CDC)で立法議会、CDC、国家改革評議会(NRC)、内閣、国家平和秩序評議会(NCPO)のメンバーが政治に関与するのを新憲法制定から2年間禁止する案が出ていることについて、プラユット首相は、「現行の暫定憲法が禁じているのはCDC委員が新憲法制定から2年以内に政治的なポストに就くことだけ。」と述べ、それ以外の人々にまで政治関与禁止を適用する必要はない。」との考えを明らかに。
このような案が出た背景は、「NCPOの要職にある軍幹部が権力の座に居座り続けるのを防ごうとした。」との見方が支配的。
なお、1991年02月の軍事クーデターでは、軍首脳らが「政治に介入しない。」と繰り返していたものの、翌年に陸軍司令官だったスチンダが首相に就任。これに学生などが抗議して治安部隊が出動。多数の市民が死傷する事態(5月流血事件)となった。
03月06日(金)憲法起草委員会(CDC)は、CDC委員のみならず、立法議会、国家改革評議会(NRC)、内閣、国家平和秩序評議会(NCPO)のメンバーについても新憲法制定から2年間政治に関与することを禁止するとの案を退けることを決定。
現行の暫定憲法では「CDC委員は新憲法制定から2年間政治にかかわることができない。」と規定されている。だが、同案は、昨年の軍事クーデター後に設置された他の機関のメンバーにも同じことを求めるものであり、一部で強い反発が起きていた。
このほか、CDCは、総選挙を実施して国会が召集されるまでNRCとCDCが機能する、「立法議会は上院議員が選出されるまで存続する。」と新憲法に規定することを決定。
クルングテープで行われたセミナーで、プラユット首相が記者の質問に激怒して殴りそうになったというエピソードを話し、物議を醸している。演壇に立ったプラユット首相は「政府の成果は何ですか?と記者に聞かれ、聞いてきた人の顔を殴りそうになった。これだけ色々やってきたのに、見てないとはどういうことだ。」とメディアに不満をぶつけた。
この発言に対し、タイ・ジャーナリスト協会副会長で英字紙バンコクポスト記者のマーノップは、「指導者として相応しくない発言だ。」と批判。メディア関係者からは、「報道機関に対する直接的な脅しだ。」という声が上がった。
プラユット首相は陸軍司令官だった昨年05月、クーデターで政権を奪取した。以来、戒厳令を敷き、政治活動を禁止、報道統制を続けている。ぶっきらぼうな語り口と短気で知られ、記者会見の最中に怒り出し、机を叩いたり、言葉を荒らげることもしばしば。ただ、率直で裏表がないというイメージと、タイ人独特のユーモアで、国民の間で一定の人気を保っている。
03月07日(土)19時45分頃
(情報により20時頃)
クルングテープ都内チャトゥチャク区ラチャダーピセーク通の刑事裁判所の駐車場で手榴弾が爆発し、セメントの路面が破損。怪我人はなかった。現場から見つかった手榴弾の安全レバーから犯行に使われたのはソ連で開発されたRGD-5対人破片手榴弾。
タイ治安当局は現場近くで、パトゥムタニー県出身のユタナー・イェンピンヨ(34)と東北部ヤソートン県出身のマハーヒン・クントーング(34)の2人を銃撃戦の末逮捕。2人に犯行を指示した疑いなどで、タイ人の女2人(56、20)と男1人(42)を指名手配。犯行グループはタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の関係者。
ユタナーは銃傷で入院。2人は取り調べに対し、「無料通信アプリLINEを通じ、別の男女から、1万~2万Bで犯行を請け負った。」と供述。また、「犯行を指示したグループが、国連にタイへの介入を促すため、15日にクルングテープ首都圏や北部チエンマイなど100ケ所以上でテロ攻撃を計画していた。」などと話した。
治安当局は情報を入手して数日前から2人を含む者たちの行動を監視していたもので、2人が尾行されていることを知らずに犯行に及んだことからスピード逮捕となったもの。(情報により、「刑事裁に襲撃がある。」という情報を07日昼までに入手し、警戒を強化していた。)マハーヒンとユタナーが乗ったバイクが刑事裁前に乗り付け、後部座席のマハーヒンが手榴弾を投げ込んだ。その後、バイクは逃走を図り、追跡してきた治安当局の車両に向け、マハーヒンが拳銃を発砲。治安当局側が応射し、バイクを運転していたユタナーが4発被弾し、バイクは転倒した。マハーヒンは徒歩で逃げようとしたが、現場近くで逮捕された。

昨年05月のクーデターでタクシン派インラック政権を打倒した軍部はタクシン派の官僚、軍・警察幹部を大量に処分し、地方のタクシン派団体を解散させるなど、タクシン派潰しに力を入れている。インラック前首相は参政権の5年間停止処分を受け、刑事訴追された。
今月05日には、2009年04月にタイ東部パタヤ市で開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、支那、南鮮などの首脳会議の会場のホテルにタクシン派市民が乱入した事件で、パタヤ裁判所が、騒乱罪などで起訴されたタクシン派団体幹部ら15人に禁錮4年の実刑判決を言い渡し、出廷した被告13人が収監された。
タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、クルングテープの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、特権階級、南部住民とクルングテープの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。
反タクシン派はタクシンを反王室の腐敗政治家と糾弾し、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒。タクシン派は2007年の民政移管選挙で勝利したものの、2008年に「司法クーデター」と呼ばれた裁判所によるタクシン派与党解党で反タクシン派に政権を奪われた。反タクシン派政権下の2009年、2010年、タクシン派は、「特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治を捩じ曲げている。」として、政権打倒のデモを行い、2010年のデモでは治安部隊との衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷。
タクシン派は2011年の下院総選挙で再度勝利し、タクシンの妹のインラックが首相に就任。しかし、2013年10月から、インラック政権打倒を目指す反タクシン派市民のデモがクルングテープなどで拡大。2014年01、02月には数万人がクルングテープの主要交差点を長期間占拠。05月に入り、軍が治安回復を理由に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握。軍は今年に入っても戒厳令を継続し、政治活動を禁止している。
03月08日(日)国家改革評議会(NRC)の仏教擁護委員会がタイ仏教界の最高意思決定機関、サンガ最高評議会(SSC)が問題無しとした後もタマカーイ寺住職の還俗を求め続けたことなどで仏教界の反発が強まっていた問題で、タイ仏教徒協会(BAT)は、「仏教擁護委員会の解散を受け、12日に都内サナムルアン(王宮前広場)で予定していた抗議集会の中止を決めた。」と発表。
BATによれば、「委員会に抗議するための集会の開催は、タマカーイ寺住職を擁護することなどを目的としたものではなく、仏僧と仏教徒のためになると考えた結果。」とのこと。
03月09日(月)都内ラチャダピセーク通の刑事裁判所で敷地内に投げ込まれた手榴弾が爆発した事件について、プラユット首相は、政府や軍部に反感を持つ者が自らの存在を知らせようとしたものとの見方を示した。事件直後に2人の男が逮捕されたが、警察は「関与が疑われる9人の逮捕状を取った。」と発表。
プラユット首相は、「彼らは騒ぎを起こして人々に恐怖心を抱かせようとしている。これは自分らのことを人々に知らせようとしたメッセージだが、首謀者も手下も愚か者だ。」、国内の政治的な軋轢が解消されない限り、新たな憲法が公布されたとしても総選挙を行わない。」と発言。
タイ地元紙によると、プラユット首相はこの事件について、「現在隣国に逃走中の元プア・タイ党党首が関与している反独裁民主主義同盟(UDD)関連組織が背後にいるものと見ている。」と明かしている。
また、「逮捕された犯人の1人がチャイヤシット元国軍最高司令官と繋がりがある。」と報じられているが、チャイヤシットは、「犯人の妻が数年前に助けを求めに来ただけ。夫が誰かも知らない。」と述べ、事件への関与を全面的に否定。
現在起草作業が進められている新憲法について、タクシン派プア・タイ党の幹部が、「国民と主権への信頼・尊敬が感じられず、非議員のエリートに大きな権限を与えるものだ。」などと批判。さらに、「このような憲法が制定されれば混乱が生ずる。」と指摘し、この点については、最大のライバルである反タクシン派・民主党とも意見が一致している。アピシット民主党党首(元首相)は、「新憲法は政治問題に対する回答ではない。民主主義を後退させるものだ。」などと批判的な見方を公言している。
03月10日(火)新憲法起草の第1段階が完了したことから、憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長が3月10日、国家改革評議会(NRC)で新憲法の主要目的を説明。それによると、「新憲法は国民に政治家と同じ権限を付与するとともに、国政における国民の役割を拡大するものとなっており、市民を重要視した点などで1997年憲法と2007年憲法より優れた内容となっている。」
プラユット首相の指示で、政府の仕事ぶりを国民に伝えるために無料のタブロイド判タイ語新聞「国民のため」が2週間に1回発行されることになった。
そのサンプル(A4サイズ、8頁)約200部が、政府庁舎で報道関係者などに配られた。今回の1面記事は「タイ政府、不動産税は国民に影響しないと主張。」という財務相による固定資産税の解説。
また、政府広報局のアピナン局長によれば、「プラユット首相はサンプルを見て、目立つようにとサイズをA4からタブロイドに変更するよう指示した。」
また、関係筋によれば、「頁数も12頁に増やされる可能性がある。」
都内で刑事裁判所に投げ込まれた手榴弾が爆発し、犯人2人が逮捕された事件で、犯人の1人が「03月14日に100ケ所で事件を起こすことが計画されている。」と述べていることから、警察当局が攻撃対象となる恐れのある政府機関などの警備を強化している。
警察は、02月01日にクルングテープ中心部のサイアムスクエアで起きた爆弾事件にもこの2人が関与しているとの見ている。
また、国家安全保障会議(NSC)のアヌシット事務局長によれば、犯人の1人が「『ィアーという名のオーストラリアを拠点とする人権活動家に(事件を起こすよう)頼まれた。『と証言しているが、今のところ裏付けは取れていない。」
03月11日(水)憲法起草委員会(CDC)が新しい選挙制度の導入を決めたのを受けて、中央選挙管理委員会が新制度に合わせた選挙区設定の作業を開始した。新制度ではクルングテープの定数は10減らされる見通し。下院の定数は現在の500から450~470に減らされ、うち250人あまりは選挙区選挙、残りが比例代表選挙で選ばれる予定。
インラック前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じたことについて、当局がインラック前首相の責任を追及しようとしているが、ソムマイ財務相が損失を調査する委員会の長を務めるようプラユット首相に求めている。ソムマイ財務相によれば、「調査されるのが首相経験者であることから、プラユット首相が調査する側の責任者となるのが望ましい。」
調査委員会は、インラック前首相の責任を調べる財務省管轄の委員会と、ブンソン前商業相の責任を調べる商業省管轄の委員会の2つが設けられる予定。調査は09月01日までに完了する見通し。
昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の両親が不敬罪に問われた裁判で、タイ刑事裁判所は、被告2人に禁錮2年6ケ月の実刑判決を言い渡した。2人は罪を認めており、控訴せず服役すると見られる。実刑判決を受けたのはアピルット・スワディー(72)と妻のワンタニー・スワディー(66)。起訴状によると、2人は2003年、王室系財団職員の女性(32)を王室の名を騙って脅し、虚偽の罪で服役させた。

左から、ワンタニー・スワディー(66)、シーラット・スワディー(72)→ 


不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。

左から、ワチラロンコン(สมเด็จพระบร มโอรสาธิราช เจ้าฟ้ามหาว ชิราลงกรณ สยามมกุฎราช กุมาร、鄭冕)王太子(62)、アピルット・スワディー元王太子妃(43)→ 

シーラット・スワディー元王太子妃の家族、親族は昨年11月下旬から今年にかけて相次いで逮捕され、不敬罪、土地の不法占拠などで姉が禁錮4年、義兄のコーウィット前警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)が禁錮1年6ケ月、おじのポンパット前警察庁中央捜査局長(警察中将)が不敬罪、資金洗浄、収賄などで禁錮31年9ケ月の実刑判決を受けた。シーラット・スワディー元王太子妃の兄と弟も不敬罪、恐喝などの容疑で逮捕拘留されている。元王太子妃の一族は昨年11月下旬、ワチラロンコン王太子事務局の指示で、タイ王室から与えられた姓を剥奪された。
一連の事件ではほかにも、警官、民間人合わせ数十人が逮捕され、コーウィット前中央捜査局副局長(警察少将)が不敬罪、収賄などで禁錮26年、ブンスープ前警察庁水上警察局長(警察少将)が資金洗浄、収賄などで禁錮9年の実刑判決を受けるなど、猛スピードで裁判が進んでいる。司法当局によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取り、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。
この事件では、米経済誌フォーブス2014年版タイ富豪番付で31位、資産8億US$の風力発電事業会社ウインド・エナジー・ホールディングのノポン・スピパット社長も不敬罪、恐喝などの容疑で昨年12月に指名手配。ノポンは国外に逃亡。
警察はこれまでに、ポンパット中将らが所有する家屋十数ケ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など数十億B相当を押収。押収された美術品、骨董品の一部は03月05~08日に競売にかけられ、3840万Bで落札された。2度目の競売は3月下旬に行われる予定。
03月12日(木)立法議会で、改憲が違憲とされた問題に絡んで元上院議員38人を過去に遡って議員罷免とし、公民権5年停止に処すとの弾劾決議案が否決。弾劾は国家汚職制圧委員会(NACC)が請求していたものだが、賛成票が議員数の5分3に及ばず否決となった。
改憲は一昨年末に当時のインラック政権主導で行われたが、すぐに憲法裁判所が違憲と判断し、改正が無効とされた。
刑事裁判所は、王室関係者と偽って130万Bを騙し取ったエカチャイ・プロイヒン、仇名エフ♂(28)に不敬などの罪で禁錮5年の有罪判決。10年の求刑だったが、白状したため半減された。
エカチャイは2008年12月12日、夫パイトーン・ネミセーンが薬物容疑で捕らえられたブサコーン・オウンチャイ♀に接触して「自分はシーラット王太子妃の甥。ご主人を自由にしてあげることができる。」と言って200万Bを要求。しばらくしてブサコーンがやっとの思いで集めた130万Bをエカチャイに渡したが、夫は保釈もかなわず、禁錮刑が言い渡されて騙されたと気づいた。
クルングテープ都内の刑事裁判所の敷地内で手榴弾が爆発した事件で、首謀者とされる女が、ラオと国境を接する東北部ムクダハン県で逮捕。
この事件では爆発の直後に2人が逮捕され、また、関与が疑われる数人が逮捕されているが、警察はその自供から「首謀者はディアーと呼ばれる女で、オーストラリアでなく今もタイにいる。」との情報を得ていた。女はクルングテープに移送され、取り調べが行われている。
03月13日(金)ソムヨット警察庁長官は、クルングテープ都内ラチャダピセーク通の刑事裁判所で07日夜に駐車場に投げ込まれた手榴弾が爆発した事件の捜査状況を説明し、同事件と02月01日にサイアムスクエアで鉄パイプ爆弾2個が爆発して近くにいた2人が軽傷を負った事件について「(犯人らは)同様のイデオロギーを有している。」と述べ関連性があるとの見解を明らかに。
手榴弾事件では爆発の直後に実行犯2人が逮捕されたが、警察は、実況見分を行い、どのようにオートバイから手榴弾を裁判所の敷地内に投げ込んだかなどを2人に再現させた。
03月14日(土)プラユット首相は13~14日、第3回国連防災世界会議に出席するため、日本を訪れ、仙台で安倍首相と会談し、ここでタイにおける高速鉄道開発に関する2国間交渉を加速することを合意。
安倍首相との会談は約40分間行われた。安倍首相はプラユット首相が東京-仙台間で東北新幹線を利用したことに言及し、「タイの鉄道整備計画に積極的に協力したい。」と述べた。また、今年01月から導入されたタイの新たな投資奨励策に関し、日本企業の要望を踏まえた適切な対処を要請。東日本大震災後のタイによる食品輸入規制(宮城県、福島県、群馬県が対象)の早期撤廃も改めて求めた。プラユット首相はこれに対し、「食品輸入規制については緩和に向けた検討を加速している。」と応じた。両首脳はまた、ビルマのダウェー経済特区開発で協力することを確認。
プラユット首相は13日にタイ空軍機で羽田空港に到着し、帝国ホテルに宿泊。14日、東北新幹線で仙台に移動。
プラユット首相は昨年12月に支那訪問の際に、北京-天津間の高速鉄道に試乗。今年02月の訪日では、東京駅から新大阪駅まで東海道新幹線を利用。
新憲法の草案に対し独立機関から批判意見が出ていることから、ウィサヌ副首相(司法担当)は、これら独立機関から意見を聞いて憲法起草委員会(CDC)に伝える意向を明らかに。
独立機関のなかでは中央選挙管理委員会や国家人権委員会が、新憲法の内容についてウィサヌ副首相と話し合いたいとの姿勢を明らかにしている。中央選管は選挙実施の権限を新機関に付与することに反対しており、国家人権委は国家人権委員会とオンブズマン事務所の合体に反対している。
ただ、ウィサヌ副首相は、「意見は伝えるが、CDCが耳を傾ける保証はない。」とも述べた。
03月15日(日)刑事裁判所の敷地内に手榴弾が投げ込まれ爆発した事件で、ソムヨット警察庁長官は、「米国在住のマヌーン・チャイチャナが手榴弾攻撃のために資金を提供した疑いが強まった。」として、その身柄の引き渡しを米当局に要請する方針であることを明らかに。
不敬罪にも問われているマヌーンは、この事件で警察が逮捕状を取った5人目の犯人。残り4人の犯人は、ノラパット・ルアポール(仇名バス)、スパポーン・ミタラック(仇名ディア)、ワッサナ・ブスディー、チェッサダポング・ワッタナ・ポーンチャイシリー。警察によれば、「マヌーンの提供した資金が実行犯を雇うために使われた。」この事件で逮捕状が発付された犯人は計14人で、うち12人がすでに逮捕されている。
なお、マヌーンは、これまでに逮捕された犯人について「全く面識がない。」と述べ、事件への関与を全面的に否定している。
新憲法の是非を問う国民投票の実施が論議されている中、国家改革評議会(NRC)のプラサン評議員はこのほど、1997年憲法、2007年憲法、現在起草作業が進められている新憲法の3つからひとつを選ばせる国民投票の実施を提案。
現行の暫定憲法には、新憲法に関する国民投票を実施するとの規定は存在しないものの、主要政党などがその実施を求める意見を表明している。
プラサン評議員によれば、「国民によって新憲法が選ばれれば、新憲法は国民の信任を得たことになり、また、国民投票を実施することで憲法に対する国民の理解が深まることが期待される。」
03月16日(月)新憲法の最初の草案がまとまったことを受けて声高に国民投票の実施を求めたり、内容を批判したりする意見が出ていることから、プラユット首相は、「現在はまだ憲法作成の初段階に過ぎない。」と指摘。批判者らに対し、憲法起草委員会(CDC)などの作業を妨害するような意見を控えるよう呼びかけた。
プラユット首相によれば、これからの選択肢は、憲法草案について意見をまとめた上で国王の承認を求めるか、憲法起草をやり直すか、の2つしかなく、批判などが続くようなら、憲法草案を最初から作り直す必要がある。その場合、さらに時間が掛かり、総選挙も新政権の誕生も遅れることになる。」
また、新憲法の是非を国民に問う国民投票の実施を二大政党(プア・タイ党、民主(プラチャーティパット)党)が求めているが、プラユット首相は、「決定を下すのは時期尚早。」と述べ、明言を避けた。
軍と警察の合同部隊が中部サラブリー県の森の中にある仏教寺院を捜索し、ライフル、拳銃など銃6丁、銃弾約100発、手榴弾1個、鉈、迷彩服、赤旗などを押収し、住職インタ・ブアッカムスリ(53)を逮捕。治安当局は、寺がタクシン派団体UDD(通称、赤服)の拠点だったと見て捜査を進めている。
昨年05月のクーデターでタクシン派政権を倒した軍部は、タクシン派の官僚、軍・警察幹部を左遷する一方、戒厳令で政治活動を禁止し、全国規模でタクシン派の摘発を展開している。
03月17日(火)最高検察庁は、インラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度「米担保融資制度」をめぐる汚職で、ブンソン元商務相らをタイ最高裁判所政治家刑事犯罪部門に起訴。有罪の場合、最高で終身刑と352.7億Bの罰金が科される。
起訴されたのはブンソン元商務相のほか、プーム元副商務相、マナット元商務省貿易局長ら政治家3人、官僚3人、民間人13人と企業2社。ブンソン元商務相らは、米担保融資制度でタイ政府が買い上げた米の一部を支那の企業2社に安値で転売し、この米をタイ企業が買い取り、タイ国内で販売したとされる。
米担保融資制度をめぐっては、今年02月、「汚職と巨額の損失を知りながら米担保融資制度を継続した。」として、インラック前首相が職務怠慢で最高裁政治家刑事犯罪部門に起訴された。最高裁政治家刑事犯罪部門は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷で、1回の審理で判決が確定し、上訴できない。
米担保融資制度はインラック政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっているという指摘もあった。国際通貨基金(IMF)も、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判。2014年05月のクーデターでインラック政権を倒したプラユット軍事政権によって廃止。タイ財務省の2015年01月時点のまとめによると、米担保融資制度による最終的な損失額は5000億B近くに上る見通し。
都内の刑事裁判所に手榴弾が投げ込まれた事件で、警察当局は、「事件に関与した疑いで2010年の大規模反政府デモの最中に起きた銃撃事件の重要証人である看護婦のナタティダを含む3人を逮捕した。」と発表。
当時、大規模反政府デモを展開していたタクシン派は治安部隊に追い詰められて2010年05月19日にデモ中止を宣言。その混乱の中でタクシン派が拠点としていたラーチャプラソン交差点に近接する寺院に人々が避難することになったが、その際、何者かによる発砲で6人が死亡。その寺で負傷者を治療していた医療チームにボランティアとして参加していたのがナタティダ。タクシン派は「数日前にナタティダが軍人に連行された。」と主張し、軍部がこれを否定していたが、最終的に軍当局が、身柄を拘束していたこと、身柄を警察に引き渡したことを認めている。
プラユット首相が、クルングテープで13日に開かれた国際会議の席上、「私は米国には入れない。」と述べたことについて、「軽い冗談だったがマスコミが取り上げたことで注目されることになった。「と説明。「会議の出席者に米国人が多かったことから米国人に受けそうなジョークを言ったに過ぎない。」
プラユット首相によれば、「米国がプラユットを入国禁止とした事実はなく、9月にニューヨークで開催される国連総会にも予定通りに出席する。」
ポンペット立法議会議長は、新憲法草案が完成に近づいた時点で戒厳令を解除して他の治安措置を導入することを提案する考えを示した。
昨年05月のクーデター直前に発令された戒厳令については、未だに解除されないことに国際社会から批判的な意見が出ている。ポンペット議長は治安対策緩和を提言する時期を06~08月頃としている。
首都警察は記者会見を開き、麻薬摂取や妻の日本人、勝美美穂(37)に対する暴行などの疑いで、タイ人男の「サコンナコン県チャロエンスリップ郡居住のルンロート・トラップシ(34、報道により35)を16日午後09時40分バンナー区ワットチラタム・サティット通ソイ2の中央で逮捕した。」と発表。
妻の美穂が16日、警察に被害届を出した。それによると、ルンロートは長男が生まれた3年前から、酒、覚醒剤メタンフェタミン(ヒロポン)を摂取して、繰り返し美穂に暴力を振るった。生活費は美穂の稼いだ金に依存し、今月も美穂から現金7万Bを奪った。
ルンロートは逮捕時の尿検査で覚醒剤の陽性反応が出た。取り調べに対し、犯行を認めている。
記者会見では、美穂が負った傷の写真のほか、美穂のパスポートの顔写真などが公開された。
03月18日(水)刑事裁判所の駐車場に手榴弾が投げ込まれた事件で、スパポーン・ミタラック(ディア)♀(49)とチェッサダボング・ワッタナポーンチャイシリ(44)♂の身柄が軍から警察に引き渡された。

 ← スパポーン・ミタラック(ディア)

2人は実行犯を雇ったとされるスパポーンとその協力者チェッサダボング。連行された警察庁本部ではソムヨット警察庁長官が自ら2人の取り調べを行った。スパポーンは不敬罪に問われている米国滞在中のマヌーン・チャイチャナから直接犯行を依頼されたと見られている。
プラユット政権の後ろ盾である、軍首脳などで構成される国家平和秩序評議会(NCPO)は、「意見が異なるという理由だけで政府は人を逮捕している。」との国家人権委員会(HRW)の批判に「法を破った者に法的措置が執られているだけ。」と反論。
国家人権委員会(HRW)はウェブサイトに掲載した声明の中で、「政府は政治的な活動をした人や5人以上の集会を行った人々を戒厳令に違反したとして逮捕している。」、「政府は意見が異なるだけで法的措置を執ったり、逮捕したりすべきではない。」と批判。
だが、NCPOのウィンタイ報道官は、「HRWは誤解しているのではないか。政府は法を破った者にしか法的措置を執っていない。この点ははっきりさせる必要がある。」
03月19日(木)インラック前首相が、事実上の米買い取り制度、米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして、職務怠慢と権力乱用で特別裁判に掛けられることが決まった。最高検察庁が02月19日に提出した起訴状を最高裁判所が受理。
裁判は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷である最高裁政治家刑事犯罪部門で行われる。初公判は05月19日午前09時30分から開始される予定。これにはインラックが自ら出廷する必要があり、出廷しない場合は逮捕状が出る。有罪の場合、インラック前首相は最長で20年の禁錮刑を受ける。また、同日にインラックの保釈を許可するか否かも検討される予定。インラックは事前に保釈を請求することも可能だが、最高裁が保釈不可とした場合、インラックは直ちに勾留される。
インラックは、インターネットの交流サイト、フェイスブックで、選挙で民主的に選ばれた政権の経済政策が刑事訴追の対象となることに違和感を示し、司法システムの公平性に疑念を投げかけた。
2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒したプラユット軍事政権は米担保融資制度を同年中に廃止。在庫米の放出を急ぐ一方、米担保融資制度をめぐる汚職捜査を進め、インラック政権のブンソン元商務相、プーム元副商務相ら政治家3人、マナット元商務省貿易局長ら官僚3人、民間人13人、企業2社を今月17日汚職で起訴。
国家改革評議会(NRC)のティエンチャイ議長は、「憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法の最初の草案が04月17日までにNRCに提出され、NRCが04月20~26日にかけて草案の内容を詳しく検討する予定だ。」と明らかに。また、その後30日のうちにさらなる検討を行って修正すべき点などをCDCに伝える。これについて、ティエンチャイ議長は、「CDCはNRCの提言に基づいて草案を修正しなければならないわけではない。だが、修正しない場合はその理由が説明されるだろう。」その後、CDCは新憲法の最終案をまめることになるが、それがNRCに提出されるのは08月か09月になる。
この他、プア・タイ党や民主党から新憲法の是非を問う国民投票を実施すべきとの声が出ているが、ティエンチャイ議長は、「その件は5月に話し合われることになろう。」と述べている。
03月20日(金)軍事裁判所は、「王室に関する不適切な落書きをしたのが不敬罪に当たる。」としてオパート(67)に禁錮1年6ケ月の有罪判決。オパートは昨年10月15日、クルングテープ都内シーナカリン通のショッピングセンターのトイレの壁に不敬な文言を書いたことで逮捕された。
また、オパートの弁護士が「オパートは目に疾患があり治療が必要。」と訴えて執行猶予を請求したが、裁判所は、落書きが人の目に触れやすいものであったこと、すでに減刑されていることなどを理由に請求を却下。
03月21日(土)都内ラチャダピセーク通の刑事裁判所に手榴弾が投げ込まれて爆発した事件で、先に逮捕された看護婦のナタティダが「犯行を止めさせようとした。」と主張していることがわかった。
弁護士によれば、「ナタティダは逮捕された他の犯人らと連絡を取り合っていたことは認めたものの、これら犯人が(国外逃亡中の)タクシンへのプレゼントとしてバレンタインデーにクルングテープで爆弾事件を起こそうとしているのを知り、『タクシンは暴力的な人ではないので攻撃を評価しない。』と言って犯行を止めさせようとした。しかし、他の犯人らが聞き入れようとしなかったため、ナタティダはグループを抜けた。」
03月22日(日)クルングテープの南約140㎞のプラチュアップキリカーン県フアヒンでこのほど、03月27日と28日に移動閣議が開催される予定の軍施設から約2㎞の森林の中で筒状の容器に入れられたTNT火薬、プラスチック爆弾、小銃の弾薬などが大量に発見された。カンボジア人の出稼ぎ作業員が偶然見つけたもの。閣議を妨害するなどの目的で準備された可能性もあり、関係当局が関連性を調査している。
タイでは、政治的混乱のエスカレートで暴力が拡大する事態を繰り返すことがないよう、政治対立を解消して国民和解を実現することが最大の課題となっているが、憲法起草委員会(CDC)のアネック委員はこのほど、先にまとめられた新憲法の最初の草案について、「民主党とプア・タイ党を含む連立政権の誕生に向けたメカニズムを提供するもの。」と説明。
民主党は、タイで最も歴史ある政党であり、タクシン流の政治手法には一貫して反対の立場を表明している。一方、プア・タイ党は、タクシン創設のタイ・ラック・タイ党の流れを汲む最大のタクシン派政党。
アネック委員は、「民主党とプア・タイ党というライバル政党から国民和解を開始する。両党は(連立政権を組むことで)同僚として、また、民主主義をなす部分として力を合わせなければならない。」と述べた。
03月23日(月)移動閣議の開催予定地、プラチュアプキリカーン県フアヒンで爆薬の入った筒状容器などが数十個見つかった問題で、プラユット首相は、「閣議開催とは無関係の可能性が高い。」と、移動閣議を予定通り27日と28日に開く方針を明らかに。
また、これら爆発物については、タイ陸軍のものであることを示すシールが貼られていたが、ウドムデート陸軍司令官(副国防相)は、「このようなシールは災害時に軍が支給する救援物資などにも貼られており、シールだけで軍の施設から持ち出されたものと断定することはできない。」
03月24日(火)刑事裁判所に手榴弾が投げ込まれて爆発した事件で、アムネスティ・インターナショナルが「戒厳令下で身柄拘束中の容疑者が拷問された可能性がある。」との見方を示しているとされることについて、プラウィット副首相(治安担当)兼国防相は、「容疑者らは間違ったことをしたとみられるため捕らえられることになった。容疑について調べる必要がある。拘束中に殴られたりした者はいない。」と明言し、「拷問はあり得ない。」との見解を明らかに。また、「戒厳令は当局に容疑者への暴力を許すものでもない。」と付け加えた。
プラソン元外相が「民主主義の原則から逸脱している。」などと新憲法の草案を批判するとともに2007年憲法を模範に新憲法を作成するよう求めたことについて、憲法起草委員会(CDC)のボウォンサック委員長は、「新憲法は状況の変化に対応するものでなければならず、これは過去の憲法の手直しでは実現できない。」と反論。
プラソンは、昨年05月の軍事クーデターに伴い廃止された2007年憲法の起草委員会の最高責任者だった人物で、反タクシン派とされる。2007年憲法は、2006年09月の軍事クーデターでタクシン政権が崩壊し、それまでの憲法が廃止されたことを受けて制定された憲法。
プラソンによれば、「2007年憲法は欠点もあるものの、良い部分を新憲法に採用することが可能であり、まったく参考にしないのは間違っている。」という。
しかし、ボウォンサック委員長は、「新憲法は国家改革と国民和解に向けたものであり、前例がない。」と述べ、「過去の憲法とは性質が大きく異なる。」と説明。
03月25日(水)プラウィット副首相とプリディヤトン副首相の不仲説などが報じられたことに対し、プラユット首相は、「今も国家平和秩序評議会(NCPO)議長であり、その権限で虚偽の記事を書いた記者を厳罰に処すことができる。」と述べ、強い不快感を示した。
この他、内閣改造の可能性が報じられていることに触れ、プラユット首相は、「改造を口にしているのは君たち(メディア)だけだ。現在の状況下で改造によってなにが良くなるのか教えてほしい。」とメディアを批判。
テレビ局がインドネシアの島に取り残されたタイ人漁民に関する調査結果を報じたことについても、プラユット首相は、「これまでの政府が触れようとしなかった問題。それを今我々が解決しようとしている。その詳細を報じることはタイの国益を損なうことになる。」と述べ、メディアに報道を自重するよう促した。
03月26日(木)プラチン運輸相によれば、タイにおける複線鉄道建設についてタイの運輸省と日本の国土交通省の間で03月31日に協議が行われる予定で、ここで一定の進展が見られる見通し。また、タイ政府は3つのルートへの鉄道建設を発表し、日本側はまだどのルートに建設するのか決めていない状況だが、運輸相によれば、「日本はカンチャナブリ-クルングテープ-アランヤプラテート-レームチャバンのルートを選ぶ可能性が最も高い。」
03月27日(金)プラユット首相は、プラチュアプキリカン県フアヒンでの移動閣議に出席したあと、報道陣に対し、「戒厳令を解除し、その代わりに自らに治安に関する大きな権限を付与する命令を発令することを考えている。」と明らかに。
昨年05月にクーデターで全権を掌握したプラユット陸軍司令官(当時)を含む軍首脳などで構成される国家平和秩序評議会(NCPO)ではプラユット首相が今も議長の座にあり、また、現政権の後ろ盾的な存在となっている。プラユット首相によれば、「NCPOが治安対策を発令することで戒厳令を解除することも可能。」という。ただ、プラユット首相は、「戒厳令解除は状況次第。」と述べただけで、解除の時期には言及していない。
03月29日(日)プラユット首相が戒厳令を解除する代わりに国家平和秩序評議会(NCPO)が治安維持などにおける大きな権限をプラユットに付与する可能性に言及したことに対し、「暫定憲法44条に基づいて司法、行政、立法に関する絶対的な権限を付与するつもりではないか。これが人権侵害につながる恐れがある。」といった懸念の声が上がっている。
ナレスアン大学法学部のヨートポン講師によれば、「44条は「独裁的な法」であり、戒厳令と変わらない。」チエンマイ大学法学部のソムチャイ准教授、ラムカムヘーン大学法学部のスクム准教授、司法改革委員会のパイロート委員なども44条の発動に批判的な意見を示している。
国家改革評議会(NRC)が進めようとしている仏教改革に僧侶らが反対しており、03月31日にクルングテープ都内ロイヤルプラザで予定されている抗議集会には僧侶など数千人が参加する見通し。集会の呼びかけ人は、タイ仏教徒教会(BAT)顧問を務める仏教大学の副学長。
仏教界とNRCの仏教擁護委員会(すでに解散)との間ではタマカーイ寺問題などを巡って一悶着あったが、NRCが同委員会の報告を了承したことで、仏教界では、委員会はすでに存在しないものの、委員会の意向に沿って仏教改革が進められるとの懸念が強まっている。報告は、寺院や僧侶の所有する資産を管理するための法制定などを求めるものとなっているが、仏教界では、「改革の最大の標的はタマカー イ寺とタマカーイ寺の住職。」との見方が有力。
03月30日(月)プレム枢密院議長(元首相)は、オンブズマン室創設15周年記念セミナーの席上、「国内を二分する政治対立問題を解決できるのはグッドガバナンスだけ。」と述べ、「適切な権力行使や政府が国民に対し責任を負うことなどを怠っていては国内状況を改善することはできない。」との見方を示した。
タイでは、2001年にタクシン派が農民などの支持をとりつけて総選挙に勝利したものの、クルングテープなどではその政治スタイルに批判の声が強まり、国内はタクシン支持、反タクシンに二分されることになった。対立は現在も続いており、これを解消して国民和解を実現することが現政権にとって最大の課題となっている。
「インドネシアで漁業に従事するピルマ人などが奴隷のように扱われているとされ、これにタイの企業も関与している。」と報じられていることから、人身売買問題に改めて注目が集まっているが、プラウィット副首相は、「前政権は人身売買問題の解決に力を入れ、成果を上げた。」とのインラック前首相の主張を否定。
インラック前首相は、この問題に関連して批判されるのを嫌い、前政権の「努力」に言及したものと見られる。
だが、プラウィット副首相は、「前政権を批判するつもりはないが、前政権下で人身売買問題の解決に進展がなかったことは指摘しておきたい。」と述べている。
国家平和秩序評議会(NCPO)議長に絶対的な行政権・司法権・立法権を付与できるとの現行の暫定憲法44条が適用される可能性が出てきたことから、国家人権委員会(NHRC)などがプラユット首相(NCPO議長)の権限乱用、それに伴う人権の侵害に懸念を表明る。
しかし、プラウィット副首相は、「44条は悪意を持つ者たちによる反国家的な行為を防止するためのもの。善良な人々はなにも心配することはない。人権侵害も起きない。」と強調。
政府は、戒厳令が施行されたままであることに諸外国が批判的なことから、戒厳令を解除して代わりに44条に基づいて首相の権限を強化することを検討している。なお、NHRCは、戒厳令を解除した場合は代わりに44条を発動するではなく戒厳令より緩やかな国内治安法を適用するのが良いとしている。
03月31日(火)プラチン運輸相は、日本の国土交通省幹部と話し合ったあと、「日本側がカンチャナブリからサケオとクルングテープからチエンマイの2ルートに複線鉄道を建設することに強い関心を示している。」と明らかにし、プラユット首相が日本側の要求を受け入れるとの見通しを示した。
現在は首相の承認を待っているところで、承認が出れば、04月末には閣議で承認されて、5月には2国間で覚書が取り交わされる見通し。事が順調に進めば、来年にも建設工事を開始の予定。
憲法起草委員会は、下院議員選挙における比例代表選挙で政党は候補者の3分の1以上を女性としなければならないとする法律を賛成17、反対13、棄権2で承認。
スパトラ憲法起草委報道官によれば、同法における「女性」とは生まれながらの女性を指し、いわゆるニューハーフは女性と見なさない。ただ、「将来的には改正される可能性もある。」
この他、憲法起草委では、地方選挙においても候補者の一定割合を女性とすべきとの提案が取り上げられたが、地方選挙は下院選と違って無所属で立候補できることもあり、「制約が多くなりすぎて不都合。」との理由で却下された。
プラユット首相は、戒厳令解除の発表に国王の承認を得るための手続きを取ったこと、暫定憲法44条の適用を命ずる準備を進めていることを明らかに。
憲法44条は、国家平和秩序評議会(NCPO)議長すなわちプラユット首相に絶対的な行政権、司法権、立法権を付与するというもの。ただ、プラユット首相によれば、44条の適用下でも軍事裁判所が裁くのは国家安全保障にかかわる事案のみ。
関係筋によれば、諸外国は戒厳令解除を歓迎する姿勢を見せているものの、首相に絶対的な権限が付与されることで人権侵害が起きるのではないかと懸念する声も出ている。このため、欧州連合(EU)は44条適用についてタイ政府に説明を求めている。
インターネットの交流サイト、フェイスブックに昨年、タイ王室を侮辱するコメントや写真を投稿したとして、実業家のタイ人男性(58)が不敬罪に問われた裁判で、タイ軍法会議は、被告に禁錮25年の実刑判決。
昨年05月から発令されている戒厳令に基づき、不敬罪の裁判は民間人の場合も軍法会議が取り扱う。通常と異なり、軍法会議は1審制で、控訴が認められない。男性は昨年12月に逮捕され、保釈を認められないまま、判決を迎えた。
今年02月には、2013年に国立タマサート大学のキャンパスで演じた劇でタイ王室を批判したとして、大学生のパティワット・サライイェーム(24)と政治活動家のポーンティップ・ムンコング(27)♂が禁錮2年6ケ月の実刑判決を受けた。03月には、「 トイレの壁に王室を批判する落書きをした。」として、オパート(67)が禁錮1年6ケ月の実刑判決を言い渡された。
04月01日(水)夜昨年05月の軍事クーデター直前に発令された戒厳令が、国王がプラユット首相の解除請求を承認し、ようやく解除。
これを受けてプラユット首相は同日、国家平和秩序評議会(NCPO)議長の権限で、暫定憲法44条を適用して軍に治安維持などにおいて広範な権限を付与するとの命令を発令。具体的には、国家安全保障に関連する場合、軍は令状無しで容疑者の身柄を7日間拘束できるほか、不適切と判断した情報を報道するのをメディアに禁ずることができる。さらに軍はどこでも家宅捜索できるほか、誰にでも出頭を命ずることもできる。また、戒厳令が禁じていた5人以上の政治集会は、44条適用下でも禁止。
なお、44条適用については、絶対的権限を付与されたNCPO議長(プラユット首相)による権限乱用、人権侵害などを懸念する声が出ているが、プラユット首相は、「土地・森林の割り当てや社会的不平等の問題、航空局の問題、人身売買などを解決するために44条適用を決めた。」と説明。
「戒厳令」の名称は消えたものの、これまで通り、政治活動の禁止、集会禁止、言論報道統制、逮捕状なしでの身柄拘束、不敬罪や安全保障に関する市民を対象とした軍法会議による裁判などが継続する。
以前からプラユット首相は、「現在の政治情勢を混乱させようとする勢力がいる限り、戒厳令の解除はしない。」と発言していたが、戒厳令下と同じような権力を有することが可能な暫定憲法の44条を適用することで、戒厳令を解除することを決めた模様。戒厳令については、人権侵害とする欧米各国や、タイのイメージ悪化を懸念するタイ国内の旅行業者などが解除を求めていた。今回の措置はこうした要請を受けたものと見られるが、実質的には締め付けが強化された部分もあり、プラユット首相の独裁色が強まるという懸念も出ている。
04月02日(木)01日夜にタイ全土に発令中の戒厳令が解除されたが、依然国家平和秩序評議会(NCPO)が同様の権力を持った状態が続くことから、在タイ日本国大使館は引き続き注意するよう呼びかけている。

戒厳令の解除及び暫定憲法第44条に基づく命令の発出(2015年4月2日現在)

1 1日夜,昨年5月20日に全国に発出された戒厳令を解除する旨官報をもって発表されました。

2 他方,同日,暫定憲法第44条に基づくNCPO命令が発出されました。このNCPO命令においては、引き続き,治安維持に関わる,言論や集会の自由が制約される等の規制が発表されています。タイへの渡航・滞在を予定している方及び既に滞在中の方は,引き続き大使館からのお知らせ( http://www.th.emb-japan.go.jp/ )を含め関連情報に十分注意をお願いします。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館
電話:(66-2)207-8502,696-3002
FAX :(66-2)207-8511
戒厳令の解除を受けて暫定憲法44条が適用されたことに一部で否定的な意見が出ている問題で、タイ記者協会、タイ全国報道評議会、タイ放送記者協会、タイ・ニュース報道評議会は、対応を協議するとともに、「44条に基づいた報道規制は、メディアの表現の自由を侵害するものであり、その侵害の度合いは戒厳令より大きい。」、「国家平和秩序評議会(NCPO)はメディアと国民の懸念を和らげるべく44条の適用範囲を明確にする必要がある。」となどとする声明を発表。
44条は、NCPO議長すなわちプラユット首相による強権発動を可能とするもので、「国家安全保障に影響する。」などと判断された場合は報道を規制することができるとされており、報道機関は、44条適用下でこれまで以上に報道が規制されるのではないかと懸念を強めている。
04月05日(日)政府は土地を持たない低所得者に不法占拠されていた国有地を利用してもらうプロジェクトを進めており、北部チエンマイ県メーオン郡でプラユット首相立ち会いのもとで土地の使用権を付与する第1回目の式典が執り行われた。メーオン郡では1000人以上の住民に土地の利用権が与えられることになっている
昨年05月の軍事クーデターに伴い、戒厳令に基づいて押収された不法占拠国有地は5万ケ所以上にのぼっている。これらの土地の多くはすでに整備済みと なっており、政府はこれを利用して低所得者を救済することにしたものという。今後は他の県でも土地の使用権が付与される予定。
プラユット首相は式典の中 で「土地を持たない人々の問題は長い間放置されたままだった。(先の戒厳令解除に伴う)暫定憲法44条の適用はこの問題を速やかに解決することも念頭に置いたもの。」と説明。
サンサーン政府副報道官は、「タクシン派が10日に追悼イベントを執り行うことを国家平和秩序評議会(NCPO)が禁止した。」と発表。
2010年、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)がクルングテープで当時の民主党政権の退陣などを求めて過激な反政府デモを展開。同年04月10日にはカオサン通やコークウア交差点で治安部隊とデモ隊が衝突し、双方に死傷者が出た。このため、UDDは今年も04月10日に死亡したデモ参加者の追悼のため同交差点でイベントを開催すると見られていた。だが、サンサーン副報道官によれば、「タクシン派が追悼儀式を利用して軍政批判などを行い、混乱が起きる恐れがあることから、追悼行事が禁止されることになった。」
国防省の発表によれば、プラウィット副首相兼国防相が04月08日と09日の2日間支那を公式訪問し、支那軍の責任者などと会談する。今回の支那訪問には、ウドムデート副国防相(陸軍司令官)、シリチャイ国防事務次官、ワラポン国軍最高司令官、クライソン海軍司令官、トリートット空軍司令官などが同行する予定。
国防省によれば、タイは支那から潜水艦2隻を360億Bあまりで購入することを計画しており、会談ではこの件も取り上げられる見通し。
04月06日(月)サンサーン政府副報道官は、プラユット政権が予定より長く存続する可能性に言及し、「総選挙が遅延することも考えられる。」との見方を示した。
総選挙は新憲法の下で実施されるが、新憲法は現在、起草中となっている。これまでにプラユット首相などが示したスケジュールでは、総選挙は来年初め、早ければ今年中にも実施できる。
だが、サンサーン副報道官によれば、「国内の状況が大きな要因であり、状況によっては現政権を予定より長期に存続させる必要が出てくることも考えられる。」
04月07日(火)昨年05月の軍事クーデター直前に発令された戒厳令が先に解除されたものの、戒厳令に代わって強権発動を可能とする憲法44条が適用されたため、これを懸念する声が上がっている。このため、政府・軍部は、外務省に各国の外交官やメディアの代表を集めて憲法44条について説明。「注意深く法を施行するため人権が侵されることはない。」などと力説。
ウィサヌ副首相兼外相の説明によれば、「当局は戒厳令下でも人権を尊重しており、44条適用下でも人権が侵害されることはない。」また、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、各国の大使などを前に「世論調査では、タイ国民の51%が現在の状況に満足している。戒厳令下でも平穏を望まない悪意のある者たちを除く大半のタイ国民が不都合を感じていなかった。」と述べ、「44条適用にも国民から大きな不満は出ていない。」との見方。
プラユット首相は、関係当局によって現在進められている国家改革と新憲法作成に助言を求めるべく、ドイツやフランスなどから専門家をタイに招く考えを明らかに。プラユット首相によれば、「ドイツなどは現在のタイと同じ状況に置かれたことがあり、その経験をタイの国家改革、新憲法制定に生かすことが可能。」
プラチン運輸相は「日本側がクルングテープ-チエンマイ路線に高速鉄道を共同で建設することを提案している。この提案に伴いプラユット首相が運輸省に対し日本側と交渉するよう指示。交渉の結果は04月後半の閣議で報告される予定。」と明かした。
プラチン運輸相は、「日本側は、クルングテープ-ピサヌローク-チエンマイとカンチャナブリ-アランヤプラテートの2ルートに複線鉄道を建設する意向を示しているが、バンコクとチエンマイを結ぶ路線は700㎞に及ぶため高速鉄道とすることを提案している。」と説明。プラユット首相の指示でアーコム副運輸相が04月23~27日に日本を訪問し、鉄道建設について詳しい話し合いをすることになっている。
タイ国内の高速鉄道の建設については支那も興味を示しているが、チエンマイとクルングテープを結ぶ高速鉄道の入札については手を引いている。
04月08日(水)タイを訪れたロシアのメドベージェフ首相が07、08日、タイを訪問し、タイ首相府でプラユット首相と会談。両首脳は経済関係の強化で一致。貿易、投資、観光を促進することで同意。
会談に伴う共同記者会見で両首相は、「タイとロシアは、世界が変化して行く中にあって密接な関係を維持し理解し合うことが重要であり、協力関係をさらに強化・拡大することを約束し合った。」と述べ会談が成功裏に終わったことを強調。
プラユット首相は、タイ軍政に批判的な米国、欧州連合(EU)にあてこするように、「問題を抱えた時には友人の支援が必要だ。ロシアの首相は我々の友人であってくれた。」とロシアを賞賛。以前、米国に対し、「なぜ理解してくれないのか。」と不満をぶつけたのと対照的に、「ロシアが理解してくれて感謝する。」と述べた。
ロシアの首相がタイを公式訪問するのは、ソビエト連邦崩壊後初めて。
2010年のタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)による過激な反政府デモにおいて都内コークウア交差点で2010年04月10日にデモ隊と治安部隊が衝突し、双方に死傷者が出たことからタクシン派が毎年04月10日に追悼イベントを執り行ってきたことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「不必要な対立を避けるため、赤服・支援者(タクシン支持者)には自宅で追悼してもらいたい。」と述べた。
タクシン支持者や死亡したデモ参加者の遺族などは「都内の寺で追悼儀式を執り行いたい。」としているが、軍部は「大勢の人が集まることで緊張が高まり、騒動に発展する恐れがある。」と懸念。
国家改革と憲法起草に助言を求めるため諸外国の専門家をタイに招くことが計画されているが、ウィサヌ副首相は、プラユット首相が同計画の調整役となる作業部会の設置を望んでいることを明らかに。同部会は、憲法起草委員会のメンバー、学識経験者、外務省幹部などから構成される予定。
また、ウィサヌ副首相は、「外国人専門家を招くのは知識、経験を共有することが目的であり、憲法起草のプロセスなどを批判させるためではない。」と強調。
プラウィット副首相兼国防相が04月08日から3日間支那を訪問し、支那からの潜水艦購入などついて話し合うことになっているが、海軍関係筋によれば、海軍内部からはこの購入に否定的な意見が出ている。購入予定価格は2隻で360億B。「信頼性を懸念する声や潜水艦建造における支那の経験を問題視する意見がある。(故障が多く)維持費(が嵩むこと)も不安要因。」と述べている。「購入して4~5年で使用できなくなるのではないか。」、「支那製とそれほど値段の違わない欧州製潜水艦の方が良い。」といった指摘が出ている。
不正な手段で権利証を取得した地元の有力者が国有林などの国有地を不法占拠していることが社会問題となっているが、「国民の利益を守るためにもこれを早急に解決する必要がある。」と、プラユット首相は、憲法44条に基づいて軍が警察と同じように不法占拠を摘発できることにした。これについて、プラユット首相は、「国民の利益を守るための法律に違反する行為が氾濫している。取り締まりがうまくいっているとはいえず、これが国家改革を妨げることになる。」、「具体的には、国有地の不法占拠はこれまで通り警察や森林局が取り締まりに当たるが、それでも手に負えないケースについては軍が出動する。」と説明。
04月10日(金)23時30分頃スラタニー県サムイ島のショッピングセンター、セントラル・フェスティバル・サムイの地下駐車場で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、タイ人6人とイタリア人少女の計7人が負傷。駐車中の自動車約10台と駐車場の天井、壁などが破損。
爆弾が仕掛けられたピックアップトラックはマレー系イスラム武装勢力によるテロが続くタイ深南部ヤラー県で先月、盗難届が出ていた。爆弾は硝酸アンモニウムを使用し、深南部のテロで使用されるものと似たタイプ。ただ、政府は今回の事件が軍政と対立するタクシン派による犯行という見方を再三にわたって示唆し、イスラム武装勢力の関与に否定的。
事件が起きたサムイ島は多数の外国人が訪れるタイ有数の観光地。政治的にはタイの2大政党の一つで反タクシン派の民主党の地盤。
セントラルフェスティバル・サムイを運営するタイ小売り大手セントラルグループは2010年、クルングテープ都心の大規模SC、セントラルワールドがタクシン派デモ隊による焼き討ちに遭い、炎上大破。
タイでは深南部でイスラム武装勢力によると見られる爆破銃撃テロが毎週のように起きている。クルングテープでも政治抗争絡みと見られる爆弾テロが度々起き、今年02月には都心の高架電車BTSサイアム駅で時限爆弾が爆発。
04月11日(土)サムイ島のショッピングセンター、セントラル・フェスティバル・サムイの爆発事件で、関係筋は、「当局は最南部の過激派の仕業とみており、また、最近クルングテープで起きた爆弾事件との関連を疑っているようだ。」、「過激派による攻撃対象地域の拡大を示すものはまだない。だが、サムイ島の事件で爆弾が仕掛けられていたピックアップトラックが最南部ヤラー県で盗まれたものだったのが気がかり。」と述べた。
最南部のイスラム過激派は、ヤラー、パタニー、ナラティワートの最南部3県と隣接するソンクラ県の一部でテロを繰り返している。
また、サムイ島の爆弾爆発とほぼ同時にスラタニー県プーンピン郡にあるスラタニー協同組合のフードコートで火災が発生して屋根が崩落。怪我人などは報告されていない。
なお、クルングテープでは02月01日にサイアム・スクエアで爆弾が爆発して近くにいた人が負傷。03月07日にはラチャダピセーク通の刑事裁判所の駐車場に手榴弾を投げ込んで爆発させた男2人が逮捕されている。
04月13日(月)サムイ島のショッピングセンター、セントラル・フェスティバル・サムイの爆発事件を受け、日本の外務省は、タイへの渡航に注意を呼びかけた。
04月14日(火)「タイは支那やロシアに肩入れしている。」との批判が出ていることに対し、タナサック副首相兼外相はこのほど、「外交においてタイは中立を維持している。」と反論。
タイは昨年05月の軍事クーデターのせいで国際社会から白い目で見られたことから、批判的な姿勢を取っていない支那やロシアとの関係を積極的に強化・拡大しようとしているよう見える。
だが、タナサック副首相兼外相は、「ロシアはつきあいが118年に及ぶ友人。米国も180年前から友人。」と指摘。先にロシアのメドベージェフ首相がタイを公式訪問し、プラユット首相と会談したことについては、「来訪者を歓迎しもてなすことはタイ人の国民性。」と述べ、「ロシアとの関係をとりわけ重視しているわけではない。」との見方を示した。
04月15日(水)ソムヨット警察庁長官は、「スラタニー県サムイ島で起きた爆弾事件に南部出身の名の知れた政治家たちが関与している。」との見方。これまでに当局が入手した証拠から政治家らが犯行グループをサポートしていた事実が浮かび上がってきた。
チャクティップ警察庁副長官によれば、「事件の1週間ほど前に政治家らはスラタニー県に集まって話し合いをしており、事件とのつながりが疑われる。」
04月16日(木)現在起草作業が進められている新憲法について、プア・タイ党、民主党の2大政党などから国民投票を実施すべきとの声が出ているが、サンサーン政府副報道官はこのほど、「国民投票が対立の原因となりかねない。政府は政治対立の再燃を望んでいない。」と述べ、投票を実施しない可能性を示唆。
サンサーン政府副報道官によれば、「新憲法の是非を問う国民投票は、昨年05月の軍事クーデターに伴い廃止された2007年憲法の起草過程で実施されている。だが、現行の暫定憲法には、新憲法の国民投票については規定が存在しないため、国民投票を実施するか否かはプラユット首相が慎重に検討して決定する。」
04月17日(金)プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は、施政方針演説を行ってから6ケ月経過したことを受け、テレビ演説を行い、「国民間の対立緩和、雇用創出、人身売買の取り締まりなどで成果を上げた。」と主張。
今後は軍政トップに事実上の全権を与える暫定憲法44条を行使し、課題の解決を急ぐ考え。
「権力にしがみついている。」という批判に対しては、「国家のために権力を行使している。」と反論。「選挙だけが民主主義ではないと外国も理解している。」と述べ、「新憲法が承認されたら選挙が実施される」と述べ、権力の座に居座るつもりないことを強調。新憲法は現在作成中で、新憲法制定後に総選挙が行われて新首相が選ばれ新政権が誕生し、首相としてのプラユットの役目は終わることになる。
プラユット首相によれば、「タイが直面している問題は徐々に解決されており、また、プラユット首相に対する批判があるものの、落胆はしていない。」という。
批判が高まっている不敬罪については、廃止に応じない考えを明確にした。タイの将来については、「道路は清潔で整備され、寺は美しく手入れが行き届き、観光は好調。これが我々の未来だ。」と述べた。
憲法起草委員会(CDC)は、新憲法の最初の草案を国家改革評議会(NRC)に提出。
CDCの広報担当カムヌンによれば、「CDCは、NRCで憲法内容の大幅な変更について話し合うことも可能としているものの、その変更を受け入れるか否かはCDCの判断次第。」
NRCでは20日から7日間の予定で草案内容の詳しい検討を行う。その後30日以内に内容変更などについてCDCに提言を行うことになる。
プラウィット副首相兼国防相は、「スラタニー県サムイ島で起きた爆弾事件に最南部で暗躍するイスラム過激派はかかわっていない。」との見解を明らかに。
「事件の捜査は進展しており、これまでに北部や南部とのつながりを示す証拠が見つかっているものの、イスラム過激派との関連を示すものは出ていない。実行犯もすでに特定済みで、捜査陣は現在逮捕に向けて努力中。」という。
04月19日(日)国家汚職制圧委員会(NACC)は、不正な手段で通常ではありえない富を蓄積したとして、法務省特別捜査局(DSI)のトップだったタリットとその妻が保有する資産4000万B以上の預金、証券、不動産などの凍結を発表。03月16日時点で凍結していたが、発表が遅れていた。
これを受け、タリットは、「資産は2009年から5年で300万Bしか増えていない。出所を説明できる。」と述べ、不正蓄財でないことを強調。裁判で争う構え。
凍結の対象は、タリットの資産170万B相当、妻の3920万B相当。NACCによれば、「タリットはDSI局長時代に送金や名義変更といった資産を隠すような振る舞いがたびたびあった。」
なお、タリットは民主党のアピシット政権下でDSI局長に就任したが、2011年08月のインラック前政権下でDSIとして反タクシン派への敵対姿勢を鮮明にしていたことから、反タクシン派から「タクシン派べったり。」との批判を受けていた。
スラタニー県サムイ島で04月10日に起きた爆弾事件で、ソムヨット警察庁長官は、実行犯は女1人を含む6~7人、首謀者は政治家グループとの見解。事件は、最南部で暗躍するイスラム過激派がテロ活動の地域を拡大したと思わせることが目的と見られる。だが、警察は、これまでに集めた証拠から政治的な事件との確信を強めており、もはや過激派の関与や私恨による犯行を疑ってはいない。
04月20日(月)国家改革議会は、憲法起草委員会が起草して17日に提出した新憲法の草案の審議を開始。審議初日は憲法起草委員会のバワンサク・ウワンノー委員長(元内閣秘書官長)が草案の概要を説明。草案に盛り込まれた条項で注目されているのは、非議員の首相就任を認めること、下院選挙で大政党の圧勝を難しくする制度の導入など。
憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長は、国家改革評議会(NRC)でCDCがまとめた最初の憲法草案の検討が始まるのを前に、「議会において特定勢力が議員数で他を圧倒し、やりたい放題をするのを防止することが新憲法の狙い。」などと説明。
ボウォンサク委員長によれば、「これまでの選挙制度は外国の制度をそのまま導入したものだったが、その結果、特定勢力が圧勝して議会制独裁と呼べるような状態となった。」、「『下院で多数となれば、何でもできる。』と考える風潮が出てきた。」
なお、「議会における圧倒的多数」と言えば、低所得者層をうまく取り込んで2001年の総選挙に圧勝した、タクシン創設のタイ・ラック・タイ党が思い浮かぶ。このため、「圧倒的多数の防止」は「タクシン派の台頭阻止」とする見方が支配的。
最高裁判所は、「インラック前政権が導入した米担保融資制度に絡んでブンソン前商業相に不正があったとする訴状を受理した。」と発表。
米担保融資制度は、タクシン支持者の多い農民を支援するため、高値で米を買い取るというものだったが、国が巨額の損失を被ることになったことから、前商業相やインラック前首相らの責任が問われることになった。
04月22日(水)欧州連合(EU)が「タイに対し違法操業など漁業関連問題を6ケ月以内に解決しなければ、タイからの輸入を禁止する。」との構えを見せていることについて、の閣議では、暫定憲法44条適用による強権発動で問題を解決することが検討されたものの、一部の閣僚から「EUは強権発動を同意しておらず、問題を拗れさせる恐れがある。」などと懸念する意見が出た。
44条適用の賛成派は、アヌポン内相、ソムマイ財務相など。一方、プラウィット副首相兼国防相やピティポン農相などは適用に慎重な姿勢を崩しておらず、通常法の適用などによる問題解決を提案している。
ソムマイ財務相は、「タイ経済は回復しつつあるが、その速度が遅い。だが、クーデター前の政治的混乱による景気失速よりは良い。」との見解を明らかに。
昨年は前年から当時のインラック政権に反対する大規模デモがクルングテープで展開され、そのせいで経済活動が大きな影響を受けることになった。05月には軍事クーデターで政治が安定し、経済も回復に向かうことになった。
経済成長率は昨年上半期が-0.2%、下半期が1.4%だったが、今年について、財務相は、「(過去に比べると低成長だが)2~3%なら容認できる。と述べた。
04月23日(木)プア・タイ党、民主党の2大政党は、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)と共に、「現在の草案の内容で新憲法が制定されるのを回避する必要があり、その結果、総選挙の実施が遅れても止むを得ない。」との見解を表明。
現在軍政は、国民和解の実現に向けて国家改革を進めている。だが、これら2党によれば、「現行の草案通りに新憲法が制定されたなら国民和解が遠のく。このため、総選挙の早期実施を犠牲にしてでも新憲法の内容をじっくり吟味する必要がある。」
この点について、アピシット民主党党首は、「良い選挙とは急いで実施する選挙のことではない。」と述べ、「最速で総選挙を行うことを最優先にすべきではない。」
憲法草案の検討を進めている国家改革評議会(NRC)で、一部の評議員から「政治グループを認めることで政党が弱体化する。」と草案の内容を懸念する声。
これまで国政選挙では、立候補者には政党所属が義務づけられていたが、草案では、登録された政治グループから立候補者を出すことが可能とされている。だが、これによって政党が勢いを失ったり、政党と政治グループが対立したりする恐れがある。
04月24日(金)プア・タイ党、民主党の2大政党などが現行の憲法草案に問題があるとして総選挙の実施を遅らせてでも草案を最初から練り直すよう求めていることについて、ウィサヌ副首相は、「提言は承知している。それ以上言うことはない。」と述べるに止め、提言を前向きに検討するつもりかどうかは明らかにしなかった。
これら2党によれば、「軍政は国民和解の実現を最優先課題の1つに掲げているが、現在の草案の内容で新憲法が制定されれば、対立が生じて和解が困難になる。」
一方、ウィサヌ副首相は、「(総選挙延期に対し)仮に私がイエスと言ったら政府は(権力の座にしがみつこうとしているなどと)批判されることになる。」と発言。プラウィット副首相兼国防相も24日、「政府の仕事は行程表通りに事を進めること。」と述べ、総選挙延期に言及することを避けた。
なお、プア・タイ党の幹部からは、「総選挙延期に賛成しているのは一部のメンバーであり、党としては速やかな総選挙実施を望んでいる。」との声も出ている。
04月25日(土)憲法起草委員会がまとめた新憲法の第1草案が350頁にも及ぶことについて、ウィサヌ副首相が先に分量が多すぎるとして、30あまりの条文と基本法に関する部分を削除して内容を簡潔にするよう求めたのに対し、ボウォンサクCDC委員長は、「新憲法は、改革と国民和解を盛り込まねばならず、これまでの憲法とは性質が異なる。」、「分量ではなく中身が重要。」などと指摘。「必要性があったため分量が多くなった。」との見解を明らかに。
ボウォンサクCDC委員長によれば、「憲法草案は、改革と国民和解に関する部分を除けば、昨年05月のクーデターに伴い廃止された2007年憲法や1997年憲法より分量が少ない。」
04月26日(日)タクシン派と反タクシン派の両陣営から「憲法草案は民主的でない。時間がかかって総選挙が延期になっても民主的な新憲法を制定すべき。」との声が出ていることについて、プラユット首相は、「現政権が権力の座から降りるか、あるいは、総選挙を延期するかは、政治家でなく国民に決める権利がある。」と述べ、政治家が声高に政治的要求を表明していることを嫌悪感。
プラユット首相は、「どのような権利で政治家たちは、私が首相の座に留まるべきかどうかを言っているのか。それは国のオーナーである国民次第。」と述べ、「政治家でなく国民の意見に従うべき。」との考えを示した。
軍政が最優先課題の1つとしている国家改革。その道筋を付ける作業が進められているが、現在の軍政下で改革を完了することはできないため、新憲法では、改革を監督する機関として国家改革推進会議と国家改革戦術委員会を設置することが求める予定。
NRCでは新憲法の第1草案に関する7日間の検討が04月26日に終わったが、この草案では、国家改革推進会議はNRC評議員60人、立法議会(NLA)議員30人、改革の専門家30人の計120人で構成され、国家改革戦術委員会は15人までの委員で構成されることになっている。
だが、NRC幹部の1人は26日、現政権の後ろ盾であり、軍部首脳で構成される国家平和秩序評議会(NCPO)がNLAとNRCのメンバー全員を選んでいることから、国家改革推進会議の大部分がNRCとNLAのメンバーで占められることにNRC評議員の間から批判的な意見も出ている。
04月27日(月)放送通信事業を管理監督する国家放送通信委員会(NBTC)は、タクシン派衛星放送のピースTVに対して放送免許を剥奪。03月18日の放送に、国内に混乱、対立を生じさせる内容があったため。
タイ地元紙によると、NBTCは同局が政治的な軋轢を生む刺激的な番組を放送していたことを問題視。国家平和秩序評議会(NCPO)に対する批判などが行われていた。
ピースTVを運営するタクシン派反独裁民主主義同盟(UDD)代表のチャトポンはこの件について、「他局でもっと酷い内容のものもあったが、なぜピースTVだけ禁止されるのか。」と反発。
04月28日(火)タクシン派衛星放送のピースTVは、免許剥奪の取り消しを求める陳情書をNBTCに提出。昨年05月のクーデターでタクシン派政権を打倒した軍部は政治活動を禁止、報道統制を敷き、タクシン派の政治家、官僚、軍・警察高官らを粛清するなど、タクシン派弾圧を進めている。
憲法起草委員会(CDC)が打ち出した最初の憲法草案にプア・タイ党、民主党の2大政党などから批判が浴びせられているが、ボウォンサクCDC委員長はこのほど、「草案では新しい制度で選挙を行うとされており、これを嫌う政治家たちが草案を批判している。」との見方。
同制度は、ドイツ式のもので、特定の政党が大勝するのが困難とされ、複数の政党による連立政権となる可能性が極めて高い。関係筋によれば、新制度のもとではプア・タイ党も民主党も議席を減らすことが予想される。
政府宝籤庁(GLO)発行の宝籤が取扱の仕組みなどが原因で定価より高い値段で販売されている問題で、プラユット首相は、憲法44条を適用して軍首脳をGLO長官に任命し、価格の引き下げを06月中に実現する意向を明らかに。
ランサン財務事務次官によれば、「現行法では部外者がGLO長官に就任するのは不可能。このため、国家平和秩序評議会(NCPO)議長(プラユット首相)による強権発動を可能とする憲法44条の適用が必要。」
GLOでは先にソムチャイ関税局局長が宝籤価格を引き下げられなかったことから長官を辞任したばかり。プラユット首相は、「民間人のGLO長官では何ケ月かかっても問題を解決できない。」と不満を露わにしている。
04月29日(水)プラユット首相は、各国に駐在するタイの大使・総領事を集めた会議において、諸外国との関係の維持・改善に向けたこれら外交官の努力を称賛するとともに、タイの政治状況が行程表通りに進展していることを諸外国によく理解してもらうためさらに努力するよう求めた。具体的には、「大使らは民政移管に向けて新憲法の起草作業が着々と進められていることなどを国際社会に詳しく説明することを強調する。」
憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長は、「CDCと国家改革評議会(NRC)には新憲法の是非を問う国民投票を実施するか否かを決める権限はなく、国家平和秩序評議会(NCPO)と内閣に決定権がある」と指摘。だが、プラユット首相は、「NCPOにも内閣にも権限はない。決定はCDCとNRCの仕事。」と明言。
プラユット首相によれば、「CDCとNRCは国民投票の実施が必要と判断したなら、実施をNCPOに提言。これに伴い、NCPOが国民投票の実施を可能にすべく現行の暫定憲法の改正を立法議会に請求することになる。」
これに対し、ボウォンサク委員長も国民投票実施に憲法改正が必要との点に同意。同時にNRCが憲法草案を承認するか否かを決める08月06日までに憲法を改正しなければならないとの認識を示した。なお、ボウォンサク委員長によれば、国民投票を実施することになれば、総選挙は3ケ月程度遅れて来年02月か03月に実施されることになる。」
04月30日(木)憲法起草委員会(CDC)委員長が言及したことなどで新憲法の是非を問う国民投票の実施が再びマスコミで取り上げられているが、立法議会(NLA)のポンペット議長は、「暫定憲法44条適用による強権発動で国民投票を実施することはできない。」との認識を示した。
44条は、国家平和秩序評議会(NCPO)議長であるプラユット首相に絶対的な行政・立法・司法権を付与するもの。通常法ではなかなか解決できない問題の解決に44条が適用されている。
だが、ポンペット議長によれば、「国民投票の実施を可能にするための現行憲法改正は、内閣、NCPO、立法議会が賛成することが必要であり、首相の一存で決めることはできない。」
タクシン派による過激な反政府デモの最中だった2010年04月10日、日本人カメラマン、村本博之(当時43)やデモ参加者など4人が銃撃で死亡したことについて、刑事裁判所は、「証拠が不十分で発砲した者を特定することは困難。」との見解を示した。
「4人の体を貫通した弾丸は高速だったとされ、ライフル銃などから発射された弾丸であることが示唆されているが、弾丸は見つかっておらず、銃の特定にも至っていない。また裁判所によれば、4人のうち3人については、目撃者の証言や写真などに基づいて撃たれる前にいた正確な場所を特定することもできていない。このような理由から裁判所は、退却中の治安部隊から弾丸が発射されたかどうかわからない。」と結論づけた。
05月01日(金)アピシット民主党党首(元首相)は、「憲法草案には政治対立を引き起こしかねない条文が含まれている。」として、これを修正するよう要求。具体的には、「181条、182条、298条に基づいて、恩赦適用にふさわしくない人々が恩赦の対象とされる可能性があり、これによって政治対立が再燃する恐れがある。」という。
なお、過去にタクシン派が「政治対立解消と国民和解実現のため。」として政治関連犯への恩赦適用を要求。だが、反タクシン派は、「国外逃亡中のタクシンの免罪・政界復帰が本当の狙い。」などと反発し、政治対立がエスカレートすることになった。
05月02日(土)陸軍第1管区副司令官など軍人3人を政府宝籤庁(GLO)の取締役に任命することを官報で発表。
この人事は、暫定憲法44条適用のもとプラユット首相が国家平和秩序評議会(NCPO)議長の権限で命じたもので、宝籤の流通の仕組みなどが原因で宝籤が定価を上回る値段で販売されている問題の解決を狙いとしたもの。また、取締役任命とともに宝籤の価格水増しの罰則を禁錮1ケ月か罰金最高1万Bあるいはその双方とする法律が設けられた。
宝籤2枚1組の定価は80Bだが、宝籤売りからは、「業者から1組92~93Bで仕入れているので110B で売っている。仕入れ価格が下がらなければ安くできない。」といった声も上がっている。
05月03日(日)プア・タイ党所属のウォラチャイ前下院議員は、「現行の暫定憲法は、新憲法に関する国民投票の実施に触れておらず、実施するには暫定憲法の改正が必要。」と、新憲法の是非を問う国民投票を実施するよう政府に改めて要請。
ウォラチャイによれば、「国民投票で反対が賛成を上回った場合、1997年憲法と2007年憲法のどちらを新憲法とするかを国民に選んでもらうのが良い。」
05月05日(火)サンサーン政府副報道官は、「政府宝籤庁(GLO)発行の宝籤が定価を上回る価格で販売されている問題を解決するため、政府は06月から宝籤配分システムの抜本的改革に着手する。」と明らかに。
これは、宝籤を扱っている業者との契約が06月に切れることによるもの。現在のシステムでは、影響力を持つ者が間に入ることで宝籤の価格が引き上げられており、宝籤売りは高い価格で宝くじを仕入れているため定価で販売できないのが現状という。
サンサーン副報道官は、「全国で宝籤の配分システムを根本的に改め、宝籤売りが定価(2枚1組80B)より安く宝籤を仕入れられるようにする。」と説明。
現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が政治集会を禁止していることについて、反タクシン派、民主党の法律専門家チーム代表、ウィラットは、「見えない所で不穏な動きがある。」などと述べ、NCPOの対応に一定の理解を示した。これによって、政治集会禁止に反対の姿勢を取っているのは主要政党の中ではタクシン派、プア・タイ党のみとなった。
なお、NCPOによれば、「5人以上の政治集会は禁止されているものの、意見を表明する場が設けられており、そこで考えを発表すれば良い。」
05月06日(水)新憲法の是非を問う国民投票の実施を求める声が出ていることについて、憲法起草委員会(CDC)のバントゥン委員はこのほど、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)、内閣、立法議会(NLA)、国家改革評議会(NRC)、CDCに対し、投票に関する検討を開始するよう求めた。
現行の暫定憲法には、現在起草作業が進められている新憲法に関する国民投票の規定はない。このため、バントゥン委員は、「国民投票を実施するには暫定憲法の改正が必要であり、実施するかどうかの検討を早めに開始しなければならない。」と述べた。バントゥン委員によれば、「国民投票の実施について、CDCで正式に議論したことはないものの、CDC委員の過半数がその必要性を認めている。」
05月07日(木)国家警察本部でイスラエルの民間企業関係者による盗聴などに関する説明会が開かれていた最中に、突然軍が突入しイスラエル人らを強制連行。タイ地元紙によると、連行されたのはイスラエル系民間企業の社員9人。暫定憲法44条の権限に基づいた措置。
暫定憲法44条とは、国家平和秩序評議会(NCPO)が国家秩序を乱すものに対して、いかなる法律で保護されていたとしても、NCPOの承認を得た上で取り締まれるというもので、戒厳令下と同様の権限を保持し続けている。
憲法起草委員会(CDC)が打ち出した新憲法の草案について、プラユット首相は、「分量が多過ぎる。簡潔でコンパクトなのものにする必要がある。」との見方を示した。
草案については、これまでにも「条文が多過ぎる。」との批判意見が出ていたが、CDCは、「国民和解と国家改革の遂行を盛り込む必要があり、これまでの憲法により分量が多くなっている」と説明していた。
昨年05月の軍事クーデターに伴い、それまでの憲法(2007年憲法)が廃止され、暫定憲法を制定。暫定憲法は、民政移管までの繋ぎの憲法であり、暫定憲法のもとで新憲法が制定され、新憲法の下で総選挙が実施され、民政移管が実現することになる。
05月08日(金)立法議会(NLA)は、インラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度、米担保融資制度をめぐる汚職で、ブンソン前商業相、プーム前副商業相、マナット前外国貿易局局長の3人を過去に遡って罷免、公民権5年停止とするとの弾劾決議案を可決。
汚職取締委員会によると、ブンソン元商務相らは、米担保融資制度でタイ政府が農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したとしていたが、実際には米は輸出されず、支那企業2社に名目上、転売された後、タイ企業が買い取り、タイ国内で販売。
可決に必要なのは議員の5分の3以上、すなわち132人以上の賛成。弾劾決議案の投票には立法議会議員220人の打ち190人が出席。投票結果はブンソン元商務相が弾劾賛成180、反対6、棄権4、プーム元副商務相が賛成182、反対5、棄権2、マナット元商務省貿易局長が賛成158、反対25、棄権6。
米担保融資制度をめぐっては、今年01月、汚職と巨額の損失を知りながら米担保融資制度を継続したとして、インラック前首相に対する弾劾決議案を可決。また、インラック前首相、ブンソン元商務相、プーム元副商務相ら政治家4人、官僚3人、民間人13人と企業2社を、政治家の汚職などを裁く特別法廷、最高裁政治家刑事犯罪部門に起訴。最高裁政治家刑事犯罪部門では1回の審理で判決が確定し、上訴できない。
米担保融資制度はインラック政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落し、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。「買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっている。」という指摘もあった。国際通貨基金(IMF)も、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判。2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒したプラユット軍事政権によって同年、廃止。タイ財務省の2015年01月時点のまとめによると、米担保融資制度による最終的な損失額は5000億B近くに上る見通し。
プラユット首相はテレビ番組の中で、「宝籤が定価を上回る価格で販売されている問題を解決できなければ、政府宝籤庁(GLO)による宝籤販売が一時中止とされる可能性がある。」と述べた。
宝籤2枚1組の定価は80B。だが、実際には宝籤売りが手にするまでにいくつかの組織やグループが介在して手数料を得るシステムができあがっており、定価販売が不可能な状態となっている。
プラユット首相はまた、「市民も高い宝籤を買わないという形でこの問題に解決に貢献できる。」と話している。
05月11日(月)和泉洋人首相補佐官がタイを訪問。プラユット首相(前タイ陸軍司令官)を表敬訪問した後、経済政策を担当するプリディヤトン副首相(元タイ中央銀行総裁)と会談。
和泉補佐官は、ビルマのダウェー経済特区の開発を日本、ビルマ、タイの3ケ国で進めることを謳った合意文書に、07月に東京で開催される第7回日本・メコン地域諸国首脳会議で調印したいという考えを、プラユット首相、プリディヤトン副首相に伝えた。同会議にはプラユット首相も出席する予定。
和泉補佐官は、ダウェーに近いタイ西部カンチャナブリーとクルングテープ、カンボジア国境のタイ東部アランヤプラテート、タイ東部のレムチャバン港を結ぶ貨物中心の鉄道と、クルングテープとチエェンマイを結ぶ高速旅客鉄道を、日本の協力で建設する構想についても、タイと協議。クルングテープ-チエンマイ高速鉄道については、プラユット首相が前向きだった一方、プリディヤトン副首相は、「投資額が大きい上、赤字になる可能性がある。」として、慎重な姿勢を見せた。
双方はタイでの石炭火力発電所、廃棄物発電所の開発についても意見を交換。タイ政府はミャンマーのダウェイ地区の開発について、日本と共同で開発を行うことで基本合意したと発表。
アーコム副運輸相は、「クルングテープ-チエンマイ高速鉄道とカンチャナブリー-サケオ複線鉄道の建設に関する覚書がタイと日本の間で近く取り交わされる予定である。」と明らかに。調印式は東京で今月26~27日に執り行われる。
クルングテープ-チエンマイ路線は全長670㎞。カンチャナブリー-クルングテープ-チャチュンサオ-サケオ(アランヤプラテート)路線は全長574㎞。アーコム副運輸相によれば、「調印に伴い、06月に日本から専門家がタイを訪れてルート、デザインなどに関する調査をタイ当局とともに実施する予定。調査は約6ケ月に及ぶ見通し。」
政党や政治家が憲法草案を批判するためにフォーラムの開催を計画していると一部で報じられているが、ウドムデート副国防相(陸軍司令官)は、「このような討論会の開催は政治集会禁止令に違反する。」と警告。
政治集会は、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)が禁止しており、ウドムデート副国防相はNCPO事務局長を務めている。
ウドムデート副国防相によれば、「NCPOと内閣は19日に合同会議を開いて草案のどの部分を修正し、どこを残すかを話し合う予定だが、ここでプラユット首相が新憲法に関する見解を表明する予定。」
05月12日(火)2012年に憲法裁判所前で不敬行為をしたとして1審で禁錮1年、執行猶予3年となったニュージーランド在住のティティナント・ケウチャントラノン(65)♀について、控訴裁判所(高等裁判所)は、執行猶予取り消しを言い渡した。
1審では、ティティナントに精神障害があり、治療が必要として、執行猶予とされた。だが、控訴裁は、精神障害であっても肖像画に不適切な態度をとったことは重大な不敬行為であり、刑の執行は猶予できないと判断。
05月13日(水)憲法起草委員会(CDC)は会議で、新憲法の是非を問う国民投票の実施を求めることを全会一致で決めた。現行の暫定憲法では新憲法に関する国民投票に言及しておらず、国民投票を実施するには暫定憲法の改正が必要。今回のCDCの決定は、暫定憲法の改正を可能にすべく、国家平和秩序評議会(NCPO)議長であるプラユット首相に報告されることになる。
また、CDCの広報担当ラートラットによれば、「今回の決定では新憲法の最終案がまとまった時点で内容を国民に知らせ、少なくとも90日経過してから国民投票を実施する。」
05月14日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)は、「2005~2010年に反政府デモで死亡したデモ参加者の遺族と負傷したデモ参加者への損害賠償においてインラック前首相を含む当時の閣僚34人に職権乱用があった。」との判断を明らかに。NACCは、「国家から提供された賠償金は20億Bに上るが、「賠償する」との当時の閣議決定は法的裏付けを欠いていた。」とした。
この他、NACCは、「警察署建設プロジェクト(費用総額66億7000万B)に関連して当時のステープ副首相(元民主党幹事長)に不正があった。」と指摘し、「通信プロジェクトに絡んだ職権乱用が疑われる。」としてチュティ元情報通信技術相(民主党所属)を調査すべきと判断したことを発表。「ステープは警察署建設の発注条件の変更を承認したことで、業者1社が独占的に建設を受注し、警察庁が大きな損失を被ることになった。」という。
新憲法の是非を問う国民投票の実施を求める声が強まる中、ウィサヌ副首相は、「関係機関の合同会議が19日に開催される予定で、ここで国民投票を実施するか否かが決まる。」との考えを明らかに。
合同会議には、内閣、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)、国家改革評議会(NRC)、立法議会(NLA)、憲法起草委員会(CDC)のメンバーが出席する。もし実施が決まった場合、国民投票の実施を可能にすべく現行の暫定憲法を改正する手続きが取られることになる。
タイ王族のモームルアン(王族の称号)・ルンクン・キティヤーコン(47)が04月20日、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、ナチスの指導者アドルフ・ヒトラーを「愛国者」と称賛し、「ユダヤ人虐殺はでっち上げ」だとする文章を書き込み、物議を醸している。書き込みには約1300人が「いいね!」ボタンを押した。
これに対し、駐タイ・イスラエル大使は5月14日、「信用のおける情報を得る機会が他の人より多い、良い教育を受けた人物が、常識に欠け、事実とプロパガンダを区別できないとは嘆かわしい。」、「書いた人物の反ユダヤ主義と無知を表している。」などとする声明を出し批判。
タイでは2011年に、チエンマイ市の私立女子校で、生徒がヒトラーやナチス親衛隊などに扮して行進。2013年には、国立名門校、チュラロンコン大学の卒業式で、ヒトラーが描かれた壁画の前で卒業生が右手を上げて記念撮影するのが人気となった。いずれもユダヤ人団体が強く抗議し、タイが謝罪。
05月15日(金)金融機関を舞台とした巨額の横領事件で、タイの新興仏教団体タンマカーイ寺が横領容疑者から巨額の寄付を受けていたことが明らかに。
タンマカーイはタクシン派の支持組織として知られる上、タイの正統仏教組織の上層部に深く食い込んでいる。事態は政治抗争、仏教界の腐敗といった問題もはらみ、タイ社会を揺るがしている。発端となったのは、バンコクのクロンチャン信用協同組合で2013年05月に発覚した横領事件。スパチャイ元理事長(57)が信組の預金額のほとんどに当たる120億B以上を横領し、国外に送金したり、関連企業に横流しした疑いが強まり、当局はこれまでに、元理事長と関係者の資産数十億B相当を差し押さえた。
さらに、捜査の過程で、スパチャイ元理事長が2009年以降、信組の金を流用し、教祖のプラタマチャヨー僧らタンマカーイの僧侶と寺に10億B以上を寄付したことが判明。捜査当局はプラタマチャヨー僧に出頭を求めているが、病気を理由に2ケ月近く出頭を拒否している。スパチャイの48日の拘留期限が19日に迫り、クロンチャン信組とタンマカーイについては、資金洗浄取締委員会、検察庁なども捜査に乗り出す構えを示している。
タンマカーイをめぐるスキャンダルはこれだけに止まらない。2013年に死去したタイ仏教の最高指導者、大僧正は1999年に、プラタマチャヨー僧が信者から寄付された2.4?の土地や現金を自分名義にしていたことなどを問題視し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるべきと判断、こうした考えを記した手紙を、タイのサンガ(仏教僧団)の「内閣」に近い機能を持つタイ・サンガ最高評議会に送った。しかし、大僧正はその後、体調を崩して指導力が発揮できなくなり、サンガ最高評議会は2006年、プラタマチャヨー僧が寄付された土地、現金の名義をタンマカーイ寺に変更したとして、この問題を不問に付した。国の改革方針を議論するためタイ軍事政権が設置した国家改革議会は今年02月中旬、この問題を取り上げ、サンガ最高評議会に、大僧正の意思を尊重するよう迫った。しかし、サンガ最高評議会は02月20日、2006年の決定を支持する最終決定を下し、議論を葬り去った。一部の僧侶はサンガ最高評議会の決定に強く反発し、信者に対し、サンガ最高評議会のボイコットを呼びかけるとともに、タンマカーイや、サンガ最高評議会を率いる大僧正代行が住職を務めるパクナムパーシージャルーン寺の資金の流れを調べるよう、国家改革議会や捜査当局に訴えた。タンマカーイは2012年にパクナムパーシージャルーン寺に重量1tの黄金像を贈るなど、関係が深い。
タンマカーイは1970年代からクルングテープの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、クルングテープ郊外の巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院随一とされる。タンマカーイのもう一つの顔は、タクシンとの繋がり。タクシン派幹部は「タンマカーイはタクシン派の強力な支持基盤のひとつ。反タクシン派・保守派が宗教面でもタクシン派潰しに動き出した。」などと述べた。
05月17日(日)民主党のアピシット党首は、ランシット大学での講演で、民主党が次期総選挙で勝利できなかった場合は政界を引退する考えであることを示唆。
アピシット党首はまだ50歳だが、「政治活動のために私に残された時間は多くはない。いつ次の選挙が行われるかわからないが、選挙が実施された出馬する。だが、成功しなかったらそれで終わり。」と発言。また、アピシットは、これまでに長きにわたって野党の党首を務めており、民主党が敗北して再び野党党首となることには抵抗がある。
なお、民政移管のための総選挙は来年初めに実施される可能性が高いが、新憲法の是非を問う国民投票が実施されれば、実施が遅れるのは避けられない。また、新憲法草案に批判的な勢力からは、草案作成を一からやり直すよう求める声も出ており、これに従った場合は総選挙実施が大幅に遅れる可能性がある。
05月18日(月)新憲法の是非を問う国民投票の実施を求める声が強まる中、国家改革評議会(NRC)のティエンチャイ議長が、05月19日に開催される関係機関の会議で国民投票実施への支持を表明するようプラユット首相に求めていたことが18日までにわかった。
プラユット首相は現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長でもあり、ティエンチャイ議長は、「プラユット首相がその権限を行使して内閣とNCPOに国民投票実施を認めさせるのが望ましいと考えている。」という。
なお、関係筋によれば、国民投票を実施すれば、少なくとも3ケ月ほど新憲法の制定、新憲法のもとでの総選挙実施が遅れ、また、これが「軍部は政権の座にしがみつこうとしている。」との批判に繋がりかねないことから、プラユット首相は今のところ国民投票実施に乗り気ではない。
民主党党首のアピシットは、次回の総選挙で民主党が敗れた場合、党首から辞任する考えを示した。アピシットは約10年にわたって民主党の党首を務めてきたが、「次回の選挙でもし再び負けた場合、責任をとって辞任する。」、「政治活動については止める事はない。」と語った。
05月19日(火)現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)と内閣が、新憲法の是非を問う国民投票の実施に賛成。このため、新憲法の下で実施される総選挙が当初予定より半年ほど遅れて来年08月か09月に行われる見通し。
国民投票については、憲法起草委員会(CDC)や国家改革評議会(NRC)が実施賛成を表明していた。
また、国民投票を実施するには現行の暫定憲法を改正する必要があるが、ウィサヌ副首相によれば、NCPOと内閣が06月に暫定憲法の改正を要請し、立法議会が15日以内に決定を下す。そして08月06日にCDCが新憲法の最終案をNRCに送付。NRCが承認した場合、09月04日に国王の承認を求める手続きが取られることになる。国民投票を行うには準備期間が必要なため、投票が実施されるのは来年01月となる見通し。
国民投票で可決された場合、公職選挙法などを含む憲法関連法が立法議会によって約4ケ月かけて作成、制定される。そのため、民政移管を実現するための総選挙実施は来年08月もしくは09月になる。
憲法案は、特権階級や軍部といったエリートによる支配体制の強化を狙い、事実上選挙を経ないで選ばれる上院議員や独立機関に強力な権限を与え、政党を弱体化させる内容。 プラユット首相は当初、この憲法案の国民投票に否定的だったが、軍政と対立するタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派で軍政に協力的な民主党という2大政党が揃って憲法案に強く反対し、国民投票を求める世論も強いことから、受け入れた形。
、「憲法案に対する国民投票は、どちらに転んでも軍政にとって損はない。」という見方がある。国民投票で可決された場合、民政復帰のための総選挙が当初予定の2016年前半から数ケ月遅れで実施される見通しだが、選挙後発足する民選政権は弱体と予想され、エリート支配が続く可能性が高い。否決された場合、軍政は憲法案を新たに起草する方針で、民政復帰は年単位で遅れる見通し。
前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じたことについて当時のインラック首相が職務怠慢で訴えられた訴訟の初公判が最高裁判所政治家刑事犯罪部門で行われた。罪状認否においてインラック前首相は容疑を否認し、潔白を主張。
有罪となれば、最長で20年(報道により10年)の禁錮刑を受ける。最高裁政治家刑事犯罪部門は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷で、1回の審理で判決が確定し、上訴できない。実刑判決が下れば、インラックは即収監されることになる。
インラック投獄という事態になれば、タクシン派の地盤である北部、東北部が不穏な情勢になるのは必至。米担保融資制度に関する訴追を進めたプラユット軍事政権は裁判前にインラックが国外逃亡することを望んでいた節があるが、インラックは正面対決を選んだ。
また、インラックの弁護士によれば、「インラックは3000万Bで保釈が認められたが、出国する場合は事前に裁判所の許可が必要。」
米担保融資制度はインラック政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっているという指摘もあった。国際通貨基金(IMF)も、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判。タイ財務省の2015年01月時点のまとめによると、実質的に政府による高値での米の買上げだった米担保融資制度による損失は5000億B近くに上る見通し。
2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒した軍部は米担保融資制度を同年中に廃止。在庫米の放出を急ぐ一方、米担保融資制度をめぐる汚職捜査を進め、インラック前首相のほか、ブンソン元商務相、プーム元副商務相ら政治家3人、マナット元商務省貿易局長ら官僚3人、民間人13人、企業2社を汚職で起訴した。インラック前首相、ブンソン元商務相、プーム元副商務相、マナット元貿易局長の4人はまた、軍が設立した非民選の暫定国会「立法議会」によって弾劾され、参政権の5年間停止処分を受けている。
プラユット首相は、軍政のこの1年間の仕事ぶりを「特筆することはない。」としたタクシンの発言に対し、「私が行ったことを彼は行ったか。(国民は)わたしが行ったことで私を評価している。」と述べ、不快感を示した。
国外逃亡中のタクシンは、アジアの首脳会議に出席するため南鮮の京城(ソウル)を訪れ、ここで現在のタイの軍政について、「もっと一生懸命やらなければならない。世界を理解しなくてはならない。民主主義に長年慣れ親しんできた人々の気持ちを考えなくてはならない。」などと批判的発言。
05月20日(水)19、20日に京城(ソウル)で開催された国際会議、アジア・リーダーシップ・コンファレンスに、タイのタクシンがスピーカーとして参加し、「法治が民主主義の鍵。」などと語った。
タクシンはまた、ロイター通信の取材に対し、「息子のパーントーンテーをタイのタクシン派政党プア・タイ党の党首に据えたり、反タクシン派のプラユット軍事政権に対抗するためタクシン派団体UDD(通称、赤服)を動員する考えはない。」と述べた。軍政については、「仕事ぶりはあまり印象的はない。」、「もっと働くべきだ。」などとコメント。
タクシンは短文投稿サイトのツイッターで、インドのモディ首相らと挨拶を交わしたことも明らかに。支那の電子商取引最大手アリババの創業者で富豪のジャック・マー会長とも会い、「『顔がそっくりと言われていて、話したかった。』と話しかけられた。」と書き込んだ。
2008年10月の反政府デモの際に、ピックアップトラックで警官5人をはね重軽傷を負わさせたとして、プリーチャ・キリーチャロエン(現在58)が殺人未遂などの罪に問われた裁判で、最高裁判所は、控訴審で禁錮34年とされた刑期を3年4ケ月に短縮する判決を言い渡した。最高裁は減刑の理由について、一時的な憤激にかられた犯行で、警察の取り締まりにも問題があったとしている。
この時の反政府デモは反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)によるもので、タクシン派のソムチャイ首相(当時)の施政方針演説を阻止するため、クルングテープの国会議事堂を包囲し、警官隊と衝突。デモ隊、警官隊の双方に多数の負傷者が出て、デモに参加した女性1人が死亡した。この女性の葬儀はシリキット王妃が主宰。
最高裁と憲法に関する判断を下す憲法裁判所は2006年から続くタクシン派と反タクシン派の政治抗争で、ほぼ一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けており、今回の判決もその流れと見られる。
新憲法の是非を問う国民投票の実施で意見がまとまり、実施を可能にするための現行暫定憲法改正に向けた手続き今後進むことになるが、ウィサヌ副首相は、政府が国民投票で新憲法が否決された場合にどうすべきかを検討していることを明らかに。
可決された場合は新憲法制定の手続きが取られるが、否決を想定した対応も急務となっている。今のところの出ている案は以下の4つ。①憲法起草委員会と国家改革評議会を新たに設置して草案を作り直す、②憲法起草委員会のみを新たに設置する、③立法議会が憲法草案を作成する④閣議が過去の憲法から選んだものを制定する。
なお、否決の場合の対応は国民投票実施のための暫定憲法改正に盛り込まれることになる。
一昨年末から昨年にかけて当時のインラック政権を非難する大規模な街頭デモを指揮したステープ元民主党幹事長がこのほど、還俗の意向を明らかに。
ステープは昨年05月の軍事クーデターでインラック政権が崩壊したあと、仏門に入り、現在は政治的な活動はしていない。だが、先に「時が来たら還俗する。」と明言。仏門に留まり続ける考えではないことを明らかに。ただ、ステープは、「僧侶としてのスケジュールは8月まで埋まっている。」と述べたものの、還俗の具体的な時期については明言を避けている。
05月21日(木)新憲法の是非を問う国民投票の実施について、ウィサヌ副首相はこのほど、「必要であり、実施する価値がある。」との見解を示した。
ウィサヌ副首相によれば、「民主主義にかかる費用に関して『民主主義が欲しいなら金を払わなくてはならない。ケチケチしている余裕はない。』との格言があるように、時間と費用をかけて国民投票を実施することには十分意味がある。」立法議会のポンペット議長は、「国民投票は国民が新憲法をどう思っているかを知る最善の方法。」と賛成意見を表明。
また、「国民投票で否決された場合は、国民にとって満足が得られる新しい憲法草案が作成されることになる。」との見通しを示した。
国外逃亡中のタクシンは訪問先の南鮮でメディアに対し、「さらに多くの国民の支持を得られるのを待ってタイに帰国する考えだ。」と述べた。タクシンによれば、「タクシン支持者の赤服軍団がタクシンの帰国を希望しているが、彼らはさらに多くの支持が得られるまで待つ必要がある。」、「暴力は解答ではない。」と述べて、力に訴えるつもりのないことを確認。
ただ、これまでの街頭デモなどでは、反タクシン派に比べてタクシン派の過激さが目立っており、「タクシン支持者はなにをするかわからない。」との印象を持つ人も少なくない。
現政権が誕生することになった軍事クーデター発生(昨年05月22日)からちょうど1年になるのを前にプラユット首相は、「この1年間に成し遂げたことについて満足している。」と述べ、「首相であることに誇りは感じていない。」と吐露。
プラユット首相によれば、「政治的混乱が起きなければ、軍部が全権を掌握する必要も、プラユットが首相に就任する必要もなかったのであり、プラユットが首相を務めなければならない事態になったのを誇りに思うことはできない。」
軍事クーデターから1年で、軍主導で立ち上げられた国家平和秩序評議会(NCPO)が依然国家全権を握った状況が続いている。また民主化に向けた道程は、依然先行き不透明な状況。
ある機関によると、「約1年を迎え、クーデター後に情勢扇動などの容疑で出頭命令を出した件数が751件にした。」と発表。タイ地元紙によると、正式な数字を計ることはできないが、タクシン派のプア・タイ党や赤服関係者は最低281人、民主党や反タクシン派デモ関係者は最低41人、学者、活動家、学生、ライター、メディア関係者は最低176人に達する。
05月22日(金)タクシン派インラック政権が追放されることになった昨年05月22日の軍事クーデターについてタクシンが05月20日、「枢密院が黒幕」との見方を示したが、プラユット首相は、 「クーデターは私が命をかけて行った。誰かに命令されたものではない。家族にも何も話していなかった。」と述べ、「クーデターに枢密院など第三者が関与した事実はない。」と明言。
さらに、プラユット首相は、「クーデターが正しくないことはわかっている。しかし、私は(問題が起きていて)国が崩壊しかけているのに見て見ぬふりをすることはできなかった。」と話している。
なお、プレム枢密院議長はタクシン流政治に批判的なことで知られており、タクシン派もプレム議長を目の敵にしたことがある。
タクシンは滞在先の南鮮で南鮮メディアの取材に応じ、「妹のインラック前首相の政権を打倒した2014年のクーデターは、タクシン政権を倒した2006年のクーデター同様、国王の諮問機関である枢密院が画策した。」と述べ、タイ国内で物議を醸している。
2014年のクーデターでは、2013年末から、ステープ元副首相ら反タクシン派の政党、民主党の関係者が中心となり、クルングテープや民主党の地盤である南部で大規模な街頭デモを実施し、クルングテープの主要交差点で長期間座り込みをしたり、多数の省庁を占拠するなどして、政府を機能不全に追い込んだ。当時陸軍司令官だったプラユット首相は2014年05月22日、治安回復を理由にクーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握。
タクシンはこうした経緯について、「枢密院がステープ元副首相に街頭デモを指示し、軍にステープ元副首相を助けるよう命じた。」と発言。「自分がクーデターで追放されたときと同じだ。」と述べた。
タクシン政権では、2006年に実業家のソンティが主導する大規模な反政府デモがあり、同年09月、治安回復を理由にクーデターが行われた。
タクシンの発言について、プラユット首相は、「誰からも(クーデターを)命令されていない。」と述べ、これまで通り、クーデターは自分の判断によるもの。」という主張を繰り返した。現在出家中のステープ元副首相も「枢密顧問官と連絡をとったことはない。」として、枢密院の関与を否定。
枢密院は国王を補佐する機関で、枢密院議長1人と最多で18人の枢密顧問官で構成される。王位が空白になった場合、後継者を指名したり、枢密院議長が摂政を務めるなど、権威は重い。現在の議長は元首相、元陸軍司令官のプレム・ティンスラーノン。顧問官は元軍高官、王族、元裁判官、元官僚など。2011年に枢密顧問官の死去で欠員が出た際には、チャリット元空軍司令官が後任に任命された。チャリットは2006年の軍事クーデターに参加し、2007年に短期間、軍事政権トップを務めた。
タクシン派の民選政権を倒した昨年05月22日の軍事クーデターから1年を迎え、クルングテープとコンケンで、軍事政権に反対する小規模なデモがあり、学生を中心とする参加者40人以上が治安当局に身柄を拘束された。
クルングテープでは高架電車BTSナショナルスタジアム駅近くのバンコク芸術文化センター前で数十人がデモを行い、警官隊と揉み合いの末、男性27人、女性6人が連行された。
クルングテープではまた、政治活動家ら3人が、クーデターを起こしたプラユット首相(クーデター当時の陸軍司令官)ら軍政幹部を国家反逆罪で刑事裁判所に提訴した後、裁判所前で身柄を拘束された。
コンケンではデモを行った学生ら7人が警察署に連行された。
中央選挙管理委員会が憲法草案で「下院議員選挙には、政党だけでなく、政治団体のメンバーも立候補することができる。」とされていることに異議を表明。
ソムチャイ選管委員によれば、「政治団体からの出馬を許すのは、大政党の影響力を弱めようとしたものであることは理解できるものの、影響力のある政治家の息のかかった者が政治団体から多数立候補し、これらの政治家が議会で一定の力を持つ事態が懸念される。」
05月23日(土)昨年05月の軍事クーデターからちょうど1年となる05月22日、クルングテープでクーデターを批判する街頭デモを行った学生らが捕らえられたことについて、国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ウィンタイ大佐は、「学生らが政治家に操られてデモを行った。」との見解を示した。さらに、「このような手段で政情不安を煽ろうとした者は厳罰に処されることになる。」とも警告。
デモを行って身柄を拘束された学生は計38人で、身柄を拘束されたデモ参加者らは、朝、全員釈放された。
学生らは、「当局が力尽くでデモを止めさせようとした。」として、動画をネット上に投稿して非難。
一方、ウィンタイ大佐は、「学生たちは純粋で経験不足。政治家など悪意を持つ者たちのトリックに気がつかない。学生は利用されないように気をつける必要がある。」
05月24日(日)クルングテープ都ラチャダピセーク通の刑事裁判所で、「刑事裁判所」との表示の左右の壁に「A」を「○」で囲んだ「アナーキズム(無政府主義)」のシンボルとみられる黒色のスプレーペイントによる落書きがあるのが見つかった。裁判所関係者によれば、落書きは当局に通報したあと消去したが、刑事裁判所の建物などにこのような落書きがされたのは今回が初めて。
政府宝籤庁(GLO)発行の宝くじが長年にわたり定価(2枚1組80B)を上回る価格で販売されている問題で、先にGLO取締役会議長に任命されたアピラット陸軍第1管区副司令官が「強権を発動してでも定価販売に戻す。」との考えを示した。
関係筋によれば、宝籤は「5頭の虎」と呼ばれる大手業者5社が流通をほぼ独占。流通の過程で手数料が発生しているため、宝籤売りが定価で小売りできない状況となっている。これら業者との契約が今年半ばに切れることから、軍政は流通システムを改めて定価販売を実現しようとしている。だが、それにはこれら業者の協力が必要。
アピラット副司令官は、「話し合いで解決できるなら強行策は取りたくない。」と述べているが、これは裏を返せば、「協力が得られなければ、強権を発動する。」ということ。このため、大手業者の出方に注目が集まっている。
なお、宝籤は政府機関や慈善団体などにも一定の数量が割り当てられているが、これらの団体などは売れ残りを恐れて大手業者に販売を委託しているのが実情。
05月25日(月)ウィサヌ副首相によれば、「内閣は05月25日に行った3時間に及ぶ会議をもって憲法草案の修正に関する検討を終了した。その結果、内閣からは100ケ所以上の修正案が憲法起草委員会に提言されることになった。」この修正についてウィサヌ副首相は、「内閣は、現政権が打ち出した改革・和解の方針が将来の政府によって実行されるか、政治危機に逆戻りするのを回避するために何ができるか、政治システムをどのよう改善できるかの3点を重要視しており、基本的にこの指針に基づき修正が提案された。」と説明。
05月26日(火)国家改革評議会(NRC)の司法改革委員会と政治改革委員会が、新憲法草案の条項数を現在の315条から118条に減らすよう提言。
司法改革委員会のセリー委員長は、「憲法起草委員会(CDC)は政治対立を解消し、行政と立法を改善する措置を新憲法に盛り込もうとしている。だが、多くの条文が複雑に絡み合っていて理解するのが非常に難しく、論争を招きかねない。」と指摘。
また、両委員会とも憲法草案が「非議員を首相に起用できる。」としていることにも反対しており、「いかなる条件下でも受け入れ難いと考えている。」とを明らかに。
クルングテープ都ラチャダピセーク通の刑事裁判所で「刑事裁判所」とのロゴの左右に「無政府主義」のマークとみられる「A」を「○」で囲んだ落書きがされていた事件で、警察は、「ヌッタポン・ケムンゲーン(22)をノンタブリー県パクレット郡で25日夜に逮捕した。」と発表した。裁判所前の防犯カメラにヌタポンが落書きしている映像が残されていた。
ヌッタポンの自供によれば、「大学時代の友人が02月初めに軍人に撃たれて死亡したものの、警察による捜査が進んでいないことから抗議のために落書きした。」
タイ政府は閣議で高速鉄道建設などのために日本との間で取り交わす覚書の内容を承認。
覚書には、クルングテープ-チエンマイ間(635㎞)の高速鉄道建設、カンチャナブリ-クルングテープ-チャチュンサオ-アランヤプラテートを含む路線(574㎞)の複線鉄道建設などで日本側の協力を求めることが盛り込まれている。この他、ウィラチョン政府副報道官によれば、タイと日本は、メソット-ピサヌローク-コンケン-=ムクダハンをつなぐ718㎞の鉄道開発の実行可能性調査も共同で実施する予定。
05月27日(水)タイ外務省は、「タクシン元首相のパスポート2冊を26日付で無効化した。」と発表。タクシンのインタビューでの発言に、「国家の安全保障、名誉、尊厳に影響を与える内容があった可能性がある。」、「警察が不敬罪、名誉棄損、コンピュータ関連犯罪法などの容疑でタクシンの捜査に乗り出したことを受けた措置だ。」 警察によれば、「発言は国家の安全保障や威信に影響する不適切なもの。」
タクシンは2006年のクーデターで首相の座を追われ、汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定したあと旅券が無効化されたものの、タクシン派・インラック政権下で新しい旅券が発給されていた。外務省によれば、「タクシンは投資などを通じモンテネグロとニカラグアの旅券を保有している。」という。今後はこうした国のパスポートを使用すると見られる。
タクシンは今月19、20日に京城(ソウル)で開催された国際会議、アジア・リーダーシップ・コンファレンスに出席した際に、南鮮メディアの取材に応じ、「妹のインラック前首相の政権を打倒した2014年の軍によるクーデターは、タクシン政権を倒した2006年の軍事クーデター同様、タイ国王の諮問機関である枢密院が画策した。」などと述べた。この発言がタイ軍事政権の逆鱗に触れ、パスポートを剥奪された模様。
プラウィット副首相兼国防相は、「クーデターの発生を防ぐことのできるような憲法を作成・制定することはできない。」と述べ、「憲法の内容にかかわらずクーデターは起きるときは起きる。」との考えを明らかに。
軍部は昨年5月、政治的混乱がエスカレートし、さらに多くの国民が死傷する恐れがあるとして、インラック政権を追放して全権を掌握することになった。
プラウィット副首相によれば、「軍部首脳は野心は抱いていないものの、同じような状況になったら介入しなければならないと考えている。
一方、この発言に対し、タクシン派プア・タイ党所属のサマートは、「民主主義のルールに反する。」と非難。
太田国土交通相は、来日したタイのプラチン運輸相(前タイ空軍司令官)と、鉄道分野に関する協力覚書に署名。
タイによると、両国はクルングテープとチエンマイを結ぶ高速鉄道建設、インドシナ半島南部経済回廊の一部、ビルマ国境のカンチャナブリー-クルングテープ-チャチュンサオ-カンボジア国境のサケーオ県アランヤプラテート間の鉄道建設、ビルマ国境のターク県メーソートーラオス国境のムクダハン間の鉄道建設、タイの鉄道貨物輸送の効率改善について、共同で事業化調査を行う。また、クルングテープとラヨーンを結ぶ高速鉄道の建設について、タイが日本側の提案を検討する。
個人的には、タイ国内での移動が便利になり喜ばしい。日本の技術が、タイのみならずインドシナ半島の発展に多大な貢献が期待される。しかし、今までこのような高速鉄道網がなかったことが異常であり、その理由の大半が予算の欠乏によるもので、果たしてタイが代金を払えるのか疑問である。過去にも高速道路や地下鉄や高架鉄道などの代金を踏み倒した御国柄なのである。日本の国益や企業の利益を考えて、支那・朝鮮のように技術と資金を取られて叩き出されることも考慮しなければならない。
ドイツなど毛唐の国はその点したたかである。ドイツ語を第2外国語として選び、親独であり、ドイツ人の友もいる。しかし、日清戦争の3国干渉や第1次世界大戦など歴史を学ぶと、ドイツはとんでもない国だとわかる。スワンナプームのエアポートリンクはドイツのジーメンス製だが、あの扉の開閉など無骨さ(野蛮さ)に閉口する。ゾリンゲンなどドイツ製品を愛用しているが、日本製の方が優れているものが多い。ドイツ車は支那で作っていて、純粋に近いドイツ車などないのである。
05月28日(木)ウィサヌ副首相は、「政府が国家改革評議会の存続延長を画策している。」との一部報道を全面的に否定。
現行の暫定憲法によれば、憲法起草委員会(CDC)が打ち出した新憲法の最終案を国家改革評議会(NRC)が却下した場合、CDCもNRCも解散となり、新憲法の作成は振り出しに戻る。CDCとNRCは新たに設置されるが、それまでの委員、評議員は再任されない。だが、「NRCをそのまま存続させる企みがある。」との噂が流れている。
ウィサヌ副首相によれば、「国民投票を実施するために暫定憲法の改正が必要だが、NRC絡みで改憲するという話は全く聞いたことがない。」という。
プラユット首相は、政府庁舎で催された報道関係者との昼食会の席上、「持てる権限を駆使して、クーデターを起こしたことが無駄にならないようにする。」と述べ、現在の軍政の下で何が何でも国が良い方向に向かうよう道筋をつける意向であることを明らかに。
また、タクシン派と反タクシン派の和解などが現政権にとって大きな課題となっているが、これについて首相は、「政府が人々の意見が同じになるようにするのは困難。だが、我々はともに暮らす術を探す必要がある」と述べて、共存が最も重要との見方を示した。
タイでは軍人や警察官が退官後も現役時の階級を「元」を付けずにそのまま名乗ることが認められているが、警察出身のタクシンは最近の発言が問題視されており、現役時の階級「警察大佐」を名乗ることが禁止される見通し。
外務省はすでに元首相の外交旅券、一般旅券を無効化している。
警察が元首相の警察官階級について検討するため設置した委員会の委員長、チャイヤ警察庁顧問はこのほど、「タクシン元首相が犯罪人であることは明白。6つの事例が警察官階級剥奪(現役時の階級の使用禁止)となるが、その1つに該当する。」と指摘。同委員会が階級剥奪を進言する可能性の高いことを明らかに。
なお、階級剥奪は、タクシンにとって実質的なダメージとはならないと見られるが、警察から縁を切られたようなもので、タイ国内では非常に不名誉なことと受け止められる。
05月29日(金)警察は、クルングテープの北隣ナコンパトム県でチャイヤ元商業相の自宅など関係先13ケ所を家宅捜索し、ピストル8丁、実弾約800発、防弾チョッキなどを押収。
タクシン派パラン・プラチャーチョン党(すでに解党)の副党首を務めたことのあるチャイヤはナコンパトム県で大きな影響力を持つ有力者の1人。今回の捜索は、「チャイヤの側近が犯罪に関与している。」との通報に基づいて行われたものというが、チャイヤは警察署での事情聴取で、「側近に殺人犯はいない。私の部下の中に犯罪歴のある者はいない。」と述べ、側近による悪事の可能性を全面的に否定。
05月30日(土)ウドムデート陸軍司令官(副首相)は、国外逃亡中のタクシンが軍政による国民和解実現のための努力を批判する書き込みをネット上にしたことに対し、「タクシンの言動に和解に役立つようなものがあるか。」と強く反論。ウドムデート司令官によれば、「タクシンは、『和解が達成できていない。』と軍政を批判する一方で、対立を煽るような発言をしている。」
なお、関係筋によれば、タクシン派も反タクシン派も「国民和解」の必要性を認めている。だが、タクシン派は、反タクシン派を黙らせることを和解と考え、一方、反タクシン派はタクシン派の影響力を弱めることが和解に繋がると考えていることから、何をもって和解とするかについて両派の意見が一致するのは困難。
05月31日(日)警察がタクシンの発言を問題視してタクシンの警察官階級剥奪の検討を開始したことを受けて国家改革評議会(NRC)のプラサン評議員が先に「勲章の返却も求めるべき。」と述べたが、タクシン派プア・タイ党の幹部アヌソンは、「プラサン評議員の発言は(タクシン支持者の)反発を招き、対立を長引かせるだけ。」と批判。
国外逃亡中のタクシンは、枢密院の軍事クーデター関与を示唆した発言が問題視され、先に外務省から旅券無効化の処分を受けた。これに続いて警察が警察官階級の使用禁止を検討。これに加えプラサン評議員は、「タクシンには警察官時代、政治家時代に授けられた全ての勲章の返却も命じるべき。」と述べている。
06月01日(月)タイ外務省は「タクシン元首相の最近の発言を問題視してタクシン元首相の旅券2冊を無効化した。」と発表。その後、「外交旅券は無効となっていない。」と一部で報じられたが、ウィラチョン政府副報道官は、「外交旅券はすでに(首相在任中の汚職(職権乱用)で有罪・禁錮2年が確定して間もない)2008年12月15日に無効化されている。外務省も確認している。」と説明。
外交旅券については、プラソン元外相が「外交旅券は外相に発給され、また、有罪で収監されたら無効となるはず。」などと述べたのが発端となり、「まだ無効化されていない。」と一部で報じられることになった。
なお、外務省によれば、05月26日に外務省が無効化したのは一般旅券2冊であり、これで外務省がタクシンに発給した旅券の全てが無効化されたことになる。
06月02日(火)2013年に当時のインラック政権主導の憲法改正が憲法裁判所によって違憲とされた問題で、立法議会は06月26日、改憲に賛成した当時の下院議員248人を弾劾するか否かの審議の開始日を決める予定。弾劾となれば、これらのタイ貢献党所属の元議員たちは、過去に遡って議員罷免、公民権5年停止となる。
ポンペット立法議会議長によれば、「審議開始の15日前までに、国家汚職制圧委員会(NACC)がまとめた容疑に関する報告を立法議会議員に知らせ、また、元議員たちに審議開始の旨を伝える必要がある。」
これら元議員が公民権停止となれば政治活動が禁止されるため、タクシン派は大打撃を受けると見られる。
警察庁が設置した委員会は、タクシンから警察中将の階級を剥奪することを全員一致で決定。
タイでは軍人や警察官が退官後も現役時の階級をそのまま名乗ることが認められている。 だが、タクシンは「先の発言が国家安全保障を脅かす。」などと判断され、外務省が旅券の無効化を決定。これを受け、同委員会は、タクシンが警察中将という階級を使うのを禁止することを決定。
今回の決定は、ソムヨット警察庁長官に報告されるが、承認されれば、首相官房に報告され、最終決定が下されることになる。
米国訪問中の2006年09月にクーデターで首相の座を追われたタクシンは、汚職などの罪に問われ、また、2008年02月に帰国。保釈中の身で許可を得て同年08月に北京を訪れたが、そのまま帰国せず、同年11月に禁錮2年の有罪が確定。だが、タクシンは判決を不当として帰国して刑に服すことを拒み、国外逃亡を続けている。
06月03日(水)タクシンの一般旅券2冊が2006年09月の軍事クーデター後に無効化されたものの、インラック前政権下の2011年に無効化が取り消されたことから、民主党が当時のインラック首相とスラポン外相の罷免を求めたことについて、国家汚職制圧委員会(NACC)のパンテープ委員長はこのほど、NACCの部会による調査が間もなく完了すること、調査では今のところインラック前首相による不正が見つかっていないことなどを明らかに。
06月04日(木)ウィサヌ副首相は、新憲法が国民投票で否決された場合の4つのオプションを内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)に提示する考えを明らかに。
現在、「新憲法を国民の信任を得たものにする必要がある。」との観点から新憲法の是非を問う国民投票の実施を求める声が強まっている。関係当局も実施に前向きだが、投票では反対意見が上回って否決されるケースも考えられるため、国民投票を実施する場合は否決にどのように対応するかを決めておくことが必要不可欠。
ウィサヌ副首相が提示するオプションは以下の4つ。①国家改革評議会と憲法起草委員会を改めて設置して憲法起草からやり直す、②憲法起草委員会だけを改めて設置して憲法を起草する、③立法議会に憲法起草を任せる、④単独あるいは複数の機関が過去の憲法から選んだものを新憲法として制定する。
プラユット首相は、政府庁舎で「改革が完了するのを見届けるため、現政権をさらに2年存続させるのはどうか。」との報道関係者の質問に対し、「国民がずっとやってほしいと望むなら、私は国民と国のために働く用意がある。しかし、『権力の座にしがみついている。』との批判が国内外で出たら、国民には私を擁護してほしい。」と返答した。しかし同時に「特別な権限を使って首相の座に留まる事はない。」とも明言。一方、その後に開催された立法議会でも国家改革評議会(NRC)の評議員から同様の質問が出たが、プラユット首相は、「(首相の座に)長く留まるというアイデアは実現困難。」と返答した。
06月06日(土)「国家改革を推進するための総選挙2年延期」について、ウィサヌ副首相は、新憲法の是非を問う国民投票に賛否を問う質問を盛り込むことも可能との考えを明らかに。
関係筋によれば、「民政移管のための総選挙実施は、新憲法の是非を問う国民投票を実施しなければ来年初めにも実施できる見通し。だが、新憲法の草案に一部から強い批判意見が出ており、また、国民投票で新憲法が否決されれば、新たな憲法草案作成などに時間が掛かることになる。さらに、現政権下で改革の道筋をつけるだけでは不十分との意見も出ている。」という。
このような理由から、「現政権が2年間かけて改革を具体化したあとで総選挙を実施すべき。」との意見が国家改革評議会(NRC)の一部評議員から出ている。
なお、ウィサヌ副首相は、「政府は総選挙延期を提言する立場にはない。」、「政府が(総選挙延期について)コメントするのは時期尚早。」とも話している。
06月08日(月)国家改革評議会(NRC)政治改革委員会のソムバット委員長は、「政治改革委員会が現政権をさらに2年間存続させて国家改革を推進させることを新憲法に規定すべき。」と判断し、これを憲法起草委員会(CDC)への提言に盛り込んだことを明らかに。
「現政権の下で2年間かけて国家改革を具体化する。」との案については、「新憲法の是非を問う国民投票を通じて国民の判断を仰ぐべき。」との意見も出ているが、ソムバット委員長によれば、「存続延長の規定を新憲法に付け加えることで国民票による質問は不要になる。」
一方、プラユット首相は、現政権の存続2年延長に関する質問に対し、「国家平和秩序評議会 (NCPO)の打ち出した(新憲法制定や総選挙実施などに関する)行程表は変更されていない。そのような質問はすべきではない。」と述べた。
06月09日(火)現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)と内閣は、「新憲法の是非を問う国民投票で質問の項目を増やすため現行暫定憲法を改正する必要がある。」との点で意見が一致。
この他、憲法起草委員会(CDC)による憲法草案手直しの期間を30日間延長することも合意された。
ウィサヌ副首相によれば、「国民投票を実施する前に中央選挙管理委員会が憲法草案のコピーを国内の1900万世帯に配布する。また、国民投票には新憲法を承認するか否かの質問のほか、現政権の存続を2年間延長して国家改革を推進すべきかという質問などが付け加えられる見通し。ただ、質問の追加には、国家改革評議会(NRC)、立法議会(NLA)の過半数の賛成が必要。
プラユット首相(前タイ陸軍司令官)率いるタイ軍事政権・反タクシン派が政権の長期化、民政移管の先送りを図る動きが表面化してきた。軍政の長期化は世論の一定の支持を得ているとみられ、民政復帰の日程はますます不透明。
軍政は当初、現在作成中の新憲法案を国民投票にかけずに施行する方針だったが、憲法案に関する以外の投票項目を加えることを可能にした上で、国民投票の実施を決めた。憲法案は09月中にまとまり、その後、1900万部を印刷して国民に配布、周知し、2016年01月に賛否を問う国民投票を行うという日程が見込まれている。民政復帰のための総選挙は当初予定の2016年前半から数ケ月遅れる見通し。
一見すると、国民投票の実施は政党や世論の反発を考慮したように見える。しかし、軍政・反タクシン派は、憲法案に暫定首相を2年置く条項を盛り込んだり、憲法案以外の項目でプラユット政権の継続の是非を問うなどの方法で、政権維持を図る可能性がある。憲法案が否決された場合、軍政は憲法案を新たに起草する方針で、民政復帰は年単位で遅れる。
任期2年の暫定首相という構想には、軍幹部、反タクシン派から早くも支持の声が上がっている。反タクシン派の僧侶が「暫定首相に賛成する5万人の名簿」を王族のパナダー首相府相に手渡し、プラユット首相に総選挙の延期を呼びかけた。プラユット首相本人は観測気球を打ち上げて世論の反応を窺っている段階と見られ、政権長期化への明確な姿勢を示していない。
06月10日(水)中央選挙管理委員会のスパチャイ委員長は、中央選管が来年01月10日の国民投票実施を想定して準備を進める方針を明らかに。
新憲法の是非を問う国民投票は、憲法起草委員会(CDC)が打ち出した新憲法最終案を国家改革評議会(NRC)が承認した後に実施される。ここで承認された場合、中央選管は09月06日から国民投票実施に向けた準備を開始する予定。国民投票にかかる費用は総額30億Bあまり。
タイ警察は、タイ宮内庁職員のモントリー・ソーターンクーン(54)を不敬罪、恐喝などの容疑で逮捕。タイでは殺人容疑でも保釈になる場合があるが、不敬罪の場合は保釈を認めらないまま実刑判決を受け服役する場合がほとんど。モントリーもこのまま服役する公算が大きい。
王族に近いと騙って、当時の閣僚に圧力をかけ、タイ国営石油会社PTTとタイ国営通信会社CATテレコムの取締役のポストを得た他、土地売却の際に買い手を脅し、売り値を吊り上げた。モントリーは昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の元侍従長で、PTT、CATテレコムのほか、地方水道公社、住宅公社の理事などを務めた。PTTの取締役には2011年に就任し、今年04月に退任。シーラット元妃を巡っては、両親、兄弟、おじに当たるポンパット前警察庁中央捜査局長(警察中将)、ポンパット前局長周辺の警官ら数十人が、昨年から今年にかけ、不敬罪、恐喝などで逮捕、実刑判決を受け、服役中。
06月11日(木)新憲法の是非を問う国民投票について、最低投票率が設けられない見通しであるため、投票率が低ければ可決される可能性が高い。
また、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、「最低投票率に及ばずに国民投票をやり直すということもないため、費用が嵩むことはない。」との見方。「国民投票の費用は約30億Bとされているが、投票がやり直されればさらに費用がかかることになる。また、反軍政勢力が否決に持ち込もうと画策すると予想されるものの、最低投票率を設けないことでこの企みが不成功に終わる可能性が高まる。」
内務省関係筋は、「最低投票率が存在しなければ、投票ボイコットを呼びかけても意味がない。かといって反対票を投じさせるのはボイコットさせるよりさらに難しい。」と指摘。
06月12日(金)政治対立を解消し国民和解を実現するためには国家改革が必要と判断に基づいて現政権のもとで改革の具体的検討が進められているが、プラユット首相は「国家改革評議会(NRC)に代わる機関、すなわち、改革推進に必要な権限を付与された機関の設置が必要。」と強調。
先に内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)は現行の暫定憲法の7ケ所を改正する案を承認したが、その1つは「NRCは新憲法草案に関する採決を行った後、新憲法草案が承認されたか否かにかかわりなく解散する。」というもの。このNRC解散に伴い、改革にアドバイスする、首相が選んだ200人で構成される改革推進機関が設置されることになる。
東北部を管轄する陸軍第2管区への命令の内容がネット上に流れたことをきっかけに「国家改革評議会(NRC)が新憲法草案を承認するか否かを決める過程で混乱が生じクーデターが起きる。」との噂が広まっていることについて、プラウィット副首相兼国防相は、「何もない。議会での採決がなぜ混乱につながるのか。」と述べ、クーデター発生の可能性を全面的に否定。
また、陸軍第2管区への命令は、「兵士、警察官、内務省職員は、国家平和秩序評議会(NCPO)議長の許可なく武器を管轄地域外に持ち出すことを禁止する。」というものだったが、プラウィット副首相兼国防相は、「武器の移動にNCPO議長の許可が必要なのは普段と変わりなく、また、武器の移動は政治とは関係ない。」と説明。
06月13日(土)「昨年05月のクーデターに伴い誕生した現在の軍政を倒そうとクーデターを画策している者たちがいる。」といったメッセージがネット上で飛び交っていることについて、ウィンタイ陸軍報道官は、「根も葉もない噂」と述べ、クーデター発生の可能性を全面的に否定。
また、「プラユット首相が現行の暫定憲法44条に基づいて強権を発動してウドムデート陸軍司令官(副首相)を解任した。」との流言が存在するが、報道官によれば、「そのような事実はない。」
06月14日(日)ウィサヌ副首相は、「新憲法が国民投票で可決されたなら来年08月に総選挙を実施できる。」との考えを明らかに。
もし国民投票が来年01月に実施され、新憲法の最終案が可決された場合、憲法起草委員会(CDC)は02月に基本法の草案を作成。草案が03月か04月に立法議会(NLA)で審議されて05月に憲法裁判所に提出され、憲法裁判所に承認されれば、総選挙を08月に実施することが可能。選挙結果は30日後に発表されるため、来年10月には新政権が発足。これに伴い、「5本の本流」と呼ばれる現在の暫定政権、国家平和秩序評議会(NCPO)、国家改革評議会(NRC)、立法議会、憲法起草委員会の全てが姿を消すことになる。
タイ軍における実質的最高ポストである陸軍司令官にプラユット首相の弟、プリチャ大将が就任との見方が強まっている。ウドムデート陸軍司令官(副国防相)は今年度末(今年9月末)をもって定年退官。プリチャ大将は現在、陸軍司令官補を務めている。また、陸軍司令官の候補としてはティラチャイ陸軍司令官補の名前も上がっており、関係筋は、「プリチャ、ティラチャイ両大将のうち、一方が陸軍司令官、他方が国防事務次官に起用されるのは確実。」
06月15日(月)クルングテープのタイ外国人特派員クラブ(FCCT)で17日に開催される予定だった不敬罪に関する討論会がタイ軍事政権の圧力で中止。FCCTが明らかに。
FCCTによると、「軍政は、討論会が開催された場合、FCCTがあるビル全体を封鎖する。」と警告。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、不敬罪の裁判は1990年から2005年にかけ、年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。不敬罪の容疑者のほとんどはタクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま、実刑判決を受け、服役する事例が多い。
昨年05月のクーデターでタクシン派政権を倒し発足したプラユット軍事政権は政治集会、抗議活動を禁止し、人権、民主主義などに関する行事を中止させてきた。また、不敬罪による取り締まりをさらに強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかった事例も遡って摘発し、短期の裁判で重刑を科している。
今年に入ってからの主な不敬罪の裁判:02月、「2013年にタマサート大学の構内で演じた劇で王室を批判した。」として、大学生のパティワット・サライイェーム(24)と政治活動家のポーンティップ・ムンコング(27)♂にそれぞれ禁錮2年6ケ月の実刑。03月、「2014年にトイレの壁に王室批判の落書きをした。」として、オパート(67)に禁錮1年6ケ月の実刑03月、「2014年にインターネットの交流サイト、フェイスブックに王室を批判するコメントや写真を投稿した。」として、実業家♂(58)に禁錮25年の実刑。被告は民間人であるにも関わらず、裁判はいずれも軍法会議で行われ、軍法会議は1審制で、控訴が認められていない。
国家改革評議会(NRC)のティエンチャイ議長は、「改革失敗」との批判を受けぬようNRC内の18改革委員会全てに対し、NRCの解散までに改革関連法の少なくとも半数について制定の手続きを完了するよう指示したことを明らかに。
先に政府が承認した暫定憲法改正案では、NRCは憲法起草委員会(CDC)がこれから打ち出す新憲法の最終案に承認あるいは不承認の判断を下した後解散となるが。解散の時期は約2か月後とみられている。それまでに改革関連法の半分については制定手続きを完了させておく必要がある。なお、解散時にNRCが改革関連法に関する作業をやり残していた場合は立法議会(NLA)が引き継ぐことになる。
06月17日(水)最近になって「昨年05月の軍事クーデターで全権を掌握した軍部首脳らをその座から追い落とすためにクーデターを画策している者がいる。」との噂がネット上に流れているが、ソムヨット警察庁長官は、「噂を広めた犯人が誰で、どこに住んでいるかも把握している。」と述べた。「犯人は外国で登録したウェブサイトを通じてクーデターの噂をばら蒔いていた。」という。だが、「警察が同サイトへのアクセスをブロック済み。」
また、「犯人は政治的意図があって噂を流した。」との見方もあるが、長官は、どのような政治勢力が犯人と繋がっているかなどについては明言を避けている。
06月18日(木)立法議会で、現行の暫定憲法の7項目改正案が全会一致で承認。改正案は内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)が提出したもの。
改正に伴い、憲法改正や閣僚入れ替えに国民の意見を反映させる際の障壁が取り除かれ、また、新憲法の最終案を国家改革評議会(NRC)が承認した後に同案の是非を問う国民投票の実施などが可能になる。なお、暫定憲法は、昨年05月の軍事クーデターでそれまでの2007年憲法が廃止されたことから制定されたもの。また、この憲法に代わる憲法が新たに制定されてから総選挙が実施されて民政移管が実現することになる。
06月21日(日)新憲法の是非を問う国民投票について、先に「来年01月に実施される可能性が高い。」などと報じられたが、立法議会(NLA)のピラサック副議長は、「来年02月に実施され、プラユット現政権が少なくとも再来年初めまで存続する。」との見方を示した。
ピラサック副議長によれば、憲法起草委員会(CDC)が新憲法の最終案を打ち出すのが08月。国家改革評議会(NRC)が最終案を承認するのが09月初め。その後で全国の2400万世帯に配布するため最終案のコピーが印刷されるが、これには相当時間が掛かる。このため、国民投票実施は早くとも来年02月06日。投票で最終案が可決されれば、総選挙が来年10月か11月に実施される。そうなると、現政権が新政権と交代するのは再来年初めになる見通し。
06月22日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)は近く警察庁本部で報道関係者を集めた会議を開く予定。ここには内外の記者200人あまりが出席する見通しで、NCPOはこれら記者に対し、プラユット首相など政府首脳に挑発的質問をしないよう求める予定。
NCPOに関する報道をモニターしている委員会に所属するスチャート陸軍信号局局長によれば、「会議では報道関係者に対し、建設的な質問をすることや事実を捩じ曲げないことが求められる予定であるが、軍首脳部が何かを記者たちに命じるようなことはない。」
06月23日(火)憲法起草委員会(CDC)が打ち出した新憲法の最初の案に対しては、「条項が多すぎて冗長。」といった批判意見が一部で出ていたが、CDCの広報担当カムヌンは、「100以上の条項を手直しすることで憲法草案を簡素なものにすることになった。」、「新憲法案については様々な機関から提言が出されているが、CDCはこれら提言に基づき25日にも草案修正の作業に取りかかる。」と説明。
また、ウィサヌ副首相は、「憲法草案の簡素化は良い兆し。」と述べ、CDCの決定を歓迎する考え。
2008年に反タクシン組織、市民民主主義連合(PAD)の支持者らが当時のタクシン派政権への抗議のためスワンナプーム、ドンムアン両空港で座り込みを行い1週間以上にわたって占拠した事件について、控訴裁判所(日本の高等裁判所に当たる)は、1審の判判決を支持し、当時のPAD幹部ら13人に対しタイ空港社(AOT)への5億2200万Bの損害賠償を命じた。
また、PADの顧問弁護士によれば、最高裁判所に上告するには被告らが26日までに裁判費用700万Bを支払う必要があるが、支払いが間に合いそうにないため、支払期限の延長を裁判所に求める予定。
06月24日(水)タイの政治システムを絶対君主制から立憲君主制に変えた1932年06月24日の立憲革命から83年目の24日、プラユット軍事政権に反対する小規模なデモがクルングテープの民主記念塔やパトゥムワン警察署などで行われた。
民主記念塔では塔に献花した学生3人が軍政による政治活動禁止命令に違反したとして逮捕。パトゥムワン警察署では地方とクルングテープの学生十数人が入口前に数時間座り込み、「今年05月の反軍政デモで警官、兵士が参加者に暴力を振った。」と、警察に捜査を要求。
一方、軍政と対立するタクシン派の地盤であるコンケン県では23日、タクシン派の女性2人が軍基地に出頭させられ、軍高官から、タクシン派支持の態度を改めるよう指導。2人はタクシンの妹のインラクック(48)の誕生日の今月21日、「誕生日おめでとう」と記したプラカードを持って、県内の路上を行進した。行進には約20人が参加。
プラユット首相は、記者会見で、メディアに対する不満を5分以上にわたり話し続け、最後は怒りを抑えきれないように声を荒らげた。
プラユット首相はメディアが毎日自分を攻撃すると主張。「これほどの仕事をしたのに、私が何を成し遂げたのか何も書かず、何の業績もないと書く。」と批判し、「この国に生まれたら悲しいだけだ。」などと零した。さらに、「会議で訪れたどの国も前進している。内紛の話など出てこない。揉め事を掘り起こそうをしているのは我国だけだ。」と嘆き、「(メディアは軍政が)弾圧していると言うが、本当に弾圧しているのなら、こんなものじゃない。私もこんなに不機嫌にならずに済む。少しは私に遠慮してもいいではないかと思うが、そんなことは誰もしない。書きたいことを書き、批判したいように批判する。」と鬱憤をぶっつけた。「私を選挙で選んだ人はいない。」、「自分で望んでこの立場についた。」と認めつつも、「君たちのために毎日仕事をしているが、君たちは何も聞かない。」、「公務員の90%以上は良いが、(メディアに)批判され、落胆している。」と述べた。
この辺りから発言が勢いを増し、「命令されて悪く書いているのを知っているから、記者に怒ってはいない。」、「悪く書かないと金を貰えない。」などと発言。記者が「給料を貰っているだけで、それ以外に誰からも金など貰っていない。」と反論すると、「知るか! 君らはみんな金持ちだ。」と怒鳴り、「書きたいように書けばいいだろう」、「近々この国は破滅する」、「給料もなくなる、国中に金がなくなる。好きなようにすればいい。」なとと言い散らした。
その後、やや気を取り直し、「外国は(タイに)投資する準備がある。交通、観光など、タイはどうしたいと聞いてくる。タイだけだ、訳のわからないことを言い、内輪もめに明け暮れているのは。」とぼやいた。
発言の翌日、軍政に批判的なタイ字紙マティチョンは、沖縄の戦没者を悼む23日の慰霊の日に沖縄を訪れた安倍首相が「帰れ」などと野次を浴びた記事を掲載。「成熟した指導者の見本…安倍は野次られても感情を表に出さなかった」と見出しをつけ、プラユット首相を皮肉った。
 支那の工作員の翁長雄志(おながたけし)(64)沖縄県知事は、追悼して死者を悼む沖縄全戦没者追悼式で、政治主張の妄言を吐いた。追悼のかけらも持ち合わせない人非人で、死者を侮辱するものである。この会場には招待客以外は入れない。日当で雇った本州から来た工作員の蛮行というのがまるわかりである。この売国鬘爺は自民党の沖縄県幹事長で辺野古移転に賛成していたのが、日本共産党と共謀して一転して反対に変わった。対案も出せず、普天間基地を固定化し、住民の生命を無視している。しかも、支那属国の証、龍柱と支那部落を日本政府からの沖縄振興予算3000億円で建設している。ここまで品性下劣で国益を害する売国奴は例が少ない。
 日本共産党は、日本国憲法1条、2条、3条、4条、5条、6条、7条、8条を違反か蔑ろにし、9条2項だけを誤憲し、日本人を戦争の危機に陥らせるカルト集団である。幹部は東大出身で豪邸に住み、低学歴の反対派の筆坂秀世(67)、萩原遼(78)は粛清。因みに、物理は、不破哲三こと上田建二郎(85)、志位和夫(60)、鳩山由紀夫(68)、菅直人(68)、有馬朗人(84)アンゲラ・ドロテア・メルケル(60)と反日の屑だらけである。9条2項があるために、千島列島と樺太をロシアから奪還できず、南朝鮮に竹島を侵略され日本人の生命と財産が奪われた。北朝鮮に拉致された日本人の救出もできない。その間に軍国主義の支那は尖閣諸島、小笠原諸島を侵略し、日本人の財産を奪い、生命を危機に晒している。
 国際法違反でやっつけ仕事の欠陥、占領憲法を70年近くも変えられない安倍晋三(60)と、クーデターができ、憲法は数年毎に変えているタイのプラユット・チャンオチャー(61)を比べて何という言いようか。マティチョンは無知なマスゴミだが、駐タイ日本大使館は抗議すべきだ。もっとも、赴任した大使佐渡島志郎はタイ服を着て挨拶に行く体たらくで、もとより期待などできるわけがない。
警察庁のプラウット報道官は、「ネット上のSNSフェイスブックで『現政権をクーデターで倒そうと画策している者がいる。』といった噂を広めた不敬罪とコンピューター法違反で、チャダパ・チョックポーンブッドスリー(48)♀をサムットプラカン県の自宅で23日に逮捕した。」と発表。ノートブックコンピューター、タブレット、スマートフォン、ビデオカメラ、文書なとが押収された。チャダパは取り調べに対し、「タクシン支持派にこうした噂を広げた。」と供述。戦車の写真などを投稿したことなどを認めている。チャダパは血圧と心臓の機能障害のため記者会見の後に病院に急送された。
06月26日(金)クルングテープ都クロンサン区で、国家平和秩序評議会(NCPO)の暫定憲法44条、政治集会禁止命令の違反で、クーデターに反対する団体「新民主主義活動グループ」に所属するクルングテープやコンケン県などの学生を中心とする男女14人を逮捕。14人は24、25日、都内の民主記念塔、パトゥムワン警察署前などで軍政に反対する集会を開き、早期の民政復帰を要求した。
警察の要請でクルングテープ軍事裁判所が逮捕状を発付。これを受けて警察官や兵士約50人が学生たちの身柄を拘束し、プララチャワン警察署に連行。学生らの弁護士によれば、「学生たちは取り調べが終わり次第、軍事裁判所で裁かれる見通しだが、保釈を請求すると軍事裁判所の権限を認めたことになるため保釈は求めない。」
プラユット首相(前陸軍司令官)とプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)、ウドムデート副国防相(陸軍司令官)は逮捕の前後に、「学生らが政治家から支援を受けている。」と発言。タクシン派の関与を示唆。
06月28日(日)クーデターに反対するデモを行ったことで学生14人が逮捕されたことについて、ネット上では「政治雑誌の発行人タナトーンが黒幕。」との情報が飛び交っているが、タナトーンは、「学生らの活動を支持したのは学生たちを激励しようとしたまで。」と述べ、首謀者といった見方を否定。
これらの学生に関しては、「王制転覆を狙っている。」となどとする見方もある。タナトーンは、「今までに王制転覆の計画に加わったことも、タクシンから経済的支援を受けたことも、学生たちの思想に影響されたこともない。」と述べた。
06月29日(月)クルングテープでクーデター反対派の学生14人が逮捕された事件で、チエンマイで、大学生らが集会を行って14人の釈放を求めたことから、これら大学生のうち3人が国家平和秩序評議会(NCPO)の政治集会禁止令違反容疑で逮捕された。今回の抗議集会は、プラユット首相がチエンマイで30日に開かれる移動閣議に出席するため訪れたのに合わせて行われたもの。
06月30日(火)反軍政のデモを行った学生らを逮捕したことに対し、欧州連合(EU)と国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)東南アジア事務所が06月30日、相次いで懸念を表明。
学生らは06月25日にクルングテープ都内の民主記念塔でデモを行い、翌26日に逮捕。軍政は騒乱扇動罪で軍法会議で裁判にかける方針で、有罪の場合、最高で7年の禁錮刑が科される。軍政は29日までに、デモに参加した別の学生2人も訴追した。また、29日、北部チエンマイ市で14人の釈放を求めるデモに参加した学生3人を逮捕。
OHCHRは声明で、タイは市民的及び政治的権利に関する国際規約の締約国で、表現の自由、平和的な集会の自由などの権利を順守する義務があると指摘。軍政に対し、平和的なデモの参加者を釈放し、刑事訴追を取り下げるよう呼びかけた。また、5人以上の政治集会を禁止した軍政命令など、表現の自由、集会の自由を制限する法の運用を見直すよう求めた。
EUは、駐タイ代表部のフェイスブックのページに出した声明で、学生らの逮捕に懸念を表明。軍政に対し、市民的及び政治的権利に関する国際規約を順守するよう求めた。
プラユット首相(前タイ陸軍司令官)は、「法は法、タイはタイだ。」と述べ、OHCHRとEUの呼びかけを突っぱねた。記者団がデモ拡大を懸念しているかと聞くと、「心配するか!」と声を荒らげた。タナサク副首相兼外相(前タイ国軍最高司令官)は、「国連には失望した」と述べた。
メコン川流域の5カ国と日本の首脳が参加する第7回日本・メコン地域諸国首脳会議が04日、東京で開催。出席を予定しているのは議長の安倍晋三首相、カンボジアのフン・セン首相、ラオのトンシン首相、ビルマのテイン・セイン大統領、タイのプラユット首相、ベトナムのグエン・タン・ズン首相。日・メコン首脳会議は日本とメコン地域との関係強化、メコン地域の域内格差是正と持続的発展を目的に、2009年以降、毎年開催されている。今年は3年に1度の日本開催の年に当たる。今回の首脳会議では、現行の日・メコン協力の方針である「東京戦略2012」を総括するとともに、日・メコン関係の強化とメコン地域における「質の高い成長」の実現に向けて、日・メコン協力の新たな戦略を策定する予定。
各国首脳は02日午後に到着し、03日昼に日・メコン友好議連主催の昼食会、夜に安倍首相主催の夕食会に参加。04日午前に首脳会議を開き、午後、2国間会談を行う予定。
タイ政府によると、安倍首相、プラユット首相、テイン・セイン大統領は04日午後、ビルマのダウェー経済特区の共同開発に関する趣意書に調印する。05日以降、フン・セン首相は北九州と山口、トンシン首相は京都を、それぞれ訪問。
07月01日(水)タクシン政権(2001~2006年)が導入した国民皆保険制度(ユニバーサル・ヘルスケア・プログラム)について、プラユット首相は、「カネのかかる大衆迎合政策」と批判。
医療機関利用者が1回に支払う料金を30Bとした国民皆保険制度は、国民の3分の2が恩恵を受けており、タクシン人気を支える要因の1つ。
だが、プラユット首相によれば、国民皆保険制度は、医療機関への手当が十分に考慮されないままスタートされたことから、資金的な問題が生じており、この数年のうちに複数の病院が破産状態に陥る見通し。
クーデター反対の集会を行って現政権を批判した学生14人が政治集会禁止令違反で逮捕された問題で、プラユット首相は、暫定憲法44条に基づいた強権発動で学生らに恩赦を適用するよう求める声が出ていることに対し、「他にも恩赦適用を求める者が出て来る。」と述べ、恩赦で学生らを釈放することに否定的な考えを明らかに。
学生らは06月26日 に逮捕され、軍事裁判所で裁判が行われている。だが、学生らは、「軍事裁判所に保釈を申請すれば、軍事裁判所の権限を認めたことになる。」として、保釈を求めていない。
プラユット首相によれば、関係当局が現在、学生たちが自らの意思でクーデター反対集会をしたのか、あるいは、背後に政治的な組織などが存在するのかを調査中。
07月04日(土)メコン川流域の5カ国と日本の首脳が参加した第7回日本・メコン地域諸国首脳会議が4日、東京で開催され、今後3年間の日・メコン協力の方針「新東京戦略2015」を採択。
 安倍首相は会議で、2012年の「新東京戦略2012」で表明したメコン地域に対する6000億円の政府開発援助(ODA)で、カンボジアのつばさ橋、ラオの国道9号線やビエンチャン国際空港、ビルマのティラワ地区開発、ベトナムのノイバイ空港などのインフラ整備を支援したと総括。「新東京戦略2015」では、「今後3年間でメコン地域に7500億円の政府開発援助を行う。」と表明。また、メコン地域に対し、アジア開発銀行(ADB)と連携しながら、5年間で総額約1100億US$規模のインフラ投資を推進するほか、高速鉄道や都市鉄道の整備、メコン地域とインドを繋ぐビルマ南東部ダウェー経済特区開発などを支援する方針を打ち出した。「人材育成、法制度整備を含む制度的連結性の強化、東アジア地域包括的経済連携の早期妥結、高効率石炭火力発電の推進などにも取り組む。」と表明。
メコン各国はこれに対し、日本のこれまでの取り組みを評価し、インフラ投資や人材育成、日本企業の進出などへの期待を表明。
日・メコン首脳会議は日本とメコン地域との関係強化、メコン地域の域内格差是正と持続的発展を目的に、2009年以降、毎年開催されている。今年は3年に1度の日本開催の年で、来年はラオで開催される。
今回の会議には、安倍首相のほか、カンボジアのフン・セン首相、ラオのトンシン首相、ビルマのテイン・セイン大統領、タイのプラユット首相、ベトナムのグエン・タン・ズン首相が出席。各国首脳は02日午後に日本に到着し、03日昼に日・メコン友好議連主催の昼食会、夜に安倍首相主催の夕食会に参加。04日午前に首脳会議を開き、午後、2国間会談を行った。
東京で、プラユット首相、安倍首相、ビルマのテイン・セイン大統領の立ち会いの下、ビルマ南部のダウェイ経済特区開発での協力に関する覚書を調印。
プラユット首相やビルマ大統領は、東京で開催された第7回日本・メコン地域諸国首脳会議に出席するため日本を訪問。ダウェイ経済特区の開発には500億US$が投入される予定。タイ、日本、ビルマが協力することで東南アジアの貿易・投資に非常に良い影響が及ぶものと期待されている。
第7回日本メコン地域諸国首脳会議出席のため来日したタイ軍事政権のプラユット首相は、東京で安倍首相と約40分間会談。プラユット首相の訪日は今年3度目。
プラユット首相は会談で、新幹線技術を活用したクルングテープ-チエンマイ間の高速鉄道構想について、早期着工を期待すると発言。国内のインフラ整備、経済特区などについて、日本の協力を早期に具体化したいとの意向を示した。
安倍首相は「タイが軍政の行程表通りに新憲法を制定、民政に復帰することを強く期待する。」と伝えた。プラユット首相はこれに対し、「現在新憲法の作成を進めており、来年中に総選挙を実施し、民主主義に復帰できるよう、政府として全力で努力する。」と応じた。
07月05日(日)国家改革評議会(NRC)のプラサン評議員はこのほど、プラユット首相に対し、国民和解を速やかに実現するため、暫定憲法44条に基づいて強権を発動して比較的軽い政治関連犯罪で捕らえられている人々に恩赦を適用するよう要請。NRC和解委員会のメンバーであるプラサン評議員によれば、「放火や不敬など重い罪を犯した者を恩赦で釈放すれば、国民和解が実現にさらに近づく。」
また、タクシン派からは、「国民が和解できるよう、タクシン派と反タクシン派の対立に関連して逮捕された者全員に恩赦を適用すべき。」との意見が出ているが、これについてプラサン評議員は、「賛成できない。」と述べている。
07月07日(火)軍事政権に反対するデモを行い逮捕された学生ら14人について、タイ軍法会議は、警察による12日間の拘留期間延長請求を却下。14人は08日までに釈放される見通し。ただ、無罪放免ではなく、政治集会禁止令違反容疑に関する裁判は続けられ、騒乱扇動罪などで起訴される可能性がある。
14人は06月25日に都内の民主記念塔でデモを行い、翌26日に逮捕された。軍政は騒乱扇動罪などで軍法会議で裁判にかける方針を示していたが、欧州連合(EU)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)東南アジア事務所が相次いで懸念を表明するなど、内外で釈放を求める声が強まっていた。
警察には容疑者を逮捕から12日間勾留することが認められているが、これが切れたことからさらに12日間の勾留を申請。だが、軍事裁判所は、「さらに身柄が拘束されれば、学生らは裁判に備えることができない。」として、申請を退けた。
プラユット首相は14人の釈放について、「裁判所に目溢ししてもらったのだから、まだ(デモを)やるかどうかよく考えるべき。」などと述べた。軍政幹部からは「外国の組織が学生らを焚きつけている。」(タワチャイ陸軍大将)という陰謀説も飛び出した。
関係筋によれば、「裁判所の判断は、反政府勢力への配慮とみることがでるものの、学生たちの解放が政府に批判的な者たちを勢いづかせる可能性もある。」この他、「米国の政府機関がプラユット政権を批判するよう裏で学生たちを焚きつけている。」との指摘もあるが、米政府は関与を否定している。
07月08日(水)現政権に批判的な集会を行った学生14人が政治集会禁止令違反容疑で逮捕され、これに各方面から批判が出ていた問題で、これら学生を釈放。
学生は自らの正当性を訴えていく構えを見せ、「軍事裁判所でなく通常の裁判所による裁判を求めていく。」と述べた。
警察は12日間の勾留が期限を迎えたことから、軍事裁判所に12日間の勾留延長を請求。だが、軍事裁判所は、「学生らには裁判に備える時間が必要」として勾留延長を認めず、釈放されることになった。なお、軍事裁判所が民間人を裁くことに反対するこれら学生は、「軍事裁判所に保釈請求すれば、軍事裁判所の権限を認めたことになる。」として、勾留中に保釈を要求しなかった。
07月09日(木)ネット上に「プラユット首相と妻がシンガポールに100億B以上を送金した。」との噂が流れていた問題で、ソムヨット警察庁長官は、虚偽情報を流布したというコンピューター犯罪法違反容疑でタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)とつながりがあるとみられる女を逮捕。容疑者については、取り調べが終わっておらず、氏名などは明らかにされていない。ソムヨット長官は、「取り調べが完了すれば、反政府組織(UDD)に属しているのか否かがはっきりするだろう。」、「人を傷つける恐れのあるメッセージを投稿したり転送したりする場合は注意してほしい。コンピューター犯罪法に違反する恐れがある。」と述べた。
不法入国とされたウイグル族約100人が支那に強制送還されたことにトルコで反発が高まり、イスタンブールのタイ名誉総領事館が襲撃された事件で、プラユット首相は、「(強制送還においては)適切な手続きを踏んだ。」と強調し、「タイ当局に落ち度はない。」との姿勢を明らかに。
今回の強制送還は、06月のトルコへのウイグル族送還に続くものだが、国連機関や人権団体から批判的な意見が出ていた。
タイでは、不法入国者などについては国籍を確認してから本国に送還しているが、ウイグル族約50人は国籍確認が済んでいないため現在もタイで身柄拘束されたままとなっている。
07月10日(金)不法入国のウイグル族109人を支那に強制送還したことでタイは各方面から批判を受けている。このため、タイ政府はこれらウイグル族が不当な扱いを受けていないことを確認すべくオブザーバーを支那に派遣する予定。
また、ウィラチョン副政府報道官は、「タイ当局は支那に戻ってからのウイグル族の身の安全を考慮したうえで彼らを支那に強制送還した。」と強調。
「プラユット首相と妻が数十億Bをシンガポールに送金した。」との噂がネット上に流された問題で、ソムヨット警察庁長官が、記者会見を行って経緯などを説明。ここで噂を流したとして先に逮捕されたリンダ(44)が「他人の書き込みを元夫が立ち上げたフェイスブックにコピーしただけ。」と述べて噂の発信源であることを否定するとともに、「騒動を起こすつもりはなかったが、国民に選ばれた政府であろうとなかろうと国民には政府を批判する権利があると思った。」などと釈明。
また、警察は、プラユット首相に関する虚偽情報を広めたのは指名手配中で、現在米国に潜伏中とみられるマヌーンの指図と見ているが、マヌーンについてリンダは、「知らない。」と述べている。
07月11日(土)ウイグル族のイスラム教徒約100人がタイから支那に強制送還されたことに批判的意見が出ている中、国家安全保障会議(NSC)のアヌシット事務局長は、国籍がトルコであることが確認されたことからウイグル族の母子8人(母4人、子4人)をトルコに送還したことを明らかに。
タイでは今年初めから密入国容疑で約350人のウイグル族の身柄が拘束されていたが、今回の送還でトルコに移送されたウイグル人は合計180人となった。また、52人がいまだ身柄拘束中だが、国籍が判明し次第、本国に送還される予定。
07月12日(日)国家改革評議会(NRC)の一部評議員から「国民投票で『挙国一致内閣を設置すべきか。』を質問する。」との意見が出ていることについて、ティエンチャイNRC議長はこのほど、「そのようなことを考えるのは我々の役目ではない。」と述べ、この意見に否定的な考えを明らかに。
新憲法の是非を問う国民投票では、NRCと立法議会(NLA)がそれぞれ1つずつ追加の質問をすることが許されることになっている。だが、ティエンチャイ議長によれば、「NRCは国家改革に専念すべきであり、改革に関連する質問をすべき。」
タイが密入国のウイグル族109人を支那に強制送還したことに批判が出ている問題で、ウィラチョン副政府報道官は、支那が旅客機で支那に移送中のウイグル族の頭に黒っぽい布袋を被せていたことについて、「支那当局にとっては、ウイグル族が抵抗したり、飛行機をハイジャックしたりするのを防ぐために必要な治安措置だった。」と釈明。
さらに、「支那政府は、ウイグル族を公正に裁くと我々に確約した。」と述べ、支那でウイグル族が不当に扱われないことを確認してから強制送還したことを強調。
機内の様子を撮影した映像は支那国営テレビ局が報じたものだが、これが原因で支那やタイへの批判がさらに強まる可能性がある。
07月13日(月)プラウット警察庁長官補は、「成田国際空港で06月22日にタイ行フライトに搭乗しようとして実弾入りの拳銃の所持で逮捕されたカムロンウィット前首都圏警察長官が嫌疑不十分で不起訴。東京入管に引き渡され、14日にもクルングテープに帰国する予定。」と明らかに。
カムロンウィット元司令官はタイからの視察団の一員として、06月19日に成田空港から日本に入国。22日に成田空港から出国する際に逮捕。荷物の中から見つかった拳銃と実弾について、自身のものであることを認めていたが、「誤ってスーツケースに入れっぱなしになっていた。」と供述。日本の検察当局は、「本人の意思で拳銃と実弾を所持していた。」と立証することが困難なため、嫌疑不十分で不起訴。
ただ、プラウット長官補によれば、「不起訴になったものの、拳銃所持という違法行為があったのは事実であり、カムロンウィットは今後1~3年間日本入国が禁じられる。」この他、カムロンウィットは、日本での逮捕に先立って拳銃と実弾を所持したままスワンナプーム空港から出国して日本に入国したため、タイに帰国してから罪に問われるとの見方もある。だが、ソムヨット警察庁長官は、これについて明言を避けている。
カムロンウィット前長官はタクシン派インラック政権の2011~2014年に首都圏警察長官を務めた。在任中、執務室にタクシンと2人で写った写真と「今日があるのは先輩(タクシン)のおかげ。」と書いた自筆の文を飾っていたことが発覚。タイで汚職で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシンと警察幹部が親密な関係にあるのは極めて不適切として、当時の野党や反タクシン派から追求された。2014年05月のクーデターで反タクシン派軍部が政権を握ると、兼任していた港湾公社(PAT)会長を辞任させられ、同年10月、警察を定年退官。
こうした経緯から、タイの反タクシン派の間では、カムロンウィットが日本で服役することを期待する声が大きかった。釈放が報じられると、「日本人も(タイ人同様)買収されるのか。」、「一般人が同じことをしたら間違いなく刑務所行き。」など、インターネット上には日本を批判するコメントが目立つ。
パイブン法相は、駐タイ・フランス大使に対し、フランスに亡命を求めている不敬容疑者3人の身柄を引き渡すよう求めた。この3人は国立タマサート大学の学生と講師、タクシン支持者。
パイブン法相は、容疑者らに具体的にどのような不敬行為があったかを説明して協力を求めたとのことだ。なお、不敬容疑の中身については、それを報じることも不敬となるため、公にされていない。
「『プラユット首相と妻が100億Bをシンガポールに送金した。』という噂をネット上で広めた。」として逮捕されたリンダが保釈された。
軍事裁判所は、リンダが逃亡する恐れがないと判断して10万Bの保証金で保釈を認めた。また、政治的な活動に参加しないことが保釈条件。
ウイグル族109人を支那に強制送還したことでタイに批判が浴びせられている問題に関連し、プラユット首相は、「タイで現在も密入国容疑で身柄を拘束されているウイグル人の男残り52人がトルコに送還される可能性が高い。」との見通しを明らかに。
ウイグル族の支那への強制送還に対しては、「支那でウイグル族が抑圧されている。」と指摘があるため、各方面からタイの決定を非難する声が上っている。
プラユット首相は、国家安全保障会議(NSC)の会合に出席したあと、「支那とトルコがともに自国にウイグル族を送還するようタイに求めているので、彼らの国籍と過去に悪い行いがあったかどうかをはっきりさせる必要がある。潔白だったとしたら彼らはトルコに送還されるだろう。」と説明。
07月14日(火)2大政党の民主党とプア・タイ党はこのほど、国家改革評議会(NRC)のタワッチャイ評議員(元陸軍第2管区司令官)が「これら2党が政府転覆を企てている。」と示唆したことに強く反発。
タワッチャイ評議員は、諜報機関からの情報として、「最近最南部で起きた事件が政治的なものだ。」と指摘し、「2つの政党がプラユット暫定政権打倒を手助けすべく、暴力を煽り抗議運動を展開するための資金を集めている。」などと発言。これに対し、民主党のタウォンは、政党名を明らかにして、これら政党を警察や国家平和秩序評議会(NCPO)に訴えるよう迫った。
また、プア・タイ党幹部のウォラチャイは、「NRCが何も達成できていないことを政党のせいにしようとしている。」とタワッチャイ評議員を非難。
成田国際空港で手荷物に拳銃と実弾を入れたまま搭乗しようとして銃刀法違反容疑で逮捕されたカムロンウィット前首都圏警察長官がスワンナプーム空港に帰国。「意図的に拳銃と実弾を所持していた。」と日本側が立証できなかったことから嫌疑不十分で不起訴処分。
カムロンウィットは、手荷物に拳銃を入れたまま、スワンナプーム空港から出国して日本に入国し、数日後の日本出国時に拳銃が見つかった。このため、タイ当局は、スワンナプーム空港で拳銃を発見できなかったことを問題視。検査方法や検査機器を抜本的に見直すことになった。
07月15日(水)現行の暫定憲法が改正されたことが、このほど官報で発表された。これによって、新憲法の最終案の是非を問う国民投票が実施され、この投票で可決された案を新憲法として制定するという手続きが取られることになった。
なお、昨年05月の軍事クーデターに伴い、2007年憲法が廃止され、暫定憲法が制定された。また、新憲法は現在内容の検討が進められているが、暫定憲法に代わる新憲法が制定された後、総選挙が実施されて民政移管が実現する。
タイ当局が密入国容疑のウイグル族109人を支那に強制送還したことでタイに人権団体などから批判が浴びせられている問題で、国家安全保障会議(NSC)のアヌシット議長らが、これらウイグル族が支那でどのような扱いを受けているかを確認するため支那に向かった。
一行は支那で関係当局の責任者などから話を聞いたあと、支那西端に位置する新疆ウイグル自治区を訪れる予定。
また、タイ外務省は、この問題に対する国際社会の理解を深めるべく、ウイグル族の強制送還などについてトルコ側に説明する予定。
カムロンウィット前首都圏警察長官が成田国際空港で拳銃所持のため逮捕された事件で、プラウィット副首相兼国防相は、不起訴で帰国した前長官の行為について法を厳格に適用して対処する考えを明らかに。
カムロンウィットは、拳銃を手荷物に入れたままスワンナプーム空港で日本行のフライトに乗り込んだわけだが、警察とタイ空港社(AOT)がカムロンウィットの行為に関して検討を行い、その後でAOT、運輸省、出入国管理当局が次に何をすべきかを話し合う予定。
07月16日(木)憲法起草委員会(CDC)は07月21日、新憲法起草の期間を30日延長するか否かを決定する予定。起草期間の延長は先の現行暫定憲法改正に伴い可能となったもの。
改正暫定憲法では、「新憲法起草の期間を必要に応じて30日まで延長することができる。」とされている。
なお、当初のスケジュールでは、CDCは、国家改革評議会(NRC)、内閣、国家平和秩序評議会(NCPO)から新憲法草案に関する意見書を受け取った後、手直しなどを行って新憲法の最終草案を07月23日までに仕上げる。
07月19日(日)国家改革評議会(NRC)の主要メンバーの1人、ワンチャイ評議員は、「経済政策が功を奏さずに政府の支持率が低下している。」として、プラユット首相に対し、内閣改造とりわけ経済閣僚の入れ替えを断行するよう要求。
ワンチャイ協議員によれば、「経済状態が改善しないことに国民は耐えかねており、現政権に批判的な勢力が支持を拡大する結果を招いている。」
また、関係筋によれば、「プラユット首相は『内閣を改造するつもりはない。』と明言しているものの、閣僚が成果を上げることできずに首相への風当たりが強まっているため改造の可能性が高まっている。」
07月20日(月)支那植民地新疆ウイグル自治区からタイに密入国したウイグル族109人を迫害の恐れのある支那に強制送還したタイが批判を浴びている問題で、支那視察から戻った国家安全保障会議(NSC)のアヌシット議長は、 「支那における(タイから送還された)ウイグル族の扱いは良好だった。」と述べた。アヌシットらは、ウイグル族が不当な扱いを受けていないことを確認するためオブザーバーとして支那に派遣されていた。今回の視察で得た情報は、プラユット首相やプラウィット副首相兼国防相に報告済みとか。
客家タクシンに限らず、大嘘を垂れ流す支那の手先のタイ。余程の情弱でも信じないことをぬけぬけと言い訳をすると、かえって逆効果だと思うが。

暴虐支那の犬コロ、蛮国タイ
 暴虐支那は、警告射撃と身分証明の提示なしで相手に発砲する許可をもつ悪名高い特警部隊を大挙海外派兵した。07月08日、タイ政府は、昨年03月、タイ深南部のゴム農園で細々と働いていたウイグル難民の一家を「テロ容疑者」として、支那に引き渡し死地に追いやった。強制送還に使用されたのは中国南方航空のチャーター機で、搭乗員を含め支那公安あるいは軍の管理下にあり、ウイグル難民は全員が手錠を掛けられた上、頭に黒い頭巾を被せられていた。更に、胸には識別番号とおぼしき札も確認できる。
 07月08日深夜、トルコ最大の商業都市イスタンブールのタイ総領事館がデモ隊の襲撃を受けた。乱入したのは、東トルキスタン教育連合を名乗るグループのメンバー数人。敷地内に掲揚された国旗を引きずり降ろし、オフィスの備品を破壊した。トルコでは東トルキスタン支援の輪が年々広がっている。ウルムチ大虐殺から6周年となる07月05日には、首都アンカラとイスタンブールで中共に対する大規模な抗議デモが行われた。この時、一部支那料理店が襲撃を受け、南鮮人観光客が支那人と間違われて暴行された。ウイグル人への圧政をめぐり、嫌支感情そのものが拡大している。
 元々政治・経済など主要分野は華僑に握られているタイは、支那の手先であるが、近年、各国で支那に対する敵意が拡大している中で、支那製潜水艦の購入計画を進めるなど、支那との関係を深めている。

http://s.webry.info/sp/dogma.at.webry.info/201507/article_4.html
佐渡島志郎駐タイ日本大使がパイブーン・クムチャーヤー法相兼タイ国軍最高司令部副司令官を表敬訪問。
タイ字各紙の報道によると、パイブーン法相は会談で、京都大学東南アジア研究所政治経済相関研究部門のパウィン・チャッチャワーンポンパン准教授に不敬罪容疑で逮捕状が出ていることを伝え、「不敬罪はタイ国内の政争にともなう政治的なものではない。」と、日本側に理解を求めた。
一方、佐渡島大使は、2007年11月のスコタイでの川下智子殺害事件と、2010年04月、ロイター通信カメラマンの村本博之がタクシン派と治安部隊の衝突を取材中に射殺された事件について、捜査の進展状況を聞いた。
07月21日(火)国外逃亡中のタクシンが07月26日に66歳の誕生日を迎えることから支持者たちが誕生祝いに駆けつけるものと予想されるが、ウドムデート陸軍司令官はこのほど、「タクシン派の政治家から出国の申請があっても『政情不安につながる。』と判断した場合は出国を許可しない。」と述べた。
タクシン派プア・タイ党の幹部などは、現在国家平和秩序評議会(NCPO)の監視下にあり、出国するには許可が必要。同司令官によれば、出国許可を得るにはどのような目的でどこの行くかを説明しなければならないが、今のところタクシン派の政治家から出国の申請はないという。
07月24日(金)タクシン派の政党、プア・タイ党のプロームポン報道官とキアットウドム前下院議員がワサン元タイ憲法裁判所長官に対する名誉棄損を問われた裁判で、タイ最高裁判所は、被告2人に禁錮1年の実刑判決。2人は出廷して判決を聞き、そのまま収監された。
プロームポン報道官とキアットウドム前下院議員は2010年の記者会見で、当時憲法裁長官だった「ワサンが公正さ、中立性を欠いている。」と批判。ワサンは2人を名誉棄損で訴え、1審の刑事裁は禁錮1年、執行猶予2年の判決。ワサンが控訴、2審の控訴裁は執行猶予なしの禁錮1年の判決を出し、被告側が控訴。
最高裁は、反タクシン派の政党、民主党のステープ元副首相に対する名誉棄損の訴えを棄却。
ステープは2006年の記者会見で、タクシン派政党の「タイ・ラック・タイ党が選挙違反した。」と主張。タイ・ラック・タイ党幹部のプロムミン元エネルギー相が名誉棄損で訴えた。1審は無罪、2審は禁錮4ケ月、執行猶予1年。最高裁は「発言に悪意はなかった。」として無罪を宣告。
07月27日(月)深夜タイ外務省が開設した海外の報道関係者向けの無料の朝鮮通話アプリLineの外国人記者ら154人が登録するグループ内に、テレビ朝日のバンコク支局長、森本尽(じん)(44)が、無修正の陰茎の画像を投稿。森本尽(44)支局長は07月01日に発令を受け、13日に着任したばかりだった。
この問題はタイ国内では、広く報じられタイ政府関係者が「何らかの対応を起こす。」とコメント。注目が集まっている。
日本のテレビ朝日に昨日確認を取ったところ、事実であることを認め、「誤って投稿してしまった。」と説明。「事案を把握した後直ちにタイ外務省に謝罪を行い、支局長には猛省を促して現在謹慎させ、今後厳正に対処してまいります。」と今後の対応について述べた。最後に、「当社社員がこのような極めて不適切な行為をしたことは誠に遺憾であり、タイ外務省をはじめこ関係の皆様方に深くお詫び申し上げます。」と謝罪。


テロ朝がBangkok Postに圧力をかけて記事を削除させていた事が判明。圧力により記事が削除されたことで「森本尽」で確定した。消された記事の魚拓を記録しておく。Jin Morimotoの氏名が見える。
テレビ朝日(平均年収1395万円(42.1歳))、報道情報局ANNニュースセンター所属、森本尽(じん)(44)に、役職手当に海外手当が付いて、2000万円を超えているのは間違いない。
https://twitter.com/asapykadan



 朝鮮人、本多勝一(83)の「南京虐殺」、朝鮮人背乗り工作員、吉田清治を利用した清田治史(67)や植村隆(57)の「従軍慰安婦」の虚報と歴史捏造により日本を貶めるのが本業の、反日朝匪グループだから当然といえば当然のことで、森本尽(44)は社長賞にポーナスアップで、清田治史(67)のように取締役が約束されるかも知れないが、海外に出ると朝匪の変態の反日工作により、謂われなき侮辱の最前線に立たされることになり、腹立たしい限りだ。
海外を巻き込んで、「南京虐殺」、「従軍慰安婦」と日本を貶める工作は、現在の我々の名誉が不当に貶められるだけではなく、過去の日本人を侮辱し、未来の日本人の立場を悪することである。あれは支那畜だからとか、朝鮮人工作員だからでは通らない。
 タイ政府、タイのマスコミBangkok Postに対する言論弾圧に止まらず、外国人記者154人に日本人の名誉を失墜させた。タイ政府は、「11.46:我々は、あなたに、これが公式な目的をもつLINEグループだと思い出させるが。行動は取る。」、「0.04:正にここから出ることは、行動しないという意味ではない。」、「Mr. Morimoto、我々は省で少し事情聴取をしたい。」と怒り心頭だし、外国人記者の1人は、「もし森本尽ができるだけ早い航空便で東京に飛ぶか、メコン河を早く泳ぎ渡ってしまわないと」、アメリカの人気ドラマ「アイ・ラブ・ルーシー」のルーシーの夫リッキー・リカードがいつも口にする台詞、"you've got some 'splainin' to do" (こりゃいったい何だい。説明出来るなら説明してご覧(ほら出来ないだろう)、なぜこんなことしたのですか、また、変なことやらかしちゃって、何か訳でもあるのか、こりゃ一体全体どう言うことなんだ説明出来るなら説明してみろ、こりゃどう見ても変だ、何か裏があるんだろ)の言い回しを使って、揶揄している。森本尽は、プレスビザを無効にされた後、コンピュータ犯罪法の下で処断される可能性がある。
 甚だしい反日行為であり、朝日は即刻廃業、責任者は処刑しなければ、支那の公害企業が害毒を周辺に撒き散らしているのに何もしていないのと同じ評価になる。ただでさえ、戦争の危険性を4割削減でき、軍事費が75%節約できる「集団的安全保障」を「戦争」とか「徴兵」とかに置き換えることに必死に煽動している、世界中から見ればキチガイのマスゴミしかいない国なのだから。


テレ朝男性支局長「森本尽」、下半身画像をLINEに投稿
https://www.youtube.com/watch?v=DuTV8mpzAzI
07月28日(火)2013年10月から2014年05月にかけて、タクシン派インラック政権打倒を目指すデモを指揮し、2014年05月の軍事クーデターで政権が崩壊した後の同年07月に出家したステープ元副首相(元民主党幹事長)が還俗。
ステープは「今後、教育、草の根レベルの開発プロジェクトなどを手がける財団の仕事に携わるつもりだ。」としている。政界復帰は否定。

* ステープ・トゥアクスバン
1949年生。米ミドルテネシー州立大学政治学修士。タイ南部スラタニー県の地方政治家の息子で、父親の地盤を引き継いで、村長から下院議員に駆け上がり、1980年代後半から2000年にかけ、副農相、運輸通信相、2008~2011年に副首相、2005~2011年に民主党幹事長を務めた。
旧貴族につながる名家の出身者が多い民主党では珍しい豪腕型の実力者で、タクシン派政権が「選挙違反」で崩壊した2008年の政変では、与党陣営の切り崩しに成功し、アピシット民主党政権発足の立役者となった。一方、1995年に当時のチュワン民主党政権が崩壊したのは土地改革をめぐるステープの汚職疑惑が直接の原因とされる
。 2013~2014年のデモでは民主党幹部の財閥関係者らの先頭に立ち、タクシンやその支持層である東北地方住民らに対するクルングテープの中間層の反感を巧みに盛り上げ、一時は街頭デモに数十万人を動員。2014年01~03月にはクルングテープの主要交差点を占拠。ステープらが望んでいた軍事クーデターで同年05月にタクシン派政権が崩壊した後、地元スラタニー県の寺で出家。
憲法起草委員会(CDC)の広報担当ラートラット委員は、CDCは先に合意された通り上院議員数は200人とすることにしたが、議員の構成については手直しすることになったことを明らかに。
具体的には、200人のうち77人は77都県から1人ずつ選ばれ、残り123人は4つの選考委員会によって選出される。第1の委員会は、判事5人で構成され、陸海空の元司令官を含む元高級官僚から上院議員を選ぶ。第2の委員会は、主要政府機関の元トップが推挙した9人で構成され、タイ工業連盟、タイ商工会議所、タイ銀行協会などから上院議員を選出する。また、第3と第4の委員会はそれぞれ学識経験者や労働組合関係者、各分野専門家から上院議員を選ぶことになっている。
07月30日(木)一昨年から昨年にかけて当時のインラック政権を批判する人民民主改革委員会(PDRC)による大規模な街頭デモを指揮したステープ元民主党幹事長(元副首相)は、還俗に際しての記者会見の中で、「どんなに時間が掛かっても国家改革を行って大きな変化を成し遂げてから選挙を実施しなければならない。」との考えを改めて強調。だが、「思い通りに事が運ばなかったとしても政治的な対立・不安を招くような大規模な街頭活動は展開しない。」と約束。
また、記者会見では、ステープが事務局長を務めたPDRCの後を継ぐ組織の発足が発表された。なお、ステープは昨年05月の軍事クーデターでインラック政権が倒された後、生まれ故郷の南部スラタニー県で出家し、俗世との関わりを絶っていたが、28日に還俗。今後PDRC後継組織を通じて政治的な活動を活発化させるものと見られている。
07月31日(金)サンサーン政府副報道官によれば、「プラユット首相は、農家の借金が増加していることを懸念し、関係政府機関に対して農家が借金を返済できずに土地などを失うことがないよう必要な措置を講ずるよう命じた。」
内務省地方行政局が財務省、農業省、法務省などに報告したところによれば、160万人に上る農民が総額4000億Bもの負債を抱えている。
現在国外逃亡中のタクシンが17年前に創設したタイ・ラック・タイ党の副党首だったスダラット♀がタイ・ラック・タイ党の流れを汲むプア・タイ党から党首就任を求められているとの話が出ている。
だが、スダラットはこのほど、「迷惑している。」と述べ、党首就任に否定的な姿勢を示した。 関係筋によれば、次期総選挙でプア・タイ党が勝利することも考えられるが、現時点では首相候補がいない。このため、スダラットに白羽の矢が立った模様。
だが、スダラットは「現在、宗教活動に熱心であり、プア・タイ党から党首就任を打診された事実はない。」と述べている。
08月02日(日)一昨年から昨年にかけて当時のインラック政権を厳しく批判する人民民主改革委員会(PDRC)による大規模街頭デモを主導したステープ元民主党幹事長(元副首相)が記者会見を行ったことで国家平和秩序評議会(NCPO)に対し、「記者会見を許可すべきでなかった。」、「ステープを特別扱いしている。」といった批判が噴出しているが、プラユット首相は、記者会見でステープがPDRCの後継組織の立ち上げを発表したことについて「彼に付与された権利の範囲内。」と述べ「問題なし。」との見解を示した。同時に、「法律に従って行動しなくてはならない。」とステープに釘を刺した。
関係筋によれば、「現在の軍政の下では政治集会が禁止されているものの、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)」やタクシン派プア・タイ党は、「ステープ氏の記者会見は『政府は改革を成し遂げてから選挙を行うべき。』と要求するなど政治的色彩の濃いものであるにもかかわらず軍政はこれを容認した。」と息巻いている。
また、仏門に入っていたステープが先に還俗し、PDRCの後継組織を率いることになったことから政治論争が再燃するとの見方が強まっているが、プラユット首相は、「違法ではない限りステープ氏が責任をとるべきこと。私には関わりがない。」としている。
08月03日(月)ウィサヌ副首相は、「国家改革評議会(NRC)が憲法草案を承認しなかった場合、総選挙実施が2017年04月にずれ込む可能性がある。」と述べ、「民政移管がさらに遅れることもあり得る。」との見方を示した。
現行の憲法は、昨年05月の軍事クーデターに伴いそれまでの憲法が廃止されたことから暫定的に制定された。暫定憲法に代わる新憲法が制定されてから総選挙が実施され、民政移管が実現することになる。新憲法はその内容をNRCが承認してから制定されることになっている。
今回のウィサヌの副首相の発言は、ワンチャイNRC評議員が「NRCのメンバーは新憲法草案を承認しないで総選挙前に完全な改革が成し遂げられるようにすべき。」と求めたことに触れたもの。ワンチャイ評議員の意見は、「予定通りに総選挙・民政移管が実現した場合、新政権が現政権の方針を受け継がずに 改革を中途半端に終わらせかねない。」との懸念を反映したものと見られる。だが、ウィサヌ副首相は、「ワンチャイ評議員には自分の意見を表明する権利がある。しかし、新憲法制定と総選挙実施の時間枠が設定されており、政府はこれに従わねばならない。」
08月04日(火)最高裁判所は、サムットプラカン県行政機構議長を停職となっている、ワタナー元副内相の3男、チョンサワット・アサワヘーム元市長とピティチャート・トライスラット元助役が選挙違反、権力乱用などに問われた裁判で、2審の控訴裁判決を支持し、チョンサワット元市長に禁錮1年6ケ月、ピティチャート元助役に禁錮3年の実刑判決。チョンサワットは出廷して判決を聞き、執行猶予のつかない実刑判決ですぐに収監。ピティチャートは行方不明で、逮捕状が出ている。
起訴状によると、2人は1999年のサムットプラカン市議選で、自派の候補者を当選させるため、組織的に不正投票を行った。1審判決はチョンサワットに禁錮4年、ピティチャートに禁錮6年、被告が控訴した控訴審ではチョンサワットに禁錮1年6ケ月、ピティチャートに禁錮3年の実刑判決が下っていた。
チョンサワットはサムットプラカン市長を務めた後、2011年にサムットプラカン県行政体長選に出馬し当選、ピティチャートは副県行政体長に就任した。しかし、今年06月、軍事政権のプラユット首相(前タイ陸軍司令官)が、県行政体の資金流用の疑いで、チョンサワットを解任。
チョンサワットは汚職で実刑判決を受け国外逃亡中のワタナー・アサワヘーム元副内相の息子。2007年、自身が運転する高級乗用車がクルングテープ都内の路上検問で止められた際に、アルコール検査を拒否し、警官に「俺が誰の子かわかってるのか。」と怒鳴りつけ、車の窓を閉めて警官の指を挟み、そのまま車を100mほど走らせた。車には有名モデルら女性3人が同乗。2013年に人気女優のティアン(通称、ジェニー)と結婚したが、翌年、離婚した。離婚の直前に、ジェニーによく似た女性が腕や背中、顔などに打撲症を負った写真がインターネット上に流出し、ジェニーが家庭内暴力を受けているのではないかという噂が流れた。

* ワタナー・アサワヘーム(馬裕炎)
1935年生。何らかの方法で巨額の財を成した後、政界入りし、1990年代前半に副内相などを務めた。1995年の下院総選挙では副党首を務める政党が第1党となったにもかかわらず入閣を逃し、「ワタナーの『事業』を問題視する米国から圧力が掛かった。」と報じられた。
ワタナーはその後も地盤のサムットプラカン県で強い影響力を振るったが、同県内のクロンダン産業排水処理場の汚職事件で起訴され、2008年、最高裁の有罪確定前に逃亡し現在所在不明だが、カンボジアに潜伏中との情報もある。最高裁はワタナーが副内相当時に処理場建設用地の偽の土地証書を政府の関係部署に発行させたとして、禁錮10年の実刑判決を下した。クロンダン産業排水処理場は日本の政府開発援助(ODA)など約240億Bを投じ建設されたが、環境アセスメントの不備や汚職疑惑で完工直前に計画が中止された。
ワタナーの消息は以降途絶えていたが、2012年、「支那河南省洛陽市に自費でタイ仏教寺院を建立し、落成式を行った。」と報じられた。落成式には実業家でインラック政権でエネルギー相を務めたポンサク、タクシンの元義弟のバナポット・ダーマーポンが出席。
2013年10月から2014年05月にかけてタクシン派インラック楽政権打倒を目指すデモを指揮指揮したステープ元副首相(元民主党幹事長)が財団を設立し、政治活動を事実上再開。
ステープは2014年05月の軍事クーデターによるタクシン派政権崩壊を受け、同年07月に出家し、今年07月28日に還俗した。翌29日、元民主党幹部のデモ指導者らとクルングテープで記者会見を開き、デモの際のスローガンである「選挙の前に改革を」を掲げて、「どれだけ時間がかかろうと、『改革』が終了するまで、軍事政権が継続すべきだ。」と訴えた。
プラユット首相(前タイ陸軍司令官)率いる軍事政権はこれまで、軍政に反対する学生やタクシン派の政治家、人権活動家などの活動を徹底的に抑えこんできたが、ステープらの記者会見は許可した。タクシン派は「二重基準だ。」として反発を強めている。
プラユット首相は、ステープが「総選挙は改革後。」と強調していることについて、「ステープさんは私を助けようとしているのではない。彼が(先に立ち上げた)組織を通じて国を助けたいのなら、そうすればいい。」と述べ、「ステープの言動はプラユット首相を支援しようとしたもの。」との見方を否定。「ステープさんは反タクシン派の筆頭であり、また、現軍政もタクシン派に否定的な姿勢を取っている。「ステープさんとはずいぶん前からの知り合いであり、彼が私たちを支援してくれるのなら個人的に感謝したい。だが、ステープさんにはこれ以上問題を起こさないよう言っておきたい。」などと述べた。
プラユットとステープは旧知の仲。2010年にタクシン派市民が民主党政権打倒を掲げ都心を占拠した際には、ステープが治安担当の副首相、プラユットがタイ陸軍第1管区司令官として、軍によるデモ隊の強制排除を指揮。2014年にはステープ率いる反タクシン派デモ隊がクルングテープ都心を占拠。クーデターを求めるステープの呼びかけに応じる形で、当時陸軍司令官だったプラユットがタクシン派政権を打倒、全権を掌握。
ステープはクーデター後、「デモの最中にプラユットと無料通信アプリ、ラインで連絡を取り合い、クーデターの直前にプラユットが『ステープさんとデモ隊は疲れきっている。軍が仕事を引き継ぐ番だ。』と連絡してきた。」と述べた。プラユットはステープと連絡を取っていたことを否定している。
08月06日(木)クルングテープに隣接するサムットプラカン県でのクロンダン排水処理場建設に絡む賠償問題は、天然資源環境省が建設業者に90億Bの賠償金を支払うことで意見が一致。天然資源環境省の高官が明らかに。
最高裁は昨年、賠償金の支払いを命じる判決を下していたが、天然資源環境省と建設業者の間で値下げ交渉が行われおり、今回ようやく折り合いがついた。
2013年に上院議員全員を民選とするとした憲法改正が憲法裁判所によって違憲とされ改正が無効となったことについて、立法議会で08月14日、この改憲に賛成した当時の下院議員248人を過去に遡って議員罷免とするか否かの採決が行われることになった。これらの元議員はタクシン派とされており、議員罷免・公民権5年停止となれば、タクシン派にとって大きな打撃となる。
08月07日(金)タイの国王夫妻と王位継承者に対する批判中傷を禁じた不敬罪の裁判が06日と07日、軍法会議で行われ、チエンライ県のサマック・パンタイ(48、報道により49)に禁錮5年、西部カンチャナブリ県出身のポングサック・スリボンペング(30、報道により40代)に禁錮30年の実刑判決。
サマックは道路沿いに設置された国王の肖像画を破損したとされる。ポングサックはインターネットの交流サイト、フェイスブックにタイ王室を批判するコメントを6回投稿したとして、罪に問われた。軍法会議は刑期を投稿1回につき10年、計60年とした上で、ポングサックが罪を認めたため、半分の30年に短縮。この裁判で、法廷に記者が入ることをは許されなかった。
昨年05月に発足した軍事政権は不敬罪の裁判を民間人の場合も軍法会議で取り扱っている。通常と異なり、軍法会議は1審制で、控訴が認められない。
チエンマイで、ホテル従業員のサシウィモン・パトムウウォンファ-ンガーム(29)♀に不敬罪で禁錮28年。フェイスブック上に王室に関する不適切な書き込みをしたことなどで罪に問われることになった。罪の具体的内容は、それを伝えることも不敬罪に当たるため報じられていない。
2人に不敬罪で重い刑罰が科せられたことについて、ウィラチョン副政府報道官は、「法を適切に適用した結果。過去の政権は法の適用を怠っていた(ので不敬罪に問われる者が少なかっただけ)。」と説明。
08月10日(月)タイでは軍人や警察官が退役後も現役時の階級を「元」をつけずにそのまま肩書きとして使うことが認められているが、これを認めないことにする「階級剥奪」をタクシンに適用することについて、プラユット首相がこのほど法務省に再チェックするよう要請。
国外逃亡中のタクシンは、警察官僚出身で、その階級は警察中佐。また、タクシンが外国で折に触れタイの国益を害するような発言をしていることから、警察内部では先にタクシンの警察官階級剥奪に関する検討が行われた。
関係筋によれば、「階級剥奪はタクシンにとって実質的なダメージとはならないが、非常に不名誉なことであり、タイ国内におけるイメージに影響する。」
控訴裁判所(日本の高等裁判所に当たる)は、国家平和秩序評議会(NCPO)の行為が反乱罪に該当するとの昨年05月の軍事クーデターに反対するグループの訴えを受理し、これに伴い、NCPO議長のプラユット首相らNCPO首脳5人に対し、訴えに反論する答弁書を提出するよう命じた。
同グループはクーデターからちょうど1年目の今年05月22日、プラユット議長らの責任を追及する訴状を提出。だが、刑事裁判所は、「現行の暫定憲法では『NCPOは罪に問われない。』とされている。」として訴えを却下した。このため、グループは上級審である控訴裁判所に控訴していた。
08月11日(火)パイブン法相は、 法務省・警察庁・法令委員会(国の最高法律諮問機関)の協議によりタクシンが警察官時代の階級である「警察中佐」の使用禁止の決定を明らかに。
タイでは軍人や警察官が現役時代の階級を退役後も「元」をつけずに使うことが認められている。だが、国外逃亡中のタクシンはタイの国益に反する発言をしているとして、警察当局が懲罰として階級の使用禁止を検討していた。
パイブン法相によれば、直接の理由はタクシンが犯罪人であること。また同様の理由でこれまでに636人が警察官時代の階級の使用を禁止されている。
なお、タクシンは保釈中に国外逃亡したあと、首相在任中の汚職(職権乱用)で 禁錮2年の有罪が確定。この判決を不当として帰国して服役することを拒み続けている。
タクシン派インラック政権下でタイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)の局長を勤めたタリット被告に対し、刑事裁判所は、「DSI幹部の人事異動において不正があった。」として禁錮2年の有罪判決を言い渡した。また、タリットは保証金20万Bで保釈が認められた。タリットは局長時代、「タクシン派の意に従って反タクシン派を目の敵にしている。」などと反タクシン派から厳しい批判を浴びていた人物。
プラユット首相は、 「内閣改造(でどの閣僚を入れ替えるかの検討)は完了した。閣僚名簿は承認を得るため国王陛下に近く提出する。」と明言。
これまでプラユット首相は、現在の内閣が問題を抱えていると受け止められるのを嫌ってか、内閣改造には否定的な姿勢を取り続けていた。ただ、準備は整っているとしたものの、プラユット首相はいつ閣僚リストを提出するかは明らかにしていない。
なお、関係筋によれば、景気低迷が続いていることにもあって、プラユット首相は経済閣僚の働きぶりを不満と感じていると報じられていることから、今回の改造でプリディヤトン副首相(経済担当)が去り、現在国家平和秩序評議会(NCPO)の経済顧問を務めるソムキット元財務相・商業相が入閣するとの見方が以前からで出ている。
08月12日(水)憲法起草委員会(CDC)のボウォンサク委員長が政治危機の打開に向けて強力な権限を有する特別委員会の設置を新憲法に盛り込むと述べたことに一部で批判意見が出ている。
一昨年から昨年にかけて当時のインラック政権を非難する大規模な街頭デモを展開した人民民主改革委員会(PDRC)の幹部だったタウォン元民主党副党首は、 「このような組織の設置はクーデターを合法化するようなもの。危機的状況の改善につながらず、国家・国民の利益も無視されたままとなる。」と厳しく批判。
現在の計画では、特別委は陸海空3軍の司令官や警察庁長官で構成される予定。タウォンは、「軍や警察のトップを特別委に入れるのは間違っている。(軍首脳が含まれる特別委による強権発動は)戦車を繰り出さずにクーデターを行うようなもの。」と非難。
この他、国家改革評議会(NRC) 政治改革委員会のソムバット委員長なども「民主的でない。」と否定的な見解。
国防省関係筋によれば、次期陸軍司令官にはティラチャイ陸軍司令官補が就任し、プラユット首相の実弟プリーチャ大将は国防事務次官に起用される見通し。
現在陸軍司令官を務めるウドムデート大将は09月30日(今年度末)をもって定年退官する。なお、陸軍司令官は軍における実質的最高ポスト。プラユット首相の弟だけにプリーチャ大将が抜擢されるとの見方も出ていた。
新年度の陸軍の人事異動名簿はすでにプラウィット国防相を長とする委員会に提出済みとされるが、プラウィット国防相は、「次期陸軍司令官が誰か。」、「名簿を受け取ったか。」といった質問に返答しなかった。
法務省がタクシンが警察官時代の階級を使うのを禁止する「階級剥奪」を決めたことについて、プラウット警察庁長官補は、 「元警察官としては初の事例。」と説明。
軍人や警察官は退官後に現役時の階級を「元」をつけずに名乗ることが認められているが、これを認めない懲戒処分が階級剥奪。これまでに636人の警察官が階級剥奪となっているが、いずれも現役時の処分。退官後の警察官階級の剥奪はタクシンが初めて。
なお、タクシンの長男パントンテーは、「階級剥奪が国のためになるなら、そうすればいい。」
国王夫妻と王位継承者に対する批判中傷を禁じた不敬罪の裁判を軍法会議が取り扱い、市民に対し、長期の禁錮刑を科す事例が相次いでいることに対し、国連人権高等弁務官事務所と米国政府が投獄・拘留された人の釈放を求める声明を出した。
タイ軍法会議は今月07日、インターネットの交流サイト、フェイスブック(FB)にタイ王室を批判するコメントを投稿したとして、旅行代理店経営のタイ人男性に禁錮30年、ホテル従業員のタイ人女性に禁錮28年の実刑判決。06月には、不敬罪に抵触する内容を含むウェブサイトのアドレスを他者に送信したとして、統合失調症と診断されたタイ人女性に禁錮3年4ケ月、08月06日には、国王の肖像画を破損したとして、精神病と診断されたタイ人男性に禁錮5年。03月には、王室批判のコメントをFBに投稿した男性に禁錮25年を宣告。
国連人権高等弁務官事務所は11日に出した声明で、こうした判決に「愕然とした。」と遺憾の意を表明。2014年05月のクーデター直前の時点で不敬罪で投獄、拘留されていたのは5人だけだったが、軍政発足後、少なくとも40人が不敬罪で投獄、拘留。「国際的な人権基準を満たしていない軍法会議が裁判を行ってい。」ことに危機感を示し、不敬罪で投獄、拘留された全員を即時釈放するよう呼びかけた。また、国際的な人権基準に沿った形で不敬罪を見直すよう促した。
米国務省の報道官も12日、「不敬罪による長期の禁錮刑を深く懸念する。」、「平和的に意見を述べた人を投獄すべきではない。」とする声明。
08月13日(木)プラユット首相は、国家改革評議会(NRC)が改革の青写真を完成させたことを受け、「政府が次に取り組むべき大仕事は国民を結束させること。」と述べ、政治対立関与について「非を認めている人々を国民和解実現のプロセスに参加させるべき。」との考えを明らかに。
プラユット首相によれば、「国家改革のうち政治改革については、全国の2万4000人を対象に実施した世論調査で75%が喫緊の課題と回答しており、最優先で取り組む必要がある。」
国家改革評議会(NRC)で08月11日、「政治家の影響を排除するための警察機構改革プランが承認された。警察は政治的影響を受けやすい。」との批判は以前から出ていた。NRCによれば、「警察に関する重要事項は現在、首相を委員長とする警察委員会によって決定されているが、委員長は警察庁副長官以上のポストを経験した元警察官の中から、大佐以上の階級の警察官により選出されることになる。」
退官した軍人や警察官に現役時代の階級を「元」をつけずにそのまま使用することが認められているが、タクシンは、犯罪人であることを理由に警察官僚時代の階級「警察中佐」の使用を禁止するという「階級剥奪」の処分を受けることになった。
これに関連して、プラユット首相はこのほど、「タクシンへの勲章授与も取り消されることになる。」と説明。
なお、タクシンの階級剥奪は現在プラユット首相の承認待ちの状態で、プラユット首相の承認に伴い警察庁長官が必要な手続きを取ることになる。
近い将来に行われると見られている内閣改造について、プラユット首相はこのほど、「全ての省にわたる大幅な閣僚入れ替えになる。」と指摘。
改造がマスコミで取りざたされるようになったのは、「経済再生が遅れているため経済閣僚が入れ替わる。」との見方が出たことが発端というが、プラユット首相は入れ替えが経済閣僚に止まらないことを示したことになる。
なお、プラユット首相によれば、「閣僚のうち誰を誰と入れ替えるかは決めているものの、各人の了承が必要なため、改造に向けた正式な手続きをまだ取っていない。」
最高裁判所は、ネット上に王室に関する不適切な書き込みをしたとして不敬容疑に問われていたコンピュータープログラマーのスパラック(45)に無罪を言い渡した。
2011年11月に起訴され、1審でも2審でも無罪だったが、検察が控訴。その結果、スパラックは14ケ月も拘置されることになった。不敬罪で起訴されて無罪となるのは極めて稀。
スパラックは、「捜査当局が証拠を捏造した。」と主張。「事実関係を明らかにして責任の所在をはっきりさせたい。」
08月14日(金)2013年に当時のインラック政権主導で行われた憲法改正が憲法裁によって違憲とされた問題で、立法議会(NLA)では、この憲法改悪を支持した当時の下院議員248人を過去に遡って議員罷免とするとともに公民権5年停止に処するとの弾劾請求が否決。 可決にはNLA議員の5分の3、すなわち220人中132人を超える支持が必要だったが、約7時間をかけて元議員1人1人について行われた採決ではいずれも弾劾に必要な票数を割り込むことになった。
08月15日(土)国外逃亡中のタクシンが先にフィランドで支持者たちに新憲法の国民投票で反対票を投じるよう呼びかけ、これが動画投稿サイト、ユーチューブに投稿。
タクシン派は昨年05月、軍事クーデターで政権の座から追われ、また、それまでの憲法が廃止された。
現行の憲法は暫定的なもので、これに代わる新憲法はついては、国家改革評議会(NRC)がその最終案を承認するか否かを09月07日に決定。承認されれば、国民投票が実施され、ここで可決されれば、最終案通りの内容で新憲法が制定される。
タクシンは今回、この国民投票において新憲法最終案を否決すべく反対票を投じるよう支持者たちに呼びかけた。仮に否決された場合、改めて新憲法制定の手続きが開始されることになるが、その場合、「新憲法はタクシン派に譲歩した内容となる可能性が高い。」とタクシンは見ているようだ。
08月16日(日)政治危機が発生した場合これを乗り越えるため強大な権限を有する委員会の設置を新憲法に盛り込むとの案に各方面から批判的意見が出ている問題で、ウィサヌ副首相はこのほど、「このような委員会の設置は民主主義の原則にそぐわないかもしれないが、暫定的な措置である。」と述べ、理解を求めた。
同委員会設置については、「事実上のクーデターを憲法で認めるようなもの。」といった厳しい意見が浴びせられている。だが、ウィサヌ副首相によれば、強権を有すこのような委員会の設置は、過渡期にだけ必要な一時的なものとのこと。また、これと似たような複数の暫定的な措置が新憲法に盛り込まれる予定。
現行の暫定憲法に代わって制定される新憲法の草案の内容がまとまりつつあるが、新憲法を「タイにおける最悪の憲法。」とタクシンが批判したことにプラユット政権の首脳たちが反論。
国外逃亡中のタクシンは先に「ほとんどの国民は新憲法の内容を支持しておらず、新憲法はこれまでのタイの憲法の中で最悪のものとなろう。」と指摘。これに対し、パイブン法相は、「新憲法を拒否しているのはタクシン派のみで国民の大多数は支持している。」との見方。また、スワパン首相府相も同日、「プラユット政権の仕事ぶりと新憲法草案について判断を下すのは国民であり、タクシンではない。」と反発。
08月17日(月)国外逃亡中のタクシンが先に「国民の大多数が支持していない。」などと新憲法草案を批判したばかりだが、実妹のインラック前首相も、政府や議会を上回る権限を有する政治危機打開委員会の設置が新憲法で規定されようとしていることなどを批判。
同委員会は政府が機能しないような政治危機が発生した場合に強権を発動して国内を正常化することになっている。だが、インラック前首相によれば、「国民の大多数の意見を尊重することが大切であり、選ばれた人々(政治危機打開委員会)に決定を委ねるのは民主的ではない。」
19時頃テレビ報道によると、クルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で爆発が起き、数十人が死傷、自動車、バイクなど数十台が破損。同交差点にある観光名所の「エラワンの祠」で爆弾が爆発したと見られている。 ラーチャプラソン交差点はバンコク伊勢丹が入居するショッピングセンター(SC)「セントラルワールド」、「ゲイソンプラザ」といったSCが立ち並ぶタイ最大規模のショッピング街で、外国人旅行者も多い。
タイでは2006年からタクシン派と反タクシン派の政治抗争が続き、クルングテープで大規模なデモ、治安部隊とデモ隊の衝突、爆弾テロなどが度々起きている。2014年01~03月にはクルングテープ都心部を反タクシン派のデモ隊が占拠し、同年05月、軍事クーデターでタクシン派政権が崩壊。以降、軍事政権が続いている。今年02月には今回の現場から数百m西の高架電車BTSサイアム駅で時限爆弾が爆発し、1人が軽い怪我。犯人は捕まっていない。また、マレーシア国境のタイ深南部では、タイからの分離独立を求めるマレー系イスラム武装勢力による銃撃・爆破テロが頻発。今年04月にはタイ南部の人気リゾート、サムイ島のSC「セントラルフェスティバル・サムイ」の地下駐車場で爆弾が爆発。タイ人6人とイタリア人少女の計7人が負傷。
タイ警察の発表によると、都心ラチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、少なくとも16人が死亡、88人が負傷し、自動車、バイクなど数十台が破損。
警察は死傷者に外国人が含まれるかどうか明らかにしていないが、テレビ報道によると、タイ人のほか、支那人、フィリピン人が死亡。
クルングテープ都心ラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、少なくとも16人が死亡、88人が負傷し、自動車、バイクなど数十台が破損。
治安当局は爆発後すぐに、現場周辺を封鎖。チッロム通り側は爆発現場の100m手前のワイヤレス通りまで通行止め、メディアも50m地点までしか近づけず、その先は立ち入り禁止のテープが張られていた。その中は軍、警察、レスキュー隊関係者のみの出入りが許され、事件事故現場でも緩さが感じられるタイにしては、今回は「徹底さ」が感じられた。しばらくして「不発の爆弾が発見された。」とのことで、立ち入り禁止テープがさらに50mほど広げられた。
エラワンの祠の前には倒れたバイク数台が放置され、完全に焼け落ちたバイクもあった。死体が一体現場に残されていて、白い布がかぶせてあった。爆発物処理班(EOD)が道路に散らばる破片を1つずつ拾って捜査、警察犬も出動して不審物を探していていた。
立ち入り禁止区域内にホテルやショッピングセンターがあるため、事件発生から1~2時間経っても周辺を右往左往する外国人観光客の姿が見られた。迂回を促す警官は英語で尋ねられてもタイ語で返し、「今どこの道が通れるのだろう?」とこちらに訊いて来る。2台ある警察無線が混線してほかの警官と連絡が取れないと文句を言っていた。ただ、周辺を行き来する観光客は支那系やアラブ系が多く、驚いたり怖がったりする様子は見られず。ラーチャプラソン交差点の上を通る歩道、スカイウォークは立ち入り禁止となったものの、高架鉄道(BTS)は通常運行、大きな混乱はなかった。
17日午後、都内中心部のラーチャプラソン交差点近くで、多数の死傷者を出す爆発事件が発生。タイ地元紙によると、これまでに死者は18人、負傷者は100人以上に達している。タイ当局は「テロの可能性が高い。」と見ている。
これを受け、在タイ日本大使館からは外出の際には十分注意するよう呼びかけが行われている。
17日19時頃、都心のラーチャプラソン交差点で爆弾が爆発し、多数の死傷者が出た事件を受け、スクムパン都知事は、インターネットの交流サイト、フェイスブックを通じ、クルングテープの都立校438校全校が18日、休校すると知らせた。
都内ラーチャプラソン交差点で起きた今回の事件は、昨年05月の軍事クーデターでタクシン派・インラック政権が倒されて以来、クルングテープで起きた爆弾事件として3番目であり、かつ最大のもの。
最初の事件は02月01日に大型ショッピングセンター「サーヤム・パラゴン」近くで発生。手製とみられる爆弾の爆発で近くにいた1人が負傷。
第2の事件は、03月07日にラチャダピセーク通の刑事裁判所の敷地内に投げ込まれた爆弾が爆発したが、死傷者は出ていない。
クルングテープ中心部ラーチャプラソン交差点近くのエラワン廟で午後7時頃に強力な爆弾が爆発し、これまでに22人が死亡。日本人を含む123人が重軽傷を負ったことを受け、近衛第1騎兵大隊は、同交差点を含む都内10か所を要警戒地域に指定。
警戒エリアとされているのは、ラートプラソン交差点、パトゥムワン交差点、シーロム通、カオサン通、ナラティワート交差点、戦勝記念塔、トゥクチャイ交差点(ラマ6世通)、ベンチャシリ公園、ソイ・トンロー、スクムウィット通。
08月18日(火)午前17日夜に都心のラーチャプラソン交差点で爆弾が爆発した事件で、犠牲者の数は、死者20人、負傷者125人。死者はタイ人5人、支那人2人、香港人2人、マレーシア人2人、シンガポール人1人、不明8人。負傷者はタイ人42人、支那人28人、マレーシア人2人、シンガポール人2人、香港人2人、日本人、インドネシア人、フィリピン人、オマーン人、モルディブ人、カタール人各1人、国籍不明43人の計125人。負傷した日本人は東京海上日動火災保険タイ現地法人の従業員の安藤紘太(31)で、腹部に重傷を負った。
13時半頃
(報道により13時頃)
BTSサパーンタークシン駅に近いタークシン橋から爆弾がチャオプラヤー川に投げ込まれた。犯人は船着場を狙ったとみられるが、失投したようだ。死傷者は出てない。
警察は事件後、現場周辺の道路を通行止めにした。細い水路にかかった橋の横で大きな爆発が起きて水飛沫が上がり、橋を渡っていた人らが走って逃げる様子が、現場の防犯カメラに捉えられていた。
目撃者の供述によれば、「犯人はタクシン橋からサトン船着場を狙って爆弾を投げようとしたようだが、橋の一部にぶつけてしまい、爆弾はそのまま川に落ちた後、爆発した。」なお、犯人はその後、オートバイで逃走。
サトン船着場は高架電車BTSタークシン橋駅前。チャオプラヤー川沿いの観光名所やショッピング街に向かうボートの乗り場で、外国人観光客の利用も多い。
プラユット首相は、内閣を改造すべく新閣僚名簿を国王に提出したことを明らかに。ただ、「今は承認を待っているところ。」と述べるに止まり、新閣僚の顔ぶれには言及しなかった。
内閣改造については、「経済面に問題を抱えていることから経済閣僚が入れ替わる。」といった憶測が先行。プラユット首相は当初否定していたものの結局改造に踏み切ることになった。これについてプラユット首相は、「圧力があったため改造に踏み切ったのではない。現在の状況下での適材適所を考えた結果。」と説明。
08月28~30日に都心のショッピングセンターで開催される予定だった日本関連のイベント「ジャパンエキスポタイランド2015」の中止を主催者が発表。17日夜に会場近くで爆弾が爆発し、多数の死傷者が出たため。このイベントにはAKB48が出演を予定していた。
クルングテープ都内ラーチャプラソン交差点で爆弾事件が発生したことを受けて警察と軍が全国で観光地や政府機関の警備を強化。
地方では県庁前などに人が集まり当局に対し、迅速な犯人逮捕、法律の厳格な適用や治安を維持するための措置の実施を要求。また、ネット上でも再発防止のための治安措置を求める声が高まっている。
ソムヨット警察庁長官は防犯カメラが容疑者の特定や犯罪の防止に役立つことから、関係政府機関に対し、市中の防犯カメラなどが正常に作動しているかを早急にチェックするよう命令。
17日夜に都心のラーチャプラソン交差点で爆弾が爆発し、多数の死傷者が出た事件で、タイに密入国した支那国籍のウイグル族をタイ軍事政権が支那に強制送還したことへの報復という見方が浮上。タイ警察のソムヨット長官は、「今回の事件について、タイ国内の政治抗争の他に、ウイグル族の強制送還が関係している可能性もある。」と見て捜査していることを認めた。
タイでは2006年から、政治の主導権をめぐるタクシン派と反タクシン派の抗争が続き、クルングテープで度々爆弾テロが起き、死傷者が出た。ただ、今回のような殺傷力が高い爆弾が使用されたことはなかった。
一方、不法入国でタイで逮捕される支那国籍のウイグル族は2014年頃から増加。タイ軍政は今年07月、このうちの109人を支那に強制送還。ウイグル族は支那で弾圧を受けており、送還されれば厳しい処罰を受ける可能性があり、タイ軍政は欧米諸国から強い批判を浴びた。強制送還翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。
今回爆弾が仕掛けられた「エラワンの祠」は支那人を中心とする外国人観光客に人気がある。爆発による死者はタイ人5人、支那人2人、香港人2人、マレーシア人2人、シンガポール人1人、不明8人、負傷者はタイ人42人、支那人28人、日本人1人、国籍不明43人など計125人に上る。
都心のラーチャプラソン交差点に位置する「エラワン廟」で起きた爆破事件の容疑者に対する逮捕状をタイ警察が申請。
これは事件現場から逃げる容疑者を乗せたオートバイタクシーの運転手が特定されたことによるもの。運転手の供述によれば、容疑者はアラブ系の容貌でタイ語も英語も話さず、オートバイの後部座席に座ると「ルンピニーパーク」と書かれた紙を差し出した。そして走行中、同容疑者は運転手にはまったく理解できない言語で話しかけて来た。ルンピニー公園脇で下車するとすぐに姿が見えなくなった。事件現場周辺の監視カメラが容疑者の不審な行動を記録していた。
都内ラーチャプラソン交差点で17日夜に起きた爆弾事件で、警察が同交差点のエラワン廟に立ち寄った男の行方を追っている。防犯カメラに残されていた映像では、中東系の顔立ち、華奢な体つき、黒縁眼鏡の男が廟内のベンチに座ると背負っていたリュックサックをベンチに置いて立ち去っている。この男について警察では、「犯人である可能性が50%以上。」と見ている。
男はトゥクトゥクで廟にやって来てオートバイタクシーでその場を離れたとされ、警察がオートバイタクシーの運転手らに情報提供を呼びかけている。
また、警察によれば、17日の事件と18日に起きたサトン船着場の爆弾事件に使われた爆弾はともにベアリングのボールと爆薬を詰めたパイプ爆弾であり、プロの手製爆弾の可能性が高い。首都圏警察の爆弾処理担当者によれば、最初の事件で使われた爆弾は外国でよく使われている典型的な手製爆弾。起爆にタイマーが使われている点はタイで過去に使われた爆弾に類似しているものの、タイ最南部でイスラム過激派が用いている爆弾との関連性は見つかっていない。
サトン船着場では爆薬に混入されていたとみられる直径5㎜のベアリング用ボールが多数見つかっている。3年前にクルングテープでイラン人らが爆弾を製造していた事件でも同様のボールが使われていた。
17日夜にクルングテープ都心で起きた爆弾爆発事件で、日本政府は、安倍首相がタイのプラユット首相に、岸田外相がタイのタナサック副首相兼外相に、それぞれ、遺族へのお悔やみを伝え、負傷者の一刻も早い回復を祈るメッセージを送った。また、遺族への哀悼の意と負傷者へのお見舞い、タイ政府と国民に対する連帯の意を伝える外務報道官談話を出した。
この事件ではタイ人、支那人ら少なくとも20人が死亡、日本人1人を含む125人が負傷。
都内で17日、18日に爆弾テロが起きたことを受け、タイ警察のソムヨット長官は、支那街のヤオワラート通を、別の警察高官はチャオプラヤー川沿いのショピング街アジアティーク・ザ・リバーフロントを視察。
どちらも支那系の旅行者が多い場所で、タイ警察は今回のテロが支那人を標的にしている可能性があると見ているようだ。
爆弾テロは17日にクルングテープ都心ラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で、18日に都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場で起きた。ラーチャプラソン交差点ではタイ人、支那人ら少なくとも20人が死亡、125人が負傷。サトン船着場では爆弾が水中に落ちて爆発し、怪我人はなかった。サトン船着場からはアジアティークに向かう送迎ボートが出ている。
タイ治安当局は犯人について、タイ軍事政権と対立するタクシン派、マレーシア国境のタイ深南部でタイ当局と武装闘争を続けるマレー系イスラム武装勢力、国際テロ組織のいずれかの可能性が高いと見ている。
軍政の一部はタクシン派による犯行という見方を取っているようだ。ただし、タクシン派は現在テロを起こしても、軍政に政権を長期化させる口実を与える上、自派の犯行が明らかになれば、国民の支持を失うだけで、メリットがないという指摘がある。また、「エラワンの祠」周辺で働くタイ人の多くはタクシン派の支持層である中低所得者で、祠自体もタイ国民の信仰を集めており、タクシン派がテロを実行する場所としては考えにくいとの見方もある。
マレー系イスラム武装勢力は深南部で数々の爆弾テロを引き起こしているが、クルングテープでのテロ攻撃はほとんどなく、使用された爆弾も、深南部で通常使われるものと異なる。
国際テロ組織に関しては、不法入国でタイで逮捕された支那国籍のウイグル族109人が今年07月、タイ軍政により支那に強制送還されたことへの報復として、テロを働いた可能性が指摘されている。今回のテロ攻撃が支那人旅行者の多い場所で起きていることとも符合するが、国際テロ組織によるクルングテープでの大掛かりなテロは過去に例がない。ウイグル族の多くはイスラム教徒で、支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出する事例が増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。タイ軍政が支那に強制送還した翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。
08月19日(木)午後までに17日夜に都心のエラワンで起きた爆弾爆発事件の死者20人のうち18人の身元を確認。国籍別ではタイ人6人、マレーシア人4人、支那人4人、香港人2人、インドネシア人1人、シンガポール人1人、不明2人。
14時半頃クルングテープ都内の高架電車BTSナナ駅前で不審物が見つかり、駅の一部と駅下のスクムビット通りの下り車線などが一時通行止めとなった。不審物はダンボールをガムテームで巻いたものと分かり、通行止めは約30分後に解除。
クルングテープ中心部ラーチャプラソン交差点のエラワン廟で起きた爆弾事件について、ソムヨット警察庁長官は、「犯人は10人以上のよく組織されたグループと見られる。」と述べ、周到に準備された犯行との見方を示した。「犯人らは1か月程度前から現場を下見たり、逃走経路を検討したりしていた可能性がある。」と言う。
また、タイ軍の広報担当ウィンタイ大佐は、「諸外国の諜報機関から提供された情報などを参考に検討した結果、国際的なテロ組織による犯行ではないとの結論に至った。」と説明。
クルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点などで強力な爆弾が爆発し、多数の死傷者が出た事件で、プラユット首相は、タイ当局が07月に支那新疆ウイグル自治区からタイに密入国したウイグル族109人を支那に強制送還したことへのウイグル族による報復との見方に否定的見解。
強制送還に対しては支那当局によるウイグル族迫害の恐れが指摘されていたことから、タイは各方面から批判を受けることになった。このため、タイ警察は、ウイグル族の武装勢力による犯行の可能性があると考えている。
だが、プラユット首相は、「ウイグル族の武装勢力による仕業なら犯行声明が出されるはずだが、事件から3日も経っているのに何もない。この時点で名乗り出る者があったとしても、その者たちの犯行と信じることはできない。」
17日夜、都心ラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、タイ人、支那人ら少なくとも20人が死亡、125人が負傷した事件で、タイ警察は、犯人と見られる男の似顔絵を公開。また、犯人の逮捕につながる情報に100万Bの懸賞金を懸けた。
爆発現場の防犯カメラの映像によると、男は眼鏡をかけ、黄色いTシャツ、短パン姿で、爆発の数分前に「エラワンの祠」内のベンチにバックパックを置いて、立ち去った。その後、バイクタクシーで現場を離れ、シーロム通ソイ9で下車。外見は一見、中東系に見えるが、警察は「タイ人が変装した可能性もある。」と見て、分析を進めている。
08月17日にクルングテープ中心部で起きた爆弾事件はその死傷者の多さから世界に衝撃を与えることになった。タイ・ホテル協会のスラポン会長はこのほど、「事件の衝撃は短期的なものに終わる。」との見方を示したものの、「観光客の信頼回復に時間が掛かるようだと、この1、2週間のうちにホテルの宿泊予約の取り消しが相当数に上る。」との見方。これまでに事件の影響と見られる取り消しはクルングテープのホテル宿泊予約全体の約5%。
会計検査院関係筋によれば、インラック前政権下における公共倉庫機構(PWO)による米担保融資(実質廉売)制度は複数の不正が見つかっており、これによる国の損失が約38億Bに上る。具体的には、同制度ではパック米を1袋70Bで販売することになっていたが、販売を請け負った民間企業6社とPWOとの間で交わされた契約書には販売価格に関する記述がなかった。これらの会社は米小売りの経験がなく、米を他の業者に転売していた。さらに、これら民間企業は入札に関連する法律にも違反しており、訴追する必要がある。
新憲法が制定されるにはその最終案が国家改革評議会(NRC)に承認され、国民投票で可決される必要があるが、NRCでは一部評議員が新憲法最終案の承認を阻むべく他の評議員に働きかけをしており、評議員たちは反対票を投ずるよう圧力。だが、NRCの主要メンバー、アロンコンはこのほど、「評議員たちは自分の考えに基づいて判断する。」と述べ、「圧力には影響されない。」と強調。
なお、NRCでは新憲法最終案が承認された場合、新憲法の是非を問う国民投票でNRCとして質問を行うかどうかが決められる。先の現行暫定憲法改正に伴い、新憲法の国民投票でNRCと立法議会がそれぞれ1つずつ質問することが可能。
クルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で17日夜に爆弾が爆発し、タイ人、支那人ら20人が死亡、125人が負傷した事件で、タイ警察は、国際刑事警察機構(ICPO)に犯行の手口、容疑者の映像などを送り、協力を要請したことを明らかに。
爆発現場の防犯カメラの映像によると、容疑者の男は眼鏡をかけ、黄色いTシャツ、短パン姿で、爆発の数分前、ラチャプラソン交差点にある観光名所「エラワンの祠」内のベンチに爆弾が入ったと見られるバックパックを置いて、立ち去った。警察は「エラワンの祠」で容疑者の近くに立っていた赤いシャツの男と白いシャツの男が共犯という見方を強めている。プラウット・タイ警察長官補兼報道官は、「容疑者はすでにタイを離れた可能性がある。」と話した。
これについて、プラユット首相は、「タイ政府が今年07月、不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を支那に強制送還したことで、ウイグル族が関与する国際テロ組織が報復のため犯行に及んだ。」という見方を否定。実行犯は雇われただけで、証拠を消すため雇い主に殺害される恐れがあるとして、犯人に自首するよう呼びかけた。タイ軍政の報道官も、「これまでの捜査から、国際テロ組織とは無関係で、支那人を狙ったものではない可能性が高い。」という見方。
一方、タイ警察は、インターネットの交流サイト(SNS)、フェイスブックに今月13日、「クルングテープで14~18日に事件が起こる。」という警告を書き込んだタイ人男(36)の身元を特定し、この男性を同席させ、記者会見。男は国営企業社員で、タクシン支持者。「書き込みについては、フェイスブック上でみつけた情報を転載しただけ。」と主張し、犯行への関与を否定。警察はこの男を逮捕していない。
08月20日(木)午後内閣改造が国王の承認を得たことに伴い、官報で発表。新たに入閣したのはソムキット・チャトゥシーピタック(経済担当副首相)など計10人。 また、閣僚ポストの入れ替えで横滑りとなったのが8人。
プラユット首相は日、今回の改造について「あらゆる方面(からの要求)に応えようとしたもの」と 説明するとともに、「期待外れに終われば批判を受ける。」と述べ、閣僚たちに最善を尽くすよう求めた。
関係筋によれば、「今回の改造の目玉は、経済政策の最高責任者である経済担当副首相がプリディヤトン元タイ中央銀行総裁からソムキット元財務相に交代したこと。プラユット首相がプリディヤトンに政府の経済顧問に就任するよう求めたが、プリディヤトンは応じなかった。」 タイ軍事政権のプラユット首相が大規模な内閣改造に踏み切った。一向に上向かない景気にしびれを切らした形で、経済閣僚を一新。経済政策のトップにタクシン政権(2001~2006年)で財務相、商務相を歴任したソムキットを起用。
これまで経済閣僚チームを率いたプリディヤトン副首相(王族、元タイ中央銀行総裁)、ソムマイ財務相(元財務副次官)、ポンチャイ情報通信技術相(元情報通信技術省次官)、ナロンチャイ・エネルギー相(元商務相)、ヨンユット副首相、ピティポン農相(元農業協同組合省次官)、チャクラモン工業相(元工業次官)、ラチャタ保健相(元マヒドン大学学長)らは閣外に去った。
財務相の後任は米テネシー大学経済学修士で、元クルンタイ銀行社長、前CPグループ副社長のアピサック・タンティウォラウォン。工業相にはアチャカー・スンブンルアン工業次官、情報通信技術相に元GEキャピタル(タイランド)取締役のウットム・サワナーヨン、エネルギー相にアンンタポン首相顧問(陸軍大将)、副商務相にチュラロンコーン大学サシン・インスティテュート・フォー・グローバル・アフェアーズのダイレクターでソムキットの米国の留学先の後輩に当たるスウィット・メーシンシー、労相にシリチャイ・ディタクン国防次官(空軍大将)、保健相にピヤサコン・サコンサタヤートン元マヒドン大学学長が就任。外務省ではタナサック副首相兼外相(前国軍最高司令官)が副首相専任となり、ドーン副外相(元駐米大使)が外相に、運輸省ではプラジン運輸相が副首相に転任し、アーコム副運輸相(元国家経済社会開発委員会事務局長)が運輸相に、商務省ではチャチャイ商務相(陸軍司令官補)が農相に転任し、アピラディー副商務相(元商務副次官)が商務相に昇任。ダーポン天然資源環境相(元陸軍参謀長)は教育相に、スラサック労相(前国防次官)は天然資源環境相に、ナロン教育相(前海軍司令官)は副首相に転任。プラユット首相(前陸軍司令官)の元上司で政権の要であるプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)とアヌポン内相(元陸軍司令官)、法制面を取り仕切るウィサヌ副首相、王族のパナダー首相府相、パイブーン法相(国軍最高司令部副司令官)、コープカーン観光スポーツ相(前東芝タイランド会長)らは留任。
プラユット首相は昨年09月の内閣発足時には、出身母体である軍の幹部を省の大臣に充て、それぞれの省の事務次官を副大臣にする手法をとった。今回は軍幹部を主要な省の大臣から外し、官僚トップを大臣に昇格させた形だ。ただし、軍出身の閣僚の数は2人増え14人となった。
タイの04~06月の国内総生産(GDP)は前年同期比2.8%増と低い伸びが続いた。公共投資が24.7%増加したほか、外国人旅行者の増加で観光が好調だったが、民間投資3.4%減、民間消費1.5%増、輸出5.5%減、輸入10.1%減と、主な経済指標は冴えない。今月17日にはクルングテープ都心で爆弾が爆発し、タイ人、支那人ら20人が死亡、125人が負傷する事件が発生し、経済の牽引役である観光への影響が懸念されている。
08月21日(金)朝17日夜に爆弾が爆発し、タイ人、支那人ら20人が死亡、125人が負傷した都心ラーチャプラソン交差点の「エラワンの祠」で、、追悼式が行われ、プラウィット副首相兼国防相、スクムパン都知事、ソムヨット警察長官らが参列。
タイ警察の報道官チームの公式ツイッターとフェイスブックは追悼式が行われた日付を20日としている。
08月22日(土)08月17日にラーチャプラソン交差点のエラワン廟で強力な爆弾が爆発して大勢の死傷者が出た事件の翌日18日にサトン船着場で起きた爆弾事件で、警察は、17日に船着場付近で不審な行動をしていた者の行方を追っていることを明らかに。
防犯カメラの映像によれば、エラワン廟の爆発の約30分後の午後07時20分頃、桟橋付近で青色のTシャツを着てジーンズをはき、ショルダーバッグを肩にかけた者が、歩道に荷物を落としたあと、携帯電話を手にし、また、荷物を5歩ほど離れた場所に移動し、周りに人がいなくなってから荷物を川に蹴り落とした。また、18日には同じ場所で青っぽい長袖シャツ、黒いズボン、ショルダーバッグの男が写真を撮っているのが確認されており、男が去ってしばらくして爆発があった。
政府首脳と警察当局は「先の爆弾事件に関する虚偽・未確認情報がネット上に出回っており、これが人々を混乱させている。」として、このような情報の拡散に関与した者に法的措置を執る構えを見せている。
ソムヨット警察庁長官は、「虚偽の情報や無責任な情報をネット上に投稿することは法律違反。警察はすでにネット上で虚偽情報を広めている者たちを特定する作業を始めている。」と警告。
また、プラユット首相も同日放送のテレビ番組の中で、「(事件に関する)写真、コメント、情報を人にメールしたり、ネット上に投稿する際にはよく考えてほしい。」と述べ、市民に慎重な対応を求めた。
支那新疆ウイグル自治区のウイグル族過激派が先のクルングテープの爆弾事件の犯人とする見方が出ているが、14年前から東アジアの某国で暮らすウイグル族の活動家の男性(54)はこのほど、「ウイグル族の犯行というのはナンセンス。ウイグル族にそんなことはできない。支那を攻撃したがっているグループが存在するかもしれない。だが、彼らが支那以外の国で活動することはほとんどない。」
タイ当局は先に密入国のウイグル族のイスラム教徒109人を支那に強制送還したことで各方面から批判を受けた。これがウイグル族犯行説の根拠。だが、同活動家によれば、「タイはウイグル族を含め助けを求める人々に寛容な国であり、ウイグル族が報復のためにあのような事件を起こすとは考えられない。」
憲法起草委員会によってまとめられた新憲法最終案が、 国家改革評議会(NRC)に提出された。NRCでは09月06日に同案を認めるか否かの採決が行われる。承認された場合、NRCは解散となり、新憲法最終案の是非を問う国民投票が来年01月にも実施されることになる。仮にNRCが最終案を承認しなかった場合もNRCは解散となり、軍政が新たに委員会を設置し、180日以内に新憲法草案が作成される。
08月23日(日)都内のシリラート病院で、入院中のプミポン国王を迎えて新閣僚の宣誓式が執り行われた。プラユット首相率いる新閣僚は陛下の前で職務を誠実に遂行することを誓った。
今回の内閣改造は20日に官報で発表されていた。
憲法起草委員会(CDC)の作成した新憲法最終案が先に国家改革評議会(NRC)に提出された。新憲法制定にはまずNRCの承認が必要だが、今のところ NRC評議員2人が最終案に反対の姿勢を示している。NRCでは09月06日に同案を承認するか否かの採決が行われる。
NRC政治改革委員会の長を務めるソムバット評議員は、最終案が小規模政党からなる連立政権の誕生を想定していることを問題視。「このような政権は脆弱で崩壊しやすい。」また、 ワンチャイ評議員は8月23日、「最終案は内容が非民主的であり、改革を達成することもできないだろう。」と述べ、反対票を投ずる姿勢を明らかに。
08月24日(月)17日に都心ラーチャプラソン交差点の「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人とマレーシア人各5人、香港人2人、シンガポール人とインドネシア人各1人の計20人が死亡、128人が負傷した事件は迷宮入りする様相を強めている。
タイ警察は爆発現場の防犯カメラの映像から、「エラワンの祠」のベンチに爆弾が入ったバックパックを置いて立ち去ったと見られる黄色いTシャツを着て中東系の容姿の男を容疑者として行方を捜査している。調べによると、容疑者はタイ国鉄フアラムポーン駅から3輪タクシー(トゥクトゥク)に乗って「エラワンの祠」近くに到着し、「祠」にバックパックを置いた後、高架電車BTSラチャダムリ駅近くまで徒歩で移動、そこからオートバイの後部座席に乗って移動するバイクタクシーで、約1㎞離れたルムピニー公園に向かった。バイクタクシーの運転手らは、「容疑者の男が携帯電話でタイ語や英語ではない言葉で話していた。」と証言。
警察は「エラワンの祠」で容疑者の近くに立っていた男性2人が共犯の疑いが強いとしていたが、その後の捜査で、1人は支那人旅行者、1人はガイドで、事件とは無関係と判明。
事件翌日の18日午後01時頃、都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発した。けが人はなかった。警察は、船着場の上を走るタークシン橋から爆弾が投げ込まれたと見て、現場検証を行っていたが、22日、現場の防犯カメラの映像から、ラーチャプラソン交差点の爆発から約20分後、モンゴロイド系とみられる青いTシャツを着た男が現場の水路にビニール袋のようなものを蹴り落としていたことが判明。犯人グループが同時多発テロを狙っていた可能性が高まった。
20日には英BBC放送がラーチャプラソン交差点を取材し、祠の道路を挟んで反対側の建物の壁に、爆弾の一部とみられる鉄球などがめり込んでいるのを発見した。取材班は数百m離れたタイ警察本部に証拠品として提出しようとしたが、昼休み中だとして入口で追い返された。この映像はテレビ、インターネットで放送され、タイ警察のずさんな捜査と対応に、インターネット上で批判が集まった。
タイ軍事政権やタイ警察の幹部は今回の事件について、国際テロ組織の関与を否定し、軍政と対立する国内勢力の犯行という見方を示している。ただ、「テロではないが、犯人は外国人かもしれない」(ソムヨット警察長官)と、犯人像は不透明。犯人逮捕については、「運が良ければ逮捕できる。」(ソムヨット警察長官)と悲観的。
こうした中、タイ警察は犯人逮捕につながる情報への懸賞金を当初の3倍の300万Bに引き上げた。警察以外に、軍政と対立するタクシンの息子のパーントーンテーが700万B、ほかの民間企業が200万Bの懸賞金を懸けている。
大勢の死傷者を出したクルングテープ中心部の爆弾事件について、ソムヨット警察庁長官は、「防犯カメラの多くが故障していて犯人の逃走経路を特定するのが困難な状況だ。」と認めた。
犯人が爆弾を現場に置いたあとに通ったとみられるラーチャプラソン交差点からシーロム通にかけては合計20台の防犯カメラが設置されているが、このうち15台が故障。これらのカメラはクルングテープ都庁が所有し維持管理しているもの。また、「犯人がチュラロンコーン病院に入り、そこで衣服を着替えてすでにマレーシアに出国した。」との報告もあるが、首都圏警察は犯人が「現在もタイ国内に留まっているかどうかもわからない。」と認めている。
憲法起草委員会(CDC)が先に国家改革評議会(NRC)に提出した新憲法最終案について、NRCの政治改革委員会と司法・法改革委員会が新憲法最終案に前文が存在しないこと問題視し、憲法裁判所に判断を仰ぐことを決めた。これらの委員会によれば、憲法裁は過去に「憲法前文は憲法の中核部分であり、判断を下す際に 考慮するもの。」との見解を示している。このため、新憲法が最終案通りに制定された場合に問題が起きないよう憲法裁の判断を仰ぐことにしたもの。
08月25日(火)08月17日に都内ラーチャプラソン交差点で強力な爆弾が爆発した事件で、関係筋は、犯人を乗せたタクシーの運転手が「犯人は外国人。」と証言していることを明らかに。
爆発があったのは午後07時頃だが、運転手によると、午後04~05時頃に犯人と見られる男をラマ4世通チャンイサラ・タワーⅠ付近でタクシーに乗せた。男は外国人アクセントで「ホアランポン(ホアランポン中央駅)。」と行き先を告げ、また、目的地に着くとタイ語で「チョート。」と言ってタクシーを止めさせた。
また、防犯カメラには、男が事件現場で爆弾が入っていたと見られる黒いリュックサックをその場に置いて立ち去った映像が残されていたが、運転手によれば、男はタクシーに乗った際、黒いリュックは持っていなかったという。このため、警察では、「男が現場に到着するまでの間に共犯者からリュックを受け取った可能性がある。」と見ている。
23日に発足したプラユット改造内閣は、初の閣議を開き、6人の副首相の担当省庁・分野を決めた。
筆頭副首相のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)は留任で、これまで通り、国防、治安を担当する。管轄する機関は国防省、天然資源環境省、内務省、労働省、警察庁、国家安全保障会議、深南部行政センターなど。
新たに入閣し、副首相序列5位のソムキット副首相は財務省、外務省、農業・協同組合省、商務省、工業省、運輸省、科学技術省の7省を管轄し、経済政策を統括。
序列6位のウィサヌ副首相(元内閣秘書官長)は留任で、これまで同様、新憲法の制定など法務全般を取り仕切る。
序列2位から4位は2014年のクーデター当時にプラユット首相(当時陸軍司令官)の同僚だったタナサック副首相(前国軍最高司令官)、ナロン副首相(前海軍司令官)、プラチン副首相(前空軍司令官)。タナサック副首相は内閣改造で兼任の外相を外れ、観光スポーツ省と文化省を担当する。ナロン副首相は教育相からの転任で、社会開発福祉省と保健省を、プラチン副首相は運輸相からの転任で、情報通信技術省、エネルギー省、教育省などを担当。
政治危機の打開を目的に強大な権限を有する委員会の設置を新憲法に盛り込むことに政治家から「クーデターを合法化するようなもの。」といった批判意見が出ている問題で、プラユット首相は8月25日、「政治家には国家改革評議会(NRC)に新憲法最終案を否決させようと試みたり説得したりする権利はない。」と述べ、政治家の口出しに強い不快感を露わに。
同委員会の設置については、反タクシン派・民主党のアピシット党首もインラック前首相も否定的な見解を表明。同委員会の正式名称は「国家戦略委員会」で、陸海空3軍の司令官や警察庁長官など23人で構成される。
08月26日(水)関係筋によれば、08月17日のラーチャプラソン交差点エラワン廟、翌18日のサトン船着場での爆発について、タイ警察がトルコ人の関与を疑っており、08月初め以降に入国したトルコ人約20人に関する情報収集に力を入れている。警察は先に防犯カメラの映像を元に作成した犯人の似顔絵を公開したが、現在似た顔立ちのトルコ人がタイに入国していなかったかの確認に重点が置かれている。
また、26日には捜査陣の話し合いが行われたが、ここでも犯人が過激派組織に所属するトルコ人との見方が取り上げられた。
タイ国王の諮問機関である枢密院の議長、プレム・ティンスラーノン元首相(元陸軍司令官)が、95歳の誕生日を迎え、プラユット首相(前陸軍司令官)以下、閣僚、軍・警察幹部が祝賀のため、都内のプレム議長宅を訪れた。
プレム議長はプラユット首相の祝辞と花束贈呈後、スピーチを行い、「今日という日、私は誇りに思い、喜び、自信がある」、「首相、ポムさん(プラウィット副首相兼国防相・元陸軍司令官)らが成功すると確信している。」などと述べた。
プレム議長は1920年、南部ソンクラー生。1978~1980年に陸軍司令官、1980~1988年に首相を務めた。プミポン国王の信頼が厚く、1988年の首相退任時に枢密顧問官に任命されるとともに、「ラタブルット(国家功労者)」の称号を受けた。1998年から枢密院議長。政財官界や特に軍に極めて強い影響力を持ち、年末年始やタイ正月、自身の誕生日前後には毎年、現役の軍、警察の最高幹部が祝賀に訪れる。これは、軍、警察がプレム議長を通じて国王に忠誠を示す慣行と見られている。結婚したことはなく、公の場に若い男性にエスコートされ登場することがある。
プレム議長はタクシンと対立関係にあると報じられ、タクシン派の一部は、プレム議長と枢密院がタクシン政権を追放した2006年の軍事クーデターとタクシン派インラック政権を倒した2014年の軍事クーデターの黒幕だと非難している。タクシンはプレム議長を「スーパーパワー」と呼んだ。
プレム政権は非議員のプレム首相が特権階級や軍の威光を背景に長期政権を率いた変則的な政治体制で、「半分の民主主義」と呼ばれた。2014年のクーデターで全権を掌握したプラユット軍事政権が現在作成中の憲法案は、非議員の首相を認め、議会上院を基本的に「専門家」による任命制に戻すなど、「半分の民主主義」体制に先祖返りするような内容だ。政府が機能不全となった場合には、軍・警察幹部による特別委員会が行政権と立法権を掌握するという、クーデターの合法化のような条項も盛り込まれ、これにはタクシン派だけでなく、反タクシン派政党の民主党からも批判が出ている。
融資対象となるべき条件を満たしていない不動産開発業者の関連会社に99億Bを超える巨額の不正融資を行ったとして、タイ国営クルンタイ銀行(KTB)の元経営幹部らが汚職などの罪に問われた裁判で、タイ最高裁判所は、ウィロート・ヌワンケー元社長に禁錮18年の実刑判決。これに関与した当時の銀行幹部など18人にも同様の罪で有罪判決。融資はタクシン政権(2001~2006年)当時の2003年から2004年にかけ実施され、2012年にタクシン・チナワット元首相を含む22人と5社が汚職、商業銀行法違反などで起訴。
裁判は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷、最高裁政治家政治任用職刑事犯罪部門で行われ、KTBのウィロート・ヌワンケー元社長、スチャーイ・チャオウィシット元会長ら4人に禁錮18年、KTBの元幹部と融資先の企業クリサダーマハーナコンとその関係会社の経営幹部ら12人に禁錮12年の判決。また、不正融資を受けた企業と元経営者に対し、100億Bの返済を命じた。2人は無罪。タクシンについては「帰国後に判決を言い渡す。」としている。タクシンは支那滞在中の2008年に汚職で実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。
最高裁政治家政治任用職刑事犯罪部門は1回の審理で判決が確定し、上訴できないことから、ウィロート元社長らは判決後、収監された。ウィロート元社長は翌17日、収監先のクルングテープ刑務所で心臓発作を起こし、刑務所付属の病院に搬送された。
08月27日(木)昨年05月の軍事クーデターで軍部が全権を掌握するまで国政を担っていたタクシン派プア・タイ党が、新憲法最終案に反対する意見書を国家改革評議会(NRC)に提出。NRC評議員に09月06日の採決で反対票を投ずるよう促した。
新憲法は、NRCに承認され、国民投票で可決されて初めて制定される。
意見書はプア・タイ党所属のサマート元下院議員からティエンチャイNRC議長に提出された。サマート元議員によれば、「新憲法が最終案の内容のまま制定された場合、総選挙で誕生する新政権は議会や政府を超越する『国家戦略委員会』を設置するとした新憲法のために有名無実の存在になってしまう。」
08月17日のラーチャプラソン交差点の爆弾事件の翌日にサトン船着場で爆弾が爆発した事件で、警察は、容疑者の逮捕状を取った。容疑者は年齢25~30歳、身長170㎝ほどのアジア人らしきた水色のTシャツ姿の男で、前日17日に船着場で爆発物が入ったと見られる荷物を通路から川に落とす様子が防犯カメラに捉えられていた。この男については「18日の犯行の予行演習をしていた。」との見方も出ていたが、警察は17日に川に沈められたものが18日に遠隔操作などによって爆発した。」と見ている。
08月28日(金)政界観測筋によれば、現在の状況から判断すると、早くとも総選挙実施は来年12月、 新政権誕生は再来年02月になる可能性が高い。仮に新憲法最終案が09月06日に国家改革評議会(NRC)で承認され、来年1月あるいは2月に実施される 国民投票で可決となった場合、憲法起草委員会(CDC)が総選挙や国家改革の実施、国民和解の実現に必要な基本6法の草案を作成する。
草案は立法議会 (NLA)で90日間審議されたあと憲法裁判所がさらに30日かけて内容を精査。基本法が制定されるのが09月半ばで、すぐに準備が始まっても総選挙実施は12月となる。そのため、新政権誕生は再来年02月になる。
08月29日(土)午後08月17日クルングテープ都心の観光スポット「エラワン廟」で起きた爆弾事件の容疑者のアデム・カラダグ(28)をクルングテープ都ノンチョークの4階建てアパート、マイムナ・ガーデンホームで逮捕。「容疑者の似顔絵に似た男がいる。」という通報があり、警官、兵士約100人が現場に急行、周辺を封鎖し、アパートに踏み込んだ。
部屋からは爆弾に使用された鉄球に類似した直径5㎜程度の鉄球多数のほか、コード、電池、ペンチ、はさみなどが見つかった。また、複数のパスポートが押収された。
アパートのオーナーによれば、男は07月27日に入居。4階の5部屋を借りた。17時の時点で国籍は発表されていないが、警察関係者はトルコ人の可能性を指摘。アデム・カラダグはトルコのパスポートの名前。
また、サトン橋での爆弾事件をふくむクルングテープ爆弾事件への関与については現在、通訳を入れ取調べ中。
17日の事件では、都心のラーチャプラソン交差点で爆発が爆発し、タイ人6人、支那人とマレーシア人各5人、香港人2人、シンガポール人とインドネシア人各1人の計20人が死亡、日本人男性、安藤紘太1人を含む128人が重軽傷を負った。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。18日には、都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
08月30日(日)クルングテープ都ノンチョーク区でクルングテープの爆弾事件に関与したと見られる男が逮捕されたことについて、警察関係筋は、「国際電話の通話記録を詳しく調査したことが容疑者の特定・逮捕につながった。」と説明。
警察は約1週間以上前から17日に爆発のあったエラワン廟周辺で爆発の前後にトルコと国際通話をした者がいないかを調査。その結果、3つのトルコの電話番号が国際ローミングサービスを使っていたことが確認され、うち1つの電話番号について詳しく調査し、これがクルングテープ都の東端に位置するノンチョーク区での容疑者逮捕に繋がった。
首都圏警察と警察庁犯罪制圧課に近い筋によれば、逮捕された容疑者は実行犯ではなく、17日にホアランポン中央駅で爆弾の入ったリュックサックを実行犯に渡した人物である可能性が高い。実行犯はすでに出国した可能が高い。
このほか、逮捕された男が事件後すぐに出国せずにタイに留まっていたことについて、警察筋は、「男は偽造とみられるトルコのパスポートを所持していたが、このパスボートには有効期限満日が2つ記載されているなどの矛盾があったため(出国時の検査で偽造の発覚を恐れて)出国できなかったのだろう。」と述べている。
捜査関係者によると、男はトルコのパスポートを持っていたが、偽造と判明し国籍の特定には至っていない。「公用語と少し異なるトルコ語」を話しており、トルコ系の言語を話すウイグル族などの可能性もある。
憲法起草委員会(CDC)の委員で国家改革評議会(NRC)の評議員でもあるタウィンワディーによれば、NRCではCDCがまとめた新憲法最終案を承認するか否かの採決が09月06日に行われるが、同案の内容のうち10か所を受け入れるか否かが承認・不承認を決める鍵となりそうだ。
これらは、非議員の首相起用、下院議員選挙制度、上院議員の構成、政治任用職の罷免、政治任用職の刑事訴追、大衆迎合策の防止策、裁判所の権限、憲法の施行、憲法改正、国家戦略委員会の設置。
新憲法は、新憲法最終案がNRCに承認され、国民投票で可決されて初めて制定の運びとなる。総選挙は新憲法が制定されてから実施されることになるため、新憲法最終案がNRCで承認されなかったり、国民投票で否決された場合、民政移管がさらに遅れることになる。
新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に承認された場合、新憲法最終案の是非を問う国民投票が来年初めに実施される見通しだが、同案の内容を国民によく理解してもらうための教育キャンペーンの開始時期について、ウィサヌ副首相は、「国家平和秩序評議会(NCPO)が政治集会禁止令を緩和したあとになる。」との見方。
国民投票で可決を勝ち取るためには最終案の内容を国民が正しく理解していることが必要というが、そのためのキャンペーンの実施に対してはNCPOが発令した様々な措置が障害になる。
ウィサヌ副首相は、「キャンペーンの実施に不都合となれば、軍政は禁止令の緩和などを検討するだろう。」と述べている。
消息筋によれば、クルングテープ都ミンブリ区のアパートの1室で爆弾材料と見られる物が見つかったことから、警察がこの部屋の借り主であるタイ人の女の行方を追っている。この女がエラワン廟とサトン船着場で起きた爆弾事件の犯人らを知っている可能性がある。ミンブリ区は爆弾事件の犯人の1人と見られる外国人の男が逮捕されたノンチョーク区に隣接。
08月29日に男が逮捕されたことに伴い、関連情報から女の存在が浮上し、同日夜に女の部屋を捜索。尿素系肥料、閃光粉、電気コード、腕時計、置き時計、ボルト、ツリー用電飾、ラジコンカーなど爆弾の材料となりそうなものが発見、押収された。警察と軍では30日にも、さらなる手がかりを見つけるべくこのアパート全体をくまなく捜索した。
また、警察庁の広報担当プラウットは、「男の部屋などから爆弾材料が相当量見つかっていることから犯人たちがさらに複数ケ所で爆弾事件を起こそうと画策していた可能性がある。」との見方を示した。
ラムパング県からの報道によれば、爆弾製造のために爆発物を所持していたなどの容疑でピサヌローク県出身の男(32)とラムパング県出身の男(19)が逮捕。2人はラムパング県ムアン郡(県庁所在地)で家を借りて生活していたが、2人が長期間家に戻ってこないため家主が家の中に入ったところ、爆薬をガスボンベに詰めた爆弾などを発見。通報を受けた警察が2人の居場所を突き止めて逮捕したものという。しかし、2人は容疑を全面的に否認。
08月31日(月)17、18日にクルングテープで発生した爆弾事件で、タイ警察は、新たに容疑者2人の逮捕状。1人はパンガー県出身のタイ人女のワンナー・スワンサン(26)、もう1人は氏名国籍不明の男で、警察はヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を隠すため被るスカーフ)を被ったワンナーの身分証明書の写真と、男の似顔絵を公開。
この事件では29日に氏名国籍不明の男がクルングテープ都ノンチョーク区のアパートで逮捕され、爆弾の部品多数とトルコの偽造パスポート200冊以上を押収。他に、別の氏名国籍不明の男2人に逮捕状が出ている。警察は30日、逮捕した男の供述に基づき、都内ミンブリ区のアパートを捜索し、爆弾の部材を押収。ワンナーはこのアパートの部屋の賃借契約者。報道によれば、ワンナーは夫とともに3ケ月ほど前からトルコに滞在中であることが判明。報道機関との電話インタビューの中でワンナーは事件への関与を全面的に否認。また、アパートの部屋についてワンナーは、「約1年前に借りた。夫の知人らが住んでいた。」と説明。ワンナーとともに似顔絵が発表された外国人と見られる容疑者の男について警察は「アパートに出入りしていた。」と説明しているが、ワンナーは「見覚えがない。」と話している。
爆弾テロ事件の容疑者として逮捕された外国人と見られる男だが、黙秘を続けている。タイ地元紙によると、そのため男の国籍は不明。現時点ではトルコ人と見られている。この男が密入国絡みの仕事をしており、摘発されたことへの報復として犯行に及んだ可能性がある。
爆弾事件に関連して警察が逮捕状を取ったのは合計4人となるが、氏名が判明し公表されたのはこのワンナー・スワンサンが初めて。警察が発表したワンナーの写真は身分証明カードの顔写真だが、頭にヒジャブを被っていることからイスラム教徒と見られている。また、ワンナーの夫の国籍はワンナーが言及しておらず不明。
この事件については、不法入国でタイで逮捕された支那国籍のウイグル族109人が今年07月、タイ軍事政権により支那に強制送還されたことへの報復として、ウイグル族が関与する国際テロ組織がタイ軍政と支那人旅行者を狙い、爆弾テロを実行した可能性が指摘されている。2度の爆発が支那人旅行者の多い場所で起きていることとも符合するが、軍政、警察の幹部はテロ組織の犯行という見方を否定し、「警察による取り締まり強化に反発した人身売買業者の犯行。」(ソムヨット・タイ警察長官)などと主張。
タイは観光が経済の大きな柱。タイ軍政は、今回の事件を国際テロ組織の犯行と認めれば、観光業への中長期的な影響が避けられないと見て、「テロ」、「テロリスト」という言葉を避けている。
警察庁犯罪制圧課(CSD)関係筋によれば、08月17日と18日にクルングテープで起きた爆弾事件の実行犯として警察が先に写真を公開した男2人はすでにカンボジアに出国した可能性が高いことから、タイはカンボジア当局にこれら容疑者の所在を特定するため協力を求めた。 また、プラユット首相は、「これらの事件にウイグル族の密入国に関与している人身売買組織がかかわっている。」との見方を示した。タイでは最近になって支那占領下新疆ウイグル自治区からタイに密入国したウイグル族が100人以上も逮捕されているほか、タイ政府がウイグル族109人を支那に強制送還したことで各方面から批判を浴びることになった。
タイ警察のソムヨット長官は、「爆弾事件の犯人逮捕に繋がる情報への懸賞金300万Bを捜査に関わった警官に支払う。」と発表。100万Bは長官の自腹、200万Bは実業家の友人が拠出するという。2014年の資産報告によると、ソムヨット長官の資産は3.6億B(約12億円)。
先に最高裁判所が官営クルンタイ銀行の元幹部らに99億Bに上る不正融資の罪で禁錮18年の刑を言い渡したことに関連し、現在、「パントンテー(タクシンの長男)をなぜ訴追しない。」といった批判が出ている。
しかし検察当局は、「パントンテーは汚職制圧法に違反しておらず、罪を問うことはできない。」と釈明。
この不正融資には当時のタクシンの関与が疑われているものの、最高裁はタクシンが国外逃亡中で不在であることから「帰国してから判断を示す。」としている。
09月01日(火)タイ当局は、「08月17日にクルングテープ都心で起きた爆弾事件の実行犯と見られる外国人の男をサケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で逮捕した。」と発表。捜査関係者によれば、サケオ県アランヤプラテート郡バンパライの国境地帯で01日午前、警察官と兵士がパトロール中にタイ・カンボジア国境から約500m離れた場所にバックパックを背負い、サングラスをかけて野球帽を被った男がいるのを発見。黄色いシャツの男の似顔絵に似ていたことから、身柄を拘束してバックパックの中身を確認すると、実行犯の男が穿いていたのと似た膝丈の短パンが出てきたという。クルングテープのタイ陸軍基地に連行し、取り調べを進めている。
ただ、クルングテープ都及びカンボジアの首都プノンペンの警察関係筋によれば、男はプノンペン国際空港でトルコ行きのフライトに搭乗しようとしていたところを逮捕され、09月01日にタイ国境に近いポイペットでタイ当局に身柄が引き渡されたとのこと。また、ネット上には「出生地・新疆」などと記された、男のものとされるパスポートの身分事項のページの画像が出回っているが、真偽は不明。
タイ警察が17時から行った緊急記者会見で、タイ警察のプラウット報道官は「重要な容疑者と確信している。」と述べ、爆弾を仕掛けた実行犯の可能性が高いという見方を示した。
現場周辺の防犯カメラには、眼鏡をかけ、黄色いTシャツ、短パン姿の男が爆発の数分前に、ラーチャプラソン交差点にある観光名所「エラワンの祠」のベンチに爆弾が入ったとみられるバックパックを置き、歩き去る様子が映っていた。事件の前後に男を乗せたタクシー運転手らは、男が携帯電話でタイ語や英語ではない言葉で話していたと証言した。警察は19日にこの男の似顔絵を公開し、行方を捜査していた。今回逮捕されたのは、この黄色いシャツの男と見られている。
タイ警察はこの事件で、08月29日、クルングテープ都ノンチョーク区のアパートで外国人の男を逮捕し、爆弾の部品多数とトルコの偽造パスポート200冊以上を押収した。翌30日には都内ミンブリ区のアパートを捜索し、爆弾の部材を押収。翌31日、ミンブリのアパートの賃借契約者のタイ人女ワンナー・スワンサン(26)と氏名国籍不明の男の逮捕状を取り、パンガー県のワンナーの実家を捜索した。ワンナーはトルコ人男性と結婚し、数ケ月前からトルコに滞在していた。
このほか、警察は、トルコ人と見られる男2人を含む3人の逮捕状を取った。これで爆弾テロ関連の指名手配は合計7人となった。
タイ警察はまた、01日までに、ノンチョーク区、ミンブリ区の所轄署幹部ら首都警察の警官18人と、サケーオ県の入国管理事務所の警官6人を左遷処分。タイでの報道によると、「サケーオ県の6人は逮捕された男から賄賂を受け取り入国させた疑いがある。」
一昨年から昨年05月の軍事クーデターまで当時のインラック政権を非難する大規模な反政府デモを指揮したステープ元副首相(元民主党幹事長)は、「国民投票で可決されるに十分な内容」と述べ、新憲法最終案を支持する考えを明らかに。
新憲法を現在の最終案の内容のまま制定するには、09月06日に国家改革評議会(NRC)で承認され、来年1月に実施される可能性の高い国民投票で可決される必要がある。
新憲法最終案については、一部で強い批判意見が出ていることから「制定には至らない。」との声も聞かれるが、ステープは、「改革を断行するという国民の要求に応えるものとなっている。」と指摘。同時に国家戦略委員会の設置が盛り込まれていることを称賛。国家戦略員会に関しては、政治危機を打開するために強大な権限を有するものであり、「憲法に則ってクーデターを起こすに等しい。」といった厳しい批判意見が出ている。
憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法最終案を承認するか否かの採決が国家改革評議会(NRC)で09月06日に行われるが、NRCの一部評議員から「CDC委員を兼務するNRC評議員21人は最終案作成の当事者であり、採決を棄権すべき。棄権しなければこれら評議員を訴える。」との意見が出ている。
これに対し、CDCのボウォンサク委員長はこのほど、「棄権を求める評議員たちが訴訟に踏み切った場合、これら評議員を告訴する構えを明らかにした。NRC副議長を務める同委員長によれば、21人はCDC委員であるものの、NRC評議員でもあり、他の評議員と同じように採決に参加する権利がある。」
国外逃亡中のタクシンに警察官時代の階級「警察中佐」を使わせないという階級剥奪の手続きがとられているが、プラユット首相は、警察当局から階級剥奪の申請のあったことを明らかに。
タイでは軍人や警察官は退官後も現役時の階級を「元」をつけずに使うことが認められているが、懲罰としてこれを認めないのが階級剥奪。タクシンは外国メディアに対し不適切な発言をしたことが理由で階級剥奪の検討が開始されることになった。プラユット首相が警察庁の請求を了承し、国王の承認が得られれば、階級剥奪が発効となる。
09月02日(水)国家改革評議会(NRC)で09月06日、新憲法最終案を承認するか否かの採決が行われる。NRCでは賛成派と反対派がともに「自分たちが優勢。」と主張しあっているというが、プラユット首相はこのほど、採決においてよく考えてから判断するようNRC評議員に求めた。
プラユット首相によれば、「最終案が承認されなければ、振り出しに戻って最終案が再び作成されることになり、総選挙の実施、民政移管の実現がさらに遅れることになる一方で、承認されたとしても、対立再燃を防止する仕組みが存在しなければ問題が再び発生することになる。」
クルングテープ都内で起きた爆弾テロ事件で、タイ警察は、戦闘用物資の不法所持容疑でトルコ人の男の逮捕状。容疑者は指名手配中のタイ人女ワンナー・スワンサン(27)の夫エマラー・ダヴトグル。現在トルコに滞在中と見られている。
この事件では、まず都内ノンチョーク区のアパートで外国人の男が逮捕され爆弾材料が押収。その後、隣接するミンブリ区のアパートの1室から爆弾材料が見つかった。この部屋を借りていたのがワンナーだった。タイ警察ではトルコ当局と連絡を取り合っているものの、トルコ側からは所在などに関する情報がまだ提供されていない。
また、サケーオ県で先に逮捕された外国人の男について、タイ警察は、「指紋がノンチョーク区のアパートの1室から見つかった爆弾材料についていた指紋と一致した。」と発表。「爆弾の製造などに関与した可能性がある。」との見方を示した。男は事件への関与を否認しているものの、17日にエラワン廟で爆発が起きた時間帯に現場近くにいたことを認めている。警察によれば、「男はトルコ語を話している。」というが、パスポートによればウイグル族が多く生活している支那占領下の新疆で生まれた支那国籍。ただ、パスポートが本物かどうかまだ確認が取れていない。
クルングテープ都で起きた爆弾事件について「ウイグル族の支那からタイへの密入国およびタイからトルコへの出国を手助けしている人身売買組織の仕業。」といった見方が報じられているが、関係筋は、チャクティップ警察庁副長官が警察庁犯罪制圧課(CSD)に対しタイ国内のウイグル族約3000人の国籍を確認するとともに、その動きを監視するよう指示したことを明らかに。ウイグル族の過激派が爆弾テロに関与したと可能性があるため。
ただ、国家安全保障会議(NSC)のアヌシット事務局長は、「これまでに集まった証拠では、事件とウイグル族の繋がりを証明することはできない。」
09月03日(木)タクシン派インラック前政権で教育相を務めたチャトロンはこのほど、外務省が一般旅券を無効としたことに反発し、無効の取り消しを求める考えを明らかに。外務省領事局によれば、一般旅券は08月19日無効とされた。また、チャトロンは外交旅券も所持していたが、これはすでに期限切れで無効。
プラユット首相によれば、チャトロンは国家平和秩序評議会(NCPO)の出頭要請を無視するなど10回にわたって法律や命令に違反。このため警察の要請で一般旅券が無効とされることになった。
08月17、18日にクルングテープ都で起きた連続爆弾事件に関連し、タイ当局が、マレーシア国境のタイ深南部ナラティワート県スンガイコロク郡でタイ人男(38)を密入出国に関わっているとされるタイ人の男を01日に逮捕し、クルングテープの陸軍基地に移送して取り調べを行っている模様。事件に関与した者たちの何人かがこの男の手助けでスンガイコロクからマレーシアに出国したとの情報に基づいたもの。
タイでの報道によると、男は爆弾事件で指名手配されたタイ人女、ワンナー(26)と電話で連絡を取り合っていた。マレー語方言を話し、タイ語は不自由。
ソムヨット警察庁長官は、「これまでに集まった断片的な情報を総合すると、ウイグル族のタイ密入国・トルコへの出国を手助けしている人身売買組織による犯行という可能性がますます明らかになってきた。」と述べ、「タイ当局による摘発で影響を受けたことでこの組織が爆弾テロという形で報復に出た。」との見方を示した。「ただ、現時点では決定的な証拠は見つかっておらず、組織と事件を関連づけるためにはさらなる証拠固めが必要。」、「また、組織は自ら手を下さずに人を雇ってテロをやらせた可能性がある。」と言う。タイ人男の逮捕に関する報道については、「捜査に影響がある。」として、逮捕が事実かどうか明らかにしなかった。
タイ深南部ではタイからの分離独立を目指すマレー系イスラム武装勢力による爆弾・銃撃テロが頻発。テロとタイ当局の取り締まりによる死者は2004年以降、6000人以上に上る。テロ活動の北限は南部の商都ハジャイとされ、クルングテープでの活動は確認されていない。ただ、2013年05月にクルングテープで爆弾が爆発、7人が重軽傷を負った事件では、深南部出身者が逮捕された。
09月04日(金)クルングテープで起きた爆弾事件について、パイブン法相は、「資金洗浄対策室(AMLO)が容疑者に関連する資金の流れを捜査中。」と明らかに。この捜査によって犯行実行のための資金や報酬などの出所が判明し、資金凍結や没収の可能性もある。
2008年に当時のタクシン派サマック政権のノパドン外相が、タイ・カンボジア国境に位置する世界遺産「プレアビヒア(カオプラウィハーン)」に関するコミュニケに議会の承認を得ずに署名したことが法に触れるとして国家汚職制圧委員会(NACC)に訴えられていたが、最高裁判所は、「(当時の)2007年憲法190条で求められていたのは条約締結時の署名における議会の承認。だが、コミュニケは条約ではない」としてノパドン元外相に無罪判決。
ノパドンはさらに、「権限を乱用して意図的にタイのイメージに傷をつけようとした。」とされていたが、最高裁は「裏付けが存在しない。」としてこの訴えを退けた。
無罪判決に涙したノパドンは、「私を誤解した人々を全て許します。私を非難した人々やNACCを訴えるつもりはありません。」と明言。
インラック前政権が導入した、米を高値で買い上げるという米作農家支援プログラム「米担保融資制度」のために巨額損失が生じた問題で、ウィサヌ副首相は、「政府はインラック前首相、ブンソン前商業相、関連の民間企業に損害賠償を求めることが可能であり、そうするつもりだ。」と述べた。
米担保融資制度は、農民の多くがタクシン派であることから、当時のタクシン派インラック政権が支持固めを目的に開始したもの。副首相によれば、政府はまず昨年12月30日までに生じた損失について賠償を求める予定だが、請求額は数百億Bに上る見通し。
09月05日(土)タイ警察はこのほど、クルングテープ爆弾事件に関与したと見られる男の似顔絵を09月07日にも公表し、逮捕状を請求する予定と明らかに。
この事件ではクルングテープ都内ノンチョーク区のアパートの1室で外国人の男が逮捕されているが、新たな容疑者もこの部屋で生活していた。
一方、警察ではすでに逮捕されている容疑者の男をさらに12日間勾留することが、裁判所に認められた。勾留期間は裁判所が許可すれば12日間が7回まで、すなわち最長84日間まで認められる。
09月06日(日)国家改革評議会(NRC)で(定数250)は、憲法起草委員会が取りまとめた新憲法案の採決を行い、賛成135、反対105で否決。
軍政はこれを受け、新たな憲法起草委員会を発足させ、憲法案の起草作業を一からやり直す。民政移管のための総選挙は新憲法の施行後、実施するとしており、民政復帰は早くても2017年以降に先送りされる見通し。
軍政は自ら起草した新憲法案を傘下の非民選議会で却下した形で、政権長期化を狙った自作自演という見方も出ている。ただし、今回否決された憲法案は、政府が機能不全となった場合、軍・警察幹部らによる特別委員会が行政権と立法権を掌握するというクーデターの合法化のような条項が盛り込まれていたほか、非議員の首相を認め、議会上院を基本的に「専門家」による任命制に戻すなど、民主化の流れに逆行する内容で、政治危機打開のために強大な権限を持つ機関を設置する条項などに厳しい批判意見が出ていた。軍政と対立するタクシン派だけでなく、反タクシン派政党民主党のアピシット党首(元首相)らも、国家改革議会に対し、否決を呼びかけていた。
関係筋によれば、「NRCは可決・否決にかかわりなく先の採決をもって解散となり、それに代わって国家改革推進会(NRSA)が設置されることから、一部のNRC評議員は首相が否決を望んでいると考え、NRSAのメンバーに選ばれることを期待して反対票を投じた。[
今後の政治日程をみると、軍政は10月上旬までに新たな憲法起草委員会を設置し、180日間で新憲法案を起草する。その後、新憲法案の国民投票を行い、可決された場合、数ケ月かけて関連法を整備し、憲法施行後、民政移管のための総選挙を実施する。
タイではクーデターなどで度々憲法が廃止され、その度に新しい憲法が制定されてきた。1997年には、選挙で選ばれた憲法議会を通じて作成された新憲法が施行され、初の国民参加型で最も民主的な憲法との評価を受けた。この1997年憲法は、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒した軍部により破棄された。軍政下の2007年に制定された新憲法は、議会上院のほぼ半数を非民選とするなど、特権階級の政治介入を制度化し、政党の力を殺ぐ内容となった。この憲法も2014年05月の軍事クーデターで破棄され、現在は軍部が実質的に全権を握る暫定憲法が施行されている。
新憲法について、タクシン派組織UDD(通称、赤服)は「軍政による憲法起草は正統性がない。」として、1997年憲法の再施行を要求している。2013~2014年の反タクシン派デモを主導したステープ元副首相(元民主党幹事長)は今回否決された案を支持していた。
新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に否決されたことで、新憲法は起草作業からやり直されることになったが、各種手続きの時間を考慮すると、今後15ケ月は総選挙を実施できない。
現行の暫定憲法によれば、新憲法最終案の採決が終わったことに伴い、憲法起草委員会(CDC)と国家改革評議会(NRC)は解散。30日以内に国家平和秩序評議会(NCPO)により新たにCDC(委員21人)が設置される。
新CDCは立法議会(NLA)、内閣、NCPOの意見を参考にするなどして新憲法草案を180日以内に作成する。そして3~5ケ月以内に草案の内容を公表して国民に広く知らせた後、草案の是非を問う国民投票を実施する。
投票で可決された場合、1~2ケ月のうちに国王の承認を得るための手続きが取られる。そして選挙実施などに関する基本法をまとめることになるが、これにかかる時間が約2ケ月。その後、2~3ケ月の準備期間を経て総選挙が実施されることになる。
憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に否決されたことについて、ボウォンサクCDC委員長は同日、軍とつながりのあるNRC評議員らが目上の軍人たちに配慮して反対票を投じた結果との見方を示した。
これは軍部すなわち軍部首脳らで構成される、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が新憲法最終案の否決すなわち軍政の長期化を望んでいたことを示唆するものとなっている。関係筋によれば、NRCでは軍とつながりのある評議員たちが可決を阻止する動きを見せていた。
タイ軍事政権のプラユット首相は、自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条を行使し、タクシンの警察中佐の階級を剥奪。
タクシンは国外滞在中の2008年、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。プラユット首相はこうしたことを階級剥奪の理由に挙げた。
通常の手続きでは、タイの軍・警察士官の階級剥奪は国王の承認が必要となるが、プラユット首相は政治対立に国王を巻き込むことを避けるため、暫定憲法44条を行使。
タイでは軍・警察士官の階級が重んじられ、タクシンの場合、新聞、テレビなどは通常、「タクシン警察中佐、元首相」と呼んだ。今後は「タクシン氏、元首相」、もしくは、米大学で刑事司法の博士号を取得していることから、「タクシン博士、元首相」と呼ばれることになる。
クルングテープの爆弾テロ事件に関与した疑いで先にサケーオ県で逮捕されたユスフ・マイライリー(支那国籍では、姓・名の順のマイライリー・ユスフ)(25)が「爆弾を製造し、それを実行犯の男に渡したと自供した。」という。警察関係筋が明らかに。当サイトでは、ウィグル人、「ユスフ・マイライリー」として扱う。また、タイの呼称の慣習により、名の「ユスフ」で呼ぶ。
実行犯とされる男は爆弾が入っていたとみられるリュックサックをエラワン廟に置いて立ち去る様子が防犯カメラに残されていた。ユスフは取り調べに対し、「ボスに頼まれてミンブリ区内の商店で化学薬品を購入し、ノンチョーク区内のアパートの1室で爆弾を製造した。」と自供し、「ボス」についてはまだ詳細を語っていない。
また、ユスフは「ホアランポーン中央駅で実行犯の男に爆弾を手渡した。」と述べているが、「男に会ったのはそれが最初だった。」
09月07日(月)08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、タイ警察は、爆発物所持容疑で新たに男2人の逮捕状を取った。2人は爆弾の部品が見つかったクルングテープ都ノンチョーク区のアパートに出入りしていた。1人は青っぽいTシャツを着ているように見える防犯カメラの不鮮明な画像が公開された氏名国籍不明の外国人、もう1人は似顔絵と氏名が公表された国籍不明のアブドゥラ・アドゥラマンの似顔絵。

 ← アブドゥラ・アドゥラマン

一方、タイ軍は、サケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で01日に逮捕した支那籍のウイグル族とみられる男、ユスフ・マイライリーの身柄をタイ警察に引き渡した。タイ軍は逮捕後、ユスフをクルングテープの陸軍基地に移送し、取り調べていた。
警察関係筋によれば、ユスフは、「08月17日にホアランポーン中央駅で実行犯の男(黄色のTシャツ着用)に爆弾を渡したが、この男と会ったのはその時が初めてと自供した。」と報じられていたが、「クルングテープ都内ノンチョーク区内のアパートで黄色のTシャツの男(エラワン廟の爆発事件の実行犯)と青いTシャツの男(18日 のサトン船着場での爆発の実行犯)を見かけたものの、名前は知らない。」と認めた。
また、「ユスフ(支那のパスポートを所持)が事件への関与を認めたのは、支那に送還されるのを恐れたことによる。支那でなくタイで裁かれる方がましと考えたようだ。」と指摘。

 ← ユスフ・マイライリー

17日の爆弾事件はクルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で発生し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。
翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発した。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
警察はこの事件で、08月29日、ノンジョーク区のアパートで外国人の男を逮捕し、爆弾の部品多数とトルコの偽造パスポート200冊以上を押収した。翌30日には都内ミンブリ区のアパートを捜索し、爆弾の部品を押収。翌31日、ミンブリのアパートの賃借契約者であるタイ人女ワンナーらの逮捕状を取った。
新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に否決されたことで総選挙を実施して国民の選んだ政権を樹立するという民政移管がさらに遅れることになったが、経済界からはこの事態を問題視する意見がほとんど出ていないという。
これは、否決で総選挙実施が6ケ月程度遅れるものの、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)のもとで民政移管を実現するという大枠に変わりがなく、また、経済再建のための時間が増えたことを好感しているため。
タイ商工会議所のウィチャイ副会頭によれば、タイ企業も外国企業も意見の相違が存在することは当然と理解しており、新憲法最終案の否決を大きな問題とは受け止めていない。
新憲法最終案が先に国家改革評議会(NRC)に否決され、新憲法草案作成が最初からやり直されることになったことで、「総選挙実施は早くとも15ケ月後(来年末)」との見方も出ていたが、関係筋によれば、総選挙実施は再来年05月か06月にずれ込む可能性が高い。
NRCに否決されたのが09月06日。その後30日 以内に新しい憲法起草委員会(CDC)が設置される。起草期間は6ケ月のため、CDCが新憲法最終案をまとめるのは来年03月か04月。その4ケ月後、すなわち来年07月か08月に同案の是非を問う国民投票が実施される見通し。その後6ケ月掛けて選挙関連法など基本法を作成することになるため選挙実施に向けた法整備が完了するのは再来年01月か02月となる。そして、総選挙を行うには4ケ月の準備期間が必要となるため、実施は再来年05月か06月になる。
08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、タイ警察は、支那国籍のウイグル族とみられる男、ユスフ・マイライリーを爆弾の部品などが見つかったクルングテープ都ノンチョーク区とミンブリ区のアパートに連行し、現場検証。
ユスフは今月01日、サケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で逮捕。その後の捜査で、ノンチョーク区のアパートで検出された指紋とユスフの指紋が一致。ユスフは取り調べに対し、08月17日にクルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で起きた爆弾事件の直前に、「爆弾を仕掛けた実行犯とされる黄色いTシャツを着た男に、タイ国鉄フアラムポーン駅で、爆弾が入ったバックパックを渡した。」と供述。
09月08日(火)関係筋によれば、警察は、クルングテープの爆弾事件で重要な役割を果たしたと見られる男の逮捕状を取った。男は、仲間内で「イシャン(報道によりイサーン)」と呼ばれていた支那新疆出身の27歳の男。先にサケーオ県で逮捕されたユスフ・マイライリーよれば、「イシャンは爆弾製造などに関わった者たちを集めて何度か話し合いを行い、各人に指示を出していた。」
また、別の関係筋によれば、イシャンはエラワン廟で爆発があった08月17日の前日「16日にスワンナプーム空港から飛行機で出国した。」
政府庁舎関係筋によれば、08月中旬にクルングテープで起きた爆弾事件の影響で外国人約133万人がタイ観光を取り止めた。その結果、タイの観光業は約643億Bの損害を被った。
また、爆弾事件に対する35の国と地域の反応を調べたところ、香港、台湾、スロバキアが「不急不要のタイ訪問を控えるべき。」と最も厳しい警告を出していたことが判明。また、タイ国政府観光庁(TAT)の海外支部からの報告によれば、日本、香港、ベトナム、南鮮などで旅行会社が08月と09月のタイ観光パッケージをキャンセル。
新憲法最終案が先に国家改革評議会(NRC)で否決され、新憲法の起草からやり直すことが決まったことを受け、プラユット首相は、「2017年07月の新政権誕生までの20ケ月間、国内改革と国民和解の実現に力を入れる。」と発言た。
また、「現政権は自分らが権力の座にいる期間が長くなるため、新憲法最終案が否決されることを望んでいた。」との見方が一部で出ていることについて、プラユット首相は「新憲法最終案の否決で個人的に得をしたことは何もない。」と強調。
09月09日(水)「警察がクルングテープ爆弾事件で犯行を取り仕切っていた男の行方を追っている。」と報じられていたが、チャクティップ警察庁副長官は、警察が仲間内で「イシャン」と呼ばれていたこの男を犯人グループのリーダーと見ていることを明らかに。
また、この首謀者の男については、「エラワン廟で爆発があった08月17日の前日にタイから出国した。」と報じられていたが、チャクティップ副長官は、「バングラデシュに逃げ込んだ。」との見方を示し、国際刑事警察機構(インターポール)を通じてバングラデシュ当局に男に関する情報の提供などを要請する方針。
一方、タイ警察は、容疑者の1人で、支那国籍のウイグル族と見られる男、ユスフ・マイライリーを、爆発が起きた都心のラーチャプラソン交差点、爆弾の受け渡しが行われたとみられるタイ国鉄フアラムポーン駅などに同行させ、現場検証。
ユスフは今月01日、サケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で逮捕。その後の捜査で、爆弾の部品などが見つかったクルングテープ都ノンチョーク区のアパートで検出された指紋とユスフの指紋が一致。
供述によると、ユスフは08月17日、フアラムポーン駅で、黄色いTシャツを着た別の容疑者の男に爆弾が入ったバックパックを渡した。容疑者と黄色いシャツの男はその後、別々のトゥクトゥク(3輪タクシー)でラーチャプラソン交差点に向かい、黄色いシャツの男が観光名所「エラワンの祠」にバックパックを置いて立ち去った。数分後、爆弾が爆発。ユスフは現場近くのショッピングセンターまで歩き、そこからタクシーに乗車し逃走。
昨年05月の軍事クーデターに伴い設置された立法議会(NLA)は、過去1年間のNLAの実績を発表。それによると、審議された法案は合計143。これら法案のうち成立したものは110。その内容が官報で発表されたものは84となっている。
また、NLAについては、軍部によって設置されたものであることから、「軍政が作成した法案を黙って承認する機関に過ぎない。」との批判もあるが、ポンペットNLA議長は、「NLAは法案が法の支配に準拠したものであるかも慎重にチェックしている。」と強調。
憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法最終案を承認するか否かの採決が先に国家改革評議会(NRC)で行われ、結果は否決となったが、法律に基づいてこの採決に伴いCDCとNRCが解散となり、新しいCDC(委員21人)と200人で構成される国家改革推進会(NRSA)が設置される。
これら新しい機関の長に誰が起用されるかについて様々な憶測が飛び交っているが、プラユット首相は、「誰にも打診していない。」と述べ、人選のための具体的作業が始まっていないことを明らかに。
新CDCの委員長としては、アナン元首相、法律専門家のミーチャイ、元憲法裁判所長官のチャルンなどの名が挙がっている。
また、新CDCの委員は現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が選び、NRSAの200人はプラユット首相によって選出されるが、プラユット首相は、「具体的に誰を選ぶかは決めていないものの、(200人の)構成をどのようなものにするかはすでに決めている。」と明らかに。プラユット首相によれば、NRSAのメンバーは改革に関する法律的専門知識がなければならず、そうでなければ、議論が果てしなく続くだけで結論が出ない。
09月10日(木)立法議会(NLA)関係筋によれば、プラユット首相の意向を受けてウィサヌ副首相が法律専門家のミーチャイに新しい憲法起草委員会(CDC)の委員長を引き受けるよう打診中。ミーチャイ(77)は1991年02月の軍事クーデター後に首相代行、2006年のクーデター後に立法議会議長などを務めたことがある。
これまでのCDCは国家改革評議会(NRC)がCDCのまとめた新憲法最終案を承認するか否かの採決を行ったことに伴いNRCとともに解散となった。また、採決の結果が否決だったことから、現行の暫定憲法の規定に基づいて新憲法起草がやり直されることになり、新たに委員21人のCDCが設置されることになった。
CDC委員は国家平和秩序評議会(NCPO)が選出することになっているが、関係筋によれば、ミーチャイがCDC委員長を引き受けた場合、ミーチャイには委員の何人かを選ぶことが許される見通し。
国家汚職制圧委員会(NACC)のパンテープ委員長を含む委員5人が09月21日に任期満了となることから新しい委員が選出される予定。委員長を含め9人の委員で構成されるNACCは1999年の汚職対策関連法制定に伴い設置された独立機関で、汚職の撲滅において重要な役割を果たしている。
新しい委員は、最高裁長官、憲法裁長官、行政裁長官、立法議会議長などで構成される選考委員会によって選出されることになるが、同委員会は22日に初会合を行う予定。また、NACCの業務に支障が出ないようにするため、任期満了の5人は新委員が決まるまで委員を務めることになる。
軍政下の現行法では民間人を軍事裁判所で裁くことも可能だが、プラユット首相が先に「爆弾事件の容疑者を通常の裁判所で裁く。」と述べたことから、人権団体などが「民間人を軍事裁判所で裁くな。」と改めて要求。
先に大学生のグループは公の場において集団で政府批判をしたことから政治集会禁止令違反で逮捕され、軍事裁判所で裁かれることになったが、これら大学生はこれを不当として通常の裁判所によって裁かれることを強く要求していた。
プラユット首相は、爆弾事件は国際社会が注目している事件であり、国際社会に受け入れられるよう通常の裁判所がこの事件を扱うのが望ましいとしているが、人権活動家らは、「それならば軍事裁判所が民間人を裁くのも止めるべき。」と主張している。
08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、これまでに逮捕された外国人2人とタイ人1人の計3人はいずれも、逮捕後、クルングテープの陸軍基地で取り調べを受けた。
外国人のユスフは数日から1週間後、タイ警察に身柄が引き渡されたが、タイ人の男は依然として陸軍基地で留置されている。こうしたことから、「捜査の主導権はタイ警察にはなく、タイ軍部と関係機関が握っている。」という見方がある。
今回の事件は、これまでの捜査で、不法入国でタイで逮捕された支那国籍のウイグル族109人が今年07月、タイ軍事政権により支那に強制送還されたことへの報復として、ウイグル族が関与する組織がタイ軍政と支那人旅行者を狙い、爆弾テロを実行したという見方が強まっている。
ウイグル族の多くはイスラム教徒で、支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出する事例が増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。タイ軍政が支那に強制送還した翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊した。
こうした背景から、事件への関心は、タイ国内のみならず、直接関係する支那、テロ関連の情報を必要とする欧米諸国、中東諸国などでも高い。タイ当局がウイグル族によるテロと断定すれば、タイ経済にとって重要な支那人観光客の減少が懸念される上、外交面で支那とトルコの板挟みになることも予想される。
タイ軍政は捜査状況に関し、連日、警察の報道官を同席させた上、タイ語、英語、支那語で記者会見を行っている。これは、微妙な情勢を考慮し、ガス抜きのように警察から情報を出させ、報道機関や国民に対する情報管理を図っている。
08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、ソムヨット・タイ警察長官は、容疑者の1人が逮捕されたサケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で勤務するタイ警察入国管理局の警官数人を近く処分する方針を明らかに。
アランヤプラテートの国境では今月01日、事件に関与したとされる支那国籍のウイグル族と見られるユスフ・マイライリーが逮捕された。その後の捜査で、ユスフがこの国境検問所から4、5回、タイに入国していたことが判明。その際、移民局の警官に1回600$の賄賂を支払っていた疑いが強まった。
警察はユスフの逮捕直後、アランヤプラテートの国境検問所の警官6人に左遷処分を下していた。
軍事政権は、タクシン派政党プア・タイ党のピチャイ元エネルギー相をクルングテープのタイ陸軍基地で拘留していることを認めた。
09日に都内のピチャイ宅を兵士が訪れ、基地に「招待」した。軍政を批判する「態度を矯正」するため、1週間程度拘束する見通し。
ピチャイは昨年05月の軍事クーデターで崩壊したインラクッ政権でエネルギー相を務めた。クーデター後、軍が政治活動を禁止し、言論統制を行う中、軍政批判を続け、今回を含め7回、軍に拘束された。今回は、軍政が民政移管を2017年以降に遅らせること決めたことを、インターネット上で批判。
軍政はタクシン派の一部政治家を拘束、国外渡航を禁じるなど、タクシン派への圧力を強めている。軍政批判を止めないチャトロン元副首相のパスポートを04日までに無効にし、06日にはタクシンの警察中佐の称号を剥奪。チャトロンは「軍政の出頭命令を拒否した。」などとして、軍事法廷で裁判に掛けられている。
クルングテープ爆弾事件の捜査を指揮するチャクティップ副長官は、実行犯とされる黄色のTシャツの男がマレーシアに逃亡したとみられることから、情報収集のため捜査担当者を同国に派遣したことを明らかに。
黒縁眼鏡をかけた黄色のTシャツの男は08月17日に爆弾が入っていたとみられるリュックサックをエラワン廟に置いてその場を去ったもので、その直後に爆弾が爆発して20人が死亡、約130人が重軽傷。
09月11日(金)憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法最終案が先に国家改革評議会(NRC)に否決され、新憲法起草がやり直されることになったが、ウィサヌ副首相は、新しいCDCが打ち出した新憲法最終案が国民投票で否決された場合に備えて現行の暫定憲法のうち新憲法制定に関連する部分を修正する可能性を示唆。
現在の憲法規定では、新たに設置されるCDCがまとめた新憲法最終案はすぐに国民投票にかけられ、否決された場合は新憲法起草からやり直すことになっている。
だが、これについては、「新憲法最終案が国民投票で否決され続け、いつになっても新憲法が制定できない。」と懸念する声が続出。このためウィサヌ副首相によれば、「このような事態を回避すべく、暫定憲法の新憲法制定に関する部分を『新憲法最終案が国民投票で否決された場合、国民投票を行わずに過去の憲法を新憲法として制定する。』と改めることなども視野に入れ検討している。」
警察関係筋によれば、マレーシアの警察当局から、「クルングテープで08月17日と18日に起きた爆弾事件に関与したとみられる容疑者2人を逮捕した。」との連絡があった。
容疑者がタイ南部からマレーシアに逃亡したとの情報に基づいてタイの警察当局が捜査担当者をマレーシアに派遣していたが、この担当者は現在南部ヤラー県でマレーシアから容疑者の身柄引き渡しなどに関する連絡が来るのを待っているところ。
タイ人女ワンナーとともにクルングテープ爆弾事件の容疑者となっているトルコ人の夫、エマラー・ダヴトグルについて、不正資金洗浄対策室(AMLO)は、銀行口座に02月17日に約15万6000B、03月17日に約15万8000B、08月07日に41万Bの送金があったことが確認されたと明らかに。
最初の2回はパキスタン人の男(40)が送金したもので、捜査当局は11日夜、この男らを捕らえるべくクルングテープ都スアンルアン区ソイ・オンヌットのアパートを家宅捜索したが、それらしき者を見つけることはできなかった。なお、ワンナーは指名手配されたときトルコに滞在中で、メディアに対し潔白を主張していたが、現在は連絡が取れず所在不明。
09月12日(土)タイ警察は、クルングテープ爆弾事件に関与したと見られ、武器の不法所持などの容疑で、支那の少数民族ウイグル族の男、アブドゥサター・アブドゥレヘマンの逮捕状。仲間内で「イシャン」と呼ばれ、イシャンはすでにタイを出国し、バングラデシュ、インドなどを経由し、トルコに潜伏していると見られる。
イシャンについては「首謀者の可能性が高い。」とこれまで報じられているものの、警察庁の広報担当プラウット長官補はこのほど、「警察はイシャンを首謀者と確信するには至っていない。」と明らした。サケーオ県で逮捕されたユスフが取り調べの中でイシャンに関する重要な情報を供述しているものの、「本当の首謀者の特定に繋がる情報を隠している可能性がある。」と警察では見ている。なお、イシャンについては、数日前に「警察が逮捕状を取った。」と報じられたが、この逮捕状については警察が裏付けが不十分だと判断し逮捕状請求を取り消していた。
09月13日(日)ウェラチョン政府副報道官によれば、プラユット首相は09月23日から10月01日の日程で米国を訪問し、ニューヨークで開催される国連総会に出席しタイの現在の政治状況などを説明する予定。プラユット首相の国連総会出席で、タイ国内の状況を国際社会によりよく知ってもらうことに繋がることが期待されている。
なお、昨年の国連総会にはタナサック外相が首相の代理として出席。プラユット首相が総会に出席するのは今回が初めて。
タイ警察は、クルングテープ都ディンデン区の女性専用のアパートの1室を手入れし、クルングテープ爆弾事件に関与した疑いで部屋の借り主である女2人と室内にいた女1人の身柄を拘束。関係筋によれば、「この部屋に爆弾材料が保管されている。」との情報が入ったことからシーワラ首都圏警察長官率いる爆発物処理班などが指紋やDNAサンプルを採取するため部屋を家宅捜索したもの。
借り主は2人とも学生で、2人とともに部屋にいた3人目の人物は、学生の母親が連れてきて数ケ月前から同居している中年の女だった。警察では、「この女が08月17日のサトン船着き場爆弾事件の実行犯とされる青色のシャツの男と面識がある。」と見ている。
09月14日(月)政府に批判的な意見を述べた者が当局に呼び出されており、これを批判する声も出ているが、プラユット首相は、「秩序と平和の回復に努力している政府を非難することは許せない。」として、今後も政府批判を展開する者に出頭を命ずる方針を再確認。
最近では13日に英字新聞「ネーション」の記者が出頭を命じられた。首相は、「国内状況が改善しているのになぜ当局を批判するのか理解に苦しむ。」と述べている。
なお、関係筋によれば、タクシン派のプア・タイ党のプムタム幹事長も政府を批判しており、呼び出される可能性が高い。
08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、マレーシア当局は、「タイ当局からの情報提供を受け、事件に関わった疑いがあるマレーシア人男女とパキスタン人男の計3人を逮捕した。」と発表。詳細は明らかにしていない。
クルングテープ爆弾事件で中心的な役割を果たしたと見られる容疑者がトルコに逃亡したことを示す情報が存在しており、タイ警察が現在、所在特定・身柄拘束に向けトルコの関係当局と共同捜査をしている。
警察庁の広報担当プラウット長官補によれば、仲間内で「イシャン(報道によりイサーン)」と呼ばれていた容疑者の男はタイを出国してバングラデシュに入国し、08月30日に同国からインドに向かい、また、インドからアラブ首長国連邦のドバイを経て最終的にトルコに入った。ただ、「イシャン」についてプラウット長官補は、「資金の流れから判断すると、首謀者とは考えにくい。」と述べている。
また、マレーシア警察がに「パキスタン人1人とマレーシア人2人を数日前に逮捕した。」と認めたことに関連して、タイ警察のソムヨット長官は、「捜査員を捜査のためにマレーシアに派遣した事実はない。」と明言。これは、警察官が自国以外の外国で捜査権を行使できないにもかかわらず、「容疑者逮捕のためタイの警察官がマレーシアに行った。」との噂が一部で流れていたことによるもの。
09月15日(火)軍事政権を批判したかどで軍に身柄を拘束されていたタクシン派の政治家2人と英字紙ネーションの記者が、今後軍政を批判しないことを条件に釈放。
拘束されていたのはピチャイ元エネルギー相、カルン前下院議員、プラウィット記者。ピチャイは09日、カルンは10日、プラウィットは13日から、クルングテープのタイ軍基地で拘束されていた。
ピチャイは釈放後、インターネットの交流サイト、フェイスブックで、自身の釈放を呼びかけたチャトロン元副首相、人権保護団体などに感謝を表明。「政治が正常ではないので、今後、経済、政治についてのインタビューには応じない。」「10年、20年後に振り返ってみれば、今起きていることを、よく理解できるだろう。」などと書き込んだ。
昨年05月のクーデターで全権を掌握した軍部はデモ、政治集会を禁止し、軍政に批判的な政治家らを「態度を矯正させる。」として度々拘禁している。
新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に否決され、新憲法の起草からやり直されることになったが、ポンペット立法議会(NLA)議長は、に行われたNLA・内閣・国家平和秩序評議会(NCPO)の協議の中でプラユット首相が総選挙実施を早めるため新憲法作成期間を短縮するよう提案したことを明らかにした。
新憲法最終案がNRCに可決され、国民投票でも可決されていれば、総選挙は来年中に実施されることになっていたが、否決されたことで総選挙実施は再来年半ばにずれ込む見通し。
この遅れを最小限にすべく、プラユット首相は新憲法作成の手順を定めた現行憲法の規定を改正するなどして新憲法作成期間を短縮することを提案した。
08月にクルングテープで起きた連続爆弾事件について、タイ警察のソムヨット長官は、「タイが今年07月、不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を支那に強制送還したことへの報復として、ウイグル族が関与する組織が爆弾テロを実行した。」との見方を示した。タイ当局の取り締まりで「ビジネス」を潰された人身売買業者による犯行という、これまで通りの見方を示した上で、もう一つの原因として、強制送還に対する報復を挙げた。支那に強制送還したことに対する国際的人身密輸組織の報復との見方を示した。この組織はウイグル族をタイ経由でトルコに送り込むことで利益を得ていたが、タイ当局が人身密輸を取り締まったことで利益が減り、このため、仕返しとして爆弾事件を起こしたものという。
タイ軍事政権の高官がウイグル族の強制送還と連続爆弾事件の関連を認めたのは初めて。軍政は今回の事件で、「テロ」、「テロリスト」、「ウイグル族」という言葉を徹底して避け、タイの報道機関にも協力を求めていた。タイは観光が主要産業で、「テロ対象国」というレッテルは是が非でも避けたいところ。また、「ウイグル族」は外交的に微妙な問題に発展する恐れがあり、こちらも口にしたくない言葉だったようだ。しかし、事件の容疑者の多くはウイグル族関係者とみられ、これ以上、言及を避けるのは不自然と判断した模様。
ウイグル族は主に支那の新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出する事例が増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。
「強制送還されたウイグル族は支那で処罰される可能性が高い。」と見られ、タイが支那に強制送還した翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊した。欧米諸国もタイの対応を非難。
しかし、プラユット首相は同日、「(国際的人身密輸組織の犯行なら)犯行声明が出ているはず。」と述べ、この見方に否定的な見解。
なお、捜査関係筋によれば、事件に関与したと見られる人物はこれまでに22人となっており、うち5人がタイ人。
09月16日(水)新憲法に「非議員の首相起用」が盛り込まれる可能性があることから、「プラユット首相が非議員として首相に返り咲くのではないか。」との見方も一部で出ているが、首プラユット相は、その可能性を全面的に否定。
非議員から首相を選ぶことには批判意見が少なくないが、プラユット首相は、「民間人が首相になるのを恐れる必要はない。私はどんなことがあっても首相にならない。」と明言。また、「(総選挙後に)国民が首相になってくれと要望したらどうするか。」との質問に対しては、「私は自分の能力、どのくらいことができるかがわかっている。」と返答。
「さらに20ケ月首相を務めることで国民に飽きられるのではないかと心配していないか。」との質問には、「私自身が(首相であることに)飽きている。国民だけじゃない。」と冗談半分に答えた。
新憲法最終案が国家改革評議会(NRC)に否決され新憲法起草からやり直すことになったことで、結果的に現政権があと20ケ月存続することとなったが、ウィサヌ副首相は、各国の外交官を集めた会議の席上、総選挙と民政移管を早期に実現するため現政権の存続期間を最大で4ケ月短縮すべく努力する方針を明らかに。
総選挙実施に向けてのプロセスのうち最も時間がかかるのが新憲法制定だが、ウィサヌ副首相によれば「これまでに発表されている行程表を1~2ケ月短縮することが可能。そのため、16~18ケ月後には総選挙を行うことができる。」
クルングテープで起きた爆弾テロ事件でエラワン廟に爆弾入りのリュックサックを置いていったとされる実行犯の男について、チャクティップ警察庁副長官は、「犯行後にマレーシアに逃亡したと見られる。」と述べた。
マレーシアから帰国したチャクティップ副長官はこの実行犯の男の身元が判明しているとするとともに、男が支那のパスポートでタイに入国し、パスポートには新疆生まれと記載されていたことも明らかに。事件後、マレーシアに逃亡したと見られるが、今のところ出国記録は確認できていない。
09月17日(木)国家改革推進会(NRSA)が新たに設置されることになっているが、大政党のひとつ民主党では、メンバーの多くが総選挙に立候補できなくなるのではないかと懸念してNRSAに加わることに二の足を踏んでいる。
これまで国内改革に関する検討は国家改革評議会(NRS)によって進められてきたが、暫定憲法の規定に従ってNRSは先に新憲法最終案を承認するか否かの採決を行ってその任務を終えた。
NRSに代わって国内改革の検討を行うのがこれから設置されるNRSA。アピシット民主党党首は、「民主党のメンバーがNRSAに加わることに問題はない。」としている。だが、「NRSAのメンバーになった場合、しばらく政界から身を引きなければならない(次期総選挙に立候補できない)。」との見方も出ている。そのような規則は存在しないものの、これから制定される新憲法に規則が盛り込まれる可能性があるとのこと。
08月17日にクルングテープ中心部のエラワン廟で起きた爆弾テロ事件について、チャクティップ警察庁副長官は、「実行犯とされる黄色のTシャツの男の所在特定が振り出しに戻ってしまった。」と述べ、「捜査の状況が詳しく報じられて男が警察の動きを察知していたことが原因だ。」と指摘し「メディアに責任がある。」との見方を示した。
男は事件後に陸路でマレーシアに逃亡したとされる。副長官は、「正直なところ(だいぶ時間を無駄にしてしまって)残念だ。彼(実行犯とされる容疑者)は今解き放たれた鳥のような状態であり、どこに向かっているかもわからない。すでにマレーシアを出国したのではないかと考えている。」と述べた。なお、警察は、事件に関与した疑いでパキスタン人の男の逮捕状を取った。
09月19日(土)ウィサヌ副首相によれば、「新憲法制定に伴い公職選挙法など基本法も新たに制定されることになるが、新しい基本法では既存政党が政党登録のやり直しを求められる可能性がある。」
関係筋は、「軍政はタクシン派のプア・タイ党と反タクシン派の民主党という2大政党が対立している現在の状況を打開する必要があると考えているようだ。政党登録をやり直させる場合、政党登録に必要な条件も変更され、大政党が生まれにくくなるのではないか。」と指摘。なお、現在の党員数は民主党が約1400万人、プア・タイ党が約1100万人。
2006年の軍事クーデターからちょうど9年となる09月19日、大学生などからなる数百人規模のデモがクルングテープ都内で行われた。昨年05月のクーデター後の反軍政デモとしては最大規模。タマサート大学から行進し、民主記念塔で集会。参加者は即時の民政復帰を求め気勢を上げ、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)を「民主主義を否定している。」などと非難。
軍政下にある現在のタイではこのような公の場での集団行動は違法だが、治安当局は強制排除を行わず、大きな混乱はなかった。
09月20日(日)プラユット首相は、ノンタブリー県ムアントンタニーのインパクト国際展示場で開催されたフォーラムの中で、国と国民と産業を1つにまとめて国家の長期・持続的発展を図るという新戦略「国民の国家」を明らかに。プラユット首相によれば、「この戦略を実践することによって草の根レベルで経済が成長し、各地域のコミュニティーと産業が強化されることになる。これは政府が先に発表した投入額1360億Bの大型景気刺激策に沿ったもの。」また、「この戦略は支持を得るために国家予算をばらまく大衆迎合政策とは異なるものだ。」と強調。
消息筋によれば、タイの警察はこのほど、クルングテープの爆弾テロ事件に関与したと見られる男2人の写真をマレーシアの警察当局から受け取った。2人はマレーシア国内で身柄確保されたもので、08月17日にエラワン廟に爆弾入りのリュックサックを置いて立ち去った黄色のTシャツの男と18日に起きたサトン船着き場の爆発の実行犯と見られる青色のシャツの男である可能性がある。
09月21日(月)死者20人、負傷者約130人を出した08月17日のクルングテープの爆弾テロで、マレーシア警察が同国内で実行犯らしき男の身柄を確保したとされることについて、プラウット警察庁長官補はこのほど、マレーシア側と連絡をとる意向を示すとともに、「捕らえられた男が本当に実行犯であれば、捜査に参加したり情報を収集したりするためマレーシアに捜査員を派遣する用意がある。」と明らかに。実行犯とされるのは、黄色のTシャツ、短パン、黒縁眼鏡の男で、犯行後に陸路でマレーシアに逃亡したと見られている。
新憲法の制定に伴い選挙関連法を含む基本法も憲法の趣旨に沿って新たに起草・制定されることになるが、新しい基本法の下では既存政党に政党登録のやり直しが求められる可能性が出ている。これは、政党登録の条件を変更することで政党のあり方や政治状況を改めることが目的とみられているが、一部では「挙国一致内閣を設置し非議員を首相に起用するのが本当の狙い。」といった批判意見も根強い。
反タクシン政党である民主党のアピシット党首は、政党登録のやり直しについて「政党は選挙に参加することだけが目的となって政党制が阻害される。」と批判。「挙国一致内閣の樹立が本当の目的だと思う。」と付け加えた。
一方、プア・タイ党幹部のチャトロン元党首代行によれば、「条件を変更しての政党登録のやり直しは、プア・タイ党や民主党などの主要政党を弱体化して政党が非議員の首相起用を支持せざるを得ない状況を作り出すことが狙いと考えられる。」
09月23日(水)08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、マレーシア当局は、支那国籍のウイグル族とみられる4人と人身売買容疑のマレーシア人4人をクアラルンプールとケランタン州で逮捕し、爆弾事件への関与を含め捜査していることを明らかに。
これを受け、タイ警察のチャカティップ副長官率いる捜査チームが22日にマレーシア入り。
08月17日の爆発事件はクルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で発生し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷を負った。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発した。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
タイ警察はこの事件で、08月29日、クルングテープ都ノンチョーク区のアパートで外国人のアデム・カラダグを逮捕し、爆弾の部品多数とトルコの偽造パスポート200冊以上を押収。翌30日には都内ミンブリ区のアパートを捜索し、爆弾の部品を押収。31日、ミンブリのアパートの賃借契約者であるタイ人女ワンナーらの逮捕状を取った。ワンナーはタイ南部パンガー県出身のイスラム教徒で、トルコ人エマラー・ダヴトグルと結婚し、数ケ月前からトルコに滞在していると見られる。
09月01日には、タイ東北部サケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で支那国籍のウイグル族とみられる男ユスフ・マイライリーが、また、マレーシア国境のタイ深南部ナラティワート県スンガイコロクでタイ人男が逮捕された。ユスフは指紋がノンチョークのアパートで検出された指紋と一致。取り調べに対し、ユスフはイシャンと呼ばれる男の指示で、爆弾テロに関わったことを認めた。
逮捕された男が支那国籍のウイグル族と見られることから、「今回の連続爆弾事件は、タイ軍事政権が不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を今年07月08日、支那に強制送還したことへの報復として、ウイグル族が関与する組織がタイ軍政と支那人旅行者を狙い実行した。」という見方が強まっている。
クルングテープ中心部エラワン廟で08月17日に爆発のため20人が死亡、約130人が重軽傷を負ったテロ事件で、08月29日に都内で逮捕したアデム・カラダグが実行犯だった可能性が浮上しており、捜査当局が証拠固めを急いでいる。
アデムはノンチョーク区内のアパートの1室で逮捕され、室内からは爆弾の材料が見つかった。警察は当初、容疑者が爆弾材料の保管に関与しただけと見ていたが、実行犯と見られる男の逃走経路沿いにあるルンピニー公園の防犯カメラに男がトレイに入って着替えをしたことを示す画像が残っていた。その着替え後の姿が08月29日に逮捕したアデムによく似ていた。
また、未確認情報によれば、「現在軍の施設に勾留されている同容疑者が防犯カメラの映像を見せられ、自分が実行犯であることを認め、犯行時に鬘を被って眼鏡をかけていたと自供した。」
ウィサヌ副首相は、新しい憲法起草委員会(CDC)の委員長への就任を法律の権威ミーチャイに要請する心づもりであることを明らかに。
上院議長経験者で現在国家平和秩序評議会(NCPO)の一員でもあるミーチャイについては「CDCのトップを任される可能性が高い。」と以前から報じられていたが、政府関係者が認めたのは今回が初めて。現在の軍政下でCDCが設置されるのは2度目。最初のCDCがまとめた憲法最終案は、先に国家改革評議会(NRC)で採決が行われ、この時点でCDCとNRCの役割は完了。採決で憲法最終案が否決されたことから、現行の暫定憲法の規定に従いCDCが新たに設置され、新憲法起草がやり直されることになった。
ウィサヌ副首相によれば、新CDCの委員21人の人選作業は09月中に終わる見通し。
アピシット民主党党首は、国連総会で演説を予定しているプラユット首相に対し、「誤解を招く恐れがある。」として、発言にジョークを交えないよう求めた。
アピシット党首によれば、プラユット首相はタイのメディアの質問に対し、冗談や皮肉を交えて返答することがよくあるが、このため外国で「報道の自由を否定している。」などと誤解されたこともあり、「国連総会での演説ではいつものようにジョークは言わずに慎重に言葉を選ぶべきだ。」と忠告。
プラユット首相は23日、国連総会に出席するため米国に向かった。
09月24日(木)現行の暫定憲法の規定により国家改革評議会(NRS)が先の憲法最終案採決をもって任務を完了したことから、間もなく設置される国家改革推進会(NRSA)がNRSに代わって国内改革を推し進める役割を担うことになるが、タイの2大政党の1つ、タクシン派のプア・タイ党のプムタム幹事長代行は、「党員がNRSAに参加することを禁止する。」と明言。
これは、プラウィット副首相兼国防相が「プア・タイ党を含む政党のメンバーからNRSAに参加したいとの申請があった。」と述べたことを受けてのもの。ムタム幹事長代行によれば、「NRSAへの参加禁止はプア・タイ党のウィロート党首代行の考えに従ったもの。」
関係筋によれば、「プア・タイ党はNRSAがタクシン派に不利な決定を下す可能性が高いと予想しており、プア・タイ党の関係者がNRSAにいれば、党としてその決定に同意したと受け取られると危惧している。」
なお、「NRSAへの参加については、プア・タイ党内で賛否両論があり、まだ意見がまとまっていない。」との指摘もある。
08月17日に起きたクルングテープの爆弾テロ事件で、08月末にクルングテープ都内で逮捕された男が実行犯との見方が出ており、男が自分が実行犯と認めたとの情報も流れている。
しかし、プラウィット副首相兼国防相は、「男が実行犯らしい。」と警察から報告を受けたことは認めながらも、「たとえ自供があったとしても男が実行犯であることを裏付ける証拠をしっかり集める必要がある。」との見方を示した。
09月25日(金)クルングテープ刑事裁判所は、08月にクルングテープで起きた爆弾テロ事件に関与した容疑で17人の逮捕状を発付。うち1人は都内ノンチョーク区内のアパートのアパートで08月末に逮捕されたアデム・カラダグで、新たに見つかった証拠に基づいてエラワン廟での爆発の実行犯との見方が強まっていることから別の容疑で再逮捕されることになった。
09月26日(土)警察庁の広報担当プラウット長官補は、「08月17日にエラワン廟で起きた爆弾テロ事件で、08月29日にクルングテープ都内ノンチョーク区で逮捕されたアデム・カラダグが現場まで爆弾入りのリュックサックを運び、09月01日にサケオ県で逮捕されたユスフ・マイライリーが携帯電話を使って爆弾を爆発させた。」との見方を示した。
なお、アデムは「リュックサックをエラワン廟に置いて立ち去った。」と自供しているが、ユスフは「事件当時現場近くにいた。」と供述しているものの、起爆を認める証言は未だしていない。
09月27日(日)警察庁の広報担当プラウット長官補は、クルングテープ爆弾テロ事件の容疑者で所在不明のタイ人女ワンナーについて、旅券の無効化を検討するよう外務省に請求したことを明らかに。
ワンナーはトルコ人の夫とともにトルコに滞在中に指名手配されたもので、当初はメディアの電話取材などに対し、潔白を主張し、当局に出頭するような素振りを見せていた。だが、その後連絡が取れなくなり、所在も不明となっている。
ワンナーの名義で借りられていたクルングテープ都内のアパートの部屋で爆弾材料が見つかり、容疑者の外国人の男が逮捕されており、事件への関与が強く疑われている。
08月17、18日にクルングテープで起きた連続爆弾事件で、ソムヨット・タイ警察長官ら警察幹部は、これまでの捜査を総括する記者会見を開き、すでに逮捕した外国人の男2人が死傷者約150人を出したラーチャプラソン交差点の事件の実行犯と断定。
17日の事件では、ラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発した。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
この事件で逮捕状が出たのはすでに逮捕された2人を含め17人。外国人がほとんどだが、タイでタクシン派対反タクシン派のデモ、暴動が起きた2010年と2014年に爆弾事件を起こしたタイ人男も指名手配された。
逮捕された外国人2人は08月29日にクルングテープ都ノンチョーク区のアパートで逮捕されたアデム・カラダグことムハンマド・ビラールと09月01日にサケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境で逮捕されたユスフ・マイライリー。ムハンマドが逮捕されたアパートでは爆弾の部品多数とトルコの偽造パスポート200冊以上が見つかった。ムハンマドは支那の新疆ウイグル自治区生まれのトルコ人、ユスフは支那国籍のウイグル族と見られるが、国籍は特定できていない。
ラーチャプラソン交差点周辺の防犯カメラには、眼鏡をかけ、黄色いTシャツ、短パン姿の男が爆発の数分前に、「エラワンの祠」のベンチに爆弾が入ったと見られるバックパックを置き、歩き去る様子が映っていた。事件の前後に男を乗せたタクシー運転手らは、「男が携帯電話でタイ語や英語ではない言葉で話していた。」と証言。
警察はムハンマドの逮捕後、黄色いTシャツの男が乗ったと見られるタクシーなどから採取したDNAとムハンマドのDNAを調べたが、一致しなかったため、ムハンマドは爆弾の製作に関わっただけと見ていた。しかし、ラーチャプラソン交差点に近いルムピニー公園の防犯カメラに黄色いTシャツの男が映った映像が新たに見つかり、事態が急転。「ムハンマドが黄色いTシャツの男で、ラーチャプラソン交差点近くにいたユスフが携帯電話で爆弾を爆発させた。」と見て、再度取り調べ、警察によると、2人は犯行を認めた。警察は26日、ムハンマドをラーチャプラソン交差点などに同行させ、犯行を再演させた。また、「ルムピニー公園の防犯カメラを確認しなかった。」として、所轄のルムピニー警察署の副署長ら3人を27日付で左遷処分にした。

 ← 09月26日に犯行を再演したアデム・カラダグことムハンマド・ビラール

事件の動機について、ソムヨット長官は記者会見で、タイ当局の取り締まりで「ビジネス」を潰された人身売買業者による犯行というこれまでの見解を踏襲し、タイ軍事政権と対立するタクシン派の関与も改めて示唆。タイ軍政が不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を07月に支那国に強制送還したことに対し、「ウイグル族が関与するテロ組織が報復したのではないか。」という記者の質問には、「強制送還は国際法に則ったもので、動機とは考えられない。」と述べた。
ウイグル族は主に新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出するケースが増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。強制送還されたウイグル族は支那で処罰される可能性が高いと見られ、タイ軍政が支那国に強制送還した翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。欧米諸国もタイ軍政の対応を非難。
ソムヨット長官ら警察幹部は今回の記者会見で、これまで同様、「テロ」、「テロリスト」という言葉を徹底して避け、いったんは認めたウイグル族の報復説からも再度、距離を置いた。タイは観光が主要産業で、「テロ対象国」というレッテルは是が非でも避けたい。また、「ウイグル族」は支那、トルコと外交的に微妙な問題に発展する恐れがあり、こちらも口にしたくない言葉。こうした事情から、軍政にとって都合のいい「人身売買業者」と「タクシン派」で幕引きを図った。
ソムヨット長官は09月末で定年退官するため、今回の会見で花道を飾った形。会見場のテーブルの上に、犯人逮捕に繋がる情報の懸賞金として私的に用意した300万Bの札束を無造作に置き、会見に応じた。300万Bは警察、軍の捜査官に渡すという。
09月28日(月)08月にクルングテープで起きた爆弾テロ事件で、ソムヨット警察庁長官は、タイ人容疑者男女2人のうち男が5年前のノンタブリー県、および昨年のクルングテープ都内ミンブリ区で発生した政治絡みの爆弾事件に関与しているとみられるため、「今回の爆弾テロも背景にはタイ国内の政治対立がある。」との見方。
この男は爆弾材料を提供していたとみられる人物で、現在警察が行方を追っている。ノンタブリーの事件ではアパートの1室で爆発が起きて4人が死亡。うち1人はタクシン支持者で爆弾を製造した人物と見られている。
国連総会に出席するため米国を訪問中のプラユット首相はこのほど、最低最悪の鮮人、パン・ギムン国連事務総長と会談し、この中で「行程表に厳格に従って2017年に民政移管を実現する。」と明言。
ウェラチョン政府副報道官によれば、プラユット首相はパン・ギムンに対し、タイ国内の政治状況、新憲法制定に向けた今後の手続き、17年半ばの総選挙実施を見込んでいることなども説明。
新たに設置される憲法起草委員会(CDC)の委員長就任を打診されている法律の権威、ミーチャイについて、ウィサヌ副首相は、「ミーチャイ氏がプラユット首相と話し合った後で委員長を引き受けるかどうかを決める考えだ。」と明らかに。
プラユット首相は国連総会出席のため現在訪米中で、10月01日にタイに帰国予定。ウィサヌ副首相によれば、「ミーチャイ氏はCDC委員長就任に条件はつけていないものの、プラユット首相からどのような人々がCDC委員に選ばれるのかを聞きたいと考えている。」
CDCは委員長を含め委員21人で構成されるが、これら委員はプラユット首相が国家平和秩序評議会(NCPO)議長の権限で09月06日の旧CDC解散から30日以内に選出することになっている。
09月29日(火)政治絡みと見られる過去の爆弾事件2件に関与したとされるタイ人の男がクルングテープ爆弾テロ事件に関与した可能性があることから、「今回の事件も政治絡みの可能性がある。」とするソムヨット警察庁長官の見方を疑問視する声が浮上。
過去の爆弾事件はタクシン派が関与しているとされるが、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)幹部のナタウットは、「タイ人の男が爆弾テロ事件に関与しているとの説は唐突に出てきた感があり、国民を混乱させかねない。警察トップは発言に注意すべき。」と非難。
前政権が導入した米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出したことの責任を問われているインラック前首相は、刑事裁判所に出向き、「米担保融資制度の扱いにおいて不正があった。」としてトラクン検事総長と検察官3人を告訴する手続きを取った。
インラック前首相によれば、「法律では政治任用職について証拠を十分に検討することなどが求められているが、検事総長は立法議会(NLA)が01月23日にインラック前首相を過去に遡って首相罷免、公民権5年停止とすることを決めて1時間もしないうちに起訴を決定しており、これは違法。」と言う。
なお、米担保融資制度は米を高値で買い上げることでタクシン支持者が大多数を占める農民を支援し、支持基盤をより盤石なものにすることが狙い。また、米担保融資制度は損失額が突出しており、インラック前首相も巨額の損害賠償を求められる可能性がある。
09月30日(水)爆弾テロ事件に関与した疑いで08月末にクルングテープ都内ノンチョーク区内のアパートで逮捕されたムハンマド・ビラールに関して、「取り調べの中で自分が実行犯だと自供した。」などと報じられていたが、陸軍施設で3時間にわたって接見した弁護人が、「ムハンマドがアブドゥラ・アブドゥラマンの指示で08月17日にエラワン廟に爆弾入りのリュックサックを置いたことを認めた。」と明らかに。「アブドゥラは、一見すると防犯カメラに残されていた実行犯とされる男とは別人のように思えるが、犯行時は黒縁眼鏡や鬘で変装していた。」ムハンマドの弁護人を務めるチュチャート弁護士によれば、「ムハンマドは指示に従って爆弾を現場まで運んだことは認めたものの、なぜ指示に従ったかについては明言を避けた。」
ニューヨークの国連本部で開催中の第70回国連総会においてプラユット首相は演説を行い、「タイが強国と弱国の架け橋となることを目指している。」などと説明。
プラユット首相によれば、「一部の国々が後れをとるようでは真の持続的発展を成し遂げることはできない。このため、強国が弱国の発展を手助けすることが欠かせない。」という。なお、この演説の趣旨は、国連安保理の非常任理事国入りを目指すとのタイの方針に沿ったものという。
10月01日(木)サンサーン政府報道官は、情報通信技術省で記者会見し、「政府機関のホームページにサイバー攻撃を行っている者たちに政府が法的措置を執る可能性のある。」と明言。
この攻撃は、政府がネット上の情報を規制しやすくするために「シングル・ゲートウェイ」を導入すると報じられたことに反発したもの。
サンサーン報道官によれば、「サイバー攻撃はデジタル情報にアクセスするのを困難にするとともに、政府のデータの破壊につながりかねない。このような行為は2007年制定のコンピューター犯罪法に抵触する。」
10月02日(金)プラユット首相は、「新しい憲法起草委員会(CDC)の委員の氏名を05日に開かれる国家平和秩序評議会(NCPO)の会議のあとに発表する。」と明らかに。CDCは委員長を含め21人で構成される。
政府は法律の権威ミーチャイにCDC委員長を引き受けるよう打診しているが、プラユット首相によれば、「ミーチャイ氏は05日に就任要請の返答をする。」
プラユット政権下でCDCが設置されるのは今回が2度目。最初のCDCは先に国家改革評議会(NRS)がCDCのまとめた新憲法最終案に関する採決を行った時点で現行の暫定憲法の規定に従ってその役目を終えた。採決で可決されていれば、国民投票が実施される予定だったが、否決されたことから新たにCDCを設置して改めて新憲法最終案を打ち出すことになった。
政府がネット上の情報管理を強化すべくシングル・インターネット・ゲートウェイを導入しようとしていると報じられ、これに反発したハッカーらが政府機関のホームページにサイバー攻撃を行ったとされる問題で、プラユット首相は、「シングル・ゲートウェイ・プロジェクトは関係機関の話し合いの中で出た1つのアイデアにすぎず、このプロジェクトの推進を指示した事実はない。」と明言。
首相によれば、「政府はシングル・ゲートウェイが人権にどのような影響を及ぼすかを非常に憂慮しており、国民は慌てる必要はない。」
また、プラウィット副首相は、「現政権下でシングル・ゲートウェイが導入されるとは考えていない。シングル・ゲートウェイが原因で論争が起きるのを望んでいない。」と述べた。 関係筋によれば、シングル・ゲートウェイ導入に強い反発が起きていることから、政府は導入に前向きでないことを表明せざるを得なくなったもの。
10月03日(土)08月の爆弾テロ事件に関与した疑いで警察が逮捕状を取ったタイ人男、アオット・パユングウォングとして知られているヨングユット・ポップケーオについて、警察は、「タクシン派プア・タイ党と繋がりのあるブンチャリアオ弁護士が過去に保釈手続きをとったことがある。」と明らかに。
アオットは2010年のタクシン支持者らの抗議デモに関連して非常事態宣言に違反したとして同年05月21日に禁錮1年の有罪判決を受けたが、この時、ブンチャリアオ弁護士が保証金4万Bで保釈を請求し、判決の5日後に保釈された。ブンチャリアオ弁護士は、プア・タイ党幹部数人の顧問弁護士。ブンチャリアオ弁護士はまた、2003年に当時のタクシン首相とその妻ポチャマンの弁護人として氏の土地取得に関連する裁判で法廷に立ったことがある。

 ← アオット・パユングウォングことヨングユット・ポップケーオ

なお、警察は、「アオットが爆弾テロ事件に関する重要な情報を持っていると見ている。」というが、ここに来てアオットが急に捜査線上に浮上し、爆弾テロが政治絡みである可能性を警察が示したことに一部では「唐突すぎる。」と疑問を投げかける声も出ている。
10月04日(日)タイ字紙「タイラット」に掲載されている政治風刺画の作者サクダが、国家平和秩序評議会(NCPO)の要請に伴い軍の施設に出頭し、担当者に風刺画について説明。出頭要請はNCPOが「見た人が誤解しかねない。」と風刺画の内容を問題視した結果。
サクダによれば、「軍からこれまでと同じような風刺画を描くなという直接的に要求はなかったが、『このままだと訴えられることになる。』と言われた(今後は)仕事のスタイルを変えなければならない。(そうでないと)私の所属する組織に影響が及びかねない。私1人が影響を受けるなら問題はないのだが。」と述べている。
チャクティップ警察庁長官は、「08月18日にクルングテープ都内サトン船着き場で爆発があった事件の実行犯とみられる男が陸路でマレーシアに逃亡した。」との見方を示した。
クルングテープ都内では08月17日に死者20人、負傷者130人を出す爆弾事件が発生。翌18日にサトン船着き場で水中にあったとみられる爆弾が爆発したが死傷者は出ていない。
船着き場では17日に青いシャツの男が通路から荷物を水中に落とす様子が防犯カメラに捉えられていたが、この荷物の中に爆弾が入っていたと見られている。チャクティップ長官は長官補代行に対し、この容疑者に関する情報を収集するためマレーシア当局に連絡をとるよう指示したとのこと。
10月05日(月)国家改革推進会(NRSA)を構成する200人の氏名が発表された。63人は国家改革評議会(NRC)の元評議員で、このうち42人は09月初めにNRCで行われた採決で新憲法最終案に反対票を投じた評議員。
昨年05月のクーデターで政権の座に就いた軍部は国内改革を断行するとの方針を打ち出し、それを具体化するためにNRCを設置。そのNRCは現行の暫定憲法の規定に従い、新憲法最終案の採決をもってその任務を終え解散となった。そして、NRCの任務を引き継ぐ組織が今回構成員の発表されたNRSAとなる。なお、新しい憲法起草委員会が打ち出す新憲法最終案についてはNRSAによる採決は行われず、国民投票を実施し直接国民の審判を仰ぐことになる。
関係筋によれば、10月01日付でタイ軍の実質的最高実力者である陸軍司令官に任免されたティラチャイ大将が、ウドムデート前司令官が定年退官直前に下した複数の命令を撤回したという。2人は軍学校時代から不仲であり、今回の命令の取り消しで2人の確執が改めて表面化した。
また、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の事務局長はウドムデート氏の定年退官に伴いティラチャイ新司令官に交代することになったが、ウドムデートは今後もNCPO評議員と副国防相を務める。
クルングテープで08月半ばに起きた爆弾テロ事件で爆弾材料を提供したとされるタイ人の男、アオットについて、警察庁の広報担当プラウット長官補は、「カンチャナブリー県で有力者に匿われている。」との一部報道を否定する一方で、「国内にまだ潜伏中と考えており、所在を突き止めようとしている。」と説明。
また、プラウット長官補によれば、「アオットが2010年にタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の集会で警備を担当していたことを首都圏警察が確認していた。」
10月06日(火)学生、市民多数が犠牲になった1976年10月06日事件の39周年記念式典が、クルングテープのタマサート大学で行われ、約50人が参加した。
主催者によると、献花以外の活動は大学当局から禁じられた。政治活動や集会を禁じるプラユット軍事政権の指示と見られる。タイ字紙マティチョンなどが報じた。
10月06日事件では、1973年の民主化運動で亡命した元独裁者のタノム陸軍元帥の帰国に抗議しタマサート大学に立てこもった学生、市民数千人を右翼団体が襲撃し、公式発表で46人が死亡。強姦、焼殺といった残虐行為も多発した。事件の真相究明、容疑者の訴追は行われず、歴史の教科書からもほぼ消し去られている。2006年の軍事クーデターで追放されたタクシン政権のプロムミン元首相秘書官長、プームタム元副運輸相、ジャトゥロン元教育相、スタム元副内相、スラポン元政府報道官らはいずれも当時の学生活動指導者で、事件後、国境のジャングルで亡命生活、投獄などを経験。
2014年のクーデターでタクシン派政権を打倒したプラユット軍事政権は政治活動や軍政批判を厳しく取り締まっている。04日には、タイ字紙最大手タイラットの風刺漫画家を「態度を矯正する。」としてクルングテープの陸軍基地に出頭させ、数時間に渡り身柄を拘束。ただ、今回の式典については、献花だけに限定し、黙認した形。
新たに発足した憲法起草委員会(CDC)の初会合が開かれ、CDC広報担当アモンは会合後、「過去の憲法と先に否決された新憲法最終案の良い部分を新憲法に盛り込む方針だ。」と説明し、新憲法の最初の草案は来年01月に完成するとの見通しを示した。最初の草案は国民に提示され、その反応を踏まえ新憲法最終案が来年04月01日までに打ち出される。
一方、プラユット首相は、ミーチャイCDC委員長から過去の憲法の良い部分を新憲法に採用するとの説明を受けたこと、また、ミーチャイ委員長に対し、新憲法を対立の防止、不平等の緩和、国政への国民の参加促進をもたらすものにする必要があると強調したことを明らかに。
10月07日(水)午前労働組合のメンバーら約200人がクルングテープの民主記念塔から首相府までデモ行進し、現在1日300Bの法定最低賃金の360Bへの引き上げなどを求めるプラユット首相宛ての要望書を首相府の職員に手渡した。警官隊との衝突はなかった。
昨年05月のクーデターで発足したプラユット軍事政権は政治活動や集会、軍政に対する批判を厳しく取り締まっている。しかし、09月に起きた数百人規模の反軍政デモの強制排除を見送るなど、締め付けは徐々に弱まっているようだ。
08月17日と18日にクルングテープ中心部で起きた爆弾テロ事件で、チャクティップ警察庁長官は、「十分な証拠が存在するため、容疑者のうち少なくとも2人を訴追できる。」との考えを明らかに。
この2人は、08月末にクルングテープ都内ノンチョーク区のアパートで逮捕されたアデム・カラダグことムハンマド・ビラールと、サケーオ県で逮捕されたユスフ・マイライリーの2人。長官はこれら2人の訴追に関して来週にもシーワラ副長官と話し合う予定。
また、警察が重要な情報を握っている可能性があるとして行方を追っているタイ人の男、オットについて、チャクティップ長官は、「陸路でマレーシアに逃亡したとの情報を検証中。」と述べるに止まった。
プラユット首相は、政府が行程表の中で求めている国民和解実現のため特定の政治関連犯への恩赦適用を検討していることを明らかに。
同時にプラユット首相は、「法の裁きを受けるのを拒んでいる者と和解するつもりはない。」と述べ、恩赦の適用対象は法的手続きに従っている人々のみとの考えも示した。このため、汚職で禁錮2年の有罪が確定しながら帰国して服役するのを拒んで国外逃亡を続けているタクシンは、現在政府が検討中の恩赦の適用外ということになる。
国民和解のための恩赦適用には批判的な意見も出ているが、先に国家改革促進会(NRSA)のメンバーに選ばれた、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)幹部のソムポンがNRSAにおいて政治関連犯への恩赦の実現に向けて最善を尽くす考えを表明。今回のプラユット首相の発言は、「法に従わずに逃げ回っているタクシン派幹部への恩赦適用はない。」とソムポンに釘を刺したものと見られる。
10月08日(木)新しい憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、憲法起草では汚職対策を優先課題にするとの考えを示した。ミーチャイ委員長は数日のうちに関係当局から汚職対策について意見を聞く予定という。
また、汚職問題を専門に扱う機関がすでに存在するが、ミーチャイ委員長は、「汚職対策の強化のため新しい機関を設置すべきかどうかについて関係当局から意見を聞きたい。」としている。
08月17日にクルングテープ都内エラワン廟で大爆発があり、20人が死亡、130人が重軽傷を負った爆弾テロ事件で、サケーオ県で逮捕されたユスフ・マイライリーがトルコ行きを報酬として爆弾をエラワン廟まで運んだ可能性が高まった。
この情報はクルングテープ都内ノンチョーク区で08月末に逮捕されたアデム・カラダグことムハンマド・ビラールが、弁護人であるチュチャート弁護士にそう話した。
欧州議会は、タイ軍事政権に人権状況の改善を求める決議を賛成581票、反対35票で採択。 決議は、2014年05月の非合法なクーデター後、タイの人権状況が悪化していると懸念を表明し、タイ当局に対し、人権抑圧を止めるよう要請。表現や集会の自由の権利を平和的に行使したことで投獄、訴追された人について、釈放や起訴の取り下げを求めた。この決議に拘束力はない。
タイ外務省は欧州議会の決議について、「失望した。」としつつも、「建設的な提案には耳を傾ける。」などとする声明を発表。
クーデターで発足したタイ軍政は政治的な活動や集会を禁止し、軍政に対する批判を厳しく取り締まっている。これまでに、民主化を求める学生、軍政と対立するタクシン派の政治家、軍政に批判的なジャーナリストや風刺漫画家などが、身柄を拘束されたり、訴追された。軍政下ではまた、国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じた不敬罪で多数の人が数年から20年以上の長期刑を宣告、投獄されている。
10月10日(土)プラユット首相は、「国民へのメッセージ」と題したスピーチの中で、「新憲法のもとで国民和解を実現して昨年5月のような軍部による政治介入を繰り返さないことが最も大切であり、これは新憲法の内容を完全に民主的で自由を最大限尊重したものにすることに優先される。」との見方を示した。
「一昨年末からの政治対立のエスカレートで国内が混乱し、これを収拾するため当時陸軍司令官だったプラユット首相がクーデターを指揮してインラック政権を倒すことになったが、プラユット首相は国民和解を実現して軍が政治介入を余儀なくされる事態が再び起きないようにすることが最も重要である。また、新憲法はこれを達成するためのメカニズムでなければならず、その内容を民主的なものにすることだけにこだわると政治的対立・混乱の再燃を招く恐れがある。」
10月12日(月)インラック前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じた問題で、ウィサヌ副首相は、政府が裁判手続きを経ずに行政行為としてインラック前首相に保有資産で賠償を命ずる方針であることを明らかに。
国家汚職制圧委員会(NACC)は「インラックが米担保融資制度を監督する国家米政策委員会の委員長だったことから汚職や不正などで巨額の損失が生じたことについて責任がある。」ただ、ウィサヌ副首相は、「(インラック前首相は)命令が不当だと思ったら命令の取り消しを行政裁判所に求めることができる。」
なお、行政行為での賠償命令について、インラック前首相は、インターネットへの書き込みの中で「政府が裁判所のように振る舞おうとしている。」と批判。
10月13日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、新聞社とのインタビューの中で、非議員を首相に起用することを可能とする条文が新憲法に盛り込まれる可能性に言及。
先に否決された新憲法最終案にも「非議員を首相に起用する。」との規定があり、これに政治家などが反発していたが、ミーチャイ委員長によれば、CDCは今のところ「首相は下院議員から選ばなくてはならない。」とは決めていない。民間人に首相を任せるのを可能とするのは、政治的混乱がエスカレートし、下院議員の誰が首相になっても事態を収拾できない場合などを想定したものという。
ミーチャイ委員長は、「多くの人が非議員を首相に起用するのは民主的ではないと批判している。ならば、非議員から首相を選ぶのを下院議員に任せれば良いではないか。」
国家改革推進会(NRSA)は臨時会議で政治学者のティンナパンを議長、アロンコン元民主党議員と財務の専門家ワライラットの2人を副議長に選出。
NRSAは、9月初めに新憲法最終案の採決を行ってその任務を完了し解散となった国家改革評議会(NRC)に代わって国内改革の具体的検討を行う200人からなる機関。
議長らの選出に対し、メンバーのうち民主党の元議員2人から「メンバーたちはまだお互いをよく知らないのに性急すぎる。」との批判も出たが、「ティンナパン氏は著名な学者であり、NRSAはやらなければならないことが山積しており、彼を議長に選んだのは適切。」といった意見もある。
10月14日(水)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長が先に「非議員を首相に起用できる。」との規定が新憲法に盛り込まれる可能性に言及したことに対し、学識経験者や政治家から厳しい批判意見が出ている。チュラロンコーン大学で政治学を研究するポンサンは、「(非議員の首相起用に)反発が起きて新憲法を起草するのが困難になる。」と批判。
また、前回とは異なり新憲法最終案はすぐに国民投票に掛けられることから、CDCは国民から意見を聞いてそれを新憲法最終案に盛り込むことに専念すべきとの考えを明らかにした。
このほか、民主党は、「下院議員から首相を選ぶのは政党制の強化を意図したものであり、非議員を首相に選ぶことで政党制の重要性が薄れる。」と批判。プア・タイ党も「行政府の長は選挙で選ばれなければならない。」と主張し、非議員の首相起用に反対。
政府がインラック前政権が導入した米担保融資制度に絡んでインラック前首相に行政行為として損害賠償を求めようとしていることについて、ウィサヌ副首相はこのほど、「政府が損害賠償を請求しようとしているのは、この制度で重大な職務怠慢があったため。制度が違法とか汚職まみれといった理由からではない。」と説明。
国家汚職制圧委員会(NACC)によれば、「インラックは当時米担保融資制度を監督する国家米政策委員会の委員長だったものの、米担保融資制度での不正蔓延などに対策を講じず、米担保融資制度で巨額の損失が生じたことに責任がある。」
なお、政府が行政行為でインラック前首相に損害賠償を命じようとしていることについて、インラック前首相は、「プラユット首相の法律顧問たちは法律と司法制度を勝手に解釈して私に賠償を命じようとしている。透明性に欠けるしフェアでもない。」と反発。
10月15日(木)米国大使としてタイに赴任したグリン・デイビースは、ドン外相と会談したあと、タイ政府に対し、行程表に従って可能な限り早期に民主主義を回復させるよう要請したことを明らかに。
民主主義の回復には、総選挙を実施して国民に選ばれた政権が誕生する必要があるが、この民政移管には新憲法の制定が不可欠。だが、新憲法最終案が09月初めに否決されたことから、新憲法最終案の作成がやり直されることになった。このため、新政権誕生は早くとも来年半ばと見込まれている。
グリン・デイビース大使とドン外相との会談では、2国間協力をあらゆる側面で強化・拡大して行くことなども話し合われた。
第6回全国反腐敗集団行動会議でプレム枢密院議長は、「タイにとって最大の敵は腐敗だ。」と述べ、汚職や不正の取り締まりに最大限努力する必要があるとの考えを再確認。
プレム議長によれば、「タイでは個人から民間企業、政府機関に至るすべてのレベルで不正が行われており、腐敗がタイを最も蝕んでいる。」また、民間企業に対しては、「賄賂を渡すのを止めて不正なしで成功できることを国民に示す必要がある。」と訴えた。
10月13日朝にアーングトーング県ウィセートチャイチャン郡イーロン区の民家で日本人男性、兵庫県本籍の吉岡和雄(83)さんが2階建ての自宅の2階の寝室で喉を刃物で掻き切られて死亡しているのが見つかった。寝室内は血の海ので、喉への深さ10㎝刺し傷など刺し傷があり、吉岡の傍には凶器と見られる鋏が見つかり、何者かと争ってできたと見られる痣があった。
吉岡の内縁の妻のポラニー・ナパドン(48)によると、「吉岡さんは退職した実業家で、タイと日本の間を頻繁に往来しており、今回は訪タイして6日で殺された。」と言う。吉岡は19年前に観光でタイを訪れた際にポラニーと知り合い、10年以上にわたり同居していた。ポラニーは通常夫と家に滞在したが、月曜日の夜には、近くに住むポラニーの病弱な母の世話のために、吉岡を一人にして置いて行った。
ポラニーは事件直後、第1発見者として現場となった部屋で警察の質問に答えていた。その際、ポラニーは、「部屋の戸を開けたら、吉岡が寝ている姿が見えなかったので、『どこへ行ったの?』と思って見たら、金庫の裏に横たわっていた。」と語った。ポラニーは当初、犯人について「事件後、妹の内縁の夫、サムパーンが行方不明になった。近くにあるサムパーンの家の前で血痕が見つかるなど、証拠は揃っている。」と話していた。
警察が殺人事件として捜査していたが、15日にポラニーの妹の内縁の夫、サムパーン・チアムチャーン(46、報道により47、48、51)をサラブリー県で逮捕した。サムパーンの自宅近くのゴミ箱からは、吉岡の腕時計や、血のついたニット帽などが発見された。逮捕後、サムパーンは、「ポラニーに金をもらって指示された。」と供述。
アーングトーング県警本部によれば、サムパーンは首などに刃物による傷があり、また、現場から300mのサムパーンの家までの間に血痕があり、家の近くから凶器と見られる血のついた鋏も見つかったため、警察が逮捕状を取って行方を追っていた。取り調べに対しサムパーンは、ポラニーに4万Bで吉岡さんの殺害を依頼され、前金の2万Bを受け取って殺害したこと、シンブリー県に住む友人に殺害方法を相談したことなどを自供。
ポラニーはヘルメットを被ったまま移送され、吉岡の殺害を依頼した疑いで逮捕された。
10月16日(金)正午頃吉岡和雄殺害事件での警察署で行われた記者会見には、3人の容疑者が同席し、カメラの前で罵り合った。
サムパーン「ポラニーは、日本人夫を殺すために、おれを雇いたいと言った。」
ポラニー「あなた、どうしてそんなことが言えるの?」
サムパーン「まず、俺の話を聞け。なんでお前は否定しているんだ?」
ポラニー「メディアの皆さん、彼の(嘘の)話を聞いてごらんなさい。」
サムパーン「(彼女の嘘も)聞いてくれ!」
吉岡の内縁の妻であるポラニーの依頼を受け、殺害を実行したとされるのが、ポラニーの妹の内縁の夫で、吉岡の知人でもあるサムパーン。さらに、サムパーンの友人で、現場近くに住むサラウット(40)も、犯行に加わったとして逮捕された。
サムパーン「ポラニーは、日本人夫を殺すように言った。もし死ななかったら、2万Bしか払わないと言われた。(ポラニーは濡れ衣だと言っているが)そんなことはない。」
ポラニー「誰が嘘つきかわかるでしょう。私は無実です。」
サムパーン「(残りの)金を貰うために俺は戻ってきた。」
さらに現場では、吉岡が殺害された部屋にあった金庫が開錠された。金庫からは、タイBと日本¥で合せて現金300万B相当の現金が出てきた。警察は、チョンブリー県に男ができたポラニーが、邪魔になった吉岡を殺害し、資産を奪おうとした殺人との見方を強めている。
一方、会見後ポラニーは「私はやっていない。証拠もあるよ。」と容疑を否認。警察は実行犯が家に侵入できるよう手引きをしたのがポラニーと見て関与を確信。
10月17日(土)前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じたことについてインラック前首相に損害賠償を求めようとしているが、民主党の広報担当者は、プラユット政権に対し、インラック前首相の落度・責任について国民に明確に説明するよう求めた。
インラック前首相は米担保融資制度を監督する立場にあった国家米政策委員会の委員長だったことから、国家汚職制圧委員会(NACC)は「インラック前首相の職務怠慢があったため米担保融資制度に絡んで不正が繰り返されて巨額の損失が出た。」としている。
だが、民主党の広報担当者によれば、「政府の説明は不十分であり、このままでは裁判で政府がインラック前首相側から追及されて窮地に追い込まれる恐れがある。」
10月18日(日)国家改革推進会(NRSA)のアロンコン副議長はこのほど、「NRSAが改革に関する任務を20ケ月で完了する。」とのスケジュールを発表。NRSAが国民和解を実現するための委員会を設置する予定。」と明らかに。
国家改革推進会(NRSA)のアロンコン副議長はこのほど、NRSAが改革に関する任務を20カ月で完了するとのスケジュールを発表し、NRSAが国民和解を実現するための委員会を設置する予定だと明らかにした。
スケジュールは、具体的には1ケ月+1ケ月+18ケ月となっており、最初の1ケ月でNRSAの会合に関する規則を決めるとともに分野別に改革を検討する11の委員会を設置する。次の1ケ月で37に及ぶ改革案に優先順位をつけ、その後の18ケ月で改革のための行動計画をまとめ、閣議に上程する。
NRSAは、これまで改革に関する具体的件検討を行ってきた国家改革評議会(NRC)が先に憲法草案の採決を行ってその任務を終えたことからNRCに代わるものとして新たに設置された機関。
国家汚職制圧委員会(NACC)のプリチャー委員はこのほど、「タリット元法務省特別捜査局(DSI)局長が局長時代に不正蓄財をした疑いがある。」と、「NACCが来月にも本格的な捜査を開始する予定。」と明らかに。
タリットは、インラック前政権下でタイ版FBIのトップとして敵対していた反タクシン派の幹部などを次々に摘発。このため同派から「タクシン派寄り。」との厳しい批判を浴びていた。
昨年05月のクーデターでインラック政権が崩壊したことに伴い、タリットは局長ポストを追われ、また、今年04月にはNACCが「不正の疑いでタリットの資産170万Bと妻の資産3920万Bを凍結する。」と発表していた。
10月19日(月)シーワラ警察長官補はこのほど、あるグループに不敬行為の疑いがかけられており、現在警察が捜査を進めていることを明らかに。捜査は軍部から訴えがあったことから開始されたもので、すでに容疑者の逮捕状を取った。容疑者の氏名、人数はまだ明らかにされていないが、シーワラ長官補によれば、21日にも詳しい情報が発表される見通し。なお、不敬とされた発言や書き込みについては、その詳細を公表することも不敬罪に問われることから、具体的内容が報道されることはない。
10月20日(火)「不敬容疑で警察が複数人の逮捕状を取った。」との報道について、プラユット首相はこのほど、容疑者らを「国を『無制限の民主主義』のために破壊しようとする者たち」と形容するとともに、不敬行為に断固たる姿勢で臨むことを明言。
チャクティップ警察庁長官が明らかにしたところによれば、不敬を疑われているのは複数の警察官と民間人と言う。
プラユット首相は、「君主が彼ら(不敬を働いた者たち)に悪いことをしたのだろうか。理解に苦しむ。彼らはいつも無制限の民主主義を手にしようとタイの歴史と美点を破壊する。」と述べている。
ターニン枢密院顧問官(元首相)が先に汚職追放などを含む国内改革についてプラユット首相に提言を行ったことについて、首相は、「汚職で有罪となった政治家を公民権永久停止とするかどうかは憲法起草委員会(CDC)次第。提言はミーチャイCDC委員長に伝えた。」と述べた。これまで憲法では、汚職などで有罪となった政治家は公民権5年停止に処するとされていた。
ターニン顧問官によれば、「汚職を一掃すべく努力が払われてきたが、公民権が5年停止されるだけで悪徳政治家が政界に復帰できてしまうため汚職がなくならないのが現状。」
10月21日(水)政府が先に「複数の者が不敬行為を働いており、これを取り締まる。」と明言していたが、まず3人の男が不敬容疑で逮捕された。
逮捕されたのは「モーヨン」という名前で知られる占い師のスリヤン、警察官のプラクロム、チラウォンの3人。シーワラ警察庁長官補によれば、「これら容疑者は過去2ケ月間にわたり国王に言及することで利益を得るという不敬行為を繰り返していた。いずれの容疑者も取り調べに対し容疑を認めている。」
10月22日(木)チャクティップ警察庁長官は、「関係当局が先に不敬行為を働いたとして逮捕された容疑者3人の資産の一部を凍結するとともに容疑者の所持品のうち電子機器や銃器を押収した。」と明らかに。
チャクティップ長官の説明によれば、警察庁中央捜査局(CIB)のトップなどが王室との繋がりに言及し、この「関係を悪用して利益を得たという事件があったが、今回逮捕された3人も同様の手口で悪事を働いた。」
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、「政府に国内改革を義務づける規定が新憲法に盛り込まれる可能性がある。」と明らかに。
現在の軍政は、「政治対立のエスカレートによる国内の混乱を回避するためには国民和解を実現するとともに国内改革を推進する必要がある。」としているが、民政移管後に誕生する政権が国内改革に力を入れる否かは現時点では不明。このため、政府に国内改革の遂行を義務づける規定を憲法に盛り込むという案が出ている。
また、ミーチャイ委員長は、1つの考えとして、改革を遂行できなかった政府のトップを罷免することに言及。一方、国民和解はついてミーチャイ委員長は、「政府に実現を義務づけても実現の具体的方法を示さなくては現実的ではないかも知れない。」と述べている。
10月24日(土)矯正局によれば、先に不敬行為を働いた疑いで逮捕され、クルングテープ都の軍基地に勾留されていたプラクロム・ワルンプラパ警察少佐(39)が独房の中で首を吊っているのが見つかり、23日22時に矯正局の医療施設で死亡が確認された。矯正局は自殺と見ている。
プラクロムは著名な占い師のスリヤン(通称モーヨーン)とその助手とともに、21日までに逮捕された。3人はいずれも、タイ王室にコネがあると騙って不正な利益を得た容疑。不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。3人の容疑の詳細は明らかになっていないが、昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の関係者多数が逮捕、投獄された一連の事件に関係しているとみられる。スワディー元妃の関係者では、昨年11月下旬から、両親、姉、兄弟、元侍従長、おじのポンパット元警察庁中央捜査局長(警察中将)、義兄のコーウィット元警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが不敬罪、収賄、資金洗浄などで逮捕され、実刑判決を受けて服役中。他にもポンパット中将らに繋がる警察幹部、民間人数十人が不敬罪や恐喝などで逮捕、投獄。中央捜査局では現在も不敬罪絡みの捜査が続き、22日には所属の警官8人が捜査に伴い事実上の停職処分。ポンパットらは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていた他、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。警察はこれまでに、ポンパットらが所有する家屋十数カ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など数十億B相当を押収。
矯正局は、「プラクロム警察少佐の自殺は新しい環境に自らを合わせるのが困難だったことが原因かも知れない。」との声明を発表。21日に逮捕されたプラクロムは窓のない隔離房に入れられており、矯正局の職員が内部の様子を常に監視できる状態にはなかった。
前政権が導入した米担保融資制度に関連して責任を問われているインラック前首相を激励しようと11月01日に支持者たちが赤服を着て大規模な集会を予定しているというが、インラックは支持者たちに目立つ行動を控えるよう求めているという。
関係筋によれば、インラックは、誰が集会を開催しようとしているかはっきりしないこともあって何者かが集会をきっかけに政治対立を再燃させようと企んでいるのではないかと懸念している。
10月25日(日)不敬容疑で逮捕されて軍の施設内に勾留されていた警察官が自殺したとされる事件を受けて、人権団体「クロス・カルチュラル・ファンデーション」は、この仮の勾留所を閉鎖するよう関係当局に要請。この勾留所は、もともと08月半ばに起きた爆弾テロ事件の容疑者を収容するために軍の施設内に仮設されたもの。クロス・カルチュラル・ファンデーションは、「不敬などの重大犯罪に対処するには透明性と妥当性が必要であるものの、司法制度が軍の介入によって歪められている。このため、軍の施設内に容疑者を勾留するなどの措置は止めるべき。」
10月26日(月)プラユット首相は、クルングテープの首相府で、三菱自動車のタイ子会社ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)の一寸木守一社長兼最高経営責任者(CEO)ら企業幹部と会談し、経営上の問題点、政府への要望などを聞いた。
今回の会談は、「首相、CEOに会う」と銘打った企業幹部との会談の第1弾で、一寸木社長のほか、フォードとマツダの合弁会社オートアライアンス(タイランド)、三菱電機、サムスン電子、ハードディスクドライブ(HDD)メーカーの米HGSTと米シーゲート・テクノロジーのタイ法人経営幹部が参加。軍政側は経済政策を統括するソムキッド副首相、アピサック財務相、アピラディー商務相、アチャカー工業相らが同席。
会談で企業側からは、地方住民の購買力低下、B相場、道路や電力といったインフラの不足、税制などについて、改善を求める意見が出た。これに対しプラユット首相は、インフラ整備や労働力の質の向上に取り組む方針を説明。消費刺激策に関しては、家計債務の増加に懸念を示した。環太平洋経済連携協定(TPP)については、商務省で検討中と伝えた。
タイは国内総生産(GDP)伸び率が2013年2.8%、2014年0.9%と低迷。今後についても、世界銀行が今月、2015年と2016年のタイのGDP伸び率見通しを、それぞれ04月時点の3.5%、4.0%から、2.5%、2.0%に下方修正するなど、東南アジアで経済成長率最低が指定席と化しつつある。輸出は今年01月から9ケ月連続で前年割れで、工業生産指数(MPI)も8ケ月連続で前年比マイナス。
プラユット首相は2014年05月のクーデターで政権を取った直後は、日本など主要投資国や経済界との意思疎通を重視する構えを見せていた。しかし、実際の政策運営では、投資奨励制度の変更を強行するなど、投資国や企業側の要望を退けた。制度変更後の今年01月から08月末までにタイ投資委員会(BOI)が受理した外国直接投資案件の投資予定額は503億Bで、前年同期比83%減少。特に日本からの投資申請は1001億Bから99億Bに急減。
プラユット首相はこうした状況を受け、今年08月に内閣改造を実施し、タクシン政権(2001~2006年)で財務相、商務相などを務めたソムキットを副首相に起用。経済関連のほぼすべての省を統括させ、経済の立て直しを委ねた。今回の会談は、企業、マーケットとの対話、意思疎通を重視するソムキット副首相の発案と見られる。
先に不敬の疑いで現職警察官を含む複数の容疑者が逮捕されたが、警察は現在、これら容疑者が昨年摘発された当時の警察庁中央捜査局(CIB)局長を中心とする犯罪ネットワークと繋がりがあったと見られることから事実関係の解明に力を入れている。元CIB局長らも王室と太いパイプがあるように見せかけて不正に利益を得ていた。
警察関係筋によれば、不敬容疑者のうち勾留所内で死亡しているのが見つかったプラクロム警察少佐については、警察の捜査でクルングテープ都内のコンドミニアム26室を所有し、また、所有権をまだ取得していない4室の家賃を支払っていた。この他、所持品から大量の米ドル紙幣や日本円紙幣が見つかり、高級車数台を所有していることも判明。
テレビ報道によると、タイ軍事政権は25日、「5人以上の集会を禁じた軍政命令に違反した。」などとして、元教員のプリーチャー・ケウバンペウ(77)を休暇でラオに渡ろうとしていたところをチエンライ県で逮捕。プリーチャーは手錠を嵌められ警察署に連行され、翌26日、保釈保証金15万Bで保釈。
プリーチャーは今年03月15日、クルングテープで「抗議する市民」という小規模な反政府団体のデモが行われた際に、デモ行進には参加しなかったものの、デモ参加者に沿道から花輪と飲料水を手渡した。
10月27日(火)「不敬容疑で警察少佐が逮捕されたのに続き複数の警察幹部が摘発される。」との見方がある中、これまで警察庁の広報担当だったプラウット警察大将が突然警察庁の顧問を務めることになったため、一部で「不敬容疑が掛けられたため広報担当を外された。」との指摘が出ている。
だが、チャクティップ警察庁長官は、この見方を全面的に否定。チャクティップ長官によれば、「今回の人事異動は、チャクティップ氏が10月01日に警察庁長官に就任したことに伴うもの。警察トップの交代で広報担当者チームが入れ替わるのは珍しいことではない。」
だが、関係筋によれば、今回の人事異動はプラウットが外国訪問中に行われたもので、また、プラウットは強い不満を感じており、警察を辞職する意向。
ウィサヌ副首相は、09月下旬に着任したグレン・デイビース駐タイ米国大使と首相府で会談。政治改革に向けたタイ軍事政権の取り組みを説明。タイ政府が行程表に基づいて民政移管に向けた手続きを執っていること、総選挙が再来年05月までに実施される見通しであることを伝えた。このほか、会談では現在のタイの政治状況などについても話し合いが行われた。
デイビース大使はこれに対し、「安定した民主主義に向け、国民による開かれた議論を支持する。」と述べた。
プラユット首相によれば、大使から会談の申し入れがあったものの日程の都合がつかなかったため、ウィサヌ副首相と先に話し合ってもらうことにしたもの。

 左から、グレン・デイビス駐タイ米国大使とウィサヌ・クルアンガーム副首相 →

10月28日(水)先に不敬の疑いで3人(うち1人は勾留所内で死亡)が逮捕された事件で、警察当局は、これら3人がどのような不敬行為を働いたかを具体的に説明。
それによると、容疑者らは、王室とつながりがあるように振る舞って、国王と王妃の誕生日に因んだサイクリング・イベントの記念ピンを水増し価格で民間企業などに売りつけて数百万Bに及ぶ利益を得ていた。
ピンを購入したのはチャルン・ポーカパン(CP)やムアンタイ・ライフ・アシュアランス社とされるが、ともに購入を否定も肯定もしていない。
10月29日(木)09月下旬に着任したデイビース駐タイ米国大使が、 首相府にプラユット首相を表敬訪問。初めて会談し、約1時間半にわたり、幅広い問題について話し合った。 両者はタイの民政復帰、環太平洋経済連携協定(TPP)、タイでの合同軍事演習、南シナ海問題などについて意見を交換。タイの政治状況については、デイビース大使が軍政による政治活動の禁止、言論弾圧などに懸念を表明した一方、プラユット首相は必要な措置だとして理解を求めた。デイビース大使は、重要な案件の決定において国民の意見に耳を傾けるようタイ政府に求め、米国が民主主義の回復が必要だと考えていることを再確認。
ウェラチョン政府副報道官によれば、約2時間に及んだ会談の中でデイビース大使がタイが米国にとっ て重要な存在であることを強調。同時に米国が長きにわたるタイと米国の友好関係をさらに継続させる意向であることを説明。
インラック前首相が前政権が導入した米担保融資制度に絡んで重大な職務怠慢があったとされる事件で、最高裁判所はこのほど、「初公判を来年01月15日 に行う。」と発表。
インラックは、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会の委員長だったが、米担保融資制度では不正などのため5000億Bに上る損失が出た。これについて、検察は、インラックは「委員長としてなすべきことをしておらず、刑法157条と反腐敗法に違反する。」としている。
なお、米担保融資制度は、タクシン支持者の多い米農家を米を高値で買い上げることで支援するというもの。これまでの政府も農民支援策を打ち出しているが、インラック 前政権のものは損失が突出している。
10月30日(金)タクシンと妹のインラック前首相の支持者が、刑事訴追されているインラック前首相への支持を示すため、01日日曜日にタクシン派のシンボルカラーである赤服を着る動きがあり、タクシン派と対立する軍事政権が警戒を強めている。プラユット首相は赤服を着ることを自体は禁止しないとしながらも、何かあれば法的措置を取ると警告。
在タイ日本大使館は、ウェブサイトと緊急一斉メールを通じ、赤服を着た集団を見かけた場合は近づかないよう注意を呼びかけた。

タイ国内情勢に関する注意喚起(2015年10月30日)

一部報道によれば、インラック前首相の支持者たちが、11月1日に赤いシャツを着て、同前首相を応援しようと呼びかけているようです。

現時点では大規模な集会につながるとの情報は無いものの、赤いシャツを着た集団を見かけた場合には近づかない等、十分ご注意下さい。

問い合わせ先等

○在タイ日本国大使館領事部
  電話: (66-2)207-8502、696-3002
  FAX :(66-2)207-8511
デイビース駐タイ米国大使は、「現在タイは軍政下にあり、民主主義の回復に至っていないものの、軍政がタイの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を決めるのであれば、米国はこれを大歓迎する。」との認識を明らかに。
米国は以前から「可能な限り早期の民主主義の回復(民政移管)を望む。」と表明しているが、デイビース大使は、「(軍政が)もし関心があるのなら受話器を取り、ドアをノックする必要がある。我々はいつでも話し合いに応ずる用意がある。」と話した。しかし、タイは、TPP参加に興味を示しているものの、慎重な検討が必要だとしてまだ態度を明らかにしていない。
10月31日(土)憲法起草委員会(CDC)で検討が行われている選挙制度変更案についてタクシン派のプア・タイ党は、「恥ずべき変更」と厳しく批判。プムタムプア・タイ党幹事長によれば、「小選挙区で落選した候補者の票を比例代表に組み込むという変更案は、多くの票を獲得した者が勝利するという原則に反し、有権者の意思を歪曲するものだ。」
関係筋によれば、軍政やCDCは、政界の勢力バランスを変えなければ再び政治対立が起きて混乱が生ずるため、選挙制度の変更などが必要と考えているようだが、タクシン派は従来の制度で勝利してきたことから制度変更には強く反発している。
11月01日(日)インラック前首相が米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出したことの責任を問われていることから、タクシン支持者に対し、「11月01日にインラック前首相を激励すべく赤服を着て集まろう。」との呼びかけがあった。
だが、タクシン支持者の多い、タクシンの出身地の北部チエンマイ、東北部のコンケン、ウドンタニー、ナコーンラチャーシマーなどでも目立った動きはなかった。インラックも「呼びかけ人が誰かもわからない。」として支持者たち に集会をしないよう求めていた。
インラック前政権が導入した米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出したことから軍政がインラック前首相などの責任を問おうとしていることについて、ブンソン元商業相は、「軍政が『捜査担当者は法的責任を問われない。』との命令を発したのは軍政が不当な責任追及であるとわかっている証拠。」と指摘。「軍政が無理やりインラック元首相とプア・タイ党の政治生命を絶とうとしている。」と厳しく批判。
10月31日に発布された同命令では、昨年05月22日以降に首相、内閣、米政策管理委員会から米担保融資制度の捜査を任された者は法的責任を問われないとされている。
一方、インラックは前政権で首相として、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会の委員長であったことから責任を問われているが、ブンソン元商業相は、「インラック前政権が設置した小委員会が 制度の運営を直接任されており、インラック前首相には責任はない。」と強弁。
11月02日(月)当局が米担保融資制度に絡んでインラック前首相などの責任を明らかにしようとしていることについて、プラユット首相が先に「米担保融資制度の捜査に携わる者が法的責任を問われることはない。」との命令を発したことにタクシン派などから批判が出ている。
これに対し、ウィサヌ副首相は、「命令は反抗している者たち(インラック前首相など)を怖じ気づかそうとしたものではない。」と釈明。
命令は国家平和秩序評議会(NCPO)議長であるプラユット首相に強大な権限の行使を認めた現行の暫定憲法44条に基づいたもの。ウィサヌ副首相によれば、「反抗している者らを威圧することが目的ならば、44条のもとで反抗している者たちの資産を凍結すればよい。だが、プラユット首相はそうしておらず、威圧などの意図がないことは明白。」
11月03日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長によれば、「CDCはこのほど、下院の議員定数を500人までとすることで意見が一致した。だが、選挙区と比例代表でそれぞれ何人選出するかはまだ決まっていない。」CDCは、有権者が小選挙区選挙で投じた票を比例代表選挙でもカウントするというMMA選挙制度の導入を検討しているが、ミーチャイ委員長は、「この制度が悪用されないよう万全の対策を講ずる必要がある。」と説明。
なお、MMA制度導入に対しては、タクシン派のプア・タイ党などが強く反対している。
11月04日(水)「王室にコネがあると騙って企業などから現金を恐喝した。」として、著名な占い師のスリヤン(通称モーヨーン)とその助手、タイ警察のパラークロム少佐の3人が不敬罪容疑などで逮捕された事件が拡大する様相を見せている。3人は10月下旬に逮捕され、このうちパラークロム少佐は10月23日、拘留先のクルングテープ都内の軍基地で首を吊り死亡。
警察が現在捜査中のこの不敬事件に軍幹部40~50人の関与が疑われ、プラユット首相は、陸軍が事実関係を解明すべく調査を開始したことを明らかに。これら軍人は、先に逮捕された著名な占い師スリヤン(通称モーヨーン)と繋がりがあるとされるが、プラユット首相は、「詳しいことはティラチャイ陸軍司令官に聞いてほしい。」と述べている。
捜査はその後も続き、今月03日には、シーワラー警察庁副長官代行が、「今回の事件に軍の士官40、50人が関与している可能性がある。」と発言。一部の新聞は、「捜査線上に浮上した陸軍大佐が10月末、銀行口座から引き出した現金2000万Bをチエンマイ在住の女性の口座に送金した後、陸路でビルマに出国した。」という消息筋情報を報じた。
10月26日付で突然、タイ警察庁報道官から警察庁顧問に異動となったプラウット警察大将についても、今回の事件で捜査対象となり、辞任したという噂が浮上。チャカティップ警察庁長官はこれを否定していたが、今月04日になり、プラウット大将が10月29日に辞表を提出したことを認めた。プラウット大将は異動前からヨーロッパ旅行に出かけ、今月01日に帰国した。その後は公の場に姿を見せず、動向は不明。
今回の事件は、昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の両親、姉、兄弟、元侍従長、おじのポンパット元警察庁中央捜査局長(警察中将)、義兄のコーウィット元警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが昨年11月下旬から、不敬罪、収賄、資金洗浄などで次々に逮捕され、実刑判決を受け投獄された事件と似た様相を示している。
司法当局によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。警察はこれまでに、ポンパット中将らが所有する家屋十数ケ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など数十億B相当を押収した。事件の捜査は現在も続いている。
憲法起草委員会(CDC)が新しい選挙制度を新憲法に盛り込むべく検討を進めているが、CDCの広報担当者ノラチットは、「新制度に批判が殺到しているため、CDCはこの制度を修正することになった。」と明らかに。
当初の案は、選挙区で落選した候補者の獲得票を比例代表選挙でカウントするといったものだった。だが、これには、「フェアではない」「不公平」といった批判が多数浴びせられた。このため、CDCは新選挙制度の内容を部分的に修正することにしたもので、現在2つのオプションが打ち出されている。なお、オプションのひとつは、「例えば選挙区選挙で当選者が9万票を獲得して当選し、次点の候補者が7万票を獲得した場合、その差2万票を比例代表選挙において当選者の所属政党の獲得票とする。」というもの。
11月05日(木)憲法起草委員会(CDC)が新憲法に盛り込もうとしている新選挙制度(MMA)について、ミーチャイCDC委員長は、「政党や学者から批判が出ているものの、導入に向けた手続きを進めて行く。」と明言。
CDCの広報担当者は先に批判に対応すべく制度の修正に言及したが、ミーチャイ委員長によれば、「MMA導入は決定事項であり、変更されることはない。」という。
MMAでは、下院の議員定数は500人。選挙区選挙で350人、比例代表占拠で150人を選出。
11月06日(金)警察官や軍幹部が関与したとみられる現在捜査中の不敬事件で、警察庁中央捜査局(CIB)が関与の疑われる軍人2人がプラチュアップキリカーン県フアヒン郡のラーチャパクディ公園に過去のタイの偉大な国王7人の巨大銅像を設置するという陸軍の計画に関連して不正を働いたと見られるとして、不敬事件の捜査チームにこの不正の事実関係も解明するよう指示。巨大な銅像が設置された公園はフアヒンの新名所となっているが、銅像は複数の工場で制作されている。
関係筋によれば、「11月06日、警察庁犯罪制圧課(CSD)の係官が不正の証拠を収集するためこれらの工場に派遣された。係官は工場の関係者に対し、銅像制作の依頼が誰からあったか、誰が代金を支払ったか、契約上の代金と実際に支払われた代金が同額だったかなどを質問した。」
11月07日(土)警察が捜査中の不敬事件に関与した見られる軍人2人がプラチュアップキリカーン県フアヒン郡のラーチャパクディ公園に巨大銅像を設置する陸軍の計画に絡んで不正を働いたと疑われている問題で、警察関係筋は、銅像の制作を受注したクルングテープと近隣県の2つの工場の関係者が「手数料を支払うよう求められた。」と証言したと明らかに。この証言は、軍関係者が賄賂を要求したことを示唆するものとなっている。
クルングテープの工場によれば、今年01月にある陸軍大佐とつながりのある実業家から「巨大銅像を制作しないか。」と持ちかけられた。代金は4200万Bという話だったが、実業家が「付加価値税を納めなければならない。私が手数料をもらう必要もある。」と言って1200万B差し引いたため、工場は3000万Bしか受け取っていない。
一方、陸軍は、総額10億バーツあまりが投入された同計画について「規則に従って進められたプロジェクトであり、不正の余地はない」と指摘。軍関係者が計画に絡んで私腹を肥やしたとの見方を全面的に否定した。
11月09日(月)パイブーン法相(前タイ国軍最高司令部副司令官)は、「不敬罪容疑で10月に逮捕し、拘留中の著名な占い師のスリヤン(通称モーヨーン)(53)が今月07日、敗血症で死亡した。」と明らかに。「06日、体調が悪化し、拘留先のクルングテープ都内のタイ陸軍基地から医療施設に搬送され、翌日死亡した。」という。
スリヤンは全国的に知られた占い師で、政府やタイ王室関連の委員会の委員も務めていた。今年に入ってからは、タイ軍事政権が主催し、シリキット王妃の誕生日を祝い、08月に行われたサイクリングイベントと、プミポン国王の誕生日を祝い、12月に開催される予定のサイクリングイベントの組織委員会の委員となっていた。しかし、10月になり、「王室にコネがある。」と騙って実業家から現金を恐喝したなどとして、パラークロム警察少佐(44)ら2人とともに、突然逮捕された。パラークロム少佐は10月23日、拘留先の軍基地で首を吊り死亡しているのが見つかった。
一連の事件では、軍の高官であるカチャチャート陸軍大佐にも不敬罪で逮捕状が出たことが、09日、明らかになった。カチャチャート大佐は10月31日にメーソートの国境から陸路でビルマに出国し、その後、行方不明。カチャチャート大佐に関しては、ホフアヒンのクライカンウォン宮殿近くの浜辺で今年08月に開園した公園の建設をめぐり、業者から賄賂を取った疑いが浮上している模様。この公園は軍部が建設したもので、名君とされるタイの歴代国王7人の巨大な青銅像が立つ。
昨年05月のクーデターで民選政権を倒し発足した軍政は汚職と不敬罪の取り締まりに力を入れてきた。それだけに、今回の事件が軍に波及することに神経を尖らせ、不敬罪容疑による軍幹部逮捕の動きを09日まで一貫して否定してきた。青銅像公園をめぐる汚職疑惑は09日にも報道官を通じ否定。
今回の事件は、昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の関係者多数が逮捕、投獄された一連の事件に類似。スワディー元妃の関係者では、昨年11月下旬から、両親、姉、兄弟、元侍従長、おじのポンパット元警察庁中央捜査局長(警察中将)、義兄のコーウィット元警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが不敬罪、収賄、資金洗浄などで逮捕され、実刑判決を受けて服役中。ほかにもポンパット中将らに繋がる警察幹部、民間人数十人が不敬罪や恐喝などで逮捕、投獄された。中央捜査局では現在も不敬罪絡みの捜査が続き、今年10月、所属の警官8人が捜査に伴い事実上の停職処分。司法当局によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。警察はこれまでに、ポンパット中将らが所有する家屋十数カ所を捜索し、自動車数十台と、地下金庫や隠し部屋に隠された現金、宝飾品、仏像、象牙など数十億B相当を押収。
11月10日(火)プラチュアップキリカーン県フアヒン郡の公園に過去のタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するという陸軍のラーチャパクディ公園計画(総工費10億B)に絡んで、現在警察が捜査中の不敬事件に関与したとされる軍人らが不正を働いて私腹を肥やした疑いが浮上していることについて、ウドムデート副国防相はこのほど、「計画に不明瞭な点はない。」と強調。ただ、建設期間中に何者かが手数料を要求しようとしたことは認めている。
09月末に陸軍司令官を定年退官するまでラーチャパクディ公園基金の議長だったウドムデート副国防相によれば、「公園の建設費と銅像の制作費は寄付で賄われ、その管理を担当していたが陸軍財務局。 陸軍は費用に関する詳細な資料を提示する用意もある。」
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、一定の条件下で非下院議員の民間人を首相に起用する案をCDCが検討する方針であることを明らかに。同案は、政治対立などで国政が停止し抜き差しならない状態が起きた場合の打開策として提案されているものだが、「政党や国会議員の役割を無視したもの。」といった厳しい批判意見も出ている。ただ、ミーチャイ委員長によれば、「非議員の首相起用はCDCの小委員会が提案しているものだが、どのような状況でどのように起用するかについてはまだ具体的な検討が行われていない。」
11月11日(水)プラチュアップキリカーン県フアヒンに公園を建設し、そこに過去のタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するというラーチャパクディ公園計画に絡む不正疑惑が報じられているが、警察関係筋によれば、銅像を制作した業者に数百万Bに及ぶ手数料を要求した実業家の男が11月06日夜のタイ国際航空のフライトで香港に向かった。当局の追及を免れるため国外逃亡したものと見られる。同計画では、警察が現在捜査中の不敬事件に関与したと見られる陸軍の大佐と少将も不正に関わったとされるが、これら2人も実業家と同じ頃に国外に逃亡した。
ラーチャパクディ公園基金委員会が08月に計画に絡む不正に気づいて内部調査を実施。その結果、この実業家が銅像制作業者に手数料を支払わせていたことが発覚。その後委員会が聞き取りを行ったところ実業家は手数料の一部返却を申し出た。
11月12日(木)プラユット首相は、 厳重な警備態勢のもとタクシン派の拠点の1つ東北部ウボンラチャタニー県を訪れて地元のタクシン支持者のリーダーらに政府への協力を求めた。
プラユット首相は陸軍司令官だった昨年05月、国内の混乱を収拾すべくクーデターを起こして当時のタクシン派インラック政権を倒したことから、タクシン派は現在の軍政を敵視しているとされる。
プラユット首相は、地元のタクシン派リーダーに対し、「あなたたちはタイ人か。もしタイ人なら私たちは互いに助け合う必要がある。私や誰かの肩を持つ必要はない。しかし国民によって選ばれた国民のために本気で働こうという人々からなる新政府が誕生したら支持しなければならない。」などと語りかけた。
関係筋によれば、憲法起草委員会(CDC)が国家汚職制圧委員会(NACC)に弾劾権を付与するとの規定を新憲法に盛り込む可能性がある。
これまで罷免の権限は上院に与えられていたが、同筋は、「新憲法で『上院議員を全員指名する。』との条項が設けられた場合、選挙で選ばれた国会議員を罷免する権限を上院に付与すべきではない。従ってNACCに弾劾権を与えるのが良い。」と説明。
プラチュアップキリカーン県フアヒンの陸軍所有地に公園を建設してタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するというラーチャパクディ公園計画で軍関係者の不正が疑われている問題で、陸軍が事実関係の解明のため調査に動き出した。この計画は前任の陸軍司令官、ウドムデート陸軍大将の発案によるもので、ウドムデート大将は09月末に陸軍司令官を定年退官するまでこの計画の最高責任者だった。また、10月01日に陸軍司令官に就任したティラチャイ大将は、公園が陸軍の所有地にあるため陸軍が引き続き公園を管理することには同意したものの、不正の有無がはっきりしていないためまだ最高責任者には就任していない。
11月13日(金)プラチュアップキリカン県フアヒンの巨大銅像公園に絡む不正疑惑が浮上し、公園の建設と銅像の制作・設置などを行った陸軍が調査に乗り出した。
調査委員会の委員長に任命されたウィルン陸軍諮問評議会議長は、「公正に調査を実施する。」と強調し、「陸軍司令官から説明を受けた後に可能な限り速やかに調査を開始する予定だ。」と明らかに。調査は7日程度で完了する見通し。
憲法起草委員会(CDC)が総選挙時に首相候補を事前に発表することを政党に義務づけるとの案を検討していることに政党から反発の声が上がっているが、ミーチャイCDC委員長は、「それぞれの政党が誰を首相に推しているのかを有権者に知らせることができる。」などと利点を説明。
この他、首相候補の発表は党の総意に基づいて行われる予定だが、ミーチャイ委員長によれば、「この方法により党首脳部の独断で首相が決まるという事態を回避できる。」
政党は、「この案が非下院議員を首相に起用するという政党が批判しているCDCの案とセットになっている。」などと批判しているが、ミーチャイ委員長は、「政党は民間人(選挙に立候補しない者)を首相候補に選ばなくても構わない。」としている。
11月14日(土)インラック前政権の中核政党だったタクシン派プア・タイ党が総選挙時に政党に事前の首相候補者発表を義務づけるという憲法起草委員会(CDC)が検討中の案を非難。
プア・タイ党幹部のチャトロンは、「この案は非下院議員を首相に起用するというアイデアを実現するための布石に過ぎない。」と批判。民間人の首相起用もCDCが検討中の案だが、これには政党が以前から「政党や国会議員を軽視するもの。」などと反発。チャトロンによれば、「ミーチャイCDC委員長は法律の権威だが、豊富な法的知識を駆使して民間人の首相起用を可能にする仕組みを構築しようと企てている疑いがある。」
11月16日(月)「総選挙時に政党に首相候補を事前に発表させる。」という、憲法起草委員会(CDC)が検討中の案に政党などから批判が出ている問題で、CDCの広報担当ノラチットはこのほど、国民が同案をどのように考えているかをはっきりさせるため世論調査を実施する考えを明らかに。 政党からは「非下院議員の首相起用を可能にする。」とのCDCの案にも批判が出ているが、これら政党は、「首相候補の事前発表は非下院議員の首相起用の布石だ。」と批判。
インラック前政権が導入し巨額の損失を出すことになった米担保融資制度に絡んで、民事裁判を行わない政府の行政行為での賠償請求にインラック前首相が反発しているが、ウィサヌ副首相はこのほど、「行政行為での賠償請求は19年前に制定された法律に基づいており不当なものではない。」と反論。
前首相は、「公判が行われない。」などと行政行為での賠償請求を批判し民事訴訟での賠償請求を政府に求めている。だが、ウィサヌ副首相によれば、「国が被った損害などについて政府が行政行為で賠償請求するのは極めて当然であり、批判は当たらない。」
11月17日(火)総選挙時に政党に首相候補を事前に発表させるという、憲法起草委員会(CDC)が検討中の案に政党などから批判が出ている問題で、CDCの広報担当ノラチットはこのほど、国民が同案をどのように考えているかをはっきりさせるため世論調査を実施する考えを明らかに。 政党からは非下院議員の首相起用を可能にするとのCDCの案にも批判が出ているが、これら政党は、「首相候補の事前発表は非下院議員の首相起用の布石だ。」と批判。
プラチュアップキリカン県フアヒンに公園を建設して過去の偉大の王7人の巨大銅像を設置するという陸軍のラーチャパクディ公園計画に絡んだ軍関係者の不正疑惑について、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、当初予定していたように1週間の調査で事実関係を解明するというのは不可能との見解を明らかに。
「複数の軍人が実業家と結託して銅像の制作業者に『手数料』を要求したとされるが、実際に何があったかをはっきりさせるにはまだ時間が掛かる。」と言う。なお、この疑惑に関する調査の責任者は、ティラチャイ陸軍司令官。
11月18日(水)プラチュアップキリカン県の観光地フアヒンで公園を建設して過去のタイの偉大な王7人の銅像を設置するという陸軍のラーチャパクディ公園計画。陸軍の大佐と少将が実業家と結託して不正によって私腹を肥やしたと疑われているが、プラユット政権の後ろ盾である、軍首脳などで構成される国家平和秩序評議会(NCPO)に不正があったとされる時期に陸軍司令官だったウドムデート副国防相そしてNCPOに責任が及ばぬよう躍起になっている。ウドムデートはNCPOのメンバー。
関係筋によれば、昨年05月に陸軍司令官として軍事クーデターを指揮したプラユット首相は国政を担当するに当たり「汚職・不正の一掃が最優先課題。」と繰り返し強調。だが、ウドムデートに責任があるとなれば、NCPOも信頼を失う恐れがあり、NCPOはそのような事態だけは避けなければならないと考えている。
この計画に絡む疑惑の調査は、ティラチャイ陸軍司令官が設置した委員会によって進められているが、プラウィット副首相兼国防相は先にティラチャイ陸軍司令官に対しメディアの前で疑惑に関する発言をしないよう指示。軍政が調査で何が解明されるかに非常に敏感になっていることが窺える。
陸軍のラーチャパクディ公園計画に絡む不正疑惑について現在陸軍の調査委員会が事実関係の解明を進めているが、その結果を受けて国家汚職制圧委員会(NACC)が捜査を開始する予定。
また、サンサーンNACC事務局長によれば、「まだ陸軍による調査結果を受け取っていないもののNACCはすでに証拠集めを開始した。計画に国家予算が使われていれば、NACCが疑惑を捜査しなければならないのは確実だが、今のところ寄付だけで賄われたのか、国家予算も一部使われたのか不明。」
11月19日(木)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、政治危機を打開するための委員会などを設置する必要があるか否かを再検討する考えを明らかに。
旧CDCが打ち出した新憲法最終案は、政治の膠着状態を解消すべく政府を上回る権限を有する国家戦略委員会を設置するとの規定が盛り込まれていたが、これには政党や学者などが強く反対し、同案を結局否決されることになった。
ミーチャイ委員長によれば、「CDCは今のところ政治危機は通常の憲法的手法で打開すべきと考えているものの、国家戦略委員会のような組織を全面的に否定したわけではなく、最終決定を下すまでに関連法などを詳しく検討する必要がある。」なお、政党などによれば、「このような機関の設置は国会議員、政党、議会を軽視したものであり、受け入れ難い。」
11月20日(金)プラチュアップキリカン県フアヒンに公園を建設して過去のタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するという陸軍の手掛けた計画で、「陸軍の大佐と少将が高僧を象ったお守りを扱う業者と結託して銅像制作業者から手数料を取っていた。」と報じられていた。だが、ティラチャイ陸軍司令官は、陸軍本部で行った記者会見の中で、「陸軍の委員会が調査を終えたが、不正は確認されなかった。」と述べ、国家汚職制圧委員会(NACC)による捜査は不要との見解を明らかに。NACCは陸軍による調査が完了し次第本格的な捜査を始める方針を示していた。
警察庁中央捜査局(CIB)によれば、巨大銅像7体の制作費は1体当たり4400万B前後で、5体について制作業者が要求されるままに1体当たり制作費の1割程度を手数料として大佐もしくは業者に渡していた。ティラチャイ司令官は、「公園建設と銅像設置は陸軍の計画。不正はなかったのであり、NACCなど部外者が介入する必要はない。」 /TD>
11月21日(土)国家改革推進会(NRSA)政治改革部会のセリ部会長は、「比例代表選挙で資産家などが下院議員に選ばれていることが汚職の温床。下院議員選挙を選挙区選挙のみとするとともにこれまでの小選挙区制を同じ選挙区で複数の候補が当選するものに改めるのが望ましい。」との見解を明らかに。同部会は近くNRSAに正式に提案する予定。
セリ部会長によれば、「比例代表選挙は有能だが選挙運動が苦手な人々を議員に起用するために導入されたものの、この選挙は大臣ポストを希望する金満家が集まるようになり、利権をやりとりするシステムになってしまった。これが議員や大臣の権限を悪用した金儲け、すなわち汚職を生む結果を招いている。」
プラチュアップキリカン県フアヒンに公園を建設し、過去のタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するという陸軍のラーチャパクディ公園計画に絡む不正疑惑で、陸軍が先に「問題はなかった。」との調査結果を発表したことに対し、汚職問題に取り組んでいる団体、タイ反腐敗機構(ACT)のマナ事務局長はこのほど、計画で実際に透明性が確保されていたかを明らかにすべく調査結果の詳細を公表するよう要請。
マナ事務局長によれば、「公園計画に絡む疑いは昨年05月の軍事クーデター以降に発覚した最大の陸軍関連の疑惑であり、陸軍は早期の幕引きを図るべきではない。陸軍が先に記者会見で発表した調査結果の内容は非常に限られたもので、国民には理解しがたい。」
11月22日(日)チエンマイで、新憲法に関する国民の意見を聞くための憲法起草委員会(CDC)の公聴会が開催され、参加者から「選挙違反には厳罰で臨むべき。」との意見が多く出された。具体的には、「選挙違反の刑罰をこれまでのような公民権5年停止ではなく、公民権を一生涯停止すべき。」との意見が大多数の支持を受けた。また、「同じ家族から国会議員が多数出て世襲制のようになっているのは問題。」との指摘もあり、公聴会参加者の多くがこれに賛同した。
11月23日(月)タクシン派プア・タイ党筋によれば、インラック前首相は欧州議会が招待を受けたことから国家平和秩序評議会(NCPO)に欧州訪問のための出国許可を申請する見通し。
10月07日に届いた招待状によれば、タイ国内の政治状況についてインラックと意見を交わすことを希望している。日時はインラックの都合に合わせるとし、場所はベルギーのブリュッセルもしくはフランスのストラスブール。
現在インラックには米担保融資制度や職務怠慢などの嫌疑がかけられており、NCPOに無断で出国することを禁じられている。
NCPOによれば、「インラックからはまだ出国申請が出ていない。」
11月24日(火)陸軍が10億Bという巨費を投じたラーチャパクディ公園計画に絡む不正疑惑について、国防省が新たな調査を実施する方針であることが11月24日までにわかった。
陸軍は先に「不正はなかった」との調査結果を発表。だが、調査結果に関する詳細な説明がされなかったこともあって「事実を隠蔽して早期の幕引きを図ろうとしている。」といった批判の声も挙がっていた。また、この計画はウドムデート大将(現副国防相)の陸軍司令官時代に実施されたものだが、プラウィット副首相兼国防相によれば、「国防省の調査では関与の可能性が低いため、ウドムデート大将が対象となることは考えにくい。」
民主党関係筋によれば、「民主党首脳部はスクムパン、クルングテープ都知事を党から追放することで意見が一致した。民主党内では、以前から都知事の仕事ぶりに不満の声が出ていた。追放は党の方針に従わないことが理由。」と説明。
また、「昨年05月の軍事クーデターに伴い、国家平和秩序評議会(NCPO)が政治集会を禁止しており、5人以上が集まる会合は開催できない。この禁止令が解除された時点で民主党では会議を開催して正式に都知事の追放を決める。」
なお、これまでの憲法では下院議員に政党所属が義務付けられていたが、都知事は無所属でも問題ないため、スクムパンは所属政党を失っても都知事を続けることが可能。
この先しばらく複数の大きな行事などが催されることから、プラウィット副首相兼国防相が、関係当局に対し、クルングテープ全域で警備を強化するよう指示。
これは、クルングテープで25日のロイクラトン祭、12月05日の国王誕生日の関連祝賀行事、年末年始の行事など大勢の人の集まる機会を狙って東北部のグループが事件を起こそうと画策している可能性があるため。すでに犯行計画に関する情報を携帯電話でやりとりした者たちが逮捕されており、近くさらに数人が逮捕される見通し。
08月17、18日にクルングテープの2ケ所で爆弾が爆発し、約150人が死傷した連続爆弾テロ事件で、タイ軍検察は、外国人男のマイライリー・ユスフ(26)とビラール・ムハンマド(24)を殺人、武器不法所持など10の罪状で起訴。2人は支那国籍のウイグル族とされ、タイ軍法会議で裁かれる。
支那外務省の報道官は、2人の起訴について、「多数の罪のない人が被害に遭った残虐な犯行だ。タイでの裁判で犯人が罰せられることを望む。」
17日の事件では、都心のラーチャプラソン交差点の観光名所、エラワンの祠で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷を負った。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
この事件で、タイ警察は08月29日にクルングテープ都内のアパートでムハンマドを、09月01日にサケーオ県アランヤプラテートのカンボジア国境でユスフを逮捕。ムハンマドは爆弾が入ったバックパックをエラワンの祠に置いたことを、ユスフはこの爆弾を遠隔操作で爆発させたことを認めている。2人は逮捕後、クルングテープ都内の軍基地で拘留されている。事件では2人のほかに、外国人ら15人に逮捕状が出たが、逮捕されていない。
ウイグル族は主に新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出するケースが増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。
タイ軍事政権は不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を今年07月、支那に強制送還。強制送還されたウイグル族は支那で処罰される可能性が高いと見られ、強制送還の翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。欧米諸国もタイ軍政の対応を非難。こうした経緯から、今回の事件はウイグル族による報復テロという見方が強い。しかし、タイ当局は事件の動機について、当局の取り締まりで「ビジネス」を潰された人身売買業者による犯行という主張を繰り返し、「テロ」「テロリスト」という言葉も徹底して避けた。タイは観光が主要産業で、「テロ対象国」というレッテルは是が非でも避けたいところ。また、「ウイグル族」は支那、トルコと外交的に微妙な問題に発展する恐れがあり、こちらも口にしたくないようだ。タイ当局のこうした姿勢や捜査の行き詰まりから、事件の真相は現在も不透明なまま。
11月26日(木)治安当局は「クルングテープや地方で何者かが社会不安を煽るために要人攻撃を企んでいる。」と指摘しているが、プラユット首相はこのほど、「黒幕がタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)。」と非難。
政府によれば、反政府勢力が標的としているのはプラユット首相、プラウィット副首相兼国防相。
これに対し、UDDは、でっち上げと反論し、「国民の目をラーチャパクディ公園計画に絡む不正疑惑から逸らすことが目的。」との見方。 この疑惑は、陸軍が手がけた大型プロジェクトで軍人が不正を働いたとされているもので、これが事実なら陸軍のみならず、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)もプラユット首相も信頼を失墜する恐れがある。
軍人や警察官らが王室と繋がりがあると偽って企業などから大金を騙し取ったとされる不敬事件で、資金洗浄対策室(AMLO)のシハナート室長は、「容疑者4人の資産4430万B相当を差し押さえた。」と発表。内訳は、銀行預金やコンドミニアムの2ユニットなど。
なお、この事件では、容疑者2人が勾留中に死亡しており、それぞれ「自殺」「病死」と発表。
11月27日(金)陸軍が手がけた巨大銅像計画に絡む不正疑惑が浮上したことに対し、陸軍などはこれまで「費用は全額寄付で賄われた。」と説明し「国家予算は投入されていないため部外者は口出し無用。」との姿勢をとっていたが、パイブン法相は、「会計検査院、国家汚職制圧委員会(NACC)、政府汚職対策委員会から計画に国家予算が6000万B以上投入されたと説明を受けた。」と明らかに。
パイブン法相によれば、「『国家予算は使われていない。』という陸軍の説明は公園建設開始後に限ると正しいものの、それ以前の土地の収用に6000万B以上の国家予算が使われていた。」
タイの経済政策を統括するソムキット副首相が25~27日、日本を訪問。アピラディー商務相、アチャカー工業相、アーコム運輸相、コープカーン観光スポーツ相、ピチェート科学技術相らが同行。
ソムキット副首相は東京で開かれたセミナーでスピーチし、日本企業に対タイ投資を訴えた。「環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に強い関心を持っている。」とも述べた。
27日には安倍首相を表敬訪問し、約15分間会談した。その後、タイ側閣僚と、菅義偉内閣官房長官、甘利明経済再生担当相、林幹雄経産相、石井啓一国交相らが出席するハイレベル合同委員会で、約1時間にわたり、インドシナ半島南部経済回廊の鉄道建設、タイの投資政策、TPPなどについて、意見を交わした。
タイ政府は今年01月から、投資奨励制度を大幅に変更。新制度は外国企業に敬遠され、タイ投資委員会(BOI)が01~09月に受理した外国資本の投資予定額は748億B(前年同期3106.3億B)に、このうち日本資本の投資予定額は128億B(同1086.8億B)に激減。
* ソムキット・チャトゥシーピタック(曾?光)
1953年、クルングテープの支那街ヤワラート生。支那語が堪能で、話すタイ語には支那語訛りがある。米ノースウエスタン大学経営大学院で経営学博士号(マーケティング)取得。タイ開発研究所(TDRI)教授、サハパタナピブン・グループ取締役などを経て、タクシン政権(2001~2006年)で副首相、財務相、商務相を歴任。一時はタクシンの後継者に擬せられたが、タクシン政権を打倒した2006年の軍事クーデター直前に政権から離反。
11月30日(月)ウドムデート副国防相が陸軍司令官を務めていた時に陸軍が手がけたラーチャパクティ公園計画に絡んで軍関係者の不正疑惑が浮上している問題で、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「前陸軍司令官は立派な大人であり、政府の意向が示される前に何をするのが最も良いかわかっているはず。」と述べ、遠回しにウドムデートに副国防相辞任を求めた。
関係筋によれば、今回のプラウィット国防相の発言は、プレム枢密院議長の元側近が「私がウドムデート氏の立場なら何も規則違反をしてしなくても辞任する。」と述べたことに伴うもの。
軍政と対立するタクシン派の反独裁民主主義同盟(UDD)はこの機を逃さなかった。ウドムデート副国防相の辞任を要求するとともに、幹部のナタウット元副商務相とチャトポン元下院議員が「11月30日に公園を視察する。」と発表していたが、同日、支持者を連れ、公園に向かっていた2人はサムットサコン県で軍部によって身柄を拘束され、「政治的な活動はしな。」との念書に署名させられて同日夜、数時間後に解放された。UDDの思惑通り、疑惑への注目を集め、軍政の強権ぶりを印象づける結果となった。
タイ軍事政権が力を入れているのが、王室護持に向けた不敬罪の取り締まりと、政権になにがしかの正統性を与える汚職の摘発だ。しかし、こうした捜査を進めるうちに、身内の軍内部に不敬罪絡みの汚職疑惑が浮上し、自分で自分の足を撃つ格好となった。
汚職疑惑が浮上したのは、中部フアヒンのクライカンウォン宮殿近くの浜辺に軍が建設したラーチャパット公園と、12月05日のプミポン国王誕生日を記念して軍政が11日に開催するサイクリングイベント「バイク・フォー・ダッド」。いずれも軍・警察幹部による収賄、「寄付」の強要などの疑惑が強まっている。
ラーチャパット公園は今年08月に開園。名君とされるタイの歴代国王7人の巨大な青銅像が海に向かって立つ。王室に対する軍の忠誠心を象徴する公園となるはずだったが、建設をめぐり、軍幹部が王室の名を騙り、建設業者に「寄付」を強要した疑いが浮上した。プロジェクトの責任者だったウドムデート副国防相(前陸軍司令官)は先月20日、疑惑を否定。しかし、副国防相の側近だったスチャート陸軍少将とカチャチャート陸軍大佐に不敬罪で逮捕状が出た上、カチャチャート大佐が10月末に出国して、行方不明となったことが明らかになり、軍政は24日、疑惑を国防省が再調査することを約束。
一連の疑惑のそもそもの発端は、昨年12月にタイ王室を離脱したシーラット・スワディー元王太子妃の関係者多数が逮捕、投獄された事件。スワディー元妃の関係者では、昨年11月下旬から、両親、姉、兄弟、元侍従長、おじのポンパット元警察庁中央捜査局長(警察中将)、義兄のコーウィット元警察庁サムットサコン県入国管理事務所長(警察大佐)らが不敬罪、収賄、資金洗浄などで逮捕され、実刑判決を受けて服役中。ほかにもポンパット中将らにつながる警察幹部、民間人数十人が不敬罪や恐喝などで逮捕、投獄された。司法当局によると、ポンパット中将らは違法カジノや石油密輸業者などから多額の賄賂を受け取っていたほか、昇進を希望する警官に警察ポストを販売し、多額の金銭を得ていた。また、賄賂を要求する際、王室関係者の関与を仄めかした。監禁、恐喝などにも手を染めていたと見られる。
今年10月には、著名な占い師のスリヤン(通称モーヨーン)とパラークロム警察少佐が不敬罪容疑で逮捕され、軍基地で拘留中に相次いで死亡した。パラークロム少佐は10月下旬に首を吊ったとされる。スリヤンは敗血症が死因と発表された。2人は王室の名を騙り、実業家から「寄付」を脅し取っていたとされるが、詳細は不明。2人の死亡後も、警察、軍の高官に不敬罪容疑で逮捕状が出たり、停職、解任処分が出る事例が相次いでいる。
不敬罪による摘発はタクシン派にも向いている。ラーチャパット公園をめぐる疑惑が浮上した11月中旬、プラユット首相(元陸軍司令官)とプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)の暗殺計画が存在するという噂が流れ始めた。軍、「コンケーン県のUDDが武器を集め騒乱を起こそうとしている。」と主張し、30日までに、不敬罪などの容疑でUDDメンバー9人の逮捕状をとり、このうち5人を逮捕した。ただ、容疑者の1人は昨年から服役中で、UDDは、「一連の逮捕は、軍政が自らの汚職問題から目を逸らさせるためのでっち上げだ。」と主張。
昨年05月のタイの軍事クーデターで冷却化したタイと米国の関係が、人権問題をめぐり、さらにギクシャクとしてきた。
発端となったのは、タイに滞在していた支那人の活動家、董広平さんと姜野飛さんのタイ軍事政権による支那への強制送還だ。2人は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民指定を受け、第3国に出国する予定だったが、10月下旬、不法滞在でタイで逮捕され、11月半ばに支那に送還された。2人は支那で処罰される可能性が高く、国連や米国政府がタイに対し、深い失望と懸念を表明。
タイ軍政は今年07月にも、不法滞在で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を支那に強制送還し、国際社会の批判を浴びた。
09月下旬に着任したグレン・デイビス駐タイ米国大使は11月23日、タイ軍政の実力者であるプラウィット副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)と会談した際に、支那への強制送還に対する米政府の懸念を伝えた。タイはこれに対し、「活動家2人が難民指定を受けていたことを知らなかった。」などと主張。
関係悪化をさらに加速させたのが、タイの不敬罪をめぐるデイビス大使の発言。
デイビス大使は25日にクルングテープで記者会見した際に、この問題に言及し、「平和的に意見を述べただけで投獄されるべきではない。」、「軍法会議が一般市民に不敬罪で長期刑を科すのを懸念している。」などと述べた。
この発言に、タイ軍政の支持基盤である王党派が強く反発し、27日、クルングテープの米国大使館前で大使の解任を求めるデモを行った。プラウィット副首相兼国防相は「大使は話す前に考えるべき。」と述べ、強い不快感を示した。
タイの不敬罪は国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じたもので、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発し、軍法会議での短期の裁判で、次々と実刑判決を下した。刑期が20年を超える判決も度々あり、国連、欧米諸国が強い懸念を示している。
デイビス大使は30日の記者会見で、不敬罪についての言及を避ける一方、、「早期の民政復帰を期待する。」と述べ、タイ軍政との関係改善が困難という考えを示唆した。タイが加盟に前向きな姿勢を見せている環太平洋経済連携協定(TPP)については、「歓迎する。」としたものの、「加盟には、タイが抱える強制労働、人身売買などの問題を解決する必要がある。」と、釘を差した。「タイ軍政が支那への傾斜を強めている。」という指摘については、「支那に接近していることを懸念していない。」と述べた。
12月01日(火)陸軍が手がけたラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑で計画実施時の陸軍司令官、ウドムデート副国防相に引責辞任を迫る意見が出ているが、ウドムデート副国防相は、「内閣に留まる。」と明言し現時点での辞任を否定。ただ「国防省による調査の結果が出るのを待っている。」と述べて含みも持たせた。
関係筋によれば、ラーチャパクティ公園基金の議長を務めるウドムデート副国防相は「計画の透明性に問題はなく不正もなかった。」としているが、国防省の調査で不正が明らかになった場合、責任をとって辞任する見通し。
なお、陸軍は先に調査を実施し、「問題はなかった。」との結果を発表している。
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「インラック前首相はCDCが発表した下院議員選挙立候補欠格者17カテゴリーに該当するため次期総選挙に立候補できない。」との見解を明らかに。
インラックは前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が出たことなどで責任を問われ、今年初めに公民権5年停止となった。また、ミーチャイ議長によれば、現在の案では、選挙違反で有罪となった者は一生涯被選挙権を失うことになっている。
12月02日(水)歴代著名王の巨大銅像を設置した公園をプラチュアップキリカン県フアヒンに建設するという陸軍のラーチャパクティ公園計画に絡む疑惑について、チャイチャン国防副事務次官は、「国防省による調査が年内に完了する。」との見通し。
疑惑に関しては、陸軍が先に調査を実施し、「問題なし。」との結果を発表したが、「疑惑はまだ晴れていない。」といった批判意見もあり、国防省が再調査実施を決定し、チャイチャン副事務次官を長とする調査委員会が設置された。
また、陸軍がこの計画が立案された際に陸軍司令官を務めていたウドムデート副国防相に引責辞任を求める声が強まっているが、プラユット首相は、「辞任するか否かはウドムデート副国防相が判断すべきこと。」と発言。ただ、「ウドムデート氏が副国防相を辞めても政府は影響を受けない。」と付け加えた。
欧州議会からインラック前首相に対し「欧州を訪れ欧州議会のメンバー2人にタイ国内の政治状況について説明してほしい。」との要請があったことから、インラックが最高裁判所に出国許可を申請していたが、「理由が不十分。」と判断され却下されたことが12月02日までにわかった。
タクシン派前政権が導入した米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出したことから、インラック前首相はその責任を問われている。最高裁は関連の裁判で05月にインラック前首相の保釈を認めたが、最高裁の許可なく出国しないことが条件の1つ。
王室とつながりがあると偽って企業から大金を騙し取ったとされる不敬事件で、警察庁は、「容疑者である複数の軍人・警察官がすでに国外に逃亡したと見られる。」との見解を明らかに。ただ、「これら容疑者が現在どこに潜伏しているかは不明。」
この事件では、容疑者たちは王室関連イベントの記念品などを企業に水増し価格で販売して私腹を肥やしていたとされる。また、関係筋によれば、警察はある警察少将の事件への関与を疑っており、証拠が揃い次第逮捕状を請求する予定。
12月03日(木)欧州議会からの招請に伴い、インラック前首相が出国許可を最高裁判所に申請したものの、これが却下されたことについて、タクシン派プア・タイ党関係筋は、「最高裁はインラック前首相の国外逃亡を懸念している。インラック前首相が国外に逃げ出すことはあり得ない。」と強調。
国外逃亡は、前政権が導入した米担保融資制度に関する裁判で前首相に厳しい判決が下される可能性があることから一部で囁かれている。
だが、同筋によれば、「国外に逃亡して裁判で身の潔白を証明しなければ、人々は容疑が事実なのだと思うことなる。従って、インラック前首相が国外逃亡することは考えられない。」
なお、インラック前首相の実兄、タクシンは保釈中の2008年08月に裁判所の許可を得て北京を訪れたが、そのまま帰国せずに国外逃亡し現在に至っている。
陸軍のラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑で、計画実施時に陸軍司令官だったウドムデート副国防相に責任を取るよう求める声が一部で出ている。陸軍関係筋によれば、疑惑に関する国防省の調査は12月中に結果が出る見通しだが、これを受け結果の如何に係わらずウドムデートは副国防相を辞任する見通し。
疑惑が浮上した当初、ウドムデートを擁護する意見もあったようだが、今はプラユット首相もプラウィット副首相兼国防相も距離を置こうとしており、政府部内にはウドムデートに力添えしようとする者はいない。
08月半ばにクルングテープ中心部で起きた、死者20人を出した爆弾事件で、すでに逮捕された容疑者らが寝泊まりしていたクルングテープ都内のアパートの部屋の借り主である「タイ人の女ワンナーとそのトルコ人の夫エマラー・ダヴトグルがトルコで身柄拘束された。」と言う。タイ人の女、ワンナーは、事件後、トルコにいることが確認され、また、メディアの電話取材に対し潔白を主張していたが、その後連絡が取れなくなって所在不明となっていた。
プラユット首相は、「夫婦が逮捕されたという正式な報告は受けていない。もし事実なら、私に連絡があるはずだし、外務省がトルコとの調整に入ることになる。」
タイ字紙マティチョンとデーリーニュースは、ロシア治安当局がタイ政府に対し、『過激派組織、ダーイッシュ(「イスラム国」)に関係するシリア人10人が10月にタイに入国したとして、タイ国内でロシアに対するテロが行われる可能性がある。』と警告した。」と報じた。10人の打ち4人が東部パタヤ、2人が南部プーケット、2人がバンコクに向かい、残る2人の行き先は不明だという。
両紙はタイ政府の緊急通達とみられる文書をウェブサイトに公開。
12月04日(金)タイの治安警察が、ロシアの諜報機関から寄せられた情報を元にイスラム国(IS)関係者がタイ国内でテロを起こす可能性があるとして、全国の警察機関に警戒態勢を敷くように通達する内部文書がソーシャルネットワーク上に流出している。
この内部文書は11月27日付のもので、10月15日から同月末までにシリア人10人がタイに入国し、パタヤに4人、クルングテープに2人、プーケットに2人(残りの2人は行方は不明)と各地に散ったされており、全国の警察に警戒するよう通達するものだった。タイ地元紙によると、当局はこの書類が正式なものであることを認めている。
日本の外務省は、タイの現地報道によると、ダーイッシュ(イスラム国)の関係者が10月下旬にタイに入国し、クルングテープ、リゾート地のパタヤ、プーケットなどタイ国内でテロを計画している可能性があり、タイ治安当局が警戒を強化しているとして、注意を呼びかけた。
08月にクルングテープ都心のラーチャプラソン交差点で爆弾が爆発し、約150人が死傷した事件や、04月に南部のサムイ島のショッピングセンターの駐車場で爆弾が爆発し、イタリア人を含む数人が負傷した事件などを上げ、タイに渡航、滞在する際は、情報入手に務め、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れるなど、安全確保に注意するよう求めた。

タイ国内情勢に関する注意喚起(2015年12月4日現在)

例年、連休を利用して、 多数の邦人の皆様が観光などでタイに渡航されます。
バンコクでは、8月に2件の爆発事案が発生し、現在も、タイ国家警察は捜査中です。
タイ国内では連休や年末行事等があり、観光地等に多数の人が集まることが予想されます。
これらの場所に外出される際には、不測の事態が発生する可能性も排除できませんので、注意してください。
問い合わせ先等
○在タイ日本国大使館領事部
  電話: (66-2)207-8502、696-3002
  FAX :(66-2)207-8511
就任したばかりの駐タイ米国大使デイビースの不敬罪批判に対し各地で抗議の声が挙がっているが、クルングテープに隣接するノンタブリー県でも、市民約30人が集まって大使に批判を浴びせた。
最高刑禁錮15年というタイの不敬罪については、これまでにも批判意見の出たことがあるが、デービース大使は先にクルングテープのタイ外国人特派員協会(FCCT)で、表現の自由が尊重されるべきとして「不敬罪で投獄される者があってはならないと思う。」と発言。その後、この発言が一部で「不敬を野放しにしても良い。」と受け止めたことから市民が抗議の声が挙げることになった。
12月05日(土)憲法起草委員会(CDC)のアピチャート副委員長はこのほど、「総選挙時に政党に首相候補の事前発表を義務づける方針に変更はない。」と明言。
この案は、各政党に対し、首相に据えたいと思う候補者の氏名を5人まで投票前に発表するよう求めるというもの。候補者は政党に所属している必要はなく、また、本人の同意書があれば複数の政党が同一人物を候補としても良いとされている。
「どの候補、どの政党を選ぶと誰が首相に就任するかを事前に知ることができることから、CDCでは有権者に有効な判断材料を提供することになる。」と説明。しかし、政党は、民間人の首相起用を可能にするCDC案に反発。
12月07日(月)陸軍がプラチュアップキリカン県フアヒンで手がけたラーチャパクティ公園計画で不正疑惑が浮上したことから、タクシン派が疑惑を材料に軍政を批判する動きを見せているが、フアヒンに列車で向かっていた昨年05月の軍事クーデターに反対する学生を中心とする反タイ軍事政権グループのメンバー36人がラチャブリー県のバンポン駅で当局に身柄を拘束され、ナコンパトム県内の軍施設に連行された。列車で公園を目指したが、途中の駅で、治安当局がグループが乗った車両を列車から切り離し、身柄を拘束した。ラーチャパクティ公園は、整備のためという理由で閉鎖された。
グループのメンバーたちは、政治的な活動に再び参加しないとの誓約書に署名させられるなどして釈放された。なお、メンバーの一部は、ラーチャパクティ公園に向かったことについて「政治的目的があった。」と認めたものの、首謀者の氏名は明らかにしなかった。
ラーチャパクティ公園はプミポン国王夫妻が度々長期間滞在したフアヒンのクライカンウォン宮殿近くの浜辺に軍が建設した。名君とされるタイの歴代7国王の高さ十数メートルの巨大青銅像が目玉で、今年08月に開園。王室に対する軍の忠誠心を象徴する公園となるはずだったが、軍幹部が王室の名をかたり、建設業者に「寄付」を強要した疑いが浮上。プロジェクトの責任者だったウドムデート副国防相(前陸軍司令官)は11月20日、疑惑を否定したが、副国防相に近いとされるスチャート前タイ陸軍第11歩兵連隊司令官(陸軍少将)、カチャチャート陸軍大佐らに不敬罪で逮捕状が出た上、スチャート少将、カチャチャート大佐らがタイを出国して行方不明となったことが明らかになった。
軍政と対立するタクシン派の中核団体反独裁民主同盟(UDD)のナタウット元副商務相とチャトポン元下院議員は11月30日、汚職疑惑の調査と称して、支持者を連れ、ラーチャパクティ公園に向かったが、途中で治安当局に身柄を拘束され、同日夜に解放された。
反軍政グループが身柄を拘束されたことについて、マーク・ケント駐タイ英国大使は7日、短文投稿サイト「ツイッター」に、「(在バンコク)米国大使館で200人がデモを行うことを許されたのは集会の自由の(制限の)緩和と期待したが、」と書き込んだ。在タイ米国大使館前では11月27日、グレン・デイビス駐タイ米国大使がタイの不敬罪を批判したことに反発した王党派市民約200人がデモを行った。タイ軍政は集会や政治活動を禁止し、民主化要求デモを厳しく取り締まっているが、このデモは制止しなかったことから、一部から、「王党派、反タクシン派を支援し、民主派、タクシン派を弾圧する二重基準だ。」という批判が出た。
12月08日(火)陸軍の手がけたフアヒンのラーチャパクティ公園計画に不正疑惑が浮上している問題で、ラーチャパクティ公園に向かっていた現政権を批判する学生グループが身柄を拘束されたことについて、タイ政府は、身柄拘束に批判的と受け止められるコメントをネット上に書き込んだケント駐タイ英国大使を非難。ウェラチョン政府副報道官は、「ケント大使が頻繁に法律を破り司法手続きを尊重しない者たちを支持する姿勢を示したことを残念に思う。」と述べている。
なお大使が学生の身柄拘束に関連して書き込んだコメントは、「米大使館前で200人の抗議集会が許されたことは集会の自由の緩和だと期待していた。」というもの。タイ当局はこれを学生の身柄拘束を批判したものと解釈し。
ラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑について、ウドムデート副国防相は、「公園建設に関連して不正があったとされるが、ラーチャパクティ公園基金を運営する陸軍委員会はこれに一切関与していない。」と明言。さらに「不正があったとしても、それは公園に設置するための巨大銅像を制作した業者と、これら業者から手数料をとろうした者たちの間で起きたことであり、陸軍委員会は全く無関係。」
なお、この巨大銅像公園計画はウドムデート副国防相が陸軍司令官を務めていた際に実施されたもの。このため、ウドムデート副国防相に引責辞任を求める声が挙がっている。
現在国内では5人以上の政治集会が禁止されているが、民主副首相兼国防相は、「民主党から党内の件について話し合う会合を開きたいという申し出があったものの、これを許可することはできない。」と述べた。「民主党の会合を許可すれば、すべての政党に会合を許可しなければならない。」というのが理由。
民主副首相によれば、「全ての政党が会合を開くことができず、例外はない。このため、ケースバイケースで特定政党に会合を許可することもない。」
12月09日(水)タクシン支持団体、反独裁民主同盟(UDD)を率いるナタウット、チャトポン両人が、パイブン法相に面会し、陸軍の手がけたラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑の解明を要請。
2人は先にプラチュアップキリカン県フアヒンにあるラーチャパクティ公園を訪れようとしたが、途中で兵士に身柄を拘束された。
約2時間にわたる法相との会談のあと、ナタウットは、「法相の対応には満足している。」と発言。また、最近のUDDの動きについては、「疑惑を材料にタクシン派が軍政を追い込もうとしたもの。」との見方もあるが、ナタウットはこれを全面的に否定。
12月10日(木)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「新憲法の最初の草案の内容を来年01月29日に発表する。」と明らかに。「草案はほぼできあがっているが、閣僚や行政機関に関する部分でまだ手直しが必要。」
政府は民政移管実現のための6-4-6-4スケジュールを打ち出している。これは、6ケ月間で新憲法をまとめ、次の4ケ月間で新憲法最終案に関する国民投票を準備し実施した後、6ケ月をかけて憲法関連基本法を制定。そして次の4ケ月で総選挙を準備し実施するというもの。
ミーチャイ委員長によれば、「新憲法の初案はペチャブリー県チャーアムで開かれるCDCの会合で内容がまとめられる予定で、内容の詳細は01月29日に公表される。」
前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じたことから政府がインラック前首相らに損害賠償を求めようとしていることについて、ウィサヌ副首相は、「損害賠償を求める手続きにさらに時間がかかる可能性がある。」と見方を示した。
商業省は現在、損害賠償請求のため事実関係を明らかにすべく調査を行っており、これは12月30日にまでに完了することになっている。だが、予定通りに証人の証言が得られない場合、調査が延長される見通し。なお、報道によれば、インラック前首相には数百億Bに上る損害賠償が求める可能性がある。
12月11日(金)ビルマのイスラム教徒少数民族ロヒンギャ族などの人身売買事件の捜査を指揮したパウィーン元タイ警察第8管区副司令官(警察少将)が、人身売買組織に命を狙われているとして、警察を退職、数日前に観光ビザでオーストラリアに入国。オーストラリアに政治亡命を申請する考えを示し、物議を醸している。
タイでは今年04月末から05月上旬にかけ、マレーシア国境に近い南部のソンクラー県とサトゥン県の山中で、ロヒンギャ族の人身売買の拠点とみられるキャンプ跡地が70ケ所以上見つかり、ロヒンギャ族と見られる約300人が保護された。キャンプ跡地には木を組んでビニールシートをかけた建物や衣類などが残され、30人以上の遺体が埋められていた。人身売買の被害者数千人が収容され、このうち、病死したり、人身売買業者に殺害された人が遺棄されたと見られている。
パウィーン少将はこの事件の捜査を任され、09月までに、パナット・タイ陸軍中将、パチュバン元サトゥン県行政体長ら153人の逮捕状をとり、91人を逮捕。このうち88人が起訴され、11月に裁判が始まった。 事件の捜査は警察上層部の判断で09月に打ち切られた。パウィーン少将は捜査継続を主張したが、受け入れられず、さらに、事件の舞台となったタイ深南部への転任命令を受けた。少将は、深南部は軍人、警官を含む人身売買組織の拠点で、転任すれば殺害されると訴え、辞表を提出。12月06日付けで退職。直後にオーストラリアに渡り、豪ABCテレビと英紙ガーディアンのインタビューに応じ、「軍事政権の高官に捜査を妨害された。」、「私を深南部に転任させようとしたということは、私を殺したいということだ。」、「悪い軍人、警官が権力の中枢にいる。」などと語った。事件の裁判については、「犯人が処罰されずに終わる可能性がある。」という見通しを示した。また、タイに帰国する意思がなく、オーストラリア政府に政治亡命を申請する考えを示した。
タイ警察のチャカティップ警察長官(警察大将)は11日、記者会見を開き、「パウィーン少将の異動に不正な点はなかった。」、「昇進できずに失望したのでは。」などと反論。「(パウィーン少将の)こうした発言は国に損害を与える。」と批判し、パウィーン少将を名誉棄損で訴える方針を示した。
ロヒンギャ族はもともとビルマ西部に居住していたが、1970年代後半から、ビルマ政府による迫害と貧困を逃れ、数十万人が難民としてバングラデシュなどへ脱出した。2007年頃からは、タイ、マレーシアに船で密入国を図るケースが増えている。タイ政府は過去数年、領海内に入ったロヒンギャ族の難民船を沖に曳航して置き去りにしたなどとして、欧米の人権保護団体やメディアから批判された。
タイ当局によると、今回明らかになった人身売買組織は、ロヒンギャ族などをビルマ、バングラデシュから陸路、海路でタイに密入国させ、タイ南部の収容キャンプを経由し、奴隷として漁船に売り払ったり、イスラム教徒が多いマレーシア、インドネシアに送り込むなどしていた。密入国の手数料をとっていたほか、キャンプに収容した被害者に追加の金を支払うよう脅し、暴行を加えるなどした。タイで取り締まりが本格化したことを受け、組織は証拠隠しのため、キャンプを放棄し、被害者を置き去りにしたと見られる。タイ、マレーシア、インドネシアでは、05月中旬に、人身売買組織が放棄したとみられるロヒンギャ族の難民船が相次いで見つかった。
欧州議会が軍事政権下のタイの政治・人権状況を聞くためとして、昨年05月のクーデターで失脚したタイのインラック前首相の招聘を図り、タイ軍政と衝突。
インラックは自らの政権で導入した事実上の米買い取り制度、「米担保融資制度」をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして、職務怠慢と権力乱用で特別裁判に掛けられている。欧州議会外務委員会の招聘状を受け取ったインラックはタイ最高裁判所に出国許可を求めたが、最高裁は02日、要請を却下。欧州議会外務委員会のエルマー・ブロック委員長は08日、声明を出し、「タイ当局の判断に驚き、深く失望した。」と表明。インラックの渡欧を認めるようタイ軍政に呼びかけた。また、インラックの招聘が公的なものではないという印象を与えようとしたとして、軍政を批判。
タイ軍政は政治的な活動や集会を禁止し、軍政に対する批判を厳しく取り締まっている。これまでに、民主化を求める学生、軍政と対立する前政権の政治家、軍政に批判的なジャーナリストや風刺漫画家などが、身柄を拘束されたり、訴追されるなどした。軍政下ではまた、国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じた不敬罪で多数の人が数年から20年以上の長期刑を宣告、投獄されている。
こうした状況を受け、欧州議会は今年10月、タイ軍政に人権状況の改善を求める決議を賛成581票、反対35票で採択した。決議は、昨年の非合法なクーデター後、タイの人権状況が悪化していると懸念を表明し、軍政に対し、人権抑圧を止めるよう要求。表現や集会の自由の権利を平和的に行使したことで投獄、訴追された人について、釈放や起訴の取り下げを求めた。この決議に拘束力はない。
タイ外務省は欧州議会の決議について、「失望した。」としつつも、「建設的な提案には耳を傾ける。」などとする声明を発表。
ビルマのイスラム系少数民族ロヒンギャに関する人身売買事件で警察の捜査責任者だったパウィン少将が先にオーストラリアで「(タイの)警察に脅迫された。」などと述べたとされることについて、チャクティップ警察庁長官は12月11日、名誉毀損で同氏を告訴することを考えている。」と明らかに。
この事件では警察官や軍人が容疑者として逮捕されているが、パウィンは最南部への異動が決まったことから「南部の有力者に命を狙われる」として警察を退職。先にオーストラリアを訪れて地元のメディアに対し「(タイの)政府、軍部、警察の中に人身売買に関与した者がおり、彼らはわたしの死を望んでいる。」と述べ、政治亡命の意向を明らかにした。チャクティップ長官は、「なぜ彼がタイを逃げ出したのかわからないが、彼の発言が名誉毀損に該当するかどうかを弁護士に調べさせている。」
12月12日(土)タイ警察が不敬罪容疑でグリン・デイビス駐タイ米国大使の捜査を開始したことが明らかになった。タイの同盟国である米国の大使に対する捜査は異例中の異例。昨年05月のタイの軍事クーデターで冷え込んだタイ米関係はさらなる悪化が避けられない見通し。
タイの不敬罪は国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じたもので、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。クーデターで発足したタイ軍事政権は不敬罪による取り締まりを強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発し、軍法会議での短期の裁判で、次々と実刑判決を下した。刑期が20年を超える判決も度々あり、国連、欧米諸国が強い懸念を示している。
デイビス大使は11月25日にクルングテープのタイ外国人記者クラブで記者会見した際に、この問題に言及し、「平和的に意見を述べただけで投獄されるべきではない。」、「軍法会議が一般市民に不敬罪で長期刑を科すのを懸念している。」などと述べた。
この発言に対し、タイ軍政の実力者であるプラウィット副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)は「大使は話す前に考えるべき」と強い不快感を表明。11月27日には軍政の支持基盤である王党派の市民約200人がクルングテープの米国大使館前でデモを行い、大使の解任を要求。
さらに、今月09日、タイ外国人記者クラブが声明を出し、タイ警察から、デイビス大使の発言が不敬罪に抵触した可能性があるとして、協力を要請されたことを明らかにした。大使は不逮捕特権があり、逮捕される可能性はほぼないが、タイ軍政の「嫌がらせ」が両国関係をさらに悪化させたのは間違い。
タイ軍政はマーク・ケント駐タイ英国大使にも不快感を示している。今月07日、学生を中心とする反軍政グループの36人が、建設をめぐる軍の汚職疑惑が浮上した中部プラチュアッブキリカン県フアヒンのラーチャパット公園を訪れようとして、治安当局に身柄を拘束された件で、ケント大使はツイッターに、「(在バンコク)米国大使館で200人がデモを行うことを許されたのは集会の自由の(制限の)緩和と期待したが、」と書き込んだ。これに対し、軍政の報道官は08日、「英国大使がしばしば法を破るグループを支持するのは残念だ。」などと述べた。
憲法起草委員会(CDC)が政治任用職の親族にも資産報告を義務化する規定を新憲法に盛り込もうとしているとの見方が一部で出ているが、ミーチャイCDC委員長は、「親族にまで資産を申告するよう求めるのは極端なことであり、そのような手間暇のかかる義務化は考えていない。」との考えを明らかに。ただ、ミーチャイ委員長によれば、新憲法では、政治家に倫理規範を守らせて不正を働かせないようにするため独立機関の権限が強化される見通し。
12月14日(月)一昨年から昨年にかけて当時のインラック政権を非難する大規模な街頭デモなどを扇動したステープ元副首相(元民主党幹事長)はこのほど、「ステープがスクムパン、クルングテープ都知事とともに新党を設立する。」との噂を否定。
ステープによれば、「スクムパンが友人であることは事実だが、ここしばらく会っていない。また、選挙に立候補することも考えていない。」
なお、民主党所属のスクムパン都知事は、その仕事ぶりを民主党から批判されており、党を追い出される可能性があると一部で報じられている。
タイ軍事政権のプラユット首相は12日のテレビ演説で、職業、収入の情報が入った身分証明証を2017年までに導入する方針を打ち出した。
プラユット首相は演説で、「恥ずかしがる必要はない。収入が少なくても多くてもタイ人だ。」と語った。しかし、インターネット上には「プライバシーの侵害。」、「女性に身分証明証を見られたら収入が少ないとばれて相手にされない。」、「身分証明書をなくしたら収入も住所もまるわかり。」といった批判が噴出。ATM(現金自動預払機)の暗証番号まで記載した身分証明証など、パロディー漫画も大量に出回った。
プラユット首相は、「収入や職業の情報は身分証明証のカードに記載するわけではなく、マイクロチップに情報を保存するだけだ。」と反論。「低所得者が政府のサービスを受けやすくし、脱税を減らすために必要だ。」と主張。
12月15日(火)陸軍が手がけたラーチャパクティ公園計画に絡む疑惑について、プラユット首相がウドムデート副国防相とパイブン法相に発言を控えるよう指示した。パイブン法相は、 「首相から(疑惑について)これ以上発言しないよう言われた。」と発言。またウドムデート副国防相については、陸軍司令官を務めていた際にこの計画が実施されたことから政府部内には副国防相の引責辞任を求める声も出ている。
今回の首相発言は、この疑惑を巡って副国防相と法相が言い合いをするような格好になっていたことから 首相が自制を求めたものという。
国家汚職制圧委員会(NACC)のワチャラポン委員(警察大将)が、 NACCの新委員長に選任されたことに対し、一部で「軍政の後押しがあったため。」とする批判意見が出ているが、ワチャラポンは、「私は9人いるNACC委員の1人に過ぎない。他の委員8人に影響力を行使することなどできない。」と述べ、軍政のバックアップがあったとの見方を否定。
また、プラユット首相は、報道陣からNACC委員長選出について聞かれると、「ワチャラポン氏を委員長に選んだNACCの委員に質問してほしい。」とだけ返答し、自身の感想は述べなかった。
12月16日(水)タイの不敬罪に対する駐タイ米国大使の否定的な発言に一部で反発が強まる中、ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、クルングテープで開かれた第5回タイ・米戦略対話に出席した後の合同記者発表の席「2国間関係の完全な正常化は民政移管が成功裏に終わった。」と述べ、軍政が国政を担当する現在の状況をできるだけ早い時期に改める必要があるとの考えを示した。ラッセル次官補によれば、「米国はタイ軍政が民主主義回復のための行程表を打ち出していることを評価しつつも、民主的に総選挙で新政権が誕生するまで2国間の協力を完全のものとすることはできない。」
ピルマのイスラム系少数民族ロヒンギャに絡む人身売買事件の捜査責任者だったパウィナ(すでに警察を辞職)が先に訪問先のオーストラリアで「命を狙われている。」となどと述べ政治亡命を申請する考えを明らかにしたが、チャクティップ警察庁長官は、「これまでの捜査では何者かがパウィナを脅迫した事実は確認できなかった。」と報告。
この事件はタイ南部の複数か所で人身売買目的でロヒンギャを閉じ込めておいたキャンプが発見されたというもので、すでに地元の警察官や軍人が複数人逮捕されている。パウィンは、「事件に関わった者から命を狙われている。」と訴えているが、チャクティップ長官はこの脅迫について「メディアに向けて話すというより、私に知らせるべきだった。」
関係筋によれば、「インラック前首相は先に12月15~25日にかけて日本で息子に勉強をさせるためとして出国許可を申請したが、最高裁判所は理由が不十分だと判断して却下した。」
インラックは欧州議会のメンバーにタイ国内の政治状況を説明してほしいと求められたことから出国許可を申請したが、これも理由が不十分とされて12月02日に却下された。インラックは前政権が導入し巨額の損失を出した米担保融資制度に関する裁判の被告であり、今年05月に保釈。「出国には事前の許可が必要。」が保釈条件の1つ。
ダニエル・ラッセル米国務次官補がタイを訪問し、タイ軍事政権のプラユット首相と会談。ラッセル次官補は会談で、米タイ両軍を中心に毎年タイで実施している多国間軍事演習、コブラゴールドを継続する方針を伝える一方、民政復帰を重ねて要求。
プラユット首相はこれに対し、「民主主義は選挙だけではない」「国によって発展の度合いは異なり、米国は一つの基準で見るべきではない」などと反論。軍政の目標は強固な民主主義と透明で公正な政府を確立することだと主張。
ラッセル次官補は今年01月に訪タイした際に、軍政と対立するタクシン派の元閣僚らと会談したほか、講演で軍政を批判した。プラユット首相はこうした言動に「失望」を表明。タイ外務省は駐タイ米国代理大使を呼んで抗議した。
米国は昨年05月の軍事クーデター後、タイ軍政に早期の民政復帰と政治弾圧の中止、人権保護などを求めている。軍政はこうした要求を突っぱね、関係が悪化した。今年11月には、駐タイ米国大使がタイ国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じたタイの不敬罪を批判し、タイ警察が不敬罪容疑で大使を捜査する異例の事態となった。
12月17日(木)陸軍が手がけたラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑で、関係筋はこのほど、国防省による調査は「軍人の不正はなかった。」との結果になる見通し。
この疑惑は、公園に設置する巨大銅像を制作した業者から民間人や軍人が手数料を取ったというもの。だが、同筋によれば、業者から民間人に手数料が渡ったものの、これは強要ではなく業者からの寄付と考えられる。なお、プラウィット副首相兼国防相は、「国防省の調査結果が発表された後も国民が不信感を抱いているようであれば、会計検査院や国家汚職制圧委員会(NACC)が調査することになる。」と述べている。
現政権下では5人以上の政治集会が禁止されており、街頭デモもできない状態だが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「政治集会禁止令の解除を検討中だと。」明らかに。ただ、「今すぐに解除されることはない。」とも付け加えた。
民主党が先に会議開催を政府の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)に申請し却下されたが、プラウィット副首相は、「政党は(禁止令解除を)それほど長く待つ必要はないだろう。だが、(解除がいつになるかは)プラユット首相次第。」
12月19日(土)タイ南部でピルマのイスラム系少数民族ロヒンギャが人身売買されていた事件の捜査担当者パウィンが南部への異動を命じられたことから「身の危険を感じる。」として警察官を辞職したあと訪問先のオーストラリアで「命を狙われている。」と述べて政治亡命を求める意向を示した問題で、チャクティップ警察庁長官は、捜査チームに加わっていた警察官の中に脅迫を受けた者はいなかったとの調査結果を明らかに。
これまでの調査ではパウィンに対する脅迫もなかったとの結果が出ていた。チャクティップ長官によれば、「捜査に携わった警官70~80人のうち50人以上から話を聞いたが、脅迫を受けたという者は皆無だった。」
12月22日(火)タイ軍事政権のプラユット首相(元陸軍司令官)は、閣議後の記者会見で、「国民への新年の贈り物」として、自ら作詞し、プロの作曲家が曲をつけた新曲「なぜならあなたはタイ国だから」を披露。歌詞は「なぜならあなたはタイ国だから、誰にも壊させはしない」といった内容で、歌唱力で知られるタイ軍兵士が歌った。
プラユット作詞の曲が公表されるのは今回が2曲目。1曲目は軍がクーデターで政権を奪った直後の2014年06月に発表された「タイに幸せを取り戻す」で、インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに様々なバージョンが投稿され、再生回数は計数百万回に上る。
陸軍が手がけたラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑が浮上したことでタクシン支持団体「反独裁民主主義同盟(UDD)が軍部や軍政の責任を追及しようとしているが、ウドムデート副国防相はこのほど、UDDが「公園内のコンクリート床に亀裂が生じている。」と指摘したことを「大した問題ではない。」と一蹴。
プラウィット副首相兼国防相も、「深刻な事態ではない。」との見方を示したが、UDD幹部は、「看過できない。」として法務省に調査を求める構えを見せている。
12月23日(水)プラユット首相は、「大衆迎合政策の実施を約束する政党が低所得者層の支持を得ることで選挙に勝利して政権を担当するのを阻止するには高所得者層と中間層が対抗する政党に投票しなければならない。」との見方を示した。タイは近年深刻な政治問題に直面しているが、その背景には、タクシン派の政党が大衆迎合政策で農民の支持を得て台頭し、また、同党が「汚職まみれ」などと反タクシン派から厳しい批判を浴びていたことがある。
また、プラユット首相は、「彼ら(高所得者層と中間層)が政治家・選挙は嫌いという理由で投票しなければ、金を欲しがっている者たちの票を得た政党が勝利してしまう。また、いつも同じ者たちが同じ政党に投票し、同じ問題が起きることになる。」と指摘。
憲法起草委員会(CDC)の広報担当ウドムは、「上院議員については任期を1期5年のみとすること、下院議員選挙に立候補したり公的役職に就いたりするには上院議員を辞めてから5年以上経過していることなどでCDC委員の意見が一致した。」と発表。今のところ上院議員は200人とされており、また20の職種グループから選ばれることになっている。
12月24日(木)陸軍がプラチュアップキリカン県フアヒンに巨大銅像7体を設置するラーチャパクティ公園を建造する計画で軍関係者による不正疑惑が浮上したことから、プラウィット国防相は、「国防省による調査の結果を30日に発表する。」としているが、「調査の目的が、事実関係の解明であり、容疑者の特定ではないため、不正に関わったと疑われる者などの氏名は公表しない。」と発表。
この疑惑は、軍人などが銅像の制作業者から多額の「手数料」を取ったというものであり、計画実施時に陸軍司令官だったウドムデート副国防相には引責辞任を求める声も出ている。
12月29日(火)2016年のミス・ユニバース・タイ代表のアニポン・チャルームブラナウォン(21)が、タイ各地で行われる新年のカウントダウンイベントのプロモーションのため、タイ首相府を訪問。
アニポンを出迎えたプラユット首相は首相府前に止めたタイ名物の3輪タクシー(トゥクトゥク)の後部座席にアニポンを乗せ、自らハンドルを握ってトゥクトゥクを運転、首相府の敷地内を疾走。
アニポンは20日に米ラスベガスで開催されたミス・ユニバース世界大会でトップ10に入り、トゥクトゥクをモチーフにした衣装で「ベスト・ナショナル・コスチューム賞」を受賞。
英国人男女2人惨殺事件でビルマ人被告2人に1審で死刑判決が言い渡されたことにミャンマーで抗議の動きが出ていることについて、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「何者かがタイの現政権に揺さぶりをかけるために企んだもの。」との見解を明らかに。
ビルマのヤンゴンやタイ・ビルマ国境地帯で抗議集会が決行されたとされる。プラウィット国防相は、「誰が騒動を画策したか、特にタイにいる誰が騒ぎの背後にいるのかを知りたい。」と述べている。
タイ南部スラタニー県タオ島で昨年09月に英国人男女2人が惨殺された事件で、先にピルマ人被告2人に1審で死刑判決が言い渡されたことに抗議する集会がビルマのヤンゴンや国境地帯で行われたことについて、タクシン派のプア・タイ党は「プア・タイ党が抗議に関与した事実は一切ない。」と明言。
抗議に関しては、プラウィット副首相兼国防相が先に「タイ政府を困らせようとしたもの。」と指摘し、タクシン派など反政府勢力の仕業と考えていることを示唆。
だが、プア・タイ党の広報担当代行アヌソンによれば、「軍政は何かにつけてタクシン派を悪者にしようとしているが、プア・タイ党はビルマでの抗議集会には全く関与していない。」
12月30日(水)朝タイ軍事政権のプラユット首相(元タイ陸軍司令官、61)は、閣僚、軍幹部らを引き連れ、クルングテープ都内の陸軍基地内にあるプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、70)の執務室を訪れ、副首相に新年の挨拶を行った。
プラユット首相、プラウィット副首相ら一行はその後、都内のプレム枢密院議長(元陸軍司令官、95)宅を訪れた。一行を出迎えたプレム議長は背筋が伸び、顔の色艶もよく、終始上機嫌な様子だった。プレム議長はプラユット首相ら軍政幹部を称えるスピーチを行った後、プラユット首相らと歓談。
プレム議長はタクシンと対立関係にあると報じられ、タクシン派の一部は、プレム議長と枢密院がタクシン政権を追放した2006年の軍事クーデターとタクシン派インラック政権を倒した2014年の軍事クーデターの黒幕と非難。タクシンはプレム議長を「スーパーパワー」と呼んでいる。
プレム政権は非議員のプレム首相が特権階級や軍の威光を背景に長期政権を率いた変則的な政治体制で、「半分の民主主義」と呼ばれた。2014年のクーデターで全権を掌握したプラユット軍政は起草中の憲法案で、非議員の首相を認め、議会上院を事実上任命制に戻すなど、「半分の民主主義」体制の復活を目論んでいるという見方がある。 プラウィット副首相はプラユット首相、アヌポン内相(元陸軍司令官、66)ら、シリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団出身者の派閥(ブラパーパヤック=東の虎)領袖。一部のタイメディアは「プラウィット副首相がプラユット政権を影で操っている。」と見ている。
12月31日(木)ロヒンギャ人身売買事件の捜査責任者だったパウィンが警察を辞職した後訪問先のオーストラリアで「タイで命を狙われているため亡命するつもりだ。」と述べてマスコミで大きく取り上げられたが、パウィンはプラユット首相やプラウィット副首相兼国防相がタイに戻るよう呼びかけているものの、帰国を拒んでいる。パウィンは人身売買事件の舞台である南部への異動を命じられたことから「事件に関わった南部の有力者から危害を加えられる恐れがあ。る」として警察を辞することになった。この事件では警察官や軍人が容疑者として逮捕されている。
また、オーストリアでの発言が「人身売買事件に関連して警察官や軍人に命を 狙われている。」というものだったことから、警察当局はパウィンとともに捜査に当たっていた警察官らに聞き取りを行ったが、脅迫の事実を確認できなかった。このため、首相や国防相がパウィンに対し帰国して脅迫があったことを証明するよう求めた。
2016年01月01日(金)プラユット首相は、国民への新年の挨拶の中でタイを強い国にすべく国民に協力するよう呼びかけた。タイは近年、政治的対立が激化し、これが国民の不和を齎しており、国民が互いに協力して団結することが大きな課題となっている。
プラユット首相は、挨拶のなかで「今年が(明るい)将来を約束する年、協力と相互理解の年、団結の年、恒久的な強さを達成するための創造性と発展の年にならんことを願う。」と強調。
民主党から過去に下院議員選挙に7回立候補して当選を果たしたことのあるスリン元ASEAN事務局長は、「首相ポストを手中に収めようと民主党の党首選に立候補しようとしている。」との一部報道を否定。この記事はタイ字紙のインターネット版に掲載されたもの。スリンは記事を執筆した記者と偶然会って話をしたものの、党首や首相のポストを狙っているとは述べていないという。
スリンがその後、この記者に確認したところ「スリン氏に国政を担当してもらいたいため先走った記事を書いてしまった。」との返答だった。
01月02日(土)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、政治家らに対し、新憲法最終案の国民投票が実施される前に内容を国民に誤解させるような発言をしないよう求め、「誤解を与えたことで同案を否決された場合はその結果を招いた者が責任をとる必要がある。」との考えを示した。
最初の憲法草案は01月29日に内容がまとめられ、また、最終草案は03月にできあがることになっている。現行の暫定憲法の規定によれば、憲法の最終草案の是非を問う国民投票を実施し可決されれば、総選挙が行われる予定で、実施時期は来年半ばと見込まれている。
01月04日(月)陸軍がプラチュアップキリカン県フアヒンで手がけた、公園に過去のタイの偉大な王7人の巨大銅像を設置するというラーチャパクティ公園計画に絡む不正疑惑について、先 に国家汚職制圧委員会(NACC)の委員長に就任したワチャラポンは、「NACCには権限があり、動き出す用意ができている。」とNACC が捜査を開始する方針を明らかに。
軍関係者が銅像の制作業者からコミッションを取っていたとされるこの疑惑に関しては、陸軍に続いて国防省が調査を行い結果を発表しているが、不正の有無が不明瞭なままとなっている。
01月05日(火)クルングテープ都庁が都庁舎前広場に大型電飾パネルを設置して行っている総費用3900万Bの新年のイベント「バンコク・ライト・オブ・ハピネス」に対して不正を指摘する声が出ている。
会計検査院のピシット院長は、会計検査院の調査でこれまでに不正が疑われる問題点が見つかっている点を指摘。この調査ではイベント開催に入札で選ばれた2社が都庁と正式な契約を交わす前に電飾パネルの設置などが開始されたこと、これら2社が下請けに仕事を丸投げしていたことなどが判明。
また、入札では、このイベントをタイらしさを表現したものにするという条件が設けられていたが、ピシット院長によれば、「条件を満たしているとは思えない。」
タクシン支持勢力などがタクシンと実妹インラック前首相の写真を使った今年のカレンダーを役所などに配ったことから当局が先に配布を禁止した。これについてプラユット首相は、「正しい判断」と述べ、「当局の対応が間違っていない。」との認識を示した。
タクシン派プア・タイ党は反発を強めているが、プラユット首相は、「囚人の写真を使ったカレンダーを配るのは適切か。」と反論。
なお、国外逃亡中のタクシンは首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定した犯罪人だが、判決を不当として帰国して刑に服すのを拒み続けている。
01月06日(水)プラユット首相は、「憲法44条に基づき首相が対立を解消を主導して国民の融和を促進するという、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長の考えを歓迎する。」と述べた。
昨年05月に軍部がクーデターを起こして全権を掌握したのは、政治的対立、国民の不和がエスカレートして国内の混乱がさらに悪化する恐れがあったためとされるが、このため、現在の軍政は政治対立の解消と国民和解の実現を最優先課題に掲げている。また、現行の暫定憲法44条では、国家平和秩序評議会(NCPO)議長であるプラユット首相による強権発動を可能としている。 プラユット首相は、ウィサヌ副首相を長とする政府の法律専門家チームに対しミーチャイ委員長のプランについて立法議会(NLA)と協議するよう指示。
01月07日(木)国家改革推進会(NRSA)の会合で、旧憲法起草委員会(CDC)が打ち出した新憲法草案に基づき改革を推進することに複数の反対意見が出た。
この会合の目的は、NRSAが作成した改革案を新憲法に盛り込むよう憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長に求めることだったが、ここでティンナパンNRSA議長が旧CDCの作成した新憲法草案に含まれていた改革案の一部を採用することを提案。これに対し「否決された新憲法 案を使うのは不適切。」との反対意見が出た。 旧CDCが打ち出した新憲法最終案が昨年09月に否決されたことで、新たにミーチャイを長とするCDCが設置されることになった。
01月08日(金)中央選挙管理員会は、新憲法最終案の是非を問う国民投票を実施するための行程表を発表。それによると、投票は今年07月31日に実施され、また、政治グループや政党には投票前に意見を表明することが許される。だが、政治犯の恩赦、不敬罪、政府批判など新憲法最終案と直接関係のない事柄を取り上げることは禁止される。
新憲法は民政移管のために不可欠。新憲法最終案が国民投票で可決され新憲法が制定された後、選挙などに関する基本法が制定され、新憲法の下で総選挙が実施されることになる。
タイのテレビ報道によると、昨年10月、アーングトーング県の民家で住人の吉岡和雄さん(83)が刃物で刺され死亡した事件で、タイ最高検察庁は、吉岡和雄と同居していたポラニー・ナパドン(48)とポラニーの義弟サムパーン・チアムチャーン(46)、サラウット・サアートスリ(40)の3人を殺人罪で起訴。
検察によると、ポラニーから吉岡和雄の殺害を依頼された被告の男2人が10月13日未明、木造2階建ての吉岡和雄宅に侵入し、寝室で眠っていた吉岡和雄を刃物で刺して殺害、貴重品などを奪って逃走。ポラニーは事件当時、近くの母親宅にいた。警察は15日までに、3人を逮捕。
最高検察庁は「残虐な犯行であり、日本の政府とメディアが注目している重要な事件。」
01月11日(月)国民和解の実現は現政権が掲げる最優先課題のひとつだが、ウィサヌ副首相は、「国民和解を達成するための努力があまり実を結んでいない。」と認めた。
近年はタクシン支持・不支持を巡って政治対立が激化し、これが国民の不和、国内の混乱につながっており、その結果一昨年5月に軍部が政治に介入し国政を担当することになった。そのため、現軍政はこのような事態を繰り返さないため改革を推し進めることで政治対立、国民の不和を回避しようとしている。
ウィサヌ副首相は、国民和解の実現のための努力について「できることは可能な限り多くなってきた。だが、完了していないものもあり、また、国民が拒否反応を示さないようしばらく延期となったものもある。」と説明。
仏教関連団体などが新憲法に「タイの国境は仏教」との文言を盛り込むよう求めているが、憲法起草委員会(CDC)の広報担当アモンは、「具体的にどのようなプラス効果があるのかわからない。」と述べ、仏教の国教化に否定的な考えを明らかに。CDCによれば、「仏教を汚すような行為が報告されているが、仏教を国教としたところでこのような行為がなくなる保証はない。」
01月12日(火)タイ全国報道評議会(NPCT)のチャワロン議長はこのほど、「憲法起草委員会(CDC)がメディア検閲の政府の権限強化を新憲法に盛り込もうとしている。」と批判。
チャワロン議長によれば、「CDC案では政治危機や大規模な街頭デモが実施された際などに関連ニュースの報道を禁止する権限を当局に付与するとしている。やり過ぎであり、報道の自由を阻害する。」と非難。
タイ南部クラ地峡にタイ湾とアンダマン海を結ぶクラ運河を建設する計画の推進をタイ政府が予定していると報じられたことがあったが、プラユット首相は、「現政権下で計画が実施されることはない。」と明言。
この計画については以前からさまざまな噂が出ているが、まだに実現には至っていない。 プラユット首相は、「クラ運河計画を始めたいと思っている者は次の政権でプロジェクトを推進してほしい。今はやらねばならぬ仕事が山積しており、私がクラ運河計画に着手すること はない。」と話している。
支那の手先の枢密院のターニン・クライウィチアン顧問官(元首相)が09日、「クラ地峡運河」の建設を前向きに検討すべきとするプラユット首相(元陸軍司令官)宛の公開状を出している。クラ地峡はマレー半島の幅が狭くなっている部分で、最短部は44㎞。ここにタイ湾、南シナ海とアンダマン海、インド洋を結ぶ運河を建設すれば、海上交通が混雑し、海賊の危険もあるマラッカ海峡を迂回でき、海運の所要時間も短縮されることから、過去に何度も、運河の建設構想が浮上した。昨年には、運河の建設でタイと支那が合意したという報道があったが、両国政府はこの報道を否定。
ターニン枢密顧問官は公開状で、「クラ地峡運河の建設は安全保障や外交上の理由で見送られてきたが、状況は変わった。」、「支那などが建設に関心を示しており、事業化調査を実施するいい機会。」などと主張。
支那は、支那から欧州までインフラで結ぶ陸と海の経済圏「一帯一路」と呼ぶ侵略構想を打ち出している。
01月13日(水)憲法起草委員会(CDC)の広報担当チャチャイは、「CDCは政治危機などの際に政府に検閲の権限を付与する規定を新憲法に盛り込むとの案を取り下げることにした。」と明らかに。
この案では非常事態宣言や戒厳令が発せられた際、メディアを検閲する権限を政府に付与するとされていたが、これに対しては報道関係機関などから「行き過ぎ」といった厳しい批判が浴びせられていた。
チャチャイによれば、「非常事態宣言や戒厳令では関係当局に検閲の権限が与えられるため、CDCでは政府への検閲権限付与を憲法に規定する必要はないと判断したもの。」 なお、一昨年05月の軍事クーデターで廃止された2007年制定憲法では、戦時下に限定し政府による検閲を認めると規定されていた。
01月14日(木)憲法起草委員会(CDC)の広報担当ノラチットは、「総選挙の際、各政党が事前に発表しなければならない首相候補の人数が5人から3人に減らされることになった。」と発表。
首相候補の公表は新憲法に盛り込まれる予定の新しいルール。CDCの案では、立候補届の期間中に各政党が中央選管に首相候補リストを提出するとされており、また、同一人物を複数の政党が首相候補とすることは禁止される。
なお、政党は、非下院議員の首相就任を可能とする規定を新憲法に盛り込むというCDCの案に「下院議員や政党制を軽視したもの。」などと反発。また、首相候補の事前発表に関しても「非議員の首相起用とセットになっている。」と批判。
汚職・腐敗を専門に扱う支部を刑事裁判所内に設ける案が、立法議会(NLA)の第1読会を賛成多数で通過。
ウィサヌ副首相によれば、NLAの設置した15人からなる委員会が同案の内容を精査したあと、第2読会、第3(最終)読会が行われる。同支部の設置は、国家改革評議会(NRC)が要請していたもの。なお、NRCはすでに解散しており、その役割は国家改革推進会(NRSA)に引き継がれている。
クルングテープ在住の島戸義則さん(79)が殺害され遺体を切断して遺棄した事件で、1審のタイ刑事裁判所は、タクシー運転手のタイ人男ソムチャーイ・ケーウバングヤング(48)に終身刑、事実婚の妻ポンチャノック・チャイヤパ(48)に遺体隠匿への関与や窃盗罪などで禁錮20年を言い渡した。
検察によると、ソムチャーイは2014年09月21日、顔見知りだった島戸義則をクルングテープ郊外の自宅で刃物で刺し殺害、ポンチャノックと一緒に島戸義則の遺体を切断し、クルングテープ郊外の運河に投棄。また、島戸義則が所持していた金品を奪い、島戸義則のATM(現金自動預払機)カードを使い、現金約72万Bを引き出した。
ソムチャーイは「島戸義則がポンチャノックと親しかったことから嫉妬して殺害した。」と主張、ポンチャノックは「殺人に関与していない。」と供述。ポンチャノックは被害者の預金を盗んだことを認めたが、殺人への関与は否認。裁判所は今回、2人の供述に沿った形で判決を下した。
被告2人は2003年に別の日本人男性、田中カツトシさん(56)がクルングテープ郊外の民家で死亡した件についても取り調べを受けている。田中カツトシの死は階段からの転落による事故死として処理され、当時田中カツトシと結婚していたポンチャノックが死亡保険金300万Bを受け取った。タイ当局は2014年の事件で2人を取り調べた際に、2003年の事件についても再捜査し、ソムチャーイは、「田中カツトシを突き落とし、首を踏んで殺害した。」と供述。
01月16日(土)憲法起草委員会(CDC)の広報担当ウドムによれば、「CDCは1人の人物が首相を務めることのできる期間を8年までとすることを計画している。首相に就任してほどなく首相を辞するというケースも考えられるが、CDCは、首相に起用された回数にかかわりなく首相在任期間が合計8年に達したところでその人物は首相でいる、あるいは首相になる資格を永久に失うと新憲法に規定することを予定している。」
だが、これに対しては、場合によっては任期制限のため首相が任期途中で首相ポストを去って政治が不安定になる、あるいは長期にわたって実施しなくてはならない、国にとってプラスになるプロジェクトが中断されるといった不都合が生じかねないとの批判的意見も出ている。
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、「新憲法のもとで政策が国に危害を与える危険性を政府に警告する権限が国家汚職制圧委員会(NACC)、会計検査院、選挙管理委員会に付与される予定。」と明らかに。
これは、前政権が導入した米担保融資制度が巨額の損失をもたらし、インラック前首相が責任を問われていることによるもの。
ミーチャイ委員長によれば、「警告は法的拘束力を有しない。だが、政策が国にダメージを与えた場合、警告の有無や警告に従ったか否かが政府の責任の度合いを決定する材料として使われる。」
01月20日(水)現在のプラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)を構成する軍首脳らが政治に関与するのを5年間禁止するとの規定を新憲法に盛り込むべきとの意見が憲法起草委員会(CDC)のチェート顧問から出ていることについて、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、「どのような理由によるものかわからない。」と述べて、同意しない考えを明らかに。
クーデターを起こした軍人たちが総選挙に立候補したり、政治的役職に就いたりするのを禁止しようというものだが、ミーチャイ委員長は、「(禁止が)必要とは思わないが、CDCの会議で取り上げる。」と述べている。
刑事裁判所は、王室に関する不適切なものをネット上に投稿したのが不敬罪に当たるとしてプログラマーのピヤ・チュキッティパン(46)に禁錮6年を言い渡した。
関係当局に2013年、不敬との訴えがあり証拠を押収。被告は翌2014年12月に逮捕された。裁判所によれば、証拠は被告の不敬行為を明確に裏付けるものであり、有罪を言い渡した。ただ、被告の弁護士は、「控訴する。」と述べている。
01月25日(月)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「新憲法草案の内容がすでにまとまっており、あとはCDCが草案を詳しく精査するだけだ。」と明らかに。内容は29日に発表される予定。また、ミーチャイ委員長は、「新憲法草案が国民投票で否決された場合、プラユット政権が現行の暫定憲法を使い続ける。」との見方を示した。
01月26日(火)プラユット首相はこのほど、「新憲法草案が国民投票で否決されたとしても総選挙は来年9月に実施する。」と明言。
民政移管を実現するためには総選挙を実施する必要があるが、そのためにはまず現行の暫定憲法に代わる新憲法を制定しなければならない。そのため、現在新憲法の草案完成に向けた作業が進められているが新憲法として制定されるには国民投票で可決される必要がある。
プラユット首相は「(否決された場合に)備えた計画がある。」と述べたが、具体的な方法には言及しなかった。暫定憲法で選挙を実施し、恒久憲法の制定は次の民選政権に委ねるという方法が考えられるが、その場合、選挙に強いタクシン派が政権を握る可能性が高い。軍政とその支持基盤である特権階級は国政からタクシン派を閉め出すことに力を入れてきただけに、こうしたシナリオは避けたいところで、起草中の憲法案を国民に受け入れやすい内容に調整し、国民投票による可決を目指すと予想される。
プラユット首相は陸軍司令官当時の2014年05月にクーデターでタクシン派インラック政権を倒した。その後発足した軍政は、新憲法を制定し、2015年後半に民政移管の総選挙を実施するという政治日程を示した。しかし、軍政は民主主義を制限する内容の新憲法案を起草した上、2015年09月、自らこの憲法案を否決。起草作業を振り出しに戻すとともに、2017年07月に総選挙を行うという新たな日程を示した。
タイではクーデターなどで度々憲法が廃止され、その度に新しい憲法が制定されてきた。1997年には、選挙で選ばれた憲法議会を通じて作成された新憲法が施行され、初の国民参加型で最も民主的な憲法との評価を受けた。この1997年憲法は、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒した軍部により破棄された。軍政下の2007年に制定された新憲法は、議会上院のほぼ半数を非民選とするなど、特権階級の政治介入を制度化し、政党の力を殺ぐ内容となった。この憲法も2014年のクーデターで破棄され、現在は軍部が実質的に全権を握る暫定憲法が施行されている。

* タイ政局の主な動き
2001年 警察官僚から実業家を経て政界入りしたタクシンが率いるタイ・ラック・タイ党が議会下院選で勝利。タクシンが首相に。
2005年 任期満了にともなう下院選でタクシン派タイ・ラック・タイ党が議席の75%を得て圧勝。タクシン首相が2期目。
2006年 反タクシン派がクルングテープで大規模なデモ。タクシン首相が下院を解散、総選挙に踏み切るが、反タクシン派の民主党がボイコット。憲法裁判所が選挙無効の判決。9月に軍事クーデターが発生し、タクシン政権崩壊。
2007年 軍事政権が民主主義を制限した新憲法を制定。民政移管のため実施された下院選で2代目タクシン派パランプラチャーチョン党が勝利。タクシン派政権発足。
2008年 反タクシン派デモ隊がクルングテープの首相府、スワンナプーム空港などを占拠。最高裁判所が選挙違反でパランプラチャーチョン党を解党し、政権崩壊。民主党を中心とするアピシット連立政権発足。
2010年 クルングテープ都心を占拠したタクシン派デモ隊を軍が鎮圧。90人以上が死亡、約2000人が負傷。
2011年 下院選で3代目タクシン派プア・タイ党が勝利。タクシンの妹のインラックが首相に就任。
2013年 インラック政権・与党がタクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の成立を図る。10月、民主党が大規模な反政府デモを開始。12月、インラック首相が下院を解散。
2014年 01月から反タクシン派デモ隊がクルングテープの主要交差点を占拠。02月の議会下院選は民主党がボイコットした上、民主党系のデモ隊が投票を妨害し、03月に憲法裁が選挙無効の判決。05月07日、幹部官僚人事をめぐる職権乱用を理由に、憲法裁がインラック首相ら10閣僚を解任。05月20日、軍が戒厳令を布告し、実権を掌握。堂22日、クーデターを宣言し、インラック政権崩壊。
タイ軍事政権は閣議で、農家支援の予算350億Bを承認。全国の約8万ケ村が、貯水池の掘削、農作物の加工機械導入といった事業計画をそれぞれ策定し、政府に申請、承認を得て、各村の村落基金が資金を受け取る仕組み。支給額は最大50万Bで、期限は6ケ月以内。
タイの農村経済は農産物価格の低下や水不足などで疲弊している。タイ中央銀行によると、11月の農業生産は前年同月比26.8%減少、農産物価格は7.6%低下し、名目農業所得は32.4%減少。
プラユット首相は、「新憲法草案が7月に予定されている国民投票で可決されるか否か気がかり。」と認めた。
可決されれば、新憲法の下で総選挙が実施され、民政移管が実現することになるが、否決された場合に備え政府は手立てを考える必要があり、その際には曲折が予想される。
そのためプラユット首相は、「否決に備えた計画を検討中。」と明らかにし、「政府は新憲法草案の可決に向けて投票率を上げるべく投票した人に減税措置、投票しなかった人に増税措置を適用する予定。」との一部報道を全面的に否定。
01月28日(木)クルングテープ都スクムウィット通ソイ10の一角「スクムウィット・スクエア」(面積約1.6ha)に軒を連ねるバーや商店約60軒が作業員ら約300人によって重機などで取り壊された事件で、チューウィット・カモンウィシット(55)前下院議員ら66人が器物損壊、脅迫などの罪に問われた裁判で、南クルングテープ刑事裁判所で最高裁判所の判決、被告全員に禁錮2年の実刑判決が言い渡された。
チューウィットは判決後、収監された。判決前、「どのような判決も受け入れ、恩赦を請願しない。」と話していた。
この飲み屋街は、2003年01月26日未明、一晩で取り壊された。地権者のチューウィットはこの土地にソープランドの建設を計画して5億Bで購入したものの、店立ち退かなかったことから強硬手段に訴えたものという。事件後、チューウィットは政界に転身し、飲み屋街の跡地には「チューウィット公園」という名の公園が作られた。
取り壊しにあった店主らが裁判に訴え、1審の刑事裁判所は2006年、チューウィットらに無罪判決を下した。2審の控訴裁判所は2012年、被告131人のうち、チューウィットに懲役5年、その他の被告66人に懲役10ケ月から5年の実刑判決を言い渡した。64人は無罪となった。これを受け、チューウィットらが控訴していた。被害を受けた人々にすでに弁済しており、また、その一角を商業利用せずに公園としたことから2審の禁錮5年を禁錮2年に減刑。だが、執行猶予は適用されなかった。

* チューウィット・カモンウィシット
1961年、クルングテープの支那街生。父親は繊維工場を経営。タイの名門大であるタマサート大学商学部を卒業後、米国に留学。帰国後、ソープランドの経営を始め、一時はクルングテープで数百人収容のソープランド数館、ホテルなどを展開した。2003年、チューウィットのソープランド新館建設予定地で、立ち退きを拒んでいた店舗数十店が100人以上の男と重機により1晩で強制撤去される事件が起き、チューウィットは警察の取り調べを受けた。チューウィットはこれを不快とし、警察への贈賄を暴露。具体的な額や贈賄先は明かさなかったが、警察との関係が悪化。警察批判や歯に衣着せない発言でも知られている。警察とのトラブルが深まる中、突如政界入りを発表。ソープランドを売却、2004年のクルングテープ都知事選に出馬し、2位に入った。2005年にはチャート・タイ党所属で下院総選挙に立候補し当選。しかし翌年、選挙規定違反で失職した。2008年のクルングテープ都知事選に再挑戦したが、テレビ番組に出演した際にキャスターの男性に殴るけるの暴行を加えるというトラブルを引き起こし、落選。私生活では妻に暴行で訴えられたことがある。2011年の下院選に新党「ラック・タイランド党」を設立し出馬、当選。
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、「総選挙が予定通りに実施できない可能性がある。」と指摘。
政府は来年07月の実施を予定しているが、ミーチャイ委員長によれば、新憲法制定後、選挙や政党に関する基本法の検討・制定に時間が掛かる見通し。このため総選挙実施が来年7月以降にずれ込む可能性がある。
01月31日(日)憲法起草委員会(CDC)がまとめた新憲法草案全270条の内容が01月19日、公表されたが、選挙実施方法などを定める基本法制定に時間の掛かることが想定されており、総選挙が来年中に実施できない可能性が浮上。
10に及ぶ基本法が遅延なく制定されれば来年05月か06月には総選挙の準備が始まり、同年10月か11月に投票が可能となる。
だが、定められた期間内にCDCが基本法をまとめあげられない場合、CDCは解散し国家平和秩序評議会(NCPO)が新たにCDCを設置することになる。だが、この新CDCには基本法完成のための期限が設けられていない。このため、総選挙実施が再来年にずれ込むとの見方も出ている。
憲法起草委員会(CDC)が先に内容を公表した新憲法草案に対し、プア・タイ党、民主の2大政党から懸念の声が挙がっている。
新憲法の下で総選挙が実施され、民政移管が実現することになるが、これら2党の元下院議員らからは、「政府の頭越しに問題解決を図るためのメカニズムを設けられているため、総選挙後に誕生する新政権は国をうまく運営することができない。」といった意見が出ている。
これらメカニズムは、これまでに幾度となく政治危機が発生し、政府や議会がこれを解決できず、国内が混乱状態に陥ったことから必要とされているもの。ミーチャイCDC委員長は、「政治家は(新憲法草案に)難癖をつけるのでなく、建設的な批判・提言をするべきだ。」と反発。
国外逃亡中のタクシンの妹ヤオワパーの夫であるソムチャイ元首相はこのほど、「逃げることは悪事を働いたと認めることであり、自分もインラックも国外に逃亡しない。」と明言。
インラックはヤオワパーの妹。ソムチャイは2008年09月から12月掛け首相を務めたが、首相在任中における反タクシン勢力の取り締まりで権限を乱用したとして罪に問われている。またインラックは巨額の損失につながった米担保融資制度に関連して罪に問われている。
ソムチャイは、「逃げたら我々が有罪であることを認めることになる。潔白の自信がある限り逃亡する必要はない。」と述べている。
02月02日(火)憲法起草委員会(CDC)が先に新憲法草案を公表したことに伴い、「その準備にさらに時間のかかることが想定されており、総選挙実施は2018年にずれ込む可能性がある。」との指摘も出ている。しかし、プラユット首相は、「政府の掲げる25ケ月の行程表に基づき総選挙実施のための手続きは来年7月に開始される。」と明言。
また、閣議から新憲法草案の内容精査がスタートしたが、プラユット首相は閣僚に対し草案の内容を1週間かけて吟味しその結果を報告するよう指示。
なお、新憲法草案は、先に発表された01月29日に発表された草案に対する関係当局の意見などを参考にCDCが04月初めまでに最終案をまとめ、07月にその是非を問う国民投票が実施される予定。
新憲法の原案は01月29日に公表され、プラユット首相は、「政府の掲げる25ケ月の行程表に基づき総選挙実施のための手続きは来年7月に開始される。」と明言。また、閣議から新憲法草案の内容精査がスタートしたが、プラユット首相は閣僚に対し草案の内容を1週間かけて吟味しその結果を報告するよう指示。政党と民選政府を弱体化させ、憲法裁判所など非民選の独立機関の権力を強化する内容で、軍政と対立するタクシン派などが懸念を示している。
短気で知られるプラユット首相が、軍事政権が作成した新憲法案に関する記者団の質問に機嫌を損ね、怒りをぶちまける一幕があった。プラユット首相は01月01日のテレビ演説で自らの短気を戒めたばかりで、早くも新年の誓いを破った格好。
プラユット首相は、政府機関が開発した新製品を首相府の庭で視察した際に、この憲法案をめぐり、女性記者と言い合いになり、大声で怒鳴り散らしたり、手に取った製品を放り投げるなどした。感情を抑えられない様子で、記念撮影のときも苦虫をかみ潰したような顔だった。
その後の記者会見でも憲法案に関する質問が相次いだことで、怒りは増幅し、一方的に不満を言い立て、演壇を叩くなどした。最後は「何の価値もない。」と言って、唐突に演壇を降りた。会場を去る途中、「私も価値がない。」と言い捨てた。
02月03日(水)軍政の報道官は、「首相が前日のふるまいを謝罪した。」と話した。
プラユット首相は陸軍司令官当時の2014年05月にクーデターでタクシン派インラック政権を倒した。その後発足した軍政は、民主主義を制限する内容の新憲法案を起草した上、2015年09月、自らこの憲法案を否決。起草作業を振り出しに戻すとともに、2016年07月に新憲法案の国民投票を実施し、2017年7月に民政移管のための総選挙を行うという日程を示した。プラユット首相は今回の新憲法案が国民投票で否決されても、2017年に選挙を実施すると主張している。その場合、憲法の扱いがどうなるかは不明で、「軍政が民政移管をさらに遅らせる。」という見方も強い。
立法議会(NLA)で、憲法起草委員会(CDC)がNLA議員と国家改革推進会(NRSA)メンバーに新憲法草案の内容に関する説明を行ったが、CDCには議員らから質問が殺到。質問は新しい選挙制度、投票用紙、比例代表選挙、首相候補リスト、上院の構成、憲法裁判所の権限強化などに関するもの。
また、NLA議員からは、「新しい選挙制度では有権者買収が横行するため、対策を講ずるべき。」といった意見も出た。
NLAとNRSAは02月15日までに新憲法草案に関する意見をCDCに提出することになっている。
02月04日(木)憲法起草委員会(CDC)は総選挙実施の遅れを避けるため新憲法草案を手直しすることになった。先にCDCが公表した新憲法草案では、選挙実施手続きなどを定めた基本法の制定に相応の時間がかかるため、総選挙実施が2018年にずれ込むとの見方も出ていた。
これに対し、プラユット首相は先に政府の掲げる行程表通りに来年07月に総選挙の手続きを開始すると明言。これを受けCDCが総選挙の実施遅延を避けるために草案内容の変更に応じることとなった。
02月08日(月)新憲法草案に関する2日間の討論会がスタートし、国家改革推進会(NRSA)から下院議員と上院議員の選出方法などについての質問が出された。
NRSA政治委員会のセリー委員長は、有権者が1枚の投票用紙に選挙区と比例代表の候補者名などを記入するという方式や上院議員の選出方法を規定した新憲法草案の内容に疑問を呈したセリー委員長によれば、「これらの方法には明らかに欠点があり、これを改善すべく検討が必要。」
一方、これらの疑問に対し、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「意見を参考にして検討し、可能であれば新憲法草案を手直しする。」と約束。
02月09日(火)憲法起草委員会(CDC)と外務省は、諸外国の外交官などを対象として新憲法草案に関する説明会を開催した。63ケ国の外交官と11の国際団体の代表が出席。
説明会は非公開で行われ、CDCの広報担当者が説明会終了後に外交官などからどのような質問が出たかを明らかにした。具体的には、総選挙の際に政党に首相候補者を発表させることの利点、政治対立の再燃をどのように防止するかなどに関する質問が出た。
新憲法草案はのちにCDCによって様々な意見を参考に最終案が打ち出され、今年半ばにその是非を問う国民投票が実施されることになっている。
02月10日(水)民主党のアピシット党首はこのほど、国家平和秩序評議会(NCPO)とNCPO議長に強大な権限を付与することが新憲法草案に規定されていることに懸念を表明。アピシット党首によれば、「権限の内容が具体的でなく、また、権限がいつまで有効化などが明らかに出なく、混乱を招く可能性がある。」
なお、軍首脳部などで 構成されるNCPOは、プラユット政権の後ろ盾的存在であり、その議長はプラユット首相が務めている。
新憲法草案について「代替案が存在する。」との意見も出ているが、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、 「代替案は存在しない。」と明言。
代替案が用意されているとの見方は、ミーチャイ委員長が先に「新憲法草案が国民投票で否決されることになったら、 国民は新しい案に驚くかもしれない。」と発言していたことによるもの。だが、ミーチャイ委員長によれば、「『国民投票で否決されたら、新たに憲法起草委が設置され、国 民がさらに受け入れ難いと思うような新憲法草案が打ち出される可能性がある。』というのが発言の真意。」
02月11日(木)現行の暫定憲法44条には、プラユット政権の後ろ盾である、軍首脳部などからなる国家平和秩序評議会(NCPO)とNCPO議長は強大な権限を持つと規定されているが、この権限について、憲法起草委員会(CDC)の広報担当チャチャイは、「新憲法下でもNCPOとその議長に同様の権限を付与することが必要。」との見解を明らかに。
この権限は軍部による強権発動を可能とするもので、「非民主的」といった批判も出ている。だが、チャチャイによれば、「新憲法の下で総選挙を実施して新政権が誕生するという完全な民主主義に向けたプロセスの途中で権力の空白などによって危機的状態が発生することも否定できないため、NCPOにこれに対処できる権限を持たせておくことが必要。」
02月14日(日)南部スラタニー県で、憲法起草委員会(CDC)が開催した新憲法草案に関する公聴会で、出席者から「議員の任期を8年に制限すべき。」と意見が出た。これに賛同する人が多く、会場は大きな拍手が沸き起こった。この意見は、国会議員や県議会議員が長期に議員を務めることで堅固な基盤が築かれてしまい、政界への新規参入が難しくなるのを回避しようというもの。
なお、新憲法草案では首相の任期は制限されており、「同一人物が首相を務めることができるのは何回首相に起用されたかに関わりなく合計8年まで」とされている。
02月17日(水)中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、「新憲法草案の内容を国民投票に備えて国民に広く知らしめるため、中央選管がその写しを国民に配布する予定。」と明らかに。
国民投票は07月31日に実施される予定だが、その前に草案全文の写しが120万部、内容を簡略化した写しが600万部配布されることになった。これにかかる費用は2億Bで、現在政府に申請中。このほか、新憲法のプラス面、マイナス面を説明した文書も配布される予定。
02月18日(木)新憲法制定に向けた手続きが進められる中、軍政が憲法起草委員会(CDC)に対し、総選挙後に軍部が強大な権限を保持できる期間を延長するよう提言。
現在の新憲法草案では、軍政の後ろ盾である、軍首脳などからなる国家平和秩序評議会(NCPO)とNCPO議長は現行の暫定憲法で規定された強大な権限を総選挙後の組閣まで保持することができるとされている。
関係筋によれば、軍政の提言は、過渡期に問題が起きて民政移管が不完全に終わるのを回避すべく組閣後もNCPOが権限を保持できるとの条文を新憲法に盛り込むというもの。ただ、この提言について、民主党のアピシット党首は、「軍部の懸念をわかっているが、持続的な問題解決につながらない。」と否定的な見解を明らかに。
02月22日(月)国外逃亡中のタクシンが先にメディアに対し、プラユット政権が掲げる行程表などを批判し共に話し合いの用意があるとの姿勢を示した。
だがプラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ広報担当は、タクシンの提言に返答することを避ける姿勢を示した。関係筋によれば、「今回のタクシンの発言、および実妹インラック前首相によるパフォーマンスはすべて政治的な影響力を失うことを何とか避けるようとしたものと理解できる。」という。
一方、プラユット首相は「タクシンはまず帰国して刑に服すべき。」と考えており、現時点での話し合いはありえない。
02月23日(火)国外逃亡中のタクシンがプラユット政権に批判的な姿勢を示すとともに政権側と話し合う姿勢を見せていることについて、プラユット首相は、「私は彼にいかなる注意も払っていない。」と述べ、タクシンを相手にするつもりのないことを明らかに。
タクシンはここしばらく政治的な発言をしていなかったが、先に訪問先のシンガポールで外国メディアの取材に応じ、この中で新憲法草案を北朝鮮の名前を挙げるなどして痛烈に批判。と同時に「プラユット政権と意見を交わす用意がある。」との姿勢。
しかし、これについてティラチャイ陸軍司令官も「私は旱魃に苦しむ人々の救済に専念している。」として、タクシンとの話し合いの可能性を完全に否定。
02月24日(水)総選挙から民主主義の完全回復に至る期間、治安の維持を軍部に担わせるよう憲法起草委員会(CDC)に政府が求めていることについて、ウィサヌ副首相はこのほど、「この政府案をCDCが受け入れずに政治危機が発生した場合、CDCはその責任を取る必要がある。」との考えを示した。ただ、「CDCが先に打ち出した新憲法草案で政治危機を防ぐことができる自信があるのなら政府案を受け入れる必要はないかもしれない。」とも述べている。
なお、ウィサヌ副首相は、「政府案の主眼は、一昨年05月の軍事クーデターにつながった政治危機を回避することにある。」と力説している。
02月25日(木)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「次期総選挙で誕生する新政権に改革遂行を義務づける規定が新憲法に盛り込まれ、これを怠った場合新政権には罰則が科せられる。」との見通しを明らかに。
これは、プラユット政権の提言に基づいたものという。現政権は、「過去に起きたような政治対立に伴う国内の混乱を回避するには改革を断行する必要がある。」と以前から力説している。だが、現政権下では改革を全て完了することは不可能。このため、CDCに対し、改革遂行を新政権に求める規定を新憲法に組み入れるよう提言したものという。
02月26日(金)チャワリット元首相が「現在の軍政の存在が対立や経済的困窮につながっている。」と年内に総選挙を実施して民政移管を実現するよう求めていることについて、プラユット政権の後ろ盾的存在である、軍首脳などからなる国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ピヤポン大佐は、「政府の掲げる行程表を順守する必要があり、総選挙は行程表通りに来年実施される。」との考えを明らかに。ピヤポン大佐によれば、「チャワリット元首相は総選挙実施に向けた手続きなどについてまだ十分理解していない可能性があるが、NCPOはいつでも説明する用意がある。」
02月28日(日)プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)が総選挙後も強大な権限を維持し続けることもプラユット首相が5年にわたってその座に留まることもない。」、「NCPOの権限維持のための法律が制定されることはない。」と明言。
「5年間」とはプラユット首相が先に「民政移管の移行期」として言及したものだが、チャワリット元首相は「プラユット氏は移行期も首相の座に留まる意向かもしれない。」と指摘。だが、プラユット首相によれば、「国家戦略として打ち出された改革を実行するには総選挙後5年間かかる。」と述べただけで、総選挙後の5年間プラユットが首相を続ける」という意味ではない。
02月29日(月)タクシン派プア・タイ党幹部のウォラタイが先に「インラック前首相が制服を着た者たちに後をつけられ、写真を撮られて迷惑している。」と発言したことについて、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「国家平和秩序評議会(NCPO)がインラック前首相の警護を強化すると決めたことに伴うもの。嫌がらせが目的ではない。NCPOに悪意のないことは私が保証する。」と釈明。ウォラタイは、「プライバシーの侵害」と批判しているが、プラウィット副首相は、「問題が起きないよう警護しているもので人権侵害には当たらない。」また、兵士が前首相の写真を撮影したとされる件についても、「美人なので写真を撮りたくなっただけだろう。オーバーに考える必要はない。」、「もしインラック氏が不快な思いをしているのなら(警護に当たっている軍人や警察官に)制服を着用しないよう求める。」と述べている。
なお、「インラックは先に外国の報道関係者を招いて話をしたことがあり、このため、治安当局がインラックの行動に敏感になっている。」との見方も出ている。
03月01日(火)内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)は、新憲法草案の国民投票について協議し、投票者の過半数が賛成した場合、可決とすることで同意した。可決の条件については、「全有権者の過半数の賛成」とすべきとの意見もあったが、「投票に来た有権者の過半数の賛成」で意見がまとまった。
これにより現行の暫定憲法の「国民投票の可決」の部分的修正が必要となった。修正に関してはプラユット首相の承認から15日以内に立法議会で審議される予定。
03月02日(水)タクシンの妹のインラック前首相が「どこへ行くにも軍の監視がついて回る。人権侵害ではないか。」と不満を訴えた件で、タクシン派プア・タイ党のワタナー元商務相は「セクハラだ。」と批判。軍事政権はこうした発言を受け、ワタナー元商務相を軍施設に連行。プラウィット副首相はこの件について、「100回批判したら、100回出頭を求める。」、「話し合いのため、(拘束)期間は3日から最長1週間になる。」となどと警告。
プア・タイ党は、関係当局に対しワタナー元プア・タイ党議員を直ちに解放するよう要求した。ワタナーは軍政を厳しく批判していた。
この日、軍関係者がクルングテープ都内の自宅を訪れて連行したが、これについて国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ広報担当は、「ワタナー氏は政治的な発言が原因で軍の施設に来ていただいた。」と述べ、「政治的発言には気をつけなければならない。」と付け加えた。
プラユット首相は、「国家改革を確実に遂行するため任命された人々に総選挙後5年間上院議員を務めてもらう。」とのプラウィット副首相兼国防相の提案に賛成した。プラユット首相によれば、「総選挙後の5年間は政治対立や混乱が起きかねない移行期であり、事前に手を打っておく必要がある。」
また、プラユット首相は、「これまでの(選挙)制度に固執すれば、議会は(政治家の)親戚、子ども、配偶者だらけになってしまい事が前に進まない。」と述べ、「このような事態を避けるために任命上院議員が必要。」との考えを示した。
タイ国立開発行政大学院大学(NIDA)の学長を務めたことのある著名な学者、ソムバットはこのほど、「新憲法草案に盛り込まれた選挙制度は問題があり、新憲法下で誕生する連立政権が軍部の介入を受ける可能性がある。」と指摘。「この点を改めない場合、10年以内に政治的混乱が発生し、軍事クーデターがまた起きる恐れがある。」
ソムバットによれば、「新憲法草案の選挙制度では、下院の議席を主要政党がシェアすることになり、結果的にこれら政党が議席を減らし連立政権の弱体化・不安定につながる。首相も重要事項について下院で十分な支持を得て決断することができない。このため、政治的混乱がエスカレートして軍部の政治介入を招く恐れがある。」
03月03日(木)プラユット首相は、「国家改革を確実に遂行するため任命された人々に総選挙後5年間上院議員を務めてもらう。」とのプラウィット副首相兼国防相の提案に賛成。
プラユット首相によれば、「総選挙後の5年間は政治対立や混乱が起きかねない移行期であり、事前に手を打っておく必要がある。」と下院、上院ともに民選とした場合、総選挙後に再度、政情不安に陥る可能性があることを理由に挙げた。「任期は5年として、政情不安を回避するため、下院に協力するべき。」と主張。また、プラユット首相は、「これまでの(選挙)制度に固執すれば、議会は(政治家の)親戚、子ども、配偶者だらけになってしまい事が前に進まない。」と述べ、このような事態を避けるために任命上院議員が必要との考えを示した。
プラユット首相はこれまで、憲法公布後に実施する総選挙から5年間を民政復帰への移行期と位置付け、政情安定化を図るための仕組みが必要との考えを示していたが、上院任命制について言及したのは初めて。

* プラユット・チャンオーチャー
1954年東北部ナコーンラチャシーマー県生。陸軍士官学校23期卒。シリキット王妃の親衛隊である第21歩兵連隊長、王妃の近衛師団である第2歩兵師団(東部プランチンブリー県駐屯)司令官、陸軍第1管区司令官を経て、王党派、反タクシン派のアピシット政権(2008~2011年)当時の2010年に陸軍司令官に就任。2014年05月にクーデターを起こし、タクシン派政権を倒して首相に就任した。通称は「トゥー」で、「ビッグ・トゥー」と呼ばれることが多い。
03月05日(土)14時30分クルングテープ都内で04日午前11時頃、クルングテープチャルンクルン通ワンブラパ地区に軒を連ねる銃砲店の1つに銃を強奪するためにヘルメットを着用して顔を隠した賊数人が押し入り、そのうち1人が警官に撃たれて死亡した事件で、主犯格とされる支那人のヤング・チェング(30)が5日、フアラムポーング発チエンマイ行寝台車の中で鉄道警察に逮捕された。
ヤングはタイ北部から外国に逃げだそうと寝台車でチエンマイに向かっていたが、ナコンサワン駅で鉄道警察官に身柄を確保された。
当初の報道では、押し入ったのはモンゴル人4人とされていたが、警察によれば、押し入ったのは少なくとも5人、支那人ヤング、スン・チュンウェイ(27)、マー・ケング(34)、リー・クンペング(26)と射殺されたウー・シングチュン(40)と判明。
03月06日(日)憲法起草委員会(CDC)の広報担当チャチャイは、政党が政党内から首相候補を選ぶとの規定を新憲法草案に盛り込むことについてCDCが検討する可能性があることを明らかに。
現行案では、政党が首相候補に推す人物を3人まで選び、これを選管に報告するとされているが、「候補を下院議員から選ぶ。」とされていないため、政党が「民間人を首相に起用することを狙ったもので、政党や下院議員を軽視している。」などと反発。このため、CDCが政党の主張を入れる形で「政党から首相候補を選ぶ案」を検討しようとしている。
クルングテープ都プラナコン区内の銃砲店が複数人の賊に襲われた事件で、警察は、「6人目の容疑者として支那人のソー・ソー(29)をプーケットで05日に逮捕した。」と発表。
ソーは実行犯らが犯行時に使用した無線機器などを準備したとされ、入管当局が現在、ビザを無効とし支那に強制送還する準備を進めている。なお、ソーは警察の取り調べに対し、事件への関与を否認。
03月07日(月)「総選挙後の国内がまだ不安定な時期に当局が任命した人々に5年間上院議員を務めさせる。」との政府案について、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「CDCには採用しない権限がある。」と明言。
移行期に任命上院議員が必要な理由は、「選挙で選ぶと上院議員が政治家の親族や関係者ばかりになってしまい、私利私欲が優先される恐れがあるため。」と政府は説明。しかし、に国家平和秩序評議会、内閣、立法議会、CDC、国家改革推進会による憲法関連の会議が開かれたが、これにミーチャイ委員長は出席しなかった。これについて、「上院議員の選出方法について言質を与えることを嫌ったため。」との声もあるが、ミーチャイ委員長はこの見方を否定。
03月08日(火)プラウィット副首相兼国防相はこのほど、有力者を含む容疑者6000人以上の一斉検挙に向けて、そのリストを全国の関係当局に送付したことを明らかに。
だが、一部では必要な手続きを無視した身柄拘束などの人権侵害や犯罪制圧を口実とした不当な政治的ライバル一掃を懸念する声が出ている。
しかし、プラウィット副首相は、「裏の世界の有力者とつながりのあるような政府職員、警官、軍人も処断する必要がある。」と述べ、一般市民も概ね好感。
03月09日(水)現在の軍政の存続期間が長期化する可能性があると指摘されるたびに政党などから反発の声が挙がっているが、プラウィット副首相兼国防相は、国家平和秩序評議会(NCPO)のメンバーを上院議員に任命することも可能との見方を示した。
政府は、混乱が起こりかねない総選挙後の5年間に限り、任命された人々に上院議員を任せるよう提言している。
また、現政権の後ろ盾であるNCPOは軍首脳などで構成され、その議長はプラユット首相(元陸軍司令官)が務めているため、NCPOのメンバーが上院議員を務めることには政党などからの批判が強まる可能性があるものの、プラウィット副首相は、「NCPOのメンバーは(国が直面する)問題をよく理解している。上院議員に就任することになんら問題はない。」
政府が先に犯罪に関与している有力者など6000人以上を捕らえる方針を明らかにしたことについて、国家平和秩序評議会(NCPO)事務局長を務めるティラチャイ陸軍司令官はこのほど、関係当局に対し、今後6ケ月間これら容疑者の検挙に力を入れるよう指示したことを明らかに。
これら容疑者は、違法な森林伐採、天然資源の破壊、刑務所内の薬物取引、脱税、違法な貸金業、外国人旅行者を狙った犯罪など16種類に及ぶ犯罪にかかわっている者たち。なお、ティラチャイ司令官によれば、「関係当局は容疑者の検挙に今後6ケ月間専念するが、その後も検挙に向けた努力が続けられる。」
03月10日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)のウォラウィット副事務局長は、「タイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)の局長を務めたタリットに不正蓄財の疑いがあるため、その資産3億B以上を差し押さえる方針。」と明らかに。
タリットはタクシン派インラック政権下でDSIのトップとしてたびたび反タクシン派に厳しい姿勢をみせ、このため反タクシン派から「タクシン派の手先」などと批判を受けていた人物。NACCによれば、「タリットはDSI局長時代に蓄えた3億4665万Bについて出所を説明しておらず、不正蓄財の疑いがある。」DSIは近く資産差し押さえを裁判所に請求する予定。
政党などからは軍政が新政権誕生後も影響力を維持しようとしているといった批判意見が出ているが、プラユット首相は、「国家平和秩序評議会 (NCPO)が新政権に干渉することはない。」と明言。
軍部首脳などで構成されるNCPOは、現政権の後ろ盾的存在であり、プラユット首相(元陸軍司令官)が議長を務めている。NCPOについては、先にプラウィット副首相兼国防相が「NCPOのメンバーを上院議員に任命することもできる。」などと述べて総選挙後もNCPOが監視の目を光らせる可能性を示唆したことから政党などから批判の声が出ている。今回の首相の発言は、批判を和らげようとしたものと見られる。
03月11日(金)国外逃亡中のタクシンが先にニューヨークで新憲法草案を「時代に逆行する。」、「軍部の居座りを狙ったもの。」などと発言したとされるが、プラウィット副首相兼国防相は、「国家平和秩序評議会(NCPO)の信頼性に影響するものではない。」と述べ、この批判を一蹴。
プラユット首相(元陸軍司令官)が議長を務めるNCPOは、軍首脳部などで構成されており、プラユット政権の後ろ盾的存在。また、今回のタクシンの発言については、「タクシン支持者が新憲法草案に反対するよう仕向けることが狙い。」との見方もあるが、プラウィット副首相によれば、「プラユット首相は国内でも支持され、国際社会からも評価されているため、タクシンの批判で大きなダメージを受けることはない。」
政府は先に犯罪に関与しているとされる有力者など約6000人を検挙すべく、そのリストを関係当局に送付したが、チャクティップ警察庁長官はこのほど、「警察官200人あまりがこのブラックリストに名を連ねており、その中には将官(警察大将、警察中将、警察少将)も含まれる。」と明らかに。
ただ、これら警察官については、当局が不適切な行いを確認しているものの、立件するには証拠不足であることから、不適切な行為を慎むよう誓約させることになっている。
03月12日(土)2013年に100歳で死去したタイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第19代大僧正(ソムデートプラサンカラート)プラ・ニャナサムバラの後任をめぐり、サンガ主流派とタイ軍事政権の対立が深まっている。軍政は腐敗しているサンガ上層部を改革するとともに、軍政と対立するタクシン相の仏教界への影響力排除を狙っている。
サンガの「内閣」ともいうべきタイ・サンガ最高評議会は01月、大僧正代行を務めるソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(90)を次期大僧正に選出した。法的には、これを受け、首相が国王に承認を求め、国王が任命するという手順を踏むが、プラユット首相は03月に入っても、仏教界内部の対立を理由に、国王への奏上を拒否。
02月15日には大僧正代行支持派の僧侶数千人がタイ中部ナコンパトム県の仏教施設に集まり、軍政に対し、大僧正任命の手続きを遅滞なく進めるよう要求した。軍政は施設の入口に軍用トラックを置いて集会を阻止しようとし、僧侶数十人がトラックを押し退けようとして揺らすなど、一部で揉み合いが起きた。
02月18日にはタイ法務省特捜局(DSI)が、ソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧が所有する1953年製のメルセデス・ベンツのクラシックカーについて記者会見を開き、「不正な方法で税金逃れを図った。」と指摘した。このクラシックカーは米国から中古部品として輸入され、2011年に大僧正代行が所有者として登録された。大僧正代行が住職を務めるパクナムパーシーチャルーン寺で展示されていたが、03月07日、DSIが押収。
大僧正代行をめぐっては、タクシンに近い新興仏教団体タンマカーイ寺との関係も取り沙汰され、プラ・ニャナサムバラ大僧正は1999年、「タンマカーイ寺の教祖、プラ・タマチャヨー僧が信者から寄付された2.4?の土地や現金を自分名義にしていたことなどを問題視し、同僧を強制還俗させるべき。」と記した手紙をサンガ最高評議会に送った。しかし、大僧正はその後、体調を崩して指導力が発揮できなくなり、サンガ最高評議会は2006年、「プラタマチャヨー僧が寄付された土地、現金の名義をタンマカーイ寺に変更した。」として、この問題を不問に付した。タンマカーイ寺は2012年に、重量1tの黄金像をパクナムパーシーチャルーン寺に贈っている。2013年にはタンマカーイをめぐる新たなスキャンダルが発覚した。クルングテープのクロンチャン信用協同組合のスパチャイ元理事長が在任中に信組の預金額のほとんどにあたる120億B以上を横領した事件で、元理事長が横領した金10億バーツ以上をプラタマチャヨー僧らタンマカーイの僧侶と寺に寄付したことが判明。プラタマチャヨー僧は現在もDSIの取り調べを受けている。サンガ最高評議会は2015年に軍政傘下の議会、今年02月にはDSIに、プラ・ニャナサムバラ大僧正の意思を尊重し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるよう要求されたが、いずれも却下。
タンマカーイは1970年代からクルングテープの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、クルングテープ郊外の巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院随一。
03月13日(日)先に軍政に批判的な意見を表明したチャワリット元首相(83)は、同じく軍政に否定的な姿勢をとっているタクシンとのつながりを「無関係」と述べ全面否定。
約20年前に首相を1年ほど務め、また、2008年にはタクシン派政権の副首相に起用された。だが、チャワリットによれば、「タクシン派の人々と行動を共にしたことはあるものの、常に自身の政治信条に基づいて行動しており、また、金銭のために信条を曲げたこともない。」
どの口がいうか、ドブ鼠のチャワリット。
一方、チャワリットは「プレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)に会いたいと願っているが、議長は政治家と会うことに消極的で、会談は実現していない。」
民主党とプア・タイ党の2大政党がこのほど憲法起草委員会(CDC)に対し、過渡期の5年間は任命した人々に上院議員を任せるとの政府案を圧力に屈して受け入れないよう要請。
同案は、総選挙=民政移管のあと5年間は政局が不安定になると予想されることから国益のために任命した人々に上院議員を務めさせるというもの。
また現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)議員である軍部首脳を上院議員に任命することが可能とするなど、政党は総選挙後も軍部が大きな影響力を温存しようと画策しているのではないかと懸念している。なお、CDCのミーチャイ委員長はこれまでのところ、上院議員任命案採用に消極的な姿勢を示している。
03月14日(月)午前プラユット首相の誕生日を祝賀するため、軍と警察の高官が揃って首相府を訪れた。挨拶に訪れたのは、ウドムデート副国防相、ティーラチャイ陸軍司令官ら3軍の司令官、チャカティップ警察長官ら。
プラユット首相は21日が誕生日だが、22日から支那訪問が控えているため、軍警察のトップは1週間前倒しで挨拶に訪れた。プラユット首相は62歳になる。
タクシン派プア・タイ党の弁護士を務めるルアンクライ・リークワタナー元上院議員は、ウィサヌ副首相が汚職を行ったとして、国家汚職防止撲滅委員会(NACC)に告発。
「ウィサヌ副首相は、手書きの書簡を法務省矯正局長送り、服役囚の仮釈放を命じたが、仮釈放を決める権限は法相にあり、副首相は汚職防止法に違反した。」と主張。
03月15日(火)「総選挙後の不安定な移行期5年間は任命した人々に上院議員を任せる。」という政府案について、政党などが反対を表明し、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長も否定的とも受け取れる姿勢を示しているが、プラユット首相は、「圧力は掛けないが、CDCは上院議員任命案を受け入れるだろう。CDCが拒否したら、CDCが認めるまで提案し続ける。」と述べた。
プラユット首相によれば、「現政権が設定した国家改革計画が総選挙後に下院議員らによってしっかり実施される保証がないため、国益を第一に考える人々を上院議員に任命する必要がある。ただ、上院議員に下院議員などを上回る権限を付与することは考えていない。」
03月17日(木)総選挙後の移行期5年間は任命した人々に上院議員を任せるという政府側の提案について、民主党のアピシット党首はこのほど、軍幹部を上院議員に任命することに「民主的でない。」と強く反対。
現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)やプラユット首相は、「選挙で選ばれた上院議員が私利私欲に走ることを懸念して国益を第一に考える人々を上院議員に任命すべき。」と考えている。だが、アピシット党首によれば、「軍首脳らが上院議員を務めることになれば、完全な民政移管が実現せず、これに対する批判などで大きな問題が発生する可能性が否定できない。」
03月18日(金)プラユット首相は、 旱魃で地元住民がどのような問題に直面しているかを確認するとともに政府の貧困対策の進み具合をチェックするため東北部ウドンタニー県を視察。ソムキット副首相、アヌポン内相、チャチャイ農相が同行。
2年前の05月に当時のプラユット陸軍司令官率いる軍部によるクーデターでタクシン 派・インラック政権が倒されたことから、タクシン支持者は現在の軍政に敵意を抱いているとされるが、ウドンタニ県ーはタクシン支持者の多い東北部の中でも支持者らの活動が活発なことで知られている。
03月20日(日)プラユット政権を支持しているとされる市民団体「グリーングループ」がこのほど、「時間的余裕がない。」として政府に対し現行の暫定憲法44条 に規定された強大な権限を行使して総選挙前に国家改革を遂行するよう要請。 同団体のチャトゥロン事務局長によれば、「最終的な新憲法草案がまとまるのを 待つ時間はないため、政府の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)と政府は改革を急いで断行する必要がある。」また、「政府は総選挙後5年間の移 行期については任命された人々に上院議員を任すべきとしているが、同事務局長によれば、移行期の5年間を含め政府は改革をどのような順番で進めるかを明記 したタイムスケジュールを発表する必要がある。」
03月21日(月)仏教組織が次期大僧正に推挙したソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(90)に高級車輸入に絡む脱税疑惑が浮上している問題で、パイブン法相は、「パイブン法相が現在大僧正代行を務めるラチャマンカラーチャーン僧の名誉を汚そうとしている。」との複数の仏教関連団体による批判に反論。
この批判によれば、法務省特別捜査局(DSI)が疑惑を捜査しているのはラチャマンカラーチャーン僧を悪者にすることを意図したもの。だが、パイブン法相によれば、「捜査はDSIに寄せられた訴えに基づいたものであり、恣意的に捜査が進められている事実はない。」
この疑惑のため、仏教界では以前から「(ラチャマンカラーチャーン僧は)大僧正にふさわしくない。」との声もあり、また、政府はラチャマンカラーチャーン僧の大僧正就任に必要な手続きをとることに二の足を踏んでいる。これに対し、ラチャマンカラーチャーン僧を支持する勢力は「速やかに大僧正に就任させよ。」と要求し政府の対応を批判。
03月22日(火)憲法起草委員会(CDC)によれば、「CDCは総選挙後の移行期5年間は任命した人々に上院議員を任せるとする国家平和秩序評議会(NCPO)の提案に大筋で同意した。」
プラユット政権の後ろ盾であるNCPOの案では、250人を上院議員に任命し、うち6人は現在NCPOに籍を置かない軍部首脳とするというもの。だが、CDCの広報担当ノラチットによれば、上院議員250人の内50人についてCDCは独自の選出方法を提案しており、これについては近くNCPOとCDCの間で話し合いが行われる予定。
03月23日(水)プラユット首相は、第1回メコン川協力首脳会議出席のため訪問した支那海南省三亜で支那の李克強首相と会談した後、記者会見し、「タイと支那がタイ国内で共同開発する予定の鉄道計画がタイの全額出資になる。」と発表。
タイは支那に過半数の出資を求めていたが、採算性の低さを理由に拒否された形。プラユット首相は「政府間で合意した案件で、実行する必要がある。現政権中に実現するよう推進する。」と述べたが、両国間の協議が難航し、計画の縮小が相次ぐなど、先行きが不透明となってきた。
建設を予定しているのはラオス国境のタイ東北部ノンカイ市からタイ東北部ナコンラチャーシーマー市、タイ中部サラブリー県ケンコイを経てタイ東部ラヨーン県マプタプット港に至る全長734㎞の路線とケンコイ-クルングテープ間133㎞の路線で、タイ支両国は2014年12月、共同開発をうたった了解覚書に調印。
当初は2015年着工、工期3年を予定していた。しかし、支那が提示した建設費が5000億B超とタイ側の想定を大きく上回った上、支那が多額の出資や低金利の融資に応じず、協議が長引いた。
今回の訪支は、第1回メコン川協力首脳会議に出席することが目的。この計画は当初の発表ではタイと支那が共同投資することになっていたが、なぜかタイの全額出資で、タイ政府が支那側のエンジニアらを雇用して計画を進めることになった。
プラユット首相はその理由について「タイにとり初めてとなる高速鉄道プロジェクトをスタートさせたかったから。」と説明。
今年01月下旬にタイのアーコム運輸相、アピサック財務相が訪支し、事態の打開を図ったが、合意した内容は建設費を3400億Bに減額する一方、ノンカイ-ナコンラチャーシーマーとケンコイ-マプタプットを単線にし、ケンコイ-マプタプットについては着工を延期というもの。
プラユット首相は今回、第1期開発でクルングテープ-ケンコイ-ナコンラチャーシーマーを建設すると表明。投資全額をタイが負担する代わりに、支那に建設費の引き下げを求めた。
支那はラオでも鉄道建設に乗り出しており、ラオ、タイで計画している全線が建設されれば、支那からラオ経由でマプタプット港まで鉄道で接続される。こうしたことから、タイ国内では支那に利する計画という見方が根強く、「タイ国内の路線についても建設費全額を支那が出資すべき。」という意見があった。
プラチュアップキリカーン県フアヒンに造成した公園に過去のタイの国王7人の巨大銅像を建てるという陸軍のラーチャパクティ公園計画に不正疑惑が浮上していた問題で、国家反腐敗センター(CNAC)は、記者発表を行い「不正は確認されなかった。」との調査結果を明らかに。
発表には、CNACのセンター長であるパイブン法相、ピシット検事総長、政府反汚職委員会(PACC)のプラヨン事務局長、国家汚職制圧委員会(NACC)のヨンユット副事務局長が同席。
説明によれば、「銅像の制作会社からコミッションを受け取った者がいたものの、これに犯罪性はなく、また、受け取った金銭は公園を管理する基金に返却された。」
なお、この疑惑については、軍部に敵対するタクシン派が「陸軍の責任」を追及すべく攻勢を掛ける動きを見せていた。
総選挙後の移行期5年間は任命した人々に上院議員を任せるとの国家平和秩序評議会(NCPO)の提案を受け入れることに憲法起草委員会(CDC)が大筋同意したことについて、ウィサヌ副首相は、「歓迎する。」と述べ評価する考えを示した。
「CDCはNCPOの提案を全て受け入れたわけではないが、上院議員任命案はNCPOが最重要課題としていたものであり、これをCDCが受け入れたことは大きな意味がある。」、「任命した人々に上院議員を務めさせるのは移行期5年間に、国家改革を遂行させることが狙い。」、「政府首脳は、選挙をすれば既存政治家の親族や関係者などが上院議員に選ばれ私利私欲が最優先にされる恐れがある。」と説明。
03月24日(木)憲法起草委員会(CDC)は、軍首脳など6人を上院議員に任命すること、国家平和秩序評議会(NCPO)が上院議員250人全員を選任することで意見が一致。
政界観測筋は、「CDCは軍政の要求のほぼ全てを受け入れさせられることになった。」と指摘。250人の内6人は、陸海空3軍の司令官、国軍最高司令官、国防事務次官、警察庁長官となっている。
プラユット現政権の後ろ盾的存在であるNCPOは、軍首脳部などで構成され、プラユット首相(元陸軍司令官)が議長を務めている。
プラユット首相は、タイと支那の協力にもとに進められる鉄道整備計画についてタイの全額出資で推進するとの考えを再確認。
当初は両国の共同投資とされる予定だったが、2年間にわたる2国間交渉で結論が出なかったことからプラユット首相がタイが全額出資で支那に工事をさせることを決めた。
プラユット首相は、「タイ政府は国家予算の一部と国内で調達資金をこの鉄道複線化計画に投入する。だが、これからもタイと支那の政府間プロジェクトであることに変わりはない。」と述べた。>
03月27日(日)憲法起草委員会(CDC)が03月29日に新憲法の新たな草案を政府に提出するとともにその内容を公表することを受け、オンアート民主党副党首は、「軍政がここに来てCDCに内容変更を強制するようなことがあってはならない。」と表明。
プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は、総選挙後の移行期5年間は任命した人々に上院議員を任せるとの案をCDCに受け入れさせたが、さらに上院に新政権の不信任案審議を行う権限も付与するよう求めている。
CDCは今のところ反対の立場を鮮明にしているが、オンアート副党首によれば、「不信任案審議についてもNCPOが無理を通すことになれば、新憲法の正統性が損なわれることになる。」と警鐘。
03月28日(月)タイ支両国政府がタイ国内で共同開発する予定の鉄道計画について、民主党が計画の見直しを求める意見書を軍政に提出。
クルングテープとタイ東北部の中心都市ナコンラチャーシーマーを結ぶ高速鉄道(全長約250㎞)を、建設費用をタイが全額負担し、支那が盗んだ技術で建設する方針を固めた。民主党は単独投資に反対する書簡を提出。「赤字経営となる公算が大きく、タイが建設費用を単独で負担した場合、最終的に多額のつけが納税者に回る。」と指摘。事業を管轄する予定のタイ国鉄(SRT)の能力不足にも懸念を示し、「野心的な高速鉄道ではなく、全国的な線路の複線化と自動車道の整備、SRTの経営改革を優先すべき。」と主張。また、「支那からより有利な条件を引き出すため、プラユット首相が支那の最高指導者と直接話し合うべき。」と訴えた。
タイ支両国政府はラオ国境のノンカイからナコンラチャーシーマー、タイ中部サラブリー県ケンコイを経てラヨーン県マプタプット港に至る全長734㎞とケンコイ-クルングテープ間133㎞の鉄道路線を共同で建設することで合意し、2014年12月、了解覚書に調印。当初は2015年着工、工期3年を予定していたが、支那が提示した建設費が5000億B超とタイの想定を大きく上回った上、支那が多額の出資や低金利の融資に応じず、協議は難航。2年に及ぶ交渉で合意点を見いだすことができず、今月23日、第1回メコン川協力首脳会議出席のため支那を訪問したプラユット首相が支那の李克強首相と会談し、プラユット首相は「計画を前に進めるために必要。」としてタイの全額出資で第1期開発でクルングテープ-ナコンラチャーシーマーを建設することを決めた。
だが、民主党によれば、「単独投資に伴い、路線が当初のクルングテープ-ノンカイからクルングテープ-ナコンラチャーシーマーへと約3分の1に短縮されることなどから十分な収益が望めないほか、タイ政府が長年にわたり財政問題を抱えることになる。このため政府は単独投資の決定を見直すべき。」と提言。
プラユット首相は帰国後の25日、毎週金曜夜のテレビ演説番組「国民に幸福を返す」で、こうした方針を確認し、クルングテープ-ナコンラチャーシーマー間を当初予定していた中速度列車(最高時速160~180㎞/h)ではなく高速列車にする。」と表明。07月に着工する見通しを示した。アーコム運輸相は、この問題について、「最高時速は250㎞/h、着工は09、10月。」という見解を示し、支那に低利融資と建設費の引き下げを求める考えを再確認。
現政権に否定的なタクシン派ブア・タイ党の幹部2人が声高に政府を批判したことで「態度矯正」のため当局に出頭を求められた。プラユット首相は、「政府を繰り返し公然と批判する政治家を容認しない。」と明言し、軍政に反抗する者を出頭させて態度の矯正を行ってゆく考えを再確認。
また、軍政は態度矯正のために何度か出頭を命じられた者を対象とした「トレーニングコース」を開こうとしているが、プラユット首相によれば、「未だに協力が得られていない」。
飲料大手レッドブル創業者の孫、ウォラユットが4年前にクルングテープ中心部で起こした死亡ひき逃げ事件で、首都圏警察のサニット長官代行はこのほど、事件の処理が遅れていることから、事件を担当しているクルングテープ都トンロー署の担当者らの行為に問題がなかったかを調査する委員会を設置したことを明らかに。
ウォラユットは時速170㎞ものスピードで高級スポーツカーを運転していてオートバイの警察官をはねて死なせた可能性があるとされるが、容疑のうち速度違反については1年の時効が成立し罪に問えなかった。また、過失運転致死といった他の容疑についても容疑者の一族がタイ屈指の資産家であることから「警察が意図的に手続きを遅らせている。」といった批判も出ている。
サニット長官代行は、今回の調査について「『捜査当局は遅延なく証拠を集め立件しなくてはならない。』と規定した刑法131条に基づいたものである。」と説明。
03月29日(火)午後憲法起草委員会(CDC)は、新憲法の最終草案を政府に提出し一般公開を開始。CDCは約6ケ月前から作業を開始。CDCでは先に最初の草案を打ち出し、その内容に対する様々な意見を参考に最終草案をまとめた。これによりCDCはその役目を終えることになった。
最終草案によると、国会は公選制の下院(定数500)と軍政が指名する上院(定数250)の二院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシンの台頭を許したと見て、下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。不安定な連立政権が成立する条件を整えた。指名制の上院は2017~2022年の5年間で、軍トップも議員に含まれる。軍・特権階級が軍事力と司法、傘下の上院を通じ、連立政権で不安定な下院と政府を間接的に支配することを狙った内容で、プレム政権(1980~1988年)の政治体制を彷彿とさせる。
軍政は08月に新憲法案の国民投票を実施し、来年07月に下院総選挙を実施する方針。新憲法案が否決された場合の対応は明らかにしていないが、新憲法案に批判的なタクシン派の政治家や市民を相次いで「態度矯正」のため拘束するなど、国民投票での可決を力ずくでもぎ取る姿勢を鮮明にしている。
279の条文で構成される新憲法最終草案については08月07日に国民の是非を問う国民投票が実施される予定。また、新憲法最終草案に関しては、「総選挙後の首相選出のタイムフレームが設定されておらず、(プラユット政権の後ろ盾である)国家平和秩序評議会(NCPO)が総選挙後も大きな権限を保持・行使し続けるのではないか。」と懸念する声も出ている。
反タクシン派の民主党は、オンアート副党首が記者会見し、「新憲法案の内容を精査した上、対応を決める。」と述べた。

* タクシン派対反タクシン派
タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、クルングテープの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、特権階級、南部住民とクルングテープの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治・社会が混乱している。
反タクシン派はタクシンを「反王室の腐敗政治家」と糾弾し、2006年の軍事クーデターでタクシン政権(2001~2006年)を打倒。タクシン派は2007年の民政移管選挙で勝利したものの、2008年に「司法クーデター」と呼ばれた裁判所によるタクシン派与党解党で反タクシン派に政権を奪われた。反タクシン派政権下の2009年、2010年、タクシン派は、特権階級が軍官財界を動かし民主主義や法治をねじまげているとして、政権打倒を目指すデモを行い、2010年のデモでは治安部隊との衝突で、市民、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷。
タクシン派は2011年の下院総選挙で再度勝利し、タクシンの妹のインラックが首相に就任。しかし、2013年10月から、民主党が主導する反タクシン派市民のデモがクルングテープなどで拡大。2014年01、02月には数万人がクルングテープの主要交差点を長期間占拠した。05月に入り、軍が治安回復を理由に戒厳令を発令、クーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握。
軍は当初、両派の和解を目指すとしていたが、タクシン派の官僚、軍・警察幹部のほとんどを左遷し、地方のタクシン派団体を解散に追い込むなど、タクシン派潰しを推進。2015年01月には、軍政が設立した非民選の暫定国会「立法議会」が、「米担保融資制度を巡る職務怠慢」でインラックを弾劾にかけ、インラックの参政権を5年間停止。
軍政は当初、2016年に総選挙を実施するとしていたが、2015年に軍政傘下の憲法起草委員会が取りまとめた新憲法案を自ら否決。新たに起草作業に入り、選挙時期を先送りした。
タイではクーデターなどで度々憲法が廃止され、その度に新しい憲法が制定されてきた。1997年には、選挙で選ばれた憲法議会を通じて作成された新憲法が施行され、初の国民参加型で最も民主的な憲法との評価を受けた。この1997年憲法は、2006年の軍事クーデターで破棄された。軍政下の2007年に制定された新憲法は、議会上院のほぼ半数を非民選とするなど、特権階級の政治介入を制度化し、政党の力を殺ぐ内容となった。この憲法も2014年のクーデターで破棄され、現在は軍部が実質的に全権を握る暫定憲法が施行されている。
03月30日(水)新憲法案について、タクシン派政党のプア・タイ党は、声明を出し、新憲法最終草案の内容が29日に公表されたことを受け、「起草に民意が反映されず、非民主的な内容だ。」と批判。国民に対し、国民投票での反対を呼びかけた。「内容が非民主的であり問題を孕んでいる。」として有権者に対し受け入れないよう呼びかけた。さらに、08月07日の国民投票実施の前に現行の暫定憲法を改正して1997年憲法を暫定的に採用できるようにし、国民投票で新憲法草案が否決された場合は6ケ月以内に総選挙を実施することなどを求めた。
このような動きについて、現プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)のピヤポン広報担当は、「国民を誤った方向に導こうとしている疑いがあり、調査している。」と述べ、違法と判断した場合は法的措置をとる考えを明らかに。
なお、タクシン派のプア・タイ党は、タクシン派インラック政権が2014年05月に軍事クーデターで倒されたことから軍政に否定的、反抗的姿勢を取り続けている。
03月31日(木)米国訪問中のプラユット首相は現地時間03月31日、国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」のタイ向け番組の収録で、タイで来年半ばに実施予定の総選挙について「権限を維持するために代理人を立候補させることは考えていない。家に帰って孫の面倒をみることが総選挙後の私の予定。とにかく休息した。い」と述べ、総選挙後も影響力を保持するつもりはないとの考えを示した。
ただ、その一方で新憲法最終案では総選挙後の移行期5年間は実質的に軍部が選んだ人々が上院議員を務めることになっており、軍部に対しては「総選挙後も大きな権限を持ち続けようとしている。」などと批判する意見も出ている。
04月01日(金)タイ軍事政権は、戒厳令に代わる新たな治安維持策を発動した。軍政に強い治安権限を与える暫定憲法44条に基づく「命令」で、軍は令状なしで身柄拘束や家宅捜索ができる。「プラユット暫定首相に権力が集中し、実態は戒厳令と変わらない。」との見方も出ている。
軍政は同日夜、戒厳令を約10ヶ月ぶりに解除。プミポン国王が承認し、昨年05月の軍事クーデターを経て全権を握った国家平和秩序評議会(NCPO)の議長として、同職を兼務するプラユット暫定首相が命令を出した。
暫定憲法は、国の安全保障や秩序が脅かされると判断した場合、NCPO議長は「いかなる命令も出せる。」と規定。同議長に暫定政権、議会、裁判所などを超える強大な権限を与えている。
今回の命令に基づき、軍は治安維持に反した市民を令状なしで最長で7日間拘留でき、住居や車両を捜索できる。5人以上が集まる政治集会は禁止する。軍は新聞の発行差し止めや報道機関の閉鎖も命じられる。
戒厳令の解除には国際社会や人権団体からの軍政批判を交わす狙いがあったと見られる。だが軍政が戒厳令の解除後も強権的な手法を続ける姿勢を示したことで、批判が強まる可能性もある。
プラユット政権とその後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)に反抗する者の処遇について、NCPO事務局長のティラチャイ陸軍司令官は、深南部で1週間にわたって態度を改めさせるための再教育を実施する方針を明らかに。深南部3県は10年以上前からイスラム過激によるテロが頻発し、治安が極度に悪化している地域。対象となるのは、過去に繰り返しNCPOの指示・命令に背いた者たち。なお、特別反抗的な者については、さらに厳しい再教育が実施される予定。
04月02日(土)飲料大手「レッドブル(クラディンデーン)」の創業者の孫のウォラユット・ユーウィタヤー(30)が4年前に起こした死亡轢き逃げ事件で、事件を担当したクルングテープ都内トンロー署の対応に複数の問題のあることが警察庁による調査で発覚。これはサニット首都圏警察長官代行の報告に基づき、ポンサパット警察庁副長官が発表。
容疑の中にはすでに時効が成立したものもあるが、ポンサパット副長官は具体的にトンロー署の対応のうち何が問題だったかについては明言を避けた。だが、報告書では、トンロー署の警察官が意図的に捜査などを遅らせたか否かにも言及されていた。なお、ポンサパット副長官は、事実関係を全て解明改名するにはさらなる調査が必要としている。
2012年09月03日早朝にクルングテープ都内のスクムビット通りでバイクでパトロール中の男性警官が高級スポーツカーに跳ねられ死亡した事件で、スポーツカーを運転していたウォラユットが現在も起訴されていないことが明らかになり、警察、検察への批判が強まっている。
ウォラユットが運転する黒いフェラリーが前を走行していたトンロー署勤務のウィチアン警察上級曹長のバイクに追突し、ウィチアン曹長を約200m引きずって死亡させた。フェラーリは現場から走り去った。衝突した当時、フェラーリは時速約170㎞で走行していたと見られる。
警察はフェラーリから流れ出たとみられるオイル跡を辿ってユーウィタヤー邸に辿り着いたが、警備員に進入を阻まれた。ウォラユットは数時間後に警察に出頭し、呼気からアルコールが検出された。ウォラユットは「帰宅後に気を静めるため飲酒した。」と主張。
ウォラユット容疑者が出頭する前に、ユーウィタヤー邸の自動車整備係の男性が「自分がフェラーリを運転していた。」と名乗り出たが、状況説明が出来なかったことから、警察は虚偽と判断した。このとき、「男性を犯人に仕立てる工作に関与した疑いがある。」として、所轄のトンロー署の幹部警官が首都警察付に異動処分を受けた。
この事件では当時のクルングテープ首都警察司令官がユーウィタヤー邸を訪れ、「相手がどんな大物でも関心がない。真犯人を捕まえられないなら辞任する。」と啖呵を切り、周辺にいた警官から喝采を浴びた。しかし、捜査は以来、鳴りを潜め、マスコミ、世論も事件のことを忘れかけていた。
事件に再度スポットライトが当たったのは今年03月。中部アユタヤ県で、フォードの乗用車が猛スピードで走ってきた独メルセデス・ベンツの高級乗用車に追突されて炎上し、タイ人男女が死亡する事故がきっかけだ。死亡した男女が前途を嘱望されていたこと、ベンツを運転していた資産家男性が事故後、アルコール検査を受けなかったこと、事故当時のスピードが時速200㎞以上に達していたことなどが次々と報じられ、「警察が資産家男性に便宜を図ったのではないか。」という疑いが浮上。
事件にともない、マスコミが過去に有力者、資産家が起こした交通事故を再度調べたところ、ウォラユットが事故から4年近く経っても起訴されていないことが明らかに。スピード違反についてはすでに時効となっていた。
また、2010年に、当時16歳だった少女が運転する乗用車が高架高速道路上で旅客バンに追突し、バンの乗客9人が車外に投げ出され、下の一般道に転落するなどして死亡、他の乗客5人が重傷を負った事件についても、裁判で執行猶予となったこの少女が裁判所が命じた社会奉仕活動を行っていなかった疑惑が浮上した。この少女は王室の後裔である事を示す姓を持つ資産家一族の出身で、親族には陸軍大将や大手工業団地の経営者、テレビ俳優らがいる。
北部ナーン県ムアン郡(県庁所在地)で、兵士と警察官の合同チームがシリントン元プア・タイ党下院議員の自宅を家宅捜索し、タクシンのメッセージ付きのプラスチック製手桶8862個を押収。シリントン元議員は政情不安を煽ろうとした罪に問われることになった。
手桶はタクシン派のシンボルカラーである赤色で、タクシンの署名付きのメッセージは、「状況はホットだが、この手桶で水をかけて涼を取ってほしい。」というもの。シリントン元議員によれば、「手桶は03月半ばにクルングテープからトラックで運ばれてきたもので、すでに一部をプア・タイ党の元議員に配った。」
国外逃亡中のタクシンは首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の有罪が確定した犯罪人だが、判決を不当として帰国して刑に服すことを拒み続けている。
04月03日(日)タイで最も歴史ある民主党の元党首で現在同党のチーフアドバイザーを務める首相経験者のチュアン(77)は、憲法裁判所が開催した新憲法草案に関するセミナーの席上、「進展が見られず、過去の憲法に勝るものではない。」と批判し、「新憲法がタイを後戻りさせるものであってはならない。」と訴えた。
チュアンはさらに、「民主主義を発展させるためには選挙が重要だ。選挙制度に問題があるのならそれを改めてゆく必要がある。」と力説。
04月04日(月)北部ナーン県で国外逃亡中のタクシンのメッセージと署名が印字された大量の赤いプラスチック製手桶が元タイ貢献党議員の自宅から見つかったことについて、サンサーン政府副報道官は、「このようなものを配ることは社会の分断、政治対立の激化をもたらしかねず、配布した者は態度を改めるための再教育を受けることになる。」との見解を明らかに。
サンサーン報道官によれば、「手桶をソンクラン祭の際の水掛け荷使わせることが狙いで、手桶にはタクシンのメッセージが印刷されており、政治的なものと言える。政治とは無関係のソンクラン祭に政治を持ち込むことは容認できない。」
04月05日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、新憲法草案の内容を国民に理解してもらうためのキャンペーンを妨害しようとしている政党が存在すると批判。 CDCはキャンペーンの一環としてタマサート大学ランシット・キャンパス(パトゥムタニー県)で新憲法草案に関するフォーラムを開催したが、会場ではプラカードを手にした高校生や軍政批判・新憲法ボイコットを求める者の言動のためミーチャイ委員長のスピーチが2度にわたって中断された。
フォーラム終了後、ミーチャイ委員長は、「善意に基づいていれば自由に意見を表明することができる。だが、誰かの指示でやっているとしたら、彼らは言論の自由の意味を何も理解していない。」と批判。新憲法草案の是非を問う国民投票は08月07日に実施される予定。
04月06日(水)新憲法草案の内容を国民によく理解してもらうためのキャンペーンの一環として先にタマサート大学ランシット・キャンパスで開かれたフォーラムで高校生などが草案への反対を訴えて会場外につまみ出されたことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「フォーラム妨害を仕組んだ者がいる。」との見方を示し、この者たちに法的措置をとる考えを明らかに。
新憲法草案に対しては批判的な意見も少なくないようだが、当局は新憲法草案を国民投票で否決に持ち込むことを目的に草案を批判している勢力が存在すると見ている。
なお、プラウィット副首相は、フォーラムを妨害した高校生たちについて「物事がまだよくわかっていない。」として処罰する考えのないことを明らかに。
04月07日(木)立法議会(NLA)では、08月07日実施予定の新憲法草案の是非を問う国民投票で下院議員だけでなく上院議員も首相選出の投票に参加させるべきか否かを有権者に質問することが決まった。
立法議会は国民投票に質問を追加することを賛成142対反対16で承認。その後、質問を首相選出での上院議員の役割に関するものとすることを賛成152対反対0で承認。上院議員は現在の軍政の主導で任命された人々が務めることになっており、国民投票で質問に賛成する意見が過半数を占めることになれば、総選挙後の首相選出にも軍部の影響力が及ぶことになる。
なお、新憲法草案では、「下院議員が首相を選ぶ。」と規定されているため、国民投票で草案が可決され、質問に賛成する意見が過半数となれば、憲法起草委員会(CDC)は新憲法制定までに草案の該当部分を「首相は上院議員と下院議員によって選ばれる。」と書き換えることになる。
タクシン派プア・タイ党の本部では、タイ正月(04月13日)を祝うソンクラン祭にちなんだ祝賀イベントが一足早く催された。ここで支那と回線を結んだ大型スクリーンにタクシンが登場。本部に集まった元議員、党幹部、支持者に対し、「総選挙が(予定通りに)来年実施されると確信している。」と述べ、選挙キャンペーンに力を入れるよう呼びかけた。
なお、プア・タイ党の元議員らによれば、「『総選挙後に誕生する新政権は複数の政党からなる連立政権となる見通し。ただ、この政権は1~2年の短命に終わる可能性が高いことから、この政権のもとで軍部を政治から排除すべく最善を尽くす必要がある。』とタクシンは訴えた。」
04月08日(金)新憲法草案の是非を問う国民投票で首相選出における上院議員の役割に関する質問を追加することが先に立法議会(NLA)で承認されたが、これに批判的な人々からは、「軍政を支持するよう仕向けるという隠された狙いがあるのではないか。」といった意見。
中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、追加質問について「文章が長く、専門用語が用いられているため、有権者には理解しにくい。」と批判的な見方を示している。質問の全文は、「(総選挙後の)移行期5年間における国家戦略のもとで国家改革を継続的に遂行するためにあなたは、上下両院の合同会議で首相を選出することを許し、これを(新憲法草案の)暫定条項に加えることに同意するか。」
04月10日(日)タイで最も長い歴史を持つ政党である民主党は、新憲法草案および上院議員も首相選出に参加させることに反対すると表明。もう一つの大政党でタクシン派のプア・タイ党はすでに憲法案への反対を明言しており、08月に予定されている憲法案の国民投票に影響。
民主党のアピシット党首(元首相)は10日の記者会見で、「憲法案の内容は軍政が破棄した2007年憲法から教育、保健、消費者保護、環境保護など多くの面で後退した。」と指摘。議会上院が5年間、現軍事政権による任命制になることで、国民の政治への参加が縮小すると懸念を示した。軍政が汚職の取り締まりなどを理由に政治への関与を正当化しようとしていることについては、「タイは独裁か汚職かという選択をすべきではない。」と述べた。
具体的には、民主党は08月07日に予定されている新憲法草案の国民投票で反対票を投じ、また下院議員のみならず上院議員も総選挙後の首相選出に参加させるべきか否かとの追加質問に「いいえ」と答えるべきとしている。
総選挙後の移行期5年間に限り上院議員は現在の軍政主導で任命された人々が務めることになっているが、軍政は首相選出にこの上院議員も参加させようとしている。アピシット民主党党首によれば、「首相選出に上院議員を参加させることは批判を招き、政治対立をエスカレートさせる恐れがある。」
なお、軍政も民主党も反タクシンではほぼ共通しているものの、政治対立を解消して国民和解を実現する手法に関しては意見が完全には一致していない。このため民主党は軍政をしばしば批判しているが、現在政治集会が禁じられていることから党の総会が開催できず、今回の表明が民主党の総意かどうかは今のところ不明。
民主党が反対を表明したことで、日頃犬猿の仲の2大政党が憲法案に関しては足並みを揃えた形だ。ただ、プア・タイ党が新憲法案が公表された翌日の03月30日に、「起草に民意が反映されず、非民主的な内容。」として反対を表明した一方、民主党は10日以上、態度を明らかにしなかった。民主党は2013年末から大規模な反プア・タイ党政権デモを主導し、2014年05月の軍事クーデターのきっかけを作った。こうした経緯から、党支持者のかなりの部分は軍政支持と見られ、憲法案をめぐって軍政と対立することに迷いがあったようだ。
軍政の憲法案は国会を公選制の下院(定数500)と当初5年間は軍政が議員を任命する上院(定数250)の2院制とし、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシンの台頭を招いたとみて、下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。不安定な連立政権が成立する条件を整えた。軍・特権階級が軍事力と司法、傘下の上院を通じ、連立政権で不安定な下院と政府を間接的に支配することを狙った内容で、プレム政権(1980~1988年)の政治体制を彷彿とさせる。
軍政は08月に新憲法案の国民投票を実施し、来年07月に下院総選挙を実施する方針だ。新憲法案が否決された場合の対応は明らかにしていないが、新憲法案に批判的なタクシン派の政治家や市民を相次いで「態度矯正」と称して拘束するなど、国民投票での可決を力ずくでもぎ取る姿勢を鮮明にしている。
03月29日には、プラユット首相が軍政トップに事実上の全権を与える暫定憲法44条を行使し、広範は警察権限を軍士官に与える命令を発布。時期が時期だけに、憲法案に反対するタクシン派の取り締まりが狙いと見られる。
この命令については、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチといった6つの国際的な人権保護団体が、重大な人権侵害を招き法治を揺るがすと批判する共同声明を出したほか、米国務省が懸念を示した。
同日、タクシンの地元であるチエンマイでは、インターネットの交流サイト、フェイスブックにタクシン派からプレゼントされたと見られる赤い手桶の写真を掲載したタイ人女性サーラワン・チャロエタンスック(57)(パ・ワン)が扇動罪容疑で逮捕された。手桶には「(政治)状況は暑いけど、ピーノーン(兄弟姉妹)はこの手桶で涼んで。ソンクラン(タイ正月)祝賀」というメッセージが印刷されていた。赤はタクシン派のシンボルカラー。
軍政はこの赤い手桶に神経を尖らせ、04月01日にナーン県のプア・タイ党所属の前下院議員宅で8862個、09日には東北部スリン県でタクシン派市民の自宅で547個を押収した。プラユット首相は、「手桶を配った場合は連行拘束すると警告。
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これに対しタクシンは3日、インターネット上の写真共有アプリ、インスタグラムに問題の赤い手桶の写真を投稿し、「手桶は毎年配っているもの」、「これが国家の安全保障上の問題か」と軍政を批判。「時間と税金を有効に使い、深南部のテロや麻薬といった重要な問題に取り組むべき。」
国家安全保障会議(NSC)のタウィープ事務局長はこのほど、新憲法草案に関する国民投票に影響するような不適切な行為は新憲法草案国民投票法に違反する恐れがあるとして、このような行為を控えるよう呼びかけた。
同法では、不適切な方法で反対票あるいは賛成票を投じさせようとする行為などが禁じられている。そのため、関係当局が監視の目を光らせているが、今のところ違反行為は確認されていない。なお、新憲法草案の内容を国民の理解してもらうためのキャンペーンは選挙管理委員会が展開する。
04月12日(火)北部ナーン県でタクシン派プア・タイ党所属の元下院議員の自宅からソンクラン祭用に配布される予定だったと見られるタクシンのメッセージなどが印刷された赤いプラスチック製手桶が大量の見つかり、当局がこれを押収することになったが、今度は中部カンペンペット県で反タクシン派民主党所属の元下院議員の自宅からソンクラン祭用に配布するために用意された救急セット約1600個が見つかり、これも押収された。救急セットはアピシット党首の写真付きのもの。現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)では、「政治的な活動が国内の混乱などを招く恐れがあるため、政党や政治家はソンクラン祭の際に物品を配布してはならない。」と警告。
プラユット首相は、「政党が人々にものを配布するのは不適切。そして、違反をする者があれば、それを取り締まるのが当局の当然の務め。」と述べた。
04月13日(水)憲法起草委員会(CDC)が先にまとめた新憲法草案を受け入れるか否かを問う国民投票が08月07日に実施される予定だが、プラユット首相はこのほど、「草案が国民投票で否決されたら新たに新憲法を作成する。」と述べ、否決の際には過去の憲法を新憲法として制定する考えのないことを明らかに。
現行の新憲法草案が否決された場合については、2大政党のうちタクシン派プア・タイ党が1997年憲法を、反タクシン派民主党が2007年憲法を新憲法として復活させることを要求している。
プラユット首相は、「過去の憲法は使わずに新たに憲法を作成する。これについてはすでに思い描いているプランがある。」
タクシン派を政権の座から排除した軍部が主導する現政権下で民政移管に向けた新憲法制定の手続きが進められているが、タクシン派と反タクシン派の団体が表立って新憲法草案に反対、賛成する動きを見せており、政治対立がエスカレートする可能性が出てきた。
一昨年05月の軍事クーデターまでタクシン派インラック政権(当時)を非難する大規模な街頭デモを主導していたステープ元副首相(元民主党幹事長)をリーダーとする基金は、「ソンクラン連休後に新憲法草案への支持を表明する。」と発表。これに対抗しタクシン支持団体、反独裁民主同盟(UDD)も、「新憲法草案への反対を同じ日に表明する。」と明らかに。
なお、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は「新憲法草案を批判する者については出頭させて再教育を受けさせる。」と警告。
04月14日(木)憲法起草委員会(CDC)は新憲法草案に関して国民の理解を深めるためのキャンペーンが悪辣な方法で妨害される恐れがあるとしてキャンペーン期間中、CDC委員の身辺警護を治安当局に要請する見通し。
草案にはタクシン派プア・タイ党も反タクシン派の民主党も反対の立場を表明。
プア・タイ党所属のワタナー元下院議員が先にネット上で新憲法草案を批判する書き込みをしたことから、兵士らがワタナーを出頭させるため事前に通知した通りに自宅を訪れたが、ワタナーは不在。
軍はワタナーに兵士が自宅を訪れることを伝えていたが、お手伝いの女性によれば、「ワタナーは『月曜日(18日)に戻る。』と言い残して行き先を告げずに外出した。」
関係筋は、ワタナーは出頭すればしばらく身柄を拘束されるため、これを嫌って逐電したものと見ている。
04月17日(日)「市民の権利のための学識経験者ネットワーク」と称する学者グループが、タマサート大学で記者発表を行い、「議会制を弱め、国民の権利と自由を制限する。」と新憲法草案に反対すると表明。
同案は憲法起草委員会がまとめたもので、その是非を問う国民投票が08月07日に予定されている。
同グループによれば、「草案には数多くの問題があり、同案が国民投票で可決されて新憲法として制定されれば、国民の生活などに非常に大きな影響が及ぶことになる。」
04月18日(月)公然と軍政を批判したとして当局が出頭を求めていた、タクシン派プア・タイ党の幹部ワタナー・ムアンスク元商務がクルングテープ都内で身柄を拘束され軍の施設に連行された。
連行される際、ワタナーは、「新憲法草案に反対と述べただけで何も悪いことはしていない。今日の午後3時までに解放されなければ、軍人が私の人権を侵害したことになる。」と訴えた。
なお、当局はワタナーが軍政や新憲法草案を批判し続けるのではあれば、1週間に及ぶ集中再教育プログラムを受けさせる構えを見せている。
ワタナーが軍政に身柄を拘束されるのは、2014年05月のクーデターで軍がタクシン派政権を倒し政権を奪取して以来5回目。プア・タイ党はにタイ語と英語の声明を出し、「表現の自由の侵害。」して、ワタナーの即時釈放を要求。
軍政の憲法案は議会上院を軍政による任命制とし、非議員の首相を認めるなど、軍による間接支配を狙った内容。軍政は08月に国民投票を行い憲法案の是非を問う予定だが、憲法の内容に関する意見表明や議論を事実上禁止している。ワタナーはこうした禁止を無視し、インターネットの交流サイト、フェイスブックを通じ、憲法案への反対を表明。
憲法擁護協会のシースワン事務局長が、「プラユット首相の弟プリーチャー国防事務次官が権限を乱用して自分の息子を陸軍第3管区の役職に就かせた。」として国家汚職制圧委員会(NACC)などに訴えた。
プリーチャー次官の息子パティパットは官営石油・ガス会社のPTTで広報などを担当していたが、陸軍第3管区が民事事案の担当者(月給1万5000B)を採用することになり、これに応募し採用されたもの。プリーチャー次官はこれについて全く不正はないとしている。だが、シースワン事務局長によれば、「プリーチャー次官は息子を特別扱いして採用したもので反腐敗法、行政訴訟法などに違反する。」
一方、プラウィット副首相兼国防相は、「不正な縁故採用ではないのか。」との質問に直接返答することは避けたものの、「君らは軍人になりたい(軍に採用されたい)と思うか。」と述べ、軍の役職を得て喜ぶものはあまりいないとの見方を示した。
04月19日(火)プラユット首相の弟プリーチャー国防事務次官が権限を乱用して息子を陸軍第3管区の役職に就かせたと批判されている問題で、プラユット首相は、「通常の任用である。」と述べ不当な縁故採用との見方に反論。
この疑惑を最初に指摘したシースワン憲法擁護協会事務局長によれば、事務次官の行為は反腐敗法などに抵触するとのことだ。プラユット首相は、「この件についてはあまり発言したくないが、任用された者が私と同じ名字かどうかは気にしない。私はルールに従っている。」と述べ、適切な手続きを踏んで弟の息子が軍に採用されたとの認識を示した。
タクシン派プア・タイ党の幹部ワタナーが軍政や新憲法草案を公然と批判したことから身柄を拘束された問題で、治安当局は、クルングテープ中心部の戦勝記念塔の周辺でワタナーの解放を要求した4人を数時間にわたり拘束して聞き取りを行った。容疑は、公の場で政治的発言を禁ずるという軍政の命令に違反したというもの。
また、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の関係筋によれば、ワタナー(元商業相)は2年までの禁錮刑、4万Bまでの罰金刑が科せられる可能性がある。
ワタナーの身柄拘束について、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)は、「(ワタナーは)元気にしている。」、「(拘束期間がどのくらいになるかは)わからない。」などと述べた。
04月21日(木)軍政や新憲法草案を公然と批判したとして当局に捕らえられたプア・タイ党幹部のワタナー元商業相が軍事裁判所に8万Bの保証金を納めて保釈された。
現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)によれば、ワタナーは2014年05月25日に政治的活動をしないことなどをNCPOに誓約していたが、これに反して軍政などを批判するという政治的行為に出たことから身柄を拘束されたもの。
また、軍事裁判所は今回の保釈の条件として社会不安を煽るような言動や出国を禁じており、NCPOは、「同じようなことをしたら今度は投獄される。」とワタナーに警告。
04月22日(金)プラユット首相が先に08月07日に予定されている新憲法草案の国民投票について、「タクシンと外国のロビイストが新憲法草案に反対票を投ずるよう呼びかけた最近の動きの背後にいる。」と述べたことに対し、国外逃亡中のタクシンは、ネット上で「国際的な批判を浴びているのは現政権にすべて責任がある。」と、責められるべきは現在の軍政との見方を示した。タクシンはまた、「軍部がクーデターで全権を掌握してから現在に至るまでの2年間に起きたのは、権限の乱用、人権侵害、国際法違反だけ。」と批判。
関係筋によれば、軍部がタクシン派の台頭を政治対立・国内混乱の主因と考え、新憲法や国家改革でタクシン派の弱体化を図ろうとしているのは明らかであり、このためタクシン派は国民投票による新憲法草案可決などを阻止しようと躍起になっている。
クロンチャン信用協同組合の組合長による巨額横領事件に絡んで不正への関与が疑われているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職について、タイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)は、「さらなる出頭延期は認めない。」と住職に法的措置を執る構えを明らかに。
これはダムマチャヨーにクロンチャン信用協同組合から小切手が振り出されていたことによるもの。DSIは先にダムマチャヨーに容疑を伝えるべく出頭を要請。だが、多忙との理由で出頭は延期。その後、ダムマチャヨーは再び出頭の延期を要請。これに対しDSIは、「認められない。」と一蹴した。なお、近代的な本堂などで知られるタマカーイ寺は、信奉者に高学歴者が多く、巨額の資金を保有しているとされる異色の仏教寺院。過去に違法行為に関与している疑いもある。
04月24日(日)2013年から翌2014年05月に軍部がクーデターで全権を掌握するまで当時のタクシン派・インラック政権を非難する大規模な街頭デモを主導したステープ元副首相(元民主党幹事長)は、国家改革を推進するというステープらの要求に合致する内容として新憲法草案を全面的に支持する考えを表明。
また、ステープらの勢力にとってライバル的存在であるタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)は、08月07日の国民投票で新憲法草案を否決に持ち込むべく同案に反対すると表明するとともに、国連や欧州連合に対し、「投票が適正に行われない恐れがある。」と投票を監視するオブザーバーを派遣するよう求めた。
04月25日(月)テレビ報道によると、チエンマイ市の警察署に盗難届を出した日本人、ソミヤ・ヒロノブ(45)が事件をでっち上げた容疑で逮捕された。警察は盗難保険金目当てに虚偽の盗難届を出したと見て取り調べを進めている。
ソミヤは、チエンマイ市警を訪れ、「24日夜、チエンマイ市内をバイクで走行中、ハンドル前の荷物籠に入れたかばんを別のバイクに乗った2人組の男をひったくられた。」と被害届を提出。警察は犯行現場とされる場所で聞き込み捜査を行うとともに、防犯カメラの映像を調べたが、目撃した人はおらず、防犯カメラにも犯行を示す映像はなかった。このため、ソミヤが宿泊中のホテル客室を調べたところ、引ったくられたとされるタブレット端末などが見つかった。ソミヤは取り調べに対し、狂言であることを認めた。
チエンマイ市警察によると、「これまでに度々外国人観光客が盗難保険金目当てに虚偽の被害届を出す事件が起きているが、市内には多数の防犯カメラが設置されており、でっち上げが発覚するケースが多い。」
ソミヤは最大罰金6000Bと禁固3年の一方または両方が科せられる。
タイ仏教界において少なからぬ影響力を有するとされる異色の寺、タマカーイ寺のダムマチャヨー住職がクロンチャン信用協同組合を舞台とした巨額横領事件に関与したと疑われている問題で、法務省特別捜査局(DSI)は、ダムマチャヨーが出頭要請に応じないことから住職の逮捕状を執る方針を明らかに。
DSIによれば、「ダムマチャヨーは横領事件に絡んでマネーロンダリング(資金洗浄)をしたり、不正な資金を受け取ったりした疑いがあり、これら容疑を伝えるべく住職に出頭を求めているが、タマカーイ寺は未だに応じていない。」
一方、タマカーイ寺は、ダムマチャヨーが病気のため様々な症状が出ており、今のところ出頭は不可能とする声明を発表。
新憲法草案の是非を問う国民投票が08月07日に実施される予定だが、100人を超える学者、活動家、政治家が、投票前に新憲法草案に関する自由な意見表明を許可するよう当局に求めた。政治家にはタクシン派プア・タイ党、反タクシン派民主党の元下院議員が含まれる。
この表明はチュラロンコーン大学政治学部で開催されたセミナーの中で行われたが、これに先立ち、プラウィット副首相兼国防相が「このような表明は国民投票法に抵触する可能性がある。」と警告していた。
セミナーに出席したスダラット元タイ・ラック・タイ党副党首は、「新憲法草案に関する意見表明の権利を『態度矯正』のための身柄拘束などで制限することは基本的人権の侵害であるばかりか国民投票の手続き全体の適法性を損なわせることになる。」と述べている。
04月26日(火)クロンチャン信用協同組合で起きた巨額横領事件で、法務省特別捜査局(DSI)がタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が出頭要請に応じないことを理由に逮捕状を請求したが、刑事裁判所は、「ダムマチャヨーが逃亡することは考えにくい。」として請求を却下。
多忙を理由に出頭を拒否している住職についてタマカーイ寺はこのほど、「病気であり15日ほど休養する必要がある。」との医師の診断を示したが、裁判所は事実上この説明を信じ逮捕状発効を拒否。DSIは05月16日に改めて住職に出頭を要請する予定。
先に100人を超える学者や政治家などが新憲法草案に関する自由な意見表明を当局に求めたが、「このような要求が法に触れる恐れがある。」とプラウィット副首相兼国防相が事前に警告していたことに対し、サティット元民主党議員はこのほど、「政府は国のためになる真摯な意見と騒動を起こそうとする意見を区別する必要がある。」と述べ、新憲法草案の国民投票の前に同案に関するあらゆる意見表明を制限するのは間違っているとの見方を示した。
サティットによれば、「軍政は全ての政党が創造性を欠き利己的であり、私利私欲のために意見を表明していると誤解している。」
04月27日(水)政府と首相を批判する不適切な政治的コメントをインターネットの交流サイト(SNS)、フェイスブック(FB)に書き込んだとしてクルングテープと東北部コンケーン県で10人(報道により8人)がコンピューター犯罪法違反容疑で逮捕。
これについてプラユット首相は「悪いことをしたのであれば誰でも逮捕されなければならない。」と述べ、10人の逮捕を当然の対応との見解。
また、夕方にはクルングテープ中心部の戦勝記念塔周辺で新憲法草案を批判し10人が逮捕されたことに抗議した16人が身柄拘束。
クロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に関与した容疑のタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が、法務省特別捜査局(DSI)の度重なる要請にもかかわらず出頭を拒否している問題で、DSIはこのほど、住職が健康体であることを示しているとされる動画を公表。タマカーイ寺は「先に腫れ上がった足の写真などを示して住職が病気であり、休養が必要なため出頭できない。」と説明。
DSIによれば、動画はダムマチャヨーの信奉者に紛れ込んだDSI関係者が撮影したもの。
04月28日(木)ネット上で現政権とプラユット首相を批判する書き込みをしたとされる者8人が逮捕された事件で、シーワラ警察庁副長官は、「関与が疑われるとしてタクシン派幹部のチャトポンと声高にクーデターを批判してきたソムバットを逮捕すべく証拠を集めているところだ。」と明らかに。警察は逮捕者8人に行為などについて詳しい調査を行っているが、これら容疑者の中に頼まれてチャトポンらのためにウェブサイトを開設していた人物のいたことが判明。
04月29日(金)新憲法草案の是非を問う国民投票が08月07日に予定されているが、中央選挙管理委員会は、投票前に行ってよいことと悪いことなどを定めた規則の内容を発表。禁止事項としては、メディアとのインタビューやインターネット上で虚偽を述べたり不安を煽るような乱暴な発言をしたりすること、不安を煽るような暴力的なサインやシンボルを表示すること、賛成あるいは反対を意味するシャツ、旗、リボンなどを人に着せたり、持たせたり、付けさせたりすることなど。
05月01日(日)午前02時頃日本で起きた医療費の還付金を巡る詐欺事件の主犯格として兵庫県警が国際手配していた本籍千葉県のコンサルタント会社「ミヤマ」 社長、吉沢脩平(34)が、クルングテープ都内で逮捕された。タイ警察は容疑者について約1年前から捜査を行ってきた。吉沢脩平のグループは、市役所の職員を装って電話を掛け、「医療費の払い戻しがある。」などと電話を掛け、自身が経営する会社に投資させる手口で、現金を騙し盗るという手口で犯行を重ね、被害者は高齢者ばかり600人以上、被害総額は5?6億円に上る。
吉沢脩平は2015年03月にタイに入国し、タイ人の女性と結婚。逮捕当時はクルングテープのラマ9世通地区のマンションで暮らしていた。吉沢脩平はタイ人妻とともに乗用車で外出。ラマ9世通を走行中に警察車両が近づいてきたことに気づいた吉沢脩平がプラチャーソンクロ通ソイ1に右折進入するとすぐ車を降りて徒歩で逃走したため、警察官が追いかけて身柄を確保。逮捕の際、吉沢脩平が抵抗したため警察官1人が軽傷を負った。
警察によれば、「吉沢脩平はこれまでに旅行者としてタイに45回入国していた。入国管理法違反容疑で逮捕され、近く日本に送還する予定。」
プラユット首相は、メーデーに因んだ式典をクルングテープ中心部のサーナムルアン(王宮前広場)で執り行い、ここで、労働団体などが国際労働機関(ILO)協定の批准や1日当たり最低賃金の360B引き上げを要求していることに対し、「労働者の待遇改善に努力する。」と約束。
この式典には17の労働団体などから約1000人が参加。プラユット首相は演説の中で、「政府がこの先5年のうちにタイの安定性、繁栄、持続的開発のレベルアップを目指している。労働者も古い産業が消えて新しい産業が生まれるという時代の変化に対応する必要がある。」と指摘。
05月02日(月)クルングテープを訪れた岸田文雄(58)外相は、政府庁舎にプラユット首相を表敬訪問。ここでASEAN(東南アジア諸国連合)市場のさらなる統合、この地域の平和と治安の強化などへの協力をタイに求めた。この会談にはソムキット副首相(経済担当)が同席した。岸田文雄は01日にはドン外相とも会談。一昨年05月の軍事クーデター以来、日本の外相がタイを訪れるのは初めて。
一昨年05月にクーデターでタクシン派インラック政権を倒した軍部の主導するプラユット政権下で民政移管に向けて新憲法を制定すべく新憲法草案の是非を問う国民投票が08月07日に予定されているが、ティラチャイ陸軍司令官はこのほど、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)のリーダーであるチャトポンやソムバットといったクーデター批判組にこれまで以上に厳しく対応する意向を明らかに。
新憲法草案を否決に持ち込もうと批判するタクシン支持者などに対し、当局はこれまで説得によって態度を改めさせようとしてきたが、ティラチャイ司令官によれば、「話し合いでは埒が空かない為、厳しい措置をとることが必要になっている。」
05月03日(火)08月07日の新憲法草案の是非を問う国民投票実施に向けて先に中央選挙管理委員会が禁止行為の具体的内容を発表したが、これに対し、人権活動家などからは「有権者の権利を制限する不当なもの。」といった反発の意見。
禁止行為には、新憲法草案に関するネット上の不適切な意見に対し「いいね!」をクリックすることなども含まれるとされる。これは国民投票で草案を否決に持ち込むために誤った情報を広めることなどを防止しようとしたものであるが、国家人権委員会や人権弁護士協会のメンバーなど学識経験者らは国民の基本的人権を侵害するものと批判。
中央選挙管理委員会が新憲法草案の是非を問う08月07日の国民投票に先立って行ってよいことと悪いことを発表したが、国家人権委員会はこのほど、新憲法草案に関する自由な論議を許可するよう当局に要請。
選管によれば、ネット上で新憲法草案に関する不適切な意見に対し「いいね!」をクリックすることも禁止行為に含まれるという。
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、CDCが新憲法に関する質問に答えるためのコールセンターを設置し、新憲法草案の内容をよりよく理解してもらうためのキャンペーンにさらに力を入れる方針と明らかに。
05月04日(水)「都庁による総費用3900万Bの電飾ショーに不正があり、これにスクムパン都知事など9人が関与している。」と会計検査院が指摘したことについて、スクムパン都知事は、「辞任するつもりはない。」と述べ、自身が悪事を働いたと非難する者たちを相手取って訴訟を起こす考えを明らかに。
スクムパンは民主党に所属しているものの、ここしばらくは民主党との関係悪化が報じられており、民主党の元議員からは、国家平和秩序評議会(NCPO)議長=プラユット首相による強権発動を規定した暫定憲法44条に基づいて政府はスクムパン都知事を停職にすべきという意見も出ている。
スクムパン都知事によれば、「任期半ばで辞任するつもりはなく、任期を全うしてから休息することを予定している。」
05月05日(木)サンサーン政府副報道官によれば、インラック前政権下で当時の大臣などが合計620万tの米を政府間取引で外国に輸出したように偽ったとされる問題で、プラユット首相はこのほど、商業省に対し、前政権のブンソン商業相、プーム副商業相、元外国貿易局局長など6人に対し速やかに200億Bの損害賠償を命ずるよう指示。この件については財務省がすでに商業省に対し、当時の関係者に損害賠償をさせるよう要請。これを受けてプラユット首相が改めて迅速な対応を要請したもの。
なお、プーム元副商業相は、「政治的な目的で我々の信用を失墜させようとしたもの。」と強く反発。
05月06日(金)」王室を批判するメッセージを受け取ったにも関わらず送り手を諭すなどの反応を示さなかった。」として、反軍政活動家のシリウィット・セリティワット(チャニュー)の母親、パトナリー・チャーンキット(40)を不敬罪容疑で拘束。
05月07日(土)軍政への批判を繰り返しているシリウィット・セリティワット(チャニュー)の母親パトナリー・チャーンキット(40)が先に不敬容疑などで逮捕されたことについて、国家平和秩序評議会(NCPO)の法律専門家ブリンは、「逮捕は確固たる証拠に基づいたもの。」と説明し、「不敬の疑いがほとんどないのに捕らえられた。」との見方に反論した。問題とされたのは、ネット上での書き込みというが、その証拠に関しては詳細を明らかにしなかった。
タイでは不敬とされる文言を引用することも不敬行為となるため、不敬事件で問題の文言の内容を当局が発表することもマスコミが報ずることもない。
05月08日(日)現政権の最優先課題の一つである国家改革を実現すべく検討を進めている国家改革推進会(NRSA)の政治改革委員会はこのほど、政治対立を解消し国民和解を実現する手段として新法を制定して政治関連犯の裁判を延期することを提案。
政治関連犯に恩赦を適用することには根強い反対がありいまだに実現していないが、政治改革委員会のセリー委員長は「今回の案は恩赦とは異なる。」と指摘。「恩赦ではまず罪を認めて条件に従うことを約束してから放免となるが、政治改革委員会が提案しているのは裁判の保留であり、例えば、一生涯政治デモに参加しない、あるいは、政治的な権利を剥奪されるといった条件を受け入れることで裁判が中断されたままとなる。」
反政府活動家のシリウィット・セリティワット(チャニュー)の母親パトナリー・チャーンキット(40)が不敬などの疑いで逮捕されたことに「人権侵害」といった批判が出ている問題で、軍事裁判所は、パトナリーの勾留12日間延長という警察の要求を認めたものの、数時間後に容疑者の弁護団から保釈が請求されるとこれを許可。
関係筋によれば、国連で間もなく各国の人権保護の状況などが検討される予定であることから、ここでタイの評価が下がることがないよう保釈を許可したものと考えられる。
弁護団は、パトナリーが国外逃亡の恐れもなく、自ら警察に出頭して逮捕されたことを説明し保釈を請求。
05月10日(火)プラユット政権が最優先課題とひとつしている政治対立解消・国民和解を実現すべく国家改革推進会(NRSA)の政治改革委員会が先に政治関連犯の裁判や刑執行の延期を提案したが、プラウィット副首相兼国防相は、「さらなる論争・対立を招くことになる。」と述べて、同案に反対する考えを明らかに。
政治対立は、国外逃亡中のタクシンを支持する陣営とタクシン流政治に反対する陣営の意見が相容れないことが原因だが、同案については、すでに両陣営から批判が出ており、「NRSAは解散すべき。」との声も挙がっている。
04月27日に「インターネットの交流サイト(SNS)、フェイスブック(FB)に軍政やタイ王室を批判するコメントを書き込んだ。」として、扇動罪、不敬罪などの容疑で逮捕したタイ人男女8人を保釈。
相次ぐ逮捕を受け、反軍政派の市民の間では、フェイスブックが個人情報を軍政に渡しているといううわさが広がった。フェイスブックはこうした噂を否定している。ただ、フェイスブックは王室を批判する内容が含まれるページのタイ国内での閲覧をブロックした模様で、こうした内容が含まれるページにアクセスしようとすると、「現地の法律により閲覧できない。」という表示が出るようになった。
タクシン派の政治家、民主化活動家らを次々に拘束するなど、締め付けを強化している。人権無視という批判には、「法律違反の取り締まりだ。」(プラユット首相)と応じ、強硬姿勢を崩していない。
05月11日(水)ワサン元タイ憲法裁判所長官に対する名誉棄損で2015年07月から服役していたタクシン派の政党、プア・タイ党のプロームポン前報道官とキアットウドム前下院議員が、仮釈放でクルングテープの刑務所から出所し、家族やプア・タイ党幹部らの出迎えを受けた。
テレビ報道によると、2人は服役中、粗食と運動などで体重が落ち、プロームポンは85㎏から74㎏に減量。キアットウドムは22㎏の減量だという。
プロームポンとキアットウドムは2010年の記者会見で、当時憲法裁長官だったワサンが公正さ、中立性を欠いていると批判。ワサンは2人を名誉棄損で訴え、2015年に最高裁で執行猶予無しの禁錮1年の判決が下った。
タイの憲法裁、最高裁は2005年から続くタクシン派と反タクシン派の抗争の中で、タクシン派の政党を2度解党し、タクシン派政権による憲法改正の試みを違憲として退けるなど、一貫してタクシン派に不利な判決を下している。
国家改革推進会(NRSA)の政治改革委員会が先に政治関連犯の裁判や刑執行の延期を提案したが、これに各方面から批判的意見が出ていることから、政治改革委員会のセリー委員長は、「一時取り下げる。」と明らかに。ただ、「廃案としたわけではなく、内容を改めて再提案する可能性もある。」という。
同案はタクシン派と反タクシン派の双方の政治関連犯を事実上放免することで両派間の対立を解消しようというもの。だが、思惑の違いから両派がこの案に批判的な意見を浴びせている。
政治対立の解消では、過去に政治関連犯への恩赦適用が提案されたこともあるが、反タクシン派が「恩赦はタクシンの免罪・政界復帰が狙い。」などと非難し、実現には至らなかった。
05月12日(木)治安当局は、有力者による犯罪行為を摘発するとの政府の方針に沿って、タクシン派プア・タイ党の幹部2人の自宅など13か所を家宅捜索し、複数の銃などを押収。
これら幹部の自宅はクルングテープに隣接するサムットプラカーン県に位置し、プア・タイ党とタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の拠点として知られている。
2人は家宅捜索に伴い通信機器や銃弾の不法所持容疑を掛けられることになった。幹部の1人の自宅からはさまざまなタイプの銃11丁が見つかったが、すべて登録済みのものだった。当局は現在、これらの銃が犯罪に使用されたかどうかを検証中。
なお、今回の摘発については、「プラユット政権に敵対するタクシン派を抑え込むことが目的。」といった見方も出ているが、当局は、「政治的なものではない。」と否定。
05月14日(土)クロンチャン信用協同組合の巨額横領事件への関与を疑われているタマカーイ寺住職ダムマチャヨーが出頭を拒んでいる問題で、寺側が「住職は命にかかわりかねない病気のため外出できない。」と説明しており、ダムマチャヨー(72)は05月16日に予定されていた法務省特別捜査局(DSI)の捜査担当者との対面を再び欠席する見通し。住職は04月08日と25日にも予定されていた対面を病気を理由に延期している。
だが、これに対しては仮病を疑う声も出ており、DSIは「16日もダムマチャヨーが出頭を拒否するならば住職の逮捕状を取る。」としている。また、寺はダムマチャヨーが出向く代わりに捜査担当者が寺を訪れることを提案しているが、DSIが受け入れるか否かは不明。
05月16日(月)クロンチャン信用協同組合で起きた巨額横領事件への関与を疑われているタマカーイ寺住職ダムマチャヨーが法務省特別捜査局(DSI)の要請にもかかわらず病気を理由に出頭を拒んでいる問題で、DSIはこのほど、タマカーイ寺に対し、ダムマチャヨーが病気のためDSI本部に出向くことができない証拠として治療記録を提出するよう要請。関係筋によれば、「DSIはダムマチャヨーが出頭を回避するため病気だと偽っていると疑っている。」
なお、タマカーイ寺によれば、「ダムマチャヨー住職の容体は深刻であるものの、ダムマチャヨーの信奉者の中に複数の医師がいるため、ダムマチャヨー住職は寺で治療を受けることが可能であり、病院に行く必要はない。」
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長が「新憲法草案の是非を問う国民投票ではまず賛成票を投じ、あとで憲法改正を求める。」と呼びかけたとされる件について、ミーチャイ委員長はこのほど、「私はこれまでに『新憲法草案を受け入れ、そのあとで新憲法を改正すべき。』などは発言したことはない。」
ミーチャイ委員長は先に立法議会で国民投票について「今回は新憲法草案の内容を改めるためにできることは何もない。間違いや欠点があったら将来的に憲法が改正されることになる。」と述べていた。これが一部で「新憲法草案に不満があっても、まず国民投票で賛成票を投じ、あとで憲法を修正すればよい。」などと解釈されたという。だが、これはミーチャイ委員長の真意ではないとのこと。
プラユット首相は、デイビース駐タイ米大使がタイの人権状況を批判したことに対し、「タイは米国の植民地なのか。」などと反論。
デイビース大使は12日にドン外相と会談したが、その後のインタビューでタイの人権状況に懸念を表明。だが、会談では人権問題が取り上げられておらず、「大使はなぜ人権について外相と直接話し合わなかったの。か」といった批判的意見も出ていた。
プラウィット副首相兼国防相によれば、「デイビース大使の発言に反発を抱く者が好ましからざる行動に出ることを心配される。」
また、ドン外相はデイビース大使の発言について当初は「口が滑ったのだろう。」としていたが、のちに「意図的な発言だったかもしれない。」と指摘。だが、16日には2国間関係を良好に保つためとして国民に水に流すよう呼びかけた。
05月17日(火)ロンチャン信用協同組合の巨額横領事件への関与が疑われているタマカーイ寺住職が捜査当局の再三の要請にも拘らず病気を理由に出頭を拒んでいる問題で、タイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)は、刑事裁判所が逮捕状を発付したことを受けて住職に対し7日以内に出頭するよう命令。これに応じない場合、DSIは逮捕に踏み切るものと見られる。
なお、逮捕状を取りながら7日間の猶予を与えて出頭を命じたことについてパイシットDSI局長は、「タマカーイ寺の支持者や住職の門徒たちの抵抗に遭うのを避けたかったから。」と説明。
来年半ばに総選挙が実施され、現在の軍政に代わり国民によって選ばれた政権が誕生するとされているが、プラウィット副首相兼国防相は、「国民投票で新憲法草案が否決された場合、来年半ばには総選挙を実施できない可能性がある。」との見方を示した。これは、「新憲法草案が国民投票で否決された場合、新憲法制定と総選挙実施を確実なものにするため、私が首相を続けなければならない。」とするプラユット首相の発言に基づいたもの。
プラウィット副首相によれば、「08月07日の国民投票で新憲法草案が否決された場合、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が新たに設置する委員会によって新憲法起草作業が最初から行われる。これには相当時間が掛かる見通しであり、来年半ばに予定されている総選挙延期は避けられない。」
05月18日(水)クロンチャン信用協同組合で起きた巨額横領事件への関与を疑われているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が再三の要請にもかかわらず出頭を拒んでいる問題で、ダムマチャヨーの支持者らは、捜査当局が住職を逮捕するのを妨害しないと約束するとともに、法務省特別捜査局(DSI)がダムマチャヨーの逮捕状を取ったのは不当だとしてDSIを訴える構えを示した。
ダムマチャヨーは複数回にわたってDSIに出頭するよう求められたが、その都度病気などを理由に出頭を拒否。このため、DSIは先に逮捕状を取るとともに7日以内に出頭するよう住職に命じた。DSIは「住職が期限の05月26日までに出頭したなら保釈を認める。」としている。
05月19日(木)新憲法草案と08月07日実施予定の国民投票を説明するためのフォーラムが、中央選挙管理委員会によって開催。
出席した50を超える政党・政治グループの代表らからは、「国民投票前に行ってはならないことなどを規定した法律が当局によって恣意的に運用される恐れがある。」と意見が改めて出された。 民主党のアピシット党首は、「罰則が非常に重い。」と指摘し、「新憲法草案に反対する者も賛成する者も自由に意見を表明できるようにすべきだ。」と強調。なお、フォーラムでは、政府から出席した選管、憲法起草委員会、関係政府機関の代表が質問に回答。
巨額横領事件への関与が疑われているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が病気を理由に出頭を拒んでいる問題で、関係筋はこのほど、「住職側から提出された、病気を証明する診断書がラチャブリー県の軍の病院から発行されていたことがわかり、この病院が診断書が本物かどうかなどを調査中。」と明らかに。
ダムマチャヨーは病気で歩けず出頭できないとして法務省特別捜査局(DSI)に対し捜査員を寺に出向かせるよう求めている。だが、診断書はタマカーイ寺から遠く離れたラチャブリーの病院で診察・治療を受けたことを意味しており、辻褄が合わない。
05月20日(金)タイのプラユット首相は17~20日、ロシアを訪問。
18日にサンクトペテルブルクでロシアのメドベージェフ首相と会談。19、20日はソチで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)ロシア首脳会議に出席し、19日にロシアのプーチン大統領、ビルマのティン・チョー大統領と個別に会談。
信用協同組合の巨額横領事件に絡んでマネーロンダリングの疑いをかけられているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職について「米国に亡命する準備を進めている。」とする情報があるが、タマカーイ寺の広報担当者はこのほど「住職はパスポートを持っていない。」などと述べ、亡命の可能性を全面的に否定。
住職は法務省特別捜査局(DSI)から命令を受けているもにも拘らず、病気で歩行が困難だとして出頭を拒否。DSIに担当者を寺に赴かせよう求めている。
タマカーイ寺の広報担当者によれば、「住職は当局に協力的であり、DSIは無理やり住職を逮捕したりせずに担当者を寺に派遣すれば事は済む。」
巨額横領事件への関与を疑われているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が病気を理由に出頭を拒んでいる問題で、ラチャブリー県の病院が住職の診断書を発行していたことに「歩行が困難で出頭できないというダムマチャヨーが寺から遠く離れた病院を訪れたのはおかしい。」との声が挙がっているが、これに対してタマカーイ寺は「ラチャブリー県の病院の医師が寺に来て診察し診断書を書いた。」、「この病院は陸軍の管轄する病院で、勤務医の1人が個人的にタマカーイ寺を訪れて診察をした。」と釈明。
しかし、関係筋は、「それが事実だとすれば、医師の個人的行為なのに病院の名前を使って診断書を発行しており、問題だ。」
05月21日(土)タイと支那の海軍合同軍事演習「ブルーストライク2016」が、タイ東部チョンブリー県サタヒープのタイ海軍基地で始まった。タイ海軍約500人と支那人民解放軍海軍陸戦隊約270人が参加し、06月09日まで行われる。「ブルーストライク」は2010年に1回目が開催され、今年で3回目。
05月22日(日)タクシン派の民選政権を倒した2014年05月22日の軍事クーデターから丸2年となる22日、軍事政権に反対する市民数十人がクルングテープ都内のタマサート大学から戦勝記念塔まで行進。軍政による取り締まりはなかった。
タクシンの妹のインラック前首相は、「インターネットの交流サイト、フェイスブックを通じ、軍政がタクシン派と反タクシン派の和解という約束を果たしていない。」と批判。基本的人権と自由を国民に返し、民政に復帰するよう呼びかけた。
民主党のオンアート副党首は、「新憲法草案に関する国民投票の実施に向け、国民投票について理解を深め国民に投票を促すことができるよう政治活動禁止を緩和して政党や政治グループが自由に意見を表明できるようにすべきである。」との考えを明らかに。
中央選挙管理委員会は政党に対し、08月07日に予定されている国民投票の投票率を上げるべく投票に関する情報を広めるよう求めている。だが、政治活動が厳しく制限されている現在の状況では、政党が有権者に投票を呼びかけたりするのは困難とのこと。
タマカーイ寺ダムマチャヨー住職が巨額横領事件に絡むマネーロンダリングなどの疑いをかけられ、法務省特別捜査局(DSI)から出頭命令を受けているものの、病気を理由に出頭を拒んでいる問題で、パイブン法相は日、「薬物容疑ではないので(住職を逮捕しに寺に)踏み込む必要はない。」と述べ、ダムマチャヨーを逮捕するとのDSIの方針に否定的な姿勢。
DSIはすでに住職の逮捕状を取っており、住職が26日までに出頭しなければ逮捕するとしている。
なお、関係筋によれば、住職は高僧であるため、住職を逮捕する場合、DSIは仏教組織や関係政府機関との間で調整を行う必要がある。
05月24日(火)タクシン派インラック政権が軍事クーデターで倒されてから2年が経過したことを受け、インラック前首相やタクシン派プア・タイ党首脳らが「国民は貧困、 薬物、社会問題の増加に苦しんでいる。」などと軍部を厳しく批判。これに対し、国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ウィンタイは、 「NCPOは最初の日からこれらの問題に真剣に取り組んでいる。」と反論。
軍首脳などで構成されるNCPOはプラユット政権の後ろ盾的存在。プラユット首相(元陸軍司令官)がNCPO議長を務めている。ウィンタイは、タクシン派の批判は経済回復のための軍政の努力に対する国民の信頼を損なわせようとした政治的なものと批判。
05月25日(水)07時チエンマイ県ムアン郡ハイヤ区のスリヤウォング通りのゲストハウス103号室を捜索し、宿泊していた本籍北海道の松原輝明(49)を児童性的虐待容疑で逮捕。逮捕当時、12歳と14歳の全裸の少年と同衾していた。(報道により10)~13歳(報道により15歳、16歳)の少年複数人を相手に買春した容疑で逮捕された。1人1回の行為につき、150~200Bを支払っていた。
松原輝明は過去2年間で21回タイを訪れ、たびたび少年と接触していた。猥褻行為をされた少年たちの多くが貧困状態にあり、法務省特別捜査局(DSI)の捜査員はチエンマイ地方裁判所発付の逮捕状に基づいて逮捕した。少なくとも7人の少年に対し猥褻な行為を繰り返していたとみて調べている。
押収したパソコンに記録されていた動画などにはおよそ10人の少年が映っていたということで、警察が関連を調べています。松原輝明は少年らの写真や動画をインターネット上に掲載し、サイバー犯罪を担当する日本の警察からDSIに掲載内容が報告されていた。
タイ警察は、チエンマイ県ムアン郡ハイヤ区のスリヤウォング通りのファーマイ・プラトゥーコムの民家を捜索し、住人の英国人男、ジョージ・タワーズ(73)を児童性的虐待容疑で逮捕。
同容疑で朝、チェンマイ市内で逮捕した松原輝明(49)から性的暴行を受けたとされる男児がタワーズにも暴行を受けたと供述したため。男児は、「ゲームセンターでタワーズに声を掛けられ、自宅に連れ込まれて性的暴行を受けた。」と話している。タワーズは犯行を否認。
飲料大手レッドブル創業者の孫ウォラユットが4年前に早朝で走行車両の少ないクルングテープ都内の大通りを輸入高級車で暴走中にオートバイの警察官をはねて死なせ、そのまま逃走した事件で、検察はウォラユットに05月25日に出頭するよう命じていたが、ウォラユットは姿を見せなかった。ウォラユットの代理人弁護士からも何も説明がなかったという。
これを受けて検察は事件を担当するトンロー署に対し、ウォラユットがなぜ出頭しなかったのかを説明するよう求めるとともに、新たに出頭日を設定するよう指示。検察の担当者は、「妥当な理由がなく再び出頭を拒否するようなら逮捕する。」と述べた。
なお、この事件は法的手続きなどが非常に遅れていることから、「大資産家であるレッドブル一族からの見返りを目当てに現場の警官が意図的に手を抜いているのではないか。」とする見方も出ている。
05月26日(木)タクシン派政権が一昨年05月の軍事クーデターで倒されて軍部が国政を担い始めてちょうど2年が経過したことに関連してタクシン派から軍政を厳しく批判する声があがったが、スワパン首相府相は、「軍政の下で国家改革と国家運営に大きな進展があった。」と強調して批判に反論。
スワパン首相府相によれば、「軍部は政治家や政党に関連する問題ではなく国が直面している問題の解決に全力を挙げており、すでに成果が上がっている。」
高学歴者に信奉者が多く社会的に少なからぬ影響力を持つとされるタマカーイ寺のダムマチャヨー住職がマネーロンダリングなどの疑いをかけられて出頭を命じられているが、病気を理由に寺に閉じこもっている。このため、法務省特別捜査局(DSI)が住職を逮捕すべく寺を家宅捜索するための令状を請求しようとしていることがわかった。
これは、DSIが期限としていた26日までに住職が出頭しなかったことによるもの。DSIはすでにダムマチャヨーの逮捕状をとっている。DSIと検察は27日に家宅捜索令状について協議する予定。
検察担当者は、「寺と捜査当局の間では住職が期限までに出頭することで住職に指一本触れない(寺に踏み込んで逮捕しない)ということが合意されていた。だが、住職は出頭せず、状況は変わった。」
05月28日(土)警察関係筋によれば、警察はこのほど、タマカーイ寺の支持者たちがダムマチャヨー住職の逮捕を妨害しようと入り口にバリケードを設けたことから、寺に踏み込み住職を逮捕する準備としてドローンを飛ばして上空から寺院内の様子を調べた。
この寺は敷地が広大で、どこにどのような建物があるかなどを事前に把握しておく必要があるという。また、警察はヘリコプターから建物の位置などを把握することも予定している。
05月29日(日)プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が先に「政治家155人の外国旅行禁止措置を解除する。」と発表したが、政治家の多くがこれを歓迎している。
この措置は、一昨年5月の軍事クーデターでタクシン派インラック政権が倒されたあとに導入されたもので、対象者のほとんどがタクシン派プア・タイ党の幹部など。プア・タイ党所属のソムキット元下院議員は、「外国旅行の権利を制限することには反対だったので、措置の解除を評価する。」と述べ、今回の決定はNCPOに対する国際的な圧力が一つの要因との見解を示した。
なお、インラック元首相や一部のプア・タイ党幹部など裁判の被告となっている者たちについては外国旅行禁止は解除されない。
国家仏教事務局(NOB)のパノム事務局長は、タマカーイ寺のダムマチャヨー住職を逮捕するため法務省特別捜査局(DSI)がDSIの捜査員と住職の仲介役を務めるよう副住職に協力を要請しようとしていることを明らかに。
タマカーイ寺住職が信用協同組合の巨額横領事件に絡んだマネーロンダリングなどの疑いをかけられていることからDSIは容疑を伝えるべく出頭を求めていたが、ダムマチャヨーは病気を理由に出頭を拒否。DSIはすでに住職の逮捕状をとっているものの、寺院内に踏み込めば寺の支持者たちの抵抗に遭う恐れがあることから副住職に協力を求める考え。
パノム事務局長によれば、「DSIは、タマカーイ寺が位置する(クルングテープの北隣)パトゥムタニー県の僧侶の代表に対しダムマチャヨーとの仲介役を要請しており、『協力する。』との返答があった。」
05月31日(火)現在の軍政下では軍部や軍政に批判的な者を通常一般人の立ち入りが禁止されている軍施設に呼び出して態度を改めさせるための再教育が行われているが、当局はこのほど、県庁舎や警察署といった政府関係施設に呼び出すことを決めた。
関係筋によれば、これは08月07日の新憲法草案に関する国民投票を前に政治的圧力を緩和することが狙い。今回の決定について、プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当は、「呼び出しを受けた人々が出頭しやすくなるほか、政府と政府批判勢力の緊張を和らげることにつながる。」と説明。
法務省特別捜査局(DSI)は、「クロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に絡んだ資金洗浄などの疑いをかけられているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が出頭命令に応じない問題の解決に向けて寺が位置するパトゥムタニー県の僧侶代表がDSIに協力することに同意した。」と発表。同代表はパトゥムタニー県内の仏寺・仏僧を監督する立場にある。
パイシットDSI局長によれば「僧侶代表は現在の状況を理解し、問題の解決に協力することを決めたものという。具体的には、法に従うようタマカーイ寺ダムマチャヨー住職を説得する予定だ。」
また、 タマカーイ寺の支持者がDSIの住職への対応を批判していることについて、パイブン法相は、「信奉する人を守りたい気持ちはわかるが、支持者らはDSIが違法行為を取り締まる責任のあることを理解してほしい。また、横領事件で損失を被った数千人に及ぶクロンチャン信用協同組合の組合員のことも考えるべきだ。」と訴えた。
06月01日(水)プラユット首相は、クルングテープで開幕したG77のフォーラムの席上、「タイ国内に平和が戻らない限り首相の座に留まり続ける。」と述べるとともに、国家開発における軍部の役割の重要性を強調。現政権に批判的な姿勢を続けるタクシン派など反政府勢力を牽制した。
プラユット首相は、G77の国々の外交官を前に「平和が確立されるまで私はどこにも行かない(首相を辞めない)。どんなに嫌われようと私は問題解決のために首相の座にとどまり続ける。」と明言。さらに、「タイは前進しなければならない。兵士がいなくてはタイはどうにもならない。今日我々は兵士を使って国を前進させている。我々の軍隊は誰かと戦ったり、政治家を虐げたりする存在ではない。」と力をこめた。
1964年に設立されたG77は当初、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの77ケ国がメンバーだったが、その後参加国が増え、現在は140ケ国を超えている。タイはG77の今年の議長国。
男性歌手、ターナット・トンワチャラノン(通称トム・ダンディー)(57)が不敬罪に問われた裁判で、刑事裁判所は、禁錮7年6ケ月の実刑判決を言い渡した。
ターナットは2013年11月にタクシン派の集会で演説した際にタイ王室を批判したとして、軍事政権下の2014年07月に逮捕された。以来、保釈を認められず、拘留されていた。
刑事裁判所は当初禁錮15年としていたが、ターナットが容疑を認めたことを評価して禁錮期間を半分に減刑した。ターナットは判決後、「禁錮の期間が長かったのは予想外。しかし、判決を理解し受け入れなければならない。」と話している。
なお、不敬とされた発言や書き込みは、それを引用することも不敬罪となることから、ターナットが具体的に何をして捕らえられたかは詳しく報じられていない。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者に対する批判中傷を禁じたもので、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年から続く軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、民選政権下で問題とされなかった場合も遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数ケ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びている。昨年12月には、インターネットの交流サイト、フェイスブックに投稿された国王の愛犬の合成写真に「いいね!」ボタンを押した男性が不敬罪で逮捕された。
06月03日(金)「2006年04月の議会下院選でタクシン派政党のタイ・ラック・タイ党(すでに解党)選挙違反を意図的に見逃した。」として、当時の選挙委員会のワサナー委員長(67)とパリンヤー委員(68)が選挙法違反などに問われた裁判で、タイ最高裁判所は、被告2人に禁錮2年の実刑判決。執行猶予はつかず、2人はそのまま収監された。
最高裁は今回、「被告2人がが解党処分を回避できるよう選挙違反を犯したタイ・ラック・タイ党幹部らに便宜を図ったものであり、有罪である。」との判断を示した。
2006年の下院選は、クルングテープでの大規模な街頭デモで窮地に追い込まれた当時のタクシンが事態収拾のため、解散総選挙に打って出たもの。しかし、ライバル政党の民主党などが選挙をボイコットしたことから、タイ・ラック・タイ党は憲法規定に対応するため、零細政党に働きかけ、一部の選挙区で対立候補を立てさせた。「これら2人を含む当時の選管関係者3人(うち1人は4年前に死去)は、この工作を知りながら捜査を遅らせたタイ・ラック・タイ党に関連する選挙違反疑惑の調査などで職務怠慢があった。」とステープ元民主党幹事長に訴えられた。
下院選ではタイ・ラック・タイ党が圧勝したが、プミポン国王が「非民主的な選挙だ。」と異例の批判を行い、その後、投票箱の位置という技術的な問題を理由に憲法裁判所が選挙の無効を宣言。同年09月に軍事クーデターが起き、タクシン政権は崩壊した。
新憲法草案の是非を問う08月07日の国民投票までの禁止行為などを定めた法律について、オンブズマンが「表現の自由に関する現行の暫定憲法の規定に抵触する。」゜として憲法裁判所の判断を求めることを決めたが、プラユット首相はこのほど、憲法裁が違憲判断を下しても、暫定憲法44条に規定された強権発動を使って国民投票の実施を延期する考えのないことを明らかに。
オンブズマンは、暫定憲法4条では表現の自由などが保障されているが、国民投票法61条は表現の自由を制限しており、憲法違反としている。
プラユット首相は、「どのような決定を下すかは裁判所次第。違憲と判断されたなら国民投票は延期されるが、その場合には私を責めずに裁判所に理由を尋ねてほしい。」と話している。
なお、ウィサヌ副首相によれば、「国民投票法61条が違憲とされたとしても立法議会が問題の文言を削除すれば済むことであり、国民投票の実施には影響しない。」
06月05日(日)マネーロンダリングの疑いをかけられているタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が出頭を拒み、法務省特別捜査局(DSI)も数千人に及ぶ支持者らの抵抗を懸念して寺に踏み込めない状態が続いている問題で、パイシットDSI局長は、「ダムマチャヨーが容疑を認めたらDSIは住職の保釈に反対しない。」と改めて表明。
さらに「ダムマチャヨーが病気のためにDSIに来ることができないと医師らが診断したなら、DSIが容疑を伝えに寺に赴く。」と述べて態度を軟化させた。
なお、どの医師にダムマチャヨーを診断させるかはまだ決まっておらず、DSIはこの件などについて06日にも協議する予定。
06月06日(月)タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が08月07日の新憲法草案の賛否を問う国民投票で不正がないよう監視センターを設置したことについて、プラユット首相は、「違反監視センターが国民投票法に違反した場合は関係者すべてを逮捕する。」と明言。
センターはインペリアル・ラートプラオ・デパート内に位置しており、開所式は05日、タクシン派幹部を招いて執り行われた。関係筋によれば、「新憲法草案の内容に反対しているタクシン派は否決されることを望んでいるとされる。このため、政府は監視センターの設置を否決に持ち込むための悪巧みの一環と見ている。」
資金洗浄を疑われているタマカーイ寺住職が病気を理由に出頭を拒んでいることから、法務省特別捜査局(DSI)がダムマチャヨー住職を逮捕する構えを見せているが、関係当局は、この件について協議したものの、意見の一致は見られなかった。このため、14日に再び協議が行われることになった。
DSIはすでにダムマチャヨーの逮捕状を取っているが、寺に踏み込むと数千人に及ぶ支持者の抵抗に遭う恐れがある。DSIが寺に赴いてダムマチャヨーに容疑について説明することも検討されているが、当局者の意見がまだまとまっていない。
06月07日(火)タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が08月07日の新憲法草案の国民投票における不正を防止するためとして監視センターを設置したことについて、アヌポン内相は、「国家平和秩序評議会(NCPO)の命令に違反している可能性が高い。」との見方を示した。
関係筋によれば、強硬なタクシン派は軍政が同派を抑え込もうとしていると反発しており、軍政下で作成された新憲法草案が国民投票で可決されることにも反対している。
アヌポン内相は「UDDは国民投票に参加しないと表明しており、中立の立場とは言えないだろう。センターの設置はNCPOの命令の下で許された行為とは思えない。」と述べている。
ダムマチャヨー住職がマネーロンダリングの疑いをかけられているタマカーイ寺について、法務省特別捜査局(DSI)関係筋は、「寺の関連施設が国有林を不法占拠している疑いを捜査する見通しだ。」と明らかに。
これまでに、東北部ナコンラチャシマー県カオヤイ国立公園、南部パンガー県、西部カンチャナブリー県などから仏教の教義を教える寺の施設が国有林の中に建てられているといった複数の苦情がDSIに寄せられている。
また、DSIは容疑を説明する必要があるためダムマチャヨーに出頭を命じているが、パイシットDSI局長は、「ダムマチャヨーが出頭してくる兆しは未だない。」との見方を示した。
06月08日(水)チュチープ・ハ-ンサワット元農相(72)とウィタヤー・ティエントーン元下院議員(75)が有機肥料の支給政策をめぐる権力乱用、価格談合に問われた裁判で、タイ最高裁判所政治家刑事犯罪部門は、禁錮6年の実刑判決を言い渡した。
タイ字紙マティチョンによると、ウィタヤーは判決公判中に血圧が200mmHgまで上昇。チュチュープは判決を聞いて気分が悪くなり、気付け薬を吸い込んだ。2人は判決後、そのまま収監された。
検察によると、タクシン政権の2001~2002年に実施された農家への有機肥料支給策で、農業協同組合省は入札を実施して、肥料13万tを約3.67億Bで購入した。当時タイ・ラック・タイ党幹部(当時)の農相だったチュチープと農相秘書官だったウィタヤーはこの入札を操作した上、農家に支給された肥料が極めて低品質だったため起きた汚職追求の動きを握りつぶした。購入のための契約書作成などをウィタヤーが担当し、チュチープ被告が契約書に農相として署名した。
2人はタクシン派と対立する現軍事政権下の2015年03月、最高裁政治家刑事犯罪部門に起訴された。最高裁政治家刑事犯罪部門では1回の審理で判決が確定し、上訴できない。
チュチープのハーンサワット家は政治家を輩出し、中部パトゥムタニー県の政財界で強い影響力を持つ。ウィタヤーの兄のサノ・ティエントーンは1990年代に政権樹立の鍵を握るキングメーカーとして力を振るい、内相などを務めた。地盤の東部サケーオ県では圧倒的な影響力を持つ。今回の判決は、こうした地方豪族的な一族の影響力低下を窺わせる。
08月07日に行われる新憲法草案の是非を問う国民投票への参加を有権者の呼びかけるキャンペーンソングに対し「北部と東北部の住民を見下している。」といった批判が出ている。
06月初めにリリースされたキャンペーンソングは「北部の人々は騙されたり操られたりしていけない。」、「東北部の人々は誰かの言いなりになってはならない。」といった内容。北部と東北部はタクシン支持者の多いことで知られている。このため、タクシン派関係筋などからキャンペーンソングが「タクシン支持者は騙されやすく愚かである。」 と示唆しているといった批判の声が挙がっている。
一方で、キャンペーンは「南部の人々は民主主義と自由を愛している。」と示唆。南部は反タクシン派・民主党の支持基盤となっている。
この批判について中央選挙管理委員会のソムチャイ委員はこのほど、「キャンペーンソングは特定地域の住民に不快感を与えるものではないと個人的には思う。」と発言。同時に中央選管が作業チームにソングが違法か否かを検討・判断するよう指示したことを明らかにした。ソムチャイ委員は、「人々は時として敏感になって些細なことを気にしすぎることがある。」とも述べている。
06月09日(木)現政権下では公の場での政治的活動が厳しく制限されているが、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、新憲法草案の是非を問う08月07日の国民投票に関するセミナーの席上、選管が投票前に草案に賛成・反対する人々に意見表明の場を提供すると約束。同時に「意見表明は誠実に行わなければならない。」と釘を刺した。「選管は賛成者と反対者に意見を表明してもらうべくフォーラム開催を当局に打診したが、反対者に悪用されるとの懸念から提案が却下された。だが、選管は今後も意見表明の場を提供するために努力する方針。」
06月11日(土)08月07日に実施される新憲法草案の是非を問う国民投票にむけて禁止行為などを規定した国民投票法に対し各方面から批判が出ているが、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、「秩序の維持が必要。」と述べ国民投票法改正に否定的姿勢を明らかに。また、「新憲法草案に反対する集団が激しく挑発的な言葉で国民投票法案を非難する歌を歌うことなどを計画している。」とされるが、ソムチャイ委員は、「国民投票法に抵触する可能性がある。」と同集団に自制を求めた。
関係筋によれば、タクシン派の台頭が政治対立・国内混乱を招いたのであり、政治対立の解消と国民和解の実現にはタクシン派を抑え込むことが不可欠と軍部が考えているのは明白。そのため新憲法草案もタクシン派にとって厳しい内容となっており、このため同派は国民投票で新憲法草案を否決に持ち込もうと躍起になっている。
06月13日(月)タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD、通称:赤服)が08月07日に予定される憲法草案の国民投票を監視する機関を設置した件で、軍事政権のプラユット首相は、「設置するのは自由だが、違法行為があれば、法的措置を取る。」との考えを明らかに。
UDDは、「プラユット首相が反対しなかった。」と、クルングテープの商業施設内に監視機関の本部を開設しており、今後は全県に支部を設置していく計画。
憲法草案は議会上院を軍政による任命制とし、非議員の首相を認めるなど、軍による間接支配を狙った内容で、タクシン派は反対。
タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が新憲法草案の是非を問う08月07日の「国民投票で不正が行われないよう監視する必要がある。」として、そのためのセンターを開設したが、プラウィット副首相はこのほど、センターの解散を改めてUDDに要求。
プラウィット副首相によれば、「選挙管理委員会など関係政府機関が不正の起きないよう監視の目を光らせることになっている。それにもかかわらず、UDDが不正を監視することになれば、他の民間グループも追随し、混乱が生ずる恐れがある。」
06月14日(火)タマカーイ寺ダムマチャヨー住職がクロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に絡んでマネーロンダリングの容疑を掛けられているものの、病気を理由に寺にとどまり続け法務省特別捜査局(DSI)の出頭命令を無視している問題で、DSIは、話し合いによる解決を諦め、寺との交渉を断念した。これまでDSIは、強硬手段に訴えた場合、大勢の支持者の抵抗に遭うことなどを懸念し、仏教界などの協力のもとに話し合いによる打開に努めてきたが、進展が見られず、交渉を打ち切ることにした。
ダムマチャヨーについてはDSIがすでに逮捕状を取っており、今後は逮捕状に基づいた法的手続きが取られることになる。
06月15日(水)タクシン派ブア・タイ党に所属する17人が新憲法草案に反対する理由をネット上に書き込み、この行為が「国民投票法に違反する。」との見方が出ているが、ウィサヌ副首相は、「違法か否かの判断は選挙管理委員会が下すことになる。」との見解を明らかに。
国民投票法では、新憲法草案の是非を問う08月07日の国民投票までの禁止行為などを規定している。副首相は、「ブア・タイ党の政治家が具体的に何をしたか私は知らない。このため、私がこの件について何か言うのは不適切。誰かが選管に要請すれば、選管が違法かどうか判断するだろう。選管がすでに気づいていれば、要請がなくても検討することになろう。」
マネーロンダリング容疑のタマカーイ寺ダムマチャヨー住職を逮捕すべく、検察と法務省特別捜査局(DSI)の担当者が、寺を家宅捜索するための令状を刑事裁判所に請求する手続きを取った。
ダムマチャヨーは、クルングテープ北隣パトゥムタニー県にあるタマカーイ寺に籠もっていると見られる。
「DSIの捜査員がタマカーイ寺の敷地内に入った場合、大勢の支持者の抵抗に遭う恐れがある。」とされているが、支持者代表は、「DSIの関係者が入ってきても私たちは瞑想するだけ。」と述べ、妨害の可能性を否定。
06月17日(金)資金洗浄容疑のタマカーイ寺ダムマチャヨー住職が病気を理由に寺に籠もったまま大勢の支持者に守られて当局が手出しできない状態が続いている問題で、支持者が住職が出頭しない理由として「民主主義の欠如」を上げたことに対して、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)のピヤポン広報担当は6月17日、「寺が支持者に何を教えているかが明らかになった。」と指摘し、「タマカーイ寺は政治的目的を持っている。」と批判。
また、法務省特別捜査局(DSI)のチームが先に寺の敷地内に入って住職を逮捕しようとしたものの、座り込んだ大勢の支持者たちに行く手を遮られて逮捕を断念したことについて、ピヤポン大佐は「東北部などほかの地域から支持者や僧侶が動員されていたことが判明した。」と述べ、「タマカーイ寺は逮捕を阻止すべく周到な準備をしていた。」との見方を示した。
06月18日(土)タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が08月07日の新憲法草案の賛否を問う国民投票の実施に向けて不正が行われないよう各地に監視センターを開設するとしていることについて、プラユット首相は、「センター設置は許可できない。法的な措置を検討している。」と警告。UDDは19日に各地方で監視センターを立ち上げるとしている。
プラユット首相は、「国内の状況を考慮してほしい。現在5人以上の政治集会は禁止されており、監視センターを開設することはできない。」と述べた。
また、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)関係筋によれば、「タクシン派はセンター開設を『政治的なものではない。』と説明しているものの、タクシン派が政治的な活動を続けて平和と秩序が乱されているため、言い訳を真に受けるわけにはいかない。」
06月19日(日)タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が当局の警告にも拘らず新憲法草案の賛否を問う国民投票における不正を監視する事務所を全77都県で開設しようとしたが、30都県で阻止。クルングテープ都ではラートプラオ区のデパート、インペリアル・ワールド・ラートプラオ内に設けた事務所で事務所開きを予定していた開始約1時間前に警察官らを派遣し立ち上げを阻止。現場に現れた警官隊が事務所を強制的に閉鎖。地方では事務所開きに集まったUDD支持者への、兵士、警官らによる嫌がらせもあった。
セレモニーはインターネットテレビなどで中継される予定であり、合計6つの監視センターがオープンすることになっていた。
プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)のタウィープ事務局長は19日、「UDDの幹部らは、今後も(監視センターを開設するなという)NCPOの命令に背くのであれば逮捕されることになる。」と述べた。
06月20日(月)タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)は「プラユット首相が『国民投票監視機関を容認する。』としていた発言を翻した。」と非難。「国民投票における不正防止のための監視センター開設を政府に妨害された。」とクルングテープの国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)に訴えた。
これに関連し、プラユット首相は、「パン・ギムンに電話し、表現の自由の問題など現在タイ国内で起きていることについて説明した。」と明らかに。「電話会談は約30分間で、首相が話していた時間が約25分に及んだ。具体的には、新憲法草案の賛否を問う国民投票や総選挙のための準備、国益に反する考えを持つ者たちの行動、一部の政党が非協力的であることなどを事務総長に説明した。」
06月21日(火)クロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に絡んでタマカーイ寺ダムマチャヨー住職がマネーロンダリングの疑いをかけられている問題で、資金洗浄対策室(AMLO)と法務省特別捜査局(DSI)が協力してタマカーイ寺と住職の資産を差し押さえることを検討。
これは信用協同組合から住職の関係者や複数の僧侶に小切手7枚額面総額4億Bが振り出されていたことを示す証拠が見つかったことによるもの。
DSIは、ダムマチャヨーに出頭させて容疑を説明したあと逮捕しようとしているが、ダムマチャヨーは病気を理由にタマカーイ寺に籠もっている。先にDSIのチームが寺に踏み込んだものの、座り込んだ大勢の支持者に妨害され逮捕を断念。
06月22日(水)警察庁犯罪制圧課(CSD)が政治集会禁止令に違反した疑いでタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の幹部19人に出頭を命じたことがわかった。政治集会禁止令では5人以上が政治的な目的で集まることを禁止している。
これら幹部は、08月07日の新憲法草案の賛否を問う国民投票での不正を監視するセンター開設セレモニーのため06月05日、一堂に会したもので、これが政治集会と見做された。
CSDによれば、「出頭の期限は06月30日。幹部らが出頭しなければ、再び出頭を命ずるが、これにも応じなければ逮捕する。」
06月23日(木)ビルマのアウンサンスーチー国家顧問兼外相のタイ訪問に合わせて、ピルマのイスラム系少数民族、ロヒンギャが国外に脱出し、タイ南部でロヒンギャ避難民の人身売買が摘発されたりしている問題に関する記者会見と公開討論会がクルングテープのタイ外国人特派員協会(FCCT)で06月23日に開かれる予定だったが、警察当局の要請によって今回のイベントが予め用意した声明を読み上げるものに変更させられた。
関係筋によれば、タイ当局は公開討論会においてロヒンギャ問題への取り組みをミャンマー政府に強く求める意見が出ることなどでタイ・ビルマ関係に悪影響が及びかねないと判断したものという。
アウンサンスーチーについては、過去に「ロヒンギャ問題に沈黙している。」などと批判する声が挙がっている。
アウンサンスーチーはイギリスの工作員で支那の犬。こんな常識を日本のマスゴミは民主化の闘士として洗脳している。京都大学東南アジア研究所に9ケ月間客員研究員で使った部屋を「アウンサンスーチー・ルーム」として展示していて、東南アジア研の国辱ものの馬鹿さ加減に呆れ果てたことがある。
06月24日(金)タイ訪問中のピルマのアウンサンスーチー国家顧問兼外相とプラユット首相による共同記者会見が政府庁舎で行われ、ここでピルマが適切な時期にタイ国内のピルマ避難民を受け入れられるようタイ・ピルマ両国が協力することで意見が一致。
また、プラユット首相によれば、「アウンサンスーチーとの会談では、タイ国内のピルマ人の権利保護および福祉、両国間の経済協力などが取り上げられた。」
クルングテープ郊外のサムットプラカーン県で、08月07日に予定されている憲法案の国民投票で反対票を投じるよう呼びかけるビラを配っていた学生ら十数人が兵士に身柄を拘束。
インターネットの動画投稿サイトには、兵士数人が男性を力づくで引っ張り車に押し込む様子を映した動画が投稿された。
06月25日(土)英国で先に行われた国民投票でキャメロン首相の意に反してEU離脱が反半数を占めたことから辞意を表明したが、タクシン派プア・タイ党幹部のピチャイ元エネルギー相はこのほど、「タイ政府の推す新憲法草案が08月07日の国民投票で否決された場合はプラユット首相も辞任すべき。」との考えを明らかに。
しかしこれに対しサンサーン政府副報道官は、「タイと英国では状況が異なる。英国では国民投票を妨害しようとする者はいなかった。」と述べ、タクシン派が不当な手段を使って国民投票で新憲法草案を否決に持ち込もうと画策している。」との見方を示し、「もし否決となってもプラユット首相が責任をとる必要はない。」との見解を示した。
都内のラマ5世騎馬像前で、軍事政権に反対する学生らのグループが、タイの絶対王政を廃止した1932年06月24日の立憲革命を記念するイベントを開こうとして、警戒中の警官隊と揉み合う騒ぎ。
都内のラクシー交差点では、立憲革命を記念し行進していた学生のグループが警官隊に阻止され、7人が逮捕された。
06月26日(日)マネーロンダリングの疑いをかけられているタマカーイ寺のダムマチャヨー住職が出頭命令を無視し続けていることがマスコミで大きく報じられているが、農地改革事務所(ALRO)のチャムナン所長は、 「ナコンラチャシーマー県パクチョン郡にあるタマカーイ寺の関連施設である瞑想センターが国有地を不法占拠している。」と明らかに。
「瞑想センターの敷地面積は144haに及ぶが、その一部が国有地になっている。」チャムナン所長は、「国有地を含む区画の土地権利証を無効とする必要がある。」と説明。
なお、瞑想センターは ALROによる立ち入り検査を拒んでいるため、ALROでは立ち入り検査をするため法務省特別捜査局(DSI)に協力を要請中。
06月27日(月)プラユット首相は、憲法案が国民投票で否決された場合も、辞職しない考えを明らかに。欧州連合(EU)離脱を問う英国の国民投票で離脱が決まり、残留派のキャメロン首相が辞意を表明したが、「辞任しない。」と明言。「英国とタイは置かれた状況が異なり首相の対応も異なって当然。」と強調。英国のEU離脱のタイ経済への影響については「タイの輸出に影響するだろう。」
タクシン派のプア・タイ党のピチャイ元エネルギー相は25日、キャメロン首相の例を挙げ、新憲法草案が国民投票で否決されたらプラユット首相も辞任すべきとの意見を表明していた。
憲法案の国民投票は08月07日に行われる予定。民政復帰後も軍が影響力を保持するとして、プア・タイ党のほか、反タクシン派の民主党も反対。
クルングテープの西隣ナコンパトム県のマヒドン大学サラヤ・キャンパスで公開討論会「新憲法によって政府はどのような制約を受けるか」の席上、プア・タイ党、民主・タイ国民発展党の主要3政党はともに「国民によって選ばれた政府の権限を規制し、政党政治を厳しくコントロールしようとしている。」などと新憲法草案の内容を批判。
プア・タイ党幹部のスダラット♀は、「政治対立については政治家と政党にも部分的に責任があるものの、政治家などをあまりに厳しく規制すれば国政が弱体化し、国民の利益が損なわれかねない。」と訴えた。
一昨年05月の軍事クーデターでタクシン派のインラック政権が倒されるまで政権を非難する大規模な街頭デモを主導していたステープ元副首相とタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長が新憲法草案の内容を巡ってネット上で論争を繰り広げている。
このため、プラユット首相は、両者に対し国民投票法に違反しないよう警告。
新憲法草案の賛否を問う国民投票が08月07日に予定されており、先に制定された国民投票法では、「有権者の投票行動に影響を及ぼしたり、社会・政治的混乱を招いたりする発言は禁ずる。」と規定。
この他、プラユット首相は、新憲法草案や国民投票に関する世論調査結果が発表され、これが有権者に誤った判断させかねないとの懸念を表明すし、「世論調査を実施する者たちが新憲法草案の内容をよく理解しているかどうか定かでない。」との見方も示した。
06月28日(火)プラユット首相はこのほど、「08月07日の国民投票で新憲法草案が否決された場合に備えた方策がある。」と明らかに。だが、方策の具体的内容は明らかにされておらず、アピシット民主党党首は、「国民には知る権利がある。」として、草案が否決された場合の対応を明らかにするようプラユット首相に求めている。
なお、プラユット首相は過去に「タイの憲法はどれも基本的な部分に大きな違いはない。」と指摘するとともに「新憲法草案が否決された場合、代わりの憲法を作成するため、過去の憲法について検討する作業部会を設置した。」と述べたことがある。
06月29日(水)新憲法草案の賛否を問う08月07日の国民投票実施に向けて禁止行為などを規定した国民投票法61条についてオンブズマンが憲法裁判所に「違憲」との訴えを行っていたが、憲法裁判所は、「61条が現行の暫定憲法に抵触しない。」との判断を示した。
61条は新憲法草案に関して事実と異なる情報を広めたり、攻撃的な調子で意見を発信したりすることを禁止している。だが、これに対し、「表現の自由を制限するもの。」といった批判意見が出ており、憲法裁に訴えが提出されることになった。
アピシット民主党党主は、国家改革推進会(NRSA)のメンバーと会談し、「NRSAが進めようとしている国家改革に対し、方向性が明確ではない。」などの懸念を示した。
プラユット政権は、政治対立の解消と国民和解の実現を最優先課題としているが、このまま総選挙を実施して国民によって選ばれた政府が誕生しても再び政治対立が起きて国内が混乱するとして、これを防ぐべく国家改革を断行しようとしている。そのための具体的検討を行っているのがNRSA。
だが、アピシット党首(元首相)によれば、「NRSAが推進しようとしている国家改革は具体的な青写真が明確にされておらず、改革を達成できるかは不透明。また、NRSAは安定・繁栄・持続性といったコンセプトを繰り返しているが、これらは改革の目標であり、改革を具体的に進めるための指針にはなりえない。」
06月30日(木)インラック前政権が導入し、巨額の損失につながった米担保融資制度に絡む問題について、プラユット首相は、自ら議長を務めた米政策管理委員会の会合において関係当局に対し捜査を今年中に完了するよう要請。
プラユット政権は、米担保融資制度を監督する委員会の長だったインラック首相(当時)に職務怠慢があったとして損害賠償を求めることにしているが、この嫌疑に関しては来年02月に時効が成立することからプラユット首相が年内の捜査完了を指示したもの。
インラック前政権米担保融資制度は実質的にはタクシン支持者の多い農民を支援するため高値で米を買い上げるものだった。このような農民支援策は過去にも実施されているが、前政権のものは損失が数千億Bに上り、過去の政権が導入した支援策の損失を大きく上回っている。
07月02日(土)現在の軍政下では5人以上の政治的な集会などが禁止され、政党や政治家は活動が大幅に制限されているが、プラユット首相の側近の1人、パニタンは、「新憲法草案に関する国民投票が08月07日に実施された後、投票での新憲法草案の可決・否決にかかわりなく軍政が政治的活動の規制を解除する。」との見通しを明らかに。
パニタンによれば、政治的な活動が規制されたまま、総選挙が実施されれば、「その結果に対し、圧力団体や政党が声高に異議を唱える恐れがあり、これを避けるには規制の緩和か解除が必要。」
07月03日(日)新憲法草案に賛成するか否かを問う08月07日の国民投票を前に軍政が「国民投票に備えて平和を維持するためのセンター」を全国に開設したことが、07月03日までにわかった。
同センターの設置は、草案が国民投票で可決されて草案通りの新憲法が制定されることに反対しているタクシン派などを抑え込むことが狙いと見られている。
サンサーン政府報道官は、「センターは07月01日に県レベル、郡レベルで設置され、活動を開始している。その目的は、暴力事件を防いでクリーンで公正な国民投票を実施すること。」と説明。
07月04日(月)国家放送通信委員会(NBTC)は、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が運営する衛星テレビ局「ピースTV」の放送免許を30日間停止を決定。同テレビ局が法律で禁じられた内容の番組を放送しないというNBTCとの約束を破ったことから罰則として放送停止が命じられた。 この措置に対し、タクシン派幹部らは、「8月7日の新憲法草案に関する国民投票に先立って同案への批判を封じ込めようとした恣意的な権限行使だ。」と反発。
一方、NBTCは、「約束違反に伴う処罰であり、政府は無関係。」と説明。
国民投票で英国のEU離脱に賛成する意見が過半数に達したものの、離脱派からも後悔の声が聞かれ、再度の国民投票実施を求める意見が出ているが、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員はこのほど、08月07日実施の新憲法草案に関する国民投票について「不満足であっても結果を受け入れるべき。」とし、「英国のような事態になってはならない。」と訴えた。
08月の国民投票に関しては「禁止行為が多く、新憲法草案の良い点、悪い点を自由に論議できない。」といった批判が出ている。このため、「選管は草案が可決された場合、この結果を不満とする者が批判の声を上げるのではないか。」と懸念。
なお、同ソムチャイ委員によれば、「草案が否決された場合、新たに憲法が起草されることになるが、総選挙は来年中に行う必要があるため、国民投票は実施せずに国王の承認をもってすぐに新憲法が制定される。」
07月05日(火)クルングテープに隣接するサムットプラカーン県で06月23日に新憲法草案の国民投票に関連する内容のビラを配り政治集会禁止令違反で逮捕された大学生など13人が釈放。
これら学生らの身柄拘束に対しては国内外で人権侵害との批判が出ていた。軍事裁判所によれば、「警察はすでに捜査を完了しており、容疑者を引き続き拘留する必要性は認められない。」
08月07日の新憲法草案の国民投票実施に備え政府が全国各地に平和維持センターを設置したことについて、アヌポン内相は、「新憲法草案への批判意見などを抑え込もうとしたものではない。」と釈明。「国民投票は選挙管理委員会により実施されるが、内務省は選管をサポートするために平和維持センターを設置した。」と説明。
平和維持センター設置を巡っては新憲法草案の内容に強く反発しているタクシン派に批判意見を抑えることが狙いとの見方も。
07月07日(木)法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、08月07日に予定されている「国民投票で新憲法草案を否決に持ち込もむための工作が存在する。」と報告。
CDCは先にチエンマイ県で草案をよく理解してもらうため重要部分を抜粋した概要書を配布したが、ミーチャイ委員長によれば、「概要書と表紙のデザインは同じだが内容の異なるものが何者かによって配布されていた。このニセ概要書は誤った情報を広めることが狙いと見られるため、現在内容を詳しくチェックしているところだ。また、その内容は、先に新憲法草案に否定的な学生グループが配布したビラの内容に似通っている。」
07月08日(金)08月07日に予定されている新憲法草案の国民投票で有権者に反対票を投じさせることを目的とした見られる新憲法草案の偽概要書が配布されていた問題で、プラユット首相は、公文書偽造に該当すると指摘して犯人に関する情報提供を呼びかけ、犯人の特定を関係当局に指示したことを明らかに。
プラユット首相によれば、「数多くのニセ概要書が出回っていることから、資金提供者がいるのは間違いない。」
07月09日(土)08月07日の国民投票で新憲法草案を否決に持ち込むためと見られる新憲法素案の偽概要書が配布されていた問題で、クーデターに反対し、現在の軍政を批判していることで当局から目を付けられている団体、新民主主義運動(NDM)の幹部らは、タマサート大学タプラチャン・キャンパスで記者会見を行い、ここでニセ概要書配布への関与を全面的に否定。
同団体は、「新憲法素案に関する意見を記した文書を約1万部生産、配布しているが、政府が配布している概要書に似せたものを配ったことはない。」
また、偽概要書に関してプラユット首相は、「印刷に資金が必要であるためスポンサーがいるはず。」との見方を示しているが、「NDMが配布した文書は1部3Bほど合計でも3万B程度しか掛かっておらず、スポンサーを探す必要もなかった。」
新憲法草案を受け入れるか否かを問うため08月07日に実施が予定されている国民投票については国民投票法に規定された投票前の禁止行為などに批判が出ているほか、新憲法草案の偽概要書が配布されるなど妨害の見られる行為も報告されているが、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員はこのほど、「国民投票が実施されないという兆候はなく、選管も準備を着々と進めている。」と述べ、「予定通りに国民投票が実施される。」との見方を示した。
ただ、ソムチャイ委員によれば、「2007年の新憲法草案に関する国民投票に比べると今回は盛り上がりに欠けている。」しかしながら、「今はまだ国民投票が1か月近く先であることから、間近になれば有権者が投票に強い関心を示すことも考えられる。」
07月10日(日)クルングテープの西に位置し、ビルマと国境を接するラチャブリー県で、新憲法草案の国民投票に関する不適切な文書を所持していた容疑で軍政に批判的な団体、新民主主義運動(NDM)の幹部4人が取り調べのため身柄拘束された。
文書は4人のうち1人が所有するピックアップトラックの中から見つかったもので、その内容は、政府を批判するとともに国民投票で「反対票を投じよう。」と呼びかけるものだった。
なお、NDMは、タクシン派インラック政権が2年前の軍事クーデターで倒されたことから現在の政権に批判的なタクシン派と繋がりがあるとされる。
07月11日(月)現政権に批判的な団体、新民主主義運動(NDM)が配布した新憲法草案の国民投票に関する文書について、憲法起草委員会(CDC)の広報担当ウドムは、「有権者を誤解させかねない内容であり、問題だ。」との見解を明らかに。「文書では、『反対票を投ずる7つの理由』が説明されているが、これはついては事実を捩じ曲げることで有権者に反対票を投じさせようとする意図が感じられる。」
ウドムによれば、「CDCが執る手段としては、CDCがNDMを告発する、CDCが選挙管理委員会に告発を要請する、法的手段は執らずにCDCが新憲法草案の内容を有権者に正しく理解してもらうためさらに努力するの3つがある。」
07月12日(火)国民投票で新憲法草案を否決に持ち込むべく、国民投票法に違反して新憲法草案の内容を歪曲した文書が配布されていたとされる問題で、警察官と軍人が、「インターネット新聞、プラチャタイの関与が疑われる。」として、クルングテープ都ラチャダピセーク通ソイ14にあるプラチャタイの事務所を家宅捜索。
警察の説明によれば、先にラチャブリー県で同文書の所持容疑で逮捕された者の中にプラチャタイのレポーター「が居たことに伴い、文書の配布などにプラチャタイがかかわった疑いが浮上。家宅捜索令状を取って事務所内を隈なく捜索したもの。だが、違法な文書などは見つからなかった。」
また、同文書の配布に関与したとされる、反政府団体、新民主主義運動への対応について、憲法起草委員会(CDC)の広報担当ウドムは、「国民投票法施行の責任者である中央選挙管理委員会が法的措置を取るか否かを決めることになる。」との見方。
07月13日(水)タクシン派のプア・タイ党のチャワリット副幹事長は、「東北部出身者は憲法案の国民投票で投票するために帰省するべきだ。」として、帰省キャンペーンを行う考えを明らかに。「民主主義、公平性が懸念されるとして、投票権を行使するべき。」と主張。
東北部はタクシン派が優勢のため、投票率を高めて反対票の上積みに繋げる狙いがあると見られる。
「憲法案の否決を呼びかける活動に関与した。」として、タクシン派のニュースサイト、プラチャータイのタウィーサック記者が逮捕された件で、タイ外国人記者クラブ(FCCT)は「逮捕は不当であり、報道の自由を侵害している。」と非難し、記者を送検しないことを要求。
タウィーサック記者は10日、「憲法案反対活動を行う団体の取材で、憲法案反対を呼び掛けるパンフレットが積まれていた車両に同乗していたため、活動に関与した。」として、国民投票関連法違反で逮捕された。保釈されているが、有罪となった場合、最高10年の禁錮刑が科せられる。
タイ軍政は12日、バンコク都内のプラチャータイの事務所を捜索したが、事務所がビラの作成に関与していたことを示す証拠は特に見つからなかった。
軍政がとりまとめた憲法案は議会下院と政府を弱体化し、軍・特権階級が議会上院などを通じ強い影響力を維持する内容で、08月07日に賛否を問う国民投票が行われる。軍政は憲法案に関する意見表明を事実上禁止し、違反者に最高で禁錮10年を科す法律を施行するなど、憲法案の可決を強引にもぎ取る姿勢を見せている。
07月14日(木)新憲法草案に賛成か反対かを問う国民投票が08月07日に予定されていることについて、有権者に判断材料を与えるべく欧州連合(EU)、米国、カナダが公開討論会を開催するよう要求したが、外務省のセク報道官は、「公の場で国民投票に関して自由に討論することが必要というEUなどのスタンスに関しては何も聞いていなかった。」と述べ、「行程表通りに民政移管に向けた手続きを実行してゆくには秩序と社会の調和を維持する必要がある。」と説明し、これを乱しかねない自由な公開討論を行うことに否定的な姿勢。
国民投票前の期間における禁止行為などを規定した国民投票法に批判が集まっているが、セク報道官によれば、「国民投票法は秩序と社会調和の維持を目的に当局が制定した法律の1つであり、また、政府としてはこれらの法律が民主主義の必須条件の1つである表現の自由を阻害しているとは考えていない。」
新憲法草案の国民投票で同案を否決に持ち込もうとしたとされる、同案の内容を歪曲した文書が配布されている問題で、国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、陸軍の関与を否定。
文書は北部のチエンマイ、ラムパン、ラムプーンの数千に及ぶ家庭に郵送されていたが、「これらの郵便物の一部が軍人の多いことで知られるクルングテープ都ドゥシット区で投函されたものだった。」という噂が広まっている。
NCPOは、プラユット政権の後ろ盾的存在であり、国軍首脳などで構成される。NCPOの広報担当ピヤポンは、「NCPOは無関係。(不適切文書を配布したところで)何の得にもならない。」
07月17日(日)トルコで 軍の一部が起こしたクーデターが失敗に終わったことを受けて、タクシン派プア・タイ党の幹部などが2年前のタイの軍事クーデターに批判的な発言をしていることについて、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ウィンタイ大佐はこのほど、「タイとトルコでは状況が大きく異なる。タクシン派の軍部批判は意味がない。」との見解。
タイでは3年前から当時のタクシン派インラック政権に対する大規模な抗議デモが展開され、 政治的混乱がエスカレートする中で軍部がインラック政権を倒し全権を掌握することになった。ウィンタイ大佐は、「批判者は何も新しいことを言っておらず、トルコの事件に乗じて国民を混乱、誤解させようとしているだけ。」と批判。
07月19日(火)クルングテープの北約260㎞のカンペンペット県カーヌウォララクサブリ郡で07月16日、学校前の掲示板に貼られていた新憲法草案の国民投票の有権者名簿が破られていたことから、「反政府勢力の仕業」との見方も出ていたが、関係当局は、「8歳ほどの少女2人が毀棄してはいけない有権者名簿であることを知らずに破ってしまったことが判明した。」と発表。
近くの寺で出家の儀式が執り行われており、少女は家族とともに儀式に列席していた。警察によれば、幼い少女2人は、有権者名簿と知りながら破ったものではないため罰せられない見通し。
07月20日(水)新憲法草案に賛成か反対かを問う国民投票が08月07日に迫る中、プア・タイ党や民主党の主要メンバーなど117人と16の団体が、新憲法草案に関する公開討論の実施とともに、新憲法草案が否決された場合の当局の対応を明確にするよう求めた。
117人の中には、アピシット民主党党首など民主党メンバー9人、スダラット♀やポキンなどプア・タイ党のメンバー18人が含まれる。
タイでは政変などに伴い数回、憲法が書き換えられてきたが、2年前の軍事クーデターの際にもそれまでの憲法が廃止され、現行の暫定憲法が制定されることになった。暫定憲法は民政に移管するまでの期間に適用される。現在、この暫定憲法に代わる新憲法の制定に向けた準備が進められており、08月07日実施の新憲法草案に関する国民投票もその一環。新憲法は民政移管に向けた総選挙とその後の国政などの指針となるが、その内容(新憲法草案の内容)についてはタクシン派が中心となって異議を唱えている。
カムペンペット県カーヌウォララクサブリ郡で新憲法草案に関する国民投票の有権者名簿が破かれた事件で、カーヌウォララクサブリ郡の警察責任者が事件を上官に報告していなかったことが発覚し調査を受けることになり、閑職に一時異動となった。
この事件はその後、小2の女児(8)2人が破ったことが判明。2人は有権者名簿の張り紙を、好きなピンク色だったからとの理由で破り、年齢も10歳未満だったことから罪には問われないこととなった。タイでは法律に沿って10歳未満に刑罰が適用されない。
だが、初段階で名簿が破られたことが上層部に報告されておらず、こちらが問題視されることになった。
07月22日(金)朝22日、英国人ジャーナリスト、アンドリュー・マーシャル(45)の妻でタイ人のノパワン・バンルーシン(38)のクルングテープ郊外の自宅を捜索し、ノパワンのパソコン、パスポートなどを押収し、ノパワンと3歳の息子を連行。ノパワンはクルングテープの警察本部で約4時間に及ぶ取り調べを受けた後、釈放。 軍事政権は、「マーシャルが数日前にインターネットの交流サイト、フェイスブックに掲載した写真が、タイ国王夫妻と王太子に対する批判を禁じた不敬罪に抵触する可能性がある。」として、ノパワンを拘留したと見られる。
マーシャルは元ロイター通信記者。2014年にタイに関する書籍を出版したが、不敬罪に抵触する恐れがあるとして、タイでは販売禁止。マーシャルはこの本の出版前から、不敬罪による逮捕を避けるため、タイに入国していない。
不敬罪は有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年のクーデター発足したタイ軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数カ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びている。昨年12月には、フェイスブックに投稿された国王の愛犬の合成写真に「いいね!」ボタンを押した男性が不敬罪で逮捕された。
07月23日(土)チエンマイ県ムアン郡で、関係当局がチエンマイ県行政機構のブンラート機構長の関係先6ケ所を家宅捜索し、新憲法草案に関する大量の問題文書や封筒などを押収。
ブンラート機構長はタクシン派・タイ貢献党と深い繋がりがあるとされる。文書は「新憲法草案は国民に多大な不利益をもたらすものである。」といった批判色の強い内容であり、08月07日の国民投票で草案に反対票を投ずることを促すことが目的と見られている。
プラウィット副首相によれば、新憲法草案に賛成か反対かを問う国民投票が8月7日に実施されるのを前に掲示板に張り出された有権者名簿が何者かによって破られたりする事例がこれまでに9県で報告されており、警察官、兵士、選管職員が協力して再発防止に当たることになった。
有権者名簿の毀棄は、8歳の女児2人が破ってしまった事件以外は犯人が個人か組織かも判明していない。なお、プラウィット副首相は、「関係当局は名簿毀棄を防止すべく警戒を強めているものの、組織的な犯行ではないと思う。」と述べた。
07月24日(日)08月07日に実施される新憲法草案国民投票の有権者名簿が何者かに破られるという事例が複数の県で報告されているが、クルングテープの北約330㎞のピチット県で、投票所の掲示板に張り出されていた有権者名簿が同地に生息するブサオサルによって破り捨てられるという事件が起きた。
投票所はムアン郡(県庁所在地)にある寺のオープン・ホール。掲示板には有権者名簿15枚、国民投票に関する文書10枚が張り出されていたが、ブタオザル約100匹がホールに乱入した際に12枚が破られたとのことだ。なお、ブタオザルは東南アジアにも広く分布しているオナガザル科のサル。
07月25日(月)英有力誌「エコノミスト」は23日付号のタイでの販売を取り止めた。掲載されているタイに関する記事がタイで不敬罪に問われる恐れがあるため。
「エコノミスト」はタイでこれまでに数回、不敬罪に抵触する恐れから販売が中止された。
07月26日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「新憲法草案が国民投票で否決された場合、政治状況が不安定化し、これに乗じて反クーデター勢力がプラユット首相を辞任させるべく活動を活発化させる恐れがある。」と警告。
反クーデター勢力とは、軍部が2年前にクーデターで当時のタクシン派インラック政権を倒したことを非難している勢力であり、現在の軍政にも否定的姿勢を取っている。
新憲法草案が否決された場合、政府は新たに新憲法草案を作成しなければならず、新憲法の制定が遅れ、結果として現政権から新政権へのバトンタッチも遅れることになる。このため「プラユット政権延命のため、08月07日の国民投票で新憲法草案を否決に持ち込むことが画策されている。」との噂が一部で広まっているが、ミーチャイ委員長は、「国民を誤解させようとしたもの。否決されたら政府が掲げる行程表通りに(民政移管などに向けた)手続きを進めることができなくなる。」と述べ、「否決はプラユット政権にとって打撃となる。」との見方。
トルコで起きた軍事クーデター未遂の首謀者として米国に亡命中のギュレン師の引き渡しをエルドアン政権が米国に要求しているが、タイ政府に対しても、「タイ・トルコ・ビジネス協会(TTBA)がギュレンと繋がっている。」として協会と関係を持たないよう要求。
関係筋によれば、駐タイ・トルコ大使が先ごろ、タイの複数の英字紙に対して「TTBAはトルコを代表しておらず、トルコの実業家を代表する団体でもない。」として、タイ政府はTTBAに接触すべきではないとの考えを示した。
TTBAはエルドアン政権の指摘に「事実ではない。」と反論。なお、トルコ大使館に登録しているタイ在住トルコ人は約700人、未登録者は約1500人と見られている。
07月27日(水)新憲法草案の国民投票が08月07日に迫るなか、プラユット首相は、政治家の意見に従わずに自分自身の判断で投票するよう有権者に対し呼びかけた。
新憲法草案に対しては、タクシン派プア・タイ党の政治家だけでなく、民主党のアピシット党首も反対意見を表明しているが、プラユット首相は、このような意見表明は有権者の判断に悪影響を与えるとの懸念を示している。
ただアピシット党首は、「新憲法草案反対は個人的な意見であり、党の総意ではない。」としている。なお、プラユット政権に対し、タクシン派は敵対姿勢をとっているが、反タクシン派の民主党はどちらかと言えば軍政寄りとされている。
チエンマイ県で先に国民投票で新憲法草案を否決に持ち込もうと内容を歪曲して有権者に伝えるべく用意されていたとされる手紙が大量に押収された事件で、警察当局は、チエンマイ県行政機構のタサニー副議長♀を逮捕。
タサニーはチエンマイ県選出の元下院議員で、妹が26日夜にチエンマイ県内の自宅で逮捕されたことから、27日にクルングテープの警察庁本部に抗議に現われたところを事件に関与したとして逮捕された。
07月28日(木)刑事裁判所は、タクシン・チナワットの長男パーントーングテー長女ピントーングター、次女ペートーングターンが2006年にシン・コープ株を購入した際に160億Bを脱税したのを手助けしたとしてベンチャ元副財務相ら4人に有罪判決を言い渡すとともに、それぞれ30万Bの保証金で4人の保釈を認めた。
これら4人は元国税局職員で、タクシンの長男パーントーングテー長女ピントーングター、次女ペートーングターンによる株取得に際に「納税は不要。」と判断したが、「納税は必要だった。」とする国家汚職制圧委員会(NACC)に訴えられることになった。
08月07日の国民投票で新憲法草案に賛成票あるいは反対票を投ずるかで主要政党の民主党の関係者の間で意見が対立。アピシット民主党党首(元首相)は草案への反対を表明しているが、これに対して民主党支持者の中からも批判的な声が挙がっている。
これについて、プラウィット副首相は、「アピシット党首のサポーターの一部はアピシットと同じように反対票を投ずるかもしれない。だが、そうしないサポーターもいるだろう。これは個人の判断であり、誰も強制することはできない。」と述べている。
なお、関係筋によれば、新憲法草案が否決された場合、新たに草案を作成するなどの作業が必要となり、結果としてプラユット政権の存続期間が長くなるが、プラユット政権はこれを望んで反対票を投ずる人もいると見ているため、否決が必ずしも政権に対するノーではなく、否決を恐れる必要はないと考えている。
07月30日(土)アピシット民主党党首が先に「08月07日の国民投票で新憲法草案に反対票を投ずると表明し、また、党内にはこれに否定的な意見もある。」と報じられているが、サティット民主党副党首はこのほど、「民主党のメンバーのほとんどが党首の姿勢に賛同している。」と述べた。
タイではタクシン派の台頭に伴い、タクシン派と反タクシン派が対立する状態が続いているが、タクシン派はタクシンの妹インラックが率いる政権が2年前に軍事クーデターで倒されたことから軍部に対し反抗的姿勢を取っている。
民主党は反タクシン派で、どちらかと言えば軍部寄り。だが、アピシット党首は、「軍政主導で作成された新憲法草案には受け入れ難い部分がある。」として「国民投票で草案に反対票を投ずる。」と明言。サティット副党首によれば、「中部選出の元民主党議員26人が反対票を投ずることで意見が一致した。」
07月31日(日)タイで最も長い歴史を誇る政党である民主党のアピシット党首はこのほど、新憲法草案には反対だが、草案が08月07日の国民投票で可決されて新憲法が制定された場合、新憲法のもとで実施される総選挙には民主党が参加し、アピシット党首も立候補する考えを明らかに。
アピシット党首は「新憲法草案には部分的に受け入れがたいものがある。だが、有権者の過半数が草案に賛成し、草案通りに新憲法が制定されれば、それを尊重し、新憲法のもとで実施される総選挙には反対しない。」
アピシットは2005年から民主党党首を務めているが、民主党は2006年04月と2014年02月の2回にわたり総選挙をボイコットしている。
08月01日(月)政策の違法性を検証している委員会が、「インラック前政権が導入した米担保融資制度で2866億Bの損失が生じ、これをインラック前首相に償わせる。」との報告書をパナダ首相府相に提出。
このほか首相府のチラチャイ副事務次官を長とする同委員会は、「虚偽の政府間取引に関連して前政権で商業相を務めたブンソン氏や高級官僚5人に187億Bの罰金刑が科される可能性がある。」とも報告している。
なお、同委員会が報告した損失額2866億Bは過去に財務省の委員会が算出した損失額5000億Bを大きく下回るものとなっている。
08月07日に迫った新憲法草案の国民投票について、プラウィット副首相兼国防相は、「兵士は自分の意思に基づいて自由に投票できる」と述べ」、「全国の兵士に賛成票を投ずることが命じられている。」との噂を全面的に否定。
プラユット政権は国民投票で新憲法草案を通し早期に新憲法を制定、総選挙を実施して民政移管を実現しようとしているが、新憲法草案にはタクシン派などが反対している。
国防相は、「草案に賛成することが兵士に命じられた事実はない。」と明言。さらに、「草案が否決されてもプラユット首相が責任を取って辞任する必要はない。」とも付け加えた。
08月02日(火)新憲法草案が08月07日の国民投票で否決されたなら首相は責任をとって辞任すべきとの声が一部で出ていることについて、プラユット首相は、「国民投票は勝ち負けを決めるものではない。私は誰にも負けたことがなく、また、誰かに勝ちたいとも思っていない。」と述べて、引責辞任するつもりも必要もないとの見方を示した。
タクシン派など現在の軍政に批判的な勢力は、国民投票が現政権への国民の信任を試すものであり、否決された場合は信任を得られなかったことを意味するとしてプラユット首相に辞任するよう迫っている。
だが、プラユット首相によれば、」国民投票は民政移管に向けた手続きの一部にすぎず、否決された場合は必要な手段を講ずれば良いだけとのことだ。」
タクシン派インラック政権で外相を務めたスラポンがプラウィット副首相兼国防相が首相ポストを狙っているらしいとして、「新憲法草案が国民投票で否決された場合はプラユット首相が辞任し、プラウィット氏が首相に就任すべき。」などと述べたことに対し、プラウィットは、「首相になろうと思ったことは一度もなく、また、私は政府のトップに向いていない」と明言。
また、スラポンの発言は、プラユット首相とプラウィット副首相の間の軋轢を示唆したものとされるが、プラユット首相もプラウィット副首相も「互いに相手を尊敬しており、関係も良好である。」と強調。
08月03日(水)在タイ日本大使館は、タイで07日に実施される憲法案の国民投票について、外出する際には念のため、人が集まっている場所を避けるよう注意。
在タイの米国大使館、英国大使館も、国民投票で政治的な緊張が高まる恐れがあるとして、集会などに近寄らず、現地情報の収集に務めるよう、現地の自国民に呼びかけた。米国大使館はまた、公共の場で軍事政権や王室を批判しないよう注意。
憲法案は2014年のクーデターで発足した軍事政権が作成したもので、議会下院と大政党、政府を弱体化し、軍・特権階級が議会上院などを通じ強い影響力を維持する内容。軍政は憲法案に関する意見表明を事実上禁止し、違反者に最高で禁錮10年を科す法律を施行。
憲法案に対しては、軍政と対立するタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党というタイの2大政党がいずれも反対を表明した。軍政は国民投票を前に、タクシン派の政治家、支持者多数を拘束するなど締め付けを強化し、タクシン派との間で緊張が高まっている。

憲法草案の国民投票の実施にかかる注意喚起(2016年8月3日現在)

1.8月7日(日)午前8時より午後4時まで,タイ国内において,憲法草案への賛否を問う国民投票が実施される予定です。
2.これまで,国民投票をめぐっては,様々な意見表明がなされ,国内で意見が分かれているところです。念のため,外出される際には,多くの人が参集している場所を避ける等ご注意ください。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
 電話:(66-2)207-8502,696-3002
 FAX :(66-2)207-8511
インラック前政権が導入し、巨額の損失を生むことになった米担保融資制度について、政府委員会が先にインラック前首相の罰金を2866億Bとする報告を明らかにしたが、プラユット首相は、罰金が増額される可能性に言及。
これは、米担保融資制度のもとで政府が買い上げて現在も保管されている米の品質が劣化し続けて被害額がさらに拡大しているため。2866億Bという罰金は05月22日現在の被害額に基づいて算出されたものという。
なお、米担保融資制度は農民を支援するための実質的な高値での米の買い上げシステム。米作農支援策は過去の政府も導入していたが、インラック前政権の制度は損失額が突出しており、経済専門家からも厳しい批判が浴びせられていた。
立法議会(NLA)のポンペット議長は、「新憲法草案の国民投票は国民が新憲法草案をどのように捉え、また、現政権の選んだ上院議員を首相選出に参加させるべきと考えているか否かを見るためのものである。」と指摘し、投票結果を政治的に利用すべきではないと訴えた。「国民投票を『現政権を信任するか否かの手段』と捉えるのは間違っている。」という。
ポンペット議長は、新憲法草案が可決された場合、親政府勢力が「プラユット政権は国民に支持されている。」と宣伝し、また、否決された場合は反政府勢力がプラユット首相への退陣要求を強めることが考えられる点を強く懸念。
08月04日(木)08月07日実施の新憲法草案に関する国民投票が否決された場合、改めて検討を行い国民投票を経ずに新憲法が制定されるというが、それがどのような憲法になるかを巡って意見が分かれている。
草案の内容には受け入れ難い個所があるとしてタクシン派プア・タイ党やタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)、反タクシン派の民主党のアピシット党首などが反対票を投ずる姿勢を明らかにしているが、草案が否決されたならさらに非民主的な内容のものが新憲法として制定されるというのが悲観的な見方。
一方、否決されたらプラユット首相も国民の意見を受け入れて反対派が受け入れやすい内容のものを新憲法として制定するという楽観的な見方も出ている。
08月07日の国民投票の結果に注目が集まる中、複数の国が在タイ大使館を通じて自国民に国民党費用絡みのトラブルに注意するよう呼びかけているというが、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ピヤポンは、このような注意喚起に不快感を示すとともに、何も起きなかった場合は警告を発した人々が信用を失うことになるとの見方を示した。
今回の新憲法草案に関する国民投票については、反政府勢力などが反対票を投ずるよう呼びかける動きを見せているものの、ピヤポンによれば、「当局が情報収集などを行ってしっかり状況を把握している。」
08月07日(日)18時新憲法草案の是非を問う国民投票が16時(タイ時間)で締め切られ現在、各地で開票が進んでいるが、タイ字紙ポスト・トゥデーによる集計の途中経過(非公式)によれば、支持が61.98%、不支持が38.02%。
タイ東北部以外の地域では支持派が不支持派を上回っている。ただ、タクシン派が多いとされる東北部も両派の差は3%に過ぎない。
また首相選出で上院にも投票権を与える案については、賛成が58.59%、反対が41.41%。 なお中央選挙管理委員会によれば、開票の進み具合であるが18時の時点で63%。
)18時50分非公式の開票速報によると、「賛成」が約62%、「反対」が約38%で、憲法案は可決される見通し。
  憲法案は議会下院と大政党、政府を弱体化し、軍・特権階級が議会上院などを通じ強い影響力を維持する内容。軍政は憲法案に関する意見表明を事実上禁止し、違反者に最高で禁錮10年を科す法律を施行している。
憲法案に対しては、軍政と対立するタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党というタイの2大政党がいずれも反対を表明していた。
)19時新憲法草案の是非を問う国民投票で、賛成票が過半数に達した。これにより、来年民政化に向けた総選挙が行われる見通し。
中央選挙管理委員会は、開票率94%の時点で新憲法草案国民投票の非公式結果を発表。草案支持が61.40%の1556万2027人、不支持が38.60%の978万4680人となり、新憲法草案の承認がほぼ確実となった。
有権者5026万1529人中、2762万3126人が投票を行った。今回は22万4353人が投票資格を失っているため、投票率は約58%。2007年に行われた国民投票の約57%をわずかに上回った。
また首相選出で下院議員だけでなく上院議員にも投票権を与えるとの案については、賛成58.11%、反対41.89%。
08月08日(月)未明軍事政権が作成した憲法案の賛否を問う国民投票が07日、タイで実施され、賛成多数で可決されることが確実。
クルングテープ都内に限っては、未明の情報では賛成が69.42%、反対が30.58%。
新憲法の成立により、2017年に「民政移管」に向けた議会下院総選挙が実施される見通し。ただ、総選挙後も、任命制の議会上院、汚職取締委員会などの独立機関、司法を通じ、軍・特権階級が少なくとも2022年まで実権を維持する。
タイ選挙委員会の非公式の開票速報によると、94%開票時点で、「賛成」約61%、「反対」約39%。投票率は約58%。軍政と対立するタクシン派の地盤である東北部の大部分とタクシンの生まれ故郷であるチエンマイ県など北部の一部では「反対」が「賛成」を上回った。
投票結果について、タイ国内では「軍政による内政の安定に対する評価。」、「国民が早期の総選挙を望んだ。」、「憲法案に関する議論、意見表明が事実上禁止され、内容が理解されなかった。」といった様々な分析が出ている。
憲法案は国会が上院(定数250)と下院(定数500)の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革がタクシンの台頭を許したと見て、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は2017年から5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。軍・特権階級は国会の3分の1を自動的に抑えることから、下院で130議席程度を味方につければ、過半数を制する。選挙後、軍主導の政権が発足し、プラユット首相(元陸軍司令官)が続投する可能性もある。
憲法案にはタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党というタイの2大政党がいずれも反対を表明していた。軍政は反対を抑えこむため、憲法案に関する意見表明を事実上禁止し、違反者に最高で禁錮10年を科す法律を施行。憲法案に批判的なタクシン派の政治家や市民を相次いで「態度矯正」と称して拘束するなど、強硬手段に訴えた。
タクシンの妹のインラック前首相は国民投票の結果について、インターネットの交流サイト、フェイスブックに「国民の皆さんの判断を受け入れる。」が、「憲法案に関する意見表明、議論が禁止された結果、」、「民主主義に見えるが実際にはそうではない憲法で、国が後退する。残念だ。」などと書き込んだ。
民主党のアピシット党首(元首相)は投票結果を受け入れるとした上で、「軍事政権は今後、(民主化に向けた)政治工程表に従い国を前進させる義務がある。」、「国家の問題は経済、貧困、負債、汚職、政治対立など多岐にわたる。」、「政治活動の再開が許可されれば、私と民主党は問題解決に向け前進する。」などとフェイスブックで発表。
今回の国民投票の勝者は権力維持を確実にした軍・特権階級、最大の敗者はタクシン。タクシンは2006年の軍事クーデターで政権を追われ、国外滞在中の2008年、汚職で懲役2年の判決を受けた。以来、タイに帰国せず、国外からタイの政治に強い影響力を振るってきた。しかし、すでに67歳。反タクシン派が少なくとも今後6年、実権を離さないことがほぼ確実になり、タクシン派の政権復帰、自身への恩赦、帰国というシナリオは崩れ去った。タクシン派の今後も不透明。
タクシン派政党と民主党の下院総選挙の得票数は、タクシン政権(2001~2006年)の全盛期だった2005年02月がタクシン派政党1899万票、民主党721万票。2006年のクーデターでタクシン政権を打倒した軍事政権が民政移管のため実施した2007年12月の選挙は、軍が民主党を後押しした結果、タクシン派1234万票、民主党1215万票と僅差になった。タクシン派デモ隊によるクルングテープ都心部の長期占拠、治安部隊による強制鎮圧という大事件の1年後に行われた2011年07月の選挙はタクシン派1575万票、民主党1144万票。
今回の国民投票では、プア・タイ党、民主党の両党が反対を呼びかけたにも関わらず、「反対」970万票に対し、「賛成」は1550万票に上った。この結果がタクシン派の影響力後退を示しているとすれば、プア・タイ党は2017年の総選挙でも苦戦し、選挙後も続く実質的な軍政下で力のない野党に転落する恐れがある。
国民投票で新憲法草案への賛成票が反対票を上回ったことについて、インラック前首相は、「国の後退を示すもので悲しい。」との見解を明らかに。
今回の国民投票では、反対勢力の動きを抑え込むべく意見表明などが法律で規制されることになったが、インラック前首相は「意見を自由に交わすことができなかったことが賛成の優勢に繋がった。新憲法草案は非民主的なものであり、これを有権者の多くが受け入れたことは時代に逆行していると言わざるを得ない。」と訴えた。
一方、アピシット党首は国民投票の結果について「有権者の多くが今の安定した治安状態に満足している。」
中央選挙管理委員会のブンヤキアット事務局長代行によれば、新憲法草案に賛成か反対かを問うため08月07日に実施された「国民投票で投票用を破った者が理由によっては処罰される。」という。全国で合計88人が投票所で投票用紙を破り、うち60人が逮捕されたが、そのほとんどが勘違いなどで投票用紙を破ってしまった高齢者だった。国民投票法59条では、「投票用を毀壊した投票者は10年までの禁錮刑と2万Bまでの罰金刑を科せられる可能性がある。」と規定されている。 ブンヤキアット事務局長代行によれば、警察がどのような経緯で投票用紙を破ったかを調査中だが、不注意や悪意がなかったケースは処罰されない見通し。
新憲法草案の国民投票で賛成票が6割に達したことから「軍政が国民の信任を得た。」との受け止め方が広まっているが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「現政権が国民の支持を背景に新党を立ち上げて総選挙に候補者を送り込むことはない。」と明言。
プラウィットは現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の副議長を務めている(議長はプラユット首相)。
タイでは過去に軍事クーデター後、軍部首脳が政界に進出して非常に強い国民の反発を招いたことがあり、今回の副首相の発言も国民の懸念に配慮した結果と見られている。
国民投票で新憲法草案が可決されたことを受けウィサヌ副首相は、「政府が打ち出した行程表に基づき総選挙は来年実施される。」と明言。「再来年にずれ込むことはない。」との見方を明らかに。これは、「現政権が延命を図ろうと画策している。」との批判が一部で出ていることを受けてのもの。
今後、可決された草案通りに新憲法が制定され、新憲法のもとで総選挙が実施され新政権が誕生することで民政復帰が実現することになる。
農業従事者が多数を占める東北部17県はタクシン派の強力な支持基盤とされているが、今回の新憲法草案に関する国民投票では、タクシン派が軍政に否定的姿勢を示していることから、14県で反対票が賛成票を上回った。
東北部全体では反対票が約51%、反対票が約48%。
なお、賛成が優勢だった3県のうちナコーンラチャシーマー県は、賛成票が64%に上ったが、これはナコーンラチャシーマー県がプラユット首相の出身地であることが最大の要因とされている。
軍事政権が作成した憲法案の賛否を問う国民投票が07日、タイで実施され、賛成多数で可決が確実となったことについて、米国務省のトルドー報道部長は、憲法案の作成が国民不在で行われ、内容の是非に関する議論が禁止されたことに言及し、懸念を表明。
「軍はできるだけ早期に選挙で選ばれ文民が率いる政府に政権を移譲すべき。」という考えを表明。「表現の自由、集会の自由に対する制限を解除すべき。」とも述べた。
欧州連合(EU)も同日、報道官による声明を出し、米政府と同様の見解。
08月09日(火)総選挙が来年実施され、現在の軍政に終止符が打たれて民政復帰が実現する見通しとなっているが、現在首相を務めるプラユットが総選挙後に首相に就任する可能性。
「新憲法の規定では非下院議員も首相に就任することが可能となるが、総選挙後に要請があったら首相に就任するか」との質問に対し、プラユット首相が明確な返答を避けたことによるもの。このため、プラユットに新首相を務めさせるべく親軍部の政党が設立されるとの見方も出ているという。
一昨年05月の軍事クーデター後に設立された国家改革評議会(NRC、すでに解散)のメンバーだったパイブンが新党を立ち上げて総選挙に立候補する意向を示しているが、新党設立がプラユット首相再登板のための布石とする指摘もある。
08月07日に行われた新憲法草案の国民投票について、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、ピサヌローク県ムアン郡(県庁所在地)で票の数え直しを選管に要請する考えを明らかに。このため、投票の結果の正式発表がさらに遅れる可能性が出てきた。
委員によれば、票の集計では開票所に集まった人々に対し投票用紙を開いて見せる形で票数を数えているが、ピサヌロークの開票の様子を撮影した動画では、開票に当たった者が投票用紙を開いて見せていなかった。集計結果もあまりに短時間のうち発表されており不自然だったため。
インラック前政権が導入し、数千億Bに及ぶ損失をもたらした米担保融資制度で関係当局がインラック前首相に巨額の損害賠償を請求しようとしていることについて、インラックは最高裁判所で「プラユット首相が正義を捩じ曲げるよう命じ自分が不当な扱いを受けている。」などと主張。しかし、チュティマ商業事務次官は、「インラック前首相は大きな誤解を犯している。」と反論。
それによると、「インラックに対する訴訟は、現政権の設置した委員会が恣意的に提起したものではなく、法律に忠実に従った結果という。また、賠償命令に不服ならば、インラックは行政裁判所に命令の取り消しを求めることも可能であり、インラックの批判は当たらない。」
強硬な反タクシン派として知られるパイブーン元上院議員が、新党を設立する構想を明らかにした。名称は「国民改革党」。来年に予定されている議会下院選で議席を獲得し、軍事政権のプラユット首相(元陸軍司令官)の続投を支援する。
パイブーンの構想について、プラユット首相は10日、コメントを拒否。
パイブーンは2013年10月から2014年05月にかけての反政府デモに積極的に参加。2014年05月のクーデターでタクシン派インラック政権が崩壊した後、反タクシン派軍事政権が設立した国家改革議会の議員と憲法起草委員会委員を務めた。反インラック政権デモを指揮したステープ元副首相(元民主党幹事長)に近く、新党はステープ元副首相を中心とする王党派の受け皿、軍・特権階級の側面支援という役回りとなりそう。
タイの下院選は2001年以降、タクシン派政党と反タクシン派の民主党という2大政党の争いとなっている。しかし、今月07日に行われた憲法案の国民投票では、タクシン派のプア・タイ党と民主党が「非民主的な内容」だとしてそろって反対を表明。憲法案は賛成多数で可決されたものの、軍政と民主党の関係はギクシャクしている。
可決された憲法案は国会が上院(定数250)と下院(同500)の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革がタクシンの台頭を許したとみて、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は当初の5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。
下院選は新憲法の施行後、2017年に行われる見通しだが、上院議員が国会の3分の1を占めることから、軍・特権階級の意向に逆らい国政を運営することは不可能。軍・特権階級が民主党もしくは複数の中小政党と組み、政権を運営する可能性が高く、プラユット首相が続投するとの見方も出ている。
08月10日(水)中央選挙管理委員会が、新憲法草案に対する国民投票の結果を正式発表。有権者総数5007万1589人、投票者総数2974万677人で投票率は59.40%。有効投票数2880万4432票、無効投票数93万6209票(3.15%)。無効票の割合は、ヤラー、パタニー、ナラティワートの深南部3県が最も高く、逆にクルングテープが最も低かった。
新憲法草案に対して、「賛成」が1682万0402票(得票率61.35%)、「反対」が1059万8037票(同38.65%)、「総選挙後5年間に限り下院議員に加えて上院議員も新首相選出に参加させるべきか」との質問には、「賛成」1513万2050票(58.07%)、「反対」1092万6648票(41.93%)。
先の国民投票で新憲法草案が承認されて現政権は国民の信任を得た形となったが、プラユット首相は、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長(プラユット首相)が強大な権限を行使できるとした現行の暫定憲法44条を廃止する考えのないことを明らかにした。44条は暫定憲法の規定で新政権誕生まで有効とされている。
。」「新憲法草案が承認されたことで現政権にとっての不安要因が減ったとの見方が優勢だが、首相によれば、「44条は平和と秩序を維持するために必要。このため、44条を新政権が誕生する前に廃止することはできない。」
関係筋によれば、「警察庁はこのほど、捜査を迅速化するため裁判所の許可を待たずに容疑者の通信傍受ができるよう内閣に許可を申請した。」
これにより容疑者の通信や通話を盗聴することが刑事訴訟法15条を改正することで可能になる。 なお、同筋によれば、「警察は、闇雲に盗聴をするつもりはなく、テロ、国際犯罪、治安問題、時効絡みの複雑な事案に限って裁判所の許可無しの通信傍受を可能にするよう求めている。」
中央選挙管理委員会のスパチャイ委員長は、深南部3県で無効票が多かったことに懸念を表明し、原因を究明する考えを明らかに。これら3県は、仏教徒が圧倒的多数を占めるタイにあって住民のほとんどがイスラム教徒という特殊性を有し、また、10年以上前から分離独立を求めるイスラム過激派がテロを繰り返し、治安が極度に悪化した状態が続いている。
先の国民投票における無効票の割合は、全国が3.15%だったが、最南部3県はパタニー7.4%、ヤラー6.54%、ナラティワート7.1%と異常に高かった。
タイ軍事政権のプラユット首相はのテレビ演説で、2017年末に議会下院総選挙が行われるという見通しを示した。
プラユット首相は軍政が作成した憲法案が07日の国民投票で可決されたことについて、国民、関係者に謝意を表明。「今後、新憲法の施行、選挙関連の法律を制定し、下院選を実施する。」という道筋を示した。
日本外務省は、新憲法草案などの是非を問う国民投票について、「特段の混乱なく実施されたことを歓迎する。」との談話を発表。
談話では正式に国民投票の結果が発表されたことを受け、「我が国は,国民投票によって承認された新憲法の下で,下院選挙を含むタイの民政復帰に向けたプロセスが円滑に進み,引き続き同国が地域の安定と発展に貢献することを期待します。」

タイにおける新憲法草案に係る国民投票について(外務報道官談話)平成28年8月10日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_002230.html

タイの国民投票については、米国と欧州連合(EU)が08日、憲法案の作成が国民不在で行われ、内容の是非に関する議論が禁止されたなどとして、懸念を示していた。
タイ字紙最大手タイラット(電子版)は日本政府の反応を伝えた記事のタイトルで、国民投票について歓迎の意を表明した外国政府は日本が初めてと報じた。
08月11日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)が「3年前に当時のプア・タイ党議員40人が恩赦法案を議会で審議するよう要請したのが職権乱用に該当する可能性がある。」として本格的な捜査を開始する動きを見せている。
この疑惑については、2014年05月の軍事クーデターの前に民主党がNACCに訴えを起こしていたもので、NACCがこのほど、これら元議員に対し、調査部会を立ち上げること、部会メンバーの人選に異議があれば7日以内にNACCに連絡するよう通知してきたとのことだ。関係筋によれば、「今回のNACCの対応は、タクシン派プア・タイ党の動きを封じ込めることが狙いと見られる。」
なお、プア・タイ党は政治対立を解消して国民和解を実現するためとして過去に何度となく政治関連犯に恩赦を適用しようと試みたが、その都度「タクシンの罪を免じて政界復帰させることが狙い。」などと反タクシン派から厳しい批判を浴び、恩赦適用は結局実現しなかった。
15時頃タイ南部トラン市中心部の市場前で爆発が起き、屋台商のタイ人男性1人が死亡、男女6人が負傷。現場はトラン県庁舎から数百m。警察は携帯電話を使った遠隔操作爆弾が爆発したと見て捜査を進めている。
22時15分タイ中部の海浜保養地フアヒンのバーの近くに置かれた爆弾2発が爆発。
屋台が立ち並ぶ路上の植木鉢に隠され携帯電話で起爆された模様で、最初の爆弾が爆発。1発目では死傷者なし。
その約20分後の23時頃、1発目から50mほど離れた繁華街のビアバー「John 56」付近で2発目が爆発。バーの前で食品の屋台を営業していたタイ人女性1人が死亡、外国人9人を含む少なくとも21人が負傷。
フアヒンはクルングテープの南約200㎞のマレー半島東岸の町で、タイ国王の離宮「クライカンウォン宮殿」があることで知られる。12日はシリキット王妃の誕生日で母の日の祝日に当たる。12日の王妃誕生日を前に多くの人で賑わっていた。
犯行声明などは出ていないが、王室ゆかりの地での爆発は、国王の威光にすがる軍を中心とする支配層への反発との見方もある。

← 翌日12日の爆弾テロの現場

タイでは昨年08月17日にクルングテープ都心のラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
マレーシアと国境を接するタイ深南部ではマレー系イスラム武装勢力とタイ治安当局の抗争が続き、銃撃、爆弾テロが頻発している。1発目の爆発で警官、兵士を誘き寄せ、2発目を爆発させる手口は、マレー系イスラム武装勢力がよく使う方法という指摘がある。
08月12日(金)02時14分タイ南部パンガー市の市場で火災が発生し、約80店点が全焼。死者、怪我人はなかった。
消防が出動し、約1時間後に鎮火。
警察、消防が出火原因を調べている。
03時頃タイ南部トラン市の百貨店で火事があり、3階建ての建物がほぼ全焼。死者、怪我人はなかった。
消防が出動し、約4時間後に鎮火。警察、消防が出火原因を調べている。
この他、トラン市では3階建ての商店がほぼ全焼。
03時半頃タイ南部スラタニー市の商店街で火事があり、3階建てのショップハウス3棟がほぼ全焼。死者、怪我人はなかった。
消防が出動し、約2時間後に鎮火。
04時頃タイ南部クラビー市の商店街で火事があり、4店がほぼ全焼。死者、怪我人はなかった。
消防が出動し、約1時間後に鎮火。
警察、消防が出火原因を調べている。
04時頃タイ南部ナコンシータマラート市のショッピングセンター、テスコロータス・ナコンシータマラート店で火事があり、店内の一部が焼損。死者、怪我人はなかった。
消防が出動し、数十分後に鎮火。
タイ治安当局は放火とみて捜査を進めている。
07時45分タイ南部のリゾート、プーケット島のパトンビーチで爆弾2発が爆発。1回目の爆発で1人が負傷、交番が破損。その1時間後の2回目の爆発は300m離れた地点で起きたが、負傷者はいなかった。
08時01分タイ南部スラタニー市で爆弾2発が爆発し、1人が死亡、数人が負傷。
午前08時の国歌の流れる中、市内の水上警察前の花壇で1発目が爆発し、県職員の女性1人が死亡、4人が負傷。
約30分後の08時30分、最初の爆発現場から数百m離れたスラタニー警察署前で2発目が爆発。2発目では死傷者なし。合わせて1人が死亡。4人が負傷。
スラタニー県の地元警察は「フアヒンでの爆発と関連がある。」との見方。
08時45分プーケット島のロマビーチでまた爆弾が爆発。死傷者なし。
09時頃中部パンガー県タクアパー市場で2件の爆発。負傷者はいない。
09時頃11日夜に爆弾2発が爆発し死傷者が出たタイ中部の海浜保養地フアヒンの街のランドマークとなっている時計台近くの100mほど離れた寺院の前で、再度1回目の爆発。女性1人が死亡。5分後にも立て続けに2回目の爆発。爆弾は殺傷能力を高めるために鉄球が飛び散る仕掛けになっていた。1人が死亡、3人が負傷。
フアヒンでは、合わせて2人が死亡、外国人観光客10人を含む24人が負傷。外国人の国籍はオランダ、ドイツ、イタリア、オーストリア。
08月11日から12日にかけてタイ南部数県で爆破事件が続発。これを受け在タイ日本大使館から緊急メールで在住者・旅行者らに注意喚起。

タイ国内における爆発事案の連続発生に関する注意喚起(2016年8月12日(10時30分)現在)

1.昨11日以降,これまでにタイ国内南部各県の複数の場所において,爆弾による爆破事件,及び爆弾が発見される等の事案が連続して発生しています。
依然として,各犯行の目的等の詳細は明らかになっておらず,引き続きの警戒が必要です。
現地報道等をもとにした事案概要は以下の通りです。
・11日午後,南部トラン県の市場で爆弾が爆発し,複数の死傷者が発生。
・11日,南部プーケット島で爆弾とみられる不審物を発見。
・11日深夜,中部フアヒンの繁華街で爆弾が爆発し,複数の死傷者が発生。
・12日朝,南部スラタニ県の警察署前で爆弾が爆発し,複数の死傷者が発生。
・12日朝,南部プーケット島のパトンビーチ付近にて爆弾が爆発,複数の負傷者が発生。
・12日朝,南部ナコンシータマラート県で爆弾が爆発。
・12日朝,中部フアヒンの時計塔近くにて爆弾が爆発。
2.タイに渡航・滞在を予定している方または既に滞在中の方は,今後も不測の事態が発生する可能性が排除できません。同一の県内で複数回の爆発事件が発生している場合もありますので,最新情報を入手するなど治安状況等の把握に努め,外出される際には十分な安全対策をとってください。
問い合わせ先
○在タイ日本国大使館領事部
電話: (66-2)207-8502、696-3002
FAX :(66-2)207-8511
タイの観光地、ホアヒンやプーケットなど5つの地域で、11日昼から12日朝にかけて11度の爆発が相次ぎ、合わせて4人が死亡、外国人観光客を含む34人が負傷。
タイ南部では12日未明、火事が相次ぎ、爆弾事件と連動した放火が疑われている。火事があったのはトラン市の百貨店、スラタニー市の商店街、南部ナコンシータマラート市のショッピングセンター、テスコロータス・ナコンシータマラート店、パンガー市の市場、南部クラビー市の商店街。死者、怪我人はなかった。
警察は複数の容疑者を拘束。監視カメラに写っていた別の容疑者と見られる人物の行方を追っていることを明らかに。事件は「国内勢力による破壊活動」との見方を示し、犯行の目的について「結論を急ぐには早すぎる。」としながらも、「確かなのは、事件はいかなるテロとも直接関係はないということだ。」と強調し、イスラム教スンニー派過激組織「ダーウィッシュ」=「イスラム国(IS)」などの関与を否定。タイ警察幹部は「警備体制を強化している。検問所を複数設置し、バッグなどの持ち物検査を実施中。」と説明。
連続爆発が、タイにとって非常に重要な観光産業を標的にしているのは明らか。
11日から12日にかけて中部プラチュアプキリカーン県およびトラン県など南部複数県で爆破事件が連続して起き、4人が死亡、35人が重軽傷を負ったことを受け、プラウィット副首相兼国防相を議長とした治安当局者の緊急会議。
関係筋によれば、「会議では政治的な目的を持つ者たちによる犯行との見方が支配的だった。」
08月07日の国民投票で新憲法草案が承認されたことで「軍政を国民が支持している。」との受け止め方が優勢となっているが、同筋は、「国民投票の結果を受けて自信を強めている現政権に反抗する者たち、あるいは、(現政権の後ろ盾である)国家平和秩序評議会(NCPO)の信用失墜を狙った者たちによる犯行の可能性がある。」
これまでの捜査では、爆弾は金属片などを詰めて殺傷力を高めたパイプ型と判明。携帯電話を使って爆発させたとみられる。内務省は官公署、観光地、ホテル、空港などで警戒レベルを引き上げ、軍や警察に治安対策の徹底を求めた。
なお、爆弾事件では起爆装置として使われた携帯電話のSIMカードも見つかっているが、このカードはマレーシアから持ち込まれたものだった。
08月13日(土)11日から12日にかけて中部と南部の複数か所で爆弾が爆発するなどして多くの死傷者が出た事件で、関係当局は、「これまでの集められた証拠から、軍事クーデターで影響を受け、現状に不満を抱いている政党の関与が疑われる。」との見方。
南部パンガー県で13日、不発の爆弾2個が見つかった。プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)によれば、「政党が関係していると見られるが、最南部で10年ほど前からテロ事件を繰り返している分離独立主義のイスラム過激派が攻撃対象地域を拡大した結果とは考えられず、また、外国の過激派による犯行の可能性もない。」
ポンサパット警察庁副長官も「使用された爆発物は南部で使われているものと似ているが、過激派とは関係がないだろう。」、「一連の事件が同じ首謀者の手下たちによる犯行」との見方。
一方、インターネット上では、現在の軍政に否定的姿勢を取っているタクシン派プア・タイ党の関与を指摘する批判意見が目立っているが、プア・タイ党幹部のノパドンはこのほど、事件の犠牲者に対し弔意を表すとともに、政治的事件と決めつけないよう呼びかけ。プア・タイ党の実質的党首であるタクシンが犯行に関わったと非難する者があれば、裁判に訴える構えを明らかに。
08月14日(日)11、12日に複数の爆弾が爆発して死傷者が出たタイ中部フアヒン市チャットチャイ市場と南部プーケット島のパトンビーチで、携帯電話、アルコールなどからなる時限発火装置と見られる不審物が見つかった。不審物はいずれも衣料品店に放置されていた。放火を目的に、12日未明に発火するよう仕掛けられたが、うまく機能しなかった模様。
11日からシリキット王妃誕生日の祝日である翌12日にかけ、ビーチリゾートのフアヒン、プーケットなどで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人が負傷。商店街などでの不審火も相次ぎ、タイ軍事政権とタイの主要産業である観光業へのダメージを狙った政治的犯行という見方。
日本外務省は一連の爆弾事件を受け、08月12日、タイに渡航・滞在する日本人に注意を呼びかけた。
タイ警察は一連の事件を同一グループの犯行とみて捜査を進めている。すでに数人を拘束したもようだが、詳細は明らかになっていない。また、爆弾、発火装置に使われた携帯電話はマレーシアから持ち込まれた疑いがあり、マレーシア当局に捜査協力を要請した。
今回の犯行については、タイ軍政と対立するタクシン派、タイ深南部のマレー系イスラム武装勢力、国際テロ組織などの関与説が浮上。タイ警察幹部はタクシン派の関与を匂わす一方、深南部のマレー系イスラム武装勢力や国際テロ組織の関与を否定しているが、マレー系イスラム武装勢力や国際テロ組織が関与していた場合、政治的、対外的な影響が大きいことから、とりあえず否定した可能性がある。タクシン派は事件への関与を否定。
タイでは軍政が作成した憲法案の賛否を問う国民投票が08月07日、実施され、賛成多数で可決。新憲法が施行されると、軍・特権階級による統治が少なくとも2022年まで続く公算が大きく、タクシン派は憲法案に強く反対していた。今回の事件が集中した南部は軍・特権階級に対する支持が強く、タクシン派の地盤である東北部、北部とは政治的に対立関係にある。
マレーシアと国境を接するタイ深南部ではマレー系イスラム武装勢力とタイ治安当局の抗争が続き、銃撃、爆弾テロが頻発。2004年以降、1万5000件を超えるテロが発生し、6500人以上が死亡。フアヒンでの爆発のように、1発目の爆発で警官、兵士を誘き寄せ、2発目を爆発させる手口はマレー系イスラム武装勢力がよく使う方法という指摘がある。ただ、マレー系イスラム武装勢力によるテロはほとんどが深南部に限定され、フアヒン、ナコンシータマラートなどへの攻撃は過去に例がない。国際テロ組織による犯行説はタイではあまり支持されていない。ただ、隣国マレーシアでは過激派組織ダーウィッシュ=「イスラム国」(IS)の影響下にあるとされるテロ容疑者の摘発が相次ぎ、可能性はゼロではないと見られている。
クルングテープでは昨年08月17日、都心のラーチャプラソン交差点の観光名所「エラワンの祠」で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷を負った。この事件では支那国籍のウイグル族とされる男2人が逮捕され、現在、タイ軍法会議で裁判が行われている。ウイグル族は主に支那の新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出するケースが増えている。一部は民族的に近いトルコが引き取っているが、中東に渡り、過激派組織に加わることもある。タイ軍政は不法入国で逮捕した支那籍のウイグル族109人を昨年07月、支那に強制送還した。「クルングテープでの爆弾テロはこの措置に対するウイグル族組織の報復。」という見方がある。
タイ中南部を中心に複数か所で爆弾が爆発して死傷者が出た事件で、関係当局は深南部3県でテロを繰り返しているイスラム過激派とのつながりを否定しているものの、爆弾などに使われていたものは最南部で使用されているタイプのものであり、当局の主張とは裏腹に証拠品が過激派の関与を示唆している。
スチャート警察庁長官補によれば、「深南部の過激派が連続事件に関与している可能性があるものの、現時点では同一犯による事件とは断定できない。」
一方、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ピヤポンは、「深南部の過激派の犯行だと国民に思い込ませるための情報が何者かによって流されている。」との見方。
なお、深南部でのテロ頻発は10年以上に及んでおり、この問題の解決が政府にとって大きな課題となっている。また、最南部の分離独立を求める過激派によるテロはヤラー、パタニー、ナラティワートの最南部3県、隣接するソンクラー県の一部に限定されており、今回の連続事件が過激派の仕業とすれば、過激派が破壊活動地域を一挙に拡大したことになる。
08月15日(月)中部と南部の7県で爆弾・放火事件が連続して発生したことについて、政府はこのほど、最南部3県で分離独立を求めてテロを繰り返しているイスラム過激派が関与した可能性のあることを明らかに。ただ、「過激派が首謀者とは考えにくい。」と付け加えている。
政府はこれまで反政府勢力の仕業との見方を示してきたが、携帯電話を使った起爆装置が深南部の過激派の手によるものである可能性が高いことから、過激派の加担を認めることになった。だが、関係筋は、「関係先から過激派の動きに関する書類が見つかってはいるが、犯人の動機は未だにはっきりしない。」
タイ国政府観光庁(TAT)は、「南部観光地を中心に爆弾による連続爆破事件が起きたことによる観光業への影響について、観光者数が10~20万人、それによる収入が50~100億Bほど減少する虞がある。」と予想。TATユタサック総裁は、「現時点で大きな影響は見られないが、アジア各国などを中心に観光客が渡航を取りやめる可能性がある。」と語った。
08月17日(水)ラユット首相は、 総選挙後の首相就任について「私より良い人はたくさんいる。」と述べ否定的姿勢を見せたものの、「本当に私より良い人物がいなかったら、私のところに話をしに来なさい。」と可能性を全面的には否定しなかった。プラユット首相が首相続投に言及したのは今回が初めて。
なお、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員によれば、選管としては来年12月10日の憲法記念日の総選挙実施を見込んでいる。
08月18日(木)今月11、12日にタイ南部、中部の7県で起きた連続爆弾・放火事件で、タイ当局は身柄を拘束した男性13人、女性4人について、違法組織の運営と5人以上の集会を禁じた軍事政権命令に違反した疑いで、クルングテープ軍事裁判所が逮捕状を発付。拘留を続け、取り調べを本格化する。
17人はいずれも「民主的政党のための革命戦線(革命民主党)」と名乗る反軍事政権組織のメンバー。出身地別では南部5人、クルングテープなど中部4人、東北部6人、北部2人。クルングテープの軍施設に身柄を拘束されることになったが、うち共に東北部ノンカイ県出身の軍人2人が釈放された。
クルングテープに隣接するノンタブリー県のバンクルアイ郡にある民家を拠点に昨年12月19日から活動。自宅からは自動小銃AK-47が見つかっているが、全員が連続事件への関与を否認。
11、12日の事件では人気ビーチリゾートの中部フアヒン、南部プーケットなどで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人が負傷。また、ショッピングセンター、商店などが放火された。
08月19日(金)タイ軍事政権のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)は、タイ軍が18日に逮捕状をとったタイ人男女17人について、反政府活動が逮捕理由で、今月11、12日にタイ南部、中部の7県で起きた連続爆弾・放火事件とは無関係と述べた。
18日の報道によると、17人はいずれも「革命民主党」と名乗る反タイ軍事政権組織のメンバーで、連続爆弾・放火事件への関与が疑われたことから、軍が身柄を拘束した。軍はこのうち2人を釈放したが、18日になり、5人以上の政治集会を禁じた軍政命令に違反で、17人全員の逮捕状を取った。身柄拘束中だった15人は19日、軍から警察に引き渡された。
南部、中部の連続爆弾・放火事件では、人気ビーチリゾートの中部フアヒン、南部プーケットなどで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人がけがをした。また、ショッピングセンター、商店などが放火された。

← フアヒンテロ犯人の監視カメラの画像

犯人については、軍政と対立するタクシン派、タイ深南部のマレー系イスラム武装勢力、国際テロ組織などの関与説が浮上。軍政はタクシン派の関与を匂わせているが、一部の専門家は手口などからマレー系イスラム武装勢力による犯行の可能性を指摘している。
08月21日(日)先の新憲法草案に関する国民投票で「下院議員による首相選出に上院議員を参加させる。」との立法議会(NLA)案に賛同する意見が過半数を占めたことから、NLAと憲法起草委員会が現在、国民投票の結果を新憲法にどのように反映させるかの検討を進めている。
ここで「(事実上軍政が任命した)上院議員にも首相候補指名の権限を付与する。」というさらに踏み込んだ案が出てきており、これに政党などが強く反発。新たな政治対立が起きかねない事態。
民主党のタウォン副党首は、この案について「首相選出における上院議員の権限を強化しようというもの。政治的混乱や反発が起きかねない。」
08月22日(月)タイ南部を中心とする7県で起きた連続爆弾放火事件について、チャクティップ警察庁長官は、「深南部の政治グループ『ワダー』と深南部で暗躍する分離独立主義者勢力が関与している可能性を完全には否定できない。」との見方。
犯罪歴がなく、外国で軍事訓練を受けた20人以上が犯行に関わり、武装勢力の古参も支援に当たった模様。大半がイスラム教が主流の深南部3県(出身で、現在も深南部に潜伏していると見られる。
警察はこれまでに、プーケット島のパトンビーチに爆弾を仕掛けたとみられるナラティワート県出身の犯人1人の逮捕状は取得したが、足取りは?んでいない。
仏教徒が人口の大多数を占めるタイにあって深南部は住民のほとんどがイスラム教徒という特殊な地域。政府は深南部の分離独立を唱える過激派が事件に関与したと見ているものの、過激派が破壊活動地域を深南部3県からこれら7県に拡大したとの見方は取っていない。
クルングテープに隣接するサムットプラカーン県の刑務所でウッティチャイ・チェンウィリヤクン刑務所長が受刑者の仮釈放を決めたことに各方面から批判が集中。法相が仮釈放を取り消したほか、ウッティチャイは先の人事異動で矯正局の閑職に左遷。
ウッティチャイが便宜を図ろうとしたのは、サムットプラカーン県の有力政治家ワタナ・アサワヘム元副内相(有罪判決を受けたが国外に逃亡中)の息子のチョンサワット。だが、仮釈放の決定には各方面から批判が殺到。法相も決定を不適切と判断して仮釈放を無効とした。
08月23日(火)ネット上にプラユット首相に関するパロディー「私たちはプラユット大将を愛している。」を掲載したとされる8人がこのほど、扇動とコンピューター犯罪法違反の容疑で起訴。
パロディーの具体的内容は報じられていないが、検察によれば、これら容疑者は虚偽の情報を流すことで社会に混乱を起こそうとしたと言う。煽動罪とコンピューター犯罪法違反の最高刑はそれぞれ禁錮7年と禁錮5年。
08月24日(水)在タイ日本大使館は、パタニーの事件を含め、複数の爆弾事件が発生していると、タイへの渡航、滞在を予定している邦人に注意を呼びかけた。

パッタニー県における爆弾事件等の発生について(2016年8月24日現在)

1.一部報道によると,タイ南部のパッタニー県にあるホテル付近で23日夜,爆弾2発が相次いで爆発し,1人が死亡,30人が負傷しました。死傷者に日本人は含まれていません。
2.現在,タイ南部のナラティワート県,ヤラー県,パッタニー県,ソンクラー県の一部(ジャナ郡,テーパー郡及びサバヨーイ郡)については,外務省より,「レベル3:渡航は止めて下さい(渡航中止勧告)」の危険情報が発出されています。
3.タイでは今年8月11日から12日にかけて複数の爆弾事件が発生しております。タイへの渡航・滞在を予定している皆様は,引き続き,外務省海外安全ホームページ,大使館からのお知らせや報道等を通じて,関連情報を入手し,滞在に当っては,最大限の注意を払って下さい。

問い合わせ先

○在タイ日本国大使館領事部
電話: (66-2)207-8502、696-3002
FAX :(66-2)207-8511
憲法起草委員会(CDC)の広報担当のウドム・ラタマリットは、次期総選挙後の首相選出において上院議員にも首相候補指名の権限を付与するとの立法議会(NLA)案をCDCが却下したと明らかに。
事実上現在の軍政が選ぶ上院議員には、下院議員とともに首相を選ぶ権限を与えることになっており一部から批判が出ているが、NLA案は首相選出における上院議員の役割をさらに拡大しようとしたもの。これに対しては「さらに強い反発が起きる。」と予想されていた。
ラタマリットは、「CDCは、上院議員は下院議員とともに首相を選出することができるものの、首相候補を指名できないとすることにした。」と説明。
08月25日(木)プラユット首相は、自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、クルングテープ都のスクムパン知事と東北部コンケン県バンパイ市のプレムサック市長を汚職、権力乱用など容疑で無給停職処分。官報で発表され発効。
スクムパン都知事については、予算3950万Bを投じて昨年末から今年01月末にかけ都庁前で行われた電飾イルミネーション「バンコク・ライト・オブ・ハピネス」を巡り、過去に都議会議員の外国視察旅行を手がけた旅行会社が受注し、受注前に工事が始まっていたなどの不審な点が浮上し、会計検査院が調査を進めている。
プレムサック市長については、高校2年生の女子学生と婚約したというスキャンダルがタイのメディアで報道されたほか、このニュースを報じた男性新聞記者の部下に命じ、部屋に閉じ込めズボンを脱がせて写真を撮影したとして非難を浴びていた。
スクムパンは民主党の副党首であるものの、党内ではスクムパンに不正疑惑もあって批判の声が挙がっており、アピシット党首との関係も疎遠になっている。
最高裁判所政治家刑事犯罪部門は、タクシン政権(2001~2006年)、タクシン派サマック政権(2007~2008年)で主要閣僚を務めた務めたスラポン・スープウォンリー(59)に対し、「大臣として職務怠慢があった。」として禁錮1年の実刑判決を言い渡した。スラポンは判決後、収監された。最高裁政治家刑事犯罪部門は政治家の汚職などを裁く1審制の特別法廷で、1回の審理で判決が確定し、上訴できない。
スラポンは大臣の権限を行使してタクシン一族の関連会社であるシン・コーポレーション(現インタッチ)に便宜を図るべく、シン社のシン・サテライト社(現タイコム社)株最低保有率を51%からICT(情報通信技術)相だった2004年、これを40%に引き下げたが、最高裁判所は、「この変更が外国企業による事実上の占有から通信事業を守るとの憲法規定に抵触する。」と判断。「変更を認めたことが職務怠慢に当たる。」とした。
シン社はその後、シンサテライト株11%を株式市場で売却した。2013年に、タイ汚職取締委員会がこの事業権の変更が権力乱用だとして告発し、裁判が行われた。
スラポンは1957年生。マヒドン大学医学博士。マヒドン大学医学部副部長を経て、タクシン政権で副保健相、ICT相、政府報道官、サマック政権で副首相兼財務相を務めた。 シン社は2006年に、シンガポール政府の投資会社テマセクに事実上買収され、社名をインタッチに変更。シンサテライトも社名をタイコムに変更。
インタッチは現在、タイコム株の41%を所有している。今回の判決を受け、タイ軍事政権が実質的に外資傘下にある通信衛星事業をタイ側に取り戻す動きを強めることも予想される。 タイコムは大型のブロードバンド(高速大容量通信)通信衛星「タイコム4(IPスター)」など衛星5基を運営するほか、タイでインターネット接続などの事業を行っている。2015年は売上高131.4億、最終利益21.2億B。
プラユット首相(元陸軍司令官)、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)らタイ軍事政権幹部は、翌26日に96歳の誕生日を迎えるプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)のクルングテープ都内の自宅を訪れ、誕生日を祝賀。
議長は100歳近い高齢とは思えないほど背筋が伸び、祝賀の返礼のスピーチでは「年を取ったが、首相を全力で支援したい。」などと述べた。
プレム邸には同日、タイ最大級の財閥であるCPグループのタニン会長ら財界人も祝賀に訪れた。
08月26日(金)プラユット首相は、クルングテープ都庁が巨額の予算を投じて催した新年の電飾ショーなどに絡む不正疑惑が浮上していたスクムパン都知事を停職処分としたことについて、「本格的な捜査を可能にするとともに政府に二重基準のないことを示そうとしたものだ。」と説明。
疑惑が晴れたなら停職が解かれてスクムパンが都知事の職務に復帰できるかどうかについてプラユット首相は、「適切であるかどうかにかかっている。」と述べ、明言を避けた。
なお、不正疑惑がまだ完全に解明されていないことから、首相は、「(現時点で)スクムパン都知事が悪いことをしたと決めつけるべきではない。」
08月27日(土)プラユット首相は先に「総選挙後に首相にふさわしい者がいない場合は自分が首相になっても良い。」との考えを示したが、プア・タイ党、民主党の主要2党は、 プラユットに対し、新政権の首相になるのであれば、自ら政党を立ち上げて総選挙に候補者を擁立するという手続きを踏むよう求めた。
新憲法では政党が立てた候補者から首相を選ぶことができない場合には、部外者からの選出も認められるが、プア・タイ党幹部などによれば、「部外者からの首相選出は非民主的であり、プラユット氏は首相になりたいのであれば真っ当な手続きを踏むべき。」
08月28日(日)プラユット首相が総選挙後の首相就任の可能性を示唆していることから、先にタクシン派プア・タイ党などがプラユット首相に対し、政党を立ち上げて総選挙に立候補するよう要求。しかし、」軍部を支持する勢力はプラユット首相に対し、「要求は罠であり、罠に嵌まってはならない。」と警告。
同勢力によれば、「政党設立と総選挙立候補によって結果的に活躍の場を失った軍人が何人もおり、プラユット首相は同じ轍を踏むべきではない。」
08月29日(月)プラユット首相を支持する人々の間では、「プレム元陸軍司令官(現枢密院議長)が総選挙当選を経ずに首相に選ばれたようにプラユットも次期総選挙に立候補せずに総選挙後の新政権の首相に選ばれるべき。」とする意見が出ているが、プラユット首相は、「まだ将来の計画は立てていない。」と述べ、プレム・モデルでの首相続投に否定的な姿勢。
1980年から8年にわたって首相を務め、現在は枢密院の議長であるプレム(96)は偉大な政治家と評される人物で、現在も軍部内に信奉者が少なくないが、過去に政治活動の基盤となる政党を自ら立ち上げたり、特定の政党に所属したりしたことはない。
プラユットは、首相続投など将来に関して様々な意見が出ていることについて、「人々は好きなことができるが、悪意にしろ善意にしろ私を引っ張り込まないでほしい。」と述べているものの、政治家としての将来については「総選挙前になったら話ができるかもしれない。」として首相続投などに含みを持たせた。
新憲法案を起草した憲法起草委員会のミーチャイ委員長(元上院議長、暫定憲法下の元立法議会議長)は、一部条項を修正した新憲法案を憲法裁判所に提出。憲法裁判所が修正について検証する。
修正したのは、「議会上院が発足後の5年間、首相指名選挙の投票権を有する。」と規定した第272条。修正によって、「投票権は有するが、候補者を選定する権限はない。」と明記。
新憲法案では国会が上院(定数250)と下院(同500)の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革がタクシンの台頭を許したと見て、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は2017年から5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。新憲法案は07日の国民投票で可決。
09月02日(金)現政権が最優先課題の一つとしている国家改革に関する具体的検討を進めている国家改革推進会(NRSA)でこのほど、選挙違反の罰則を強化することが政治改革部会で合意。同部会のメンバー、ワンチャイによれば、選挙違反厳罰化の対象となるのは下院議員選挙。この案については、近く検討のため憲法起草委員会(CDC)に報告される予定。この案は、党員による選挙違反において党首や党役員の責任を厳しく追及することで不正のない選挙を実現しようとしたもの。
なお、これまでの憲法にも党員による選挙違反で政党を解散し、党首や党役員を公民権5年停止とするという選挙違反対策が盛り込まれていたが、このため、主要メンバーを党首や党役員に就けないという政党も出てくることになった。
国家改革推進会(NRSA)の政治改革部会では、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)および内務省が選挙管理委員会とともに来年末に実施予定の総選挙を監督することを検討しているが、政党関係者などが、公正な選挙の実施を著しく脅かすことになるとこの考えに強く反対する意見を表明。
この案は現段階ではまだ最終的なものではなく、内容がまとまってからNRSAに報告される予定という。また、ウィサヌ副首相も「信頼性が損なわれかねない。」と述べ、NCPOなどが総選挙を監督することに否定的な見解を示した。
09月04日(日)プラユット首相は、20ヶ国・地域(G20)首脳会議で訪れた杭州で、支那の習近平国家主席と会談。プラユット首相は会談で、タイ軍政が支那の技術を導入してクルングテープとタイ東北部の中心都市ナコーンラチャーシーマの間に建設する予定の高速鉄道(全長約250㎞)について、「法的な問題などで計画が遅れているが、実現しなければならない。」と発言。習主席は計画への協力を約束した。
プラユット首相はまた、支那が今回のG20にタイを招待したことに謝意を述べた。
09月06日(火)経営破綻した新聞大手マネジャー・メディア・グループ(MGR)の創業者ソンティ・リムトーングクン(68)とMGRの元取締役2人が証券取引法違反に問われた裁判で、最高裁判所は、控訴裁の判決を支持し、被告全員に禁錮20年の実刑判決。ソンティらは判決を受け、収監された。
判決によると、ソンティは1997年、自分が経営する別の企業でMGRの大株主でもあるMグループがタイ国営クルンタイ銀行(KTB)から約11億Bの融資を受ける際に、書類を偽造し、MGRが債務を保証すると偽った。債務保証の件はMGRの取締役会の承認を得ておらず、タイ証券取引所(SET)での情報開示もなかった。Mグループはその後、経営破綻、MGRが負債を背負うこととなった。タイ証券取引委員会が2000年に告発し、被告3人に対し、1審、2審ともに禁錮20年の判決。

* ソンティ・リムトーングクン
1947年生。支那名は林明達。父親は支那の潮州から移民した元支那国民党員。台湾、米国への留学後、1983年にタイ字紙「プーチャッカーン」を創刊。同紙をタイ字経済紙のトップに育て上げ、1990年に「プーチャッカーン」発行元のMGRをタイ証券取引所(SET)に上場。
MGRはその後、通信衛星、携帯電話サービス、英字紙へと事業展開を図ったが、急拡張と1997年のアジア経済危機で経営破綻、1999年に会社更生法の適用を受けた。
MGRは2001年の議会下院総選挙で、実業家のタクシンが創設したタイ・ラック・タイ党を全社を挙げ支援。同年、タクシン政権が発足すると、ソンティと親しい銀行家のウィロート・ヌアンケーがKTBの社長になり、KTBはウィロート社長の下、MGRに対する債権16億Bを放棄。
ソンティはウィロート以外にも、タクシン政権の中枢に自らの人脈から人材を送り込んだが、2005年、突如としてタクシン政権を徹底的に批判するようになり、反タクシン派団体、民主主義市民同盟(PAD)」を創設。2006年にはPADが大規模な反タクシン・デモで政権の機能を麻痺状態に追い込み、同年09月の軍事クーデターでタクシン政権は崩壊。
PADの支持者たちは黄色い服を着てデモなどに参加していたことから、PADは「黄服集団」とも呼ばれていた。
2007年末の民政移管選挙でタクシン派が政権に復帰すると、PADは大規模なデモを再開し、首相府やクルングテープの2空港を占拠するなどした。タクシン派政権は2008年末、与党が選挙違反で解党され崩壊。
一方、MGRの経営再建は失敗し、2008年に裁判所が破産を宣告。傘下の新聞、雑誌はその後、スタッフごとPAD系の別会社に移動し、「ASTV」ブランドで発行を続けている。
09月07日(水)日本の外務省は、米同時多発テロの15周年にあたる今月11日と、イスラム教の犠牲祭にあたる12~15日頃にかけ、テロへの注意を強化するよう呼びかけた。
現在のところ、犠牲祭に際してテロの実行を呼びかける声明などは確認されていないが、テロの標的となりやすい場所(モスクなど宗教関連施設、政府・軍・警察関係施設、欧米関連施設、公共交通機関、観光施設、デパートや市場など不特定多数が集まる場所など)を訪れる際には周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れるよう注意。

海外安全情報(広域情報)の発出

7日、外務省より、海外安全情報(広域情報)「犠牲際(イスラム教の祝日)期間に伴う注意喚起外部サイトへのリンク」が発出され、外務省海外安全ホームページに掲載されましたので、お知らせします。

問い合わせ先

○在タイ日本国大使館
電話: (66-2)207-8500
タクシン政権(2001~2006年)に反対する大規模な市民運動を展開したことで知られるソンティについて、「脳卒中」との噂が流れていたが、ソンティが収容されている刑務所の責任者は、「ソンティは元気。」と述べ、病気説を否定。
ソンティは、06日に最高裁判所が下級審の有罪判決を支持して証券取引法違反で禁錮20年の有罪判決を言い渡したことから、同日夕方に収監された。
1999年の選挙違反で禁錮1年6ヶ月の有罪判決を受けて服役していた、ワタナー元副内相の息子チョンサワットが特赦による刑期短縮に伴い仮釈放。
チョンサワットが実際に服役したのは約1年。特赦は国王の在位70年と王妃の84歳の誕生日に因んだもの。
なお、クルングテープに隣接するサムットプラカン県の有力者だったワタナー元副内相は汚職で有罪判決を受けたが、裁判の途中で姿を晦まし、現在も所在不明。近隣国に潜伏中と見られている。
プラチュアプキリカーン県フアヒンに公園を造成し、過去のタイの国王7人の巨大銅像の建てるという陸軍のラーチャパクティー公園プロジェクトに絡む不正の疑いが指摘されていたが、国家汚職制圧委員会(NACC)はこのほど、「不正はなかった。」との結論を下した。
巨大銅像は複数の業者によって鋳造されたが、これら業者に軍関係者がコミッションを要求したなど報じられていた。このため、昨年NACCに調査が要請されることになった。だが、NACCによれば、委員9人全員が「調査結果に基づいて不正はなかった。」
09月09日(金)インラック前政権下で政府間取引を装って政府保有米を同政権に近い業者に横流しした問題で、資金洗浄対策室(AMLO)が不正に関与した企業2社と個人数人の資産約70億B相当を差し押えを決めたことがわかった。
この措置は、当時のブンソン商業相と関係者や企業を訴追することにした国家汚職制圧委員会(NACC)の決定に基づいたもの。
09月10日(土)アピシット民主党党首(元首相)は、中央選挙管理委員会が政党に関する基本法で「選挙において候補者を擁立しなかった政党は解党する。」と提案していることに対し、「選挙に参加するか否かは政党に決める権利がある。」と述べ、反対する考えを明らかに。
民主党は当時のタクシン首相による下院解散に伴う2006年4月の総選挙を「タクシン首相が自らの不正疑惑から国民の目を逸らすために下院を解散したもので、総選挙は正当な理由を欠いている」としてボイコットしたことがある。同選挙は実施後に憲法裁判所が無効と判断。10月に総選挙がやり直されることになったが、09月に軍事クーデターが起きてタクシン政権が倒され、10月の総選挙も取りやめとなった。
このほか、国家改革推進会(NRSA)の政治改革部会が政党に対し改めて党員に党員登録を行わせ、党員費200Bを支払わせようとしていることについても、アピシット党首は「そのようなことがなぜ必要なのかわからない。」と述べ反対する考え。
09月12日(月)飲料大手レッドブルの創業者の孫ウォラユットが2012年にクルングテープ都内で高級スポーツカーを暴走させてオートバイの警察官を撥ねて死なせ、そのまま逃走した事件で警察が取り調べなどを適切に行っていない問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)が警察幹部の不正を疑い、事実関係の解明に動き出した。
ウォラユットは3つだったが、うちスピード違反に関しては、警察による手続きが遅れたため、事件発生の1年後に時効が成立した。NACC関係筋によれば、「『時効成立に警察官が関与した。』との訴えがNACCに寄せられている。」
軍事政権のプラユット首相は、軍政トップに事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、市民を被告とする不敬罪と安全保障に関する裁判を軍法会議から一般の裁判所に移管。
軍政は2014年のクーデターで政権を掌握して以降、安全保障と不敬罪に関する裁判を軍法会議で扱ってきた。不敬罪はタイ国王夫妻と王太子に対する批判を禁じたもので、有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、民選政権下で問題とされなかった事例も遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数ヶ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)東南アジア事務所は13日、軍政の措置について、「民主主義への復帰に必要な重要なステップ。」と評価。
09月13日(火)閣議で、付加価値税(VAT)の税率を2017年09月末まで現行の7%で据え置くことを決定。
VATの税率は景気刺激のための時限措置として、1999年04月に10%から7%に引き下げられた。その後、毎年1年ずつ延長され、今年09月末で期限が切れる。
軍政は2014年05月の政権発足直後から、VATの税率を10%に戻す方針を示してきたが、景気低迷が続いていることから、今回も引き上げを断念。
09月14日(水)プラユット首相はこのほど、現行の暫定憲法44条を発動し、農産物買い上げ計画に絡む不正の追及に当たっている職員はその職務の遂行に関連して訴追されないとすることを決定。
これらの計画には、インラック前政権が農民支援のために導入し、巨額の損失を生むことになった米融資担保制度(実質は高値での米買い上げ)も含まれる。同制度に絡んでは、インラック前首相などに巨額の損害賠償が求められる見通しだが、今回の措置は、インラックなど前政権で米融資担保制度に関与した者たちからの資産没収を視野に入れたものと見られている。
09月15日(木)08月中旬にタイの中部、南部の7県で起きた連続爆破放火事件で、タイ警察は、タイ人の男7人の逮捕状を取り、このうち1人を逮捕。逮捕された男は容疑を否認。
7人はいずれもマレー系のイスラム教徒とみられ、中の数人は以前にタイ深南部で起きたテロ、犯罪で逮捕状が出ている。マレーシアとの二重国籍者でマレーシアに潜伏している可能性も指摘されている。
この事件では、08月11日からシリキット王妃の誕生日である翌12日にかけて、タイ国王の離宮「クライカンウォン宮殿」がある中部フアヒン、南部のプーケット島といった観光地や、南部トラン市、スラタニー市などで相次いで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人が負傷。また、南部ナコンシータマラート市のショッピングセンター、パンガー市の市場などが放火された。
軍事政権は当初、軍政と対立するタクシン派の関与を匂わせていたが、爆弾、発火装置に使われた携帯電話がマレーシアから持ち込まれていたことなどから、タイ深南部の分離独立を求めるマレー系イスラム武装勢力の犯行という見方が強まっている。深南部の分離派武装組織BRNが犯行を認めたという報道も一部で流れた。
ただ、タイ軍政は犯行グループの断定を避けている。これは、今回の事件が深南部のマレー系イスラム武装勢力の犯行とすると、テロへの懸念で観光に影響が出るほか、あくまで国内問題としておきたい深南部問題が国際的な問題に発展する恐れがあるためと見られている。
09月16日(金)インラック政権(2011~2014年) 時に当時の商業相などが政府間取引を装って政府保有米を民間業者に横流ししたとされる問題で、政府はブンソン元商業相と元商業相職員5人に200億Bを賠償させることにしたが、あとで責任を追及されることを恐れてかアピラディ商業相は損害賠償の行政命令に自ら署名せず、チュティマ商業事務次官に署名を命じたことで商業相を批判する意見が出ている。
民主党所属のワロン元議員は、 「アピラディ商業相は根性がない。」として、アピラディ♀に商業相辞任を要求。行政命令への署名はプラユット首相が商業相に権限を与えられたもので、アピラディ商業相によれば、代わりに事務次官に署名させることは首相も了承済みとのことだ。
ただ、責任を押し付けられたかたちのチュティマ事務次官が署名するか否かは定かでなく、次官の後任者と目されているウィブンラサナ♀も「性急に署名することはない。」と述べるなど、行政命令がいつ発せられるかは定かでない。
インラック前政権が導入した米担保融資制度は巨額の損失に繋がったことから、インラック前首相らが損害賠償を求められる見通しとなっているが、前政権はこの制度の実施において官営の農業農協銀行(BAAC)から5100億Bあまりを借りており、ラックBAAC頭取はこのほど、「この負債額に変更がなければ、政府がBAACに借入金を完済するのに約16年かかることになる。」との見方。借入金の内訳は、融資が1100億B、財務省の保証する証券が4000億B余り。
インラック前政権以前も政府により農家を支援するプログラムが実施されていたが、前政権による米担保融資制度は実質的にはタクシン支持者の多い農家の支援を目的とした、市場価格を大幅に上回る価格での米買い上げであり、損失額が突出したものとなっている。
09月19日(月)インラック前政権で商業相などが政府間取引を装ってコメを知り合いの業者に横流ししたとされる問題で、アピラディ商業相とチュティマ商業事務次官が、ブンソン元商業相などに200億Bの損害賠償を支払わせる行政命令に共同署名。
この命令については、プラユット首相が自身の代わりに署名するようアピラディ商業相に指示。だが、商業相は事務次官に署名するよう指示。このため、「問題が起きるのを恐れて自ら署名しなかった。」と商業相を批判する意見が一部で出ていた。なお、商業相によれば、ブンソン元商業相などには近く行政命令が通知される予定。元商業相らは30日以内であれば不服を申し立てることが可能。
09月20日(火)インラック前政権に商業相を務めた「ブンソンらが政府間取引を装って政府保有米を知り合いの業者に横流しした。」として巨額の賠償を求める行政命令が発せられたが、ブンソンはこのほど、命令を不服として行政裁判所に提訴する構えを明らかに。
支払いが命じられた賠償額は17億7000万Bで、この行政命令にはアピラディ商業相とチュティマ商業事務次官が共同署名している。
ブンソンはまず行政裁判所に命令の差し止めを求める予定というが、この命令に抗うべく刑事・民事の双方で訴訟を起こすと言う。
09月21日(水)テーン・トゥアクスバン元下院議員(スラタニ県選出)ら4人が公有地の不法占拠などで訴えられた裁判で、タイ刑事裁判所は、テーン元議員と別の1人に禁錮3年、ほかの被告2人に禁錮5年の実刑判決。4人は判決後、1人50万~80万Bの保釈保証金を収め保釈。
判決文によると、被告4人はタイ南部のリゾート、サムイ島(スラタニ県)の公有地2ヘクタールを不法占拠して伐採し、貯水池を作るなどした。
テーン元議員は2013、2014年にタクシン派インラック政権打倒のデモを主導したステープ・トゥアクスバン元副首相(元民主党幹事長)の息子。ステープ元副首相はスラタニー県などタイ南部に強い影響力を持つ。
09月24日(土)インラック前政権が導入し、巨額の損失を生んだ米担保融資制度について、政府関連の不正において民事的責任を追及する委員会がこのほど、インラック前首相に357億Bの損害賠償を求めることを決定。
委員長の長を務めるマナット会計検査院長局局長は、「米担保融資制度で2013~2014年の米収穫シーズンに1800億Bの損害が生じた。損害のうち2割すなわち357億Bはインラック前首相の重大な職務怠慢によるものと判断した。」と説明。
インラックは裁判に訴えるなどして争うと見られる。 インラック前首相は「米担保融資制度」をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして、2015年01月、軍政傘下の非民選議会「立法議会」により、参政権の5年間停止処分を受けた。同様の罪で、政治家の汚職などを裁く1審制の特別法廷、最高裁政治家刑事犯罪部門で裁判にかけられており、有罪の場合、最長で20年の禁錮刑を受ける。裁判中のため、出国は認められていない。
プラユット政権はインラック前首相について、2011年のタイ中部大洪水の際の対応、汚職で有罪判決を受け事実上国外亡命中のタクシンへのパスポートの再発行、軍人事への介入など10件以上についても、起訴を視野に捜査を進めている。
米担保融資制度はインラック政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっているという指摘もあった。国際通貨基金(IMF)も、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判した。2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒したプラユット軍事政権によって同年、廃止。
09月25日(日)インラック前政権の担保融資制度で巨額の損失が生じた問題を調査してきた委員会が先にインラック前首相に357億Bの賠償を求めると決めたことについて、インラックは、プラユット首相の弟であるプリーチャー・チャンオーチャー国防事務次官の長男のパトムポンの問題を引き合いに出し巨額の賠償命令に強く反発。
最初に明らかになったのは、チエンマイ県の村に建設された堰に、プリーチャー次官の妻のポンパンの名前が付けられたというもの。堰自体は兵士、地元住民らが建設し、建設費は7800Bだったという。ポンパンさんが資金を出した訳ではない。12日に現地で行われた完成式典に、ポンパンさんはチェンマイまで空軍機で移動して、主賓として参加し、土の上に敷かれた赤いカーペットの上を歩いた。プリーチャー次官とポンパンは、「堰の名前は住民が自発的に付けた。」と主張。
続いて、プリーチャー次官の長男のパトムポンが経営する建設会社コンテンポラリー・コンストラクションが2014年12月から2016年に掛け、タイ陸軍第3管区から7件、合計9700万Bの建設工事を受注していたことが明らかに。パトムポンはプリーチャー次官が第3管区司令官だった2012年、コンテンポラリー社を設立。登記上の事務所はピッサヌローク県のタイ軍基地内にある第3管区司令官の官舎。プリーチャー次官は「知らなかった。」と関与を否定。プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)も「公正な入札を経たものだ。」として次官を庇った。プラユット首相は27日、「弟を愛しているが、私には何も出来ない。全て法的な手続きに従うだけ。」と述べた。
プリーチャー次官をめぐっては、今年04月、一般大学を卒業した次男のパティパットを陸軍士官(中尉)に任用していたことが明るみに出て、縁故採用という批判が上がった。次官は「軍の民間人採用枠があったから息子に応募するよう勧めた。」と述べ、「採用に不正はない。」と主張。プラウィット副首相兼国防相も不正を否定。パティパットの任用はプリーチャー次官が署名した秘密任用書がインターネットの交流サイト、フェイスブックに投稿されて発覚。投稿者は「チャンオーチャー・システムはタクシン・システムと同じ。」と、縁故主義、利権体質として批判を浴びたタクシン政権に準え、軍政を批判。
プラユット首相は委員会の決定について、、「これはいじめではなく、前首相は法的に賠償する責任がある。」などと述べた。これに対し、インラック前首相は、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、「(プラユット)首相は、私(インラック前首相)に関する件はすべて法律に従う、いじめではないと言っている。ならば、自分の弟を守り、公平に扱うのと同じように私を扱ってほしい。」と書き込んだ。プラユット首相の弟のプリーチャー国防事務次官をめぐっては、息子の建設会社が軍から複数の建設工事約1億Bの工事を受注するなど複数のスキャンダルが浮上している。今のところ政府サイドは「不正はない。」との姿勢を取っている。
これに対し、プラユット首相は、「時効成立が来年02月に迫っている。」、「関係当局に急いで賠償を命令するよう指示したことはない。」などと述べ、「性急な賠償命令」との批判は当たらないとの見解。
09月26日(月)会計検査院長局のマナット局長を委員長とする委員会が先にインラック前政権の米担保融資制度で生じた損失の2割に当たる357億Bの損害賠償をインラック前首相に命ずることを決めたが、マナット局長は、「残りの8割の損害については財務省の設置する委員会が損害賠償命令を決めることになる。」と説明。
具体的には、この委員会が米担保融資制度に関わった政治家や政府高官の誰にどれだけの賠償を命ずるかを決め、その後、承認を得るために財務省の担当部署に報告することになる。
なお、当時のインラック首相は米担保融資制度を監督する委員会の委員長だったことから同制度の最高責任者とされており、比較的大きな損害賠償を求められることになった。
09月27日(火)海外逃亡中のタクシンがパスポート無効化の差し止めを求めて起こした裁判で、タイの中央行政裁判所は、訴えを退ける判決。
パスポートの発給を担当する外務省領事局は、パスポート無効化の権限を有し、法令に従って無効化したとして合法と判断。
領事局は昨年05月26日、タクシンのパスポート2冊を無効化。タクシンは同月20日、京城で南鮮メディアの取材に応じ、「妹のインラック前首相の政権を打倒した2014年のクーデターは、タクシン政権を倒した2006年の軍事クーデター同様、タイ国王の諮問機関である枢密院が画策した。」などと述べた。この発言がタイ軍事政権の逆鱗に触れ、パスポートを剥奪された模様。タクシンは投資などを通じ取得したモンテネグロなどのパスポートを所持しているとされ、現在はこうした国のパスポートを使用していると見られる。
09月28日(水)午前タイ警察は、国際的な人権保護団体のアムネスティ・インターナショナル(本部、ロンドン)がクルングテープで予定していたセミナーを中止させた。外国人のパネリストが労働許可証を所持していなかったことが理由。
警察は、「セミナーの開催は認めるが、外国人の発言は認めない。」と主張。パネリスト全員が外国人だったため、アムネスティは開催を断念。
アムネスティは、過去2年に渡って調査したタイ国軍、警察による74件の拷問について報告する計画だった。
10月01日(土)プア・タイ党所属のサマート元下院議員は、同党が次期総選挙のあとに下院議員でなく民間人から首相を選ぶことに他の政党と歩調を合わせて反対してゆく方針を明らかに。
これは、ウィサヌ副首相が09月30日、「総選挙後の首相選びが難航し、数ヶ月も首相が決まらなかった場合、軍政トップが現行の暫定憲法44条に基づいた強権発動で下院を解散することもできる。」と述べ、非下院議員の首相起用の可能性を示唆したことに反発したもの。
現行の暫定憲法に代わる新憲法が制定され、新憲法のもとで総選挙が実施されることになるが、新憲法草案では、総選挙によって新政権が誕生するまで暫定憲法44条に規定された強権発動を有効とされている。
10月03日(月)前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じた問題で、会計検査院長局のマナット局長率いる委員会が先にインラック前首相に357億Bの損害賠償を求めることを決めたが、ソムチャイ財務事務次官は、「インラックに賠償をさせる行政命令にプラユット首相が署名するか否かまだ定かではない。」と明らかに。
同委員会の決定はすでにプラユット首相に報告済みだが、プラユットは、「インラックに賠償させることを決めたのは財務省であり、行政命令に署名する責任があるのは財務省の担当者。」と発言したことがあり、自ら行政命令に署名しない可能性がある。
関係筋によれば、賠償命令については、インラックが裁判に訴える可能性があり、命令に署名した人物が裁判に巻き込まれるものと予想されるため、関係者全員が署名には及び腰。
10月04日(火)夜スワンナプーム空港で、2014年の香港の民主派デモ「雨傘運動」の指導者の1人、黄之鋒(19)がタイ入国を拒否。黄は06日にチュラロンコーン大学で行われる予定の討論会に招かれていた。
10月05日(水)スワンナプーム空港で、2014年の香港の民主派デモ「雨傘運動」の学生団体元指導者で新党「香港衆志」事務局長の黄之鋒(19)が当局によって12時間にわたり身柄を拘束された後、香港に強制送還された。タイ軍事政権が支那政府の要請を受け入れたと見られる。
このことに対し、国内外の人権擁護団体などから厳しい批判が浴びせられている。
黄は1976年10月06日に当局の弾圧などで数十人に及ぶ大学生らが虐殺された「血の水曜日事件」の40周年に因んだスピーチをチュラロンコーン大学で行うためタイを訪れたもの。ニューヨークに拠点を置く非営利国際人権組織「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によれば、「タイの軍政が支那の意向に沿って人権乱用に加担した。」と批判。
なお、チュラロンコーン大学の政治学者ティティナンは、「黄之鋒の身柄拘束・送還によってプラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)のイメージに傷がついた。」と指摘。
10月06日(木)香港の学生団体元指導者で民主化活動家の黄之鋒が先にスワンナプーム空港で身柄を拘束され強制送還されたことについて、シーワラ警察庁副長官は、「支那の指示によるものではない。」と述べ、支那の関与を批判する意見に反論。
シーワラ副長官によれば、「移民法に基づいて黄は好ましからざる人物とされていたことから、関係当局が黄の入国を拒否したもの。」
なお、同氏は数十人に及ぶ大学生や市民が当局による弾圧などで虐殺された1976年10月06日の「血の水曜日事件」に因んだイベントでスピーチを行うためタイを訪れたもの。同イベントは10月06日、予定通りチュラロンコーン大学で開催され、この中で黄はインターネットを通じて約30分にわたってスピーチを行った。
なお、このイベントについて、シーワラ副長官は、「違法ではなく、開催を禁止しなかった。」と述べた。
10月10日(月)シーワラ警察副長官は、「タイ深南部のマレー系イスラム武装勢力が10月下旬に首都圏で自動車を使った爆弾テロを計画している。」という情報を?み、ショッピングセンター、駐車場、観光地などで警戒を強めていることを明らかに。計画に外国人が加わっている可能性にも言及。
なおシーワラ副長官は関係当局に対し、爆弾攻撃を防ぐため、警戒を強化するとともに情報の収入にもさらに力を入れるよう指示した。
情報によれば、10月25~30日の期間中に何者かが首都圏3ヶ所で自動車に仕掛けた爆弾を爆発させようと企てている。この攻撃が特定の個人や場所を狙ったものかどうかは不明だが、シーワラ副長官は、観光スポット、大使館、タイを象徴する建物や場所を厳重に警備する必要がある。」
タイでは08月「11日からシリキット王妃の誕生日である翌12日にかけて、中部のフアヒン、南部のプーケット島といった観光地や、南部トラン市、スラタニー市などで相次いで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人がけがをした。また、南部ナコンシータマラート市のショッピングセンター、パンガー市の市場などが放火された。タイ警察はこの事件で、09月末までに、いずれもマレー系のイスラム教徒とみられるタイ人の男9人の逮捕状を取った。
憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長によれば、CDCは10月11日に新憲法の最終案を政府に提出する。同案は、08月07日の国民投票で承認された追加事項に関する憲法裁判所の提言に基づいてまとめられたもの。同案は政府が国王の承認を得て新憲法として制定されることになる。
ウィサヌ副首相は、「政府が最終案に手を加えることは許されていない。政府は30日以内に国王陛下のご承認を求めなければならないが、ご承認が得られるのは来月初めになるだろう。」と説明。
10月11日(火)朝タイのテレビ報道によると、タイ警察は、武装警官約100人を動員し、都内のフアマーク地区とラムカムヘーン地区ソイ・ラムカムヘーン65のアパートなどの9ヶ所を捜索し、麻薬取締法違反などの容疑で10人を逮捕。
警察は通常の犯罪取り締まりの一環としているが、タイの新聞、テレビは「警察がクルングテープ首都圏での自動車爆弾テロの情報をつかんだことと関連がある模様。」と報じた。
この報道に合わせて、在タイ日本大使館も注意喚起している。
タイのテレビ報道によると、タイ警察は、武装警官約50人を動員し、クルングテープ郊外サムットプラカン県のアパートを捜索し、携帯電話を違法に改造した容疑でヤラー出身のプリーチャー・サマリー(39)を逮捕。

← 右から2人目がプリーチャー・サマリー(39)

プリーチャーの部屋からは複数の小包の箱、改造したと見られる携帯電話などが見つかった。警察は「プリーチャーがタイ深南部のマレー系イスラム武装勢力から遠隔操作爆弾用の携帯電話改造を引き受けていた可能性がある。」と見て取り調べを進めている。
タイ国営空港運営会社エアポーツ・オブ・タイランド(AOT)は、警察からの指示を受け、クルングテープ郊外の「スワンナプーム空港、ドンムアン空港など主要6空港でテロ対策を強化する。」と発表。巡回パトロール、防犯カメラの監視などを拡大する。
タイ警察のシーワラー副長官は10日、「タイ深南部のマレー系イスラム武装勢力が今月下旬にバンコク首都圏で自動車を使った爆弾テロを計画している。」という情報があり、ショッピングセンター、駐車場、観光地などで警戒を強めていることを明らかに。
プーケット県、クラビー県、スラタニー県、パンガー県など中南部7県を管轄するタイ警察第8管区のテーサー司令官は、管区内でテロ情報があり、空港、港、観光地などで警戒を強化していることを認めた。
刑事裁判所は、テロ容疑に問われているタクシン派団体、「反独裁民主主義同盟((UDD)のチャトポン会長(元下院議員)について、保釈条件に違反した。」として、保釈を取り消し、チャトポンを収監。
チャトポンはUDDがクルングテープ都心部を占拠し治安部隊に強制排除された2010年の事件で、他のUDD幹部、メンバーらとともに、テロ容疑に問われている。今回、チャトポンと他の幹部4人がテレビ番組での軍事政権を批判する発言で保釈取り消しの対象となったが、チャトポン氏以外の4人は取り消しを免れた。
2010年の事件では、UDDのデモ隊と治安部隊の衝突で、デモ参加者、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷し、銃撃戦や放火でクルングテープ都内が大混乱に陥った。
10月12日(水)プラユット首相は、東部ラヨーン県での会議を中止し、クルングテープに急遽戻った。「緊急の要件がある。」とだけ述べ、詳細は明らかにしていない。
プミポン国王の容態が依然として不安定との発表に伴いタイ国民が国王の健康回復を願う中、サンサーン政府副報道官は、「プラユット首相が声明を出す。」との噂を全面的に否定。
プラユット首相は同日、東部チョンブリ県の視察を切り上げてクルングテープに戻ったことから、一部で「急いでクルングテープに帰ったのは声明を出す必要に迫られたため。」といった見方が出ていた。だが、サンサーン報道官によれば、「ワチラロンコーン王太子に政府の仕事ぶりについてご説明する準備のため首相はクルングテープに戻ったのであり、プラユット首相がクルングテープで記者発表を行ったり声明を出したりすることは予定されていなかった。」またサンサーン報道官はソーシャルメディアの情報を過信しないよう呼びかけた。
10月13日(木)タイ軍事政権のプラユット首相は13日夕方に予定されていた公務を取り止め、緊急閣議を開く。16日からのインド訪問は中止し、ソムキット副首相を代理として派遣する。
夕方タイ軍事政権が設置した非民選の暫定国会「立法議会」は13日21時から特別集会を開く。重大な案件が発生したため。スラチャイ立法議会副議長が明らかに。
15時52分プミポン・アドゥンヤデート国王(88)が、入院先のシリラート病院で死去。
1946年に国家元首として即位して以来、国民から深い敬愛を集めてきた。また、タイの経済発展に貢献し、政治混乱の局面では調停役として采配を奮う事もあった。在位期間は70年4ヶ月は存命する世界の君主の中で最長。
プミポン国王は2009年から入退院を繰り返していた。2014年10月03日から胆?の摘出手術のため、シリラート病院に入院。以降、大半をシリラート病院で過ごしていた。この間、肺炎や高熱など様々な症状が出て、今年06月には心臓の手術も受けていた。
今回は2015年05月からシリラート病院に入院し、以来、腎機能低下、肺炎、水頭症、心筋の異常などで治療を受けた。
  タイ宮内庁は今月09日、「国王の健康状態が不安定で、全ての公務を取りやめるよう医師団が進言した。」と発表。発表によると、血液透析と水頭症の治療を行った後、血圧が低下、心拍数が上昇するなどの症状が出た。
このニュースを受け、翌10日のタイの株式・為替相場は下落し、タイ証券取引所(SET)株価指数は前営業日比3.2%下落。
11日にはタイ軍事政権のプラユット首相夫妻と閣僚、軍・警察の高官が都内の王宮で、国王の健康回復を祈り記帳を行った。プラユット首相夫妻は国王の誕生日の色である黄色、閣僚は黄色か国王の健康を祈る色である桃色のタイの伝統衣装を着用。軍・警察の高官は制服で記帳に臨んだ。
王室は12日、「国王は血圧が低下して心拍数が上昇し、肝機能に異常があり、依然不安定な状態。」と発表。ワチラロンコーン王太子やシリントン王女ら王族が病院に駆け付け、病院敷地内には黄色や桃色の服を着た多くの国民が集まって回復を祈っていた。
タイ宮内庁は12日夜、「国王の容態について、依然として不安定な状態が続いている。」、「血圧低下、脈拍数の上昇、酸性血症、肝機能の異常などの症状が見られ、抗生物質の投与、持続的腎代替療法(CRRT)による治療、人工呼吸器の使用などを行っている。」と発表。
19時プラユット首相は、プミポン国王の死去を受け、テレビ演説。在位70年に及ぶ国王の業績を称え、「国民全てが悲しみに沈んでいる。」と述べ、その死を悼んだ。服喪は、「政府機関、国営企業、教育機関は14日から30日間半旗を掲げる。30日間娯楽性の高い行事の開催を自粛する。公務員、国営企業職員は14日から1年間服喪する。」と発表。国民に対しては、相応しい行動を取るよう求めた。一方、「投資・観光に悪影響を与えることがあってはならない。」と述べ、株式市場、貿易、投資といった経済活動を止めないよう国民に呼びかけた。
王位継承については、国王が1972年にワチラロンコーン王太子を王位継承者に指名したことを指摘し、「憲法、法律に従い、手続きを進める。」と述べた。首相は最後に、「国王陛下は崩御された。新国王陛下万歳。」と述べ、演説を締めくくった。
プラユット首相は、ワチラロンコーン王太子と会談した後、記者会見し、王太子から、次期国王への就任要請をしばらく遅らせてほしいと告げられたことを明らかに。
王太子は「父であるプミポン国王の死去を国民とともに悲しむ時間が欲しい。」と述べた。
ワチラロンコン王太子はプミポン国王の長男で、1972年に国王から王位継承者に指名された。プミポン国王が13日午後に死去したことから、タイ軍事政権が設置した非民選の暫定国会「立法議会」の議長が夜、法律に基づいて立法議会を緊急招集し、王太子に国王就任を要請すると見られていた。
安倍晋三首相は、タイのプミポン国王の死去を受け、国王の功績を偲び、哀悼の意を伝えるメッセージを発出。
安倍首相は、「国王が1946年の即位以来70年間にわたり、タイ国民の精神的支柱として、タイの目覚ましい発展と国民生活の飛躍的向上を主導したことは歴史的偉業。」と称賛。皇室とタイ王室の交流にも触れ、「日本とタイの友好親善関係の象徴だった。」と述べた。「我々の祈りと思いは、全てのタイ国民と共にある。」と、国王の冥福を祈った。
プミポン国王(88)が死去し、邦人社会にも動揺が広がっている。政情不安を懸念する声のほか、「1年間に及ぶ服喪期間に経済活動が停滞しかねない。」との観測も広がる。約4000社以上に上る日系企業は対応に追われている。
タイには日本の製造業が集積。トヨタ自動車やホンダなどの自動車メーカーが工場を構えるほか、取引先である中小の日系自動車関連企業も多い。一部の企業は経済活動の停止を見越して生産量を増やすなど死去前から対策を取っていた。
ある日本人は「今後は政治対立の再燃などで国が混乱に陥る恐れもあり、ビジネスが順調に行えるか見通せない。」タイには東南アジア最多となる6万人超の邦人が住むほか、旅行や出張で訪れる人も多い。日本人向け飲食店が軒を連ね、普段は駐在員や出張者で賑わう首都クルングテープ中心部の歓楽街,タニヤは夜も閑散とした。
10月14日(金)13日に死去したプミポン国王の棺を運ぶ車列が14日午後01時にクルングテープのチャオプラヤー川西岸のシリラート病院を出発し、チャオプラヤ川東岸の王宮に向う。経路のアルンアマリン通り、ピンクラオ通り、ラチャダムヌンナイ通りなどは一時通行止め。王宮では午後05時から、ワチラロンコーン王太子による儀式が行われる。
本閣議で、プミポン国王が死去に伴い、14日を官公庁の公休日とすることを決定。また娯楽行事などを1ヶ月間中止。急遽確定したこともあり、金融機関、株式市場などは通常通り行う。
プミポン国王の死去から一夜明け、都内では大半の人が黒い服を着用し、国王の死を悼んだ。路上や店舗で黒服を販売する業者の姿も多く見られた。コンビニエンスストア、ショッピングセンターなど商店、外食店の多くは、店内で流す音楽の音量を下げるなどしたものの、通常通り営業。都内の渋滞は通常よりやや改善。
テレビ、ラジオは14日いっぱい、国王関連の番組を放送。15日以降も娯楽的な番組の放送は自粛する見通し。音楽コンサート、企業のイベント、キャンペーンなどは延期、中止の発表が相次いだ。
立法議会(NLA)のピーラサク副議長は、「国王の崩御に伴いプレム枢密院議長(96)が摂政を務めることになった。」と明らかに。王位が空席となった場合、枢密院議長が王位継承者の発表まで摂政の役目を果たすと規定した現行の暫定憲法23条と24条に基づいたもの。
ピーラサク副議長によれば、「立法議会は国王陛下が崩御されたことからワチラロンコーン王太子殿下に王位を継承して頂くべく手続きを取ろうとしたものの、殿下が王位を継承する前にしばらく国民とともに喪に服す意向であられることがプラユット首相から伝えられたため、憲法の規定に従って摂政を置くことになった。」
プレムは軍人としてキャリアを積んで陸軍司令官や国防相に起用され、1980年から8年にわたって首相を務めて1988年に枢密院議長に任命され現在に至っている。
安倍晋三首相は、タイのプミポン国王が13日に死去したことを受け、東京のタイ大使館を弔問。弔意の記帳を行った。
弔問後、「日本政府、日本国民を代表し、タイ王室、タイ政府、タイ国民に謹んで哀悼の意を表する。」と述べた。
プミポン国王死去後、プラユット首相は娯楽性の高い行事を30日間自粛するよう告知したが、歓楽施設の営業も一定期間自粛を求められるのではないかと見られていた。しかしタイ政府の稼ぎ頭である観光業への悪影響を避けるためか、実際には当初予想ほどの厳しさはない。
クルングテープの3大歓楽街といわれるパッポン(シーロム通)、ナナプラザ(スクムビット通ソイ3)、ソイカーボーイ(スクムビット通ソイ21)。14日(金)はパッポンは通常営業、ナナプラザは全店休業、ソイカーボーイは最初店舗のネオンサインを落として通常営業していたが、21時30分に軍により閉店を命じられた。なお、開店していた店舗も従業員は全員が黒い服装をしており、ダンサーも黒い水着着用が目立った。
15日(土)はパッポンは通常営業。ナナプラザ、ソイカーボーイは引き続き閉店、関係者によれば営業再開は17日(月)になる見通し。
このほか、スクムビット通り22のバービア街クラウンプラザは営業と閉店が半々。シャッターには17日16時から営業との張り紙が貼ってあった。シーロム通、スクムビット通沿いのパブは通常営業。ただ、コンビニエンスストアでは14日から17日までアルコール飲料の販売を中止。
ウィサヌ副首相は、「ワチラロンコーン王太子殿下が1年以上経てから王位を継承される意向である。」と明らかに。これは謁見したプラユット首相に対しワチラロンコーンが述べたもの。
ワチラロンコーンは国王の葬儀の継続期間に関する首相の質問に対し、葬儀を少なくとも1年間続け、その後で火葬の儀を執り行うことを提案し、「少なくとも今は全てを国王陛下が生きておられたときと同じようにすることを望む。」と述べた。
また、ウィサヌ副首相によれば、「王位が空席となったことから法に基づいて枢密院議長を務めてきたプレム元首相が摂政となった。これに伴い、枢密院では新しい議長を選出する手続きが取られることになった。」
タイ観光庁(TAT)は、外国人旅行者に対し、13日のプミポン国王の死去にともなうタイ国内の状況を説明し、以下の点に注意するよう呼びかけた。
注意点は、多くのタイ国民は弔意を表すため、黒または白の衣服を着用している。強制ではないが、外出時には暗めの色の礼節をもった衣服を着用することを勧める。不謹慎な言動は控える。観光アトラクションは平常通りだが、国葬の執り行われるワット・プラケーオ(エメラルド寺院)と王宮は入場観光ができない。政府はバーやナイトクラブなどの娯楽施設に対し、営業の自制について協力を求めている。多くの伝統文化行事は予定通り行われるが、祝い事は相応しい内容に変更される可能性がある。全ての交通機関、銀行、病院、その他の公共サービスは平常通り利用できる。タイ全土で警戒態勢を強化している。
10月15日(土)国王死去に伴い、大勢の市民が黒色の服を買い求め、クルングテープでは衣料品店の多くが黒色のシャツなどが品切れ。

日本語が書かれたTシャツを喪服代わりにする、弔問のため王宮に集まった女性 →

クルングテープのプラトゥーナム地区は、衣料品の卸売店が多いことで知られているが、国王死去の翌日の14日は朝から黒色の服を買い求める大勢の市民でごった返した。
また黒色の服を求める人が多いことから便乗値上げも報告されている。現在、ボーベー、パフラット、プラトゥーナムなど衣料品卸市場での販売価格は、Tシャツが80~120B、ポロシャツが150から350B。商業省によれば、「生地の価格が20%上がっているため、今後価格が10Bほど上がる。」商業省では便乗値上げがないかどうか監視を強めているほか、現在政府が黒シャツの増産計画を進めているため、とりあえず3着ほど購入し、安価なシャツが市場に出回るのを待つようアドバイスしている。
クルングテープ都庁は、「プミポン国王の死去に伴い地方から上京している弔問客に対し、王宮前広場(サナームルアン)での1泊のみの宿泊を許可する。」と発表。
一部の地域を割り当てるもので、それ以外での宿泊は禁止。調理、洗濯、水浴びなども禁止する。また、付近のサパーンダム地区でも無料の宿泊施設100室を弔問客に開放。宿泊できるのは1泊のみ。男女別室。
10月16日(日)国王死去が様々な分野に影響を及ぼすのではないかと懸念する見方がある中、サンサーン政府副報道官は、プラユット首相が国政を停滞させない意向を強調。
総選挙も政府が掲げる行程表に基づき来年末に予定通り実施する。また、18日には通常通りに定例閣僚会議が開かれるが、ここでは国王の葬儀を執り行うための日程などが協議される模様。
プミポン国王死去の後はじめての日曜日となった16日の王宮周辺はかなりの雨が降ったが、夕方前には上がり、喪服としての黒の服を着た国民で混雑した。
市民の間で黒や白の服を着ない人々に対して批判が出ていることに対し、プラユット首相は「今は国民が一致団結しなければならない時。」と述べ、それぞれの事情を思いやるよう呼びかけた。
プラユット首相は、「国民全てが亡き国王陛下に忠誠心を持っていると思われるものの、黒や白の服は皆が買い求めるため品薄となっており、手に入りにくい。金銭的に余裕がなく黒や白の服を買うことができない人もいる。このため、今までの服装で過ごさなくてはならない人もおり、黒服を着ていないからといって批判するのは間違いである。」と述べた。プミポン国王の死去に伴い黒色の衣料品が不足し、価格が高騰している問題で、タイ政府は、「黒服を着用する代わりに黒いリボンを装着しても構わない。」とする公式見解を発表。
政府はこのほど、国王死去に伴い国民が喪に服していることから、インターネットに不適切な書き込みをしないよう呼びかけた。
これは、死去に関する不適切な書き込みが原因で3件ほど騒動が起きたことによるもの。南部プーケット県では10月14日夜、ムアン郡タラートヤイの人気豆乳店サムコングの店主の息子ステー・アラムメタポング(30)がフェイスブックに「王の死は馬鹿馬鹿しい。人がいつか死ぬのは当然のことだ。」と書き込み、約1000人あまり(報道により500人、1500人も)が詰めかけ、ステーを罵倒して呪って店内に物を投げ込んだ。警察がステーを不敬罪およびコンピューター犯罪法違反で逮捕して鎮静化した。

抗議する群衆が詰めかけた豆乳店サムコング ↓

南部パンガー県でも15日夜、不適切な書き込みに抗議する群衆約1500人が道路を封鎖。さらに南部スラタニー県では16日、数百人がデモ行進をして不敬な書き込みをした者を捕らえるよう警察に求めた。
プーケットは、華僑・支那系が多い。仮に住んでいるだけでタイ人として自覚や人情、同調感がない。関心は「銭」のみ。嫌なら支那に帰れ。しかし、過剰反応で、タイのニュースサイトが全部白黒になっているのはやり過ぎ↓。日本人のためのサイト、「タイランド通信」も図に乗って白黒にしている。見にくいだけではなく、リンクも黒1色で使いにくい。 ? 10月19日(水)の「タイランド通信」参照。
http://www.nationmultimedia.com/national/Irate-mob-storms-Phuket-shop-over-mans-allegedly-o-30297766.html
一方、日本人のための新聞なのに、「バンコク週報」はタイ人化している。タイの幇間と言っても良い。日本の新聞や「newsclip.be」は軒並み、ラマ9世「国王死去」なのに「バンコク週報」は「国王陛下崩御」となる。今1つ評判の悪いワチラロンコーンだが、「皇太子」とは何事か。「王」なので「王太使」。チャールズイギリス「王太子」。昔、外国の財務省を「大蔵省」と書いていたのとは意味が違う。
日本は天皇(皇帝)陛下(皇帝)なのでバカ息子でも「皇太子」。ハプスブルク家は「皇帝」を名乗って周りも認めていたので、オーストリア・ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント「皇太子」。これが世界の常識、外交儀礼であり、わざと間違えて、嘘を書き、日本の皇室を貶めようとしているマスゴミ敗戦利得者の陰謀が透けて見える。
プミポン国王の遺体が安置されている王宮前には、連日多くのタイ人が弔問に訪れている。この影響で地方都市から長距離バスで駆けつけるタイ人が急増し、一部で大混雑。
タイ地元紙によると、この影響で帰りのバスがなくなり、途方に暮れる人も出ている。これに目を付け、クルングテープ・バンランプー地区の安宿街、カオサン通のホテルが、プミポン国王の死去に伴い地方から上京しているタイ人弔問客向けの割引サービスに乗り出した。大手のバディー・グループなど地元のビジネス協会に所属するホテル14軒が来月末まで、タイ人向けに最大60%引きの特別料金を適用。カオサン通は弔問客が集結している王宮前広場に近い。その後も状況次第で延長する予定の方針。
サムイ島では、王室を侮辱したとしてウマポーン・サラサット♀(43)が逮捕され、警察が女性を国王の肖像の前にひざまずかせたほか、市民が女性を吊るし上げる様子をネットに投稿。国王の死去で感情的になった市民らが煽る形で、糾弾運動は襲撃や暴行事件にも発展している。
10月17日(月)フェイスブックは、「プミポン国王が死去されたことを受けて哀悼の意を表すとともに、タイ国内利用者向けに一時的に広告表示を停止した。」と発表。タイの広告は、他の国のユーザーに対して広告を表示させることは可能。
現在タイ人向けのウェブサイトの多くは、プミポン国王への哀悼の意を表し、サイト全体を白黒表示に変更している。 ? 10月19日(水)の「タイランド通信」参照。
クルングテープでは衣料品の卸売り施設が集中するボーベーやプラトゥーナム地区に黒の衣料品を買い求める業者が殺到して付近で大渋滞が発生。品切れの店が続出している。男性用衣料のいちばん人気は黒のポロシャツで、非常に入手し辛くなっている。
財務省は、「黒の丸首Tシャツ800万着を低所得者に無料で配布する。」と発表。調達コストは1着50Bで、4億Bの経費を財務省が負担する。
タイ輸送企業社協会は、「各地から駆けつける弔問者向けにクルングテープ都内4箇所と王宮近くを結ぶ無料シャトルバスを運行する。」と発表。
タイ地元紙によると、この無料シャトルバスは、スパチャラサイ・ナショナル・スタジアム、戦勝記念塔、ウォンウィアンヤイ、旧南バスターミナル(タリンチャン)の4箇所から、王宮周辺を結ぶもので、昨日から24日まで運行を予定。毎日午前08時から午後03時まで、1時間毎に運行。
ウィサヌ副首相が明らかにしたところによれば、国王の火葬の儀は特別な建物を建てて執り行うことになるが、この建物についてはワチラロンコーン王太子の同意を得てシリントン王女が最終的な決定を下す。国王の葬儀については18日の閣議で詳しい話し合いが行われる予定。
また、この建物のほか、サナームルアン(王宮前広場)には、王族、僧侶、弔問客のために複数のパビリオンが芸術局の監督の下に建設されることになっている。
国王の死去で国中が悲しみに包まれているが、これに乗じて社会不安を煽ろうとする者が出る恐れがあり、関係当局が警戒している。これについてスラポン国軍最高司令官は「社会を混乱させようと誤情報を発信している者は少数に留まっている。」と明らかに。
スラポン司令官は、「国内の治安が乱れないよう軍が兵を派遣している。」と説明。
このほか、スワパン首相府相によれば、外国在住の6人が不適切なコメントや写真をネット上に投稿したことが確認されている。これらはいずれも過去にタイ政府に反対する活動をしたことのある人物。
ウィラー文化相は、プミポン国王の死去に伴い開催が危ぶまれていた伝統行事のローイクラトン(灯篭流し)について、「派手な娯楽イベントや花火などを控えれば開催しても構わない。」とする見解を発表。
コムローイ(天灯)で知られるチエンマイ県ではこれを受け、コムローイの色調を抑えるなどして開催する方向で検討に入った。今年のローイクラトンは11月14日。
クルングテープでバスに乗っていた高齢の名称不明の女性が王室を侮辱する発言をしたとして、警官がいる前で通勤客らから非難の言葉を浴びたり平手打ちをされたりする動画がソーシャルメディアに投稿された。
10月18日(火)午前プラユット首相がアサウィン警察大将副知事を知事に昇格させる人事を発令。官報で発表され、即日発効。スクムパン知事は都主導の行事で汚職の疑惑が出ており、現在当局から調査を受け、政府から08月に職務停止を命じられており、都知事のポジションは空席解任だった。
今回の都知事解任は、プラユット首相による強権発動を規定した暫定憲法44条に基づいた措置。スクムパンについては、複数の不正疑惑が浮上し、現在調査が進められている。
アサウィン新知事は65歳の退役警察大将。副知事として、クルングテープの歩道の露店や、不法占拠の住宅の撤去を進めたことで知られる。
プラユット首相は、「調査は進行中でまだ結果は出ていないのであり、解任はスクムパン氏に不正のあったことを意味するものではない。」
スクムパンは民主党所属だが、「不正疑惑が浮上したこともアピシット党首などの党首脳や民主党の元下院議員との関係が険悪化している。」と伝えられていた。
10時半タイのソーシャルメディアで亡くなったプミポン国王を侮辱する書き込みを行ったとして、群衆が投稿者に集団で暴行を加えたり、吊るし上げたりする動きが相次いでいる。国全体が追悼ムードに包まれる中、異論を許さない魔女狩りが一部で横行。
チョンブリー県では、王室を侮辱する投稿をしたとして、チラワット・パトムトング(19)の勤務先に大勢の人々が押しかけた。会社は男性を解雇したと説明し、自宅住所を教えた。チラワットが人々に殴る蹴るの暴行を受け、「死にたいのか。」と言われ、国王の肖像に土下座して謝罪させられるライブ動画が掲載された。チラワットは殴られながら「そんなつもりはなかった、私は国王を愛している!自分が間違っていた。」と泣き叫んでいた。
プラユット首相は、「憲法等の規定に則り王位継承の手続きを近く進める予定である。」と発表。これにより新国王自身が新憲法を承認する見通し。
伝統等に則って国王死去から7日目(10月19日)と15日目(10月27日)に儀式が執り行われるが、政府は15日目以降に王位継承の手続きに関する検討を開始するものと見られている。
ワチラロンコン王太子は、「王位継承の手続きに応ずる前に暫く国民とともに喪に服したい。」との意向を示し、「火葬の儀については1年間は葬儀を継続し、その後に執り行うのが良い。」とアドバイス。このため戴冠式は火葬の儀のあとになると見られているものの、憲法規定では、戴冠式の前に王位を継承できるとされていることから、早期に王位を継承し、そのあと時間を置いて戴冠式に臨まれる可能が強まった。
全国で大勢の市民が服喪の気持ちを示そうと黒色の服を買い求めているため、黒色の衣料品売り切れが報じられているが、関係筋によれば、黒色の染料もリボンも需要が多く、全国的に品薄になっている。黒色の染料は自ら服を黒色に染めようという人が購入。黒色のリボンは黒色の服の代わりに買い求める人が多い。
シリチャイ労働相は、「黒いリボン999万9999個を国民に無料配布する。」と発表。傘下の職能開発局が製作し、各県知事を通して全国の国民に配布する。タイ政府は既に、死去したプミポン国王への弔意を表すにあたり、黒服を着用する代わりに黒いリボンを装着しても構わないとする公式見解を発表している。
財務省は、プミポン国王の死去に伴い地方から訪れている弔問客向けに、ヤードム(嗅ぎ約)、傘、団扇、飲料水、菓子などの無料配布を開始した。配布場所はラーチャダムヌーンクラン通の旧宝籤事務局前。
タイの携帯電話サービス最大手アドバンスト・インフォ・サービス(AIS)は、クルングテープの王宮前広場に車載基地局を設置して無料のワイファイサービスを開始。
「プミポン国王の死去に伴い、広場周辺に詰め掛けている大勢の弔問客の便宜を図るためで、通常の5倍のデータ通信速度を確保できる。」と言う。このほか、バッテリーの無料充電サービス、クルングテープ都内のバスターミナル3ヶ所および国鉄フアランポーン駅からの無料送迎サービスも開始。
2011年に発行したプミポン国王の84歳の誕生日を記念する100B紙幣が、タイ政府貯蓄銀行(GSB)から再発売。この紙幣を購入することができるGSB本店には、購入希望者による列が未明からできており、長蛇の列が数百mまで達した。
今回の再発売される記念紙幣は、9万セット用意されており、GSB本店でのみ購入が可能。紙幣のみの通常版で200B、アクリルフレームに入った特別版(オルゴール付き)で500B。通常版は1人5セットまで、特別版は同1セットまで。
タイ政府は、来月タイ国内各地で行われる伝統行事「ローイクラトン(灯籠流し)」に関連する行事の開催を許可する方針。ただしプミポン国王の死去に伴う服喪期間であることを念頭に置くよう求めている。
服喪の期間中であるため、複数の県がタイの主要観光イベントのひとつであるローイクラトン祭(灯籠流し)の中止を決定。
ロイクラトン発祥の地とされるスコータイ県では11月10~14日にかけてローイクラトン祭の開催を予定していたが、中止。県当局によれば、市民はいつも通りに川などに灯籠を流すことができるものの、県としては行事を催さない。
また、ターク県のローイクラトン祭も有名だが、同県も今年は11月12~17日に開催予定の行事の中止を決定。代わりにターク県では亡き国王を偲んでピン川に999個の灯籠を流すことにした。
一方、毎年大勢の人がローイクラトン祭に参加するために足を運んでいるチエンマイ県で行われるイーペン祭(ローイクラトン祭)は、国王死去後に各機関から行事の開催中止を発表。服喪の期間中であるため、花火大会、コンサート、美人コンテストなどは催さない。ただし、、イーペン期間中に打ち上げられるコムローイ(熱気球)について、予定通り11月14日および15日の2日間、19時から1時までとするよう通達しており、自粛ムードのなか開催される可能性が出てきた。
ローイクラトンには自らの罪を洗い浄め、川の女神に川を汚したことを謝罪するという意味があり、当日は、蓮の花等をかたどって作った灯篭に線香やろうそくを入れ川や湖に流すという伝統的な行事だ。ただしタイ北部の一部地域では川に灯籠を流すのではなく、コムローイと呼ばれる熱気球を空に打ち上げるスタイルで、特にチエンマイは有名なスポットとして知られており、イーペン期間中は国内外から多くの観光客が押し寄せる。
プミポン国王の死去にともなう服喪で、黒い服を着ていない人が、不敬だとして暴力をふるわれる事件が発生。この問題で、プラユット首相は、「黒い服を着ていないというだけで国王に対する敬愛の念がないと決め込んだりせず、全ての人が一致団結するように。」と国民に呼びかけた。
一方、タイ商務省は今月21~24日、国内の衣料品メーカーや販売業者80社と協力し、黒い服の格安販売会を開催する。会場はバンコク都内ラチャダーピセーク通の国際貿易振興局前。黒いTシャツは1着79B、ポロシャツは149B、長袖シャツは229Bから。黒以外の衣料品を黒に染め付けるサービスも実施する。
タイ国鉄(SRT)は政府諸機関および民間企業と協力し、プミポン国王の死去に伴い地方から列車で上京してきた弔問客に対し、フアラムポーン駅で軽食、飲料水、黒服、黒リボン、おしぼり、ヤードム(嗅ぎ薬)などの無料配布を開始。「全国各地からの列車の運行も増便しており、毎日8万~10万人の利用客に対応できる。」としている。
10月19日(水)今年も2ヶ月あまりを残すのみとなったが、ウィサヌ副首相は官民双方に対し、国王陛下崩御に伴う休日の変更などが予想されることから、来年2017年のカレンダーや日記帳の印刷をしばらく待つよう呼びかけた。死去に因んで新たに休日が設けられる見通しだが、これについては最終決定が下るのにしばらく時間が掛かる。

白黒になってしまった10月19日(水)の「タイランド通信」 →

カレンダーなどの印刷延期について、ウィサヌ副首相は、「不都合が生ずるかもしれないが、(国王陛下関連の)休日を設定しなおしたりするのには時間が必要であり、申し訳ない。」と述べている。
プミポン国王が死去するまで長年にわたって入院されていたシリラート病院の部屋を博物館とすることが計画されている。シリラート病院内マヒドン大学医学部のプラシット学部長が明らかに。
この計画を進めるにはまず王室管理事務所の許可が必要。また、シリラート病院では、敷地内に国王の銅像を建てることが検討されているが、これにも王室管理事務所の許可が必要。
国王は2009年09月から2013年08月までシリラート病院に入院したあとプラチュアプキリカーン県フアヒンのクライカンウォン離宮で過ごし、2014年10月に再び入院。入院期間中、シリラート病院チャルムプラキアット館16階に住んでいた。
ウィサヌ副首相によれば、国王の死去による王位空席に伴い、枢密院議長を務めていたプレムが憲法の規定に則って摂政に任ぜられたことから、タニン枢密顧問官が枢密院議長代行に選任。憲法の規定では、「摂政と枢密院議長を兼任することはできない。」とされており、枢密院の構成メンバーである顧問官の中から議長代行が選ばれることになった。また、プレムは摂政を務める必要のなくなった時点で枢密院議長に復帰することになるが、これには王室の認証は不要。
タイ教育省のチャイヤプルック次官は、「学校の新学期を例年通り11月1日に始める。」と発表。「『プミポン国王の死去に伴い、新学期の開始が1週間遅れる。』との噂が交流サイト(SNS)に出回っているが、事実ではない。」と注意を呼び掛けた。
クルングテープの王宮前広場で10月22日、プミポン国王を追悼するための大規模な「国王賛歌を歌う会」が開催される。
演奏はサイアム・フィルハーモニック・オーケストラと合唱団(ともに100人編成)、指揮は世界的な指揮者/作曲家として知られるソムタオ・スチャリットクン。タイ国民の参加を広く受け付ける。参加希望者は礼節を重んじた黒服を着用し、白いロウソクを持参する。合唱の様子は王族の映画監督、チャートリーチャルーム・ユコン(タン・ムイ)の監修で撮影され、全国の映画館やテレビ局で放映される予定。開催に伴い、22日午後01時からナー・プララーン通一帯が通行止め。
オーストラリア人男性の観光客が先ごろ、滞在先のタイ南部スラタニー県サムイ島からクルングテープを目指し、徒歩で出発。
黒服に身を包み、プミポン国王の写真を掲げるマイケル・ハミル(46)。「サムイ島に3ヶ月ほど滞在していたが、プミポン国王の死去に伴いタイ全土からクルングテープに弔問客が訪れていることに感銘を受け、自分も徒歩で弔問に向かうことを決めた。」と言う。毎日50㎞歩き、15日かけてクルングテープの王宮前広場に到着する予定。
王室局は、「クルングテープの王宮およびエメラルド寺院(ワット・プラケオ)への観光客の入場を11月01日に再開する。」と発表。プミポン国王の死去に伴い、現在は入場が停止されている。
タイ国内6空港を管理するエアポーツ・オブ・タイランド(AOT)は、「プミポン国王死去に伴う弔問客向けに、スワンナプーム国際空港と王
宮近くのラーチャダムヌーンクラン通を結ぶ無料シャトルバスを運行する。」と発表。
AOTによると、運行期間は今月21日から来月15日まで。運行時間は毎日午前09時から午後02時まで。1時間毎に運行する。空港のバス発着所は、ターミナルビル1階の8番扉近く。
チャオプラヤー川を運航する旅客ボートも、王宮前広場までの一部ルートが11月15日まで無料。
10月20日(木)シーワラ警察庁副長官は、「国王が死去してから王室に関する不適切な書き込みなどをした者5人を不敬容疑で逮捕した。」と明らかに。その多くはインターネット上に不敬と思われる書き込みをしたというもの。
不敬行為は刑法112条(不敬罪規定)で禁止されており、5人はいずれも112条に違反した疑いで捕らえられた。ただ不敬とされる書き込みなどの内容を引用することも不敬罪に問われるため、これら5人が具体的にどのような行為に及んだかは明らかにされていない。
ウィラ文化相によれば、文化省は亡きプミポン国王の写真3万点以上を国立公文書館(Office of National Archives of Thailand)のホームページを通じてダウンロードできるようにする予定。これらの写真は、幼少時や国内視察などに出向かれた際などに撮影された貴重なもの。
省芸術局のカチョーン副局長によれば、「ホームページにはすでに1400点あまりがアップロード済み。今後も毎日200点程がアップロードされ、最終的に3万点以上が無料で閲覧・ダウンロードできるようになる。なお商業目的で写真を使用する場合は国立公文書館に許可を申請してほしい。」
サンスーン報道官は、国民同士の争い事に王室を巻き込まないよう国民に注意を促した。王室に対する不敬な行為を見かけた場合は自ら抗議したりせず、警察に通報するよう要請。 プーケットでは先ごろ、有名豆乳店サムコングの店主の息子ステー・アラムメタポングが、インターネットの交流サイト(SNS)に不適切な内容を投稿したとして、怒った地域住民に店が取り囲まれる騒ぎがあった。この息子に対しては既に裁判所から逮捕状が発行されている。
10月21日(金)クルングテープ都東郊サムットプラカンの警察は、インターネットの交流サイト(SNS)フェイスブックに2丁の拳銃を腰に下げた写真を掲載し、「不敬な国民は俺が射殺してやる。俺は刑務所で死ぬと父に言ってくれ。」などのメッセージを投稿した男の自宅を捜索。男は実際に拳銃を所持していたが正規に登録されていたもので、現時点では被害者が出ていないため、厳重な警告に止めた。
「マリファナを所持し、不敬罪で、サケオ県ワタナナコン郡のアヌポン・デックウィチット(18)を逮捕した。」と発表。アヌポンは、19日夜にファイスブックに3通のプミポン国王を中傷する記事を投稿し、これを読んだ読者が警察に通報し、4時間後に逮捕し、家宅捜査の結果、マリファナ26包(25.44g)が見つかり、20日01時に自白した。
インラック前首相は、米担保融資制度で巨額の損失をタイに生じさせたとして357億Bの賠償を命じる行政命令書が届いたことを明らかにし、これに抵抗していく姿勢を示した。
米担保融資制度はインラック前政権がタクシン支持者の多い農民を支援するため導入したもの。
実質的に市場価格を大きく上回る価格で米の買い上げたことから数千億Bに上る損失が生じたとして、米担保融資制度の責任者であったインラックに賠償が命じられることになった。
インラックは、「命令は不当。あらゆる法的チャンネルを通じて闘っていく。」と述べた。
10月22日(土)スワパン首相府相は、亡き国王を偲んで大勢の市民が弔問のため王宮とサナームルアン(王宮前広場)を訪れていることから、これら市民に医療サービスを提供しているボランティアチームが200人増員されることになったことを明らかに。新たにチームに加わったのは民間病院の医師や看護師など。なお弔問者の対応に当たっている政府職員などに利用してもらうため労働省がテントを新たに設営。
サンサーン政府副報道官によれば、「プラユット首相はこのほど、政府機関に対し、政府機関の建物内にある亡き国王の肖像画については政府から通達があるまで勝手に取り外さないよう指示した。」、「ただ、国王の長命や健康を願うメッセージなどについては取り外し、肖像画の飾り付けを国王の死去を悼むものにすることが政府機関には指示されている。」
国王の肖像画について、ネット上で「死去後にすぐに取り外された。」といった指摘があったが、政府は「撤去を指示した事実はない。」
10月23日(日)国王死去に伴い発行されたという黄金の記念1000B紙幣がチエンマイ県など複数の県に出回っており、1枚数千Bで売買されているというが、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は、「このような記念紙幣は存在せず偽物である。」と警告し、購入しないよう呼びかけた。
黄金の紙幣には金が使われているとされるが、NCPOの広報担当ピヤポンは、「金色の紙やプラスチックが使われているだけ。」
アピラディ商業相は、商業省傘下にある全国の関係機関に対し、寄付された黒服・黒っぽい服を黒服を購入できない人々に配布するよう指示したことを明らかに。
国王の死去に伴いタイ国民は喪に服しているが、「黒い服を買えない。」という声もあることから、黒服の寄付を受け付け、貧しい人々に配布することにした。アピラディ商業相によれば、関係機関が全国で黒服の寄付を受け付ける。
10月24日(月)サナームルアン(王宮前広場)では弔問に訪れた大勢の市民に無料で食事などが提供されているが、食べ物の入っていた発泡スチロール容器が大量に放置され、その処理に問題が生じている。このため、食事を提供している団体や企業などに対して「自然に戻る素材の容器に食品を入れてほしい。」との要望が出ているという。
サナームルアンの近くに位置する国立タマサート大学のプリンヤ副学長は、「1日に10万個ほどの発泡スチロール容器が使われ、その多くが捨てられてゴミとなっているが、発泡スチロールのゴミは処理が難しい。」と指摘。このほか、ペットボトルのゴミも多く、これも問題。
商業省国内商取引局のナンタワン局長は、「衣料品の販売業者を抜き打ち検査したしたところ、クルングテープで100を超える販売店や露店が黒服を便乗値上げしていた。」と発表。この検査は「黒服が値上げされている。」との苦情に伴い実施。
ナンタワン局長は、「以前に比べて2倍以上の値段で売れていた。黒いTシャツなどは200B程度だったものが、この10日ほどの間に約500Bになっていた。」と指摘。便乗値上げの販売店などに対しては、「『今後も高値で販売するようであれば法的措置を取る。』と警告した。」
政府がインラック前首相に対し、「前政権の導入した米担保融資制度による損失額のうち357億Bを賠償せよ。」との行政命令を下したことについて、プア・タイ党のプムタム幹事長代行は、「性急に下された命令であり、不当である。」との見解を明らかに。
米担保融資制度では数千億Bに上る損失が生じ、不正が蔓延していたにも拘ず、当時米融資担保制度の監督責任者であったインラック首相が何もしなかったとして賠償を命じられることになった。
だが、プムタムによれば、「インラック首相(当時)に違法行為や意図的な怠慢があったかまだ定かではなく、現時点で賠償を命じられるのは納得がいかない。」
文化省芸術局のアナン局長によれば、管轄している博物館、歴史公園、遺跡などは10月13日に死去したプミポン国王を称えて来年01月31日までタイ人、外国人ともに入場無料。これは、国王が生前タイの文化を広め、伝統を守ることに尽力されたことによるもの。
10月25日(火)サナームルアン(王宮前広場)で弔問に訪れた大勢の市民に食事が無料で提供され、食事の入っていた発泡スチロール容器などが大量のゴミとなっていることから、クルングテープ都庁はこのほど、市民に対し、食事を入れる容器やスプーンを持参するよう呼びかけた。
このゴミ対策は、サナームルアンで弔問者のためにボランティア活動をしている国立タマサート大学や慈善団体などと都庁との話し合いで決められたもの。都庁と公害対策局が実施した調査によれば、サナームルアンでは1日に77tあまりのゴミが出ているが、その内訳は残飯が約32t、様々なゴミが約45トン。後者のうち約5tがリサイクルできない発泡材。
タイ政府が前政権の米担保融資制度に絡んでインラック前首相に「357億Bを賠償せよ。」との行政命令を下したことにプア・タイ党幹部が「不当」などと反発しているが、プラユット首相はこのほど、法律専門家からも「「『法の精神に反するものではない。』との支持を得ている。」として、行政命令に問題はないとの見解を示した。
このほか、プラユット首相は、「(行政命令について)言いたいことがあれば、裁判の中で述べれば良い。」と指摘し、プア・タイ党幹部がメディアを通じて行政命令に批判的な意見を発したことに不快感を示した。
財務省財務局によれば、「プミポン国王陛下が崩御されたことに伴い、陛下に関連する記念硬貨が100万枚ほど販売された。」
これまでに何種類もの陛下に関する記念硬貨が発行されており、財務局には300万~400万枚の在庫があったものの、国王の死去に伴い記念品を求める人が多く、この2週間ほどで100万枚以上売れた。
10月26日(水)朝26日、クルングテープ都庁(BMA)前で、13日に死去したプミポン国王(ラマ9世)を追悼する式典が行われた。
都庁職員、都議会議員ら約6000人が参加。人文字でタイ文字の「9」と「BMA」を描き、国歌と国王賛歌を斉唱し、黙?を捧げた。
タイ文字の「9」を人文字を描くイベントは25日、中部サラブリー市でも行われ、市民ら約2万人が参加。タイ語で「9」は発音が「前進する」と近い。プミポン国王が現王朝の9代目の王だったこともあり、「9」はタイ国民に親しまれてきた。
10月29日からプミポン国王の遺体が安置されているドゥシットマハプラサート宮殿に弔問の市民が入ることが許可される予定だが、スワパン首相府相は、「弔問者のドゥシットマハプラサート宮殿入場をいつ締め切るかはまだ決まっていない。」と説明。
これは、一部で「入場できるのは来年01月20日まで。」と報じられ、市民の間で「あまり時間がない。」と心配する声が出ていたことによるもの。
国王の死去後、王族らにより15日間の宗教儀式が執り行なわれているが、これが28日に終了。このため、翌29日から一般市民がグランドパレス内のドゥシットマハプラサート宮殿に入るのが許可されることになった(毎日午前08時~午後09時)。
首相府相によれば、「今のところ弔問者は国王陛下の肖像画を前に哀悼の意を示すことしかできないため、29日からは1日4万人近い弔問者が王宮を訪れるものと予想されている。」
プミポン国王死去に伴い大勢の市民が弔問のためにサナームルアン(王宮前広場)を訪れているが、スワパン首相府相は、「サナームルアンで不適切な行為が見受けられる。」と苦言を呈し、エチケットを守るよう呼びかけた。
「弔問者の大半は問題がない。」としながらも、「写真だけを撮りに来たような者や無料の食事だけを目当てに来た者がいる。」
また、サナームルアンでは治安当局が弔問者の所持品検査を行っているが、警察は25日、「この検査によって小刀やカッターナイフなど凶器となり得るものを200点あまり没収した。」と発表。
コプカン観光スポーツ相が各国の大使や外国の商工会議所に伝えたところによれば、プミポン国王死去により現在タイ国民は喪に服しているが、ロイクラトーン祭、ニューイヤー・カウントダウン、プーケット・キングスカップ・レガッタ、ジェットスキー・キングスカップといった主要観光行事、スポーツ大会は予定通り実施される。
コプカン観光スポーツ相は、「偉大な国王陛下を失って私たちは喪に服しているが、タイ人は外国人がタイを訪れることを常に歓迎している。」と述べ、「外国人にはこれまで通りタイを観光してほしい。」との意向を示した。
ただ、服喪期間中であることからニューイヤー・カウントダウンなどについては適切な実施方法に関するガイドラインを近く示す予定。
新憲法の制定に伴う選挙や政党などに関する基本法の制定に向けて現在検討が進められているが、憲法起草委員会(CDC)はこのほど、新党設立の条件としての党員数を500人とする案を明らかに。これは、中央選挙管理委員か先に示していた必要最低限の党員数5000人を大幅に下回るもの。
また、CDCの案では、新党を設立する場合、発起人15人が選管に登録を行った後、500人以上の党員を募ることになる。なお、新党には最低100万Bの資金が必要。
10月27日(木)10月29日から弔問の市民は国王の遺体が安置されたドゥシットマハプラサート宮殿に入ることが許されるが、アムヌアイ副都知事によれば、政府の合同平和維持指令センターが宮殿入場者数を1日1万人までとすることを決定。
入場希望者はグランドパレス近くのマハタートユワラートランサリット寺で整理券を受け取る。整理券のある弔問客は150人ずつ入場が許される予定。
また、サナムルアン(王宮前広場)には弔問客の中に危険物などを所持する者がいないかを調べるチェックポイントが現在8ヶ所に設けられているが、これが17ヶ所に増やされる予定。
タイの新聞各紙の報道によると、13日のプミポン国王の死去後、コマーシャルなしで特別番組の放送を続けているタイの地上波テレビ局、ラジオ局は早くても11月18日まで現在の放送内容を続ける見通し。
タイの放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会(NBTC)が放送事業者との会合で、「11月19日からコマーシャルと通常番組を順次再開する。」という政府の方針を伝えた。
タイでは2014年に地上デジタルテレビ放送が24のチャンネルで開始された。新規参入した事業者の多くは広告収入が予想を下回り苦戦。
10月29日(土)亡き国王の遺体が安置されているドゥシットマハプラサート宮殿に弔問の市民が入場することが許可。国家平和秩序評議会(NCPO)によれば、宮殿入場のため集まった市民は2万人を超えたと見られる。
関係当局は、「整理券を配って宮殿入場を管理する。」としていたが、弔問客が予想以上に多く、変更を余儀なくされた。入場開始の時刻も午前08時とされているが、大勢の市民が徹夜で入場を待っていたことから29日は午前05時から入場が許可された。
サンサーン政府報道官は、「今後も長期間にわたって宮殿に入場してご遺体に拝礼することが可能であり、大勢の市民が弔問に殺到する事態を避けるべく、慌てて王宮に足を運ばないように。」と呼びかけた。
また、アムヌアイ副都知事は、「弔問の市民の中には不適切な服装が見受けられる。」と指摘。「王宮を背景に自身の写真を撮影し、ネット上に投稿する者もいる。」と苦言を呈した。アムヌアイ副都知事は、「弔問のために市民が集まっている。人に見せるための写真を撮る撮影会ではない。」
10月30日(日)国王死去に伴い服喪のために黒服を買い求める人が多く、黒色の衣料品の品切れや便乗値上げが報告されていたが、商業省国内商取引局のナンタワン局長によれば、「今は黒色の服が十分に出回っており、通常の価格で購入することが可能。」
ナンタワン局長は、クルングテープの北隣パトゥムタニー県のランシット地区にある商業施設を訪れ、店先に黒色の衣料品がたくさん並べられている状況を視察。なお国王死去直後は黒服を通常の2倍程度の値段で売っていた店もあった。
10月31日(月)アピラディ商業相によれば、米価が下落しているため米作農家を支援すべく新たな米担保融資制度が実施される見通し。米担保融資制度については、10月31日に国家米政策委員会で取り上げられ、翌11月01日の閣議で承認され即時発効となる見通し。
米担保融資制度では、香り米(タイ・ホームマリ)の籾米がトン当たり10000B以上で引き取られる予定。米価は過去10年で最低レベルに下落。米作農家の女性が中部ピチット県を訪れたウィブンラサナ商業事務次官の足に縋り付き「香り米はtあたり5000Bにしかならない。今週にも稲刈りをしなくてはならないが、この値段では農家は生きていけない。」と訴えた。
米価が下落して米農家が損失を被る可能性が高いことから、国家米政策委員会は、農家を支援するプログラムの実施を承認。対象となるのは、高級米である香り米「ホームマリ」の生産農家。同プログラムは11月01日の閣議で承認される見通し。
なお、プラユット首相は、米価下落について、農業改革が完了していないことと政府に圧力をかけるために一部の政治家と精米業者が結託して米価を引き下げていることが原因との見方を示した。
タクシン派プア・タイ党所属のチンナワット元下院議員が「新憲法の下では米農家への支援提供が禁止される。」と述べているとされるが、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、この発言の内容を全面的に否定。
プア・タイ党を政権党とするインラック前政権は、タクシン支持者の多い農民を支援すべく米担保融資制度を導入。これによって数千億Bに上る損失が生じ、インラック前首相らが責任を問われることになった。
関係筋によれば、「新憲法では米農家支援を禁止と訴えることで現政権に対する農民の反発を招こうとしたものと考えられるが、ミーチャイ委員長は、『新憲法(現時点では草案)は米農家支援に一言も言及していない。』と明言している。」
警察庁の発表によれば、10月13日の国王死去からの約2週間に不敬容疑で15人を逮捕。これらは不敬が疑われる25人のうちの15人で、残りの10人について現在警察が事実関係を調査中。国王死去後に警察に寄せられた不敬容疑の通報は合計167件。
このほか、警察によれば、クルングテープのサナームルアン(王宮前広場)には毎日大勢の弔問客が訪れているが、ここではこれまでに48件の届出が警察にあった。そのほとんどはスリや遺失物に関するもの。
11月01日(火)政府は閣議で米農家支援策として高級米である香り米「ホームマリ」籾米1tにつき1万3000Bの支援を提供することを決定。これは国家米政策委員会の決定に従ったもの。
国家米政策委員会は10月31日に支援額をt当たり1万1525Bとしたが、米農家が納得しなかったことから、翌11月01日に緊急会議を開いて1万3000Bへの引き上げを決めた。t当たり1万3000Bの支援金のうち米農家に渡るのは9500B、残りは籾米の保管料などに充てられる。
米農家支援策では、インラック前政権が支持拡大のために導入した米担保融資制度が数千億Bの損失につながり問題となったが、プラユット首相によれば、「今回の支援策は米価下落に苦しむ米農家の救済を目的としたものであり、インラック前政権の支援策とは性質が異なる。」
タイ陸軍は、米価の低落に苦しむ米農家を支援するため、農協から直接米を買い付ける方針を明らかに。また、農家のコスト削減のため、一部地域では兵士が収穫を手伝う。
タイ政府は、「10月13日の国王崩御に伴う30日の服喪期間が11月13日に終わるため翌14日から娯楽行事やテレビの通常番組放送を再開できる。」と発表。ただ、プラユット首相は、「テレビ局やイベント主催者には『騒ぎすぎ』とならないよう協力を求めたい。」プラユット首相によれば、「テレビのバラエティー番組では丁寧な言葉を使ってほしいが、これはあくまでも協力要請であり、命令ではない。」
なお、王室管理事務所によれば、エメラルド寺院として知られるワット・プラケオは国王死去に伴い閉じられていたが、11月01日から一般客の入場が再び許可された。
11月02日(水)クルングテープ中心部の「サトン区で爆弾事件が起きる恐れがある。」と区役所が区内の学校に通達したことからネット上などで騒ぎになっている問題で、プラウィット副首相兼国防相は、「通達は過去の危険性に関する警告に伴うものであり、現時点で切迫した危険が存在することを意味していない。」゜と釈明。
ネット上には通達書のコピーが投稿されているが、通達の日付は10月28日となっている。プラウィット副首相によれば、「通達が出されたのは、『10月25~30日の期間中に首都圏の3ヶ所で攻撃があるかもしれない。』との情報を警察が得たことに伴うものであり、サトン区役所では、同期間を過ぎても引き続き警戒する必要があると注意を促すべく学校に通達した。そのため、新たに攻撃の危険が明らかになったため通達したのではない。」
プラチン副首相によれば、「政府は先月、王室に関する不適切な内容のウェブサイト約900をインターネットプロバイダーの協力のもとにブロックし閲覧できないようにした。うち約200は現行の暫定憲法に規定された強権の発動によって、役700は裁判所の命令によってブロックされた。このような内容が違法なサイトについては当局が合計1350あまりを把握しており、残りの約450についても裁判所にブロックの許可を請求する予定。」
11月03日(木)新学期を迎えたタイ東北部ブリラム県ブリラム市の学校が明るい色の防寒着の着用を禁止し、違反した生徒の防寒着を没収。先月13日にプミポン国王が死去し、タイ全土が喪に服しているためで、タイ軍事政権の指示通り、黒もしくは白の衣服を着用するよう生徒に伝えた。
ブリラム市の03日の最低気温は21.5℃、最高気温は31℃。
クルングテープ都サトン区が区内の学校に「爆弾攻撃の恐れがあるため警戒せよ。」との通達をしたことについてプラウィット副首相兼国防相は先に「過去の情報に基づいたもの。」として「切迫した危険が存在するわけではない。」との見解を示していたが、警察は、クルングテープの警備を強化する方針を明らかに。 ネット上に投稿されたサトン区からの通達によれば、バンコク・ナンバー「1563」の乗用車とヤラ・ナンバー「3597」のピックアップトラックに爆弾を仕掛けて爆発させる手口の攻撃が起きる恐れがある。
また、これについて警察庁中央捜査局(CIB)のティティラット局長は、「タイ南部の内部抗争に関連したものであり、外国のテロリスト・ネットワークは無関係。」
CWPなどセントラル・デパートを運営するセントラル・パタナ(CPN)は、「CWPなどセントラル各支店で開催するビアガーデン関連のイベントを中止する。」と発表。「国王死去したばかりで、この時期の開催は不適切なため。」
各ビールメーカーがビアガーデンを設置し、有名歌手などによるライブを開催し集客するという毎年の恒例。
タイ地元紙によると、ハイネケンを製造するタイ・アジア・パシフィック・ブリュワリーやチャーンビールを製造するチャーン・インターナショナルは、今月および来月はこのような催しの開催を自粛する。
22時頃タイ東部プラチンブリー県の304工業団地に入居する日本シイエムケイのタイ現法、CMK CORPORATION (THAILAND)で、ボーナスを要求する社員が工場の外に出て抗議する騒ぎが発生。
経営側は騒ぎを受けて労働組合の代表と翌朝午前04時まで交渉を続け、要求をほぼ全て受け入れた。通報を受けた地元警察は「国王崩御の服喪中に不謹慎、国に迷惑を掛けている。」と苦言を呈した。
関係者の話によると、労働組合の代表は賃金などで全16項目を要求、次回のボーナスに関しては120日分および特別手当て3万Bという額を提示。これに対して経営側は、「勤勉と判断する社員に対して月当たり1500Bの手当てを3ヶ月分、年末年始に予定していた催し物を服喪のため中止する代わりに500Bを支給する。」という代案を出したが、交渉が決裂して3日夜の騒ぎとなった。最終的に3万3000Bのボーナスおよび1万5000Bの特別手当で合意。
11月05日(土)10月13日に死去したプミポン国王の火葬用の建物をクルングテープの王宮前広場に建設。敷地面積6.4haで、近く着工し、来年02月に完成する予定。クルングテープ都庁が03日までに、建設予定地の整地作業を開始した。国王の火葬式は政府機関の1年の服喪期間が明けた後に行われる見通し。
プミポン国王の棺は10月14日にクルングテープのシリラート病院から王宮に移され、以来、多くの国民が弔問のため、王宮前広場を訪れている。10月29日からは、王宮内に安置された棺への弔問が始まり、初日だけで約3万人が訪れた。
政府は地方からも続々と訪れる弔問者に対応するため、王宮前広場への無料のバスサービス、軽食や飲料水、黒リボンなどの配布などを実施。大手携帯電話キャリアは広場に車載基地局を設置して無料のワイファイサービスを提供。
11月06日(日)米価下落のせいで米農家が「損失が出る」などと訴えている問題で、プラユット首相はこのほど、「政治家が農家からの米を購入し、それを公表しているのは農民の困窮につけ込んで政治家としての自身の評価を高めようとしたものである。」と苦言を呈した。これはインラック前首相に向けられた批判と受け止められている。
インラックは先に東北部のウボンラチャタニー、スリンの2県を訪れて農家から米を購入。4日にはインターネットへの書き込みを通じて、「購入した米を都内ラムイントラ通のファッションアイランド・ショッピングモール前で05日午後04時から購入価格(㎏当たり20B)で売るので買いに来てほしい。」と呼びかけた。
プラユット首相は、「政治家も農家から米を買うことができるが、本当に(農民を助けるために)買いたいと思っているのなら、自身のイメージアップに利用すべきでない。」
11月07日(月)米価下落に米農家が苦しんでいる問題で、プラユット首相は、国家米政策委員会の会合で議長を務めたあと、「国家予算は国民全員のために使うものであり、米農家は政府の金銭的支援に全面的に頼ってはいけない。」と警告。
同会合では、高級米の香り米ホームマリの生産農家を対象に追加の支援策に新たに180億Bを投入することが決まった。政府は先に北部と東北部のホームマリ生産農家に200億B以上の支援を提供することをしたが、これに対し、他の地域の米農家から強い不満の声が上がっていた。
プラユット首相は、「政府は米価下落に喘いでいる農家を分け隔てなく支援することに重点を置いている。だが、政府も持てる資金をすべて農民のために使うことはできない。」
サナームルアン(王宮前広場)には国王の遺体が安置されたドゥシットマハプラサート宮殿に入場しようと大勢の弔問客が訪れ、順番待ちの長蛇の列ができているが、陸軍第1管区のポンサワット副司令官は、「12月01日からインターネットを通じて入場の順番を確保できるになるため、長時間並ぶ必要がなくなる。」と発表。
なお、王宮にやって来た弔問の市民は当初、国王の肖像画を前に手を合わせることしかできなかったが、10月29日からドゥシットマハプラサート宮殿に入って遺体に拝礼することが可能になっている。
政府は同宮殿への入場をいつまで許可するか明らかにしていないが、大勢の市民が一斉に弔問にやって来て混乱が生ずるのを避けるべく「宮殿入場が短期間で終わることはないため、慌てて弔問に来る必要はない。」と呼びかけている。
11月08日(火)新憲法制定に向けプラユット首相が新憲法草案に国王の承認を得るための書類に署名したことがわかった。現行の暫定憲法では、「30日以内に国王の承認を求めなければならない。」と規定されているが、08日がその期限だった。承認が得られれば、草案が新憲法として制定される。一方、憲法で規定された期間90日を経ても承認が得られない場合、草案が拒否されたとみなされ、内容を修正するか新たに草案を作成する必要がある。
現在王位は空位となっているが、プラユット首相は先に期限内に王位が継承され、承認を得ることが可能との見方。
11月09日(水)米大統領選挙でドナルド・トランプが勝利したことを受け、プラユット首相は、トランプに祝意を伝えるとともにタイのバランス外交に今後も変化のないことを説明。
プラユット首相はまた、「大統領選の結果に基づいてタイは一定の修正が必要になるだろう。」とも指摘。「誰が米国の大統領になろうとタイは180年以上に及ぶ米国とタイの関係を今後も育み続けていくが、変化に対しては姿勢を改める準備をしなければならない。」と述べた。
ソムキット副首相(経済政策担当)は「米国の通商政策が大きく変化する。」と予想する一方、タイへの影響は限定的という見方。
11月13日(日)10月13日のプミポン国王の死去にともなう30日間の娯楽自粛が11月13日で終了。
11月14日以降、ローイクラトン(灯籠流し)祭りなど全国規模の祭事、地方レベルの祭事、イベント、ナイトクラブ、パブ、バーといった娯楽施設、ホテルでのパーティー、セミナーなど、コンサート、スポーツ大会などの再開が認められる。
テレビ・ラジオ放送は14日以降、順次、通常の番組に戻る見通し。
公務員、国営企業職員の服喪は10月14日から1年間続くが、一般国民、旅行者は各自で服装を判断する。政府機関、国営企業、教育機関の半旗は11月14日から通常の位置に戻す。
米国ではトランプの大統領選勝利に反発した市民による抗議デモが起きているが、タイの警察はこのほど、抗議活動のターゲットされる恐れがあることから米国大使館などタイ国内の米政府関連施設の警備を強化していることを明らかに。
警察庁の広報担当者は、「情報の収集に努力している。タイに入国する米国人やタイ在住の米国人の動きにも目を光らせている。」と説明。
<タイ陰暦12月の満月の夜に灯籠を川などに流して1年の罪を流す伝統行事ローイクラトン(灯籠流し)がタイ各地で行われた。10月にプミポン国王(ラマ9世)が死去したばかりのため、派手な演出はなく、静かな灯籠流しとなった。
アサウィン・クルングテープ都知事夫妻、都職員らは都内の運河で、「1つの流れ、2つの文化・タイと支那」と銘打った灯籠流しのイベントを行い、タイ文字の「9」を描いた巨大な灯籠を川面に浮かべ、国王を偲んだ。
11月15日(火)インラック前政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じ、現政権がインラック前首相などに損失を賠償させようとしているが、パイブン法相は、「米担保融資制度に絡んで不正を働いた可能性のある政府職員など6000人のリストを受け取った。」と明らかに。
リストは首相府、農業省、商業省、財務省、内務省から提出されたもの。これら職員などの不正によって生じた損失は合計1420億Bに上る。
パイブン法相によれば、「今のところは不正が疑われる段階であり、関係当局が詳しく不正の有無を検証し、誰がどの程度の賠償をすべきかが決められることになる。」
11月21日(月)先月死去したプミポン国王を追悼する式典が22日朝、タイ政府の主催で、クルングテープのタイ首相府、各省庁、県庁、郡役場、国営企業オフィスなどで行われる。
午前08時に国歌を斉唱。その後、首相府で、プラユット首相が国王の肖像画の前で忠誠を誓い、最後に国王賛歌を斉唱する。
チャクティップ警察庁長官はこのほど、「複数のタイ人不敬容疑者が隣国ラオに潜伏しており、これら容疑者をタイに送還すべくタイとラオの政府間で話し合いが行われている。」と明らかに。これは、プラウィット副首相兼国防相が、「ラオ当局から『不敬容疑者がラオでタイの王室に関する不適切発言を放送することなどを阻止している』との報告を受けた」と明らかにしたことに伴うもの。
ラオ政府はタイの王室を中傷するような内容を流した複数のラジオ番組を放送中止。
11月22日(火)タイ警察のシーワラー副長官は、オーストラリアの警察当局が提供した情報として、過去1年に、過激派組織「ダーウィッシュ」(イスラム国、IS)のウェブサイトをタイ国内から閲覧した回数が10万回を超え、「複数のタイ人が過激組織と繋がりがある。」と報告した。これを受け、プラユット首相は、治安当局に対し、報告内容の真偽などを確かめるよう指示。
また、プラウィット副首相兼国防相もタイ人がネット上のIS関連サイトを閲覧している可能性があるため事実関係を調査するよう警察に命じたことを明らかに。
プラユット首相とプラウィット副首相による対応は、シーワラ警察庁副長官が先に「タイ人がシリアに渡航し、ISに資金援助しており、警察内の6つの部署にさらなる情報の収集を指示した。」と発言したことに伴うもの。
タイは国民の5~6%がイスラム教徒。特に、マレーシアと国境を接する深南部は、住民の大半がマレー語方言を話すイスラム教徒で、一部がタイからの分離独立を掲げて過激化し、タイ当局との武装抗争を続けている。深南部では2004年以降、1万5000件を超えるテロが発生し、6500人以上が死亡。
タイでは今年08月、中部のフアヒン、南部のプーケット島といった観光地や、南部トラン市、スラタニー市などで相次いで爆弾が爆発し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人が負傷。また、南部ナコンシータマラート市のショッピングセンター、パンガー市の市場などが放火。タイ警察はこの事件で、09月末までに、いずれもマレー系のイスラム教徒とみられるタイ人の男9人の逮捕状を取った。犯行については、外国で軍事訓練を受けた20人以上が関わったという情報も流れた。
プミポン国王が10月13日に死去したが、政府は閣議で12月05日の国王の誕生日をこれまで通り休日とすることを決定。
サンサーン政府副報道官によれば、「王室管理事務所もこれまでと同じように陛下の誕生日にちなんだ仏教行事などを執り行なう。」
この他、閣議では、12月31日から01月03日までを連休とするため、来年01月02日(月)と03日(火)を休日とすることを決定。
11月22日(火)朝~
23日(水)夜
矢野製作所(東京都葛飾区)のタイ子会社でタイ東部プラチンブリー県304工業団地に入居するヤノエレクトロニクス・タイランドで労働争議が発生し従業員数百人が工場を封鎖。
関係者によると、「今度のボーナスが1.5ヶカ月分になる。」という噂が職場に流れ、これを不満とする従業員が工場封鎖に踏み切った。経営側と従業員の代表が協議し、ボーナスを2.5ヶ月分プラス5000Bとすることで合意した。当初流れた噂は虚偽で、経営側は何者かが故意にデマを流し、争議を仕掛けたと見ている。
304工業団地では11月上旬に、日本シイエムケイのタイ子会社CMKコーポレーション(タイランド)で労働争議が起き、経営側がボーナスの増額などを余儀なくされた。関係者は「CMKの争議で、プミポン国王の死去にともなう服喪ムードの中で騒ぐと日本人経営陣が折れるとみて、一部の従業員が強気になっている。工業団地内で連鎖反応が起き始めている。」として、状況に懸念を示した。
11月23日(水)オーストラリア警察当局の報告ではタイ人が過激組織「ダーウィッシュ」(イスラム国、IS)に支援援助しているとされているが、シーワラ警察庁副長官は、「タイ治安当局はタイ国内におけるIS関連活動を確認しておらず、タイ人がISに資金援助していることを裏付ける証拠の存在も確認していない。」と述べた。シーワラ副長官によれば、「オーストラリア警察の報告に伴いタイでは警戒が強化されているが、これは予防的な措置であり、タイ人によるISへの資金援助をタイ当局が確認した事実はない。」
11月24日(木)タマカーイ寺関連施設の国有地不法占拠などの容疑で住職に逮捕状が出ている問題で、警察当局はこのほど、住職に「11月中に出頭するよう要請し、出頭しない場合は逮捕に踏み切ることになる。」と警告。
タマカーイ寺は広大な敷地内に大きな建物が複数存在しており、過去に警察が寺院内に踏み込んで住職を逮捕しようと試みたが、信奉者らが座り込みをするなどして抵抗の姿勢を見せたこともあって警察は目的を果たせなかった。
また、警察は先に「住職がすでに寺院から抜け出している可能性がある。」との見方を示したが、寺はこのほど、「住職は寺にいる。」と発表。
タマカーイ寺は信奉者に高学歴者、高所得者が多く、タイの仏教寺院の中では特異な存在となっている。>
11月25日(金)タイ軍事政権が設置した非民選の暫定国会「立法議会」が29日、タイ軍政の要請で緊急招集される予定。法案の審議のためとしているが、内容は明らかになっていない。会議の様子は午前11時からテレビで生中継。
プラユット首相は在タイ合同外国商工会議所(JFCCT)において、「間もなく王位が継承され新しい国王が誕生する。」との見通しを示し、政府は総選挙に向けた行程表に従って民政移管を進める方針を力説。
ワチラロンコン王太子は王位継承に同意しているが、「しばらく国民とともに喪に服したい。」との意向を示しており、まだ王位継承は実現していない。
プラユット国王の承認を得るため新憲法草案が11月08日に提出されたが、90日以内にご承認がなければならないと規定されている。これについても首相は「期限内にご承認が得られる。」すなわち「期限内に王位が継承される。」との見通しを示していた。
11月28日(月)民政復帰の実現に不可欠な総選挙実施について、プラウィット副首相兼国防相は、「来年中には無理かもしれない。」との見解を示した。
タイ政府は行程表に従って総選挙を来年中に実施するとしてきたが、プラウィット副首相によれば、「政府は行程表通りに事を進めようと最善を尽くしているものの、不測の事態によって状況が変化する可能性もあり、現時点で自信を持って「来年中に総選挙は実施できる」とは言えない。」プラウィット副首相は、プラユット現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の副議長を務めている。
クルングテープの北隣パトゥムタニー県に位置するタマカーイ寺の住職を警察が国有地不法占拠などの容疑で逮捕しようとしていることについて、パイブン法相は、住職逮捕に向けて警察に協力するようタイ版FBIの法務省特別捜査局(DSI)に指示したことを明らかに。
警察はすでに逮捕状をとっており、また、11月中に出頭するよう要請していて「出頭しなければ逮捕に踏み切る。」と明らかにしている。
パイブン法相によれば、「逮捕状を執行して身柄を拘束しなければならない。それができなければ、司法制度にとって危険な前例となってしまう。」
11月29日(火)朝タイ政府は閣議で、プミポン国王の死去を受け、国王の長男であるワチラロンコン王太子に国王即位を要請することを決め、軍政が設置した非民選の暫定国会「立法議会」に通知。
午前11時から現行の軍政において国会の機能を担う立法議会(NLA)の特別会合で、故プミポン国王の長男ワチラロンコーン王太子(64)の王位継承が全会一致で承認された。
これを受け、立法議会議長が王太子に即位を要請する。王太子は要請を受諾後、チャクリー王朝の第10代国王「ラーマ10世」に即位する。戴冠式は、約1年後と見られるプミポン国王の火葬式後に行われる見通し。
王太子はプミポン国王が死去した10月13日、プラユット首相と会談し、「国王の死を国民とともに悼む時間が欲しい。」として、国王即位の時期を遅らせていた。
ワチラロンコーン王太子は1952年07月28日生。英国、オーストラリアに留学し、1972年に王太子の称号を受けた。軍事に明るく、大型機の操縦免許を持つ。
ポンペットNLA議長によれば、今回の立法議会の承認は王位継承の手続きを滞りなく進めるために政府が伝統と憲法に従った結果であり、適切とのこと。
プラユット首相は、「(立法議会による承認は)政府が王位継承のプロセスを開始したことを示すものだ。新国王の誕生をタイ国民は喜びをもって迎えることになるだろう。」と述べた。
タイのテレビ報道によると、タイ南部ラノーン県の国立学校に赴任した女性校長が28日、着任歓迎会に赤いドレスを来て出席し、プミポン国王死去の服喪中に不適当だとして、地元住民数十人が校門前で抗議する騒ぎがあり、女性校長は29日、クルングテープの事務所に異動処分。
タイの公務員、国営企業職員は10月13日のプミポン国王死去を受け、1年間の喪に服し、毎日、黒い服を着用している。一般市民も、政府が要請した1ヶ月間の娯楽活動自粛後も、多くが黒い服を着用。黒服を着ていない市民が「不敬」だとして暴力を振るわれた事例もある。
10月末には、クルングテープ近郊のゴルフ場でゴルフコンペの打ち上げをしていた日本人20人前後がタイ軍により軍施設に連行され、国王死去にともなう服喪の礼節を保つよう厳重注意を受けた。
王宮内での市民による弔問が来年01月20日までとされているが、アヌポン内相は、「市民による弔問が再び許される期間に関しては王室管理事務所から発表される予定。」と述べた。
また、国王の遺体が安置されているドゥシットマハプラサート宮殿の1日当たり入場者数も王室管理事務所が決定する。
11月30日(水)立法議会(NLA)でワチラロンコーン王太子による王位継承が承認されたことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「殿下が王位を継承されることに同意された。」と明らかに。
ポンペットNLA議長によれば、ポンペット議長が近々にワチラロンコーンに謁見して王位を継承してするようにNLAの承認について報告をすることになっている。
社会的に少なからぬ影響力を持つとされるタマカーイ寺の住職を警察が複数の容疑で逮捕しようとしているが、プラユット首相は、住職に対し出頭するとともに信奉者たちが問題を起こさないようにするよう呼びかけた。
すでに逮捕状をとっている警察は先に「11月中に出頭しなければ逮捕に踏み切る。」と住職に伝えていた。クルングテープに北隣パトゥムタニー県に位置するタマカーイ寺は、広大な敷地内に複数の大きな建物があり、また、住職が寺に留まっている可能性があるものの所在の確認は取れていないという。過去に警察の捜査員らが寺に踏み込んだものの、大勢の信奉者に妨害され引き返す結果となった。
これについて、プラユット首相は、「市民を盾に法に逆らうのは正しくない。我々は群衆を動員してなにが起きたかを見てきた。これを教訓に住職は出頭して自らの主張の正しさを証明すべき。」と指摘し、「過去の政治対立などで頻発した群衆動員に伴う流血事件発生を繰り返していけない。」と警告。
12月01日(木)タイ軍事政権は11月29日の閣議で、ワチラロンコーン王太子に国王即位を要請することを決め、軍政が設置した非民選の暫定国会「立法議会」に通知。立法議会は、要請を全会一致で了承。プミポン国王の死去から50日後の12月01日夜、ボンペット立法議会議長がプレム摂政、プラユット首相、ウィーラポン最高裁判所長官とともにクルングテープのドゥシット宮殿を訪れ、王太子に即位を要請。王太子がこれを受諾。「私は(亡き国王陛下の)ご意志に従ってタイ国民すべてのために(王位に就くことを)受け入れる。」と述べた。
国王の座は約2ヶ月空席だった。新国王戴冠式は、来年09月以降に予定されている故国王の火葬の儀終了になる見通し。
また、ウィサヌ副首相によれば、王位継承が完了したことからプレムの摂政としての役割も終わる。国王死去後、王太子がすぐに王位を継承されなかったことから法律に基づいて枢密院議長だったプレムが暫定摂政を務めていた。今回、その役目が終わったことからプレムは枢密院議長に復帰する。
シーワラ警察庁副長官は、「タマカーイ寺で住職を匿っていることが発覚した場合には寺の責任者に対しても法的措置を執る。」と明言。
警察は国有地不法占拠など複数の容疑で住職の逮捕状を取っており、「11月中に出頭しなければ逮捕に踏み切る。」としていた。だが、12月に入っても住職は出頭しなかった。
なお、シーワラ副長官によれば、「寺の責任者すなわち住職代行を務める者が誰か不明であり、住職が寺院内にいるのか否かもはっきりしていない。」
東部プラチンブリー県304工業団地に入居する日系企業の間で、ボーナス増額などを要求する労働争議が連鎖反応を起こしている。
豊田鉄工(本社:愛知)のタイ現法、トヨテツ(タイランド)と山下ゴム(本社:埼玉)のタイ現法人、ワイテック(タイ)の2社で同時発生。トヨテツは経営側が次回のボーナスに関して3ヶ月分+1万8000Bを受け入れ。ワイテックは01日深夜時点で交渉が続いており、同社関係者によると従業員300~400人が工場を取り囲んで全従業員均等に5ヶ月分を要求。
304工業団地では11月03日、日本シイエムケイのタイ現法、CMK CORPORATION (THAILAND)で労働争議が発生、経営側が3万3000Bのボーナスおよび1万5000Bの特別手当てなどの要求を受け入れた。地元警察関係者は、タイ前国王の死去による服喪中であることから「争議は不謹慎」と苦言を呈したが、経営側が要求を受け入れたことによって他社に連鎖反応。22日には矢野製作所(東京都葛飾区)のタイ子会社、ヤノエレクトロニクス・タイランドでも発生し、2.5ヶ月分+5000Bという要求を飲まざるを得ない状況に陥った。
労働争議の場に居合わせた地元関係者によると、「日系企業なら服喪中に騒ぎを起こしたくないと怖気づき、要求をすぐに飲むと狙い撃ちされている。」
12月02日(金)警察による出頭の呼びかけにタマカーイ寺住職が応じていない問題で、シーワラ警察庁副長官は、法務省特別捜査局(DSI)が住職を逮捕するため警察に対し警察官約1000人の動員を要請したことを明らかに。
クルングテープの北隣パトゥムタニー県に位置するタマカーイ寺は広大な敷地内に建てられた近代的なデザインの建物で知られており、信奉者に高学歴者や高所得者が多く、社会的に少なからぬ影響力を有している。住職には信用協同組合の巨額横領事件への関与など複数の容疑がかけられているが病気などを理由に警察に出頭していない。
警察も過去に寺院内に踏み込んで住職を逮捕しようと試みたものの大勢の信奉者に阻まれる格好で目的を果たすことができなかった。このため、DSIは再び不首尾に終わるのを避けるべく警察官の大量動員を要請したものと見られている。
12月03日(土)法務省特別捜査局(DSI)のパイシット局長は、「出頭したら直ちに保釈してほしい。」とのタマカーイ寺住職の要求を「DSIには権限がな。との理由で退けたことを明らかに。
この要求は、02日に行われたタマカーイ寺と警察の交渉の中で出されたもの。パイシット局長によれば、「タマカーイ寺の要求はクロンチャン信用協同組合の120億B横領事件に絡んだ起訴に関連するものであり、要求に応えることができる権限を有するのはDSIでなく検察。」
なお、当局は「11月中に住職が出頭しなければ逮捕に踏み切る。」としていたが、住職の所在を確認できていないようでまだ逮捕に向けた具体的な動きを見せていない。
12月06日(火)現行の暫定憲法の規定に基づき、タイのワチラロンコーン国王(64)は、国王を補佐する枢密顧問官10人を任命。この12月06日付の人事は国王が署名し先に摂政から枢密院議長に復帰したプレム元首相が署名したもので、官報で発表されて発効。枢密院はプレム枢密院議長(96)を含め11人体制となる。
枢密顧問官に任命された10人のうち7人は10月に死去したプミポン前国王の枢密顧問官で、タクシン政権を追放した2006年の軍事クーデター後の軍事政権で首相を務めたスラユット元陸軍司令官(陸軍大将)、同クーデターに参加し軍政幹部を務めたチャリット元空軍司令官(空軍大将)らが含まれる。
残る3人は2014年のクーデターでタクシン派インラック政権を追放し発足したプラユット軍事政権のパイブーン法相(陸軍大将)、ダーポン教育相(陸軍大将)、09月末で陸軍司令官を定年退官したティーラチャイ陸軍大将。パイブーン法相とダーポン教育相は任命を受け、政府庁舎でプラユット首相に大臣辞任を伝えた。現行憲法の規定で枢密顧問官は政治的つながりのある役職に就くことなどが禁止されているため、新たに教育相と法相を任命すべく内閣を改造することになった。
枢密院は枢密院議長1人と最大で18人の枢密顧問官で構成される。前国王の枢密院はプレム議長と顧問官15人で、前国王の死去後、全員が辞任した。プレム議長は国王不在時の摂政に就任し、ワチラロンコーン国王が今月01日、即位したことを受け、摂政を辞任し、02日、枢密院議長に再度任命された
プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「イギリス放送協会(BBC)のウェブサイトに掲載されたタイの新国王に関する記事に不敬の疑いがある。」として関係当局に調査を指示したことを明らかに。「法に反してダメージを生じさせた者は誰でも処罰しなければならない。」と述べ、BBCの記事について法的措置を執る構えを示した。
BBCはクルングテープ中心部に事務所を構えているが、新聞報道によれば、事務所は問題の記事が掲載された11月02日から閉じられたまま。なお、タイでは不敬に当たるコメントなどは、それを引用することも不敬罪に問われるため、具体的内容が報じられることはない。
逮捕状が出ているにも関わらず関係当局がタマカーイ寺住職の所在確認も逮捕もできない状態が続いている問題で、寺から出ている「出頭したら即時保釈」との要求についてチャクティップ警察庁長官は、「住職が与えられた出頭のチャンスを無視した。」、「保釈が認められることはない。」と明言。
当局は先に「11月中に出頭するよう呼びかけ、これに従わなければ逮捕に踏み切る。」としていた。だが、「住職はこのチャンスを自ら無駄にしたのであり、即時保釈を要求できる立場にはない。」というのが警察の考え方のようだ。
12月07日(水)教育相と法相が枢密顧問官に任命されて大臣を辞任することになったことから、「空席となった閣僚ポストを埋めるため近く内閣が改造される。」との見方が出ていたが、プラユット首相はこのほど、「近い将来に内閣を改造するつもりはない。」と述べるとともに、ウィサヌ副首相を法相代行、「ティラキアット副教育相を教育相代行とすることを決めた。」と明らかに。
サンサーン政府報道官によれば、プラユット首相は先の閣議でも「誰にも閣僚交代の心配をさせたくない。」と述べ、内閣改造に否定的な姿勢を示した。
タイ当局がBBCのタイ語ウェブサイト「BBCタイ」に掲載されたワチラロンコーン国王に関する記事が不敬として法的措置を執ろうとしていることについて、プラユット首相は、「タイに住んでいる者が法律を破れば、訴追されなければならない。」と述べ、記事執筆者の逮捕の可能性を示した。BBCタイはクルングテープ都心プルンチットにオフィスを構えている。
プラユット首相はまた、「当局が問題視している記事を引用することも罪に問われる恐れがある。」とメディアに警告。
タマカーイ寺の住職が出頭を拒んでいる問題で、国家放送通信委員会(NBTC)は、法務省特別捜査局(DSI)の要請に伴い、タマカーイ寺の運営する衛星テレビについて15日間の放送停止を命ずることを決定。
DSIは捜査員を寺に踏み込ませて住職を逮捕する方針であることから、今回の放送停止命令はそのための準備であり逮捕は間近との見方が強まっている。
DSIによれば、寺が衛星テレビを通じて信奉者を寺に集めて逮捕を妨害する暴挙に出る可能性が高いことから放送停止が必要不可欠と判断。
12月08日(木)日系企業で労働争議が続くタイ東部プラチンブリー県の304工業団地で、新たにボーナス増額を要求する騒ぎ。
矢島工業(群馬県太田市)のタイ現法ヤジマ・エンジニアリング(タイランド)で、勤務態度に関わらず全従業員に一律3.3ヶ月分のボーナスを支払うよう従業員側が要求。最終的に一律3ヶ月分で合意したう。現地に居合わせた隣の工場の関係者によると、騒ぎを起こしたのは欠勤や遅刻などで経営側から低く評価されていた従業員の模様。
今月01日から02日にかけて従業員がボーナス増額を要求したワイテックは最終的に、勤務態度に応じて5.6~5.7ヶ月分のボーナス支給で合意。従業員の当初の要求は一律5ヶ月分+5000B。「争議のリーダー役を担った従業員はすでに解雇した。」という。
度重なる労働争議を受け、304工業団地に入居する日系企業関係者の怒りの矛先は工業団地管理事務所に向けられている。騒ぎを伝えてきた現地の日本人は、「団地の日本人担当者は過去数年、毎年のように団地運営の改善を約束するも行動が伴わない。今回の騒ぎでも肝心なときに出てこない。」と怒りを露わにした。
304工業団地では過去1ヶ月、日系企業を中心にボーナス増額を要求する労働争議が5社で発生。日系以外で騒ぎは起きていない。
選挙法など新憲法を補完する基本法の草案作成が現在進んでいるが、この草案に対し、プア・タイ党、民主党といった主要政党が反発。
プア・タイ党幹部のソムキットによれば、「これまで選挙では政党の首脳部が候補を決めていたが、草案では政党の地方支部代表も候補選出に加わるとされており、この方法では候補の選定において財力のある地方支部代表が幅を利かせてしまう恐れがある。さらに、草案では党員から毎年党費を徴収するとしているが、党員をやめる者が出てくるリスクがある。」草案では4年以内に党員を2万人以上集めることのできなかった政党は政党の資格を失うとされている。
一方、民主党のオンアート副党首によれば、「草案では基本法制定から150日以内に政党は既存の党員について改めて党員登録を行う必要がある。だが、民主党は党員が200万人にも上るため党員の所在などの確認に非常に手間と時間がかかり非現実的。」
12月10日(土)国外逃亡中のタクシン元首相を強い影響下にあるプア・タイ党の主要メンバーの1人スラポン元外相は、「近く制定される政党法によって同党が解党処分となり、党首が厳しく罰せられる可能性がある。」との見方を示した。
憲法基本法の1つである政党法は現在、草案作成の段階にあるが、スラポン元外相によれば、「政党法の105条あるいは109条の規定に基づきプア・タイ党の党首が死刑もしくは終身刑となるリスクがある。」
関係筋によれば、現在の軍政は国内状況や政治の安定を図って以前のようなタクシン派と反タクシン派の激しい政治対立が再び起きることを極力防ごうとしており、タクシン派に厳しい姿勢を取っていることから、タクシン派のプア・タイ党は新しい政党法によってプア・タイ党が息の根を止められるのではないか戦々恐々としている。
12月11日(日)ワチラロンコーン国王(64)は、今月01日の即位後で初めてとなる恩赦を実施。官報で告示。微罪、高齢、健康不安のある受刑者が対象で、13日から数日内に3万人が釈放される見通し。 今回の恩赦で注目されているのは、ラック・タイランド党の元党首であるチューウィット・カモンウィシット元下院議員。チューウィット受刑者は、2003年01月26日未明にクルングテープの飲み屋街が100人以上の作業員と重機により一晩で取り壊された事件で、今年01月28日にタイ最高裁判所から禁錮2年の実刑判決を言い渡され、服役中。
12月12日(月)タイのワチラロンコーン国王(64)は、国王を補佐する枢密顧問官2人を追加で任命。新たに任命されたのはチャランタダー・カナスート元農業協同組合省事務次官とウィラット・チウィニクン最高裁判所副長官。
今月01日の即位後に任命した枢密顧問官は12人となり、プレム枢密院議長(96)を含め、枢密院は13人体制となった。
矯正局のコプキアット局長によれば、特殊浴場のオーナーから政治家に転身し政党の党首も務めたチューウィットが特赦によって釈放される予定。
特赦は新国王の意向によるもので、対象者は受刑者約3万人。歯に衣着せぬ発言で知られたチューウィットは、「クルングテープ都内スクムビット通の一角にあったバーなどが重機などを持ち込んだグループによって取り壊された事件に関与した。」として今年2月に禁錮2年が確定。
コプキアット局長によれば、特赦は11日に官報で発表され発効しており、13日からの3日間にまず刑期が2年までの受刑者が釈放される予定。
社会的に少なからぬ影響力を持つとされるパトゥムタニー県のタマカーイ寺の元住職が出頭を拒んでいる問題で、法務省特別捜査局(DSI)と警察庁が、元住職逮捕について協議したが、現時点では逮捕に困難が伴うと予想されることから、ここでは逮捕に踏み切ることを決められなかった。
シーワラ警察庁副長官によれば、「タマカーイ寺に踏み込んで元住職を逮捕するには家宅捜索令状を取得しなければならないが、令状請求に必要な証拠がまだ十分に集まっていないこともあり、DSIと警察は協議を続けなければならない。」
12月13日(火)関係当局は、パトゥムタニー県のタマカーイ寺に留まっていると見られる元住職を逮捕すべく寺を家宅捜索する予定だったが、これが取り止め。約31haという広大な敷地を有すタマカーイ寺には逮捕に反発した信奉者たちが続々集結している。
基本法のひとつである政党法の草案に関する討論会が12月14日に予定されているが、憲法起草委員会(CDC)のチャチャイ委員は、「約40の政党が参加の意向を示しており、不参加はプア・タイ党のみだ。」と明らかに。
関係筋によれば、タクシン派のプア・タイ党は、軍政が反タクシン的姿勢をとっていることから政党法草案で厳しい刑罰が設定されているのはプア・タイ党を潰すことが目的と考えており、草案に強く反発している。
また、プア・タイ党と同じく主要政党である民主党は、代表を派遣するのでなく文書を提出するという形で討論会に参加する。
12月16日(金)広大な敷地と近代的な建物などで知られるタマカーイ寺の元住職がいつ逮捕されるかに関心が集まっているが、警察庁は、「タマカーイ寺と関係者の容疑が68件追加され、合計111件となった。」と発表。
また、当局はタマカーイ寺の創設者でもある元住職を逮捕すべくタマカーイ寺の家宅捜索令状を取っていたが、タマカーイ寺の妨害により令状の有効期間の最終日である16日にも当局に動きはなく、今回の逮捕は不成功に終わった。
クルングテープの飲み屋街を店主らの同意を得ずに取り壊したとして、今年01月に器物損壊、脅迫などで禁錮2年の実刑判決を受けたチューウィット元下院議員が、ワチラロンコーン新国王の即位による恩赦で出所。
チューウィット元議員は刑務所前で待ち構えていた取材陣に対し、「二度と刑務所に入りたくないから、政界には復帰しない。」などと述べた。その後、取材陣を引き連れてクルングテープ都内の自宅に戻り、「これが一番したかった。」とプールに飛び込みひと泳ぎ。
新国王即位の恩赦では約3万人釈放された。
12月17日(土)プミポン前国王の死去にともなうクルングテープの王宮への弔問で、王宮前広場で数時間待ちの行列を続ける弔問者に対し、タイの企業や団体が支援活動を行っている。
弔問は週末など、朝05時に王宮前広場に並び、正午に王宮に入場といった数時間の行列となる。軍、警察、各省庁、クルングテープ都庁が行列の整理に当たり、ほかにも慈善団体などが食事や飲み物の無料配布などを行っている。
地場和食チェーンのZENは、軍や警察向けに弁当を300セット配布した。320Bといった高めの価格の弁当も一部、用意された。王宮前広場での弁当配布は今回2回目で、「今後も定期的に行っていきたい。」としている。
差し入れなどの支援活動は事前の申請が必要。当日でもルアムカタンユーなど慈善団体のテントに直接持ち込んで配布を依頼することができる。
12月19日(月)チエンマイでこのほど、新憲法草案に関して事実と異なる情報を意図的に広めようとしたとして県行政機構の代表や元プア・タイ党下院議員など15人が起訴された。
今年07月に北部では新憲法草案の内容に関する大量の書簡が各家庭に送りつけられたが、15人はこれに関与した。書簡の内容については選管が検査し、「事実を捩じ曲げたもの。」と判断。
北部とりわけチエンマイはタクシンの出身地であることからタクシン支持者が多く、反タクシン的姿勢をとっている現在の軍政に反抗的な者が少なくない。
プミポン前国王の葬儀で使用される輿の修繕が行われることになり、輿が保管されているクルングテープの国立博物館で、修繕の成功を祈願する式典が行われた。
プミポン国王は10月13日、入院先のクルングテープのシリラート病院で死去した。在位70年、88歳だった。遺体はクルングテープの王宮に安置され、王宮前広場に建設される建物で、1年後以降に火葬式が行われる見通し。
12月20日(火)プミポン前国王の葬儀で使用する白檀の木9本がプラチュアッブキリカーン県のクイブリ国立公園で伐採され、ナコンパトム県の文科省美術局の施設に搬送。
12月24日(土)タクシン派プア・タイ党幹部のスラポン元外相は、「コンピューター犯罪法改正に反対する声が拡大して政府のウェブサイトに攻撃が集中する恐れがある。」として、政府に対し、改正反対派と話し合いを行うよう要求。
改正案は16日に立法議会(NLA)で承認されたが、改正に対してはいまだに「表現の自由を制限するもの。」といった批判が出ている。
スラポンによれば、「政府はデータベースの整備などに巨費を投じているものの、これらは攻撃にまだ十分対応できるものとなっていない。政府はこれを認め、集中的なサイバー攻撃によって被害が拡大する前に反対派の意見に耳を傾ける必要がある。」
コンピューター犯罪法の改正に「表現の自由を制限するもの。」といった批判が出ているが、プラユット首相はこのほど、「下らない情報をネット上から排除すべくさらに努力する。改正コンピューター犯罪法の施行は必要。」と改めて力説。
一方、主要政党のひとつ、民主党のアピシット党首は、政府に対して批判意見にも耳を傾けるよう求め、「改正コンピューター犯罪法を政治利用することがあってはならない。」と警告。
12月26日(月)王宮前広場に建設されるプミポン前国王の火葬式用の建物の敷地の境界を定める儀式が行われ、タイ軍事政権のタナサック副首相(元国軍最高司令官)らが地面の定められた場所に木の杭を打ち込んだ。建物の建設は年明けに開始される予定。
プミポン前国王は10月13日、入院先のクルングテープのシリラート病院で死去。在位70年、88歳。遺体はクルングテープの王宮に安置され、死後1年を目途に火葬式が行われる。
サナームルアン(王宮前広場)では大晦日の夜に打ち上げ花火が夜空を彩るのが恒例となっているが、タナサック副首相は、10月13日のプミポン国王死去を悼む服喪の期間中であることから、「大晦日の夜は花火は行わず、キャンドルライトでしめやかに新年を迎えるためのセレモニー、キャンドルライト・オブ・サイアムが執り行なわれることになった。」と発表。
21時に開始。サナームルアンに集まった市民には合計10万本の?燭が渡される。
12月27日(火)プミポン前国王の死去に伴い、政府主導ほか企業・団体レベルでの追悼式がタイ各地で開催されている。東部プラジンブリ県の日系企業が開催、地元テレビで紹介されるなど注目を浴びた。
追悼式を催したのは株式会社アルファ(本社:横浜)のタイ現法アルファインダストリー(タイランド)。服喪で年末から新年にかけてのイベントを中止した代わりに追悼式を、という同社の長沢幹夫社長の呼びかけで全従業員約700人がアイデアを出し合って2週間かけて練習、27日の本番に臨んだ。
従業員らは前国王の肖像画を掲げて国王賛歌を斉唱、人文字で(プミポン国王である)ラマ9世を意味するタイ文字の「9」を造った。長沢社長は「我が社の従業員がこれほどまでに一致団結してくれたことに感動した。」と述べた。
約20年前にクルングテープ都庁によるバンスー区内土地購入不正事件で、日本の高等裁判所に当たるタイ控訴裁判所は、その時期に都知事を務めていたピチットに対し、下級審判決を覆し禁錮5年の有罪判決を言い渡した。
ピチットは、ピチャイ元副首相の息子。都庁に巨額の損失を与えたとされる土地購入に絡む不正な金銭授受について、下級審の刑事裁判所は「ピチャイは関与していない。」として無罪を言い渡していた。
ピチットは今回の有罪判決を不服としており、代理人弁護士が速やかに最高裁判所への上告の手続きを取る。
社会的影響力の大きいタマカーイ寺の元住職をタイ当局がなかなか逮捕できずにいる問題で、プラユット首相は、「機が熟すのを待って寺に踏み込んで元住職を逮捕するのが得策であり、逮捕を急げば罠に落ちることになる。」との見方。
これは早急な逮捕はないことを示唆したものと見られており、「逮捕は年内か年明けか。」との質問にも首相ははっきり返答しなかった。
クルングテープの北隣パトゥムタニー県にあるタマカーイ寺は広大な敷地に近代的な建物が複数建てられており、「当局は元住職所在等を把握していない。」との憶測も出ている。
元住職の容疑は寺の関連施設である国有地不法占拠、およびクロンチャン信用協同組合の巨額横領事件への関与など複数に及んでいるが、タマカーイ寺は現在、治外法権の様相を呈しており、信者とおぼしき者らが逮捕を妨害しているため、当局も手をこまねいている状況。
12月29日(木)プレム枢密院議長(96)は、新年の挨拶のため閣僚や軍のトップなどを率いてプレム議長宅を訪れたプラユット首相に対し、「政府は疲れ切っているが、首相はもっと疲れている。だが、疲れれば疲れるほど、より大きな成功を収めることができる。」などと述べ、これまでの首相の努力を高く評価。
首相経験者で元陸軍司令官でもあるプレムは、偉大の政治家と称えられており、軍内部でも未だに信奉者が少なくない。
非民選の暫定国会、立法議会は、タイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、大僧正(ソムデートプラサンカラート)の選任を国王に一任する法改正を賛成182票、反対0票で可決承認。
現行のサンガ法では、高位の僧侶で構成されるタイ・サンガ最高評議会が大僧正候補を選出し、首相が候補者の任命を国王に要請、国王が任命するとされていた。今回の法改正で、サンガ最高評議会は候補者選出の過程から締め出される。サンガ主流派は法改正に反発し、軍政との対立を深めている。
先代の第19代大僧正は2013年に100歳で死去。これを受け、サンガ最高評議会は2016年01月、パクナムパーシーチャルーン寺の住職で大僧正代行を務めるソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(91)を次期大僧正候補に選出。しかし、プラユット首相は仏教界内部の対立などを理由に、国王に対する大僧正任命要請を拒否。同年02月には、タイ中部の仏教施設に集まった大僧正代行支持派の僧侶数千人が、大僧正任命の手続きを遅滞なく進めるよう軍政に要求し、集会を阻止するため派遣された兵士と揉み合う騒ぎとなった。同年03月には、「ソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン大僧正代行が所有する1953年製のメルセデス・ベンツのクラシックカーが、不正な方法で輸入された。」として、タイ法務省特捜局(DSI)は押収。
大僧正代行を巡って、新興仏教団体タマカーイ寺との関係も取り沙汰されている。第19代大僧正は1999年、タマカーイ寺の教祖、プラタマチャヨー僧が信者から寄付された2.4?の土地や現金を自分名義にしていたことなどを問題視し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるべきと記した手紙をサンガ最高評議会に送った。しかし、大僧正はその後、体調を崩して指導力が発揮できなくなり、サンガ最高評議会は2006年、「プラタマチャヨー僧が寄付された土地、現金の名義をンマカーイ寺に変更した。」として、この問題を不問に付した。タカーイ寺は2012年に、パクナムパーシーチャルーン寺に重量1tの黄金像を贈っている。2015年には立法議会、2016年にはDSIが、サンガ最高評議会に対し、大僧正の意思を尊重し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるよう要求したが、サンガ最高評議会はいずれも却下。
2013年にはタマカーイを巡る新たなスキャンダルが発覚。クルングテープのクロンチャン信用協同組合の元理事長が在任中に信組の預金額のほとんどにあたる120億B以上を横領した事件で、元理事長が横領した金10億B以上をプラタマチャヨー僧らタマカーイの僧侶と寺に寄付したことが判明。2016年、プラタマチャヨー僧に対し、資金洗浄などの容疑で逮捕状が出た。プラタマチャヨー僧はクルングテープ郊外のタマカーイ寺にいると見られるが、多数の信者が寺を守り、警官の進入を阻止。
タマカーイは1970年代からクルングテープタクシンの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、クルングテープ郊外の巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院随一とされる。また、軍政の宿敵であるタクシンに近いとされ、軍政はタクシンがタマカーイを通じサンガ最高評議会に影響力を持つことを警戒している。
12月31日(土)現在の軍政に終止符を打って民政復帰を実現すべく総選挙がこの1、2年のうちに実施される見通しだが、チャルムチャイ陸軍司令官は1「選挙がどのような結果になろうとも、軍事クーデターが起きることはない。」と明言。
チャルムチャイ司令官によれば、「選挙が実施されたなら、誰もがその結果を尊重しなければならず、陸軍も結果を受け入れる。」とか。
ただ、軍部首脳による「クーデターは起きない。」との明言にもかかわらず、過去に何度も軍事クーデターによる政権転覆が起きており、関係筋によれば、今回の陸軍司令官の発言は「今クーデターをするつもりはない。」程度の意味であり、陸軍が絶対にクーデターを起こさないと保証するものではない。
ワチラロンコーン国王は国民への新年の挨拶の中で、「国民と1つになって故プミポン国王の遺志を実現するよう努力する。」と明言。
国王による新年の挨拶は恒例となっているが、昨年10月13日のプミポン国王死去に伴い王位を継承されたワチラロンコーン国王にとっては新年の挨拶は今回が初めて。
この中でワチラロンコーンは、「どのような障害、問題が起きようとも、これを克服するため国民が一丸となってくれるものと確信している。」と強調。
2017年01月03日(火)民政復帰に不可欠な総選挙の実施時期について立法議会(NLA)のスラチャイ副議長が2018年にずれ込む可能性に言及したが、サンサーン政府報道官は、「政府は総選挙を今年実施するという行程表に忠実に従う方針であり、総選挙が遅れることはない。」と強調。
さらに現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)のピヤポン広報担当も「当初の予定通り総選挙は今年中に実施される。」と発言している。
一方、現在の軍政に批判的なタクシン派プア・タイ党の幹部であるスラポン元外相は、約束を守って今年中に総選挙を実施するようプラユット首相に求めた。
01月04日(水)プラユット首相はこのほど、「暫定憲法44条に基づいた強権発動を政治関連犯の特赦に適用することはない。」との考えを示した。
タクシン派と反タクシン派の対立が激化し国内が大きく混乱したタイでは政治対立の解消と国民和解の実現が最重要課題となっているが、そのための手段の1つとして「政治関連犯を特赦で無罪放免することで蟠りをなくす。」という意見がタクシン派などから出ている。
だが、この考えに対して反タクシン派は「特赦は国外逃亡中のタクシンの免罪、政界復帰を狙ったもの。」と反発。
現行の暫定憲法44条では、国家平和秩序評議会(NCPO)議長(プラユット首相)に立法・司法・行政の枠を超えた強大な権限の付与している。
インラック前首相が「政府の派遣した者たちに付きまとわれて迷惑している。」などと訴えたことに対し、プラユット首相は、「前首相に謝罪したい。」と述べた。 プラユット首相によれば、「インラック前首相の行動を監視しているのは不測の事態を避けることが目的だが、警備に当たっている者にはあまり頻繁にインラックの写真を撮らないよう指示した。」
01月05日(木)憲法起草委員会(CDC)の広報担当ウドムは、総選挙実施に関連する法律など基本法10法の草案作成の期間が新憲法で最長240日とされていることから、CDCは急ぐことなく草案を作成する方針であることを明らかに。
この発言に対しては、「政府は行程表通り今年中に総選挙を実施する意向を示しているものの、CDCは草案作成に240日という期間をフルに使うこと、すなわち総選挙実施が来年になるのを想定している。」といった見方が出ている。
ウドムはまた、「政党や選挙管理委員会は新しい基本法にある程度時間をかけて自らを適合させる必要がある。」と説明しており、これも基本法草案を性急に作成できない理由の1つとも見られている。
01月06日(金)タイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、大僧正(ソムデートプラサンカラート)の選任を国王に一任する改正サンガ法が官報に記載され施行。
改正サンガ法は昨年末、軍事政権傘下の非民選暫定国会、立法議会で可決。改正前は、高位の僧侶で構成されるサンガ最高評議会が大僧正候補を選出し、首相が候補者の任命を国王に要請、国王が任命する形だった。法改正後は、国王が選任、首相が連署する。サンガ最高評議会は大僧正の選出課程から締め出される。
現在のサンガ最高評議会はパクナムパーシーチャルーン寺の住職で大僧正代行を務めるソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(91)が率いる。大僧正代行は軍政と対立するタクシン派と関係が深いとされる新興仏教団体タマカーイと癒着している疑惑があり、軍政は法改正で大僧正代行の大僧正就任を阻止し、サンガ最高評議会の影響力排除を図った模様。
01月09日(月)国家改革に関する具体的検討を進めている国家改革推進会(NRSA)で、不正によって国に10億B以上の損害を与えた政府職員を死刑に処すとの法改正案が162人中155人の賛成をもって承認された。この法案では、「損害が1億B以上10億B未満の場合は終身刑を科す。」とされている。
同案は近く閣議で審議される予定。なお、NRSAでは「死刑は汚職の根本的な解決策にはならず、国際的にも受け入れられないか」といった批判意見も出ていた。
昨年08月に国民投票で承認された新憲法草案について、ウィサヌ副首相はこのほど、「90日以内すなわち02月06日までに国王によるご承認がない場合、同草案は却下となり、政府は新憲法制定に向けて打開策を打ち出す必要に迫られることになる。」と説明。「その場合、他に手段がなければ、政治の空白などを避けるべく現行の暫定憲法を改正して新憲法として制定することも選択肢の1つとなり得る。」
ウィサヌ副首相によれば、「ご承認を得られなかった場合、政府にどのような選択肢があるかに関してプラユット首相から意見を求められた。」
01月10日(火)プラユット首相は、「新憲法条文のうち国王陛下に関する部分を改正する必要があることから、現行暫定憲法を改正することで新憲法改正を可能とすることにした。」と発表。
新憲法の内容については王室側から国王陛下の権限に関する条文をいくつか改めるのが望ましく、話し合いが必要とのアドバイスが政府に伝えられていた。これを受け、政府の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)と政府が合同会議を行い、ここで新憲法改正に向けて現行憲法を改正することを合意。
なお、新憲法は草案が昨年08月に国民投票で承認されており、現在、国王の承認待ちの状態。90日以内すなわち02月06日までに承認がなれば、草案は却下となる。
タイ軍事政権のプラユット首相(元陸軍司令官)は、昨年08月の国民投票で可決された新憲法について、「ワチラロンコーン新国王が一部修正が必要という認識を示したことを明らかにし、国王の要請に従い、新憲法を修正する。」と表明。
これを受け、軍政が2017年中に実施するとしていた民政移管のための議会下院総選挙は2018年以降にずれ込むことがほぼ確実となった。
プラユット首相によると、「国王が修正が必要という認識を示したのは王室に関する条項で、政治や選挙、人権などに関わる条項ではない。」。軍政はまず、新憲法の修正を可能にするため、現行の暫定憲法を修正し、その後、1ヶ月以内に新憲法の修正作業を終え、国王に再提出し、その後90日以内に承認を得る方針。
タイ軍政は昨年11月09日に新憲法を国王に提出し、承認を求めていた。現行の暫定憲法によると、国王は90日以内に新憲法を承認。軍政は新憲法施行後、選挙関連法案を成立させ、年内に下院総選挙を行うとしていた。
新憲法の施行は今回の修正で、早くても06月以降にずれ込む見通し。選挙関連法の審議や10月以降に行われるとみられるプミポン前国王の葬儀などを考慮すると、年内の総選挙実施は極めて困難と見られる。
2014年05月のクーデターでタクシン派インラック政権を倒して発足した軍政は当初、2015年に下院総選挙を実施するとしていたが、その後、何度も日程を遅らせてきた。2017年の総選挙についても、2017年02月に新憲法を施行した後、選挙関連法案の成立や選挙準備で19ヶ月掛かるという日程を示唆し、当初から2017年の総選挙実施はほぼ不可能と見られていた。
新憲法は軍政が作成した。国会が上院(定数250)と下院(同500)の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシン元首相の台頭を許したとみて、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は憲法施行から5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。
軍・特権階級は上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えることから、「下院選後、軍主導の政権が発足し、プラユット首相が続投する可能性がある。」と見られている。
憲法案にはタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党というタイの2大政党がいずれも「非民主的」として反対を表明したが、国民投票(投票率59.4%)で「賛成」61.4%、「反対」38.7%で可決された。
01月11日(水)菅官房長官は、天皇・皇后両陛下が、昨年死去したプミポン前タイ国王を弔問するため、今春に予定されているベトナム訪問の帰途にタイに立ち寄る方向で調整していることを明らかに。
プミポン前国王は昨年10月に死去。在位70年、88歳。長男のワチラロンコーン王太子が12月に王位を継承。
国王の権限に関する新憲法草案の一部条項について国王が修正を希望されていることに対し、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長はこのほど、「枢密院議長が暫定的に摂政を務める。」との条文が修正されるとの見通しを示した。
新憲法は草案を陛下が承認された後に制定されるが、現在その承認を待っている状態。この段階で王室側から草案の一部修正という国王の意向が政府側に伝えられたことから、草案修正が行われることになった。
手続きとしては、まず新憲法草案の修正を可能にすべく現行の暫定憲法を改正。そのための改正法案が13日に立法議会(NLA)で審議・承認される見通しだ。その後、新憲法修正を具体的に検討するためミーチャイなど専門家10人からなる特別委員会が設置される。
01月12日(木)新憲法草案の一部条項を修正する準備が進められていることについて、プラユット首相は、「国王陛下が修正を政府に要請されたと報じられているが、そのような事実はない。」と指摘。「報道機関が誤った情報を流している。」と強く批判。
これまでの報道では、「国王が国王の権限に関する条項の修正を要請され、政府が修正に向けた手続きを進めている。」とされている。だが、首相は、「国王陛下が新憲法修正を政府に求められたというのは事実ではない。それなのにメディアは修正を要請されたと報じている。なぜそのような報道ができるのか。」と強い不快感を露わにした。
プラユット首相によれば、「陛下はご意向を枢密院に伝えられたのであり、政府に直接伝えられたのではない。自身も『陛下から政府にご要請があった。』と発言したことはない。」
01月13日(金)立法議会(NLA)は1月、国王の意向に従って新憲法草案の一部条項を修正するため現行暫定憲法を改正することを満場一致で承認。
新憲法を公布後に修正するとなると国民投票の実施が必要なことから、現行の暫定憲法を改めて新憲法を草案の段階で修正する。
01月16日(月)長期間に渡り政治的混乱に起因する様々な問題に直面してきたタイにとって政治対立の解消と国民和解の実現が最優先課題となっているが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「政治対立をなくすべく政府が政党や圧力団体に対し国民和解への理解を求める覚書に調印するよう要請する方針。」と明らかに。 現政権で国民和解プロセスの責任者であるプラウィット副首相によれば、「覚書調印は対立する勢力の間で誰もが受け入れられる取り決めをすることであり、違法行為でなく、憲法の規定にも反しない。覚書に調印することについて、タクシン派の反独裁民主主義同盟(UDD)首脳は前向きな姿勢を見せている。」
一方、反タクシン勢力からは、「UDDに和解を申し入れたことがあるが、反応がなく、UDDはボスの命令に従ってしまった。」とタイ国内のタクシン派は国外逃亡中のタクシンの意のままとする意見や、「政治的混乱が繰り返されることがないよう政治的混乱に繋がった違法行為を誰がどのように行ったかをまず明らかにする必要がある。」といった指摘が出ている。
国王の意見に沿うかたちで新憲法草案の国王の権限に関する条項が修正されることになったが、ウィサヌ副首相は、「草案修正のために設置された特別委員会の初会合が17日に開かれる予定。」と明らかにし、「修正作業は15日以内に完了する。」との見通しを示した。
新憲法は現在、国王が草案を承認されるのを待っている状態で、国王の承認に伴い新憲法が公布される。だが、公布後に新憲法を改正するとなれば国民投票の実施が必要となることから、現政権は現行の暫定憲法を改正して新憲法を草案の段階で手直しする。
01月17日(火)国民和解を実現すべくタイ政府ではこれまで政治的に対立してきた政党やグループが和解のための覚書に調印するとのプランを打ち出しているが、ステープ元副首相(元民主党幹事長)は、「覚書に署名するというやり方は本当の国民の結束につながるものではない。」などして、「覚書に署名しない。」と明言。
ステープは2013年後半から翌2014年にかけて当時のタクシン派インラック政権に抗議する大規模な街頭デモを展開。これに追い込まれた同政権の息の根を止める形で同年05月、軍部がクーデターにより全権を掌握し、現在の軍政が誕生することになった。
政府のプランはまだ詳細に欠けるが、これまでの発表によれば、まず国民和解を実現するための特別委員会を設置。約3ヶ月かけて広報活動を行った後、覚書への署名を政党などに求めることになっている。
だがステープは「国民を1つにするためのポイントは法律を守ることであり、覚書に署名したり、政治関連犯に恩赦を適用したりすることではない。」としている。ただ、ステープは「政府による国民和解実現のための努力は評価しており、要請があれば政府に助言する用意がある。」
01月19日(木)「政治対立を解消して国民和解を実現するための覚書に政党や政治グループに署名させる。」との政府のプランについて、「軍部にも署名させるべき。」との意見が出ているが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「軍が覚書に調印する必要はない。」と明言。
「軍にも参加させるべき。」との意見は、民主党政権で外相を務め、現在国家改革推進会(NRSA)のメンバーであるカシット、ウォラチャイ元プア・タイ党議員などから出ている。
だが、プラウィット副首相によれば、「国内が対立で混乱した事態に陥った場合を除き、誰もクーデターを望んでおらず、クーデターを起こしたいと思っている軍人もいない。また、国民の支持がなければ、クーデターを起こすことはできない。このため、軍部を政党や政治グループと同列に考えて覚書に調印させるのは間違っている。」
なお、カシットなどによれば、「2006年に軍部がクーデターでタクシン政権を倒したことがタクシン派と反タクシン派の対立の先鋭化に関係しているのであり、軍部も政治対立解消・国民和解実現の覚書に署名すべき。」
テレビ報道によると、タイ最高裁判所は、法廷で検察官を睨み付けたとして、裁判を傍聴していたタイ王族の女性で映画プロデューサーのミンモンコン・ソナクンとミンモンコンの知人のタイ人男性にそれぞれ500Bの罰金を科した。
ミンモンコンらは昨年10月、インラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度、「米担保融資制度をめぐり、インラック前首相が汚職と巨額の損失を放置した。」として職務怠慢などの罪に問われた裁判を傍聴。傍聴中、脅すような目つきで検察官を睨んだとして、法廷侮辱罪で起訴。
インラック前首相は政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷、最高裁政治家刑事犯罪部門で裁判にかけられている。有罪の場合、最長で20年の禁錮刑を受ける。
01月20日(金)天皇・皇后両陛下は2月28日から約1週間の日程で、ヴェトナムとタイを訪問する。閣議で決定。
両陛下がヴェトナムを訪問するのは初めて。ヴェトナム政府の招請を受け、国賓として訪問。帰途タイのプミポン前国王の弔問のため、タイに立ち寄る。
プミポン前国王は昨年10月に死去。在位70年、88歳だった。長男のワチラロンコーン王太子が12月に王位を継承。
01月26日(木)タイの隣国ラオでタイ人たちが違法なラジオ放送で不敬なメッセージをタイ向けに発信している問題で、プラウィット副首相兼国防相は、「国家安全保障会議(NSC)のタウィープ議長が対応を協議するため近くラオを訪問する予定だ。」と明らかに。
この件について、クルングテープで開催されたタイ・ラオ国境委員会に出席するために来タイしたラオスの国防相との間で25日に話し合いが行われた。
関係筋によれば、ラオから不敬なメッセージを発しているのは不敬容疑で逮捕されそうになったためラオに逃げ込んだタクシン支持者らで、ラオ当局はこれらタイ人に「放送を止めなければ国外退所処分とする。」と通告済み。
01月30日(月)プラユット首相はこのほど、国民和解策の一環として政治関連犯に刑執行延期を適用して政治対立を解消する考えを明らかにする一方で、「裁判で刑が確定する前に恩赦を適用するつもりはない。」と明言。
タクシン支持・反タクシン両派の政治関連犯への恩赦適用はタクシン派から提案されたことがあるものの、これには反タクシン派が「国外逃亡中のタクシンの免罪が目的。」などと強く反発した経緯がある。
プラユット首相によれば、「政治関連犯は裁判を受けることが必要であり、裁判で有罪となって初めて恩赦適用の可能性が出てくる。この手続きを経ずに恩赦を適用することは考えられない。」
また、「現政権は挙国一致内閣の設置に向けて政治家と交渉している。」と一部で報じられたが、首相はこれを全面的に否定。
02月01日(水)新憲法が間もなく制定される見通しだが、プラユット首相は「現政権はできる限り権力の座にととどまろうと時間稼ぎに躍起になっている。」とする批判に反論すべく、「10の憲法関連基本法すべてがスケジュール通りにできあがることを望んでいる。」と明言。
憲法関連基本法とは憲法と個別法の間を繋ぐものであり、公職選挙法、政党法などがそれに当たる。つまり、基本法を制定しなければ総選挙も実施することができない。
ただ首相は、「私は基本法制定における直接の責任者ではなく、また、この作業に介入したいとも思っていない。このため、基本法が予定通りにできあがらなくても、私にはなにもできない。」とも述べている。
02月03日(金)「プラウィット副首相兼国防相を暗殺する計画が実際に存在する可能性がある。」と先にチャルムチャイ陸軍司令官が発言したことでマスコミが大きく取り上げられることになったが、プラユット首相は、「不敬容疑を掛けられて外国に逃げた者たちが暗殺を計画しているのかもしれない。」と見方を示した。
先の報道によれば、不敬容疑での逮捕を免れようとタクシン支持者たちが国外に逃亡し、現在ラオに潜伏中とされている。プラユット首相によれば、「暗殺計画はソーシャルメディアを通じて発信されたもので、その真偽について現在、関係当局が調査を進めている。」
02月06日(月)プラユット首相はこのほど、「タイ仏教界における最高位の僧である大僧正が間もなく指名される。」との考えを明らかに。これは、「大僧正はすでに決まっている。」との噂が出てきたのを受けての発言と見られる。
プラユット首相によれば、「大僧正は年功序列、適任かどうか、健康状態の3つの要素を検討して選ばれる。」
2013年10月の大僧正の死去に伴い、タイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会(SSC)ソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧を新大僧正に推挙。これを受けてプラユット首相は国王の承認を得る手続きを取ることになっていたが、この僧に高級車輸入に絡む脱税の疑いがあったことから首相は手続きを保留。この状態を打開すべく関連法が改正されて大僧正指名の主体がSSCから国王に移り、大僧正指名の手続きが一からやり直されることになった。
02月07日(火)プラユット首相は、ワチラロンコーン国王がクルングテープの名刹、ワット・ラーチャボピットの住職、ソムデットプラマハームニウォン僧をタイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第20代大僧正(ソムデットプラサンカラート)に任命したことを明らかに。12日に就任式が行われる。
ムニウォン僧は1927年、西部ラチャブリー県生。10歳で沙弥となり、21歳のとき、ワット・ラーチャボピットで出家。タイの2大仏教宗派の1つであるタマユットニカーイ派に所属。
先代の第19代大僧正は2013年に100歳で死去し、以来、大僧正位は空席となっていた。従来のサンガ法では、高位の僧侶で構成されるサンガ最高評議会が大僧正候補を選出し、首相が候補者の任命を国王に要請、国王が任命するかたちだったが、タイ軍事政権傘下の立法議会は昨年末、大僧正の選任を国王に一任する改正サンガ法を可決、同法は今年01月に施行。
軍政による法改正は、パクナムパーシーチャルーン寺の住職で大僧正代行を務めたソムデットプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(91)の大僧正就任阻止が狙いだったと見られる。ラチャマンカラーチャーン僧は軍政と対立するタクシン派と関係が深いとされる新興仏教団体タマカーイと癒着しているという疑惑があった。
第19代大僧正は1999年、タマカーイ寺の教祖、プラタマチャヨー僧が信者から寄付された2.4?の土地や現金を自分名義にしていたことなどを問題視し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるべきと記した手紙をサンガ最高評議会に送った。しかし、大僧正はその後、体調を崩して指導力が発揮できなくなり、サンガ最高評議会は2006年、プラタマチャヨー僧が寄付された土地、現金の名義をタマカーイ寺に変更したとして、この問題を不問に付した。タマカーイ寺は2012年に、パクナムパーシーチャルーン寺に重量1tの黄金像を贈っている。
2015年には立法議会、2016年にはタイ法務省特捜局(DSI)が、サンガ最高評議会に対し、大僧正の意思を尊重し、プラタマチャヨー僧を強制還俗させるよう要求したが、サンガ最高評議会はいずれも拒否。
2013年にはタマカーイをめぐる新たな事件が発覚した。クルングテープのクロンチャン信用協同組合の元理事長が在任中に信組の預金額のほとんどにあたる120億B以上を横領した事件で、元理事長が横領した金10億B以上をプラタマチャヨー僧らタマカーイの僧侶と寺に寄付したことが判明。2016年、プラタマチャヨー僧に対し、資金洗浄などの容疑で逮捕状が出た。プラタマチャヨー僧はクルングテープ郊外のタンマカーイ寺にいると見られるが、プラタマチャヨー多数の信者が寺を守り、警官の進入を阻止している。
サンガ最高評議会は2016年01月、ラチャマンカラーチャーン僧を次期大僧正候補に選出したが、プラユット首相は仏教界内部の対立などを理由に、国王に対する大僧正任命要請を拒否。同年02月には、タイ中部の仏教施設に集まったラチャマンカラーチャーン僧支持派の僧侶数千人が、大僧正任命の手続きを遅滞なく進めるよう軍政に要求し、集会を阻止するため派遣された兵士ともみ合う騒ぎとなった。同年03月には、ラチャマンカラーチャーン僧が所有する1953年製のメルセデス・ベンツのクラシックカーが、不正な方法で輸入されたとして、DSIに押収された。
ウィサヌ副首相はこのほど、新憲法草案の修正作業がほぼ完了したことを明らかに。現在法律関連の最高諮問機関である法令委員会によって修正部分の文言のチェックが行われているところという。このため、新憲法草案承認期限となる02月18日までに国王の承認を得て、新憲法が制定される見通し。その後、選挙関連法などを含む憲法基本法が制定され、ようやく総選挙が実施。民政復帰が実現することになる。
放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会は、タクシン派の地上デジタルテレビ局、ボイスTVのニュース解説番組「ザ・デイリー・ドーズ」に対し、01月23日の放送が「社会を分断する内容だった。」として、7日間の放送中止を命じた。
ザ・デイリー・ドーズは月~金曜放送の30分番組で、王族のナタコン・テワクンがホストを務める。23日の放送では、タイの司法改革の必要性について論じた。ナタコンは放送中止命令について、「過去10年に起きた、軍事クーデター、裁判所による政党の解党、一部政治家の公民権停止といった事実を述べただけだ。」、「犯罪ではなく、処罰は不当。」と反論。
ナタコンは現軍事政権で2014~2015年に副首相を務めた王族のプリディヤトン・テワクン元タイ中央銀行総裁の息子。既得権益層による超法規的な政治・司法介入に批判的な立場で知られる。ボイスTVは軍政と対立するタクシンの息子のパーントーンテー・チナワットがオーナー。
国連のデビッド・ケイ意見及び表現の自由に対する権利の促進と保護に関する特別報告者は7日、タイ当局に対し、タイの国王、王妃、王位継承者、摂政に対する批判を禁じた不敬罪の政治利用を止めるよう呼びかけた。
ケイ特別報告者は「公人は批判の対象となりうる。」と主張。不敬罪は「国際人権法と相容れない」、「民主国家では存在し得ないもので、廃止すべき。」と訴えた。
タイ外務省はこれに対し、「不敬罪は一般人にとっての名誉毀損罪に似たもので、国民の表現の自由を妨げるものではない。」と反論。「表現の自由は尊重するが、社会の秩序と調和を乱すものであってはならない。」などと主張。
タイの不敬罪は有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年のクーデターで発足したタイ軍事政権は不敬罪による取り締まりを強化し、民主政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数ヶ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。
昨年12月には、英BBC放送がインターネットの交流サイト、フェイスブックに掲載した記事をシェアしたとして、タイ人男子学生のチャトゥパットが不敬罪で逮捕された。これまで保釈請求はすべて却下され、国連や人権団体が軍政への批判を強めている。
02月09日(木)朝クルングテープ都内のラーチャボピット寺で小火があり、建物の木製の扉の一部が焼損した。寺の関係者は、漏電が原因として、放火を否定している。警察は当面の間、ラーチャボピット寺の警備を強化する方針。
ラーチャボピット寺の住職、ソムデットプラマハームニウォン僧(89)は今月07日、ワチラロンコーン国王により、タイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第20代大僧正(ソムデットプラサンカラート)に任命されたばかり。
先代の第19代大僧正は2013年に100歳で死去し、以来、大僧正位は空席となっていた。従来のサンガ法では、高位の僧侶で構成されるサンガ最高評議会が大僧正候補を選出し、首相が候補者の任命を国王に要請、国王が任命する形だった。しかし、タイ軍事政権は今年01月、サンガ法を改正し、大僧正の選任を国王に一任した。
サンガ最高評議会は2016年1月、大僧正代行だったソムデットプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(91)を次期大僧正候補に選出していた。軍政による法改正は、ラチャマンカラーチャーン僧の大僧正就任阻止を狙ったものと見られる。
02月10日(金)プミポン前国王の火葬の儀を執り行なうためのタイ様式の建造物が現在サナームルアン(王宮前広場)で建設されているが、これらの建造物の建設を管轄する委員会の長であるタナサック副首相が、現場を視察した際、建造物は期限の09月30日までに完成するとの見通しを示した。
タナサック副首相によれば、「今回の建造物は、地上で組み立てたものをクレーンで積み上げる格好で建設されており、これまでの工法に比べて安全かつ迅速に作業を進めることが可能になっている。」
なお、プミポン前国王の火葬の儀は崩御(昨年10月13日)の約1年後に執り行なわれる予定。
02月11日(土)外国貿易局と法執行局は、記者発表を行い、「政府間の米取引を装った不正で国に大きな損失を与えたとされるブンソン元商業相など6人に薬200億Bを賠償させるとの行政命令を執行する用意がある。」と明らかに。
これは、ブンソン元商業相など5人が行政命令の差し止めを求めて行った訴えを中央行政裁判所が却下したことによるもの。なおブンソン、元商業相などに賠償をさせるとの行政命令は、昨年09月にアピラディ商業相と当時のチュティマ商務事務次官(現副商業相)が承認している。
02月12日(日)クルングテープ都プラナコン区の王宮敷地内にあるエメラルド仏寺院(ワット・プラケーオ)として知られるプラシーラッタナサーサダーラーム寺で、国王によってタイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第20代大僧正(ソムデットプラサンカラート)就任式が執り行なわれた。これに合わせて全国各地の仏寺で大僧正就任を祝う催しが行われた。
新しい大僧正に選ばれたのはラチャボピット寺住職のソムデットプラマハムニウォン僧(90)。1927年、西部ラチャブリー県生。10歳で沙弥、21歳の時、ラーチャボピット寺で出家。タイの2大仏教宗派の1つであるタマユットニカーイ派に所属。
タイにおける仏僧最高位の大僧正は第19代が2013年に100歳で死去し、以来、大僧正位は空席となっていた。大僧正空位が続いたのは大僧正候補の高僧に脱税疑惑が浮上し、選任手続きが中断していたことが原因。
従来のサンガ法では、高位の僧侶で構成されるサンガ最高評議会が大僧正候補を選出し、首相が候補者の任命を国王に要請、国王が任命する形だった。しかし、今年01月、大僧正の選任を国王に一任するようサンガ法を改正。これを受け、今月07日、ワチラロンコーン国王がソムデットプラマハームニウォン僧を大僧正に任命。
サンガ法改正はバンコク郊外のパクナムパーシージャルーン寺の住職で大僧正代行を務めたソムデットプラマハーラチャマンカラーチャーン僧(91)の大僧正就任阻止が狙いだったと見られる。 ソムデットプララチャマンカラーチャーン僧は軍政と対立するタクシン派と関係が深いとされる新興仏教団体タマカーイと癒着しているという疑惑があった。
ラーチャボピット寺では09日朝、小火があり、建物の木製の扉の一部が焼損した。寺の関係者は、漏電が原因として、放火を否定している。
02月14日(火)朝プラユット首相夫妻と閣僚、軍幹部がクルングテープ都内の仏教寺院、ラーチャボピット寺を訪れ、12日にワチラロンコーン国王から叙任されたタイ仏教僧団(サンガ)の最高指導者、第20代大僧正(ソムデットプラサンカラート)に表敬。
ニュース映像によると、プラユット首相は大僧正に額づいた後、食品などを喜捨した。大僧正は首相に言葉をかけた後、リラックスした様子で高官らとしばらく会話した。会話の内容は不明だが、笑い声も上がった。プラユット首相と言葉を交わしたあと大僧正は、「政府が仏陀の教えに従って秩序と平和を維持してくれるものと願っている。」と語った。また、政府庁舎に戻ったプラユット首相は「大僧正の助言を政府の指針とする。」と報道陣に述べた。
クルングテープの北隣パトゥムタニー県に位置するタマカイ寺の元住職がクロンチャン信用協同組合巨額横領事件などに関与したとの容疑をかけられているものの、当局が元住職の所在を確認できず逮捕に踏み切れないでいる問題で、関係筋は、「法務省特別捜査局(DSI)、法務省の専門家、警察が元住職を逮捕すべくタマカイ寺を手入れする準備を進めている。」と明らかに。
手入れはチャクティップ警察庁長官の指示でデーチャナロン副長官が陣頭指揮する予定。
タマカイ寺は敷地が広大でどの建物に元住職がいるのかはっきりしていないうえ、元住職が寺にいない可能性も指摘されている。
また、寺側は家宅捜索に合わせて大勢の信奉者に寺に集まるよう呼びかけたこともあり、当局もなかなか手出しできない。>
インラック前政権が導入した米担保融資制度により巨額の損失が生じたことから現軍事政権がインラック前首相に賠償させるべく資産を没収しようとしていることについてウィサヌ副首相はインラック前首相の間で論争が起きている。
インラック前首相は01月に賠償を命ずる行政命令差し止めを中央行政裁判所に請求しているが、ウィサヌ副首相は14日、「行政命令に基づいた資産没収は今すぐにできる。仮に差止命令が出ても、それ以前に没収した資産を返却する必要はない。」と指摘。
インラック前首相は、「中央行政裁がまだ判断を下していないため司法手続きはまだ完了しておらず、資産没収は開始できない。」と訴えたが、これに対しウィサヌ副首相は、「司法手続きが完了したので行政命令が出た。そもそも差し止めは司法手続きが完了した事柄についてのみ求められる。」と反論。
02月15日(水)当局がクロンチャン信用協同組合巨額横領事件などに関与した容疑でタマカイ寺の元住職タマチャヨー僧を逮捕しようとしていることについて、法務省特別捜査局(DSI)のパイシット局長は、「元住職を逮捕するためいつタマカイ寺を家宅捜索するかはまだ決まっていない。」と述べ、「近々手入れが行われる。」とする情報を否定。
一部では「タマカイ寺を支持する大勢の人々に妨害されるのを避けるため16日未明に家宅捜索が行われる。」といった見方も出ていた。なお、タマチャヨー僧は病身とされるが、タマカイ寺の広大な敷地内のどの建物にいるのかはっきりしておらず、寺を脱出した可能性も指摘されている。
02月16日(木)
02時から
パトゥムタニー県に位置するタマカイ寺の元住職タマチャヨー僧がクロンチャン信用協同組合巨額横領事件への関与などの容疑をかけられているものの、所在がはっきりしないなどの理由で当局がなかなか逮捕できないでいる問題で、法務省特別捜査局(DSI)などが捜査員などを大量投入して寺の家宅捜索に踏み切った。この作戦は現行憲法44条に規定されたプラユット首相の強権発動に基づいたもの。だが、14時間に及んだ家宅捜索でも元住職を見つけることができず、今回4回目となる逮捕に向けたこの作戦も成果無しに終わった。広大な敷地内に大きな建物が複数建つタマカイ寺の家宅捜索に当たったのは20に及ぶ捜査員チーム。これをサポートするため警察官3600人以上、兵士900人あまりが動員されたという。なお、DSIが取得した令状では数日間寺を家宅捜索することが可能とされており、17日も引き続き捜索が行われる見通し。
02月17日(金)ウィサヌ副首相によれば、新憲法草案の内容を一部修正したものに国王の承認を得るための手続きが取られた。現行の暫定憲法の規定に従って同日から90日以内に国王が承認するか否かを決める。また、手続きが取られたことは21日に正式に内閣に報告される。
新憲法の草案については、国王の意向に従って国王の権限に関する部分が修正されることになった。このため、新憲法は国王が部分修正した草案を承認されてから制定の運びとなる。
また、新憲法制定に伴い選挙などに関する基本法が制定され、これでようやく総選挙実施に向けた法律面の準備が整うことになる。
関係当局は前日に引き続き17日もタマカイ寺の家宅捜索を行ったが、クロンチャン信用協同組合巨額横領事件への関与などの容疑をかけられている元住職タマチャヨー僧を見つけることができなかった。 同日の家宅捜索は、368haに及ぶ寺の敷地のうち20.8haのゾーンBと320haのゾーンCを対象に16のチームによって執り行なわれた。
また、今回の家宅捜索で60年前に建てられた建物の裏手の噴水の下に全長3㎞に及ぶ半地下構造物のあることが判明した。この構造物は噴水用の浄水施設とされている。
02月19日(日)タマカイ寺で家宅捜索3日目となる19日、寺側の呼びかけに応じて集まった僧侶や信奉者たちが加わって総勢数千人が家宅捜索の継続を阻止すべく寺の出入り口を封鎖。
当局は人の出入りを制限するため15時までに寺を居所としない僧侶や信奉者に寺から出ていくよう求めていたが、その時刻になる前に大勢の僧侶と信奉者が当局の設けたバリケードを破って寺に入り、しばらくすると複数ある寺の出入り口を占拠・封鎖。
この際、当局の関係者との間で揉み合いとなり、また、報道機関の取材チームは約30万Bするカメラを地面に投げつけられて破損させられた。
家宅捜索はクロンチャン信用協同組合巨額横領事件への関与などの容疑をかけられている元住職タマチャヨー僧の逮捕を目的としたものだが、19日にもタマチャヨー僧の居場所を特定できなかった。
02月20日(月)政府は資金洗浄(マネーロンダリング)取締法違反容疑で逮捕状が出ているタマカイの教祖、タマチャヨー僧の逮捕を目指し、16日、パトゥムタニー県のタマカイ寺の家宅捜索を開始した。警察犬を投入するなどして、32万㎡という広大な境内の捜索を進め、地下トンネルなどの存在が明らかになったが、20日時点でタマチャヨー僧は見つかっていない。
捜査当局は捜索を徹底するため、19日、寺の居住者以外は境内から退去するよう命じた。しかし、これに反発した僧侶、信者らがバリケードを押し退けて境内に進入。翌20日には、別の僧侶、信者ら数千人が境内に進入しようとして警官隊と衝突し、双方合わせ十数人が軽い怪我。僧侶、信者の多くはマスクを着用し、一部はサングラスをしていた。20日にはマスクで口と鼻を覆った数十人に及ぶ僧侶が寺の第5ゲートと第6ゲートで警察官らが寺に入るのを阻止しようとして揉み合いになった。このため、警察官、僧侶、寺の信奉者などに負傷者が出た。
しかし、政府は同日、「法の適用の及ばないところはない。」としてタマカイ寺における法の執行を継続する方針を表明。
タマチャヨー僧はクルングテープの信用協同組合の元理事長が信組の預金額のほとんどに当たる120億B以上を横領したとされる事件で、元理事長から10億B以上の「寄付」を受け取ったとされる。度重なる出頭命令を無視し、昨年05月に逮捕状が出てからは、姿を隠した。捜査当局はこれまでに数回、タマカイ寺の家宅捜索を図ったが、数千人の信者に阻まれ境内に入れなかった。
プラユット首相(元陸軍司令官)は今回、自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、家宅捜索を命令。警官、兵士ら数千人を動員し、捜索を進めている。
02月21日(火)16日に開始された今回のタマカイ寺家宅捜索ではタマチャヨー僧の居場所を特定できなかったが、スワパン法相は、タイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会(SSC)の支援のもとに改めてタマカイ寺を家宅捜索する方針であることを明らかに。また、法務省特別捜査局(DSI)が主導し、警察と軍がサポートする形で実施された今回の手入れは強権発動を規定した暫定憲法44条を適用したものだったが、プラユット首相「は元住職を捕らえるまで同条適用が続く。」と明言。
02月22日(水)タイにとって大きな課題となっている政治対立の解消と国民和解の実現。それを具体化すべく現政権が計画を進めているが、プラウィット副首相兼国防相は、「国民和解の過程には恩赦プランは含まれない。」と明言。
これは、タクシン派プア・タイ党のチュサクが21日、「国民和解に関するフォーラムで恩赦など問題となっている件を話し合うのを禁止すべきでない。」と述べたことに言及したもの。国民和解のために政治関連犯を恩赦で放免するという案は以前からタクシン派から出ている。
だが、これに対し、反タクシン派は、「国外逃亡中のタクシンの免罪、政界復帰を狙ったもの」などと非難。このため、政府による国民和解フォーラムで恩赦が取り上げられれば紛糾する可能性が高い。
当局が巨額横領事件への関与などが疑われる元タマカイ寺住職タマチャヨー僧をなかなか逮捕できないでいる問題で、関係当局と寺側の交渉が不調に終わったあと、新たな家宅捜索に備えて4000人に及ぶ治安要員が動員されたことからタマカイ寺では緊張が高まっている。
また、「暫定憲法44条に規定された強権発動に基づいて寺が制限地域とされたことに抗議し、寺では少なくとも7人の僧侶がハンガーストライキを開始した。」という。交渉は約5時間に及んだが、物別れに終わった。これについて、タマチャヨー僧逮捕に向けた作戦を主導している法務省特別捜査局(DSI)のパイシット局長には、「交渉は不成功に終わった。今後交渉は行われない。」と報告。
02月23日(木)巨額横領事件などへの関与が疑われている元タマカイ寺住職タマチャヨー僧を逮捕すべく当局が新たにタマカイ寺を家宅捜索する構えを見せ、これに僧侶や信奉者たちが反発している問題で、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「1年掛かっても寺の敷地内を徹底的に家宅捜索する。」と明言。
02月16日から数日間に及んだ家宅捜索は現行の暫定憲法44条に基づいた強権発動によるもので、タマカイ寺の僧侶らがこれに反対しているものの、プラウィット副首相は「家宅捜索が終わるまで強権発動は解除されない。」と再度強調。
02月25日(土)当局が巨額横領事件などへの関与が疑われている元タマカイ寺住職タマチャヨー僧なかなか逮捕できない問題で、寺の内部と周辺でインターネットと携帯電話を使用できないようにする措置が執られた。
元住職タマチャヨー僧逮捕に向けた捜査を主導している法務省特別捜査局(DSI)によれば、寺の信奉者の一部がインターネットなどを通じて虚偽の情報を拡散して寺の家宅捜索を妨害したり、混乱を巻き起こそうとしたりしたことから、国家放送通信委員会(NBTC)に協力を要請し、寺の広大な敷地内と周囲半径500mでインターネットと携帯電話を使用できないようにする措置が執られた。
元タマカイ寺住職タマチャヨー僧の逮捕に当局が手こずっている問題で、「適切な対応をしていない。」との批判を浴びていた国家仏教事務局(NOB)のパノム事務局長がプラユット首相による強権発動により解任。首相府の閑職に異動となった。官報で発表。
捜査当局はこれまでに数回、タマカイ寺の家宅捜索を図ったが、数千人の信者、僧侶に阻まれ境内に入れなかった。これを受け、プラユット首相は今月16日、自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、タマカイの家宅捜索を命令。同日、警官、兵士ら数千人が寺に突入し、32万㎡という広大な境内で捜索を開始。タマチャヨー僧が見つからない中、いったん寺の外に退去していた僧侶、信者数千人が19、20日にかけて寺に戻り、逆に兵士、警官を締め出す事態に。当局は兵士、警官数千人で寺を包囲し、電話、インターネットを切断、寺の中への食料の供給を制限するなど、兵糧攻めで寺の軟化を待つ作戦に転じている。
タマカイ寺では敷地内と周辺地域でインターネットと携帯電話を使用できなくする措置が執られたが、関係筋によれば、それ以前にタマチャヨー僧の携帯電話が使われたことを示す発信が確認されており、法務省特別捜査局(DSI)が詳しい調査を行っている。
これまでの大がかりな家宅捜索でもタマチャヨー僧の居場所が判明しておらず、発信を調査することで居場所の特定に繋がる可能性がある。
02月26日(日)タクシン派プア・タイ党幹部のワタナー元商務相が、「(クルングテープなどを管轄する)陸軍第1管区から呼び出しを受けた。」とネット上で明らかに。
ワタナーは歯に衣着せない発言で知られており、最近の発言が軍に問題視された可能性が高い。軍から連絡があったのは25日。ワタナーはこれに応じて「27日午前10時に陸軍第1管区本部に出向く。」と返答。
タイでは11年前にタクシン政権が、3年前にタクシン派のインラック政権が軍事クーデターで倒されるなどしており、タクシン派は今でも軍部を強く敵対視している。
02月27日(月)巨額横領事件などへの関与が疑われる元タマカイ寺住職タマチャヨー僧を逮捕すべく現行の暫定憲法44条に基づいた強権発動で寺を規制エリアとして家宅捜索が行うなどの作戦が実施されているが、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当者は、このほど、」寺が英語で『我々は食べ物を必要としている。』と書かれた垂れ幕を使って人々に誤った印象を与えようとしている。」と非難。
垂れ幕は寺の敷地内のタワーに取り付けられている。タマチャヨー僧の逮捕作戦を主導している法務省特別捜査局(DSI)によれば、「寺に食材を搬入するのは禁止だが、調理済食品を持ち込むことは許可されている。」
同担当者によれば、垂れ幕を使って「不当な扱いを受けている。」と訴えることで当局を悪者にして世間の同情を集めて強権発動を解除させることが寺側の狙いと見られる。
故プミポン前タイ国王の火葬場の起工式が、プラユット首相、全閣僚、軍・警察幹部らが出席して、クルングテープの王宮前広場で行われ、僧侶が読経する中、高さ約22mの鋼鉄製の主柱が大型クレーンで垂直に立てられた。火葬場は須弥山をイメージしたもので、基部が60m四方、高さが50.49mに達する。09月までに完成する予定。
プミポン前国王は昨年10月13日、入院先のバンコクのシリラート病院で死去した。在位70年、88歳だった。遺体は王宮に安置され、死後1年後を目途に火葬式が行われる。
03月02日(木)タイ政府はこのほど、タマカイ寺問題に関連して「寺から当局を悪者扱いする虚偽情報が発信されている。」として、このような偽情報の流布を厳しく取り締まるとの方針を明らかに。
関係当局は巨額横領事件への関与などの容疑をかけられている元タマカイ寺住職を逮捕しようと大がかりな寺の家宅捜索を行っているが、今のところタマチャヨー僧を捕らえられていない。
このような状況下、「当局が不当な行為を続けているとの印象を与えようとした偽情報が寺から発信されている。」、「マスコミや国民は寺の偽情報に騙されてはいけない。」と訴えている。
03月04日(土)法務省特別捜査局(DSI)などが巨額横領事件への関与などが疑われている元タマカイ寺住職タマチャヨー僧をなかなか逮捕できないでいる問題で、仏教研究者らから国家仏教事務所(NOB)に対しタマチャヨー僧を還俗させるための手続きをとることをタイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会(SSC)に働きかけるよう求める声が出ている。
元住職については、出頭要請などを無視していることから国王の同意の下、聖職者資格の剥奪が03月04日に官報で発表。これに加えて還俗となれば、タマチャヨー僧は聖職者としての地位を全て失うことになる。なお、NOBはSSCの事務局的存在。
03月05日(日)13時45分ベトナム公式訪問を終えた天皇皇后両陛下は、タイ空軍の飛行場に到着し、宿泊先のマンダリン・オリエンタル・ホテルに向った。
また、17時47分からグランドパレス内の宮殿でプミポン前国王の遺体に拝礼。この後、タイの王室と日本の皇室が長いつきあいがあることから、両陛下はワチラロンコーン国王と数十分にわたって言葉を交わし、プミポン前国王を偲んだ。
03月06日(月)故プミポン前タイ国王の火葬が12月25~29日に行われる見通し。26日に遺体を王宮から王宮前広場の火葬場に移し、火葬が行われる。遺骨は王宮で保管。
プミポン前国王は昨年10月13日、入院先のクルングテープのシリラート病院で死去。在位70年、88歳。
03月07日(火)速やかな民政復帰を実現すべく総選挙を早期に実施するよう求める声が出ているが、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、政府の掲げる行程表修正に関する質問に対し、「CDCは基本法を早期に制定できるかもしれないし、できないかもしれない。」と歯切れの悪い回答。
新憲法制定後に選挙などに関する基本法が制定され初めて総選挙が実施可能となる。このため、行程表の内容を修正して迅速に基本法を制定すれば、総選挙を早期に実施することも可能となる。 なお、行程表では、新憲法制定から約10ヶ月以内にCDCが基本法を打ち出し、それを立法議会(NLA)が精査、承認することになっている。
複数の容疑がかけられている元タマカイ寺住職タマチャヨー僧を「逮捕すべくタマチャヨー僧を還俗させる。」との意見が出ているが、タイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会(SSC)と政府が合議体を設置して還俗の是非を検討する可能性が出てきた。
これはクルングテープのラチャティワート寺住職の提案であり、スワパン法相も「問題解決のための適切な方法。」と賛意を示している。
タマカイ寺は広大な敷地の中に大きな建物が複数建てられており、当局はタマチャヨー僧が敷地内に留まっていると考えているようだが、これまでの大がかりな家宅捜索でも居場所を特定できていない。
03月08日(水)タイ政権の報道官は、故プミポン前タイ国王の火葬式を10月下旬に行う方向で調整中で、ワチラロンコーン国王に承認を求めていることを明らかに。タイの新聞、テレビは12月下旬に火葬が行われると報道していたが、これを否定。
シン・コープ株売却からタクシンの子3人が得た利益について税務申告に不備があったとされる問題で、先に財務省の税務委員会がすでに時効となっていることから120億Bに上る税金、罰金、利息の支払いを求めないことなどを決めたが、これを受けピシット会計検査院長は国税局に対し、タクシンに120億Bを支払わせるべくさらに努力するよう要請。
ピシット院長によれば、「これまでに出た裁判所の判決では株売却で利益を得たのは子ではなくタクシンとされており、120億Bを支払う必要があるのはタクシン。また、この事件では別の法律が適用されるため、時効が成立するのは今月31日。」
03月10日(金)タイ法務省特捜局(DSI)はクルングテープ北郊のタマカイ寺を制限区域として大がかりな家宅捜索などを行ってきたが、DSIは「23日間に及んだこの元住職プラタマチャヨー僧逮捕作戦に終止符を打つことを決めた。」と発表。
DSIは400haに及ぶ広大な寺の敷地内に建てられた複数の建物のどこかにタマチャヨー僧が潜んでいると考えているようだが、これまでの家宅捜索ではタマチャヨー僧を発見できなかった。
ただ、パイシットDSI局長によれば、「巨額横領事件への関与などタマチャヨー僧にかけられた容疑は時効成立が15年後であり、それまではDSIにタマチャヨー僧を見つけて逮捕する義務がある。」
03月12日(金)資金洗浄(マネーロンダリング)取締法違反容疑で逮捕状が出ている新興仏教団体タマカイの教祖、プラタマチャヨー僧(72)の行方を捜査しているタイ法務省特捜局(DSI)はクルングテープ北郊のタマカイ寺の家宅捜索を打ち切る模様。
タマカイ寺は敷地面積が32万㎡に及ぶ広大な寺で、境内にはUFO状の仏塔など様々な建物がある。DSIは02月16日から、多数の兵士、警官を動員し、タマカイ寺の家宅捜索を行ったが、タマチャヨー僧を発見できなかった。そうした中、一旦寺の外に退去していたタマカイの僧侶、信者数千人が19、20日にかけて寺に戻り、逆に兵士、警官を締め出す事態となった。DSIは兵士、警官で寺を包囲する一方、寺と交渉し、寺の同意を得て、今月10日、再度境内の捜索を行ったが、タマチャヨー僧は見つからなかった。
DSIは11日、プラタマチャヨー僧はタマカイ寺にはいないと判断し、寺の包囲を近く解除する方針を示した。翌12日にはタマカイ寺に近い僧院を捜索したが、ここでもタマチャヨー僧の姿はなく、空振りに終わった。
プラタマチャヨー僧はクルングテープの信用協同組合の元理事長が信組の預金額のほとんどに当たる120億B以上を横領した事件で、元理事長から10億B以上の「寄付」を受け取ったとされる。度重なる出頭命令を無視し、昨年05月に逮捕状が出てからは、姿を隠した。
タマカイは1970年代からクルングテープの中間層、富裕層の間で急速に広がった。カリスマ的な教祖、巨大で前衛的な寺院、整然として視覚効果の高い儀式などで知られ、集金能力、資金力はタイの仏教寺院屈指とされる。信者には著名な実業家も多い。
巨額横領事件に関与したなどの理由で逮捕状の出ている元タマカイ寺マチャヨー僧住職を逮捕するための作戦で中心的な役割を演じてきた法務省特別捜査局(DSI)が03月10日に作戦の中止を決めたが、プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)のピヤポン広報担当はこのほど、「DSIは今回の決定について国民に説明する必要がある。」との考えを示した。
DSIは現行の暫定憲法44条に基づいた強権発動で寺を23日間にわたって規制地域として大がかりな家宅捜索を行ったものの、タマチャヨー僧を見つけることができなかった。国軍治安センターの元スタッフであるナタデート中将によれば「、DSIがタマチャヨー僧を逮捕できなかったことでDSIと法務省の信用が低下しており、ひいては政府の威信も傷つけかねない。」
なお、寺は03月10日にDSIが再び家宅捜索するのを許可したが、その理由について「タマチャヨー僧が寺から逃走したため。」との見方も出ている。
関係当局の努力にもかかわらず複数の不正容疑をかけられている元タマカイ寺住職プラタマチャヨー僧の居場所がいまだに特定できていないことから、出入国管理当局はこのほど、元住職の国外逃亡を阻止すべく国境通行所で警戒を許可していることを明らかに。ただ、担当者によれば、「タマチャヨー僧が通行所を通って国外に出ようとすれば阻止できるが、通行所を通らずに国外に出た場合はその限りでない。」。また、「仮に国外に逃亡したとしてもタイは近隣諸国と犯罪人引渡し条約を交わしており、当該国にタマチャヨー僧の身柄引渡しを要請することが可能。」
03月14日(火)シン・コープ株売却利益を適切に税務申告していなかったことから会計検査院などがタクシンに「税金・罰金・利息合わせて約120億Bを支払わせるべき。」としている問題で、プラユット首相は、「国税局は税金を徴収しなければならない。できなかったら時効成立の03月31日までに訴えを起こす必要がある。」との見方。
プラユット首相はまた、「この件は極秘事項が複雑に絡み合っており理解するのに1週間以上かかった。」とする一方で、税金や罰金を支払わせるために現行の暫定憲法44条に基づいた強権発動は行わない考えを再確認。
03月15日(水)シン・コープ株売却利益で税の申告が不適切だったとされる問題で、ウィサヌ副首相は、「時効が成立する03月31日までに国税局が課税手続きを進めることになる。」と述べた。
これまでの報道と間に不整合がみられるものの、タクシンに支払いが求められる税金と罰金は合計160億Bあまり。また、時効成立までの期間は10年だが、国税局が手続きを開始することでその時点から計算して10年後すなわち2027年に時効が成立することになる。
これについてウィサヌ副首相は、「法律の奇跡であり、試してみる価値がある。」と説明。また、「国税局がタクシンに訴えられる可能性もあるが、最終的に政府が勝つだろう。」とも述べている。
03月16日(木)最高裁判所は、「議員に義務づけられた資産報告で資産を少なく報告し。」たとしてプア・タイ党所属の元下院議員(チエンマイ県選出)であるカセム(53)に禁錮12ヶ月の禁錮刑を言い渡すとともに、被告の資産1億6800万B相当の没収を命じた。
カセムは株式売却から得た利益や建設会社の株式などを資産として報告していなかった。カセムは国外逃亡中のタクシンの妹ヤオワパーの側近だった人物。
法務省特別捜査局(DSI)のウォラナン広報担当はこのほど、「タイ証券取引所(SET)上場の不動産開発会社、ランド・アンド・ハウスのアナン会長の娘、アリサさんがクロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に関与している可能性がある。」と指摘。
具体的には、元住職タマチャヨー僧が事件に関連した資金洗浄の疑いを掛けられているタマカイ寺の6階建てビルの建っている土地が事件に関連しており、この土地の所有者がアリサである可能性が浮上してきた。ウォラナンは、「アリサさんが土地の所有者だと判明したら呼び出して聞き取りをする必要がある。」
03月18日(土)タイ警察は、クルングテープの北隣「パトゥムタニー県など7県の9ヶ所を捜索し、テラチャイ・ウタラウィチアン(55)、ブラトゥアング・オンラムン(58)、パリダ・ルアングスアン(62)、ワンチャイチャナ・クルットチャイヤン(56)、エムオン・ワットケウ(44)、トッサポン・ケットコソン(25)、ウドムチャイ・ノップサワット(60)、SM1タナチョット・ウォングチャンチョムプー(57)とスリヤサック・チャットピっタックン(49)の9人を逮捕、大量の銃器を押収した。」と発表。軍事政権と対立するタクシン支持派がプラユット首相らの暗殺などを計画していたと見て捜査する方針。
パトゥムタニー県ラムルークカー郡でタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)元幹部で国外逃亡中と見られる筋金入りのタクシン支持者のウティポン・コチャタマクン(仇名:コティ)が所有する会社の2階建て社屋を捜索。M16自動小銃4丁、ショットガン1丁、カービン銃1丁、擲弾発射器1丁、擲弾8個、手榴弾11個、実弾5500発以上のほか、複数の旅券、預金通帳、赤色の上着などが見つかった。
ウティポンはタクシン派インラック政権が2014年05月に軍事クーデターで倒されてから公の場に姿を見せていないが、パトゥムタニー県に住み、コミュニティー・ラジオ局を運営。関係筋によれば、今回逮捕されたテラチャイ・ウタラウィチアン(55)は、武器弾薬がウティポンのコミュニティー・ラジオ局から持ち込まれたものと自供。警察は、「資金洗浄(マネーロンダリング)取締法違反容疑で教祖に逮捕状が出ているパトゥムタニー県の新興仏教寺院タマカイを02月末から軍、警察が包囲した際に、ウティポンが率いる組織が、タマカイの信者を巻き込んで暴力的な衝突を引き起こすことも計画していた。」と主張。「逮捕した9人のうちの1人はタマカイ寺で信者と一緒にいるのが目撃されている。」と、UDDとタマカーイの連携を示唆。
03月19日(日)クルングテープの北隣パトゥムタニー県で18日に発見された大量の武器弾薬について筋金入りのタクシン支持者であるウティポン・コチャタマクン(仇名:コティ)との繋がりが指摘されているが、チャクティップ警察庁長官は、同県の「タマカイ寺の元住職を逮捕するための作戦に動員されていた警察官や兵士などを攻撃するために武器弾薬が用意された。」との見方を示し、武器の一部は2010年のタクシン派の政治集会で兵士から取り上げたものと明らかに。
ウティポンは近隣国に潜伏中と見られているが、チャクティップ長官によれば、「武器弾薬はタマカイ寺を支援するためウティポンが中心となり集めたもの。」、「またこの他にも、プラユット首相に危害を加えたり、暗殺したりすることも計画していた可能性がある。」
警察の発表に対し、ウティポンは、インターネット番組に出演し、「3年前にタイを脱出しており、警察のでっち上げだ。」と主張。
03月21日(火)タイ海軍による支那製潜水艦の購入計画について、タイ軍事政権のプラユット首相は、閣議後の記者会見で「潜水艦は必要。」と述べ、購入を認める考えを示した。
支那製潜水艦を、「性能がそこそこで、最も安い。」と評価。「政府間の購入となり、様々なサービスが付いてくる。」とも主張。
タイ海軍は支那製の通常動力型潜水艦、S26T型潜水艦3隻を計360億Bで購入する計画。南鮮、ドイツなど6ヶ国の潜水艦を比較検討し、支那製を選んだ。
2014年のクーデターで発足したプラユット軍事政権は早期の民政復帰を求める欧米と対立し、支那との関係を強化している。潜水艦の購入により、軍事面を含む支那との関係が一層強まる一方、同盟国である米国との関係悪化は必至と見られる。
タイ海軍は現在、潜水艦を所有していない。これまでに度々、潜水艦の導入を時の政府に働きかけ、2012年にはドイツ製の中古潜水艦6隻の購入をタクシン派インラック政権に打診したが、不要として却下された。海軍はその後、潜水艦を所有しないまま、タイ東部の海軍基地に潜水艦部隊司令部を建設、2014年に開所。
03月23日(木)03月18日の一斉摘発で首都に隣接するパトゥムタニー県の建物から筋金入りのタクシン支持者、ウティポン・コチャタマクン(仇名:コティ)所有とされる大量の武器弾薬が発見された事件で、この建物にいたところを逮捕されたテラチャイ・ウタラウィチアン(55)が、記者発表の席で「武器弾薬はウティポンが寄付金で購入したもので、(2013年から翌年にかけて行われた)反タクシン派による街頭デモの参加者を攻撃するために使われた。ただ、誰から購入したかは知らない。」と供述。
テラチャイは軍の施設に捕らえられていたが、18日に身柄が警察庁犯罪制圧課(CSD)に引き渡された。現在ラオに潜伏中とされるウティポンはパトゥムタニー県でコミュニティー・ラジオ局を運営していたが、テラチャイは2013年からウティポンの下でラジオ局の機材を管理する仕事をしている。
なお、テラチャイは過去3回ラオに赴いてウティポンと「政府攻撃」などについて話をしており、02月にもウティポンと会った。
03月25日(土)クルングテープの北隣パトゥムタニー県で先に大量の武器弾薬が見つかり、これに関連して9人が逮捕されたが、法務省特別捜査局(DSI)ではこれら9人についてテロ容疑で捜査する方針。
押収された武器の中に2010年の政治的な対立・混乱の最中に何者かが当局から奪ったとされる自動小銃M16が1丁含まれていたことから、捜査担当が警察からDSIに移されることになった。
刑事裁判所は、容疑者9人についてDSIの請求に伴い04月05日まで勾留を延期することを承認。
03月26日(日)タクシン一族が保有していたシン・コープ株の売却利益について適切に税務申告が行われていなかったとされる問題で、国税局がこのほど、国外逃亡中のタクシンに対し、税金や罰金合計160億Bを支払うよう命ずる文書を送付。この件については3月末で時効が成立することから、この時期に文書で支払いを命ずることになった。
関係筋によれば、タクシンは命令書を受け取ってから30日以内に不服申し立てをすることができる。国税局の委員会がこの申し立てを却下した場合、タクシンは中央税務裁判所に訴えることが可能。
関係当局が先にクルングテープの北隣パトゥムタニー県で現在ラオに潜伏中とされる筋金入りのタクシン支持者、の関係先から大量の武器弾薬を発見・押収したが、これについては「政治対立解消・国民和解実現に向けた政府の努力に水を差しかねない。」との見方。
03月27日(月)放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会は27日、タクシン派の地上デジタルテレビ局、ボイスTVについて、「番組の内容が著しく偏向している。」として、「28日から7日間、放送を停止する。」と発表。
ボイスTV側はこの決定に反発し、裁判に訴える構え。また、ウェブサイトとフェイスブックを通じ、「放送を続ける。」としている。
放送通信委は今回の決定について、「ボイスTVに何度か偏向報道を指摘したにも関わらず、改善が見られなかった。」と主張。「最近では、少数民族の活動家の男性がタイ軍兵士に射殺された事件や、タクシン派メンバーが所有する会社で大量の銃器が押収された事件などについて、タイ軍事政権を一方的に批判する番組を放送した。」と指摘。また、「放送停止は放送通信委の判断によるものだ。」として、軍政の指示という見方を否定。
ボイスTVは軍政と対立するタクシンの息子のパーントーンテー・チナワットがオーナー。放送通信委は今年02月にも、放送内容が「社会を分断する内容だった。」として、ボイスTVのニュース解説番組の放送を7日間中止させた。
過去のタクシン一族によるシン・コープ株売却での利益に関する税務申告が不適切だったとされる問題で、国税局は国外逃亡中のタクシンに税金と罰金計160億Bツを支払うよう命じたが、国税局関係筋によれば、「法律解釈にも疑問があり、タクシンから160億Bを徴収するのは難しい。」
当初は税金と罰金をタクシンの子3人に支払わせる予定だったが、これが難しいとみるや、タクシンに支払わせることになった。だが、同筋は、「実際のところ国税法によればこのような徴収はできないとされているのではないか。」と述べ、タクシンからの徴収は法的根拠が希薄との見方。
プア・タイ党所属のルアンカイ弁護士は、「タクシンからの徴収は権限乱用であり法律に違反する。」とする文書を国税局に提出。
03月28日(火)国税局は過去のタクシン一族によるシン・コープ株売却からの利益について税務申告が適切に行われていないとして国外逃亡中のタクシンに税金など176億Bの支払いを命じたが、タクシンの法律顧問であるノパドンは、「タクシンが命令を不当として弁護士チームを任命し、チームが近く国税局に不服申し立てをする予定である。」と明らかに。
よれば、株式市場での株売買は課税対象とはならず、タクシンから税金を徴収するのは不可能。また、当局は『時効成立が03月末であるため支払い命令は有効。』などとしているものの、実際にはすでに時効となっている。」
タイ国税局は、タクシンの元妻ポチャマンのクルングテープ都内の邸宅の門に、2006年に株式を売却した際の個人所得税と延滞税など計176億Bの納税をタクシンに求める請求書を貼り付けた。タクシンは納税に応じず、法的手段で争う構え。
通知先がポチャマン宅となったのは国税局のデータベースでタクシンの住所が変更されていないため。タクシン自身は2008年から実質的に国外亡命した形で、ドバイ、香港などで暮らしている。
タクシンは首相だった2006年に、自ら創業したタイ通信大手シン・コーポレーションの株式約50%をシンガポール政府系の投資会社テマセク・ホールディングスに約733億Bで売却。売却の際、シンのオフショア持ち株会社からタクシンの長男パーントーングテーと長女ピントーングター、が安値で株式を買い取り、タイ証券取引所(SET)を通じ、テマセクに転売。タクシンはSETを通じての売却で所得税の課税対象外として、税金を払っていない。当時すでに反タクシン派市民によるデモで揺らいでいたタクシン政権はこの売却でさらに政権基盤が弱体化し、同年09月のクーデターで崩壊。 反タクシン派の現軍事政権はシン株の売却に関する納税請求期限が今年03月末に切れることから、国税局を動かした模様。反タクシン派は財力がタクシンの影響力の源泉と見て、巨額の納税で資金力を削ぐことを狙っている模様。
タクシンは2010年02月、最高裁判所の命令で、資産464億Bを不正蓄財として国庫に没収された。同年04、05月にはタクシン派のデモ隊がクルングテープ都心部を占拠し、治安部隊との衝突で、91人が死亡、1400人以上が負傷する事件が起きた。デモは最終的に武力鎮圧されたが、銃撃戦や放火でバンコク都内は大混乱に陥った。
  タクシンは資産没収にも関わらず、米経済誌フォーブスがまとめた2017年版の世界長者番付で、資産17億US$でタイ10位、世界1234位。
03月30日(木)立法議会(NLA)は、「国外逃亡中のタクシンの旅券の扱いに違反があった。」としてスラポン元外相を過去に遡って外相罷免とすることをる弾劾決議案を賛成231、反対4で可決。スラポンは参政権が5年間停止。
過去の政権によってタクシンの旅券は無効とされていたが、タクシン派プア・タイ党幹部であるスラポンは外相時代にこの無効を取り消して旅券を復活。これが原因となり罷免され、公民権5年停止となった。
NLAでの罷免決議には150人の賛成が必要だが、スラポン元外相については231人が罷免に賛成した。2011年、反タクシン派の前政権が2009年に破棄したタクシンの公用パスポートと一般のパスポートを再発行。立法議会はこれを権力乱用と判断。タクシンのパスポートは現軍政下の2015年05月に再度破棄。
NLAは2014年05月の軍事クーデターでタクシン派インラック政権が倒された後に設置された国会に相当する機関。これまでにスラポンを含めプア・タイ党のメンバー、インラック前首相、ブンソン元商務相ら5人を罷免。
2012年09月にクルングテープで未明の交通量の少ない時間帯に高級スポーツカーを猛スピードで運転していてオートバイの警察官を跳ねて死なせ、そのまま逃走したなどの罪に問われている、飲料大手レッドブル創業者の孫ウォラユットについて、検察当局は3月30日、容疑者側の要求に伴い起訴を04月27日まで延期することになった。
当局の対応については以前から「金持ちに甘い。」といった批判意見が噴出しているが、起訴延期は今回が7回目となる。
検察庁によれば、容疑者には30日までに出頭するよう要請していたが、容疑者は「容疑者は英国で用事があり多忙。」と説明。この説明を南クルングテープ民事訴訟局長が受け入れ、出頭期限を04月27日に延期。
検察によれば、容疑の時効成立は自動車運転過失致死が2027年09月03日、負傷者救護義務違反が今年09月03日。
03月31日(金)治安当局がクルングテープに隣接するパトゥムタニー県で発見された大量の武器弾薬と筋金入りのタクシン支持者、ウティポン・コチャタマクン(仇名:コティ)との繋がりの捜査を進めていることなどについて、国外逃亡中のタクシンは、ネット上への書き込みで「プラユット首相率いる現軍政が延命のために一連の悪事の背後にいるのがタクシンだと決めつけている。」などと強く批判。
タクシンが公にプラユット政権を批判したのは2年ぶり。関係筋によれば、現政権は民政復帰の前に軍部が再び政治介入せずに済むよう制度などを整える必要があるとしており、これに当初予想より時間が掛かっている。一方、軍政に敵対するタクシン派は、早期の民政復帰を強く要求しており、現状について「軍部は可能な限り長期に政権の座にとどまろうと時間稼ぎをしている。」といった批判を展開。
04月01日(土)国外逃亡中のタクシンが「一連の悪事をタクシン派に結びつけることで軍政が延命を図っている。」などと批判したことに対し、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は、「真実を捩じ曲げるのは止めてタイに帰ってきて法の裁きに従うべきだ。」などと反論。
タクシンは首相在任中の汚職(職権乱用)で有罪が確定しているが、これを不当な判決として帰国して刑に服すのを拒んでいる。
NCPOのピヤポン広報担当は、「タクシンの批判は故郷から遠く離れた者の感情的な意見に過ぎない。もしタイの繁栄と発展を願うなら、司法制度を尊重して判決に従うべき。」
インラック前政権が導入した米担保融資制度は不正まみれなどのため巨額の損失が生じることになったが、政府汚職対策委員会(PACC)がこのほど、同制度に関与した302人のリストを懲戒処分や刑事的責任の追及のため関係機関に送付した。プラヨンPACC事務局長が、明らかに。
302人の内訳は、158人が農民市場機構と公共倉庫機関の職員、残りが倉庫のオーナーなど民間人とのことだ。プラヨン事務局長によれば、前者の中には在庫管理を監督する幹部も含まれているほか、1人で40件もの不正を働いた者もいる。」
米担保融資制度は、実質的に市場価格を上回る高値で米を買い上げて農民を支援するもの。過去の政府も米作農民支援プログラムを実施していたが、インラック政権の導入した制度は投入予算が莫大で損失額も前例がないほど大きなものとなっている。
04月03日(月)官報で発表されたタイ宮内庁の文書によれば、新憲法は06日に国王により承認され公布されることとなった。アナンタサマコム宮殿で同日、国王を迎えての新憲法公布式典が執り行なわれる。軍事政権のプラユット首相以下閣僚、枢密顧問官、立法議会議員、最高裁長官、各国大使らが出席する。侍従長が国王に憲法を渡し、国王が署名、その後、プラユット首相が連署する。06はタイの現チャクリ王朝記念日の祝日。
ウィサヌ副首相によると、新憲法公布詳細については04日の閣議後、首相により公式発表される。2014年05月の軍事クーデターに伴い、それまでの憲法は廃止され現行暫定憲法が制定されたが、06日、これに代わる新憲法が制定されることで総選挙に向けての手続きが加速する。
新憲法は軍政が作成した。国会が上院(定数250)と下院(定数500)の2院制で、非議員の首相を認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシンの台頭を招いたとみて、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は憲法施行から5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。
新憲法は昨年08月の国民投票(投票率59・4%)で賛成61・4%、反対38・7%で可決。昨年11月、プラユット首相がワチラロンコーン国王に提出して承認を求め、国王の助言に基づき、一部を修正。軍政は新憲法施行後、選挙関連法案を成立させ、下院総選挙を行う方針。軍政幹部は法整備など選挙準備に19ヶ月掛かるという見通しを示しており、総選挙は2018年後半になると見られる。
2014年05月のクーデターでタクシン派インラク政権を倒して発足した軍政は当初、2015年に下院総選挙を実施するとしていたが、その後、何度も日程を遅らせてきた。総選挙後も、軍・特権階級が上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えることから、軍主導の政権が発足し、プラユット首相が続投する可能性があると見られている。
04月04日(火)2014年05月の軍事クーデターで誕生した現在の軍政のもとでは政治活動が規制されているが、プラウィット副首相兼国防相は、「06日に新憲法が布告されるが、その後も政党の活動禁止は続く。」と明言。
新憲法制定に続く基本法制定でようやく民政復帰につながる総選挙実施が可能となるが、プラウィット副首相は「物事がきちんとした状態になるまでどうか待ってほしい。総選挙実施までにはまだ約1年ある。」と述べ、政党活動禁止の早期解除を否定。
04月05日(水)20時頃クルングテープ都内ラーチャダムヌーン通りで、ゴミ箱に仕掛けられた爆弾が爆発し近くにいたクルングテープ都庁の清掃員2人が軽傷。
タイ地元紙によると、何者かが仕掛けたピンポン爆弾が爆発したものと見られている。明日新憲法が公布されることから、反政府グループによる政治的な混乱を狙った可能性がある。
04月06日(木)ワチラロンコーン国王がアナンタサマーコム宮殿で新憲法に署名し、プラユット首相が連署。新憲法公布。
これに伴い、大規模な式典が執り行われ、枢密院顧問官、閣僚、立法議会(NLA)議員、憲法起草委員会(CDC)委員、最高裁判所長官閣僚、各国大使らが出席。04月06日はタイのチャクリー王朝記念日 (建国記念日)の祝日。 現チャクリー王朝ラマ1世の即位日。
軍政は新憲法の施行を受け、2018年中に議会下院(定数500)総選挙を実施するとみられる。ただ、新憲法は施行から5年間、軍政が議会上院(定数250)の議員を選任するため、事実上の軍政が続く見通し。
新憲法には軍政と対立するタクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党というタイの2大政党がいずれも、「非民主的」として反対を表明したが、昨年08月の国民投票(投票率59.4%)で賛成61.4%、反対38.7%で可決。昨年11月、プラユット首相がワチラロンコーン国王に提出して承認を求め、国王の助言に基づき、一部を修正。
新憲法の施行により、軍政が2014年のクーデター後に施行した暫定憲法は効力を失う。ただし、プラユット首相が自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条は維持される。
今後、憲法関連基本法制定などを経て来年後半に総選挙が実施され、民政移管が実現する見通し。
なお、新憲法はタイにとって第20番目の憲法。今回のように壮大な憲法公布式典が執り行なわれたのは、1968年06月20日の第8番目の憲法布告式典以来。
クルングテープ都プラナコン区チャラダムヌンクラン通の旧政府宝籤庁舎近くで05日、パイプ爆弾が爆発して女性2人が負傷。
このためサニット首都圏警察長官は、緊急会議を招集し、犯人の動機や過去の爆弾事件との関連などを早急に調査するよう命じた。
タイ警察によれば、今回使用された爆弾は、10年前にクルングテープ都内の映画館「メジャー・シネプレックス・ラチャヨティン」の公衆電話ボックスで爆発した爆弾と同じタイプのものである可能性がある。
04月07日(金)タイ深南部で04月06日夜から07日の夜明けにかけて爆弾事件や放火事件が連続して発生したのは06日の新憲法公布が原因との見方が出ている。
一連の事件は主に電力供給を止めることを狙ったもので、パタニー、ナラティワート、ヤラーの深南部3県および隣接するソンクラー県の19郡で電柱計52本が損壊し、広範な地域が停電。
新憲法は草案が昨年08月に行われた国民投票で61%の賛成で承認されているが、最南部3県パタニー、ナラティワート、ヤラーにおける同投票での反対票の比率はそれぞれ65%、62%、60%と比較的高かった。国民投票直後にも南部7県で爆弾攻撃・放火が起き、4人が死亡し、35人が負傷。
プラウィット副首相兼国防相によれば、「今回の一連の事件と新憲法公布との関連は今のところ不明。」
04月08日(土)ソンクラン(タイ正月)休暇を前にネット上には「首相府がソンクラン連休にむけて9つの規制策を打ち出した」との情報が流れているが、サンサーン政府報道官はこの情報を否定し、「交通事故対策強化で政府が批判を浴びていることに乗じて政府批判をさらに煽ろうとした者が偽情報を広めている。」と非難。

サンサーン政府報道官 →

規制の内容は、ソンクラン休暇中は体にぴったりした服や露出度の高い服、高圧型水鉄砲などを禁止し、違反者は厳罰に処されるなどというもの。サンサーン報道官は、「国民はこのような偽情報を過信することなく、真実を知らせることに協力してほしい。」と述べた。
04月10日(月)プラユット首相(元陸軍司令官)と閣僚、軍・警察幹部らは、クルングテープ都内のプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)宅を訪れ、タイ正月(水掛け祭り)の祝賀の挨拶。
今年97歳となるプレム議長は付き添いの男性の腕をつかんで現れ、足元がやや覚束ない様子だった。背筋は伸び、スピーチの声はしっかりしていた。プラユット首相を「古いタイプの軍人。」、「指導者として信頼できる。」と称賛し、「我々は国家、国民のために働いてきた。」、「我々を好まない国民がいるかもしれないが、しょうがない。」などと話した。
「プレム議長はタクシンと対立関係にある。」と報じられ、タクシン派の一部は、プレム議長と枢密院がタクシン政権を追放した2006年の軍事クーデターとタクシン派インラック政権を倒した2014年の軍事クーデターの黒幕と非難。タクシンは議長を「スーパーパワー」と呼んだ。
プレム政権は非議員のプレム首相が特権階級や軍の威光を背景に長期政権を率いた変則的な政治体制で、「半分の民主主義」と呼ばれた。現軍政が作成し、今月施行された新憲法は、非議員の首相を認め、議会上院を任命制に戻すなど、「半分の民主主義」体制の復活を目論んでいるという見方がある。
タクシン派インラック政権が行った米担保融資制度で不正があったとして損害賠償の行政命令を受けたインラック前首相はこの命令の差し止めを中央行政裁判所に請求していたが、中央行政裁判所はこの請求を却下。
米担保融資制度では不正行為が続出し巨額の損失を生むことになった。そのため、「米担保融資制度を監督する立場にあったインラック首相(当時)に職務怠慢があった。」として全損失額の2割に当たる357億Bの損害賠償を求める行政命令が下された。
その後、インラックはこれを不当として命令差し止めを請求。だが、裁判所は、「行政命令に基づいてインラックに賠償させるための具体的措置がまだ執られていないため、差し止めを命ずることはできない。」と判断した。
新憲法が06日に公布されたことで政党からは政党活動禁止解除を求める声が出ているが、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員長も、禁止解除に賛意。
タクシン派プア・タイ党は、「新憲法施行は民主主義の復活であることから、政党には自由に活動することが許されるべき。」と主張。だが、政府は「いましばらく辛抱してほしい。」として、当面の解除に否定的姿勢を示している。
なお、ソムチャイ委員長は、「今は政党の活動が禁じられているものの総選挙が近くなれば選挙運動が政党に許される。」との見通し。
04月16日(日)民主党のサティット副党首は、政府に対し、総選挙実施日を公表するよう要請。民政復帰につながる総選挙については、政府は具体的な期日を明らかにしていない。だが、サティッ副党首によれば、「新憲法が先に制定されるなど民政復帰に向けた手続きが執られているものの、『軍政は政権の座に居座り続けようとしている。』といった批判的な見方が出ている。これを払拭するために政府は総選挙をいつ実施するかを発表して軍政退陣のスケジュールを明確に示す必要がある。」
絶対君主制を廃し立憲君主制に移行させた1932年の立憲革命を記念する真鍮製の円形銘板が別の銘板と取り替えられたことが明らかになり、民主化勢力から「何者かが歴史の書き換えを狙っている。」という批判が出ている。
銘板はクルングテープのロイヤルプラザ(ラマ5世騎馬像前広場)の路面にはめ込まれ、「1932年06月24日、ここで、人民党が国家の発展のために憲法を作り出した。」と刻まれていた。取り替えられた銘板の文言は「サヤーム国に永遠の発展を」などで、立憲革命への言及はない。「サヤーム」はタイの以前の国名で、立憲革命後の1939年に「タイ」に変更された。
銘板があったクルングテープ都ドゥシット区は「銘板の取り換えを関知せず、どの組織が取り換えたのかわからない。」立憲革命を主導した人民党メンバーの子孫は、16日、警察に銘板の捜索願いを出したが、警察高官は「銘板の持ち主ではないので受け付けられない。」と述べ、捜査を行わない考えを示した。
04月17日(月)朝クルングテープ都内の仏教寺院ワット・ベンジャマボピット近くで、16日夜から、開かれていた民政復帰を求める数十人規模の集会を警察は強制的に散会させステージを取り壊し、集会指導者の男性を逮捕。
立法議会(NLA)では、政党と選挙管理委員会に関する2つの基本法の検討が間もなく開始され、05月半ばに完了する見通し。ピラサックNLA副議長がこのほど明らかに。これら2つの基本法に加え、上院議員選挙と下院議員選挙に関する2つの基本法を制定することが総選挙実施のために必要。これら4つの基本法は、憲法起草委員会(CDC)が04月06日の新憲法制定から240日以内に草案を作成。これら草案をNLAが60日以内に検討することになっている。最初の2つの基本法について、ミーチャイCDC委員長は、「18日にも草案をNLAに提出できる。」
憲法起草委員会(CDC)が作成した、政党と選挙管理委員会に関する基本法の草案について、立法議会(NLA)の基本法検討委員会の広報担当ワンロップは、「政党に関する基本法に関しては政党から賛否両論が出ている。」と説明した。基本法検討委員会では同日、政党の代表を呼んで意見を聞いたが、政党に関する基本法の草案に対し、小規模政党から「我々が不利になる。」といった批判的な意見が出た。これら2つの基本法は、総選挙実施に必要なもので、その草案は18日にCDCからNLAに正式に提出される。
クルングテープ都ドゥシット区の広場、ロイヤル・プラザの地面に埋め込まれていた1932年の立憲革命を記念した真鍮製銘板がいつの間にか新しいものに取替えられていた問題で、シーワラ警察庁副長官はこのほど、立憲革命に関わった人物の孫が先に警察に紛失した銘板を捜すよう求めたことに対し、「銘板の本当の所有者の要請であれば、警察は応じる。」と述べ、「警察が動き出すにはまず要請した者が所有者であると証明されなくてはならない。」との見解を示した。
立憲革命は、文民や軍人からなるグループによる政変によってタイが絶対君主制から立憲君主制に移行したというもの。その約9年後に銘板がラマ5世乗馬像のあるロイヤル・プラザの地面に埋め込まれた。カセサート大学(国立農業大学)によれば、「学生たちが研究のため04月01日と02日に銘板をチェックしたが、その時は変化はなく、同月08日に再び訪れてみると、新しい銘板に取替えられていた。」
ドゥシット区役所も銘板取替えに関わっていないと言う。シーワラ副長官は、「(ロイヤル・プラザは)銘板を設置した人の所有地なのだろうか。実際のところ(ロイヤル・プラザは)人が個人の所有物を設置しておける場所ではない。」と指摘。また、ロイヤル・プラザで銘板を取り返すための集会を行うよう呼びかけている者がいることについて、「政治集会禁止令に抵触する恐れがある。」と警告。
04月18日(火)クルングテープ都内のタイ首相府要望苦情受付センターで、銘板の行方の捜索を求める要望書をプラユット首相に提出しようとした社会活動家のシースワン♂が兵士によって都内の軍基地に連行された。連行の理由は明らかになっていない。
絶対君主制を廃し立憲君主制に移行させた1932年の「立憲革命」を記念する真鍮製の円形銘板が別の銘板と取り替えられた問題で、プラユット首相は、「銘板の行方と取り換えられた経緯を捜査するよう警察に指示した。」と述べた。
プラユット首相は、「銘板の取り換えは大きな問題ではなく、煽り立てるべきではない。」と主張。返還要求は無意味としながらも、この問題で反軍事政権の動きが活発化すること懸念し、捜査を指示した模様。プラウィット副首相兼国防相は、銘板の取り換えへの関与を否定。
一方、銘板の行方の捜索を求める要望書を首相に提出しようとして軍に拘束された社会活動家のシースワンは拘束から12時間後の18日夜、釈放された。シースワンはクルングテープ都内のタイ首相府要望苦情受付センターから都内の軍基地に連行され、「揉め事を起こさないよう、軍高官から協力を求められた。
ロイヤル・プラザの地面に埋め込まれていた、1932年の立憲革命にちなんだ金属製銘板が紛失し、新しいものに取替えられていた問題で、プラユット首相は、事実関係を究明するよう指示したことを明らかにし、「この問題に乗じて対立を煽るようなことがあってはならない。」と警告。プラユット首相によれば、「銘板紛失は人の生き死にかかわる問題ではなく、これが原因で対立が再燃するような事態は避けなければならない。首相は、「(1932年の絶対君主制から立憲君主制への移行によって)タイに民主主義が導入されて80年以上経った。また、民主主義は国民すべてによってなされるものであり、銘板によってもたらされるものではない。」と述べて、重要なのは民主主義であり銘板ではないとの見解を示した。
04月19日(水)
クルングテープ都ドゥシット区の広場、ロイヤル・プラザの舗装路面に埋め込まれていた1932年の立憲革命にちなんだ金属銘板が紛失していた問題で、市民グループが、ドゥシット署に銘板を探し出すよう要請し、クルングテープ都庁に対し「広場周辺の交通信号用ポールの上部に取り付けられていた防犯カメラの映像を確認させてほしい。」と伝えた。だが、都庁の返答は、「広場周辺の防犯カメラ11台は交通信号を改善する作業のために03月31日に撤去されていた。」
問題の銘板は04月初旬に何者かによって持ち去られて代わりのものが埋め込まれたとみられている。なお、同グループは、「ロイヤル・プラザは常に警察官や兵士が警備しているため、銘板の持ち去りを目撃した人がいるはず。」
04月24日(月)
00時10分頃
クルングテープ都内のフワイクワーン警察署前に手製爆弾が投げ込まれ、少規模な爆発が起きた。怪我人はなかった。
防犯カメラの映像によると、男2人が乗ったバイクがプラチャーソンクロ32通のフワイクワーン警察署前を通過する際に、後部座席の男が爆弾を投げた。バイクはそのまま逃走。
警察は周辺の防犯カメラの映像から2人の行方を追っている。
国家汚職制圧委員会(NACC)のプリーチャ委員はこのほど、NACCがタリット元法務省特別捜査局(DSI)局長の資産約1億バーツを差し押さえようとしていることを明らかに。
タリットはインラック前政権下で反タクシン派に厳しい対応を見せ、反タクシン派から「タクシン派の言いなり。」といった批判を浴びていた人物。プリーチャ委員によれば、「タリット元局長には新たに不正蓄財の疑いが浮上した。」
捜査班は資産隠しのため資産を側近に移したと見られており、側近がその資産に関して釈明できない場合、当局が資産を差し押さえることになる。
国防省のコンチープ報道官は、タイ海軍による支那製潜水艦1隻の購入がソンクラン連休明けの04月18日の閣議で承認されたことを明らかに。
135億Bで通常動力型潜水艦、S26T型潜水艦を購入。引き渡しは6年後になる見通し。タイ海軍は同型の潜水艦を計3隻導入する計画。
同計画には「景気低迷の折になぜこのように高額の買い物をするのか。」、「タイ湾で潜水艦を継続的に使用する可能性は極めて低い。」、「支那製潜水艦の値段と品質には疑問がある。」といった批判意見が出ていた。
コンチープ報道官は、閣議決定の文書や記者会見で潜水艦購入を明かさなかったことについて、「潜水艦購入を承認したのを隠すつもりはなかった。閣議で決まったことが全て記者会見で発表されるわけではない。」と隠蔽の意図を否定し、「軍事機密だから。」、「記者から質問がなかったから。」などと釈明。
タイ海軍は現在、潜水艦を所有していない。これまでに度々、潜水艦の導入を時の政府に働きかけ、2012年にはドイツ製の中古潜水艦6隻の購入をタクシン派インラック政権に打診したが、不要として却下された。海軍はその後、潜水艦を所有しないまま、タイ東部の海軍基地に潜水艦部隊司令部を建設、2014年に開所。
2014年のクーデターで発足したプラユット軍事政権は早期の民政復帰を求める欧米と対立し、支那との関係を強化。潜水艦以外にも、支那製戦車49台を導入する予定で、支那製兵器の整備と部品の製造を行う工場をタイに建設する計画についても支那と協議を進めている。
04月25日(火)タイ政府は「故プミポン前タイ国王の葬儀を10月25~29日に行う。」と発表。火葬は王宮前広場に建設中の火葬場で行い、王宮内のチャックリーマハプラサート宮殿に納骨される。荼毘に付す10月26日で公休日。
一部で疑問の声があがっていた海軍による支那製潜水艦購入計画が04月18日の閣議で承認され、これがすぐに発表されなかったことに批判が出ているが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、支那製潜水艦が比較的廉価で潜水艦用ミサイルも無料で提供されるなど購入には合理性があり、購入決定に至った経緯も透明性があり疚しい所はないと反論した。
このほか、プラウィット国防相は、「閣議では文書が閣僚に配られ、それについて意見が交わされたが、文書の内容は機密であり、通常は公表されない。どの内閣もこのようなことは同じ扱いをする。」と述べ、「潜水艦購入の承認をすぐに発表しなかったことに問題はない。」との認識を示した。
「支那製潜水艦の購入価格は135億Bであるが、潜水艦を売り込んできた他の9カ国より安かった。」タイ海軍はこの先11年間で支那製潜水艦3隻を刑360億Bで購入することを計画している。
04月26日(水)タイ海軍が135億Bで支那製潜水艦を購入することに対し一部で批判が出ている問題で、汚職問題に取り組んでいる団体、タイ反腐敗機構(ACT)のマナ事務局長は、政府に対し、購入決定に至った経緯を詳しく説明するよう要求。
政府は軍事機密などを理由に04月18日の閣議で潜水艦購入を承認したこともすぐには発表していなかったが、マナ事務局長は、「購入には国民から集めた税金が使われるのであり、購入の詳細を明らかにすることで現政権に対する国民の信頼感も高まる。」
なお、海軍関係筋によれば、海軍司令官が来月初めに支那を訪れ潜水艦購入のための調印をする予定。
04月27日(木)国家改革推進会(NRSA)のメディア改革部会が打ち出したメディア産業統制法案について、プラユット首相は、「個人的には同意できない。」と述べ、「国民がどのように考えているかを知りたい。」との考えを明らかに。
メディア産業統制法案では、「政府のメンバーを含む国家メディア評議会を設置し、規律に違反した者を罰する権限を同評議会に付与する。」などとされていることから、メディアがこぞって反対。今回のプラユット首相のコメントはメディアの姿勢を支持する格好。ただ、プラユット首相は、虚偽情報流布の問題は解決しなければならないとしてメディア産業統制法案を閣議で取り上げた場合にメディア産業統制法案に反対するかどうかは明らかにしていない。
支那製潜水艦を購入するというタイ海軍の計画が先に閣議で承認されたものの、それがすぐに発表されず、「疚しさがあったのではないか。」といった見方も出ているが、ピシット会計検査院長は、市民団体、護憲協会のシースワン事務局長による要請を受け、潜水艦購入の透明性について調査を行う意向を明らかに。
会計検査院は「潜水艦購入予算請求の必要性や購入が与える影響などについて詳しく調査する予定で、懸念される点が見つかれば、関係当局に連絡する。」、「ただ、潜水艦購入は軍事機密にかかわることであり、会計検査院も全ての情報を明らかにすることはできない。」
04月28日(金)タクシン一族による過去のシン・コープ株売却に絡んで国税局が「タクシンから税金など176億Bを徴収する。」と決めたことにタクシンから不服申し立てがあったことについて、プラソン国税局局長はこのほど、「国税局の不服を受け付ける委員会が不服申し立ての検討にかける時間は最長で2年間だが、6ヶ月から1年で検討を終えることできる。」との見通しを示した。また、税金の金額が委員会の検討権限を超えるとなった場合、局内のより上級の委員会が検討を行うことになる。」
シン・コープはタクシンが30年ほど前に設立した通信関連会社で、シン社のビジネスが成功し、タクシン一族が巨万の富を蓄えることになった。
タクシン派プア・タイ党の幹部らが、支那製潜水艦を購入するというタイ海軍の計画を政府が承認したことを「将来の政府に負担を強いるもの。」と批判。潜水艦購入に関してはインラック前首相も不同意を表明。
海軍は今後も支那製潜水艦を購入することを予定しているが、プア・タイ党幹部の1人は、「現政権の支持者も賛成しないだろう。今後11年間も国家予算を注ぎ込まねばならない。」と非難。
2012年に男性警官が高級スポーツカーフェラーリにはねられ死亡した事件で、世界的に人気があるドリンク剤、レッドブル(クラディンデーン)の創業者の孫のウォラユット・ユーウィタヤー(当時31、現在35)に対し、ついに逮捕状。ウォラユットは04月25日にタイから出国し、所在は不明。ウォラユットは危険運転致死、飲酒運転、スピード違反などで取り調べを受けたが、事件から5年近く経っても起訴されず、タイでは富裕層に法の手が及ばない実例として、世論の反発が強まっていた。
2012年09月03日早朝、クルングテープ都内のスクムビット通で、ウォラユット容疑者が運転する黒いフェラーリが前を走行していたトンロー警察署勤務のウィチアン警察上級曹長のバイクに追突し、曹長を約200m引きずって死亡させた。フェラーリは現場から走り去った。衝突した当時、フェラーリは時速約170㎞で走行していた。
警察はフェラーリから流れ出たとみられるオイル跡をたどってユーウィタヤー邸に辿り着いたが、警備員に進入を阻まれた。ウォラユットは数時間後に警察に出頭し、呼気からアルコールが検出された。ウォラユットは「帰宅後に気を静めるため飲酒した。」と主張。
ウォラユットが出頭する前に、ユーウィタヤー邸の自動車整備係の男性が「自分がフェラーリを運転していた。」と名乗り出たが、状況説明が出来なかったことから、警察は虚偽と判断。このとき、男性を犯人に仕立てる工作に関与した疑いがあるとして、所轄のトンロー署の幹部警官が首都警察付に異動処分を受けた。
この事件では当時のクルングテープ都首都警察司令官がユーウィタヤー邸を訪れ、「相手がどんな大物でも関心がない。真犯人を捕まえられないなら辞任する。」と啖呵を切り、周辺にいた警官から喝采を浴びた。それから4年後の昨年03月、別の交通事故をきっかけに、マスコミが再度、この事件に焦点を当てたところ、ウォラユットが危険運転致死、飲酒運転、スピード違反などいずれについても起訴されていないことが判明。スピード違反はすでに時効となっていた。
ウォラユットは事件後も優雅な生活を送っていたようで、英国、日本などで家族、知人らと観光や美食、スポーツなどを楽しむ様子をインターネットの交流サイトに掲載していた。
04月30日(日)タイ政府は、プラユット首相がトランプ米大統領と電話会談。
プラユット首相は電話会談で、「アジア地域の平和と安全を維持する米国の建設的な役割を支持する。」と伝えた。また、トランプ大統領からの訪米の要請を受けて米国を公式訪問することになった。プラユット首相はまた、「トランプ大統領にクルングテープを訪れてほしい。」と伝えた。
2014年のクーデターで民選政権を倒し発足したタイ軍政に対し、米国のオバマ政権と欧州各国は、早期の民政復帰を要求し、閣僚レベルの交流を停止するなど、外交関係を引き下げた。こうした中、タイ軍政は支那への傾斜を強めていた。
タイの首相が米国を公式訪問したのは、2006年にタクシン首相(当時)がニューヨークの国連本部で開催された国連総会に出席したのが最後。
関係筋は、「オバマ前大統領は2014年05月の軍事クーデターに伴い首相の座に就いたプラユット氏に訪米を求めたことはなく、今回の訪米要請は米政府の対タイ姿勢が大きく変化したことを示している。」と指摘。タイ軍事政権は歓迎の意向を示している。
05月02日(火)支那製潜水艦を購入するという海軍の計画に「透明性に欠ける。」といった批判が出ている問題で、プラユット首相は、海軍が01日に記者会見を行って計画について説明したことに対し、「詳しい情報を明らかにしすぎだ。」と不満を漏らした。
プラユット首相によれば、「潜水艦購入の情報には機密のものもあり、あまりに詳細を明らかにするのは不適切。軍事品購入に関してこんなに詳しい情報を公表している国はない。」と海軍の対応を批判。
5年前に高級スポーツカーフェラーリで警察官をはねて死なせそのまま逃走した飲料大手レッドブル創業者の孫、ウォラユット(35)の旅券を無効とするよう警察から要請があったことに対し、ドーン外相は、「旅券無効化の要件を満たしているかをまずチェックする必要がある。」との考えを示した。
は04月25日に出国したが、警察ではこれを出頭要請を免れようとしたものと判断。事件の捜査を担当するトンロー署が外務省領事局に旅券の無効化を要請。
この事件に関しては、容疑者がいまだ実質的に自由の身であることから、「警察当局は富豪の家族であることから手を拱いている。」といった批判が上がっている。
05月03日(水)「マレーシアで、過激組織ダーウィッシュ(IS)と繋がりのある者が武器とともにマレーシアから越境してタイに逃亡した。」と報じられたが、これを受けてタイ南部を管轄する陸軍第4管区が現在、情報の真偽を確かめている。
マレーシアの警察の監理監察官、カリッド・アブ・バカーは「マレーシア当局がISと繋がっているとされる者6人(♂4人、♀2人)を逮捕したが、逮捕を免れた者がタイに逃げ込んだ。」
ただ、ピヤワット第4管区司令官は、「慌てないでほしい。報道は単なる噂にすぎないかもしれない。」
「過激組織ダーウィッシュ(IS)と繋がっているとされるマレーシア人の男がタイに逃亡した。」とマレーシアで報じられたが、タイ南部を管轄する陸軍第4管区のピヤワット司令官は、「この男が観光客として頻繁にタイに出入りしていた。」、「今のところこの男についてはISとの繋がりを裏付ける情報は何もない」とも付け加えた。 男が居住しているのはマレーシアのクランタン州で、タイ南部に出たり入ったりしていたという。関係筋によれば、昨年03月から今年04月にかけて男は4回タイに入国し、5回タイから出国。
05月04日(木)タイ海軍による支那製潜水艦購入に「透明性に欠ける。」といった批判が出ている問題で、会計検査院のチームが、事実関係を解明すべく海軍司令官などから聞き取り。また、ピシット会計検査院長によれば、「チームはクルングテープ都バンコクヤイ区にある海軍本部に日参して関係書類をチェックする。」これは、書類が機密文書で持ち出しができないため。
なお、先に政府が承認した135億Bでの支那製潜水艦1隻の購入については間もなく海軍の代表が支那に赴いて売買契約書に署名する予定。
05月05日(金)飲料大手レッドブル創業者の孫で、5年前に警官を轢き殺した事件のウォラユットの旅券が無効とされた。旅券の無効化は警察が要請していたもので、首都圏警察のサニット長官が明らかにしたところによれば、「『外務省からウォラユットの旅券無効化の手続きが完了した。』との連絡があった。」
ウォラユットは未明のクルングテープ中心部で高級スポーツカー、フェラーリを高速で運転中にオートバイの警察官をはねて死なせ、そのまま逃走。だが、ウォラユットはこれまで実質的に自由の身であり、関係当局に対しては「金持ちには甘い。」といった批判が噴出。
警察は先にウォラユットの逮捕状を取ったが、すでに出国しており、現在、居場所が不明という。サニット長官によれば、「ウォラユットについて次に取る手は国際指名手配。」
支那製の通常動力型潜水艦、S26T型潜水艦1隻の購入契約を結んだ。今回の潜水艦購入については、「経緯が不透明で法的にも問題がある。」といった批判も出ており、会計検査院が事実関係を解明するために動き出しているが、軍政が押し切った。
タイ政府代表として北京を訪れたルーチャイ海軍参謀長が支那の国営造船会社、支那船舶重工集団に約135億Bで発注。引き渡しは6年後の予定。タイ海軍はS26T型潜水艦を合計3隻導入する計画。契約式ではタイ海軍を代表してルーチャイ海軍参謀総長が署名。
タイ海軍は現在、潜水艦を所有していない。これまでに度々、潜水艦の導入を時の政府に働きかけ、2012年にはドイツ製の中古潜水艦6隻の購入をタクシン派インラック政権に打診したが、不要として却下。海軍はその後、潜水艦を所有しないまま、タイ東部の海軍基地に潜水艦部隊司令部を建設、2014年に開所。
2014年のクーデターで発足したプラユット軍事政権は早期の民政復帰を求める欧米と対立し、支那との関係を強化している。潜水艦以外にも、支那製戦車49台を導入する予定で、支那製兵器の整備と部品の製造を行う工場をタイに建設する計画についても支那と協議を進めている。
「透明性に欠ける。」などの批判を受けているタイ海軍による支那製潜水艦購入は、会計検査院による調べが進められているが、ここに来て市民団体、護憲協会のシースワン事務局長が違法と訴えており、購入手続きが行政裁判所によって差し止めとされる可能性が出てきた。
シースワンによれば、「予算審査法23条によれば潜水艦購入計画は昨年末に閣議で承認されていなければならなかったが、実際に承認されたのは今年04月18日だった。さらに潜水艦購入計画は政府間取引として進められており、憲法178条にも抵触する。」シースワン事務局長は、行政裁判所に提訴するようオンブズマンに要請する意向。
昨年10月13日に崩御したプミポン前国王の火葬の儀がクルングテープのサナムルアン(王宮前広場)で10月25~29日に掛けて執り行なわれるが、ウィサヌ副首相はこのほど、「5日間に渉る火葬の儀がすべてテレビで生中継される予定。」と明らかに。
遺体が火葬されるのは26日で、政府はこの日を休日とすることを決定。
また、地方の人々が火葬の儀に参列できるよう25日と27日も休日にすべきとの声もあるが、ウィサヌ副首相によれば、現時点ではまだ検討中。
05月08日(月)タイ海軍による支那製潜水艦購入に対し、「憲法178条では議会の承認が必要とされているにも関わらず、承認されておらず違憲。」との批判が出ていることについて、ウィサヌ副首相は、「国際的な取引が全て178条の適用対象となるわけではなく、潜水艦購入に議会の承認は不要。」との見方を示した。
「違憲」との見解は、市民団体「護憲協会」のシースワン事務局長が示したものだが、ウィサヌ副首相によれば、「安全保障、経済、貿易、投資など広範囲に影響が及ぶ可能性のあるものに限って議会の承認が必要であるが、潜水艦購入は議会の承認が不要。
なお、支那製潜水艦購入に関しては「透明性に欠ける。」といった批判が出ているが、陸軍はこのほど、「支那から装甲車34台を購入し、戦車11台を追加購入する方針である。」と明らかに。支那製戦車は合計49台購入される予定。「1962年に購入した米国製戦車が老朽化しており、新たに戦車を調達する必要がある。」
国際人権連盟(FIDH)は、「タイのプラユット軍事政権下で不敬罪で逮捕された人が105人に達した。」と発表。このうち49人は最長で30年の禁固刑を受けた。64人は裁判で拘留中。
FIDHは「逮捕者の多くが民主化活動家、軍政の批判者で、いったん逮捕されると保釈が認められることがまずない。タイの司法システムが著しく公正さを欠いている。」と批判。
タイの不敬罪はタイ国王、王妃、王位継承者、摂政に対する批判を禁じたもので、有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年のクーデターで発足したプラユット軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、民主政権下で問題とされなかった事例も遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数カ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。
05月15日(月)20時過ぎクルングテープ都内プラナコーン区ラーチニー通にある国立劇場前で少規模な爆発が起き、通行人の女性2人が軽傷。何者かが仕掛けた爆発物が爆発したものと見られている。現在首都圏警察らが捜査を進めている。現場は故プミポン前国王の火葬施設の建設が行われている王宮前広場近いことから、政治的な混乱を目的に何者かが爆弾を仕掛けた可能性が高い。
この事件では夜、現場を視察したサーニット、クルングテープ首都警察長官が「爆弾ではなく、パイプが破裂した事故。」と断言していた。しかしその後、爆発現場から数mの場所で、時限爆破装置の部品と見られるものが見つかり、「小型爆弾が爆発した。」という見方が強まった。
王宮前広場近くでは04月05日夜にも、路上のごみ箱に仕かけた手製爆弾が爆発し、クルングテープ都庁の清掃員2人が軽い怪我をする事件があった。
タイでは2014年05月に軍がクーデターで民主政権を倒し、軍事政権が発足した。治安当局は2度の爆発事件を軍政に反対する勢力による犯行と見て捜査を進めている。
05月16日(火)2014年05月22日の軍事クーデターで当時のインラック政権が倒され、現在の軍政が誕生。このクーデターから間もなくちょうど3年となるが、クルングテープ中心部で15日夜、2人が軽傷を負う爆弾事件が発生。プラウィット副首相兼国防相は、とりわけ大都市での治安対策の強化を関係当局に指示したことを明らかにした爆発があったのは国立劇場の近く。誰がどのような目的で爆弾を爆発させたかは不明。
また、プラウィット副首相は、「頃合いを見計らって不安を煽ろうと画策している者たちがいる。当局がその動きを監視している。」と述べたが、それが誰なのかは明らかにしなかった。
あと数日で2014年05月22日の軍事クーデターからちょうど3年にとなるが、プラユット首相は、「この3年間、わたしは国を前進させるため、社会・経済問題を解決するため最善を尽くした。」と述べた。プラユット首相は、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長でもある。
プラユット首相は、「もし不満な点があるとしたら、(行程表に基づいて)全てを達成できなかった場合だろう。だが、私は与えられた予算、時間の範囲内で最善を尽くした。」また、「政策を立案するが政府であり、NCPOは政府を監督する最高司令官というより政府を支持する部門のようなもの。」と説明。
05月17日(水)クルングテープ中心部で15日夜、2人が軽傷を負う爆弾事件が発生。タイ当局は17日までに、「小型の手製爆弾が爆発した。」という見方を固めた。
タイのテレビ報道によると、「昨年10月にクルングテープで爆弾テロを企てた。」として指名手配されていたタイ人の男4人(23、21、19、19)が、警察に出頭し逮捕された。
逮捕された4人はいずれも深南部ナラティワート県出身のマレー系イスラム教徒。この事件では17人が指名手配され、これまでに13人が逮捕された。
警察によると、容疑者グループは昨年10月25日から30日の間にクルングテープ首都圏で自動車を使った爆弾テロを実行しようとした。クルングテープ近郊で爆弾を製造し、爆破場所の下見まで行ったが、計画を察知した治安当局が一斉捜索を行い、未然に阻止した。
タイ深南部(パタニー、ナラティワート、ヤラーの3県とソンクラー県の一部)は住民の大半がマレー語方言を話すイスラム教徒で、一部がタイからの分離独立を掲げて過激化し、タイ当局との武装抗争を続けている。2004年以降、1万6000件を超えるテロが発生し、6700人以上が死亡。
最近では、04月03日にヤラーの警察検問所が武装グループの襲撃を受け、警官9人が重軽傷を負った。20日にはナラティワート、パタニー、ソンクラーで、警察署、検問所など13ヶ所が武装グループの襲撃を受け、武装グループ側の2人が誤爆で死亡、自警団員1人が銃で撃たれけがをした。27日には、ナラティワートで、タイ軍兵士6人が乗ったピックアップトラックが武装グループの襲撃を受け、銃で撃たれるなどして6人全員が死亡。
今月09日には、パタニー市のショッピングセンター、ビッグCパタニー店前に駐車したピックアップトラックが爆発し、61人が負傷、店舗の一部と自動車、バイク約40台が破損した。犯行に使われたピックアップトラックの持ち主の男性は11日、パタニー県内の水路で痛いが見つかった。犯人グループは男性を殺害してピックアップトラックを奪い、爆弾を仕掛けてビッグCパタニー店前に乗り捨てたと見られている。
深南部のテロは他地域にも広がる動きを見せている。昨年08月には、中部フアヒン、南部プーケットといったタイ屈指のリゾート地を含む7県の十数ヶ所で連続爆破放火事件が発生し、4人が死亡、英国人、オランダ人など外国人を含む37人が怪我。タイ当局はこの事件で、深南部出身のマレー系イスラム教徒の男7人の逮捕状を取った。
05月18日(木)タイ法務省特捜局(DSI)は、タイ証券取引所(SET)上場の「不動産大手ランド・アンド・ハウスのアナン・アサワポーキン最高経営責任者(CEO)を資金洗浄(マネーロンダリング)に加担したことを裏付ける確固たる証拠が存在する。」、「アナンに対し06月07日に出頭するよう要請する。」と発表。
横領などで服役中のスパチャイ元クロンチャン信用協同組合理事長が信組の預金額のほとんどに当たる130億B(報道により120億B)以上を横領した事件に関連し、資金洗浄に関与した疑い。
DSIによると、スパチャイ元理事長はクルングテープ郊外の新興仏教団体タマカーイ寺の隣接地厄7.4haを所有する企業を信組を通じて2億7500万Bで買収。アナンは2011年に、この土地を市価を大幅に下回る9378万Bで買い取り、後に4億9200万Bで転売。転売で得た利益のうち3億Bはタマカーイの教祖であるプラタマチャヨー僧の財団に寄付。スパチャイ元理事長とアナンはタマカーイの信者。
一方、アナンは、「出頭要請を私に直接伝えれば良いのになぜ出頭要請の発表という形を取ったのか理解に苦しむ。DSIは以前から私から話を聞きたいとしていたが、検察から聞き取りを受けたこともない。」などと述べている。なお、アナンは「出頭要請がビジネスに影響することはない。」と考えている。
スパチャイ元理事長は信組から横領した金のうち10億B以上をプラタマチャヨーとタマカーイに寄付したとされる。タイ当局は資金洗浄などの容疑でプラタマチャヨーの逮捕状をとり、今年02、03月、敷地面積が32haに及ぶ広大なタマカーイ寺の捜索を行ったが、プラタマチャヨーは雲隠れし、発見できなかった。
タイの金融雑誌「マネー&バンキング」とタイ国立チュラロンコーン大学のチームがタイの個人が所有するタイ証券取引所(SET)とSET2部市場(MAI)の上場株式の時価を調べた「タイ株長者番付」で、アナンは2003~2009年に7年連続して1位。2016年の番付では256億B(前年比25.7億B増)で5位。
05月21日(日)タイ警察庁中央捜査局(CIB)のティティラット局長は、不敬ウェブサイト対策の一環として、閲覧しただけの者にも警告するなどの措置を取る方針を明らかに。
当局は捜査対象を、「①制作者および管理者、②コメントしたりコンテンツをシェアしたり、フェイスブックでは『いいね』をクリックしたりする者、③閲覧するだけの者の3グループに分類しているが、①グループは大半が国外に逃亡しているため逮捕が困難。これに対し、②と③のグループの大半は国内におり、特に②のグループは「法に抵触するとは知らなかった。」と主張するケースが多い。このため、不敬コンテンツの拡散を効果的に防止するには③のグループも対象にすることが必要との判断に至った。」
ティティラット局長は、「警察は閲覧者を割り出すためのツールを入手する準備を進めている。最初は警告だけだが、全ての閲覧者に警告するわけではない。罪を犯す恐れのある者を選び警告し、②のグループに移行するのを防ぐ。」と説明。
なお、ティティラット局長によれば、「不敬コンテンツの拡散防止ではフェイスブックやユーチューブから協力を得ているため、この措置が功を奏すれば、②と③グループを対象とした対策は必要なくなる。」
05月22日(月)10時頃クルングテープ都内ラチャテウィー区戦勝記念塔に近くにある、軍人とその家族向けの国立病院、プラモンクットクラオ病院の待合室で、爆発があり25人が重軽傷。すでに警察が現場から爆弾の装置などを回収しており、現在詳しく調査を行っている。 負傷者の多くは、爆発で飛散したガラスなどによるもの。地元警察は「爆発予告などはなかった。」と明かした。
22日は2014年05月22日に起きた軍事クーデターから3年目に当たることから、治安当局は反軍政グループによる抗議行動を警戒していた。
事件現場となった病院の患者は軍および警察関係者がほぼ9割。今回の被害者25人のうち15人が軍・警察関係者だった。外国人の被害は報告されていない。仕掛けられていた爆弾の殺傷範囲は2~3mであり、命にかかわる重傷者は出なかった。
クルングテープ中心部ラチャテウィー区にある陸軍運営のプラモンクットクラオ病院で5月22日午前10時頃、何者かが仕掛けた爆弾が爆発して25人が負傷し、うち1人が重体となっている事件で、チャルムチャイ陸軍司令官は同日、爆発で釘が飛散する仕掛けになっていたことから単なる脅しではなく殺傷が目的との見方を示し、「非常に悪質だ。戦時でも病院は攻撃しない。負傷者のほとんどが高齢者と病人。」と犯行を厳しく非難。
今回の事件は、陸軍が2014年05月22日にクーデターで当時のインラック政権を倒してからちょうど3年となる日に起きたことから、軍事クーデターに反対する勢力の仕業との見方が出ているが、関係当局によれば、04月05日と05月15日にクルングテープ王宮前広場近くで起きた爆弾事件(それぞれ2人が負傷)と今回の爆弾事件の関連が疑われる。チャクティップ警察庁長官は、これら3事件について「爆弾のはんだ付の特徴が同じであり、同一犯によるもの。」
また、軍部に批判的な姿勢をとっているタクシン支持団体、反独裁民主同盟(UDD)のチャトポン議長は、「今回の爆弾攻撃は野蛮な行為だ。我々は全く関わっておらず、関与を疑われてもなにも怖くない。」
05月23日(火)クルングテープ都心の軍系のプラモンクットクラオ病院で25人(報道により24人)が重軽傷を負う爆弾事件が発生したことを受けて、プラユット首相は、「治安と平和を脅かす事態が続けば、民政移管のための下院選挙が遅れることもあり得る。」と述べた。記者に下院選の具体的な日程を明かすよう求められると、「なぜそんなことを聞く。明確にする事柄か」と反論。下院選に出馬するのかという質問には、「知らない、知らない。」と応じた。
今年04月初めにようやく新憲法が制定されたことから、今のところ来年後半に民政移管のための総選挙が行われる見通し。
プラユット首相は、「最も重要なのは、爆弾攻撃、戦闘用兵器の使用、国民間の不和といった状況が続く中で予定通りに選挙を実施することができるかということ。全ては国民の協力に掛かっている。」と強調。
05月25日(木)クルングテープ中心部のプラモンクットクラオ病院で爆弾が爆発して25人が重軽傷を負った事件で、チャルムチャイ陸軍司令官は、「不敬行為で逮捕状の出ている中核的なタクシン支持者、ウティポンの関与を示唆する新しい証拠が出てきた。」と明らかに。
チャルムチャイ司令官によれば、「ウティポンはラオに潜伏中とされるが、インターネットを通じてタクシン支持者に暴力に訴えるよう呼びかけ続けている。」、「ウティポンが爆弾事件に首謀者である可能性が高い。」
また、今年03月にクルングテープの北隣パトゥムタニー県で大量の武器弾薬が発見され、これにもウティポンが関与しているとの見方が支配的。このため、タイ当局はラオに対しウティポンの身柄確保を要請しているが、ラオからは未だに返答がない。
05月28日(日)クルングテープ中心部に位置する軍運営のプラモンクットクラオ病院で05月22日、爆弾が爆発して25人が重軽傷を負った事件で、関係筋は、「治安当局がプラモンクットクラオ病院の職員のうち女性2人、男性1人に聞き取りを行った。」と明らかに。
事件発生前に複数の国立病院に爆弾攻撃の予告があったというが、これへの関与が疑われる女性についても治安当局が27日夜に聞き取りを行った。この事件は、発生した5月22日が現在の軍主導の軍事クーデターからちょうど3年目であったことから軍政に反対する者の仕業との見方が有力だが、今のところ容疑者の特定には至っていない。
ピチャイ元民主党党首が、「次期総選挙には軍がバックアップする政党が参加して勝利する可能性があるとして、これを阻止するには民主党、プア・タイ党など4党が1つの政党となって総選挙に臨むしかない。」との考えを明らかに。
総選挙は今のところ来年後半に実施され、民政復帰が実現するとみられている。だがその一方で、軍部の支持する政党が勝利して軍部が国政において影響力を持ち続けるのではないかと懸念する声も出ている。
国外逃亡中のタクシンの強い影響下にあるとされるプア・タイ党ではピチャイ案を支持する意見も出ているが、反タクシン派・民主党のサティット副党首は、民主党とプア・タイ党の合体にはプア・タイ党がタクシンとの関係を絶つことが必要としており、関係筋は「4党統合は容易に実現できそうにない。」との見方。
05月29日(月)05月22日にクルングテープ中心部のプラモンクットクラオ病院で起きた爆弾事件について、チャクティップ警察庁長官は29日、この1週間のうちに逮捕状を請求できる見通しと述べ、事件の捜査が進展していることを示唆。
だが、犯人に関する情報は全く明らかにされておらず、捜査が実際にどの程度進んでいるかは不明。
なお、クルングテープでは以前から政治対立に関連するとみられる爆弾事件などが時折起きているが、その多くが未解決のままとなっている。
05月30日(火)午後クルングテープ都ホワイクワン区ラチャダピセーク通のの地下鉄MRT地下鉄タイ文化センター駅近くの木立ちで、長さ20㎝程の金属製パイプに爆薬を詰めたの小型手製爆弾が見つかり、警察の爆発物処理班が回収。警察はクルングテープで相次ぐ爆弾事件との関連を調べている。
第1発見者は釣りをしようとラチャダピセーク通上り線に面するレストランの裏手に向かっていたオートバイタクシーの運転手で、14時頃にホワイクワン署に爆弾発見を通報した。爆弾は緑色のプラスチックの籠の中に入っており、蚊取り線香の火で導火線に着火する仕掛けになっていたが、雨で蚊取り線香の火が消えていた。また、都庁の清掃職員が、爆弾が発見された場所に2人乗りのオートバイがやって来て後部座席の男が降りて5分ほど何かをしていたのを目撃していた。
クルングテープでは04月05日、王宮前広場近くの路上のゴミ箱に仕かけた小型爆弾が爆発し、クルングテープ都庁の清掃員2人が軽い怪我。
05月15日には同じく王宮前広場近くのタイ国立劇場前で爆発が起き、通行人の女性2人が軽いけがをした。現場を視察したサーニット首都警察長官は「爆弾ではなく、パイプが破裂した事故。」と断言したが、その後、爆発現場から数mの場所で、時限爆破装置の部品と見られるものが見つかり、小型爆弾が爆発したと判明。サーニット司令官は翌16日、事故発言は「犯人を攪乱するためだった。」と釈明。
05月22日には戦勝記念塔近くにある軍人とその家族向けの国立病院、プラモンクットクラーオ病院の待合室で爆弾が爆発し、患者ら24人(報道により25人)が重軽傷。事件があった22日は軍事クーデターから丸3年にあたる。
一連の犯行について、チャルームチャイ陸軍司令官は05月25日、「軍事政権と対立するタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)元幹部で不敬罪などで逮捕状が出ているウティポン(通称、コティ)が関与した。」という見方を示した。一部メディアは消息筋情報として、「治安当局が、ウティポンのほか、タクシンの従兄弟のチャイヤシット元陸軍司令官、タクシンの妹であるインラック前首相の顧問を務めたパンロップ退役陸軍大将の関与を疑っている。」と報じた。3人はいずれも関与を否定。
タイ国外にいると見られるウティポンはインターネットの動画投稿サイトで公開したインタビューで、「警備が厳重なはずの軍の病院で爆弾事件が起きた。」、「軍政の自作自演だ。」と主張。一方、「民兵組織の設立を進めている。」と述べ、軍政との対立姿勢を鮮明にした。
治安当局は今年03月、ウティポンが所有する会社のクルングテープ郊外の社屋を捜索し、自動小銃、擲弾(小型砲弾)発射器、手榴弾、銃弾5000発以上などを押収。当局は、「ウティポンが率いる組織がプラユット首相らの暗殺を計画していた。」と主張。資金洗浄取締法違反などの容疑で教祖に逮捕状が出ている新興仏教寺院タマカーイとウティポンの組織の結びつきも示唆。
06月01日(木)インラック前政権による米担保融資制度は大きな損失を出し、インラック前首相にも巨額の損害賠償が求められることになったが、政府反汚職委員会(PACC)は、「米担保融資制度で農家から預かった2億B相当の籾米がナコンサワン県の倉庫から消えていたことが判明した。」と明らかに。
プラヨンPACC事務局長によれば、「この倉庫については6万2000tあまりの籾米を精米所に移し、精米済みの米を受け取ったことを示す書類が存在していたものの、実際にはあるはずの2億B相当の米が倉庫内にはなかった。」なお、PACCが調査を進めている米担保融資制度絡みの不正疑惑は990件あまりに上る。
06月05日(月)クロンチャン信用協同組合の巨額横領事件に絡んで資金洗浄の疑いをかけられた、不動産大手ランド&ハウス社のアナン前会長が、法務省特別捜査局(DSI)に出頭し、約3時間にわたって容疑の説明などを受けた。
その後、アナンは報道陣の前に姿を見せて、容疑を全て否認したこと、潔白を証明するための書類を準備するために60日必要とDSIに伝えたことを明らかに。
だが、捜査関係者は、「アナン氏の容疑を裏付ける十分な証拠が存在する。」と話している。
06月09日(金)22時30分首都圏警察は、クルングテープ都クローングタンヌア区エカマイ通ソイ23のアパート「グランド・ハイテク・タワー」7階を捜索し、監禁されていた会社経営者の日本人男性、ワタナベツネミ(55)を救出し、ワタナベを拉致監禁して暴行を加えた容疑で日本人ヤクザ男3人、小針政人(コバリマサト)(49、報道により48)、宮田清人(ミヤタキヨト)(57、報道により56)、鶴添玲王(ツルゾエレオ)(41、報道により40)を逮捕。
ワタナベと主犯格の小針政人との間には以前トラブルがあり、その関連でワタナベを誘拐監禁し、クレジットカードなどの暗証番号を聞き出そうとワタナベをバットで殴り重傷を負わせたが、命に別状はない。都内のアパートから救出されたワタナベは暴行により足などに重傷を負っており、病院に搬送された。
ワタナベは救出された当時、ベッドに縛り付けられ、右足を骨折し、左足にも重傷を負っていた。また、容疑者グループが使用していた都内のスクムビット通ソイ49の別のアパートの部屋で、鋸、ロープ、プラスティック袋など殺害後を想定したものが発見されており、タイ警察は、「誘拐犯グループがワタナベの現金を奪った上で殺害、死体遺棄を計画していた。」と見ている。
調べによると、容疑者グループは05日夜、ワタナベをスクムビット通ソイ49のアパートに呼び出し、金属バットで殴るなどして大怪我を負わせた。その後、エカマイ通ソイ23のアパートで監禁し、クレジットカードの暗証番号を聞き出すなどした。
ワタナベは監禁された後、タイ人の妻に1度だけ電話し、「自分を探さなくていい。」と伝えたが、いつになっても帰宅しなかったことを不審に思った妻が警察に通報。捜査の末に監禁先のコンドミニアムの一室で男性と一緒にいる犯人の3人を逮捕。
誘拐犯グループはワタナベを誘拐し暴行を加えたことを認めたが、殺意は否認している。誘拐犯グループとワタナベは日本で知り合い、トラブルを抱えていた模様。
首都圏警察のサーニット長官はテレビインタビューで、誘拐犯グループの経歴は不明としながらも、「誘拐犯の1人は小指が切断され、入れ墨がある。」と述べ、暴力団関係者という見方を示唆。
06月12日(月)タイのテレビ報道によると、タイ当局はプーケット県、クラビ県、パンガー県、トラン県といったタイ南部のアンダマン海側のリゾート地でタイ深南部のマレー系イスラム武装勢力によるテロが起きる可能性があるとして、空港、商店街などで警戒を強化。
プラウィット副首相兼国防相は「プーケット県などにテロへの警戒を指示した事実はなく、全国的に治安維持に取り組んでいる。」と述べた。
「タイ南部の観光地ではテロ攻撃の可能性が高まっており、警戒が強化されている。」との一部報道を受け、アヌポン内相は、「内務省の関係部署が警戒態勢を強化するよう命令した事実はない。」と明言。
一部報道では、「プーケット、パンガー、クラビーなどの観光地で厳重な警戒態勢が取られている。」とされているが、当局の説明によれば、誤解。
東南アジアではフィリピン南部ミンダナオ島の都市マラウイが先月23日、過激派組織「イスラム国」(IS)系の武装グループ数百人に襲撃され、現在もフィリピン軍との間で戦闘が続いている。タイ当局はイスラム教徒住民が多数を占めるタイ深南部にISの影響力が浸透することを懸念し、今月06日、マレーシアとの国境であるタイ深南部ナラティワート県のコーロク川の渡し船の船着き場6ヶ所を閉鎖。
タイ深南部(パタニー、ナラティワート、ヤラーの3県とソンクラー県の一部)は住民の大半がマレー語方言を話すイスラム教徒で、一部がタイからの分離独立を掲げて過激化し、タイ当局との武装抗争を続けている。2004年以降、1万6000件を超えるテロが発生し、6700人以上が死亡。
先月09日には、パタニー市のショッピングセンター(SC)前に駐車したピックアップトラックが爆発し、61人が負傷、店舗の一部と自動車、バイク訳40台が破損。犯行に使われたピックアップトラックの持ち主の男性は11日、パタニー県内の水路で遺体が見つかった。タイ当局は、マレー系イスラム武装勢力が男性を殺害してピックアップトラックを奪い、爆弾を仕掛けてSC前に乗り捨てたとみている。
タイ当局は、「ISなどタイ国外のテロ組織が深南部の過激派と接触した事実はない。」と主張。しかし、昨年08月に、プーケット、中部フアヒンといったリゾート地を含むタイ中南部7県の十数ヶ所で発生した連続爆破放火事件では、深南部出身のマレー系イスラム教徒の男7人に逮捕状が出たほか、犯人の一部が国外で訓練を受けた可能性をタイ警察幹部が示唆。
06月13日(火)国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、「タイで2014年の軍事クーデター以降、不敬罪による訴追が増加し、刑罰が重くなってきている。」として、強い懸念を表明。
タイの軍法会議が今月09日、インターネットの交流サイト、フェイスブックにタイの王室を中傷する写真と動画、コメントを投稿したとして、タイ人男性(34)に禁錮35年の実刑判決を言い渡したことを取り上げ、不敬罪による刑罰としてこれまでで最も重いと指摘。民主政権下の2011~2013年に不敬罪で捜査対象となった人が119人で、このうち訴追されたのが76%だった一方、軍事政権下の2014―2016年には少なくとも285人が捜査対象となり、90%が訴追されたとして、不敬罪の厳罰化の動きに警鐘を鳴らした。
「表現の自由の権利を行使した人を投獄することは市民的及び政治的権利に関する国際規約の第19条に違反する。」と批判。また、軍政発足以降、不敬罪に関する裁判の多くが軍法会議で裁かれ、裁判の内容が一般に公開されていないこと、被告のほとんどが保釈を認められないことを指摘し、不敬罪の即時改正を求めた。
タイの不敬罪はタイ国王、王妃、王位継承者、摂政に対する批判を禁じたもので、有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年のクーデターで発足したプラユット軍政は不敬罪による取り締まりを強化し、民主政権下で問題とされなかった事例も遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数カ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。
06月15日(木)05月22日にクルングテープ都内の戦勝記念塔近くにある軍人とその家族向けの国立病院、プラモンクットクラオ病院の待合室で花瓶の中に隠されていた爆弾が爆発し、患者ら25人(報道により24人)が怪我をした事件で、タイ警察は、「国営企業で働いていた容疑者の電気技師の男、ワッタナ・ブムマレット(61、報道により62)を逮捕し、都内にある自宅から爆弾の部品、材料を押収した。」と発表。逮捕後にワッタナを伴って自宅を家宅捜索し、爆弾を作るための材料や起爆装置の電気配線図をメモしたものなどが見つかった。
ワッタナは取り調べに対し、過去数年間にクルングテープどで起きた爆弾事件も自分の犯行だと認めた。また、動機については、「軍が赤服(タクシン支持者)のデモに参加した人々を殺したことへの報復。」と述べている。警察関係筋によれば、「病院の防犯カメラの映像を詳しくチェックしたことで容疑者を割り出し逮捕することができた。」
軍、警察は、「04月05日と05月15日に都内の王宮前広場で爆弾が爆発した事件についても、男が関与した疑いがある。」と見ている。また、単独での犯行ではなく、協力者がいたと見て、取り調べを進める方針。
支那の技術を導入してクルングテープと東北部ナコーンラチャシマーの間に建設する予定の高速鉄道(全長約252㎞)について、プラユット首相は、自身に事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、同事業に関するタイの法規制の適用を一部免除。
入札なしで支那企業に設計、施工管理を任せるほか、タイで働く支那人エンジニアの資格審査を緩和する。強権発動で必要な法手続きを免除し、大幅に遅延している計画の推進を図る。
2014年のクーデターで発足したタイ軍事政権は同年、ラオ国境の東北部ノンカイからナコーンラチャシマー、タイ中部サラブリー県ゲンコイを経て東部ラーヨン県マプタプット港に至る全長734㎞とゲンコイ-クルングテープ間133㎞の中速度(最高時速160~180㎞)鉄道路線を共同開発することで、支那政府と合意し、了解覚書に調印した。
しかし、支那の見積もりとタイの予算の隔たりが埋まらない上、支那が出資や低利融資に難色を示し、協議が難航。プラユット首相は当初案を断念し、2016年03月、クルングテープ-ナコーンラチャシマー間の高速鉄道を、建設費用をタイが全額負担し、支那の技術で建設する方針を支那に伝えた。
しかし、協議はその後も迷走し、2016年07月、3.5㎞の区間を先行して建設することで、両国がようやく合意。同年09月着工を目指したが、両国関係者の度重なる協議にも関わらず、具体的な前進が見られず、現在も未着工のままだ。計画自体についても、「赤字経営が必至で巨額のつけが納税者に回る。」(タイ民主党)といった批判が出ている。
06月16日(金)13時頃クルングテープ都内のスクムビット通ソイ40と42の間の国連教育科学文化機関(UNESCO)のクルングテープ事務所横の歩道で爆発が起き、掃除婦2人シリワン・スリペング(51)、ナムワン・スキット(43)が軽傷。最寄りの病院で手当を受けた。
清掃員の1人が植え込みに放置されていた黒い袋を拾い上げ、中を見ようとしたところ、爆発が起きた。警察は「袋に入っていた小型爆弾が爆発した。」と見て捜査している。
地元警察は、「この事件は政治的な情勢悪化を狙ったものではなく、若者が何らかの目的で設置した小型の爆弾の可能性が高い。」と見ている。頻発する職業訓練生の抗争事件で改造銃、刃物、爆発物などが使われており、今回の事件現場が学校の前であることから、生徒が爆発物を放置した可能性が高い。その近くからはナイフの入った袋も見つかっている。首都圏警察のサニット長官は、「爆発物はどちらかといえば花火のようなもの。」と述べ、クルングテープで最近起きている爆弾事件とは別物との見方を示した。
これを受け在タイ日本国大使館は、在留邦人および旅行者に対して注意するよう呼びかけている。
クルングテープでは爆弾事件が相次いでいる。04月05日、王宮前広場近くの路上のゴミ箱に仕かけた小型爆弾が爆発し、清掃員2人が軽傷。05月15日には同じく王宮前広場近くのタイ国立劇場前で爆発が起き、通行人の女性2人が軽傷。05月22日には戦勝記念塔近くにある軍人とその家族向けの国立病院、プラモンクットクラーオ病院の待合室で爆弾が爆発し、患者ら24人が負傷。事件があった22日は軍事クーデターから丸3年にあたる。05月30日には地下鉄MRTタイ文化センター駅近くの木立ちで手製爆弾が見つかり、警察の爆発物処理班が回収。
クルングテープ都内の陸軍運営のプラモンクットクラオ病院で花瓶に隠されていた爆弾が爆発して25人が重軽傷を負った05月22日の事件で、先に容疑者の男が逮捕されたが、関係筋はこのほど、「捜査当局が『防犯カメラの半数は作動しhいなかった。』と偽って犯人を油断させて犯人逮捕に至った。」
事件発生直後、当局は、「防犯カメラの半数は故障中。」と説明。チャルムチャイ陸軍司令官も「防犯カメラの映像は大して役に立たない。」と述べていた。だが、実際には防犯カメラの映像を分析した結果が容疑者逮捕の決め手になった。
06月17日(土)先に逮捕された、クルングテープのプラモンクットクラオ病院で起きた爆弾事件の犯人について、チャクティップ警察庁長官は、「DNA鑑定によって同事件発生前にクルングテープで起きた爆弾事件3件のうち2件に関与していたことが判明した。」と明らかに。
国営企業で電気技師だった・ブムマレット(61、報道により62)は「病院に爆発物を持ち込んで爆発させた。」などの疑いで14日に逮捕された。
また、チャクティップ長官によれば、「これらの事件に関する証拠の分析結果は、ワッタナ以外の者が事件に関与していたことを示唆しており、単独犯ではない可能性がある。」
06月18日(日)クルングテープ都内のプラモンクットクラオ病院で起きた爆弾事件で先に犯人として逮捕された・ブムマレット(61、報道により62)について、捜査関係筋は、「ワッタナの愛人が関与していた。」との見方を示した。
ワッタナは過去5年間に何度か爆弾事件を起こしたと認めているものの、共犯の存在を否定し単独犯と主張している。だが、捜査筋によれば、ワッタナを支援している者がいる可能性がある。ワッタナの愛人についても同筋は、「特定の政治勢力の支持者であり、ワッタナは爆弾事件を起こす前には必ずノンタブリー県のコンドミニアムに住む愛人を訪ねていた。」としている。
06月19日(月)05月22日にクルングテープの病院で起きた負傷者25人を出した爆弾事件で、警察が先に逮捕された・ブムマレット(61、報道により62)の愛人も事件に関与していると疑っていると報じられたが、警察関係筋が明らかにしたところによれば、「愛人の女性は参考人。ワッタナは病院爆弾事件発生の前にノンタブリー県のコンドミニアムに愛人を訪ねていたが、愛人と犯行を結びつける証拠はなく、警察は愛人を参考人の1人として扱っている。」
また、先の報道では「警察が共犯の存在を疑っている。」とされていたが、同筋は、「捜査陣の見方は単独犯。」としている。
06月20日(火)05月22日にクルングテープ都内の戦勝記念塔近くにある軍人向けの国立病院、プラモンクットクラーオ病院の待合室で爆弾が爆発し、患者ら25人(報道により24人)が怪我をした事件で、タイ警察は、犯人の・ブムマレット(61、報道により62)を同席させ、クルングテープの警察本部で記者会見を行った。
ワッタナはタイ発電公社(EGAT)の元エンジニア。記者団に対し、「プラモンクットクラーオ病院の事件を含め、2007年以降に計6回、クルングテープで爆弾事件を起こした。」と認め、被害者、関係者に謝罪した。どのように爆弾を仕掛けたかを実演して見せた。一方、「爆弾は殺傷力の低いもので、殺意はなかった。」と釈明した。動機については、「軍政に反対だった。」と述べた。また、「犯行は全て単独で実行した。」と主張した。男は落ち着いた様子で、教育のある話し方だった。
ワッタナは今月15日、クルングテープ都内の自宅で逮捕された。ワッタナの自宅では爆弾の部品、材料が見つかっている。
クルングテープ-ナコーンラチャシマー間に1790億Bを投じて高速鉄道を建設するタイと支那の共同計画について、プラユット首相が計画推進のために法的障碍を越えるべく強権を発動したことに批判が出ている。プラユット首相はこのほど、「タイ企業も参画できる、業者を選ぶ入札も実施される。」などと説明して国民に計画の速やかな具体化を支持するよう呼びかけた。
また、プラユット首相によれば、「計画は運賃収入だけでなく、沿線地域に長期にわたって経済的利益をもたらすもので、計画に必要な資金は、タイ国内で十分調達可能であり、支那が支那から融資を受けるようタイに強いている事実もない。」
06月21日(水)21日に50歳の誕生日を迎えたタイのインラック前首相は、クルングテープ都内の仏教寺院ワット・サケートを参拝した。インラックは境内の丘の上にある仏塔前で礼拝した際に、大粒の涙を流した。
インラックは礼拝後、記者団の質問に応じ、「今年は人生の中で最も困難な年になるかもしれない。」、「時折、感情を抑えられなくなる。」などと涙声。また、「国家が分断されるのを見たくない。」、「全てが終わったとき、私を理解し、同情し、正義を与えてくれる人がいることを望む。」と語った。事実上国外亡命中の兄のタクシンから電話があり、花束を贈られたことも明らかに。
06月25日(日)プラユット首相はこのほど、警察に対し、「犯人を記者発表に同席させ、犯人に報道陣の質問に答えさせることがあってはならない。」と改めて伝えた。
クルングテープのプラモンクットクラーオ病院で5月22日に起きた爆弾事件に関与したとして逮捕された・ブムマレット(61、報道により62)について警察は先に行った記者発表に同席させ、報道陣の質問に答えることも容認した。ここで犯人は、犯行に至った理由として政治的な発言をし、また、チャクティップ警察庁長官に何事かを耳打ちし、その様子を撮影した写真が報じられていた。
プラユット首相によれば、「犯人には報道陣に何かを発言する権利はなく、発言できるのは司法の手続きにおいてのみ。報道陣も容疑者に質問してはならない。」
プラユット首相が犯人を記者発表に同席させないよう警察に命じたのは昨年09月に続き今回が2回目となる。
先に立法議会(NLA)で承認された国家戦略法案について、民主党が「内容が憲法に抵触する可能性がある。」として憲法裁判所に判断を仰ぐ構えを見せている。
国家戦略法は、政府が打ち出した20ヶ年国家戦略が今後の政府によって確実に実施されることを目的としたもので、それを怠った政府には重い罰則が科されることになっている。
しかし、民主党の法律専門家ウィラットによれば、「国家戦略法は現行憲法77条に反する恐れがある。」なお、国家戦略に関しては、アピシット民主党党首も「長期的な戦略の策定に国民の意見が反映されないのではないか。」と懸念を表明。
立法議会(NLA)を06月15日に通過した政党法案について、同法案の精査のため議会に設けられた委員会が予備選挙の導入を提案しているが、憲法起草委員会(CDC)は近く予備選挙の実現可能性を検討する予定。
予備選挙は、総選挙において各選挙区に擁立する候補者を決めるためにそれぞれの政党が行うもの。具体的には、立候補を希望する人や立候補を望まれている人の中から予備選挙で候補者を選ぶことになる。
なお、予備選挙に関しては、それぞれの選挙区を管轄する政党支部が中心的な役割を果たすことになるため、政党関係者から「支部の力が強くなりすぎる。」といった批判意見も出ている。
06月27日(火)現軍政の打ち出した20カ年国家戦略を今後の政府が確実に実施することを目的とした国家戦略法案および国家戦略関連の計画と手続きを規定した法案について、タクシン派プア・タイ党所属の法律専門家ルアンカイが「違憲だ。」とオンブズマンに訴えるとともに憲法裁判所の判断を求めるよう求めた。しかし、プラユット首相は、「憲法には抵触していない。」と反論している。
これら2法案は06月22日に立法議会(NLA)で承認されており、官報に掲載され発効する。ルアンカイによれば、「内閣が新憲法に基づいて2法案をNLAに上程すると決めたのは04月04日。だが、新憲法が制定されたのはその2日後であり、内閣がまだ発行していない新憲法の規定を理由に法案上程を決めたことには法的問題がある。」
これに対してプラユット首相は、「あれこれ言って問題を起こしている政治家がいる。変化に抵抗しているのか。物事を政治問題化しないで自分の仕事をしっかりやってもらいたい。」と話している。/TD>
憲法起草委員会(CDC)が起草した政党法案が立法議会(NLA)で内容を一部修正して承認されたことで同法案では政党に立候補者を選ぶ予備選挙が義務づけられることになったが、プア・タイ党は、「起草した法案の内容のまま政党法が制定・施行されれば問題が生ずる。」としてCDCとNLAに予備選挙導入を再検討するよう求めた。
プア・タイ党によれば、「CDCの作成した法案の原案では問題は起きないものの、最終的にNLAで承認された法案では政党が選挙区に擁立する候補を決めるために予備選挙を実施せねばならず、これが政党にとり大きな負担となる。場合によっては期限までに候補者を決められないという事態も予想される。」
タイの高等裁判所は、「2014年のタクシン派の赤服軍団と反タクシン派の衝突で、赤服を銃撃し5人を死傷させた。」とされるスラタニーのウィワット・ヨドプラシットを含め、「証人はいない。」として、無罪判決。高等裁判所は逆転無罪の理由について、「ウィワットの自白を疑わしい。銃撃時の写真とウィワットが酷似していることについても立証するには不十分。」との判断。
狙撃者は、2014年02月、赤服に対する抗議のため、ポップコーンの袋で覆ったM16突撃銃を発砲。アケーオ・セーリム(70)が殺された。
2014年02月01日、ITスクエアのショッピングモール近くの人民民主党改革委員会が率いる抗議者とラクシー交差点の赤服抗議者の衝突の間、ウィワットは赤服側でM16の発砲を見ていた。
警察は2014年03月19日にスラタニー県でウィワットを逮捕。2016年03月03日、刑事裁判所は殺人と銃所持で、ウィワットに禁固37年の有罪判決が下した。
高等裁判所は無罪判決にもかかわらず、最高裁判所の判決が出るまで、ウィワットを拘留するよう命令。
06月29日(木) 国家放送通信委員会(NBTC)は、インターネット上の動画配信サイトを許可制とすることを決定。
NBTCは動画配信サイトが放送事業に当たると判断。タイ国内ではNBTCが監督する権利を有するとし、NBTCに許可を求めるよう訴えていく。
だが米系動画配信サイトを運営するグーグルやフェイスブックなどは応じる意思を示していないことから、NBTCは広告出稿主に対して、許可を得ていないサイトに広告出稿しないよう圧力をかけている。
プア・タイ党のプムタム幹事長代行は、プラユット首相に対し、次期総選挙に出馬するかしないかを明言するよう要求。
プア・タイ党を含む現在の軍政に批判的な勢力は、軍部が総選挙後も政治的影響力を持ち続けようと画策していると非難。プムタムによれば、「現政権のお膳立てによって総選挙が実施されるのであり、現政権のトップであるプラユット首相は出馬するか否かを明らかにすることが必要。説明不足は誤解を招く。」
また、プムタムは、「プラユット氏の出馬を歓迎する。プラユット氏が国政を担当し続けるのを国民が望んでいるかどうかがはっきりするから。」とも述べている。
06月30日(金)現政権に批判的姿勢を取っているプア・タイ党の幹部が先に「プラユット首相は次期総選挙に出馬するかどうかをはっきりさせろ」と述べたが、この質問についてプラユット首相は、「いかなる質問にも答えたくない。ナンセンスだ。今はそのことを話すときではない。」と明言を避けた。
プラユット首相によれば、」現在国、国民が直面している問題に注意を払うべきであり、政治論争に時間を費やすのは意味がない。」
なお、次期総選挙は、民政復帰を実現して現在の軍政に終止符を打つことを意味しているが、その実施時期は基本法制定などに時間が掛かる事から早くても来年後半とされている。
07月02日(日)現軍政に批判的なプア・タイ党の幹部などがプラユット首相に次期総選挙に出馬するか否かをはっきりさせよう迫っているのに対し、プラユット首相は明言を避けているが、国家改革推進会(NRSA)の政治改革委員会のセリ委員長はこのほど、「プラユット首相が次期総選挙に立候補するつもりなら新憲法の規定に従って新憲法施行から90日以内に首相を辞職しなければならない。」
新憲法が施行されたのは04月06日。それから90日以内となると07月05日までに首相を辞任する必要があるが、現時点で首相の辞任は考えられず、次期総選挙に出馬することはほぼ不可能。
だが、新憲法では民間人から首相を選ぶ道も残されており、条件さえ整えばプラユット首相は総選挙に出馬しなくても首相に返り咲くことが可能。
07月04日(火)権力乱用で禁錮1年の実刑判決を受け収監されたスラポン・スープウォンリー元副首相兼財務相が約10ヶ月の服役後釈放。 スラポンはタクシン一族が所有していた持ち株会社シンと通信衛星会社シンサテライトの事業権の変更を巡る権力乱用で有罪となった。通信衛星事業が外資に支配されることを防ぐため、シンはシンサテライトに最低51%出資することを事業権で義務付けられていたが、スラポンはICT(情報通信技術)相だった2004年、これを40%に引き下げた。シンはその後、シンサテライト株11%を株式市場で売却。2013年に、タイ汚職取締委員会がこの事業権の変更を権力乱用だとして告発。政治家の汚職などを裁く1審制の特別法廷、タイ最高裁判所政治家刑事犯罪部門が昨年08月、禁錮1年の実刑判決。
スラポンは1957年生。タイ国立マヒドン大学医学博士。マヒドン大学医学部副部長を経て、タクシン政権(2001~2006年)で副保健相、ICT相、政府報道官、タクシン派サマック政権(2007~2008年)で副首相兼財務相。
シンは2006年に、シンガポール政府の投資会社テマセックに事実上買収され、社名をインタッチに変更した。シンサテライトも社名をタイコムに変更。
07月13日(木)立法議会で、政治任用職の刑事訴訟に関する基本法案を承認。
時効がまだ成立しておらず、容疑者が逃走中である場合、最高裁が被告不在のまま裁判を進めることを命令できることになった。これによって国外逃亡中のタクシンについて、汚職容疑4件の裁判を行うことが可能になった。
07月16日(日)来月08月に97歳になるプレム枢密院議長について、「病気のためウィチャイユット病院に入院した」と一部で報じられたが、議長の側近は、「予約していてプラモンクットクラオ病院で健康チェックを受けたまで。」と説明。「健康状態に問題がある。」との見方を否定。「プレム議長は自宅でいつもと同じように生活をしている。」
首相経験者のプレムは1998年から枢密院議長を務めている。
07月17日(月)国連ハイレベル政治フォーラム出席のためニューヨークを訪問中の岸田外相は、タイのドーン外相と会談。
両外相はアジアの地域情勢に関して意見を交換し、08月の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で連携していくことを確認。岸田外相は北鮮が07月04日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルを発射したことについて、「地域全体の脅威で、北朝鮮の非核化に向けた圧力の強化が必要。」と指摘。ドーン外相はこれに対し、「タイは北鮮に関する国連安保理決議を厳格に順守している。」と説明し、「北鮮への圧力の強化が必要。」という考えに同意。両外相は安保・防衛分野で協力を強化していくことでも一致。
岸田外相はまた、「タイが進めているCLMVT(カンボジア、ラオ、ビルマ、ヴェトナム、タイ)マスタープラン作成やインフラ整備に協力する用意がある。」と伝えた。
タイ在住の米国人、ネイサン・バートリング(24)がレールの上に置いた各国の硬貨が列車通過でどうなるかとの動画を07月16日にネット上に投稿したことでタイ国有鉄道法違反に問われることになった。不敬罪の虞のため、タイの硬貨を使用していない旨明示している。

← タイ国鉄鉄道の副運転手、タノングサック・ポングプラサートの隣に座っているアメリカン人、ネイサン・バートリング

バートリングは、「My Mate Nate」という名前でYouTubeに動画を投稿しているユーチューバー。バートリングが注目を浴びたのは初めてではなく、タイの学生の英語力を馬鹿にしているものと、蠍と猫を戦わせているものがある。
警察当局は、バートリングを呼び出して、線路に立ち入ったこととレールを傷つけたことがタイ国有鉄道法に抵触すること、有罪となれば7年までの禁錮刑と1万4000Bまでの罰金刑を科せられることなどを伝えた。バートリングは自らの行為について謝罪。
だが、その内容に関しては「悪ふざけがすぎる。」といったが批判がタイ人閲覧者から出たことが何度かあり、バートリングをタイから追放しようとする動きもあった。
07月19日(水)列車が通過したらレールの上に置いた硬貨がどうなるかという動画を動画投稿サイト、YouTubeに投稿しタイ警察から「タイ国有鉄道法違反であり、鉄道事故にも繋がりかねない。」などと叱責を受けた米国人のネイサン・バートリング(24)が、動画に一緒に出ていたタイ人の女友達のナット・ウィーロタイ(22)とともにクルングテープのプラウェート署に出向き、それぞれ罰金5000Bを支払った。
バートリングは過去に猫2匹を蠍と闘わせる動画を投稿しており、警察は動物虐待に該当する可能性があるしているが、バートリングは「虐待ではない。」と強弁している。動物虐待で有罪となれば、2年までの禁錮刑か4万Bまでの罰金刑あるいはその双方が科せられる。警察は「猫と蠍の動物虐待についての調査を終えるのにもう20日を要する。」と述べた。
バートリングはYou Tubeで330万人の登録、最大1000万人の視聴者を集めている。ビデオを1回視聴すると、最大17件の広告が表示され、それぞれバートリングに支払いを行う。視聴者が広告をクリックすると、はるかに大きな報酬が得られる。
タイの法律では、インターネットベースの労働者には、今までになかった労働許可証が必要で、バートリングは就労許可を求めており、「すぐにそれを得ることを期待している。」と語った。
しかし、彼の明らかに違法なオンライン労働に加え、バートリングはYouTubeを含む様々なウェブサイトで「お土産」事業を運営している。帽子(400B)Tシャツ(350B)、そして奇妙なことに、バートリングの漫画が書かれたドーロン(1990B)。
バートリングは就労許可証を持っていないことを認めているが、商品販売はさておき、オンライン活動から少なくない収入を得ている。
07月20日(木)2009年にタクシン派が当時のアピシット首相(民主党党首)を退陣させようと過激な街頭デモなどを展開し、この中でチャトポン反独裁民主主義同盟(UDD)議長がアピシットに関する虚偽情報を広めたとして同氏から名誉毀損で訴えられたが、最高裁判所は、下級審の無罪判決を破棄し禁錮1年の有罪判決。
控訴裁判所(日本の高等裁判所に相当)は、「私見を表明しただけ。」として名誉毀損には該当しないと判断したが、最高裁は、「チャトポン被告の発言はまったく根拠がなく、責任を免れることはできない。」
総選挙の際に各選挙区で政党が立候補者を決めるため党員による予備選挙を実施するとの政党法案について賛否両論が出ていることから、立法議会(NLA)で、詳しい検討を行うための三者委員会を設置することを合意。
委員会は、中央選挙管理委員会の委員長、立法議会メンバー5人、憲法起草者5人で構成される。初会合は25日に予定。
予備選挙に関しては、党中央の権限が弱くなる、費用が党にとって負担となる、不正があった場合にまず選管と警察のどちらが対処するのか、不正が確認された場合は解党処分となるのか-といった様々な声が政党関係者や法律専門家などから出ている。
07月21日(金)インラック前政権が米農家支援のため導入した米担保融資制度によって巨額の損失が生じたことで同制度の最高責任者であったインラック首相(当時)が職務怠慢に問われることになったが、最高裁判所は、08月25日にインラックに判決を言い渡す予定であることを明らかに。
過去の政府も農民支援策を実施しているが、タクシン派インラック前政権による政策は、タクシンシンパの多い農民層の政府支持をさらに強固なものにすることが狙いだった。そのため、不正が蔓延し、損失額も突出していたことから前首相の責任が問われることになった。
有罪となれば、禁錮10年までの刑に科せられる見通し。最高裁では、インラック出廷のもとに最終の証人審問が行われ、インラックを激励しようと支持者約1000人が詰めかけた。このため、混乱が起きぬよう最高裁の警備には警察官と兵士450人あまりを動員。
国外逃亡中のタクシン元首相の実妹であるインラック前首相が、巨額の損失を出したに絡んで職務怠慢に問われ、最高裁判所が先に08月25日にインラックに判決を言い渡すと明らかにするなか、過激な政治活動で知られるタクシン派の実動部隊、「反独裁民主主義同盟(UDD)が衝突に発展する恐れがある。」として判決の日に裁判所にタクシン支持者が集まるのを禁止しないよう関係当局に求めた。
インラック前首相の裁判ではインラック出廷のもと最終の証人審問が行われたが、裁判所には支持者約1000人が詰めかけた。判決が下される08月25日にはさらに多くの支持者が集まることが予想されている。
また、UDD幹部によれば、「21日の証人尋問では、プラユット首相が事前に支持者に行動を起こさないよう警告していたが、これが逆に反発を招き、大勢の支持者が参集する結果を招いた。」
インラックが実刑判決を受け収監された場合、タクシン派対反タクシン派・軍政の対立は深まり、両派の和解はさらに困難になる見通し。また、民主政権の前指導者が軍政により投獄されたという印象で、対外イメージの悪化も避けられない。
07月24日(月)支那の王毅外相は23、24日にタイを訪問。タイ軍事政権のプラユット首相、ドーン外相と会談。
ドーン外相との会談では、「支那とタイは兄弟のようなもの。」と述べ、両国の緊密な関係を強調。ドーン外相は「両国間には何の障害もない。」と応じた。
プラユット首相との会談では、タイ軍政が支那の技術を導入してクルングテープとタイ東北部の主要都市ナコンラチャシマーの間に建設する予定の高速鉄道について、支那政府による支援を確認。将来的に高速鉄道を延伸し、支那雲南省からラオを経て、クルングテープ、タイ東部臨海工業地帯に接続する構想についても意見を交換。王毅はタイ軍政が進めるタイ東部経済回廊(EEC)計画への投資にも関心を示した。
タクシン派のインラック前政権が導入した米担保融資制度が不正蔓延で巨額の損失を出したことで職務怠慢に問われている当時のインラック首相に最高裁判所が8月25日に判決を下す予定だが、プラユット首相は、タクシン支持者に対し判決の日に最高裁に大挙して押しかけないよう警告。
先にインラック前首相が裁判に出廷した際には最高裁前に前首相を激励しようと約1000人が集まったが、判決の日には裁判所に圧力をかけようとさらに多くのタクシン支持者が最高裁前に参集することが予想されている。
プラユット首相は、「治安は現政権にとって最優先課題である。悪意を持って市民を大量動員して法に挑もうとする者は法的処分を受けることになる。」なお、現政権下では、5人以上の政治集会が禁止されており、これが現在の軍政に批判的なタクシン派を抑え込む有効な手段の1つとなっている。
インラックはまた、米担保融資制度で国が被った損害の一部として、昨年09月、軍政から357億Bの損害賠償の支払いを命じられており、財務省がインラックの銀行預金など資産の差し押さえを開始したことを明らかに。
07月25日(火)インラック前首相はこのほど、「 自身に有罪判決が下るよう政府が最高裁判所を誘導しよう。」としているとネット上の書き込みを通じて非難。
インラック前政権が導入した米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出したことからインラックは職務怠慢に問われており、最高裁の判決が08月25日に下る予定。米担保融資制度で生じた損害に関して財務省がインラックに357億Bを賠償させる行政命令を下したことから、インラックは行政裁判所に命令の差し止めを請求。しかし、財務省は命令を施行しており、この点についてインラックは「最高裁に有罪判決を下させることを狙ったもの。」と指摘している。インラックは、「資産が全て取り上げられても潔白を証明するため闘い続ける。」
07月26日(水)米担保融資制度に絡み職務怠慢に問われているインラック前首相の最高裁判所判決が08月25日に下ることになっているが、インラックは、フェイスブックに、「プラユット首相は『判決が言い渡されるまで資産差し押さえはない。』と話していたが、その直後、銀行口座が凍結された。」と述べ、プラユット首相を強く非難。インラックの複数の口座を凍結したことがわかった。
インラックはさらに、「NCPO議長は『資産差し押さえはまだ準備段階に過ぎない。』と述べていたが、これは事実ではない。」と反発。なお、国家平和秩序評議会(NCPO)は、現政権の後ろ盾であり、プラユット首相が議長を務めている。
米担保融資制度は、市場の米価格を安定させること、収入の少ない農家の収入増、それによって国内消費を改善させることを目的に導入された。だが一部の米関連業者、大規模農家などにお金の大半が行き渡っていたこと、様々な汚職の疑いが強かったこと、市場価格を大幅に上回る価格で買い取っていたことによる損失が大きかったことから、問題の多い政策と各方面から指摘されていた。その後、軍事クーデターによりタクシン派のインラック政権は崩壊し、反タクシン派である陸軍が政権を取ったことで、この政策は打ち切り。
インラックは、市場価格を大幅に上回る価格で米を買い取り多額の損失を計上しながら、そのまま放置したことが職務怠慢であるとして5年間参政権停止となったほか、多額の賠償金の支払いが命じられた。
前政権が過去の政治衝突で市民が死傷した事例について19億Bの損害賠償を認めたことで当時のインラック首相を含む閣僚34人が職務怠慢に問われているが、国家汚職制圧委員会(NACC)はこの件に関する捜査を09月中に完了する見通し。
NACCの捜査小委員会の責任者スパによれば、「タクシンの実妹であるインラックが率いるインラック前政権は法的裏付けもなく損害賠償を行った。しかも、損害賠償を受け取った人々は全てタクシン支持者だった。」
07月30日(日)プラユット政権の最優先課題の1つである国家改革。その実現に向けて検討を進めてきた国家改革推進会(NRSA)が任務を完了し、これまでの検討の結果をまとめた報告書が07月31日にプラユット首相に提出されることになった。
2014年05月の軍事クーデターで軍部が国政を担うことになり、これに伴い国家改革などの検討機関として国家改革評議会(NRC)が設置されたが、2015年09月にNRCで新憲法草案が否決されて憲法起草が振り出しに戻り、NRCが解散。その後を継ぐ機関としてNRSAが設置された。NRSAは新憲法施行(今年04月07日)から120日(08月初め)でその任務を終え解散することが法律で定められている。
タイ東北部ナコンサワン県などで深刻な洪水被害が報告されているが、現在の軍政に批判的なタクシン派プア・タイ党の幹部らが「政府は住民への注意喚起を怠った。」などと批判していることについて、プラユット首相は、「大勢の人々が水害に苦しんでいる状況を政争の具にしようとしている。」と反論。
「気象局や防災局では事前に深刻な水害に備えるよう呼びかけており、関係当局も被災民への支援に全力を挙げている。」と強調。
07月31日(月)タクシン支持者の主要メンバーの中でも強硬派として知られるウティポン・コチャタマクン(仇名:コティ)が潜伏中のラオで身柄を拘束されたとの情報が出回っていることについて、プラウィット副首相兼国防相は、「知らない。ラオからも連絡が来ていない。」と報告。
不敬などの罪に問われているウティポンは逃亡先のラオから指示を出しタイ国内で事件を起こしている可能性が指摘されている。
数日前からネット上に「ラオで逮捕された。」との情報が出ているが、プラウィット副首相によれば、「ラオ当局にウティポンと関係者らの所在特定を求めているものの、ラオ側から身柄拘束に関する正式な連絡はない。」
チャルムチャイ陸軍司令官も「タイ陸軍も(身柄拘束を)確認していない。外務省で確認してほしい。」と述べた。
タクシンが10年ほど前に得た株式売却利益に対して税務当局が納税要求を怠ったとされる問題で、財務省調査委員会のトップ、ユタナ財務監査主任はこのほど、当時の事務次官や国税局局長など財務省関係者45人が調査を受けていることを明らかに。
ユタナ主任によれば、「本来ならタクシンに176億Bの納税を求めるべきだった。」財務省調査委員会による調査は間もなく完了する予定。
08月01日(火)タクシン派の前政権がタクシン支持者の多い米農家を支援するために導入した米担保融資制度が不正まみれで巨額の損失を出した問題で、職務怠慢に問われているインラック前首相は、最高裁判所での最終意見陳述で涙ながらに「自分は政治的駆け引きの犠牲者であり、潔白である。」と訴えた。
米担保融資制度は、実質的に農家から高値で米を買い上げるというもの。インラック首相(当時)は同制度を監督する委員会の委員長だったことから「不正蔓延と損失拡大に有効な手を打たなかった。」として職務怠慢に問われることになった。最高裁の判決は08月25日に言い渡される予定。
08月02日(水)2008年の反政府デモ強制排除をめぐり、当時首相だったソムチャーイ・ウォンサワット(70)ら4人が権力乱用に問われた裁判で、政治職在任者の汚職などを裁く一審制の特別法廷、タイ最高裁判所政治職在任者刑事犯罪部門は、被告全員に無罪を言い渡した。
訴えられていたのはタクシン元首相の義弟のソムチャーイ、1996~1997年に首相を務め、2008年当時は副首相だったチャワリット・ヨンチャイユット(85、元陸軍司令官)、現軍事政権のプラウィット・ウォンスワン副首相兼国防相(元陸軍司令官)の弟で当時警察長官だったパチャラワート・ウォンスワン(68)ら。ソムチャイは、タクシンの妹でインラックの姉のヤオワパーと結婚しており、タクシンの義弟に当たる。
今回、パチャラワート警察庁長官(68)(当時)も権限乱用、スチャート首都警察長官(66)(当時)は不法行為に問われていたが、ともに無罪判決。
最高裁は「平和的なデモではなく、催涙弾の使用は止むを得なかった。」、「被告に死傷者を出す意図はなかった。」などとして、「憲法に抵触する行為はなく嫌疑不十分。」という判断。
判決を受け、当時の反タクシン運動の中心人物の1人であるウィーラは、無罪判決を不満として、国家汚職制圧委員会(NACC)に不服申し立てをするよう求めた。今年4月に制定された新憲法では、NACCによる不服申し立てが認められている。ウィーラは、「NACCが行動に出ない場合、反タクシン派は正義を勝ち取るために何をすべきかを話し合うことになろう。」
2006年の軍事クーデターで政権を追われたタクシン派は翌2007年の民政移管選挙で勝利して政権に復帰し、ベテラン政治家のサマック・スントラウェートが首相に就任した。しかし、サマックは2008年09月、テレビ番組に出演して出演料を受け取ったことが違憲として、憲法裁判所に事実上解任された。後任の首相に就任したソムチャーイは同年10月、国会議事堂で所信表明演説を行おうとしたが、これを阻止しようとした反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)のデモ隊が国会議事堂を包囲。デモ隊の強制排除を図った警官隊と衝突。涙弾が当たるなどしてデモ参加者2人が死亡、デモ参加者、警官ら471人が負傷。
PADはその後、タイ首相府と郊外の2空港を占拠。ソムチャーイ政権は機能麻痺状態に陥った挙句、同年末、憲法裁が「選挙違反」でタクシン派与党を解党し、政権を失った。その後、反タクシン派の民主党を中心とする政権が発足し、2010年には、今度はタクシン派デモ隊と治安部隊がクルングテープで衝突。91人が死亡、約2000人が負傷。
2011年の議会下院総選挙ではタクシン派が再び勝利し、タクシンの妹であるインラックが首相に就任。しかし、2013年末から2014年にかけ、民主党を中心とする反タクシン派の大規模な街頭デモがクルングテープなどで続き、2014年05月、軍が治安回復を理由にクーデターで政権を倒し、全権を掌握。
08月03日(木)2008年にタクシン派政権(当時)による反タクシン派の市民民主連合(PAD)のデモ隊排除で死傷者が出たことについて最高裁判所が08月02日、当時の首相などを無罪とする判決を下したが、これを不満とするPAD幹部のスリヤサイが抗議集会を呼びかけたことから、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「街頭デモは過去のもの。集会主催者は法律を守らなければならない。」と明言、集会禁止令を順守するよう強く警告。
当時の政府首脳とともに警察庁長官(当時)も無罪となったが、パチャラワートがプラウィット副首相の弟であることから無罪判決を疑問視する声も一部で出ている。しかし、プラウィット副首相は、「私は裁判には干渉していない。」と強調。
立法議会(NLA)で、政党に関する基本法案が賛成205、棄権2、反対1で承認。基本法は憲法と個別法を繋ぐ法律で、今年04月の新憲法制定に伴い現在基本法の整備が進められている。
政党に関する基本法では、政党に対し、擁立する候補者を決めるための党員による予備選挙をそれぞれの選挙区で実施することなどが求められている。
クルングテープのサナムルアン(王宮前広場)で建設中のプミポン前国王葬儀のための建物が報道関係者に公開。建物はほぼ完成しており、最終的な工事が進められている。
葬儀期間は今年10月25日から29日で、火葬の儀は26日に執り行なわれる。プミポン前国王は入院中のシリラート病院で昨年10月13日に88歳で死去。
08月04日(金)2008年に当時のタクシン派政権による反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)のデモ隊排除で死傷者が出たことで責任を問われていた当時のソムチャイ首相など4人に最高裁判所が08月02日、無罪を言い渡したが、これを不満とするPAD幹部が集会を呼びかけことでプラウィット副首相兼国防相が「政治集会禁止令に抵触する。」と強く警告。これに対して、PAD関係者が一堂に会し、ここでPAD幹部らが、「我々は政府に圧力をかけるための政治集会を行っていない。」と明言。さらに、今回の最高裁判決について不服申し立てをするよう国家汚職制圧委員会(NACC)に改めて求めた。
なお、国政を牛耳っている軍部は、2014年05月のクーデターでタクシン派インラック政権を倒して全権を掌握。このため、現軍政とPADは基本的には反タクシン陣営に属している。
政府の経済政策を批判するためにネット上に虚偽の書き込みをしたとの疑いをかけられているピーチャイ元エネルギー相が、警察庁技術犯罪制圧課に出頭して容疑をついて説明を受けるとともにこれを否認。
タクシン派プア・タイ党の幹部であるピーチャイによれば、「ネット上の書き込みに違法なところはなく、なぜ容疑をかけられたのか理解に苦しむ。」その書き込みは、「カエルを熱湯に入れるとすぐに逃げ出すが、カエルを入れた冷水を徐々に熱するとカエルは温度上昇に気づかず死ぬ(実際には一定温度以上になればカエルは逃げ出すという)。」という作り話に基づいた「茹でガエル現象」にプラユット政権の経済政策を譬えた内容。
08月07日(月)2008年に当時のタクシン派政権による反タクシン団体、民主主義市民連合(PAD)デモ隊の排除で死傷者が出たことについて、最高裁判所が先に当時のソムチャイ首相などに無罪を言い渡したが、これを不満とするPADが、国家汚職制圧委員会(NACC)に対し、最高裁への不服申し立てを請求。
NACCによる不服申し立ては、今年04月施行の新憲法で認められるようになった。PAD幹部のウィーラは、「NACCが不服申し立てをしない場合、(無罪判決を無効とすべく)可能なあらゆる法的手段を執る。」
08月08日(火)プラユット首相は、今年10月に米国を公式訪問する意向を明らかに。
今年04月の電話会談でトランプ米大統領からプラユット首相に招請があり、07月の訪米が計画されたが、調整がつかなかったためか延期となった。
ティラーソン米国務長官が政府庁舎でプラユット首相に面会し、ティラーソン長官は、対北朝鮮制裁にこれまで以上に協力するようタイに求めた。
タクシン派プア・タイ党について「党首の選出を巡り意見が対立している。」と一部で報じられているが、プア・タイ党の広報担当アヌソンはこのほど、「いまだに政治集会は禁止だが、党首選びを議論するのは時期尚早」と述べ、報道内容を否定。
報道によれば、「国外逃亡中のタクシンが創設したタイ・ラック・タイ党の副党首だったスダラット♀が党首に就任する見通しで、タクシンのお墨付きも得ている。」だが、アヌソンによれば、「次期総選挙がいつ行われるかわからこともあって党首選びが話し合われたこともなく、従って対立も生じていない。」
なお、関係筋によれば、「タクシン派の政党は過去に解党処分を受け、それに伴う党首を含む党役員の公民権停止で大きな痛手を被った。これを教訓にプア・タイ党では、実力者は党首に就任しないことになっており、党の顔であるインラック前首相も党首を務めたことがない。」
08月09日(水)放送・通信事業を管轄する国家放送通信委員会(NBTC)は、タクシン派とされる衛星放送局、ピースTVの免許を1ヶ月停止あ決定。
タナコンNBTC事務局長によれば、ピースTVが放送中の2番組について法的に問題のある内容と判断されたことに伴う措置。関係筋によれば、「前政権の導入した米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(国外逃亡中のタクシンの実妹)に対し最高裁判所が08月25日に判決を言い渡すことから、タクシン支持者が大挙して最高裁前に集まることなどが懸念されていることから、政府はピースTVが支持者扇動に使われるのを恐れ放送免許を停止した可能性が高い。」
現在の軍政のもとでは政治的な活動が厳しく制限されており、5人以上の集会も違法となっているが、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「現在の状況下では近い将来に政治活動禁止令が解除されることはない。」と明言。「軍部が3年前のクーデターで倒したタクシン派・インラック政権の政治家らが被告となったいくつかの裁判が進められていることもあり、現在のタイの政治は安定しているとは言えず、このため、しばらくは自由な政治活動を認めることはできない。」
08月10日(木)現政権下では政治的混乱を防止するため政治的な活動が全面的に禁じられているが、プラユット首相は、今年10下旬のプミポン前国王のご葬儀後に政治活動解禁を検討する考えを明らかに。総選挙は来年実施の見通しであり、これに先立ち政治活動解禁されると見られているが、その時期は今のところ未定。
08月14日(月)インラック前首相が前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われている問題で、アヌポン内相はこのほど、「タクシン支持者のクルングテープへの動員に地方自治体から費用が出ていた可能性がある。」として真相を究明するよう指示。
先にインラック前首相(タクシンの実妹)は最高裁判所で最終意見陳述を行ったが、インラックを激励しようと大勢のタクシン支持者が裁判所前に詰めかけた。その多くはその日のために地方からクルングテープに出てきた人々だが、会計検査院は、「これら支持者の行き帰りの費用が公費で賄われた。」と指摘。
前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われ、先に最高裁判所の裁判で最終意見陳述をしたインラック前首相(タクシンの実妹)を激励するため大勢のタクシン支持者が裁判所前に詰めかけたことについて、会計検査院や内務省が「地方自治体が支持者動員の費用を出していた。」と指摘。最高裁が判決を下す08月25日にも同様に公費で支持者たちが動員されるとの見方が出ているが、タクシン派プア・タイ党はこのほど、「公費流用は事実無根。」と強く反論し、会計検査院と内務省に対し、「流用した者がいるならその氏名を明らかにせよ。」と迫った。
この他、インラックは、不正が蔓延し、巨額の損失を出した米担保融資制度を監督する立場にあったにも関わらず、手を拱いていたとして職務怠慢に問われることになったが、プア・タイ党幹部は、「インラックは何も悪いことはしていない。」と改めて強調し、潔白を主張。
08月15日(火)前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に最高裁判所が08月25日に判決を言い渡す予定だが、タクシン派が支持者を大量動員して裁判所に圧力をかけることが懸念されることから、プラユット首相は、「地方政府などに対し公費で支持者を上京させた場合は予算の不正使用で罰せられることになる。」と改めて警告。
関係筋によれば、最高裁に圧力をかけるべく判決日にはパトゥムター、ノンタブリー、サムットプラカン、アユタヤなどからタクシン支持者1000~2000人が動員される可能性がある。
英BBC放送などによると、タイの男子大学生で民主化活動家のチャトゥパットさ(26)が不敬罪などに問われた裁判で、1審のコンケン裁判所は、チャトゥパットに禁錮2年6ヶ月の実刑判決。
チャトゥパットはBBCのタイ語版のフェイスブック(FB)に掲載されたタイ王室に関する記事をシェアしたなどとして、昨年12月に逮捕され、保釈を認めらないまま判決を受けた。問題の記事は約2600人がシェアしたが、逮捕、訴追されたのはチャトゥパット1人。 タイの不敬罪はタイ国王、王妃、王位継承者、摂政に対する批判を禁じたもので、有罪の場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。2014年のクーデターで発足したタイ軍事政権は不敬罪による取り締まりを強化し、民主政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数カ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。タイでは殺人、誘拐などの容疑でも保釈されるケースがあるが、不敬罪の場合はほとんど保釈が認められず、有罪判決を受けた被告が上訴することも稀れ。
今年06月には、王室を中傷する写真、動画、コメントをFBに投稿したとして、タイ人男性(34)が禁錮35年の実刑判決。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はこの判決に強い懸念を表明し、タイの不敬罪は市民的及び政治的権利に関する国際規約の第19条に違反するとして、即時改正を求めた。
08月17日(木)前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に対し8月25日に最高裁判所で判決が言い渡される予定だが、首都圏警察は、判決日にタクシン支持者が大挙して最高裁に詰めかけると見られることから警察官約2550人を動員して警備に当たらせる予定。
パヌラット首都圏警察副長官は、「支持者がインラックを激励するのは違法ではない。だが、最高裁前に大勢の支持者が集まるのが誰かの指示だったり、騒ぎを起こす目的だったりしたら違法となる。」と説明。
08月18日(金)前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシン元首相の実妹)に最高裁判所が判決を言い渡す08月25日にタクシン支持者が大挙して裁判所前に詰めかけると予想されることから政府が「法に触れる恐れがある」などとタクシン派に警告しているが、タクシンの強い影響下にあるとされるプア・タイ党の幹部ワタナーは、タクシン支持者が集まるのを懸念する必要はないとして、対策を講じようとしている政府と政府の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)を過剰反応だと批判。
政府は判決日に1000人以上のタクシン支持者が最高裁前に詰めかけると予想し、警察官2500人あまりを配備する予定というが、政府は支持者たちの集まりが反政府集会にエスカレートすることを懸念している。
だが、タクシン派によれば、支持者らはインラック前首相を激励したいだけなのに政府は支持者が裁判所前に集まるのを阻止しようとしている。
08月21日(月)不正が蔓延し、巨額の損失を出した米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に最高裁判所が08月25日に判決を言い渡す予定であることから、政府はタクシン支持者が大挙して詰めかけると予想。このため2500人に及ぶ警察官を最高裁の警備に当たらせるとしているが、タクシン派プア・タイ党の幹部アヌソンは、「政府は興奮しすぎだ。」と指摘し、支持者の集まりが政府の懸念するような反政府集会に発展することはないとの見方を示した。
この米担保融資制度は、市場の米価格を安定させること、収入の少ない農家の収入増、それによって国内消費を改善させることを目的に導入された。だが一部の米関連業者、大規模農家などにお金の大半が行き渡っていたこと、様々な汚職の疑いが強かったこと、市場価格を大幅に上回る価格で買い取っていたことによる損失が大きかったことから、問題の多い政策と各方面から指摘されていた。
アヌソンによれば、「政府は余計なことは考えずに経済問題の解決などに専念するのがよろしい。」なお、先にインラック前首相が最高裁で最終意見陳述を行ったが、裁判所前には1000人を超える支持者が集まった。
陸軍が、タクシン支持者が大挙してクルングテープにやって来て最高裁判所に詰めかけ、これが反政府集会にエスカレートする恐れがあることから、これら支持者の上京を阻止するためクルングテープに続く主要道路への検問所設置を開始。
前政権の導入した米担保融資制度で巨額の損失が出たことなどで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に最高裁が25日に判決を言い渡す予定だが、これに合わせて大勢のタクシン支持者が裁判所に集合する見通しで、これが大規模な反政府集会に発展するとの見方も出ている。
タクシン派幹部らは、「支持者がインラックを激励しようとしているだけ。政府が懸念しているようなことは起きない。」としているが、治安当局は警戒を緩めていない。
刑事裁判所は、タクシン派プア・タイ党幹部のワタナー元商業相に対し、法廷侮辱罪で禁錮1ヶ月、執行猶予1年、罰金500Bを言い渡した。
ワタナーはフェイスブック・ライブで裁判の様子をネット上で公開したが、これが民事訴訟法の30条と31条、刑事訴訟法15条に違反すると判断。また、裁判所はネット上の動画を削除することも命じた。
08月22日(火)タクシン元首相の妹のインラック前首相が職務怠慢などに問われた裁判の判決が今月25日、バンコクのタイ最高裁判所で下ることに関し、在タイ日本大使館は、タイ滞在・旅行中の日本人に対し、判決当日に最高裁周辺を訪れないよう呼びかけた。
最高裁があるクルングテープ北郊チェーンワタナー通のタイ政府総合庁舎には入国管理局もあり、日本人が査証(ビザ)の延長などで訪れることも多い。
最高裁周辺には判決当日、インラックの支持者多数が集まる見通し。在タイ日本大使館は、入国管理局の近くにある「最高裁判所周辺に1万人規模の群衆が集まる。」との報道が出ていることを挙げ、極力入国管理局への訪問を避けるように呼びかけている。タイ軍事政権は警備に警官3000人以上を動員すると報じられ、判決次第では前首相支持者と警官隊の衝突が起きる可能性がある。
インラック前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に対し最高裁判所が08月25日に判決を言い渡す予定だが、代理人弁護士のノラウィットは、「インラックはどのような判決でも受け入れる覚悟ができている。」と述べた。
また、インラックは判決日に出廷する予定という。このほか、ノラウィットによれば、「インラックは、先に最高裁で最終意見陳述をした際も大勢のタクシン支持者が最高裁に詰めかけたが、このような支持者たちの激励にインラックは勇気づけられている。」
タイ軍事政権のプラユット首相(元陸軍司令官)、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)、ソムキッド副首相(元財務相)ら主要閣僚は21、22日、タイ東北部ナコーンラチャーシーマ県を訪れ、閣議など一連の会議を開催。
東北部は軍政と対立するタクシン派の地盤。タクシンの妹のインラック前首相が職務怠慢などに問われた裁判の判決が25日、最高裁判所で下ることから、軍政が公共投資などで東北部を重視する姿勢を示し、タクシン派住民のガス抜きを図ったという見方。 プラユット首相は21日朝、タイ空軍機でナコーンラチャーシーマ入りした。県庁で地元住民と会った後、東北20県の知事、企業経営者らと会食し、午後に建設中の治水施設、農業関連の王室プロジェクトを視察。
プラユット首相は視察先の農村で、トラクターに乗ったり、住民からわたされたカエルを手づかみにしてなで回すなど、庶民派をアピール。ナコーンラチャーシーマの軍基地で生まれたということもあり、地元住民に違和感なく溶け込み、行く先々で歓迎を受けた。
翌22日、ナコーンラチャーシーマで閣議を開催し、東北部、北部の洪水被災地の復旧支援予算、国道整備予算などを承認。
08月24日(木)タクシン派の前政権が導入した、タクシン支持者の多い米農家を支援するための実質的な高値でのコメ買い上げプログラム、米担保融資制度が不正まみれで、巨額の損失を出したことから、同制度を監督する委員会の長だった当時のインラック首相が職務怠慢に問われることとなった。その判決が最高裁判所で08月25日に下される。 有罪となれば、禁錮10年が科される可能性がある。このほか、執行猶予付きの有罪、無罪が考えられる。有罪なら(執行猶予の付かない)実刑判決と執行猶予付き判決、そして無罪の3ケースとなるが、最初のケースでは前首相側、残りの2ケースでは検察側が不服申し立てをすることが予想される。不服申し立ては判決から30日以内に行われなければならない。
また、最高裁は委員会を設置して不服申し立てを検討して結論を出し、この司法による最終判断によって実刑か執行猶予付きの有罪あるいは無罪かが確定することになる。なお、インラックは米担保融資制度によって巨額の損失が生じたことから350億Bに上る損害賠償を求められているが、最高裁の判決が損害賠償に影響することはないと見られている。
前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相(タクシンの実妹)に最高裁判所が判決を下す08月25日にはタクシン支持者が大挙して最高裁に詰めかけることが予想されているが、インラックは、支持者たちに対し、「外に出てこないで家で私を激励してほしい。」と呼びかけた。
関係筋によれば、この呼びかけはインラックの真意はともかく大勢の支持者が現われて問題が起きた場合の責任回避が狙いとも考えられる。先のインラックによる最終意見陳述では最高裁前に1000人以上の支持者が集まったが、関係当局は判決日には3000~3500人が詰めかけると予想している。
プラユット首相は、「1つの裁判によって政治的混乱が起きたり、国家改革が脱線したりするようなことがあってはならない」と強調。これは、最高裁判所が25日にインラックに言い渡す判決の内容によっては国内が再び政治的に混乱した状態に陥る恐れがあることに言及したものと見られる。
首相によれば、罪を犯した者は裁判で裁かれねばならず、また、反対か賛成にはかかわらず人々を大量動員することは裁判官の職務遂行を困難にするとのことだ。
プラユット首相(元陸軍司令官)、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)らタイ軍事政権幹部は、26日に97歳の誕生日を迎えるプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)のクルングテープ都内の自宅を訪れ、誕生日を祝賀。プレム議長は高齢にも関わらず、立ったままで祝賀客にスピーチし、政府の仕事ぶりを高く評価。
プラユット首相らを前に「現政権を支持している。」と表明し、「現政権によって国民の生活が改善している。」と強調。さらにプレム議長は、「タイ国民は首相のやっていることを理解し、また、政府が国民を貧困から救おうとしていることを理解していると思う。」と述べ、現政権の働きぶりを改めて評価。
なお、元首相のプレム議長は、「偉大な政治家」と称されているが、タクシン流の政治には一貫して反対しており、タクシン支持者からは「反タクシン派の黒幕」と呼ばれた。
08月25日(金)タクシンの妹のインラック前首相が職務怠慢などに問われた裁判で、タイ最高裁判所での判決当日、インラックは病気を理由に最高裁に出廷しなかった。これを受け、最高裁はインラックの逮捕状を発行。
タイ字紙カオソッドとデーリーニュースは、「インラックが24日にカンボジア経由で空路シンガポール入りし、タクシンと合流した。」と報じている。インラックは反タクシン派軍事政権の厳重な監視下にあり、出国を禁じられていた。しかし、裁判で実刑判決が下れば、タクシン派と反タクシン派の対立が深まる恐れがあり、軍政が逃亡を黙認した可能性がある。
インラックはインラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度、米担保融資制度をめぐり、汚職と巨額の損失を放置したとして、職務怠慢などの罪に問われていた。裁判は政治職在任者の汚職などを裁く一審制の特別法廷、最高裁政治職在任者刑事犯罪部門で行われ、インラックは実刑判決を受けた場合、即収監される可能性があった。
インラックはまた、米担保融資制度で国が被った損害の一部として、昨年09月、軍政から357億Bの損害賠償の支払いを命じられ、今年07月、タイ財務省がインラックの銀行預金など資産の差し押さえを開始していた。
米担保融資制度でタイ政府が農家から買い取った米の一部を政府間取引で中国に輸出したと偽りタイ国内で転売したとして、インラック政権のブンソン元商務相ら28の個人、法人が汚職などに問われた裁判の判決も下る。ブンソン元商務相は最高裁に出廷。
最高裁政治職在任者刑事犯罪部門では、タイ政府が農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したと偽りタイ国内で転売したとして、ブンソン元商務相ら28の個人、法人が汚職などに問われた裁判で、ブンソン元商務相に禁錮42年の実刑判決。その他の被告に対する判決はプーム元副商務相が禁錮36年、マナット元商務省貿易局長が禁錮40年、ティーカムポン元副貿易局長が禁錮32年、アカラポン元貿易局秘書官が禁錮24年、米商社サヤームインディカのオーナーのアピチャートが禁錮48年。アピチャートは169億Bの損害賠償も命じられた。
裁判は政治職在任者の汚職などを裁く一審制の特別法廷、最高裁政治職在任者刑事犯罪部門で行われ、実刑判決を受けた被告は判決後、収監された。8被告は無罪。被告1人は逃亡して出廷せず、判決が先送りされた。
今回の裁判はインラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度、米担保融資制度をめぐるもの。最高裁は同日、米担保融資制度の巨額の損失と汚職を放置したとして、インラック前首相が職務怠慢などの罪に問われた裁判の判決も下す予定だったが、インラックが出廷しなかったため、判決を延期し、インラックの逮捕状を発行した。
プラウィット副首相兼国防相は「インラックがすでに国外に逃亡した。」という見方を示している。インラックについては、複数のタイ字紙が、「24日にカンボジア経由で空路シンガポール入りし、兄のタクシンと合流した。」と報じた。
08月26日(土)インラックは「最高裁判所が判決を言い渡す08月25日に出廷する。」と述べていたが、結局姿を見せず、「国外逃亡した。」との見方が強まっている。
消息筋によれば、タイ東部トラート県チャーング島からヘリコプターでカンボジアの首都プノンペンに行き、空路でシンガポールに向かった。インラックには国外逃亡を手助けした政府高官が同行しているという。なお、インラックの実兄タクシンも裁判中の2006年08月に国外に逃亡。その後有罪となったが、判決を不服としてタイに戻って刑に服すことを拒み続けている。
く国外逃亡中のタクシンと仲が良い関係者が多いカンボジア政府は、国外逃亡を手助けしたとの報道を否定。
最高裁判所は08月25日に前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相に判決を言い渡す予定だったが、インラックが出廷しなかったため、インラックの逮捕状を発付し、保釈金3000万Bの没収を命じ、判決の言い渡しを09月27日に延期。「有罪なら禁錮10年。」との見方が出ているが、09月27日は法の定めるところに従って被告不在でも判決が言い渡される。
前政権の米担保融資制度に絡んだ職務怠慢に問われているインラック前首相が判決日の08月25日に最高裁判所に出廷せず、国外逃亡したとみられることについて、反タクシン組織、民主主義市民連合(PAD)は、政府に対し、捜査を行って事実関係を明らかにするとともに、国外逃亡を手助けしたとされる政府高官を見つけ出して厳罰に処すよう要求。
インラックは判決日に出廷すると述べていたが、消息筋によれば、チャーング島からヘリコプターでカンボジアの首都プノンペンに逃亡し、プノンペンからチャーター機でシンガポールに向かったと報じられているが、現在は国外逃亡中の実兄タクシンが活動の拠点としているドバイにいる。
また、PADによれば、「インラックが国外逃亡したことは治安当局の落ち度が一因。だが、インラックが投獄されるようなことになれば、タクシン派が反発を強め、政治的混乱がエスカレートする恐れがあるため、治安当局がインラックの国外逃亡を見て見ぬふりをした可能性もある。」
08月27日(日)プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)は、「インラックが最高裁による判決言い渡しの前に国外に逃亡するのを容認した。」との見方を否定。 「タクシンの実妹であるインラックはタクシンを信奉する人々から支持されているが、これらタクシン支持者たちがインラックが投獄されることに強く反発する恐れがあり、NCPOは、インラックがいない方が好都合と考えて国外逃亡を見て見ぬふりをした。」との見方が各方面から出ている。だが、NCPOは、「単なる憶測に過ぎない。」としている。
前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われたインラック前首相(タクシンの実妹)が最高裁判所の判決言い渡しを前に姿を晦まし、国外逃亡したが、タクシン派のプア・タイ党では、インラックの逃亡によってプア・タイ党の人気が低下するのではないかと懸念する声が出ている。
インラックは、「判決日には出廷する。」、「どのような判決であろうと受け入れる。」などと述べていたとされるが、結局逃亡という手段に訴えることになり、タクシン支持者の間でもインラックの人気が低下している可能性がある。
プア・タイ党幹部によれば、プア・タイ党は次期総選挙でインラックを比例代表名簿の1位にすることを予定していた。
08月28日(月)インラック前首相が最高裁判所による判決言い渡しの直前に国外逃亡したことについて、プラユット首相は、「治安当局に責任がある。」、「インラックの国外逃亡を政府高官が手助けした可能性がある。」との認識。
「インラックはタイ東部からカンボジアに入り、シンガポールに向かった。」と報じられていたが、現在は国外逃亡中の実兄タクシンの活動拠点であるドバイに滞在している。
「インラック前政権において政府間取引を装って政府米を不正に売買した。」として先に最高裁判所から禁錮42年の有罪判決を受けたブンソン元商業相について、憲法起草委員会(CDC)の委員長を務める法律専門家ミーチャイはこのほど、ブンソンに対し、「まだ法的手段を用いて闘う道が残されている。」と、首謀者を明らかにするよう助言。
最高裁の判決でブンソンを含む16人が有罪となったが、これに対しては判決日から30日以内に最高裁に不服申し立てをすることが可能。
08月29日(火)インラック政権で副首相兼内相を務めたヨンユット(75)が内務副事務次官だった2002年に寺院の所有地を民間企業に売却する取引を承認したことで、職務怠慢などに問われた裁判で、一審のタイ刑事裁判所は、被告に禁錮2年の実刑判決。
ヨンユットは判決後、保釈保証金50万Bで保釈。控訴する方針を示している。ヨンユットは報道陣の質問に一切答えずに裁判所を後にした。
問題の土地はクルングテープ北郊パトゥムタニー県の117ha。元の所有者の女性が1971年、中部プラチュアッブキリカーン県の仏教寺院に寄贈し、遺産管理人が2002年、当時のサノ副内相の関連会社に売却。刑事裁は、土地の所有者は寺で取引は違法と判断。ヨンユットが違法と知りつつ取引を許可したと認定。この土地はゴルフ場として開発され、後にタクシンの傘下企業に転売。
ヨンユットは2008年にタクシン派政党プア・タイ党の党首に就任。2011年のインラック政権発足で、副首相兼内相に就いたが、今回の問題で国家汚職防止撲滅委員会(NACC)の追求を受け、2012年に辞任。タクシン派は過去にタクシン派政党の幹部による選挙違反で解党・党役員の公民権5年停止という処分を受けたことから、プア・タイ党ではタクシンの身内やタクシン派の重鎮は党役員を務めていない。このため、プア・タイ党の役員には政治家としては無名の者が多く、ヨンユットもその1人。
前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われたインラック前首相が最高裁判所の判決言い渡しを前に国外逃亡したことについて、チャルムチャイ陸軍司令官は、「周到に計画されたもの。」と見解を示すとともに、「陸軍が逃亡を見て見ぬふりをした。」との見方を否定。
チャルムチャイ司令官によれば、「インラッは国外逃亡に備えてそれまで使っていた携帯電話を全て捨て、移動に使用する車も替えており、インラックの行動を監視するのが困難だった。」この他、「治安に詳しい者がインラックの逃亡を手助けしたことが考えられる。」
08月31日(木)2010年に当時の反タクシン派民主党政権によるタクシン派デモ隊の制圧で死傷者が出たことで当時のアピシット首相とステープ副首相が訴えられたことについて、最高裁判所は、「この件を裁くことは裁判所の権限を越えることになる。」との理由で1・2審の判断を支持し、公訴を棄却する判断を下した。
タイ法務省特捜局(DSI)が捜査し、刑事裁判所に起訴したが、1・2審は、「首相、副首相としての職務に関するもので、汚職取締委員会が政治職在任者の汚職などを裁く1審制の特別法廷、最高裁政治職在任者刑事犯罪部門に起訴すべきだった。」と判断し、公訴を棄却した。
一方、国家汚職制圧委員会(NACC)のワチャラポン委員長は、「この件について新しい証拠が出てきた場合、アピシット元首相らの責任を追及すべく法的手続きを取る。」との意向を明らかに。
2010年の事件では、治安部隊がタクシン派のデモ隊の排除を図り、双方の衝突でデモ参加者、兵士ら91人が死亡、1400人以上が負傷。デモは最終的に武力鎮圧されたが、銃撃戦や放火でクルングテープ都内は大混乱に陥った。
アピシット政権は翌2011年05月に下院を解散。同年07月の総選挙ではタクシン派政党プア・タイ党が過半数を制して政権に復帰し、タクシン氏の妹のインラックが首相に就任した。アピシットとステープはインラック政権当時の2013年に起訴された。タクシン、インラック共に有罪判決を受け海外逃亡中。
最高裁判所は、先に「政府間取引を装った不正な政府米取引をした。」として有罪になったブンソン元商務相の保釈請求を再び却下。
最高裁は、「最初の保釈請求却下の決定を覆すに足る理由が存在しないので保釈は認められない。」と説明。
ブンソンは禁錮42年を言い渡されているが、代理人弁護士によれば、「ブンソンは保釈が認められなかったことにからがっかりしているものの、健康状態は以前より改善している。」
09月03日(日)前政権の米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われているインラック前首相が08月25日に予定されていた最高裁判所の判決言い渡し前日に国外逃亡したことについて、シーワラ警察庁副長官はこのほど、インラックが自宅を抜け出すために使った可能性のある車両がほぼ判明したことを明らかに。
防犯カメラの映像によれば08月23日から24日にかけてクルングテープ都ブンクム区ヨティンパタナー通ソイ3にあるインラックの自宅に出入りした車両は約10台。そのうちの1台に乗ってインラックが自宅を抜け出したと可能性が極めて高い。なお、23日に自宅前に警察車両が止まっているのが確認されたことから、関与が疑われたが、無関係であることが判明した。
社会派の僧侶として知られるプラプッタイサラ僧によれば、「タイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会(SSC)の幹部のうちタマカーイ寺と繋がりのある僧侶が法務省特別捜査局(DSI)のある職員を国家仏教事務所(NOB)の事務局長に据えようと根回している。」
タマカーイ寺は、近代的かつ巨大な本堂を擁しインテリ層に支持者が多いなどタイの仏教界にあって異色の存在であり、また、元住職タムマチャヨが資金洗浄などの罪に問われた後、姿を晦ましている。
タムマチャヨの逮捕に向けてDSIはタマカーイ寺と交渉を行ったことがあるが、その際に交渉役を務めたのが、SSC幹部らがNOB事務局長に推しているこの職員。
プラプッタイサラ僧は、「タマカーイ寺に近い人物がNOBを率いることになれば、タイの仏教界が抱える諸問題の解決にブレーキがかかりかねない。」と言う。
08月25日の最高裁による判決言い渡しの前に国外逃亡したインラック前首相(国外逃亡中のタクシンの実妹)について、反タクシン派民主党の幹部ウィラットはこのほど、「なぜ速やかに旅券を無効化しないのか。」と政府を批判し、「政府は国外逃亡に加担したと責められるリスクがある。」
関係筋によれば、2014年05月にクーデターでインラック政権を倒した軍部は、タクシン派が力を持っていることが政治対立・国民不和の根源と考え、国家改革を通じてタクシン派を弱体化しようとしているが、インラック前首相については自由の身か服役かに関わらず国内に留まるよりは国外に出て行った方がタクシン支持者の士気を低め、タクシン派の勢いを削ぐことになるため好都合と考えている可能性がある。
インラック前首相は判決日に出廷しなかったことから最高裁が逮捕状を発付することになったが、ウィサヌ副首相は、「逮捕状の出た者全てについて旅券が無効化されるわけではない。」と説明。
09月04日(月)インラック前首相が最高裁判所の判決言い渡し前に国外逃亡したことについて、いまだに「当局がタクシン支持者の信奉の対象となる人物が国内にいない方が好都合と考えてインラックの国外逃亡を見て見ぬふりをしたか手助けした。」との憶測が燻っているが、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「インラックが自宅から逃げ出すのを警察官が手助けした。」との一部報道を改めて否定。
「判決日の08月25日まで警察官がインラックの自宅付近の警備に当たっていたが、首都圏警察からは警察官が逃亡に加担したといった報告は提出されていない。」
また、プラウィットによれば、「タイの在外公館にはすでにインラックの国外逃亡を連絡済みだが、今のところインラックの居場所は特定できていない。」
09月05日(火)プラユット首相は04、05日、支那福建省厦門で開催されたBRICS首脳会議にオブザーバーとして出席。支那の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らと首脳会談。
タイ政府の発表によると、プラユット首相は習主席との会談で、支那との包括的戦略的パートナーシップを強化する意向を表明。「支那が推進する『一帯一路』の一環であるタイ支那間高速鉄道の実現を支援する。」と伝えた。
ロシアのプーチン大統領との会談では、来年のロシア大統領選後にタイを公式訪問するよう伝えるとともに、タイの東部経済回廊(EEC)への投資をロシアに呼びかけた。この他、プラユット首相は、会談の中で、持続的成長、環境保護、経済・社会状況の異なる国々による柔軟な協力などの必要性を説明。
会議にはBRICSのブラジル、ロシア、インド、支那、南アフリカと、タイ、メキシコ、エジプト、タジキスタン、ギニアが参加。
インラックが最高裁の判決言い渡しを前に国外逃亡したことについて、警察庁のシーワラ副長官は、逃亡を手助けしたと見られる人物に関する情報を軍部に提供したことを明らかに。「この情報に基づいて軍が何らかの行動に出る可能性もある。」という。
また、情報の内容についてシーワラ副長官は、「治安に関するものであり警察としては公表できない。軍が説明すべきもの。」。シーワラ副長官によれば、インラックが自宅から抜け出して国外に逃亡するのを手助けした者は入国管理法違反に問われる見通し。
09月07日(木)プラユット首相は、隣国カンボジアを訪れ、同国のフン・セン首相と会談。
タイ政府の報道官によれば、国境通行所の増設、2国間の道路・鉄道リンクを拡充することなどがおもに話し合われた。この他、プラユット首相は、サケオ県アランヤプラテートの国境地帯にタイ・カンボジア友好橋を建設する計画をスピードアップすることなども提案。
「選挙管理委員会が来年08月の総選挙実施を示唆している。」との噂が広まっているが、立法議会(NLA)のポンペット議長はこのほど、「新憲法と個別法をつなぐ役割を果たす基本法が全て施行されあと、すなわち来年11月か12月に総選挙が実施される可能性が高い。」との見方。
現在の見通しでは、基本法が全て施行されるのは来年08月以降になるため、来年末の総選挙実施が予想される。
また、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長によれば、「下院議員と上院議員に関する残り2つの基本法が施行されれば、いつごろ総選挙を実施できるかが明確になる。」
09月08日(金)国外逃亡中のタクシンの長男パントンテー・チナワットら4人に対し資金洗浄対策室(AMLO)が近くクルンタイ銀行融資スキャンダルに絡んだ資金洗浄の罪に問うための手続きを取る見通し。
法務省特別捜査局(DSI)ではこのスキャンダルに関する資金洗浄疑惑に以前から取り組んでいるが、最近になって捜査に進展があったことから、関係当局が何らかの動きを見せるとの見方が強まっていた。
パイシットDSI局長は、「捜査は完了した。捜査結果をAMLOに報告する準備を進めている。」と明らかに。
また、関係筋によれば、「タクシンの実妹インラック前首相が最高裁の判決言い渡しを前に国外逃亡したばかりだが、パントンテーを資金洗浄の罪に問うことは政治とは無関係。」
インラックが08月25日の最高裁による判決言い渡しを前に国外逃亡した問題で、インラックがカンボジアに逃亡すべく国境を接する東部サケオ県まで車で行ったと見られることから、東部の守りを担当する陸軍「ブラパ・タスクフォース」(東部隊)の「落ち度」を批判する意見が政府部内から出ている。
サケーオ県では23日にインラックが乗ったと見られるメルセデス・ベンツが国境に向かったことが防犯カメラの映像から確認されている。このため、東部隊は「インラックの国外逃亡を見逃した。」といった批判を受けている。
だが、関係筋によれば、軍当局は国境に向かう車より入国してきた車により注意を払っており、また、通常全ての車両をチェックすることはない。問題のメルセデス・ベンツについてもチェックは行われていなかった。」また、「最高裁が判決言い渡しに出廷しなかったため、インラックの逮捕状を発付したのが25日。23日時点で前首相がその車両に乗っていたことが確認されたとしても、その身柄を拘束することはできなかった。」
09月11日(月)現在の軍政に終止符を打って民政復帰を実現するために必要な総選挙。その実施時期については、先にポンペット立法議会(NLA)議長が来年11月と12月との見通しを示したが、関係筋によれば、中央選挙管理委員会次第では来年10月に総選挙を実施することも可能。
具体的には、上院議員と下院議員の選出に関する基本法2法の草案を選管がすんなり承認すれば、総選挙は来年10月中旬に実施可能。
だが、選管が承認しないとNLAによる検討委員会の設置などが必要となるため、総選挙の実施時期は12月にずれ込むことになる。
ピーチャイ元民主党党首が先に国民和解を実現する手段として挙国一致内閣を樹立する考えを表明したが、プラユット首相は、「今はそのようなことを議論する時ではない。」と述べ、否定的な姿勢。
ピーチャイ案では、民主党とプア・タイ党の2大政党と中堅政党1党の計3党が軍部と協力して協力政権を樹立するというアイデアをプラユット首相が進めるとなっている。 なお、アピシット民主党党首もプア・タイ党関係者も今のところピチャイ案に強い関心を示していない。
09月12日(火)法律のエキスパートとして知られる憲法起草委員会のミーチャイ委員長は、「挙国一致内閣は基本的に連立政権であり、これを樹立することは現行の新憲法の下で不可能ではない。」との見方を示した。
主要政党と軍部が手を組んで協力内閣を樹立することは、ピーチャイ元民主党党首が国の直面する問題を解決する手段として先に提言したもの。
一方、立法議会(NLA)のポンペット議長は、「現行憲法では挙国一致内閣の樹立は想定されていない。」と否定的な見方。
米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われていたインラック前首相が08月25日の最高裁による判決言い渡し直前に国外逃亡したことについて、シーワラ警察庁副長官は、「インラックがカンボジアと国境を接するサケーオ県に行くまでに車を乗り換えていた。」と報告。「インラックは23日にクルングテープ都ブンクム区の自宅を車で抜け出し午後10時頃にミンブリ区でほかの車に乗り換えてサケーオ県に向かった可能性が高い。」
インラックが判決言い渡しに出廷しなかったことから最高裁は、25日にインラックの逮捕状を発付したが、シーワラ副長官によれば、「国外逃亡が逮捕状発付以前であれば、逃亡を手助けした者を罪に問うことはできない。」
09月13日(水)今年05月22日にクルングテープのプラモンクットクラオ病院で爆弾が爆発して近くにいた21人が負傷した事件で、刑事裁判所は、爆弾を作り病院内に仕掛け爆発させた元エンジニア、ワッタナ・ブムマレット(62)に対し禁錮4年、罰金975Bの有罪判決。
今回の判決は、爆弾製造、火薬の不法所持などに関するもの。ワッタナは殺人未遂の容疑もかけられており、これに関しては10月16日に判決が言い渡される予定。
タイに甚大な被害をもたらした2011年の記録的大水害について当時のインラック首相に職務怠慢があったとの訴えが出されていたが、国家汚職制圧委員会(NACC)は、インラックを訴追しないことを決めたと発表。
ワチャラポンNACC委員長によれば、「大洪水が起きた最大の要因は自然現象。予見がほぼ不可能であり、また、当時のインラック政権に大きな落ち度はなかった。」
同年の洪水では、農地や市街地が冠水したほか、工業団地で工場が浸水するなどしてタイは非常に大きな経済的打撃を受けることになった。
09月14日(木)最高裁の判決言い渡しを前に国外逃亡したインラック前首相については、「逮捕状も出ているため旅券を無効化すべき。」との声が出ている。
だが、外務省によれば、旅券はまだ無効化されていない。外務省の説明によれば、「旅券の無効化は警察など法執行機関の要請があって初めて可能となる。外務省が自らの判断だけで旅券を無効とすることはできない。」
また、チャルームチャイ陸軍司令官によれば、「インラック前首相がどのルートで国外に脱出したかについては現在も調査が続いている。東部サケオ県からカンボジアに逃げ込んだとの見方が有力だが、これを裏付ける証拠は見つかっていない模様だ。」
政府が最優先課題の1つとしている国家改革。その一環として警察改革を推進することが予定されているが、これを担当する委員会がステープ元副首相にアドバイスを求めたことから、タクシン派が激しく反発。
反タクシン派民主党の幹事長だったステープは、2014年05月にタクシン派インラック政権が軍事クーデターで倒されるまで数ヶ月間にわたって大規模な反政府デモを指揮した人物。
タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の幹部は、「政府の中核的政策に反政府デモの首謀者が影響を及ぼすことは許されない。」、タクシン派プア・タイ党の幹部も「ステープ氏から意見を聞くのは間違い。」と批判。
09月16日(土)プラウィット副首相兼国防相がロンドンを訪れ、また、その時期に国外逃亡中のタクシン元首相がロンドンにいたとされることから、2人が秘密裏にロンドンで会ったのではないかとの見方がが出ている。タイ国防省の報道官は、「滞在時期がずれ、会談する必要もない。」として、両者の会談を否定。プラウィット副首相は、「ロンドンではそんな時間はなかった。」と密談説を否定。
プラウィット副首相は12~15日、英国を訪問し、マイケル・ファロン国防相らと会談。国防関連の協力強化で一致したほか、10月30日から12月01日にかけタイ西部のカンチャナブリー県で開催されるタイ英合同軍事演習「パンサーゴールド」について意見交換。
一方、タクシンの次女は17日、元首相らと一緒にロンドンで撮影した写真、動画をフェイスブックに掲載した。タクシンの妹で、タイから逃亡したインラック前首相の姿はなかった。
インラック前首相は職務怠慢などに問われ、08月25日にタイ最高裁判所で判決が出る予定だったが、出廷せず、国外に逃亡したとみられている。一部では、インラックが英国政府に政治亡命を申請すると報じられた。
インラックは軍政の厳重な監視下にあり、出国を禁じられていた。裁判で実刑判決が下れば、タクシン派と反タクシン派の対立が深まる恐れがあり、軍政が逃亡を黙認した可能性も指摘されている。
09月17日(日)憲法起草委員会(CDC)の広報担当アモンは、「現行の新憲法では憲法裁判所の判事資格が厳しくなっており、複数の判事が欠格・解任となる可能性がある。」
現行憲法では憲法裁の判事の人数と任期とはそれぞれ9人、7年とこれまでと同じだが、資格についてはハードルが高くなっている。資格を満たす判事は留任となるが、そうでない判事は解任される。
タイの政党のうち最も長い歴史を持つ民主党のピーチャイ元党首が先にタイが直面する問題の解決策として主要政党と軍部が協力して挙国一致内閣を樹立することを提案したが、民主党のアピシット党首(元首相)は、「皆の考え・意見がまとまっておらず挙国一致内閣を設けるのは容易なことではない。」との見解を明らかにした。
「挙国一致内閣の樹立には関係者すべての全面的な賛同が必要だが、今のところそのような状況にはない。」また、来年後半とみられている次期総選挙について民主党首は、「国際的な信用回復と国の発展のため政府の行程表に従って実施しなければならない。総選挙をしなければ、対立が再燃してしまう。」としている。
09月18日(月)中堅政党・タイ国民開発党の幹部であるプラパット元副党首は、同党が拠点とする中部スパンブリー県を訪れたプラユット首相に対し、国民所得の引き上げに貢献することを条件に同党が今後10年間、プラユットが首相を務めることを支持する方針であることを伝えた。
タイ国民開発党はタイ国民党を前身とする政党で、2011年の総選挙ではタクシン派プア・タイ党が最多の265議席を獲得したのに対し、34議席を得て議席数で第3位だった。
一方、今回のプラユット首相支持表明について他の党は、「タイ国民開発党が敵を作らない方針であること、すなわち誰が政権をとっても同党が連立政権の一翼を担う用意のあることを再確認したに過ぎない。」と受け止めている。
09月19日(火)プラユット首相は、「国を1つにまとめるために政府が全ての政党と話し合う用意のある。」と明らかし、タイ国民開発党との間で裏取引があったとの見方を全面的に否定。
また、「国民の団結が目的であれば、政府は既存・新参にかかわらず全ての政治家と意見を交換することに吝かでない。」と述べた。
また、中堅政党のタイ国民開発党が国民の所得を増やすことを条件にプラユット首相がこの先10年間首相を務めることを支持すると表明したことについて、「秘密裏に取引をしたのではないか。」との一部意見を「私は裏取引はしない。」と述べ厳しく批判。
09月20日(水)政府関係筋によれば、プラユット首相は、間近に迫った米国公式訪問について閣僚や関係政府機関の代表と協議。訪米に向けた準備の一環。
プラユット首相の訪米においてトランプ大統領とどのようなことを話し合うかなどが協議された模様。軍関係筋によれば、プラユット首相一行は10月02日に米国に到着する予定。
09月21日(木)2008年11、12月にタクシン元首相に反対するデモ隊数千人がクルングテープ郊外のスワンナプーム空港とドンムアン空港を占拠した事件で、デモの指導者13人に損害賠償の支払いを命じる判決が確定。反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)幹部で元実業家のソンティー・リムトーングクン、チャムロン元クルングテープ都知事らに対し、5・2億Bに年利7.5%で9年分の利子を上乗せした額を、両空港を運営するタイ国営企業エアポーツ・オブ・タイランド(AOT)に支払うことを命じた。
PADは2006年、2008年にタイ首相府や国営テレビ局の襲撃占拠、国会議事堂の包囲といった過激なデモを繰り広げたが、幹部のほとんどは逮捕、起訴を免れている。ただ、ソンティーは昨年09月、証券取引法違反で禁錮20年の実刑が確定し服役中。
09月22日(金)巨額の損失を出した米担保融資制度に絡んで職務怠慢に問われていたインラック前首相が最高裁判所での判決言い渡し直前に国外逃亡したことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「逃亡を差配した人物の名前を警察幹部が自供した。」と明らかに。だが、その名前を明らかにすることは拒み、「元首都圏警察長官か。」との報道陣の質問にも答えなかった。
関係筋によれば、自供したのはチャリット警察大佐。チャリットは元首都圏警察長官と近しい関係にあり、さらに、この元長官は元警察副長官と親しい間柄とされる。
なお、タイ当局はインラックの所在について今も「確認できていない。」としているが、外交関係筋によれば、インラックは現在、ロンドン滞在中。
インラック前首相の国外逃亡については、国内を移動するために使った車両と見られる乗用車の存在が明らかになっているが、警察関係筋はこのほど、インラックが乗ったことを確認すべく車内から採取した検体の鑑定が行われており、その結果が約30日のうちに出るとの見通しを明らかに。
「インラックは最高裁が判決を言い渡す予定だった08月25日の数日前に自宅を抜け出し、車を乗り換えて東部サケオ県からカンボジアに逃げた。」との見方が有力。だが、タイ当局はまだ確認できていないとしている。
09月24日(日)インラック前首相の国外逃亡を警察関係者が手助けした疑いあることから、警察当局が調査委員会を立ち上げ、その初会合が09月24日に開かれる予定だが、同委員会については早くも各方面から批判的な意見が出ている。に。
その理由の1つは、調査委を率いるのが警察大佐で、調査対象も同じく警察大佐であること。反タクシン派組織の幹部だった学識経験者のスリヤサイは、「調査の責任者と調査対象が同じランクの警察官であれば、調査対象の指示で動いた部下の警察官の責任だけが追及される恐れがある。」として、プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)に対し調査委の編成を変更するよう求めた。
なお、法律専門家によれば、「インラックが国外逃亡したのは最高裁が前首相の不出廷に伴いインラックの逮捕状を発付する前のことであり、逃亡を手助けした者を罪に問うのは難しい。」
09月26日(火)タイのドーン外相が日本を訪問し、25日に河野外相と会談、26日に安倍首相を表敬。 外相会談は約30分間で、その後、夕食会が行われた。河野外相は会談で、「日タイ修好130周年にあたる今年、両国間のあらゆる分野で協力を前進させたい。」と述べた。また、北朝鮮問題について、国連安保理決議の履行、東南アジア諸国による規制の強化が重要と指摘し、タイに協力を要請。
ドーン外相は、「経済、安全保障、文化、スポーツなどの2国間関係は重要で、今後も多方面で協力したい。」と応じ、北朝鮮については、「タイは安保理決議を厳格に順守している。」と説明。
タイ軍事政権のプラユット首相は10月02~04日、米国を訪問し、03日にトランプ大統領と会談。プラユット首相が米大統領と首脳会談を行うのは初めて。2国間貿易や治安問題が取り上げられる見通し。具体的には、タイ企業による対米投資の拡大、北朝鮮との交渉においてタイがどのように仲介役を果たすことができるかなどが話し合われる可能性が高い。
訪米にはソムキット副首相(経済担当)、ドーン外相、アヌポン内相、アピラディー商業相、ウドムデート副国防相などが同行予定。
2014年のクーデターで民主政権を倒し発足したタイ軍政に対し、米国のオバマ政権と欧州各国は、早期の民政復帰を要求し、閣僚レベルの交流を停止するなど、外交関係を引き下げた。こうした中、軍政は支那への傾斜を強めていたが、トランプ大統領は今年04月、プラユット首相と電話会談した際に訪米を要請し、タイとの関係改善に舵を切った。
プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「プラユット首相は権力の座に留まるのか。」との記者の質問に対し、「プラユット氏はもし政治家を続けたいのなら総選挙に出馬しなければならない。」と述べた。
「プラユット氏が首相の座に留まることで軍部が国政への影響力を維持し続ける。」とする見方が出るなか、このシナリオに反発する勢力も存在するのが現状となっている。
また、「最近の調査では『政府の政治行程表では来年後半に総選挙が実施されることになっているものの、人々は確信を持てずにいる。』との結果出ている。」と質問に対し、プラウィット副首相は「総選挙実施を望まないという声もある。」と返答するとともに、「政府は行程表通りに来年の総選挙実施を望んでいる。総選挙を遅らせる恐れのある危険性は今のところ存在しない。」とも説明。
09月27日(水)最高裁判所は、「虚偽の政府間米取引に関連して不正があった。」として被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決。米融資担保制度についてはインラックに職務怠慢はなかったとの判断。
「支那の国営企業との間で政府間米取引が締結された。」と偽って米を国内の業者に密かに販売した問題に対し最高裁は先月、前政権のブンソン商業相に禁錮42年の有罪判決を言い渡したが、最高裁は今回、「インラックは違法性を承知しながら取引を取り消そうとしなかった。」として、これが不正行為に該当すると判断。
一方、米融資担保制度で不正が横行し、巨額の損失が出たことについては、「米融資担保制度が打ち出された時点で不正を防止する措置などが盛り込まれており、また、不正が行われていたのが管理・監督レベルでなく現場レベルだったことから制度を監督する委員会のトップだったインラックに責任はなかった。」とした。
裁判は政治職在任者の汚職などを裁く1審制の特別法廷、最高裁政治職在任者刑事犯罪部門で行われた。当初は08月25日に判決が出る予定だったが、インラックが出廷せず、延期されていた。前首相は国外に逃亡したと見られ、逮捕状が出ている。
インラックは08月23日に陸路でカンボジアに脱出し、その後、空路で第三国に向かったとみられる。警察は逃亡を手助けした疑いで警官3人を取り調べているが、捜査の進展は遅い。前首相はタイ軍事政権の厳重な監視下にあったほか、実刑判決を受け収監されれば、インラックの支持層と軍政の対立が激化するという懸念があり、軍政が逃亡を黙認もしくは幇助したという見方もある。
インラックの所在は明らかになっていないが、一部では英国政府に政治亡命を申請する見通しと報じられた。インラックの兄で事実上国外亡命中のタクシンは今月、英国を訪れた。ほぼ同時期に、軍政の実力者であるプラウィット副首相兼国防相も英国を訪問。
米担保融資制度はインラク政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっているという指摘もあった。国際通貨基金(IMF)はこの政策を、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判。
2014年05月のクーデターでインラック政権を打倒したプラユット軍事政権は同年、米担保融資制度を廃止。同制度をめぐる損失、汚職について、インラックら関係者の訴追、賠償請求を進め、昨年09月、インラックに357億Bの損害賠償の支払いを命じた。
今年08月25日には、「米担保融資制度で政府が農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したと偽りタイ国内で転売した。」として、最高裁がインラック政権のブンソン元商務相に禁錮42年、プーム元副商務相に禁錮36年の実刑判決。ブンソン元商務相らは判決後、収監され、服役中。
職務怠慢で禁錮5年の実刑判決を受けたインラックの居所について、プラユット首相は判決後、記者団に対し、インラックが「外国にいる。」と述べた。
「どの国か?」という質問には「外国だよ。」と返答。「タイから近い国か遠い国か?」との質問には「知らん。聞く必要はない。」と応じた。
インラックは自身の政権で導入した米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして、職務怠慢などに問われた。当初は08月25日にタイ最高裁判所が判決を下す予定だったが、インラックは出廷せず、行方がわからなくなっている。
09月28日(木)27日に禁錮5年の実刑判決を受けたインラックの居所について、プラユット首相は、タイ外務省から、インラックがアラブ首長国連邦のドバイにいるという報告があったことを明らかに。ドバイにはインラックの兄で事実上国外亡命中のタクシンが自宅を構えている。
軍政の実力者であるプラウィット副首相兼国防相は同日、プラユット首相の発言後、記者団の質問に応じ、「ドバイ当局がインラックを政治に関与させないよう協力することを約束した。」と述べ、事態を静観する姿勢を示唆。
インラックは自身の政権で導入した米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして、タイ最高裁判所で実刑判決を受けた。判決は当初、08月25日に下る予定だったが、たインラックが出廷せず、所在不明になったため、延期されていた。インラックは08月23日に陸路でカンボジアに脱出し、シンガポール経由でドバイに向かったと見られている。
タイ当局は今後、インラックのパスポートを破棄し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、国際手配するとしている。ただ、タイとドバイは犯罪者引き渡し条約を結んでいない上、汚職で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシンが英国、支那、シンガポールなどを自由に行き来していることから、インラックがタイ国外で逮捕され、身柄を送還される可能性は極めて低いと見られる。
タクシンは国外滞在中の2008年に、首相在任中に当時の妻ポチャマンが国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。
「不服申し立ては本人によって行われなければならない。」とする新しい法律を官報で発表。29日から施行されることになった。これによって先に禁錮5年の有罪判決を受けた国外逃亡中のインラック前首相は帰国せずにこの判決に対し不服申し立てをすることができなくなった。「危険を冒してまで帰国するとは考えにくいため、インラックの政治生命は事実上終わった。」との見方が支配的。
法律の権威として知られる憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長によれば、「インラックの事例は冷時効が適用されないため、国外逃亡がどれほど長期にわたろうとインラックはタイに帰国した時点で逮捕されることになる。」
なお、関係筋によれば、インラックはタイから逃げ出した後、しばらくドバイに滞在していたが、09月11日、ロンドンに向かった。
トランプ米大統領とプラユット・タイ首相の会談が当初予定の10月03日から02日に変更。米政府が発表。
タイ政府は「プラユット首相が10月02~04日に米国を訪問し、03日にトランプ大統領と会談する。」と発表していた。
米CNNが「インラック前首相がロンドンに滞在。」、「インラックがロンドンに行ったのは英国に政治亡命を認めるよう申請することが目的。」と報道。
タクシン派プア・タイ党関係筋から提供された情報に基づいたとされるこの報道は、ロイター通信が先に「インラックが09月11日にドバイを離れた。」と報じたのを裏付けるものとなっている。ドバイは国外逃亡中のタクシンが生活の拠点としている。
また、反タクシン派民主党のワチャラ元下院議員は、「インラック前首相はタイ国内で迫害を受けるなどして国外に逃れたのではなく、受刑を免れるために逃亡した犯罪者であり、亡命の条件に合致しないことを速やかに国際社会に発信するよう外務省に要求する。」と述べている。
09月29日(金)国外逃亡中のインラック前首相について、サンサーン政府報道官はこのほど、「ロンドンにいることは報じられる前から知っていた。」と述べた。
インラック前首相の所在に関しては、外国メディアが「ロンドンにいる。」と報じた09月28日にプラユット首相がドバイにいると示唆したことから、政府批判が起きていた。このため、サンサーン報道官の発言は、政府の威信を保とうとしたものと見られている。
09月30日(土)最高裁判所が有罪判決を言い渡す前に国外に逃亡したインラック前首相については、「政治亡命するためにロンドンに行った。」などと報じられているが、サンサーン政府報道官はこのほど、「インラックのプライベートについてプラユット首相は関心を示していない。」と述べた。
インラックは逮捕状の出ている犯罪人であることから、プラユット首相は、「身柄の引渡しによってタイで刑に服させるべく必要な法手続を執ることが重要であること考えており、インラックの考えには関心がない。」
10月02日(月)今月下旬に執り行なわれるプミポン前国王の葬儀について、諜報機関が「妨害しようと企んでいる者が国内外にいる。」と報告したことを受け、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「葬儀において軍と警察は最高レベルの警戒態勢で臨む。」と述べた。プラウィット副首相によれば、「葬儀を妨げて混乱を起こそうと考えている者らは王室に反対している者や王室について否定的な思想の持ち主。」
プミポン前国王の葬儀はサナーム・ルアン(王宮前広場)で行われるが、火葬の儀が執り行なわれる10月26日は約25万人に上る市民がサナムルアンを訪れると見込まれている。
10月03日(火)米国を公式訪問中のプラユット首相はホワイトハウスでトランプ大統領と会談した後、総選挙をいつ行うかはタイ政府が来年明らかにする予定と同大統領に伝えたことを明らかに。
プラユット首相によれば、会談では大統領は総選挙に言及しなかったが、プラユット首相が自ら総選挙のことに触れ、「来年日程を発表する。」と伝えたという。今年04月に施行された新憲法と個別法をつなぐ役割を果たす基本法を制定すべく現在作業が進められているが、選挙関連の基本4法の施行から150日以内に総選挙が実施されることになる。
総選挙を行い国民に選ばれた政権が誕生することで現在の軍政に終止符が打たれ、民政復帰が実現することになる。
「国外逃亡中のインラック前首相の所在を把握していない。」として政府を批判する意見が出ていたが、シーワラ警察庁副長官は、インラックがロンドンにいると認めた。
シーワラ副長官によれば、「インラックがドバイを離れてロンドンに向かったとの情報がアラブ首長国連邦から正式に提供されており、この情報は信頼に足る。」また、タイ警察は、インラックが逮捕状の出ている人物であることを国際刑事警察機構(インターポール)加盟国に周知するよう同機構に求める予定。
10月04日(水)米国訪問中のプラユット首相が総選挙の日程に関する発言をしたことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「首相は『総選挙をいつ実施するか来年明らかにする。』と述べたのであり、『総選挙が来年実施される』とは言っていない。」と説明。
タイでは一部の政治家が「プラユット首相は米国に約束したよう来年総選挙を実施する必要がある。」との声を上げているが、プラウィット副首相によれば、「これは誤解。首相は総選挙の日程を来年発表すると言ったに過ぎない。」
10月05日(木)プラユット首相はワシントンDCで行われた在米タイ人グループとの面談で、総選挙実施に不可欠な基本法施行は当初の予定より遅れ来年11月頃になる見通し。
そのため、関係筋によれば、総選挙が再来年にずれ込むことも考えられる。プラユット首相は訪米中、「総選挙の日程を来年中に発表する。」と述べたが、今のところ来年11月頃の発表を見込んでいる。
なお、憲法では、憲法と個別法をつなぐ基本法制定から150日以内、すなわち5ヶ月以内に総選挙を実施することが規定されている。
「国外逃亡中のインラック前首相が政治亡命を申請するためロンドンに行った。」と報じられたが、タイでは、04日、一部メディアがタクシン派プア・タイ党関係筋の話として「インラックの政治亡命が英政府に認められた。」と報じた。
これについて、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は05日、報道陣の質問に対し、「何も知らないし、何の情報を持ち合わせていない」と返答している。
チャルムチャイ陸軍司令官もインラックの政治亡命申請や一部で報じられた亡命政府を立ち上げるとの未確認情報について「何も知らない。」と述べた。
10月06日(金)新年度開始の10月01日をもって検事総長に就任したケムチャイは、新しい基本法のもとで検察が複数の容疑について国外逃亡中のタクシン元首相を訴追する方針を明らかに。
今年04月の新憲法制定に伴い、現在憲法と個別法をつなぐ役割を果たす基本法の整備作業が進められているが、刑事訴訟に関する新しい基本法では、容疑者などが逃亡中で不在であっても本人不在のまま訴追することが可能となった。このため、タクシンは、韓国ソウルにおける2015年05月の発言による不敬容疑、クルンタイ銀行の不正ローン疑惑などで訴追される見通し。
裁判手続きに関する新しい基本法では本人不在でも訴追することが可能であることから検察が国外逃亡中のタクシンを訴追する方針を示しているが、タクシン派プア・タイ党の法律専門家チームを率いるチュサクはこのほど、「憲法に反する。」と検察を批判。
チュサクは、「法律が制定される以前に起きたことにその法律を適用すること、すなわち遡及効を認めないのが法律の原則だが、新しい基本法に基づいてタクシンを訴追することはこの原則にも反する。
10月07日(土)憲法と個別法をつなぐ基本法のうち政党に関するものが、官報で発表され発効。同法では、政党は政党登録の時点で100万B以上の資金があることが必要で、党員数は政党登録から1年で5000人以上、4年で1万人以上でなければならない。この他、各政党はそれぞれの地域に支部を設け、支部に登録した党員は500人以上であることが必要。また、初年度の党費は党員1人当たり50B以上。
10月09日(月)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、2014年05月の軍事クーデター直後に発付された政党の活動禁止令が近く解除されるとの見通しを示した。
ミーチャイはプラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)のメンバーでもあるが、同氏によれば、「政党が正常な政治活動できるようNCPOが今週中にも禁止令を解除すると予想される。ただ、政党の政治活動は全面解禁ではなく、一定の条件付きとされる可能性が高い。」
10月10日(火)プラユット首相(元陸軍司令官)は、内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)の合同会議の後、民政移管に向けた議会下院(定数500)総選挙について、2018年06月に投票日を発表、同年11月に投票が行われるという見通しを示した。また、「時機を見て政党活動禁止の緩和を検討する。」と述べた。
なお、プラユット首相はワシントンDCで行われた在米タイ人グループとの面談で、「総選挙の日程は来年発表する。」と述べていた。
2014年05月のクーデターでタクシン派の民選政権を倒して発足したタイ軍政は政党や個人の政治活動を全面的に禁止し、軍政を批判したり、反軍政デモに参加した人を逮捕、訴追してきた。下院総選挙については、当初、2015年に実施するとしていたが、その後、何度も日程を延期している。
軍政が作成し、今年04月に施行された新憲法では、国会は上院(定数250)と下院の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシンの台頭を許したとみて、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は憲法施行から5年間、軍政が議員を選任する。軍・特権階級が上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えることから、下院選後、軍主導の政権が発足し、プラユット首相が続投する可能性があると見られている。
プラユット首相が総選挙の日程について詳細を明らかにしたのは今回が初めて。この発表を受けタイ証券取引所(SET)では株価が1700ポイントを突破し、過去24年で最高を記録。
10月11日(水)警察庁広報担当者によれば、国際刑事警察機構(インターポール)が国外逃亡中のインラック前首相の所在発見などを加盟国に求める「ブルーノーティス」(青手配書)の発布に合意。インラックは最高裁による判決言い渡しに出廷しなかったことから逮捕状が出ている。その後、最高裁は被告不在のまま「インラック在任中に問題行為があった。」として禁錮5年の有罪判決を下した。
インターポールのノーティスには、犯罪人の身柄拘束を求める「レッドノーティス」(赤手配書)、行方不明者の所在特定などを求める「イエロー・ノーティス」(黄手配書)もある。
10月12日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)のワチャラポン委員長はこのほど、輸出入銀行によるビルマへの40億B融資と宝籤発行に絡む2件の不正に当時のタクシンが関与していた疑いについてNACCが捜査を再開する方針であることを明らかに。
これは、04月の新憲法制定に伴って先に裁判手続きに関する基本法が施行されたことによるもの。同法のもとでは容疑者不在のまま裁判を進めることができるようになった。
対ビルマ融資については、当時のタクシン首相が権限を乱用して自身の通信ビジネスへの利益誘導を図ったとされており、また、宝籤に関しては政府宝籤庁法違反に問われている。
10月13日(金)タイでは10月25日から29日にかけてプミポン前国王の葬儀が執り行われるが、ウィサヌ副首相によれば、「26日の『火葬の儀』斎場となるクルングテープの王宮前広場(サナムルアン)に入場できるのは事前審査を通った約7500人に限定される。この日は約25万人近い市民がサナムルアンを訪れると見込まれていたことから、混乱を避けるための措置を講じることにした。そのため、斎場に入れない市民のためサナムルアンに建設された葬儀用建築物のレプリカが全国各地に設置される。クルングテープではクルングテープ国際貿易展示場(BITEC)、ドゥシット宮殿、クルングテープ都庁前広場など7ヶ所に置かれ、政府はここで献花をするよう呼び掛けている。なお、葬儀期間中、サナムルアンから半径19㎞の地域でドローンを飛ばすことが禁止される。」
タイ政府は10月10日の閣議で09月26日の閣議で承認した服喪期間の延長を決定。公務員の服喪期間をさらに17日間延長し10月29日までとすることにした。政府機関・教育機関の半旗掲揚も29日までに延長。公共の場所・建物に設置されている前国王陛下の喪中を示す布・幕などの撤去は29日の夜から始まる。また、公務員が黒色の喪服着用を止め通常の服装に戻るのは30日からとなる。
一方、タイ諜報機関が「葬儀を妨害しようと企んでいる者が国内外にいる。」と報告したことを受け、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は02日、「軍と警察が最高レベルの警戒態勢で臨む。」と述べた。在タイ日本国大使館も日本人居住者および旅行者に対して、不測の事態に巻き込まれることのないよう注意を呼びかけている。
現在、葬儀準備作業などのため、ラチャダムヌンナイ通などサナムルアン周辺道路が10月09日から30日まで一部通行止となっている。王室庁によれば、昨年10月29日からこれまでに前国王の遺体が安置されている王宮に告別のため足を運んだ市民は約1273万人。火葬の儀が迫っていることから訪れる市民は日々増えており、10万人を超える日もある。
10月16日(月)タクシン派プア・タイ党の幹部、スダラット♀の最近の行動に一部で批判が出ており、プラウィット副首相兼国防相は、「このようなことが繰り返されるのであれば、政治活動の禁止令を継続しなければならない。禁止令の緩和はない。」と発言。
タクシン派の重鎮の1人であるスダラットは先にバンコクでピックアップトラックの荷台から10月13日のプミポン前国王の一周忌にちなんでダウルアン(マリーゴールド)を植えようと拡声器を使って呼びかけたが、荷台の正面には選挙カーのようにスダラットの名前を記した大きな看板があったことから、この行動に対して「政治活動」との批判が出ることになった。
政治活動は3年前の軍事クーデターの直後から禁止されたままとなっているが、最近になって緩和されるとの見方も出ている。
なお、タイでは誕生日の曜日が重要とされているが、プミポン前国王の生まれたのが月曜日であり、月曜日の花はダウルアン。
10月19日(木)「ソーシャルネットワーキングサービスサイト、フェイスブックの共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグがタイを訪問することから10月30日、プラユット首相と面会する予定。」と報じられたが、フェイスブックは「今のところ我らのリーダーの中にタイ訪問を予定している者は1人もいない。」と発表。
これを受け、同件についてのプラユット首相の会見が急遽キャンセルされた。
10月30日(月)2014年05月の軍事クーデターに伴い政治活動が禁止されたままとなっており、禁止解除を求める声が政党から出ているが、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「政府は政治活動禁止令の解除についてまだ正式に話し合っていない」と述べた。前国王の葬儀をつつがなく執り行なうべく準備に専念していたことなどが理由。
これに対して、民主党、プア・タイ党の主要2政党は、政党に関する基本法が制定され次第、自由に政治活動ができるようにすべきと主張。現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)も先に10月中の政治活動禁止令解除もあり得るとしていたが、プラウィット副首相によれば、「NCPOではまだこの件について話し合う時間を作れていない。」
タイ外務省は、インラック前首相が保有する一般旅券2冊、外交旅券2冊を無効とした。前政権の米融資担保制度が不正まみれで巨額の損失を出したことからインラックは09月27日、最高裁から禁錮5年の有罪判決を受け、さらに30日以内に判決について不服申し立てをしなかったことから刑が確定。そのため警察の要請により旅券が無効化されることになった。
インラックは最高裁が判決言い渡しを予定していた08月25日の数日前に国外に脱出したとみられているが、代理人弁護士ノラウィットによれば、「それ以来インラックからはまったく連絡がない。」
10月31日(火)プラユット首相は、「国内の平穏が戻り、秩序が回復されるまで政治活動禁止令が解除されることはない。」と明言。
政治的な活動は2014年05月の軍事クーデターに伴い禁止されているが、総選挙実施の目途がある程度立ったことから政党からは政治活動を許可せよとの声が上っている。
なお、総選挙は来年にも実施される見通しであり、そのためには選挙運動が不可欠であるため、プラユット首相は「政治活動禁止令は総選挙実施前に解除される。」
ドーン外相は、「英当局によれば、インラック前首相の政治亡命はまだ認められていない。」と述べた。
インラックは首相在任中の大衆迎合政策が違法とされ、先に最高裁判所から禁錮5年の有罪判決を受けたが、08月下旬に有罪となることを見越して国外に脱出。「その後、国外逃亡中の実兄タクシンが生活の拠点としているドバイにしばらく滞在した後、英国に渡り政治亡命を申請した。」と報じられている。
なお、現在のインラックの居場所について、タイ政府は「まだ確認が取れていない。」
11月01日(水)立法議会(NLA)のメンバーであるソムチャイは、政治活動禁止令が解除されるのは上院議員と下院議員の選挙に関する2つの基本法が制定された後であり、来年02月か03月になるとの見方。
民政復帰を実現するための総選挙は来年11月ごろに実施されるとみられているため、ソムチャイは「政党や政治家には総選挙の準備のために十分な時間が与えられることになる。」
一方、同じくNLAのメンバーであるワンロップによれば、「いくつかの条件が満たされないと政治活動禁止令は解除できないため、すぐに全面解除とはならず、一部解除を経て全面解除とになる可能性もある。」
11月06日(月)現軍事政権が政党を立ち上げるとの見方が一部で出ているものの、政治家の多くは「そのような新党が、プア・タイ党や民主党など歴史と実績を持つ既存政党に太刀打ちできるわけがない。」との否定的見方。
一方、プラウィット副首相兼国防相は、「(プラユット政権の後ろ盾的存在である)国家平和秩序評議会(NCPO)が必要と判断したら政党を設立するだろう。しかし、今はその必要がない。」と発言。これは、「NCPOが新党を立ち上げて政界に進出することはないのか。」との報道陣の質問に答えたもの。
11月07日(火)現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が力を持ち続けることができるよう現政権に近い者が新党を設立しようとしているとの憶測が広まっているが、プラユット首相が真偽を確かめるべく調査を命じた。
この憶測はNCPOの国家改革委員会のメンバーだったソンクロット少将が「パラン・チャート・タイ」(タイ国民の力)という名の政党を立ち上げる予定であり、少なくとも10の政党の元メンバーが参加するというもの。プラユット首相は、ソンクロット少将らが計画しているとされることについて「何も知らない。」、「NCPOを助けるために政党を立ち上げる必要はない。」と述べた。
11月09日(木)2014年05月の軍事クーデターに伴い政治活動が禁止され、未だに解除されていない問題で、ウィサヌ副首相は、「総選挙の前に地方選挙が実施されるのに合わせて政治活動禁止が緩和される可能性がある。」と指摘。
ただ、地方選挙は特定の地域のみで実施される予定で、現在、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)が内務省と協議中。
また、ウィサヌ副首相によれば、」現行の新憲法では地方選挙に関する条件が厳しくなっており、これに合わせて関連法を改正する必要があるため、地方選挙を今すぐに実施することはできない。」
11月13日(月)プラウィット副首相兼国防相は、「地方選挙の候補者が選挙運動の中でプラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)を批判することがあってはならない。」と警告。
プラウィット副首相は先に総選挙を実施する前に政治活動禁止を緩和して地方選挙を実施する可能性に言及しているが、地方選挙実施のために政治活動禁止が部分的に解除されたとしても、候補者は選挙運動で対立を煽ることなく、また、NCPOを批判したりする言動も慎むよう求めた。
NCPOは軍首脳などで構成されており、最高指揮官である議長をプラユット首相(元陸軍司令官)が務めている。
プラウィット副首相兼国防相(治安担当)はこのほど、「イスラム教スンニ派過激組織ISの戦闘員など外国の過激分子がタイに潜入することを懸念している。」と述べた。これは、国防省のコンチープ報道官が先に不法滞在の外国人約10万人の中で国際犯罪に手を染めている者の検挙に当局が力を入れていると述べたことを受けてのもの。
また、「不法滞在者が治安当局の関係者に賄賂を渡して逮捕を免れている。」との見方をプラウィット副首相はこれを全面的に否定。
11月15日(水)内閣改造のための手続きが執られる中、3年前のクーデターで全権を掌握した軍部が国政を担い続けていることに反対する者らが国民の間に不和を生じさせたりする可能性があり、政府がその動きに注意を払っている。
これは、ウドムデート副国防相が閣議後に明らかにしたもの。それによると、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)が治安当局に対し問題を起こす可能性の高い反政府分子の行動を注意深く監視するよう指示した。
なお、改造内閣の陣容はすでに決まっており、すでに国王の承認を得るための手続きが執られた。
11月16日(木)中央選管のソムチャイ委員は、「総選挙において政党による候補者擁立などを可能にするためには法改正などが必要。」と指摘し、「このままでは政党が存続できないという最悪の事態となることも懸念される。」
具体的には、政党に関する基本法が10月08日に施行されたが、同法では40日以内すなわち来年01月05日までに政党は党員に関するデータベースを作成する必要がある。しかし、これは国家平和秩序評議会(NCPO)が政治活動禁止令を解除しなければ不可能。また、同法施行からすでに40日あまりが経過しており、どの政党も党員データベースを作成できないと予想され、データベースを期限までに提出できなければ政党は総選挙に候補を擁立することも存続することもできなくなる。
このような事態を避けるには、政党による要請あるいはプラユット首相の超法規的権限行使によってデータベース作成・提出の期限を延長するしかない。
11月17日(金)プラユット首相は、「新内閣の顔ぶれは12月に明らかになる。」と述べ、「プラウィット副首相、アヌポン内相、チャチャイ農相らがそのポストに止まる。」と指摘。先に労相が辞任したことから内閣改造が行われ、閣僚が大幅に入れ替わるとの見方が出ていた。
また、プラユット首相は、「改造に伴い首相が国防相を兼任する」「チャクティップ警察庁長官が入閣する。」といった見方を否定。
11月18日(土)サンサーン政府報道官は、新閣僚の顔ぶれが間もなく発表されることについて、「プラユット首相が憶測を報じたり、批判したりしないようマスコミに求めている。」と明らかに。今回の内閣改造は労相辞任に伴うもので、閣僚が大幅に入れ替わるとの見方が有力。サンサーン報道官によれば、「国民には知る権利があり、これに応えるべくマスコミが内閣改造について報じていることはプラユット首相も理解している。」、「ただ、首相によれば、報道の多くは推測に基づいたものであり、これは誰にとってもあまり良いことではない。」
11月20日(月)未明タイ南部ソンクラー県の不法入国者収容施設で、不法入国で2014年から拘留されていた支那籍の少数民族ウイグル族とみられる男20人が施設の壁に穴を開けて脱獄。
このうち5人は21日までに逮捕された。残る15人は隣国のマレーシアに逃走した可能性がある。
警察は施設の責任者を解任するとともに、施設の建設業者に壁の材料などを聞く予定。
ウイグル族は主に支那の新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、東南アジアなどに脱出する事例が増えている。タイ軍事政権は不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族とみられる男女109人を2015年07月、支那に強制送還し、非人道的な措置として、国際社会の批判を浴びた。
強制送還直後の2015年08月、クルングテープの観光名所で爆弾が爆発し、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷を負う事件が発生。支那籍のウイグル族とされる男2人が実行犯として逮捕され、現在、タイで裁判が行われている。この事件については、強制送還に対するウイグル族組織の報復という見方がある。
総選挙実施の前に地方選挙が行われ、その選挙運動のために政治活動禁止が緩和される見通しだが、ウィサヌ副首相は、「地方自治体の運営に関する6法が改正されてから45日以内に地方選挙が実施される」と説明。ただ、6法改正がいつになるかは今のところ未定。
この発言は、中央選管のソムチャイ委員が先に「6法改正は来年05月の地方選挙実施に間に合わない可能性がある。」と指摘したことに伴うもの。だが、ウィサヌ副首相によれば、「政府は地方選挙を来年05月に行うとは言っていない。」
11月21日(火)プラユット首相は、「新聞などの電子版が虚偽の報道をしたり、ヘイトスピーチを掲載したりした場合、コンピューター犯罪法に基づいて厳しく処罰されることになる。」と警告。同法の適用は、キング・プラチャティポック研究所がヘイトスピーチや偽情報の拡散を防止して社会に混乱を起こさないために提言したもの。
プラユット首相は、「敵をつくるつもりはないが、社会は秩序に基づいて機能する必要がある。誰であろうと、事実を捩じ曲げたり、虚偽の記事を書いたり、対立を煽ったりする者には法的措置が執られることになる。」
11月22日(水)05時半頃2015年08月17、18日にクルングテープ都内の2ヶ所で爆弾が爆発し、20人が死亡、130人が重軽傷を負った事件で、殺人幇助などの容疑でタイ警察が指名手配したトルコ在住のタイ人女、ワンナー(29、報道により30)がタイに帰国し、逮捕された。ワンナーは息子2人を連れて、空路でスワンナプーム空港に到着し、クルングテープの警察署に連行。
ワンナーはタイ南部パンガー県出身のイスラム教徒で、事件後に爆弾の部品やトルコの偽造パスポート多数が見つかったクルングテープ都内のアパートを賃借していた。別の容疑者であるトルコ人男と結婚し、事件の数ヶ月前からトルコで暮らしていた。ワンナーは、「潔白を証明するため帰国した。」と述べ、犯行を全面的に否認し、裁判で争う構えを示している。たが、警察によれば、トルコのタイ大使館とタイのトルコ大使館が緊密に連絡を取り合ったことでワンナーの帰国が実現した。
17日の爆発はクルングテープ都心の観光名所、エラワンの祠で起き、タイ人6人、支那人5人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷。また、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上。
翌18日にはクルングテープ都内を流れるチャオプラヤー川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発した。高い水柱が上がり、周辺にいた人たちが走って逃げたが、水中で爆発が起きたため、怪我人はなかった。
この事件で、タイ当局はこれまでに、支那の少数民族ウイグル族とみられる男2人を殺人などの容疑で逮捕、起訴し、現在、裁判が行われている。ほかに外国人ら14人に逮捕状が出たが、逮捕されていない。
ウイグル族は主に支那の新疆ウイグル自治区に居住し、ほとんどがイスラム教徒。支那政府による弾圧を逃れ、国外に脱出する人も多く、民族的に近いトルコなどが受け入れ先となっている。
タイ軍事政権は不法入国で逮捕した支那国籍のウイグル族109人を2015年07月、支那に強制送還。強制送還されたウイグル族は支那で処罰される可能性が高いとみられ、強制送還の翌日には、送還に抗議するトルコ人のデモ隊がイスタンブールのタイ領事館に突入し、窓ガラスを割ったり、備品を壊すなどした。欧米諸国もタイ軍政の対応を非難した。
こうした経緯から、クルングテープの爆弾事件はウイグル族による報復テロという見方が強い。しかし、タイ当局は事件の動機について、当局の取り締まりでビジネスを潰された人身売買業者による犯行という主張を繰り返し、「テロ」、「テロリスト」という言葉を避けている。タイは観光が主要産業で、「テロ対象国」というレッテルは是が非でも避けたい。また、ウイグル族は支那、トルコと外交的に微妙な問題に発展する恐れがあり、こちらも口にしたくない。
11月26日(日)過去の総選挙において当選議員数で他党を圧倒してきた反タクシン派・民主党とタクシン派・プア・タイ党が下院議員以外からの首相選出を阻止すべく手を組む可能性が出てきた。
タイ記者協会(TJA)が開催したセミナー「国家平和秩序評議会(NCPO)の下での国民和解」の席上、ニピット民主党副党首は、「我々が落ち着いて話し合わなければ、軍部を遠ざけておくことはできない。新政権樹立においては全ての政党が協力する必要がある。」さらに、プア・タイ党幹部からも民主党との協力を示唆する発言が出た。
なお、民政復帰を実現するための総選挙は今のところ、来年11月ごろ実施されるとの見方が有力視されている。
11月27日(月)「次期総選挙後に非議員が首相に起用されるのを阻止するため2大政党の民主党とプア・タイ党が協力する可能性がある。」と先に報じられたが、これら2党を含む主要政党の幹部から「時期尚早。」との意見が相次いでいる。
これら幹部によれば、「現在も政治活動が禁止されているため、政党間で協力について話し合うことはまだ不可能。また、政党には総選挙に向け新に必要となる重要な手続きが多く残っており、現時点で政党の協力について論ずる時間的余裕はない。」
なお、今のところ総選挙は来年11月ごろに実施されるとの見方が有力であるが、さらに遅れる可能性も否定できない状況。
11月30日(木)シーワラ警察庁副長官は、タイ中部チャチュンサオ県で見つかった武器弾薬について、「政治的な意図を持つ者たちがクルングテープで事件を起こすために用意したもの。」との見方を示した。
関係当局によれば、発見されたのは複数の銃器や弾薬。すぐに使用できる状態だったことから何者かが使用する目的で隠していたもので、遺棄されたものとは考えにくい。
一方、現在の軍政に批判的姿勢をとり続けているタクシン支持勢力の主要メンバーからは「先の南部での移動閣議開催に関連して政府に批判的な意見が出ている。このタイミングから考えて、政府の評判を挽回するために『武器弾薬発見』が仕組まれたのではないか。」といった指摘も出ている。
12月01日(金)2014年05月の軍事クーデター直後から敷かれている政治活動禁止令について、国内状況が安定し総選挙も視野に入ってきたことから政党関係者からは解除を求める声が相次いでいる。
しかし先日、中部チャチュンサオ県で田に埋められていた大量の武器弾薬が見つかったことから、これを理由に政府は当分政治活動禁止令を解除しないとの見方が強まっている。武器弾薬は地元の農民が気づき地中から発見されたが、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「グループで政治的な動きを始めた者がいるとの報告を受けた。」と説明。また、「この状況は政治活動禁止令の解除を難しくするだろうか。」との質問に対し、「このような(武器を準備してなにかを起こそうとするような)動きがある限り、解除は不可能。もう少し選挙が近づいてから解除されることになろう。」と返答。
タイ中部チャチュンサオ県で何者かが隠しておいたとみられる大量の武器弾薬が見つかったが、これを国家の安全保障を脅かすものだとして政治活動禁止令の早期解除に政府が否定的姿勢をとっていることに対し、複数の政党が強い調子で批判。
民主党のニピット副党首によれば、「今年04月の新憲法施行に伴い基本法や関連法の整備が進んでいるにもかかわらず、選挙に備えて政党が活動できないのは法律の趣旨に反する。」
また、プア・タイ党の幹部、アムヌアイも「治安問題と政治を切り離して考えるべきであり、法律に従って政治活動ができるようにする必要がある。」と訴えた。
中部チャチュンサオ県で田に隠されていた大量の武器弾薬が見つかったことから当局が早期の政治活動禁止令解除に否定的な姿勢を見せているが、これにより総選挙が再来年にずれ込むのではないかと懸念する声も。
総選挙は2014年05月のクーデターに伴い現在も続いている軍主導の政治に終止符を打ち民政復帰を実現するものだが、今のところ来年末に実施されるとの見方が有力。だが、政治活動禁止令がなかなか解除されず、今年04月の新憲法施行に伴い制定された法律で政党に求められている手続きが完了できずにいる。
関係筋によれば、「この状態がさらに1ヶ月程度続けば、場合によっては来年中に総選挙を実施することが難しくなる可能性が出てくる。」
なお、現在の軍政に終止符を打って民政復帰を実現するための総選挙は今のところ、来年11月頃実施される見通し。
12月05日(火)タイ中部チャチュンサオ県で先に政治的なグループが事件を起こすために集めて隠していたとみられる大量の武器弾薬が見つかったことについて、警察関係筋はこのほど、犯罪制圧課(CSD)が現在、容疑者に関する証拠集めに力を入れており、12月06日にもチャク「ラポップ元首相府相、マナット元陸軍第3管区副司令官など5人の逮捕状を請求する見通し。」と明らかに。
これら5人に関しては、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の法律部門の担当者から警察に対し武器弾薬とつながりがあるとの訴えが出されていた。
なお、タクシン派のチャクラポップ元大臣は、タクシン派が2009年04月に当時の民主党政権に対する過激な反政府活動を展開したことに関連して罪に問われたことから国外に逃亡。現在もカンボジアに潜伏中。
12月06日(水)クルングテープにある軍運営のプラモンクットクラオ病院で今年05月、花瓶の中に隠されていた爆弾が爆発して21人が重軽傷を負った事件で、刑事裁判所は、元タイ発電公社(EGAT)職員のワタナー(62)に対し爆弾を仕掛け爆発させたことについて禁錮27年の有罪判決を言い渡した。ワタナーにはすでに爆発物の製造・所持と爆薬所持の罪で禁錮4年が言い渡されている。
ワタナーは、動機について、「軍政を忌み嫌っていた。(爆弾の爆発は)声明であり、人を傷つけるつもりはなかった。」と述べている。
12月07日(木)中部チャチュンサオ県で11月24日に田に埋められていた大量の武器弾薬が見つかった事件で、シーワラ警察庁副長官は、警察が容疑者5人の逮捕状を取ったことを明らかに。
容疑者の1人、マナット元陸軍第3管区副司令官は同日、弁護士を伴ってシーワラ副長官に面会。取り調べの後、保証金20万Bで保釈された。
また、「武器弾薬の発見は政治活動禁止令の解除を遅らせるために政府が仕組んだもの。」といった指摘も出ているか、シーワラ副長官はこれに関する質問には返答しなかった。
12月08日(金)民政復帰のための下院総選挙は今のところ来年11月ごろに実施されるとみられているが、プラユット首相は、「総選挙実施に関する約束を撤回することはない。」と明言。
総選挙については、政治活動禁止令がいまだ解除されていないこともあって「政党の準備が整わず、想定通りに総選挙を行うのは難しい。」といった意見も出ているが、プラユット首相は、「(総選挙実施について)私にプレッシャーをかけないでほしい。前言を翻すつもりはない。」と述べ、総選挙実施が遅れるとは想定していないことを強調。
12月13日(水)プラユット首相は頻繁に地方を訪れ、その地域での大型投資を約束する一方、政党などが強く要望している政治活動禁止令解除には積極的な姿勢を示していないことについて、「政治的な思惑に基づいた行動であり、潜在的なライバルを排除しようとしている。」といった見方が出ている。
プラユット首相は東北部カラシン県を訪問。同県での開発計画などに約17億Bを投入することを承認。数日前には南部トラン県を訪れ7年間中断されていた洪水対策(総工費13億B)の再開を指示。
関係筋によれば、来年末には総選挙が実施される見通しだが、「現在政権を担当している軍部が民政復帰後も政治的影響力を維持すべく政党を立ち上げて総選挙に臨む。」との見方も出ている。
12月14日(木)タイの人気ロックバンド、ボディスラムのボーカリスト、アーティワラー・コンマーライ(通称、トゥーン)(38)によるタイの南北2191㎞縦断チャリティーランが熱気を帯び、寄付金は12月14日までに8億Bに達し、目標の7億Bを上回った。
トゥーンのチャリティーランは資金難で医療機器などが不足している11県の11の国立病院の支援が目的で、11月01日にタイ最南部のヤラー県ベトンを出発、ゴールの最北部チエンライ県メーサイに12月25日に到着することを目指している。
トゥーンは12月03日にクルングテープに到着、12月14日までに約1670㎞を走破。沿道には連日、多くの人が集まり、寄付金を渡したり、声援を上げた。
トゥーンは走るだけでなく、行く先々で人々と交流し、イベントに参加するなどし、気さくな態度と強い意志が国民の支持を集めている。インターネット上には「トゥーン兄さんを首相に。」といったコメントがあふれ、人気は鰻上り。
トゥーンは2016年12月にも、同様の趣旨で、クルングテープから南部プラチュアブキリカン県までの約400㎞を10日間で走破。集まった8500万Bを同県の国立バンサパン病院に寄付。
プラユット首相(元陸軍司令官)はチャリティーラン開始当初からトゥーン支持の発言を続け、12月04日には首相府にトゥーンを招き、自ら寄付金を手渡した。
しかし、インターネット上には、「政府が不要な兵器の購入に散財し、皺寄せが来た医療予算の不足をトゥーンが体を張って埋めようとしている。」という批判も。

左から、アヌポン内相、プラウィット副首相兼国防相、プラユット首相、ソムキッド副首相 →

2014年の軍事クーデターで発足したタイ軍事政権は支那製の潜水艦、戦車などの購入を次々に決めた。国防予算は膨張を続け、2014年度の1847億Bが2017年度には2135億B、2018年度には2224億Bに拡大する。
チャリティーランの最中に軍政幹部のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)の金満疑惑が浮上したのも痛手。プラウィット副首相は数百万Bすると見られる超高級腕時計や指輪を着用しているのが目撃されたが、資産報告書に記載がなかった。「知り合いから借りた。」と釈明したものの、世論の批判を受け、タイ汚職取締委員会が動き出す事態となっている。

憲法基本法のうち政党に関係する項目についてステープ元民主党幹事長が「政党とり公正ではない。」といった理由で立法議会(NLA)に改正するよう求めていることに対し、「総選挙を再来年に擦れ込ませることで軍政を長引かせることが狙い。」といった批判意見が出ている。
ステープは2013年末から翌2014年05月の軍事クーデターまで当時のタクシン派・インラック政権に抗議する大規模な街頭デモを指揮した人物。
総選挙は今のところ来年11月頃に実施される見通しだが、民主党のオンアート副党首も「政党に関する基本法をどのように改正しようと総選挙を遅らせることになる。」と反発。
12月16日(土)クルングテープのチャオプラヤ川岸に立つ仏教寺院ワット・アルンラーチャウォラーラーム(通称、暁の寺)で、仏塔の壁面に足をかけた姿で写真に収まった旅行ガイドのノラノンタ・ノラカミン(44)♀が警察の取り調べを受けた上、現場で土下座し謝罪する騒ぎ。
ノラノンタが13日、問題の写真をフェイスブックに投稿したところ、不適切な振る舞いだとする批判が殺到。これを受け、警察が15日、古美術品・遺跡・国立博物館法違反などの容疑でノラノンタを取り調べた。有罪の場合、最長で1ヶ月の禁錮刑と最大1万Bの罰金が科せられる。
ノラノンタは、警察幹部らとともに暁の寺を訪れ、仏塔に向かって土下座し、謝罪。
先月、米国人ジョセフ・ダシルバ(38)、トラビス・ダシルバ(36)の2人(ホモ)が、ワット・アルンとワット・ポーの境内で尻を出した写真を撮影し、ツイッターやインスタグラムに投稿。2人はドンムアン空港で逮捕され、公然猥褻罪で罰金刑5000B。
12月18日(月)タイ2大政党の1つである民主党のアピシット党首はこのほど、憲法基本法のうち政党関連の法改正を求めているステープ元同党幹事長らを初めて公然と批判。
「憲法基本法改正を行った場合、総選挙実施が遅れ、民政復帰が遠のく。」といった批判的意見が出ている。ステープは2013年末から翌2014年05月に軍事がクーデターで当時のタクシン派・インラック政権を倒すまで同政権に抗議する大規模な街頭デモを指揮した人物であり、軍部もステープも共に反タクシン陣営。
ステープらは、立法議会(NLA)に対し基本法改正を検討するよう求めているが、NLA副議長は「NLAが求めに応じる可能性は低い。」と話している。
ワチャラ元民主党議員が「軍部がソムキット副首相を党首とする政党を立ち上げ総選挙に臨もうとしている。」と発言したことに対し、ソムキット副首相(経済担当)もプラウィット副首相兼国防相も「そのような計画はない。」と明言。
「軍部が政治に影響力を保持できるよう政党を結成しようとしている。」との見方は以前から出ているが、ソムキット副首相は「事実無根。」と一蹴。プラウィット副首相も「考えたこともない。」と全面的に否定。
12月19日(火)政治活動禁止令が解除されないと政党は総選挙に向けて基本法で求められている手続きを完了することができず問題が起きると指摘されていたが、プラユット首相は、憲法に規定された超法規的権限を行使してこの手続きの期限を延長する考えを明らかに。
暫定憲法から現行の新憲法に引き継がれたこの権限は、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長(プラユット首相)に付与されたもの。ただ、期限延長についての詳細は発表していない。
12月20日(水)政府は、「憲法と個別法をつなぐ基本法のうち下院議員選挙に関するものが制定された後は政党が自由に活動することができるようになる。」との見通し。同法制定は来年06月頃と見られている。具体的には、禁止令が解除か緩和されることで新党設立が可能になるほか、既存政党も法律で求められている党員データベースの更新が可能になる。なお、今のところ民政復帰につながる総選挙は来年11月頃に実施される見通し。
12月23日(土)「政治活動が禁止されていることから政党が基本法で求められている手続きを期限までに完了できない。」とされていた問題で、当局は先に超法規的権限を行使して期限を延長することなどを決めた。これに対し、主要政党の民主党が、「新党に比べて既存の政党が不利になる。」と決定を不当と批判。
民主党の法律専門家チーム代表のウィラットは、「既存の政党は党員に改めて入党手続きをさせる必要があり、新党は03月01日からその手続きが可能なのに対し、既存政党は04月01日まで待たなければならない。さらに、新党は政党登録後、会議開催の許可を当局に請求することができる。」と「公平性に欠ける。」と訴えた。
関係筋によれば、「今回の決定は、軍部がバックアップする新党を既存政党より有利な立場とすることが狙いと考えられる。」
12月28日(木)タクシンは長女ピントーンター夫妻と孫、次女のペートーンターンらと北海道滞在。
ペートーンターンがフェイスブックに投稿した動画に、広々とした台所で調理に勤しむタクシンが登場。タクシンはペートーンターンの質問に、「日本風のカレーを作っている。」、「日本人の嫁がいたことがないからおいしいかどうかはわからない。」などと応じた。
窓の外は雪。広々とした居間には長女のピントーンターとピントーンターの双子の娘2人の姿もあった。
プラユット首相(元陸軍司令官、63)、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、72)らタイ軍事政権幹部は、プレム枢密院議長(97)のクルングテープ都内の自宅を訪れ、年末の挨拶。
プレム議長は高齢にも関わらず、立ったままで祝賀客に演説。その後、プラユット首相に贈り物を手渡した。
2018年01月03日(水)タイ軍事政権のプラユット首相(元タイ陸軍司令官)は記者会見で、「私はもはや軍人ではなく政治家である。」と初めて明言。
プラユット首相は2014年のクーデターで民主政権を倒し全権を掌握して以来、「政治家」を汚職や不誠実さの象徴として槍玉に挙げ、自分は「軍人」で政治改革のため首相の責務を引き受けただけという立場を取ってきた。
プラユットは国軍の実質的最高実力者である陸軍司令官を務めたことがあるが、現在はすでに定年退官している。タイでは軍人は退役後も現役時代の階級をそのまま使うことが許されており、プラユット首相についてマスコミは「プラユット陸軍大将」と記している。
しかし、記者会見では、「今日は幸福の日、微笑みの日だ。私もいっぱい微笑む。しかし、以前、私は微笑んでもすぐに真顔に戻った。」、「今日、私は変わらねばならない。なぜなら、私は軍人ではないから。元軍人の政治家だから。」と述べた。一方、「長期にわたって政治家であり続けるつもりか。」との質問にプラユット首相は、「政治家になろうとは考えたこともなかったが、義務感から政治家になった。」とだけ返答。
ここへ来ての「政治家」発言は、今年11月の実施が予想される議会下院(定数500)総選挙後も首相として続投する意欲を示したものと受け取られている。
軍政が作成し昨年04月に施行した新憲法は国会が上院(定数250)と下院の2院制で、非議員の首相も認める。2大政党制を狙った1997年憲法の選挙制度改革が軍政の宿敵であるタクシンの台頭を許したとみて、公選制の下院は大政党が不利となる選挙制度に変更。上院は当初の5年間、軍政が議員を選任し、軍幹部も議員に含まれる。
「軍が上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えることから、下院選後、軍主導の政権が発足し、プラユット首相が続投する可能性がある。」と見られているが、プラユット首相自身は態度を明らかにしていなかった。
プラユット首相は下院総選挙について、訪米後の昨年10月、2018年11月に行われるという見通しを示していた。
01月04日(木)汚職裁判中に所在がわからなくなったインラック前タイ首相と見られる女性がロンドンのハロッズ百貨店の前にいるところを写した写真が04日からインターネット上に出回り、インラックが英国に滞在しているとい噂が真実味を増してきた。タイ軍事政権はインラックを犯罪者として扱っており、インラックが英国で制約を受けずに行動しているとすれば、外交的に面子を潰された形。
インラックと見られる女性は別の女性と一緒に写真に写っていた。英国旅行中のタイ人女性がインラックと見られる女性に記念撮影を頼んだと見られる。
インラックをめぐっては、よく似た女性がロンドンのショッピングセンターにいるところを写した写真が昨年末、タイのメディアやインターネットの交流サイト(SNS)上に登場。インラックの1人息子のスパセークによく似た少年と一緒の写真もあった。
インラックはインラック政権(2011~2014年)が導入した米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして職務怠慢などに問われ、タイ最高裁判所が昨年09月27日、被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決を下した。タイ軍政は判決後、インラックのパスポートを破棄し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、国際手配した。判決は当初、08月25日に下る予定だったが、前首相が出廷せず、所在不明になったため、延期された。インラックは08月23日に陸路でカンボジアに脱出し、シンガポール、兄のタクシンが自宅を構えるドバイを経由し、英国入りしたと見られる。
タイ軍政の報道官は昨年10月01日、「『インラックが英国にいる。』という非公式な報告をタイ外務省から受けた。」と明らかにし、「インラックが英国政府に政治亡命を申請する見通し。」と報じた一部報道については、「インラックの個人的な事柄で、プラユット首相は関心がない。タイ政府としては、法に従って、犯罪者の身柄引き渡しを求める。」と述べた。
タクシンは国外滞在中の2008年に、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。タイ国内では逮捕状が出ているが、国際社会では、タクシンへの実刑判決はタイの政治対立によるという見方が強く、タクシンは英国、支那、シンガポールなどを自由に行き来している。インラックもタイ国外で逮捕され、身柄を送還される可能性は低いと見られる。
01月05日(金)ウィサヌ副首相は、年末の年始の連休で、家族と日本を訪れたことを明らかに。
ミーチャイ憲法起草委員会委員長(元国会議長)、従兄弟のバワンサック元内閣秘書官長の家族も同行した。車であちこち観光する予定だったが、結局、寒さと雪で、4日間ホテルにこもりっぱなしだった。3人はいずれも法律専門家で、昨年4月に施行された新憲法の制定で中心的な役割を果たした。
01月09日(火)ドーン外相は、汚職裁判中に所在がわからなくなったインラック前タイ首相が昨年09月から英国に滞在していることを認めた。「英国政府がインラックの政治亡命を認めたかどうかはわらかない。」としている。
軍政はインラックを犯罪者として扱っており、インラックが英国で制約を受けずに行動しているとすれば、外交的に面子を潰された形。
インラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度「米担保融資制度」をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして職務怠慢などに問われ、タイ最高裁判所が昨年09月27日、被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決を下した。軍政は判決後、インラックのパスポートを破棄し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、国際手配した。
判決は当初、08月25日に下る予定だったが、インラックが出廷せず、所在不明になったため、延期された。インラックは08月23日に陸路でカンボジアに脱出し、シンガポール、兄のタクシンが自宅を構えるドバイを経由し、英国入りしたと見られる。
軍政はインラックの所在は不明としてきたが、先月から今月にかけ、インラックと見られる女性がロンドンにいる写真がインターネット上に次々に現れていた。
タイ検察幹部がに明らかにしたところによれば、ロンドンで撮影されたとみられるインラック前首相の写真2枚のうち1枚は本物と見ているが、タイ当局は今も前首相の身柄引渡しを請求できないでいる。
インラックの所在に関する証拠が不十分であることが理由であり、このため、タイ警察の請求にもかかわらず国際刑事警察機構はいまだにインラックの国際逮捕手配書を発付していない。
なお、在任中の職務怠慢の罪に問われていた前首相は昨年08月、最高裁が予定していた判決言い渡しの数日前に国外に逃亡したことで逮捕状が発付され、また、翌09月には被告不在のまま禁錮5年の有罪判決が言い渡された。
01月10日(水)プア・タイ党のプムタム幹事長代行は、プラユット首相に対し総選挙の日程を決定・発表するよう求め、下院議員でなく民間人から首相を選ぶことに異議を唱えた。
民政復帰のための総選挙は今のところ今年11月頃に実施されるとみられているが、幹事長代行によれば、「国民と国際社会の支持を得たいのであれば、現政権投票日を明確に発表する必要がある。」
また、総選挙後、下院議員から首相を選出できない場合には民間人を首相に起用することになるが、「プラユット首相が総選挙に出馬せずに首相に就任することを狙っている。」との見方もある。このため、プムタム幹事長代行は、「事実上の軍事政権継続は容認できない。」と牽制。
01月11日(木)パイブン元上院議員が新党を設立して今年11月に実施見通しの総選挙後に非議員のプラユットを首相に起用するとの案を明らかにしたが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、同案について「国民が良いと思うなら私も賛成する。」と述べ、国民が反対しないのなら総選挙に出馬しないプラユットに首相を任せるのを支持するとの考えを明らかに。
既存の政党などは総選挙で議員に選ばれた者の中から首相を選ぶべきとしているものの、新憲法では非議員(民間人)の首相起用も可能となっており、プラユット首相は憲法規定を利用して首相を続投する考えとも一部で報じられている。
パイブン元上院議員によれば、「民間人としてのプラユットの首相起用には、下院議員500人、上院議員250人の半数にあたる375人を超える議員が賛同する見通し。また、主要政党は党首を首相に推すと考えられるが、これら党首が議会で過半数(375人以上)の支持を得ることは考えにくい。」
01月13日(土)プラユット首相は子どもの日(毎年1月の第2土曜日)の01月13日、政府庁舎に招いた子供たちを前に、「私たちはタイ式民主主義を確立しなければならない。」などとスピーチしたが、これに対し、現軍政に批判的姿勢をとっているタクシン派政党プア・タイ党の幹部、チャトゥロンは、「民主的ではない価値観を子供たちに植え付けようとしている。」と批判。
関係筋によれば、現政権は4年前の軍事クーデターによって誕生したが、チャトゥロンは「クーデターを容認するかのようなタイ式民主主義を認めることはできない。」と強く反発。
01月14日(日)プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の実績に関するセミナーが開催され、ここでタクシン派プア・タイ党の経済チームが、「現政権の経済政策の恩恵に預かっているのは大企業だけで、中小企業と一般市民は困難を強いられている。」とNCPOを批判。
同チームのティラチャイ元財務相によれば、政府は東部経済回廊(EEC)への投資誘致などに力を入れているが、これで得をするのは大企業だけと指摘。さらに、同チームのピチャイ元エネルギー相は、「タイへの新規投資が停滞しているのは投資家が政府を信用していないため。」と訴えた。
01月15日(月)プラウィット副首相兼国防相が複数の高級腕時計を所有しながら、これらの時計について閣僚に義務づけられた資産申告をしていなかったとの疑惑について、関係当局が事実関係の解明に消極的との批判が一部で出ている。このため、主要政党の民主党のアピシット党首はこのほど、「このような状態が続いていることでプラユット首相もイメージダウンとなっている。」と指摘し、早期の疑惑解明が必要との見方を示した。
プラウィット副首相が所有する高級腕時計は、当初1個のみとされていたが、今では過去に撮影された写真から少なくとも22個に上る。アピシット党首によれば、「プラユット首相は総選挙に出馬せずに非議員として首相に指名されることを望んでいる可能性があるが、首相を続投したいのであれば、プラウィット副首相の高級時計問題を放置しておくのはプラユット氏自身のさらなるイメージ低下につながるため得策ではない。」と述べた。
01月17日(水)タクシン派政党プア・タイ党は、基本法のうち政党に関する規定がプラユット首相の持つ超法規的権限で手直しされたことについて、「党員の基本的権利を侵害している。ろ5と憲法裁判所に訴えた。
現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長(プラユット首相)に超法規的権限を付与することは2014年05月の軍事クーデターに伴い制定された暫定憲法に規定されており、昨年04月に施行された現行新憲法に引き継がれている。
プア・タイ党によれば、「超法規的権限による政党に関する基本法の手直しは党員の基本的権利の侵害など複数の点で憲法に違反している。」
01月18日(木)立法議会の精査委員会が国会議員に関する基本法の施行を90日間延期するよう求めており、総選挙の実施が来年にずれ込む可能性が出てきた。
プラユット首相は「民政復帰のための総選挙を今年11月ごろ実施する。」と約束しているが、総選挙実施に不可欠な国会議員に関する基本法施行が90日遅れれば、総選挙の年内実施は不可能。
なお、ウィサヌ副首相によれば、「法律の施行延期は違憲ではなく、立法議会(NLA)は政府と協議せずに施行延期を決めることができる。」
刑事裁判所は、昨年クルングテープにある軍運営のプラモンクットクラオ病院で起きた爆弾事件で爆弾を仕掛け有罪判決を受けた元技師のワタナーに「他の爆弾事件に関与していた。」として禁錮80年6ヶ月の有罪判決。
判決によれば、ワタナーは2007年と2017年にクルングテープで起きた3件の爆弾事件にも関与していた。刑事裁判所はさらにこれらの事件で負傷した人々に対し計14万Bを賠償するようワタナーに命じた。
01月19日(金)下院議員選挙法の検討を進めている立法議会(NLA)小委員会が、同法施行を官報での発表直後でなく、90日後とすることで合意。このため、今年11月と見られていた総選挙の実施時期が来年02月にずれ込む可能性が現実味を帯びる。
プラユット首相は今年末の総選挙を公言していたことから、「総選挙の実施が来年となれば、首相の顔に泥を塗ることになる。」といった意見がある一方で、「総選挙の延期は政府が新党を立ち上げるための時間稼ぎ。」といった見方も出ている。
01月20日(土)午後クルングテープ都北隣パトゥムタニー県の国立タマサート大学ランシット・キャンパス前で、政府の政策への意思表明のため、活動家からなるデモ隊数十人(報道により約100人)が、約420㎞離れた東北部コンケン県に向けてデモ行進をしようとしたが、「5人以上の政治集会禁止令に違反する。」として、警官隊と揉み合う騒ぎ。怪我人はなかった模様。
デモ隊は東北部コンケン県まで徒歩で行進する計画だったが、大学の門を出たところで警官隊に阻止された。同キャンパスに集まった人々の一部は、法令に触れないよう4人ずつのグループとなりキャンパスを出てコンケンに向かったが、認められなかった。
デモ隊のリーダーである同大学社会人類学部のアヌソン学部長によれば、「今回のデモ行進は、食品安全保障、天然資源、地域住民の権利、市民の自由などに関する政府の政策に反対する人々のネットワークを構築することが目的だった。」
デモ隊の一部はその後、分散して行進を開始し、21日には中部アユタヤ県に達した。
01月23日(火)主要政党の民主党のアピシット党首は、憲法裁判所に対し、憲法に規定された超法規的権限に基づいたプラユット首相による政党法の手直しについて違憲か否かを判断するよう求めた。
アピシット党首によれば、基本法の内容修正は憲法で保障された党員の権利の侵害と権利の乱用である可能性があるという。
政党法では党員登録などに関する部分が手直しされることになったが、これには「新党に比べて既存政党が不利になる。」として、主要政党であるプア・タイ党、民主党の2党が強く反発。アピシット党首によれば、「超法規的権限の行使は、改革の推進、国民の団結、治安の維持のためでなければならないと規定されており、基本法の手直しはこの条件に合致しない。」
01月24日(水)欧州連合(EU)は1月24日、プラユット政権に対し、早期に民主主義を復活させること、11月に総選挙を実施するとの約束を守ることを要求した。これは、総選挙の実施時期が来年02月頃にずれ込む可能性が浮上したことに伴うもの。
総選挙延期説は、下院議員選挙法を検討している立法議会(NLA)の委員会が同法の施行を官報発表の90日後とすることで合意したことから浮上したもので、25日にNLAで審議が行われることになっている。
01月25日(木)現政権の最優先課題とひとつである国家改革に関するフォーラムが労働省で開催され、ここでウィサヌ副首相が国家改革計画が03月末までにまとまる見通しであることを報告。
計画は13の委員会で検討されてきた。国家経済社会開発委員会(NESDB)による精査も済んでいる。
ウィサヌ副首相によれば、国家改革計画はタイが発展するためのガイドラインであり、計画を履行しない政府機関は罰せられることになっている。
立法議会(NLA)で、憲法関連基本法の1つである下院議員選挙法案が修正、可決。同法案は当初、官報記載直後に施行されるとなっていたが、立法議会での審議で、記載から90日後に施行と修正された。法案は今後、憲法起草委員会と選挙委員会の審査、ワチラロンコン国王の承認を経て、官報に記載される。同法案では同法施行時期を官報での発表から90日後とされていることから、総選挙の実施時期が今年11月から来年02月頃にずれ込む見通し。
昨年04月に施行された新憲法では、下院議員選挙法など選挙関連4法の施行から150日以内に下院選が実施される。今回の修正で下院議員選挙法の施行が遅れ、選挙日程も先送りとなる公算が大きい。
同法案の検討を行ってきたNLA委員会によれば、施行延期は手続き上のトラブルを避けるための措置という。「軍政が新党を立ち上げるための布石。」といった批判的見方もあるが、法務担当のウィサヌ副首相は、「今回の選挙法施行延期は政府と無関係。下院議員選挙法案の修正に関与していない。」と強調。ただ、立法議会は軍政が議員を選任し、これまで軍政の意向に沿って法案を通過させており、今回の法案修正は軍政による時間稼ぎという見方が強い。
2014年05月のクーデターでタクシン派の民選政権を倒して発足したタイ軍政は政党や個人の政治活動を全面的に禁止し、軍政を批判したり、反軍政デモに参加した人を逮捕、訴追してきた。下院選については、当初、2015年に実施するとしていたが、その後何度も日程を延期。
下院選が実施されたとしても、軍中心の政権が続く可能性も指摘されている。新憲法が定める国会は議会上院(定数250)と下院(同500)の2院制だが、上院は当初の5年間、民選ではなく、軍政が議員を選任する。軍は上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えるため、一部の政党と手を組んで国会の過半数を制することが可能と見られる。
軍政トップのプラユット首相(元タイ陸軍司令官)はこれまで、自分は「軍人」で政治改革のため首相の責務を引き受けただけという立場を取ってきた。しかし、今年01月03日の記者会見では、初めて自らを「政治家」と呼んだ。これは「下院選後も首相として続投する意欲を示したもの。」と受け取られている。
01月26日(金)明日(27日)午後05時半から、クルングテープ都内パトゥムワン地区のパトゥムワン交差点のスカイウォーク(MBK前)で、反政府グループが早期総選挙を求める抗議集会を行うと発表。
これを受け、在タイ日本大使館は、可能な限り現場近くに近づかないよう日本人在住者、旅行者に注意を呼びかけた。

タイ(チェンマイ総領事館管轄区域を除く)にお住まいの皆様及び旅行者の皆様へ
在タイ日本国大使館

反政府系
グループの集会実施に伴う注意喚起

一部報道によると、明日(1月27日)17時30分から、反政府系グループが総選挙の早期実施等を求めるための集会をパトゥムワン交差点のスカイウォーク(MBK前:マーブンクローン前)で実施することを発表しています。
在留邦人および旅行者の皆様におかれましては、上記情勢に留意の上,不測の事態に巻き込まれることのないよう,最新の関連情報の入手に努めるとともに,可能な限り集会には近づかない等,安全確保に十分注意を払って下さい。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
 電話:(66-2)207-8500,696-3000
 FAX :(66-2)207-8511
01月27日(土)午後クルングテープおよびソンクラー県で、複数の市民グループが複数カ所に集まり軍政に対する不満を表明。それぞれの集会は数十人程度だったが、「5人以上の政治集会禁止」との法令があることから警察は集会を取り締まる姿勢を見せていた。
クルングテープ都心のショッピングセンター、MBK前の高架連絡橋スカイウォークで、数十人規模の反政府デモ。警官隊が警戒に当たったが、双方の衝突はなかった。
市民グループは、民政復帰を実現するための総選挙の実施時期が来年02月頃にずれ込む見通しであることから、政府に対し約束通り総選挙を年内に実施するよう要求。
さらに、プラウィット副首相兼国防相の高級腕時計疑惑が事実上の放置状態であることから政府に対し迅速な対応を求めた。市民グループは今後も定期的に集会を行う姿勢を示している。
01月28日(日)立法議会(NLA)で25日、憲法関連基本法のうち下院議員選挙法の施行を官報発表の90日後とする案が承認され、総選挙の実施時期が今年11月から来年02月にずれ込む見通しとなったことに対し、諸外国の駐タイ大使などから批判的意見が出ている。
総選挙は軍政に終止符を打ち民政復帰を実現するために欠かせない手続きであり、総選挙が遅れることは軍政が長引くことを意味する。このため国際社会は下院議員選挙法の施行延期に難色を示している。
01月29日(月)ラチャブリー県の地方裁判所は、「2016年の憲法草案の是非を問う国民投票に関する法律に違反した。」として逮捕された学生4人とリポーター1人に対し無罪を言い渡した。「被告は、国民投票を妨害すべく過激な文言で憲法草案に関する虚偽の情報を流布したとされたが、裁判所は違法行為とまでは言えない。」との判断。
ただ、学生が指紋採取を拒んだのは違法であり、1人当たり罰金1000Bとなるが、罪を認めたことから500Bに引き下げた。ただ、学生らは警察署に勾留されていたことから、これが考慮されて罰金支払いは免除。
01月30日(火)5人以上の政治集会が禁止されているにも拘わらず先にクルングテープで総選挙の年内実施を求める集会が行われたことについて、警察当局は、集会を主導した7人を取り調べる方針を明らかに。
シーワラ警察庁副長官によれば、「これら7人については現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)から警察署に訴えがあったことから出頭を命じて取り調べを行うことにした。」
民政復帰を実現するための総選挙については、先に立法議会で下院議員選挙法の施行を官報発表の90日後とする案が承認されたことから、実施時期が今年11月から来年02月頃にずれ込む見通し。
01月31日(水)軍事政権に反対する民主化グループが、クルングテープ都心のショッピングセンター、サイアム・パラゴン前でデモを計画。
午後05時半頃から集合し、午後6時に国家を斉唱。その後は沈黙し、軍政の人権弾圧に抗議する予定。
民主化グループは01月27日にも、総選挙の実施を求める小規模なデモをクルングテープ都心で行った。軍政はデモを弾圧しなかったが、主導者7人を集会禁止令違反などで訴追する構えを見せている。
インラック前首相の代理人弁護士は、インラック前政権の導入した米担保融資制度によって巨額の損失が生じ、インラック前首相に損害賠償が求められていることから、法執行局がこれまでに30件を超えるインラックの資産を没収したことを発表。これら資産は、クルングテープの自宅(過去の資産申告では1億1000万B相当)、アパート、土地区画など。
米担保融資制度絡みの職務怠慢などの罪でインラックには禁錮5年の有罪判決が言い渡されているが、インラックは判決前の昨年08月に国外に逃亡。現在は英国に潜伏している可能性が高い。
02月01日(木)中央選挙管理委員会によれば、同委員会は次期総選挙の費用として政府に58億Bを申請する予定。前回の総選挙の費用28億Bを93%上回るものとなっているが、これは、立候補者の選挙運動に補助金を提供する必要があることによるもの。
このほか、選管では選挙違反を一掃すべく選挙違反に関する情報の提供者に報奨金を与えることを検討中。
高級腕時計に絡む資産不申告が疑われているプラウィット副首相兼国防相について、複数のサイトが辞任すべきかどうかを問う意見調査を開始。いずれのサイトでも今のところ「辞任すべき。」が圧倒的多数。
この調査は、プラウィット副首相が先に「国民が望むなら辞任する。」と述べたことに伴うもの。また、主要政党の民主党のアピシット党首は、「プラウィット副首相には同情するが、最初にきっちり説明していれば、今のように収拾の付かない事態にはならなかっただろう。結果的にプラウィット副首相と政府は疑惑に悩まされ続けることとなった。」と指摘。国の発展を妨げることがないよう今後は政治家がしっかり説明責任を果たすようにしていくことが必要との考えを示した。
2003年07月、に三重県津市で、指定暴力団山口組系伊勢紙谷一家の乙部和彦幹部が自宅で射殺された事件が射殺された事件で国際手配された元暴力団幹部、白井繁治(74)がタイから日本に強制送還され、三重県警に殺人などの疑いで逮捕。タイ警察によると、「白井は2005年からタイに潜伏していた。昨年08月、上半身裸で入れ墨をさらした白井の写真をタイ人が撮影、フェイスブックに投稿したことで足がつき、今年01月10日、タイ中部ロッブリー県で不法滞在容疑で逮捕された。」
この事件は、白井が背中一面に入れ墨を入れた「ヤクザ」ということからタイでも注目を集め、1日には送還の様子を取材するため、タイの報道陣多数がスワンナプーム空港に詰めかけた。
夕方軍事政権に反対する民主化グループのタイ人女性3人、男性1人が、クルングテープ都心のショッピングセンター、サイアム・パラゴン前で抗議デモを行った。4人は自分の口をテープで塞いで静かに立ち続け、軍政による言論弾圧に抗議。
02月02日(金)1週間ほど前に市民グループが政府批判集会を行ったのに対し、02月01日には資産不申告疑惑の渦中にあるプラウィット副首相兼国防相を激励すべく地方から上京した人々が国防省前で集会を行ったことを受け、シーワラ警察庁副長官は、「5人以上の政治集会は違法として反政府であろうと政府支持であろうと法的措置を執る。」と明言。
シーワラ副長官によれば、「反政府集会については人を集めるためなどにかかった費用を提供した者がいる可能性があるため、誰が費用を負担したのかを調べるよう資金洗浄対策室(AMLO)に要請した。」
法執行局が先にインラック前首相の自宅を没収する手続きを執ったことからウィサヌ副首相が「インラックの家族は自宅に留まるために許可を取得するか家賃を払う必要がある。」と述べ、一部で批判が出ていたが、ウィサヌ副首相はこのほど、「インラックの息子は自宅が競売にかけられるまで自宅で生活できる。」との見解を明らかに。
インラック政権が導入した米担保融資制度で巨額の損失が生じたことからインラックに損害賠償が求められており、そのため自宅が没収されることになった。自宅は近く競売にかけられることになるが、通常は住人に競売まで住み続けることが許可されている。
立法議会(NLA)の委員会が下院議員選挙法法案の施行を官報発表から90日後とし、同法案が先にNLAで承認されることになったが、ピラサックNLA副議長はこのほど、「手直しはプラユット政権による時間稼ぎのため。」とする見方を否定。
国王の承認を得た後、官報に掲載されることになるが、官報発表90日後とされた施行期日に変更がなければ、軍政に終止符を打ち民政復帰を実現するための総選挙実施時期は今年11月から来年02月頃にずれ込むと見られている。
ただ、ピラサック副議長によれば、「施行延期は技術的な問題から必要であり、政権の延命が狙いではない。また、施行90日延期は必ずしも総選挙の実施を90日先送りすることにならない。」
02月06日(火)在タイ日本大使館は、午後05時頃、「クルングテープ都内のサトーン通とナラティワート通の交差点のスカイウォーク(BTSチョンノンシー駅付近)で反政府集会が行われるという情報がある。」として、日本人在住者、旅行者に注意を呼びかけた。
現軍政に終止符を打ち民政復帰を実現するために欠かせない総選挙の実施時期について、「今年11月から来年02月にずれ込む。」、「02月以降になる。」といった憶測が飛び交っているが、プラユット首相は、「選挙関連の法律が全て施行されてから総選挙が実施されることになる。」とだけ述べて、具体的な時期への言及を避けた。
プラユット首相はこれまで今年11月頃に総選挙が行われると述べていた。だが、下院議員選挙法の施行を官報発表の90日後とする案が先に立法議会(NLA)を通過しており、これが本決まりとなれば、総選挙は来年2月ごろに実施される可能性が高い。総選挙が遅れることは民政復帰が遅れることであり、総選挙遅延には国際社会からも批判的な意見が出ている。
02月07日(水)プラユット首相は、クルングテープのタイ首相府で、米軍制服組トップのジョゼフ・ダンフォード統合参謀本部議長と会談。米統合参謀本部議長がプラユット軍政下のタイを訪問するのは初めて。 両者は会談で、「両国関係の強化に軍事協力が重要 」という認識で一致。プラユット首相は軍政のロードマップに則り民政復帰を目指す考えを確認。2人は会談後、手をつないで記念撮影。
2014年のクーデターで民主政権を倒し発足したプラユット軍政に対し、米国のオバマ政権と欧州各国は、早期の民政復帰を要求し、閣僚レベルの交流を停止するなど、外交関係を引き下げた。しかし、米国のトランプ政権はタイとの関係改善にかじを切り、昨年10月にプラユット首相が訪米し、トランプ大統領と会談。
02月08日(木)在タイ日本大使館は、インターネット上の情報によると、「02月10日午後04時頃、クルングテープ都内の民主記念塔付近で反政府集会が計画されている模様だ。」として、日本人在住者、旅行者に注意を呼びかけた。
プラウィット副首相兼国防相が数十個に及ぶ高級腕時計を所有しながら資産申告をしていなかった疑いをかけられている問題で、主要政党のプア・タイ党は、プラウィット副首相を支持する考えを示したプラユット首相を非難。
プア・タイ党の広報担当アヌソンは、「国民の多くがいまだにプラウィット副首相を疑っており、首相がプラウィットを庇うことで政府は国民の信頼を失うことになる。」と訴えた。
なお、プラウィット副首相は「高級腕時計はすべて知人から借りたもの。」と主張しており、現在、国家汚職制圧委員会(NACC)が事実関係の解明に当たっているが、調査で何が明らかになったかなどは今のところ発表されていない。
02月09日(金)プラユット首相は、クルングテープ北郊のコンベンションセンター、インパクトに、全省の事務次官、軍司令官、内務省幹部、タイの全77都県の知事ら約2800人を集め、「持続可能なタイ主義」と謳った新政策を説明。
「助け合い」、「幸福な共同体」、「権利と義務と法律を知る」、「足るを知る」、「タイ的民主主義を知る」、「麻薬問題の解決」といった10の目標を掲げ、公務員が全国の津々浦々に入って国民の要望を聞き、解決策を立案、実行に移すというもので、予算総額1500億B。
プラユット首相は新政策について、「国民の生活水準の向上、貧富の差の縮小が狙いで、自身が常々批判してきたバラマキ政策ではなく、2019年の実施が予想される議会下院総選挙に向けた人気取りでもない。」と主張。
02月10日(土)タイで実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元首相と妹のインラック前首相が春節(支那正月)を祝うため北京を訪れたとの情報が流れた。北京で買い物を楽しむ様子を写した写真が出回り、タイ軍事政権が神経を尖らせている。
タクシンについては、次女のペートーンターンが10日、北京で撮影したという写真をフェイスブックに投稿した。同日、タイの大手各紙が、タクシンとインラックが北京で一緒にいる写真を相次いでウェブサイトで公開。タクシンの服装はペートーンターンが投稿した写真と同じ。
タイでは支那系の政治家や実業家が少なくないが、タクシンとインラックの兄妹も祖先は支那人。タクシンは中東のドバイを拠点しており、また、インラックは少し前に「ロンドンにいる。」と報じられていた。
タクシンは国外滞在中の2008年に、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。タイ軍政は元首相を国際手配しているが、国際社会では、タクシンへの実刑判決はタイの政治対立によるという見方が強く、タクシンは英国、支那、シンガポールなどを自由に行き来している。
インラックはインラック政権(2011~2014年)が導入した事実上の米買い取り制度「米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置した。」として職務怠慢などに問われ、タイ最高裁判所が昨年09月、被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決を下した。タイ政府は判決後、インラックのパスポートを破棄し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、国際手配。
インラックは判決前の昨年08月に国外に脱出し、以来、英国に滞在していた。支那滞在が事実とすれば、英国政府に続き、支那政府もインラックの逮捕、身柄引き渡しに応じないこと示した形で、タイ軍政は外交的に面子を潰された格好。
午後~夜民政復帰を実現するために欠かせない総選挙の実施時期が今年11月から来年2月にずれ込む可能性が出ていることから、クルングテープ都内の民主記念塔近くで総選挙遅延に反対する人々が集まり気勢を上げた。集会は午後04時頃に開始され、次第に参加者が増え最終的に500人以上が集まった。
一方、警察当局は民主主義記念塔が市民に占拠されるのを防ぐため、念塔の周りに柵を設け警官隊を警備に当たらせ、集会参加者の持ち物や身分証明証を検査。散会後、集会の主導者3人が5人以上の政治集会を禁じた軍政命令に違反したなどとして逮捕された。3人は11日、保釈。
02月11日(日)タクシン兄妹の写真について、タイ軍政の報道官は11日、「タクシン元首相に加え、インラック前首相も各国・地域を自由に行き来できるのか。」という記者からの質問に対し、「知らない。」と応じた。
タクシン派政党プア・タイ党のチャワリット副幹事長代行は、「タクシン兄妹の写真に政治的な意図はなく、軍政の信用失墜を狙ったものではない。」と主張。
関係筋によれば、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の事務局長に対しプラユット首相が、「あらゆる政治的活動に注意を払うとともに政治的活動に関与した者への法的措置適用には最大限の慎重さをもって臨まなければならない。」と指示。
これは、02月10日に都内で市民約500人が集会を行い総選挙遅延に反対したことを受けてのもの。政府は現在、「反政府的な市民活動が拡大する恐れがある。」と懸念。
民政復帰を実現するための総選挙について、プラユット首相は今年11月実施を明言していたが、下院議員選挙法の施行時期が延期されたことで来年02月頃にずれ込む可能性が高まっている。そのため、「政府は何らかの意図を持って総選挙を遅らせようとしている。」といった政府に批判的な意見も出ている。
インラックが北京の市場にいるところを撮影したとされる写真がネット上に投稿されたことから、タイの警察当局は12日にも支那当局に対しインラックの所在を特定するよう要請する見通し。
インラックは判決前に国外に逃れたことから前政権の導入した米担保融資制度で不正が蔓延し、巨額の損失が生じたことに絡んで昨年09月に本人不在のまま禁錮5年の有罪判決が言い渡されている。 写真には同じく国外逃亡中の実兄タクシンも写っていたが、今のところタイ当局は「2人が北京にいたことをまだ確認できていない。」という。
なお、サンサーン政府報道官は、この写真について、「政府でなく治安当局が扱う事柄。」とだけ述べ、直接言及することを避けた。
02月12日(月)プラウィット副首相兼国防相は、有罪判決を受け現在国外逃亡中のタクシンと妹のインラックが支那の北京に滞在中であることを示すとされる写真が先にネット上に投稿された件に記者からコメントを求められた際、「2人は支那から日本に向かったという報告を受けた。」と述べた。
イタリアのアンジェリーノ・アルファノ外相と英国のボリス・ジョンソン外相が相次いでタイを公式訪問し、タイのプラユット首相、ドーン外相と会談した。欧州連合(EU)加盟国の外相がプラユット軍事政権下のタイを公式訪問するのは初めて。
アルファノ外相は09日にプラユット首相、ドーン外相と会談し、タイとEUの関係改善に向けた橋渡しに意欲を示した。
ジョンソン外相は12日にプラユット首相、ドーン外相と会談。
2014年のクーデターで民主政権を倒し発足したタイ軍政に対し、米国のオバマ政権と欧州各国は、早期の民政復帰を要求し、閣僚レベルの交流を停止するなど、外交関係を引き下げた。しかし、米国のトランプ政権はタイとの関係改善にかじを切り、昨年10月にプラユット首相が訪米し、トランプ大統領と会談。
プラユット首相は訪米後、民政移管のための議会下院総選挙が2018年11月に実施されるという見通しを表明。EUはこれを受け、昨年12月の外務理事会で、タイに対する政治的関与を段階的に再開する方針。
プラユット首相は、人権や経済政策に関するフォーラムの席上、各国の外交官など出席者約300人を前に、政府批判集会などを行っている人々について「政府に悪意を抱いている。」などと非難。
タイで現在、5人以上の政治集会が禁止されているが、今年に入り総選挙遅延に反対する集会などが開かれている。プラユット首相によれば、「一部で規制が緩和されているものの、同じ者が繰り返し逮捕、釈放されている。これは意図的に政府を悪者にしようとしたものと考えられる。」なお、総選挙の遅延については、民政復帰を遅らせるとして国際社会からも批判的意見が出ている。
02月13日(火)4年前の軍事クーデターで誕生した現政権に批判的な人々が反政府活動を活発化させていることについて、プラユット首相は、「誰もが法律に従わなければならない。」と述べ、反政府集会などを厳しく取り締まる考えを明らかに。
現政権下では5人以上の政治集会が禁止されている。総選挙の実施時期が今年11月から来年02月頃にずれ込む可能性が出ていることから、これに抗議する集会が開かれているが、これは違法行為。プラユット首相は、「彼らが何を望んでいるのかわからない。彼らはタイを後戻りさせている。政府としては見過ごすことができない。」との考えを示した。
02月14日(水)17時頃チエンマイ市の国立チエンマイ大学前で、学生、教員ら約100人が参加した反軍事政権集会。
参加者は、軍政による言論弾圧、汚職、議会下院総選挙の先送りなどに抗議。早期の民政復帰を要求し、「選挙、選挙。」と連呼。参加者の一部は軍政と敵対するタクシン派のシンボルカラーである赤いシャツを着用。
現場では警官隊が警備に当たったが、逮捕された集会参加者はいなかった。
02月16日(金)民政移管のための下院総選挙の実施時期であるが、プラユット首相が言及していた今年11月から来年02月頃にずれ込むとの見通しが出るなか、ポンペット立法議会(NLA)議長は来年03月にずれ込む可能性を示唆。このため、ウィサヌ副首相は混乱を回避するため、「今年06月に中央選挙管理委員会や政党代表などを交えた話し合いを行い、総選挙実施日程を明確にする。」と発言。
一方、プラユット首相が総選挙行程表を厳守すると明言しながら先送りされかねない状況となっていることから、主要政党の1つであるプア・タイ党の幹部、サマート元下院議員は、「彼(ウィサヌ副首相)の言葉を信用していいのかわからない。」と述べ、不信感を露わに。
プラウィット副首相兼国防相が数多くの高級腕時計を所有しながら、これらについて資産申告していなかったとの疑惑が燻るなか、人権活動家のティダ♀らが、プラウィット副首相の解任を求める8万人分の署名を首相に提出。
ネット上の情報によれば、プラウィット副首相は25個あまりの高級腕時計を所持しており、その価値は合計4000万Bあまりに上る。
02月17日(土)自衛隊による在外邦人保護訓練をタイ東部ウタパオ空港で実施。
タイ軍と米軍が中心となって毎年開催される多国間軍事演習「コブラゴールド」の一環で、自衛隊員約110人、外務省関係者約40人、在留邦人約60人が参加。福田達夫防衛大臣政務官が現地を訪れた。
訓練は、政情不安に陥った仮想第三国で、陸自隊員が暴徒を排除しながら邦人を保護、空港まで誘導するという設定。空港からは空自C130輸送機で邦人を救出。今年は「日米防衛協力のための指針」に沿い、米軍機が邦人を救出するという訓練を実現させ、邦人3人が米海兵隊C130輸送機に乗り込んだ。一方、空自機にも米国人3人が乗り込んでいる。
ウタパオ空港はタイ海軍が管理運営。日本ほか、タイ、米国、マレーシアが同時に、自国民救出の訓練。
コブラゴールドの参加国はタイ、米国、日本、インドネシア、シンガポール、南朝鮮、マレーシア、インド、支那。ほかオブザーバーを含めると計29ヶ国に達する。23日まで続く。
総選挙の早期実施を求める市民グループの代表などが、国立タマサート大学に集まり、「総選挙の年内実施を実現すべく当局に圧力をかけていく。」との方針を再確認。
市民団体のある代表は、「軍事クーデターによって国民の権利が奪われた状態が4年間にわたっている。我々は国の将来について意見を表明するため総選挙を(早期に)実施するよう求めている。」と訴えた。
なお、4年前の軍事クーデターに伴い5人以上の政治集会は禁止されており、当局は総選挙の早期実施を求める集会を違法としている。
02月18日(日)民政復帰に欠かせない手続きである総選挙については、ここに来て実施時期が今年11月から来年の02月あるいは05月にずれ込む可能性が出てきたことから、複数の市民グループが総選挙の年内実施を求める集会を政治集会禁止令に反して開催。ただ、これらグループの呼びかけに対し政党は集会への参加に慎重姿勢を見せている。
プア・タイ党に所属するソムキット元下院議員は、「我々が集会に参加すれば、当局は我々が集会開催に資金援助していると考えかねず、そうなれば、集会開催に悪影響が及ぶ。」と説明。また、同党所属のサマート元下院議員も、「市民グループと同じく総選挙の早期実施を求めているが、政党は法律に縛られた存在であり、行動を起こす場合は慎重でなければならない。」との見方。
一方、民主党のニピット副党首は「集会に政党が参加すれば、市民グループによる総選挙年内実施の要求が正当性を失いかねない。」との考え。
02月20日(火)憲法と個別法をつなぐ基本法のうち下院議員と上院議員の選挙に関する2つの基本法草案について、立法議会(NLA)が否決することで総選挙実施がさらに遅れる恐れがあるとの見方も出ているが、NLAの院内幹事であるソムチャイらによれば、「これらの法案は可決され、総選挙は今年末か来年初めに実施できる。」との見通し。
ソムチャイによれば、「上院議員選挙関連の基本法草案に議論を呼びそうな点はあるものの、NLAメンバーの99%が賛成票を投ずることが予想される。」
02月21日(水)反タクシン派団体「民主主義市民同盟(PAD)」のメンバー85人が器物破損、不法侵入、脅迫などの罪に問われた裁判で、タイ最高裁判所は、被告78人に禁錮3~8ヶ月の実刑判決を、犯行時未成年だった6人に執行猶予付きの有罪判決。1人は逃亡中のため、判決を下さなかった。
被告は「タクシン派サマック政権時代の2008年08月に都内の国営テレビ局NBTを襲撃、占拠した。」として、起訴された。
PADはタクシン政権当時の2005、2006年に大規模な反政府デモを展開。2008年にはクルングテープのタイ首相府、郊外のスワンナプーム空港とドンムアン空港などを占拠。2空港の占拠に関する民事裁判は昨年09月に最高裁で判決が確定し、PAD創設者で元実業家のソンティ・リムトーングクン、チャムロン元クルングテープ都知事らに対し、5.2億Bに年利7.5%で9年分の利子を上乗せした賠償金の支払いが命じられた。チャムロン元都知事らは支払いに応じていない。ソンティは2016年09月に証券取引法違反で禁錮20年の実刑が確定し服役中。
4年前のクーデターで誕生した現政権のもとでは5人以上の政治集会が禁止されているが、ウィサヌ副首相は、「地方選挙を実施するために06月までに政治活動禁止令が解除される。」と述べた。また、地方選挙が08月に実施されるとの指摘があるが、ウィサヌ副首相は「08月実施という話は今のところない。言えるのは年内実施ということだけ。」との考えを示した。
なお、5人以上の政治集会が禁止されていることから、政党は現在、事実上の活動禁止状態となっている。このため、政党関係者から禁止撤廃を強く求める声が挙がっている。
02月22日(木)昨年04月に施行された現行憲法の規定では、部外者が政党を牛耳することが憲法違反とされる可能性があることから、プア・タイ党は、プア・タイ党が国外逃亡中のタクシンの影響下にあるとの見方を否定。
これは、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の法律専門家チームが先にプア・タイ党幹部らが支那、日本、香港、シンガポールでタクシンに会ったことを問題視して調査を始めたとの報道に伴うもの。
プア・タイ党はタクシン派の政党であり、タクシンが事実上の党首との見方が支配的。プア・タイ党のプムタム幹事長は、幹部らはプライベートでタクシンに会ったのであり、党の運営や方針決定とは無関係としている。
民政復帰を実現するための総選挙は下院議員選挙法の施行が当初より遅れることで、今年11月から来年2月ごろあるいは3月ごろにずれ込むとの見方が出ているが、ここに来て、中央選挙管理委員会の委員選任も遅れ総選挙がさらに遅延する可能性が出てきた。
これは立法議会(NLA)で、中央選管委員候補7人全員が委員就任を否決されたことによるもの。中央選管が不在では総選挙は実施できないため、一部では「政権の命令で選管委員の選任が見送られた。」といった見方も出ている。
NLAではメンバー248人による無記名投票を行ったが、候補全員が過半数の賛成票を得られず委員に選任されなかった。NLA関係筋によれば、最高裁判所による選管委員候補2人の選び方について「不適切な点があり、後々法的に問題となる。」との指摘があることから、NLAに対し7人全員を受け入れないよう求める明確なシグナルが政府からあった。
02月23日(金)総選挙の実施が遅れる可能性が高まっていることから市民団体などが総選挙の年内実施を求める動きを活発化させているが、2006年09月に当時のタクシン政権を倒した軍事クーデターを陸軍司令官として主導したソンティ・ブンヤラットカリン(71)もこのほど、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)に対し同政権が掲げる行程表を順守して総選挙を遅らせないよう求めた。
先に立法議会(NLA)で中央選管の委員候補7人全員について委員に選任しないことが決まり、総選挙のさらなる遅延を懸念する声が出ているが、ソンティも「NLAのこの決定に驚き、総選挙を遅らせないよう公言する必要があると考えた。」
また、ソンティによれば、「政権は国民の意見に耳を傾けるべきであり、市民が大挙して街頭デモを展開して政治に大きな影響を与えた過去の事例を思い出す必要がある。」
02月24日(土)約300人の活動家が、クルングテープのタマサート大学に集まり、配布されたプラユット・チャンオーチャ首相に似た紙のお面を被り、ピノキオに扮した。プラユット首相は、2014年にクーデターを受け、11月の最終日を迎えたことから、選挙を約束し、数回延期した。 軍部指名された立法府は先月、選挙法を変更し、2019年の初めに別の遅れを通知した。これは、最近数週間に渡ってタイ全土のいくつかの州で集会が行われ、勢いを増した一連の反軍政の抗議を呼び起こした。
そのうちの1人であるシラウィット・セリサィテットは、「このお面はユットキノと呼ばれ、彼が嘘をつくたびに鼻の長さが長くなる悪名高い架空の人物を指す。」、「嘘はたくさんだ。 独裁政権の時が過ぎる。今は人々の時代です。今年は投票しなければなりません。」と群衆に語った。 約100人の警察官が大学に配備されたが、彼らはイベントに干渉しなかった。
当局は最近、抗議行動の最新の出来事についてコメントしていないが、先週の首相府報道官は抗議に関心がなく、「平和と秩序を維持するために警察に頼っている。」と語った。 プラユットは今週、若い活動家たちが研究に焦点を当て、「国を変えなければならないとは思わない」と述べた。
抗議行動は、03月と05月にクルングテープやその他の県で毎週土曜日に予定されており、クーデターの4周年を記念して05月19日から22日にかけて大規模な集会が予定されている。
。 過去10年間にすべての選挙で優勝したプア・タイ党のワッタナ・ムアンソックも、活動家に「支援を表明することになった。人々は選挙を要求する権利がある。」と語った。
政府は先週、不安を扇動する7人の活動家と、先月抗議した数百人の活動家を巻き込んだクルングテープの民主化記念碑に抗議して43人の抗議者を相手に訴訟を起こした。
02月25日(日)先に立法議会(NLA)で中央選挙管理委員会の委員候補7人全員について委員に選任しないことが決まり、これが総選挙実施を遅らせる新たな要因となるとの見方が出ているが、主要政党・民主党のアピシット党首は、「選管委員候補を決める役割を担っている人々はNLAが候補全員を拒絶した原因に目を向ける必要がある。」と訴えた。
NLAは「候補が憲法で規定された選管委員の条件を満たしていなかったため。」と説明しているものの、アピシット党首はこの説明には「納得がいかない。」
現行憲法では、中央選管の委員7人は最高裁が選んだ候補2人と選考委員会が選んだ候補5人を立法議会の承認を経て委員に選任すると規定されている。
02月26日(月)プラユット首相が総選挙日程について政党や関係政府機関と協議するとの日程について、主要政党・民主党のアピシット党首は、歓迎する意向を明らかに。アピシット党首によれば、「協議によって総選挙日程に関する不透明な部分を減らすことができ、関係当局が総選挙の日程を打ち出しやすくなる。」
総選挙は現在の軍政に終止符を打って民政復帰を実現するために欠かせない手続きだが、その実施時期はプラユット首相が明言していた今年11月から来年02月あるいは同年05月にずれ込む可能性が出ている。アピシット党首は、「総選挙の日程が決まれば、不透明感が払拭され、国の信頼度も高まるq 」民主党の他、複数の政党が政府との協議に前向きな姿勢を示している。
02月27日(火)プラユット首相(元タイ陸軍司令官)は閣議後の記者会見で、「民政移管のための議会下院総選挙が2019年02月までに実施される。」と明言。「ただし、状況によっては再度の延期もありうる。」と示唆。
2014年05月のクーデターでタクシン派の民選政権を倒して発足したタイ軍政は当初、民政移管のための下院選を2015年に実施するとしていた。しかし、新憲法草案を白紙撤回するなどして、日程を再三にわたり延期。昨年04月に新憲法を施行し、延期の口実は尽きたかに見えたが、今年01月、軍政が選任した非民選の暫定国会「立法議会」が下院選の関連法案を修正した結果、下院選の日程は当初見込まれていた今年11月から来年2月に先送りされる公算が大きくなっていた。
政党、民主化勢力は「下院選の先送りを軍政の引き伸ばし戦術だ。」と批判。軍政に対する世論の支持も陰りが見え始めていた。
プラユット首相の今回の発言は、早期の民主化を求める欧米と国内世論に配慮したものとみられる。ただ、下院選が実施されたとしても、軍中心の政権が続く可能性が指摘されている。新憲法が定める国会は議会上院(定数250)と下院(同500)の2院制で、上院は当初の5年間、民選ではなく、軍政が議員を選任する。軍は上院を通じて国会の33分の1を自動的に抑えるため、一部の政党と手を組んで国会の過半数を制することが可能。
プラユット首相はこれまで、自分は「軍人」で政治改革のため首相の責務を引き受けただけという立場を取ってきた。しかし、今年01月の記者会見では、初めて自らを「政治家」と呼んだ。これは下院選後も首相として続投する意欲を示したものと受け取られている。
プラユット首相は、「総選挙実施が来年02月より遅くなることはない。」と明言したが、これに対しては、プラユット自身が昨年、総選挙を今年11月に実施すると約束していたことから、政党などから批判が出ている。
プラユット首相の説明によれば、今年11月に総選挙が実施できないのは下院議員選挙法が官報での発表から90日後に施行されることになったため。だが、政党関係者からは、首相が述べた総選挙日程について「信用できない。」といった声があがっており、主要政党・民主党のニピット副党首は、「首相の最近の発言から判断すれば、首相が正しいことを言っているとは信じられない」と断言。同じく主要政党のプア・タイ党の幹部、チャトロンもニピットと同様の反応を示している。
03月01日(木)チャムロン元クルングテープ都知事が20年前に創設し、11年前に解党したパランタム党の元メンバーなどが、記者会見を行い、「新党『新パランタム党(NPDP)』を立ち上げる。」と発表した。
ここで党首のラウィーは、「次期総選挙後に下院議員から首相を選ぶことができずに民間人を首相を選ぶことになった場合、プラユット首相を新首相に推す用意がある。」と明言。また、「チャムロン(82)に党の顧問に就任するよう要請したが、断られた。」
ウソをつくとピノキオの鼻が伸びるという物語をヒントに市民活動家などが鼻が伸びたお面をつけてプラユット首相が嘘を繰り返していると批判したが、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の広報担当ピヤポン少将はこのほど、「国のリーダーを馬鹿にすることが適切かどうか考えてほしい。」と述べ、自制を促した。また、政府を非難する言動についてピヤポンは、「法律に違反する場合は法的措置を執る。」と明言。
03月05日(月)主要政党の1つタクシン派プア・タイ党に関して、一部で「重鎮らが対立している。」といった報道が出ているが、プア・タイ党アヌソン広報担当は、「党の首脳がいがみ合っている事実はない。」と報道内容を全面的に否定。
プア・タイ党の重鎮であるチャルームとスダラット♀が「党の会議で悪口を言い合った。」とする報道もあったが、アヌソンによれば、「4年前の軍事クーデターに伴い政治活動が禁止されており、党の会議は何年も開かれていない。」
また、国外逃亡中のタクシンがプア・タイ党の実質的党首とされることから、これを当局が「憲法違反に該当する可能性があるのではないかと問題視している。」とも報じられているが、アヌソンによれば、「タクシンはずっと以前から党の活動には関与していない。」
03月08日(木)立法議会(NLA)で、下院議員選挙と上院議員指名に関する基本法草案2件を承認。これで来年02月の総選挙実施が現実味を増すことになった。
ただ、憲法裁判所がこれら2法案の合法性に異議を唱える可能性もあり、来年02月に総選挙が実施できるかはまだ定かではない。
下院議員選挙に関する基本法は90日以内に国王の承認が得られれば、官報で発表され、その90日後に施行される。
03月10日(土)検察当局は、01月27日にクルングテープ都内パトゥムワン交差点で軍政と総選挙遅延を非難する集会を行った者のうち9人を起訴する予定を明らかに。
ただ、ほかの集会参加者24人については、「政治集会禁止令に反しているものの、訴追しても公共の利益とはならない。」との判断に基づいて起訴が見送られることになった。
03月13日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「下院議員選挙と上院議員指名に関する2つの基本法が原因となり総選挙スケジュールが大きく狂う恐れがある。」、「この基本法2件は、総選挙実施に不可欠なものだが、現在まだ施行前であるため、その合憲性を憲法裁判所に質しても来年02月の総選挙に大きな影響は与えない。しかし、施行後に憲法裁に訴えが提出された場合、判断が出るまで法に基づくすべての執行が停止されてことになり、大問題となる。」
憲法の規定では、立法議会(NLA)のメンバー25人以上の賛同があれば、憲法裁の判断を求めることができるとされている。ミーチャイ委員長の指摘を受け、プラユット首相も「(基本法について)問題があるなら、今のうちに明確にしてほしい。」と訴えた。
03月15日(木)憲法と個別法をつなぐ基本法のうち下院議員選挙と上院議員指名に関する2つの基本法法案について、立法議会(NLA)の主要メンバーであるソムチャイは、「憲法裁判所に法案の合憲性判断を求めるのは上院議員指名の基本法だけになる。」との見通しを明らかに。
ソムチャイによれば、「下院議員選挙の基本法の法案については、総選挙実施がさらに遅れる恐れがあることから合憲性の判断を求めないことにした。」
だが、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長が先に指摘したところによれば、「これら2つの基本法については、今のうちに草案内容の問題点を憲法裁の判断によってクリアしておくべきで、基本法施行後に憲法裁に合憲性の判断を求めることになれば、総選挙がさらに遅延するなどの大問題となる恐れがある。」
プラウィット副首相兼国防相が「高級腕時計を約25個所持しながら、資産申告をしていなかった。」との疑いに対し、プラウィット副首相は「全て知人から借りたもの。」と否定しているが、国家汚職制圧委員会(NACC)のウォラウィット事務局長は、プラウィット副首相から釈明の文書が提出期限前にNACCに提出されたことを明らかに。
だが、ウォラウィット事務局長は、「まだ見ていない。」と述べ、文書の内容には一切言及しなかった。プラウィット副首相も報道陣の質問に対し無言を貫いた。プラウィットが所持しているとされる高級腕時計の価格は合計3950万Bあまりに上る。
03月17日(土)民政復帰に不可欠な総選挙の実施時期をさらに3ヶ月遅らせて下院議員関連の基本法の合憲性について憲法裁判所に判断を求めるとの案が立法議会(NLA)から出ている。
総選挙に関してプラユット首相は先に今年11月に実施すると述べていたが、これまでのところ来年02月にずれ込む見通し。同案ではさらに来年05月にずれ込むことになる。
NLAメンバーの総務役を務めるソムチャイは、「政党が総選挙の3ヶ月遅延に同意するのであれば、NLAは下院議員選挙に関する基本法の草案内容に違憲な部分がないかの判断を憲法裁に求める。」との考えを明らかに。
だが、主要政党からは、「NLAは基本法を人質に軍政の延命を図ろうとしている。」、「NLAが自ら作り出した問題はNLAが自ら解決しなければならない。」といった批判意見が噴出。
03月18日(日)立法議会(NLA)のメンバーたちが上院議員指名に関する基本法の草案内容が合憲か否かの判断を憲法裁判所に求めようとしているが、NLAメンバーの1人、ワンロップは、「憲法裁による合憲性の検討によって総選挙実施が遅れることはない。」との見方を示した。
プラユット首相は、総選挙の実施時期について来年2月頃との見通しを示している。
ワンロップによれば、「検討の対象となるのは基本法案のごく一部であり、仮に違憲との判断が示されたとしても総選挙の実施が遅れることは考えられない。」
03月20日(火)プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は、事実上の全権を与える暫定憲法44条を発動し、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員を解任。解任の命令は、NCPO議長であるプラユット首相の承認のもとに発せられたもので、解任の理由は、「不適切な言動が混乱を招いているため。」と説明。
ソムチャイは民政移管のための議会下院総選挙について、投票日がプラユット首相が掲げる2019年02月より2~6ヶ月遅れる可能性を示唆するなど、度々、軍政の意向に反する発言を行っていた。今回の電撃解任について、「軍政の正体を明かせた。」などと述べた。
選挙委員会は政治の干渉を受けない独立機関とされるが、今回の解任で、こうした建前は崩れた。暫定憲法44条の乱用は法治、民主主義の一層の弱体化を招きかねず、一部メディアが懸念の声が上げている。
03月21日(水)プラウィット副首相兼国防相が所有する約25個の高級腕時計についての資産申告していないとの疑惑に対し、人権活動家のティチャー♀が、国家汚職制圧委員会(NACC)に迅速な捜査を要請するとともにプラウィット副首相に対し責任をとって辞任するよう求めた。
政府側からは「時計の所有者を調べるのは簡単な話。」といった声が出ていたが、「プラウィット同副首相が現政権のナンバー2であることからNACCによる調査は遅々として進んでいない。」との見方が支配的。プラウィット副首相は先に高級腕時計について文書でNACCに釈明したとされるが、その内容は明らかにされていない。
03月22日(木)プラウィット副首相兼国防相は、「『数多くの高級腕時計について資産申告していない。』との疑惑で黒の判定が下されたわけではない。」として、「辞任する考えはない。」と強調。これは先に現政権下で国家改革案の策定にかかわった人権活動家のティチャー♀が辞任を要求したことによるもの。
この疑惑に関しては、国家汚職制圧委員会(NACC)が現在捜査しているが、プラウィット副首相は、「私に違法行為があったとの判断はまだ下っていない。NACCの判断が出るのを待ってほしい。」
「プラウィット副首相が所有しながら資産申告しなかった。」と疑われている高級腕時計は25個に上り、その価値は3900万Bを超える。
プラユット首相の命令で03月19日に中央選挙管理委員会のソムチャイ委員が解任されたことについて、プラユット首相はこのほど、「(ソムチャイの発言が)総選挙の日程を巡る混乱を引き起こしていたため。」と説明。
民政復帰を実現するための総選挙の実施時期については、今年11月から来年の02月か05月にずれ込むといった見方が出ているが、プラユット首相は、「我々が選挙を行おうとしているのに彼の発言が人々を惑わせている。彼に総選挙の実施時期を決める権限があるのだろうか。」と述べた。
03月24日(土)夜タイでは現在、5人以上の政治集会が禁止されており、そのため、街頭デモも違法となるが、今年に入ってから市民団体が総選挙の早期実施などを求め散発的に集会を行っていることから、当局では警戒感を強めている。
「民主主義復活グループ」と称する団体などがクルングテープ都内ラチャダムヌン通の陸軍本部前で集会を行い、現軍政を批判するとともに総選挙を年内に実施するよう求めた。
警察によれば、集会参加者は約400人。警備のために動員された治安要員約6000人との間で小競り合いも起きた。これらの市民団体は、「クーデター4周年となる05月22日までにプラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)を解散に追い込むべく今後も集会を行い、05月には長期間にわたり集会を継続する。」と発表。
03月25日(日)クルングテープ都内の陸軍本部前で反政府集会が開かれたことから、プラユット首相が集会を計画した者らの行動を監視するよう治安当局に指示。サンサン政府報道官が明らかに。
関係筋によれば、「治安当局の出方によっては反政府活動を激化させる恐れがあるため、プラユット首相は治安当局に対し反政府勢力に慎重に対応するよう伝えた。」
03月26日(月)「プラウィット副首相兼国防相が25個にも及ぶ高級腕時計を所有しながら資産申告していなかった。」疑惑で、国家汚職制圧委員会(NACC)のウォラウィット事務局長は、「事実関係を解明するために設置された委員会からNACCに対し調査結果が29日に報告される予定。」と明らかに。
すでにプラウィット副首相は書面で腕時計について釈明をしているが、NACCは本人に出頭させて説明を行わせる必要があるか否かを29日に決める予定。
NACCによる捜査などに時間が掛かっていることから「プラウィット副首相が現政権のナンバー2であることから捜査当局が手心を加えている。」といった批判が出ているが、ウォラウィット事務局長によれば、「この疑惑を追及しているインターネットサイトで副首相所有とされる高級腕時計が次々に出てきたことから捜査に時間が掛かっている。」
03月27日(火)プラユット首相が先に今年11月に実施すると述べていた総選挙が来年02月にずれ込む見通しとなっているが、プラユット首相は、「軍政が選挙関連法案の違憲審査を憲法裁判所に求めることで総選挙をさらに遅らせようと企んでいる。」と見方を否定。
ただ、上院議員指名に関する基本法と下院議員選挙に関する基本法の草案の内容については、問題点が指摘されており、これを放置したまま法が施行され、その後に憲法裁の判断を求める事態となれば選挙に非常に大きな影響が及びかねない。このため、プラユット首相は、「(草案内容について)論争が存在する限りは、(法施行に必要な)国王の承認を求めたくはない。」
03月28日(水)憲法と個別法をつなぐ役割を持つ基本法のうち下院議員選挙法案について、「憲法裁判所に合憲性の判断を求めると総選挙実施が遅れる。」、「基本法が施行された後に憲法裁に判断を求めることになれば大問題となりかねない。」といった意見が出ていたが、立法議会(NLA)のメンバー、キティサックは、「憲法裁に判断を要請するには少なくともメンバー25人の賛成が必要だが、これまでに25人以上が要請のために署名を行った。」と明らかに。
NLAのメンバーは下院議員選挙法案に関しては自らの手で総選挙を遅らせるのを嫌ってか、これまで憲法裁に判断を求めることに消極的だった。だが、プラユット首相が先に「法案に論争となる部分が存在する限り、国王陛下のご承認を求めることはしない。」と発言。これを受けてNLAのメンバーが態度を変えた。
03月29日(木)プラウィット副首相兼国防相は、新政党設立が完了する06月に政治活動禁止令が解除されることを明らかにした。これは、28日に中央選挙管理委員会が開催した会議で、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)に政治活動を解禁するよう政党から要求があったことによるもの。
2014年05月の軍事クーデターで軍部が全権を掌握したことに伴い、5人以上の政治集会を禁ずるなどの政治活動禁止令が敷かれることになった。ただ、国内状況も安定し総選挙実施の目処も立ったことで、政党からは政治活動解禁を求める声が強まっている。
ソムキット副首相(経済担当)は、「ベテラン政治家たちから新党設立に関する話し合いに誘われた。」との一部報道を否定。報道によれば、この話し合いはソムキット副首相に党首を任せることを前提としたもの。
だが、ソムキット副首相によれば、」新党立ち上げの話し合いに出席するよう求められたことも新党設立について考えたこともない。」
タイで実刑判決を受け国外逃亡中のタクシン元首相と妹のインラック前首相が来日。プライベートジェットで駆けつけた。東京都内のホテルで開かれた石井一元自治相の新著「グリーンの上の政治家たち」(産経新聞出版)の出版を祝う会に出席。
石井一の著作によると、2006年のクーデターで政権を追われたタクシンが国外に逃れ、2011年08月に来日した際、石井が身元保証人となったのが縁。石井は2人を壇上に招いて出席者らに紹介したが、「政治的理由でお話はできない。」と説明。
タクシンは会場で、「何もしゃべらない。」とタイ語で話したが、日本のメディアに対し、軍事クーデター後の暫定政権下のタイの政治について「デモクラシー(民主主義)ではなくデモクレイジーだ。」と揶揄し、「我々は(タイが)出来るだけ早く民主主義に戻ることを望む。」、「タイには言論の自由と人権の保証が必要だ。」などと述べた。民政復帰のための議会下院総選挙の戦略について尋ねられると、「私は(タクシン派のプア・タイ)党と関わっていない。」、「プア・タイ党は再度、大勝利を収めるだろう。」などと応じた。
インラックは、「ロンドンに住んでいるのか。」と聞かれ、「いろいろな国を旅している。」と答えた。タクシンとインラックは日本に3日間滞在した後、04月01日、支那の北京へ移動する模様。
03月30日(金)プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は国外逃亡中のタクシンが「タクシン派のプア・タイ党が総選挙で圧倒的勝利を収める。」との見通しを示したことについて、「(同党が勝利すると)信じるのは自由だが、私はそうは思わない。」と述べた。この選挙予想は、タクシンが先に実妹のインラックとともに滞在していた日本で述べたもの。
04月01日(日)「高級腕時計を20個以上所有しながら資産申告していなかった。」との疑いをかけられているプラウィット副首相兼国防相は「私を批判する声が高まっているが、本当の狙いはプラユット首相を批判することにある。」と強弁。
この発言から判断すると、プラウィット副首相は腕時計問題で不当な批判にさらされていると考えているようだ。プラウィット副首相は、「高級腕時計はすべて学生時代からの親友から借りたもの。」と改めて強調。
04月04日(水)ソムチャイ元首相は、プア・タイ党の本部にて「妻のヤオワパー元下院議員(62)がプア・タイ党を離れ、政界を引退した。」と発表。
プア・党内で非常に大きな影響力を持つとされたヤオワパーはタクシンの妹でインラックの姉。ヤオワパーはタクシンが1998年に創設したタイ・ラック・タイ党(すでに解散)の役員も務めていた。
04月05日(木)裁判所は、早期総選挙実施を求める反政府集会を02月にクルングテープで行い逮捕された40人の保釈。現政権下では5人以上の政治集会が禁止されているため、02月に集会を行った責任者が罪に問われた。
民政復帰を実現するための総選挙について、プラユット首相は今年11月に実施すると明言していたが、それが今では来年2月以降実施の見通しとなっていることから、早期の民政復帰を望む勢力から年内総選挙実施を求める声が挙がっている。
04月06日(金)現行憲法施行からちょうど1年となる04月06日、国家改革計画が官報で発表。この計画は国家経済社会開発委員会(NESDB)と立法議会(NLA)が共同提言し閣議で承認された行政、法律、経済、天然資源、環境、マスメディア、ITなど11の主要分野別行動計画。11の主要分野は政治、に関するもの。
ウィサヌ副首相によれば、この計画は法的拘束力を持ち、政府機関が実行しなければならないものとなっている。
04月07日(土)2013年後半から2014年05月の軍事クーデターまで当時のインラック政権を非難する大規模な街頭デモを指揮したステープ元民主党幹事長は、「来年02月に実施見通しの総選挙において利己的でなく国民を第一に考える政党を支持することでタイの政治システムを根本から改めたい。」と述べた。
ステープは先に「プラユット首相が総選挙後も首相を務めることを支持する。」と述べていた。 ステープは「今後も政治に関わっていく意向というが、総選挙に立候補したり、政党の役員を務めたりする考えはない。」
04月09日(月)プラユット首相はこのほど、「十分な支持があれば政党が選ぶ首相候補になってもよい。」との考えを示した。その一方で、今後も政治にかかわっていくのか否かについてまだ心が定まっていないことも明かした。
総選挙で当選者決定後は、各党が推す首相候補の中から新首相が選ばれることになっているが、これが難航した場合、首相候補以外の第三者を首相に起用することも法的には可能。ただ、第三者の首相就任には政党が強く反発している。
04月11日(水)プラユット首相(元陸軍司令官、64)らタイ軍事政権幹部は、プレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官、97)のバンコク都内の自宅を訪れ、ソンクラン(水掛け祭り、タイ正月)の祝賀の挨拶。
プレム議長はプラユットに謝意を示し、プラユットらにソンクランの儀式を行った。ただ、儀式後の雑談はこれまでと違って1分ほどで切り上げ、早々に屋内に姿を消した。
プレム議長はプラユットとの立ち話で、この日姿を見せなかったプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、72)の不在の理由を尋ね、プラユットは「心臓のバイパス手術を受けた。」と説明。
ソムチャイ財務事務次官が政府のシンクタンクである国家経済社会開発委員会(NESDB)の事務局長への異動を命じられたことを不満として辞表を提出した件で、プラユット首相は、「公務員は上からの命令に不満を示してはいけない。」と述べ、「考慮に値しない。」との考えを示した。
ソムチャイは、生活困窮者支援予算の不正流用問題に関連して調査を受けるため一時的に停職処分となっている。
プラユット首相は、「ソムチャイ氏に辞職を思い止まらせるつもりか。」との質問に対し、「出ていきたい者は出ていけばよいだ。け」と言い切った。
04月12日(木)警察改革委員会が打ち出した警察改革案について、法律専門家で憲法起草委員会(CDC)の委員長を務めるミーチャイは、「憲法に合致しない内容が含まれている可能性があるため、ソンクラン祭後に新委員会を立ち上げ内容を修正する。」との考えを明らかに。警察改革委員会が打ち出して警察改革案は身内に甘すぎるため、改革案の内容を手直しする必要がある。
中央選挙管理委員会のチャルンウィット事務局長代行は、選管が15の政治グループから提出された政党設立申請を承認し、それぞれのグループに文書で通知したことを明らかに。
政党登録の担当者であるチャルンウィットよれば、「ソンクラン祭の連休が明けてからそのほかの政党設立申請も順次承認されることになる。」
政党設立申請が承認された政治グループは、党員500人以上と100万B以上の資金を募った後、党の総会開催の許可を国家平和秩序評議会(NCPO)に申請する必要がある。そして、NCPOの許可が下りた後、党の役員が選出される。
04月14日(土)政府の仕事ぶりを地方住民に説明するキャンペーンを現在陸軍が展開しているが、チャルムチャイ陸軍司令官は4月14日、「陸軍のキャンペーンは政治とは無関係」と述べ、プラユット首相が総選挙後も首相を務められるように陸軍が現政権を応援しているとの見方に反論。
チャルムチャイ陸軍司令官は、プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の事務局長を務めている。プラユット首相が総選挙後に首相に選ばれるようプラユットを支持する政党が設立されるとの情報もあるが、チャルムチャイ司令官は、「陸軍がその資源を使って政府の政治的ポイントを高めるようなことはない。」と明言。
04月17日(火)閣議で、タイ東部に強い影響力を持つソムチャーイ・クンプルーム(80)の長男のソンタヤー元観光スポーツ相(54)を首相顧問に、3男のイティポン元パタヤ市長(44)を観光スポーツ相補佐に任命。
軍政は2019年の実施を掲げる議会下院(定数500)総選挙後も政権を維持する構えで、今回の人事は、既存の有力政治閥を取り込み下院選を有利に進める工作の第1弾。ただ、イメージの良くないクンプルーム家の取り込みは、汚職追放、透明な政治といった軍政が掲げるスローガンと逆行し、旧態依然の政治体制から抜け出せないことを象徴する動きともいえ、軍政に政治改革を期待した層の幻滅を招く恐れがある。
軍政が作成し昨年施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は軍政が選任するため、軍政は下院選後も上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑える。ただ、政権を維持するには下院で130~140議席確保する必要があり、軍政は今後、タクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党という2大政党の派閥の切り崩し、中小政党の取り込みを本格化する。元々軍政寄りの民主党では、2014年の反タクシン派政権デモを指揮したステープ元副首相の派閥が軍政支持に回る見通し。タクシン派は軍政と対立しているが、便宜上タクシン派に属していたクンプルーム家、サソムサップ家といった地方の有力政治閥は軍政支持に鞍替えする可能性が高い。

* ソムチャーイ・クンプルーム(通称、ガムナン・ポ)
1937年生。小学校中退後、バスの車掌、船員などを経て、東部で漁業、建設・不動産、運送、酒類販売などの事業を展開し、東部の政財界に強い影響力を奮った。2003年に東部チョンブリー県で行われた結婚披露宴の最中に地元政治家が射殺された事件で、「殺し屋を雇ってこの政治家を殺害した。」として、2012年、最高裁で懲役25年が確定。ほかに公有地をめぐる汚職で懲役5年の判決を受けた。判決前に姿を消したが、2013年に逮捕、収監。2017年12月、末期癌と診断され釈放。
04月19日(木)現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、来年の総選挙に向けた政党の準備作業にとって支障となりかねない問題について006月に政党の代表者と話し合う予定だと明らかに。この日程は、NCPO議長であるプラユット首相が決めたもの。
民政復帰のために欠かせない手続きである総選挙は、今のところ来年02月に実施の見通し。だが、現在、憲法裁判所が総選挙実施に必要な基本法草案の合憲性検討を行っており、これに時間が掛かった場合、総選挙実施の遅れる可能性も否定できない。
04月21日(土)支那の電子商取引最大手アリババグループとタイ側との間でアリババグループによるタイの東部経済回廊(ECC)への投資に関する覚書が交わされたが、これに伴い、「タイでアリババグループが幅を利かし、タイの業者が不利益を被るのではないか。」との懸念が出ている。
これについて、サンサーン政府報道官は、「プラユット首相は国民と民間企業の懸念を十分承知している。首相は国民に国益を第一に考えるとともに広い心を持ってほしいと願っている」と述べ、タイが不利益を被らないことを確認していると強調。「プラユット首相の指示によって政府の経済チームが検討を行い、アリババグループがタイ企業に悪影響を与えないことを確認している。」と明言している。
支那ファシス党の尖兵、アリババによるタイ支配の手先のプラユット。
04月23日(月)来年02月を目途に総選挙が実施される見通しであるが、現在、総選挙後にプラユットに再び首相を任せるため、軍部がバックアップする政党を設立すべく、軍政が中小の政党と手を組もうとしているとの見方が広まっている。
アピシット民主党党首は、「軍部のバックアップする政党が政権を構えることになった場合、大臣補佐に起用すると約束して有力政治家を引き抜こうとしている。」と暴露。「民主党の中にも大臣補佐ポストを提供するので政党を乗り換えないかと誘われた者がいる。」という。
なお、民主党やプア・タイ党など主要政党は、「総選挙によって民政復帰が実現されねばならない 」として、総選挙後にプラユット氏が首相に起用されるなど軍部が国政に影響力を持ち続けることに反発する姿勢を示している。
立法議会(NLA)で国家放送通信委員会(NBTC)の委員候補者名簿が否決されたことについて、NLAメンバーらの会話とされる音声がネット上に投稿され、これが原因で「候補者名簿否決はプラユット首相の意向を忖度した結果。」との見方が出ている。
この音声では、プラユット首相は候補者の人選に不満で、その権限を使って候補者名簿を取り消す可能性などに言及していた。
なお、プラユット首相はこの音声についてコメントを避けているほか、プラウィット副首相兼国防相は「政府や政府の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)がNLAに候補者名簿を否決するよう命じた事実はない。」と明言している。
04月25日(水)放送・通信事業の許認可機関である国家放送通信委員会(NBTC)の新委員人選が難航するなか、現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)議長であるプラユット首相に付与された超法規的権限を行使することで、引き続き委員を務めさせることが官報で発表。
委員の任期は昨年10月で切れていたことから、新しい委員を選ぶべく委員候補者名簿が作成されたものの、立法議会(NLA)がこの名簿を否決。このままでは名簿を作り直す必要があり、NBTCによる周波数競売などに影響が及ぶ恐れがあることから任期切れの委員に引き続き委員を務めさせることにしたもの。
ただ、委員が辞任した場合、しばらくは委員の補充ができないため、辞めた委員の仕事を他の委員が分担することになる。
ワチャラ元民主党議員が「現政権は400億Bを投じて総選挙を行ったあとにプラユット現首相を首相に返り咲かせるため新党を立ち上げようとしている。」と発言したことで、プラユット首相は「新党設立はまったくの作り話。」としてワチャラ元議員を告訴する構えを見せているが、この件についてはウィサヌ副首相も、「ワチャラ氏の発言内容は事実ではなく、国民に誤解を与える恐れがある。」として首相の対応を擁護。
なお、「総選挙後もプラユット首相が首相を続けられるよう新党を立ち上げる動きがある。」といった話は以前から繰り返し報じられている。
05月01日(火)プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の命令に基づく政党党員の登録が04月01日から行われ、04月30日に締め切られたが、これにより2大政党である民主党とプア・タイ党は大きく党員数を減らすことになった。
旧規則では、党員に党費納入の義務はなく、寄付したい人が寄付することになっていたが、新規則では、党員になるには毎年100Bを払うか、2000Bで永久資格を得るかの二者択一となっている。このため、民主党は党員数がこれまでの約250万人から約10万人へと大きく減少した。
これについて民主党のオンアート副党首は、党員登録の期間を1ヶ月に限定したことを批判するとともに、「党費納入義務化などの規則を新設することで大政党を潰そうとしている。」、「党員が減少したとしても来年2月に実施見通しの総選挙で不利になることはない。」との見解を示した。
オンアート副党首によれば、前回の総選挙で民主党は党員が250万人であるにもかかわらず、比例代表では1200万票を得ており、党員数と獲得票数とは無関係とのこと。
05月02日(水)憲法裁判所はこのほど、上院議員選任に関する基本法草案が合憲か否かの判断を05月23日に下すと発表した。さらに、下院議員選挙と政党に関する2つの基本法の草案についても合憲性の検討を23日引き続き行う予定。
これらの基本法の草案が違憲と判断された場合、修正もしくは作り直しが必要となり、今のところ来年02月実施と見込まれている総選挙がさらに遅れる可能性がある。
05月03日(木)タイ軍事政権に反対する学生らのグループが05日午後、クルングテープ都内のタマサート大学タープラチャンキャンパスで集会を開催する予定。治安当局は兵士、警官を動員して警戒に当たる。
在タイ日本大使館は、「反軍政集会の情報を伝えるとともに、05月以降、デモ活動が活発化することが予想される。」として、タイに滞在中の日本人に対し、注意を呼びかけた。
05月05日(土)タイ軍事政権に反対する学生ら数百人が、クルングテープ都内のタマサート大学タープラチャンキャンパスで反政府集会を開き、プラカードなどを手に現政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)に対し年内に権力の座から下りて総選挙を実施するよう求めた。集会参加者は、「総選挙を今年11月に実施することは、NCPO議長であるプラユット首相が公言していたことである。約束を守り年内に総選挙を行うべき。」と口を揃えた。
警備の警官隊との衝突はなかった。
集会参加者は、「要求が受け入れられなければ、今月22日にクルングテープの首相府前をデモ行進する。」と予告。
中央選挙管理委員会のスパチャイ委員長が、タクシン派プア・タイ党に対し、「プア・タイ党が国外逃亡中のタクシンの党運営関与を受け入れることがあれば、解党処分を受けることになる。」と警告。
プア・タイ党は、タクシンの強い影響下にあるとの見方が専らであり、プア・タイ党の幹部はタクシンが近隣国を訪れると会いに出かけるのが恒例となっている。だが、これら幹部は、タクシンとの個人的な繋がりは認めながらも、「タクシンが党運営に関わったことはない。」と訴えている。 なお、タクシンは同じく国外逃亡中の実妹インラックとともに05月04日から06日までシンガポールを訪問。
プア・タイ党の幹部がシンガポール訪問中とされるタクシン元首相会いに行く可能性があることから、中央選挙管理委員会のスパチャイ委員長が、「部外者に党を牛耳らせることになれば、解党処分を受けることになる。」と警告したが、プア・タイ党のプムタム幹事長代行はこのほど、「(タクシンに)会っただけで(タクシンが)党を牛耳ることになるのか。」と述べ、スパチャイ委員長の見方に反発。
プア・タイ党は、タクシンが創設したタイ・ラック・タイ党の流れを汲む政党で、党幹部は未だにタクシンとの関係が深いとされる。だが、プムタムは、「タクシンが党に影響力を行使していたのは過去の話。」としている。
05月08日(火)プラユット・ジャンオーチャー首相(元タイ陸軍司令官、64)とタイ軍事政権の主要閣僚は07、08日、東北地方のブリラム県とスリン県を視察し、08日にブリラムで閣議。
「視察」の実際の目的は、ブリラムに強い影響力を持つネーウィン・チッチョープ(59)とネーウィンが事実上の党首であるプームチャイ・タイ党の支持獲得と見られる。ただ、政界の寝業師として知られるネーウィンが首相支持の言質を与えたかどうかは不明。プームチャイ・タイ党は2011年の議会下院総選挙で500議席中34議席を獲得し、タクシン派のプア・タイ党、反タクシン派の民主党に続く第3党。
首相は07日、タイの強豪プロサッカーチーム、ブリラム・ユナイテッドの本拠地であるサンダー・キャッスル・スタジアムを訪れ、約3万人の聴衆を前に演説。その後、県内のサーキット、チャーン・インターナショナル・サーキットを大型バイクで疾走。ブリラム・ユナイテッドとチャーン・インターナショナル・サーキットはいずれもネーウィンがオーナー。
ネーウィンとプームチャイ・タイ党の党首で地場ゼネコン(総合建設会社)大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの事実上のオーナーであるアヌティン・チャーンウィーラクーン(51)は07日の首相視察に同行。いずれも「ブリラムでの首相の歓迎に政治的な意図はない。」と主張。
プラユット首相は2014年の軍事クーデターでプア・タイ党政権を倒して以来、政治家を汚職の象徴として批判。しかし、ここへ来て、2019年の実施を掲げる議会下院(定数500)総選挙後も政権を維持する意欲を示し、地方の有力政治閥の支持取りつけに動き始めている。今年04月には、タイ東部に強い影響力を持つソムチャーイ・クンプルーム(80)の長男のソンタヤー元観光スポーツ相(54)を首相顧問に、3男のイティポン元パタヤ市長(44)を観光スポーツ相補佐に任命。
軍政が作成し昨年施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は軍政が選任するため、軍政は下院選後も上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑える。ただ、政権を維持するには下院で130~140議席確保する必要があり、軍政は今後、プア・タイ党、民主党という2大政党の派閥の切り崩し、中小政党の取り込みを本格化すると見られる。
一方、こうした動きは、既存の利権政治脱却、汚職追放といった軍政が掲げるスローガンと逆行し、軍政に政治改革を期待した層の離反を招く恐れが指摘されている。ソムチャーイ・クンプルームは殺人、汚職で実刑判決を受け収監。灰色政治家として知られるネーウィンは1990年代から自分の派閥を率いて様々な連立政権を渡り歩き、ほぼ全てのケースで最終的には連立パートナーを裏切った。
タイ東北部ブリラム県で開催した閣議で、東北部のうち同県を含む南側の県に総額200億B以上を投入して121件の開発プロジェクトを実施することを決めたことについて、プラユット首相は、「巨額の予算投入は現政権が総選挙後に政権の座に返り咲くことを狙ったものではない。」と述べ、「予算投入は支持獲得を目的とした政治的なもの。」といった批判に反論。
プラユットはまた、ブリラム県などへの予算投入について、「政府は緊急性のあるプロジェクトを優先的に実施するため賢明な予算配分を行う必要がある。」とだけ説明。政治的思惑が背景にあるとの見方を否定。
なお、現政権に批判的なタクシン派は、低所得者層の支持を得ており、農業従事者が人口の大部分を占める東北部は同派支持者が多いことで知られている。
現軍政に批判的な市民グループが2014年の軍事クーデターからちょうど4年目となる05月22日にクルングテープで総選挙の年内実施などを求める街頭デモを行うとしていることについて、国家安全保障会議(NSC)のワンロップ議長は、「個人的にはデモが手に負えないものになるとは考えていない。」と述べ、デモ参加者に対しデモが暴力沙汰に発展することがないよう協力を要請。
また、市民グループが現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の早期解散を求めていることについて、議長は、「NCPOは現政権を支えるメカニズムであり、要求通りに解散することは不可能。」としている。
05月09日(水)放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会は、タクシン派の衛星テレビ局、ピースTVの番組に国家の分裂を招くような内容があったとして、同局の事業免許を30日間停止すると発表。
ピースTVは衛星テレビの放送ができなくなるが、インターネットを通じ、放送を続ける見通し。 ピースTVは反タクシン派の現軍事政権と対立関係にあり、過去に数回、免許停止、免許剥奪の処分を受けた。
タイで実刑判決を受け国外逃亡中のタクシンと妹のインラックが03日から08日までシンガポールに滞在し、家族や、タクシン派政党プア・タイ党の幹部、前下院議員らと会談。
タクシン兄妹は拠点とするドバイにいったん引き上げ、その後、ヨーロッパに向かう見通し。
2人はタイ政府により国際手配されているが、英国、支那、日本、シンガポールなどを自由に行き来している。国際社会では、タクシン兄妹への実刑判決はタイの政治対立によるものという見方が強く、これまでのところ、各国政府は2人の逮捕、身柄引き渡しに応じていない。
タクシンは国外滞在中の2008年に、首相在任中(2001―2006年)に当時の妻が国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。
インラックはインラック政権(2011~2014年)が導入した米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして職務怠慢などに問われ、タイ最高裁判所が昨年09月、被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決を下した。インラックは判決前の昨年08月に国外に脱出。
現軍政に批判的な市民グループが、今年11月の総選挙実施などの要求を政府が受け入れない場合は2014年の軍事クーデターからちょうど4年目となる05月22日に政府庁舎に向けて街頭デモをするとしていることについて、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「来年2月に総選挙を実施するという政府の行程表を国民のほとんどが容認している。」との述べるとともに、「街頭デモに対しては厳しい法的措置がとられる。」と警告。
軍政に終止符を打ち民政を復帰させるために不可欠な総選挙は当初、今年11月に実施の予定だったが、憲法基本法の制定が遅れていることなどで来年02月実施とされている。
プラウィット副首相は、11月実施を要求している市民グループについて「なぜ(来年02月まで)の3ヶ月が待てないのか理解に苦しむ。」としている。
タイ警察は、「クルングテープのドンムアン空港で、旅客機の機内に自動小銃の弾倉などを持ち込もうとした日本国籍の平野たける(27)を逮捕した。」と発表。
平野はドンムアン発成田行きのタイ・エアアジアXXJ606便に搭乗する際、エックス線検査で鞄と段ボール箱に入れた13個のM16弾倉、8個のAK-47弾倉(報道により計23個)と1個のクレイモア対人地雷の一部などがみつかり、逮捕された。取り調べに対し、所持していた弾倉などはホーチミン市のベンタイン市場で購入したもので、「違法だとは知らなかった。」と供述。
05月14日(月)マレーシアで2003年まで20年以上にわたって首相を務めたマハティール(92)が下院議員選挙に勝利して首相に返り咲いたことについて、タイで最も歴史ある政党、民主党のアピシット党首(53、首相経験者)は、「タイでも首相経験者のチュアン元民主党党首(79)が党首、首相に返り咲く可能性がある。」との見方を示した。
アピシット党首によれば、「チュアン氏は党内で人望があり、人心掌握に長けていること、誠実さで知られている。ただ、現在党顧問団長を務めるチュアン氏は今のところ返り咲きに意欲を示していない。」
05月16日(水)隣国マレーシアで2003年まで20年以上にわたって首相を務めたマハティールが92歳という高齢でありながら首相に返り咲いたことから、タイでも首相経験者のチュワン元民主党党首(79)の党首と首相への返り咲きを期待する声が一部から出ている。
だが、チュワンはこのほど、「アピシット現党首(首相経験者)が党首の座に留まって来年02月の総選挙に出馬して首相ポストを争うことになる。」と述べ、自身のカムバックを間接的に否定。チュワンは第27代首相と第30代首相。
05月18日(金)在タイ日本国大使館は、クルングテープで反政府デモが行われるという情報があるとして注意を呼びかけた。
19日午後05時にタクシン派がクルングテープ都心の高架電車BTSチッロム駅下のアマリンプラザ内マクドナルド(ラーチャプラソン交差点)に集結するとの情報があるほか、21日午後05時から、クーデター4周年の機会にタマサート大学(タープラジャン・キャンパス)に反政府系活動家が集結し、翌22日午前07時~午後01時に首相府へデモ行進する予定。
2014年に軍部がクーデターで当時のタクシン派・インラック政権を倒してからちょうど4年となる05月22日にタクシン支持者からなる赤服グループが何らかの政治的行動に出る可能性があることから、シーワラ警察庁副長官は、「国の安全保障を脅かすような動きを取り締まるよう指示した。」と述べ、タクシン支持者の強硬派に対し過激な行動を起こさないよう警告。
 なお、現在の軍政に批判的な市民グループは総選挙の今年11月実施などを求めており、これが受け入れられない場合、24日に街頭デモなどを決行する構えを見せている。
05月20日(日)2014年5月の軍事クーデターからちょうど4年となる05月22日に現在の軍政に批判的な市民グループなどが街頭デモなどの行動に出ることが予想されているが、警察当局は、「政府庁舎の半径50mは規制地域とされるため、いかなる集会も禁止される。」と発表。シーワラ警察庁副長官によれば、同地域内で集会やデモを行った者には6ヶ月までの禁錮刑か1万Bまでの罰金刑あるいは双方が科せられる。
警察は治安維持のため要所に合計約500~3500人の警官を動員する予定。
05月22日(火)現軍政に終止符を打つ総選挙の今年11月実施を求める市民グループが2014年の軍事クーデターから丸4年となる05月22日にデモを行い、複数人が警察に身柄拘束される事態となったが、プラユット首相は、「総選挙が来年初めまでに実施されることはない。」と述べ、早期実施の要求を一蹴。
プラユット首相は当初、「2018年11月に実施する。」と約束していたが、その後、法整備の遅れなどを理由に来年02月の実施見通しとなっている。このため、軍政に批判的な勢力からは、「軍政の延命を図ったもので、総選挙の実施がさらにずれ込む恐れがある。」といった声が挙がっている。
憲法と個別法をつなぐ基本法のうち、上院議員選任に関するものの草案について憲法裁判所が違憲か合憲かの判断を下す予定だが、憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「違憲とされた場合、草案は部分的修正ではなく全面的な書き換えが必要になる。」との見解を示した。
ミーチャイ委員長によれば、「草案のうち問題となっている部分には草案の中核も含まれており、この点が違憲とされた場合には草案を全面的に修正することが必要になる。」
05月23日(水)憲法裁判所は、先に立法議会(NLA)で承認された上院議員選任に関する基本法草案について、全会一致で合憲との判断を下した。違憲とされた場合、草案を最初から書き直す可能性もあった。今回、合憲との判断が下ったことで総選挙の来年02月実施に向けたハードルを1つ越えたことになる。
05月27日(日)反タクシン派の民主党とタクシン派のプア・タイ党は敵対関係にあるタイの2大政党であるが、民主党のチュティ幹事長はこのほど、「来年02月実施見通しの総選挙で民主党が勝利した場合、プア・タイ党と連立政権を組む可能性がある。」と指摘。「これまでの2党の関係から判断すれば、連立を組むことは困難。だが、プア・タイ党のリーダーが代わるなどすれば、2党が協力することも不可能ではない。」チュティ幹事長は、「過去に強く拘る必要はない。将来に目を向ければ、タイは前進できる。」と述べた。
05月28日(月)英BBC放送のタイ語版ニュースサイトは消息筋情報として、「事実上国外亡命したタイのインラック前首相が英国政府から10年間有効のビザを取得した。」と報じた。タイ当局は前首相を国際手配しているが、英国政府はインラックの逮捕、身柄引き渡しに応じないこと示した形。
インラック前首相はインラック政権(2011~2014年)が導入した米担保融資制度をめぐる汚職と巨額の損失を放置したとして職務怠慢などに問われ、最高裁判所が昨年09月、被告不在のまま、禁錮5年の実刑判決を下した。インラックは判決前の昨年08月に国外に脱出。インラックはその後、兄のタクシンとともに、英国、支那、日本、シンガポールなどを訪れた。タクシンもタイで汚職で実刑判決を受け、国際手配されているが、国際社会では、タクシン兄妹への実刑判決はタイの政治対立によるものという見方が強く、2人の身柄引き渡しに応じる動きは今のところない。
BBCタイ語版サイトが「英国がインラック前首相に10年有効の入国ビザを発給した。」と報じたことについて、外務省のブッサディー広報担当は、「(外務省は)報道で知った。外務省としてはこれに関する情報を有していない。」と説明。
インラックは実兄のタクシンと同じく有罪判決を受けた犯罪人であり、ともに国外逃亡の身となっている。報道によれば、インラックは10年有効の入国ビザを取得しており、入国する度に6ヶ月間、英国に滞在することが可能。
05月29日(火)タイ国民開発党とプア・タイ党が、「現行憲法の部分的あるいは全面的改正を求める。」と表明。
現在の軍政下で制定された憲法の改正は新党の未来前進党が求めているものだが、タイ国民開発党の幹部ワラウットは、「改正することで憲法を実際的で良いものにすることができる。」と説明。
また、プア・タイ党の主要メンバーであるワタナーは、「現行憲法は国民投票で承認されたものだが、この国民投票は不透明であり、憲法は民主的ではない。」との見解。
05月31日(木)政府が来年02月に実施を予定している総選挙に関しては、「予定より数ヶ月遅れる。」との見方も出ているが、プラウィット副首相兼国防相は、「総選挙の実施は来年02月。それより遅れることはない。」と明言。
「来年02月には実施できない。」との指摘は、下院議員選挙に関する基本法は90日以内に国王の承認を得てから官報で発表されてから90日後に施行され、施行から150日以内に総選挙が実施されると憲法などで決まっていることによる。
これらの手続きには最長で90日+90日+150日=約11ヶ月掛かり、来年02月に総選挙を実施できない可能性がある。だが、プラウィット副首相によれば、「政府が最大限努力して総選挙実施を遅らせないようにする。」
シーワラ警察庁副長官は、「先に報じられたようにインラックが英国から10年有効の入国ビザを取得したのであれば、インラックの行方を追うことがこれまで以上に難しくなる。」との見方を示した。
インラックは、インラック政権が導入し、巨額の損失を出した米担保融資制度に関連して禁錮5年の有罪判決を受けた犯罪人で、実兄であるタクシンと同じく国外逃亡の身。
また、関係筋によれば、「インラックは欧州のある国から発給された旅券を使用している。」という。
06月05日(火)在タイ日本大使館は、インターネット上の情報によると、「反タイ政府グループが07日朝、クルングテープ都内の民主記念塔近くに集合する可能性がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意を呼びかけた。
反政府グループは、クーデター4周年デモに参加したことで当局から出頭命令を受けた人々を激励するとして、07日午前09時に、民主記念塔近くのナンルーン警察署前に集合するよう呼びかけている。
06月06日(水)憲法裁判所が06月05日に下院議員選挙法に合憲判断を示したことで、総選挙が来年02月に実施される可能性が高まった。このため、政党からは選挙運動を自由に行うことができるよう政治活動禁止令の撤廃を求める声が強まっているが、プラユット首相は、近い将来の政治活動解禁に否定的な見方。
プラユット首相によれば、「まだ政治対立は解消されておらず、現時点で政治活動を全面的に解禁することはできない。」
06月10日(日)首相経験者のチュアン元民主党党首(79)はこのほど、「私が民主党の首相候補になることはない。」と明言し、首相に返り咲くつもりのないことを改めて確認。
来年02月に実施見通しの総選挙では、政党の推す首相候補の中から首相が選ばれることになっているが、民主党内では、チュアンを候補にすべきとの声もある。
先に隣国のマレーシアでマハティール元首相(92)が首相に返り咲いたことから、チュアンの首相返り咲きを予想する声もあったが、チュアンは全面的に否定していた。
関係筋によれば、政府は年内に地方選挙を実施する準備を進めているが、政府は来年02月に総選挙が実施される見通しであることから、地方選挙で政府と政党がどの程度の支持を得られるかを見極めようとしている。このために政府は地方行政局に対し作戦本部を設置するよう指示。
また、早期の民政復帰すなわち早期の総選挙実施を求める声が強まっているが、政府は地方選挙を実施することで要求が弱まるのではないかと期待している。
ネット上に投稿した写真やコメント(インスタグラム:@thaksinlive)よれば、タクシンと実妹のインラックは今、米国を旅行中という。ともに国外逃亡中の犯罪人である2人は米国で政治家や実業家に友人などに会ったと言う。2人とも米国に留学した経験があり、タクシンは、「かつて住んでいた場所を訪れるのは言葉にできないほどの幸せ。」
06月12日(火)憲法起草委員会(CDC)のミーチャイ委員長は、「ウィサヌ副首相が14日夕方にCDCと中央選挙管理委員会と総選挙の準備について政府庁舎で協議する予定。」と明らかに。
「だが、具体的に何を話し合うかはまで決まっていない。」という。民政復帰のために不可欠な手続きである総選挙は今のところ、来年02月に実施される見通し。また、「現行の新憲法のもとでは下院議員選挙のやり方が一部変更されていることから、これを有権者に説明する必要がある。」と政党が政治活動禁止令の解除を要求しているが、ミーチャイ委員長は、「(電子メールを送付するなど)電子的に情報を送ることで説明することができる。」と述べ、「要求は説得力に欠ける。」との見方。
タイ警察は、「コンピュータ犯罪法違反などの容疑で英国在住のタイ人ワッタナ・エバッジ(56)♀の逮捕状を取った。」と発表した。フェイスブック(KonthaiUK)を通じてタイ政府に関する虚偽の情報を流した疑い。フェイスブック上で女性の投稿をシェアした約30人についても捜査を進めている。
06月01日には、タイの首相についてウェブサイト上で虚偽の報告をし、国家安全保障を損なう可能性があるとされるカンボジア人、ラタナック・ヘング(21)♂に対し、刑事告発を行い、タイ政府の要請でカンボジア警察によってプノンペンで逮捕された。彼はタイの警察に引き渡され、同日にタイに渡された。そこでは、彼は記者に申し訳なく思った。有罪判決を受けた場合、ラタナックは最大5年間の懲役または10万Bの罰金刑に処される。
06月13日(水)プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「06月後半に政党関係者らと政治活動禁止令解除について話し合う予定。」と明らかに。これは、プラユット首相の指示によるもの。
具体的には、プラウィット副首相は政党関係者と禁止されている政治活動のうち何を最初に自由化するかについて意見を交換するとのこと。
また、プラウィット副首相によれば、「今のところ政治活動禁止令は部分的に解除されるだけであり、総選挙に関連した政治活動が可能になるのは下院議員選挙に関する基本法の施行後。」
06月14日(木)現政権が打ち出した20年に及ぶ国家戦略計画と国家改革計画について、主要政党のプア・タイ党と民主党が、「これから誕生する政権にとって障害になる。」などと批判。20年間にわたってこれらの計画に従うことが法律で定められており、従わなかった者は処罰される。
タマサート大学で開催されたタイの民主主義に関するセミナーの席上、プア・タイ党幹部のチャトゥロンは、「タイが発展が阻害され、問題が先送りされる。」と批判。また、民主党のアピシット党首も、「将来の政権にとってこれらの計画が障害となる。」との見方。
現在の軍政のもとで制定された現行憲法について、2大政党のプア・タイ党と民主党、新党の未来前進党の計3党がフォーラムにおいて改正すべきとの姿勢。
未来前進党によれば、現行の2017年憲法は内容が民主的ではなく、国民に是非を問う国民投票も透明性に欠ける。このため、同党もプア・タイ党も改憲が総選挙後の最優先課題としている。
一方、民主党は改憲の必要性を認めつつも、改憲には時間が掛かるため新政権は改憲を最優先とせずにほかの問題にまず取り組むべきとしている
06月18日(月)「タクシン派プア・タイ党の元議員の多くが、親軍部とされるプラチャラット党に移籍する可能性がある。」との噂が飛び交っている。
関係筋によれば、2011年07月の総選挙で最多議席を獲得したプア・タイ党はタクシンの実妹であるインラック氏を首相とする政権を構えることになったが、2014年05月のクーデターで軍部に倒されたこともあり現在の軍政に批判的な姿勢を取っている。また、プア・タイ党は支持者に農民が多く、農民が人口の大部分を占める東北部で人気があるが、東北部出身の元下院議員の半数程度がプア・タイ党からプラチャラット党に鞍替えする可能性がある。
プラチャラット党には「次期総選挙後にプラユットが首相に選ばれるよう画策している。」との憶測もある。今のところプラユットが再び首相に選ばれるかは定かでないが、プラユット新首相が誕生すると判断した場合、プア・タイ党の元下院議員らが勝ち馬に乗ろうとプラチャラット党に移籍することは十分考えられる。
06月19日(火)プラユット首相は英国とフランスへの出発を前日に控え、「訪問の主眼は経済、貿易、投資。」と述べ、「首相は訪問先でタクシンとインラックを帰国させて刑に服させることについて話し合うことを希望している。」との一部報道を否定。
タクシンも実妹のインラックも有罪が確定した犯罪人だが、2人ともタイに帰国して刑に服すことを拒んでいる。また、2人とも外国が発給した旅券を所持しており、自由に外国を訪問している。
ただ、プラユット首相によれば、「今回の英国・フランス訪問は、EU側がタイとの関係の拡大を決めたことに伴うもの。」プラユット首相は英国では同地のタイ企業代表と会ったり、メイ首相と会談したりする予定。
「主要政党であるタクシン派のプア・タイ党から東北部出身の元下院議員が離脱する可能性がある。」と一部で報じられているが、これについて東北部出身の元下院議員の1人は、「彼らが離脱を考えているのは党から十分なバックアップを受けていないと感じているからだ。」と説明。
先の報道によれば、離脱するのは、東北部出身議員の半数余りというが、党内からは、「東北部出身の元下院議員のうちタイ・ラック・タイ党に留まるのは2割程度。」との見方も出ている。
06月20日(水)プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、政府が来週初めにも政党と総選挙に関する協議を行う予定と明らかに。話し合いはプラユット首相が英国・フランス公式訪問から帰国する前に行われるというが、プラウィット副首相は具体的にいつどこで話し合いをするかには言及しなかった。
プラユット首相の帰国予定は26日。なお、民政復帰に欠かせない手続きである総選挙は来年02月に実施される見通し。
06月21日(木)在タイ日本大使館は、「反政府グループが24日午後05時以降にクルングテープ都内ラーチャダムヌンクラン通の10月14日事件記念塔で集会を計画しているという情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に対し、注意を呼びかけた。10月14日事件記念塔は王宮前広場と民主記念塔の間にある。
06月24日(日)「タクシン派のプア・タイ党では少なからぬ東北部出身の元下院議員が軍部を支持する政党に寝返る可能性がある。」と報じられているが、関係筋によれば、プア・タイ党の実質的なボスとされる、国外逃亡中のタクシンは、「プア・タイ党が次期総選挙において前回の総選挙より獲得議席数を伸ばして再び勝利すると確信している。」また、離脱者が出ることについて、タクシンは「新人を迎え入れることが可能になるため歓迎する。」と述べた。
中央選挙管理委員会のチャルンウィット事務局長は、タクシン派のプア・タイ党が政党法に違反している疑いがあることから調査を行う方針と明らかに。
同法では、政党が部外者の影響下に置かれることを禁止しており、違反した場合は解党処分を受けると規定されている。中央選管が問題視しているのは、国外逃亡中のタクシンがビデオを通じてプア・タイ党の元下院議員たちに呼びかけをしたとされること。タクシンはプア・タイ党の実質的なボスとみられているが、プア・タイ党幹部は「タクシンは党の運営などにまったく関与していない。」と主張。
また、タクシンがタイの近隣国を訪れた際などプア・タイ党の幹部らが会いにいっているが、これについて「個人的なつながり。党がタクシの影響下にあることを示すものではない。」と説明。
06月25日(月)タイ軍事政権は、クルングテープ都内のタイ陸軍クラブに74の政党(報道により73に及ぶ政党と政治グループ)の代表を集め、民政移管のための議会下院総選挙に関する説明会を行った。
軍政が政党と会合を持つのは2014年の軍事クーデターでタクシン派のプア・タイ党政権を倒し権力を掌握して以来3度目。プア・タイ党、軍政との対決姿勢を鮮明にしている新党、新しい未来党は今回の会合に不参加。総選挙の具体的日程や政治活動禁止令の解除の時期は決まらなかったが、政党などの代表者の多くが「肯定的な兆しが見えた。」などと評価。話し合いに満足した様子だった。
軍政で法務などを担当するウィサヌ副首相は会合後の記者会見で、「現在禁止されている政治政党活動が今年09~12月に一部解禁され、2019年02月24日、03月31日、04月28日、05月05日のいずれかに総選挙が実施される。」という見通しを示した。総選挙の実施時期については、来年2月との見通しが有力だが、話し合いの中でウィサヌ副首相は、「通常総選挙は月の最後の日曜日に行われる。」と述べ、来年02月24日が総選挙の投票日になる可能性の高いことを示唆。「総選挙の実施時期は治安情勢、ワチラロンコーン国王の戴冠式、選挙関連法の施行などの状況に左右される。」とも述べた。
軍政は発足当初、「総選挙を2015年に実施する。」としていた。その後、再三にわたり先延ばししたが、2017年04月に新憲法が施行され、先送りの口実はほぼなくなった。
こうした状況を受け、プラユット首相は今年02月、「2019年02月に総選挙が実施される。」と明言。今月19日には、「総選挙はワチラロンコーン国王の戴冠式後になる。」と述べ、再度の延期の可能性を示唆したが、国内外の情勢から、大幅な先送りは困難と見られている。
タイ国内では総選挙を求める反軍政デモの規模が徐々に拡大している。また、プラユット首相は今月20~26日に英国とフランスを訪問したが、タイ軍政に批判的だった両国が総選挙に関して無条件で訪問を受け入れたとは考え難く、外交面からも、早期の総選挙実施を求める圧力が高まっている。
タクシンが先に動画を通じてプア・タイ党のメンバーに呼びかけをしたことについて、中央選挙管理委員会が「政党は部外者の影響下にあってはならない。」との政党に関する基本法に違反しており、「プア・タイ党が解党処分となる可能性がある。」として調査に動き出したが、チャルンウィット中央選管事務局長は、「2週間で調査を終えて(中央選管としての)結論を出す。」と明言。
プア・タイ党は、タクシンが創設したタイ・ラック・タイ党の流れを汲むタクシン派の政党で、タクシンの強い影響下にあると見られている。だが、プア・タイ党は、「党の幹部たちは個人的にタクシンを尊敬しているが、タクシンは党の運営などには一切関与していない。」と主張。
06月27日(水)来年02月に実施見通しの総選挙の準備に関する政府と政党代表による話し合いが06月25日にクルングテープで行われたが、プラユット首相は27日、「2回目の話し合いが09月に行われる。」との見通しを示した。
プラユット首相は現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長を務めているが、プラユット首相によれば、「NCPOと政府は初回の話し合いで政党側から出された政治活動禁止令の解除などに関する意見・要望についての検討に時間が必要なことから、2回目の話し合いを09月頃に行うことを見込んでいる。」
タイ人の現職警察官が国外逃亡中の犯罪人であるインラックのボディーガードを務めていることを示唆する写真がネット上に投稿されたことを受けて、シーワラ警察庁副長官はこのほど、この警官を懲戒処分する考えを示した。問題の写真はロンドンで撮影されたもの。
インラックとみられる女性の後ろ姿が写っており、この女性の背後には撮影者を凝視するような格好で男性が写っている。この男性はインラックが首相だった当時に首相の身辺警護に当たっていた警察官。この警察官は子供の教育に関する用事があるとして06月25日から07月13日まで休暇をとって英国を訪れていた。シーワラ副長官によれば、この写真が最近撮られた本物であれば、現職警官が犯罪者と行動を共にしていたことになり、大きな問題になる。
06月28日(木)プラユット・チャンオーチャー首相(元タイ陸軍司令官、64)を支持する親軍政党、パラン・プラチャーラット党に参加する下院議員経験者が3桁に届く見通し。
軍政と対立するタクシン派の地盤である東北部、北部でも、かなりの数の下院議員経験者がタクシン派から軍政側に寝返ると見られ、タクシン派政党、プア・タイ党が神経を尖らせている。
27日にはタクシン政権(2001~2006年)で副首相、工業相などを務めたスリヤー・チュンルンルアンキット(63)、副首相、労相などを務めたソムサック・テープスティン(63)らがクルングテープ北郊のゴルフ場に下院議員経験者50人以上を集め、パラン・プラチャーラット党への参加を呼びかけた。スリヤーは大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー一族の1人、ソムサックは北部スコータイ県の政財界に強い影響力を持つ。2人はタクシン政権で財務相などを務めたソムキッド・チャトゥシーピタック副首相(64)と親しい。
スリヤーらの動きについて、プラウィット・ウォンスワン副首相兼国防相(元タイ陸軍司令官、72)は28日、歓迎する意向を示した。
軍は2019年前半に実施するとみられる民政移管のための下院総選挙でパランプラチャーラット党など親軍政党が勝利し、プラユット首相が続投するというシナリオを描いている。このため、選挙に強い地方政治家の取り込みに力を入れ、今年04月にはタイ東部に強い影響力を持つクンプルーム一族の2人を首相顧問などに任命した。その後もタイ各地で移動閣議を開き、地方への予算投下、地元有力者とのパイプ作りを急いでいる。
07月04日(水)最高裁判所は、「国外逃亡中のタクシンが首相在任中に自身が関与する通信衛星ビジネスへの利益導入を目的にタイ輸出入銀行を通じて40億Bをビルマに融資した。」として新たに元首相の逮捕状を発付。
この融資についてタクシンに07月04日に出廷することが求められていたが、出廷しなかったことから逮捕状が発付された。14年前のこの対ビルマ融資でタイ輸出入銀行は6億7000万Bほどの損失を被った。
07月08日(日)「東北部出身の元下院議員のほぼ半数がプア・タイ党から他党に寝返る。」との観測も出ているが、プア・タイ党のプムタム幹事長代行は、プア・タイ党所属の元議員などに対し、「選挙で審判が下ることになる。」と述べ、移籍する者を非難しないよう呼びかけた。
「プア・タイ党は軍部に批判的姿勢を取っているが、少なからぬプア・タイ党の元下院議員が親軍部の政党に移籍する可能性がある。」と報じられている。
プムタムによれば、「ベテランの元議員が党から抜けることで私利私欲優先の政治家が少なくなり若い新しい政治家が増えるという長所もある。」
07月10日(火)05日夕方、タイ南部プーケット島沖で観光船が沈没し、乗客の支那人多数が死亡、行方不明になった事故で、タイのプラウィット副首相兼国防相が09日、「支那人経営の旅行会社が事故を起こした。」という趣旨の発言をし、支那のネット上で反発が強まっている。
プラウィット副首相はこの事故に関する記者団の質問に対し、「事故を起こした会社は支那人がタイ人の名義人を使って違法に設立、営業した。」と、警察が捜査していることを明らかにした。また、「沈没した船がタイ気象局の予報を信じなかった。」と述べ、「支那人に責任がある。」という考えを示唆。
この発言に」のネットが強く反発。プラウィット副首相に謝罪を要求する声が広がった。プラウィット副首相はこうした状況を受け、10日、「自分は報告があった内容をしゃべっただけ。」と、「私の発言に不満がある人がいるならば謝罪する。」と述べた。
プラウィット副首相の発言について、タイのネット上では、「言ったことは概ね正しい。」、「」人ツアーは」人が違法に運営している。環境を破壊するだけで、タイに金は落ちない。」など、プラウィット副首相を支持する意見が多く見られた。一方で、「タイで起きた事故で、当然タイ側に責任がある。」という意見もあった。「」人旅行者は痰を吐いてやかましいから西洋人客が来なくなる。」など、」人旅行者の振る舞いに対する反感も見られた。
プーケット沖の事故では、悪天候の中、出港した観光船2隻が転覆。1隻の乗客、乗員は全員救助されたが、もう1隻ではタイ人の乗員全員とプラウィット人乗客の一部が救助されたものの、10日夕方までに、41人の死亡が確認され、11人が行方不明。犠牲者のほとんどは支那人。
この事故で、タイのプラユット首相は09日、プーケットを訪れ、事故で負傷した支那旅行者、遺族らを見舞った。
タイ南部プーケット県の沖合でダイビングに向かう支那人観光客などを乗せた船が悪天候の中で沈没し、40人を超える死者が出た事故で、警察当局は、プーケット県内の関係先11ヶ所を家宅捜索した。これは、今回のツアーを組んだ旅行会社などが法に反して実質的経営者が外国人である疑いが浮上したほか、資金洗浄に関わっていた容疑によるもの。
また、観光スポーツ省によれば、今回のような事故の再発を防止すべく、13日に関係政府機関が海難事故対策の強化などを協議する予定。
1996年から翌97年にかけて首相を務めたチャワリット・ヨンチャイユット(86)がこのほど、53歳のオラタイ・ソラカン(53)と結婚。チャワリットはフェイスブックで婚約式と思われる所でオラタイと一緒に写真を撮った後、コムチャットルーク誌に手紙を送った。08日にオラタイ・ソラカンのアカウントのフェイスブックで、チャワリットの写真と婚約式のように見えるものを手にしたオラタイの写真を掲載。文章は、「私のために最も重要です。私は今、姓 『ヨンチャイユット』を採用します。 2018年5月19日。」
チャワリットより33歳若い、オラタイ・ヨンチャイユットは、ナコンサワン県出身。オラタイは、元上院議員であり、村長と区長であった故ニポン・ソラカンの娘で、ニポンは、30年以上チャワリットと親しかった。
これまでに3度結婚しており、4人目の妻となる。2人目の妻との間に3子を設けている。永年結婚していた3人目の妻は、数々の美人コンテストを受賞した、「クンイン・ルイーズ」として知られるパンクルア(79)で、10年ほど前に離婚。ノンタブリー県の家はパンクルアに譲渡し、新妻オラタイ・ソラカンと一緒に住むため、クルングテープ都のカセット・ナワミン地区の家に移った。
チャワリットによれば、「新妻はチャワリットが病気の時に親身になって世話をしてくれた女性。」
07月15日(日)先に一部で「プレム枢密院議長がウィチャイユット病院に入院した。」と報じられたが、プレム議長の側近はこのほど、「プレム氏はいつも通りに仕事をしており、病院には行っていない。」と述べ、報道内容を否定。「首相経験者のプレムは07月10日にも枢密院の会合で議長を務めたばかり。」と言う。
来月08月で98歳になるプレムは、毎日夕方に30分間ウオーキングをしており、また、毎月プラモンクット病院で健康診断を受けている。
07月16日(月)外国でタクシンと実妹のインラックという犯罪者2人のボディーガードを務めた疑いで現職警察官が停職処分。
このうちの1人、ワタンユ・ウィタイパロタイ警察大佐は、息子の留学手続きのため英国に行くとして06月25日から07月13日まで休暇を取っていたが、ロンドンでインラックと見られる女と一緒にいるところが目撃された。先週水曜日にサッカーワールドカップのクロアチア対イングランド戦で、モスクワの試合会場でタクシンとインラックと一緒にいるところが目撃されている。
ワタンユ警察大佐は、インラック首相(当時)の身辺警護を担当しており、タクシンの信頼も篤いという。
警察機構を管轄するプラウィット副首相兼国防相(治安担当)によれば、ワタンユから事情を聴取するとともに、その行為について検討を行う委員会が設置される予定。

← ワタンユ警察大佐は、06月にロンドンのショッピングセンターでインラックと会った。

07月19日(木)07月23日と24日に東北部のウボンラチャタニ県とアムナートチャルン県で開かれる移動閣議について、政府はこのほど、「(これら2県で)地元政治家と会う予定はない。」と異例の発表を行った。これについては、「タクシン派政党であるプア・タイ党の支持者の多い東北部で現政権が親軍部の政党にタクシン派の政治家を取り込もうとしているとの批判を避けようとしたもの。」との指摘が出ている。
だが、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「何かを避けようとしているということはない。彼ら(地元政治家)が会いたいというなら我々は会う。彼らが会いたくないなら、それだけのこと。彼らに会うことは最初から予定には入っていない。」と発言。これが「会うことに否定的ではない。」と受け取られ、プア・タイ党などタクシン派からの批判に繋がっている。
先の報道によれば、「次期総選挙後の首相選びでプラユットを首相に推すと見られる親軍部の政党にプア・タイ党の東北部出身元下院議員の半数までが移籍する。」との見方も出ている。タクシン派はこれまでに何度も軍部に政党を潰されており、プア・タイ党は現在の軍政に敵対的な姿勢を取っている。
07月24日(火)プラユット首相と主要閣僚は23日と24日に東北部のアムナートチャルーン県とウボンラチャタニー県を視察し、24日、ウボンラチャタニー県で閣議を開催。
プラユット首相は2県の視察で、有力な仏教寺院を訪れ喜捨したり、地元住民と踊るなどし、庶民派をアピールした。23日にはウボンラチャタニー県で地元住民ら約1500人を前に演説し、農家の生活改善に取り組むなどと熱弁を振るったが、「(首相になってから)4年間、(自分を批判する)新聞を読んだりテレビをみるのが苦痛だった。」、「批判されたら口を殴ってやる。」、「私を嫌いな人も、5日間新聞を読まなかったら好きになるはず。」などと脱線気味の発言も飛び出した。
24日の閣議では、ウボンラチャタニー県、アムナートチャルーン県と隣接するヤソートン県、シーサケート県の開発計画の報告を受けた。計画は国道の整備拡張、鉄道の複線化、ウボンラチャタニー空港の拡張、洪水対策、農業の近代化などで、米農家の支援策も盛り込んだ。
軍政は2019年前半に実施するとみられる民政移管のための下院総選挙で親軍政党が勝利しプラユット首相が続投するというシナリオを描いている。このため、選挙に強い地方政治家の取り込みに力を入れ、今年4月にはタイ東部に強い影響力を持つクンプルーム一族の2人を首相顧問などに任命した。その後もタイ各地で閣議を開き、地方への予算投下、地元有力者とのパイプづくりを急いでいる。今回の視察、閣議もこうした活動の一環と見られている。
軍政が頻繁に地方閣議を開いているのは、軍政と対立するタクシン派の地盤である東北部と北部。タクシン派は自派の下院議員経験者や有力支援者が次々に軍政派に寝返っていると報じられ、危機感を強めているが、軍政が政党活動を禁止していることから、表立った動きが取れずにいる。軍政は反タクシン派陣営の民主党の下院議員経験者にも引き抜きをかけ、民主党のアピシット党首が不快感を示している。
07月31日(火)プラユット首相は、インラックのタイへの身柄引渡しは英国の同意がなければほぼ不可能との見解を示した。これはドーン外相が、「インラックが生活の拠点としていると見られる英国に対しタイ当局が前首相の身柄引渡しを求める手続きを取った。」と明らかにしたことを受けての発言。
「インラックは首相在任中に重大な職務怠慢があった。」として禁錮5年の有罪が確定した犯罪人。判決が下る前の昨年08月に密かにタイから出国しており、実兄のタクシンとともに国外逃亡中の身となっている。
プラユット首相によれば、「タイへの前首相の身柄引渡しに関して、タイ当局は行うべきことをすべてしており、英当局の返答待ちの状態。英国が動かなければ何も進展しない。」
08月02日(木)国外逃亡中の犯罪人であるインラックについて、タイ政府が英当局に対し身柄引渡しを要請する手続きを行ったと報じられたが、カシット元外相は、「身柄引渡し要求の正当性を理解してもらうためにインラックに関するさらに詳しい情報を英当局と国際社会に提供することが必要。」と述べた。
カシットによれば、「英当局はインラックの身柄を引き渡すにはタイ側からの情報提供が不十分と考えている可能性があるという。さらに、身柄引渡し要求が軍部と敵対するタクシン派の勢力削減といった政治的目的を達成しようとしたものでないことを理解してもらうためにも十分な情報を英側に提供する必要がある。」
08月14日(火)プラユット首相はこのほど、来年02月に実施見通しの総選挙を通じてこの先政治とどのように関わっていくかを09月に明らかにするとの意向を再確認。
総選挙を実施し、国民の意向が反映された形で新政権が誕生することで軍政に終止符が打たれて民政復帰となるが、法的にはプラユット首相が再び首相ポストに就くことも可能。だが、この件についてプラユット首相は今のところ明言を避けている。
最近の報道では、政治にかかわり続けるためプラユット首相が親軍部の政党に加わる可能性もある。 これについてもプラユット首相は「09月に皆に知らせる。」と話している。
08月16日(木)プラウィット副首相兼国防相が国家反腐敗委員会から抜けたことについて、プラユット首相は、「プラウィットが50以上の委員会のメンバーとなっていることから、その職務を軽減しようとした。」と述べ、「高級腕時計疑惑とは無関係である。」と説明。
プラウィットは数十個に及ぶ高級腕時計を所持しながら資産申告していなかったとされ、現在関係当局が調査を行っている。だが、調査はすでに数ヶ月に及んでおり、「当局は立件に消極的。」との見方が支配的。
プラユット首相によれば、国家反腐敗委員会については、プラウィット副首相の代わりにチャチャイ副首相が委員を務める予定。
08月21日(火)タイ軍事政権のプラユット首相と主要閣僚は20日に南部ラノン県、21日に隣県のチュムポンを視察した。21日にチュムポンで開催した閣議では、農業の競争力強化、観光促進、交通物流インフラの整備などを南部開発の柱とする方針を決定。
プラユット首相は閣議後の記者会見で、2019年前半に実施すると見られる民政移管のための議会下院総選挙について、02月24日に投票が行われるという見通しを示した。投票日については、ウィサヌ副首相が20日、「早ければ02月24日、遅くても05月05日。」と述べていた。
軍政は下院総選挙で親軍政党が勝利しプラユット首相が続投するというシナリオを描いている。この目標に向け、地方での閣議を頻繁に開催し、予算の投下、地元政治家の引き抜きなどを進めている。既存政党側は、事実上の選挙活動として批判しているが、軍政により政党活動が禁止されているため、動きが取れない状況。
08月23日(木)ウィサヌ副首相は、「プラユット首相が憲法に規定された超法規的権限を行使して近く政治活動禁止令を部分的に解除する。」との見方を示した。
超法規的権限とは、2014年05月の軍事クーデターに伴い、それまでの憲法に代わって制定された暫定憲法に定められた規定で、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長(プラユット首相)に立法等の特権を付与するもの。暫定憲法に代わって昨年04月に施行された現行憲法にも引き継がれている。
なお、現軍政に批判的なタクシン派プア・タイ党は、「公正で自由な選挙を実現すべく、政治活動禁止令を部分的でなく今すぐ全面解除すべき。」と主張。
08月26日(日)タイの政財界に強い影響力を持つプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)が、98歳の誕生日を迎えた。
 タイのテレビ報道によると、議長は朝、クルングテープ都内の仏教寺院ワット・ラーチャボピットを訪れ、タイ仏教の最高指導者、大僧正に喜捨。議長は晴れ晴れとした表情で、歩いて寺に入り、大僧正に笑顔で挨拶した。
プレム議長は例年、誕生日や年末年始などに、政府や軍、警察の高官を自宅に迎え、祝賀を受けるが、今年は医師の勧めで、プラユット首相(元陸軍司令官)らの訪問を謝絶。
09月05日(水)現在の軍政のナンバー2であるプラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「プラユット首相が総選挙後も政界に留まるのであれば、自身も政治家を続ける可能性がある。」と明らかに。
現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)では、プラユット首相が議長ポストにあり、プラウィット副首相がその片腕として副議長を務めている。
なお、総選挙後のプラユット氏の首相就任実現を目指した動きがあると報じられているが、氏自身は総選挙後も政界に留まるか否かについて今のところ明言を避けている。
09月11日(火)2019年の実施が予想される民政移管のためのタイ議会下院(定数500)総選挙を前に、同国の2大政党の1つである民主党が軍事政権との関係を巡り揺れている。
元々民主党の支持基盤はタイの伝統的なエリート層・権力層とクルングテープの中間層、南部で、軍政の支持層と重なる。民主党党のアピシット党首(元首相、54)は民主主義を重視し、軍政と距離を置く姿勢をみせているが、民主党内には軍政に協力してプラユット首相(元陸軍司令官、64)の続投を目指す動きがある。
軍政は11日の閣議で、民主党のプティポン元下院議員(49)をプラユット首相付副秘書官長(政治担当)に任命した。プティポンは米国生まれで、元閣僚の祖父、著名医師の父を持つエリート家系の出身。下院議員のほか、クルングテープ副都知事、タイ首相府副報道官などを務めた。元民主党幹事長のステープ元副首相が主導した2013年、2014年の反タクシン派政権デモではリーダーの1人として活躍。軍はこのデモを口実に弱体化したタクシン派政権をクーデターで倒し、全権を掌握。
今回のプティポンの任用は民主党内の軍政支持派を結集し、アピシット党首の求心力を低下させることが狙いと見られる。アピシット党首は2005年の就任以来、党首の座を巡る実質的な挑戦を受けたことがなかった。しかし、2019年の下院選前に実施されるとみられる党首選には、軍政支持派のアロンコン元副党首らが名乗りを上げている。アピシット党首の優位は動かないと見られるが、次回の党首選は初めて党員投票も行われる見通しで、ライバルとの得票差が少なければ、アピシット党首の指導力に陰りが出ることも予想される。
軍政が作成し2017年に施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は実質的に軍政が選任するため、軍政は下院選後も上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑える。ただ、政権を維持するには下院で130~140議席確保する必要がある。このため、軍政は民主党とタクシン派のプア・タイ党という2大政党の派閥の切り崩し、中小政党の取り込みに力を入れ、今年04月にはタイ東部に強い影響力を持つクンプルーム一族の2人を首相顧問などに任命した。その後もタイ各地で閣議を開き、地方への予算投下、地元有力者とのパイプづくりを急いでいる。
09月13日(木)】「タイ連邦組織」という文字と赤白の旗をプリントしたTシャツがタイ国内に出回り、タイ軍事政権が不敬罪などの疑いで取り締まりに乗り出した。
「タイ連邦」が王国というタイの国体を否定している上、タイの国旗から王室を意味する「青」を抜いた旗を使用しているというのが理由。Tシャツの背後にはタイの共和国化を望む勢力がいると見ている。
このTシャツを配った疑いで、06日、バイクタクシー運転手のワンナパ・カムピポット(30)をクルングテープ郊外の民家で逮捕し、クルングテープ都内の軍基地に連行。13日には、Tシャツの製造配布に関わったとして、東部チョンブリー県在住の露天商のタイ人女性(55)を逮捕した。
タイ軍政は、タクシン派政権を倒した2014年の軍事クーデター後に隣国ラオに逃亡したタクシン派メンバーが今回のTシャツ騒ぎに関わっている疑いがあるとみて、ラオ政府に捜査協力を求めている。
総選挙を来年02月に実施するのに必要な10の基本法のうちの2つ、すなわち下院議員選挙と上院議員選任に関する法案が国王により承認されたことを12日の官報で発表。
下院議員選挙に関する基本法は90日後の12月半ばに施行される。一方、総選挙までに上院議員を選んでおくことが必要とされていることから、上院議員選任法は13日に施行されている。
総選挙実施に関する法律の準備が進んだことから、政党の関心は当局がいつ政治活動禁止令を解除するかに移っていくものと見られる。
民政復帰のための総選挙について、「実施時期が来年05月にずれ込む可能性がある。」との声も出ているが、現政権ナンバー2であるプラウィット副首相兼国防相は、「来年02月24日に総選挙の投票を行うという方針に変わりはない。」と明言。
また、ウィサヌ副首相も同日、「総選挙については02月24日に投票するという話しか聞いていない。」と述べ、政府が総選挙遅延を想定していないことを示唆。
12月08日、09日にクルングテープで開催される「Maya International Music Festival 2018」へのAKB48出演決定に伴い、佐々木優佳里、中西智代梨、岩立沙穂、茂木忍、千葉恵里、浅井七海の6名がクルングテープでPR活動。タイ首相府を訪れ、タイでも大ブームとなった「恋するフォーチュンクッキー」をプラユット首相の前で披露。プラユット首相は歌と踊りに合わせて棒を振ったり、掛け声をかけるなどした。
タイ軍事政権は先週、軍政のテレビ番組の司会にAKB48のクルングテープの姉妹グループ、BNK48のメンバーを起用したばかり。一部には、「来年の実施が予想される議会下院総選挙での勝利を目指し、軍政がアイドルの人気に便乗しようとしている。」という指摘が出ている。
タイで最も長い歴史を誇る政党である民主党では、以前からチュアン元党首(79)の党首再任を望む声が出ているが、チュアンはこのほど、改めて党首を務める考えのないことを明らかに。
チュアンの再登板を望む意見は、05月に隣国マレーシアでマハティール元首相(92)が首相に返り咲いたことから出てきたものだが、チュアンは「再び党を率いることはない。」と一貫して述べており、また、「次の党の総会で誰が党首に選ばれようと新党首を全面的に支持する。」と明言。
09月14日(金)プラユット首相は、総選挙に向けて政党が一定の政治活動をできるようにするため、憲法に規定されたプラユット首相の超法規的権限を行使して政治活動禁止令を部分的に解除。これによって政党は、党員を募ったり、資金集めをしたりすること、党首や党役員の選出、支部設置、政策綱領発表、候補者選定に向けた手続きをとること、党費徴収などが可能になり、また、中央選管が選挙区の区割りをすることも可能となる。
一方、政党が投票を呼びかけるキャンペーンは禁止。また、党役員・党員が電子デバイスで連絡を取り合うことは可能であるが、同デバイスを使って有権者に投票を呼びかけることはできない。
09月18日(火)タイ軍事政権のプラユット首相と主要閣僚は17、18日に東北部ルーイ県と北部ペチャブン県を視察し、18日にペチャブンで閣議を開催。
閣議ではインフラ整備、農業開発、観光振興といった北部、東北部の開発計画のほか、低所得者に対する付加価値税(VAT)の一部還付を承認した。VAT還付は今年11月から来年04月までで、費用として予算50億Bを組んだ。
軍政は2019年中に実施するとみられる民政移管のための議会下院総選挙後も政権を維持する意欲を見せている。選挙での勝利に向け、昨年から地方視察・閣議を頻繁に実施。地方への予算投下と地方政治家の引き抜きを進めている。既存政党は事実上の選挙活動だとして軍政を非難しているが、軍政が政党活動を禁止しているため、指を加えて見ている状況。
総選挙後も政治にかかわるのかなど自身の身の振り方について09月中に明らかにするとプラユット首相は約束しているが、選挙関連の基本法がすべて公布され、今のところ来年02月24日投票の可能性も出ているにも関わらず、未だ沈黙を保っている。
一方、中央選挙管理委員会は、「政党が期限までに支部設置と候補者選定ができない場合には総選挙が遅れる可能性がある。」との見方を突然示した。
2006年09月19日の軍事クーデターで失脚し事実上の国外亡命生活を送っているタクシン(69)は、自身のフェイスブックで軍事政権と軍政を支える反タクシン派を批判。
タクシンは「過去12年間に2度クーデターがあり、タイの政治史上最も人気がある首相だった兄と妹が失脚した。」、「クーデターで利益を得て富裕になった人がいる。」、「国際社会の中でタイが軽視されるようになった。」などと主張。また、「教育、官僚機構、麻薬問題、司法、経済などに進歩が見られない。」として、「タイがこのような状況に陥り残念だ。」と述べた。一方、タクシン派と反タクシン派の抗争は「考え方、好みの違いだけであって、同じタイ人。」と和解も呼びかけた。
タクシンは「もう70歳になる。」、「12年間自分を忘れないでいてくれて感謝する。」と支持者に謝意を示し、全ての政敵を許すと結んだ。
09月19日(水)タクシン派の政党、プア・タイ党は、記者会見を開き、「2006年のクーデターから12年経ち、タイは依然として1140万人の貧困層を抱え、東南アジアの指導的立場から失墜した。」と指摘。「民政移管のための議会下院総選挙の日程が固まっただけでタイ証券取引所株価指数が大幅に上昇した。」と、軍政を批判。
タクシンの投稿について、軍政のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)は、「毎日問題が起きているが、誰のせいだ? 我々のせいはない。」、「我々は国家の問題を解決しようとしているだけだ。」などと反論。
09月24日(月)タイ首相府によると、プラユット首相は10月に日本、インドネシア、ベルギー、ドイツを訪問。日メコン首脳会議出席のため、08、09日に東京を訪問。11日にはインドネシアのバリ島で開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)リーダーズ・ギャザリング(ALG)に出席。18~20日はアジア欧州会合(ASEM)出席のためブリュッセル、30、31日はドイツを訪問。
プラユット首相は、政府庁舎で「政治に関心がある。なぜなら(現政権が打ち出した)政策が成功するか、継続されるかが気がかりだからだ。しかし、今日言えるのはここまで。私が何を決め、誰を支持するかについてはまた話すことにしよう。」と述べ、来年の総選挙後も政治に関わっていくことを示唆。
この発言について、政党関係者からは、「プラユット氏が総選挙後も政治に関わることを歓迎するが、総選挙と首相選びにおいてルールをしっかり守ると明言してほしい。」といった声も出ている。
09月25日(火)ウィサヌ副首相は、「首相在任中に当時の妻の土地取得に関連して職権を乱用した。」として10年前に禁錮2年の有罪判決を受け、現在国外逃亡中のタクシンは10月21日に刑の時効が成立すると報告。
タクシンは保釈中の2008年08月、司法当局の許可を受け支那を訪れた後、逃亡。このため、最高裁は同年10月21日に被告不在のまま禁錮2年の有罪判決を下した。その後定められた期間内に異議申し立てがなされなかったため刑が確定。
プラユット首相は、閣僚が政党活動に関わることについて、「法律に抵触しない限り私は気にしない。」と発言。このため、ウッタマ工業相、ソンティラット商業相、コープサック首相府相の今後の動向に関心が集まることになった。
これは、現軍政を支持しているとされるパラン・プラチャーラット党が今月29日に初の総会を開催する予定だが、ここにウッタマ、ソンティラット、コープサックの3人が閣僚を辞して出席し、それぞれ党首、幹事長、広報担当に選出されるとの見方が出ているため。
プラユット首相は、10月後半にマレーシアを訪れて先に首相に返り咲いたマハティール(93)とタイ深南部の治安問題などについて意見を交わすことを明らかに。具体的には、タイ深南部の反政府勢力との和平会談の将来について話し合う予定。
仏教徒が人口の大多数を占めるタイにはあって最南部はイスラム教徒が圧倒的に多いという特殊性があり、同地で暗躍する反政府勢力もマレーシアと繋がりがあるとされる。プラユット首相によれば、マレーシアも和平会談が成功することを望んでいる。
なお、マハティール首相との会談は当初、10月初めに予定されていたが、マハティールが多忙のため同月後半に変更された。
09月26日(水)プラウィット副首相兼国防相によれば、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は12月に開く会合で政治活動禁止を全面的に解除する件について協議する見通し。会合はプラユット首相が議長を務め、全ての政党から代表が出席する予定。
2014年05月のクーデターで軍部が全権を掌握したことに伴い、5人以上の集会が禁止されるなど政治活動が規制されてきた。総選挙に向けた準備のために先に規制が部分的に緩和されたが、全面解除がいつになるかはまだ決まっていない。
プラウィット副首相は、プラユット首相が先に総選挙後も政治に関わる可能性も示唆。「プラユット氏の政界入り(民政復帰後も政治に関わること)を支持している。氏がどの政党に入るかは氏が決めること。私は氏を信頼しており、何も心配していない。」と述べた。
先に政治活動禁止が一部解除されたことに伴い、タイの2大政党であるプア・タイ党と民主党がそれぞれ幹部会議を開催し、党の運営などについて話し合った。これまでは政治活動禁止令のためこのような会議を開くことができなかった。
「タクシン派のプア・タイ党は、国外逃亡中のタクシンに牛耳られている。」との見方が専らだが、「プア・タイ党が部外者(タクシン)の影響下にあって政党法に違反している疑いがある。」として現在、中央選挙管理委員会が調査中。違反が確定した場合には解党処分を受ける可能性もある。
09月27日(木)現軍政が打ち出した「20ヶ年国家戦略」についてプラユット首相は、政府系シンクタンク・国家経済社会開発委員会(NESDB)主催のフォーラム「国家戦略、タイの将来、我々の将来」の席上、「この先20年間の長期国家開発の方向性を示したものであり、その遂行を政治家に邪魔させはしない。」と明言。
プラユット首相によれば、「複数の政党が来年の総選挙で勝利して政権を取ったら20ヶ年国家戦略を撤廃する。」との考えを明らかにしているものの、「この戦略は今後の国の発展を目指したものであり、廃止することは許されない。」という。
一方、この先20年間政府が同戦略に従わなければならないとなれば、政府は自由裁量権を制限されることになる。さらに、「クーデターで誕生した現政権が打ち出した戦略に選挙で選ばれる今後の政権が縛られるのはフェアではない。」との批判意見も出ている。
09月29日(土)タクシン派のプア・タイ党に「政治的アクシデント」があった場合に備えてプア・タイ党の役員、議員、党員などの受け皿となる役目を担うとされる新党が設立されたことについて、法律専門家であるウィサヌ副首相はこのほど、「バックアップ政党などと呼ぶ人もいるが、法律的には普通の政党と変わりはなく、何ら問題はない。」との見解。
プア・タイ党については、国外逃亡中のタクシンが大ボスとの見方が専ら。だが、法律では党に所属しない部外者がその党を牛耳ることを禁じており、現在選管がプア・タイ党がタクシンの強い影響下にあるのではないかとの疑いを調査している。黒となれば、解党処分を受ける恐れがあるという。このため、バックアップの政党を設立する必要があった。
親軍部とされる新党のパラン・プラチャーラット党の初総会が、クルングテープに隣接するノンタブリー県ムアントンタニーで開催され、ここで現閣僚4人を含む25人が役員に選出された。
ソムキット副首相の側近で元バンコク大学学長のウッタマ工業相が党首、やはりソムキット副首相の側近のスウィット科学技術相と2013、2014年の反タクシン派政権デモのリーダーでナタポン元民主党議員が副党首、ソンティラット商務相が幹事長、コープサック首相府相が広報担当・執行役員に選ばれた。
ウッタマ大臣は総会後に報道陣に対し、「工業相を辞任する考えはない。私を含む閣僚4人が政府のリソースや役人を使って選挙運動を有利に進めることはない。」と明言。
また、総選挙後に党の推す候補から首相が選ばれることになっているが、スウィット大臣によれば、「パラン・プラチャーラット党はまずウッタマ大臣を首相候補とする予定だが、党幹部とプラユット首相の意向次第ではプラユットを首相候補とすることも考えられる。」
09月30日(日)プラユット首相が総選挙後に再び首相に選ばれることを目的に設立されたと見られる新党のパラン・プラチャーラット党が先に開催した初総会でウッタマ工業相、スウィット科学技術相、ソンティラット商務相、コープサック首相府相がそれぞれ党首、副党首、幹事長、執行役員兼広報担当に選ばれたことから、これら4閣僚とプラユット首相に対し、「役職の権限を乱用して総選挙の選挙運動を有利に進める恐れがある。」として潔く辞任するよう求める声が挙がっている。
ウッタマ工業相などは、「工業相を辞任する考えはない。」と明言。
中央選挙管理委員会の委員を経験したソットシー♀によれば、「閣僚が政党の役員を務めるのを禁じる法律は存在しないものの、政治のエチケットとして政界入りしたら閣僚ポストから降りるべき。」
党役員には東部に強い影響力を持つクンプルーム家のイティポン元パタヤ市長、大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー、チュンルンルアンキット家のポンカウィンらのほか、反タクシン派政権デモのリーダー2人も名を連ねた。東部サケーオ県に強い影響力を持つティエントーン家の2人もタクシン派政党プア・タイ党を離党し、パラン・プラチャーラット党に加わった。
タクシン派政権を倒した2014年の軍事クーデターはナタポン元議員ら民主党幹部が主導した街頭デモをきっかけに起きた。このため、民主党の一部と軍の共謀説も流れていたが、パラン・プラチャーラット党の顔ぶれは、こうした憶測に信憑性を与える。
ソムキット副首相はチュンルンルアンキット家の1人でタクシン政権(2001~2006年)で副首相、工業相などを務めたスリヤらとともに有力政治家の引き抜きを進めていると報じられていたが、パラン・プラチャーラット党の党役員に政界の重量級の名前はなかった。軍政色を薄めるためか、現時点では軍幹部の参加もなかった。
10月01日(月)先に親軍部とされる新党のパラン・プラチャーラット党の役員に就任した閣僚4人に対し、閣僚ポストから降りるべきとの声があがっているが、ソムキット副首相(経済担当)はこのほど、「閣僚が政党に参加するのを禁止する法律は存在せず、また、4人が政府に必要とされている。」などと指摘して辞任を迫る意見に反論。「現在政府は今後のタイの発展の礎となる複数のプロジェクトを実施しており、これらのプロジェクトを遅延させることはできない。このため、4閣僚を途中で外してプロジェクトに悪影響が及ぶようなことがあってはならない。」
タイ警察は、13歳以下の女児に性的暴行を加えた疑いで、日本人のナカシマヒロユキ(71)をタイ東部パタヤ市の買春が行われたジョムティエンビーチのコンドミニアムで逮捕し、盗撮用と思われる隠しカメラや性具などを押収。
10月03日(火)00時20分日本人のナカシマヒロユキ(71)に女児を斡旋した疑いで、チョンブリー県ノンプルー区ラムナン町のソイ・ヤイリア31のレストランで、タイ人のボリパン・ムアンディット♀(20)を逮捕。ボリパンは取り調べに対し、「ナカシマに女児を斡旋し、1000Bを受け取った。」などと供述。
総選挙は来年02月24日に投票が行われるとの見方が有力だが、ここに来て「投票日は2ヶ月後の04月28日にずれ込む。」との噂が広まっている。しかし、プラウィット副首相兼国防相は、「総選挙を遅らせる理由はない。」と述べ、国民の多くが予想している通りに総選挙が実施されるとの見方を示した。
また、「国内が大きく混乱するような政治的事件が起きたら総選挙は延期されるのか。」との質問に対し、プラウィット副首相は、「政治的トラブルは小さなものは起きるかも知れないが、大きなものは起きないだろう。」と返答。
10月05日(金)総選挙後に首相を選ぶにあたり新憲法には2通りの方法が規定されている。まずは各政党がそれぞれ決めた首相候補3人の中から選ぶというもの。しかし、この方法で支持票が割れて首相が決まらない場合には、政党の首相候補以外の人物から首相を選ぶことになる。
この点についてプラユット首相は、「総選挙後に権力の座に戻るのであれば、どのようなやり方がよいか。」との質問に対し、「第三者を首相に据えることは長い間話題にのぼっていない。これについて話す必要はないだろう。」と述べ、政党の首相候補になった後に首相に選ばれる方が良いと考えていることを窺わせた。
関係筋によれば、「プラユット首相の今回の発言から、プラユットが政党の首相候補になって首相に選ばれることを望んでいるように思える。」なお、プラユット首相は、「今のところ政党からのアプローチはない。」としている。
10月08日(月)09に東京で開催される第10回日メコン地域諸国首脳会議に出席するため訪日したタイのプラユット首相は、東京で安倍首相と約40分間首脳会談。
プラユット首相は会談で、「議会下院総選挙を来年02月から05月の間、可能であれば02月に実施する。」と表明。安倍首相はこれに対し、「民政復帰のプロセスが速やかに進むことを期待している。」と述べた。
両首脳は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結に向け協力することで一致。環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)へのタイの参加に向け、日本が情報提供などの支援を行っていくことを確認。
タイで最も長い歴史を誇る政党、民主党の党首選が始まった。続投を目指すアピシット党首の発言から「来年の総選挙後に民主党が親軍部の政党と連立政権を組む可能性が出てきた。」との指摘が出ている。
関係筋によれば、「次期総選挙では新軍部政党躍進の可能性があることから、親軍部の政党の独走を阻止すべく民主党が政権に参加することも考えられる。」
なお、政党の姿勢については、パラン・プラチャーラット党など3党が親軍部、民主党など4党が中道、タクシン派のプア・タイ党など5党が反軍部。
10月10日(水)タクシン・チナワットの長男のパントンテー・チナワット(38)が、資金洗浄(マネーロンダリング)取締法違反で起訴された。
タクシン政権当時(2001~2006年)の2003年、2004年にタイの国営商業銀行、クルンタイ銀行(KTB)が債務不履行に陥っていた不動産デベロッパー、クリサダーマハーナコンの子会社に総額99億Bの不正融資を行った事件で資金洗浄に関わった疑い。
パントンテーは即日保釈保証金100万Bを払い保釈されたが、許可なく出国することが禁じられた。パントンテーは検察庁に出頭した後、中央刑事裁判所で罪状の認否を問われたが、この間に妹2人、母親、タクシン派プア・タイ党の幹部などが姿を見せてパントンテーを激励。
KTBの不正融資事件ではタクシンら22人と5社が汚職、商業銀行法違反などで起訴され、タイ最高裁判所が2015年、被告19人に実刑判決。KTBのウィロート元社長とスチャーイ元会長はそれぞれ禁錮18年の判決を受け服役中。タクシンは支那滞在中の2008年に汚職で実刑判決を受けて以来、帰国しておらず、KTBの事件では判決が下っていない。
10月17日(火)民主党では党首選が行われているが、これに民主党のライバルであるタクシン派プア・タイ党が噛みついた。 現在、政治活動は部分的に解禁されているにすぎず、プア・タイ党によれば、「民主党の党首選は同党の存在をアピールする手段となっており、明らかな政治活動禁止令違反だ。」民主党幹部は、「アピシット民主党党首がやっていることは先の禁止令部分解除で可能となった政治活動には含まれない。」と批判。
10月18日(木)タクシンは、「次期総選挙では民主主義を信奉する政党が力を合わせれば、軍部を支持する政党に勝利することができる。」との見通しを示した。
「具体的には、民主主義を掲げる政党が結束すれば、下院の500議席のうち300議席以上を獲得することが可能であり、有権者は是非投票に出かけてほしい。」
タクシンは、自身が創設した政党やタクシン派の政党が軍事クーデターに伴い解党処分を受けるなどしており、軍部に強い憎しみを抱いている。タシンは首相在任中の職権乱用で10年前に有罪が確定しているが、判決が下る前にタイから逃げ出し、今も国外逃亡中。
10月20日(土)ベルギーで開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席し帰国したプラユット首相は、「国際社会はタイの総選挙行程表を受け入れており、政治的安定が長く維持されることを望んでいる。」と述べた。
プラユット首相によれば、「会議に出席した各国首脳に対し『総選挙は間もなく実施される。』と説明し、これに対し肯定的な反応があった。」
10月23日(火)タクシン派プア・タイ党のウィロート党首代行はこのほど、「プア・タイ党を陰で操っているのはタクシン。」との見方を全面的に否定。この見方が事実の場合、政党法に抵触し解党処分となる可能性が高いため、プア・タイ党では「タクシンとは無関係。」と繰り返し訴えている。
ウィロート党首代行によれば、「党幹部が香港までタクシンに会いに行ったりしているが、これは個人的にタクシンを尊敬しているからであり、タクシンの指示を仰いでいる事実はない。」
活動家2人が「アピラット陸軍司令官がクーデターを企てている。」として訴訟を起こしたことを受けて、現プラユット政権の後ろ盾的存在である国家平和秩序評議会(NCPO)の法律専門家チームがこのほど、「訴訟は虚偽の情報に基づいたもの。」として2人に法的措置を取るようタイ警察に求めた。
NCPO事務局長でもあるアピラット司令官は先に「またクーデターが起きるのか。」との質問に対し、明確に「起きない。」と返答しなかったことから、「新たなクーデターの可能性を示唆した。」と報じられていた。
10月25日(木)マレーシアのマハティール首相(93)が24、25日、タイを訪問。
24日にタイのプラユット首相(64)と首脳会談を行い、マレーシアと国境を接するタイ深南部でマレー系イスラム武装勢力によるテロが続いている問題について、情報共有などで協力を強化し、テロ、麻薬などの問題解決に取り組むことで一致。国境貿易の促進でも同意。
タイを公式訪問中のマレーシアのマハティール首相(93)は、忙しいスケジュールの合間を縫ってプレム枢密院議長(98)を自宅のシサオテウェート邸に訪ね、約15分会談。2人が顔を合わすのは約30年ぶり。
プレム議長はマハティール首相を暖かく出迎え、邸内で現在の健康状態やマハティールの首相返り咲きなどについて歓談。
プレム議長との会談の後、マハティール首相は国立チュラロンコーン大学に赴いてスピーチを行った。
「総選挙が来年02月24日に実施された場合、大学入学のための試験の期日と重なるため、試験と投票に支障が出る。」と指摘されているが、プラウィット副首相兼国防相はこのほど、「総選挙を延期することはない。」と明言。
このまま試験と総選挙の日程が重なることになると、18歳から選挙権を有すため、600万人を超える受験者の多くに影響が及ぶことになる。プラウィット副首相は、「有権者の権利を奪うことはできないため、教育省が試験日程の変更を検討することになる。」
ただ、ウィサヌ副首相によれば、「総選挙の投票日はまだ正式に決まっていないため、現時点で試験日程を変更すると、最終的に決まった投票日と試験日がバッティングすることも考えられる。」
10月26日(金)スパンブリー県などタイ中部を地盤とする中規模政党、チャートタイ・パタナー党の党大会がクルングテープで開催され、故バンハーン・シラパアーチャー元首相の長女のカンチャナ・シラパアーチャー元副教育相(58)を党首に選出。
チャートタイ・パタナー党はシラパアーチャー家が事実上のオーナー。スパンブリーはバンハーン元首相の「城下町」として、道路などのインフラ整備が進んでいることで知られる。
党大会には2006年の軍事クーデターを指揮したソンティ・ブンヤラカリン元陸軍司令官(72)が姿を見せ、自身が率いるイスラム系の小規模政党、マトゥプーム党の主要メンバー15人とともにチャートタイ・パタナー党に入党。
ソンティ元司令官は2005年にタイ軍の実力トップである陸軍司令官にイスラム教徒として初めて就任した。2006年のクーデターでタクシン政権を倒した後、表舞台から徐々に姿を消した。2011年の議会下院総選挙にマトゥプーム党から出馬し当選。タクシン派が多数を占める下院で、タクシン派と反タクシン派の和解を模索する国家和解検討委員会の委員長に就任し、世間を驚かせた。
2012年、クーデターの真相を問いただされた際に、「死んでも答えられない質問がある。」、「誰もが真相を知っている。」、「過去にこだわれば亀裂が深まるだけだ。」などと述べた。
10月28日(日)総選挙は来年02月24日に投票が行われる見通しだが、その場合、大学入学のための一般適性試験(GAT)と専門適性試験(PAT)が来年02月23~26日に行われるため、受験生が投票できなくなるとの懸念が出ているが、ウドム副教育相はこのほど、「受験生約45万人は問題なく投票することができる。」と明言。
タイでは18歳から選挙権が与えられるが、受験生の大半は来年02月24日には18歳になっていているため選挙権がある。副教育相によれば、総選挙の投票日はまだ最終決定されていないが、教育省はすでに投票日と試験日が重なる恐れのあることから受験生に期日前投票をさせることなどを検討している。
現軍政下で起きている様々な問題などを風刺したミュージックビデオがネット上に投稿されたことで当局が法的措置をとる姿勢を見せている。
RAP AGAINST DICTATORSHIP - ประเทศกูมี
https://www.youtube.com/watch?v=VZvzvLiGUtw
10月22日に動画投稿サイトYouTubeに投稿された約5分間の白黒のMVは29日の時点で閲覧者が約1860万人に達している。警察庁技術犯罪制圧課(TCSD)によれば、ミュージックビデオの歌詞や映像がコンピューター犯罪法に抵触するか否かについて結論を下す予定という。
3:22~3:36のエレキギターがタイ国旗色の部分的に着色しており、金が掛かっている。タクシンからの資金援助が透けてみえる。
政治活動禁止の一部解除に伴い、タクシン派の有力政党、プア・タイ党は開催した党大会で、これまで党首代行だったウィロート・パオイン党首代行(退役警察中将、84)を党首に選出。プムタムが幹事長。
プア・タイ党の首相候補の1人と見られる有力女性政治家のスダーラット・ケユラパン(57)は党役員に選ばれず、選挙候補者選定委員会委員と選挙対策委員会委員長に就いた。
「プア・タイ党は事実上国外亡命中のタクシンの影響下にある。」という理由で解党処分を受ける可能性がある。今回の人選について政界観測筋は、「プア・タイ党は解党処分で党役員が政治活動禁止となることを回避するため、これまで重鎮を党の重役に起用してこなかった。このため、スダーラットらエース級の人材は党役員から外れたと見られる。こうした見方を裏付けるように、スダーラットは党役員選出後の記念撮影で、ウィロート党首と並んで中央に立った。
タクシン派は過去に解党処分を受け、党役員が公民権5年停止となって政治の表舞台から姿を消したことがある。このため、タクシン派のプア・タイ党は党にとり重要な人物を役員に選んでおらず、プア・タイ党の顔だったインラック前首相も党首には就任していなかった。
党大会会場でスダーラットの隣に座ったのは気さくな態度で人気が高いチャチャート・シティパン元運輸相(52)、その隣には軍事政権批判の急先鋒であるチャトゥロン・チャイセーン元副首相(62)が座った。2人はいずれも党役員に選ばれていない。
タクシン派の政党は過去に2回、裁判所により解党処分を受けている。
初代のタイ・ラック・タイ党はタクシン政権(2001~2006年)の全盛期だった2005年02月の議会下院総選挙で1889万票を獲得、721万票だったライバルの民主党を圧倒し、議席の75%を抑えた。しかし、2006年の軍事クーデターで反タクシン派が政権を奪取すると、翌年、解党処分を受けた。
2代目のパラン・プラチャーチョン党は軍政が2007年12月に実施した民政移管のための下院選で逆風の中1234万票を獲得、1215万票だった民主党を僅差で破り、政権に復帰した。しかし、2008年に反タクシン派デモ隊がクルングテープの首相府、スワンナプーム空港などを占拠。軍が治安維持のための出動を事実上拒否する中、最高裁判所が選挙違反でパラン・プラチャーチョン党の解党を命じ、政権が崩壊。
その後、民主党を中心とする連立政権が発足したが、2010年には今度はタクシン派デモ隊がクルングテープ都心を占拠。軍が出動して強制鎮圧し、90人以上が死亡、約2000人が負傷し、都心のショッピングセンターが焼け落ちた。
事件から1年後の2011年07月の下院選では3代目のプア・タイ党が1575万票を獲得、1144万票の民主党を下し、再び政権に復帰した。タクシンの妹のインラックが首相に就いたが、2013年10月から民主党が主導する大規模な反政府デモが発生。デモ隊がクルングテープの主要交差点を長期占拠するなど混乱が続く中、2014年05月、軍事クーデターが起き、反タクシン派の軍政が発足。汚職裁判で有罪判決を受ける見通しとなったインラックは2017年、判決直前に国外に逃亡。 
タクシン派政党は2001年以来、4度の下院総選挙でいずれも第1党になったが、軍政が2019年前半に実施するとしている次期下院(定数500)選では、圧倒的勝利を収めない限り、政権復帰は困難な情勢。軍政が2017年に施行した新憲法では、事実上軍政が議員を選任する議会上院(定数250)も首相指名選挙に参加する。このため、軍政は下院で130~140議席の支持を得れば政権を維持できる。事実上の軍政が続くことを阻止するには、プア・タイ党と民主党が手を組む以外に方法はないと見られるが、両党は犬猿の仲の上、民主党の支持層は軍政と重なる部分が多く、軍政への協力を支持する声も強い。
タクシン派政党は地方や低所得者層受けを狙ったばらまき政策で知られ、東北部と北部の住民、クルングテープの中低所得者層の支持が厚い。一方の反タクシン派は伝統的な階級・民族秩序を重視し、特権階級、南部住民とクルングテープの中間層から支持を受ける。数が多いタクシン派が選挙で勝ち続ける一方、反タクシン派は軍と司法、デモを駆使してタクシン派政権をひっくり返し、事態が収拾する目処は立っていない。
10月29日(月)現在のタイの軍政などを批判したとされるラップソングのミュージックビデオがネット上に投稿され、警察が何らかの法的措置を執るとの見方が出ているが、シーワラ警察庁副長官はこのほど、「歌詞にはタイという文言が含まれていない。」と述べ、「タイ政府を非難したものとも言い切れず、現段階では違法かどうか判断するのは難しい。」との見方を示した。
だが一方で、扇動の容疑で歌手らが捕らえられる可能性は否定しなかった。YouTubeに投稿されたこのミュージックビデオは閲覧者数が10月29日夜の時点で2000万人を上回っている。
10月31日(水)反政府系民主主義グループが、明日(31日)にチャトゥチャック区にあるタイラット新聞社近くの歩道橋に集結し献花するとの報道があることから、在タイ日本大使館が注意するよう呼びかけた。
このグループは同日午後05時から民主記念塔付近で政治集会を実施すると見られており、不測の事態が起きる可能性がある。
ソムキット副首相(経済担当)は、クルングテープで開かれたグローバルCEO会議の席上、「次の首相はプラユット現首相と顔が似た人物。」と述べた。謎めいたコメントだが、副首相は、「(矛盾は)気にしないでほしい。私の直感では次期首相は現首相に顔が似た人物。」と付け加えた。「顔が似た人物」がプラユット首相本人を指しているとの見る向きは少なくない。
プラユットは総選挙後の身の振り方について「政治には関わらない。」とは明言しておらず、親軍部の政党の支持でプラユットが新首相に選ばれるケースは否定できずにいる。
11月02日(金)総選挙の投票日については、「大学の入学試験日と重なるため受験者が投票できなくなる。」といった問題を指摘する声が出ているが、憲法起草委員会(CDC)の広報担当であるチャチャイ委員はこのほど、「総選挙の投票日を決めるのは中央選挙管理委員会。」と説明。
「投票日は政府が決める。」との意見もあったが、チャチャイ委員によれば、現行の新憲法では、「中央選管が総選挙の投票日を官報で発表した後、政府が総選挙実施に国王の承認を求める。」と規定されている。これまでの憲法では、「政府が総選挙の投票日を決める。」とされていた。
なお、今のところ、政府は来年02月24日を総選挙の投票日とする意向であり、この日程で総選挙が行われる可能性が高い。
11月06日(火)タクシンと実妹のインラックの写真を使った来年のカレンダーが一部地域で配布されていることから、タイ警察が配布した者を突き止めようとしている。
カレンダーはクルングテープ、北部、東北部で配られており、その数は200万部を超えると見られている。タクシンもインラックも有罪判決が下る前に国外に逃亡して現在タイにいないため、シーワラ警察庁副長官によれば、「カレンダーの印刷や配布に2人が関与しているとは考えにくい。」
なお、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)によれば、「カレンダーに写真が使われた2人はともに有罪判決を受けた者だが、カレンダー配布は政治的な目的でなければ法律には抵触しない。」
11月08日(木)ウィサヌ副首相は、総選挙関連のスケジュールに関する説明の中で、「12月11日に下院議員選挙法が施行された後、政治活動が解禁される。」との見通しを示した。下院議員選挙法は09月、官報で「90日後に施行される。」と発表されており、12月11日がその日に当たる。
ウィサヌ副首相によれば、「下院議員選挙法施行後に現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が政治活動禁止令を解除する見通し。」、「下院議員選挙法施行から150日以内、すなわち来年05月09日までに総選挙が実施されることになるが、中央選管を含む関係政府機関と政府の話し合いでは、来年02月24日に総選挙を実施するのが最適との点で意見が一致した。」
11月10日(土)タイで最も古い政党で2大政党の1つであるタイ民主党が、党員による党首選を行い、アピシット・ウェーチャチーワ党首(元首相、54)が再選。
得票数はアピシット党首が6万7505票、軍事政権支持派が推すワロン・デーキウィクロム元下院議員5万7689票、アロンコン・ポラブット前副党首2285票。
アピシット党首は2005年の党首就任以来これまでほぼ無風で党首の座を守ってきた。今回、比較的知名度の低いワロンと予想外の接戦となったことで、アピシット党首を支持する党内の中道穏健派の退潮と、ステープ元民主党幹事長が影響力を振るう党内の軍政支持・反タクシン派の伸長が明らかになった形。
アピシット党首は2019年の実施が予定されている議会下院(定数500)総選挙後も軍政のプラユット首相(元陸軍司令官、64)が続投することについて、民主主義の観点から好ましくない。」という考えを示唆。しかし、今回の党首選で党内の軍政支持が強いことが明確になり、方針転換を迫られる可能性がある。
軍政が作成し2017年に施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は実質的に軍政が選任する。軍政は上院を通じて国会の3分の1を自動的に抑えるため、政権維持には下院選で130~140議席を確保すればよい。すでに、民主党や2大政党のひとつでタクシン派のプア・タイ党からの下院議員経験者の引き抜き、地方有力者との関係強化などで一定の議席数を確保したと見られ、民主党が軍政支持に回れば、勝利はほぼ確定する。
11月13日(火)現軍政に終止符を打ち民政復帰を実現するための総選挙は来年02月24日実施の見通しとなっているが、ウィサヌ副首相は、「総選挙が延期される理由はなく、予定通りに実施される。」と明言。
これは、法律では選挙管理委員会が改めて選挙区の区割りを行うことになっているが、「作業が遅れており、選挙日程に狂いが出る恐れがある。」との指摘に答えたコメント。ウィサヌ副首相によれば、「区割りの遅れが投票日の変更に繋がることはなく、総選挙が延期になるとしても、それは他の理由。」と述べた。
なお、新憲法下では、中央選挙管理委員会が総選挙の日程を決める権限を持つ。
11月14日(水)「タクシン派のプア・タイ党の幹部がタクシンに会うためにシンガポールを訪れる。」と報じられていることから、中央選挙管理委員会のチャルンウィット事務局長は、「中央選管では状況を注視している。」と述べた。
プア・タイ党に対しては「党の役職に就いていないタクシンに牛耳られている。」との見方があることから、中央選管は「『党が部外者の影響下にあってはならない。』と規定している政党法に違反している疑いがある。」として以前から調査を行っている。
一方、プア・タイ党は、「党のメンバーがタクシンに会いに行くのは個人の行為であり、タクシンは党の運営には一切関与していない」と主張。
11月15日(木)中央選挙管理委員会では選挙区の区割りを進めているが、ウィサヌ副首相は、「下院議員選挙に関する基本法が施行される12月12日までに区割り作業が完了する。」との見通し。
「現軍政が総選挙の遅延を目的として区割り作業を遅らせるよう中央選挙管理委員会に働きかけている。」との噂が広まっているが、ウィサヌ副首相は、「事実ではない。」と噂の内容を否定。「立候補者選定のために十分な時間を与えるため、選挙区の区割り作業は下院議員選挙法が施行されるまでに終わってなければならない。」と説明。
11月18日(日)タクシン政権(2001~2006年)で副首相、労相などを務めたソムサック・テープスティン、同政権で副首相、工業相などを務めたスリヤ・チュンルンルアンキットが率いる元下院議員ら約60人が、タイ軍事政権派の新党、パラン・プラチャーラット党に入党
ソムサック、スリヤの両氏は自派閥の政治家や2大政党であるタクシン派のプア・タイ党と反タクシン派のタイ民主党などから引き抜いた元議員らを引き連れ、パラン・プラチャーラット党に合流。タクシン政権で副首相、財務相などを務め、現在、反タクシン派の軍政で経済担当の副首相を務めるソムキッド・チャトゥシーピタックの意向を受けたものと見られる。
パラン・プラチャーラット党の幹事長を務めるソンティラット商務相は党勢拡張を受け、「来年02月の実施が予想される民政移管のための議会下院(定数500)総選挙で350議席以上獲得できる。」という見通しを示した。ただ、今回パラン・プラチャーラット党に入党した顔ぶれ、人数はタイでの当初の報道を下回った。
軍政は下院選後も政権を担う構えで、既存政党からの有力政治家の引き抜き、事実上の地方遊説である地方閣議の開催、地方への予算投下などで地盤固めを急いでいる。軍政が作成し昨年施行した新憲法の規定で、議会上院(定数250)の議員は軍政が事実上選任するため、軍政は下院で130~140議席を確保すれば政権を維持できる。
パラン・プラチャーラット党は軍政のこうした構想の中核を担うと見られ、ソムキット副首相の側近であるウッタマ工業相が党首に就くなど、現職の閣僚4人が参加。
11月20日(火)プラユット首相は、「政党が私を首相候補に選びたいのであれば、直接会いにきてほしい。」と述べた。これは、パラン・プラチャーラット党(PPP)が先にプラユット首相を首相候補とする意向を示したことによるもの。
総選挙は今のところ来年02月24日に行われる見通しだが、総選挙後の首相選びでは、まず各政党がそれぞれ決めた首相候補3人の中から選出されることになっている。
首相候補についてプラユット首相は、「まだいずれの政党からも申し出がない。この時点でマスコミに首相候補について話すのは意味がない。」
11月21日(水)タイ政府は先に現金提供を含む、低所得者らを支援する措置に総額869億Bを投入することを決めたが、これに対し、政治家からは、「現政権が批判してきた大衆迎合的な政策だ。」といった批判が出ている。
タイで最も歴史ある政党、民主党のアピシット党首は、「今回の措置は大衆迎合政策に他ならない。現政権は福利厚生に力を入れていたはずだが、大衆迎合路線に変更したのか。」と批判。また、プア・タイ党のラダワン広報担当も、「政府は総選挙前に現金を配るのが可能かと中央選管に問い合わせたのか。」と述べ、「選挙違反に該当する可能性がある。」との見方を示した。
11月22日(木)中央選挙管理委員会が現在、総選挙選挙区の区割り作業を進めているが、中央選管のイティポン委員長はこのほど、「政府は区割り作業に干渉していない。」と明言。「政府が政府支持の親軍部の政党に有利な区割りを選管にさせようとしている。」との見方を否定。
1人当たり500Bを配ることなどを含む社会的弱者支援策に政府が総額869億Bを投入すると決めたことに一部で「総選挙に向けたばらまき」といった批判が出ている。このため、中央選挙管理委員会のイティポン委員長は、支援策が選挙運動に該当するかどうかを調査する方針を明らかに。
総選挙は今のところ来年02月24日に投票が行われる見通しだが、選管はまだ正式に投票日を発表しておらず、現時点で選挙運動をすることは選挙違反。
総選挙が近づくにつれて親軍部の政党が、現軍政を主導するプラユット首相を次期首相に就かせることを狙ったと見られる動きを活発化させているが、今回の支援策については、「親軍部の政党への支持拡大を図ったもの。」といった指摘も出ている。
11月23日(金)2014年05月の軍事クーデターで軍部主導の政権が誕生して以来長期にわたり厳しく制限されてきた政治活動が先に一部解禁されたが、プラユット首相は、「禁止令全面解除について12月07日に政党関係者と協議する。」と発表。
ただ、クルングテープ都内ウィパワディランシット通のアーミークラブで行われる協議にどの政党が参加するかは不明で、いつ全面解除となるかについても首相は言及していない。
11月24日(土)2011年07月の総選挙で過半数の議席を獲得して勝利し、その人気の高さを見せつけたタクシン派プア・タイ党だが、ここに来て主要メンバーの離脱が相次いでいる。
この中で、プア・タイ党主導のインラック政権(2011年08月~2014年05月)で商業相を務めたブンソンの息子、デーチャナタウット(28)が、プア・タイ党から親軍部とされる新党パラン・プラチャーラット党(PPRP)に移籍したことを表明。プア・タイ党から離脱した理由について「党への信頼の欠如。」と説明。
デーチャナタウットは09月にプア・タイ党に入党したばかりで、プア・タイ党から総選挙に出馬すると見込まれていた。だが、「現在服役中のブンソンについて、インラックの元顧問弁護士が不適切な発言をしていることを知り、党を信頼することができなくなり、離党することに決めた。」
11月26日(月)政界筋によれば、来年2月実施とみられている総選挙が近づいていることから各政党が総選挙に向けた動きを活発化させているが、関係筋によれば、タクシン派プア・タイ党はスダラット♀、チャルム元副首相、タクシンの長男であるパントンテーの3人を前面に出して選挙戦を戦う方針。
パントンテーは11月24日に入党の手続きをしたばかり。同筋は、「パントンテーが選挙戦に加わることは、タクシンがプア・タイ党とともにあることを明確に示す戦略。」と説明。
11月27日(火)親軍部政党である「パラン・プラチャーラット党(PPRP)がプラユット首相を次期首相に推している。」と報じられているなか、民主党とタイ・ラクサチャート党は、「PPRPと協力し合うことはない。」と明言。
アピシット民主党党首によれば、「民主党は親軍部のPPRPにも反軍部のタクシン派プア・タイ党とも連携せず、第3の選択肢となることを目指す。」
民主党については、「親軍部か反軍部のどちらにつくかを検討中。」との見方が一部で出ているが、アピシット党首によれば、「そのような事実はない。」
11月30日(金)中央選挙管理委員会が区割りを行った選挙区が先に官報で発表され、一部政治家から「区割りはフェアでない」といった批判が出ているが、プラユット首相は、「彼ら(区割りを不当としている政治家)の命運は区割りではなく有権者の判断にかかっている。」と述べ、「区割りを批判するのは見当違い。」と反論。
プラユット首相によれば、「区割りは人口の増減などに対応するために必要。今回の区割りに批判的な政治家はただ単に古い慣習に固執して新しいものを受け入れられないだけ。」
タイ政府は来年の支那正月「春節」に合わせて付加価値税(VAT)を払い戻すことにしているが、これに一部で批判が出ているため、中央選挙管理委員会はこのほど、総選挙で親軍部(現政権支持)の政党が選挙戦を有利に戦えるようにすることを目的としたものかどうかを調査する。
来年の春節は02月05日で、総選挙は今のところ02月24日投票の見通し。財務省の計画では、来年02月01日~15日にかけて景気刺激策の一環として買物額2万Bを上限に買物時に付加価値税を払い戻すことになっている。
12月03日(月)在タイ日本大使館は、「クルングテープ都内ウィパワディー通の陸軍クラブ(Royal Thai Army Club)前で07日、反政府系の集会が予定されている。」として、注意喚起。
インターネット上の情報によると、反政府系民主主義グループが07日午前10時ごろ、陸軍クラブ前に集合し、選挙の実施を要求する。
12月05日(水)民主党に対し、現政権が重要な閣僚ポストを与える代わりに総選挙後に誕生する連立政権に加わるよう打診したとの情報が一部で出ているが、民主党のアピシット党首はこのほど、「そのような打診はない。」と述べ、情報が虚偽だと指摘した。情報は親軍部のパラン・プラチャーラット党(PPRP)の関係者が流したものとの見方も出ている。総選挙ではPPRP、民主党、プア・タイ党の争いになるとの見方が有力。
12月06日(木)「12月07日に行われる軍政と政党による総選挙に向けた対話にプア・タイ党と民主党の主要2党が欠席する。」と報じられていることについて、プラユット首相は、「ボクシングの試合でボクサーがレフリーによるルール説明を聞かないようなもの。これでは試合を取りやめにするしかない。」と述べ、不快感を露わに。
また2党の不参加について、プラウィット副首相兼国防相(治安担当)は、「対話に臨まない理由は見当たらない。」、「彼ら(2党)は騒ぎ立てたいのだろうが、影響はない。」と批判的な見方を示した。
なお、民主党の広報担当者によれば、「民主党が対話に参加しないのは、政治活動禁止令が部分解除されただけでいまだに政党が政治的な意見を表明することが許されていないこと、プラユット首相が不適切な姿勢をとり国民への敬意を欠いていることなどが理由。」
現軍政および軍部を支持する姿勢を示しているパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党(PPRP)がプラユット首相を首相候補に選び、総選挙後も続投する可能性が出ているが、パラン・プラチャーラット党幹部で選挙対策責任者であるソムサックは、「パラン・プラチャーラット党が総選挙で少なくとも選挙区120議席と比例代表30議席の合計150議席以上を獲得する。」との見通しを示した。「これは、現政権の政策について国民の理解が深まり、政策の継続を約束しているPPRPを支持する意見が拡大していることが最大の要因。」という。
なお、「パラン・プラチャーラット党は500議席の下院で安定多数を確保するため、現在、連立先候補となる政党と水面下で接触している。」との憶測も流れている。
12月07日(金)在タイ日本大使館は、「10日午後06~10時頃、クルングテープ都内で反政府集会が予定されている。」と注意喚起。「現時点で最終的な開催場所は不明だが、民主記念塔前で行われるとの情報がある。」
国家平和秩序評議会(NCPO)と政党関係者との対話でプラユット首相が「投票用紙には候補者の氏名と番号だけを印刷し、政党名とロゴを印刷しない。」との提案をしたことに対し、未来前進党ピヤブット幹事長は「有権者を混乱させるだけ。」などと批判。
親軍部で現政権を支持している「パラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)にはタクシン派プア・タイ党の複数の幹部らが移籍した。」と報じられているが、ピヤブット幹事長によれば、「PPRPには知名度のある政治家が多いことから、投票用紙に候補者の氏名と番号だけが記されていれば、有権者が既知の政治家を選ぶ可能性が高く、PPRPが有利となることが考えられる。」
政府は、「下院議員選挙に関する法律が施行される11日に政治活動禁止令を解除する。」と発表。プラユット政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)と政党代表との対話で来年02月24日投票も確認された。対話には、政府、立法議会(NLA)、中央選挙管理委員会、憲法起草委員会の代表も出席。
ただ、総選挙の日程は来年01月02日に官報で発表される予定であり、政党はこの発表をもって総選挙に向けた活動を開始できる。
12月09日(日)中央選挙管理委員会のチャルンウィット事務局長は、「投票用紙に何を印刷するかなどについては関係者全員の意見を聞いて検討を行ってから決定する。」と説明。関係筋は、「この発言は批判を和らげることが狙い。」
12月11日(火)在タイ日本大使館によると、「反政府系グループが12日朝10時頃、クルングテープ都内チェーンワタナにあるタイ政府合同庁舎B棟第1ゲートの選挙管理委員会前で集会を開催する。」との情報があることから、注意喚起。
2014年05月の軍事クーデターに伴い政治活動が厳しく制限され5人以上の集会が禁止されていたが、先に限定的に政治活動一部が許可されたのに続き、政治活動が全面的に解禁されることになった。政治家の海外渡航禁止などの措置を解除。
だが、政党は現時点での選挙運動開始が合法であるとの確信が持てないことから慎重な姿勢をとっており、政党が本格的な選挙運動を開始するのは来年01月02日に総選挙の実施期日が官報で発表されたあとになると見られている。
ウィサヌ副首相は、「政党はあらゆる形態の政治活動が可能になった。」と述べ、選挙運動開始に肯定的な意見を示したが、中央選挙管理委員会のイティポン委員長によれば、「まず今回の政治活動解禁の命令の内容を詳細に検討してから、現時点での政党による選挙運動が可能か否かを判断する必要がある。」という。
なお、主要政党の民主党の広報担当タナによれば、「選挙運動が可能になるのは01月02日に総選挙実施が官報で発表されてからと理解しているが、実質的な選挙運動が始まるのは01月14~18日の立候補届が完了してからと考えている。」
タイ選挙委員会は、「2019年02月24日に議会下院(定数500)総選挙を実施する。」と発表。
2014年の軍事クーデターでタクシン派の民選政権を倒して発足した軍政は政治活動を全面的に禁止してきた。しかし、欧米諸国などに約束した下院総選挙が近づいたため、党指導部を選出する党大会の開催などを今年09月に解禁した。今回の措置で、政治活動はほぼ全面的に解禁され、各党は選挙戦に突入する。
ただ、軍政が作成し昨年施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、下院選後も完全な民政移管には至らない。それどころか、軍政は上院というげたを履いた上で、ウッタマ工業相が党首を務めるなど現職4閣僚が参加する自派新党パラン・プラチャーラット党を通じて下院で130~140議席以上を獲得し、政権を維持する構えだ。パラン・プラチャーラット党はタクシン派政党や地方の有力政治閥などから有力政治家多数が移籍するなど党勢を強めている。軍政はまた、事実上の地方遊説である地方閣議の開催、地方への予算投下などを頻繁に実施し、地盤固めに余念がない。
12月13日(木)軍政が打ち出した低所得者支援策について、「総選挙を前に親軍部のパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党への支持を集めるためのばら蒔き。」との批判が出ているが、中央選挙管理委員会はこのほど、「正当な政策であり、違法か否かを選管が調査する必要はない。」との判断を示した。
支援策の一環として低所得者と認定されたことを示すカード保有者に1人500Bを支給していた。
12月17日(月)来年02月24日に予定されている総選挙について国際機関などによる監視が必要との声が高まる中、プラユット首相は、中央選挙管理委員会が国際機関の選挙オブザーバーを受け入れるか否かを決める予定と明らかに。
プラユット首相は、「(オブザーバーに関して)検討するのは中央選管の仕事で、透明性を確保するのが我々の仕事。信頼性を確保しながら総選挙が実施できるよう皆で協力する必要がある。」とも述べている。
なお、この発言について「外国機関がオブザーバー派遣を許すという意味か。」との質問が出たものの、プラユット首相は返答しなかった。
12月18日(火)プラユット首相は、「タクシンの妹、ヤオワパーが米担保融資制度に絡んだ容疑で罪に問われるのを恐れタイ国内のどこかに隠れている。」との見方を示した。
米担保融資制度はインラック政権が導入した米農家支援策だが、巨額の損失を出したことからヤオワパーの妹であるインラック前首相が罪に問われることになった。
ヤオワパーはタクシン派プア・タイ党の重鎮の1人だが、側近によれば、「数ヶ月前に政治の表舞台から姿を消してから連絡を取り合っていない。」インラック政権下では虚偽の政府間取引も問題となっており、「ヤオワパーも罪に問われる可能性もある。」と一部で指摘されていた。「すでに国外逃亡した。」との見方も出ている。
12月20日(木)在タイ日本大使館は、「クルングテープの高架鉄道BTSチッロム駅近くのショッピングセンター、アマリンプラザのマクドナルド付近で23日正午頃反政府系集会が開催されるとの情報がある。」として注意を呼びかけた。
中央選挙管理委員会は来年02月の総選挙で候補者1人が使用することのできる選挙運動費用について正式な決定を下していないが、関係筋によれば、候補1人当たり200万Bまでとされる見通し。また、政党が選挙運動に投入する費用についても、候補者の人数に応じて上限が設定される見通し。
12月21日(金)総選挙まで2ヶ月あまりとなったが、主要政党のプア・タイ党と民主党は、経済政策に重点を置いて選挙運動を展開する予定。
現政権の経済政策には大衆迎合的といった批判の声があがっているが、民主党のアピシット党首は、「タイ国民全員が豊かになる経済政策の立案、実施に力を入れる。」と訴えた。
プア・タイ党の経済政策キャンペーンチームの責任者を任されたチャチャート元運輸相も、「貧富の差が拡大しており、改善する必要がある。」と強調。
12月23日(日)プラウィット副首相兼国防相が複数回にわたって公の場で高級腕時計をつけているのが確認されたことで、今年初め、これらの腕時計を資産として報告していなかった疑惑が浮上。だが、プラウィットが現政権のナンバー2であるためか、捜査当局に目立った動きが見られないままとなっていたが、国家汚職制圧委員会(NACC)のウォラウィット事務局長は、「数日中にNACCが調査結果を検討し、最終的な判断を示す予定。」と明らかに。
また、この検討には、プラウィットの側近だったワチャラポンNACC議長は参加しない。
元中央選挙管理委員会のメンバーで、現在民主党に所属するソムチャイが、親軍部のパラン・プラチャーラット党(国民国家の力党)が先に行った政治資金集めのイベントについて調査し、7日以内に何らかの措置を執るよう中央選管に求めるとともに、「中央選管が行動を起こさなかった場合、職務怠慢で中央選管を訴える。」と明言。
法律では、政治資金集めのパーティーなどについて30日以内に当局に報告することが義務づけられているが、同氏によれば、「違法性が疑われる事案については中央選管が機動的に対応することを国民が望んでいる。」
12月24日(月)在タイ日本大使館は、「反政府グループが27日午後05時頃にクルングテープ都内ラチャダムヌンクラン通の『10月14日事件記念塔』で集会を計画しているという情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意を呼びかけた。「10月14日事件記念塔」は王宮前広場と民主記念塔の間にある。
現政権のもとで副首相を務めたことのあるプリディヤトンがプラユット首相を批判するコメントを発表したことについて、プラウィット副首相兼国防相は、「コメントの内容は事実無根であり、私恨による中傷。」と反論。
プリディヤトンは、「プラユット首相が総選挙後に首相に返り咲き石油関連の権限を一手に掌握しようと目論んでいる。」と指摘。だが、プラウィット副首相によれば、「全く根拠のない憶測。」
元タイ中央銀行総裁のプリディヤトンは2015年08月に副首相を辞し、代わりにソムキットが経済担当の副首相として入閣したが、この交代は円満なものではなく、プリディヤトンは顧問ポストを打診されたが、これを拒否。
親軍部で現政権を支持しているパラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)が政党関連法に違反したとされる2事件について、中央選挙管理委員会が現在、調査を急いでいる。
最初の事件はパラン・プラチャーラット党がノンタブリー県で行った政治資金集めのパーティー。第2の事件はパラン・プラチャーラット党が東北部ヤソートン県ルンノックター郡で低所得者であることを示す福祉カードを提供することを条件に高齢者にパラン・プラチャーラット党党員になるための申し込みをさせたというもの。同カードがあると様々なサービスを受けられる。
中央選管は2ヶ月以内に調査を終える予定。
12月25日(火)「プラユット首相が親軍部の政党の首相候補になるのではないか。」との見方は以前から出ているが、プラユット首相は、「私はまだどの政党に加わるか決めていない。」と述べ、政党に対して選挙運動で自分の名前を使わないよう警告。
次期首相は総選挙後に各政党の首相候補の中から選ぶことになっているが、プラユット首相によれば、「複数の政党がすでにプラユットが政党の首相候補になるような話をしている。」政党は首相候補として最大3人を事前に選ぶことができる。
12月27日(木)プラユット首相(元陸軍司令官、64)らタイ軍事政権幹部は、プレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官、98)のクルングテープ都内の自宅を訪れ、年末年始の祝賀の挨拶。
プレム議長は、プラユット首相一行を、付き添いの兵士の腕を持ち立って出迎え、短いスピーチを行った。プラユット首相の国家運営を称賛する一方、「異なる意見を持つ人々に対しても、敵対するのではなく、友人として受け入れるべき。」と述べ、反対派に対する敵対的な言動が目立つプラユット首相をやんわりと諭した。
軍事政権のプラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、73)が資産報告書に記載がない1個数十万~数百万Bの超高級腕時計を取っ替え引っ替え着用していた問題で、タイ汚職取締委員会は、「汚職を証明する十分な証拠がない。」として、調査の打ち切りを決定。
プラウィット副首相の腕時計好きは2017年末に発覚。日射しを遮ろうとした腕にきらめく超高級腕時計に気づいたネットユーザーが過去に遡ってプラウィット副首相の写真を調べ、少なくとも22本の存在を確認した。これらの腕時計は資産報告書に記載されておらず、プラウィット副首相は「知人から借りたもので、すでに返却した。」などとと釈明した。
タイのネットユーザーはこの釈明に納得せず、メディアも連日報道。批判に押される形で、汚職取締委が調査に乗り出したが、同委のトップはプラウィット副首相の元部下で、公正な調査が行われるかどうか疑問視されていた。同委は調査結果の発表延期を繰り返し、今月26日にも、委員の体調不良という理由で発表を延期。
汚職取締委の判断について、大手タイ字紙デーリーニュースが自社ウェブサイトで読者の意見を募ったところ、「同意できない」が95%に上った。投票者数は27日午後7時時点で1867人。デーリーニューや他のニュースサイトのコメント欄には「汚職取締委を解散すべき」といった批判が多数寄せられている。「赤い水牛ども(タクシン支持者)には受け入れ難いだろう。」などと軍政と対立するタクシン派を揶揄するコメントも見られた。

* プラウィット・ウォンスワン
1945年生。陸軍士官学校17期卒。シリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団司令官(別名、ブラパーパヤック=東の虎)、陸軍第1管区司令官を経て、2004~2005年陸軍司令官。王党派、反タクシン派のアピシット政権(2008~2011年)で国防相。元部下のプラユット陸軍司令官(当時)による2014年05月のクーデターを受け、副首相兼国防相に就任。プラユット首相、アヌポン内相(元陸軍司令官)らブラパーパヤック閥の領袖で、プラユット政権の「影の首相」とみる向きもある。
12月29日(土)現政権のナンバー2であるプラウィット副首相兼国防相の高級腕時計に関する虚偽資産報告疑惑について先に国家汚職制圧委員会(NACC)が委員5人のうち3人の賛成で「嫌疑不十分」との判断を示したことを受けて、この判断を不満とする活動家や政治家がNACC委員5人全員の罷免要求キャンペーンを展開する動きを見せている。
これら活動家などによれば、「NACCはプラウィット副首相が高級腕時計を資産に含めずに虚偽の資産報告をしたことを裏付ける証拠を見つける努力を怠ったもので、これは不法行為に該当する可能性がある。このため、2万人の署名を集めて立法議会(NLA)に提出し、NACC委員罷免に向けた最高裁判所の審議を求めることをNLAに検討させる必要がある。」
プラウィット副首相の高級時計絡みの虚偽資産報告疑惑は今年初めに浮上してきたものだが、NACCは長期にわたって目立った動きを見せず、批判の拡大を避けようとしたかのように年の瀬の慌ただしいこの時期になってようやく最終判断を示すことになった。
来年02月24日投票との総選挙の日程が間もなく正式発表される見通しだが、ここに来て「技術的な問題のため投票日は約1ヶ月後になりそうだ。」との見方が出ている。
これに対し、プティポン政府報道官はこのほど、「政府は02月24日投票の方針だ。」と明言。「投票日が変更される可能性はないと。」の見解を示した。
また、総選挙の投票日は中央選挙管理委員会に決定の権限があることから、プティポン報道官は「仮に投票日が変更になるなら、中央選管が理由を説明しなければならない。」と付け加えた。
2019年01月01日(火)タクシンを実質的上党首とするプア・タイ党が、このままでは総選挙で勝利して政権を担うことが困難と判断してか、長年のライバルである「反タクシン派の民主党に連立政権を組むことを呼びかけた。」と報じられたが、民主党のアピシット党首は、「プア・タイ党と民主党が連立政権を構えるのはすべての政党の同意があった場合に限られる。(現時点で)プア・タイ党の申し出を受け入れる理由は何もない。」と述べ、プア・タイ党と手を組む考えのないことを明らかに。
首相選びは、各政党がそれぞれ3人を上限とする首相候補を選挙前に公表。選挙後、国会議員(下院議員500人、上院議員250人)の投票により、これら候補の中から首相を決めるという方法で行われる。
「民主党に対するプア・タイ党の申し入れは、この首相選びの投票において民主党議員がプア・タイ党の首相候補を推し、その代わりに民主党のアピシット党首に下院議長ポスト、民主党幹部数人に主要閣僚ポストを与えるというものだった。」という。
新たな下院選挙法では、大型政党が大勝しにくい選挙制度を導入しているため、主要政党は今回の総選挙で議席数を減らすことが確実視されている。
01月02日(水)ワチラロンコン国王(66)の戴冠式と関連の式典が05月04~06日に行われる。戴冠式は04日、王族、枢密顧問官、閣僚らが出席して公式に王冠を受けて即位されたことを内外に広く示すための戴冠式。05日はクルングテープ都内のパレード、王宮で生活することに因んだ式典を予定。06日は王宮での参賀が予定され、王宮内のプッタイサワンプラサート宮殿のバルコニーから広場に集まった国民の前に姿を現す。
ワチラロンコン国王は2016年10月13日、父であるプミポン前国王の死去を受け即位。即位宣誓は同年12月01日に行われた。
01月03日(木)民政移管のための下院総選挙はこれまで02月24日に投票が行われる見通しだったが、ウィサヌ副首相は01月03日、「戴冠式および関連行事の期間が総選挙準備期間と重なることから、02月24日の投票実施は難しく、延期される可能性がある。」との見方を示した。
戴冠式の式典は05月04日から06日までの3日間であるが、その前後15日間は関連行事が目白押し。04月中旬から05月中旬にかけて官公庁は戴冠式および関連行事の準備・運営で忙殺されることになる。
一方、新憲法の規定により中央選挙管理委員会は投票日から60日以内に選挙結果を公式に発表しなければならない。仮に02月24日に投票を行った場合、04月24日が公式発表のタイムリミットということになり、さらにはその後15日以内に最初の国会を開催しなければならないため、戴冠式および関連行事の期間と完全に重なってしまう。そして、04月中旬にはタイ旧正月の長期休暇も入る。「王室関連行事の日程、総選挙後の日程を変更することはできない。そうなると、総選挙の投票日を変更せざるを得ない」と副首相は説明する。投票日を決める権限は中央選管にあるが、今回は戴冠式の日程も絡むことから、政府と中央選管が協議の上、投票日日程を最終決定する模様。
昨年12月11日に施行された下院議員選挙法には、同法施行から150日内に総選挙を実施することが規定されているため、タイムリミットは05月09日。ただ、最後の日曜日は05月05日となるため、投票日を戴冠式後とすることは不可能。そのため、中央選管筋は03月24日の総選挙実施を有力視する。
ウィサヌ副首相はこれまで「総選挙の日程が01月02日に官報で正式発表される見通しだ。」と述べていた。しかし、02日に発表がなかったことから、総選挙延期の憶測が流れたが、中央選管は同日、「総選挙日程が変更されることはない。」と強調。
01月04日(金)反政府系グループが、今月06日に戦勝記念塔近くで議会下院総選挙の延期に反対する集会を計画していることから、在タイ日本大使館が注意するよう呼びかけている。
在タイ日本使館によると、同日午後04時頃に総選挙実施が延期される見通しとなったことに反対を表明する政治集会となるそうだ。
在留邦人や旅行者に対して、この政治集会に可能な限り近づかないよう呼びかけている。
01月05日(土)事実上国外亡命中のタクシン・チナワットと妹のインラック・チナワットが、父方の曽祖父の出身地である支那広州省汕頭市を訪れ、現地に住む縁戚の歓待を受けた。
タクシン兄妹の曽祖父は汕頭からタイ東部チャンタブリー県を経てタイ北部チエンマイ県に移民した「丘」姓の客家系華僑。祖父はタイシルクなどの事業で財をなし、12人の子どもを設けた。
タクシン兄妹の父ルートは兄弟姉妹らとともに家業であるタイシルク事業の経営に携わったほか、農園、映画館などの事業を展開。チエンマイ県議、下院議員も務めた。チエンマイの名家出身の妻を娶り、タクシン、インラックら10人の子どもを設けた。
05月04日に戴冠式が挙行され、翌05日と06日には関連行事や諸手続きが執り行なわれることから、02月24日投票は日程的に困難との見方が強まっている。
このため、中央選挙管理委員会は03月10日投票を提案したが、元中央選管委員のソムチャイは、「03月10日投票ならば法的問題が起きることはない。」と述べ、中央選管案を支持する姿勢を示した。
ソムチャイは現在民主党に所属しており、民主党から総選挙に出馬する予定。ソムチャイによれば、「02月24日投票の場合、60日以内すなわち04月25日までに投票結果の95%以上を発表する必要があるが、戴冠式などの準備が04月15日からスタートするため問題の起きる可能性が高い。」
タクシン派プア・タイ党の重鎮、スダラット♀は、「このままでは軍部と現軍政を支持する政党が総選挙で勝利してプラユット首相が再選してしまう。」と、有権者に対して投票を呼びかけた。
選挙では投票率が低いと組織票が物を言うが、大勢の有権者が投票すれば、組織票の影響力は弱まることになる。プア・タイ党戦略委員会の委員長を務めるスダラットは、タクシンが創設したタイ・ラック・タイ党の副党首だった人物。
01月06日(日)午後反政府グループの約100人(報道により約150人)がクルングテープ都内の戦勝記念塔に集まり、議会下院(定数500)総選挙の反対する声を上げるとともに、早期に総選挙の日程を正式発表するよう求めた。
今回総選挙遅延に反対を表明したグループは、中央選管が総選挙の日程を正式発表しない場合、08日午後に都内のラーチャプラソン交差点で再度抗議デモを開くとしている。
タイ軍事政権は02月24日に下院選を実施するとしていたが、ワチラロンコン国王の戴冠式が05月04~06日に行われることが決まったことを受け、投票日を1ヶ月程度遅らせる方針を示している。
05月04日に戴冠式が執り行われることから02月24日実施とされていた投票日を変更する可能性が高まっている。中央選挙管理委員会筋によれば、中央選管はすでにウィサヌ副首相に03月10日投票を提言したという。
政府は戴冠式や関連行事とぶつからないとの理由で03月24日投票が望ましいと考えているようであるが、その一方で、両者は03月中のほかの日曜日を投票日とすることも検討中。
01月07日(月)在タイ日本大使館は、「反政府グループが08日午後05時頃、クルングテープ都心ラーチャプラソン交差点のスカイウォークで集会を開くという情報がある。」として、注意を呼びかけた。集会が予定されているのは高架鉄道BTSチッロム駅近く。
01月08日(火)在タイ日本大使館は、「『反政府グループが地方で集会を計画している。』という情報がある。」として、注意喚起。
集会が予定されている場所と日時は、01月08日(火)午後05時頃、アユタヤ新県庁前、01月08日(火)午後05時頃、ラヨン県の時計塔前、01月08日(火)午後05時頃、コンケン県のコンケン大学正門前、01月09日(水)午後04時半頃、ナコンラチャシマー県のタオスラナリー像前。
02月24日投票と見込まれていた総選挙が03月にずれ込む可能性が出てきたことで、「下院議員選挙法で「同法施行(昨年12月11日)から150日以内に(05月09日までに)総選挙を実施する。」と規定されていることについて、『150日内に投票を行う。』あるいは『150日以内に投票も含め下院議員を選出する全ての手続きを完了する。』のどちらなのかをはっきりさせる必要がある。」との指摘が出ている。「憲法裁判所に判断を仰ぐべき。」との意見もある。
これは、総選挙が03月後半に延期された場合、05月09日までに下院議員が決まらず、かつ最終的な解釈が「150日以内に投票も含め下院議員を選出するすべての手続きを完了する。」とされた場合、総選挙が無効とされる恐れがあるため。
一方、ウィサヌ副首相は、「中央選挙管理委員会は確信が持てないのであれば憲法裁に判断を求めればよい。また、05月09日までに総選挙の手続きを全て終わらせて法的問題の発生を避けるという手もある。」との考えを示している。
02月24日実施と見込まれていた総選挙であるが、戴冠式と関連行事が05月04~06日に実施されることになったことから03月にずれ込む公算が高くなっているが、ここに来て大幅に遅れるとの見方も出ている。
これに対し、プラウィット副首相兼国防相は、「総選挙が05月09日以降にずれ込むことはない。」と明言。プラウィット副首相によれば、「総選挙実施が大きく遅れるとの見方もあるが、下院議員選挙法施行から150日以内(05月09日まで)に総選挙を完了させると憲法で決まっており、大幅な総選挙遅延は法的に不可能。」
また、中央選挙管理委員会に対し可能な限り早期に総選挙日程を公式発表するよう求める声が出ているが、中央選管は、「総選挙実施の勅令が出てから総選挙の日程が発表される。」と改めて説明。
17時頃反タイ軍事政権グループの人権派弁護士、民主主義を支持する学生ら約200人がクルングテープ都心の高架鉄道BTSチッロム駅近くのラーチャプラソン交差点で集会を開催。「ワチラロンコン国王の戴冠式を理由に総選挙を延期するのはおかしい。」と議会下院(定数500)総選挙の延期に反対。警官隊との衝突はなかった。
タイ軍事政権は02月24日に下院選を実施するとしていたが、ワチラロンコン国王の戴冠式が05月04~06日に行われることが決まったことを受け、投票日を1ヶ月程度遅らせる方針。
01月09日(水)戴冠式の日程が決定したことで当初の見通し通り02月24日に総選挙を実施することが難しい状況となってきたことから関係当局が総選挙延期を検討している。このなか、プラユット首相は関係当局に対し、「疑問や不明な点があれば、憲法起草委員会(CDC)に意見を求めるべき。」との考えを示したという。首相側近が明らかに。 現在、「下院議員選挙関連法施行から150日以内に総選挙を実施する。」との憲法規定の解釈について、同期間内に投票を行えば良いのか、あるいは、投票から下院議員が決まるまでのすべてのプロセスを完了させる必要があるのかで意見が割れている。首相は、「そのような疑問も憲法を作成したCDCに尋ねれば回答が得られるはず。」としている。
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が伝えたところによれば、インラック前首相は米融資担保制度が不正まみれで巨額の損失を出したことについて有罪判決が出ることを見越して2017年08月に密かにタイから脱出したが、インラックはカンボジアの旅券を所持しており、この旅券を使って出国したと見られる。
これについて質問を受けた外務省情報局のブッサディー局長は、「申し訳ない。それに関して我々は何も情報を持っていない。」と述べるに留まった。
なお、インラックは現在、所在不明だが、関係筋によれば、インラックは複数の国の旅券を所持しているものの、2年前にタイから出国した際にはタイの旅券を使用したという。また、タイの旅券は2017年10月に外務省によって無効とされたが、それ以前にドバイや英国に入国した際にもタイの旅券を使っていたとのことだ。
01月10日(木)在タイ日本大使館は、「反政府グループがクルングテープなどで集会を計画しているという情報がある。」と注意喚起。
集会が予定されている日時と場所は、13日午後05時頃、クルングテープのラーチャプラソン交差点(高架鉄道BTSチッロム駅近く)、11日午後01時から05時、ノンタブリー県のノンタブリー船着場から県選挙管理委員会、13日午後04時半ごろ、ナコンパトム県のプラパトムチェディー前のトールン市場。
全県の県庁前で集会を開催するという情報もある。
「インラック前首相がカンボジアの旅券を所持し、これを使って有罪判決を受ける前にタイを脱出した。」と香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が報じたことについて、カンボジア内務省の担当者はこのほど、「インラックに旅券を発給した事実はない。」と明言し、「旅券が本物かどうかわからない。」と述べ、インラックが偽造旅券を所持していた可能性を示唆。
なお、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、インラックが昨年08月に「香港でカンボジアの旅券を使って法人登記を行った。」と報じている。
01月11日(金)在タイ日本大使館は、「反政府グループがクルングテープなどで集会を計画しているという情報がある。」と、注意喚起。
集会が予定されている日時と場所は、11日午後05時頃、クルングテープ南郊サムットプラカン県のインペリアル・サムロン・ショッピングセンター、12日午後05時頃、クルングテープ都ウォンウィエンヤイのタークシン大王騎馬像前(高架鉄道BTSウォンウィエンヤイ駅近く)、13日午後05時頃、東北部ウボンラチャタニー県のトゥンシームアン公園。
プティポン政府報道官は、「政党が公約を発表しているが、非現実的な公約が国民を混乱させることがないよう政府が監視している。」と述べた。
これはプラユット首相の指示によるもので、プラユット首相は政党が公表した公約のいくつかは非現実的で実行不可能なものと感じている。
01月13日(日)02月24日投票とみられていた総選挙が戴冠式の日程と重なることから延期される可能性が出てきた。このなか、市民グループがクルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点に集まり総選挙を03月10日までに実施することを要求し、「総選挙実施の勅令が18日までに官報で発表されない場合19日に再び集会を行う。」と表明した。
このグループによれば、「憲法では下院議員選挙法施行(昨年12月11日)から150日以内に実施することが規定されているが、03月10日までに総選挙を実施すれば、この規定に違反する恐れはない。」
01月14日(月)プラユット首相はこのほど、タクシン派プア・タイ党の支持者の多い北部チエンマイ県で「主要政党の中には非現実的で実行不可能な公約を打ち出しているところがあるが、これは空約束だ。」と批判し、有権者に対しこのような公約に耳を貸さないよう呼びかけた。
プラユット首相は政党名には言及しなかったが、タクシン派のプア・タイ党や民主党などに向けた批判との見方が支配的。タクシン派はこれまでに軍部によってタクシン派の政党やタクシン派の政権を潰されており、軍部に対しては批判的な姿勢をとり続けている。また、タクシンが北部チエンマイ県出身であることから同県を含む北部はタクシン支持者が多い。
01月15日(火)在タイ日本大使館は、反政府グループが19日午後5時頃、クルングテープのラーチャダムヌン通にある民主記念塔で反政府グループによる抗議デモを開く予定。在留邦人や旅行者向けに可能な限り政治集会に近付かないよう、注意喚起。
01月16日(水)総選挙日程を決定する権限を持つ中央選挙管理委員会では、「下院議員選挙法施行から150日以内に総選挙を完了する。」との憲法規定について「150日以内に投票から当選認定までを完了する。」と解釈しており、このため、03月10日を総選挙投票日とする可能性が今のところ高い。
下院議員選挙法が施行されたのは昨年12月11日。このため、「05月09日までに総選挙を完了する。5ろというのが中央選管の方針のようだ。
しかし、政府の法律専門家のなかで、「完了」しなければならないのが「投票のみ」か「投票から当選認定までのプロセス」なのかを明確に答えることのできる者はいないという。
01月17日(木)総選挙日程を決定する権限を有する中央選挙管理委員会は「総選挙を03月10日実施とする可能性が高い。」と先に報じられたが、ウィサヌ副首相は、「総選挙の投票日は03月24日が最適。」と述べた。また、投票日としては他に03月の03日、10日、17日が候補として挙がっている。
総選挙実施の勅令が正式発表されてから05日以内に総選挙日程を発表することが法律で決まっているが、勅令は来週にも発表される見通し。
01月18日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープ2ヶカ所で19日に政治集会が行われるという情報がある。」と、注意喚起。
集会が予定されている日時と場所は、19日午後03時頃から、ラーチャダムヌン通の民主記念塔、19日午後04時頃から、タマサート大学講堂前。
01月20日(日)03月実施が予想されるタイの議会下院(定数500)総選挙で、タイ軍事政権と対立するタクシン派のプア・タイ党はタクシン派インラック政権で運輸相(2012~2014年)を務めたチャチャート・シティパン(52)を党の首相候補として検討している模様。タイの主要メディアが一斉に報じた。

← 左から、チャチャート・シティパン(52)とスダーラット・ケユラパン(57)。

下院選に候補者を立てる政党は最大で3人の党の首相候補を事前に選挙委員会に通知する必要がある。プア・タイ党はこれまで、有力女性政治家で保健相などを務めたスダーラット・ケユラパン(57)を第1の首相候補と想定して選挙活動を行ってきた。しかし、「ベテラン政治家で上流階級のイメージが強いスダーラットでは若者などの浮動票が捕捉できない。」という懸念があり、庶民派のイメージが強くネットユーザーに人気があるチャチャートを首相候補に加え、態勢強化を図る模様。
スダーラットは、囲み取材に応じ、「チャチャートは首相にふさわしく、自分も支持している。」と述べた。
チャチャートは元クルングテープ首都警察司令官の父親を持つ。タイの名門校であるチュラロンコーン大学工学部を卒業後、米国に留学し、マサチューセッツ工科大学で工学修士号、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で工学博士号を取得。帰国後、チュラロンコーン大学で教鞭をとり、複数の国営企業、民間企業の取締役も務めた。運輸相に起用されるまで政治経験はなく、大臣になってもバイクタクシーや路線バス、2等列車に乗ったり、裸足に半ズボン姿で托鉢に応じるなど、庶民的なスタイルで人気を集めた。

01月21日(月)親軍部のパラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)の幹部が先に選挙公約の一環として、「貧しい農民に付与された農地について転売や商業目的の利用を可能にしたい。」と表明したことについて、プラユット首相は、「ありえない公約。」と批判。
この土地は政府の貧農救済策のもと、農地として利用することを条件に貧しい農民に付与されたもの。また、農地として使用する場合に限り相続することが可能となる。このため、現行法のもとで土地を売却したり、商業利用したりすることは不可能とのこと。
総選挙の投票日は総選挙実施の勅令が出てから発表されることになるが、プラユット首相は、「勅令が近く官報で発表される。」と述べ、「総選挙投票日が間もなく発表される。」との見通しを明らかに。
年明け直後、総選挙は02月24日実施の見通しだったが、戴冠式と関連行事が05月初旬に執り行なわれることになったため、同日の投票は困難となった。
なお、中央選挙管理委員会関係筋によれば、中央選管は03月の10日か24日を投票日とするのが望ましいと考えているとのこと。
01月22日(火)プラユット首相は現軍政と軍部を支持する政党に加わり総選挙後も首相として国政を担当する意向と報じられているが、首相は、現政権の打ち出した政策を反古にしない政党への参加を検討する考えを明らかに。
ただ、プラユット首相は、「まず政党から(参加の)誘いがなければならない。だが、誘いに応じるかどうかは別の話だ。」と付け加えた。
なお、プラユット首相はパラン・プラチャーラット党(PPRP)に入る可能性が高いとされているが、プラユット首相によれば、今のところパラン・プラチャーラット党から誘いはないとのこと。
01月23日(水)タイ選挙委員会は、「議会下院(定数500)総選挙を03月24日に実施する。」と発表。タイで下院選が実施されるのは2011年以来。これに伴い、「政府は今年半ばまでに新政権が誕生する。」との見通しを示した。
タイ軍事政権と選挙委は当初、02月24日に下院選を実施する方針を示していたが、ワチラロンコーン国王の戴冠式と関連の式典が05月04~06日に行われることが決まったため、「下院選後の政治日程と戴冠式関連の行事が重ならないようにするため。」(ウィサヌ副首相)という理由で投票日を延期。
総選挙関連の手続きの日程は、不在者投票登録期間が01月28日~02月19日、立候補届け出および各政党が上限3人の首相候補者リストを提出する期間が02月04~08日、外国在住有権者の投票期間が03月04~16日、タイ国内の不在者投票が3月17日などとなっている。その後、05月09日までに投票結果が認定され当選者が決まる見通し。
軍部は2014年05月、タクシン派の民選政権に対する大規模なデモを理由にクーデターに踏み切り、全権を掌握。以来5年近く、政治活動を禁止し、反政府的な言論を弾圧してきたが、国内外の圧力を受け、下院選の実施を受け入れた。ただし、権力を手放す気はない。軍政は自派政党を立ち上げて、他党から有力政治家多数を引き抜く一方、事実上の地方遊説である地方閣議の開催、地方への予算投下などを頻繁に実施し、下院選に備えている。また、軍政が作成し2017年に施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、軍政は下院で130~140議席を確保すれば政権を維持できる。公選制の下院についても、タクシン派のプア・タイ党など大政党が不利になるよう選挙制度を変更しており、下院選が実施されても、タクシン派など軍政と敵対する勢力が政権を奪還するのは困難な情勢。
01月24日(木)憲法規定により各政党は3人まで首相候補を立てることができるが、主要政党のプア・タイ党で戦略委員会の委員長を務めるスダラット♀はこのほど、同党の首相候補は3人であることを明らかに。
誰が候補かは公表されていないが、関係筋によれば、候補の1人目がスダラット♀、2人目が幹部のチャチャート、3人目がウィロート党首と見られている。
また、スダラットによれば、プア・タイ党は選挙区の候補を01月28日に発表する予定。
01月29日(火)在タイ日本大使館は、「クルングテープと北郊のノンタブリー県で02月02日、03日に反政府集会が行われるという情報がある。」として注意喚起。不測の事態に巻き込まれることのないように、可能な限り集会に近づかないよう呼びかけている。
集会が予定されている日時と場所は、02日午後06時から、クルングテープのラーチャプラソン交差点、03日午前10時から正午、ノンタブリー県チェーンシリサンパン寺院、03日午後01時から、クルングテープのタマサート大学構内、03日午後03時から05時、ラーチャプラソン交差点。
タイ軍事政権派の「新党パラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)に所属する4閣僚が、03月24日投票の議会下院(定数500)総選挙に集中するためとして、30日付で閣僚を辞任する。」と発表。
辞任するのはパラン・プラチャーラット党党首のウッタマ工業相、副党首のスウィット科学技術相、幹事長のソンティラット商務相、報道官のコープサック首相府相。これら4人については、PPRPのために閣僚の権限を乱用する恐れがあるといった理由から辞任を求める声が以前から出ていた。
軍政と対立するタクシン派のプア・タイ党などが、軍政の現職閣僚による選挙活動を不公平と批判していることから、辞任して批判をかわす。プラユット首相は辞任する閣僚の後任を置かず、各省の副大臣などに職務を代行させる。
プラユット首相は、「新政権が誕生するまで首相の座から去らない。」と明言。
また、プラユット首相について、親軍部の勢力が選挙戦を有利に進めることができるよう権限を乱用する恐れがあるといった理由から「首相を辞任すべき。」との声が挙がっている。
だが、プラユット首相は、「政党の首相候補になったら辞任するか。」との質問に対し、「首相も国家平和秩序評議会(NCPO)議長も辞任しない。私が首相を辞めたら誰が代わりに首相をするのか。」と返答し、「首相とNCPO議長の辞任を義務付ける法律は存在しない。」とも付け加えた。
01月31日(木)タイ軍派政党のパラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)は、03月24日に行われる総選挙でプラユット現首相をはじめ3人を首相候補に指名する方針。
タイ地元紙によると、パラン・プラチャーラット党ウットム党首は、自身のほかプラユット首相、ソムキット現副首相を指名すると明かした。すでに党内で合意が取れている。ただし、プラユット首相とソムキット副首相から了承を得てはいない。ウッタマ党首などPPRPの幹部連が02月01日にも政府官邸を訪れてプラユット首相にPPRPの首相候補となるよう正式に要請する予定。
現政権を支持しているパラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)がプラユット首相を同党の首相候補とすることを先に明らかにしたが、プラユット首相はこのほど、「まだ02月08日まで考える時間がある。」と述べ、首相候補となることを承諾するか否かを明らかにしなかった。
各党はそれぞれ3人まで首相候補を立てることができるが、02月08日までに候補の登録をすることが義務付けられている。
02月02日(土)プラユット首相は首相辞任を求めた政党に対し、乱暴なタイ語を使って怒りを露にしたことから、「不愉快な思いをさせてしまった。少し我を忘れてしまった」と謝罪。
これは、パラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)がプラユットを首相候補に決めたことに対し、プア・タイ党や民主党が「首相候補になるならプラユットは首相を辞めるべき。」と主張したことによるもの。
なお、首相候補になったら首相を辞任しなければならないという法律は存在しない。
政府庁舎前で、プラユット首相の辞任を求めるなどした5人が最寄りの警察署に連行された。警察によれば、国立チュラロンコーン大学の元学生評議会議長、国立タマサート大学政治学部の学生ら5人は政府庁舎の半径50mの範囲でのデモを禁じる法律に抵触した疑いで連行された。有罪となれば1万B以下の罰金刑が科せられる。
パラン・プラチャーラット党(国民国家の力党、PPRP)がプラユット首相を首相候補とすることを発表したが、これに伴い一部の政党がプラユットに首相辞任を求めている。なお、「首相が首相候補になっても法的には問題ない。」という。
02月04日(月)「総選挙を前にタクシン支持者の立候補予定者が名前をタクシンに改める。」といったニュースが報じられていたが、内務省地方行政局のウィチエン副局長はこのほど、「保釈中に逃亡したタクシンや有罪判決前に国外に脱出した実妹のインラックの名前に改名することは法的に問題ない。」との見解を示した。
「改名は、変更しようとする名前が不道徳、卑猥、王室絡みでなければ、問題はない。」という。ウィチエン副局長は、「国内にはすでにタクシンやインラックという名前の人が何千といるが、違法ではない。」
02月08日(金)朝03月24日投票の議会下院(定数500)総選挙で、タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート(タイ国家維持)党は、故プミポン前国王の長女でワチラロンコーン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)をタイ・ラクサーチャート党の首相候補として選挙委員会に届け出た。数日前から憶測は流れていたが、実際の届出を受け、タイ国民から驚きの声も聞かれた。
総選挙で候補者を擁立している政党は3人を上限とする首相候補を任意で中央選管に届け出ることができる。この3人は立候補してもしなくても構わない。ウボンラット王女は選挙には出馬しない。今回の選挙では、上下院議員から指名されれば、民間から首相になることも可能になっており、ウボンラット王女をはじめプラユット現首相も下院議員選挙には立候補せずに首相を目指す。
タイ国家維持党のプリチャーポン党首は、「王女は党の代表に相応しい人柄であり、快諾いただいた。」、「学識があり有能なウボンラット王女が(首相に)最も相応しいとの考えで、党執行部は一致した。」と記者団に述べた。
ウボンラット王女は米国留学中に米国人と結婚し、タイ王族籍を離れたが、現在もワチラロンコーン国王と親しいとされる。
タクシン派と対立するタイ軍事政権はプラユット首相(元陸軍司令官)を首相候補として下院選を戦い政権維持を目指すはずだった。総選挙まで約1ヶ月半となっており、各党支持を得るために躍起となっている状況で、タクシン派がまさかの王室関係者を巻き込む選挙戦に打って出た。王室からの出馬は異例で、政権維持を目指す軍事政権にとって打撃となりそうだ。
タイ・ラクサーチャート党の役員はタクシン派市民団体幹部らが占めていたが、07日にウボンラット王女の関係者とみられる人々に総入れ替えされた。ウボンラット王女がタイ・ラクサーチャート党の首相候補となることは、08日朝の届け出直後に、王室の公式ツイッターとフェイスブックに投稿。
軍政が作成し2017年に施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、軍政は下院で130~140議席を確保すれば政権を維持できる。公選制の下院についても、タクシン派のプア・タイ党など大政党が不利になるよう選挙制度を変更。そこで、タクシン派は選挙制度に対応する衛星政党としてタイ・ラクサーチャート党を設タイ・ラクサーチャート党はのプア・タイ党の「支部的役割」を持つ。今回変更された選挙制度により小選挙区に立候補者を送れば送るほど比例代表での議席獲得が有利になるため、党を分割して候補者を増やしたと見られている。
ワチラロンコーン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)が03月の議会下院(定数500)総選挙で政党の首相候補となったことについて、、ウボンラット王女が政治職につくことを禁じる国王の命令が官報に記載され、地上波テレビ局全局で一斉に放送。
ワチラロンコーン国王は、ウボンラット王女を03月の総選挙で首相候補に擁立する異例の動きについて、「ウボンラット王女は王族籍を離れたとはいえ王室の一員であり、王族が政治に関与するのは憲法と立憲君主制の伝統に反する。」、「高位の王室の一員を政治体制に持ち込むことは、いかなるものでも王室の伝統と国の文化に反し、極めて不適切。」と激しく非難。
声明によれば、王女は法的には王族籍を失っており平民であるが、今でも王族の一員として活動をしており、プミポン前国王の長女であることに変わりはない。このため、どのような形であれ王女が政界に入ることは、王室の伝統とタイの文化に反しており、極めて不適切。
タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート党が08日朝、ウボンラット王女を党の首相候補として選挙委員会に届け出て、タイ全土に衝撃が走った。タイ・ラクサーチャート党は、総選挙でタクシン派の得票を増やすため、そして、タクシン派のプア・タイ党がタクシンの党運営への関与で解党処分となったことを想定してタクシン派によって設立された予備政党。
ワチラロンコーン国王の姉のウボンラット王女は米国留学中に知り合った米国人男性と1972年に結婚されたことで王族籍を失ったが、1998年に離婚してタイに帰国。以後王族の一員として活動している。
02月09日(土)朝ウボンラット王女は、インスタグラムに投稿し、支援者に謝意を伝えるとともに、「タイが前進し、国際社会に受け入れられること」「国民全員が権利と機会を持つこと。」を期待するなどと記した。
タクシン派であるタイ・ラクサーチャート党は、報道陣に宛てて、「タイ・ラクサーチャート党は、国王と王室全員への忠誠心を持って、国王の意向に従う。」と発表。「タイの立憲君主制の下で、『伝統と王室の慣習』に関して党としての義務を果たすつもりでいる。」と続けている。08日に発表された王女の首相候補擁立は、わずか1日にして撤回となった。
反タクシン派らは、王女を政治に巻き込んだとし、同党の責任を追及するべきと声を上げている。
https://twitter.com/cnxt
ラマ9世の不肖の子供2人はそもそもタイ国民に評判が悪い。アメ公と離婚して王籍剥脱の姉と乱行の弟現ラマ10世。これで愚姉が政治にしゃしゃり出たら王制廃止につながるところだった。あの顔を見れば中味がわかる。日本で言えば、眞子と悠人親王。
明らかにタクシンという支那人の工作員を使って、タイ王室の破壊を狙って馬鹿女を使おうとした陰謀が頓挫したとういうこと。常に支那の侵略を考えなければならない。
02月10日(日)「タイ・ラクサーチャート党がウボンラット王女を首相候補にする手続きをとったことについて、政党法が規定する違法行為に該当する疑いがある。」として中央選挙管理委員会に調査・検討を求める声が多数出ている。
政党法法92条では、「立憲君主に敵対的な行為のあった政党について中央選挙管理委員会は憲法裁判所に解党処分を求めなければならない。」とされている。
すでに一部の政党から「解党」を求める訴えもでており、中央選管では11日に今後の対応を話し合う予定。
チェーンワタナ通にあるタイ・ラクサーチャート党の本部は09日、支持者が数人姿を見せていただけで、幹部連は誰もおらずほぼ無人の状態。また、同党は10日にクルングテープ都内の複数ヶ所で選挙キャンペーンを予定していたが、09日、全て取りやめることを発表。
タクシン派のタイ・ラクサーチャート党はウボンラット王女を首相候補に選んだことで国王の叱責を受け、今後の展開次第では解党処分を受ける恐れもあり、首脳陣は、タクシン派の選挙戦略にダメージを与えぬためにはどうすればよいかについて苦慮している最中。
検討されている対応としては、王女を首相候補に選んだ党幹部が現在の役職から退く、国王の許しを求めるなどが含まれるとのこと。また、中央選挙管理委員会は02月15日までに総選挙の立候補者と各党の首相候補を正式発表する予定だが、タイ・ラクサーチャート党内部からは、「ウボンラット王女が首相候補として発表されるか否かを見極めてから党の対応を決めるべき。」との声も出ている。
なお、タクシン派の本家であるプア・タイ党は選挙制度の変更に伴いタイ・ラクサーチャート党と役割分担するなどしてタクシン派の得票、議席を可能な限り増やす戦略であり、タクシン派としてはタイ・ラクサーチャート党から誰も立候補しないという事態だけは是が非でも避けたいところ。
ざまあみろだが、支那朝鮮とはどうしてこうまでも恥さらしで愚かな作戦をあからさまに無理押しで来るのか。人間とは思えない病原菌。孫子自体が弱兵で数に頼んで勝つという卑怯を絵に描いた内容だから納得。徹底駆除殲滅しなければ、に当たり前の世界はない。
02月11日(月)在タイ日本大使館は、「11日午後06時からクルングテープのタマサート大学構内で反政府デモが行われる。」という情報があるとして、注意喚起。
今回の集会は、現在の軍事政権を発足させる引き金となった軍によるクーデターを批判したものであり、在留邦人には可能な限り近づかないなど注意するよう呼びかけている。
「プラユット首相が超法規的権限を行使して国軍の司令官らを解任した。」とする噂や新たなクーデターに関する噂がネット上で飛び交っているが、プラユット首相は、「国民の間に不和と混乱をもたらそうとする者が広めている偽情報だ。」と批判。現在関係当局が犯人を割り出そうとしている。
超法規的権限は、現行憲法に先立ち制定された暫定憲法のもとで国家平和秩序評議会(NCPO)議長(プラユット首相)に付与されているもので、現行憲法でも引き継がれている。
中央選挙管理委員会は、首相候補として45党から届出のあったプラユット首相を含む69人が審査を通過したことを明らかに。
タイ・ラクサーチャート党から届出のあったウボンラット王女は審査を通らず、発表された首相候補には含まれていなかった。
中央選管では、国王が先に、「王女は一旦王室を離脱したものの王族の一員である。」と指摘されたことを受け、「『王族は政治に関与できず、政治的な役職に就くことはできない。』との理由で届出を却下した。」と説明。来月24日に行われる総選挙では、各党3人まで民間人を含めて首相候補を擁立することが可能となっており、タイ・ラクサーチャート党はこのうちの一人を王女として中央選管に提出していた。
だがウボンラットウボンラット王女がタイ・ラクサーチャート党の首相指名を受けていたことが明らかとなった後、ワチラロンコーン国王が王女の擁立を批判する声明文を発表したことで、タイ・ラクサーチャート党は「王女の擁立を断念する。」と発表。
なお、中央選管では12日にタイ・ラクサーチャート党にどのような措置をとるかを検討する予定。
02月12日(火)放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会(NBTC)は、「タクシン派の地上デジタルテレビ局ボイスTVのニュース番組とトーク番組で国内の対立を煽る発言があった。」として、「ボイスTVの放送を13日から27日までの15日間停止する。」と発表。放送禁止の理由について、「Wake up News」と「Tonight Thailand」の番組が国内の情勢を扇動する内容だったため。
ボイスTVはこれに反発し、NBTCに損害賠償を求める裁判を起こす方針。
今回の処分については、03月24日に民政移管のための議会下院(定数500)総選挙が行われることから、「タクシン派と対立する軍政が放送を停止させた。」という見方が出ている。NBTCはこうした見方を否定し、「中立な立場で判断を下した。」と主張。ボイスTVは過去にもNBTCから放送停止処分を受けている。
ウボンラット王女を首相候補として届け出たことで「王室を政治に引きずり込んだ。」との批判を浴びているタイ・ラクサーチャート党について、中央選挙管理委員会は、「処遇を検討中。」と発表。検討は13日も行われる予定で、結論が出た段階で選管から説明がある見通し。
タイ・ラクサーチャート党は政党法違反に問われており、選管は違反があったと判断すれば憲法裁判所にタイ・ラクサーチャート党の解党を請求することになる。仮に憲法裁が解党を決めた場合、党首など党役員13人は10年間あるいは永久に公民権停止となる。
また、総選挙(03月24日)までに解党となれば、タイ・ラクサーチャート党の候補は「候補者は政党に90日以上所属している者に限る。」との法規定により他の政党に移籍することができず、立候補が無効となる。一方、03月24日以降に解党となった場合は、当選候補は30日以内であれば他の政党に移籍することができる。
現軍政を支持するパラン・プラチャーラット党は中央選管によってプラユット首相を首相候補にすることが認められたものの、プラユットが現職の首相であることから、選挙運動にプラユットをどのように関わらせるかに苦慮している。
ウッタマ党首は、「(プラユット首相の選挙運動への関わりについて)我々は(首相の権限を悪用しているといった)批判を避けるために関連法や選管の規則を非常に慎重に検討する必要がある。」と発言。プラユット首相も同日「(選挙運動に関連した)いかなる行為も最大限の注意をもって決定を下さなければならない。」と述べ慎重な姿勢を示した。
02月13日(水)反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)の幹部6人がPADが2008年にクルングテープのタイ首相府を長期間占拠した際の公共物棄損などに問われた裁判で、タイ最高裁判所は、控訴審の判決を支持し、被告全員に禁錮8ヶ月の実刑を言い渡した。
判決を受けたのはPAD創設者で元実業家のソンティ・リムトーングクン(71)、チャムロン・シームアン元クルングテープ都知事(83)ら。ソンティを除く5人は判決後、収監された。ソンティは2016年に証券取引法違反で禁錮20年の実刑が確定し服役中。
PADは故プミポン前国王の誕生日の色である黄色のシャツがシンボルで、タクシン政権当時の2005、2006年に大規模な反政府デモを展開。2008年にはタイ首相府、クルングテープ郊外のスワンナプーム空港とドンムアン空港などを襲撃、占拠。
選挙委員会は、タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート党の解党をタイ憲法裁判所に申し立てた。
タイ・ラクサーチャート党が今月08日、03月24日の議会下院(定数500)総選挙の党の「首相候補として、ワチラロンコーン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)を擁立したことが、立憲君主制に敵対する行動を禁じた政党法に違反する。」と判断。
タイ・ラクサーチャート党の解党と役員の公民権停止を憲法裁判所に請求した。公民権停止の期間は10年間から一生涯となっている。
タイ・ラクサーチャート党が解党となるのは、憲法裁が選管の請求を受け入れ、選管の主張を是認した場合だが、憲法裁は14日午後にも請求を受け入れるか否かを決める見通し。
タイ・ラクサーチャート党は「ウボンラット王女が米国人と結婚(後に離婚)しタイ王族籍を離れているため擁立が可能。」と主張したが、08日夜、ワチラロンコーン国王が王女の政治関与を禁じる声明を出し、選挙委が11日、王女の首相候補としての受け付けを拒否。
タクシン派は軍事政権下のタイで8年振りに実施される今回の下院選で、大政党に不利な方式に変更された選挙制度に対応するため、中核となるプア・タイ党のほかに、タイ・ラクサーチャート党など複数の衛星政党を立ち上げた。タイ・ラクサーチャート党はプア・タイ党が何からの理由で解党処分を受けた際にプア・タイ党議員の受け皿となる役目も担うはずだったが、先に解党処分を受ける可能性が高まった。タクシン派はウボンラット王女の擁立で一気に政局の主導権を握ったかに見えたが、一転して窮地に陥った。
タクシン派タイ・ラックサーチャート党は、憲法裁判所に選挙管理委員会がタイ・ラックサーチャート党の解党を訴えた件を棄却するよう求めた。
選挙管理委員会は、タイ・ラックサーチャート党がウボンラット王女を首相候補に任命しようとした件が憲法違反にあたると判断し、憲法裁判所に解党を訴えていた。
タイ・ラックサーチャート党は、「弁明の機会もなく、問題が起きてから1週間も経たないうちに解党を求める手続きを行ったことに、公正な判断をしているとは考えられない。」とし、棄却を求めている。
もし憲法裁判所が解党を命じた場合、反政府グループが抗議活動を活発化し、国内の政治情勢が不安定な状況になる可能性が高い。
在タイ日本大使館によると、「15日午後04時頃から、タクシン派タイ・ラックサーチャート党がクルングテープ都庁前で演説集会を行う。」との情報がある。現在タイ・ラックサーチャート党は、憲法裁判所から解党命令が下される恐れがあり、これに反発する集会となる見通し。
そのため在タイ日本大使館は、「不測の事態が発生する可能性がある 」とし、可能な限り会場周辺に近付かないよう呼びかけている。
アピラット陸軍司令官は、クーデターの噂について、「事実無根である。」と明言。また国軍に対し、「軍がクーデターを起こそうとしている。」などと騒ぎ立てられることがないよう中立の立場を堅持し慎重に行動するよう呼びかけた。
アピラット司令官によれば、「中央選管の規則に従って軍隊が投票所の警備などに当たることになっているが、これをクーデターと関連があるかのように騒ぎ立てる者が出てくると予想される。」と、国軍に対し十分注意するよう求めた。
現軍政と軍部を支持するパラン・プラチャーラット党(PPRP)はプラユット首相を同党の首相候補とすることになったが、ウィサヌ副首相はこのほど、「プラユット首相がパラン・プラチャーラット党の選挙運動を手助けすることは法律で禁じられている。」と指摘しに、この件について選管と関係当局の間で話し合ったことを明らかに。選挙関連の法律では「非党員と政治的ポストに就いている者は選挙運動に参加できない。」と規定されており、これに従うことで合意された。
02月14日(木)憲法裁判所は、選挙運動に王室をかかわらせることを禁じた政党法違反の罪でタイ・ラクサーチャート(タイ国家維持)党を解党するよう求めた中央選挙管理委員会の請求について、1時間以上にわたり検討。その結果、判事全員の賛成でこの請求を受理することを決定。
タイ・ラクサーチャート党には訴状のコピーを受け取ってから7日以内に反論文を憲法裁に提出することが求められたが、憲法裁から同党に対し選挙運動などの政治的活動を禁止する命令は出されなかった。
02月20日(水)タクシン派の「タイ・ラクサーチャート党(TRC)がウボンラット王女をタイ・ラクサーチャート党の首相候補として届け出たことは立憲君主制に対する敵対的行為に当たる。」として、中央選挙管理委員会がタイ・ラクサーチャート党の解党を憲法裁判所に請求したが、今度はタイ・ラクサーチャートの幹部らが中央選管に対し、「パラン・プラチャーラット党(PPRP)がプラユット首相を首相候補に選んだことは不適切 」としてパラン・プラチャーラット党の解党を憲法裁に請求するよう要求。タイ・ラクサーチャート幹部のルアンカイによれば、「プラユットは陸軍司令官として2014年05月に軍事クーデターを決行し、当時のインラック政権を追放するという形で民主主義を侵害しており、これこそ立憲君主制への敵対的行為に当たる。」
警察によれば、選挙ポスターを破ったり傷つけたりしたケースが各地で報告されているが、1件を除き政治絡みの犯行。
その1件は、スロベニア人のナッド(54)が東北部カラシン県で02月16日未明に選挙ポスター8枚を破るなどして18日に逮捕された事件。ナッドは15日にガールフレンドと夕食をともにする約束していたが、すっぽかされたことから、ガールフレンドが選挙運動員を務めるパラン・プラチャーラット党の候補者のポスターを破った。
02月21日(木)昨年03月に設立された新未来(アナーコット・マイ、NFP)党のタナトーン党首(40)の人気が若者の間で高まっているが、同党のホームページに「2008年から12年にかけて(タイ最大の経済団体)タイ工業連盟(FTI)の会長を務めた。」という事実に反する経歴が掲載されていたことが判明。実際にはFTIナコンナヨック県支部のトップだった。
新未来党サイドは、新未来党のスタッフが経歴を記載する際に誤ってしまったと説明しているが、仮に有罪となれば、20年にわたり被選挙権を失う可能性がある。
タナトーンはタイ最大の自動車部品メーカー「タイ・サミット・グループ」の創業家の出で、昨年まで副社長を務めていた。
02月24日(日)03月24日に投票が行われる今回の下院総選挙では、当選して下院議員となった500人と国家平和秩序評議会(NCPO)によって上院議員に指名された250人の計750人によって政党が選んだ首相候補の中から首相が選ばれることになるが、プラユット首相はこのほど、「上院議員は自由意志で行動することができる」と述べ、「プラユット首相が議長を務めるNCPOによって指名された上院議員は、パラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユットを首相に選ぶことになる。」と見方に反論。
プラユット首相によれば、「上院議員は実質的にプラユット現首相が選出することになるが、それだけの理由で盲目的にプラユットを首相に推すことはない。」
02月25日(月)イ中央選挙管理委員会のイティポン委員長は、「政党の首相候補による討論会にパラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相が参加することに問題はない。」との見解。
憲法改正に伴い、総選挙で選ばれた下院議員500人と上院議員250人が政党の推す首相候補から首相を選ぶことになっている。
一方、プラユット首相の討論会参加について、ウィサヌ副首相は、「プラユット氏は中立の立場を堅持する必要がある。」と力説。
02月26日(火)在タイ日本大使館によると、「今週金曜日(01日)にタクシン派タイ・ラックサーチャート党がクルングテープ都庁前で演説会を行う。」
この演説会では、軍事政権や関係当局への批判が行われ、現場が混乱する可能性もあることから、大使館は演説会場周辺に近付かないよう呼びかけている。
パラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相が首相候補による政策討論会に出席するか否かに関心が集まっていたが、プラユット首相は、多忙を理由に討論会を欠席する意向を明らかに。
討論会では、反軍部の政党の首相候補からプラユット首相に対する批判が出ることも予想されていたが、首相は、討論会に参加する必要はない。」と述べ、「(討論会で)他の政治家から厳しい質問を浴びせられるのを恐れているわけではない。」とも力説。
02月27日(水)憲法裁判所は、「選挙管理委員会からタクシン派タイ・ラックサーチャート党の解党を訴えた件について、来月07日に判決を下す。」と発表。
タイ・ラックサーチャート党は、ウボンラット王女を首相候補に指名しようとしたが、ワチラロンコーン国王が王女の擁立を批判する声明文を発表し、王女を首相候補から外すことを決めた。
これを受け、選挙管理委員会は「王室を巻き込み選挙戦を行おうとしたことは違法である。」と、解党を同裁判所に訴えていた。
03月03日(日)パラン・プラチャーラット党によれば、首相候補であるプラユット現首相が出身地である東北部ナコンラチャシマー県で03月10日に有権者の前で首相候補として選挙演説を行う予定。これが今回の選挙におけるプラユットの初の選挙運動となる。
パラン・プラチャーラット党は、プラユットが現職の首相であることから、選挙運動で具体的にプラユットのどのような行為が法に触れるかについて中央選挙管理委員会の説明を待っているところ。
03月04日(月)パラン・プラチャーラット党の首相候補として近く有権者の前で選挙演説を行う予定のプラユット首相に対し、ウィサヌ副首相は、「首相は中立でなければならない。」と述べ、偏った言動がないよう注意を促した。
下院議員選挙法78条では「政府に所属する者は政治的に公正中立でなければならない。」と規定されており、プラユット首相はこれに抵触しないよう慎重に発言、行動する必要がある。
プラユット首相は10日に出身地の東北部ナコンラチャシマー県で選挙演説をする予定で、これがプラユットにとって選挙運動デビューとなる。
03月05日(火)プラユット首相は3月10日に出身地の東北部ナコンラチャシマー県でパラン・プラチャーラット党の首相候補として選挙演説を行うことが予定されているが、トラブルに発展する恐れもあり、中止となる可能性がある。
プラユットは首相候補として選挙運動を行うことは可能だが、現職の首相であることから言動には制約がある。ただ、現時点では何が合法で何が関連法に抵触するかが明確でないため、プラユット首相は選挙演説を行うかについてまだ最終的な判断を下していない。
03月06日(水)在タイ日本大使館によると、07日午後、クルングテープ都内の憲法裁判所で、タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート党の解党に関する協議が行われ、午後03時頃に結果が発表される。現場には同党の支持者が集まり、警備の警官隊も動員される見通し。
在タイ日本大使館は「不測の事態が発生し、周辺にいる人が巻き込まれる可能性も否定できない。」と、注意喚起。
タイ・ラクサーチャート党は03月24日の議会下院(定数500)総選挙の党の首相候補として、02月08日、ワチラロンコーン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)を擁立。同日夜、国王が王女の政治関与を禁じる声明を出したため、擁立を撤回したが、「立憲君主制に敵対する行動を禁じた政党法に違反する。」として、選挙委員会が同党の解党を憲法裁に申し立てた。
プラユット首相は03月10日に出身地の東北部「ナコンラチャシマー県でパラン・プラチャーラット党の首相候補として有権者の前で選挙演説を行う予定。」と報じられたが、同党関係筋によれば、プラユットはパラン・プラチャーラット党の選挙運動に一切かかわらない見通し。
同党の幹部らはにプラユット首相の選挙演説について協議し、「プラユットがパラン・プラチャーラット党の選挙運動に参加することは得るものより失うものの方が大きい。」との点で意見が一致した。
現職の首相であるプラユットが選挙運動を行うにはもともと制約があり、また、場合によっては関連法に抵触する恐れもある。ウッタマ、パラン・プラチャーラット党首によれば、「プラユットが選挙演説を行わないことが党に不利益をもたらすことはない。」
03月07日(木)タイ憲法裁判所は、タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート党を解党し、党役員の参政権を10年間停止の判決。
「タイ・ラクサーチャート党が今月24日の議会下院(定数500)総選挙の党の首相候補としてワチラロンコーン国王(66)の姉のウボンラット王女(67)を擁立しようとしたことが、政治の上位に位置する王室を選挙に利用することは立憲君主制に対する敵対行為で憲法違反に当たる。立憲君主制に敵対する行為を禁じた政党法に違反した。」と認定。
タイ・ラクサーチャート党はウボンラット王女が米国人と結婚(後に離婚)しタイ王族籍を離れているため擁立が可能と主張し、02月08日、首相候補としてタイ選挙委員会に届け出た。しかし、同日夜、ワチラロンコーン国王が王女の政治関与を禁じる声明を出したため、擁立を取り下げた。これを受け、選挙委が憲法裁に同党の解党を申し立てていた。
この結果によって同党で立候補していた283人は、今月24日に行われる総選挙で立候補する資格がなくなった。
タクシン派は反タクシン派の旗印であるはずの王室のメンバーを自派の首相候補に担ぐという奇策で反タクシン派の「解体」を狙ったが、王室を政治に巻き込むという危険な賭けに破れた形。ただ、王女がタクシン派を支持したという事実は残り、今後の政局に影響を与える。
タクシンを支持する最大の政党はプア・タイ党であるが、今回、小選挙区でタイ・ラクサーチャート党とプア・タイ党の候補者が被らないよう配慮。タクシン派の作戦としてはプア・タイ党が小選挙区、タイ・ラクサーチャート党は比例代表区で最大限の議席を獲得する狙いだったが、この戦略が総選挙本番を目の前にして崩れることとなってしまった。タイ・ラクサーチャート党の解党はタクシン派の選挙戦からの脱落を意味するものではないが、タイ・ラクサーチャート党から出馬した候補は解党で全員が立候補資格を失い、タクシン派が選挙戦で大打撃を受けたのは間違いない。
タクシン派政党が憲法裁により解党命令を受けるのは、2007年のタイ・ラック・タイ党、2008年のパラン・プラチャーチョン党に次ぐ3回目。
03月10日(日)タイの政党の中で最も長い歴史を誇る民主党のアピシット・ウェーチャチーワ党首(元首相)は、自身のフェイスブックに33秒の動画を投稿し、「パラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相が総選挙後も首相を務めることに反対する。」と明言。
アピシット党首はこれまで、今月24日の議会下院(定数500)総選挙後も続投を目指すプラユット首相を支持するかどうか明らかにしていなかった。今回の動画では、「プラユット大将を首相として支持しない。」、「権力に固執し、国内の分裂を招き、民主主義に反しているからだ。」、「(軍政下の)過去5年で経済が悪化した。」と述べ、アピシット党首によれば、「軍事クーデターに伴い5年にわたり首相を務めてきたプラユットが今後も首相の座に就いた場合、対立が生ずることになり、これは『国民第一』という民主党のイデオロギーに反する。」という。
アピシット党首は昨年11月に行われた党首選で、軍政支持派の候補に辛勝し、党内基盤が弱体化している。民主党が下院選で大敗すれば、党の主導権を軍政支持派に奪われる可能性もある。反軍政の3党に民主党が加われば、他の中小政党も糾合し、反軍政政権が誕生する可能性がある。ただ、民主党とプア・タイ党は水と油の関係で、連立政権を組むとは考えにくい。
アピシット党首の態度表明について、タクシン派プア・タイ党からは、「今回の総選挙はプラユットの首相続投を支持するか否かが争点。(続投不支持という)アピシット党首の考えは、党幹部も認めた党を代表する意見なのか。」とする疑問の声が浮上。
一方、パラン・プラチャーラット党の幹部からは、「連立政権を組むことができるのは、パラン・プラチャーラット党、民主党、プア・タイ党の3党のみ。アピシット党首の態度表明は、(反タクシン的姿勢を堅持してきた)民主党が(誰もが知るタクシン派政党である)プア・タイ党と組むということなのか。」と訝る指摘が出ている。
03月11日(月)反タクシン派とされる民主党のアピシット党首が親軍部のパラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相が総選挙後の新首相に選ばれるのに反対する姿勢を明確にしたことで、パラン・プラチャーラット党は新政権を樹立するための連立構想を練り直すことが必要となった。
反軍部でタクシン派のプア・タイ党の支持者が多い東北部と北部ではパラン・プラチャーラット党の苦戦が確実視されているため、民主党との連携は政権奪取のためのポイントともなっていた。
民主党は2014年のクーデターでタクシン派インラック政権を倒した軍部とクーデターに伴い誕生したプラユット率いる軍政にこれまで肯定的姿勢を示していたことから、アピシット党首の態度表明についてパラン・プラチャーラット党筋は、「民主党の方針変更を窺わせるものだ。」と危機感を示している。
03月12日(火)現軍政を支持するパラン・プラチャーラット党が外国企業や外国人から政治献金を受けたと中央選挙管理委員会に訴えが出ていたが、チャルンウィット中央選管事務局長はこのほど、「パラン・プラチャーラット党に政治献金した40社と84人の中に外国企業や外国人はおらず、パラン・プラチャーラット党を解党処分とする理由はない。」と発表。
ただ、「パラン・プラチャーラット党に関しては、党首など複数人が閣僚であったことから、権限乱用の疑いが掛けられており、これについては詳しく調べる必要があり、まだ現段階で判断を示すことができない。」
03月14日(木)アナーコット・マイ党(新未来党、FFP)のタナトーン党首の経歴について、事実と異なる内容が約5ヶ月にわたって新未来党のホームページに掲載されていた問題で、中央選挙管理委員会は、「タナトーン党首に有権者を欺く意図があったことを裏付ける根拠は確認できず、このため罪に問わないことを決めた。」と発表。
ホームページには、「タイ工業連盟(FTI)会長を2期務めた。」と説明されていたが、実際にはFTIのナコンナヨック県支部のトップを務めただけだった。 タナトーンは国内最大の自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループの創業家の出。タナトーンが党首に就任した時は「有望な若手実業家の政界入り。」として注目を集めている。
プラユット首相がパラン・プラチャーラット党の首相候補となったことについて憲法違反と指摘する声が出ていたが、オンブズマン事務所はこのほど、「問題なし。」との判断を示した。
憲法では「公務員は首相候補になれない。」と規定されていることから、プラユット首相が現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長でもあることが問題視。「NCPO 議長は公務員であり、プラユット首相は首相候補とはなれない。」とする指摘があった。
だが、オンブズマン事務所によれば、「憲法裁判所が過去に示した判断に従えば、NCPO議長は公務員に該当しない。従ってプラユット首相がパラン・プラチャーラット党の首相候補となったことに問題はない。」
03月16日(土)タイで議会下院選の投票が今月24日、期日前投票が17日に実施されることを受け、16日午後06時から17日午後06時、23日午後06時から24日午後06時に酒の販売が禁止される。
違反した場合は禁錮6ヶ月以下もしくは罰金1万B以下もしくは双方が科される。
知らずに昼食時にヒールも飲めなかった。期日前でも、当日でもビールも売らない。仏教の日。それ以外でも普通の毎日、14時~17時は大規模スーパーやコンビニではビールも売らないし、飲めない。タクシンの時に厳しくなり今は図に乗っている。何の意味があるのか、驚きのタイ。
03月18日(月)18日午後05時半頃、クルングテープ都内BTSプロンポン駅近くのベンチャシリ公園で、タイ国民結集党による演説会が行われる。これを受け在タイ日本大使館は、在留邦人および旅行者に対して現場近くに近付かないよう注意喚起。現場はショッピングセンター、エンポリアムの隣、日本人も多く住む地域。
中央選挙管理委員会のナット副事務局長によれば、03月24日投票が行われる今回の総選挙で、03月17日に全国の395ヶ所に設けられた投票所で260万人を上回る有権者が期日前投票を行った。
期日前投票をするには事前の登録が必要だが、登録した有権者の約75%が17日午前08時から午後05時までの間に投票した。クルングテープ都庁によれば、クルングテープでは期日前投票のため都内77ヶ所に投票所が設けられた。クルングテープでは期日前投票の登録をした92万9061人の約87%、81万306人が投票。
クルングテープのドゥシット区の投票所にはタイ国王の諮問機関である枢密院のプレム議長(元首相、元陸軍司令官、98)が姿を見せた。議長は車椅子に乗り、酸素吸入器を装着した姿で車を降り、投票時には立ち上がり、自力で歩いて投票を済ませた。
03月20日(水)首相在任中の職権乱用などの罪に問われ保釈中に国外逃亡、その後の欠席裁判で有罪が確定し現在事実上の亡命生活を続けているタクシンについて、検察当局は香港当局にタクシンの身柄引渡しを請求しない方針を明らかにした。
タクシンは近く次女ペートーングターンの結婚式が香港で行われることから香港に入国する見通し。検察庁外事課によれば、犯罪人の身柄引渡しは、最初に警察が要求して関連情報を検察に提出。これを受け検察が外務省を通じて当該の国・地域に身柄引渡しを請求するという手続きを踏むことになっているが、今回、タイ警察は何の要求もしていない。
03月21日(木)今月22日にクルングテープ都内各地で主要政党が、選挙に向けた最終演説会を行うことから、在タイ日本大使館から演説会場付近に近付かないよう注意喚起。
これによると、プア・タイ党が午後04時からディンデン区のバンコクユースセンター内にあるタイ日スタジアムで、民主党が午後04時からプラナコン区ディンソー通のクルングテープ都庁前で、パラン・プラチャーラット党が(現時点で時間不明)にBTSナショナルスタジアム駅近くのテープハサディンスタジアムで、アナーコット・マイ党が午後05時からタイ日スタジアムで演説会を行う予定。
03月22日(金)「総選挙で反軍部の政党が勝利した場合、政治的混乱が生じて軍事クーデターが起きる。」との声が一部で出ているが、プラウィット副首相兼国防相は、総選挙後に混乱とクーデターが発生する可能性を否定。今回の総選挙も親軍部すなわち反タクシン派と反軍部すなわちタクシン支持派という2つの陣営が対決する構図となっているが、関係筋によれば、軍事クーデターに言及したコメントは、「混乱とクーデターを望まないなら親軍部の政党に投票したほうが良い。」と示唆したものと見られている。
非営利民間団体「民主主義の礎のためのオープン・フォーラム(P-Net)」は今回の総選挙について「有権者の買収が多く見られた。露骨なものではなかったが、選挙運動の終盤における買収が目立った。」と指摘。
具体的には、選挙演説会に有権者を集めるため、やって来た有権者に1人当たり200Bを手渡したほか、有権者を連れてきた車の運転手には500Bを支払った政党もあったという。また、会場に来た有権者には弁当が提供されたが、弁当の裏には紙幣が輪ゴムでくくりつけられていた。
P-Netでは政党関係者が100B紙幣の束を抱えている場面などを写真撮影しており、中央選管にこれらの写真を選挙違反の証拠として提出する予定。
タクシン・チナワット(69)の次女のペートーンターン(32)と航空会社パイロットのピドックが、香港の高級ホテルで挙式。
式はワチラロンコーン、タイ国王(66)の姉でペートーンターンと親しいウボンラット王女(67)が主宰。事実上国外亡命中のタクシン、叔母のインラック、ペートーンターンの兄のパーントーンテー、姉のピントーンター夫妻らが出席。
 タイのプラユット軍事政権などタクシンと敵対する反タクシン派の政治勢力はタクシンを反王室と非難してきた。しかし、ウボンラット王女はタクシン一族と親しく、24日に投開票されたタイの議会下院(定数500)総選挙で、タクシン派の政党、タイ・ラクサーチャート党の首相候補に擁立された。タイ憲法裁判所は今月07日、「王女の擁立は立憲君主制に敵対する行為を禁じた政党法に違反する。」と認定し、タイ・ラクサーチャート党は解党処分。
03月24日(日)タイ中央選挙管理委員会によれば、03月24日の総選挙の投票において有権者28人が投票用紙を破っており、大半が高齢者、酔っ払い、精神障害者。
意図的に投票用紙を破った場合、5年以下の禁錮刑、10万B以下の罰金刑あるいは双方が科せられるほか、10年間選挙権停止となる。
チエンマイ県では高齢男性が投票用紙を半分に切り裂く出来事があったが、「記念に半分を持ち帰ろうと思った。」と説明。親戚の説明によれば、男性は最近交通事故に遭い、それ以後、言動がおかしい。
21時40分軍事クーデター以来初のタイ議会下院(定数500)総選挙を実施。タイの総選挙は2011年07月03日以来、約8年ぶり。クーデター直前の2014年02月02日に行われた総選挙は反政府派の妨害に遭い、憲法裁判所が無効と判断。

← 左から、アナーコット・マイ党のタナトーン党首、プア・タイ党のスダラット元保健相、、民主党のアピシット元首相、パラン・プラチャーラット党のプラユット暫定首相。

24日午後09時40分時点の非公式の開票結果(開票率約90%)によると、プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指す軍政派・反タクシンの新党、パラン・プラチャーラット党が126議席以上をほぼ確実にし、プラユット首相の続投が濃厚。
軍政が作成、施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、パラン・プラチャーラット党は下院で126議席以上を確保すれば政権を獲得できる見通し。ただ、下院で反軍政のプア・タイ党、アナーコット・マイ党などが抵抗すると予想され、不安定な政権運営を強いられそうだ。

24日投開票のタイ議会下院(定数500)選挙で、2011年の下院選で2位だった民主(プラチャーティパット)党が30、40議席台(24日午後09時40分時点の非公式開票速報)の壊滅的な大敗を喫した。
民主党のアピシット党首(元首相)は、支持者の前で「党首を辞任する。」と表明。
民主党は1946年設立のタイで最も古い政党。1990年代には当時党首だったチュワン・リークパイ現党顧問会長が2度首相を務め、政界をリードした。アピシット党首、コーン元財務相など現幹部には王室に近い裕福な名家の出身者が多い。クルングテープと南部が地盤で、2001年以降、タクシン派と第1党を争ってきた。今回の下院選では同じ反タクシン派陣営のパラン・プラチャーラット党に票を食われ、クルングテープでほぼ全敗するなど総崩れとなった。
22時30分2014年から軍事政権が続くタイで、24日、2011年以来初のタイ議会下院(定数500)総選挙を実施。
24日午後10時30分時点の非公式の開票速報によると、獲得議席数はタクシン派のプア・タイ党141、プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指す軍政派・反タクシン派の新党パラン・プラチャーラット党141、軍政との対決姿勢を打ち出す新党のアナーコット・マイ党86、東北部ブリラム県などを地盤とするプームチャイ・タイ党54、2011年の下院選で2位だった民主党42。
軍政が作成、施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、パラン・プラチャーラット党は下院で126議席以上を確保すれば政権を獲得できる見通しで、プラユット首相続投の可能性が高まった。
ただ、上院の支持で第2次プラユット政権が発足しても、下院では少数派となり、プア・タイ党、アナーコット・マイ党などの抵抗で、難しい国会運営を迫られる。パラン・プラチャーラット党は旗幟を鮮明にしていないプームチャイ・タイ党などを連立に引き込み、足場を固めたいところ。
第2次プラユット政権が発足した場合、経済産業政策については、タイ東部臨海地域にロボット、次世代自動車などの新たな産業を誘致するタイ東部経済回廊(EEC)、クルングテープのドンムアン空港とスワンナプーム空港、東部のウタパオ空港を結ぶ高速鉄道整備、主要鉄道路線の複線化といった、産業の高度化、インフラ整備を進める政策を継続し、外資の投資環境に大きな変化はない見通し。社会面では、急速な少子高齢化、貧富の格差といった難題に直面し、対応に苦慮することになりそう。
03月25日(日)
04時前
中央選挙管理委員会は、開票率94%の時点での各政党の獲得票数を発表。トップはパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党の769万8115票、第2位はプア・タイ(タイ貢献)党の722万9526票、以下、アナーコット・マイ(新未来)党531万1458票、プラチャーティパット(民主)党328万1958票、プームチャイ・タイ(タイ威信)党324万7658票。
中央選管によれば、開票率100%における発表は25日午後02時の予定。
14時中央選挙管理委員会は、05月09日に小選挙区当選者の公式発表とあわせて比例代表の議席数を公表する。」と発表。中央選挙管理委員会のチャルンウィット事務局長はさらに、「マスコミ各社が勝手に政党別比例代表議員数を算出・発表し国民を混乱させている。」と批判。現行憲法85条の規定によれば、「中央選挙管理委員会は投票日から60日以内に下院全議席(500)の95%の当選を認定することが義務付けられている。それまでは選挙違反等の調査が行われ地区によっては再選挙となるため、各党の獲得票数は変わる可能性があり、比例代表での議席も確定できない。」
ただ、その現地マスコミの独自集計によれば、プア・タイ党は比例代表は議席を獲得できず137議席。パラン・プラチャーラット党は21議席前後で合計116~120議席で次点となる見通し。新首相は今回選ばれた下院議員500人と事実上軍部が選んだ上院議員250人の国会議員計750人による投票によって票獲得率5%以上の政党の首相候補の中から選ばれる。
現時点で最多議席獲得の可能性が高いプア・タイ党のスダラット首相候補は「「プア・タイ党が最多議席を獲得したのであり、これが国民の声。上院議員は国民の意思を尊重すべき。第1党が政権党となるべき。」と明言しており、さらに第3党候補のアナーコット・マイ党、および第5党候補のプームチャイ・タイ党の党首からも同様の発言が出ている。
パラン・プラチャーラット党では「連立政党を合わせ下院過半数を獲得できれば政権党になる資格がある。」、「(議席数は次点でも)全選挙区での獲得票数はトップ。」、「我が党にこそ連立政権を構える正統性がある。」と、すでに連立政権樹立に意欲を示していることから、今後水面下で政党との連立交渉が激化しそう。今回の総選挙では下院(定員500)で単独過半数となる議席数を確保した政党はなく、そのため、複数の政党が連立政権を組むことが不可避。
「タクシン派陣営の中核をなすプア・タイ党と親軍部陣営の要であるパラン・プラチャーラット党が中小政党の取り込みに躍起になっている。」というが、03月25日の時点で獲得議席51~53でまだ態度を明確に示していないプームチャイ・タイ党がどちらの陣営が連立政権を樹立できるかの鍵を握っている。
16時24日に行われたタイ下院総選挙(定数500/ 小選挙区350、比例代表150)での小選挙区当選者を中央選挙管理委員会は、非公式の暫定的な開票結果を発表。
全350選挙区(小選挙区)のうち、タクシン派プア・タイ党が137議席を獲得し1位。2位はタイ軍派パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党の97議席、プームチャイ・タイ(タイ威信)党の39議席、プラチャーティパット(民主)党の33議席、アナーコット・マイ(新未来)党の30議席、チャート・タイ・パタナー(タイ国民開発)党の6議席、チャート・パタナー(国家開発)党が1議席、プラチャーチャート(国民)党の6議席、ルワム・パラン・プラチャーチャート・タイ(タイ国民団結)党の1議席。
選挙管理委員会が午前03時以降に発表した選挙の開票結果の速報値で、一部の地域で得票数が投票数を上回ったり、有権者の総数より投票数が多かったりといった集計の際に問題が見られたことから、選挙委員会は「集計を見直している。」と発表。
ネット上では「開票時に不正があった可能性がある。」゜と、一部の人が「問題が多発したのは中央選挙管理委員会の責任であり、委員5人全員の罷免を求める。」と、解任を求める署名活動を「change.org」で開始。すでに目標としていた50万人の署名を超えており、午後04時過ぎの時点で52万7457人の署名を集めた。
夕方までに賛同者が約66万人に上った。
change.orgでは、「総選挙では不正行為や準備不足などが蔓延しており、その責任は中央選管にあるとしている。具体的には、選管の作為・不作為は、憲法164条、270条、274条、不正対策関連基本法の58条と65条に抵触する。」
change.orgでは、選管委員罷免手続きに入るため、賛同者リストを上院議長に提出する予定。
選挙結果を受け、パラン・プラチャーラット党とプア・タイ党はそれぞれ政権樹立に向けた連立工作に動き始めた。
パラン・プラチャーラット党はプームチャイ・タイ党、プラチャーティパット(民主)党などを取り込み、過半数を目指す。軍政が作成、施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、パラン・プラチャーラット党は有利な立場にある。
プラチャーティパット(民主)党のアピシット党首は「プラユット首相の続投を支持しない。」と表明していたが、自党の大敗を受け、党首を辞任するため、プラチャーティパット(民主)党が同じ反タクシン派陣営のパランプラチャーラット党と連立を組む障害はなくなる。プラチャーティパット(民主)党幹部のコーン元財務相は、「プラチャーティパット党がプア・タイ党陣営に加わる可能性を『不可能』。」と断言。
プームチャイ・タイ党はパラン・プラチャーラット党陣営とプア・タイ党陣営の間でキャスティングボートを握ったと見られる。プームチャイタイ党は2008年にタクシン派政党パラン・プラチャーチョン党が憲法裁判所により解党された際に同党から離脱した地方有力政治家らが結党した。2008~2011年の反タクシン派アピシット連立政権に参加し、2011年の下院選では500議席中34議席を獲得し第3党だった。タイ・ゼネコン(総合建設会社)大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの創業者オーナー一族であるアヌティンが党首を務め、背後には東北部ブリラム県に強い影響力を持つベテラン政治家のネーウィンが控える。
プア・タイ党はアナーコット・マイ党などの政党を結集し、過半数を目指す。プームチャイ・タイ党が加われば過半数に届くが、軍政が上院を抑えているため、首相指名選挙での勝ち目は薄い。
今後の日程は、選挙委員会が05月09日までに当選者を確定し、05月中に国会を開会、首相指名選挙を行い、06月中に組閣となる見通し。
今回の下院選は、プア・タイ(タイ貢献)党とアナーコット・マイ(新未来)党で計1329万票、パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党とプラチャーティパット(民主)党で計1164万票で、「同じ陣営のプア・タイ党からアナーコット・マイ党に、プラチャーティパット党からパラン・プラチャーラット党に票が流れた。」と考えると、説明がつきそう。
パラン・プラチャーラット党は権威主義的な政治体制による政治社会の安定、アナーコット・マイ党は軍の改革とクーデターの再発防止、民主的な憲法の制定など、それぞれ「黄服」、「赤服」の主張をプラチャーティパット党、プア・タイ党より先鋭化させている。両党が支持を集めたことで、両派の対立はこれまで以上に深まる恐れがある。
「赤服」はタクシン政権(2001~2006年)で誕生した。それまで政治意識が薄かった東北部や北部の住民、貧困層が、タクシン政権のばらまき政策で恩恵を被り、投票で生活が変わることを知った。以来、タクシンの忠実な下僕となり、それまで地方を無視してきた中央と対立するようになった。シンボルカラーは共産主義の「赤」。
数で勝る「赤服(タクシン派)」は2001年、2005年、2007年、2011年と下院選で勝ち続けた。一方、旧貴族階級や富裕層、クルングテープの中間層を中心とする「黄服」は、自分たちの「使用人風情」が選んだタクシン派政権に支配されることに強烈な反感を抱き、軍と司法、デモを駆使して反撃。2006年には大規模デモからの軍事クーデター、2008年には憲法裁判所によるタクシン派政党解党、2014年には再度、大規模デモからの軍事クーデターで、タクシン派政権を打倒した。黄服の支持者はデモなどの際、故プミポン前国王の誕生日の色である「黄色」の服を着る。「赤服」を「赤い水牛」と呼び侮蔑する。
03月26日(火)今回の総選挙に伴う新政権誕生でプラユット氏は第37代首相の任を終えることから、03月29日放送のテレビ番組の中で支持者に別れの挨拶をする予定。
毎週金曜日放送のプラユット首相出演のこのテレビ番組は、2014年05月のクーデターで軍部が全権を掌握した直後から続くもの。29日の番組の中で首相は、05月04~06日に執り行なわれる戴冠式や関連の行事や儀式の準備に尽力している政府職員に感謝の意を伝える予定。
プラウィット副首相兼国防相は、親軍部の「パラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権樹立に向けて話し合いを進めている。」とする報道の一部を否定。
この報道は、クルングテープに本部を置くプラウィット副首相が議長を務める5国境県森林保護基金においてプラウィット副首相がプームチャイ・タイ党やプラチャーティパット(民主)党を含む複数の政党代表と連立についてすでに話し合いを行っているというもの。だが、「プラウィット副首相だけでなく、話し合いに参加したとされる政治家も全て連立政権樹立に向けた話し合いを行った事実はない。」としている。
03月27日(水)24日に実施された下院(定数500)選挙を受け、タクシン派のプア・タイ党、新党のアナーコット・マイ党などプラユット軍事政権と対立するタクシン派6党は、クルングテープ都内で記者会見を開き、欠席したセタキット・マイ(新経済)党を含む「7党で連立政権を樹立する。」と発表。
両党のほか、セーリールワム・タイ(タイ自由共同)党(党首、セーリーピスット元警察長官)、セタキット・マイ(新経済)党(党首、ミンクワン元商務相)、マレー系イスラム教徒が住民の大半を占めるタイ深南部の地域政党プラチャーチャート(国民)党(党首、ワンムハマドノー・マター元副首相)など7党で下院議席の過半数、255議席を抑えたとしている。
タイ選挙委員会は選挙結果を公表しておらず、実際にタクシン派7党で過半数に届くかどうかは微妙な情勢。一部の報道によると、プア・タイ党はタクシン派、軍政派の間でキャスティングボートを握ったとされる中規模政党プームチャイ・タイ党のアヌティン党首に首相ポストを提示し連立参加を呼びかけたとされるが、プームチャイ・タイ党は記者会見に姿を見せなかった。
タクシン派が下院で過半数を確保しても、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が下院とともに首相指名選挙で投票するため、軍政派有利の状況に変わりはない。ただ、軍政派の政権が誕生しても、下院で法案を通すのが困難になり、政権運営は早々に行き詰まることになりそうだ。
タクシン派の記者会見について、軍政のウィサヌ副首相は「選挙委が選挙結果を確定するのはワチラロンコーン国王の戴冠式後の05月09日。それまでに選挙違反で失格となる候補者もいるだろう。」と指摘し、「現時点での政権樹立宣言はタクシン派の揺さぶりに過ぎない。」と一蹴。プームチャイ・タイ党のアヌティン党首は「選挙委が公式な選挙結果を発表するまで政権樹立に関する意見を表明しない。」と述べた。
タイの新聞各紙の推定によると、各党の獲得議席数はプア・タイ党135~137、アナコート・・マイ党80~87、セーリールワム・タイ党10~11、セタキット・マイ党6、プラチャーチャート党6、軍政派のパラン・プラチャーラット党117~119、反タクシン派で南部が地盤のプラチャーティパット党53~55、プームチャイ・タイ51~52、スパンブリー県など中部が地盤のチャートタイ・パタナー党11など。
パラン・プラチャーラット党はプラチャーティパット党、プームチャイ・タイ党などを引き込み、連立政権樹立を目指す模様。
中央選挙管理委員会は、「候補者の当落について29日に95%を発表する。」と明らかにしたが、選挙結果全てを発表するのは05月09日の予定。
欧州連合(EU)と米国が選挙結果の発表の遅れと軍政が支配する議会上院(定数250)の干渉に懸念表明。
EUは25日の声明で、「出来るだけ早く選挙結果が発表されることを期待する」「有権者の意思を反映した政府の樹立を望む。」と表明。米国務省のロバート・パラディーノ副報道官は26日、「(下院選は)国民の意思を反映した民主的な政府への復帰に前向きなサイン。」という言い回しで、上院を通じた軍政の干渉を牽制するとともに、選挙結果の迅速な発表と選挙違反に関する公正透明な調査を求めた。
タイ選挙委員会は25日に下院選の小選挙区(350議席)の暫定的な獲得議席数を発表したが、比例代表(150議席)については27日になっても発表がない。公式な選挙結果の発表はワチラロンコン国王の戴冠式後の05月09日にずれ込むと見られる。
下院選をめぐっては、集計をめぐる不正や票買収、軍政による反対派の抑圧などを指摘する声も多く、選挙監視団体、軍政と対立する政党などが、選挙委の透明性、中立性に疑問を投げかけている。
タイ証券取引所(SET)株価指数終値は22日が前日比0.75%高の1646.29ポイント、週明けの25日は前営業日比1.24%安の1625.91ポイントで、26日は1632.32ポイント、27日は1629.4ポイント。
軍政と対立するタクシンの家族がオーナーの不動産会社SCアセットは22日終値が1.96%高の3.12Bだったが、タクシン派の政党、プア・タイ党が選挙で伸び悩んだことを受け、25日は5.13%安の2.96Bに急落。27日終値は2.98B。
中規模政党プームチャイ・タイ党のアヌティン党首が元社長で大株主の大手ゼネコン(総合建設会社)、シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションは22日終値が1.32%高の23B、25日が3.04%高の23.7B、26日が0.42%高の23.8Bと3日連続で株価が上昇。27日は1.26%安の23.5Bだった。プームチャイ・タイ党は下院選で善戦し、タクシン派・民主派と反タクシン派・軍政派の間でキャスティングボートを握ったと見られる。
復権を図るタクシン派とタクシン派抹殺を目指す軍政派が激しく衝突した24日の議会下院選挙。しかし内幕を見ると、軍政派も選挙の指揮を執ったのはタクシン政権(2001~2006年)の元閣僚。

左から、プラユット首相、ソムキット副首相、ネーウィン、アヌティン(タイ暦2561年05月)→ 

プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指し昨年始動した軍政派の新党パラン・プラチャーラット党。生真面目そうなウッタマ党首(プラユット政権の前工業相、元バンコク大学学長)ら党幹部の多くはプラユット政権の経済政策を統括するソムキッド・ジャトゥシーピタック副首相の側近。ソムキット副首相はタクシン政権で副首相、財務相などを歴任し、一時はタクシン首相の後継者に擬せられた。
学界、財界などの出身で政治経験が乏しい党幹部を支え、パラン・プラチャーラット党の選挙戦を実質的に指揮したのは、北部スコータイ県に強力な地盤を持ち、タクシン政権で副首相、労相などを務めたソムサック・テープスティン、大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナーであるチュンルンルアンキット家の出身で、タクシン政権で副首相、工業相などを務めたスリヤ・チュンルンルアンキット。2人はタクシン政権で同僚だったソムキットの求めに応じ、自派閥の政治家や他党から引き抜いた元議員ら数十人を引き連れパラン・プラチャーラット党に入党し、党の基盤を固めた。因みに今回の下院選で旋風を巻き起こし第3党となった反軍政派の新党、アナーコット・マイ党のタナートン・チュンルンルアンキット党首はスリヤの甥。
下院選で善戦し、タクシン派と反タクシン派・軍政派の間でキャスティングボートを握ったとされる中規模政党プームチャイ・タイ党は、2008年にタクシン派政党パランプラチャーチョン党が憲法裁判所により解党された際に同党から離脱した政治派閥が前身。大手ゼネコン(総合建設会社)、シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの元社長で大株主のアヌティン・チャーンウィラクーン同党党首はタクシン政権で副保健相を務めた。タクシン派プア・タイ党の首相候補であるスダーラット・ケユラパン保健相は当時の上司。
プームチャイ・タイ党の影の指導者と目され、東北部ブリラム県に強力な地盤を持つネーウィン・チッチョープはタクシン政権で首相府相を務めた。タクシンに実行力を評価され、懐刀的な存在。2008年にパランプラチャーチョン党が解党された際に反タクシン派の民主党側に寝返り、アピシット、プラチャーティパット(民主)党連立政権発足の立役者。

* ソムキット・チャトゥシーピタック
1953年、クルングテープの支那街ヤワラート生。米ノースウエスタン大学経営大学院で経営学博士号(マーケティング)取得。タイ開発研究所(TDRI)教授、消費財大手サハパタナピブン・グループ取締役などを経て、タクシン政権で副首相、財務相、商務相を歴任。タクシン政権を倒した2006年の軍事クーデター当日はタイのシントン王女に同行しパリに居た。2015年からプラユット軍事政権の副首相。支那語が堪能で、話すタイ語には支那語訛り。


タイは政治、経済など全ての分野で、この百年以内に入ってきた支那移民に牛耳られている。日本も歴代移民党と野盗が支那朝鮮人を入れ続け帰化させ、日本人が虐げられる日本に変質させている。特に無理やり通した移民法は04月から施行される。

03月28日(木)タイ選挙管理委員会は、24日に行われた総選挙の非公式開票結果(開票率100%)を発表。
タイ地元紙によると、得票数トップはタイ軍派パラン・プラチャーラット党が843万3137票を集めてトップ。
2位はタクシン派プア・タイ党で792万0630票。以下アナーコット・マイ党の626万5950票、プラチャーティパット(民主)党の394万7726票、プームチャイ・タイ党の373万2883票、セーリールワム・タイ党の82万6530票、チャート・タイ・パタナー党の78万2031票、セタキット・マイ党の48万5664票、プラチャーチャート党の48万5436票、プア・チャート党の41万9393票、ルワム・パラン・プラチャーチャート・タイ党の41万6324票、チャート・パタナー党の25万2044票、パラントーンティン・タイ党の21万3129票、ラック・プーンパー・プラテート・タイ党の13万6597票と続いた。
投票者数は3826万8375人、有権者の74.69%が投票。有効票は92.85%、無効票は5.57%、白票は1.58%。
開票率100%での数字ではあるが、こられは中央選管がまだ承認していない非公式なもので、、選挙違反が認定された選挙区で再選挙を行い、公式な選挙結果の発表はワチラロンコーン国王の戴冠式後の05月09日になる見通し。
27日に連立政権樹立で合意したタクシン派のプア・タイ党、反軍事政権の新党、新未来党など民主派6党の議席数は大手のメディアの推計で247―248となった。27日の記者発表に同席しなかったものの連立に加わると約束したという新経済党の6議席を加えると、過半数をわずかに上回る。
首相指名選挙では、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が下院とともに投票するため、プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指す軍政派・反タクシン派の新党、パラン・プラチャーラット党陣営有利の状況に変わりはない。ただ、第2次プラユット政権が誕生しても、下院で法案を通すのは困難で、政権運営は早々に行き詰まると予想される。
中央選挙管理委員会によると、暫定得票数1位はパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党。支持層が重なるプラチャーティパット(民主)党から票を奪い、プア・タイ党の低迷もあり、得票数1位となった。しかし、小選挙区で勝ちきれず、議席数は2位の118議席と選挙前の予想の範囲内に止まる見通し。
2位のプア・タイ(タイ貢献)党は、前回2011年の下院選の約1575万票からほぼ半減した。議席数は137と1位の見通しだが、予想を大きく下回り、タクシンの影響力低下は避けられない。
得票数3位はアナーコット・マイ(新未来)党。40歳で清新なイメージのタナートン党首が軍との対決姿勢を打ち出し、87~88議席を獲得。反軍政票がプア・タイ党から流れたほか、若年層の支持を集めた。ただ、同党はプア・タイ党同様、選挙関連法違反で憲法裁判所により解党される恐れがある。
得票数4位は1946年設立のタイで最も古い政党、プラチャーティパット(民主)党で推定議席数は55。民主党は得票数が前回下院選の約1144万票のほぼ3分の1に激減。アピシット党首(元首相)が民政復帰を訴えるものの、党の支持層は軍政支持という股裂き状態で選挙戦に突入。プラユット首相の続投不支持、パラン・プラチャーラット党との連立は否定せず、という曖昧な方針を打ち出し、支持層に見放された。
5位は2008年にタクシン派政党から分離し反タクシン派陣営に寝返ったプームチャイ・タイ(タイ威信)党で、推定議席数51~52。東北部ブリラム県のネーウィン元首相府相ら地方に強い地盤を持つベテラン政治家が多く、プア・タイ党に似た政策を掲げ、選挙区密着の選挙戦を展開した。予想を上回る議席を獲得し、パラン・プラチャーラット党陣営、プア・タイ党陣営の間でキャスティングボートを握った。
タイで最も長い歴史を誇る政党である民主党は今回の総選挙で前回の総選挙に比べ議席を大きく減らすことが確実となったことから、その責任をとりアピシット氏が党首を辞任したが、同党幹部のタウォンは「民主党が親軍部の国民国家の力党を中核とする陣営に加わるべき。」との考えを明らかに。
総選挙前にアピシット党首(当時)は「新政権樹立において民主党はパラン・プラチャーラット党にもプア・タイ党にも与しない。」と述べていた。だが、タウォンによれば、「パラン・プラチャーラット党は最も多く票を得た政党であり、同党をトップとする陣営による連立政権樹立に民主党は協力すべき。」
タイ国内9大学の学生らが、「今回の総選挙において不正や違反が多かったのは中央選挙管理委員会に責任がある。」と選管委員の罷免を求める活動を開始。
これら学生は一般市民や学生に対し、以前から選管委員の罷免を求めているネット上のサイトを訪れ「罷免支持」に賛成するよう呼びかけている。同サイトで「罷免支持」に賛成した人はすでに80万人を超えている。この他、9大学では学生らがデスクを設置して罷免支持への署名を集めることにしている。
タイのテレビ報道によると、タイ軍幹部は、クルングテープの陸軍基地で記者会見し、「タイ軍予科士官学校がタクシン元首相の名前を成績優秀者の名簿から外し、名誉賞を剥奪した。」と発表。「卒業生としての名誉を損なった。」としている。
記者会見にはポンピパット国軍最高司令官と陸海空3軍の司令官、国防省次官、警察長官の5人が出席。
ポンピパット司令官は、「今月22日に香港で行われたタクシンの次女ペートーンターンの結婚式にワチラロンコーン国王の姉のウボンラット王女が出席したことが原因か?[という質問に、「違う」と答え、「様々なことが積み重なり、こういう決定に繋がった。」と述べた。
クーデター以降、ドバイ、支那などで、事実上の国外亡命生活を送っているが、タイ国内はタクシン派と反タクシン派に2分され、現在に至るまで、激しい政争が続く。 2014年にクーデターでタクシン派政権を倒し発足したプラユット軍事政権は2015年にタクシンの「中佐」の階級を剥奪するなど、タクシンへの敵意を露わにしている。 一方のタクシンは今年3月24日に実施された8年ぶりの議会下院選で、自派政党タイ・ラクサー・チャート党の首相候補としてウボンラット王女を擁立し、王室を旗印に掲げる反タクシン派の無力化を図った。この奇策は国王の反対で失敗し、憲法裁判所が今月07日、立憲君主制に敵対する行為を禁じた政党法に違反したとして、タイ・ラクサー・チャート党に解党処分を下した。
タクシンは支那人で支那の工作員。詳しくは、姉妹サイト↓
http://www.geocities.jp/thaksin/thaksin.html
島以西とにワチラロンコーン国王のバカ姉(紅毛と結婚し王族籍を剥奪、息子はクラビーで遊んでたら津波に呑まれ死亡。)は、AKB48のタイの姉妹グループBNK48の「恋するフォーチュンクッキー」のタイ語カバー曲「คุกกี้เสี่ยงทาย」(クッキー・シアン・ターイ)を歌って踊る奇行。
https://www.youtube.com/watch?v=d06jdhakOzY
19年前の06月01日ディペンドラ王太子王族抹殺事件で、父王、母王妃、弟妹、伯母、叔父などと自分10人を殺害し、王室が廃止された。支那の暴虐な殺戮事件だというのが当然の帰結。タイ王室も支那の破壊工作が常に入っている。日本も、神主であるべき皇統に、美智子、雅子、紀子と、邪宗門、創価、朝鮮の穢れが入り、明仁も徳仁も文仁も自覚がない。真子、佳子に至っては乱行の数々。安倍移民党首相は米軍により廃止した宮家復活を前言を翻して否定した。移民法は04月から施行され、明仁の憲法違反の特措法により、05月からより劣化の代に移る。
03月29日(金)在タイ日本大使館によると、「クルングテープの高架鉄道BTS戦勝記念塔(Victory Monument)駅近くのスカイウォークで31日午後05時頃から反政府集会が行われる。」という情報がある。大使館は日本人在住者、旅行者に対し、可能な限り現場に近づかないよう注意喚起。
タクシン派のプア・タイ党と親軍部のパラン・プラチャーラット党が率いる2陣営がともに連立政権を樹立しようともがいている中、親軍部陣営につく可能性が高いとされる民主党は、新しい党役員と下院議員に同党がどの陣営につくかの決定を一任することを決定。
非公式発表によると民主党の獲得議席数は55。民主党は前回の総選挙に比べて獲得議席数を大きく減らし、アピシットが責任をとって党首を辞任したが、アピシットは選挙運動中、「パラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相の新首相就任を支持せず、プア・タイ党をも支持しない。」と表明。
民主党では、党役員代行、元下院議員、今回の総選挙で当選した候補者らが話し合い、民主党がどの陣営に参加するかを新党役員と総選挙当選者に決めてもらうことで意見が一致。
03月30日(土)在タイ日本大使館によると、「03月30日午後01時頃から、クルングテープ都内の高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅のスカイウォーク(バンコク芸術文化センター前)、03月31日午後04時から06時頃、ラーチャプラソン交差点で反政府集会が行われる。」という情報がある。大使館は日本人在住者、旅行者に対し、可能な限り現場に近づかないよう呼びかけている。
ワチラロンコーン国王が王室によるタクシンに授与した勲章全てを03月29日付で剥奪。「最高裁判所で実刑が確定し、ほかにも複数の事件で追求を受ける中、国外に逃亡するなど、極めて不適切な振る舞いがあった。」と指摘。
タクシンは2006年09月、渡米中に軍事クーデターで首相の座を追われ、そのまま英国などで事実上の亡命生活をしていたが、2008年02月に帰国し首相在任中の汚職容疑などで捕らえられたが保釈。その後、保釈中の同年08月、裁判所の許可を得て支那を訪れたが、そのまま帰国せずに逃亡し現在に至る。
10月、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで禁錮2年の実刑判決が確定。以来、タイに帰国せず、ドバイなどに滞在。
03月31日(日)03月24日に行われた8年ぶりのタイ議会下院選挙で大規模な不正が行われたと主張する民主化グループが、クルングテープ都内の高架鉄道BTS戦勝記念塔駅の高架歩道スカイウォークとBTSチッロム駅前で、タイ選挙委員会の委員7人の罷免を求める署名活動を行った。
 警備にあたった警官隊との衝突はなかった。
タイ人大学生組織であるタイ学生連合(SUT)はこのほど、総選挙で50議席以上獲得(非公式発表)したプラチャーティパット(民主)主党に対し、タクシン派プア・タイ党を中核とする陣営が新政権を樹立し軍部の政治関与に終止符を打てるよう同陣営に参入するよう求めた。
民主党は先に党首を辞任したアピシットが「親軍部陣営にもタクシン派陣営にも支持しない。」と宣言していたが、同党では間もなく選ばれる新しい党役員と今回の総選挙で当選した下院議員がどちらの陣営を支持するかを決めることになっている。
SUTによれば、「民主党もプラユット首相が新首相に選ばれるのを阻止したいはずであり、そのためには、これまで敵対してきたタクシン派を支持するしかない。」
04月01日(月)反タクシンの姿勢を堅持してきた民主党がタクシン派プア・タイ党を中核とする陣営に参加すれば、同陣営が連立政権を樹立できる可能性が大きく高まるとされているが、民主党のチュリン党首代行はこのほど、「プア・タイ党と連立樹立について話し合った。」との一部報道を全面的に否定。
ネット上には、チュリンとプア・タイ党の首相候補であるスダラット♀のツーショットが投稿され、話し合いが実際に行われたとの印象を与えるが、チュリンによれば、写真は今年01月09日に開かれた新聞社のパーティーで撮影され、翌日の新聞に掲載されたもので、最近撮影された写真ではないとのこと。
04月02日(火)プラユット首相が「悪意を持つ者が誤った情報を流布して混乱を起こそうとしている。」と指摘したが、今度はアピラット陸軍司令官が、「立憲君主制を変更し国民を分断しようとすることで内乱の起きる可能性がある」と警告。警告の対象は外国で学んだ人々という。
アピラット陸軍司令官は、「外国で学んだ学生、学者、政府職員が民主主義をどのように勉強したかは知らないが、民主主義は様々な異なる文化に適合するものとされている。」、「外国で学んだ民主主義をそのままタイに導入することはできない。」との考えを示した。
04月03日(水)総選挙で500議席中80議席(非公式発表)を獲得したアナーコット・マイ党の党首を務めるタナトーンが治安妨害などの罪に問われる可能性が出てきた。これは、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が「タナトーンは2015年に反軍部のデモ参加者が逮捕を免れる手助けをした。」と訴えたことによるもの。警察当局はすでに04月06日午前10時、都内パトゥムワン警察署に出頭するようタナトーンに伝える手続きを執った。
04月04日(木)選挙法が定めた比例代表(150議席)の議席を票数から算出する方法に複数の解釈が浮上し、投票から10日以上経ったにもかかわらず、中央選挙管理委員会が結論を出せずにいる。
今回の下院選は過半数に届いた政党がなく、連立工作が焦点となっている。比例代表に関する選挙委の判断が政局に大きな影響を与える可能性があり、中央選挙管理委員会の中立性、透明性を疑う声が強まっている。
中央選挙管理委員会のサウェン副事務局長は、5都県の6つの投票所で再投票を命じたことを明らかに。これは、投票に来た有権者の人数と投票箱内の記入済み投票用紙の枚数が合致していなかったため。北部ラムパング県4区の第3投票所と第6投票所、東北部ヤソートン県2区の第6投票所、西部ペチャブン県1区の第12投票所、中部ピサヌローク県2区の第6投票所、クルングテープ都13区の第32投票所で04月中旬のソンクラン祭後に再投票が行われる予定。
中央選管はさらに、東北部コンケン県3区の第1投票所と第5投票所について人数と票数の不一致から票の再集計を命じている。
最終的な開票結果は、来月09日に発表される予定。
プラユット軍事政権と真正面から対立する民主派の新党、アナーコット・マイ(新未来)党が軍政・保守派から集中砲火を浴びている。党首が煽動罪、幹事長が不敬罪などに問われ、党自体も解党処分を受ける可能性が浮上。
アナーコット・マイ党はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループ創業者一族のタナートン・チュンルンルアンキット党首(40)のもと、軍事費の削減と軍事クーデターの再発防止、民主化に向けたタイ軍の抜本改革、不敬罪の改正、軍政が作成施行した2017年憲法の改正などを訴え、03月24日に行われた2011年以来初のタイ議会下院(定数500)選挙で第3党に躍り出た。
軍政保守派はアナーコット・マイ党の主張に強く反発。今月02日に記者会見したアピラット、タイ陸軍司令官は「国外で学んだ左翼思想を持ち込むな。」、「立憲君主制の変更を企てれば内戦になる。」などと警告。同日、軍政派団体が、「国家の安全保障と王室を脅かす。」として、選挙委員会にアナーコット・マイ党の解党を要求。
アピラット司令官の発言に対し、タナートン党首は03日、「アナーコット・マイ党は民主主義への復帰、人権の尊重、公正な司法を求めているだけだ。」と反論し、軍政の圧力に屈しない姿勢を見せた。
タナートン党首は、2015年06月にクルングテープ都内のパトゥムワン警察署前で行われた反軍政デモでデモ参加者の脱出を助けたとして、煽動罪に問われている。今月06日、取り調べのためパトゥムワン署に出頭する予定。
04月05日(金)在タイ日本大使館によると、「06日午前09時半頃から、クルングテープ都内のパトゥムワン警察署前で反政府集会が行われる。」という情報がある。パトゥムワン署は地下鉄フワラムポーン駅の東約800m。
大使館は日本人在住者、旅行者に対し、可能な限り現場に近づかないよう呼びかけている。
「03月24日に行われたタイ下院総選挙は問題だらけ。」として中央選挙管理委員会の委員全員の罷免を求める動きが起きているが、中央選管のイティポン委員長は、「選管を不当に非難し、偽情報を拡散している。」として複数の活動家やウェブサイトの責任者を名誉棄損で訴える手続きを取ったことを明らかに。
中央選管は05月09日までに総選挙の公式結果を発表するとしているが、パコン中央選管委員によれば、「選管に寄せられた選挙に関する300件近い苦情について現在調査が行われており、これにより公式結果発表に向けた作業に遅れが出ている。」
04月08日(月)反軍部のタクシン派プア・タイ党率いる陣営と親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする陣営のどちらが連立政権を樹立できるかに関心が集まっているが、民主(プラチャーティパット)党のタウォン元副党首によれば、「民主党では小選挙区での当選者(非公式)の大半がパラン・プラチャーラット党側につくことを望んでいる。」
中央選管による非公式発表では、獲得議席数で民主党はプア・タイ党、パラン・プラチャーラット党、アナーコット・マイ党に次ぐ第4位。なお、民主党では新しい党役員と新たに当選した下院議員による話し合いでどちらの陣営につくかが決められる見通し。
04月09日(火)一部の政治家から政治の行き詰まりを打開するためにすべての政党が協力して国政を担う挙国一致内閣案が出ているが、プラユット首相は、「(挙国一致内閣を樹立するためには)法律面の検討を注意深く行う必要があるが、時期尚早である。」と述べ、「今のところ挙国一致内閣の樹立について話し合う必要はない。」との見方。
総選挙は03月24日に投票が行われたものの、いまだ新政権樹立の見通しは立っていない。中央選管は05月09日までに正式な選挙結果を発表する見通しで、その後、連立樹立に向けた話し合いが本格化する見通し。このため、プラユット首相は「現時点で政治が行き詰まっていると判断するのは適当でない。」と考えている。
04月10日(水)タイ国王の諮問機関である枢密院のプレム議長(元首相、元陸軍司令官、98)は、クルングテープ都内の自宅にプラユット首相(元陸軍司令官、65)らタイ軍事政権幹部を迎え、タイ正月(ソンクラン、水かけ祭り)の祝賀の挨拶を受けた。
プレム議長と首相以下全閣僚は故プミポン前国王の誕生日の色である黄色の上着を着用。プレム議長は鼻に酸素吸入器をつけながらも立って出迎え、プラユット首相から祝賀の挨拶を受けた後、「国家と伝統、文化を守って欲しい。」などと短いスピーチを行った。その後、付き添いの兵士とプラユット首相の腕を取り、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官、73)、アヌポン内相(元陸軍司令官、69)、アピラット陸軍司令官(59)らと談笑した。
04月11日(木)タイ選挙管理委員会は、「先月24日に行われた総選挙で法律で定められた比例代表制の配分方法に問題がある。」とし、憲法裁判所に判断を仰ぐことがわかった。
タイ地元紙によると、先日行われたのは下院総選挙で、500議席の打ち、350議席を小選挙区制、残り150議席を比例代表制で議員を選出するのだが、得票数から議員数を配分する方法に問題があった。
国王戴冠式が行われる05月04〜06日の後に正式な開票結果を発表する予定だったが、憲法裁判所で審議が行われれば、さらに開票結果の発表が遅れる可能性が出てきた。
04月16日(火)中央選挙管理委員会は「総選挙の公式結果を05月09日までに発表する。」としているが、ここに来て予定通りに発表できない可能性が浮上。これは、比例代表の当選者決定における票数計算方法で混乱が生じ、中央選管が関連法の解釈について憲法裁判所の判断を仰ぐことに決めたため。
05月09日までに憲法裁の判断が示されない場合、同日までに公式結果を発表することができなくなる。比例代表で当選者を決める方法については、憲法91条と下院議員選挙法128条に規定されているが、後者が前者に抵触する恐れがあるとして混乱が起きている。
有識者やメディアからは、「比例代表では約7万1000票の獲得票に対し1議席が与えられる。」との指摘が出ているが、中央選管が採用した方法では、3万~4万票を得た政党にも議席を配分。そのため、獲得議席が減らされた獲得票の多い政党が反発。
04月18日(木)ウィサヌ副首相は、中央選挙管理委員会に対し、総選挙の公式結果発表の期限についても憲法裁判所に判断を求めるよう提言。ここに来て、中央選管が期限として設けている05月09日までに公式結果を発表できない恐れが出てきたため。
今回の総選挙では、比例代表議席配分方法に関して異なる解釈が存在しており、その結果、中央選管が憲法裁の判断を仰ぐことになった。しかし、判断がいつ示されるかは不明で、予定通り05月09日までに公式な総選挙結果を発表できるかどうか微妙な状況。
ウィサヌ副首相によれば、「『憲法では下院議員選挙法の施行日(昨年12月11日)から150日以内に総選挙の公式結果を発表する。』と規定しており、中央選管は同規定に基づき期限を05月09日としている。一方、『下院議員選挙法では総選挙の公式結果を投票日(03月24日)から60日内に発表する。』とされており、こちらを取った場合、発表の期限は05月23日となる。このため、ウィサヌ副首相は、どちらの期限を採用すべきかの判断を憲法裁に求めるのが良い。」
中央選挙管理委員会は先に投票者数と票数の不一致のため複数の投票所で再投票を行うと発表していたが、南部チュムポン県の第2選挙区の第9投票所で今月28日に再投票を実施し、中部ナコンパトム県の第1選挙区内の全ての投票所で票の数え直しをすることを発表。
04月21日(日)今回の総選挙で最多議席を獲得したとされるタクシン派プア・タイ党のプムタム幹事長は、「プア・タイ党では野党となる準備のため党首交代を考えている。」との憶測について、「事実無根」と明言し、「我が党は最多議席を獲得しており、政権を構える権利がある。」と力説。
法律の規定により野党リーダーは下院議員でなければならないが、プア・タイ党は比例代表の当選者がおらず、幹部の大半が議員資格がないための措置。
今のところ総選挙の公式結果は05月09日に発表される予定で、この発表に伴い、連立政権樹立に向けた政党間の折衝が本格化する見通し。
04月23日(火)事実上の亡命生活を続けているタクシンについて、最高裁判所はこのほど、「首相在任中の2004年にタイ輸出入銀行を通じての40億Bに上る対ビルマ融資に絡む不正があった。」として、「タクシンを禁錮3年にする。」との有罪判決を下した。
タクシンは自身が実質支配する通信会社が利益を得られるよう融資の金利を非常に低く設定したとされる。なお、タクシンを被告とする裁判であるが、今回の事例を含め汚職や不正などに関する6件が終了しており、3件が未だ継続中。
「タナトーン、アナーコット・マイ党党首の総選挙立候補の手続きが無効であり当選も無効。」との訴えについて、中央選挙管理委員会は、「無効を裏付ける証拠が存在する。」との見方を示した。
訴えによれば、憲法ではマスコミ関連会社や出版社の株主あるいはオーナーであることが下院議員選挙立候補の欠格事由とされているが、タナトーン党首はメディア関連事業を手がける会社のVラック・メディア社の株を67万5000株所有しながら立候補。
中央選管のサウェン副事務局長によれば、中央選管は調査を開始したばかりであり、タナトーン党首の反論を聞くなどしてから欠格事由に該当するか否かの判断を下す予定。
今後1週間以内にこの疑いに関して、反論する機会が与えられる。現在タナトーン党首は、ヨーロッパを訪問中で、今日午後に帰国する予定。
この容疑に対して、タナトーン党首は「議員に立候補する前の今年03月21日付で保有していた全株式を母親に譲渡したことを明かしており、違反はしていない。」と反論。
この違反が認定されれば、タナトーン党首の参政権停止やアナコット・マイ党の解党命令が下される可能性が高い。
アナーコット・マイ党は、先日行われた総選挙で非公式情報ながらタクシン派プア・タイ党、タイ軍派パラン・プラチャーラット党に次いで第3政党となる少なくとも80となっており、タクシン派プア・タイ党と連立政権を樹立する意向を示している。
タナトーン党首は実業家から政界に転じた若手実業家であり、新時代の政治家として注目を集めている。
タクシン元首相が権力乱用などに問われた裁判で、政治家の汚職などを裁く一審制の特別法廷、タイ最高裁判所政治職在任者刑事犯罪部門は、被告のタクシンが不在のまま、禁錮3年の実刑判決を下した。
タクシン政権(2001~2006年)当時の2004年、タイ輸出入銀行がビルマ政府に対し、タクシン一族が所有する通信衛星会社シン・サテライト(現社名、タイコム)から通信機器とサービスを購入するためなどの資金約40億Bを低利で融資したことを、タクシンによる不正行為と認定。
タクシンは幹部警官から起業家に転じ、1990年代にタイ屈指の富豪となった。1998年に政党を設立。地方、貧困層へのばらまき政策を掲げ、2001年の議会下院選で大勝し首相。2005年の下院選でも圧勝し、首相に再選されたが、2006年09月、外遊中に軍事クーデターが起き失脚した。2007年に実施された民政復帰のための下院選でタクシン派政党が勝利したため、2008年02月にタイに帰国。同年08月に出国し、同年10月、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受けた。以来、タイに帰国せず、ドバイなどに滞在。
04月24日(水)03月24日に投票が行われた2011年以来初のタイ議会下院(定数500)選挙は投票から1ヶ月以上経っても暫定議席数さえ発表がない異例の事態。
選挙法が定めた比例代表(150議席)の議席を票数から算出する方法に複数の解釈が浮上し、タイ選挙委員会が結論を出せずにいるため。選挙委は憲法裁判所に判断を求める申し立てを行ったが、憲法裁は不受理。
比例代表議席の配分方法について憲法と下院議員法とで方式が異なっていることから混乱が生じたため、中央選挙管理委員会が憲法裁判所に判断を仰いでいたが、憲法裁判所は、「どちらの方式を採用するかは中央選管が決めるべきであり、その権限もある。」と中央選管の求めを却下。
このため中央選管はいずれの方式を採用するかを決めなければならなくなったが、仮に獲得票数が少ない政党にも議席を配分した場合、結果的に獲得票数の多い政党の議席数が減ることになり、これらの政党が「不当」として中央選管を訴えること可能性がある。
憲法の規定により、選挙委は05月09日までに選挙結果を発表する必要がある。今回の選挙では軍事政権派と民主派の双方が政権発足を目指し連立工作を進めており、選挙委の判断が勝敗を分ける可能性がある。敗者となった側は選挙委を相手取って裁判を起こすと見られ、選挙委は困難な判断を迫られている。
軍政に敵対するタクシン派プア・タイ党の陣営に属するとされるアナーコット・マイ党のタナトーン党首が立候補欠格事由に該当するとして訴えられ、立候補も当選も無効となる可能性が出てきたが、プラユット首相は、現政権の後ろ盾である「国家平和秩序評議会(NCPO)は関与していない。」と明言。NCPOが黒幕との見方を否定。
ラユット首相によれば、「訴えは憲法に基づいたものであり、プラユット首相が議長を務めるNCPOには口出しする権限がない。」
タナトーン党首が訴えられたことについては、プア・タイ党による連立政権樹立を阻止するための現政権側の陰謀との指摘も出ている。
04月25日(木)中央選挙管理委員会は比例代表議席確定方法で憲法規定と下院選挙法規定のどちらか一方を選ばざるを得ない状況に追い込まれているが、関係筋によれば、プア・タイ党を中核とする陣営、すなわち軍政に敵対する陣営に不利な方法を採用する見通し。
下院議員選挙法に準拠した方法を採用した場合、獲得票数の少ない政党も議席を得ることになるが、これにはタクシン派プア・タイ党が以前から強く反対している。というのもこの方法ではプア・タイ党の陣営に属するアナーコット・マイ党が最も影響を受け、議席を非公式発表の約87から80前後に減らすことになるため。
今回の総選挙は、選挙区350議席、比例代表150議席となっている。
プラユット首相は25~27日に北京で開催される支那の広域経済圏構想、一帯一路の第2回国際会議に出席するため、26、27日に支那を訪問。ソムキッド副首相、ドーン外相、アーコム運輸相らが同行。プラユット首相は滞在中に支那の習近平国家主席、李克強首相らと会談。
タイ東北部のノンカイとラオの首都ビエンチャンを鉄道で結ぶ計画について、支那、ラオと協力覚書に調印する予定。支那は雲南省-ビエンチャン間、クルングテープ-タイ東北部ナコンラチャーシーマ間で高速鉄道の建設を進めている。計画では、ナコンラチャーシーマからノンカイまで高速鉄道を延伸し、ビエンチャンと接続。ノンカイ-ビエンチャン間はメコン川に架かる鉄道橋を第1タイ・ラオ友好橋近くに架橋。
04月26日(金)プラユット首相は26、27日に支那を訪問。北京で25~27日に開催された支那の広域経済圏構想、一帯一路の第2回国際会議に出席。滞在中に支那の習近平国家主席、李克強首相らと会談。
05月01日(水)タイ王室は、「ワチラロンコーン国王(66)が王太子時代から国王の警護に当たっていたスティダー(・ティッドチャイ)・ワチラロンコーン・ナ・アユタヤ陸軍大将と正式に結婚し、スティダー大将が王妃になった。」と同日付け官報で発表。
ワチラロンコーン国王は1977年からこれまでに3度結婚しており、7人の娘と息子がいる。4度目の結婚の相手のスティダー王妃は1978年06月03日生の40歳。私立アサンプション大学でコミュニケーション学を学び、タイ国際航空に入社して客室乗務員として勤務。2010年からは当時王太子であった国王の警護部隊に入り、その後、プミポン前国王死去2ヶ月後の2016年12月、国王警護の特別部隊責任者となり、陸軍の最高位である大将に昇格。
ワチラロンコーン国王は2016年10月、父であるプミポン前国王の死去を受け、国王に即位。今月04日に戴冠式。
タクシン派プア・タイ党は、タイ軍派「パラン・プラチャーラット党の幹部が選挙違反している。」としてパラン・プラチャーラット党の解党を選挙管理委員会に訴えた。
プア・タイ党ナロンは、「パラン・プラチャーラット党幹部でクルングテープ都15区で立候補したチャンウィットが、メディア事業を手がける会社の株式を保有しているということが選挙違反に当たるとし、党幹部であることから党の解党を検討するべき。」としている。
これと同様の嫌疑が現在反軍政派でプア・タイ党との連立政権を目指しているアナーコット・マイ党のタナトーン党首にも掛けられており、選挙管理委員会はタナトーン党首に弁明の場を与えている状況。場合によってはアナーコット・マイ党も解党の可能性が出ているが、タナトーン党首は、「選挙前に問題となった会社の株式を売却しており、選挙違反ではない。」としている。
中央選挙管理委員会筋によれば、中央選管の採用した比例代表議席配分方法では、合計27党が1議席以上を獲得する見通し。この方法は憲法起草委員会(CDC)が打ち出した案に基づいたもの。
一方、04月30日に開催された中央選管の会合で、05月07日に小選挙区、翌08日に比例代表の公式結果を発表を決定。
05月02日(木)ウィサヌ副首相は、中央選挙管理委員会が05月08日までに総選挙の公式結果を全て発表する予定であることから、新政権の誕生は06月になるとの見通しを示した。
タイの法律によれば、選挙後初の国会となる特別国会を下院議員当選者の95%以上が公式発表されてから15日以内に開催することになる。また、総選挙の結果が承認されてから3日以内に上院議員250人のリストを国王に提出し、承認を得なければならない。
ウィサヌ副首相によれば、05月04日にワチラロンコーン国王の戴冠式が執り行なわれることを受けて、政府は国王が祝賀の人々に会われる儀礼を国王の誕生日である07月28日に開催する予定。
ウィサヌ副首相によれば、政府は現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が発した命令のうち不要となったものを超法規的権限を行使することで無効とすることを検討している。
超法規的権限は憲法でNCPO議長(プラユット首相)に付与されているもの。ウィサヌ副首相は、「必要がなくなった命令を新政権が誕生するまで放置しておけば、新政権はこれらの命令を無効にするために法案を作成するなどの手続きを踏まなければならず、新政権にとって負担になる」と説明している。
一方、NCPOの命令のうち約62は今後も必要であることから、NCPOは関係政府機関に対し命令が効力を失わないよう現政権が存続しているうちに命令を省令などに変換するよう求めている。
05月04日土曜日から06日月曜日にかけ、クルングテープでワチラロンコーン国王(66)の戴冠式が行われる。06日は臨時の休日で、週末から3連休。
戴冠式は04日、王族、枢密顧問官、閣僚らが出席して王宮で行われる。05日はクルングテープ都内のパレード、06日は王宮での参賀が予定。期間中、王宮周辺では交通規制が敷かれる。また、王宮と仏教寺院ワット・プラケーオは02~06日、一般公開が中止。
クルングテープの都市鉄道ブルーライン(地下鉄MRT)とパープルラインは5日と6日、エアポートレイルリンクとBTSは5日、運賃が無料になる。
05月03日(金)04~06日に行われるワチラロンコーン国王(66)の戴冠式を記念し、恩赦が発表。戴冠式の恩赦で受刑者数万人が釈放もしくは刑期短縮となった。官報によると、恩赦が適用される受刑者は、社会奉仕活動をした者、刑期が残り1年未満の者、末期癌の者、HIV感染者、70歳以上の者、20歳未満の者、刑期を半分以上務めた者など。一方、複数回服役している者、死刑から無期に減刑となった者などは恩赦の対象外となる。
今回の恩赦で、黄服がトレードマークの王党派・反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)の幹部5人が釈放される。
釈放されるのはチャムロン・シームアン元クルングテープ都知事(83)らで、2008年にクルングテープのタイ首相府を長期間占拠した際の公共物毀損などで、今年02月、最高裁で禁錮8ヶ月の実刑を受け服役。
05月04日(土)ウィサヌ副首相は、「上院議員候補250人の承認を得るため国王に名簿が提出されるのは05月09日になる。」 」との見通しを明らかに。
上院議員候補は現軍政の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)により選ばれた人々だが、ウィサヌ副首相によれば、辞退者の出る可能性もあるため、NCPOが予備を選んでいる最中。
なお、陸海空3軍の司令官3人、国軍最高司令官、国防事務次官、警察庁長官の計6人は法律で上院議員を務めることが定められており、選考を経て上院議員に就任するのは244人。
一方、ウィサヌ副首相は、上院議員に内定し閣僚辞任の準備を進めている者に対し、「上院議員の欠格事由に該当しないよう気をつけなければならない。」と注意を促した。
これは、放送・出版などメディア関連企業や政府の許可を受けて事業を行っている企業などの株式を保有している者は上院議員になれないことが法律で規定されているため。
ウィサヌ副首相はさらに、「立法議会(NLA)のメンバーで上院議員を務めることが内定している者も所定の期限までにNLAメンバーを辞しておく必要がある。」と呼び掛けた。
ワチラロンコーン国王が王位に就いたことを広く知らせるための戴冠式が、クルングテープ都内の宮殿で伝統に則って執り行なわれた。
現国王(ラマ10世)はプミポン前国王(ラマ9世)の長男で、前国王が2016年10月13日に88歳で亡くなったことに伴い、王位を継いでいた。戴冠式は69年ぶりとなる。
なお、この日、国王が先に結婚したスティダーに王妃の称号を付与されたことを官報で発表。
05月05日(日)祝賀パレードは王宮などがあるラタナコーシン地区で行われた。同地区に入る主要道路ではエックス線検査や手荷物検査があり、通過には1時間ほど掛かった。外国人はパスポートチェックのためさらに30分ほどかかり、カメラなど撮影機材は1台ずつ確認、登録。
パレードの沿道は座る場所がないほど混んではおらず、直前についても十分視界が確保できた。機材を登録していただけあって、写真撮影は自由だったが、ストロボの使用は禁止。
05月06日(月)チャックリー王朝の10代目となるワチラロンコーン国王(66)の戴冠式及びその関連行事が、04日から06日にかけてクルングテープ都内の王宮で行われた。戴冠式は69年ぶり。今回の戴冠式には、今月01日にワチラロンコーン国王と結婚を発表したスティダー王妃も参加。
戴冠式は04日、王族、枢密顧問官、閣僚らが出席して王宮で執り行われた。05日はクルングテープ都内でパレード、06日は王宮で参賀が行われた。
05月07日(火)選挙管理委員会は、03月24日に投票が行われた2011年以来初のタイ議会下院(定数500)選挙の小選挙区350議席のうち349議席の当選者を発表。
政党別の議席数1位はタクシン派反軍事政権派のプア・タイ党で136議席。2位はタクシン派と対立するプラユット軍政が設立した新党、パラン・プラチャーラット党で97議席、3位は2008年にタクシン派政党から分離したプームチャイ・タイ党で39議席、4位はタイ最古の政党で反タクシン派のプラチャーティパット(民主)党で33議席、5位は反軍政の新党、アナーコット・マイ党で30議席、6位はマレー系イスラム教徒が住民の大半を占めるタイ深南部の地域政党プラチャー・チャート党とスパンブリー県など中部が地盤のチャートタイ・パタナー党でそれぞれ6議席。ほかに小政党2党が各1議席獲得。残る1議席は北部チエンマイ県の選挙区で、プア・タイ党の候補が最多得票したが選挙違反で失格になり、再投票が行われる。
憲法の規定により、選挙委は05月09日までに選挙結果を発表する必要があるが、比例代表(150議席)の議席の算出方法をめぐり混乱が生じ、憲法裁判所の判断を仰いでいる。憲法裁は08日に判断を下すと見られる。
今回の選挙は大きく分けると軍政派と民主派の争いで、下院の勢力は拮抗すると見られる。ただ、首相指名選挙では、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が下院とともに投票するため、プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指すパラン・プラチャーラット陣営が圧倒的に有利だ。しかし、第2次プラユット政権が誕生しても、民主派の抵抗で下院で法案を通すのは困難になり、政権運営は難航が予想される。
上院議員内定者が法律に触れることなく上院議員になるために閣僚や立法議会(NLA)議員の辞任が相次いでおり、その数は閣僚15人以上、NLA議員60人以上に及んでいる。
辞任したのはプラチン副首相兼法相(元空軍司令官)、チャッチャイ副首相(元副陸軍司令官)、アドゥン労相(元警察長官)ら。上院議員は10日以降に発表される見通し。
NLA議員のうちプラユット首相の弟であるプリーチャ元国防事務次官は、すでに辞表を提出したことは明らかに。ただ、プラユット首相によれば、「閣僚は現在、半分以下の17人に減ってしまったが、副大臣が肩代わりするなどしているため政府の仕事に支障は出ない。」
プラユット首相は、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)と内閣の合同会議のあと、NCPOが発した命令のうち145を無効とすることを明らかに。同会議では、どの命令を無効とするかなどが話し合われたという。
プラユット首相はまた、「NCPOが発した命令や声明の中に(国や国民に)ダメージを与えるようなものはなかった。」と指摘し、「NCPOの最大の業績は、過去5年間にわたって平和と秩序を守り切ったことだ。」と強調。
05月08日(水)中央選挙管理委員会は、前日の総選挙の小選挙区当選者公式発表に続き、2011年以来初のタイ議会下院(定数500)選挙の比例代表150議席のうち149議席の当選者を公式発表。
中央選挙管理委員会は07日に小選挙区350議席のうち349議席の当選者を発表しており、各党の獲得議席はほぼ確定。第1党はタクシン派のプア・タイ(タイ貢献)党で136議席(全て小選挙区)。以下、プラユット軍政が設立した新党パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党115議席(小選挙区97、比例代表18)、新党、アナーコット・マイ(新未来)党80議席(小選挙区30、比例代表50)、タイ最古の政党で反タクシン派のプラチャーティパット(民主)党52議席(小選挙区33、比例代表19)、2008年にタクシン派政党から分離したプームチャイ・タイ(タイ威信)党51議席(小選挙区39、比例代表12)、スパンブリー県など中部が地盤の地域政党チャート・タイ・パタナー(タイ国民開発)党10議席(小選挙区6、4)、セーリーピスット元警察長官が設立した新党セーリールワム・タイ(タイ自由共同)党10議席(全て比例代表)、マレー系イスラム教徒が住民の大半を占めるタイ深南部の地域政党で民主派のプラチャーチャート(国民)党7議席(小選挙区6、比例代表1)、ミンクワン元商務相が設立した新党、セタキット・マイ(新経済)党6議席(全て比例代表)、タクシン派の衛星政党プア・チャート党5議席(全て比例代表)、軍政派のステープ元民主党幹事長率いるルワム・パラン・プラチャーチャート・タイ(タイ国民団結)党5議席(小選挙区1、比例代表4)など。
小規模政党に有利な議席の算出方法を採用したため、13の政党がそれぞれ1議席を獲得。一方、プラユット軍事政権と対立する7党の議席数は当初の見込みを下回り、過半数に届かなかった。
比例代表をめぐっては、議席の算出方法に関する選挙法の解釈が2通り浮上し、投票から1ヶ月以上経っても当選者が確定しなかった。08日になり、選挙委が推す小規模政党に有利な議席の算出方法を憲法裁判所が合憲と判断し確定。
プア・タイ党、アナーコット・マイ党など7党は選挙から3日後の03月27日、「下院で255議席を獲得し、連立政権を樹立する。」と発表した。しかし、選挙委が採用した比例代表の議席算出方法により、アナーコット・マイ党の議席数が当初見込みを7議席を下回るなど、反軍部陣営は下院500議席中245議席で過半数に達せず、連立政権樹立は困難。一方、プラユット首相の続投を支持する親軍部政党、パラン・プラチャーラットは253議席と過半数ラインを上回る見通しであり、このためパラン・プラチャーラット党率いる陣営による連立政権樹立の可能性が今のところ濃厚。
今回の選挙は大きく分けると軍政派と民主派の争い。両陣営は今後、旗幟を鮮明にしていない中規模政党や1議席獲得した小規模政党を自陣営に引き込み、過半数獲得を目指すと見られる。ただ、首相指名選挙では、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が下院とともに投票するため、プラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指す軍政派が圧倒的に有利。
なお、関係筋によれば、「親軍部陣営は各党への閣僚ポスト割り振りについて折衝を開始しており、プラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党にそれぞれ6ポストずつ与えることが内定した。」
05月09日(木)反軍部の立場を明確にしている新党、アナーコット・マイ党のタナトーン党首は、上院議員をボイコットするよう改めて全ての政党に呼びかけた。
上院議員250人は事実上軍部により選ばれているが、首班指名では下院議員500人とともに投票権を持つ。タナトーン党首は、「親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権が誕生することも、プラユット首相が新首相に選ばれることも事実上の軍政継続であり不当。容認することはできない。」と訴えている。
05月10日(金)親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権を樹立するため、パラン・プラチャーラット党と複数の政党の間で折衝が続けられているが、関係筋は、連立参加が見込まれる複数の政党がプラウィット副首相兼国防相らの入閣に難色を示していることを明らかに。
これらの政党は、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の主要メンバーが入閣することで「軍部は政権の座にしがみついている」といった政府批判が出ることを恐れているとのことだ。
とりわけプラウィットは高級腕時計問題などで批判を浴びていた人物であり、プラウィットの入閣には拒否反応を示す政党が多い。
05月13日(月)中央選挙管理委員会が09日に発表した下院総選挙の公式開票結果で当確した少数政党11党が、タイ軍派パラン・プラチャーラット党と連携しプラユット首相の続投を支持することを決定。
パランチャート・タイ党、プラチャー・ピワット党、タイ・シーウィライ党、パラン・タイ・ラック・タイ党、クルータイ・プア・プラチャーチョン党、プラチャー・ニヨム党、プラチャー・タム・タイ党、パラン・ポンラ・ムアンタイ党、プラチャー・ティパタイ・マイ党、パランタム・マイ党、タイ・ラックタム党の11党が、「パラン・プラチャーラット党と連携する。」と共同声明を発表。この少数政党は、ほとんど10議席未満の政党。
首相の選出は、上院250議員と下院500議員によって決められる。下院議員は公選制だが、上院議員は軍によって選出される任命制のため、軍が支持するプラユット首相の続投が決定的となっている。現在首相を務めるプラユットはパラン・プラチャーラット党の推す唯一の首相候補。
一方、タクシン派プア・タイ党を中核とする陣営は245席を確保しているため、51議席のプームチャイ・タイ党と52議席のプラチャー・ティパット党の2党がどちらの陣営につくかに関心が集まっている。これら2党がパラン・プラチャーラット党側に付くと合計253議席となる見通し。なお、残り2議席はチエンマイ県で行われる再選挙後に確定する。
05月14日(火)03月24日に2011年以来初の議会下院(定数500、任期4年)選挙が行われたタイで、プラユット軍事政権が選任した非民選の議会上院(定数250、任期5年)の議員名簿が官報に掲載された。これを受け、22日に国会が開会する。事実上軍部が選出しているため、現軍政に近い者が上院議員になることは以前から予想されており、実際に上院議員160人あまりが軍部や警察と太いパイプを持つ者だった。
上院議員に任命されたのは、プラチン前副首相兼法相(元空軍司令官)、チャッチャイ前副首相(元副陸軍司令官)、アドゥン前労相(元警察長官)といった07日に辞任したばかりの前閣僚、プラユット首相(元陸軍司令官)の弟のプリーチャー元国防次官、プラウィット副首相兼国防相(元陸軍司令官)の弟のスタワット海軍大将、ソムキッド副首相の兄のソム元商務相といった閣僚の親族、軍政傘下の非民選議会「立法議会」の前議員、現役の陸海空軍司令官と国軍最高司令部司令官、国防次官、警察長官ら。軍・警察関係者が議員の100人以上を占めるなど、ほぼ軍政派一色で、タイの完全の民政復帰は少なくともあと5年間お預けとなりそう。
このため、「『軍部は上院を延命の道具に使おうしている。』といった批判が強まり、政治的対立につながりかねない。」と懸念する声が出ている。
関係筋によれば、下院議員500人と上院議員250人による投票で過半数の票を獲得した首相候補が新首相となる。軍政派が下院で130議席程度確保すれば、プラユット首相の続投が決まる見通し。
軍政傘下の政党、パラン・プラチャーラット党は下院選で115議席を獲得。さらに、選挙委員会が下院の比例代表の150議席について、小規模政党に有利な議席の算出方法を採用したため、当初は議席0のはずだった小政党11党がそれぞれ1議席を獲得。11党は今月13日、パラン・プラチャーラット党支持を表明し、軍政派の勢力は他の小規模政党も含め130議席を超えた。
一方、タクシン派のプア・タイ党(136議席)、新党のアナーコット・マイ党(80議席)など軍政と対立する7党は獲得議席数が245と過半数に届かなかった。
残る120議席超のうち、反タクシン派の民主党(52議席)はパラン・プラチャーラット党陣営への参加が噂される。2008年にタクシン派政党から分離したプームチャイ・タイ党(51議席)は旗幟を鮮明にしていない。
ウィサヌ副首相によれば、下院議員500人のうち当選が確定した498人と上院議員250人全員の氏名が発表されたことから、2014年05月22日の軍事クーデターからちょうど5年となる05月22日に特別国会が開催される見通しだ。
ただ、国王を迎えての国会開会式は05月24日に執り行なわれ、その翌日の25日に上下両院でそれぞれ議長が選出される予定。
05月15日(水)在タイ日本大使館によると、「22日午後06時ごろから、クルングテープ都心のラーチャプラソン交差点(高架鉄道BTSチッロム駅近く)で、反軍政派による政治集会が行われる。」という情報がある。大使館は日本人在住者、旅行者に対し、可能な限り現場に近づかないよう呼びかけている。
プラチャーティパット(民主)党は、「党首選挙でチュリン・ラクサナウィシット党首代行(63)が50.5%の支持を集め新党首に選出された。」と発表。
この党総裁選は、先日当選した下院議員52人とその他、党関係者239人、合わせて291による投票で決められた。
議会下院(定数500)選挙で、獲得議席が2011年の前回下院選の159議席から52議席に激減する大敗を喫し、アピシット党首が辞任。党首選にはチュリンのほか、コーン元財務相、アピラック元クルングテープ都知事ら3人が出馬。実績で勝るチュリンが下院議員票、党役員票などで他の3人を圧倒。
チュリンは就任早々、新政権発足を目指すプラユット軍事政権派とタクシン派のプア・タイ党率いる反軍政派のどちらにつくかという、タイの将来を左右する重大な決断を迫られる。
軍政派は非民選の議会上院(定数250)を支配するため、プラチャーティパット党の支持なしでも政権樹立が可能と見られるが、下院で少数与党となり、プラチャーティパット党が加われば下院で過半数を制し、軍政派と正面から対決することが可能になる。ただ、プラチャーティパット党は過去20年近く、2大政党の1つとしてタクシン派政党と政権を争ってきただけに、タクシン派との共闘は困難と見られる。「新しい党首、役員のもとで進むべき道を決める。」と、どちらの陣営につくかをまだ明らかにしていない。チュリンを党首に推していたアピシット前党首、チュアン元党首、バンヤット元党首らは、パラン・プラチャーラット党が連立政権を樹立し、プラユット現首相が引き続き首相を務めることには反対との姿勢を以前から明らかにしている。
プラチャーティパット党は下院総選挙で、反軍政派プア・タイ党、タイ軍派パラン・プラチャーラット党、反軍政派アナーコット・マイ党に次いで、4番目の52議席を獲得。第3勢力として今後の党の方針に注目が集まっている。

* チュリン・ラクサナウィシット
1956年、南部パンガー県生。タマサート大学行政学部卒。下院議員を11期務め、第2次チュワン政権(1997~2001年)で首相府相、アピシット政権(2008~2011年)で教育相、保健相を歴任。
05月16日(木)プームチャイ・タイ党は、今月20日にも軍政派と反軍政派のどちらと連携するか発表する方針。
プームチャイ・タイ党首は、「東北部ブリラム県で行われる演説会で市民と対話した上で、20日にも発表する。」と語っている。
プームチャイ・タイ党は、03月24日に行われた下院総選挙(定数500)で、5番目となる51議席を獲得しており、軍政派と反軍政派のどちらと連携するか注目が集まっていた。
中央選挙管理委員会は、03月に行われた下院総選挙で第3政党の「アナーコット・マイ党のタナトーン党首がメディア関連の株式を保有して立候補したことが選挙違反に当たる。」と、憲法裁判所に最終判断を仰ぐことを決めた。憲法裁判所による判断によるが、タナトーン党首の参政権停止、場合によっては同党に解党命令が下される。
中央選挙管理会は、「タナトーン党首が雑誌を発刊するウィラックメディアの株式を保有および取締役に在籍したまま、立候補したことは選挙違反に当たる。」と見ている。
タイ商務省(DBD)に報告された情報によれば、下院総選挙の立候補の届出期間である今年02月04~08日以降の03月21日まで取締役に在籍。また同社株式については、タナトーン「は03月21日付で全保有株式を母親に譲渡した。」と語っており、同じく立候補の届出時点では保有していたことになり、選挙違反と判断された。
05月17日(金)下院第3政党の反軍政派アナーコット・マイ党タナトーン党首が、「自身を中心とした政権の樹立を目指す。」と発表。同党首は、今回改めて首相へ立候補したことになる。
これに対して同じく反軍政派で下院第1政党のプア・タイ党は、タナトーン党首を首相とした連立政権樹立を目指すことに賛同している模様。
プア・タイ党は、プラユット首相など軍部による政権運営を阻止し、憲法改正を目指すことができれば、どの党とでも連携する方針。
ただし、タナトーン党首は、現在選挙管理委員会から法律違反の嫌疑がかけられており、議員資格剥奪の可能性が出ている。
05月20日(月)タクシン派のプア・タイ党を中核とする陣営に与する姿勢を見せていたアナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首がまだこの陣営に加わっていない政党を説得してアナーコット・マイ党を中核とする陣営を立ち上げる意向を明らかに。
アナーコット・マイ党は総選挙で80議席を獲得しており、議席数では第3位。関係筋によれば、タナトーン党首はプラチャーティパット(民主)党とプームチャイ・タイ(タイ威信)党などと新しい陣営を結成することも視野に入れている。
下院総選挙(定数500)で51議席を確保したものの、いずれの陣営につくかを公表していないプームチャイ・タイ党であるが、サクサヤム幹事長は、「アヌティン、プームチャイ・タイ党党首が近くプラチャーティパット党などまだどの陣営を支持するか表明していない複数の政党と話し合う予定である。」と明らかに。その一方で「新たな陣営を立ち上げることを目的としたものではない。」とも付け加えた。
今のところ、親軍部パラン・プラチャーラット党を中核とする陣営、タクシン派プア・タイ党率いる陣営、第3陣営のいずれと連立政権を構えるのか不透明な状況であるが、サクサヤム幹事長によれば、「数日のうちに状況は今より明らかになる見通し。」
05月21日(火)総選挙に伴い誕生する新政権は複数の政党で構成される連立政権となる見通しであるものの、どの政党を中核とする陣営が連立政権を樹立するかはまだ不透明な状態。
関係筋によれば、「どの陣営につくか態度を明らかにしていないプラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党の2党が獲得閣僚ポストを可能な限り増やそうと共闘を組むことになった。」と明らかに。
下院(定数500)においてプラチャーティパット党は52議席、プームチャイ・タイ党は51議席を確保しており、合計議席数は103に上る。同筋によれば、「これら2党がどの陣営につくかはどれだけ多くの閣僚ポストが提供されるかに掛かっている。その折衝においてプラチャーティパット党、プームチャイ・タイ党の2党が別個に対応するより協力して折衝に当たった方が交渉を有利に進め、閣僚ポストを多く獲得することが可能になると考えた。」
タナトーン、アナーコット・マイ党党首の立候補欠格問題について、中央選挙管理委員会は、憲法裁判所に判断を委ねることを決めた。
争点となるのは、タナトーン党首が総選挙に立候補した段階で法律に違反してメディア関連株を保有していたか否か。保有していたとなれば、立候補は無効となり、当選も無効。
タナトーンは「今年01月に株を母親に譲渡しており、立候補時には株を保有していなかった。」と主張。「憲法裁で潔白が証明されると確信している。」と述べ、立候補欠格問題に関して「(現政権の後ろ盾である)国家平和秩序評議会がアナーコット・マイ党に損害を与えようとした企て。」と非難。
なお、最高裁判所では05月23日にもタナトーンの立候補が合法か違法かの判断を示すか否かを決める見通し。
タクシン派のプア・タイ党を中核とする陣営に与する姿勢を見せていたアナーコット・マイ党のタナトーン党首がまだこの陣営に加わっていない政党を説得してアナーコット・マイ党を中核とする陣営を立ち上げる意向を明らかに。
アナーコット・マイ党は総選挙で80議席を獲得しており、議席数では第3位となる。関係筋によれば、「タナトーン党首はプラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党などと新しい陣営を結成することも視野に入れている。」
いずれの陣営が連立政権を構えるかで重要な役割を果たすと見られている政党の1つ、プラチャーティパット(民主)党のアピシット前党首は、「プラチャーティパット党がパラン・プラチャーラット党陣営が連立政権を構えるのを手助けすることになれば、アピシットは下院議員を辞める。」との一部報道について、「根も葉もない噂に過ぎない。」と全面的に否定。
民主党は今のところどの陣営につくか明確にしていないが、アピシットは総選挙前からプラユット首相の続投、即ち、パラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権が誕生することに反対していた。
05月22日(水)連立政権樹立においてキャスティングボートを握っているとみられるプラチャーティパット(民主)党とプームチャイ・タイ(タイ威信)党の2党は、どの陣営からの申し出に対しても2党が重要な閣僚ポストを獲得できるようタッグを組んで交渉に当たることを再確認。
プラチャーティパット党のモントリー議員によれば、プラチャーティパット党は内務、商業、エネルギーの3閣僚ポスト、プームチャイ・タイ党は運輸、保健、観光スポーツの3閣僚ポストの獲得を目指している。
なお、関係筋によれば、プラチャーティパット党の幹部と下院議員は05月23日にも党本部でプラチャーティパット党が親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする陣営につくか否かを協議、決定する予定。
05月23日(木)軍関係筋によれば、親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権樹立が現実のものとなりつつあるという。連立政権には、プラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党の2党が参加する見通しで、6議席を保有するセタキット・マイ党も加わると見られている。
セタキット・マイ党では、タクシン派のプア・タイ党陣営への参加を表明していたミンクワンが党首を辞任したが、これはパラン・プラチャーラット党への乗り換えに向けた準備と考えられる。
憲法裁判所は、アナーコット・マイ党タナトーン党首に一時議員活動を禁止することを命じた。
中央選挙管理委員会がタナートーン党首が下院総選挙立候補の際に、「メディア事業を手がけるウィー・ラック・メディアという会社の株式を保有していたことが選挙違反に当たる。」として、憲法裁判所に最終判断を求めていた。
これを受け憲法裁判所は、15日以内にタナートーン党首に弁明の機会を与えるとともに、判決が下されるまで議員活動の停止を命じた。
現在タナートーン党首は、下院第1政党のタクシン派プア・タイ党ら複数の政党が、首相候補に推しており、反軍政による連立政権の樹立を目指している。
アナーコット・マイ党のタナトーン党首は、中央選挙管理委員会がタナトーンの立候補欠格問題に対する判断を憲法裁判所に求め、憲法裁判所もこの要請を受け入れタナトーンの当選認定保留を認めたことに強く反発。
タナトーンによれば、「憲法裁への中央選管の要請は非常に性急であり、政治的判断に基づいた可能性が極めて高い。」
アナーコット・マイ党は新党ながら総選挙の獲得議席数で第3位となっているが、タナトーンは以前から親軍部の陣営には与しない方針を表明。タナトーンは、「立候補欠格疑惑などについて、関係当局が親軍部陣営の敵すなわちアナーコット・マイ党を潰そうとした企み。」との見方。
05月24日(金)在タイ日本大使館は、「『24日午後05時半頃からクルングテープの高架鉄道BTSナショナルスタジアム(สนามกีฬาแห่งชาติ、サナーム・キーラー・ヘング・チャート)駅前のバンコク芸術文化センター(หอศิลป์วัฒนธรรมแห่งกรุงเทพมหานคร、ホーシン・ワッタナタム・ヘング・クルングテープマハナコーン)前で民主派による政治集会が行われる。』という情報がある。」と、注意喚起。現場はショッピングセンターのMBK、サイアムディスカバリーがあるパトゥムワン交差点。
05月25日(土)タイの国会が24日に開会。議会下院(定数500、任期4年)議長にプラチャーティパット(民主)党のチュワン元首相、第1副議長に軍傘下の新党パラン・プラチャーラット党のスチャート元副内相、第2副議長にプームチャイ・タイ党のスパチャイ元副農相を選出。
下院議長・副議長選の投票から、これまで旗幟を鮮明にしてこなかったプラチャーティパット党(下院52議席)とプームチャイ・タイ(タイ威信)党(同51議席)がパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党(同115議席)陣営に加わり、同陣営が下院の過半数をほぼ確保したことが明らかになった。近く行われる首相指名選挙では、プラユット軍事政権が選任した非民選の議会上院(定数250、任期5年)が下院とともに投票する。上院議員はプラユット首相(元陸軍司令官)の弟のプリーチャー元国防次官ら軍・警察関係者、軍政の支持者で占められ、下院でもパラン・プラチャーラット党陣営が過半数を確保したと見られ、プラユット首相の続投がほぼ確実となった。
また、プラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党になどにどの閣僚ポストを与えるかについても両党とパラン・プラチャーラット党陣営の間で話が大方まとまっているとみられ、近く連立政権樹立に向けた手続きが具体化するものと見られている。
ただ、下院議長・副議長選の得票数は議長選がチュワン元首相258票、タクシン派のプア・タイ(タイ貢献)党(下院136議席)の候補235票、第1副議長選がスチャート元副内相248票、アナーコット・マイ(新未来)党(同80議席)の候補246票、第2副議長選がスパチャイ元副農相256票、セーリールワム・タイ(タイ自由共同)党(同10議席)の候補239票と僅差だった。プラユット首相と軍が軍政時代と同様の強引な政権運営を続ければ、連立パートナーの離反を招き、下院で過半数を失う恐れがある。

* チュワン・リークパイ
1938年、南部トラン県生。支那系タイ人で、支那名は呂基文。寺に住み込むなど苦学して、タイ国立タマサート大学法学部を卒業。弁護士を経て政界入りし、1992~1995年、1997~2001年に首相を務めた。タイの政界には珍しく汚職の噂と無縁で、首相就任時には資産が一般サラリーマン並みに少ないことが話題になった。
05月26日(日)早朝国王の諮問機関である枢密院のプレム・ティンスラノン議長(元首相、元陸軍司令官)が心不全で死去。98歳。午前05時頃にクルングテープ都内の自宅で体調が悪化し、プラモンクットクラオ病院に緊急搬送され、午前09時09分に心疾患のために死去。
2016年のプミポン前国王の死去に続き、前国王に長く仕えたプレム議長が死去したことで、タイの一時代に幕が下りた。
プレム議長は04月10日、プラユット首相(元陸軍司令官、65)らタイ軍事政権幹部がプレム邸を訪れ、タイ正月(ソンクラン、水かけ祭り)の祝賀の挨拶を行った際に、鼻に酸素吸入器をつけながらも立って出迎え、プラユット首相から祝賀の挨拶を受けた。

プレム枢密院議長(タイ暦2562年04月10日)→ 

今月04日には、前国王の長男であるワチラロンコーン国王の戴冠式に高齢ながらも出席し、王位継承を見届けた。
プレム議長は1920年、南部ソンクラー生。1978~1980年に陸軍司令官、1980~1988年に首相を務めた。プミポン前国王の信頼が厚く、1988年の首相退任時に枢密顧問官に任命され、「ラタブルット(国家功労者)」の称号を受けた。1998年から枢密院議長を務めた。王室と軍部の関係を確固なものにした功績が高く評価されている。
政財官界や特に軍に極めて強い影響力を持ち、年末年始やタイ正月、自身の誕生日前後には例年、現役の軍、警察の最高幹部がプレム邸を祝賀に訪れた。これは、軍、警察がプレム議長を通じてプミポン前国王に忠誠を示す慣行と見られていた。
1980年代のプレム政権は非議員のプレム首相が特権階級や軍の威光を背景に長期政権を率いた変則的な政治体制で、「半分の民主主義」と呼ばれた。現在のプラユット軍政が2017年に施行した現行憲法は、非議員の首相を認め、議会上院を期間限定で任命制に戻すなど、「『半分の民主主義』体制の復活を目論んだ。」という見方がある。
プレム議長はタクシンと対立関係にあると報じられ、タクシン派の一部は、プレム議長と枢密院がタクシン政権を追放した2006年の軍事クーデターとタクシン派インラック政権を倒した2014年の軍事クーデターの黒幕と非難。タクシンは議長を「スーパーパワー」と呼んだ。
05月27日(月)26日に行われたタイ北部チエンマイ県の第8選挙区で行われた下院議員を選出する再選挙で、反軍政派アナーコット・マイ党の候補者スリヌアン・ボーンルゥー♀が当選。
非公式集計結果で、アナーコット・マイ党が7万5819票、パラン・プラチャーラット党が2万7781票を獲得。この地域の有権者は16万3823人、投票率は88.06%。
この選挙区は、3月に行われた総選挙でタクシン派プア・タイ党の候補者が当選していたが、贈収賄があったとして再選挙が行われることになった。
05月28日(火)03月24日に投票が行われた総選挙は、中央選挙管理委員会が、残りの候補者3人の当選を認定し、ようやく下院議員500人全員の当選が確定。

← 左から、アナーコット・マイ党のスリヌアン・ボーンルゥー、パラン・プラチャーラット党のワタニャ・ウォングオパシー、プラチャーティパット党のチタパット・クリサダコーン。

タイ議会下院(定数500)の補欠選挙が26日、北部チエンマイ県8区で行われ、アナーコット・マイ党のスリヌアン・ボーンルゥー♀が、プラユット軍事政権派の新党、パラン・プラチャーラット党のナレス・タムロングティパヤクンに3倍近い差で圧勝。チエンマイ8区では03月24日投票の下院選でタクシン派のプア・タイ党の候補が最多得票したが、選挙違反で失格。プア・タイ党は補選で、アナーコット・マイ党の候補を支援。チエンマイはタクシンの生まれ故郷。
チエンマイ補選の結果を確定し、下院選の総得票数から比例代表の議席の割り振りを変更し、パラン・プラチャーラット党のワタニャ・ウォングオパシー♀と反タクシン派のプラチャーティパット党のチタパット・クリサダコーン♀がそれぞれ1議席、合計全て女性候補の3議席追加。
下院の議席が全て確定。最終的な議席数はプア・タイ(タイ貢献)党136、パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党116、アナーコット・マイ(新未来)党81、プラチャーティパット(民主)党53、2008年にタクシン派政党から分離したプームチャイ・タイ(タイ威信)党51、セーリーピスット元警察長官が設立した新党セーリールワム・タイ(タイ自由共同)党10、スパンブリー県など中部が地盤のチャート・タイ・パタナー(タイ国民開発)党10など。
近く行われる首相指名選挙では、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250、任期5年)が下院とともに投票する。上院議員はプラユット首相(元陸軍司令官)の弟のプリーチャー元国防次官ら軍・警察関係者、軍政の支持者で占められ、プラユット首相の続投はほぼ確実と見られる。
こうした状況を受け、下院ではパラン・プラチャーラット党がプラチャーティパット党、プームチャイ・タイ党、チャート・タイ・パタナー党などと閣僚ポストの配分を中心とする連立交渉を進めている。
タイのテレビ報道によると、パラン・プラチャーラット党は財務、国防、内務、外務、法務、工業、エネルギーなどを押さえ、民主党に商務、農業協同組合、プームチャイ・タイ党に運輸、保健、観光スポーツなどのポストを割り振る方向で交渉を進めている。3党からはすでに、プラチャーティパット党のチュワン元首相が下院議長、パラン・プラチャーラット党のスチャート元副内相が下院第1副議長、プームチャイ・タイ党のスパチャイ元副農相が第2副議長に選出されている。
一方、下院選で旋風を巻き起こしたアナーコット・マイ党のタナトーン党首は、「立候補後もメディア企業の株式を所有し選挙法に違反した。」として選挙委に訴えられ、政治生命の危機に直面している。憲法裁判所は23日、選挙委の訴えを受理するとともに、タナトーン党首の下院議員資格を停止した。違反が認められた場合、タナトーン党首は議席を失い公民権停止処分を受け、アナーコット・マイ党も解党処分を受ける可能性がある。
立政権樹立において重要な役割を果たすと見られる「プラチャーティパット(民主)党は、親軍部のパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党を中核とする陣営に参加する。」との見方が強まっていた。
しかし、プラチャーティパット党が党役員と下院議員との合同会議を急遽中止。「この会議後、プラチャーティパット党がパラン・プラチャーラット党陣営への参加を正式に発表する。」と見られていたが、決定は先送り。
関係筋によれば、プラチャーティパット党は閣僚ポストの配分についてパラン・プラチャーラット党との間で調整が終わっていないことから現時点での態度決定を避けたようだ。
05月29日(水)プラチャーティパット(民主)党関係筋によれば、「パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党との間で閣僚ポスト割り振りが合意に達していないことから、パラン・プラチャーラット党の陣営に加わる決定が先送りにされていたが、パラン・プラチャーラット党がプラチャーティパット党の要求通り農協、商業、社会開発人権保護の3閣僚ポストを与えることに同意。これによってパラン・プラチャーラット党陣営による連立政権樹立実現に向けた道筋が鮮明になってきた。」
また、プラチャーティパット党は05月28日に党役員と下院議員の会議を開き、ここで国民国家の力党陣営につくことを正式に決定する予定だったが、急遽会議開催を見送り。これはプラチャーティパット党との交渉をパラン・プラチャーラット党の誰が主導しているのかがはっきりせず、プラチャーティパット党に不安が生じたことなどが原因。
05月30日(木)ウッタマ党首を含むパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党の幹部連が、チャート・タイ・パタナー(タイ国民開発)党の本部を訪れ、カンチャナ党首に対し連立政権への参加を求めた。
カンチャナ党首は今回の要請を歓迎する意向を示すとともに「チャート・タイ・パタナー党は一般市民を最も助けることのできる閣僚ポストをひとつ望んでいる。」と明らかに。今後、両党間で閣僚ポストについて協議。意見がまとまったところでチャート・タイ・パタナー党の連立政権参加が発表される見通しだ。タイ国民開発党は総選挙で下院(定数500)の10議席を獲得。
06月02日(日)タイ軍派パラン・プラチャーラット党が、反軍政を掲げていたプラチャーティパット(民主)党と連立政権を模索しており、「プラチャーティパット党に所属するアピシット元首相が離党するのでは。」との噂が広まっている。
アピシットは、03月に行われた下院総選挙で反軍政を掲げて選挙戦に挑んだが、得票数が伸び悩み党首を辞任していた。
アピシットは、ここ10年プラチャーティパット党の顔役として活動を続けていた。もしプラチャーティパット党を離党することになれば、一部議員が同調する可能性も否定できない。
06月03日(月)今回の総選挙で当選を果たしたプラチャーティパット(民主)党の10人について、ルアンカイ元上院議員がこのほど、「立候補欠格事由に該当する疑いがある。」として中央選挙管理委員会に憲法裁判所の判断を仰ぐよう要請。
法律では国政選挙に立候補する者はメディア関連企業の株を保有していてはならないと規定されている。ルアンカイによれば、「プラチャーティパット党幹部のコーンなど当選者10人は、立候補の手続きをした際にメディア関連株を保有していた可能性がある。」
コーンに関しては、「株は譲渡した。」と説明しているが、ルアンカイによれば、「コーンが株を手放したのは総選挙後の04月09日であり、株保有のまま行った立候補の手続きそして当選も無効。」
06月04日(火)今回の総選挙で3番目に多い議席を獲得したアナーコット・マイ(新未来)党はこのほど、下院議長に対し、「下院議員30人が法律に反してメディア関連株を所有しながら総選挙の立候補した疑いがある。」として憲法裁判所に判断を仰ぐよう求めた。
アナーコット・マイ党が属するプア・タイ党陣営のライバルはパラン・プラチャーラット党陣営であるが、30人の大半がパラン・プラチャーラット党に所属している。法律では、メディア関連株の保有が立候補欠格事由とされており、株保有が事実なら立候補も当選も無効。
パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党陣営のライバルであるタクシン派プア・タイ(タイ貢献)党率いる陣営では、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首を首相候補として推すことを決まったが、これに対し、プア・タイ党の下院議員から首相候補を陣営が推さないことに不満の声が挙がっている。
プア・タイ党の東北部選出議員84人で構成される派閥は、タクシン派の重鎮の1人であるスダラット元保健相の首相就任を支持としているが、プムタム幹事長によれば、「7党からなるプア・タイ党陣営が一致団結して長期に渡り政権を担当して行くためには陣営内で2番目に議員数の多い新未来党のタナトひーン党首に首相になってもらう必要がある。」
06月05日(水)タイ下院(定数500)で53議席をもつプラチャーティパット(民主)党は、04日、党役員と下院議員の役員会で、パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党を中核とする陣営に参加して連立政権を構えることを賛成61反対16で決定。
この決定を受け、アピシット前党首(元首相)は「プラユット現首相の続投阻止を公約に掲げていたが、これを反故することになった責任を取る。」、「自身の政治信条と合わない。」として議員辞職を発表。少なくとも5人が同じ理由で議員辞職する見通し。
プラチャーティパット党は反タクシン色を明確にしてきたことから、タクシン派が嫌う軍部とは比較的良好な関係を維持してきたが、アピシットは軍部の政治介入に批判的立場を取っている。このため2014年05月の軍事クーデターを指揮したプラユットが首相を続投し軍政が継続する形の「民政復帰」には賛成できず、議員を辞めることにした。
アピシットは前党首で2008年から2011年まで首相を務めた。03月に行われた下院総選挙で軍事政権打倒を掲げて党首として出馬し当選していたが、予想以上に劣勢となり責任を取る形で党首を辞任。
民主党は1946年設立のタイで最も古い政党。南部とクルングテープが地盤で、1990年代には当時党首だったチュワン・リークパイ下院議長が2度首相を務め、政界をリードした。2001年以降は東北部、北部の住民が支持層のタクシン派の政党と2大政党状態になったが、2011年まで4回の下院選全てタクシン派に敗れた。
今年03月に8年ぶりに行われた下院(定数500)選では、タクシン派を嫌う南部住民らがパラン・プラチャーラット党に、民政復帰を求めるクルングテープの中間層などが民主派の新党であるアナーコット・マイ党に流れ、プラチャーティパット党の獲得議席は2011年の前回下院選の159から53に激減。アピシットは責任を取り党首を辞任し、05月15日の党首選で、ベテラン政治家のチュリン党首代行が党首に選出。
アピシットは選挙戦終盤に、プラユット首相の続投を支持しない方針を打ち出した。しかし、「パラン・プラチャーラット党との連立は否定しない。」という中途半端な立場を取ったことから、アナーコット・マイ党に流れた支持は戻らず、反タクシン派をパラン・プラチャーラット党に押しやる結果。「民主」の看板を掲げつつも、支持層は東北住民らの政治参加に否定的というプラチャーティパット党の捩れ体質が如実に現れた選挙戦。
アピシットが去ったことで、プラチャーティパット党は軍・パラン・プラチャーラット党と組む障害がなくなった。チュリン党首は、政権入りして実績を積むことで党勢回復を狙う模様。
タイ国会で首相指名選挙が行われ、タイ軍傘下の新党パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党が擁立したプラユット首相が、軍政が指名した上院議員(定数250)と選挙によって選出された下院議員(定数500)による指名制で、上下両院の過半数を大きく上回る3分の2の500票を得て続投が決定。
プラユット軍事政権が選任した非民選の上院(定数250)と、民選の下院(定数500)でパラン・プラチャーラット党(議席数116)、ギリギリになって軍側が支持を取り付けたプラチャーティパット(民主)党(同53)、プームチャイ・タイ(タイ威信)党(同51)などが支持票を投じた。軍政と対立するタクシン派のプア・タイ(タイ貢献)党(議席数136)、新党のアナーコット・マイ(新未来)党(同81)などが擁立したタナトーン、アナーコット・マイ党党首は244票。
プラユット首相は陸軍司令官だった2014年、クルングテープで発生したプラチャーティパット党支持者らによる大規模な反政府デモを理由にクーデターを起こし、タクシン派の民選政権を倒して全権を掌握。以来政党活動や政治集会を禁止するなど強権的な手法で政情不安を抑え込み、2017年には民主主義を制限した新憲法を施行。経済面ではタイ東部に新たな産業の誘致を図る「EEC(タイ東部経済回廊)」、産業高度化を目指す「タイランド4.0」といった政策を打ち出した。
内外の圧力を受け、今年03月24日、2011年以来初めての下院選を実施。首相指名選挙で下院とともに非民選の上院が投票するため、完全な民政復帰とは言えない内容だが、パラン・プラチャーラット党が下院選で得票数1位になり、過去5年の軍事政権は一定の評価を受けた。
06月06日(木)タクシン元首相が権力乱用などに問われた裁判で、政治家の汚職などを裁く1審制の特別法廷、タイ最高裁判所政治職在任者刑事犯罪部門は、被告のタクシンが不在のまま、禁錮2年の実刑判決を下した。「タクシン政権(2001~2006年)が2003年に導入した2桁と3桁の公営宝籤について、法整備を行わないまま発行し、国に17億Bの損害が生じた。」と認定。
この不正については、国家汚職制圧委員会(NACC)が2008年に提訴したが、同年08月に保釈中のタクシンが国外逃亡したことから一時棚上げ。だが、関連法が2017年に改正されたことで裁判継続が可能となり、今回有罪判決が下されることになった。
タクシンが実刑判決を受けるのは3度目。首相在任中の職権乱用で2008年に禁錮2年の有罪判決を受けており、今年04月にはタイ輸出入銀行が2004年、ビルマ政府に対し、タクシン一族が所有する通信衛星会社シン・サテライト(現社名、タイコム)から通信機器とサービスを購入するためなどの資金約40億Bを低利で融資したことで、禁錮3年の実刑判決を受けた。
タクシンは幹部警官から起業家に転じ、1990年代にタイ屈指の富豪となった。1998年に政党を設立。地方、貧困層へのばら蒔き政策を掲げ、2001年の議会下院選で大勝し首相。2005年の下院選でも圧勝し、首相に再選されたが、2006年09月、外遊中に軍事クーデターが起き失脚した。2007年に実施された民政復帰のための下院選でタクシン派のパラン・プラチャーチョン党が勝利したため、2008年02月にタイに帰国。同年08月に出国し、同年10月、首相在任中に当時の妻ポチャマンが国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受けた。以来、タイに帰国せず、ドバイなどに滞在。
06月08日(土)パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党関係筋は「これまで経済担当の副首相として手腕を発揮してきたソムキットは、パラン・プラチャーラット党が経済閣僚を全て掌握していなければ入閣を拒否する可能性がある。」と指摘。
言い換えれば、連立パートナーの政党に経済閣僚ポストが与えられれば、ソムキットは入閣しない可能性がある。このためパラン・プラチャーラット党陣営ではプラチャーティパット(民主)党の閣僚ポストをランクダウンしようとしているが、これにプラチャーティパット党は強く反発。連立政権樹立を巡りパラン・プラチャーラット党は難しい判断を迫られている。
なお、チャルムチャイ、プラチャーティパット(民主)党幹事長は、報道内容を否定するとともに、「閣僚ポストに関しては首相選出の前に力党との間ですでに話が纏まっており、合意が覆されることはない。」と力説。報道によれば、「パラン・プラチャーラット党は約束を反故にしてプラチャーティパット党に商務相ポストの代わりに教育相ポストを与えようとしている。」
06月09日(日)パラン・プラチャーラット党の首相候補であるプラユット首相が新首相に選ばれたものの、同党を中核とする陣営による連立政権樹立は、陣営内で閣僚ポストを巡って問題が発生している。これは、パラン・プラチャーラット党が主要閣僚ポストの割り振りに関する約束を反故にしようとして連立パートナーの政党から強い反発を受けている。
主要閣僚ポストのうち、農業・協同組合相、商業相、社会開発人権保護相の3ポストはプラチャーティパット(民主)党、運輸相、保健省の2ポストはプームチャイ・タイ(タイ威信)党に与えることが合意されている模様だが、パラン・プラチャーラット党の幹部からは「選挙公約を守るためには農業・協同組合省をパラン・プラチャーラット党から出すべき。」といった意見が出ている。この件については、プラユット首相が最終決断を下す見通し。
06月10日(月)朝クルングテープ都フワイクワーン区ソイ・ラマ9世通ソイ19の仏教寺院ワット・プララムの便所の裏に擲弾が落ちているのが見つかり、警察の爆発物処理班が出動して回収。回収した擲弾は爆薬が抜かれた状態で、爆発する危険はなかった。警察が現場にあった経緯を調べている。
「パラン・プラチャーラット党が経済閣僚ポスト配分の約束を反故にしようとし、これに民主党が強く反発して連立政権樹立が危ぶまれている。」と報じられていたが、陸軍関係筋は、「パラン・プラチャーラット党がプラチャーティパット党とプームチャイ・タイ党に約束通りに閣僚ポストを割り振ることにプラユット首相が同意した。」と述べた。
プラユットはパラン・プラチャーラット党の首相候補で、先に上下両院の合同会議で新首相に選ばれている。その後、「閣僚ポスト問題については、プラユットが最終的に決定する。」と報じられていた。
アナーコット・マイ党の広報を担当するパンニカ議員♀に不敬行為の疑いが浮上し、警察当局が、情報収集などに動き出した。
アナーコット・マイ党はタクシン派のプア・タイ党とともに反軍部と見られており、今回の警察の動きについては「政治的なもの」との見方も出ている。
ただ、警察庁技術犯罪制圧課(TCSD)のピヤ課長によれば、「パンニカ議員は2010年に撮影された自身と友人の写真をネット上に投稿したが、この写真が王室に対し極めて不適切なものと考えられる。」
なお、ピヤ課長は、今回の警察の対応について「政治的なものではない。」と力説。政治的に敵対するアナーコット・マイ党であるが故に「アナーコット・マイ党にダメージを与えようとしたもの。」との見方を全面的に否定。
06月11日(火)05日にタイ国会で行われた首相指名選挙で勝利したプラユット首相(元陸軍司令官)が、ワチラロンコーン国王から首相に任命された。
任命式はタイ首相府で行われ、プラユット首相と連立政権に参加する18党の代表の前で、下院事務局長が任命状を読み上げた。関係筋によれば、プラユット首相は国防相を兼務し、プラウィットは治安担当の副首相、ソムキットは経済担当の副首相、アヌポンは内相に起用される見通し。
反軍政を掲げるアナーコット・マイ党は、「下院議員41人が選挙戦でメディア関連会社の株式を保有していた。」として、これが選挙違反に当たるとして憲法裁判所に審議を求めた。
アナーコット・マイ党によると、「この41人は全て軍政派の下院議員であり、明確な証拠がある。」
タナトーン党首は、「同様の問題で選挙管理委員会が選挙違反に当たる。」と判断し、憲法裁判所に訴え審議中。
オンブズマン事務所が現政権による上院議員選任委員会設置の合憲性について憲法裁判所に判断を求め却下された。ウィサヌ副首相は、上院議員選任委員会設置が官報で発表されなかった理由について「誰が委員かわかってしまうと委員にロビー活動が仕掛けられる恐れがあったから。」と説明。
上院議員250人の選任に当たっては、上院議員の全員あるいは大多数が反軍部でないことから、プア・タイ党などが異議を申し立てている。
06月12日(水)プラチャーティパット(民主)党のニポン副党首は、「約束通りプラチャーティパット党に8つの閣僚ポストが割り振られることについてプラユット首相から確約を得た。」と明らかに。
「プラユット首相が自ら連立パートナーの政党と閣僚ポストについて交渉を始めた。」と報じられていたが、これでプラチャーティパット(民主)党との話し合いは完了したことになる。
プラユット首相はこの日、「これまでのように一方的に決定を下すことはできない。(連立パートナーの)話に耳を傾けないわけにはいかない。(連立パートナーと)協力できなければ、我々は前進できない。」と述べている。
「メディア関係企業の株を保有している者は公職選挙に立候補できない。」と規定されている選挙関連法に下院議員30人が抵触しているとされる問題で、チュアン下院議長は、判断を憲法裁判所に求めた。
この訴えは、反軍部陣営のアナーコット・マイ党がチュアン議長に提出していたもの。アナーコット・マイ党はさらに議員11人が違反しているとの訴えも起こしているが、この計41人の議員は全員が親軍部陣営の政党に所属している。
メディア株所有による立候補欠格については、まずタナトーン、アナーコット・マイ党党首が訴えられ、アナーコット・マイ党がこれに仕返しをする格好でライバル陣営の41人を訴えた。
反軍部の陣営に属する政党が現政権による上院議員選任に問題があると訴えているが、これに応える形で、現政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)は、上院議員選任委員会の委員10人の氏名を公表。
この委員会が上院議員を選ぶ役割を果たしたわけだが、委員10人のうち6人が上院議員に選ばれている。ただ、ウィサヌ副首相によれば、「これら6人は自薦でなく、他薦で上院議員になった。」
06月13日(木)軍事政権のナンバー2としてプラユット首相を支えてきたプラウィット副首相(治安担当)兼国防相だが、関係筋はこのほど、「プラウィットが首相顧問にはなるものの、入閣はしない可能性を示している。」と明らかに。
「プラウィットは高級腕時計を大量に所持しながら、これを資産報告に含めていなかった。」として厳しい批判を浴び、暫定政権のイメージダウンに繫がった事もある。このような事態が繰り返されるのを嫌って入閣を固辞した可能性がある。
ただ、同筋によれば、「プラウィットは、入閣しなかったとしても、警察や軍部に大きな影響力があるため、裏で新政権のために重要な役割を果たすことが予想される。」
06月16日(日)「プラユット首相率いる連立政権の議員41人が当選保留となる可能性が出てきたことで、組閣が遅れる。」との見方。プラユットを首相に推したパラン・プラチャーラット党の陣営に属する政党の議員41人がメディア関連株保有による立候補欠格の疑いを掛けられているため。
パラン・プラチャーラット党の対立陣営に属するアナーコット・マイ党のタナトーン党首も同様の疑いを掛けられており、憲法裁判所から結論が出るまで当選を保留し議員としての活動をしないよう命じられている。
仮に41人も同様に当選保留となった場合、下院(定数500)におけるパラン・プラチャーラット党陣営の議員は現在の254人から213人に減り、過半数を保つことができず、様々な問題が生ずることになる。
さらに、41人のうち何人かは閣僚に就任すると見られているが、閣僚もメディア関連株保有が禁じられていることから、こちらも問題の起きる可能性がある。
パラン・プラチャーラット党陣営では先に東北部で選出された下院議員のグループが敵対する陣営に鞍替えする構えを見せ閣僚ポストを要求したが、今度は南部選出議員13人が閣僚ポストを要求。
ある南部選出議員は、「圧力をかけているつもりはない。だが、我々を選んでくれて南部の有権者の期待に応える必要があり、我々の中から閣僚が出なければ、南部の有権者の支持を失ってしまう。」と述べた。
06月17日(月)03時頃パタヤ市を中心にタイ東部チョンブリー県の政財界で権力を振るったソムチャーイ・クンプルーム(通称、カムナン・ポ)が、チョンブリー県内の病院で死去。82歳。大腸癌が肺などに転移。

* ソムチャーイ・クンプルーム(通称、カムナン・ポ) ソムチャーイは1937年生。小学校中退後、バスの車掌、船員などを経て、東部で漁業、建設・不動産、運送、酒類販売などの事業を展開。2003年にチョンブリー県で行われた結婚披露宴の最中に地元政治家が射殺された事件で、「殺し屋を雇ってこの政治家を殺害した。」として、2012年、最高裁で禁錮25年が確定。ほかに公有地をめぐる汚職で禁錮5年の判決を受けた。判決前に姿を消したが、2013年に逮捕、収監。2017年12月、末期癌と診断され、恩赦で釈放。
クンプルーム家は2018年に、タイ軍傘下の新党パラン・プラチャーラット党に参加し、ソムチャーイの長男のソンタヤー元観光スポーツ相が同年、軍事政権のプラユット首相によりパタヤ市長に任命された。ソムチャーイの次男のウィタヤーはチョンブリー県行政体長を務める。
06月18日(火)今月12日に反軍政派アナーコット・マイ党が憲法裁判所に提出した下院議員41人の選挙違反に関して、明日にも裁判所から何らかの判決が下される模様。
アナーコット・マイ党によれば「この41人は今年03月に行われた下院総選挙の際に、メディア関連事業を手がける株式を保有しており、選挙違反に当たる。」、「アナーコット・マイ党党首であるタナトーン同様に、一時下院議員としての職務停止命令といった判決が出るべきだ。」この41人は全て軍政派の議員。
プラユット首相は、「一部の入閣予定者に批判が出ているものの、首相としてできることはほとんどなく、新しい内閣は完璧とは言えないかもしれない。」との認識を示し、「その役職に相応しくないことが判明した閣僚は内閣改造で交代させることなる。」と述べた。
なお、プラユット首相によれば、「新内閣の顔ぶれはすでに決まっており、06月中に組閣について国王の承認を得るための手続きが執られる予定。」
プラユット首相は28、29日に大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として出席。今月11日に首相に再任されて以来初の外遊。
06月19日(水)「プラユット首相が現在閣僚候補リストをチェックしており、連立政党に閣僚候補を変更しないよう伝えた。」と、ウィサヌ副首相が発表。
「閣僚ポストを巡って連立政党間で問題が起きている。」とも一部で報じられているが、ウィサヌ副首相は、「関係する政党だけで問題を解決する必要がある。」との考えを示した。
なお、連立パートナーのうち、タイ・シーウィライ(タイ森林保護)党(2議席)は希望していた天然資源環境相ポストを得られなかったため、パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党陣営から離脱する見通し。
06月20日(木)チュアン下院議長は、今回の総選挙で当選した下院議員に対し、過去に国会議員が行ったような不適切な言動を慎み、自ら行いを正してゆくよう求めた。
関係筋によれば、「この発言は、何度か議員を経験した人々に向けられたもの。チュアン議長によれば、航空券の代金を支払わない、搭乗時刻に間に合わずに旅客機の出発を遅らせるといったことが不適切な行為に該当する。」
06月21日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープ都内ラチャダムヌンクラン通の「『10月14日事件記念塔」で29日午後04~10時にかけ政治集会が行われる。』という情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
「10月14日事件記念塔」は王宮前広場と民主記念塔の間にある。
06月23日(日)最高行政裁判所はこのほど、「軍事政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が上院議員選任のため10人からなる委員会を設置したのは違法であり、また、選ばれた上院議員は政治的に中立ではない。」との訴えについて、06月25日に受理するか否かの決定を下すことをウェブサイトで明らかに。
提訴したのは34人の市民グループ。このグループは総選挙の投票日前の03月20日に中央行政裁判所に同様の訴えを行ったが、中央行政裁判所は、「憲法に絡む案件であり、行政とは無関係。」として受理せず、「この件を中央行政裁から最高行政裁に回す妥当性もない。」としていた。このため同グループは自ら最高行政裁に提訴。
06月24日(月)野党陣営の主要政党であるアナーコット・マイ党のタナトーン党首が先の総選挙で法律に違反してメディア関連企業株を保有しながら立候補手続きを行ったとされる問題で、憲法裁判所は、「起訴内容に反論する答弁書を憲法裁に提出する期限をさらに15日間延長する。」とのタナトーンの請求を却下。「これでタナトーンがさらに苦しい立場に追い込まれた。」との見方が強まっている。
関係筋によれば、「答弁書提出は15日以内とされているが、憲法裁はすでに期限の30日延長を認めており、これに加えて15日延長することは妥当ではないと判断。」
タイの法律では、メディア関連企業株を保有する者は公職選挙に立候補することができず、株保有が事実ならタナトーン党首は立候補が無効、当選も無効となる。
06月25日(火)プラユット首相は、「閣僚就任予定者の調査ついて現在進めているところだ。」と説明し、「新政権の形が整うのは07月半ばになる。」との見通し。
タイ字現地紙は「3閣僚の就任にプラユット首相が難色を示している。」と伝えている。
また、新内閣について国王の承認を得るための手続きが執るのは、プラユット首相がASEAN議長国の代表として06月末に大阪で開催されるG20に出席した後になる。
与党陣営を率いるパラン・プラチャーラット党の首相候補として新首相に選ばれたプラユット首相であるが、未だ無所属となっているため、パラン・プラチャーラット党に入党する、党首に就任するといった見方が出ているが、プラユット首相から明確な返答は未だない。
軍事政権の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の設置した委員会が上院議員を選任したことを問題視する市民34人が最高行政裁判所に「選任方法が不当。」として訴えていたが、最高行政裁判所は、「この件は最高行政裁判所が扱うものではない。」として訴えを受理しないことを決定。
先に下級審の中央行政裁判所に訴えていたが、こちらも却下。
同グループでは、「NCPOの委員会による上院議員選任は、公平ではなく、プラユットを新首相に選ぶことだけが目的の不当なもの。」などと主張。
タクシン派から敵対関係にある親軍政党パラン・プラチャーラット党に寝返ったタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)(通称、赤服)元幹部のスポン・アターウォン(55)、通称「ランボー・イサーン(タイ東北地方のランボー)」が煽動罪の訴追を「時効」で免れたことが明らかに。
訴追を免れたのはスポンは2001年からタクシン派政党タイ・ラック・タイ党に所属し、一時は下院議員を務めた。反タクシン派との抗争でUDDの武闘派として名をはせたが、昨年、宿敵のはずのパラン・プラチャーラット党に移籍。今年03月に実施された2011年以来初の議会下院選挙にパラン・プラチャーラット党から出馬し落選。
スポンは反タクシン派アピシット政権当時の2009年にタイ東部パタヤ市で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の会場にタクシン派支持者数百人が乱入した事件で、ナタウット元下院議員ら他のUDD幹部6人とともに煽動罪に問われたが、今年に入り6人が起訴された一方、スポンだけが「時効」で訴追を免れた。
スポンさんの「時効」については、タイのメディアも大きく報道。タクシン派は「タクシン派に厳しく反タクシン派に甘いタイ司法のダブルスタンダード(二重規範)の典型。」として批判。インターネット上にも「タイの司法は権力者が操るもの。」、「軍事政権側に居れば捕まる心配なし。」といった皮肉、批判が集まっている。ナタウット元下院議員は、政治と結びついた法の恣意的な運用がタイの混乱の原因と指摘。
06月26日(水)「与党議員41人が憲法に違反してメディア関連企業株を保有しながら総選挙に立候補した。」とされる問題で、憲法裁判所は、41人のうち32人について訴えを受理して審理を行うことを決定。
ただ、野党陣営のタナトーン、党党首は同様の容疑で憲法裁により、当選保留とされたが、32人は当選保留とはならなかった。これについて、憲法裁は、「タナトーン党首に関して中央選挙管理委員会が容疑の調査を開始していたため、当選保留が必要だったが、今回の32人は当選保留の必要性がなかった。」と説明。32人も憲法違反の疑いが濃厚となれば、当選保留とされる可能性もある。
ソムキット副首相(経済担当)によれば、「間もなく誕生する新政権が投資を加速し、これが今年のGDP成長加速に繋がることが期待される。」、「新政権は08月までに動き出し、来年度予算の執行は12月までに開始する見通し。」
来年度(今年10月~来年09月)予算は、今年度予算を2000億B上回る3兆2000億Bとされる見通し。なお、今年度予算は前年度予算同様、歳出が歳入を上回る赤字予算となっている。
06月28日(金)11時頃タイの民主化運動の指導者の1人のシラウィット・セーリーティワット(通称チャーニウ)(27)がクルングテープ都内の自宅近くの路上で複数の男に暴行を受け重傷を負った。犯人は4人と見られ、いずれもフルフェイスヘルメットを被っていた。棍棒でシラウィットの頭などを殴打し、ナンバープレートのないバイク2台で現場から逃走。シラウィットは眼窩と鼻骨を骨折する重傷を負い、病院で手当てを受けた。
タイでは2014年の軍事政権発足以降、軍政に反対する民主派指導者が不審者に暴行を受ける事件が後を絶たない。シラウィットは今月02日にも、クルングテープ都内のバス停で複数の男に暴行を受負傷。
06月30日(日)政治活動家のシラウィットがクルングテープで06月02日と28日の2回にわたって暴漢に襲われて重傷を負った事件について、警察当局は31日、「政治問題が犯行動機の1つである。」との見方を示した。
02日夜にはディンデン区ラチャダピセーク通で数人の男に暴行され、頭部などを負傷。28日にはクロンサムワー区で白昼、数人の男に野球のバットで殴られて怪我。
チャクティップ警察庁長官によれば、「犯人の動機は個人的な恨みや政治的なものである可能性が高いと見ているが、他の理由も排除はしていない。」
07月01日(月)在タイ日本大使館は、「クルングテープで01、02日に民主派が政治集会を開くという情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
集会が予定されているのは、01日午後06~08時頃、ラーチャプラソン交差点(エラワン廟と商業施設セントラルワールドがある交差点。高架鉄道BTSチッロム駅近く)、02日午前11時頃、警察本部前(セントラルワールドの斜向い。BTSサイアム駅とチッロム駅の間)。
第2次プラユット政権の組閣が難航。
約20の政党が参加する大所帯の上、連立政権の母体となる親軍派の新党パラン・プラチャーラット党の執行部が経験不足で、閣僚ポストの調整に失敗。主要な連立パートナーであるプラチャーティパット(民主)党、プームチャイ・タイ党から不満が噴出し、01日にはパラン・プラチャーラット党の有力派閥がソンティラット党幹事長の更迭を求める事態に発展。プラユット首相は同日、パラン・プラチャーラット党の内紛を謝罪する声明を出し、事態の沈静化を図った。
プラユット首相は陸軍司令官だった2014年、クルングテープで発生したプラチャーティパット(民主)党支持者らによる大規模な反政府デモを理由にクーデターを起こし、タクシン派の民選政権を倒し軍事政権を発足。内外の圧力を受け、今年03月24日、2011年以来初めての議会下院(定数500)選挙を実施。パラン・プラチャーラット党の議席数はタクシン派のプア・タイ党に次ぐ2位だったが、06月05日に行われた首相指名選挙では、下院のパラン・プラチャーラット党、プラチャーティパット(民主)党、プームチャイ・タイ党などに加え、軍政が議員を選任する議会上院(定数250)がプラユット首相に支持票を投じ、対立候補に圧勝。
連立政権の中核となるパラン・プラチャーラット党で、エネルギー相ポストを巡る党内のトラブルが報じられていたが、これが決着した模様。党内の有力派閥「サームミット」は当初の約束通りエネルギー相ポストを要求し、これが叶えられない場合は党を離脱する構えを見せていた。
そのため、党首脳陣は派閥の要求を受け入れ、エネルギー相ポストを派閥の領袖であるスリヤに与えることに同意。これに伴い、エネルギー相に就任すると見られていたソンティラット幹事長は、「エネルギー相にはならない。」と表明することとなった。
なお、プラユット首相は、閣僚ポストを巡る今回の党内トラブルについて「党内には閣僚になりたい者がたくさんいて軋轢が生じている。国民に謝罪する。」と述べた。
07月02日(火)政治活動家のシラウィットが最近になって2回にわたって暴漢に襲われて負傷した事件で、プラユット首相は、「警察による速やかな捜査を望む。」と力説。
また、政治活動家グループが警察に対し、7日以内に警察を特定するよう求めた。
シラウィットは現在入院中だが、インド留学が決まっており、シラウィットの母親は、「再び襲われることがないよう退院し次第すぐにインドに行けるよう手はずを整える。」と話している。
07月03日(水)03月24日に行われた下院総選挙の結果、軍部支持のパラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権の誕生することが決まったが、関係筋によれば、新政権の閣僚の顔ぶれがようやく決定。
党別の閣僚数はパラン・プラチャーラット党が最も多く、プラチャーティパット(民主)党、プームチャイ・タイ党と続く。また、プラユット首相は国防相を兼任。プラウィット、ソムキット、ウィサヌといった重鎮が新政権でも引き続き副首相を務める。
ウィサヌ副首相は、「閣僚は全員決まった。新閣僚については間もなく国王の承認を得る手続きが執られることになる。」と説明。
政治活動家のシラウィット(27)がこの1月あまりの間に2回にわたって暴漢に襲われ重傷を負った事件で、クルングテープ首都警察のスティポン長官は、「防犯カメラに残されていた映像などから容疑者の特定を進めており、これに基づき容疑者の逮捕状を請求する予定。」、「現場にいた人々から容疑者特定につながる情報の収集に力を入れている。」と明らかに。
この事件については、関係当局に対し批判的な意見も出ていたことから、プラユット首相も警察などに容疑者逮捕に力を入れるよう指示。
07月04日(木)政治活動家のシラウィットが2回にわたって暴漢に襲われて重傷を負った事件で、プラウィット副首相兼国防相は、「犯人の動機は個人的恨みや金銭の貸し借りに関係するトラブルではない。」との見方。
シラウィットが民主化の促進を求める活動家であることから、「体制側の者に暴行された。」との見方があるが、捜査当局は容疑者がまだ特定されていないことから政治絡みの事件との判断は下していない。プラウィット副首相によれば、「容疑者はまだ不明だが、警察は犯人逮捕に向けて最善を尽くしている。」
07月07日(日)アピラット陸軍司令官はこのほど、「現軍政の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)が新政権誕生に伴い解散となったと後は政治に関わらない。」と言い切った。
2014年05月のクーデターで軍部が全権を掌握したことで設置されたNCPOは軍幹部などで構成され、アピラット司令官はNCPO事務局長を務めている。
アピラット司令官は、「(新閣僚が正式に就任して)新政権が発足したら、政治には一切関与せず、プロの軍人であることに専念する。」と述べた。
ただ、アピラット司令官は上院議員に選ばれているため今後も政治に関与することになるが、これについては「上院議員としての役目を果たすのは議会内だけ。」と述べ、「『政治に関わらない。』が『議会以外の場所で政治的発言をしない。』との意味である。」と説明。
07月09日(火)労働相就任が内定していたパラン・プラチャーラット党の重鎮の1人、タムマラットであるが、プラユット首相がタムマラットを閣僚名簿から外し、別の重鎮に労相を任せることにした。
タムマラットは以前から何かと黒い噂のある人物で、タムマラットを労相に据えることにはプラユット首相のみならず、連立パートナーの政党からも懸念の声が出ていた。
事実上の亡命生活を続けているタクシンについては、「政治から足を洗おうしている。」 との噂も飛び交っているが、タクシンに近い筋はこのほど、「噂の内容は事実ではない。彼は政界復帰の時を待っている。」と述べた。
「政治から身を引く。」との噂は、タクシンが07月26日の70歳の誕生日を近親者と祝ったとタクシンがツイートした後に出てきたものだが、大々的に誕生日パーティーをしなかったことから〈表舞台から姿を消す=政治に関わらない〉との見方が出てきた。
しかし、同筋によれば、「プラユット首相が過ちを犯せば、タクシンがすぐに政治的活動を再開することが予想される。」
新連立政権の中核をなすパラン・プラチャーラット党のソンティラット幹事長によれば、「新政権の政策案最終版が来週にもプラユット首相に提出される予定。」、「政策案には、与党となる政党が発表した公約などをまとめたもので、連立パートナーのプラチャーティパット(民主)党の改憲案も含まれる。」
ソンティラット幹事長によれば、「パラン・プラチャーラット党が現在、政策案を精査しているが、あと数日で終了するため、来週にはプラユット首相に提出できる見通し。」
07月10日(水)軍事政権から民主政権への移行を進めるタイで、プラユット首相(元陸軍司令官)が提出した閣僚名簿が、ワチラロンコーン国王の承認を受けた。近く宣誓式を行い、第2次プラユット政権が発足。
経済政策の司令塔であるソムキット副首相など主要閣僚は軍政時代とほぼ同じ顔ぶれで、主要経済政策の継続性は確保される見通し。ただ、組閣をめぐっては、主要な連立パートナーであるプラチャーティパット(民主)党とプームチャイ・タイ党に加え、政権の母体となる親軍政党パラン・プラチャーラット党の有力派閥が閣僚ポストの配分に強い不満を表明した。19もの政党が参加する連立政権の政策、利害の調整の難しさが露呈した形。
主要閣僚ではソムキット副首相のほか、法務を取り仕切るウィサヌ副首相、アヌポン内相(元陸軍司令官)、ドーン外相らが留任。プラユット首相の軍時代の上司であるプラウィット副首相(元陸軍司令官)も留任するが、兼任していた国防相は外れ、プラユット首相が国防相を兼任。
パラン・プラチャーラット党党首のウッタマ前工業相は財務相、党幹事長のソンティラット前商務相はエネルギー相に転任。2人はソムキット副首相の側近。
パラン・プラチャーラット党の有力派閥を率いるソムサック元保健相は法相、スリヤ元工業相は工業相に就任。スリヤはエネルギー相への就任を約束されていたため、記者会見を開き、ソンティラット幹事長の解任を求めたが、プラユット首相の説得に応じ、工業相ポストを受け入れた。
プラチャーティパット(民主)党はチュリン党首が副首相兼商務相、チャルームチャイ幹事長が農業協同組合相、プームチャイ・タイ党はアヌティン党首が副首相兼保健相、サクサヤーム下院議員が運輸相に就任。
プラユット首相は陸軍司令官だった2014年、クルングテープクで発生したプラチャーティパット(民主)党支持者らによる大規模な反政府デモを理由にクーデターを起こし、タクシン派の政権を倒し軍事政権を発足させた。内外の圧力を受け、今年03月24日、2011年以来初めての議会下院(定数500)選挙を実施。パラン・プラチャーラット党の議席数はタクシン派のプア・タイ党に次ぐ2位だったが、06月05日に行われた首相指名選挙では、下院のパラン・プラチャーラット党、プラチャーティパット(民主)党、プームチャイ・タイ党などに加え、軍政が議員を選任した議会上院(定数250)がプラユット首相に支持票を投じ、プア・タイ党、アナーコット・マイ党などが立てた対立候補に圧勝。
軍政から民政に表向きは衣替えしたプラユット政権だが、国会運営の頼みは軍人、警官が議員の多数を占める非民選の上院で、完全な民主化にはほど遠い。民主主義を軽視し、タイの文化伝統をことさら強調する保守的な国家観には、若者や都市部の中間層などが反発を強めている。ただ、プラユット政権は通常の民主政権の権力が及ばない国家内国家的な組織であるタイ軍をコントロールできるため、タクシン派政権当時のような政府対軍という対立は起きず、基本的な部分での国家の安定は保たれる見通し。
07月12日(金)最大野党でタクシン派のプア・タイ党はクルングテープで開催した党大会で執行部を刷新し、党首にソムポン・アモンウィワット下院議員(78)、幹事長にアヌディット・ナーコンタップ下院議員(54)を選出。
プア・タイ党は今年03月に行われた2011年以来初の議会下院(定数500)選挙で獲得議席数が136議席で1位となったが、プア・タイ党率いる陣営は06月の首相指名選挙でプラユット首相(元陸軍司令官)を擁立した親軍政党パラン・プラチャーラット党(議席数116)陣営に敗れた。

* ソムポン・アモンウィワット
1941年、タクシンと同じ北部チエンマイ県生。チエンマイ大学政治学修士。ベテラン政治家で、2008年のタクシン派サマック政権とソムチャーイ政権で法相、外相、副首相を歴任。

* アヌディット・ナーコンタップ アヌディットは1965年生。退役空軍大佐。タイ空軍のジェット戦闘機パイロットから政界に転じ、タクシン派インラック政権の2011~2014年に情報通信技術相を務めた。
07月14日(日)今年後半に行われるクルングテープ都知事選にナロンサク前チエンライ県知事がパラン・プラチャーラット党から出馬するとの噂があるが、現在パヤオ県知事を務めるナロンサクは、「そのような事実はない。」と噂を全面的に否定。
ナロンサクは世界の関心が集まった昨年06月から07月にかけての北部チエンライ県タムルアン洞窟での少年ら13人救出劇で県知事としての働きぶりが注目された。「この知名度から政権党のパラン・プラチャーラット党が都知事候補に推そうとしている。」との憶測が流れた。
だが、今年09月末に内務省を定年退職するナロンサックは、「パラン・プラチャーラット党から出馬を打診されたことはない。」として、それ以上の言及を拒んでいる。
07月15日(月)プラユット首相はにテレビ放送された特別番組の中で、「これまでの軍政とは違って新政権には強力で特別な権限がなく問題解決に時間がかかるため、国民は忍耐することが必要だ。」と述べた。
2014年05月のクーデターに伴い設置された軍政の下では、軍政の後ろ盾である国家平和秩序評議会(NCPO)の議長であったプラユット首相に憲法規定によって超法規的な権限が付与されていた。新閣僚宣誓式により新政権が正式発足することでNCPO はその任務を終えるため、超法規的権限の行使も不可能となる。このため、新政権のもとでは軍政下とは違い民主主義的な手続きに則って問題に取り組む必要があることから問題解決には時間が掛かる。
07月16日(火)03月24日の総選挙から4ヶ月近くが経過し、ドゥシット宮殿でワチラロンコーン国王夫妻臨席の下にプラユット首相兼国防相(元陸軍司令官、65)ら閣僚36人が就任宣誓を行い、第2次プラユット政権が正式に発足。
宣誓式においてワチラロンコーン国王はプラユット首相と新閣僚36人に対し、国家と国民のため最善を尽くすよう激励。
憲法規定では宣誓式から15日以内に新政権の政策綱領が発表されることになるが、プラユット首相によれば、今月25日に施政方針演説を行う予定。
軍事政権だった第1次プラユット政権が03月の議会下院(定数500)選挙を経て表向きは民主政権に衣替えした形。ただ、非議員のプラユット首相を親軍政党と非民選の議会上院(定数250)が支えるという構図は、「半分の民主主義」と呼ばれた1980年代のプレム政権時代にそっくりで、30年前に先祖返りした。
新政権には下院で議席を獲得した19もの政党が参加する。ただ、下院議席数は過半数をわずかに超える程度。組閣の段階で早くも、主要な連立パートナーであるプラチャーティパット(民主)党とプームチャイ・タイ党に加え、政権の母体となる親軍政党パラン・プラチャーラット党の有力派閥から閣僚ポストを巡る不満が噴出し、前途多難を予感させる船出。
内閣の顔ぶれをみると、安全保障、治安維持を担当するプラウィット副首相(元陸軍司令官、74)とアヌポン内相(元陸軍司令官、69)、経済政策の司令塔であるソムキッド副首相(元財務相、66)、法務を取り仕切るウィサヌ副首相(元内閣秘書官長、67)、ドーン外相(元駐米大使、69)が留任し、ソムキッド副首相の側近のウッタマ前工業相(元バンコク大学学長、59)が財務相、ソンティラット前商務相(59)がエネルギー相に転任。このグループは軍、官僚、学者らタイのエリート層を代表し、政権の中核を担う。
パラン・プラチャーラット党の有力派閥からはスリヤ元工業相(65)が工業相、ソムサック元保健相(64)が法相に就任。スリヤは大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー一族の1人、ソムサックは北部スコータイ県の政財界に強い影響力を持つ。2人はソムキット副首相とともにタクシン政権(2001~2006年)で閣僚を務めた。昨年、ソムキット副首相の要請を受け、ベテラン政治家数十人を引き連れ、パラン・プラチャーラット党に入党。03月の下院選で善戦する下地を作った。このグループは特定地域、業界への利益誘導が主な目的と見られる。組閣を巡っては、スリヤが当初約束されていたエネルギー相から外され、スリヤ、ソムサックがソンティラットをパラン・プラチャーラット党幹事長から解任するよう要求する事態に発展。2人はその後、プラユット首相の説得に応じたが、しこりが残ったのは間違いない。
プラチャーティパット(民主)党はチュリン党首(元保健相、63)が副首相兼商務相、チャルームチャイ幹事長(54)が農業協同組合相、プームチャイ・タイ党はアヌティン党首(52)が副首相兼保健相、党実力者であるネーウィン元首相府相の弟のサクサヤーム下院議員(56)が運輸相に就任。アヌティンは地場ゼネコン(総合建設会社)大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの事実上のオーナー。ネーウィンは東北部ブリラム県の政財界に強い影響力を持つ。アヌティン、ネーウィンもタクシン政権の元閣僚。
07月18日(木)国軍首脳陣はこのほどプラユット首相率いる新政権を全面的に支持する姿勢を明らかに。新政権は親軍部のパラン・プラチャーラット党を中核とする連立政権であり、首相はこれまで軍政を率いてきた陸軍司令官経験者のプラユットが務めている。
一方、新政権樹立に失敗し、野党となった政党グループを率いているのはタクシンを支持するプア・タイ党。タクシン派はこれまでにクーデターや政党解党で何度も軍部に痛い目に遇わされており、反軍部。
07月21日(日)先の総選挙で新党ながら第3党となった野党アナーコット・マイ党のタナトーン党首は、アナーコット・マイ党が立憲君主制打倒の罪に問われていることについて、「憲法裁判所にはアナーコット・マイ党を解散させる権限はない。」と訴えた。
党タナトーン首によれば、「憲法49条では、『根拠があると判断された場合、そのような行為を止めさせるための判決を下すことの検討を裁判官に要請することができる。』と規定しているに過ぎず、同条をもって憲法裁に解党の権限があるとすることはできない。」
これは、先にある弁護士が「タナトーン党首とアナーコット・マイ党は立憲君主制を終わらせようとしている。」と訴え、憲法裁が裁判官の賛成5対反対4で受理したことにタナトーンが反発したもの。
タナトーンによれば、アナーコット・マイ党の規約には『立憲民主主義を支持する。』と記されており、これはすなわち立憲君主制を支持していることを示している。」
07月22日(月)在タイ日本大使館は、タイ東部の鉄道、空港、港湾などを整備し新たな産業の誘致を図るEEC(タイ東部経済回廊)計画に反対する集会が23、24日にクルングテープで開催される予定として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
集会の開催日時と場所は、23日午前08時半頃、タイ国鉄フワラムポーン駅(バンコク駅)、23日午前09時半頃、EEC事務局があるチャルーンクルン通のオフィスビル、CATタワー、23日午後01時頃、タイ首相府、24日午前09時半頃、国会の臨時会場となっているTOT本社ビル(チェーンワタナ通)。
07月23日(火)活動家のシースワンは、連立政権の中核をなす「パラン・プラチャーラット党が東北部ナコンラチャシマー県の国有地に無許可建設されたリゾート施設でパラン・プラチャーラット党議員セミナーが開催されたことは違法である。」と主張。中央選挙管理委員会に解党に向けた手続きをとるよう求める意向であることをネット上で明らかに。
シースワンによれば、「この施設でのセミナー開催は、政党や政治家による天然資源破壊を禁じた政党法45条に抵触するため、同法92条に基づき解党とする必要がある。」
07月24日(水)米マイクロソフト(MS)幹部がハンガリー、サウジアラビア、タイ、トルコの政府関係者に賄賂を渡したと米証券取引委員会(SEC)から指摘されている問題で、「マイクロソフトが約1660万US$(約5億1200万B)の支払いに同意した。」と報じられたことを受け、汚職問題に取り組んでいるタイ反腐敗機構(ACT)のマナ事務局長が国家汚職制圧委員会(NACC)に対しマイクロソフト絡みの贈収賄疑惑を捜査するよう求めた。 マナ事務局長によれば、「この問題はすでに周知の事実となっており、NACCは何が起きたのか、そして何をしようとしているのかを国民に説明する義務がある。」
07月25日(木)パラン・プラチャーラット党の議員セミナーで非党員のプラウィット副首相が議員の団結などを呼びかけたことについて、活動家のシースワンが「部外者が党運営に口出ししており、政党法違反で解党処分とすべき。」と主張。タムマナット副農相は、「プラウ、ィットはすでに党員登録の手続きを行っている。」と指摘し、「党の運営には関与していない。」「プラウィットはまだ正式に党員となっていないが、これは党員登録のコンピューター処理に問題が生じて手続きが完了していなかっただけ。」と明言。
国立公園野生動植物保護局によれば、「11のリゾート施設について自然保護区に違法に建設された。」として取り壊しが命じられた。そのうちの1つが、パラン・プラチャーラット党が議員セミナーを行った施設。そのため、「セミナー開催も自然破壊に繋がる。」として活動家のシースワンが「政党法違反を理由にパラン・プラチャーラット党を解党処分とするべき。」と主張。
議会では、新政権の政策綱領に関する審議が開始。綱領を説明するプラユット首相に対し、野党議員からは厳しい批判が浴びせられて論戦が加熱。下院議長が双方にルールの順守を呼びかける一場面もあった。
プラユット首相は2014年05月の軍事クーデターから5年あまりにわたり軍主導の暫定政権の首相を務めてきたが、議会における政策綱領の審議に臨むのは今回が初めて。このため、プラユット首相は、審議中に「議会システムには慣れていない。今後学ばなければならないことがたくさんあり、時間が経てば良くなっていくだろう。」とも発言。
07月26日(金)2014年のクーデターを陸軍司令官として指揮したプラユット首相は、政策綱領に関する2日目の議会審議で「クーデターは3年前から計画されていた。」との野党の指摘を全面的に否定し、クーデターについて「反政府デモにおける市民の安全を確保すべく兵士を動員したに過ぎない。」と釈明。
当時のタクシン派インラック政権を非難する抗議デモが13年から勢いを増し混迷の度が深まっていたため、軍部がクーデターでインラック政権を追放し、プラユットを暫定首相とする暫定的な軍事政権が誕生。
プラユット首相によれば、「クーデターを起こしたのは当時の状況を考慮した末の決断であり、3年も前からクーデターを準備していたというのは全く事実に反する。」
「連立政権の中核政党であるパラン・プラチャーラット党が非党員のプラウィット副首相の影響下にあり、政党法違反でパラン・プラチャーラット党を解党とすべき。」との意見が出ている問題で、中央選挙管理委員会のサウェン副事務局長は、選管がプラウィット副首相から聞き取りを行う可能性を示唆。
政党法の規定によれば、政党が部外者の影響下にあるのは違法であり、その政党は解党処分となる可能性がある。プラウィット副首相については、過去にパラン・プラチャーラット党の党員登録の手続きをしたものの、まだ正式には党員となっていないとされている。
サウェン副事務局長は、「党員登録は政党が行うことで、第三者があれこれ言うべきことではない。だが、(党員であるか否かが問題となっていることから)党員登録に関連する情報を得るために選管が当該の政党や個人から聞き取りを行うこともあり得る。」
07月30日(火)プラユット首相は、「経済成長を促進し国民の生活に直結する問題を効率的に解決するため首相自ら率いる『経済内閣』を設置する。」と発表。学者や経済界からは早くも歓迎の声が上がっている。
これまでの軍事暫定政権では経済担当のソムキット副首相をリーダーに、同政権の後ろ盾的存在だった国家平和秩序評議会(NCPO)のメンバーやソムキットに近い人物らで構成される経済チームが経済政策を担当。経済内閣と呼べるものは存在しなかった。
関係筋によれば、「連立政権を構成する政党が総選挙で掲げた経済政策に関する公約の実現を図ろうとするのは必至。このため、経済政策に関しては難しい調整が必要とされる見通しであることからプラユット首相が経済内閣を指揮する役割を務める必要がある。」
連立政権の中核をなすパラン・プラチャーラット党のソンティラット幹事長(エネルギー相)は、「パラン・プラチャーラット党議員(比例代表)だったナルモン♀を政府報道官に任命することが同日の閣議で承認された。」と発表。
米ペンシルベニア大学で財政を学び、タイ国立開発行政大学院大学(NIDA)で教授を務めたナルモンは今回の総選挙にパラン・プラチャーラット党から比例代表で立候補して当選。なお、政府報道官就任が内定したことから、すでに議員を辞している。
08月02日(金)04時37分頃クルングテープ都心の高架鉄道BTSサイアム駅前のショッピングセンター、サイアムスクエアワンで、雑貨店「Miniso」の陳列棚から出火。短時間で鎮火し、怪我人はなかった。同店の防犯カメラには、01日午後、男が人形の陳列棚に不審物を隠す様子が写っていた。
04時50分頃サイアムパラゴンでも時限装置によると見られる不審火による小火が発生。怪我人はなかった。タイ当局は一連の事件との関連や詳細についてコメントを避けている。
04時~05時
(報道により05時~07時)
クルングテープ都内のプラトゥーナム市場の4ヶ所で、時限装置を使った火災が立て続けに起きた。最初の火災はペッブリ通ソイ19の平屋店舗兼倉庫(DDハウス)。その後、インドラホテル地下2ヶ所、プラトゥーナムマーケットと続いた。
08時過ぎBTSチョンノンシ―駅周辺で爆弾が爆発。駐車中の車が被害を受けた。その約20分後には同駅に隣接するマハナコンビル周辺でも爆発があり、警備員が軽傷。その後、ラマ9世通ソイ57/1で爆発が起き、区の清掃作業員♀3人が負傷、病院に搬送された。
09時過ぎチェーンワタナ政府合同庁舎のBビル前の植え込みで時限爆弾が爆発。タイ軍本部前でも時限爆弾が爆発。負傷者は出ていない。
10時過ぎノンタブリー県のシーサマン通の国防事務次官事務所周辺でも爆発。負傷者は出ていない。
午後TSサラデーン駅で黒い小箱の置かれているのが発見され、周辺を一部立ち入り禁止として爆発物処理班が対処。その結果、タマリンドの種とティッシュペーパーの入っているのが確認され、現在、監視カメラでこの小箱を置いた人物の特定を行っている。
この他、エアポートレールリンク(空港線)のフアマーク駅でも怪しいバッグが確認されている。
当局は一連の事件に少なくとも11人が関与したと見ている。
クルングテープでは07月29日から08月03日にかけ、都心のホテル・コンベンションセンター「センタラグランド&バンコクコンベンションセンター・アト・セントラルワールド」で、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開催されていた。
「クルングテープ都内7ヶ所(ラーチャプラソン交差点、サイアムスクエア、戦勝記念塔周辺、民主記念塔周辺、高架鉄道・地下鉄全線および全駅、フアランポーン駅、全バスターミナル)が特別警戒地域に指定された。」と報道があったが、治安当局はこれを否定。
クルングテープ都内のラマ9世通ソイ57りでも爆弾が爆発し、清掃作業員の女性3人が怪我をした事件で、タイ警察は、19歳の男と17歳と15歳の少年の計3人を逮捕し、手製爆弾、ペン型銃、ナイフなどを押収。4日午後にはノンタブリ県のコンビニエンスストア前で小型の爆弾2個がみつかった。この2カ所の事件はいずれも地元の若者グループの抗争絡みで、一連の爆破放火事件とは無関係とみられている。
前日の01日午後にはラマ1世通の警察本部前の看板の前に偽物の爆弾2個が置かれていた事件で、警察関係筋は「容疑者の男2人を逮捕した。」と明らかに。模造爆弾は、LEDライトが点滅したり、基板が取り付けられていたりして手製の爆弾に見せかけたもの。 警察は防犯カメラの映像から不審物を放置した深南部ナラティワート県出身の男2人を割り出し、その後、モーチットバスターミナルで着替え、長距離バスでタイ南部ハジャイに向かったが、02日未明、南部チュムポン県の検問所で身柄を拘束。現在、治安当局では02日の事件との関連性を調べている。
タイ運輸省は、早朝に発生したクルングテープ都内連続爆発事件を受け、公共交通機関のセキュリティーレベルをを最高レベルに引き上げるよう関係機関に指示。
この決定を受けクルングテープ都内の高架鉄道(BTS)を運営するバンコク・マス・トランジット・システム(BTSC)は、各駅のセキュリティーを強化。警察とも協力し、各駅に人員を配備。
クルングテープと隣県ノンタブリーの複数ヶ所で爆発物が爆発し4人が負傷するなどした事件で、治安関係筋は、「政治的な意図に基づいた事件との見方はまだ否定されていないが、最南部で暗躍するイスラム過激派の仕業である可能性がある。」と指摘。
事件発生を受け、夜、治安当局者や情報機関関係者による話し合いがプラユット副首相を議長として行われたが、ここで「イスラム過激派による破壊行為がクルングテープにまで及んだ。」との点で意見が一致。
アピシット前プラチャーティパット(民主)党党首は、「アピシットがクルングテープ都知事選に出馬する。」との一部情報を全面的に否定。
クルングテープは民主党の支持基盤の1つで、これまでに同党から複数人が都知事に選ばれている。首相経験者のアピシットは、先の総選挙で民主党が議席を大きく減らしたことから、その責任をとって党首と下院議員(比例代表)を辞任。
08月03日(土)クルングテープ首都圏警察が記者発表した爆発の起きた場所は以下の10ヶ所。ラマ9世通でも爆発が起きたが、これは不良学生の犯行として除外。
①サイアムワン1階の店舗(ミニゾー)、②タイ警察庁前、③政府合同庁舎B棟、④政府合同庁舎B棟出口、⑤タイ国軍指令局前、⑥タイ国軍指令局周辺、⑦プラトゥーナム市場 ⑧キングパワー駐車場、⑨キングパワー前、⑩国防事務次官事務局
今回の事件で逮捕された容疑者2人が、「最南部でイスラム過激派の共鳴者と疑われた者が軍施設に拘束されている最中に死亡したことに対する過激派による仕返し。」と犯行理由を供述したとの報道もあるが、タイ警察庁報道担当は「自供の事実はなく、現在取調べ中。」と述べ、イスラム過激派による報復との見方も現時点では否定。
なお、「犯行チームが全10人でそれぞれが役割分担して時限爆弾を仕掛けたと逮捕された容疑者が自供した。」との報道もある。
「新閣僚の宣誓式におけるプラユット首相の宣誓の言葉が不十分だった。」とされる問題で、野党陣営は、数日中に開かれる下院の審議の中で首相に説明を要求する方針を明らかに。
最大野党プア・タイ党のスティン議員によれば、「野党陣営はプラユット首相が宣誓をやり直すべきかあるいは首相を辞任すべきかについて、憲法裁判所か国家汚職制圧委員会(NACC)に判断を求める方向で検討している。」
プラユット首相が説明せずに問題が明らかにならない場合、野党陣営は不信任案を提出する方針と。
08月04日(日)午後ノンタブリー県のコンビニエンスストア前で小型の爆弾2個が見つかった。ラマ9世通ソイ57とこの2ヶ所の事件はいずれも地元の若者グループの抗争絡みで、一連の爆破放火事件とは無関係と見られている。
08月05日(月)在タイ日本大使館は、「タイ政府のEEC(タイ東部経済回廊)計画に反対する集会が05日午前11時からクルングテープのタイ首相府前で行われるという情報がある。」と、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
EECはタイ東部の鉄道、空港、港湾などを整備し新たな産業の誘致を図る計画。
今月02日にクルングテープ都内4ヶ所で発生した連続爆発事件について、現在警察などが捜査を進めておりすでに容疑者3人を逮捕したことが明らかに。
この事件は組織的なテログループによる犯行と見られており、容疑者は15人に達した。逮捕した容疑者を取り調べたところ、隣国マレーシアで計画したもの。
08月06日(火)スワット警察庁長官補はこのほど、「全ての犯罪について容疑者を特定し、逮捕状を請求する手続きを行っている。」と明らかに。ただ、スワット長官補は、「近く警察が記者発表で詳しい説明を行う。」と述べ、詳細には言及しなかった。
なお、この事件については、「政府の仕業」との見方も出ているが、プラユット首相は政府の関与を全面的に否定。
2014年05月のクーデターで軍部が全権を掌握して以来5年間にわたって暫定政権の首相であるプラユットが様々な問題について語るテレビ番組が毎週金曜日に放送されていたが、プラユット首相は、「現在の新政権のもとで同様の番組が放送されることはない。」と明言。
「政府広報局を管轄するテワン首相府相の要請で番組が再開される可能性がある。」と一部で報じられていたが、プラユット首相によれば、「今後も全国放送で自身の意見を表明することがあるかもしれないが、毎週同じ番組に首相が出演するようなことはない。」
2013年から翌年にかけて当時のインラック政権を非難する大規模な街頭デモを先導したステープ元副首相について、国家汚職制圧委員会(NACC)は、警察署・警察官用官舎建設関連プロジェクト2件に絡む同氏の不正容疑を裏付ける証拠が存在するため、訴追することは可能との判断。
ステープは元プラチャーティパット(民主)党幹事長で、現在連立政権の一角をなすルワム・パラン・プラチャーチャート・タイ(タイ国民団結)党の創設者となっている。
プロジェクトのひとつは、58億4000万バーツで396の警察署を建設するというものだが、業者が1社で数百の警察署の建設を請け負っているため、警察署の多くが未完成のまま。
クルングテープ都内のプラトゥーナム市場の衣料品店で、衣類の下に隠した時限発火装置が見つかった。現場はインドラリージェントホテル近くのラーチャプラロップ通沿い。店主が不審物に気づき通報した。装置は発火したものの引火しなかったと見られる。
クルングテープでは02日、高架鉄道BTSチョンノンシー駅前、チェーンワタナ通の政府合同庁舎前など複数の場所で爆弾が爆発したほか、プラトゥーナム市場とBTSサイアム駅前のショッピングセンターで時限装置を使った火災が発生。タイ治安当局は今回見つかった時限発火装置が一連の事件と関係があると見て捜査。
08月07日(水)「新閣僚の宣誓式においてプラユット首相の宣誓の言葉が不完全だった。」と野党陣営が批判している問題で、プラユット首相は訪問先の南部ヤラー県で、「不完全な宣誓は意図したものではないので、近いうちに決着するだろう。意図に注目してほしい。」と述べ、宣誓が不完全だったことは認めたものの、「意図して間違えたものではないため問題はない。」との認識を示した。
また、オンブズマンは同日、不完全な宣誓が合法であるか否かの検証を行うことを決めた。これは活動家の要請に伴うもので、この活動家はオンブズマンに対し憲法裁判所か行政裁判所に判断を求めるよう求めている。
08月08日(木)「プラユット首相が新閣僚の宣誓式で言葉足らずの宣誓を行った。」と野党などから批判されている問題で、ナルモン政府報道官は、プラユット首相が辞任する可能性を否定。
プラユット首相が「私が全責任を負う。」と述べたことから、「辞任する。」との見方が強まっていたが、ナルモン報道官によれば、「プラユット首相の発言は、宣誓問題ではなく、憲法の下での首相の責任に言及したものであり、宣誓問題の責任をとって辞任するという意味ではない。」
08月02日にクルングテープ都と隣県ノンタブリーの複数ヶ所で爆弾が爆発して4人が負傷した事件で、チャクティップ警察庁長官は、「政治的な意図を持った者による犯行の可能性がある。」との見方を示した。
当初の報道では、「治安当局はタイ深南部で暗躍するイスラム過激派が首都で起こした事件との疑いを強めており、政治関連の事件である可能性は低いと見ている。」とされていたが、チャクティップ警察庁長官によれば、「過去18年間にクルングテープで起きた爆弾事件はほとんどが政治関連であり、今回の事件も政治と無関係とは考えにくい。」
08月09日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープの高架鉄道BTS戦勝記念塔駅(BTS Victory Monument Station)付近で10日午後01~04時に民主派による政治集会が行われる。」という情報があるとして、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
08月13日(火)タイ・シビライズド党唯一の下院議員であるモンコンキット党首は、親軍政党「パラン・プラチャーラット党を中心とするプラユット連立政権から離脱する。」、「パラン・プラチャーラット党に軽視され、政策の採用を拒否されたため。」と発表。
タイ・シビライズド党の離反により、タイ議会下院(定数500)の議席数は与党253、野党246になった模様。プラユット軍事政権が議員を選任した議会上院(定数250)は全て政権側。
連立政権を構成する19党のうち弱小10党のいくつかが閣僚ポストの割り振りに不満を抱き、政権離脱を表明している政党も出ているが、この問題を解決すべく、政権の中核をなすパラン・プラチャーラット党は、複数の弱小政党に大臣の補佐や顧問のポストを割り振ることにした。
プラユット首相が15日にも弱小政党の代表と会って慰留を目的とした話し合いをする予定。
兄のタクシン元首相(70)とともに事実上の国外亡命生活を送っているインラック前首相(52)が6月にセルビアの市民権を取得したことが明らかに。「インラックはセルビアにとって国益になり得るとし市民権を付与することを決めた。」と言う。同じく逃亡中のタクシンも、「この件について事実である。」と認める発言をしている。反タクシン派プラユット政権によるタイのパスポート剥奪に備えた模様。
インラックは2011年のタイ議会下院選挙でタクシン派政党が勝利し、首相に就任。2014年の軍事クーデターで失脚し、2017年、自身が被告となった汚職裁判の判決直前に国外に逃亡した。タイの最高裁判所は同年09月、被告不在のまま、インラックに禁錮5年の実刑判決を下した。
タクシンは2001年に首相に就任、2006年の軍事クーデターで失脚した。反タクシン派政権によりタイのパスポートを剥奪されたが、投資などを通じ取得したモンテネグロなどのパスポートを所持。
08月14日(水)「新閣僚の宣誓式においてプラユット首相の宣誓の文言が不完全だった。」とされる問題で、7党からなる野党陣営が、この問題を下院の審議で取り上げるよう求める動議をチュアン下院議長に提出することを決定。
「プラユット首相は下院審議に出席した2回とも宣誓の文言について釈明していないことから野党陣営は動議を提出することにした。」と言う。具体的には、動議は閣僚の宣誓を規定した憲法152条について下院で審議するというもので、下院議員の10分の1の賛同で可決となる。
08月15日(木)「新閣僚の宣誓式でプラユット首相による宣誓の文言が不完全で憲法に違反している。」などと野党陣営が批判している問題で、オンブズマン事務所はこのほど、「今月後半にもこの件について憲法裁判所の判断を仰ぐか否かを決める。」と発表。
チーフ・オンブズマンのウィタワットによれば、「この請求に関する検討には2週間程度かかる見通しであり、08月27日には決定を下すことができそうだ。」
タイ汚職取締委員会(NACC)は、「プラヤット副事務局長が2017年に就任した際に提出した資産報告で、国外の資産を中心とする資産約2億2700万Bを意図的に隠した。」として、起訴する方針を明らかに。プラヤットが隠蔽したとされる資産はロンドンのマンション(2億1500万B相当)など。
08月16日(金)チュアン下院議長は、「新閣僚の宣誓式においてプラユット首相の宣誓が不完全だったとされる問題と政府の政策綱領について08月中に下院で審議が行われる。」との見通しを明らかに。
宣誓問題については、野党陣営が憲法違反としてプラユット首相の責任を追及する構えを崩していない。また、プラユット首相による政策綱領の発表に関しても、野党陣営は、「プラユット首相は政策を具現化するための財源を説明しておらず、憲法に違反している。」と非難。
08月19日(月)プラユット首相は8月19日、干ばつ被害の視察のため訪れた東北部ブリラム県で集まった地元住民を前に「(宣誓問題で)私が首相を辞任することは絶対にない。首相辞任はない。」と明言。
この問題は、先の新閣僚の宣誓式において首相の宣誓の文言が不完全だったというもので、野党陣営が責任を追及する構えを崩していない。だが、最近実施された複数の世論調査では、「宣誓式での首相のしくじりについて一般国民は野党陣営ほど問題視していない。」との結果。
08月20日(火)「野党のセタキット・マイ(新経済)党の議員6人のうち数人が与党に鞍替えする。」との報道に伴い、同党のニヨム副党首が、野党議員のとりまとめ役であるスティン、プア・タイ党議員などと話し合いを行い、ここに野党陣営を構成する7党全ての関係者が出席した。」
ニヨム副党首は報道陣の質問に対し、「与党への移籍を望んでいる者が何人かいる。」と認めたものの、「私とミンクワン党首は野党に留まる。」と明言。
議員の鞍替えに関しては、ミンクワン党首が22日に記者発表する予定。
08月21日(水)野党の「セタキット・マイ(新経済)党では6人いる下院議員のうち4人が与党に鞍替えする。」と報じられていたが、、同党議員6人全員の出席のもとで記者発表が行われ、報道を全面否定。
ただ、これら議員は野党の方針に全面的に従うわけではなく、是々非々の姿勢を取ることもあり得るとしている。
08月22日(木)先の新閣僚の宣誓式においてプラユット首相による宣誓の文言が不完全だったとれる問題で、オンブズマン事務所は、「この問題に関してオンブズマンに提出された訴えに基づいて憲法裁判所に判断を求めるか否かについてオンブズマンは8月27日に決定を下す。」と明らかに。
この問題については、野党陣営の要求に伴い下院で審議が行われる予定だが、プラユット首相は問題の拡大を避けるためもあってか今のところこの問題にあまり言及せず、「大きな問題ではない。「との姿勢を取り続けている。
08月27日(火)野党7党は、現行憲法の改正を政府や上院に求めていくことを確認。
「現行憲法は軍政下で制定されたものであり、主権や立憲君主などを規定した2つの章を除く全条文を改正することで合意された。」
最大野党で軍部に敵対姿勢を取り続けているプア・タイ党の幹部ポキンは、「野党としては政府と上院の賛同をもって憲法改正を実現したい。」
ワチラロンコーン国王夫妻臨席の下、07月16日にクルングテープのドゥシット宮殿で行われた閣僚就任宣誓式で、プラユット首相が宣誓の文言の一部を言い落し、物議を醸している。
憲法の規定では宣誓文全文を読み上げる必要があり、野党は国会で追及する構え。また、オンブズマン事務局の訴えを受け、憲法裁判所がこの問題に関する判断を09月後半に下す予定。違憲と判断した場合、全閣僚の就任が無効となる可能性がある。
こうした状況を受け、プラユット首相ら全閣僚は、タイ首相府でワチラロンコーン国王の肖像の前で儀式を行い、国王から贈られた就任宣誓式の際の国王のスピーチを記した額入りの文書を受け取った。首相はその後の記者会見で、受け取った文書を記者団に掲げて見せた。「国王の支持を示し、内閣の正統性を訴える狙いがあった。」と見られる。
08月30日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で09月01日正午から午後07時にかけ民主活動家が政治集会を開催するとの情報がある。不測の事態に巻き込まれることのないように可能な限り現場周辺に近づかないよう安全確保に十分注意するように。」と、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
08月31日(土)「新閣僚の宣誓式においてプラユット首相が述べた宣誓の文言が不完全だった。」として野党陣営が責任を追及する構えを崩していない問題で、最大野党プア・タイ党のソムポン党首は、政府部内から「この件に関する下院審議が非公開とされる可能性がある。」との意見が出ていることに強く反発。
ソムポン党首によれば、「宣誓式での首相の失態について国民が事実関係を知りたがっているため、審議を非公開とする選択肢はあり得ない。」
ただ、「下院で議員の過半数が非公開審議に賛成したらどうする。」との質問に対しソムポンは、「野党は従う。抗議して退場することもない。」と返答。
09月03日(火)「新閣僚の宣誓式においてプラユット首相の宣誓の文言が不完全だった。」として野党が首相の責任を追及しようとしている問題で、政府は閣議でこの件に関する下院審議を今通常国会の最終日である09月18日に行うことを決定。野党陣営は「わずか1日では時間が少なすぎる。」と政府の決定を批判。
最大野党プア・タイ党の幹部、スティン議員によれば、「野党には政府の仕事ぶりをチェックするという任務があるが、今回の決定は野党の任務遂行を妨害するもの。」と訴えた。
一方、チュアン下院議長は同日、「審議は早朝に始めれば1日で十分。」との見解を示した。
09月04日(水)証券取引法違反で2016年に禁錮20年の実刑判決を受け服役していた元実業家で反タクシン派団体、民主主義市民連合(通称、黄服)創設者のソンティ・リムトーングクン(71)が恩赦で釈放。
服役したのは3年。王党派反タクシン派の現政権下で刑期が大幅に短縮されたことについて、タイ法務省高官は政治的な圧力を否定。「高齢と健康状態、良好な服役態度から判断された。」と主張。
09月09日(月)国王臨席の下に執り行われた新閣僚宣誓式においてプラユット首相の宣誓の文言が不完全だったことが下院で取り上げられることになったが、与党議員のとりまとめ役であるウィラット議員は、「この下院での討議における議員発言全てが免責対象となるわけではない。」、「討議は非公開でなく公開で行われることから、王室に対し不適切な発言があった場合は発言した議員が責任を問われることになる。」と警告。
討議は通常国会最終日の09月18日に行われる予定だが、ウィラット議員によれば、「野党議員の質問はプラユット首相とウィサヌ副首相に集中することが予想される。」
07月の入閣時にヘロイン密輸でオーストラリアで服役した事実が発覚したタマナット副農業協同組合相(退役タイ陸軍大尉)が、本人の説明と異なり、麻薬犯罪に深く関わっていた疑いが浮上。
タイの軍部、権力層を取り巻く腐敗、犯罪の根深さがタマナットを通じて浮き彫りになり、プラユット政権への信頼が揺らぐ可能性がある。
 タマナットはこの問題について、「1993年にシドニーを訪れた際に、タイ人麻薬犯と一緒にいたため巻き添えになって逮捕された」「密輸に関わった事実はなく、8カ月で釈放され、オーストラリアに4年在住した」などと主張していた。
 しかし、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙が、「タマナット(当時の名前は「マナット」)がヘロインの密輸に深く関与し、オーストラリアで禁錮6年の実刑判決を受け、4年間服役した。」と、裁判資料をもとに報道。「タマナットが犯罪組織やタイの有力者と繋がっていた。」とも報じた。同紙によると、タマナットは1997年に釈放、国外追放となってタイに帰国すると、改名してタイ軍に復帰、翌年、昇進。1998年には男性同性愛者の学者に対する性的暴行と殺人で逮捕されたが、2001年、無罪。
タマナットは今年03月のタイ議会下院選にプラユット首相(元タイ陸軍司令官)を支持する親軍政党パラン・プラチャーラット党から出馬、当選し、副農業協同組合相に任命された。農業協同組合省のホームページのタマナットの履歴欄は空白となっている。08月に発表された下院議員の資産報告によると、タマナットの資産は9.3億B(約33億円)に上る。
09月10日(火)シドニー・モーニング・ヘラルドの報道について、アヌポン内相(元タイ陸軍司令官)は、記者団に対し、「タマナット氏本人が説明すべき。」、「政権への影響はない。」と述べた。
タマナットの服役の事実は副農業協同組合相就任時に明らかになっていたが、プラユット首相は不問に付していた。タイでは過去にも、麻薬などの重大犯罪への関与が噂される人物が閣僚に起用され、物議を醸した。ただ、タマナットのように過去に麻薬絡みで服役した人物が入閣したのは異例。背後の闇は深く、真相解明は困難。
「タマナット副農業相は過去にオーストラリアで麻薬密輸により捕らえられ服役したことがある。」とオーストラリアの地元紙が報じた問題で、プラユット首相は、「どの政府にも欠点はある。」と述べ、タマラット起用への批判を受け流した。
一方、タマナットは、「何も悪いことはしておらず、服役期間の短縮と引き替えに容疑を認めた事実もない。」と強調。
なお、プラユット首相は、「閣僚は身体検査を経て大臣となったのであり、閣僚の法律問題について今後発言するつもりはない。」
プア・タイ党の東北部マハーサラカム県選出のユタポン(47)下院議員が、「国会議事堂内のソムポン、プア・タイ党党首の事務所でプア・タイ党所属の東北部コンケン県選出のナワット下院議員(51)に暴力を振るわれた。」として、警察に被害届を出し、身辺警「ナワットに付き添いの男性2人に体をつかまれ、ナワットに頭を叩かれた。」と主張。「現場にはソムポン党首らもいた。」という。ユタポン議員とナワット議員は06日の国会審議で口論になり、大声で非難しあっていた。
このニュースを伝えたテレビの男性キャスターは笑いながら「これは政治ニュースでしょうか、犯罪ニュースでしょうか。」と話した。
09月11日(水)ワチラロンコーン国王臨席の下07月16日に行われた閣僚就任宣誓式でプラユット首相が宣誓の文言の一部を言い落した問題について、憲法裁判所は、不完全な宣誓に関し判断を下すよう求めたオンブズマンの請求を「行政府と国王の間の事案で、憲法裁にその権限はない。」との理由で却下し、違憲とする訴えを退けた。
憲法の規定では宣誓文全文を読み上げる必要があった。野党は今月18日にこの問題を国会で追及する予定だが、憲法裁が訴えを退けたことで、憲法上の責任を問うことは不可能になり、出鼻を挫かれた形。
プラユット首相ら全閣僚は08月27日、タイ首相府でワチラロンコーン国王の肖像の前で儀式を行い、ワチラロンコーン国王から贈られた就任宣誓式の際の国王の演説を記した額入りの文書を受け取った。プラユット首相はその後の記者会見で、受け取った文書を記者団に掲げて見せた。ワチラロンコーンの支持を示し、内閣の正統性を訴える狙いがあったと見られる。
プラユットは陸軍司令官だった2014年、クルングテープで発生した大規模な反政府デモを理由にクーデターを起こし、タクシン派の民選政権を倒し軍事政権を発足。内外の圧力を受け、今年03月に2011年以来初めての議会下院選挙を実施。王党派反タクシン派の親軍政党や軍政が議員を選任した非民選の議会上院の支持を受け、首相に再任。
2009年にタイ東部パタヤで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の会場にデモ隊が乱入した事件で、タイ最高裁判所は、1・2審の判決を支持し、デモを指揮した12人に禁錮4年の実刑判決。
実刑判決を受けたのはタクシン派団体、反独裁民主同盟(通称、赤服)元幹部のアリスマン被告、ワイポット下院議員ら。ワイポットは今年03月の議会下院選挙前に反タクシン派に寝返り、親軍与党パランほプラチャーラット党から下院選に出馬し当選。実刑が確定したため、収監され、補欠選挙が行われる見通し。
タクシン派は2008年末に、最高裁判所により自派与党が選挙違反で解党処分を受け、政権を失った。これを受け、反タクシン派の民主党を中心とするアピシット連立政権が発足した。タクシン派は「司法、軍などの反タクシン派勢力が法治と民主主義を捩じ曲げている。」と反発し、2009年04月、ASEAN首脳会議の会場のホテルに支持者数百人が乱入。ASEAN首脳がヘリコプターなどで避難する騒ぎとなった。
09月12日(木)在タイ日本大使館は、「『クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で15日正午から午後06時にかけ民主活動家が政治集会を開催する。』との情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
09月13日(金)連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党に所属する下院議員50人が賛成したことで、現行憲法改正について検討する委員会設置と公聴会実施を求める緊急動議が、ウィチエン議員からチュアン下院議長に出された。
ウィチエン議員は、「動議はパラン・プラチャーラット党を代表して行った。これにプラユット首相は関わっていない。」と説明。
今回の動議に関わった議員によれば、前軍事暫定政権下で制定された現行憲法に基づいて今年04月に総選挙が行われ、民政復帰が実現したが、憲法には比例代表選挙に関する部分などいくつかの不備があり、その改正が現政権の政策綱領の中で求められているという。 与党だけでなく野党も先の総選挙で改憲を公約としていた。このため、「『改憲が必要である。』というのは与野党の共通認識であり、与野党による改憲の作業もスムーズに進むことが予想された。」
09月17日(木)テレビ局・ラジオ局を運営する首相府政府広報局(PRD)のチャルーン副局長が、下院腐敗委員会への訴えの中で、「03月の総選挙に関する報道において政治的中立を維持しなかった。」などとサンサーン局長を批判。「局長は選挙運動期間中に特定政党について報道するよう指示した。」さらに、「総工費2500万Bに上るPRDの建設プロジェクトでは、建物が設計図通りに建設されておらず、建物引き渡し後すぐに修理が必要な状態だったが、これは局長の職務怠慢が原因。」
このような批判に対し、サンサーン局長は、「批判が事実に基づいたものではない。」と反論し、「事実関係の解明に協力する意向を示すとともに、下院委員会に訴え出たことについて副局長のその権限があるのか。」との疑問も呈した。
09月18日(水)憲法裁判所は、「国家平和秩序評議会(NCPO)議長は政府職員ではない。」との判断を示した。
野党陣営は、「(まだNCPOが解散していない時点で)プラユットが首相の座に就いたのは憲法違法。」と主張していたが、今回の判断で憲法裁がこの主張を支持しないことが示された。
野党側は、2014年05月22日の軍事クーデターで設置され、プラユット軍事暫定政権の後ろ盾的存在であった国家平和秩序評議会(NCPO)の議長は政府職員であり、従って同議長を務めていたプラユット首相は「『政府職員は首相選びに参加できない。』との憲法規定に従って首相選びに参加できなかったはずであり、選ばれて首相の座に就いたのは憲法違反である。」と主張。
しかし、憲法裁が下した判断によれば、「NCPO長は国の監督下にはなく、法律によって任命されたものでもなく、政府職員ではない。このため、総選挙後にプラユット氏が首相に選ばれたことは憲法に抵触しない。」
09月20日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で22日正午から午後06時にかけ民主活動家が政治集会を開催するとの情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
09月23日(月)連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党の戦略部門の最高責任者であるプラウィット副首相(治安担当)はこのほど、「最大野党プア・タイ党の議員14人が国会で政府提出の重要法案に賛成するのであれば、これら議員をパラン・プラチャーラット党に迎え入れることに反対しない。」との考えを明らかに。
14人の議員は先にパラン・プラチャーラット党幹部2人と会食したとされている。プラウィット副首相は、「野党議員を引き抜くことはわが党の方針ではない。だが、野党議員が我が党に加わるというなら、それはありがたいこと。」と述べている。
09月24日(火)タクシン派の野党プア・タイ党所属のナワット下院議員(51、東北部コンケン県選出)が殺人などの罪に問われた裁判で、1審のコンケン裁判所は、「被告が実行犯を雇った主犯格である。」と認定し、死刑を言い渡した。ナワット議員は控訴する方針。
ナワット議員は、コンケン県行政体助役スチャートが2013年05月03日、県内の自宅前で銃で撃たれ死亡した事件で、「元警官らを雇いスチャートを殺害させた。」として、起訴された。裁判所は被告に対し男性の遺族に葬儀費用として30万Bを賠償するよう命じた。
ナワット議員をめぐっては、今月10日、プア・タイ党所属の同僚議員が「国会議事堂内のソムポン・、プア・タイ党党首の事務所でナワット議員とその取り巻きに暴力を振るわれた。」として、警察に被害届を出していた。
ナワット議員は中部アユタヤ県生。コンケン県議、コンケン県行政体副行政体長などを経て、2007年、2011年、2019年の下院選にタクシン派政党から出馬し当選。
新閣僚の宣誓式においてプラユット首相が宣誓の文言が不完全とされる問題で、野党7党は、国家汚職制圧委員会(NACC)に捜査を要請することで意見が一致。
野党陣営は宣誓が不完全だったのは憲法違反として首相などの責任を追及する構え。野党は先に下院議長を通じて憲法裁判所にこの問題に対する判断を求めたが、憲法裁は管轄外との理由で請求を却下。だが、最大野党プア・タイ党の法律専門家チームの代表、チューサクは、「法的責任を追及する手段がほかにもあるはず。」と諦めない姿勢。
09月27日(金)在タイ日本大使館は、「クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で29日正午から午後6時にかけ民主活動家が政治集会を開催するとの情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
10月04日(金)ソムサック法相は、2007年11月24日にタイ中部スコータイ県の寺院遺跡の近くで旅行中の川下智子(当時27)が刺殺体で見つかった事件の再捜査を法務省特別捜査局(DSI)に命じたことを明らかに。
この事件については日本の警察にも協力を求め捜査を行っていたが、解明できなかった。このため、2013年05月にDSIが捜査を引き継いだものの、何も進展がなく迷宮入りとなっている。
ソムサック法相は、「事件がいつまでも未解決であればタイ観光のイメージが傷ついたままになる。」また、再捜査を命じたことについては、「自身がスコータイ県出身であることも1つの理由。」と説明。
10月15日(火)2007年に観光で中部スコータイ県を訪れていた川下智子(当時27)が何者かに刺殺された事件で、ソムサック法相はこのほど、「DNA鑑定の結果が20日以内に明らかになる。」と述べた。
同県出身のソムサック法相は先にこの事件の再捜査を法務省特別捜査局(DSI)に命じ、これに伴いDSIが新たなDNAサンプルを採取したものという。この事件では発生から現在までに300人以上からDNAサンプルが採取された。
また、関係筋によれば、「犯人と目される人物はすでに死亡しており、遺骨からDNAサンプルを採取しており、鑑定結果を母親の鑑定結果と比較することになっている。」
10月17日(木)タイの議会下院は、クルングテープに駐屯するタイ陸軍第1近衛歩兵連隊と第11近衛歩兵連隊の指揮権と予算をタイ陸軍からワチラロンコーン国王に移管する緊急勅令の採決を行い、賛成374票、反対70票で可決。
緊急勅令は政府が提出したもので、与党各党とタクシン派の最大野党プア・タイ党などが賛成。  反対票を投じたのは革新系の野党、アナコット・マイ党。同党のピヤブット幹事長は、「緊急の案件ではなく憲法違反。」と批判。国王に関連する法案に反対票が投じられるのは極めて稀で、タイのインターネット上には賛否両論が巻き起こっている。
10月21日(月)アピラット陸軍司令官は、「私は公務員であり上院議員でもある。首相に就任することは憲法で禁止されている。」と強調。これは、「次期首相はアピラット陸軍司令官」との声が一部で出ていることを受けてのもの。プラウィット副首相も先日、「私は知らないが、そうなら(司令官が首相になるなら)いいことだ。」と述べていた。ただ、アピラット司令官は、今後の政界入りについて、きっぱりとその可能性を否定。
なお、関係筋によれば、「アピラット司令官が先に安全保障などに関連して政治的とも受け取れる発言をしていたことから、『首相を目指しているのではないか。』といった憶測が出ている。」
10月27日(日)野党陣営においてプア・タイ党に次ぐ議席数を誇るアナコット・マイ党の広報担当、パンニカ議員♀について、汚職問題などに取り組んでいる市民団体「タイ護憲協会」のシースワン事務局長は、「さほど収入がないにもかかわらず昨年11月に自党に100万Bも献金したのは不自然。」として中央選挙管理委員会に調査を求める予定。
シースワン事務局長によれば、「国家汚職制圧委員会(NACC)に提出されたパンニカ議員の資産報告によれば、100万Bも政治献金できるほど財力があるとは考えにくく、違法に取得した収入を献金したり、違法にならないよう誰かの代わりに献金したりした可能性がある。」
10月31日(木)プラユット首相は、小政党のタイ・スリウィライ(タイ文明)党の党首であるモンコンキット議員が「セキュリティーシステムを検査するため。」として国会の議場に爆発物を持ち込んだことにチュアン下院議長が言及したのを受け、「誰であろうと行動する前に慎重に考えなければならない。」と強い調子で厳しく非難。
モンコンキット議員は、「不適切だった。」と述べているというが、プラユット首相は「議員の本当の意図を明らかにするため今回の件を関係当局に委ねる。」チュアン議長も爆発物の持ち込みがどのような罪に該当するかを法律専門家に検討させる考え。
在タイ日本大使館は、「11月03日にクルングテープ首都圏で民主活動家による政治集会が行われるという情報がある。」として、タイに滞在中の日本人に注意喚起。
集会が予定されているのは、午前09~12時頃、クルングテープ郊外のコンベンションセンター、インパクト・ムアントンタニー(ASEAN首脳会議開催場所)午後01~05時頃、戦勝記念塔前、正午~午後06時頃、ラチャダムヌン通の民主記念塔前。
11月06日(水)在タイ日本大使館によると、10日正午から午後06時にかけ、クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で民主活動家による政治集会が予定されている。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
11月07日(木)10時頃タイ東北部シーサケート県で、視察のため訪れたプラユット首相一行に、農家らのデモ隊数百人が接近し、警官隊と衝突してもみ合いになった。怪我人はなかった模様。
デモ隊の代表は「首相に陳情書を渡そうとして阻止された。」などと話している。
11月12日(火)プラユット首相は、議会で憲法改正に向けた手続きが進められていることについて、「改憲には反対ではない。」と述べ、改憲では国民の意見に耳を傾けることが必要な場面も出てくるとの考えを示した。 政府は政策綱領の中で憲法改正の必要性を指摘しているが、プラユット首相は「私や政府を巻き込まないでほしい。改憲は議会で行われるもの。私には関わりがない。」と述べ、改憲は議会で議会のルールに則って行われるものであることを再確認。
なお、現行憲法は軍事クーデター後の軍政下で制定されたもので、とりわけ最大野党で反軍部色の強いプア・タイ党などが問題の多い憲法として改憲を強く求めている。
11月15日(金)在タイ日本大使館によると、「17日午後01時から6時にかけ、クルングテープのラチャダムヌン通にある民主記念塔前で、民主活動家グループによる政治集会が予定されている。」大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう呼びかけている。
11月20日(水)憲法裁判所は、03月24日に行われた下院総選挙で議席数第3位と躍進を見せた野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のタナートン・チュンルンルアンキット党首(40)が「法律で禁止されているにも拘らずメディア関連株を保有したまま総選挙に立候補した。」との理由で、憲法違反で議員資格を剥奪。タナートンは「立候補前に株を手放していた。」と主張していたが、認められなかった。タナートンは大手自動車部品メーカー、タイサミット・グループの創業家の出で、つい最近まで同グループの重役を務めていた。
「下院議員資格がないのを知りながら立候補した。」と認められた場合、選挙法違反で最高で禁錮10年、参政権停止20年が科されることから、タナートン党首はさらなる窮地に追い込まれる可能性がある。
アナーコット・マイ党はタナートン党首が中心となり設立した新党。下院選では、民主主義への完全復帰、人権の尊重、公正な司法、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、不敬罪の改正、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正などを訴えて、クルングテープの中間層、若者らの支持を集め、81議席を獲得、第3党に躍り出た。
プラユット政権、軍を中心とする保守勢力側はアナーコット・マイ党に強く反発し、04月にはアピラット・タイ陸軍司令官が「国外で学んだ左翼思想を持ち込むな。」、「立憲君主制の変更を企てれば内戦になる。」などと警告。保守派団体が「国家の安全保障と王室を脅かす。」として選挙委員会にアナーコット・マイ党の解党を要求するなど、タナートン党首や党幹部、党自体が多数の裁判に直面し、解党処分を受ける可能性もある。
11月22日(金)在タイ日本大使館によると、24日午後01時から09時に掛け、クルングテープ都内ラチャダムヌンクラン通の王宮前広場と民主記念塔の間にある10月14日事件記念塔で民主活動家グループによる政治集会が予定されている。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
12年前にスコタイ県を旅行中の川下智子殺害事件で、ソムサック法相は、「あと1ヶ月ほどで犯人を特定できる可能性がある。」との見方を示した。
殺人犯と見られる男はすでに死亡しており、現在、DNA鑑定で男の関与を確認する作業が進められている。ソムサック法相は、「我々はこの時点で事件を終わりにすることはできない。やれるところまでやらなくてはならない。」と言い切る。
スコタイ県はソムサック法相の出身地であることから、法相は先に未解決となっている川下智子殺害事件の再捜査を命令。現在、DNAサンプルを使うなどして犯人特定に向けた検査・分析が行われている。
11月24日(日)在タイ日本大使館によると、26日午前08時頃、プラナコーン区ディンソー通にあるクルングテープ都庁前で非政府組織(NGO)グループのNGOスラムネットワークグループが政治集会を開く模様。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、「周辺地域で不測の事態が起こる可能性がある。」と、可能な限り集会現場に近づかないよう注意喚起。
12月に予定されている内閣不信任案審議について、最大野党の戦略チームの責任者であるスダラット♀はこのほど、審議の中では経済政策を重点的に取り上げ政府の責任を追及してゆく方針だ。」と明らかに。
政府の経済政策は大企業が得をしているほか、複数の政府機関で不正が行われているおり、これらの問題について政府に厳しい質問をぶつける予定。
また、審議で野党は特定の閣僚について集中的に責任を追及する予定というが、どの閣僚をターゲットとするかはまだ決めていない。
11月25日(月)タクシン・チナワットの長男のパントンテー・チナワット(41)が資金洗浄(マネーロンダリング)取締法違反に問われた裁判で、1審のタイ刑事裁判所は、証拠不十分で被告に無罪判決。

← 左から、パントンテーの母親、ポチャマン、パントンテー・チナワット。

パントンテーは「タクシン政権当時の2003、2004年にタイ国営商業銀行、クルンタイ銀行(KTB)が債務不履行に陥っていた不動産デベロッパー、クリサダーマハーナコンの子会社に総額99億Bの不正融資を行った事件で資金洗浄に関わった。」として昨年10月に起訴。 パントンテーは不正融資に関与した知人から1000万Bの小切手を受け取っていたが、裁判ではこの資金の出どころをパントンテーは知らず、罪はないと判断された。容疑を否認しているパントンテーによれば、「1000万Bはスーパーカー輸入事業への投資を計画していた知人のもの。」という。
判決公判に出廷したパントンテーは判決後、「支援に感謝する。すっきりした。」とだけ述べ、母、妹2人とともに車に乗り込み走り去った。
タクシン一族ではタクシン元首相と妹のインラック前首相が汚職裁判の判決前に国外に逃れ、事実上の亡命生活を送っており、パントンテーが判決公判に出廷するかどうか注目を集めていた。
KTBの不正融資事件ではタクシンら22人と5社が汚職、商業銀行法違反などで起訴され、最高裁判所が2015年、KTBのウィロート元社長とスチャーイ元会長にそれぞれ禁錮18年、クリサダーマハーナコンのオーナーのウィチャイ・クリサダーマハーナコンに禁錮12年など被告19人に実刑判決。事実上国外亡命中のタクシンに関しては、今年08月、最高裁が無罪判決。
議員資格を剥奪されたタナートン、アナーコット・マイ(新未来)党党党首が先にクルングテープで徴兵制廃止を求める街頭キャンペーンを展開したが、プラウィット副首相(治安担当)は、「自らの意思で軍に入隊する者の数が十分ではないため、近い将来に徴兵制を廃止することはない。」との考えを示した。
「徴兵制については、国民の意見に耳を傾けながら現状維持か、修正するか、廃止するかなどを決定することになる。」、プラウィット副首相は、「徴兵制を止めたため、国に何かが起きた時に国を守る兵士が足りないということがあってはならない。」とも付け加えた。
11月28日(木)プラユット首相はこのほど、政府側に足並みの乱れが生じて憲法関連の検証委員会の設置を阻止できなかったことから、連立パートナーに対し、パートナー間で交わされた紳士協定を順守するよう求めた。
委員会は前軍事政権の後ろ盾的存在だった「国家平和秩序評議会(NCPO)の議長、プラユット首相に超法規的権限を付与する。」とした憲法規定の影響について検証するために野党が設置を要求していたもの。政府はこれに反対していたが、与党・民主党の議員6人が野党支持に回ったため、賛成234、反対230で野党による委員会設置案が可決され、政府が敗北を喫することになった。
なお、プラユット首相は、「連立政権の結束はいまだに強固であり、内閣改造は考えていない。」と明言。
プラユット首相は、「徴兵制廃止は国民が国防に積極的に参加する機会をなくしてしまうだけ。」と述べ、野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首が徴兵制を廃止して志願兵制を導入するよう求めるキャンペーンを展開していることを批判。
徴兵制廃止には、プラウィット副首相(治安担当)が先に批判的意見を示している。プラユット首相によれば、「タイではすでに兵士を集める方法として部分的に志願制が導入されているが、徴兵制を完全に廃止することは国防において国を危険な状態にすることになり賛成できない。」
12月02日(月)アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首が先に非公開となっている国防省に割り当てられた予算とその使途を透明性と信頼性を確保するためとして公開するよう求めたのに対し、プラウィット副首相(治安担当)は、「兵士、下級公務員、一般市民の福利厚生などのために非公開予算が使用されており、これについてはあらゆるレベルでチェックが行われていて不透明な点はなにもない。」と説明。
また、「非公開予算に関して政府が変更を加えたり、国庫に返納したりすることはあるのか。」との質問に対し、プラウィット副首相は、「今説明したばかりであり、これ以上の説明は必要ない。」と言い切った。
12月03日(火)国家汚職制圧委員会(NHSC)が「農薬3種を12月01日から使用禁止にする。」とした決定を変更したことで、変更に抗議する団体が変更において重要な役割を果たしたとされるスリヤ工業相を告訴する姿勢を示しているが、スリヤ工業相は、「告訴されたら告訴した者に法的措置を執る。」と明言。
農薬の使用禁止に絡んで論争などが生じているこの問題は、利害の対立が原因とされるが、使用禁止支持派すなわち使用禁止決定の変更に反対している勢力は、「スリヤ工業相などが圧力を掛けたことでNHSCが決定を変更した。」と考えている。
12月10日(火)アピラット陸軍司令官は、野党アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首が偽造文書を使って徴兵を免れたとする情報がネット上に存在することについて、「調査したが、タナトーン党首に徴兵忌避の事実はなく、兵役を全うしている。」と明言。
タナトーンは以前から徴兵反対を公言しているが、ネット上の書き込みで「徴兵には同意できないものの、徴兵に応じた。」と述べている。
12月11日(水)中央選挙管理委員会は、「野党第2党のアナーコット・マイ(新未来)党について、同党がタナトーン党首から1億9120万Bを借りたことが政党法に抵触する。」として憲法裁判所に同党の解党を請求すること決定。今回の決定では、中央選管委員の5人が賛成、2人が反対。
これに対し、ピヤブット同党幹事長は同日、「性急な決定であり、受け入れ難い。選管は法律を政治的な道具に使っている、」と反発を露わにした。 なお、タイの法律では無所属の下院議員は認められておらず、仮に新未来党が解党となった場合、同党議員が議員資格を維持するためには解党から60日以内に他の政党に所属しなければならない。
12月13日(金)在タイ日本大使館によると、14日午後07~08時頃、クルングテープのラチャダムヌンクラン通にある民主記念塔で民主活動家グループによる政治集会が予定されている。大使館はタイ滞在中の日本人に対し、現場が不測の事態に発展する可能性があるとし、可能な限り現場付近に近づかないよう注意喚起。
中央選挙管理委員会は先に野党第2党の「アナーコット・マイ(新未来)党がタナトーン・チュンルンルアンキット党首首から約1億9120万Bを借りたことが政党法違反にあたる。」として、同党の解党を憲法裁判所に請求することを決めたが、関係筋によれば、解党請求に向けた準備が着々と進んでおり、これにはあまり時間は掛からない見通し。有罪の場合、アナーコット・マイ党は解党処分を受け、タナトーン党首ら幹部が参政権を失う見通し。党所属の下院議員は他党への移籍が認められる。
また、この件について、ソムチャイ元中央選管委員は、「選管は汚れた資金が政党に流れるのを防止するための法律に基づいてアナーコット・マイ(新未来)党を違法としたが、この法律の趣旨に合致するかは疑問。」との見方を示している。
アナーコット・マイ党はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループの創業者一族で富豪のタナトーン党首が中心となり昨年設立された新党。今年03月の下院(定数500)選では、民主主義への完全復帰、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、不敬罪の改正、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正などを訴えて、バンコクの中間層、若者らの支持を集め、81議席を獲得、第3党に躍り出た。プラユット政権、軍を中心とする保守勢力はアナーコット・マイ党に強く反発し、04月には、アピラット陸軍司令官が「国外で学んだ左翼思想を持ち込むな。」、「立憲君主制の変更を企てれば内戦になる。」などと警告。11月には、「タナトーン党首が下院選に立候補した際にメディア会社の株式を保有していた。」として、憲法裁がタナトーンの下院議員資格を剥奪。
アナーコット・マイ党はその後も、軍が所有するテレビ局からの収入、年収1000万Bを超える将官81人の収入や資産の出所をなどを追求し、保守派との対立姿勢を鮮明にしている。
タイでは2006年以降、東北部と北部の住民、クルングテープの中低所得者層を中心とするタクシン元首相支持者と民主化勢力が貧困層や東北住民などの政治参加を拒む保守派と対立する構図が続いている。アナーコット・マイ党は民主派の新たな旗頭として期待を集めたが、政治経験の不足から、早くも存亡の危機に立たされた。
野党第2党、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首は、自身のフェイスブックを通じ、「14日午後05時から高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅前の高架歩道で集会を行う。」として、支持者に参加を呼びかけた。BTSナショナルスタジアム駅前の高架歩道はクルングテープ都内中心部のパトゥムワン交差点にある。
タナトーン党首は、反軍政を掲げて今年03月に行われた下院総選挙で新政党ながら3番目の票数を稼ぎ、反軍政の旗手として期待されていた。だが先月、憲法裁判所が下院総選挙立候補時に禁止されていたメディア関連会社の株式を取得していた。」として、議員資格を剥奪する判決が下されていた。アナーコット・マイ党は憲法裁判所により解党される恐れがあり、大規模な政治集会で世論を味方につけ反撃する構え。
野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のチャムナン副党首は、「先の下院審議での議案の採決において党の方針に反した行為のあった同党議員7人を党から追放することを予定している。」と明らかに。
同党では16日に重要案件について協議する予定で、ここで裏切り行為が取り上げられ、7人の追放が決まる可能性があるという。副党首によれば、これら議員の追放については、党役員と党所属議員の4分の3の賛同が必要。
12月14日(土)午後クルングテープ都内の高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅前パトゥムワン交差点で、野党第2党、アナーコット・マイ(新未来)党が反政府集会を開き、数千人が参加。
集会で演説したアナーコット・マイ党のタナトーン党首は「これは始まりに過ぎない。」、2014年5月のクーデター後に設置された軍政の首相であったプラユット氏が民政復帰の総選挙のあとも引き続き首相を務めていることなどに触れ、「今回のイベントは、クーデターを起こした者たちが権力の座に留まっていることを容認しない人々による政治的声明である。」、「今回の集会は単なるリハーサルで、本当の集会は来月決行する。」と宣言し、、来年01月からプラユット政権への抗議デモを本格化させる方針を示した。集会参加者は「プラユット出ていけ。」と連呼し気勢を上げた。集会は午後05時に始まり、約1時間後に終わった。警官隊との衝突はなかった。 北部チエンマイでも民主化を求める小規模な集会があった。
警察によると、チエンマイの集会とアナーコット・マイ党によるクルングテープでの集会はいずれも無届けで行われ、集会法違法。警察はタナートン党首ら集会主催者の責任を追求する構え。
アナーコット・マイ党はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループの創業者一族で富豪のタナートン党首が中心となり昨年設立された。今年03月の下院(定数500)選では、民主主義への完全復帰、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正などを訴えて、クルングテープの中間層、若者らの支持を集め、81議席を獲得、第3党に躍り出た。
プラユット政権、軍を中心とする保守派はアナーコット・マイ党に強く反発し、04月には、アピラット、タイ陸軍司令官が「国外で学んだ左翼思想を持ち込むな。」、「立憲君主制の変更を企てれば内戦になる。」などと警告。11月には、タナートン党首が下院選に立候補した際にメディア会社の株式を保有していたことが選挙法違反として、憲法裁判所が同党首の下院議員資格を剥奪。さらに今月に入り、「アナーコット・マイ党が下院選の際にタナトーン党首から1億9120万Bを借り入れたことが政党法違反にあたる。」として、選挙委員会が同党を憲法裁に告発。有罪の場合、アナーコット・マイ党は解党処分を受け、タナートン党首ら幹部は参政権を失うとみられる。
追い込まれたアナーコット・マイ党は大規模な反政府デモで世論を喚起し反撃する構え。ただ、2006年以降、タイで反政府デモが政権交代に繋がったのは2006年と2014年の軍事クーデターの呼び水となったデモなどいずれも保守派による3回だけで、軍と敵対するアナーコット・マイ党がプラユット政権を追い込む道筋は見えない。
さらに、アナーコット・マイ党は国王批判を禁じた不敬罪の改正を掲げている上、今年10月には、2連隊の指揮権と予算をタイ陸軍からワチラロンコーン国王に移管する緊急勅令の国会採決で唯一反対票を投じた。王室関連の法案に反対票が投じられるのは稀で、王室を旗印とする保守派は激怒。「アナーコット・マイ党の存続はこれで困難になった。」という見方がある。
12月15日(日)現政権に敵対的姿勢をとっている野党第2党、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首の呼びかけで12月14日にクルングテープ中心部パトゥムワン交差点に大勢の支持者が集まったが、警察当局は「無許可の政治集会であり関連法に抵触する。」として同党首に法的措置を講ずる準備を進めている。
首都圏警察の担当者は、「タナトーン党首の呼びかけで行われた集会は、公共施設における集会を規定した法律に明らかに違反している。集会主催者は許可を取得しておらず、集会の目的も明らかにしていない。」15日 これに対し、新未来党の広報担当、パンニカ♀は、「集会は現行憲法で保障された市民の権利に関する意見表明であり、違法ではない。」と訴えている。
12月16日(月)野党第2党である、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首の呼びかけで12月14日にクルングテープ中心部に支持者が大勢集まったことに対し、警察当局が「無許可の政治集会。」としてタナトーン党首に法的措置を執る構えを見せている問題で、連立政権の中核をなす、パラン・プラチャーラット(国民国家の力)党のソンティヤ議員が、「公共施設での集会に関する法律に違反した。」などの理由でタナトーン党首やピヤブット幹事長らをパトゥムワン警察署に告発。
また、チュチャート元最高裁判所判事は、14日の集会について、「政党法違反でアナーコット・マイ党が解党処分となる可能性がある。」との見解をネット上に投稿。
12月17日(火)議会で来年1月に行われる予定の内閣不信任案審議について、最大野党プア・タイ党の重鎮、チャルムは、不信任案を01月06~10日に下院議長に提出し、審議でまず閣僚4人の責任を追及する方針を明らかに。「これら閣僚は、プラユット首相兼国防相、ウィサヌ副首相、ソムキット副首相、ドーン外相の4人で、プア・タイ党議員の誰が審議においてどの閣僚の何について責任を追及するかがすでに決まっている。」
12月18日(水)プティポン・デジタル経済社会相は、「野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首の呼びかけでクルングテープ中心部で行われた政治集会の参加者1人を王室に対する不適切行為の疑いで逮捕した。」と明らかに。
ネット上に投稿された画像によれば、今回逮捕された者が王室に対し不適切な文言が書かれたプラカードを掲げていた。その文言について、プティポン大臣は、「捜査に影響する恐れがあるため詳細は明らかにできない。」
不敬事件では、不敬に当たる発言を引用することも不敬罪となる可能性があることから不敬発言の内容が報道されることはない。
12月19日(木)在タイ日本大使館によると、22日午後01時頃から、クルングテープのラチャダムヌンクラン通にある民主記念塔で民主活動家グループによる政治集会が予定されている。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
最大野党プア・タイ党のチョンナーン副党首はこのほど、野党陣営は現行憲法の全面的改正を目的に憲法256条改正の実現に向けて努力する方針と明らかに。同条では、憲法改正には上院議員250人の3分の1に当たる84人以上の賛同が必要と規定されている。また、全面的改憲にはまず256条改正を実現することが欠かせないが、チョンナーン副党首は、「現行憲法で保障された権限を上院議員が容易に手放すとは考えにくく、上院議員が256条改正に抵抗することが予想される。」
憲法裁判所は、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首を憲法違反で議員資格を剥奪する判決を下した。
タナトーン党首は今年03月に下院総選挙で当選したが、立候補時に禁止されていたメディア関連会社の株式を保有していたことが明らかとなり、軍政寄りとされる選挙管理委員会などからの圧力が強まっていた。
反軍政派の旗手として支持を集めていたが、今後その中心人物が長期間参政権停止となる恐れが出ており、反軍政派としては大きな痛手となった。
12月20日(土)アピラット陸軍司令官は、現在の政治状況と反政府集会が予定されていることについて記者から意見を問われたのに対し、「タイは代理戦争ならぬ代理危機に直面している。」と指摘。
アピラット司令官によれば、「代理危機は姿を現して政府に立ち向かうことをしないかできない者が首謀者となって起こされた危機。」とのこと。
また、この見方を裏付けるべく誰が首謀者なのか明らかにするよう記者から求められたが、アピラット司令官は、「自分で考えてほしい。」と答えるに留まった。
なお、先に野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首の呼びかけで大勢の支持者がクルングテープ中心部に集まって現政権を批判したが、反政府勢力は「来年01月12日に本格的な反政府集会を決行する。」としている。
12月21日(日)野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーン党首の呼びかけでクルングテープ中心部に大勢の支持者が集まったことについて、警察当局はこのほど、容疑を伝えるため、タナトーン党首やアナーコット・マイ党の幹部議員らをパトゥムワン警察署に呼び出すことにした。
関係筋によれば、警察は12月27日までに警察署に出頭させる意向だが、国会議員には不逮捕特権があることから警察庁長官が間もなく同党議員の呼び出しに関して国会議長に許可を申請する見通し。
警察によれば、「先の集会は事前の許可を取得しておらず、公共施設における集会に関する法律に抵触する。」
12月25日(水)野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党が、軍部に敵対的な姿勢をとっていることから「政府が関係当局を通じて潰しに掛かっている。」との指摘も出ている。憲法裁判所は、「反軍政派アナーコット・マイ党を立憲君主制の転覆を目論んだ疑いがある。」として、来年01月21日に判断を下すことを決定。
この決定は、今年初めにチーフ・オンブズマンの元顧問であるナタポン弁護士が「アナーコット・マイ党の規則や首脳の言動が不敬である。」と申し立てたことに伴うもの。
憲法裁は、「アナーコット・マイ党がタナトーン党首から巨額の借金をしたのは政党法違反である。」として同党解党の審理を求めた中央選挙管理委員会の申し立てを正式に受理。
もしこの疑いが事実と認定された場合、アナーコット・マイ党に解党命令が下される可能性が高い。
アナーコット・マイ党は野党第1党タクシン派プア・タイ党、与党第1党軍政派パラン・プラチャーラット党に次ぐ第3党で、反軍政派の旗手であるタナトーンが率いる党。先月タナトーンが憲法裁判所によって議員資格を剥奪されており、もし今回の判決で解党命令が下されれば、反軍政派による抗議活動が活発化する恐れがある。
12月26日(木)<在タイ日本大使館によると、26日午後5時ごろから10時頃にかけ、クルングテープのラチャダムヌンクラン通にある10月14日事件記念塔で民主活動家グループによる政治集会が予定されている。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
「タクシン一族の脱税を手助けした。」として、元タイ財務省高官のベンジャー(66)と元財務省歳入局職員ら4人が公務員職権乱用罪などに問われた裁判で、最高裁判所は、被告全員に禁固2年の実刑判決を言い渡した。5人は判決後、収監された。
タクシンの長男パーングトーンテーと長女ピントーングターは2006年、タクシン財閥の持ち株会社シン・コーポレーションの株式をタクシン一族が所有するオフショア会社アムプルリッチ・インベストメンツから時価の約50分の1の額面金額(1株1B)で買い取り、シンガポール政府の投資会社テマセクに売却。最高裁は「この取引で徴収すべきだった税金約159億Bを被告らが意図的に見逃した。」と判断。
ベンジャーは2006年当時、財務副次官だった。タクシンの妹のインラック首相の政権(2011~2014年)で副財務相(2013~2014年)を務め、インラック政権が軍事クーデターで倒された翌年の2015年、プラユット軍事政権(2014~2019年)下で起訴された。2016年、1審の刑事裁判所が禁錮3年の実刑判決を下し、翌年、2審の控訴裁判所が1審の判決を支持。
2020年01月02日(木)現行憲法で軍部と警察の首脳6人を上院議員に任命すると規定していることについて、先にチュアン下院議長が変更を提言したが、プラユット首相は報道陣に対し、「変更するか否かは下院委員会の判断に委ねるべきである。」、「チュアン議長に詳細を尋ねるのが良い。」などと述べ、この件に距離を置く姿勢を示した。
現行憲法は昨年3月の総選挙まで政権の座にあった軍政のもとで制定されており、軍部の意向が強く反映された内容となっている。憲法で上院議員に任命するとされているのは、陸海空3軍の司令官3人、国軍最高司令官、国防事務次官、警察庁長官の計6人。
01月04日(土)早朝タクシンの元妻ポチャマンのクルングテープ都内の自宅敷地内にある従業員宿舎で、家政婦のラオ人女性(31)が首を吊り死亡しているのが見つかった。
現場に争った形跡はなかった。警察は自殺とみて詳しい状況を調べている。女性は死亡する前、交際相手の男性と口論した。
ワチラロンコーン国王は、新たな枢密院議長にスラユット・チュラーノン枢密院議長代行(76)を任命。枢密院は国王の諮問機関であり、タイ国内において実質的に大きな影響力を持つ機関。04日付(報道により02日付)の官報に掲載。
スラユットは、1965年に陸軍士官学校を卒業して陸軍に入隊。1998年から2002年に掛けて陸軍司令官を務め、1992年からは2期にわたって上院議員を務めた。2003年の陸軍退官後、枢密顧問官に任命された。タクシン政権(2001~2006年)を打倒した2006年に軍事クーデターを起こした軍部の推薦で第24代首相に就任。2008年には新政権誕生に伴い、軍事政権の首相に就任し、1年4ヶ月在職。首相を退任した後枢密院顧問官に再任。、
プレム・ティンスラーノン前枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)が昨年05月26日、98歳で死去したこと受け、昨年09月(報道により05月)に枢密院議長代行に就いた。
01月07日(火)プラユット首相兼国防相、プラウィット副首相、ソムキッド副首相、チュリン副首相兼商務相、アヌティン副首相兼保健相ら政権幹部は、クルングテープ都内の国家功労者プレム・ティンスラーノン陸軍大将財団本部を訪れ、スラユット枢密院議長に新年の挨拶。
スラユットは陸軍司令官、国軍最高司令官を歴任し、2003年の陸軍退官後、タイ国王の諮問機関である枢密院の顧問官に任命された。タクシン政権(2001~2006年)を打倒した2006年の軍事クーデター後、軍事政権の首相に就任し、1年4ヶ月在職。プレム・ティンスラーノン前枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)が昨年05月に98歳で死去したことを受け、今月02日、枢密院議長に就任。
01月08日(水)野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党ののタナトーン党首は、「クルングテープ都内のパトゥムワン警察署に10日午後03時に出頭する。」と自身のフェイスブックに投稿。
アナーコット・マイ党が昨年12月、都内の高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅前で事前の届け出を行わずに反政府集会を開いた件で取り調べを受ける。
アナーコット・マイ党の支持者らはタナートン党首の出頭に合わせ、パトゥムワン警察署前で抗議集会を開く模様。
在タイ日本大使館によると、12日午前09時頃から午後07時頃にかけ、クルングテープのラチャダムヌンクラン通の民主記念塔で民主活動家グループによる政治集会が予定されている。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
在タイ日本大使館によると、12日日曜日にクルングテープ、チエンマイなどタイ各地で反政府系組織主催によるランニングイベントが行われる。同日、親政府系組織主催のランニングイベントもクルングテープのルムピニー公園で開催される予定。
ランニングイベントが予定されているのは、クルングテープ(鉄道公園:MRTチャトチャック公園駅近く)05時から09時まで、ウボンラチャタニー(ラックムアン前)05時から、チョンブリー(セントラルパタヤ交差点)16時から18時まで、ナコンラチャシマー(タオスラナリー像前及びチュンポン門前)16時から18時まで、ナコンパトム(プラルワン周辺)08時から、ウドンタニー(ノンブワ公園)06時から、カラシン(アヌクンナリ・ガラシン学校)13時30分から16時30分まで、パタニー(中央モスク)時間未定、チエンライ(旧県庁前ラーマ5世像)16時から、ナコンシータマラート(プラタートゥ寺院前)05時から、ナコンサワン(県庁裏貯水堰)17時から、ロイエット(プンプランチャイ公園)05時から、ノンタブリー(マクットロムヤサラム公園)05時30分から、マハーサラカム(時計塔前)05時から、チャンタブリー(タークシン大王公園)17時から、コンケン(コンケン大学内)16時30分から18時まで、パンガー(タクワパ郡ナライ王公園)07時から、パトゥムタニー(フュチャーパークランシット)07時から、プーケット(クロンカタ貯水池)07時から、チエンマイ(ターペー門前)06時から08時まで
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、開催場所周辺に近づかないよう注意喚起。
01月12日(日)クルングテープ都内の鉄道公園で、2014年505月の軍事クーデターに伴い首相の座に就いたプラユット元陸軍司令官が昨年03月に行われた民政復帰の総選挙を経てもなお首相を務めていることに反対するランニング・イベントが催され、お揃いのTシャツを着た人々など大勢の市民が集まった。会場には野党の主要メンバーの姿も見せていた。北部チエンマイ、東北部マハーサラカム、南部ナコンシータマラートなどタイ各地でも開催された。警官隊との衝突はなかった。
主催者側発表によれば、参加者は1万3000人に及んだという。参加者は若者が中心で、野党第2党、アナーコット・マイ(新未来)党のタナトーンー党首、野党第1党、プア・タイ党のキティラット副党首らも姿を見せた。集まった市民を前に主催者は、「02月02日にチエンマイで同様のイベントを催す。」と発表。
一方、クルングテープ都内のルンピニー公園では現政権を支持するイベントが開催され、数千人が集まった。
01月13日(月)プラユット元陸軍司令官の首相続投に反対する勢力によるランニング・イベントが催され、クルングテープでは主催者が1万3000人集まったと発表。その一方で、クルングテープ都内ルンピニー公園にはプラユット首相を支持する市民数千人が集まったとされる。 プラユット首相は、反政府勢力と政府支持勢力の双方による政治イベントについて「国の前進に役立たない時間の無駄。」と述べ、否定的な考えを示した。
01月14日(火)先にプラユット首相を支持しない勢力が大規模な集会を行い、これに対抗する形で首相支持の勢力も集会を行ったが、プラユット首相はこのほど、「このような政治的な活動を防止するための措置を検討するよう治安当局に指示した。」と明らかに。その理由としてプラユット首相は、「2つの勢力による新たな対立や衝突に発展する恐れがあるため。」と説明。
プラユット首相は、「私を支持する人であれ、追放したい人であれ、人々が再び暴力的になることは私の望むところではない。」
01月16日(木)タイ軍を母体とする最大与党パラン・プラチャーラット党の♀下院議員で国有地の不法占拠で追求を受けているパリナー議員が16日付で下院汚職取締委員会の委員に任命され、タイのネットユーザーから批判の声が上がっている。
パリナーとその家族は地元の西部ラチャブリー県で国有地約1㎢を不法占拠している疑いが強まり、昨年、警察の捜査を受けた。その後、捜査の進展は報じられていない。
パリナーの任命について、ネット上には「詐欺師に詐欺を調べさせる。」、「本当に独裁国家だ。やりたいようにやってくれ。」など、怒りを通り越して呆れたという意見が広がっている。
タイでは2014年のクーデターでプラユット軍事政権が発足。昨年03月、民政移管のための下院選が行われ、パラン。プラチャーラット党を中心とする第2次プラユット政権が発足した。第2次プラユット政権は通常の民主政権がコントロールできない軍を掌握している上、非民選の上院を通じて国会でも優位に立つ。裁判所、選挙委員会などの組織も強い影響下に置き、反対派を抑え込んでいる。こうした状況を反映してか、世論を無視した強気の人事が目立つ。昨年の組閣では、ヘロイン密輸でオーストラリアで服役した過去があるタマナット下院議員(退役タイ陸軍大尉、パラン・プラチャーラット党)を副農業協同組合相に起用。不適切な人事として強い批判を浴びたが、野党の更迭要求に応じなかった。
01月21日(火)憲法裁判所は、野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党の「タナト―ン党首らに不敬発言があった。」として国家転覆容疑で解散を求めた申し立てを「違法性はなかった。」との理由で却下。申し立てをしたのはチーフ・オンブズマンの顧問だったナタポン弁護士。
「軍政派の議員らが同党の関係者4人が国家転覆を企てていた。」と、憲法裁判所に審理を求めていたが、「情報源が一部メディアの記事で信用性に乏しい。」、「党首らの発言などをチェックしたが不敬に該当するものは見つからなかった。」
だが、同党に関しては、党首が党に巨額の融資をしており、これについて中央選挙管理委員会が「政党法違反で解党処分にすべき。」との申し立てを憲法裁に行っており、まだ解党の可能性が残っている。
01月23日(木)下院における今年度の国家予算案の承認手続きが違憲とされる可能性が出ている問題で、プラユット首相は、「タイ経済と巨額な政府投資に悪影響が及ぶ恐れがある。」、「今年度は昨年10月にスタートしているが、下院での予算案承認が憲法裁判所により違憲とされた場合、予算の執行が遅れることで経済の改善も遅れ、国民が影響を受けることになる。」との懸念を示した。
今年度予算案は01月初めに下院で承認されたが、「その場にいなかった議員2人が賛成票を投じたことになっている。」との指摘があり、先に与党議員90人と野党議員84人の計174人が予算案承認の合憲性について憲法裁判所に判断を求めた。ただ、憲法裁が検討し判断を下すにはある程度時間が掛かる見通し。
01月27日(月)在タイ日本大使館によると、02月02日、クルングテープの民主記念塔とラーチャプラソン交差点で民主活動家グループによる政治集会が、トンロー・ソイ3のスワン・クルーアグンで反政府系組織主催の政治イベントが開催される予定。民主記念塔での集会は午後01時頃から、ラーチャプラソン交差点は午後03時頃から96時頃、トンロー・ソイ3は午前10時頃から午後08時頃までの予定。
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会、イベントの現場に近づかないよう呼びかけている。
02月04日(火)タイ保健省は、「タイ国内で新たに武漢コロナウィルス感染者を6人確認した。」と発表。
感染の確認がされたのは、支那人観光客2人とタイ人4人。タイ人4人のうち2人は支那人観光客を乗せたことのある車の運転手で、あと2人は日本旅行から帰国後に感染が確認された夫婦。
日本国内で感染した。
5人は容態が快方に向かっている。
これによりこれまでタイ国内で武漢コロナウィルスに感染者は計25人。このうち17人は入院中。8人は病院で手当てを受け治癒し、すでに退院。
タイ保健省はまた、タイから帰国した南鮮人が武漢コロナウィルスに感染したことが確認されたことについて、「南鮮当局と連絡を取り、状況を調べている」と説明。
支那湖北省武漢市からタイ人を退避させるためタイ政府がチャーターしたタイ・エアアジア機が、武漢でタイ人138人を乗せ、タイ東部ラヨン県のウタパオ空港に到着。
具体的には、午前07時10分にアヌティン副首相兼保健相と14人の医療チームが乗り込んだタイ・エアアジア機がドンムアン空港から支那に向けて出発し、現地時間午前11時30分に武漢に到着。タイ人たちを乗せて同機は現地時間午後04時40分にタイに向けて武漢を飛び立ち、午後07時30分には東部ラヨン県のウタパオ空港に到着する予定だった。
支那からは当初144人がタイに戻る予定とされていたが、実際に現れたのは141人。そのうち健康検査をパスした138人が搭乗。高熱が出ていた2人と滞在期限をオーバーしていた1人が出国を拒否された。
施帰国した138人全員はウタパオ空港近くのチョンブリー県サタヒープのタイ海軍基地内の施設で14日間隔離され、経過観察が行われる。
移民党の安倍晋三、二階俊博、菅義偉に野盗は、普通の国が行うこともしない失政だらけ、日本人の生命、健康、財産、伝統、文化、領土に矜持までも守らない無為無策の売国奴。検査を拒否して帰宅した未必の故意の殺人犯まで出た日本は壊れている。世界2位(今日現在感染者34人)の感染国の日本は入国拒否され始めた。ミクロネシアは「入国する場合は感染者が確認されていない国や地域で少なくとも14日間過ごさなければならない。」と、日本からの入国を拒否。
02月05日(水)連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党の主要派閥「サームミット」が、所属議員約40人を集めて話し合いを行ったが、関係筋によれば、クルングテープのホテルで昼食会という形で行われたこの会合は近く行われる不信任案審議のあとに予想される内閣改造で同派閥の閣僚がポストを失うことがないよう牽制することが狙いだった。ここにはウッタマ財務相、ソムサク法相、スリヤ工業相などが出席。ソムキット副首相(経済担当)も顔を見せた。
パラン・プラチャーラット党では総選挙後に派閥間で閣僚ポスト争奪戦があったが、ここに来て「党内では次の内閣改造でサームミット派の閣僚ポストの一部が他の派閥に割り振られる。」との見方も出ている。
野党第2党のアナーコット・マイ党がタナトーン党首から1億9120万Bを借り入れたことが政党法違反に当たる可能性があるとされる問題で、憲法裁判所は、有罪で解党か否かの判断を21日に示すことを明らかに。
この問題ではアナーコット・マイ党が潔白を証明すべく17人を証人としてリストアップしているが、憲法裁は証人に言い分を文書にまとめて12日までに提出するよう命じた。
アナーコット・マイ党は昨年03月に行われた総選挙の選挙運動資金として党首から巨額の借り入れをしているが、中央選挙管理委員会は「これが選挙法に抵触する。」として解党処分が是か非かを判断するよう申し立て、憲法裁が昨年12月25日、これを受理。
02月07日(金)下院で行われた今年度(昨年10月~今年09月)国家予算案の議決時、他の議員が議場にいない議員の代わりに賛成票を投じていた問題で、憲法裁判所は、憲法裁は予算案の第2読会と第3(最終)読会の投票をやり直すよう命じた。このため、下院では13日に改めて投票が行なわれる。
今年度の国家予算案であるが、昨年03月に総選挙が行われたものの新政権発足に時間がかかったことから、今年度がスタートしてから審議が開始されており、ようやく今年01月に承認されたところだった。
「身代わり投票問題のせいで憲法裁が予算案承認を無効とし、予算執行がさらに遅れ、経済に大きな影響が及ぶ。」と懸念する声も出ていたが、最悪の事態は回避されることになった。
アヌティン保健相は先にメディアとのインタビューの中で、タイを訪れた西洋人がマスクを着用しないことに腹を立てて「このような西洋人の連中は国外追放にすべき。」と発言。これに各方面から批判が浴びせられたことから、保健相はネット上で「謝罪する。それぞれの外国人には協力に感謝する。」
タイ国内でもマスクを求める人が多く、売り切れが続出している。政府庁舎では廉価マスク2万枚と除菌液を販売したが、30分となった。
なお、関係当局によれば、先に支那から航空機でタイに帰国した138人のうち2人に武漢コロナウィルス感染を疑わせる症状が出始めている。
発生源の支那以外では断トツの世界1位の感染国日本(09日現在感染者数96人、2位シンガポール40人)は能天気な日本破壊政権で、こんな発言も出ない。しかし、実態は、これくらいの非常事態。支那は世界から隔離して鎖国させるのが最善手だが、遅いが今からでも少しはマシ。
02月12日(水)在タイ日本大使館は、高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅近くの「13日午後06時からクルングテープ都内のクルングテープ芸術文化センター前のスカイウォークで民主活動家による政治集会が実施される。」と注意喚起。
クルングテープ芸術文化センターは、クルングテープ中心部の観光客も多く集まるサイアム地区にあり、在留邦人及び旅行者に対してこの時間帯は現場周辺への立ち寄りを避けるよう促している。
今回の集会は、東北部ナコーンラーチャシーマー県のショッピングセンターで発生した銃乱射事件を受けた追悼および軍司令官に対する責任を追及するデモとなる。
02月13日(木)在タイ日本大使館によると、15日午後04時半頃から、「クルングテープのラチャダムヌンクラン通にある10月14日事件記念塔で、タイの野党、アナーコット・マイ(新未来)党が政治集会を予定している。」と、在留邦人や旅行者に注意喚起。
今回の集会は、ナコーンラーチャシーマー県で発生した軍関係者による銃乱射事件の被害者追悼と軍政改革を要求するという現政権を批判するもので、ラーチャダムヌン通、王宮前広場と民主記念塔の間にある民主記念塔近くの10月14日事件記念塔で行われる。
タイ下院で、今年度(昨年10月~今年09月)の国家予算案が賛成多数で承認された。同案に関しては、01月に行われた第2読会、第3(最終)読会で一部議員が欠席議員の代わりに賛成票を投じていたことが判明したことから、憲法裁判所が投票のやり直しを命じていた。
野党議員は投票をボイコットしたが、与党議員のほぼ全員が賛成票を投じたことから予算案が承認された。同案は14日に上院でも承認される見通し。
02月17日(月)ヨンユット元副首相兼内相(78)が副内務事務次官だった2002年に寺院の所有地を民間企業に売却する取引を承認したことで職権乱用などに問われた裁判で、タイ最高裁判所は、被告の上告を棄却し、禁錮2年の実刑判決が確定。ヨンユットは同日、収監された。 問題の土地はクルングテープ北郊パトゥムタニー県の117ha。所有者の女性が1971年、中部プラチジュアッブキリカン県の仏教寺院に寄贈し、女性の死後の2002年、遺産管理人が当時のサノ副内相の関連会社に売却。土地はゴルフ場として開発され、後にタクシンの傘下企業に転売。
裁判所は、「土地の所有者は寺で企業への売却は違法であり、ヨンユットが違法と知りつつ取引を許可した。」と認定。
ヨンユットは2002年に内務事務次官を定年退官し、2008年にタクシン派の政党、プア・タイ党の党首に就いた。2011年の総選挙でプア・タイ党が勝利し、タクシンの妹のインラックが首相に就任。ヨンユットは副首相兼内相という閣内ナンバー2として入閣。しかし、今回の問題で国家汚職防止撲滅委員会(NACC)の追求を受け、2012年に閣僚、プアタイ党党首、下院議員を全て辞任。
タイでは武漢コロナウィルスの感染拡大を阻止すべく支那・香港・台湾から来た人々について入国時に厳格な検疫を実施しているが、スクム保健事務次官は、「日本とシンガポールからの入国者にも同様の検疫を行うことになった。」と明らかに。
同次官はまた、「日本とシンガポールからタイに来た人で過去14日間に発熱や呼吸器症状のあった人は(クルングテープに隣接するノンタブリー県にある)バムラートナラードゥーン伝染病研究所に行って武漢コロナウィルス感染を調べる検査を受けてほしい。」と話している。
このほか、アヌティン保健相は、クルーズ船、ウエステルダム号の乗員・乗客のタイ入国を認めないことを発表。同船はカンボジア当局が寄港を認め、検疫で問題がなかったとして乗員・乗客全員の下船を許可したが、乗客のうち米国人女性(83)がマレーシアに行って検査を受け、武漢コロナウィルスに感染していることが確認されている。保健相はタイの航空会社に対し、この先14日間は同船の乗員・乗客を旅客機に搭乗させないよう指示。
移民党の安倍晋三、二階俊博、菅義偉に野盗の売国奴ため、だんだん入国が厄介になっていく。
タイ保健省は、「日本とシンガポールで武漢コロナウィルスの感染者が増加している。」として、これら2ヶ国への訪問を予定している人に渡航延期を勧告した。スクム保健事務次官は「日本とシンガポールでは支那人と接触していない人が感染しており、感染拡大が第3段階に入っている。」、「過去14日間にこれら2カ国を訪れたタイ人で発熱している人は医師の診察を受ける必要があり、無料で治療を受けることができる。」 なお、疾病対策局が発表したところによれば、タイを訪れた支那人の家族の1人が武漢コロナウィルスに感染していることが判明。これでタイ国内での感染確認は合計35人。日本:608 死者01、シンガポール:77 死者00人、香港:61 死者01、タイ:35 死者00
02月18日(火)在タイ日本大使館は、タイ保健省が武漢コロナウィルス(SARS-CoV-2)に関し、日本とシンガポールからの入国者に対して検疫を強化したため、注意喚起。
タイ保健省は従来の支那、香港、マカオ、台湾に加えて、日本、シンガポールからの渡航者および過去14日以内にこれらの地域に滞在した渡航者を空港でスクリーニングの対象とする。具体的には、体温が37.5℃以上で、咳、鼻水、のどの痛み、頻呼吸、呼吸困難のいずれかをともなう症状がある場合、タイ国内の病院でウィルス検査を行う。すでにタイに入国している場合も、過去14日以内にこれらの地域に滞在した人については、病院で診察を受けた際に上記の症状があった場合、同様のウィルス検査を行う。
在タイ日本大使館はタイに滞在中または渡航する予定の日本人に対し、武漢コロナウィルスに関する外務省海外安全ホームページや在タイ日本大使館のホームページをチェックするなどして最新情報の収集に努め、空港や人混みの多い施設を利用する際はマスクを着用し、外出後は必ずうがい、手洗いを行うよう呼びかけた。
02月19日(水)在イスラエル・タイ大使館によると、イスラエル当局は18日、武漢コロナウィルスの感染拡大を受け、過去14日間にタイ、シンガポール、香港、マカオを訪れた外国人の入国を国籍を問わず禁止。タイを感染地域と見做した。
タイ保健省によると、タイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は19日時点で35人で、ほとんどが支那人旅行者。
アヌティン副首相兼保健相は、「国内の感染者数について、隠蔽しておらず、正確な数字だ。」と主張。
タイ国際航空(TG)は武漢コロナウィルスの感染拡大にともなう需要減を受け、名古屋(中部空港)および福岡発着便の運航を一部取りやめ。
運航を中止するのは03月04日、05日、11日、12日、18日、19日のTG647便(名古屋~スワンナプーム)、03月03日、04日、10日、11日、17日、18日のTG646便(スワンナプーム~名古屋)、03月02日、05日、09日、12日、16日、19日のTG649便(福岡~スワンナプーム)、03月02日、05日、09日、12日、16日、19日のTG648便(スワンナプーム~福岡)。
タイ国際航空は支那、台湾、香港、韓国、シンガポール、フィリピン、バングラディシュの各路線でも一時運休・減便。
02月20日(木)防塵マスクメーカーの興研(東京都千代田区)は、「今月13日、タイの現地法人サイアム・コウケンが製造している使い捨て式防塵マスクが、タイ商務省国内貿易局から輸出許可を停止された。」と発表。
タイ政府は、武漢コロナウィルスの流行によって、タイ国内の需要が急増してることから、海外への輸出を一時停止する措置をとっており、同社もその影響を受けただ。
同社は使い捨て防塵マスク「ハイラック」をタイで製造し、全数を日本国内で販売。興研は、タイ商務省に働きかけ輸出許可の取得を目指す一方、日本国内での製造を強化する方針。
タイ国際航空(THAI)は、武漢コロナウィルスの流行を受けて、「日本をはじめ、韓国、台湾、シンガポール発着のフライトを対象に手数料なしで日程・経路変更を受け付ける。」と発表。
対象となる路線は、スワンナプーム・チェンマイ〜台北・高雄・中部・福岡・羽田・成田・大阪・札幌・仙台・ソウル・釜山・シンガポール区間で、直行便のTG3桁便およびタイスマイル運航のTG4桁便。日程・経路変更は今年06月30日まで可能。
02月21日(金)タイ憲法裁判所は、野党第2党のアナーコット・マイ(新未来)党が「党首のタナトーン・チュンルンルアンキット(41)から政治資金を借り入れたことが政党法違反に当たる。」として、同党を解党し、タナトーンら党幹部16人の参政権を10年間停止。
 参政権が停止された幹部は下院議員を失職。それ以外の同党所属の下院議員約70人は2ヶ月以内に別の政党に移籍することになる。
アナーコット・マイ党は民主化推進を掲げる新党で、若者、都市中間層などの間で人気が高まっていた。プラユット政権、軍などの保守派は宿敵であるタクシンの再来になりかねないタナトーンを早い段階で排除し、政権基盤を固めた。既得権益層が権力を握り民主主義を制限する現体制に対する反感は国民の間に燻っており、今回の判決で反発が強まる可能性がある。
アナーコット・マイ党はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループの創業者一族で富豪のタナトーンが中心となり2018年に設立。昨年03月の議会下院(定数500)選では、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正などを訴えて、81議席を獲得。タクシン派の野党プア・タイ党、軍を母体とする政権与党パラン・プラチャーラット党に次ぐ第3党に躍り出た。
アナーコット・マイ党はパラン・プラチャーラット党を中心とする連立政権の発足後も保守派への攻撃を緩めず、国王批判を禁じた不敬罪の改正を提案するなど、タイではタブーとされる王室関連の問題にも切り込んだ。昨年10月には、2連隊の指揮権と予算をタイ陸軍からワチラロンコーン国王に移管する緊急勅令の国会採決で唯一反対票を投じ、王室を旗印とする保守派を激怒させた。
こうした中、昨年11月、タナトーンが下院選に立候補した際に「メディア会社の株式を保有していたことが選挙法違反。」として、憲法裁が同党首の下院議員資格を剥奪。翌12月には、「アナーコット・マイ党が下院選の際にタナートンから1億9120万Bを借り入れたことが一個人からの多額の政治献金を禁じた政党法違反に当たる。」として、選挙委員会がアナーコット・マイ党を憲法裁に告発し、今回の解党判決となった。
タイの憲法裁と最高裁は2000年から続くタクシン派と保守派の政治抗争の中で、タクシン派の政党を2度解党するなど、ほぼ一貫してタクシン派に不利な判決を下している。
02月22日(土)憲法裁判所が21日、政党法違反を理由に野党第2党のアナーコット・マイ(新未来)党を解党処分とする決定を下したが、翌22日、これに抗議する大学生ら数百人が国立タマサート大学のタプラチャン・キャンパスに集まり、「正義を求める。」などと表明して気勢を上げた。この集会はタイ学生連盟がネットを通じて呼びかけたもの。
タイ憲法裁判所が21日、野党第2党のアナーコット・マイ(新未来)党を政党法違反で解党したことに対し、米国と欧州連合(EU)が懸念を表明。
米国政府は在タイ米国大使館による声明で、「昨年03月のタイ議会下院総選挙で新未来党に投票した600万人以上が解党により権利を剥奪された。」と指摘。EUは報道官の声明で、「政党を解党したり下院議員を失職させ参政権を停止するのは政治的多元主義の回復に逆行する。」と批判。
02月23日(日)タイ保健省は、日本をはじめ支那、シンガポール、韓国など武漢コロナウィルスが流行している地域へ渡航した人に対して、タイに入国後14日間は人混みを避けること、公共交通機関などの利用を控えることなどを呼びかけた。
これはタイに住む在留邦人で、日本に一時帰国した人も該当するものと見られる。現時点では極力自粛するよう呼びかけているだけで、強制的なものではないが、今後日系企業の動きにも影響が及ぶ可能性が出てきた。
タイ政府は先日、自国民に対して武漢コロナウィルスの感染者数が増えていた日本やシンガポールへの渡航を自粛するよう呼び掛けており、タイ国内での蔓延を防ぐことに躍起になっている。
在タイ日本大使館は、「支那、日本など武漢コロナウィルス(SARA-CoV-2)の感染が確認された地域からタイに入国した人にタイ保健省が14日間の自宅待機を求めている。」とした一部の報道を否定。
在タイ大使館によると、タイ保健省は武漢コロナウィルスに関し、支那、香港、マカオ、台湾、日本、シンガポール、韓国といった感染例が多くみられる地域からタイに入国した場合、少なくとも14日間、人混みに行かない。公共交通機関の利用を避ける。他人と物品を共有しない。症状の有無に関わらず、毎日検温する。疑わしい症状がみられる場合にはマスクをつける。症状が悪化した場合はすぐに医療機関にかかり渡航歴を報告する、またはタイ保健省に相談する。タイ保健省はまた、タイ国内の教育機関に対し、上記の地域から帰国した学生らに14日間の自宅休養などの協力を求めるなど基準を作って管理するよう呼びかけている。
在タイ日本大使館は同日、タイ教育省が、過去14日以内に上記地域に渡航した学生に自宅待機命令を出したという情報があるとして、具体的な対応措置についてはそれぞれの教育機関に確認するよう求めた。
タイ国内で23日までに確認された武漢コロナウィルスの感染者は35人。このうち14人が入院中で、21人は治癒してすでに退院した。死者は出ていない。
ナタポン教育相は、武漢コロナウィルス(SARA-CoV-2)の感染が確認された6ヶ国・地域を訪れた教員、生徒を14日間の出勤停止、休学にするよう教育機関に要請した。6ヶ国・地域は支那、日本、香港、韓国、台湾、シンガポール。
タイ保健省によれば、支那湖北省武漢からタイを訪れ武漢コロナウィルス感染が確認された支那人女性(54)が、回復して退院。帰国の途に就くことになった。
スクム保健事務次官によれば、「タイ国内での感染確認は依然として35人で、うち21人はすでに退院した。残りの14人のうち2人は重症で人工呼吸器を装着しているが、容体は安定。その他の12人は快方に向かっている。」
02月24日(月)野党第2党のアナーコット・マイ(新未来)党が党首から巨額の融資を受けた件を審理していた憲法裁判所は、融資が違法献金に該当するなどとして同党の解党処分を決めたが、国立タマサート大学に勤務する法律学の講師36人がこのほど、憲法裁の判断を否定する見解を表明。
憲法裁は判決文の中で、「政党は法人ではないので融資を受けることができないため、党首による党への貸し付けは党が合法的に得た資金とはならず、同件での融資は政党法違反に該当する。」としている。
だが、これら講師によれば、「政党は公的機関であるための3つの要件を満たしていないので法的には法人と規定でき、そのため法人である政党は融資を受けることができる。」
憲法裁はさらに、「融資の利率は通常では考えられない低利であり、政党法で規定された寄付や他の利益に該当。さらに上限額も超えており政党法に違反する。」と指摘しているが、講師らは、「利率などは貸し手と借り手の間で自由に決められるものであり、これを理由に政党法違反とすることには納得がいかない。」と反論。
このほか、憲法裁は党首による融資が政党法72条で規定されている「違法薬物取引や犯罪などから得られた正当でない資金」に該当する。」としているがが、講師らによれば、「融資は正当な資金であり、アナーコット・マイ法を適用して解党処分とすることはできない。」
02月25日(火)クルングテープ都内の国立タマサート大学キャンパスで学生数百人が集まり憲法裁判所によるアナーコット・マイ(新未来)党の解党処分に抗議したが、今後複数の大学や高校で同様の集会が決行される可能性が高まっている。この状況を危惧する警察庁のキサナ副報道官はこのほど、「民主主義では人々が集まって意見を表明することなどが認められているものの、法律で定められた範囲内で行わなければならない。」と述べ、法律の順守が必要であることを強調することで学生らの動きを牽制。
「25日にマヒドン大学、シンラパコン大学、チエンマイ大学、メーチョー大学などで学生集会があった。」と報じられており、憲法裁や現政権に対する大学生の抗議活動が活発化している。
なお、憲法裁によるアナーコット・マイ党解党については、現政権が将来的に大きな脅威となる恐れのある政敵を司法手段を用いて潰そうとしたものとみる向きが少なくない。
02月26日(水)タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルス(SARA-CoV-2)の感染者が新たに3人確認された。」と発表。
日本への渡航歴があるタイ人夫婦(65、62)とその孫(8)で、クルングテープ郊外の医療施設で治療を受けている。男性は北海道などを訪れて帰国した後、高熱、咳などの症状が出て、23日に民間病院に入院。検査の結果、3人が武漢コロナウィルスに感染していることが確認された。タイ保健省は「夫婦は日本で感染、孫は北海道旅行には同行しておらず、この夫婦を経由して感染したようだ。」
タイで26日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計40人になった。このうち16人が入院中で、24人は治癒してすでに退院した。死者は出ていない。
北海道への渡航歴があるタイ人男性(65)と妻(62)と孫の女児(8)が武漢コロナウィルスに感染したことが26日に確認されたことを受け、クルングテープ都庁は女児が通っていたクルングテープ都ドンムアン区の学校を26日から14日間臨時休校する。校内の消毒を行った。
一方、感染した男性が熱、咳などの症状で入院していたクルングテープ都内の病院Bケアメディカルセンターは、「男性と接触があった病院のスタッフ30人を26日から14日間自宅待機させる。と発表。武漢コロナウィルスの検査では全員陰性だった。
病院Bアメディカルセンターによると、「男性は23日に病院を訪れた際に日本への渡航を明かさなかった。そのまま入院し、翌24日に医師に質問された際も渡航を否定した。」という。24日に行った武漢コロナウィルスの検査で陽性となり、病院がタイ保健省に連絡した。
02月27日(木)「憲法裁判所が現政権に批判的な野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党を解党処分とするのを決めたことで複数の大学や高校で学生たちが抗議の動きを活発化させている。」と報じられているが、プラユット首相は、「学生たちが抗議するのは理解できるが、双方の言い分に耳を傾けてほしい。」と述べ、冷静に対応するよう呼びかけた。
プラユット首相によれば、「法律を守ることは非常に重要であり、国の将来を担う若者が法を犯して違法な抗議集会を行って罪に問われ、その将来に影響が及ぶことが懸念される。」
02月28日(金)タイ国鉄道公団(SRT)は、世界的に武漢コロナウィルス感染者が増加していることを受け、従業員に対して感染者が多い国・地域に渡航しないよう命じた。対象となっている国・地域は、日本をはじめ南朝鮮、支那、マカオ、香港、台湾、マレーシア、ベトナム、シンガポール、イタリア、イラン。
すでに旅行を手配した従業員には、延期するよう求めていく。また対象となっている国・地域に最近渡航した従業員には、一定期間の自宅待機を命じる。
野党が提出したプラユット首相兼国防相(元タイ陸軍司令官)ら6閣僚に対する不信任案が24~27日、タイ議会下院(定数500)で審議され、採決に臨んだ議員は約330人で、反対多数で否決。
反対票はプラユット首相、ウィサヌ副首相(元内閣秘書官長)、アヌポン内相(元タイ陸軍司令官)、ドーン外相(元駐米大使)が272票、プラユット首相の陸軍時代の上司であるプラウィット副首相(元タイ陸軍司令官)が277票、ヘロイン密輸でオーストラリアで服役した過去があるタマナット副農業協同組合相(退役タイ陸軍大尉)が269票。
野党陣営は野党第1党でタクシン派のプア・タイ党が中心となり、プラユット軍事政権(2014~2019年)の汚職疑惑、人権侵害などを追求したが、野党第2党のアナーコット・マイ党が政党法違反で21日に解党処分を受けた直後で、攻め手を欠いた。
与野党の議席数差は昨年の政権発足当初は数議席だったが、与党陣営はその後、野党の少政党、議員を取り込むなど切り崩しを進めた。解党されたアナーコット・マイ党からは9議員が与党側に寝返り、不信任案を余裕を持って葬った。
02月29日(土)アナーコット・マイ(新未来)党が裁判所により解党されたことに抗議するデモがタイ各地の大学で発生。
29日にはカセサート大学で1000人規模のデモが行われた。参加者は「裁判所が既得権益層・保守派に優しく民主派に厳しいダブルスタンダード(二重規範)を用いている。」と批判。プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正などを要求。
アナーコット・マイ党はクーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、憲法改正などを訴え、昨年3月の議会下院(定数500)選で81議席を獲得、第3党に躍り出た。しかし、党首で富豪の「タナトーンから政治資金として1.9億Bを借り入れたことが政党法違反にあたる。」として、憲法裁判所が今年02月21日、同党を解党し、タナトーンら党幹部16人の参政権を10年間停止。
憲法裁の判決に対しては、米国と欧州連合(EU)が、「アナーコット・マイ党に投票した有権者の権利を奪い、政治的多元主義の回復に逆行する。」などと批判した。
03月01日(日).保健省は、「これまでにタイ国内で武漢コロナウィルス感染が確認された42人のうちスワンナプーム空港から約15㎞離れたサムットプラカン県バンプリー郡にある免税店、キングパワー・シーワリー店で外国人観光客と接触するパートナー企業の販売員として働いていた35歳のタイ人男性が02月29日午後06時25分に多臓器不全で死亡した。」と発表。
「01月27日(報道により28日)に発熱で民間病院で受診し、インフルエンザと診断され、翌29日に職場に復帰。同日夕方に再度体調を崩して病院を訪れ、今度はデング熱と診断され、入院。02月05日、クルングテープ郊外のタイ国立バムラートナラードゥーン感染症研究所に移送され、翌06日の検査で武漢コロナウィルス感染が判明。キングパワーはこれを受け、06日からシーワリー店を臨時休館。男性は試験的に抗ウィルス剤や回復感染者の血漿投与による治療を受けており、02月16日から武漢コロナウィルスが全く検出されなくなったが、危険な状況が続いていたため集中治療室(ICU)で治療が続いていた。このことから、保健省は死因の解明が必要。」
また、この男性を担当した看護婦が武漢コロナウィルス感染に感染して肺炎を患ったものの、治療を受けて回復しすでに退院。
今回の男性の事例について保健省担当者は、「無症状かほとんど症状のない武漢コロナウィルス感染者から人にウィルスが移ること、そして持病がなくても重篤になることを示す重要な例。」タイで03月01日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は42人、このうち30人はすでに退院。11人が入院中。
03月02日(月)下院では先に野党陣営が提出したプラユット首相を含む6閣僚の不信任案に関する審議が行われ、全員が大差で否決されることになったが、最大野党Vプア・タイ党のアヌソン報道官によれば、野党陣営は全国で公開討論会を開催して国政における政府の過ちを追求してゆく方針という。公開討論会は国内の主要都市で開催される予定。
アヌソンは、「国民のために闘う時が来た。不信任案審議は国会だけでは終わらない。」と息巻いている。
03月05日(木)プロードプラソプ元副首相(75)が天然資源環境省事務次官だった2003年当時の人事をめぐり職権乱用に問われた裁判で、タイ最高裁判所は、禁錮1年8ヶ月の実刑判決を言い渡した。プロードプラソプは判決後、収監された。2017年の1審で禁錮1年、執行猶予2年、2018年の2審で禁錮2年の実刑判決が下っていた。
プロードプラソプは旧貴族の生まれ。農業協同組合省森林局長、天然資源環境省次官などを歴任し、タクシン派インラック政権(2011~2014年)で副首相、科学技術相。
保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに4人確認された。」と発表。 4人は会社員のイタリア人男性(29)、会社員のタイ人男性(42)、支那人の男子学生(22)、タイ人の男子学生(20)。
イタリア人男性は01日にイタリアから空路で入国し、02日に発熱、咳などの症状が出た。現在、東部チョンブリ県の病院に入院中。
タイ人男性は02日に空路でイタリアから帰国し、03日からチョンブリー県の病院に入院。入院中のイタリア人男性との接触はなかった。
支那人学生はイランから帰国する途中、経由地のスワンナプーム空港で01日、発熱、咳があり、検査の結果、武漢コロナウィルス感染が確認された。クルングテープ郊外のタイ国立バムラートナラードゥーン感染症研究所で入院中。
タイ警察は、児童買春、人身売買などの容疑でクルングテープ在住の日本国籍、松原ノリトシ(71)とタイ人の男2人(24、21)を逮捕。
松原ノリトシは、タイ人の男がクルングテープのフワラムポーン駅周辺などで見つけてきたホームレスの少年を、クルングテープ都ヤンナワ区バン・ポンパン地区ラマ3世通の自宅マンションに連れ込み、猥褻行為を行った疑いが持たれている。在タイ10年以上で、クルングテープの飲食店に勤務。
タイ商務省は、「国内産の医療用マスク(サージカルマスク)は今月09日からは1枚2.5B以下で販売しなければならず、これに反した場合、5年以下の禁固刑、10万Bの罰金刑あるいは双方が科せられる。」と発表。
チュリン商務相によれば、「商務省では全国各地に111台のトラックを派遣して1日当たり30万枚のマスクを販売する予定。」
03月08日(日)タイ憲法裁判所が20月に解党した野党第2党、アナーコット・マイ(新未来)党のピター下院議員(38)らが、記者会見を開き、「アナーコット・マイ党に所属していた下院議員55人が新党、カーウクライ(進歩)党に移籍する。」と発表。ピター議員が党首に就任。
カーウクライ党はアナーコット・マイ党の理念を引き継ぎ、タイの民主化に取り組む方針。
アナーコット・マイ党はタイ自動車部品大手タイ・サミット・グループの創業者一族で富豪のタナトーン党首が中心となり2018年に設立。昨年03月の議会下院(定数500)選では、クーデターを繰り返すタイ軍の抜本改革、プラユット軍事政権(2014~2019年)が作成施行した民主主義を制限する現憲法の改正、国王批判を禁じた不敬罪の改正などを訴えて、クルングテープの中間層、若者らの支持を集め、81議席を獲得。タクシン派の野党プア・タイ党、軍を母体とする政権与党パラン・プラチャーラット党に次ぐ第3党に躍り出た。
しかし、プラユット政権、軍など保守派の猛反発を受け、昨年11月、タナトーン党首が下院選に立候補した際にメディア会社の株式を保有していたことが選挙法違反として、憲法裁がタナトーン党首の下院議員資格を剥奪。翌12月には、アナーコット・マイ党が下院選の際にタナートン党首から1億9120万Bを借り入れたことが一個人からの多額の政治献金を禁じた政党法違反にあたるとして、選挙委員会がアナーコット・マイ党を憲法裁に告発。先月21日、憲法裁がアナーコット・マイ党を解党し、タナトーン党首ら党幹部16人の参政権を10年間停止。アナーコット・マイ党所属の下院議員の一部は参政権停止で議員失職し、一部は与党側に寝返った。
タイ民間航空庁(CAAT)は、タイ保健省が武漢コロナウィルス(SARS-CoV-2)感染症の危険地域に指定した南鮮、支那(香港、マカオを含む)、イタリア、イランの4ヶ国からの渡航者に関するガイドラインを発表。
危険地域内の空港からタイに向かう航空機は、チェックインの際に、搭乗者に武漢コロナウィルスに感染していないことを保証する健康証明書を提出させる。証明書がない場合は搭乗させない。
03月09日(月)自身秘書が大量の医療用マスクを退蔵しているとされる男性と会ったことをタマナット副農相が認めた。これに伴い政府に対する批判の声が強まっている。
ネット上に「タマナット副農相の側近が支那に転売するためマスク2億枚を退蔵している。」と書き込まれたことで、タマナットは釈明の中で秘書の動向に言及した。
タマナットに対しては、野党はいうに及ばず、複数の与党議員からも政府のイメージ悪化を回避するため続投に難色を示す見方が出ているが、本人は辞任を拒否。
サクサヤム運輸相が明らかにしたところによれば、タイ民間航空機構(CAAT)が武漢コロナ対策の一環として一部の国と地域を対象にタイに乗り入れる航空機の乗客は搭乗時に医療証明書の提示が必要と発表。対象国は南鮮、支那、イタリア、イラン、マカオ、香港の6ヶ国と地域。
この措置は2015年制定の感染症法に基づいたもので、これらの国・地域からの航空便でタイを訪れた旅行者はタイの空港で医療証明書及び必要事項を記入したT.8フォームを提示・提出する必要があり、ニセの証明書を提示した場合は処罰されることになる。
03月10日(火)在タイ日本大使館によると、「13日午前11時頃から、クルングテープのサムセン通にある国会議事堂周辺で、NGO(非政府組織)などによる政治集会が行われる。」日本大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう呼びかけている。
憲法裁判所は先に政党法違反で野党第2党アナーコット・マイ(新未来)党を解党処分としたが、これに続き、中央選挙管理委員会が、アナーコット・マイ党のタナトーン元党首を選挙法違反で告発することを決定。
「タナトーンは昨年03月に行われた総選挙に立候補し当選したが、立候補登録の時点でメディア株を所有しており、選挙法に違反した。」有罪となれば、10年以下の禁錮刑もしくは20万B以下の罰金刑、および20年間の公民権停止が科せられる。
タナトーンのメディア株保有問題について昨年11月20日、憲法裁判所が黒判定を下し、タナトーンの議員資格を取り消している。
自動車部品製造で財をなした一族の出身であるタナトーンは反軍部を掲げて新党を立ち上げ臨んだ昨年03月の総選挙で人気の高さを見せつけることになったが、これに脅威を感じた親軍部の現政権が司法を通じてタナトーンとアナーコット・マイ党を完全に潰そうとしているとの見方も出ている。
タイ国際航空(THAI)は、「武漢コロナウィルスの感染拡大対策の一環として、支那、香港、マカオ、イタリア、南鮮からタイに向かうタイ国際航空のフライトにおいて、空港で搭乗券を受け取る際に乗客は武漢コロナウィルス、に感染していないことを証明する医師による証明書(指定フォームあり。有効期間は搭乗時から48時間以内)を提示する必要がある。」とウェブサイト上で発表。
スメート、タイ国際航空社長によれば、「証明書はタイ民間航空機構(CAAT)ではタイ国内のすべての航空会社に対して求めている。」
なお、これらの国からの搭乗者はタイ入国時に宿泊場所と健康状態を詳細に報告するフォームであるT.8の提出も義務付けられる。
03月11日(水)タイ保健省は、「新たに武漢コロナウィルス感染者を6人を確認した。」と発表。
感染が確認されたうち2人は、スワンナプーム国際空港の出入国管理職員のタイ人♂2人(40、21)で、外国人と接触する仕事をしており、空港内での感染したものと見られている。
3人目は会社員のタイ人♂(25)で、海外渡航歴はないが国内の観光地を訪れたりしており、観光地で感染したものと見られている。
4人目は07日(報道により02月末)に南鮮から帰国したタイ人♀(27、報道により21)、5人目は02月26日に日本から帰国したタイ人♂(40)。帰国前日に事故で怪我をし、日本国内の病院で手当てを受けた。、ともに海外で感染したものと見られておる。
6人目はシンガポール人♂(36、報道により40)。クルングテープ都内ウィタユ通の複合ビル「オールシーズンズプレース」内のレストラン「Ohana Poke」の経営者で、タイ国内で感染したと見られる。 タイで11日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計59人になった。このうち1人が死亡、24人が入院中で、34人は治癒して退院。
タイ政府は、武漢コロナウィルスの感染拡大防止に向け、プラユット首相と関係閣僚による会議を開き、入国規制の大幅な強化を決定。
武漢コロナウィルス感染症(武漢肺炎)の危険地域に指定した南鮮、支那(香港、マカオを含む)、イタリア、イランの4ヶ国からの渡航者に対し、健康証明書の提出を義務付けるほか、入国時のスクリーニングで発熱が認められた場合は医療施設に送り、発熱がない場合も、タイ政府監視の下、スワンナプーム空港近くのホテルで14日間待機させる。
また、南鮮人、香港人、イタリア人のノービザでの入国を禁止し、支那、インド、ロシアなど18ヶ国に対するオンアライバル・ビザ(到着ビザ)の発給を停止。イランについては09日からビザの発行を停止している。
多くの支那人観光客は、このタイ到着時に取得できるこのビザを利用し入国していたことから、観光業界には更なる打撃となる見通し。
03月12日(木)イ政府は13日から、韓国人、香港人、イタリア人のノービザでの入国を禁止し、支那(香港、マカオを除く)など19ヶ国・地域のパスポート所持者に対する到着時ビザの発給を停止。武漢コロナウィルスの感染拡大防止に向けた措置で、期間は9月30日まで。
到着時ビザの発行を停止したのは支那のほか、台湾、インド、ロシア、ブルガリア、ブータン、キプロス、エチオピア、フィジー、グルジア、カザフスタン、マルタ、メキシコ、ナウル、パプアニューギニア、ルーマニア、サウジアラビア、ウズベキスタン、バヌアツ。
タイ政府は、「11日にノービザでの入国が可能だった3ヶ国・地域の国籍者への許可を停止する。」と発表していたが、これを一時撤回。「今月17日に行われる閣議で検討し、そこで承認されれば実行する。」とトーンダウン。
タイは、支那などの圧力に日和ったか。
タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに11人確認された。」と発表。
25~38歳のタイ人(♂5人、♀6人)のグループで、一部が02月21日にタイ国内で複数の香港人旅行者と接触。香港人らと会食した数人が25日に発熱、頭痛、咳の症状が出たが、27日と29日にほかの友人らと飲食をともにしており、そこでは同じグラスで酒を飲んだり、同じタバコを一緒に吸ったりするなどの濃厚接触があった。なお、グラスやタバコを共有しなかった4人は武漢コロナウィルスに感染していなかった。
タイで12日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計70人になった。このうち1人が死亡、34人が入院中で、35人は容体が改善し退院。
03月13日(金)タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに5人確認された。」と発表。
いずれもタイ人の♂(37)と♀(36)は12日の発表で感染が発表されたタイ人♂♀11人と同一のグループ。一緒に遊んでいた際に感染したものと見られている。
3人目は南鮮から帰国後に感染が確認されたタイ人♀(27)。その弟(19)、知人♀(29)、この知人♀の知人♂(37)。この集まりに参加した別の8人についても検査を行う。
タイで13日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計75人。このうち1人が死亡、39人が入院中で、35人は容体が改善し退院。
タイ政府は、「19ヶ国を対象にオンアライバルビザ(到着ビザ)の発給を停止した。」と発表。到着時ビザの発行を停止したのは支那のほか、台湾、インド、ロシア、ブルガリア、ブータン、キプロス、エチオピア、フィジー、グルジア、カザフスタン、マルタ、メキシコ、ナウル、パプアニューギニア、ルーマニア、サウジアラビア、ウズベキスタン、バヌアツ。
またノービザでの入国が可能だった3カ国・地域(南鮮・イタリア・香港)についても、ノービザでの入国を禁止した。者に対する到着時ビザの発給を停止した。武漢コロナウィルスの感染拡大防止に向けた措置で、、今年09月30日までの約6ヶ月半となる。
ただし通常のビザを申請し取得後に入国することは可能としており、制限を掛けた国からの入国を拒否している訳はない。
正午頃クルングテープ都ラチャテウィー区マッカサン、ソイ・ペチャブリ47通にある7階建てホテルの6階客室から宿泊客の支那人♂(39)が転落し、地上で全身を強く打ち死亡。
通常、こうした遺体はボランティア救急団体が搬送するが、支那人が武漢コロナウィルスに感染している可能性があるとみて、救急団体の職員が搬送を避け、遺体に触れようとせず、現場から遺体を搬送するまでに6時間以上かかった。
マッカサン署に転落死の通報があったのが12時半頃。警察官、レスキュー隊、病院スタッフの誰もが遺体に触ろうとせず、保健省疾病対策局に要請したが断られう。最終的に19時頃になって防護服に身を包んだ病院スタッフたちによって検視のために遺体が現場から搬出された。
支那人が宿泊していた客室は窓の一部が割れ、壊れたスマートフォンが転がっていた。警察が詳しい状況を調べている。
03月14日(土)保健当局は、「タイ国内の武漢コロナウィルス感染者が新たに7人確認され計82人に増加した。」と発表。
この7人には、先に感染をネット上で発表した男優マシュー・デェーン(41)。最近外国人と会うなどしていた。SNSで、自分で「武漢コロナウィルス陽性が出た。」と公開。最近、海外に行ってはいないが、ムエタイキャンプやジムなどのオーナーで、外国人との接触の機会も多い。このムエタイキャンプは現在、閉鎖。
日本から帰国したタイ人女子学生(20)、同じく日本帰りのタイ人♀(57)およびその家族でありクルングテープ都内の企業に勤務する日本人♂(33)とタイ人妻(タイ人♀の娘)(30)と娘(4)も含まれる。
マシュー・デェーンについては、保健省の規則に反して民間病院が感染確認後に帰宅させていたことから、保健当局が事実関係を調査する予定。
この他、飲食店で複数人が同時に感染した集団感染と見られる事例が報告されているため、アヌティン保健相は武漢コロナウィルス感染症(武漢肺炎)対策委員会に全国の娯楽施設の一斉休業を提言する意向を示している。
ここには上がってないが、チエンマイ県で、支那に働きに行って帰国したタイ人1人が、武漢肺炎で死亡。
03月15日(日)タイ保健省によると、タイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は15日までに115人に。このうち2人が死亡、76人が入院中で、37人は容体が改善し退院。
14日に7人、15日に32人の感染が新たに発表された。感染者は日本から帰国したばかりのタイ人♀(57)と義理の息子の日本人♂(33)とその妻(30)、タイ人歌手兼俳優マシュー・デェーン(41)、ボクシングスタジムの観戦者9人など。感染者数はここへ来て急激に増え始めている。
政府は、武漢コロナウィルス感染拡大を阻止するためにさらなる対策を講ずることを決定。
プラユット首相によれば、「対策強化の手始めとして新設病院を武漢コロナウィルス感染者の入院治療専門施設として使用。クルングテープ都庁が運営するベッド数100床のこの病院は、クルングテープ全50区のうち唯一海に面するバンクンティエン区に20億Bを掛け建設された高齢者専用の医療機関だが、まだ開業していない。
また、保健当局によれば、新たに感染が確認された32人は、ほとんどがパブやボクシングスタジアムを訪れており、そこで感染した可能性が高い。さらに、これら感染者の濃厚接触者52人が検査を受けており、結果待ち。
武漢コロナウィルスの感染拡大で大勢の市民がマスクを買い求め、その販売価格が上昇していたため、マスクが価格統制品に指定されたが、その直前に価格統制品指定の情報が漏れ業者が大量のマスクを輸出していた疑いが浮上。政府が事実関係を解明すべく調査を行うことを決め、商務省国内商業局のウィチャイ局長を一時的に閑職に異動させた。
情報リークについては以前からウィチャイに疑いの目が向けられていた。今回の措置はプラユット首相が承認したものだが、これについてプラユット首相は、「国民に政府を信用してもらい、また、政府がこの件を真剣に受け止めていることを示すために必要。」と説明。
なお、価格統制品に指定された物品は、設定された価格で販売することが必要で、輸出する場合も当局の事前許可が必要となる。
コンケン大学で、大学生らが2度目となる政府集会を決行。警察によれば、学生たちは午後06時半頃から法学部の施設に集まって武漢コロナウィルスの感染拡大など様々な問題に対する政府の取り組みを批判する演説を行った。
03月16日(月)タイ保健省は、新たに33人の武漢コロナウィルス感染が判明し、国内で確認された感染者が計147人に増加した。」発表。
新たに確認された感染者の内訳は、クルングテープのルンピニ・ボクシングスタジアムでタイ式ボクシングを観戦した7人、パブで飲食した3人、感染者の濃厚接触者6人、外国からの帰国者6人、外国人旅行者と接触があった者6人、デンマーク人3人、今月初めにマレーシアのモスクで催されたイベントに出席したタイ南部出身のイスラム教徒2人。人気女性歌手のリディア、タイ陸軍福利厚生局長のラーチット陸軍少将、東部チャチュンサオ県行政体のキティ行政体長らが含まれる。
保健省のルンルアン報道官は、感染者増加速度が速まっていることについて、「限られた医療資源(医療従事者や病床など)と増加する感染者のバランスをどのようにとるかを調整している。」と説明。
タイで同日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計148人。このうち2人が死亡、108人が入院中で、38人は容体が改善し退院。
先にマスクが価格統制品に指定されたことについて、「商務省国内取引局の局長という立場を利用して指定直前に情報を漏らし業者による大量のマスク輸出を可能にさせた。」との疑いを掛けられたウィチャイが局長から閑職に異動になったが、ウィチャイは、チュリン商務相に辞表を提出したことを明らかに。ウィチャイの辞任がいつ発効するかは商務相次第。
ウィチャイは、「マスクの需要が高まっていることで利益を得た者は局内にいない。」と力説。「ウィチャイを含む部内者に不正はなかった。」と強調。
東北部ブリラム県では未だに1人も武漢コロナウィルス感染が確認されていないが、タチャコン知事は、武漢コロナウィルスの感染拡大防止策の一環として全県を対象に直ちに人の移動を厳しく制限する。」と発表。
具体的には、外国人はいうに及ばず同県在住者であろうと外部から同県に入る際には健康チェックを受け、その後14日間自己観察をすることが必要となる。この他、50人以上が集まるセミナー、娯楽イベント、宗教行事、夏期講習などが今後30日間禁止となった。県当局はさらに、04月中旬のソンクラン祭(水かけ祭)では感染拡大を防止するため親戚や友人に会いに行かないよう呼びかけている。
ウィサヌ副首相が、「タイ政府は今年の水かけ祭り(ソンクラン)の祝日(04月13~15日)を延期する方針。」と明らかに。
連休で多くの人が帰省することで武漢コロナウィルスの感染が地方で拡大する恐れがあると判断。04月13~15日の祝日を取り消し、07月以降に新たに連休を設ける。
ウィサヌ副首相はまた、武漢コロナウィルス感染症対策として、教育機関、ボクシングスタジアム、競技場、劇場、映画館などの一時閉鎖を検討していることを明らかに。一方で、自宅勤務、時間差出勤を推奨。
記者会見を開いたプラユット首相は国民に対し、武漢コロナウィルス感染症対策として、外国旅行の中止、健康管理、マスクの着用などを要請。換気が悪い場所や人混みを避け、人と1m以上距離を取ることなどを呼びかけた。また、症状がない場合は検査は不要だと述べた。
03月17日(火)
14時30分
プラユット首相兼国防相は、「タイ正月(ソンクラン)の連休(4月13~15日)を適切な時期に変更する。」、「連休期間中にすでに予約した陸海空交通のチケットは手数料なしで延期もしくはキャンセルできる。」との閣議決定を明らかに。
一方、内務省が提案していたタイへの入国禁止措置およびタイ国内の移動制限であるが、「現時点では実施しない。」と明言した一方で、「タイ入国審査を厳格にする。」と発表。 入国者に医師の診断書提出、海外保険加入、アプリケーションによる行動管理を義務付けるほか(対象国についての首相発言はなし)、公務員および国営企業職員に対しては海外渡航を禁止するとともに、一般市民にも感染多発地域への渡航中止・延期を勧告。
プラユット首相は、クルングテープ都内および近郊県の歓楽・娯楽施設を03月18日~31日まで営業禁止とすることを発表。娯楽施設にはパブ、バー、映画館、劇場、タイ古式マッサージ店、マッサージパーラー、ムエタイスタジアム、競技場、競馬場などが含まれる。閣議で承認した。
大学、インターナショナルスクールなど教育機関も2週間閉鎖。
コンサート、展示会、宗教儀式などは各都県の知事と感染症委員会の許可制。
今年の水かけ祭り(ソンクラン)の祝日(4月13~15日)は延期し、後日、新たに祝日を設定する。購入済みの交通機関のチケットは手数料なしで払い戻す。
外国人については、武漢コロナウィルス感染症の危険地域に指定した南鮮、支那(香港、マカオを含む)、イタリア、イランの4ヶ国に加え、武漢コロナウィルスの感染が継続している国・地域からの渡航者に対しても、入国日の3日以内に発行された健康証明書の提出と保険加入を義務付ける。また、専用アプリで14日間所在を追跡する。
タイの公務員、国営企業職員の外国渡航は原則禁止。国民には武漢コロナウィルス感染症の危険地域および継続的に感染がみられる国・地域への渡航中止を要請。
保健省は、「新たに外国人3人を含む30人の武漢コロナウィルス感染が判明し、国内で確認された感染者数が合計177人になった。」と発表。
新しい感染者について、スクム保健事務次官は、「2つのグループに分類できる。第1のグループ14人は既存の感染者の濃厚接触者や感染が報告されたクルングテープ都内のボクシングスタジアムを訪れた。第2のグループ16人は最近外国を訪れたが9人、外国人と接触したが1人、感染経路を調査中が6人。」と説明。
感染者は計177人のうち2人が死亡、135人が入院中で、41人は容体が改善し退院。
ドーン外相は、「『武漢コロナウィルスの感染者の治療に必要な医療品をタイが妥当な価格で入手できるよう協力する用意がある。』との申し出が米国と支那からあった。」と明らかに。
また、外国から感染者が入国するのを阻止することが必要として一部で国境閉鎖を求める意見が出ているが、ドーン外相は「様々な要因を検討して決める必要がある。」と述べるに止まった。
この他、ドーン外相によれば、「外国に在住し支援を必要としているタイ人を助けることも外務省にとり喫緊の課題。」
武漢コロナウィルスの感染拡大問題でマスクを求める人が急増し、マスクの不足が続いているが、洗濯可能な布製マスクを国内メーカーに生産させ、国民に提供する政府の計画が進んでいない。政府から打診があった国内の衣料品メーカーは布製マスクの生産に前向きというが、その費用をどの政府機関が負担するかで意見が割れており、政府からメーカーにまだ注文が来ていない。
タイ工業連盟(FTI)織物部会のソムサック部会長は、「メーカーは洗って再利用できる布製マスクを生産する用意ができているが、政府から注文がなければどうしようもない。」
労働省雇用局のスチャート局長は、ビルマ政府から04月中旬のタイ正月にあわせてビルマ人の出稼ぎ労働者に帰国しないよう呼びかけてほしいとの要請があったことを明らかに。出稼ぎ労働者の帰国によってビルマで武漢コロナウィルスの感染が拡大する恐れがあるため。
だが、タイで武漢コロナウィルス感染者が増加しているためか帰国するビルマ人が増加しており、ビルマと国境を接するターク県の国境検問所では連日、帰国希望のビルマ人の長い列ができている。
03月18日(水)タイ保健省は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに35人確認した。」と発表。「国民がそれぞれ感染予防に努めないと感染拡大が手に負えなくなる。」と警告。これによりタイ国内での感染者数は212人。このうち2人が死亡、169人が入院中で、42人は容体が改善し退院。
新たな感染者35人は2つのグループに分けられる。第1のグループ29人は、感染者の濃厚接触者と感染が報告された場所を訪れた、内訳はボクシングスタジアムを訪れた13人、トンロー地区のナイトクラブを訪れた4人、濃厚接触者12人となる。第2のグループ6人は、カンボジアから帰国した1人、外国人と接触があった4人、感染経路などを調査中の1人。 新たに感染が確認された人のうち、29人は国内。6人は外国からの帰国者。
また、ウッタマ財務相が感染の恐れがあることから18日から2週間、仕事を休むことになった。これは大臣の警護に当たっていた警察官の感染が判明したことによるもの。大臣はすでに検査を受けており、結果待ち。
プラユット首相はこのほど、「国内で感染者増加が加速していることを受けて、全国的な移動制限の導入など武漢コロナウィルス対策をさらに強化する必要がある。」との認識を示した。
プラユット首相によれば、「現時点ではまだ感染拡大を一定のレベルに抑えることができているが、さらに急速に感染者が増加する事態に備え、軍の医療機関、民間病院、ホテルなどを利用して感染者用のベッド数を増やしたり、混乱を回避するために情報を統制したりする準備を始める必要がある。」、「現時点では、出入国者をしっかり検査すればよく、全国的な移動制限はまだ必要ない。」
避寒を目的としてタイで滞在している高齢の外国人が不法滞在となってしまう可能性が出てきたことから、観光スポーツ省では関係当局に救済措置を講ずるよう要請する予定。
ピパット観光スポーツ相によれば、武漢コロナウィルスの流行が拡大する前からタイに滞在しているドイツ人、イタリア人、ロシア人などは約50万人に上り、その多くが高齢者であり、自国に戻り感染するのを恐れたり、自国の医療体制に不安を抱いていたりしてタイに引き続き滞在することを選択。だが、このままではビザが切れて不法滞在の罪に問われることになるため、何らかの救済措置が必要とのことだ。ピパット大臣は救済策などについて内務省や警察庁入国管理局と話し合う予定。
タイ民間航空庁(CAAT)は、タイ保健省が指定する武漢コロナウィルス感染症(武漢肺炎)の危険地域、感染地域を過去14日間に訪れた渡航者がタイ行きの航空機に搭乗する際のガイドラインを発表。21日午前00時からから施行。
該当する渡航者はチェックイン時に、武漢コロナウィルス陰性であることを証明する英文の健康証明書(搭乗時の72時間以内に発行されたもの)、タイで武漢コロナウィルス感染症に罹患した場合に有効な医療費10万US$以上を保障する医療保険の加入契約を提出する必要がある。
航空会社は乗客同士の間隔をできるだけ取り、乗客にマスクの着用など感染防止に必要な情報を伝える。客室乗務員と乗客の接触を減らすため機内サービスの削減を検討し、全ての客室乗務員がマスクを着用する。
タイ保健省が指定している武漢コロナウィルス感染症の感染危険地域(03月18日時点で 南鮮、支那、マカオ、香港、イタリア、イラン)および感染多発地域(03月18日時点で日本〈北海道、東京、愛知、和歌山、神奈川、千葉、沖縄、京都、大阪〉、フランス、スペイン、米国、スイス、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スウェーデン、英国、ドイツ)への出入国の有無を確認。
クルングテープで18日から、パブ、カラオケ店、マッサージ店、映画館などの一斉閉鎖が始まった。武漢コロナウィルスの感染防止が目的で、31日まで閉鎖。
クルングテープ都内の高架鉄道BTSモーチット駅など11ヶ所で殺菌消毒を行った。31日まで継続する。
03月19日(木)タイ保健省は、タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに60人確認された。」と発表。これによりタイ国内での感染者数は272人。前日比60人増はこれまでで最大の増加。
新たな感染者60人は、第1グループの43人と第2グループの17人に分けられ、前者は新たな感染者のうち43人は、これまで感染者が確認されている集団感染が確認されたクルングテープ都内のムエタイスタジアム12人、都内トンロー地区の娯楽施設14人、感染者の濃厚接触者12人、マレーシアで宗教行事に参加した5人。後者の17人は、窓口業務を担当し職業上外国人と接触のあった3人、人混みに行ったことのある1人、感染経路調査中の4人。海外からの帰国者9人は日本、台湾、インド、イタリア、フランス、英国、マレーシア、カンボジア、ドイツ、イランへの渡航歴があった。
このうち2人が死亡、229人が入院中で、42人は容体が改善し退院。入院中の患者のうち、南部スラタニー県で入院中のタイ人男性(49)、北部ペチャブン県で入院中のベルギー人男性(67)ら3人が重体。
一方、日本では、タイから帰国した栃木県在住の日本人女性と茨城県在住の日本人男性の武漢コロナウィルス感染が確認された。
22日午前00時(タイ時間)から、タイに空路で入国するすべての外国人渡航者に対し、健康証明書と医療保険の提示を義務付ける。
タイ民間航空庁(CAAT)が19日、航空会社に通知した。空港でのチェックインの際に、武漢コロナウィルス陰性であることを証明する健康証明書(出発予定時の72時間以内に発行されたもの)、タイで武漢コロナウィルス感染症に罹患した場合に有効な医療費10万US$以上を保障する医療保険の加入契約の提示を義務付ける。
CAATは18日、同様の措置を、タイ保健省が「武漢コロナウィルス感染症の危険地域に指定している南鮮、支那(香港、マカオを含む)、イタリア、イラン、感染地域に指定している日本の一部地域とフランス、スペイン、米国、スイス、ノルウェー、デンマーク、オランダ、スウェーデン、英国、ドイツを過去14日間に訪れた渡航者に21日から適用する。」としていたが、今回の通知に伴い、この措置は無効となる。
タイで19日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は272人。このうち1人が死亡、229人が入院中で、42人は容体が改善し退院した。19日に確認された感染者は60人に上り、感染の急拡大が懸念されている。
感染の拡大を受け、タイ当局は18日、パブ、娯楽施設、マッサージ店、競技場、教育機関などの閉鎖に踏み切った。月末まで継続する。
03月20日(金)タイ保健省は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに50人確認した。」と発表。
このうち、集団感染が起きたルンピニームエタイスタジアム18人やナイトクラブからの感染が23人、ボクシングスタジアムではさらに数百人が感染した恐れがあると見られ、保健省が情報提供を求めている。
以前陽性反応が出た人と接触し感染した人が12人、マレーシアの宗教行事に参加し感染した人が6人などとなっている。
イではここ数日ムエタイスタジアムやナイトクラブ経由など特定の経路での感染者数が急増しており、1日あたり30人以上増加を続けている。タイで20日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計322人。このうち1人が死亡、278人が入院中で、43人は容体が改善し退院。感染者はクルングテープ以外に、南部パタニー県、東部チョンブリー県、西部カンチャナブリー県などタイ各地に広がりを見せている。
03月21日(土)アサウィン、クルングテープ都知事は、「武漢コロナウィルス対策として、スーパーマーケットとコンビニエンスストア、飲食店(持ち帰りのみ)などを除くほぼずべての商業施設を03月22日から04月12日まで閉鎖する。」と発表。違反者には1年以下の禁錮刑または10万B以下の罰金もしくはその両方が科される。
クルングテープ都庁はすでに、18日から31日までの予定でパブ、娯楽施設、マッサージ店、映画館、ボクシングスタジアム、競技場、競馬場、教育機関などを閉鎖しているが、ショッピングセンターなども閉鎖し、閉鎖期間を延長。企業に対しては、できるだけ在宅勤務にするよう要請。住民に人混みを避けるよう求める。 詳しくは、
レストラン:食品を販売するブース内店舗、リアカー型店舗および屋台を含む。ただし、テイクア
ウトおよびホテル内レストランがホテルの宿泊客にのみ食事を提供する場合のみ営業可。空港区域内にあるレストランは除く。
ショッピングセンター:デパート、コミュニティー・モールを含む。ただし、スーパーマーケット、薬や生活必需品を販売する店、持ち帰りができるレストランは除く。銀行は含まない(クルンタイ銀行はショッピングセンター内営業所の休業を22日に発表)。
コンビニエンスストア内の飲食可能区域。
市場・定期市(生鮮食品、水気を伴わない食品、持ち帰りのために調理された飲食物、ペット食品、薬や生活必需品を販売する店のみ営業)。
美容室、理髪店。
刺青や身体の一部に針等を刺す施設・ショップ。
スケート・ローラースケート場。その他の遊技場。
遊園地、ボーリング場、ボードゲーム場。
ゲームセンター、インターネットショップ。
ゴルフ場、ゴルフ練習場。
プールや類似の活動を行う施設。
闘鶏場、闘鶏養成場。
仏教のお守りや仏像販売所。
見本市場、会議場、展示場。
全ての教育レベルの教育施設と私塾。
フィットネス、美容クリニック、美容関連店。
健康増進施設(スパ、マッサージ店、美容マッサージ店)。
ペット用スパ、入浴、トリミング、飼育、一時預かり施設。
個室付浴場。
入浴、サウナ、薬用サウナのサービスを提供する店。
興業場(映画館、劇場、興行場)。
運動場。
エンターメント場やこれに類似する施設。
ボクシングスタジアム、ボクシングジム。
競技場。
競馬場。
夕刻、タイ内務省は公式SNSを通じて「クルングテープ都に近接する5県(ノンタブリー県、ナコンパトム県、パトゥムタニ県、サムットプラカン県、サムットサコン県)において、武漢コロナウィルス感染症拡大予防のために、バンコク都と同様の措置を実施する。」と発表した。
タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに89人確認された。」と発表。このうち32人は集団感染が起きたクルングテープ都内のルンピニームエタイスタジアムで感染した。」と見られる。
タイで21日までに確認された武漢コロナウィルス感染者は計411人。このうち2人が死亡、366人が入院中で、44人は容体が改善し退院。
マレーシアの格安航空大手エアアジアのタイの合弁会社タイ・エアアジアは03月22日から04月25日まで国際線全便を運休。国内線の運航は続ける。
インドネシアの格安航空ライオンエアのタイ法人タイ・ライオンエアは3月25日から4月30日まで国内線、国際線の全便を運休。
ノンカイ県知事が、タイ側における国境管理事務所の出入国の取扱いに関し以下のとおり通知。 人・車両・物資のノンカイ県からの出入国を一時停止。ただし、物資輸送車両および乗員(1両につき1名に限る)は、友好橋出入国管理事務所の検疫担当官による武漢肺炎のスクリーニングを受けることで通行可能とする。この措置は、03月22日より事態が原状に復するまで実施。
また、同日、ウボンラチャタニー県知事もタイ側における国境管理事務所の出入国の取扱いに関し、以下の通知をしている。
チョンメック国境ゲートの閉鎖。
人・車両・物資の出入国の停止。
物資の輸出入に関しては、関連法令に従い通行を許可する。ただし、運転手を含め乗員は1両につき2名とし、チョンメック国境ゲートの検疫担当官による武漢肺炎のスクリーニングを受けなければならない。 これら措置は03月23日から事態が原状に復するまで実施。
>03月22日(日)「武漢コロナウィルス対策強化に伴い大勢の人がクルングテープから地方に脱出している。」と報じられているが、保健省疾病管理局のスワンナチャイ局長はタイ全国の県知事に対し、クルングテープから来た戻った人々の健康状態を注意深くチェックするよう文書で求めた。
スワンナチャイ局長は、クルングテープから地方に帰ってきた人がそれぞれの地域で感染を広めることがないよう、頻繁に石鹼を使って20秒間手洗いしたり、濃度70%のアルコール消毒液で手をきれいにしたりするほか、高齢者や持病のある人に近づかず、発熱などの症状が出た場合は速やかに保健当局に報告するよう求めた。
タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに188人確認され、計599人になった。」と発表。このうち2人が死亡、553人が入院中で、45人は容体が改善し退院。
保健省の広報担当者によれば、「新たな感染者は3つのグループに分けられ、まず第1のグループ65人は、ルンピニームエタイスタジアムを訪れた21人、娯楽施設を訪れた5人、宗教行事に参加した2人、感染者の濃厚接触者37人となる。第2のグループ15人は、カジノで知られるカンボジア西部のポイペトへの渡航歴があるタイ人6人、外国から戻った外国人学生2人、ルンピニームエタイスタジアムの近くで働いている7人。そして第3のグループの108人は感染経路が不明で現在調査中。判明しない場合はウィルスが広範囲にまき散らされている可能性が高い。」
タイ政府は武漢コロナウィルス対策として、23日から、タイ内務省が管理する全ての陸の国境を閉鎖。物資の輸出入は条件付きで認める。
ただ、タイ国内で働くビルマ人、カンボジア人、ラオ人などが、クルングテープ首都圏の商業施設閉鎖や今回の国境閉鎖を受け、帰国のため国境に殺到していることから、23日になっても、こうした人たちの出国は認めている。
クルングテープ首都圏の1都5県(クルングテープ都、ノンタブリー県、ナコンパトム県、パトゥムタニー県、サムットプラカン県、サムットサコン県)で22日から、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、薬局などを除くほぼ全ての商業施設の閉鎖が始まった。武漢コロナウィルスの感染拡大防止が目的で、04月12日まで継続する。
閉鎖するのはショッピングモール、スパ、映画館、理髪店、遊園地、ゴルフ場、ゲームセンター、プール、競技場、競馬場、展示場、教育機関など。飲食店は持ち帰りのみの営業。
東北部のナコンラチャシマー県も22日から、1都5県と同様の閉鎖措置を開始。
武漢コロナウィルスの感染者急増を受けてクルングテープ首都圏で当局が学校や商業施設などの一時閉鎖を命じたことからクルングテープでは、外国人の出稼ぎ労働者を含む大勢の人々が地方への脱出を開始。
クルングテープの長距離バスターミナルには地方行の長距離バスに乗ろうと数千人が詰めかけた。ただ、クルングテープ中心部に位置するホアランポン中央駅によれば、22日には鉄道利用者の目立った増加は見られなかった。
関係当局によれば、タイ入国に際し武漢コロナウィルス感染の恐れがないことを示す証明書の提示が義務づけられているが、スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チエンマイの4空港で証明書を所持していなかった約100人が入国を拒否。
うち73人が国外退去処分、6人が24日時点で出国手続き中。15人が身柄拘束された。
>03月23日(月)タイ保健省は、「新たに122人の武漢コロナウィルス感染が判明し、国内で確認された感染者が計721人に増えた。」と発表。保健省のスパキット副事務次官によれば、「新たな感染者は3つのグループに分類。第1グループ20人は、人から人への感染があったとみられるムエタイスタジアムを訪れていた4人、感染者の濃厚接触者16人。第2グループ10人は、外国から戻ったタイ人と外国人の4人、人混みに行ったり外国人と接触したりした6人。第3グループ92人は、感染経路が不明で現在調査中の者。」
また、これまでに感染が確認された721人は、668人が入院治療中、52人が回復して退院、2人が死亡。スパキット副事務次官によれば、「商業施設の閉鎖などに伴いクルングテープから大勢の人が帰郷していることから、クルングテープ以外の地域で感染が確認される事例が増加している。」
タイではここに来て武漢コロナウィルス感染が判明する人の数が加速度的に増加しているが、プラユット首相は、「現在の状況ではまだ非常事態を宣言する必要はないが、(24日の)閣議で追加の感染防止策が必要かどうかを話し合う予定だ。」と述べた。
タイ保健省疾病対策局は、「7都県の24ヶ所で武漢コロナウィルスの集団感染が発生した恐れがある。」として、これらの場所に出入りした人々に対し、直ちに保健当局に報告し、14日間自宅待機し、自己観察するよう呼びかけた。
これらは、東北部のコンケン県とウボンラチャタニー県の娯楽施設、クルングテープのルンピニームエタイスタジアムとラチャダムヌンムエタイスタジアム、南部ソンクラー県の複数のバスステーション、東北部ナコンラチャーシーマー県の闘鶏場、中部ノンタブリー県の大学試験会場、東北部スリン県の仏寺など。
アサウィン都知事は、武漢コロナウィルス感染拡大が止まらないなか、経済・交通・観光の中心である首都クルングテープを守るには都民の感染を抑えることが必要不可欠として、クルングテープから他県への移動を自粛するよう求めた。
さらに感染に機会を減らすため外出を控え自宅で過ごすようにするとともに、官民ともに職場の感染防止策を徹底するよう要請。座席を1~2m以上離すほか、マスク着用、消毒ジェル設置、在宅勤務・時差出勤・遠隔会議の促進を呼び掛けた。
03月24日(火)14時プラユット首相は、閣議終了後の会見において03月26日付で非常事態宣言を発令することを明らかに。適用期間は1ヶ月間。
外出禁止令など具体的内容には言及せず、「特別作業部会を設置して検討する。」と発表するに止めた。
非常事態宣言の準拠法は「非常事態統治法」(2005年制定)であるが、第9条により首相には以下の権限が与えられる。違反者には2年以下の禁固または4万B以下の罰金もしくはその両方が科される。
指定された時間帯の外出禁止
集会等の禁止
状況を悪化させる内容の報道および書籍・印刷物の販売・配布禁止
指定された交通路・交通機関の使用禁止もしくは制限
特定の建物の使用・立ち入り・滞在禁止
安全確保を目的とする市民への退去命令
元々この法律はタクシン派対反タクシン派の政争が激化しつつあるなか社会混乱を抑えるために改正された経緯があるため、これら条文がすべてそのまま厳格に適用されることはないようであり、外出禁止については夜間のみ発令される可能性が少なくない。現地マスコミの間ではその場合には午後07時から午前07時までとする見方が多い。
タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに106人、死者が3人確認された。」と発表。
死亡したのは、肺結核を患っていた♂(70)、複数の慢性病にかかっていたムエタイ指導者♂(79)、肥満と糖尿病の♂(45)。最初の2人はノンタブリー県のバムラートナラードゥーン感染症研究所で治療を受けており、3人目はクルングテープ都内の民間病院に入院。これでタイ国内で死亡した感染者は計4人となった。
保健省によれば、新たに確認された感染者は3グループに分類。第1グループ25人は、感染が報告されているムエタイスタジアムと娯楽施設に出入りしていたそれぞれ5人と6人、感染者の濃厚接触者12人、マレーシアで宗教行事に参加した2人。第2グループ34人は、外国から戻った人と外国人の20人、人混みに行ったり外国人と一緒に仕事をしたりした10人、医療従事者4人。第3グループ47人は感染経路が不明で現在調査中。
保健省疾病対策局によれば、感染は77都県中47都県で確認されており、クルングテープ都が最多。感染者の男女比は約2対1で、感染者1人から感染した人数はクルングテープが約3人、その他の県は約2人となっている。
感染者は累計827人、死者は4人。感染者の766人が入院中で、57人は退院。
プーケット県当局は、「県内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに9人確認され、累計で26人になった。」と発表。感染者のうち24人が入院中で、2人が治癒して退院。死者は出ていない。
新たに感染が確認されたのは、15日に入国したフランス人男性(56)、20日に入国したスウェーデン人女性(25)など外国人3人、プーケット島内のパトン地区の娯楽施設で働くダンサーのタイ人女性(27)、パトン地区の娯楽施設警備員のタイ人男性(28)らタイ人6人。
タイ北西部ターク県メーソットのタイ・ビルマ第2友好橋の国境ゲートの前に、帰国しようとするビルマ人数千人が詰めかけた。
タイ当局は23日から全ての陸の国境を閉鎖したが、混乱を回避するため、24日もタイ・ビルマ第2友好橋の国境を臨時に開き、帰国を許可。
タイでは武漢コロナウィルスの感染拡大防止に向け、首都圏などで商業施設の閉鎖が始まり、タイ国内で就労していたビルマ人、ラオ人、カンボジア人らが大挙して帰国する事態となっている。
こうした中、アサウィン都知事は23日、武漢コロナウィルスの感染拡大を防止するため、クルングテープ住民に対し、クルングテープから出ないよう要請。「移動中に感染したり、移動先にウイルスを持ち込む恐れがある。」としている。
タイ当局は25日から、武漢コロナウィルス対策として、BTS、MRT、SRT、ARLなどの鉄道の乗客に駅と列車内でマスクの着用を義務付ける。また、体温検査で体温が37.5℃以上あった場合、もしくは体温検査を拒否した場合は乗車が拒否される。
鉄道事業者に対しては、マスクの配布場所を設置、駅と列車内で人と人との距離を2m以上空けるよう手配、体温検査場所を増設するよう指示。
マスクを持っていない人は駅の入り口近くで販売されているマスクを購入して着用する。マスクを付けていない人に対して、駅の窓口でマスクを10~35Bで販売する。
25日現在、マスク未着用の乗客がいるほかマスクはまだ販売されていない。
タイ国際航空は、「武漢コロナウィルスの世界的な感染拡大とそれに伴う入国制限を受け、25日から大規模な運休に踏み切る。」と発表。
03月25日から、香港、台北、東京(成田、羽田)、大阪、名古屋、ソウル、プノンペン、ウィエンチャン、ホーチミンシティー、ハノイ、ヤンゴン、シンガポール、ジャカルタ、デンパサール、昆明、厦門、成都、北京、上海、広州、カラチ、カトマンズ、ラホール、ダッカ、イスラマバード、コロンボ、03月27日から、ブリスベン、シドニー、メルボルン、パースの各路線を運休。また、04月01日から、ロンドン、パリ、フランクフルトなど欧州路線のほとんどを運休。
タイ航空はすでに、仙台、札幌、福岡、マニラ、クアラルンプール、ローマ、ミラノ、ニューデリー、ムンバイなどの路線を運休している。
03月25日(水)タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに107人確認された。」と発表。
このうち国内の感染経路がほぼ特定できているのは27人で、13人は国外からの帰国者もしくは外国人。67人については感染経路を調査中。
累計の感染者は934人。このうち4人が死亡、860人が入院中で、70人は退院。
タイ当局は25日から、国内の全ての国立公園を閉鎖。武漢コロナウィルス対策の一環。
14時40分プラユット首相兼国防相は、武漢コロナウィルスの感染拡大を食い止めるため、03月26日から04月30日までタイ全国に非常事態宣言を発令する。」と発表。この日発表された具体的措置は以下の通り。
感染の危険がある場所への出入り禁止。
感染の危険がある施設の閉鎖(すでに一部実施済。生活必需品を販売する店舗は閉店しない。)
国境閉鎖。
物品の買い占め・正当な理由なき値上げの禁止。
事態を悪化させる報道の禁止。
高齢者・患者・子どもへの支援。
このほか、既存の「武漢コロナウィルス対策本部」を特別機関に格上げし、命令系統を統一し、各省庁の責任範囲を明確にした。そして、情報が混乱しないよう同機関が1日1回会見を行うことになった。 プラユット首相はさらに、仕事に集中できるようにとの理由で医療関係者への取材自粛を要請。正確な情報の共有をSNS投稿者に求めたほか、この機会を利用して利益を得ようとする者は必ず厳罰に処すと強調。
14時過ぎプラユット首相が3非常事態宣言を発令した後、タイ政府から規制の詳細が発表された。
「感染の危険がある場所への出入り禁止」および「感染の危険がある施設の閉鎖」については、すでに閣議決定、都知事および一部の県知事告知で娯楽施設、商業施設の営業が一時停止されているが、この規制が全国で行われることになった。 条文では、最低限営業停止する施設として全国でムエタイスタジアム、遊園地など、クルングテープ首都圏地域でパブ、マッサージパーラーなどを挙げている。
「国境閉鎖」では、空路・陸路・海路を問わずタイへの入国が禁止される。ただ「タイ国籍を持たないが労働許可証を所有している者」、「タイにとり必要な物資を輸送する者(ただし業務終了後ただちに出国すること)」などが例外と規定された。
この他には「物品の買い占め・正当な理由なき値上げの禁止」、「集会の禁止」、「事態を悪化させる報道の禁止」、「70歳以上の高齢者・基礎疾患のある者・5歳以下の子どもの感染防止策の徹底」が定められた。
在タイ日系企業関係者の間で注目されていた「外出禁止」「県境超え禁止」であるが、今回は盛り込まれなかった(ただ細則では県境での検問を警察に求めている)。
タイ保健省は、「゜新たに107人の武漢コロナウィルス感染が判明し、タイ国内で確認された感染者が計934人に増加した。」と発表。
小規模な集団感染の第1グループ27人(スタジアムでムエタイ観戦4人、娯楽施設の従業員や客5人、宗教行事に参加した4人、感染者の濃厚接触者14人)、第2グループ13人(外国から戻ったタイ人2人、英国人、フィランド人、米国人、ドイツ人それぞれ1人、仕事柄人混みに行ったり、外国人と接触したりしていた5人、医師2人)、第3グループ67人(感染経路不明で現在調査中)。
武漢コロナウィルスの感染拡大による国境封鎖、空路運休などでタイを出国できなくなった外国人数千人がビザ延長や滞在場所報告などの手続きでクルングテープ郊外の政府合同庁舎にある入国管理局の窓口に殺到し、大混雑が起きた。1日で手続きが終わらず、空手で帰る人もいた。
武漢コロナウィルスの治療で入院していた男性が、入院先の病院から逃走するという事件が起きた。 男性はトラン県にある自宅に戻るため、病院の隔離施設から逃走しバスターミナルに向かった。ただしバスターミナルで行われていた体温検査で発熱が確認されたため、バスターミナル関係者が通報し脱走した男性であることがわかった。この男性はタイ南部クラビー県内の病院に今月21日から入院していた。
03月26日(木)タイ政府は武漢コロナウィルス感染症(武漢肺炎)対策を首相に権限を集中して強力に推進するため、26日午前00時付で非常事態宣言を発令。期間は04月30日まで。発令時点で外出禁止令は出ていない。
ウィサヌ副首相の25日の説明などによると、一部の都県で実施しているほぼすべての商業施設や教育機関の閉鎖を全国で行うほか、国境閉鎖などすでに実施済みの措置を継続する。外国人の入国は外交官、労働許可証所持者などを除き原則禁止する。高齢者や持病がある人などに外出の自粛を勧告する。感染拡大に備え、医療体制の拡充を急ぐ。
非常事態宣言の発令を受け、タイ内務省は各知事に対し、26日から県境に検問所を設けるよう指示した。
タイ保健省は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに111人確認された。」と発表。
このうち国内の感染経路がほぼ特定できているのは29人で、19人は国外からの帰国者もしくは外国人。ムエタイスタジアム経由での観戦は6人、ナイトクラブ経由での感染は3人。そのほか、海外からの帰国後に確認されたタイ人5人、アメリカ人1人など。63人については感染経路を調査中。
累計の感染者は1045人。このうち4人が死亡、953人が入院中で、88人は退院。累計感染者数は03月半ばに100人を超えたが、それから10日ほどで感染拡大が加速し1000人を突破。
新たに感染が確認された111人のうち63人が感染経路不明となっている。03月9~15日に確認された感染者はほとんどがクルングテープだったが、16~25日は全国に広がり、特に東部、深南部で感染者が増えている。クルングテープと地方の比率は03月半ばに約8対2であったものが、25日時点で約5対5。
BTSパールプラインのノンタブリー・シビック・センター駅が閉鎖。駅員1人が武漢コロナウィルスに感染したことが確認されたため、消毒作業を行う。
長距離バスサービスを提供する官営トランスポート社は、「武漢コロナウィルス対策の一環として、ラオ・カンボジアへの長距離バスサービスをすべて停止し、国内の長距離バスサービスの利用者に対しては体温検査などを実施する。」と発表。
運転手、車掌、乗客全員にマスク着用が義務づけられ、また、乗車前の検温が37.5℃以上の場合は乗車できない。また、バスターミナルとバスの車内では各人が2m以上の距離を取ることになる。
武漢コロナウィルスの感染拡大に歯止めをかけるべく非常事態が宣言されたが、「移動が制限されることから食糧不足が起きる。」との声が一部で上がっているが、農業省農業経済室(OAE)のラピパット事務局長は、「たとえば1年間移動が制限されたとしても食糧を十分に国内供給することができる。」と明言。
OAEは、食糧供給などについて官民の関係機関と協議した。そこで出た意見によれば、「現在の食糧生産は能力の60%に止まっており余力が十分にあり、また、米、水産品、食肉、ヤシ油、ココナッツ、砂糖キビなどの生産は武漢肺炎問題で影響を受けていない。」
タイ民間航空庁(CAAT)は、「空路でタイ経由で第3国に向かう外国人乗客について、出発する空港での搭乗に関する規制を条件付きで31日まで緩和する。」と発表。
乗客のタイ滞在時間が24時間以内で、健康状態がフライトに耐えられるとした健康証明書を所持している場合、航空会社は最終目的地の渡航状況を確認の上、搭乗を認める。
CAATは22日以降に空路でタイを訪れる外国人に対し、武漢コロナウィルス陰性であることを証明する健康証明書と医療保険の提示を搭乗時の条件としていた。
タイ全土の仏教寺院で、国家の安全を祈る読経が始まった。武漢コロナウィルス感染症が収束するまで、毎日夕方に行う予定。
タイ陸軍が運営するボクシングスタジアムがタイ・スポーツ庁の要請を無視して興行を強行し、武漢コロナウィルスの大規模な集団感染が引き起こした疑いが強まり、アピラット陸軍司令官が、事実関係を調査する調査委員会の設置を命じた。
集団感染が起きたのは陸軍福祉局が運営する、クルングテープ都内ラムイントラ通のゴルフ場「タイ陸軍スポーツセンター・ラムイントラ」にある「ルムピニーボクシングスタジアム」。03月03日スポーツ庁は、全てのスポーツイベントについて中止を要請したが、スタジアムの運営当局は自粛要請を無視して、03月06日、ムエタイの興行を強行した。後に、この興行を観戦したラーチット陸軍福利厚生局長、東部チャチュンサオ県行政体のキティ行政体長ら数十人の武漢コロナウィルス感染が確認された。保健省によれば、感染者全体の4分の1程度が同スタジアムで感染した人々が原因と予想される。
陸軍はタイ政府の中核であるプラユット首相兼国防相(元陸軍司令官)、プラウィット副首相(元陸軍司令官)アヌポン内相(元陸軍司令官)の出身母体。「ルムピニーボクシングスタジアム」での集団感染は早い段階で明らかになったが、政府・軍が責任者を処罰する動きはなく、SNS上で批判が強まっていた。
社会活動家のシースワン氏が26日に同スタジアムの要請無視疑惑を調査するようプラユット首相に陳情。これを受けて陸軍トップが調査を命じることになった。
アヌティン副首相兼保健相(53)が、武漢コロナウィルスに感染した医師について、「感染したのは医療行為の最中ではなかった。注意不足で不満だ。」などと批判し、世論の猛反発を浴びている。
フェイスブックに投稿された保健相の発言の動画は10時間で再生回数が約700万回に達し、8万件を超えるコメントが集まった。コメントの多くはアヌティン保健相への批判で、解任を求める意見も強い。
タイではこれまでに医療関係者11人の武漢コロナウィルス感染が確認されている。
アヌティン保健相は今年02月、マスク着用を拒否する西洋人を強く批判し、「国外に追い出すべき。」と発言した。03月03日には、正式決定前で後に変更された通達を自身のフェイスブックで公開し、直後にフェイスブックのアカウントごと削除。03月12日には、ツイッターに「多くの西洋人はシャワーを浴びず汚い身なりをしている。」などと書き込み、武漢肺炎で西洋人に注意するよう呼びかけた。この書き込みで謝罪に追い込まれ、ツイッターのアカウントも削除。
アヌティン保健相は与党第2党、プームチャイ・タイ党の党首で、総合建設会社の大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの創業一族の2代目。
ポンピパット国軍最高司令官は、「政府は武漢コロナウィルスの感染拡大を防ごうと最善を尽くしている。そのため国民にこの週末から1週間外出を自粛することを強く要請する。」、「この要請に耳を傾けない人が多く、感染拡大に歯止めがかからない場合には、全面的な外出禁止令が発令される可能性もある。」、「全国的な移動制限はまだ発令するに至っていないものの、感染拡大が今後も加速するようであれば、やむを得ないだろう。」と述べた。
なお、武漢コロナウィルス対策本部の推定によれば、人と人の間に距離を置くとの要請について国民の協力の度合いが80%、50%、0%であれば、04月15日時点の累計感染者数はそれぞれ7745人、1万7635人、2万5225人に増える見通し。
武漢コロナウィルスの感染拡大が加速し、政府が非常事態宣言を発令したが、外出禁止令も発出されると勘違いした大勢の市民が鶏卵を買い求め、一部で鶏卵が品薄となり高値で売られている。このため商務省では便乗値上げを厳しく取り締まる方針を明らかに。
産卵鶏協会のマノート会長によれば、「養鶏農家から出荷時点での販売価格は以前と同じで、鶏卵が値上がりしているとすれば、小売業者か問屋が値段を吊り上げていることが考えられる
関係筋によれば、鶏卵はクルングテープのある市場ではほぼ通常価格で販売されていたが、地方では通常の3倍から4倍に値上がりしているとの苦情が出ているとのことだ。
03月27日(金)タイ保健省は、「全77都県中52都県で確認された感染者が91人で累計感染者数が1136人に増加し、また新たに感染者1人が死亡して累計死者数が5人に増えた。」と発表。
5人目の死者は、南部ナラティワート県スンガイコロク郡出身の50歳男性で、マレーシアで小規模な集団感染が起きたとみられる宗教行事に参加した後に発症し、11日から入院していた。
また、国立マヒドン大学シリラート病院医学部のプラシット学部長によれば、「武漢コロナウィルスの感染拡大に歯止めをかけるべく非常事態宣言が発出されたことなどで感染者が比較的多く確認されていたクルングテープから大勢の人が地方に帰郷することになったが、これに伴い感染拡大が地方に波及し、この2週間ほどのうちに全国で感染者が約2000人増える可能性がある。」、「このような感染者増加が現実のものとなった場合、重症者も増加すると予想されるため、とりわけ地方では医療従事者、病床、医療機器が足りなくなって死者が増加することが懸念される。」
この他、タイ外務省によれば、ニューヨーク在住のタイ人男性2人(ともに50)が武漢コロナウィルスに感染して先ごろ死亡。
クルングテープ中心部に位置する陸軍福祉局運営のルンピニーボクシングスタジアムが政府の自粛要請にも拘わらず、03月06日に営業したことで、同スタジアム内で小規模な集団感染が発生し、これが現在の全国的な感染拡大の一因になったと考えられることから、陸軍は事実関係を解明して責任者を特定するための調査を実施すべく、陸軍福祉局局長や同スタジアム運営に関わっている軍人を一時的に閑職に異動させた。
また、06日にスタジアムにいた同局長は後に武漢コロナウィルスに感染していることが判明し、現在入院治療中という。
アサウィン都知事は03月21日、都内商業施設の多くを03月22日から04月12日まで閉鎖する措置を発表したが、期限を04月30日に延長し、閉鎖対象施設が追加された。
今回追加されたのは、子供用遊技場、ビリヤード場、ホテル内会議室・宴会場、病院内託児所を除く託児所、博物館、図書館など。その一方で、政府機関や国営企業(百貨店内の旅券事務所、郵便局含む)、病院内食堂、生花店は営業が認められることになった。
今回の追加も合わせ一時閉鎖される施設は以下の通り。 飲食店、ブース型飲食店、食品・飲料を販売をするリアカー型店舗と屋台(持ち帰り用として販売する場合、ホテル内レストランが同ホテルの宿泊客にのみ提供する場合は営業可)。空港区域内にあるレストランと病院内食堂は除く。
百貨店、ショッピングセンター、コミュニティー・モール。ただし、スーパーマーケット、薬・生活必需品販売店、レストラン(持ち帰り用として販売する場合のみ)、銀行、政府機関、国営企業は除く。
コンビニエンスストア内のイートインスペース。
市場・定期市(生鮮食品、乾物類、持ち帰り用調理済み食品、ペット用食品、薬局、生花店、医薬品・生活必需品販売店のみ営業可)。
美容室、理髪店。
刺青や身体の一部に針等を刺す場所。
スケート場、ローラースケート場、及びこれらに類似する遊技場。
遊園地、ボーリング場、ボードゲーム場。
ゲーム店、インターネットショップ。
ゴルフ場、ゴルフ練習場。
プール場、及び類似施設。
闘鶏場、闘鶏養成場。
仏教のお守り及び仏像販売所。
見本市ホール、会議場、展示場。
教育施設と私塾。
体重管理サービスを提供する場所、美容サービスを提供する医療クリニック、美容クリニック、美容エステ。
健康増進施設(スパ、マッサージ、美容マッサージ)。
ペット用のスパ・入浴・トリミング・飼育・一時預かりサービスを提供する施設。
マッサージパーラー。
入浴、サウナ、薬用サウナのサービス提供施設。
興行場(映画館、劇場など)。
運動場。
娯楽・歓楽施設、及びこれに類似する施設。
ボクシングスタジアム、ボクシングジム。
スポーツ場。
競馬場。
あらゆる種類の競技場。
子供用遊技場。
劇場、公共遊技施設・スペース。
博物館、民俗館、及びこれらに類似する施設。
公立図書館、コミュニティ図書館、民間図書館など。。
会議場・宴会サービスを提供する場所、宴会場、及びこれらに類似する場所。
スヌーカー場、ビリヤード場。
託児所(同施設のみ適用期間は03月31日以降)。ただし病院内に設置されている託児施設は除く。
03月28日(土)武漢肺炎対策本部によれば、「感染拡大を防ぐために他の人との距離を1~2mとする社会的距離の実践が呼びかけられているが、これがあまり守られておらず、感染の拡大が続いている。」
同本部の広報担当タウィシは、プラユット首相を議長として開かれた会議に出席した後、「「政府のとっている対策が感染拡大の抑止に有効との点では意見が一致した。だが、国民の協力が不十分であることから感染者が増加しており、さらなる国民の協力が必要となっている。」と指摘。
タウィシによれば、「人と距離をとるなど国民の80%が協力的であれば感染拡大は次第に減少し、90%が協力的であれば比較的速やかに感染拡大が収まること可能性が高い。」
03月29日(日)保健省は、「新たに143人の武漢コロナウィルス感染が判明し、累計感染者数が1388人に増えた。」と発表。また、新たに感染者1人が死亡し、累計死者数が7人。死亡したのは、クルングテープに隣接するノンタブリー県出身の68歳の男性で、小規模な集団感染が起きたと見られるムエタイスタジアムに出入りしていた。
29日時点で、入院治療中の感染者1270人のうち19人が重症。111人が退院。
感染者は27日に91人、28日に109人、29日に143人増加。27~29日の死者は深南部ナラティワート県在住のタイ人♂(50)、糖尿病を患っていたタイ人♀(55)、糖尿病を患っていたタイ人♂(68)の3人。
武漢コロナウィルスはタイの日系企業にも広がっている。トヨタ自動車のタイ法人では26日までに、東部チャチュンサオ県のゲートウェイ工場で2人、中部サムットプラカン県のサムロン工場で1人の感染が確認された。三菱自動車のタイ法人ミツビシ・モーターズ(タイランド)では25日、クルングテープ都内のオフィスビル、FYIセンターにある本社に勤務する社員が武漢コロナウィルスに感染したことが確認された。
タイ南部のプーケット島は武漢コロナウィルスの感染防止のため、03月30日から04月30日まで空路以外での島への出入りを禁止。
プーケット島とマレー半島のタイ本土をつなぐ橋を閉鎖し、生活必需品、燃料、建材、医療品などの輸送車両、緊急車両、公用車両などを除き、通行を禁じる。海路も貨物船などを除き入港を認めない。
プーケット島では29日に武漢コロナウィルスの感染者が新たに6人確認され、累計53人になった。死者は出ていない。
>03月30日(月)スクム保健事務次官は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに136人、累計感染者数が1524人、死者が2人確認され累計死亡者数が9人に増えた。」と発表。「12日頃からクルングテープ以外で感染確認が増加し、29日時点でクルングテープ以外で確認された感染者が全体の54%を占めている。」と報告。
新たに判明した感染者136人の内訳は、第1グループ71人(ムエタイスタジアム関連2人、過去に感染が起きたとみられる娯楽施設に出入りしていた10人、感染者の濃厚接触者59人)。第2グループ59人(最近帰国・入国したタイ人17人、ロシア人、アルバニア人、フランス人、インド人各1人、人混みや外国人が多く出入りする場所で働いていた15人、医療従事者2人、人混みに行ったことのある3人、公共輸送機関を利用した4人、その他の感染源からの感染が考えられる14人)。また感染経路を調査中の第3グループは6人。
新たに死亡した2人は、南部ヤラー県のタイ人♂(54)とクルングテープの病院に入院していたタイ人♀(56)。03月30日時点で感染者1524人のうち1388人が入院治療中(23人は重症)、127人が退院、9人が死亡。
新たな感染者のうち80人はクルングテープ都で、9人は北部チエンマイ県で、7人はクルングテープ南郊のサムットプラカン県で、6人は南部プーケット県で確認された。
タイ南部プーケット島当局は04月10日から30日まで空路での出入りを原則禁止。武漢コロナウィルスの感染拡大防止策の一環。
プーケット島はすでに、03月30日から04月30日の予定で、陸路、海路による出入りを原則禁止。
プーケット島では30日に武漢コロナウィルスの感染者が新たに9人確認され、累計62人。死者は出ていない。
新たな感染者はバーテンダーのタイ人♀(29)、運転手のタイ人♀(47)、ウェイトレスのタイ人♀(31)、イタリア料理店店員のタイ人♀(39)、マッサージ店店員のタイ人♀2人(44、43)、旅行者のフランス人♂(32)など。
在タイ日本大使館によると、クルングテープ都内の商業施設、教育機関などの閉鎖期間が当初の04月12日から04月30日に延長。また、新たに子供用遊技場、ビリヤード場、ホテル内会議室・宴会場、病院内託児所を除く託児所、博物館、図書館などが一時閉鎖の対象となった。
クルングテープでは武漢コロナウィルスの感染拡大防止のため、03月18日から娯楽施設、マッサージ店、映画館、ボクシングスタジアム、競技場、競馬場、理髪店、教育機関など、21日からショッピングセンターなどの一時閉鎖が行われている。営業が認められているのはスーパーマーケット、コンビニエンスストア、薬局など。飲食店は原則として持ち帰りのみ営業可となっている。
国防省のコンチープ広報官は、「武漢コロナウィルスの感染者が増加していることから、軍の病院に対し感染者の受け入れ準備を整えるよう要請した。」と明らかに。「この要請に応えてアピラット陸軍司令官は国内の陸軍運営の医療機関に対し感染者の受け入れる準備を開始するよう指示した。」
これまでのところ感染者は国が運営する病院に入院することになっているが、これらの病院で病床が足らなくなった場合、軍の病院が感染者を受け入れることになる。
また、国軍によれば、軍では感染拡大の予防に向けた活動を展開しており、布製のマスクも生産して市民に配布している。
クルングテープのムエタイスタジアムで武漢コロナウィルスの集団感染が起きたと見られているが、ウィサヌ副首相は、テレビ局に対し04月末までムエタイ中継の放送も中止するよう申し入れたことを明らかに。
ムエタイスタジアムでは熱狂したファンが大声を出すことで飛沫などにより感染が拡大したと考えられ、ウィサヌ副首相によれば、「家庭でのテレビ観戦でも複数人がテレビの前に集まって飲酒して興奮するなどして感染が拡大する恐れがある。」
タイ政府は武漢コロナウィルスの感染者増加を一定水準に抑えるため国民の外出・国内移動を90%減らすことを目指す。武漢肺炎対策本部(CCSA)の広報担当タウィシンによれば、「03月30日に開かれたCCSAの会合で外出・国内移動を10%にまで減らすことをアピラット陸軍司令官が提言した。」という。
タウィシンによれば、「政府が不要不急の外出・国内移動を控えるよう呼びかけたことから、少なからぬ国民が外出・国内移動を控えている。だが、外出・移動は今のところ40%程度しか減らせていないことから10%への縮減という目標を達成するには感染拡大の状況を国民に積極的に伝え続けることで国民の意識を高めて外出・移動をさらに減らしてゆくことが必要。」
03月31日(火)武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに127人、死者が1人確認された。」と発表。新たに感染が確認された127人の内訳は、ムエタイスタジアムや娯楽施設を訪れた人と感染者の濃厚接触者62人、外国から戻ったタイ人など49人、感染経路不明の16人。
死亡した感染者は、糖尿病、癌、肝炎を患っていたミュージシャン♂(48)。
累計の感染者は1651人、死者は10人。1299人が入院中で、342人は退院。感染者のうち1407人がタイ人、244人が外国人。地域別ではクルングテープが795人と最も多く、ノンタブリー県の79人、プーケット県の55人、ヤラー県の48人。
武漢コロナウィルスの感染拡大防止に向け、タイの各県が様々な独自の対策を打ち出した。
東北部のサコンナコン県は03月31日から04月16日まで、県内での酒の販売を禁止。政府が飲食店(持ち帰りを除く)など商業施設を閉鎖し、外出自粛を呼びかける中、集まって飲酒する人がいることが理由。
クルングテープ南郊のサムットプラカン県は31日、住民に対し、外出する際にマスクの着用を義務付けた。また、県内のコンビニエンスストアに対し、午後11時から午前05時の間、営業を停止するよう命じた。
クルングテープ北郊のノンタブリー県のスチン知事は、先に非常事態宣言が発出されたこと、そして同県で武漢コロナウィルスの感染者増加が加速していることを受けて、同県の全域を対象に夜間外出禁止令を発令。午後11時から午前05時まで外出禁止とし、同令をいつ解除するかは未定。
都県別の感染者数は31日時点でノンタブリー県が79人となり、クルングテープの796人に次ぐ多さ。ノンタブリー県はクルングテープの北西に隣接しており、複数の政府機関が位置している。
日本の外務省が03月31日、武漢コロナウィルス感染症の世界的な拡大を受け、タイなど49ヶ国・地域への感染症危険情報をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げたことについて、梨田和也駐タイ日本大使は同日、大使館のウェブサイトを通じてメッセージを出した。
梨田大使は、「渡航中止勧告は日本や第三国からタイへの渡航を中止することを主な目的としたもので、在タイ日本人に直ちに日本に帰国するよう求めるものでは必ずしもない。」と説明。帰国するかどうかはそれぞれの事情に基づき個別に判断すべきとした上で、観光などで一時的に滞在中の場合や日本に早期帰国の必要がある場合は早めの帰国を検討すべきという考えを示した。
04月01日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに120人、死者が2人確認された。」と発表。
死亡したのは深南部ヤラー県在住のタイ人♂(79)と英国への渡航歴があるタイ人♂(58)。
累計の感染者は1771人、新たに2人が死亡し、死者は12人。1343人が入院中で、416人は退院。
新たに確認された感染者のうち、43人がクルングテープ、23人がサムットプラーカーン県、プーケット県が11人などとクルングテープ首都圏や観光地が中心に拡大。
これまで感染が確認された人のうちタイ人が1500人、外国人が271人。
新たに確認された感染者の内訳は、過去に感染が報告された場所に出入りしていた者と感染者の濃厚接触者の51人、外国から戻った人やインドネシアで宗教行事に参加した人など39人、感染経路不明の30人。
死亡した感染者2人は、マレーシアで結婚式に出席して感染したと見られる糖尿病と慢性腎疾患の79歳男性と英国から戻った58歳男性。
タイ北部メーホングソーン県では、武漢コロナウィルスの感染拡大を避けるため、午後10時から午前04時まで外出禁止を決定。この他外国籍者の入境禁止、クルングテープ首都圏など感染者の多い地域からの入境したタイ人らは14日間自宅隔離などの制限を設けた。この命令に従わなかった場合、十数万Bの罰金や数年の禁固刑が科される。
タイ国鉄(SRT)の列車内で死亡したタイ人♂が武漢コロナウィルスに感染していたことが確認された。
タイ人♂は03月30日、クルングテープ発ハジャイ行きの特急タクシン37号の2等エアコン車内で死亡しているのが見つかった。遺体は南部プラチュアッブキリカーン県のタプサケー駅で列車から降ろされ、病院に搬送された。
タイ人♂はパキスタンから帰国したばかりで、30日にクルングテープのバンスー駅でタクシン37号に乗車。最終目的地は深南部ナラティワート県のスンガイコロク駅。乗車中に咳、嘔吐の症状があり、プラチュアッブキリカーン県フアヒンの検問で、係官が下車するよう呼びかけたが、応じなかった。
クルングテープ都庁は都内のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、飲食店(屋台を含む)など営業中の全店舗の営業時間を04月02日以降、午前05時~午前00時の間に制限する。期間は04月30日まで。
クルングテープでは武漢コロナウィルスの感染拡大防止のため、3月18日から娯楽施設、マッサージ店、映画館、ムエタイスタジアム、競技場、競馬場、理髪店、教育機関など、21日からショッピングセンターなどの一時閉鎖が行われている。営業が認められているのはスーパー、コンビニなどで、飲食店は原則として持ち帰りのみ営業可。
屋台、レストランなどの飲食店も禁止となり、深夜に営業するお店はホテル、空港内などを除き全て営業禁止。
また、クルングテープ各所に検疫強化を目的とした検問所を設置。クルングテープ都内全ての公園も閉園。
04月01日時点でのクルングテープの累計感染者数は850人で、77都県の中で最多。
チャクティップ警察庁長官はこのほど、武漢コロナウィルスの感染拡大を防止するための集会禁止命令などを破る者が少なくないことから全国の警察に対し、感染防止対策に従わない者を厳しく取り締まるよう指示。
警察庁の広報担当ピヤ警察中将によれば、「この数日間に命令に従わずに大勢で集まったり、パーティーを催したり、集まって賭博をしたりした者がいたとの報告がある。」そのため、警察は地元当局と協力して全国で感染防止対策の順守を呼びかけたり、違反者を摘発したりするためのパトロールを強化している。
04月02日(木)プラユット首相は、タイ全土を対象とした外出禁止令を発令。午後10時から午前04時まで外出が禁じられる。違反者には2年以下の禁固または4万B以下の罰金もしくはその両方が科される。03月26日に発令した非常事態宣言に基づく措置で、医療関係者、患者の搬送、医療機器や燃料の輸送などは対象外。禁止解除の時期は改めて検討する。
   タイ政府は武漢肺炎の拡大防止に向け、ほぼ全ての商業施設や教育機関の閉鎖、陸の国境閉鎖、移動規制などの措置を取っている。
  外出が認められるのは、医療業務、銀行業務、生活必需品・農産物・薬品・医療機器・新聞の運搬、燃料輸送、小包輸送、輸出入のための製品輸送などに従事する者。このほか、夜間勤務の必要な者、夜間に空港に向かうもしくは空港に到着した者も例外となるが、夜間の勤務や移動の必要性を証明する書類を携行するとともに、感染予防を行うことが必要。
  なお、夜勤者は所属会社から夜勤が必要なことを証明する書類を発行してもらい常に携行するようウイサヌ副首相が説明。
タイのプラユット首相は、外国人や帰国者のタイへの入国を今月15日以降に遅らせるよう関係機関に指示。具体的な措置は明らかにしていない。国による帰国者、入国者の検疫隔離体制が不十分なためで、15日までに体制を整備する方針。
タイでは帰国、入国後に武漢コロナウィルスの感染が確認される事例が相次ぎ、空港などでの杜撰な水際対策が浮き彫りになっている。
タイ政府は03月26日に発令した非常事態宣言で、外国人の入国を外交官、労働許可証(ワークパーミット)所持者などを除き原則禁止。在タイ日本大使館によると、ワークパーミットを所持し再入国許可(リエントリーパーミット)を取得している者およびスマートビザ(政府が定める特定産業分野に従事する高度技術専門家、投資家など向けに発給される4年間有効なビザ)の所持者はタイへの入国が可能だが、同伴家族は入国できない。
プーケット島当局は02日から、島内のコンビニエンスストアの営業時間を午前03時~午後08時に制限。また、レンタルバイク店の営業を禁止。武漢コロナウィルスの感染拡大防止策の一環で、期間は04月末まで。
プーケット島は島内のほとんどの商業施設やビーチを閉鎖し、陸路、海路による出入りも禁じている。
島内の武漢コロナウィルス感染者は02日までの累計で87人。02日に報告があった新たな感染者はイタリア料理店店員のタイ人♂♀4人、旅行者のスウェーデン人♀、ロシア人♀ら12人。
アサウィン都知事は、「武漢コロナウィルスのクルングテープ都内での感染例が減少傾向にあり、様々な対策が効果を上げつつある。」という認識を示した。
クルングテープ都内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は同日までで895人で、このうち4人が死亡、490人が入院中。
タイ政府は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに104人、死者が3人確認された。」と発表。
新たに確認された感染者のうち感染経路不明は8人。新たに死亡した3人は、クルングテープから南部に向かう列車の中で死亡した57歳♂、南部パタニー県で感染者と濃厚接触があったとされる肺気腫および糖尿病を患う77歳♂、東北部スリン県の実家から戻った後に発症して18日から入院していたスワンナプーム空港で運転手をしていた55歳♂。
累計の感染者は1875人、このうち15人が死亡、1355人が入院中で、23人が重篤、505人が退院。
チャクティップ警察庁長官はこのほど、武漢コロナウィルスの感染拡大を防止するための集会禁止命令などを破る者が少なくないことから全国の警察に対し、感染防止対策に従わない者を厳しく取り締まるよう指示。
警察庁の広報担当ピヤ警察中将によれば、「この数日間に命令に従わずに大勢で集まったり、パーティーを催したり、集まって賭博をしたりした者がいたとの報告がある。そのため、警察は地元当局と協力して全国で感染防止対策の順守を呼びかけたり、違反者を摘発したりするためのパトロールを強化している。」
ナルモン政府報道官によれば、武漢コロナウィルスの感染拡大問題がタイ経済に打撃を与えていることから、プラユット首相は04月03日に臨時閣議を開き、追加の景気刺激策の第3弾と第4弾について検討する予定。
閣議では具体的に05月から07月にかけて実施されるこれらの景気刺激策の詳しい内容と資金をどこから調達するかなどが話し合われる予定。財務省の広報担当ラワロンによれば、景気刺激策の第3弾は04月中に閣議承認される見通し。
新武漢コロナウィルス対策チームは、武漢コロナウィルスの感染状況がさらに悪化した場合、一部地域を対象に24時間外出を禁止する措置を講じる可能性を示唆。

タイでは今日から夜間外出禁止令が発動され、午後10時から午前04時まで外出が禁止。今後1週間ほど状況を見た上で判断する。
複数の国で武漢コロナウィルスの感染者増加するなか、無症状もしくは軽症患者の入院が増えており重病人の治療に大きな支障が出るなど医療崩壊が報じられているが、サティット副保健相によれば、保健省は泊まり客の減少に苦しむホテルを感染者や感染の疑いのある人たちの隔離施設として利用するための計画を進めている。
保健省の打診に対し複数のホテルが好意的な反応を示したことから計画を実現するための手続きが開始されたという。具体的には、感染多発地域から戻った人や退院した人など14日間の隔離が必要な人がホテルに収容される見通し。
04月03日(金)タイ政府は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに103人、死者が4人確認された。」と発表。
累計の感染者は1978人、このうち19人が死亡。1378人が入院中で、581人は退院。
新たな死者はタイ国鉄職員のタイ人♂(59)、集団感染が起きたクルングテープ都内のムエタイスタジアムの警備員のタイ人♂(84)とこのムエタイスタジアム訪れたタイ人♂(84)、腎臓病を患っていたタイ人♂(72)。
新たな感染者のうち6人はインドネシアで行われた宗教儀式に参加した際に感染したと見られる。
インドネシア保健省によると、武漢コロナウィルスの感染者数は03日までで累計1986人、死者は181人。
タイ全土で03日から午後10時~午前04時の外出が原則禁止されることを受け、クルングテープ首都圏の都市鉄道全線は同日から午後09時半で営業を終了。
夜間外出禁止令は武漢肺炎防止策の一環で、プラユット首相が02日に発表。
プーケット県当局は、県内のホテルに営業停止命令を出した。04日付。
命令の発効前に宿泊客がいる場合は宿泊継続を認め、宿泊客がいなくなった時点で閉鎖となる。新たな宿泊客は受け付けない。また、県当局に宿泊客の氏名、人数などを報告し、武漢コロナウィルス感染症の症状が見られる宿泊客は隔離。
プーケット県は県内のほとんどの商業施設やビーチを閉鎖し、陸路、海路による出入りも禁じている。10日からは空港も閉鎖。
プーケット県内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は03日までの累計で100人で、死者は出ていない。03日に報告があった新たな感染者はホテルや飲食店、マッサージ店などのタイ人従業員、外国人旅行者ら13人。
タイ民間航空事務所(CAAT)は、「04月04日深夜00時01分から04月06日23時59分(現地時間)まで貨物輸送などを除き、国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を原則禁止する。」と告示。貨物機、軍用機、緊急着陸などは対象外。
告示前に航空機がタイに向けて離陸している場合には乗客全員が隔離されることになる。
プラユット首相が議長を務める武漢肺炎対策本部は02日、帰国者、入国者の武漢コロナウィルス感染症に関わる検疫隔離体制が不十分として、外国人や帰国者のタイへの入国を中止もしくは今月15日以降に延期するよう関係機関に指示していた。
非常事態宣言下、帰国を希望するタイ人には在外公館で帰国許可書の取得が義務付けられているが、04月03日~15日はこの発行業務が中止。ただ、在京タイ王国大使館では04月02日以前に証明書を取得した場合には帰国可能としており、14日間の強制隔離は告知していなかった。
後10時から翌午前04時までの夜間外出禁止令がタイ全土に発令されているが、ウィサヌ副首相は、「現行の6時間の外出禁止により感染拡大のペースが落ちたとしても、外出禁止が8、10、12時間に延長される可能性がある。」と指摘した。プラユット首相が現行の6時間の外出禁止が感染拡大の抑止に十分ではないと考えているため。
一方、ナルモン政府報道官によれば、「今後も感染者増加が減速しない場合、1日24時間の外出禁止令が発令される可能性も否定できない。」
新たな規制が矢継ぎ早に告示される中、日本(JL31便、NH847便、TG641便)、シンガポール(SQ976便)、カタール(QR832便)から158人のタイ人が帰国。タイ民間航空事務所(CAAT)は告示に従い政府指定施設での14日間の隔離を全員に指示した。大半は「大使館から事前告知がなかった。」、「知らなかった。」と反発。空港内は一時増然としたが、帰国自粛要請が発表される前に帰国許可証を取得していることなどから軍高官が保健当局の反対を押し切る形で158人全員に対し、14日間の強制隔離ではなく自己観察を行うことを条件に入国を認めることになった。
04月04日(土)朝昨晩のスワンナプーム空港でタイ人の帰国者を入国させた騒動をプラユット首相が問題視。翌4日、緊急会議を招集し、軍・警察・保健当局など関係機関に対して158人全員を隔離し、非常事態宣言違反で罰するよう指示。今回の騒動によりタイへの入国規制はこれまで以上に厳格なものとなりそう。
タイ政府の武漢肺炎対策本部は、「新たに89人の武漢コロナウィルス感染が判明し累計感染者数が2000人を突破し2067人に増加した。」と発表。
また、新たに感染者1人が死亡し累計死者数が20人となった。新たな感染者のうち31人はクルングテープで感染が確認された。なお、新たに死亡した感染者は基礎疾患のある72歳男性。
04月05日(日)タイ政府の武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で新たに102人の武漢コロナウィルスの感染が判明し、累計感染者数が2169人に増加し、新たに感染者3人が死亡して累計死亡者数が23人に増えた。」と発表。
新たな感染者のうち7人は英国からの帰国者。
都県別ではクルングテープ都34人、南部プーケット県24人、クルングテープ南郊サムットプラカン県9人、東部チョンブリー県8人、クルングテープ北郊ノンタブリー県7人など。
新たに死亡した3人の内訳は、03月下旬にロンドンから帰国して数日後に入院していた46歳タイ人♂、心疾患などの持病があった82歳スイス人♂、東北部スリン県の建設現場で働いていた南部パッタルン県出身の30歳タイ人♂。
累計の感染者は2169人(うちタイ人1857人)で、このうち23人が死亡、1472人が入院中で、674人は退院。
感染したタイ人のうち85人は欧州、49人はマレーシア、44人はインドネシア、26人はカンボジア、14人はパキスタン、10人は日本、9人は米国からの帰国者。
都県別の感染者数はクルングテープ都1011人、ノンタブリー県137人、プーケット県131人、サムットプラカーン県106人、チョンブリー68人、深南部ヤラー県52人、パタニー県45人、南部ソンクラー県37人、北部チエンマイ県36人、クルングテープ北郊パトゥムタニー県28人など。
武漢コロナウィルスルスの感染拡大を防止すべく複数の県が人の出入りを禁止する措置を講じているが、新たに北部ナーン県と南部ソンクラー県の知事が「他県との人の往来を禁止するという県の封鎖を行う。」と発表。
ナーン県は04月05日から、ソンクラー県は04月06日から04月末まで、医療サービスを提供するための医療従事者の移動などを除き、県外に出ることと県外から入ることを禁止。なお、生活必需品、医薬品、新聞、燃料、郵便物などの輸送に関わる者は往来禁止の対象外。
タイ民間航空事務所(CAAT)は「04月03日から06日までとしていた国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸禁止措置を04月18日まで延長する。」と発表。ただし、必要物資の輸送の貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸、人道上必要とされる輸送などは禁止措置の対象外。
タイのプラユット首相は今月02日、帰国者、入国者の武漢コロナウィルスに関する検疫隔離体制が不十分として、外国人や帰国者のタイへの入国を今月15日以降に遅らせるよう関係機関に指示。これを受け、CAATは04日から06日まで国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を禁止していた。
武漢コロナウィルスの感染拡大に伴い大勢の人がマスクを買い求めて品薄となって一部で販売価格が大きく引き上げられたことからマスクが価格統制の対象とされることになった。東北部スリン県カープチュン郡でこのほど、関係当局が輸入品と見られるマスク2万8200枚を押収するとともに、マスクを所持していた商店主のカンボジア人♀(33)を違法取引の容疑で逮捕。
東部チョンブリー県でも当局が支那から輸入されたマスク6万2400枚を押収し、このマスクの持ち主である支那人♂(38)を違法取引の容疑で逮捕。男は、「自分で使うために輸入したもの。」と主張し容疑を否認したが、聞き入れられず捕らえられた。
04月06日(月)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに51人(うちクルングテープ27人)、累計感染者数が2220人(うちタイ人1907人)に増加し、新たに感染者3人が死亡して累計死者数が26人、793人が退院した。」と発表。1日の感染者数では過去2週間と比べ約半数に減少している。だが、感染症専門家は、「06日の感染者数の大幅減少だけでタイにおける武漢コロナウィルスの感染拡大がピークを越えたとすることは早計。」
新たな感染者のうち11人は民間病院に勤務する医療関係者。また、感染経路がほぼ特定できている者が44人。
新たに死亡した3人の内訳は、同僚の妻が感染者だったクルングテープ在住の28歳タイ人♂、糖尿病などの持病があった自営業の51歳タイ人♂、糖尿病の持病があった露天商の59歳タイ人♀。この女性はクルングテープ都内にある複数の違法賭博場を訪れており、そこで感染した可能性がある。
タイ労働省雇用局によれば、武漢コロナウィルスの感染拡大により03月は14万4861人が失業。この数字は03月の失業手当申請者数であり、02月を72%、01月を約100%上回った。
雇用者団体によれば、出稼ぎ労働者や非正規労働者を含めると、03月から感染拡大収束までの失業者総数は少なくとも650万人に達する見通し。
04月07日(火)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに38人確認され、感染者1人が死亡した。」と発表。
1日の感染者数が30人台だったのは03月18日以来。1日の感染者数は03月22日以降、ほぼ毎日100人を超えていたが、04月05日102人、06日51人、07日もそれ以前の半数程度に減少しているが、感染症専門家は「検査は一部の人に実施されているに過ぎず、検査結果が実際の感染状況を正確に反映しているのとは言いがたい。現時点で感染拡大が減速に転じたと判断することはできない。」
新たに死亡した感染者は、03月にクルングテープ都内トンロー地区で行われたパーティーに参加した持病のある54歳♂。03月13日に発症し病院に入院、重度の肺炎のため人工呼吸器が装着されたが、症状が悪化し死亡。
累計の感染者は2258人で、このうち27人が死亡、824人が退院。
タイ政府は、「武漢コロナウィルスの検査数が累計で7万1860人になった。」と発表た。1日の検査能力は約2万件としている。
タイ正月(04月13日)を祝うソンクラン祭では人々が帰省して親などの年長者を敬うことが伝統となっている。だが、これが若者から高齢者への武漢コロナウィルス感染をつながる恐れがあることから、保健省保健局はこのほど、「ソンクラン祭の期間に『親を守ろうキャンペーン』を展開する。」と発表。
具体的には、高齢者が感染するリスクのある行為を慎むよう若者に呼びかける。パンニモン局長は、「ソンクラン祭で若者から高齢者に武漢コロナウィルスが移ることがないようにしたい。若者は無症状もしくは軽症状で感染している可能性が高く、一方、高齢者は感染すると重症化するリスクが高い。」と警鐘を鳴らしている。
北部ピッサヌローク県のピパット知事の娘(29)が夜間外出禁止令違反で検挙され、、禁錮3ヶ月、執行猶予1年、罰金5000Bの処分を受けた。
知事の娘は06日午後11時ごろ、東北部ムクダハン市内を高級乗用車で移動中に検問中の警官に検挙された。娘と同行の女性(19)はいずれも酒に酔った状態で、知事の娘だなどと言って検挙に抵抗。 ピパット知事は今回の騒動について、フェイスブックに「村人の子供、知事の子供。誰の子供かは重要ではない。夜間外出禁止令に違反すれば例外なく処罰される。」とコメント。
タイでは03日から、武漢コロナウィルスの感染拡大防止策の一環として、午後10時から午前04時の外出が原則禁止。
武漢コロナウィルスの感染拡大防止策の一環としてタイ民間航空機構(CAAT)が04月18日まで航空機のタイ乗り入れを禁止していることから、タイ行の航空機に搭乗できず外国の空港で足止めされているタイ人が200人あまりいる。
海外で足止めされているタイ人は日本15人、南鮮60人、オランダ60人、米国60人、英国とカタールがそれぞれ1人の計197人であり、この全員の帰国を実現すべく武漢肺炎対策本部(CCSA)が現在、関係政府機関との間で調整を進めている。
CCSAのタウィシン広報担当は、「197人については外務省が必要な支援を提供している。全員がタイに帰国できるよう我々は最善を尽くしている。」
04月08日(水)武漢肺炎対策本部はは、「タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに111人、死者が3人確認された。」と発表。累計感染者数が2369人、累計死者数が30人に増加し。新たな感染者のうち21人が感染経路不明。
新たな感染者のうち42人は06日にジャカルタからチャーター機でタイ南部ハジャイ空港に帰国したタイ人イスラム教徒のグループ。チャーター機で帰国したのは76人で、全員が医療施設などに隔離されている。
新たに外国人3人が死亡。タイ南部プーケット県から東部チョンブリー県を訪れ03月25日に病院を受診し自己隔離中だったロシア人♂(48)、03月17日から入院していた糖尿病と心疾患の基礎疾患を持つ実業家のインド人♂(69)、慢性腎臓病を患っていた米国人♂(69)。
1日の感染者数は04月05日102人、06日51人、07日38人と減少傾向にあったが、再び3桁に戻った。累計の感染者数は2369人で、このうち30人が死亡、888人が退院。
都県別の累計感染者数はクルングテープ都1223人、クルングテープ北郊ノンタブリー県141人、プーケット県140人、クルングテープ南郊サムットプラカン県102人、東部チョンブリ県70人、深南部ヤラー県68人、深南部パタニー県55人、南部ソンクラー県47人、北部チエンマイ県39人など。
クルングテープで感染のペースが鈍る一方、欧州からの旅行者が多いプーケット、イスラム教徒が多く、インドネシア、マレーシア、中東との結びつきが強い深南部などで感染拡大が懸念されている。
チエンマイ県で、今月10日から20日まで全てのアルコール飲料の販売が禁止されることが決まった。チャルーンリット県知事は、県内での武漢コロナウィルスの感染拡大を避けるための措置としている。
 不要不急の外出を控えるよう呼びかけているが、一部の人が集まって酒盛りをしていることが理由と見られる。
04月06日と07日に確認された武漢コロナウィルスの感染者数がそれまでを大きく下回り、一部に「感染拡大がピークを越えた。」とする見方がある一方で、「ただ単に検査した人数が少なく、陽性とされた人が少なかっただけではないか。」と疑問視する指摘も出ている。
これに関連して政府の武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「タイでは可能な限り多くの人に検査を実施するのではなく検査を受ける人を選択している。」と説明し、「感染者数を少なく報告しているのではないか。」との見方を全面的に否定。
武漢コロナウィルスの検査では、擬陽性と偽陰性が一定の割合で出るほか、比較的時間も掛かる。このため専門家の間でも、「多くの人に検査を実施して感染者を見つけ出すべき。」とする人がいる一方で、「症状があるなど感染の可能性の高い人にまず検査を行うべき。」とする人もおり意見が割れている。
なお、タウィシンによれば、「タイでは1日に2万人まで検査を実施できる。」
「武漢コロナウィルス対策のために国会議員が給与の一部を寄付すべき。」との提案に対し、上院議員の一部から反対意見が出ているが、チュアン国会議長(下院議長)は、「議員に歳費の一部を寄付させるつもりはない。」と明言。
寄付案について、キティサク上院議員は、「上院議員、下院議員、公務員が給与の一部を寄付しなければならないほど感染拡大が酷い状況とはなっていない。」また、チュアン議長は、「下院議員は地元のためにいろいろと苦労しており出費も多く、また、議員が皆裕福なわけではない。」
04月09日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに54人確認した。」と発表。これによりタイ国内での感染者数は2423人。940人が退院。
東部チョンブリー県でインフルエンザのような症状と下痢のため医療機関を受診して感染が認められ04月07日から呼吸困難のため人工呼吸器が必要となったフランス人♂(74)とクルングテープに隣接するサムットプラカン県で呼吸困難に陥ったタイ人♂(82)の2人が死亡し、累積死者数は32人。
新規感染者の多くはクルングテープ都内で、これまで確認された感染者との濃厚接触者、海外からの帰国者、医療従事者などの感染が確認された。
クルングテープ都は、「武漢コロナウィルスの感染拡大を避けるため、今月10~20日にアルコール飲料の販売を禁止する。」と発表。政府や地方自治体が、不要不急の外出を控えるよう要請しているが、一部の人が集まって酒盛りをしていることが理由。
タイで酒の販売が一時的に禁止されているのは、チエンマイ県(04月10〜20日)、クルングテープ都(04月10〜20日)ラヨーン県(04月03〜15日)、ブリーラム県(04月02〜30日)、ムックダーハーン県(04月06〜30日)、スパンブリー県(04月04〜30日)、ナコーンパトム県(04月02〜30日)、ランプーン県(04月01〜30日)、チョンブリー県(午後06時〜午前6時)、スリン県(04月02〜30日)、サコンナコン県(03月31日〜04月16日)ピッサヌローク県(04月01~30日)、サムットソンクラーム県(04月02~30日)の13都県で販売禁止を決定。
タイ東部のチャチュンサオ県は04月10日午後06時から19日午後12時まで県内での酒の販売と屋外での飲酒を禁止。
04月10日(金)武漢肺炎対策本部は、「新たに50人の武漢コロナウィルス感染が判明し累計感染者数が2473人に増加、また新たに感染者1人が死亡し累計死者数が33人になった。」と発表。
新たな感染者のうち8人は感染経路不明。なお死亡したのは、自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス(SLE)を患っていた43歳♀。
検察当局は、「04月03~10日における非常事態宣言違反は4138件におよび違反者5264人を起訴した。」。「違反の大半が外出禁止令を守らなかった。」と発表。また、違反者の年齢は、20~35歳が2537人、36~55歳が1764人。
検察当局では裁判所に対し、違反者に7日間の自宅謹慎を命じ、これに反した場合、6ヶ月以下の禁錮刑か1万B以下の罰金刑あるいは双方を科すよう求める予定。なお、北部パヤオ県の裁判所ではすでに強化された罰則を採用している。
04月11日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに45人の感染が判明して累計感染者数が2518人に増加、また新たに感染者2人が死亡し累計死者数が35人になった。」と発表。 1日当たりの感染者数はここ数日、それ以前の約半数となっている。新たな感染者のうち4人は感染経路が不明で現在調査中。
新たな死亡者2人の内訳は、質屋で働いていた36歳♂、クルングテープ在住の65歳♂。また、感染者のうち61人が重症。
04月12日(日)武漢肺炎対策本部は、「新たに33人の感染が判明して累計感染者数が2551人に増加、新たに感染者3人が死亡して累計死者数が38人になった。」と発表。1日当たりの感染者数はここ数日それ以前に比べて減少傾向を示している。また、新たな感染者のうち4人は感染経路不明で調査中。
新たな死者3人の内訳は、04月01日から入院していた糖尿病と脂質異常症の74歳♂、04月01日から入院していた糖尿病の65歳♀、03月28日から意識不明だった44歳♂。
武漢肺炎感染症対策本部のタウィシン広報担当は、「04月03日に外出禁止令が発令されたことで新規の感染者が減少傾向を示しているものの、近隣諸国ではまだ感染者が増加に歯止めがかかっておらず、現時点で油断することはできない。」との認識を示した。
タイにおける04月13日に感染確認は33人で、ピークである03月22日の188人の5分の1以下となっている。だが、タウィシンは、「近隣のASEAN加盟国はいまだに感染者増加の勢いが衰えておらず、タイとしてはまだ防御を下げるわけにはいかない。」
タイ保健省はこのほど、「04月04~10日の期間中、武漢コロナウィルス感染が確認された495人について、56%が家族から感染したと見られる可能性が高い。」との調査結果を発表。
次いで、職場での感染が23%、知人や友人から感染が18%、公共輸送機関内か人込みでの感染が03%。
タイ内務省は、タイの全77都県が、武漢コロナウィルス対策として、酒の一時販売禁止に踏み切ったことを明らかにした。
04月13~15日がタイ正月(水掛け祭)にあたるため、「祝賀で集団で飲酒し、感染リスクを高める恐れがある。」と判断。酒の販売禁止という荒療治に出た。
販売解禁は最も早い東部ラヨーン県など4県で04月16日、クルングテープ都、北部チエンマイ県など20都県で21日、最も遅い東部チョンブリー県など27県で05月01日。北部ピッサヌローク県と南部プーケット県は解禁日を明らかにしていない。
今年のタイ正月の祝日(04月13~15日)は03月17日の閣議で延期が決まった。後日、新たに祝日を設定する予定。
在タイ日本大使館によると、タイ政府は04月12日から、、タイの労働許可証(ワークパーミット)を所持する外国人がタイに入国する際、出発国のタイ大使館もしくは総領事館が発行する入国許可書の提示を義務付けた。
入国の際に必要な書類はこれで、出入国カード、渡航前72時間以内に発行された飛行可能健康証明書、入国許可書となった。
タイ入国後はタイ政府が指定する施設で自己負担で14日間の隔離措置を受ける必要がある。
 なお、タイ政府は今月18日まで、国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を、貨物機、軍用機、帰国のための特別機などを除き、原則禁止している。
タイ政府は03月26日に発令した非常事態宣言で、外国人の入国を、外交官、ワークパーミット所持者などを除き、原則禁止している。在タイ日本大使館によると、ワークパーミットを所持し再入国許可(リエントリーパーミット)を取得している人およびスマートビザ(政府が定める特定産業分野に従事する高度技術専門家、投資家など向けに発給される4年間有効なビザ)の所持者はタイへの入国が可能だが、同伴家族は入国できない。
04月13日(月)武漢肺炎対策本部は、「新たに28人の感染が判明して累計感染者数が2579人に増加、また新たに感染者2人が死亡して累計死者数が40人に増えた。」と発表。1288人が退院。
都県別の累計感染者数はクルングテープ都1306人、南部プーケット182人、クルングテープ北郊ノンタブリー150人、クルングテープ南郊サムットプラカン105人、深南部ヤラー84人、東部チョンブリー78人、深南部パタニー77人、南部ソンクラー56人、北部チエンマイ40人など。
新たな感染者数が1日30
人を下回るのは03月14日以来。1日当たりの感染者数は減少傾向にあるが、同本部では「警戒を緩めると感染が再び拡大する恐れがある。」と国民に油断しないよう呼びかけている。 新たな死亡者の内訳は、03月半ばにインフルエンザに感染し、その後武漢コロナウィルス感染が確認され、呼吸困難を訴えていた56歳♂。および、03月末に発熱、咳、下痢の症状でクルングテープの病院を受診したあと帰宅し、04月05日に同病院で武漢コロナウィルス感染が確認された43歳♂。
タイ保健省によると、タイ国内で確認された武漢コロナウィルス感染症の感染者は10日に50人、11日に45人、12日に33人増え、累計で2551人になった。死者は3日間で6人増え累計38人。
新たに確認された感染者は03月22日に過去最多の1日188人を記録して以来、ほぼ一貫して1日100人台で推移。04月に入ると、04日89人、06日51人、07日38人、09日54人と増加ペースが鈍っていた。
04月14日(火)武漢肺炎対策本部は、「新たに34人の感染(うちクルングテープ5人)が判明し累計感染者数が2613人に増加、1405人が退院。新たに感染者1人が死亡して累計死者数が41人に増えた。」と発表。
同本部のタウィシン広報担当は、「この数日1日当たりの感染者数が徐々に減少しており、政府による規制緩和を望む人もいるかもしれない。しかし、現時点では防御を下げるわけにはいかない。」と述べ、今後も引き続き警戒を怠ってはならないとの見方を示した。
新たに死亡したのは、バス運転手の52歳♀で、一緒に飲酒した複数の友人の感染が確認されていた。
都県別の累計感染者数はクルングテープ1311人、南部プーケット186人、クルングテープ北郊ノンタブリー150人、クルングテープ南郊サムットプラカン107人など。
プーケット県庁は、「県内で武漢コロナウィルス感染症の感染者が新たに10人確認された。」と発表。累計の感染者数は188人で、このうち72人が退院。死者は出ていない。
県内の病院4ヶ所での武漢コロナウイルス感染症の検査数は04月05~07日、04月10日で計2915件で、陽性は26人。
ナルモン政府報道官は04月14日、タイを含むASEAN加盟10ヶ国と日本・支那・南鮮が資金を共同でプールし新型武漢ウィルス対策に投入することなどで合意したことを明らかに。
武漢ウィルス対策で歩調を合わせることはこれら13ヶ国の代表による特別会議で合意されたものだが、ここでは具体的にどれだけ資金をプールするかについては決定が下されなかった。
武漢肺炎対策本部によれば、タイでは今年2月から4月10日までに武漢コロナウィルスの感染を調べる検査を合計10万498人に実施したが、感染拡大が収束するまでは検査はこのペースで継続される予定という。
また、同本部のタウィシン広報担当は「重症の感染者の治療費は1人当たり100万B程度に達していると見られる。このような重症者は現在、全国で48人に上り、37人が国立病院、残り11人は私立病院に入院している。」と報告。
政府は武漢コロナウィルスの感染拡で苦しんでいる人々を救済すべく一定の条件を設けて1人当たり5000Bを給付することにしたが、04月14日午前、条件に合致せずに給付金を受け取れなかった大勢の市民が財務省に詰めかけ同省担当者に不満をぶつけた。
これら市民は給付金を受け取れなかった場合は政府庁舎前で集会を決行する予定というが、その日程はまだ決まっていない。同日午後にも別のグループが財務省に詰めかけたが、財務省の担当者が対応せず、騒然とした状況になった。
タイ銀行協会(TBA)はこのほど、武漢コロナウィルスの感染拡大でタイが被る経済的損失が1兆3000億Bに上るとの試算を明らかに。
プリディーTBA会長は「1997年のアジア通貨危機時の経済的損失と同程度と考えている。だが、第2四半期(04~06月)中に感染拡大が収まらない場合、損失はさらに大きなものになるだろう。」との見方を示した。
04月15日(水)武漢肺炎対策本部は、「新たに30人(うちクルングテープ17人)の感染が判明して累計感染者数が2643人に増加、新たに感染者2人が死亡し累計死者数が43人に増加した。」と発表。新たな感染者のうち7人は感染経路不明で現在調査中。1497人が退院。
新たな死亡者の内訳は、03月11日からインフルエンザのような症状が出て19日に武漢コロナウィルス感染が判明して抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」による治療が開始されたが22日から容体が悪化して04月13日に死亡した糖尿病を患っていた65歳♀露天商、およびインドネシアで宗教行事に参加したあと03月24日に帰国して04月02日に発症し感染が確認されて治療を受けていたが14日に死亡した60歳♂。
タイ民間航空庁(CAAT)は、「国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸禁止措置を今月30日まで延長する。」と発表。貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸などは禁止措置の対象外。 タイ政府による武漢コロナウィルス対策の一環。CAATは当初、今月04日から06日まで国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を禁止し、その後、18日まで延長。
タイ東北部のナコンラーチャシーマー県は県内での酒販売禁止の期限を当初の04月18日から04月30日に延長する。ナコンラーチャシーマー県は04月11日から酒の販売を禁止。
タイでは04月に入り、全77都県が酒の一時販売禁止に踏み切った。「04月13~15日がタイ正月(水掛け祭)にあたるため、祝賀で集団で飲酒し、武漢コロナウィルスの感染リスクを高める恐れがある。」というのが理由。
販売解禁は最も早い東部ラヨーン県などで04月16日、クルングテープ都、北部チエンマイ県などで21日、最も遅い東部チョンブリー県などで05月01日。ナコンラーチャシーマー県の措置を受け、他の都県も酒販売禁止の延長に踏み切る可能性がある。
東部ラヨーン県、北部メーホンソン県、東北部ブンカン県、南部ラノーン県、クラビー県などが酒販売禁止の期間を04月30日まで延長。
プラユット首相は、1日当たりの感染者数が減少傾向を示していることを受けて 武漢肺炎対策本部が外出禁止令の緩和を検討する予定であることを明らかに。タイ政府は非常事態宣言下、04月03日から30日にかけて午後10時から翌午前04時までを外出禁止としている。
ビジネス部門からは経済への影響に配慮して外出禁止の早期緩和を求める声が出ているが、国立マヒドン大学シリラート病院医学部のプラシット学部長は、潜伏期間などを考慮すれば4月22日以降に外出禁止を緩和することが可能との見解を示している。
04月16日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに29人(うちクルングテープ20人)確認した。これによりタイ国内での感染者数は2672人となった。また感染者の内新たに3人が死亡し、累計での死者数は46人となった。感染者の内1593人が退院している。」と発表。
ここ数日1日当たりの感染者数が減少傾向を示しているが、同本部は現時点での行動規制緩和は時期尚早としている。新規感染者のうち10人は感染経路不明。
新たな死亡者の内訳は、旅行業の55歳マレーシア人♂、糖尿病と脂質異常症の事務員の35歳タイ人♀、肥満と高血圧の37歳タイ人♂。
武漢コロナウィルス感染拡大を抑えるため外国で足止めされているタイ人が続々帰国する見通しであり、その数は今週だけで620人に上る見通し。
武漢肺炎対策本部によれば、04月16日午前11時に第一陣がアラブ首長国連邦からスワンナプーム空港に帰国し、その2時間半後にモルディブから55人が帰国。17日には米国から129人、バングラデシュから35人、18日は米国から123人が帰国する予定。
同本部によれば、タイ当局の対応能力を超えることがないよう、外国で足止めされていたタイ人の空路での帰国は1日200人までとされている。
04月17日(金)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で武漢コロナウィルス感染症の感染者が新たに28人、死者が1人確認された。」と発表。
累計の感染者数は2700人、このうち47人が死亡、1689人が退院。新たな感染者のうち7人は感染経路不明。
今回死亡したのは、感染者の濃厚接触者で03月12日から入院していた糖尿病と高血圧を患う85歳♀。
タイ保健省は、「タイ国内の武漢コロナウィルスについて、男性の死亡率が女性より4倍高い状況にある。」と発表。
同日時点での死亡者数は47人で、男性の死亡率は約2.7%、女性の死亡率は約0.7%。また感染者の死亡率は約1.7%と世界的に見ても低い水準にある。
死亡者のうち41%が糖尿病、36%が高血圧、18%が高脂血症、14%が心臓病などの持病持ち。
04月18日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに33人が感染して累計感染者数が2733人に増加した。」と発表。新たな死亡者はいなかった。また、新たな感染者のうち10人は現時点で感染経路不明。
今月03日からタイ全土で施行されている夜間外出禁止令の違反者が17日までに7000人を超えた。違反者が多いのは東部チョンブリー県、クルングテープ都など。
夜間外出禁止令はタイ政府の武漢肺炎防止策の一環で、午後10時~午前04時の外出を禁じている。
04月19日(日)対策本部は、「タイ国内で確認された武漢肺炎の感染者は18日に33人、19日に32人増え、累計で2765人死者は2日間出ておらず、累計で47人。」と発表。
新たな感染者のうち5人が感染経路不明。
クルングテープ都は、アルコール飲料の販売禁止期間を今月30日まで延長することを決定。
政府や地方自治体が、武漢コロナウィルス感染拡大を避けるため、不要不急の外出を控えるよう要請しているが、タイ正月(水掛け祭)で、一部の人が集まって酒盛りをしていることから、都は今月10~20日に限り、販売を禁止していた。
販売解禁は最も早いラヨーン、ブンカン、ラノーン、クラビーの4県で04月16日の予定だったが、4県とも05月01日まで延期。
武漢肺炎対策の一環として全国で夜間外出が禁止されたり、移動が制限されたりして人々が家にいる時間が長くなっているためどの家庭でも電気料金が高くなった。「以前の2倍、3倍になった。」と苦情を訴える人もおり、ソンティラット、エネルギー相が04月20日にも電力当局と問題解決策を協議することになった。
地方電力公社(PEA)のソムポン総裁によれば、「今が真夏であり、エアコンの使用が増えて電気料金がかさんでいるのは致し方ないものの、電気料金が3倍にも増えるのは通常では考えにくく、原因を究明する必要がある。」
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「1日当たりの感染者数を一桁に抑える必要がある。」と述べた。
1日当たりの感染者数はここ数日30人前後となっているが、これを10人未満に減らすべく、更に努力が求められている。同氏によれば、「今月末に移動制限などが緩和される可能性があるものの、人との距離をとり、マスクを着用するといった感染防止策は続けなければならない。」と訴えた。
武漢肺炎対策で経済活動や国民の移動などに制限が加えられているが、プラユット首相が感染者数の変動などを判断材料に04月末に制限を緩和する可能性がある。
「1日当たりの感染者数は10日ほど前にそれまでの約半数に減少し、それ以降もさらに低い数字が続いており、感染拡大がピークを越えた。」との見方も出ている。
04月20日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに27人確認された。」と発表。死者は3日連続で報告がなかった。
累計の感染者数は2792人で、このうち47人が死亡。27人は04月の1日当たりの感染者数として最も少ない。感染者のうち1689人が入院し治療中。1999人が退院。RT-PCR検査数は04月17日までで14万2589件。 なお、新たな感染者のうち8人は感染経路不明。
同センターのタウィシン広報担当は、20日の感染者数について「まだ二桁であり、満足するわけにはいかない。」。
現在の非常事態宣言が04月30日までとされていることから、それ以降に14ヶ国で足止めされているタイ人約9000人が一挙に帰国する可能性があるため、関係当局が頭を悩ませている。
内務省は隔離施設として796施設2万941床を確保しているが、武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は4月20日、「医療スタッフが対応できなくなるため、外国にいるタイ人を一挙に帰国させるわけにはいかない。外国にいるタイ人の感情は理解できるが、帰国をコントロールすることも必要」と説明した。
04月21日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに19人、死者が1人確認された。」と発表。これによりタイ国内での感染者数は2811人。
また感染者のうち新たに1人が死亡し、累計の感染者数は48人。感染者のうち2108人が退院。
10日ほど前からの新規感染者数は減少しているが、21日の感染者数は4月の1日当たり感染者数として最小。
新たに死亡した感染者は、糖尿病のタクシー運転手の♂(50)。集団感染が起きたとされるルンピニムエタイスタジアムから客をタクシーに乗せたことがあり、その後発症し検査で感染が確認されていた。
都県別の累計感染者数はクルングテープ1477人、南部プーケット193人、クルングテープ北郊ノンタブリー152人、クルングテープ南郊サムットプラカン108人、深南部ヤラー95人、パタニー79人など。
タイ政府は閣議で、武漢コロナウィルスの影響で収入が減少したアルバイト、フリーランスの労働者に対する現金給付枠を500万人分増やし計1400万人とすることを決定。兼業農家、アルバイトの学生も認めるなど申請条件を緩和する。
月5000Bを04月から3ヶ月間支給。当初の給付枠は300万人だったが、03月28日に専用ウェブサイトで受付を開始したところ、申請が殺到したため、03月31日の閣議で900万人に拡大。申請数はその後も増え続け、04月16日までに、国民の約4割、2776万人に達した。
財務省によると、20日までに審査を通過したのは420万人で、このうち320万人に各5000Bを給付。残る100万人には今週中に給付する予定。
現金給付をめぐっては、審査で弾かれた国民から、審査基準や方法、公平性に対する不満が強まり、一部がクルングテープの財務省本部や地方の県庁に押しかける騒ぎとなった。
一方、タイ各地で食堂や寺院、慈善団体が行う炊き出しに食を求めて大勢の人が長い列を作る様子がテレビなどで報じられ、経済状況の深刻さと政府の緩慢な対応が浮き彫りになっていた。
政府は閣議で、武漢コロナウィルスの感染拡大で国民が被っている経済的負担を軽減するため、一般家庭を対象に今年03~05月の電気料金を免除あるいは減額するというエネルギー省案を承認。
タイは夏を迎え気温が上昇しているうえ、武漢肺炎対策での外出制限などで人々が家にいる時間が長くなりエアコンの使用時間も長くなっていることから「電気代が普段より高く大きな負担になっている」との苦情が出ていた。
なお、今回の電気料金減免による政府の損失は236億B程度に上る見通し。
プラユット首相は閣議後、報道陣に対し、「武漢肺炎対策でのさまざまな制限について来週にもどのように緩和すべきかを話し合う予定。」と明らかに。
タイでは武漢コロナウィルスの感染拡大を封じ込めるため、04月30日まで非常事態宣言が発出されているが、宣言が延長される可能性が高まっている。タイでは10日以上前から1日当たりの新規感染者数が減少していることもあり制限緩和を求める声が強まっているが、プラユット首相は、「強い要望があるからといって十分な検討なしに制限を緩和するわけにはいかない。」と話している。
04月22日(水)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で新たに武漢コロナウィルス感染症の感染者が15人、死者が1人確認された。」と発表。
累計の感染者数は2826人で、2352人が退院。このうち49人が死亡、累計死者数が48人。1日当たりの感染者数は21日が19人で04月に入って最も少なかったが、22日はさらに少ない15人に減少。
死亡したのはタイ人♀(58)で、糖尿病や高血圧持ちで、娘が先に武漢コロナウィルスに感染していた。
また、過去14日間、クルングテープ、ノンタブリー、プーケット、チョンブリー、ヤラー、パタニー、ソンクラー、クラビー、ナラティワート、コンケン、チュムポン、ナコンパトム、パトゥムタニー、アユタヤの14都県以外すなわち63県では新規感染は報告されていない。
タイ南部ソンクラー県で、国境の検問所で働く複数の関係者が武漢コロナウィルスに感染していることが明らかとなり、検問所が一時封鎖される事態となった。
現時点で検問所関係者6人が武漢コロナウィルスに感染していることが確認されている。
同県ではマレーシアから帰国を希望するタイ人をサダオにある国境検問所から入国を許可していたが、この検問所を7日間封鎖し施設を一時移動することを決定。
04月23日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに13人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は2839人。また感染者のうち新たに1人が死亡し、累計死者数は50人。感染者のうち2430人が退院。
死亡したのはタイ人♀(78)で、03月21日に尿路感染の治療を受けるため病院を受診したあと発症。24日に武漢コロナウィルス感染が確認されて治療を受けていた。22日に死亡。直接の死因は敗血症。
1日当たりの感染者数は03月22日の188人が最も多く、また、ここ2週間ほどは減少傾向が顕著。
国家安全保障会議(NSC)は、安全保障関連の複数の機関と武漢肺炎対策のため発出された非常事態宣言について協議を行った。
協議後、ソムサクNSC事務局長は、「武漢コロナウィルスの感染拡大を完全には抑止できていないので(04月30日までとされている)非常事態宣言を延長すべきとの点で意見が一致した。」と報告。この合意を受けNSCはプラユット首相に対し、移動制限などを緩和する一方で宣言を延長することを提言する予定。
同事務局長によれば、「政府は国家経済社会開発評議会と協議の上、どの規制をどの程度緩和するかを決める見通し。」
04月24日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに15人確認した。」と発表。これによりタイ国内での感染者数は2854人となった。また感染者のうち入院治療中の感染者は314人、2490人が退院、死者数は前日から変わらず50人のまま。
04月25日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに53人の感染が判明して累計感染者数が2907人に増加し、新たに感染者1人が死亡して累積死亡者数が51人に増加した。」と発表。
新たな感染者のうち42人は不法就労の外国人で、南部ソンクラー県の施設で隔離。国籍はビルマ人34人、ベトナム人3人、マレーシア人2人、そして、イエメン人、カンボジア人、インド人それぞれ1人。
新たに死亡した感染者は、感染者と接触があった48歳タイ人♂。
04月26日(日)武漢肺炎対策本部は、「新たに15人の感染が判明して累計感染者数が人に増加し、新たな死亡者はなかった。」と発表、「新規感染者が減少傾向にあるものの、感染拡大の第2波を招かぬために現時点で油断して何の制限もない以前のような生活に戻ることはできない。」と警告。
武漢肺炎の感染者は25日に53人、26日に15人増え、累計で2922人。死者は2日間で1人増え、累計51人。感染者のうち2594人が退院。
04月27日(月)タイ保健省は、武漢コロナウィルス感染者を新たに9人、死者が1人確認された。」と発表。累計感染者数は2931人人。累計死者数は52人。感染者のうち2609人が退院。
1日当たりの感染者数は03月22日が188人で最多となったが、それ以降で新規感染者数が1桁にまで減少したのは27日が初めて。新たな死者は貧血症のタイ人♀(65、報道により64)、急性の腎臓・呼吸器不全で死亡。
プラユット首相を議長とする会合が武漢肺炎対策本部で行われ、04月30日までとしていた非常事態宣言(03月26日発令)を05月31日まで延長し、午後10時から午前04時までの夜間外出禁止令を継続することを合意。
県間移動の原則禁止、混雑する行事、集会などの禁止を継続する模様。
一方、新たな感染者数の減少が続いていることから、閉鎖している商業活動の一部再開を認める。再開を認める業種、条件などは各都県の知事が定める。
また、現在閉鎖されている商業施設を白、緑、黄、赤の4色に分類し色ごとに封鎖を解除していく考えも示した。白色にはエアコンのない食堂、美容院、デパート、生鮮市場などが含まれる見通し。
ただし政府は状況に応じて、一部の規制について緩和する可能性を示唆。
タイ政府は、武漢コロナウィルスの感染拡大を避けるため、05月の祝日を全て移動することを決定。
04月のソンクラーン(タイ正月)祝日と同様に、移動する時期はまだ未定。武漢コロナウィルスが沈静化次第、移動する時期を決める。
対象となる祝日は、01日のメーデー、04日のチャットモンコン、06日のウィサーカブーチャー、11日のプーチャモンコンの4日間。
タイ民間航空事務所(CAAT)は、タイへの航空機乗り入れ原則禁止措置を5月31日まで延長すると発表した。これで04月03日に開始した事実上空路での入国禁止措置は2ヶ月に及ぶことになる。
またこれまで同様、政府もしくは軍用航空機、緊急着陸を行う航空機、乗客の降機を伴わない給油目的の着陸を行う航空機、人道支援目的・医療目的もしくは武漢肺炎感染者を支援するための物品輸送を行う航空機、本国送還のため飛行が許可されている航空機、貨物輸送のみ運航が許可される。なお、タイ入国後は14日間、指定施設で強制的に隔離される。
タイ政府による武漢コロナウィルス感染症対策の一環。CAATは当初、04月04日から06日まで国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を禁止し、その後2度期間を延長。05月01日に禁止措置が解除される予定だった。
武漢コロナウィルス感染症対策の都市封鎖による経済危機が深まる中、タイ各地で炊き出し、食料などの無料配給を巡る事件が相次いでいる。
クルングテープでは今月12日、タイ国鉄フワラムポン駅近くでホームレスの人らに食料を配った女性が「集会を禁じた緊急事態宣言に違反した。」として罰金処分を受けた。22日にはホームレスの人らに食料を配ろうとした女性が都職員に制止され、怒ったホームレスの男性らが職員を追いかけ回す騒ぎがあった。
東北部ナコンパトム県では20日、地元の篤志家の女性が失業者などに配るため用意したお粥250袋を、「配布の許可を得ていない。」として、県職員が没収し、後に自分たちで別の場所で配るという騒ぎがあった。女性は騒ぎの数日前からお粥を配っていた。女性はインターネットの交流サイトで、食料を待っていた人に申し訳ないと涙声で謝罪した。
東北部コンケン県では26日、地元の篤志家が食料と1人500Bの現金の配布を行ったところ、約3000人が押しかけた。午前08時に配布を開始する予定だったが、午前04時から人々が並び始めた。人と人との距離を取らせるため、警官、兵士が出動し、列の長さは約2㎞に達した。同日、北部チエンマイ市でも地元の食堂が食料を無料配給し、大勢の人が詰めかけた。
東部チョンブリー県では、地元の実業家らが食料と現金100Bの無料配布を行おうとしたところ、午前07時の時点で約2000人が集まり、「武漢コロナウィルスの感染の危険がある。」として、配布が中止された。
中部プラチュアップキリカン県では27日までに、県内の複数の寺が、「喜捨が減り食料が尽きる。」として、県に支援を要請。寺では多くの捨て犬、野良犬の面倒もみており、餌も不足している。
同日、クルングテープのタイ財務省本部の敷地に侵入したタイ人女性(59)が政府の支援策である5000Bの現金給付を求めて泣き叫び、殺鼠剤を飲んでその場で嘔吐して倒れ、病院に搬送された。
タイのメディアでは、失業が原因と見られる自殺、窃盗などの事例も報じられている。
タイ連立政権の主要2政党が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加に反対を表明した。TPPへの参加は連立政権の中核で親軍政党のパラン・プラチャーラット党が推進してきたが、2党が反対に回ったことで実現は困難になった。
TPP加盟は28日の閣議で議題になるはずだったが、連立政権の第3党、プラチャーティパット(民主)党党首のチュリン副首相兼商務相が27日、農業などへの悪影響を理由に現時点での加盟反対を表明し、「閣議で取り上げない。」と言明。連立政権の第3党、プームチャイ・タイ党党首のアヌティン副首相兼保健相も同日、医療への影響を考慮し、加盟に反対すると述べた。一方、商務省通商交渉局は27日、「TPP加盟で国内総生産(GDP)が0.1%増加、投資が5.1%増加する。」といった試算を出し、「加盟すべき。」と主張。
TPP加盟はソムキッド副首相(経済担当)が推進し、日本政府に参加の意向を伝えていた。
04月28日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに7人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は2938人。
また新たに感染者の中から2人が死亡し、累計死者数は54人。死亡したのはタイ人♂(52)と03月24日に発症して04月01日から入院治療を受けていた飲食店オーナーのタイ人♀(63)。感染者のうち2652人が退院。
プラユット首相は閣議終了後、「04月30日までとされていた非常事態宣言および午後10時から翌午前04時までの夜間外出禁止令を05月31日まで延長する。」と発表。
現在、告知されている県境を越える移動自粛(禁止)および集会の禁止は継続する一方で、非常事態宣言下で一時閉鎖されている商業施設については徐々に営業を認めていく方針を示した。ただ、2週間ごとに状況を確認し、規制の強弱を変えていく。
商業施設の営業再開であるが、27日、武漢肺炎対策本部は事業を以下の4つの範疇に分類した上で順番に営業を認めていく指針を示している。
①(白色)日常生活に必要な施設:小規模雑貨店、公園
②(緑色)空調設備の有無に関係なく小規模施設、屋外競技場
③(黄色)空調設備の設置された人の多く集まる閉鎖空間施設
④(赤色)ボクシングスタジアム・娯楽店・映画館など人が密集する施設
この日行われた武漢肺炎対策本部ー作業部会の会合では、05月03日より定期市、美容院(カット、シャンプのみ)、食堂(アルコール飲料は販売禁止)、ペットショップ(ヘアーカットのみ)、葬儀屋、公園、屋外競技場(ゴルフ、テニス)の営業再開が提案された。なお、ここでデパートは営業再開候補に挙がらなかった。
一方、アサウィン都知事は28日、8つの範疇の施設の営業を05月01日から再開する準備をしていることを明らかにした。同都知事がこの日、条件付き営業再開の準備をしているとしたのは以下の施設。
①飲食店(内部での飲食は可能となるが座席は1.5m間隔とすること。アルコール販売禁止。営業時間は非常事態宣言の規定に従う。)
②市場、定期市
③運動場、スポーツセンター(ジョギング、バトミントン、テニスなど人との距離が保てる競技のみ容認。サッカー、ソフトボール、バスケットボールなど接触プレーのある種目は不可。) ④公園(運動、休憩ともに可。グループ活動は禁止。)
⑤美容院、理髪店(カット、シャンプー、ドライヤーのみ。完全予約制として2時間ごとに消毒を行う。従業員にはマスクおよびフェイスシールドの着用を義務付け。)
⑥ペットショップ(ヘアーカットのみ)、動物病院(診察は1人1匹のみ。2時間ごとに消毒を行う。) ⑦クリニック、医療施設
⑧ゴルフ場および練習場
いずれも感染防止のため、入店・入場前の検温、マスク着用、手洗い、消毒用ジェル使用を徹底。人との距離は1.5~2mを保つようにする。感染防止を怠っていると判断された場合は即刻営業停止が命じられる。都知事によれば、この都庁方針はすでに政府に報告しており、29日にクルングテープ都伝染病委員会の会合で再度検討された後、30日以降に正式発表される見通し。
なお、クルングテープ都内で04月30日までとされているアルコール飲料の販売禁止措置を延長するかどうかは改めて告知するとのこと。
プラユット首相は、閣議で非常事態宣言の1ヶ月延長が承認されたことを受け、「今しばらく辛抱してほしい。」と国民に呼びかけた。また、武漢肺炎対策本部のトップであるプラユット首相は同時に、「武漢コロナウィルスに起因する景気減速で打撃を受けている人々を救済すべく政府が必要な措置を執る。」と強調。
閣議では、陸路・水路・空路による国内移動の制限の延長、航空機のタイ乗り入れ禁止を05月01日からさらに1ヶ月延長することなどが承認された。
タイ政府は、感染機会を減らすべく05月の祝祭日を取り消すよう求めていたが、閣議では「そこまでは必要ない。」として却下。
この提案は、連休があると市民が帰省や旅行する流れが出てくる可能性があることから、武漢コロナウイルスの拡散を防ぐための措置とされている。ただし閣議では、「04月のソンクラーン(タイ正月)祝日のように帰省をする流れはないだろう。」との楽観する見方が強かったようだ。
04月29日(水)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で新たに武漢肺炎の感染者が9人確認された。」と発表。1日の新規感染者数が1桁になるのは3日連続。
累計の感染者数は2947人で、このうち54人が死亡、2665人が退院。
新たな感染者は、4人が南部プーケット県、3人がクルングテープ都、2人が中部サムットプラカン県。
保健省疾病対策局によれば、政府の武漢肺炎対策の一環として、医療従事者、近隣国からの出稼ぎ労働者、新たに収監された受刑者など武漢肺炎感染の可能性が高いと見られる人々について、感染を確かめる検査の被検者の人数が05月から倍増される予定。
同局のスワンナチャイ局長は、「政府が移動外出制限などを緩和する方針であることから、(どの程度人々が感染しているか確認するために)より多くの人に検査を実施することにした。05月中には少なくとも100万人当たり5000人の検査を実施できると考えている」と説明。
武漢コロナウィルスの新規感染者の減少で移動制限などが緩和される見通しだが、ここに来て一部で「05月から支那人がタイに観光にやってくるのが許可される。」との憶測が流れている。
これに対し、武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「航空当局は05月31日まで全ての航空機のタイ乗り入れを禁止している。」と述べ、「05月になれば制限も緩和され支那人がタイを訪れる。」との見方を全面的に否定。
支那人観光客はタイの観光産業にとり重要な存在ではあるが、同氏は「タイ国民を感染から守ることをまず考えなければならない。観光についてはその後議論する。」
武漢肺炎対策本部は、「アルコール飲料の販売禁止期間を来月31日まで延長することで合意した。」と発表。
武漢肺炎感染拡大を避けるため、不要不急の外出を控えるよう要請しているが、一部の人が集まって酒盛りをする動きがあったことから、アルコール飲料の販売が禁止されていた。
長距離バス運営のトランスポートは、タイ政府が非常事態宣言の延長を決定したことを受け、「引き続き長距離バスの運行停止を続ける。」と発表。
運行停止が続くのは、運行距離が300㎞以上の長距離路線が対象。今後少なくとも非常事態宣言の期限である05月31日まで、運行停止が続けられる。
04月30日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに7人確認した。」と発表。累計の感染者数は2954人で、前日から変わらず54人が死亡、2687人が退院。
1日の新規感染者数が1桁になるのは4日連続。
プラユット・ジャンオーチャー首相(元陸軍司令官、66)を支える政権与党パラン・プラチャーラット党で、ウッタマ・サーワナーヨン党首(財務相、59)とソンティラット・ソンティジラウォン幹事長(エネルギー相、60)の交代を求める動きが表面化。
政権ナンバー2でプラユット首相の陸軍時代の元上司であるプラウィット・ウォンスワン副首相(74)が党首に、サンティ・プロームパット副財務相(68)が幹事長に就き、同時に内閣改造を行い、ウッタマ、ソンティラット、スウィット・メーシンシー高等教育・科学・研究革新相(58)らが閣外に去るというシナリオ。
ウッタマ、ソンティラット、スウィットは軍事政権時代からプラユット政権の経済政策を担当してきたソムキット・チャトゥシーピタック副首相(66)率いる閣僚チームのメンバー。いずれも学者出身で、政治経験に乏しく、党内基盤が弱い。「武漢コロナウィルス対策で選挙区で得点を稼ぎたい党所属下院議員の予算要求を退け、党内の複数の派閥の不興を買った。」という見方がある。
ウッタマは27日、党の大物から辞任圧力を受けたことを認めた。「当面は武漢コロナウィルス感染症対策に取り組む。」として、辞任は否定。
プラウィットは同日、党首交代や内閣改造を否定。
ソムキットとウッタマ、ソンティラットは29日、タマナット・プロムパオ副農相(54)とともに、スリヤ・チュンルンルアンキット工業相(65)と会談。権力闘争が激化する中、党の有力政治家であるスリヤの支持を求めた模様。
「プラユット政権は武漢コロナウィルス感染症への対応で手一杯で、すぐに党首交代や内閣改造が行われる見込みは低い。」と見られる。ただ、ソムキットは、推進してきた環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟が、連立与党のプームチャイ・タイ党とプラチャーティパット(民主)党の反対で極めて困難になるなど、影響力に陰りが見られる。この上、ウッタマらを失えば、ソムキット本人の進退に繋がりそう。
パラン・プラチャーラット党はプラユット軍事政権下の2018年、軍政の傀儡政党として結党。軍政色を消すため、幹部に軍高官の名前はなく、ウッタマ、ソンティラットらの他、2013、2014年にタクシン派インラック政権の打倒を目指すデモを率いたナタポン元民主党下院議員、東部に強い影響力を持つクンプルーム家のイティポン元パタヤ市長らが役員に就いた。その後、スリヤ、サンティら元タクシン派のベテラン政治家、地方の有力政治家ら多数が合流。2011年以来初めて実施された2019年03月の議会下院(定数500)選挙で116議席を獲得し、タクシン派プア・タイ党に次ぐ第2党となった。パラン・プラチャーラット党は下院の中小政党と、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を得て、国会での首相指名選挙に勝利、プラユットの首相続投を勝ち取った。
タイ政府は武漢コロナウィルス感染症対策の一環として実施している酒の販売禁止を05月末まで継続する。解禁期間は置かない。チャチャイ内務事務次官が明らかにした。
酒販売禁止は04月に入り全77都県で導入された。「04月13~15日がタイ正月(水掛け祭)に当たるため、祝賀で集団で飲酒し、武漢コロナウィルスの感染リスクを高める恐れがある。」というのが理由。クルングテープでは販売禁止は04月10日から20日までの予定だったが、20日になって04月末まで延長。
政府のこうした動きに対し、タイの酒関連の7つの業界団体が04月27日、酒の販売禁止措置や事前通告なしの販売禁止延長を止めるよう求めるプラユット首相宛の公開状を政府に提出していた。
タイ民間航空庁(CAAT)は、プーケット県庁の要請を受け、「プーケット空港での離着陸禁止を05月15日まで延長する。」と発表。貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸などは対象外。
プーケット空港は武漢コロナウィルス感染症対策の一環として04月10日から閉鎖されている。
プーケット県で確認された武漢コロナウィルスの感染者は28日までで214人で、このうち2人が死亡。
タイ政府は武漢コロナウィルス対策で閉鎖している商業施設、公共施設の一部について、政府の定める感染防止策を順守することを条件に、05月03日から、営業再開を認める。営業再開を認めるのは飲食店(ショッピングセンター内を除く)、小規模小売店、理髪店・美容院(散髪、洗髪のみ)、ゴルフ場など。
05月01日(金)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が6人確認された。」と発表。1日の新規感染者数が1桁になるのは5日連続。
累計の感染者数は2960人で、このうち54人が死亡、2719人が退院。
新たな感染者は5人が南部ヤラー県で、残り1人はクルングテープ都。
タイ政府が武漢コロナウィルス感染症対策の一環として04月から禁止している酒の販売を05月03日から解禁。
04月30日に内務省のチャチャイ事務次官が「05月末まで酒の販売禁止を継続する。」と明言したが、わずか1日で撤回。
ソムサック国家安全保障評議会事務局長が、酒を提供しないことなどを条件に03日から飲食店店舗での飲食を認めることについて言及し、「酒の持ち帰りは禁止していない。」と発言。
5月1日付官報を通じてプラユット首相は非常事態宣下における規制緩和の対象を発表。このなかで食堂やコンビニエンスストアなどでのアルコール飲料販売も許可されることになった。ただし、店内での飲酒は認められない。
酒販売禁止は04月に入り全77都県で導入。「04月13~15日がタイ正月(水掛け祭)にあたるため、祝賀で集団で飲酒し、武漢コロナウィルスの感染リスクを高める恐れがある。」というのが理由。クルングテープでは販売禁止は04月10日から20日までの予定だったが、20日になって04月末まで延長。チャチャイ次官が05月末までの酒販売禁止を発表すると、インターネット上に「酒と武漢肺炎は無関係。独裁者。」といった批判が殺到していた。
05月02日(土)武漢肺炎対策本部は定例会見で、03日から実施される一部商業施設の営業再開についての詳細を発表。
タイ国家安全保障会議のソムサック事務局長は、「感染防止策を経済再生策に優先させる。」との基本方針を明確にし、「アルコール飲料の販売再開は05月03日から可能であるが、告知権限は各都県の都知事・県知事にあることから販売再開後に感染者が増加した場合には都県ごとの判断で再びアルコール飲料の販売を中止できる。」、「購入したアルコール飲料は自宅で飲むことになるが大人数で集まり酒席を設ける行為は非常事態宣言の規定で禁止されている集会禁止に抵触することから警告もしくは罰則適用の対象になる。」と説明。
発表された規制緩和に関する詳細は以下の通り。
ホテル・空港・鉄道駅・バスターミナル・食堂・喫茶店・コンビニエンスストア・改造車店舗・行商・露店では以下のサービスが許可される。①持ち帰り用飲食品販売②店内飲食も可能である、座席を最低1㍍離すほか(1.5~2mを推奨)、入店時の検温、消毒ジェル設置を徹底する。③アルコール飲料は持ち帰り分のみ販売可。
デパート・ショッピングセンター・コミュニティーモールでは、スーパーマーケット・ドラッグストア・日用雑貨店・携帯ショップ・銀行・官公庁営業所の営業が許可される。レストランは持ち帰り分のみ販売可。
小売店・卸売店・市場店・水上マーケット・定期市は営業が認められるが、入店・入場者に対し検温を実施するほか、店舗間隔・買い物客間隔を最低1㍍(1.5~2㍍を推奨)離すなど感染防止策を徹底する。
美容院・理髪店はシャンプー・カット・ブロー・セットのみ可能。毛染めやパーマなど時間のかかるサービスは許可されない。また、店内での順番待ちを禁止。
病院、歯科医院など合法的に開設された全ての医療施設は営業可。美容整形・美容外科に分類される医療サービスは不可。
ゴルフ場、練習場は営業可。しかし、競技に類する行為、プレーをしない者の入場は禁止。
テニス、乗馬、射撃、アーチェリーを実施する屋外運動場は営業可。競技者は一定距離を保ち、競技に類する行為、プレーをしない者の入場は禁止。
公園、広場、運動場は可。運動場は屋外で十分な広さのある所に限る。競技等に類する行為は禁止されるほか、単なる付き添いでの来園・来場を禁止。
ペットショップ(ペットスパ、シャンプー、トリミング、一時預かりのみ)
一方、県境を跨ぐ移動についてチャチャイ内務事務次官は、「不要不急の場合を除いて自粛もしくは禁止している上、規制の強弱は県によって異なる。」と説明。タイは05月11日まで休みが続くが、プラユット首相はこの間の外出を自粛するよう求めている。
武漢肺炎対策本部は、「新たに6人の感染が確認され累計感染者数が2966人に増加した。」と発表。これで一桁の1日当たり新規感染者数は6日連続。
05月03日(日)武漢肺炎対策本部の発表によると、タイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は累計2969人で、このうち54人が死亡、2739人が退院。新規の感染者は4月27日以降、1日1桁に止まっている。
ただ、深南部ヤラー県の保健当局は、「武漢コロナウィルスの感染者が新たに40人確認された。」と発表。深南部はイスラム教徒が多く、マレーシア、インドネシア、パキスタンなどでイスラム教の宗教行事に参加し、タイ帰国後に武漢コロナウィルス感染が判明する事例が目立っている。
武漢コロナウィルス対策で閉鎖されていたタイ国内の商業施設、公共施設の一部が、タイ政府の緩和措置を受け、営業を再開。
営業を再開したのは飲食店、小規模小売店、理髪店・美容室(散髪、洗髪のみ)、ゴルフ場など。飲食店はこれまで持ち帰りと配達のみの営業だったが、政府の定める感染防止策を順守することを条件に、店内での飲食が解禁された。ただし、店内での飲酒は禁止。
食料品、生活必需品を扱うスーパーマーケット、コンビニエンスストアはこれまで通り営業。
ショッピングセンター、パブ、バー、サウナ、マッサージ店などは営業禁止が継続。
夜間(午後10時~午前04時)外出禁止、教育機関の閉鎖、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会などの禁止、入国規制も継続。
04月に入り全77都県で導入された酒販売禁止措置は、クルングテープなどほとんどの都県で解除された。ただ、北部のピッサヌローク県、東北部ブリラム県などでは05月31日まで継続。酒の販売禁止は、「04月13~15日がタイ正月(水掛け祭)にあたるため、祝賀で集団で飲酒し、武漢コロナウィルスの感染の危険性を高める恐れがある。」という理由で導入、ずるずると04月末まで延長された。04月30日に内務省のチャチャイ事務次官が「酒販売禁止を05月末まで継続する。」と表明したところ、インターネット上に「酒と武漢肺炎は無関係、この独裁者が。」といった批判が殺到。酒関連の業界団体も強く反発し、政府が方針転換。
国防省によれば、クルングテープでは帰国する在外タイ人を対象とした自己観察施設として05月から複数のホテルなどが新たに使用可能となっている。これらは、クルングテープ中心部のキウ・ホテルやモーベンピック・ホテルなど。
国防省のコンチープ報道官は、「この数日のうちにネパール、パキスタン、カザフスタン、インド、アラブ首長国連邦、香港、シンガポール、モルディブ、オランダ、ロシア、スペイン、フランス、ドイツからタイ人1433人が帰国する予定。」と説明。これら帰国者は入国から2週間にわたって自己観察用施設で生活することになっている。
05月04日(月)武漢肺炎対策本部は、「新たに18人の感染が確認され累計感染者数が2987人に増加した。」と発表。
感染が判明した18人は、いずれも南部ソンクラー県の入国管理局施設で隔離中の外国人不法就労者とその家族で、13~22歳の♀17人、10歳の♂児1人。に収容されている外国人で、同県のサダオ国境検問所の職員が感染源と見られる。累計感染者数は2987人。このうち54人が死亡、2740人が退院。
クルングテープ都庁は、「不特定多数の人が集まることから武漢コロナウィルスの感染リスクが比較的高いとされる34業種について営業禁止を05月31日まで延長する。」と発表。
営業禁止が延長されるのは、映画館、劇場、遊技場、パブ、マッサージパーラー、遊園地、動物園、スケート場、スヌーカーハウス、ボーリング場、闘鶏場、スポーツクラブ、展示場、博物館、図書館など。
武漢肺炎の新規感染者数減少を受けアルコール飲料販売禁止が解除された、またいつ販売が禁止なるかわからないと考えた大勢の市民がタイ国内各地の商店に詰めかけた。
一方、アルコール飲料の販売禁止を続いている県も少なくなく、05月03日時点ではナコンパノム県とラヨーン県は05月15日、チャンタブリ県ー、パトゥムタニー県、ペチャブリー県、ピサヌローク県、サケオ県、ソンクラー県は05月末から解禁される予定であり、ブリラム県とラムパン県にいたっては県知事がいつ解除するかをまだ明らかにしていない。
なお、タイ国家安全保障会議のソムサック事務局長は市民がアルコール飲料売り場に殺到している状況を憂慮。このような状況が続く場合には再度、アルコール飲料の販売を禁止する可能性に言及。
03日に、タイ南部ヤラー県で先に武漢コロナウィルスの検査で陽性との結果が出た者が40人に達したことから、念のために近隣の南部ソンクラー県の医学センターで2度目の検査を実施したところ、40人全員が陰性反応を示した。
だが、武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当によれば、疑いの余地を排除すべく、これら40人について保健省医学局で3回目の検査が行われることになった。
関係筋によれば、「ヤラー県の施設での検査で誤った結果が出た原因について調査が進められており、同施設はこの先しばらく検査に使用しないことになった。」
1日当たりの武漢コロナウィルス新規感染者数が減少していることから03日より一部県を除き酒類販売禁止が解除されたが、03日夜から04日朝にかけて全国で690人が飲酒を直接・間接の原因とする夜間外出禁止令違反で逮捕された。
「違反者は前日に比べ6割も増加しており、当局が再び全面的に酒類の販売を禁止する。」との見方も出ている。違反者のうち仲間で集まり飲酒をした者は129人となっている。
なお、05月03日からの酒類販売解禁は14日間の試験的なもので、飲酒が感染拡大につながると判断されれば再び販売禁止措置が執られることになる。
05月05日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。
深南部ナラティワート県在住の糖尿病のタイ人♂(45)で、ナラティワート県内の病院で治療を受けている。南部はイスラム教徒の多いことで知られているが、男性は宗教的な行事に参加し、そこで感染者との接触があった。
新規の感染者は04月27日から05月03日まで1日1桁で推移。04日には18人の感染が確認されたが、全員がタイ南部の入国管理局施設で隔離中の外国人労働者とその家族。
これによりタイ国内での累計感染者数は2988人。また死者は前日から変わらず54人。感染者のうち2747人が退院。
酒の販売禁止が03日に解除されたことを受け、スーパーマーケットの酒売り場などに人が殺到したことについて、プラユット首相は、「混雑が収まらない場合は再度酒の販売禁止に踏み切る。」と警告。
05月06日(水)武漢肺炎対策本部は、「タイ国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者1人、死者1人の報告があった。」と発表。1日の新規感染者が1人になるのは2日連続。
新たに感染が確認されたのは03日にロシアから帰国したタイ人♀(27)。死亡したのは南部パンガー県のホテルのマネージャーのオーストラリア人♂(69)。
累計感染者数は2989人、このうち55人が死亡、2761人が退院。
新規の感染者は04月27日から05月03日まで1日1桁で推移。04日には18人の感染が確認されたが、全員がタイ南部の入国管理局施設で隔離中の外国人労働者とその家族。
武漢肺炎対策本部によれば、05月07日から31日までの期間に外国で足止めされている約7000人のタイ人が帰国する予定。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「04月04日から05月06日までにタイ人4637人が27ヶ国から帰国している。帰国者は全員、政府指定施設で14日間隔離されることになる。」と説明。
05月07日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに3人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は2992人。累計死者数は前日から変わらず55人。感染者のうち2772人が退院。
感染が確認されたのは深南部ヤラー県在住のタイ人♀(59)と、02日にカザフスタンから帰国したタイ人♂2人(51、46)。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当はこのほど、武漢肺炎対策本部の最高責任者であるプラユット首相が公共輸送機関などで人の密集が起きていることを懸念しており、対策を講ずるべきと考えていることを明らかに。
「クルングテープの高架電車BTSスカイトレインの一部の駅で利用者の多い過密状態が生じている。」などと報じられており、「過密が武漢肺炎の感染拡大に繋がる。」との指摘も出ている。
タウィシンは、「時間差の出勤・退勤を実現することが公共輸送機関の過密問題の解決策になり得る。」として企業などの協力を得て求めている。
05月08日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに8人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は3000人。累計死者は前日から変わらず55人。感染者のうち2784人が退院。
新たな感染者は、マレーシアから帰国して感染が判明した感染者および同人と接触のあった南部ヤラー県在住の♂3人(45、51、51)、そして南部ソンクラー県で感染が確認された出稼ぎ労働者の♀5人(19~30)。
クルングテープの高架電車BTSスカイトレインでは駅や車内で過密状態が発生し、武漢肺炎の感染再拡大を懸念する声が上がっている。スカイトレインは列車編成当たりの乗客輸送能力が1000人とされているが、保健当局はこのほど運営側に対し、乗客数を4分の1の250人以下に減らすよう要求。チャイワット運輸事務次官は、「電車の乗客は他の乗客と1m以上距離を取る必要がある。」と指摘。
ただ、関係筋によれば、距離をとったり乗客数を制限したりすれば、輸送人数が減るため、駅で電車を待つ人が増え過密問題が生じてしまうとする当たり前の意見も上がっている。
05月09日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに4人の感染が確認され累計感染者数が3004人に増加したほか、感染者1人が死亡して累計死者数が56人に増加した。」と発表。
新たな感染者は3人が♀(28、36、41)、1人が44歳♂。死亡した感染者は、クルングテープ在住の68歳ビジネスマン。
タイでは全77都県中68都県で感染者が確認されているが、過去4週間に関しては43県で感染報告0。
武漢肺炎対策本部ののタウィシン広報担当はこのほど、「店が感染対策をしっかり実施できるかなどを確認すべくショッピングモールで05月14日(木)と15日(金)の2日間、選ばれた店舗に試験的な営業が許可される予定である。」と発表。
「店の対応について16日(土)に評価作業が行われ、満足な対応と判断されれば、17日(日)から商業活動の制限が緩和される。」という。この試験的営業の対象となるショッピングモールは後に発表される予定。
05月10日(日)武漢肺炎対策本部は、「新たに5人の感染が確認され累計感染者数が3009人に増加した。」と発表。感染者の死亡は報告されていない。
新たな感染者の内訳は、感染者と濃厚接触があったクルングテープの44歳♀と南部ナラティワート県の80歳♀、アラブ首長国連邦から帰国した41歳♀、パキスタンから帰国した26歳と27歳の♂学生2人。
タイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は8~10日に17人増え、累計で3009人になった。死者は1人増え56人。感染者のうち2794人が退院。
国軍と警察の首脳会議で夜間外出禁止令違反と複数人が集まって飲酒する違反が増えていることに不満の声が相次いだ。このため、今後取り締まりが強化される可能性がある。
新規感染者の減少に伴い制限措置の段階的緩和が行われているが、緩和前に比べ違反行為が21%程度増加している。
夜間外出禁止は午後10時から翌朝午前04時までだが、会議出席者からは、「違反者には厳しい対応をせず説得するように努めているが、何度注意しても聞き耳を持たない。こちらも忍耐の限界。」といった意見が多く出された。
段階的緩和が始まったのは05月03日だが、同日から10日までの夜間外出・飲み会関連の違反は5363件となっており、その前1週間の4407件を21%上回った。
05月11日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに6人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は3015人。累計死者数は前日から変わらず56人。感染者のうち2796人が退院。
新たな感染者は、南部プーケット県の19歳♂、29歳♂警察官、23歳♀、29歳♀、南部ナラティワート県の6歳♂児、南部ヤラー県の22歳♂。
国家安全保障会議(NSC)のソムサック事務局長は、「NSCが武漢肺炎の新規感染者数などに基づき非常事態宣言を解除すべきか否かについて2週間以内に判断を下す予定だ。」と明らかに。
これは「NSCが05月31日の非常事態宣言解除を検討している。」との報道について質問され意見を述べたもの。事務局長はまた、「武漢肺炎対策本部が健康、安全、治安など様々な側面について検討を行う。」と述べ、武漢肺炎対策本部の見解を参考にして宣言解除の是非を判断することを示唆。
05月12日(火)>武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに2人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数3017人。累計死者数は前日から変わらず56人。感染者のうち2798人が退院。
タウィシン広報担当は、「新規感染者が2人というのは評価できるが、ゼロになるまでガードを下げてはならない。」
感染が確認されたのは、クルングテープ在住のタイ人♀(19)と深南部ナラティワート県在住のタイ人♀(51)で、ともに感染者の濃厚接触者。。
プラユット首相は、「国民が非常事態宣言の全面的解除あるいは部分的解除のどちらを望んでいるかなどを確かめるため政府が世論調査の実施を指示した。」との一部報道を否定。プラユット首相によれば、「宣言解除に関しては首相が最高責任者を務める武漢肺炎対策本部に権限がある。」
新規感染者数の減少に伴い宣言解除など社会経済活動の制限緩和を求める声が強まっているものの、武漢肺炎対策本部は「感染再拡大の恐れがある。」として緩和には慎重な姿勢を取っている。
ネット上では「武漢肺炎感染を確かめる検査を受けた人数が少なすぎる。」として「より多くの人に検査を実施し検査結果を信頼の置けるものにすべき」との声が高まっているというが、武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「タイで検査を受けた人が少なすぎるということはない。」と強く反論。
タイでは、保健省医学局が今年に入ってこれまでに28万6008人に検査を実施し、うち3017人が陽性との結果が出ている。
05月13日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルスの国内での新規感染者、死者の報告がなかった。」と発表。累計感染者数は3017人、累計死者数は56人で、2844人が退院。
タイ国内で武漢コロナウィルスの感染者が初めて確認されたのは01月13日で、湖北省武漢から団体旅行でタイを訪れた支那人♀。
武漢コロナウィルスの流行で、失業者が急増し生活に困窮する市民が増えていることを受け、一部の人が食料品などを入れた箱を設置し、困窮者向けに無料で提供する施しがタイ国内各地で流行。
だがこの提供している食料品を独占したり、必要以上に持っていってしまうという良識のない行動をしている者がいる。
また最近になってFacebookに投稿された情報によると、某航空会社で働く女性が自宅前に食料品を入れた箱を設置したところ、食料品が空になっていることに激怒し、呼び鈴を鳴らして直接文句を言われた。女性は善意で行ってる行為だったが、このような事態になってしまったことから、自宅前に箱を設置するのを止めてしまった。ただしこの女性は「この取り組みは継続する。」と語っている。
武漢肺炎対策本部は、「新たな感染者は確認されず、感染者の死亡もなかった。」と発表。タウィーシン広報担当は、「感染状況などについて武漢肺炎対策本部が毎日発表を行うようになり新規感染者がいなかったのは初めて。最高の結果であり、国民の協力に感謝する。だが、まだ喜んではいけない。警戒が必要。」と述べ、油断は禁物との考えを示した。
タイ最大の複合企業、チャルンポカパン(CP)グループの総帥、タニンはこのほど、タイ政府に対し、可能な限り早期に制限を緩和して外国人旅行者を受け入れ、タイを裕福な旅行者にとっての「天国」とするよう求めた。
武漢肺炎の感染拡大を阻止するための様々な制限措置により観光産業はひときわ深刻な打撃を受けることになったが、タニンは、「制限措置でタイが被った経済的損失は1日当たり約160億B、1ヶ月当たり約5000億Bに達している可能性が高い。」、「ワクチンが開発されて普及するまで待つことはできない。そそれほど長く経済はもたない。」と述べ、経済再生に向けた積極的な動きが必要との見方を示した。
タイの金持ちはほとんど全て華僑。タイを潰しても支那や自分の金しか考えない。
05月14日(木)武漢肺炎対策本部は、「国内で武漢コロナウィルスの感染者1人が新たに確認された。」と発表。累計感染者数は3018人。このうち56人が死亡、2850人が退院。
新規感染者数が13日0人で、14日1人に止まったことについて、タウィシン広報担当は「満足のいく数字であるが、まだガードを下げてはならない。」
新たに確認された感染者は、感染者が多く出ている南部プーケット県で働いていたタイ人♂(39)で、今月02日、家族とともに地元の北部チエンマイ県に戻っていた。無症状だったが、保健当局が感染リスクがあると判断して検査を実施し、陽性の結果が出た。
タイ政府が武漢コロナウィルスの流行を避けるため、非常事態宣言を発令してから約2ヶ月ほど、新規感染者が0になる日も出てきたことで、一部で市民の気が緩み始めている。今回問題になっているのはルンピニー公園など都内の公園利用者で、人と人の距離を取る社会的距離やマスクの着用義務を違反している者が多い。
クルングテープ都はこの問題を重く受け止めており、「公園では今のところ、監視の担当者が違反者に優しく口頭で注意しているが、都が定めた規定に違反した者について、違反が続くようであれば、公園からの退去を求め、公園への立ち入り禁止とする。」、「このまま違反者が多ければ、公園の再封鎖もあり得る。」と発表。
武漢肺炎対策本部は、明日行われる都市封鎖解除検討会議で夜間外出禁止令の時間の短縮を検討する方針。
百貨店・ショッピングセンターなど多くの商業施設の営業が17日から条件付きで再開されることが決定となっており、これに合わせて夜間外出禁止令の時間も短縮する。午後11時から午前04時までとなる見通し。空路でのタイ入国規制、県境をまたぐ移動規制は継続される。 対象となる施設・サービスは以下の通り。
第1グループ(経済・日常生活関連)
百貨店・ショッピングセンター・コミュニティーモール(営業時間午前10時~午後08時)。営業可能な入居店舗は、PC、家電、工具類、家具、事務用品、日用品、台所用品、花、植物、洋服、アクセサリー、化粧品、スポーツ用品、貴金属の販売店。および、インターネット、クリーニング、修理・交換、コピー、洗車・車内装飾のサービスを提供する店舗。クレジットカード・ローン扱い店。保険代理店。美容・歯科クリニック。ラウンジ。美容院・理髪店(シャンプー、カット、セットのみ)。ネイルショップ。
商業ビル・百貨店・ショッピングセンター・コミュニティーモールに入居するレストラン・食堂・フードコート・アイスクリームショップ・カフェなどでの飲食品販売。持ち帰りだけでなく、店内での飲食も可能であるが、厳格な感染防止策を実施すること。
小売・卸売店・大型卸市場。感染防止対策を徹底するほか、飲食品の販売は保健当局の規定を順守。
第2グループ(スポーツ、健康関連)
美容クリニック(ボディー・スキン関連、レーザー治療のみ。顔面の施術は不可)
運動場(バトミントン・セパタクロー・ヨガ・体操・スカッシュ・フェンシング・ボルダリングなど一般的スポーツで接触プレーのないもの。1チーム3人を超えない種目はチームプレーも可。しかしプレーしない人の入場は不可)。フィットネス(ただし使用器具が制限されるほか、集団で行うトレーニングは禁止)
屋外・屋内プール(1レーンの幅が2㍍以上。使用人数を制限。利用可能時間は1時間以内)
第3グループ(その他)
ホテル内会議室・会議場(企業・団体による会議で事前に参加者が確定しているもの)
公共図書館・博物館・ギャラリー・美術館
テレビ番組・コマーシャルなどの撮影(スタッフの人数制限あり)
タイ南部プーケット島のプーケット空港が16日、国内線旅客機の運航を再開予定。
プーケット空港は武漢肺炎対策の一環として、04月10日から、貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸など除き、閉鎖されていた。
タイ政府は国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を05月31日まで禁止している。
05月15日(金)武漢肺炎対策本部は、「国内で武漢コロナウィルス感染者を新たに7人確認した。」と発表。これによりれ累計感染者数は3025人。また死者も前日から変わらず56人。感染者のうち2854人が退院。
新たに感染が確認された人は、全てパキスタンからの帰国者、17~31歳のタイ人♂6人、♀1人で、政府による検疫隔離中。
長距離バス運営のトランスポートは、今月18日から一部路線の運行を再開することを決定。
北部線では、クルングテープ-チエンマイ・チエンラーイ・ウッタラディット・サーラチット・メーソード・ロムカオ・クローンラーンの7路線。
東北部および東部線では、クルングテープ-ノーンブワラムプー・サコンナコン・チエンカーン・スリン・ブリーラム・カンタララック・シーサケート・ラッタナブリー・チャンタブリーの9路線。
また来月01日からは、クルングテープ-プーケット・トランといった南武線も再開。
タイ南部プーケット島のプーケット空港は、「翌16日から予定していた旅客機の運航再開を無期延期する。」と発表。
タイ民間航空庁(CAAT)が14日、運航再開を承認したが、15日になり取り消した。
プーケット空港は新型コロナウイルス感染症対策の一環として、04月10日から、貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸などを除き、閉鎖。
05月16日(土)タイ民間航空庁(CAAT)は、「必要物資輸送などを除きタイへの航空機乗り入れを原則禁止とする措置を6月30日まで延長する。」と発表。これにより06月も日タイ間のビジネス出張等は不可能。
この措置は武漢肺炎対策として04月27日に導入されたもので、今回の延長についてCAATのチュラ事務局長は「武漢肺炎に対抗するために関係当局にさらに時間を与えることができる。」と説明。CAATは当初、04月04日から06日まで国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を禁止し、その後3度、期間を延長。05月31日に禁止措置が解除される予定だった。
なお、タイ軍の航空機、人道的支援物資や医薬品などを積んだ航空機、外国から帰国するタイ人を乗せた航空機の乗り入れや航空機の緊急着陸、必要物資の輸送はこれまで通り許可される。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当によれば、店舗への退入店管理システムで使用するプラットフォーム「タイ・チャナ」(https://www.xn--b3czh8ayeuf.com/)の利用が17日午前06時から開始。
各店舗はウエブサイト「タイ・チャナ」にオンラインでアクセスした後、必要事項を記入して登録する。その際、店舗で同一時間に受け入れ可能な顧客人数も明記する。その後、送られてくるQRコードを店舗の入り口に掲示。顧客は入店時、および退店時にそのQRコードを自身が通常利用しているQRコード読み取りアプリでスキャンをする。
一方、顧客は「タイ・チャナ」にアクセス後、自身がこれから訪れようとしている店舗を選択し、その混雑状況を知ることができる。
タウィシン広報担当によれば、「タイ・チャナ」システムを利用することは義務ではないが、17日午前中だけでタイ全国で1万を超える店舗が登録しているとのこと。利用者にとり、登録店が感染防止に熱心な店舗、未登録店は不熱心な店舗との差別化をしていくこともできる。ただ、現時点で表記はすべてタイ語のため、タイ語を読めない外国人の利用は難しい。
05月17日(日)武漢肺炎対策本部は、「新たに3人の感染が確認されて累計感染者数が3028人に増加した。」と発表。感染者の死亡はなかった。
新たな感染者3人はともに外国から戻ったばかりの♂学生で、2人(21、23)はエジプト、1人(23)はパキスタンに滞在。
野党陣営からは「非常事態宣言の下では首相の権限が強化されており、この状態を維持するため首相はなかなか宣言を解除しようとしない。」といった批判が出ているが、ナルモン政府報道官はこのほど「首相は宣言を生き残りのために利用してはいない。」と述べ、野党の見方に反論。
野党からは、「非常事態宣言が継続されていることで経済的問題が生じ、人々が苦しめられている。」とする指摘が出ているが、ナルモン報道官は、「政府も経済問題が起きていることは承知しており、解決に努めている。国民の全てに支援が届くよう努力している。」と説明。
タイ国内のショッピングモールは、規制緩和により営業再開が可能となり、大勢の人々が詰めかけた。クルングテープ首都圏ではこれら商業施設の前に開店時刻前から長い人の行列ができた。
このなか、IKEAは午後02時35分、「大勢の買い物客が訪れたことで、武漢肺炎感染拡大対策の一つである店内客数を一定以下に維持することが困難になった。」としてネット上で閉店を発表。
このほか、商業施設の従業員から客が多くて距離を保つことが難しく、感染拡大が起きるのではないかと懸念する声も聞かれた。
05月18日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに3人確認した。」と発表。
新たに感染が確認されたのは、以前感染者と接触があった者が2人、またそこから新たに感染した者が1人となっており、感染経路はわかっている。
タイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は16~18日に6人増え、死者はいなかった。新たな感染者は、29歳♀、55歳♂、27歳♀の3人。累計感染者は3031人。このうち56人が死亡、2857人が退院。
リアルタイムPCR検査数は05月15日までで32万8079人で、100万人あたりの検査数は4926人。
商業施設の営業再開が許可された05月17日、「全国で大勢の人々がショッピングモールなどに詰めかけた。」と報じられたが、これについて武漢肺炎対策本部は、「商業施設で感染を防止するルールが概ね守られていた。」として、「店舗と客に感謝する。」と発表。
タウィーシン広報担当は、一部で過密が生じたとされることについて「改善の余地がある。」と認めたものの、「ショッピングセンターの営業再開で感染拡大が生じなければ、今後さらに多くのタイプのビジネスに関して営業再開が許可されることになる。」との考えを示した。
タイ民間航空事務所(CAAT)が「商業フライトのタイ乗り入れを原則禁止する措置を06月30日まで継続す。」ると発表したことを受けて、タイ国際航空(THAI)は「国際線の運航を引き続き中止する。」と確認。
タイ国際航空は07月の運航再開を見込んでおり、安全が確保され次第運航を再開できるよう今後も状況を注視していく。」と発表。
05月19日(火)武漢肺炎対策本部は、「国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに2人確認された。」と発表。
新たな感染者は2人とも深南部ナラティワート県で武漢肺炎で入院した感染者の親族2人で、36歳♀と42歳♂。
累計感染者数は3033人。累計死者数は56人。2857人が退院。
地域別の感染者数はクルングテープと北郊のノンタブリー県1705人、南部729人、中部393人、東北部111人、北部95人。
深刻な経営危機に陥っているタイ国際航空は会社更生手続きを申請し、タイ中央破産裁判所の管理下で再建を目指す。タイ政府が閣議で承認。
タイ航空はタイ財務省が株式の51%を保有する国営企業。2012~2019年に累計約660億Bの赤字を出し、2019年末の負債総額は約2450億Bに上る。すでに危機的な状況の中、武漢コロナウィルス感染症でほぼ全面運休に追い込まれた。
タイ政府が経営改革のためタイ航空に送り込んだ過去3代の社長はいずれも就任1、2で辞任。交代の度、社長不在の期間は1年以上に及んだ。直近では2018年09月に就任したスメート社長が今年04月付で辞任。いずれも軍や政治家の利権構造、強力な労働組合などに経営改革を阻まれ、辞任に追い込まれたと見られている。
閣議後に記者会見を行ったプラユット首相兼国防相は、「タイ航空のこれまでの経営再建計画が労働者保護法と国営企業開発管理法に縛られ成功しなかった。」という見方を示した。タイ政府は財務省のタイ航空への出資を50%以下に引き下げ、国営企業開発管理法の適用外にするとともに、国営企業労働者法に則りタイ航空の労組を解体し、円滑な経営再建を目指す模様。
タイ政府のこうした動きに対し、タイ航空の労組は18日、「会社更生手続きによる経営再建には同意するが、財務省の出資引き下げと労組解体には反対する。」と表明。
05月20日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は3034人。また累計死者数は前日から変わらず56人。感染者のうち2888人が退院。
新たな感染者は15日にバーレーンから帰国した料理人のタイ人♂(45)で、政府による検疫隔離中だった。
サックサヤム運輸相は、「タイ国際航空(THAI)首脳陣と協議し、ここで会社更生計画の作成を担当する専門家30人の人選をタイ国際航空に一任する。」と伝えた。計画作成者の選ばれた30人のリストは今月25日にプラユット首相に提出。検討後、破産裁判所に渡されることになる。
一方、財務省はタイ国際航空を国営企業から外すべく現在51.03%を保有するTHAI株の3.17%を官営ファンドに売却する予定。
軍関係筋によれば、治安当局は武漢コロナウィルス禍がこのまま収束するとは考えておらず、03月26日に発令された非常事態宣言を06月も継続すべきとの姿勢を示している。
プラユット首相は、国軍首脳らに「武漢コロナウィ禍が国民生活に深刻な打撃を与えている。」と説明したが、治安当局は、「06月になって新武漢肺炎対策本部が経済活動の制限をさらに緩和した場合、非常事態宣言まで解除すると感染拡大第2波が訪れる可能性がある。」と懸念している。
05月21日(木)武漢肺炎対策本部は、「国内で武漢コロナウィルスの感染者が新たに3人確認された。」と発表。
新たな感染者は、、糖尿病と肺癌の72歳タイ人♂、クルングテープ在住の42歳ドイツ人♂、フィリピンから帰国した25歳♀学生の計3人。72歳タイ人♂はバンスー区プラチャチューン通りの理髪店で感染した可能性がある。42歳ドイツ人♂はチャイヤプン県の親族を訪問した際、デパートに立ち寄っているため、現在、濃厚接触者を調査している。25歳♀学生はタイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3037人。このうち56人が死亡、2897人が退院。
国家安全保障会議(NSC)は武漢コロナウィルス感染拡大第2波を防ぐため非常事態宣言の1ヶ月延長を武漢肺炎対策本部に提言する見通し。
今のところ同宣言は05月31日までとされているが、NSCは、治安関連機関や保健当局の代表者と現在の状況などについて協議。ソムサックNSC事務局長は、「タイは感染拡大の減速に成功しているものの、世界の状況はまだ憂慮すべきものであり、タイも油断してはならない。」と訴えた。
ソムサック事務局長によれば、宣言の1ヶ月延長は来週の閣議で正式決定される見通し。
なお、この方針を受け、ネット上には宣言延長回避を求める市民の声が溢れている。
武漢肺炎対策本部はの関係者会合で、「武漢コロナウィルス感染症対策で強権的な措置を可能とする非常事態宣言の期限を05月末から06月末に1ヶ月間延長すべき。」という見方で一致し、閣議に提言することを決めた。
タイ政府は03月26日に非常事態宣言を発令し、夜間外出禁止、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会などの禁止、入国規制といった措置を導入した。こうした措置は段階的に解除されているが、武漢肺炎対策本部は、「感染第2波の懸念がある。」などとして、非常事態宣言の延長が必要と判断。
タイ政府の報道官は、非常事態宣言の1ヶ月延長について言及し、「プラユット首相が非常事態宣言を使い反政府運動を抑え込んでいる。[という見方を否定。「武漢コロナウィルス感染症の拡大を抑えるため不可欠で、政治的な意図はない。」と主張。
05月22日(金)武漢肺炎対策本部は、「国内で確認された武漢コロナウィルス新規感染者、死者が0人だった。」と発表。累計感染者数は3037人、累計死者数は56人。71人が治療中、2910人が退院。
武漢肺炎対策本部は、「今月末に期限を迎える非常事態宣言を1ヶ月間延長することで合意した。」と発表。これにより26日に行われる閣議に提案し、最終的な決定を求めることになる。 その一方で、プラユット首相は武漢肺炎対策本部に対し、感染拡大防止のために執られているさまざまな制限措置の第3段階の緩和について検討するよう指示。
会議に出席したイティポン文科相によれば、制限緩和第3弾では、夜間外出禁止時間の深夜00時から午前04時への短縮、他の都県への移動禁止解除、ホテルの営業再開が許可される見通し。
05月23日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに3人の感染が確認されて累計感染者数が3040人に増加した。」と発表。感染者の新たな死亡は報告されていない。
新たな感染者は、エジプトから帰国したタイ人学生、インドのスパで働いていたタイ人、南部プーケット県在住のイタリア人♂。
サックサヤム運輸相は、「タイ国際航空(THAI)株の51.03%を保有していた財務省が22日に同株の3.17%を官営ワーユパック1ファンドに売却したことで、保有率は約48%となり、THAIは国営企業ではなくなった。」と説明。
株の売却は、タイ国際航空を国営企業から外し、財務省の監督下で会社更生手続を受けさせるために必要な措置という。なお、タイ国際航空が抱える負債は総額2000億Bあまりで、その30%は国内での借り入れ。
06月分の従業員の給料について、05月分に続き10~50%引き下げることを決定。
05月24日(日)武漢肺炎対策本部は、「過去24時間に新規感染者と死亡者が報告されなかった。」と発表。
タイ国内で新たに確認された武漢コロナウィルスの感染者は23日が3人、24日が0人で、累計で3040人。このうち56人が死亡。2921人が退院。05月に入り新規感染者ゼロは今回で4回目。
保健省疾病管理局のタナラック副局長は、「06月には感染リスクが中程度のビジネス・活動の再開が制限措置緩和第3弾として許可される見通し。」と明らかに。
具体的には、ボクシングスタジアム、タイ式マッサージ店、スパ、映画館、会議施設、学習塾などの営業が再開される予定であり、武漢肺炎対策本部が05月27日もしくは28日に対象となる施設や活動の詳細を発表する。
05月25日(月)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が2人、死者が1人確認された。」と発表。
新たな感染者は南部プーケット県に滞在中の支那人♀(46)と20日にマッサージ師として働いていたロシアから帰国したタイ人♀(55)。
死者は南部チュムポン県在住のタイ人♀(68)で、慢性腎臓病と糖尿病を患っていた。
累計の感染者数は3042人で、このうち57人が死亡、2928人が退院。
事実上経営破綻したタイ国際航空は、「タイ財務省が同社株3.17%をタイ政府系投資ファンド、ワユパックファンドに売却し、出資比率を51.03%から47.86%に引き下げた。」と発表。
財務省の出資比率が50%以下になったことで、法的な位置づけはこれまでの国営企業から民間企業に変わり、国営企業開発管理法、国営企業労働者法などの適用外となる。経営の自由度は増し、経営再建の障害となってきた労働組合はいったん解体される。
財務省、ワユパックファンド、タイ政府貯蓄銀行(GSB)などタイ政府系資本の出資比率は約70%で変わらず、実質的には国営企業のまま。タイ政府はタイ航空を法的に国営企業から外した上で、会社更生手続きを申請させ、裁判所の管理下で経営再建を図る。
タイ航空は2012~2019年に累計約660億Bの赤字を出し、2019年末の負債総額は約2450億Bに上る。すでに危機的な状況の中、武漢肺炎でほぼ全面運休に追い込まれた。タイ政府はタイ航空に関し、公的資金の注入、破産などの選択肢を検討し、国営企業という足かせを外した上で、法的整理を目指す方法を選択。今月19日の閣議で、会社更生手続きの申請と財務省の出資比率引き下げを承認。
プラウィット副首相はこのほど、効果的な武漢肺炎対策の導入のために発出された非常事態宣言の延長について、政治的な理由との見方を否定し、「制限措置の緩和に伴い感染再拡大が懸念されることが宣言延長の理由である。」と説明。
宣言延長に対しては「政権が強大な権限を手放したくないため。」といった批判的意見が出ているほか、野党陣営では「感染拡大は感染症法だけで防止できるはず。」としている。
国防省のコンチープ報道官は、「ホテルを武漢肺炎感染の疑いのある者の隔離施設として使用することについて不正が生じている可能性がある。」として、現在調査中であることを明らかに。
この不正疑惑は、「隔離施設としての指定を受けられるよう計らう。」と言ってホテルに接近し金銭を要求するというもの。コンチープ報道官は、「東部のホテル協会関係者と話したが、仲介役をして不正に金銭を受け取っていた者がいたのは本当のようだ。仲介役の氏名も聞いている。軍関係者や保健省の関係者はこの不正には関与していないようだ。」
05月26日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに3人確認した。」と発表。
新たな感染者は、ロシアから戻った51歳のマッサージ師♀、クウェートから戻った♂2人(ともに45)。いずれもタイ政府による検疫隔離中だった。感染者の死亡はなかった。
これによりタイ国内での累計感染者数は3045人となった。累計死者数は前日から変わらず57人。感染者のうち2929人が退院。
タイ政府は閣議で、武漢肺炎対策で強権的な措置を可能とする非常事態宣言の期限を05月末から06月末に1ヶ月間延長することを決定。
タイ政府は03月26日に非常事態宣言を発令し、夜間外出禁止、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会の禁止、入国規制といった措置を導入。こうした措置は段階的に緩和、解除されたが、感染第2波の懸念があり、非常事態宣言の延長が必要と判断した。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は「40を超える法律の垣根を越えて効果的な対策を講ずることが可能になったのは非常事態宣言発令のおかげ。」と述べ、非常事態宣言の必要性を強調。
26日までにタイ国内で確認された武漢コロナウィルスの感染者は3045人で、このうち57人が死亡。新規の感染報告は05月に入り1日0人から数人程度に止まっている。
野党や反政府グループは、政府が非常事態宣言を反対派の抑え込みに使っているとして、延長に反対していた。
05月27日(水)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が9人確認された。」と発表。
6人はサウジアラビア、2人は米国、1人はカタールからの帰国者で、タイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3054人。累計死者数57人。2931人が退院。
武漢肺炎対策の一環としてホテルを隔離施設に指定する計画が進んでいるが、現在不正疑惑が浮上していることから、国防省では「指定を受けられるように計らう。」と言ってホテル側に金銭を要求した容疑者6人を特定。
国防省のコンチープ報道官は、「これまでに集めた証拠を捜査のため警察に提出した。」と述べ、一部で容疑者として名前の頭文字が報じられていた保健関連の役人とされる人物について「容疑者の1人だ。」と認めた。
なお、ホテルを隔離施設として指定し利用することは、国防省と保健省の共同プロジェクトで、武漢肺炎対策本部の武漢肺炎対策の一環となっている。
タイ政府が武漢肺炎禍の影響を受けている人々の救済などのために1兆Bの借り入れを決めたことに野党などから批判が出ているが、プラユット首相は下院において、「国民を助けるための今回の借り入れ計画は国の財政収支に影響するものではなく、関連法や財政規律にも抵触しない」と反論。
野党は、「武漢肺炎の感染拡大をうまく抑制できなかったため、今回のような巨額の借り入れをすることになった。」などと批判しているが、プラユット首相によれば、「今回の借り入れを含めても今年度の借り入れはGDPの57.6%に止まっており、上限の60%は超過していない。」
中央破産裁判所は、前日タイ国際航空(THAI)が申請した会社更生手続きを正式に受理。
。1回目の審問は08月17日に行われる。タイ航空は運航を継続するものの、債務返済は停止する見通し。債権者はこの手続きに不満があれば3日前までに抗議申請することになる。
タイ国際航空は2012~2019年に累計約660億Bの赤字を出し、2019年末の負債総額は約2450億Bに上る。2017年から3年連続で赤字を計上しており、2018年は116億B、2019年は120億Bの巨額な赤字。また武漢コロナウィルスの流行で、全便運休となったことで売上が急減し資金繰りが悪化し、巨額な資金援助を要請している状況だった。
タイ政府は今月19日の閣議で、タイ財務省のタイ航空への出資比率を50%以下に引き下げ、法的な位置づけを国営企業から民間企業に変更した上で、会社更生手続きを申請させる方針を決め、25日までに出資比率を引き下げた。
05月28日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに11人確認した。」と発表。これによりタイ国内での累計感染者数は3065人。累計死者数は前日から変わらずち57人が死亡、2945人が退院。
今回確認された感染者は全て海外からの帰国者で、カタールから帰国したマッサージ師の♂5人と専業主婦1人、クウェートから帰国した♂4人、インドから帰国した♀1人の計11人。全員がタイ政府による検疫隔離中だった。
保健省医学局によれば、06月末までにタイ全国で合計10万人に対し武漢コロナウィルス感染の有無を調べる検査を実施する予定。保健省医学局のオパート局長は、「調査はアヌティン保健相の指示によるもので、この調査によって保健当局は感染拡大のパターンをより正確に把握することが可能になる。」と説明。
なお、検査は東北部ナコンラチャシーマー県、南部スラタニーとパタニーの2県で既に開始。
タイ旅行代理店協会(ATTA)のウィチット会長はこのほど、07月には武漢肺炎感染者の少ない国、感染拡大が収束した国の旅行者を入国後14日間の隔離措置を設けることなく受け入れるよう政府に要請。
また、「武漢肺炎感染の有無をすぐ知ることのできる検査を入国時に外国人に無料で実施すれば、安心してタイ旅行ができるため、タイを訪れる外国人を増やすことにも繋がる。」との考えも示した。
ウィチット会長は、「タイが外国人観光客を制限なしで受け入れることができれば、最初の2カ月間でタイを訪れる外国人観光客が10万人を超え、1ヶ月当たり50億Bの観光収入がもたらされる。」としている。
武漢コロナウィルスの感染拡大を防止するための様々な制限措置について、国家安全保障会議(NSC)のソムサック事務局長は、「タイ政府が07月01日に全国一斉に全面解除する方針であり、06月にはそれに向けた準備が進められる予定。」と報告。
ソムサック事務局長はまた、「国民の協力が重要。マスク着用、人と距離を取ること、手洗い、社会・経済活動の制限はこれからも必要。武漢肺炎は未だカ多くの国で流行しており、我々は今しばらく戦い続けなければならない。」と述べ、「制限解除後も国民が自発的に感染防止に努めることが肝要。」と訴えた。
06月01日から規制が解除される施設・サービス等は以下の通り。
・経済・生活分野
デパート、ショッピングセンター、コミュニティーモール(午後9時閉店)。
見本市・展示会場、会議場(床面積2万平方㍍以下、午後09時閉場)。
宗教関連グッズショップ(人の集まる催し物は禁止)。
美容院・理髪店(顧客1人当たりのサービス時間は2時間以内、店内での順番待ち不可)
幼児・児童開発センター(従業員の定期会合、配給用飲食調理など許可)。
・スポーツ・健康分野
美容クリニック、ビューティーショップ、タトゥーショップ、ボディピアスショップ(第2弾では首から下の施術に制限されたが、今回、顔の施術も許可された。しかし、鼻の美容整形は不許可)。
健康ランド、スパ、タイ式マッサージ店(サウナ・薬草サウナ・フェイシャルマッサージは不可)、足マッサージ店(入浴を伴うサービスは不可)。
ジム、フィットネス(ショッピングセンター内の施設も営業可。グループ活動は人数制限を設ける。サウナ利用は不可。ムエタイジムは器具を使用しての練習のみ可)。
サッカー・フットサル・バスケットボール・バレーボールのプレーおよび練習のための運動場使用(試合は不可。参加者は競技者を除き10人以下)。
ボーリング場、スケート場、ローラーブレード場、もしくはこれらに類する施設(試合は不可)。
ダンス教室。
ジェットスキー・バナナボートなど行うためのプール使用(試合禁止。プレーをする者・見物者とも人数制限。なお、これらをビーチで行うことは不可)。
映画館、劇場(入館者は200人以下。大衆劇・演芸などタイ固有のジャンルのみ許可。コンサートは不可) 動物園、動物の場(グループ活動は制限)。
一方、外出が禁止される時間帯が午後11時から午前03時に変更。また、陸海空路でのタイ入国原則禁止は継続されるが、県境を跨いでの移動は政府が規定する条件下で許可。
05月29日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が11人確認された。」と発表。
累計感染者数は3076人。このうち57人が死亡、2945人が退院。
11人全員がクウェートからの帰国者で、タイ政府による検疫隔離中だった。
タイ政府は武漢コロナウィルス感染症対策の一環として施行している夜間外出禁止、県間移動の原則禁止などの措置を06月01日から緩和。29日の会議で承認。
規制緩和の第3弾で、映画館、ジム、マッサージ店、コンベンションセンターなどの営業再開を条件付きで認めるほか、ショッピングセンター(SC)の閉店時間を現在の午後08時から午後09時に延長。
夜間外出禁止の時間帯はこれまでの午後11時~午前04時を午後11時~午前03時に短縮。
県間移動も原則として認める。
05月30日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が1人確認された。」と発表。
累計感染者数は3077人。死亡者は増加なしで、累計死者数は57人が死亡、2961人が退院。
新規で感染が確認された1人はサウジアラビアから戻った♂学生(26)。タイ政府による検疫隔離中だった。学生は空路で隣国のマレーシアに着いてからバスでタイに入国したもので、現在バスの同乗者に感染者がいないかの調査が行われている。
「06月30日まで延長された非常事態宣言が解除され制限措置が緩和・解除されることで武漢肺炎の感染再拡大が起きる。」と懸念する声が出ているが、ウィサヌ副首相(法律担当)は、「感染拡大の第2波には感染症法で対応することになる。」との見方を示した。
制限措置は06月01日からさらに緩和される予定だが、これが新規感染者の増加に繋がらなかった場合、非常事態宣言の早期解除を政府に求める声が強まることが予想される。
一方、専門家によれば、感染再拡大が起きないほうが不自然であり、第2波、第3波にどのように対処するかについて事前に検討しておく必要がある。
05月31日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が4人確認された、」と発表。
累計で3081人になった。感染者の新たな死亡はなく、累計死者数は57人。2963人が退院。
新規感染者はアラブ首長国連邦から戻った37歳♀、トルコから戻った♂学生2人(18、19)、サウジアラビアから戻った♂学生(22)。タイ政府による検疫隔離中だった。
クルングテープ都庁は、武漢コロナウィルス感染症対策の一環として施行しているパブ、バーなどの営業停止を6月末まで延長する。」と発表。パブ、バーを除く飲食店の店内での酒の提供禁止も継続。
営業停止が継続されるのはパブ、バーのほか、ウォーターパーク、ビリヤード場、ゲームセンター、ボクシングスタジアム、競馬場など。
06月01日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が1人確認された。」と発表。
新たな感染者はロシアから戻ったタイ人♀(43)で、無症状。タイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3082人、累計死者数は57人。2965人が退院。
武漢コロナウィルス感染者が減少を続けていることから、祝日移動が決まっていた今年04月のソンクラーン (タイ正月)祝日を07月に移動する可能性が出てきた。
武漢肺炎対策本部の広報担当タウィシンによれば、「武漢肺炎対策のためタイ旧正月である04月13日を中心とするソンクラーン祭を祝う連休が中止となってことから、政府は06月を通じて新規感染者数が少なければ、07月に代わりの連休を設ける方針。文化省では07月04日から09日を候補として政府に提出する方針。 今年は武漢コロナウィルスのためにソンクラーン関連の行事は軒並み中止となった。タウィシンは、「順調に行けば、07月には非常事態宣言が解除され、(代替の)ソンクラーン連休を楽しむことができるだろう。」
プラユット・チャンオーチャー首相(元陸軍司令官、66)を支える政権与党パラン・プラチャーラット党の党執行部役員34人のうち18人が、党首であるウッタマ財務相に一斉に辞表を提出。これに伴い、党執行部が入れ替わり、プラウィット副首相が新たに党首に就任する見通し。パイブン副党首によれば、「執行役員の過半数が辞めた場合、党規に従って執行部は解散となり、45日以内すなわち07月16日までに総会を開催し新たに執行役員を選び直す必要がある。」
今回の集団辞職はウッタマ・サーワナーヨン党首(財務相、59)、ソンティラット・ソンティジラウォン幹事長(エネルギー相、60)、スウィット・メーシンシー副党首(高等教育・科学・研究革新相、58)の追い落としが狙い。後任の党首には政権ナンバー2でプラユット首相の陸軍時代の上官であるプラウィット・ウォンスワン副首相(元陸軍司令官、74)が就任すると見られる。ウッタマ、ソンティラット、スウィットの3人は閣僚ポストも失う見通しだが、プラユット首相が緊急時の内閣改造に抵抗する可能性もある。
執行部の解散について、ウッタマは「首相を支えるべきときで、政治ゲームをやっている場合ではない。」と不快感を表明。ソンティラットは「このような時に起きるべきことではなく、失望した。」と批判。プラウィットは「知らない。何の問題もない。」と述べ、プラユットは「自分は党員ではないので関係ない。」
ウッタマ、ソンティラット、スウィットは軍事政権時代からプラユット政権の経済政策を担当してきたソムキッド・チャトゥシーピタック副首相(66)率いる閣僚チームのメンバー。いずれも学者出身で、政治経験に乏しく、党内基盤が弱い。現政権では非議員として入閣し、閣僚ポストを狙う党所属の下院議員から辞任圧力を受けていた。
04月にウッタマが「党の大物」から辞任圧力を受けたと認め、内紛が表面化。この時はプラユットが「武漢コロナウィルス感染症への対応に集中すべき。」として事態の沈静化を図った。しかし、05月下旬になり武漢コロナウィルスの国内感染がほぼ収束し、31日には武漢コロナウィルス感染症の経済対策法案が議会下院を通過した。プラウィットを推す勢力は法案通過直後にウッタマらの追放に動いた形。
今回のお家騒動に対し国民からは「武漢肺炎対策を優先すべき。」との批判も出ている。
ウッタマらの失脚はソムキットが主導する経済運営の終焉となりそうだ。ソムキットが推進してきたタイの環太平洋経済連携協定(TPP)加盟は、すでに連立パートナーの主要2政党から反対を受けている。ソムキット率いる経済閣僚チームが退場すれば、加盟実現はますます見通せない状況。
パラン・プラチャーラット党はプラユット軍事政権(2014~2019年)下の2018年、軍政の傀儡政党として結党。軍政色を消すため、幹部に軍高官の名前はなく、ウッタマ、ソンティラットらが幹部に就任。その後、他政党のベテラン政治家、地方の有力政治閥などを取り込み、2019年03月の議会下院(定数500)選挙で116議席を獲得し、軍と対立するタクシン派のプア・タイ党に次ぐ第2党となった。パラン・プラチャーラット党は首相指名選挙で、非議員のプラユットを擁立。議会下院の中小政党と、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を得て、指名選挙に勝利し、プラユットの首相続投を勝ち取った。
06月02日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者1人、死者が1人確認された。」と発表。
感染者はサウジアラビアからマレーシア経由で05月25日に帰国したタイ人学生♂(32)で、タイ政府による検疫隔離中だった。死亡者は喘息を患っていた深南部ナラティワート県在住のタイ人♂(80)。
累計感染者数は3083人、累計死者数58人、2966人が退院。
運輸省のアノン副事務次官によれば、同省が移動制限を敷いている県を除いたタイ全土で公共輸送機関のサービスを全面的に再開することを関係当局に進言する予定。対象となるのは、長距離バス、鉄道、国内線航空旅客などの輸送サービス。
アノン副事務次官は、「06月04日にも武漢肺炎対策本部と協議する予定であり、05日か06日のサービス再開を目指す。」
06月03日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認された。」と発表。
感染者はサウジアラビアからの帰国者で、タイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3084人、累計死者数58人、2968人が退院。
武漢コロナウィルス感染症対策の緩和で01日から県間移動の原則禁止が解除されたことを受け、王妃誕生日の祝日である03日、クルングテープ近郊の行楽地として人気のバンセン海岸(東部チョンブリー県)にクルングテープ都民らが殺到。海岸前の道路が渋滞し、地元自治体のセーンスク市当局は周辺の道路を一時通行止めにした。
06月04日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに17人確認された。」と発表。
新規感染者は、クウェートから帰国した♂12人(31~56)と♀1人(44)、カタールから帰国した♂♀2人(24、29)、サウジアラビアから帰国した♂2人(28、29)。全員がタイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3101人、累計死者数58人、2968人が退院。
在タイ日本大使館によると、05日午後05時頃から06時頃にかけ、クルングテープ芸術文化センター(Bangkok Art and Culture Centre)前のスカイウォークでタイ全国学生連盟の呼びかけによる政治集会が実施される予定。現場は高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅前 大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
カオソットなどによると、タイで不敬罪容疑で指名手配されカンボジアに逃亡していたタイ人男性が04日、プノンペンで武装グループに拉致された。男性は前日に、フェイスブックを通じ、タイの現政権を非難していた。男性の失そうを受け、タイ全国学生連盟が抗議集会を呼びかけた。
タイ下院で、武漢コロナウィルスの感染拡大で深刻な打撃を受けたタイ経済を再生する措置に今年度予算から約880億バーツを投入する法案が賛成264反対4で第1読会を通過。
野党陣営は資金の使い道が不明確などとして野党議員に棄権を呼びかけており、採決では185人あまりが棄権。
タイ政府は現在、パブ、コンサート、スポーツ大会など12種類のビジネス・活動について再開許可の検討を進めている。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当が、武漢肺炎対策本部のビジネス再開委員会が武漢コロナウィルスの感染再拡大を防止するには再開後にどのような措置を講ずればよいかを関係者との間で協議中であることを明らかに。武漢肺炎対策本部は、国家安全保障会議(NSC)のソムサっク事務局長が委員長を務めている。
06月05日(金)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が1人確認された。」と発表。
クウェートからの帰国者で、無症状。タイ政府による検疫隔離中だった。ここ最近のクウェートからの帰国者は165人で、このうち32人の感染が確認。
累計感染者数は3102人、このうち58人が死亡、2971人が退院。
ネット上にタイ政府を辛辣に批判する書き込みをしてコンピューター犯罪法違反の罪に問われているワンチャルム(37)がこのほど、逃亡先のカンボジアの首都プノンペンで武装した者たちに拉致された。
米国を拠点とする人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)によれば、ワンチャルムは宿泊しているアパートから食べ物を買おうと外に出て仲間と携帯電話で話をしていたところ、武装した複数の男に連れ去られたとのことだ。 また、カンボジアの警察当局は、「ワンチャルムが拉致されたと見られる事件について何も情報を得ていない。」と説明。「今のところ捜査する予定もない。」と発表。
06月06日(土)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が2人確認された。」と発表。
感染者はロシアから帰国した♂学生とクウェートから帰国した♂で、とにも無症状。
06月07日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルスの新たに確認された感染者数は8人。」と発表。
新規感染者は、新規に感染が確認された8人は全員が海外から帰国したタイ人。アラブ首長国連邦から戻った♀4人と♂1人、クウェートから戻った♂2人、インドから戻った♂1人。全員がタイ政府による検疫隔離中だった。13日連続で、タイ国内での感染はない。
累計感染者数は3112人、累計死者数58人、2972人が退院。
国防省のコンチープ報道官は、外国から帰国するタイ人約9000人を2週間収容する隔離施設を確保することで同省と保健省が合意したことを明らかに。
外国にいるタイ人は帰国するに当たりまず外務省に連絡する必要があるが、現在連絡件数が増加傾向にあるという。コンチープ報道官は、「政府は帰国するタイ人の人数上限を1日当たり400人から500人に増やしている。このため、国防省と保健省は帰国後の隔離のためにさらにホテルの部屋9000室を確保すべく調整を行っている。」と説明。
連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党では近く党首と執行役員が入れ替わる見通しだが、同党関係筋は、「この入れ替えに伴い内閣が改造された場合、プラサン元タイ中央銀行総裁かパイリン元副運輸相に財務相就任が打診される可能性がある。」と明らかに。
ただ、同筋によれば、財務相には武漢コロナウィルスの感染拡大で大打撃を受けたタイ経済を立て直すという大仕事が待ち構えていることから、パラン・プラチャーラット党の幹部連のほとんどが「プラサン、パイリンは力不足で財務相には不適格。」と考えている。
プーケット県のスポット県知事はは県内の海岸の入場禁止措置を09日から解除。プーケット県の海岸は武漢コロナウィルス感染症対策で約2ヶ月間閉鎖されていた。スポット知事によれば、プーケットのホテルは感染対策を講じた後、07月に営業が再開される見通し。
06月08日(月)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が7人確認された。」と発表。
パキスタンから戻った学生2人(ともに28)、アラブ首長国連邦から戻ったマッサージ師3人(39~42)と学童1人、米国から戻った♀(37)の7人で、全員が帰国時に無症状。タイ国内での感染は過去14日間確認されていない。
累計感染者数は3119人、累計死者数58人、2973人が退院。
武漢肺炎対策本部の治安担当者であるポンピパット国軍最高司令官は、クルングテープ中心部の映画館で人気俳優を招いて催されたイベントに大勢のファンが詰めかけたことを批判。社会距離遵守などの武漢コロナウィルス感染対策に違反した場合、責任者に対し直ちに法的措置を執る。」と強く警告。
新規感染者減少に伴い社会経済活動の制限措置が徐々に緩和されているが、ポンピパット司令官は、「全ての事業で感染対策を徹底する必要がある。従わなければ厳罰に処されることになる」と強調。
クルングテープ都内の映画館で俳優を招いて開かれたイベントに大勢のファンが殺到し、武漢肺炎感染拡大防止の観点から関係当局がこれを問題視。そのため、クルングテープ都庁は全50区に対し、有名人が参加して大勢の人が集まる可能性のあるようなイベント開催を許可しないよう命令。
都庁担当者は、「アサウィン都知事が有名人を招くイベントを開かないよう全ての区に伝えた。だが、これは映画館や劇場の営業を禁止するものではない。」と説明。
ソムキット副首相(経済担当)はこのほど、タイ政府が外国人の入国規制を今年第3四半期(07~09月)もしくは第4四半期(10~12月)に緩和する方向で検討を進めており、武漢コロナウィルス感染拡大が収束している国の国民のタイ入国が優先的に緩和される見通しであることを明らかに。この件についてすでにプラユット首相の合意を得ている。
ソムキット副首相によれば、「輸出が低迷していることもあり国内消費と観光を促進することがタイ経済のV字回復に必要。ただ、政府としては感染再拡大を防止するため外国人の入国制限緩和には慎重でなければならない。」と二律背反を慎重に見極める。
在カイロ・タイ大使館は、「エジプト在住のタイ人のうち38人が武漢コロナウィルスに感染していることが確認された。」と発表。
カイロを出発したエジプトからタイへの帰国用特別機では、搭乗予定者220人とウェイティングリストの10人の検査で19人が不合格。特別機には211人が搭乗。09日にクルングテープに到着。
06月09日(火)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者を新たに2人確認した。」と発表。これにより累計感染者数は3121人、累計死者数58人、2973人が退院。
感染者は全て海外からの帰国者で、サウジアラビアから戻った♂学生(22)とオランダからの帰国者(31)の2人。タイ政府による検疫隔離中だった。
タイ国内での感染は過去15日間確認されていない。
新規感染者の減少を理由に発令された非常事態宣言について国民の間から早期解除求める声が出ていることに対し、プラユット首相は、「実効性のある感染拡大対策を速やかに講ずるために必要な法的措置である。」と指摘し、「現時点では感染拡大が完全に収束したとは言えず宣言を解除することはできない。」との見解を示した。
プラユット首相は、「(宣言を解除しないのは)政治的理由によるものではない。」と述べ、「宣言の下で強大な権限が政府に付与されているため、政府は宣言をなかなか解除しようとしない。」とする批判見方を否定。
連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党で近日中に党首・幹事長および執行役員の入れ替えがある見通し。これを受け「内閣を改造すべき。」との声がパラン・プラチャーラット党の一部派閥から出ているが、プラユット首相は、「党内のリーダーシップに関する変化は政府とは無関係。内閣改造は首相の専権事項だが当座の改造はない。(閣僚に選ばれるための)売り込みはやめてほしい。」と明言。
「パラン・プラチャーラット党新党首にはプラウィット副首相が選ばれる。」との見方が有力だが、プラユット首相は「党が彼を党首に選ぶことは党内部の話であり、反対するつもりはない。」との考えを示した。
06月10日(水)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が4人確認された。」と発表。
2人はインド、1人はマダガスカル、1人はパキスタンからの帰国者で、タイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3125人、累計死者数58人、2981人が退院。
タイ国内での感染は過去16日間確認されていない。
タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は近く、タイでの事業再開や投資拡大を望んでいる外国人投資家が容易にタイに入国できる措置を講ずるよう政府に求める提言をプラユット首相に提出する予定。プラユット首相は、入国制限などの武漢肺炎対策に関する決定権を有する武漢肺炎対策本部の最高責任者。
タイ商工会議所のカリン会頭は、「外国人投資家は早くタイでビジネスを再開し、投資を拡大したいと願っている。JSCCIBが打ち出す提言は政府の新型コロナ対策のガイドラインに沿ったものとなろう。」
タイの公共放送局タイPBSなどによると、「カンボジアに亡命していたタイ人男性で民主活動家のワンチャルーム(37)が04日午後06時頃、プノンペン市内の自宅アパート前で武装した複数の男に車に押し込まれ連れ去られ、行方不明になった。」
ワンチャルームはタイのタクシン派団体UDD(通称、赤服)のメンバーで、2014年、タクシン派インラック政権が軍事クーデターで倒れた直後にカンボジアに亡命。亡命後もインターネットの交流サイト(SNS)を通じタイの軍事政権を批判し、ら致される前日もSNSでタイのプラユット首相(元陸軍司令官)を批判。
米国を拠点とする人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、2014年以降、カンボジア、ラオ、ヴェトナムといったタイの近隣国に亡命したタイ人の民主活動家のうち少なくとも8人が何者かに拉致され行方不明。
06月11日(木)武漢肺炎対策本部は、「過去24時間における武漢コロナウィルスの感染確認が0人で、感染者の新たな死亡もなかった。」と発表。
タイでの感染報告は過去17日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。新規感染者0は過去1ヶ月で初めて。また、現時点での重症感染者は1人。
連立政権の一角をなすプラチャーティパット(民主)党については最近、「複数の幹部が党首交代を求めて一斉に辞任する構えを見せている。」などと報じられているが、チュリン同党党首(副首相兼商務相)はこのほど、「『党内で権力闘争が起きている。』との情報は根も葉もない噂に過ぎず、党内に亀裂は存在しない。」と強調。
一部報道によれば、「連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党で先に執行役員が一斉に辞任したことで党首が交代するとの見方が有力だが、民主党でも党首の交代求める動きが活発している。」だが、チュリン党首によれば、「党内で抗争などが起きておらず、現実は報道とは異なる。」
06月12日(金)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの感染者が4人確認された。」と発表。
新規感染者は♀2人(39、44)と♂2人(37、53)の計4人で、全員がインドからの帰国者で、タイ政府による検疫隔離中だった。
累計感染者数は3129人、新たな死亡例は報告されず累計死者数58人、2987人が退院。
タイ国内での感染は過去18日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、「夜間外出禁止令を今月15日から解除する。ただし、陸海空路でのタイ入国禁止措置は継続させる。」と発表。
夜間外出禁止令は、武漢コロナウィの感染拡大を避けるため、先月03日から発動。その後武漢コロナウィルス感染者数の減少に伴い、外出禁止時間を短縮しており、現在は午後11時から午前03時まで外出禁止となっている。 この他武漢肺炎規制緩和第4弾を正式に発表。 教育施設・公的施設の利⽤制限緩和。
インターナショナルスクールおよび学習塾の授業のための施設利用を許可。
全校生徒・学生が120人を超えない学校での授業を許可。
官公庁・政府機関施設をカリキュラムに従った研修・セミナーのため利用することを許可。
規制が緩和される施設・事業【経済・⽣活分野】。
①ホテル・劇場・会議室・会議場・見本市会場・映画館およびこられに類する施設で、会議・研修・セミナー・見本市・展示会・演奏会・演劇・舞踏・コンサート・イベントを開催することを許可。
会議・研修・セミナーは参加者11人当たり4㎡以上の床面積を確保。
パーティー・イベント・商品紹介・コンペティション・競技は座席・立ち席ともに1 ㍍以上離す。
演奏会・コンサートは混雑を避け入場者1人当たり5㎡以上の床面積を確保。
②レストラン、フードコート、ショッピングセンター、ホテル、飲食店および合法的な許可を得た施設でのアルコール飲料提供を許可。
パブ・バー・カラオケ・ビアホールは営業停止を継続。
ビアガールなどによる販促は禁止。
③児童・幼児開発施設、保育所、託児所、障がい者教育施設、高齢者ケア施設での活動制限緩和。
児童・幼児はグループ分けの上、1人当たり2㎡以上の床面積を確保。
高齢者にはインフルエンザのワクチン接種を義務付け。また、健康状態を常時チェック。
④プラネタリウムなど科学学習センターおよびエリア。
グループ分けの上、グループ毎に交代制で入場。
⑤映画・テレビ番組・ビデオ作品のロケおよびスタジオ撮影。
1チーム150人以下、観客50人以下とする。
規制が緩和される施設・事業(スポーツ・健康・レクリエーション分野)。
①健康センター・スパ・古式マッサージ店でのサウナ・薬草サウナサービス提供。
個室を利用(複数の人が同じ部屋でサービスを受ける場合は1人当たり5平方㍍以上の面積を確保する)。
特殊浴場(マッサージパーラー)の営業は不可。
②公園、イベントエリア、屋外スポーツエリアで行うグループでの運動を許可。
1人当たり5平方㍍の面積を確保、グループの人数上限は50人。
③遊園地、子ども用プレイグラウンド、ウォーターパーク、公共プールの営業許可。
一時的に設置された遊具、ボールハウスなど身体接触の機会の多い遊具は使用不可。
ウォーターパーク・公共プールは入園者1 人当たり8 平方㍍以上の面積を確保。
④運動場、スポーツ施設、スポーツ教室での試合およびテレビ生中継を許可。観客席の設置は不可。試合実施に当たっては当局の規則に従うこと。
⑤デパート・ショッピングセンター・コミュニティーモール内のゲーム機の利用許可。
この他、公共輸送機関(路線バス、長距離バス、鉄道、航空機)の運行・運航制限も緩和される。2日前に発表された草案では 乗客は定員の70%以下とされていたが、航空機についてのみ100%の乗客受入れが許されることになった。現在運航が許可されるのが国内線のみであり、その場合、乗機時間は最大2時間にすぎないというのがその理由。ただ、マスクの常時着用が必要。
06月13日(土)武漢肺炎対策本部は、「新たに5人の感染が確認され累計感染者数が3134人に増えた。」と発表。新たな死亡例はなかった。新規感染者5人は全員がサウジアラビアからの帰国者。
タイ南部プーケット島のプーケット空港が、2ヶ月ぶりに旅客機の運航を再開。再開後最初の便はバンコク発のタイ・ベトジェットVZ306便で乗客は19人。復路のVZ307便は乗客37人。
 プーケット空港は武漢肺炎対策の一環として、04月10日から、貨物機、軍用機、緊急着陸などを除き、閉鎖されていた。
武漢肺炎対策として導入された夜間外出禁止が15日から解除されることを受け、クルングテープ首都圏の都市鉄道と路線バスは同日から営業時間を通常に戻す。
営業時間は都市鉄道グリーンライン(BTS)スクムビット線が午前05時15分~午前00時、シーロム線が午前05時半~午前00時、ブルーラインが午前06時~午前00時、パープルラインが午前05時半~午前00時、エアポートレイルリンクが午前05時半~午前00時。
06月14日(日)武漢肺炎対策本部は、「新たに1人の感染が確認されて累計感染者数が3135人に増え 累計58人が死亡、2987人が退院した。」と発表。新規感染者は米国からの帰国者1人のみ。新たな死亡例も報告されていない。国内での感染は20日間確認されていない。
ウィサヌ副首相は、「地方公共団体では武漢コロナウィルス対策に予算が使われていることから、地方選挙は予算不足でさらに遅れ見通し。」と述べた。
地方選挙は2014年05月の軍事クーデター後、一度も行われていないが、政府は今年初めにクルングテープ都知事選など地方選挙を行うことを発表しており、その準備が進められていた。
ウィサヌ副首相によれば、「地方選挙は選挙管理委員会が予算の調整を行い、内務省が実施可能か否かを判断した後、閣議で投票日が決定されることになる。」
政府報道官は、「入国後2週間の隔離措置を行うことなく1日当たり外国人1000人の入国を許可する案が17日、武漢肺炎対策本部に提出される予定。」と明らかに。
この入国規制緩和はタイが武漢コロナウィルス対策を評価する日本やオーストラリアなど特定の国に対して行われるもので、当座はビジネス目的と治療目的の入国のみ認められる見通し。
この入国制限緩和で武漢肺炎感染拡大がみられなければ、観光客の入国も許可される見通し。
06月15日(月)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスに感染が確認された人はいなかった。」と発表。
これによりタイ国内での累計感染者数は前日から変わらず3135人、累計死者数も前日から変わらず58人、2987人が退院。
タイでの感染報告は過去3週間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
カンボジアに亡命していた民主活動家のタイ人♂ワンチャルーム(37)がプノンペン市内で拉致され行方不明になった事件で、プラユット首相は、「自分は残忍な人間ではなく同じタイ人を殺させるようなことはない。」と述べ、関与を否定。
また、タイ国王と王妃、王位継承者、摂政に対する批判を禁じた不敬罪による訴追が過去2、3年行われていないのはワチラロンコーン国王の指示によるものと述べ、「国王の寛大さに付け込み一部の学生などが王室批判を強めている。」と、不満を示した。こうした学生は企業に敬遠され就職が難しくなる。」とも警告。
米国を拠点とする人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、2014年以降、カンボジア、ラオ、ヴェトナムといったタイの近隣国に亡命したタイ人の民主活動家のうち少なくとも8人が何者かに拉致され行方不明になった。行方不明になった活動家のほとんどは不敬罪もしくはコンピュータ関連犯罪法で捜査対象になるか指名手配されていたと見られる。
プラユット政権は2014年の発足後、不敬罪による取り締まりを強化し、民主政権下で問題とされなかった事例も遡って摘発。軍法会議による短期間の裁判で数ヶ月から数十年に及ぶ禁錮刑を次々に下し、国連や欧米諸国から強い批判を浴びた。過去2、3年は批判を交わすために不敬罪の使用を避け、ほぼ同様の用途で用いられるコンピュータ関連犯罪法による訴追が主流となっている。
武漢コロナウィルス対策に予算が使われて地方選挙は費用を確保できずに実施がさらに遅れる見通しというが、プラユット首相はこのほど、「年内に地方選挙が実施される。」との見方。だが、どの選挙がいつ実施されるなどには言及しなかった。また、選挙費用を用意できない問題についてプラユット首相は、「私がなんとかする。」と述べた。
アヌポン内相は、「地方選挙を実施するにはまだ問題が山積している。」
経営破綻したタイ国際航空のシニアバイスプレジデント(SVP)クラスの月給が65万~70万B、通勤手当(ガソリン手当)が月7万5000Bだと、タイの連立パートナー、プラチャーティパット(民主)党のサマート副党首が15日、自身のフェイスブックに投稿。
インターネットユーザーからは「これでは潰れないほうがおかしい。」、「これだけ貰っておいて倒産か。」など経営への批判が殺到。
タイ国際航空は2012~2019年に累計約660億Bの赤字を出し、2019年末の負債総額は約2450億Bに上る。経営危機の中、武漢コロナウィルス感染症でほぼ全面運休に追い込まれ、今年05月下旬にタイ中央破産裁判所に会社更生手続きを申請、受理された。これを受け、航空券の払い戻しを含む債務返済を停止。
06月16日(火)武漢肺炎対策本部は、「国内で新たに武漢コロナウィルスの新規感染報告がなかった。」と発表。
これによりタイ国内での累計感染者数は前日から変わらず3135人、累計死者数も前日から変わらず58人、2993人が退院。
タイでの感染報告は過去22日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
タイ民間航空機構(CAAT)のチュラー機構長は、商業フライトのタイ乗り入れが07月01日に解禁される予定であるものの、状況によっては引き続き乗り入れ禁止となる可能性があり、また、ビジネス目的での外国人のタイ入国がまず認められる見通しと明らかに。
チュラー機構長によれば、「商業フライトのタイ乗り入れ禁止を解除するには、国内外の感染状況などに基づいて保健省といった関係当局がまずゴーサインを出すことが必要。また、乗り入れが解禁されても、すべての外国人の入国が許可されるわけではなく、商売や投資を予定している人々の入国が優先される見通し。」
06月17日(水)武漢肺炎対策本部は、「新たな武漢コロナウィルス感染者はいなかった。」と発表。
これによりタイ国内での累計感染者数は前日から変わらず3135人、累計死者数も前日から変わらず58人、2996人が退院。
タイでの感染報告は過去23日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。これで新規感染者0が3日連続。
日本政府観光局(JNTO)によると、2020年04月の訪日タイ人数(推計値)は前年の10万7857人から大幅に減少し10人未満となった。訪日外客数全体では前年同月比99.9%減の1700人。
武漢コロナウィルスの影響で、移動制限がかかっていることが理由。全ての国でほぼ100%減少。
これにより同年01〜05月における訪日タイ人は、前年同期比65.3%減の21万5340人となった。訪日外客数全体では同71.3%減の394万4400人。
ドーン外相は、「タイはASEAN(東南アジア諸国連合)の一員として武漢肺炎問題の解決においてロシアと協力してゆくことになった。」と明らかに。この分野では協力は同日行われたロシアとASEAN加盟国の外相によるテレビ会議で合意されたもの。
この他、ドーン外相によれば、「このテレビ会議で隣国マレーシアの外相と話し合い、武漢肺炎で影響を受けているタイ・マレーシア両国民への支援提供において2国間協力をさらに強化すること意見が一致した。」
06月18日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルスの感染者が新たに6人確認された。」と発表。
新規感染者は5人がサウジアラビアから戻った♂学生(23-26)で、残り1人がインドから戻った♀学生(26)。6人全員がタイ政府による検疫隔離中だった。
過去2週間に帰国時の検疫隔離中に武漢コロナウィルスの感染が確認されたのはサウジアラビアからが11人、アラブ首長国連邦からが9人、インドからが8人。タイ国内での感染は過去24日間確認されていない。
累計感染者数は3141人。累計死者数は前日から変わらず58人、2997人が退院。
有効な武漢コロナウィルス対策を講ずるために発令された非常事態宣言は今のところ06月末に解除される予定であるが、ポンピパット国軍最高司令官は、「予定通りの宣言解除に反対しない。」と述べた。
非常事態宣言については、「早期解除」を求める意見が根強い一方で、政府側からは「継続」を示唆する声が出ている。武漢肺炎対策本部において治安担当の任にあるポンピパット司令官によれば、「宣言が解除され政治的活動が活発化しても既存の法律や通常の治安システムで対応できる筈。」
06月19日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに5人確認された。」と発表。
5人は12日にサウジアラビアから帰国した23~26歳のタイ人♂で、タイ政府による検疫隔離中だった。いずれも症状はない。
累計感染者数は3146人、累計死者数は前日から変わらず58人、3008人が退院。
在タイ日本大使館によると、20日午後05時頃から、クルングテープ芸術文化センター(Bangkok Art and Culture Centre)前のスカイウォークで反政府集会が行われる予定。現場は高架鉄道BTSナショナルスタジアム駅前。 在タイ日本大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
06月20日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。
新たな感染者は14日にバーレーンから帰国したタイ人♀(28)タイ政府による検疫隔離中で、無症状。
累計感染者数が3147人。また、国内での感染確認0が連続26日。
06月21日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに3人確認した。」と発表。
新たな感染者は15日に南アフリカから帰国したタイ人男児(6)。政府による検疫隔離中で、無症状。
累計感染者数が3148人、累計死者数は前日から変わらず58人、3018人が退院。
タイ国内での感染は過去27日間確認されていない。
一方、英BBC放送によると、03月01日~05月31日のタイの死者数は平年の死者数をもとにした予想死者数を02%、約2400人上回った。死者数は03月に予想死者数を上回り、04、05月には予想死者数並み。
武漢肺炎対策本部の経済活動制限緩和検討委員会で副委員長を務めるナタポン陸軍副司令官は、飲食店経営者などとの会議において、「制限緩和第5弾として7月に酒場やカラオケ店などの営業再開が許可される見通し。」と説明。
今月26日に開かれる武漢肺炎対策本部本会議で承認を得た後、制限緩和第5弾は発表されることになる。
「連立政権を率いるパラン・プラチャーラット(国民国家の力)党で近く党首を含む首脳陣が入れ替わる見通しで、これに伴い内閣が改造される。」との見方が出ている。このため、弱小7与党では、タイシーウィライ(タイ文明)党のモンコンキット党首を7党の代表とすることを決め、「モンコンキット党首に閣僚ポストを付与してほしい。」と訴えた。
この件については、弱小11党で協議したが、うち7党がモンコンキットを閣僚に推すことに同意。
なお、内閣改造は首相の専権事項だが、プラユット首相は今のところ、「政権党の内部問題と政府は無関係。」と述べており、改造に肯定的姿勢は示していない。
汚職で服役したスポット元運輸事務次官(67)が受刑者の更生事業を検討する法務省委員会の顧問に任命され、物議を醸している。
ソムサック法相(65)は17日、スポットの任用について、「行政能力と服役の経験を活用でき、受刑者の社会復帰という委員会の目的にふさわしい。」と主張。これに対し汚職監視団体は21日、「腐敗した人物を公職に起用する不適切な人選だ。」と、任命者のソムサック法相を強く批判。
スポットは運輸次官だった2011年、クルングテープ都内の自宅に強盗が押し入り、捜査の過程で、不動産や銀行預金など約6500万Bの資産があることが判明。このうち現金1755万Bと300万B相当の自動車を資産報告書に記載していなかったことから、「虚偽の資産報告を行った。」として汚職取締法違反で起訴され、2018年に実刑が確定、10ヶ月服役。虚偽の資産報告とは別に、収賄容疑の捜査も続いている。
ソムサック法相はスコータイ県を中心にタイ北部の政財界に強い影響力を持つベテラン政治家。スチンダ軍事政権(1992年)とチャワリット政権(1997年)で保健相、タクシン政権(2001~2006年)で工業相、労相、農相、副首相などを歴任。
06月22日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに3人確認した。」と発表。
今回確認された感染者は15日にインドから帰国したタイ人♀(34、21、11)で、全員がタイ政府による検疫隔離中だった。いずれも無症状。
累計感染者数は3151人、累計死者数は前日から変わらず58人、3022人が退院。
タイ国内での感染は過去4週間確認されていない。
連立政権を率いるパラン・プラチャーラット党(PPRP)の幹部であるウィラット議員は、「プラウィット副首相がパラン・プラチャーラット党党首に就任することに同意した。」と明らかに。
これまではウッタマ財務相が党首を務めてきたが、先に執行役員が大挙して辞表を提出したことから近く執行役員と党首の入れ替えが行われる予定であり、現政権のナンバー2であるプラウィット副党首が党首の最有力候補として名前が挙がっていた。
関係筋によれば、パラン・プラチャーラット党内では派閥争いが続いているが、プラウィット副首相が党首に就任することで党内抗争に終止符が打たれる見通し。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当がこのほど、タイ政府はまず7タイプの外国人の入国を許可する方針であることを明らかに。
具体的には、実業家・投資家約人、熟練労働者と輸出業者約2万2000人、タイ人と結婚した外国人と永住権を有する外国人約2000人、療養・保養目的の外国人約3万人のほか、短期滞在の実業家・投資家、支那・日本・南鮮などからの観光客、政府や政府機関の来賓のタイ入国が認められる見通し。
06月23日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに5人確認した。」と発表。
今回確認された感染者は全て海外からの帰国者で、今月16日にカタールから戻った♀(31)と♂マッサージ師(22)とクレーン運転士♂(52)の計5人。09日にエジプトから戻った♂(31)と♀(22)、カタールから戻った女性(31)で、タイ政府による検疫隔離中、いずれも無症状。
累計感染者数はは3156人、累計死者数は前日から変わらず58人、3023人が退院。
タイ国内での感染は過去29日間確認されていない。
在タイ日本大使館によると、タイの「立憲革命記念日」にあたる24日、バンコク都内の3カ所で反政府集会が行われる予定。
場所と時間は、民主記念塔前(ラチャダムヌン通)、午後05時頃から、国会議事堂前(サムセン通)、午前10時半頃から11時45分頃、クルングテープ芸術文化センター前スカイウォーク(BTSナショナルスタジアム駅前)、午後06時頃から。
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
06月24日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。
感染者はフィリピンから17日に帰国したレストラン従業員 ♂。タイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数は3157人、累計死者数は前日から変わらず58人、3026人が退院。
国内感染は過去30日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部のタウィシン広報担当は、外国人の入国許可に関する政府の方針を説明。それによると、商用の外国人、特殊技能を有す外国人、専門家、家族にタイ人がいたり、タイに家があったりする外国人、教師や学生の外国人、病気治療目的の外国人の入国が許可される予定で、そのほとんどがタイ到着後14日間隔離されることなる。この入国制限の緩和は、武漢肺炎対策本部の小委員会が策定したもの。
メディカルツーリズム約3万人、タイで就労する高度人材約1万5400人などの入国を14日間の検疫隔離などを条件に認める。
パブ、バー、カラオケ店、ゲームセンター、マッサージパーラーなどの営業禁止が07月01日から解除される見通しだ。タイ政府の武漢肺炎対策本部報道官が明らかに。29日に正式決定。
営業再開後は、人と人の距離を取る、武漢コロナウィルス追跡アプリの導入など感染防止のための規則順守を義務付ける。
連立政権の中核のパラン・プラチャーラット党で近く党首と執行役員が入れ替わる予定。これに伴い経済閣僚の交代に重点を置いた内閣改造を望む声が一部で出ているとされるが、ソムキット副首相(経済担当)は、「現在の経済閣僚チームは、やるべきことができていないのであれば、居座るべきではない。」と述べ、「新しい経済閣僚チームが何をしていいのかわからなかったり、何もできなかったりするのであれば、こんなチームはいらない。」と指摘し、「経済を無視した経済閣僚の交代に意味はない。」との考えを示した。
ソムキット副首相によれば、「今重要なことは、武漢肺炎問題で打撃を受けたタイ経済を速やかに回復させるための準備を整えることであり、誰がどの閣僚ポストに就くかなどを詮索するのは重要ではない。」
06月25日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。
感染者はエジプトから帰国したタイ人♂(20)。09日に帰国し、タイ政府による検疫隔離中の23日に感染が確認された。
累計感染者数は3158人、累計死者数は前日から変わらず58人、3038人が退院。
国内感染は過去31日間確認されていない。
国家安全保障会議(NSC)のソムサック事務局長は、NSCとして06月末で解除予定の非常事態宣言の施行期間を07月末まで1ヶ月間延長するよう提言したことを明らかに。
タイでは毎日のように新規感染者が報告されているが、05月26日以降はその全員が帰国者で国内感染と見られる事例は1件も報告されていない。だが、ソムサック事務局長によれば、「間もなく学校で授業が再開され、経済活動の制限緩和も進むため、今後も感染が再び拡大する恐れがあり、06月末で宣言を解除するのは望ましくない。」
06月26日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに4人確認した。」と発表。
感染者は2人はスーダンから、2人はアラブ首長国連邦からの検疫隔離中の帰国者。
累計感染者数は3162人、累計死者数は前日から変わらず58人、3040人が退院。
国内感染は過去32日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部広報担当タウィーシンは、「国内において何日新規感染ゼロが続いても武漢コロナウィルスが存在しなくなったわけではない。このため、誰もが感染拡大の第2波を心配しているのであり、ガードを緩めてはいけない。」と警鐘。
軍事政権下の2007年07月にクルングテープ都内のプレム枢密院議長(2019年に死去)宅前で警官隊とデモ隊が衝突した事件で、タイ最高裁判所は、デモ隊を率いたタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の幹部5人にそれぞれ禁錮2年8ヶ月の実刑判決。5人はタクシン派インラック政権(2011~2014年)で副商務相を務めたナタウットらで、判決後、収監された。
タクシン政権(2001~2006年)は2006年9月の軍事クーデターで崩壊。タクシン派の一部はプレム議長がクーデターの黒幕として議長と対立。
06月27日(土)武漢肺炎対策本部は、「過去24時間における感染確認がなく、感染者の新たな死亡もなかった。」と発表。これで国内での感染確認0が連続33日となった。
プラユット・チャンオーチャー首相(元陸軍司令官、66)を支える政権与党パラン・プラチャーラット党は党大会で、党執行部役員の改選を行い、プラウィット・ウォンスワン副首相(元陸軍司令官、74)を党首に選出。
プラユット首相の陸軍時代の上官で、タイの一部メディアが「影の首相」とも呼ぶ実力者が党首となったことで、パラン・プラチャーラット党を中心とする連立政権は安定感を増す見通し。一方、プラユットとプラウィットのパワーバランスが微妙に崩れ、政権運営に影を落とす可能性もある。
先に執行役員が一斉に辞表を提出したことから、新たに党首や執行役員を選出することになった。プラウィット副党首は現政権のナンバー2と称される実力者であり、ほかに誰も党首候補に名乗りを上げなかったことからすんなり新党首に選ばれた。
今回の改選は、今月01日、執行部役員34人の過半数である18人が一斉に辞表を提出し、規定により執行部が解散したことを受け行われた。幹事長にはアヌチャー・ナカサイ下院議員(60)が、副党首にはナタポン・ティーパスワン教育相(54)、ソムサック・テープスティン法相(65)、スリヤ・チュンルンルアンキット工業相(65)、タマナット・プロムパオ副農相(54)ら23人が選出。タマナットはヘロイン密輸でオーストラリアで服役した過去がある。
前党首のウッタマ・サーワナーヨン財務相(59)、前幹事長のソンティラット・ソンティジラウォン・エネルギー相(60)、前副党首のスウィット・メーシンシー高等教育・科学・研究革新相(58)は役員に選出されなかった。ウッタマ、ソンティラット、スウィットは軍事政権時代からプラユット政権の経済政策を担当してきたソムキット・チャトゥシーピタック副首相(66)率いる閣僚チームのメンバー。いずれも学者出身で、政治経験に乏しく、党内基盤が弱い。現政権では非議員として入閣し、閣僚ポストを狙う党所属の下院議員から辞任圧力を受けていた。ウッタマ、ソンティラット、スウィットらは近く閣僚ポストも失う見通し。
パラン・プラチャーラット党はプラユット軍事政権(2014~2019年)下の2018年、軍政の傀儡政党として軍政色を消すため、幹部に軍高官の名前はなく、ウッタマ、ソンティラットらが幹部に就任。その後、スリヤ、ソムサックらタクシン政権(2001~2006年)で閣僚を務めたベテラン政治家、2014年にタクシン派インラック政権打倒のための大規模デモを主導したナタポンらのグループなどを取り込み、政党の形を整えた。2019年03月の議会下院(定数500)選挙では116議席を獲得し、軍と対立するタクシン派のプア・タイ党に次ぐ第2党となった。パラン・プラチャーラット党は首相指名選挙で、非議員のプラユットを擁立。議会下院の中小政党と、軍政が選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を得て指名選挙に勝利。プラユットの首相続投を勝ち取った。

* プラウィット・ウォンスワン
1945年生。陸軍士官学校17期卒。シリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団司令官(別名、ブラパーパヤック=東の虎)、陸軍第1管区司令官を経て、2004~2005年陸軍司令官。王党派、反タクシン派のアピシット政権(2008~2011年)で国防相。元部下のプラユット陸軍司令官(当時)による2014年05月のクーデター後、プラユット軍事政権の副首相兼国防相に就任。2019年のプラユット民政政権発足で副首相。プラユット首相、アヌポン内相(元陸軍司令官)らブラパーパヤック閥の領袖と見られている。
連立政権の中核であるパラン・プラチャーラット党は総会で新しい党首と執行役員を選出したが、ここで新たに幹事長に就任したアヌチャーはこのほど、「政府報道官を務めるナルモン♀がパラン・プラチャーラット党の経済チームを率いることになった。」と明らかに。
国立チュラロンコーン大学商学部を卒業したあと米国の大学で学位を取得したナルモンはタイ国立開発行政大学院大学(NIDA)で講師を務めている。また、「内閣が改造された場合、ナルモンに経済閣僚を率いる役割が与えられる。」とする見方も出ている。
06月28日(日)武漢肺炎対策本部によると、タイでの武漢コロナウィルスの感染は27、28日の2日間報告がなかった。
累計感染者数は3162人、、累計死者数は58人、3053人が退院。
タイ国内での新規感染者0が連続2日、感染は過去34日間確認されていない。
国際航空運送協会(IATA)のアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長はこのほど、タイが武漢コロナウィルスの感染拡大防止のため入国者を一定期間隔離する措置を講じていることについて、「廃止すべきだ。」、「この措置を続けることはタイを孤立させ、旅行・観光業を身動きできない状態に置くことになる。」と関係当局に再考を要請。」
同事務局長によれば、最近の世論調査では、「『入国者を隔離する国には行かない。』との意見が83%に及んだ。」
カナダのモントリオールに本部を置くIATAは世界の航空会社の80%以上が加盟する、航空運送業における最大の業界団体。
06月29日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに7人確認した。」と発表。
新規感染者は、検疫隔離中の帰国者で、インドから戻った♂3人(42、45、61)と♀3人(28、31、36)、米国からの帰国者1人の計7人。
累計感染者数は3169人、累計死者数は前日から変わらず58人、3053人が退院。
国内感染は過去35日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部(CCSA)の定例会議が開催され、武漢コロナウィルス感染症対策で強権的な措置を可能とする非常事態宣言の期限を07月末に1ヶ月間延長。宣言はこれまでの方針では06月30日までとなっていた。
プラユット首相を議長とする同会議では、07月01日からの授業再開と第5段階の制限緩和による感染第2波を回避するためにも宣言延長が必要との点で意見が一致。
タイ政府は03月26日に非常事態宣言を発令し、夜間外出禁止、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会の禁止、入国規制といった措置を導入。こうした措置の多くはすでに解除されたが、感染第2波の懸念があり、非常事態宣言の延長が必要と判断。
ただし来月01日から国公立の小中高大学など教育機関をはじめ、パブ、バー、カラオケ、ゲームセンター、マッサージパーラーなどの営業再開を認める第5段目の規制緩和。
営業再開後は、人と人の距離を取る、武漢コロナウィルス追跡アプリの導入など感染防止のための規則順守を義務付ける。
07月01日に新学期が始まる。新学期の開始は05月16日の予定だったが、武漢コロナウィルス感染症対策で延期。
タイ政府は外交官、労働許可証所持者などに限定していた外国人の入国を07月01日から段階的に緩和し、「6種の外国人について制限を緩和してタイ入国を認める。」とした外務省案を承認。
最初に受け入れるのは、これらは、労働許可証保有者およびその配偶者や子供、タイ人と結婚した者や親の一方がタイ人の者、タイでの居住許可を得ている者、医療目的の者と付添人、学生と保護者、ビジネス目的の者や特殊技能を有する者(1日200人)、運送業者など。
また、政府間の取り決めに従い日本、南鮮、シンガポール、支那、香港からの短期間の渡航者については、政府が用意したホテルに自費で滞在する自己隔離が求められる見通し。
06月30日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに2人確認した。」と発表。
16日にカタールから帰国したタイ人♂(28、27)で、2人とも検疫隔離中で無症状。
累計感染者数は3171人、累計死者数は前日から変わらず58人、3056人が退院。
国内感染は過去36日間確認されていない。
タイ政府は、閣議で、「非常事態宣言を来月末まで1ヶ月間延長することが決まった。」と発表。 また来月01日から国公立の小中高大学など教育機関をはじめ、パブ、バー、カラオケ、風俗施設などの営業再開を認める第5段目の規制緩和案も承認。
タイでは最近、主に中東からの帰国者から武漢コロナウィルス感染が確認されているが、市中感染者は1ヶ月以上確認されていない。そのため段階的に規制緩和が進められている。
タイ政府は国際線旅客機のタイ国内の空港での離着陸を07月01日から条件付きで再開。
離着陸を認めるのは、タイ国籍者、外交官、外国人の労働許可証所持者とその家族、政府間の取り決めで入国を許可された渡航者、タイでの医療目的の渡航者などが搭乗した旅客機。搭乗者はタイ入国の際に検疫隔離などの手続きに従う。
タイ政府は武漢肺炎対策の一環として、国際線旅客機のタイ国内の空港への着陸を4月4日から禁止していた。貨物機、軍用機、帰国のための特別機、緊急着陸などは禁止措置の対象外。
タイ政府は、「今年04月のソンクラーン(タイ正月)連休の移動日について今月27日月曜日を臨時の公休日にすることを閣議で決定した。」と発表。
ワチラロンコーン国王の誕生日が28日火曜日にあることから、公的機関は今月25日土曜日から4連休。ソンクラーン連休はあと2日分残っており、今後の武漢コロナウィルスの感染状況次第で決めていく。
武漢コロナウィルスが拡で延期されたソンクラーン(タイ正月)の祝日(04月13、14、15日)の振り替えで、残る2日分は後日、日付を決めて休日とする。
タイ政府は閣議で、武漢コロナウィルスの感染拡大で深刻な打撃を受けた国内観光を促進する措置に総額224億Bを注入することを決定。この措置は07月01日から10月31日まで実施され、タイ国内旅行での交通費や宿泊費の一部を補助する。
「政権党パラン・プラチャーラット党(PPRP)の首脳部入れ替えに伴い内閣改造が行われる。」との見方が強まっているが、プラユット首相は、「経済閣僚の仕事ぶりを評価している。」と述べ、改造で主要経済閣僚が入れ替わるとの憶測に否定的見解。
パラン・プラチャーラット党の首脳部入れ替えでは、それまで党首を務めていたウッタマ財務相に代わり、プラウィット副首相が新党首に選ばれており、「改造があれば、ウッタマなどパラン・プラチャーラット党所属の経済閣僚が留任することはない。」との憶測が流れている。しかし、プラユット首相は、「現在ソムキット副首相が牽引役を務める経済閣僚チームとの間に問題は存在しない。」と明言。
07月01日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに2人確認した。」と発表。
今回確認された感染者2人は、06月29日にクウェートから帰国したタイ人♂(48、47)で、咳、熱などの症状がある。
累計感染者数は3173人、累計死者数は前日から変わらず58人、3059人が退院。
国内感染は過去37日間確認されていない。
有効な武漢コロナウィルス対策を実施するために発出された非常事態宣言が07月31日まで1ヶ月延長されたことに批判が出ているが、ウィサヌ副首相は、「様々な政府機関の担当者を統括して感染対策の遂行に当たらせるためには非常事態宣言がまだ必要だ。感染症防止法では効率的な感染対策を行うことができない。」と説明。
ウィサヌ副首相は、「非常事態宣言が続くことで感染対策の制限措置が続くような印象を持つ人もいるが、実際にはすでにほとんどの制限措置が解除されている。」と指摘。「政府機関をまとめるための法的手段として継続しているにすぎない。」と強調。
07月02日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに6人確認した。」と発表。
今回確認された感染者6人は全て海外からの帰国者で、 インドネシアから帰国したタイ人♂4人(62、43、37、21)と、南アフリカから帰国したタイ人♂1人(30)、スーダンから帰国したタイ人♂1人(21)で、このうち5人は無症状。
累計感染者数は3179人、累計死者数は前日から変わらず58人、3059人が退院。
国内感染は過去38日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部は、「今月04日から07日にかけての4連休で大勢の人々がタイ国内を移動すると予想され、これに伴い武漢コロナウィルスの感染拡大が再燃する恐れがある。」と見方。
タイでは04日、05日、06日が仏教関連の休日で、07日が振替休日となるため政府機関などは4連休。
のタウィシン広報担当によれば、「連休で帰省した人が集まって飲み会をすることが予想されるが、このような行為が感染拡大につながる恐れがある。」
また、政府は04月のソンクラーン連休が武漢肺炎対策で延期となったことから、07月27日を代休とすることを決定。28日が国王誕生日の休日であることから政府機関などは25日から28日までの4連休。
07月03日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに1人確認した。」と発表。
感染者6人は06月28日に帰国し、検疫隔離中のバーレーンから帰国したタイ人♀(24)で、咳と下痢の症状があった。
累計感染者数は3180人、累計死者数は前日から変わらず58人、3066人が退院。
国内感染は過去39日間確認されていない。
07月04日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに5人確認した。」と発表。
新規感染者は、クウェート、英国、スーダンからの帰国者それぞれ1人、1人、3人の計5人。
累計感染者数が3185人。
07月05日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに5人確認した。」と発表。
新規感染者は日本、インド、米国から戻った3人とクウェートから戻った2人の計5人で、いずれも無症状。日本からの帰国者は38歳♂で、06月30日に帰国。
タイ国内での感染確認0は連続41日となった。
07月06日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者を新たに5人確認した。」と発表。
新たに感染が確認されたのは、クウェートから戻ったマッサージ師の♂4人と♀1人の計5人。タイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数は3195人、累計死者数は前日から変わらず58人、3072人が退院。
国内感染は過去42日間確認されていない。
07月07日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者は新たに確認されなかった。」と発表。
前日から変わらず、累計感染者数は3195人、累計死者数は58人、3072人が退院。
タイでの感染報告は過去43日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
07月08日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者は新たに2人確認された。」と発表。
新たに感染が確認されたのは検疫隔離中の、06月23日にインドから帰国したタイ人♂(31)と06月24日にインドネシアから帰国したタイ人♂(39)で、2人とも無症状。
累計感染者数は3197人、累計死者数は前日から変わらず58人、3074人が退院。
国内感染は過去44日間確認されていない。
07月09日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者新たに5人確認した。」と発表。
新たに感染が確認されたのは検疫隔離中の、07月02日にアラブ首長国連邦から帰国した♂♀4人(54、42、40、38)と08日にエジプトから帰国した♂学生(22)で、アラブ首長国連邦から帰国した4人は全員無症状、エジプトから帰国した♂は味覚・嗅覚障害がある。
累計感染者数は3202人、累計死者数は前日から変わらず58人、3085人が退院。
国内感染は過去45日間確認されていない。
経済閣僚3人が政権党パラン・プラチャーラット党から離党したが、経済界は、離党がすぐに経済政策の変化に繋がるとは考えていないようだ。
国内最大の経済団体であるタイ工業連盟(FTI)のスパン議長は、「3人は離党したが、閣僚であることに変わりはなく、内閣に変化はない。タイ経済を立て直すための政府の努力はこれまでと同じように続けられることになる。」との見方を示した。
また、今回の閣僚の離党で近い将来に内閣が改造される見通しとなっており、改造で経済閣僚が大幅に入れ替われる可能性もあるが、スパン議長は、改造について「FTIとしては、政財に精通した人が経済閣僚チームを率いることだけを望む。」
ウッタマ財務相、ソンティラット・エネルギー相、スウィット高等教育・科学・研究革新相、コープサック首相副秘書官長の4人が政権与党パラン・プラチャーラット党から離党。これで内閣が改造されることが確実となった。権力闘争に敗れ党を追われた形。
これを受け、プラユット首相は同日、「内閣改造が必要になったが、働きのよい閣僚は残留することになろう。」と述べた。一部では「9月改造との見方も出ている。」というが、プラユット首相は改造の時期には明言を避けた。
これを受け、パラン・プラチャーラット党の支持を受ける非国会議員のプラユット首相(元陸軍司令官)は、内閣改造に踏み切る考えを示した。
ウッタマら4人はプラユット軍事政権(2014~2019年)時代から経済政策を担当してきたソムキット副首相が率いるテクノクラートグループのメンバー。軍政の傀儡政党として2018年に設立されたパラン・プラチャーラット党は軍政色を薄めるため、結党当初から、民間人であるウッタマが党首、スウィットが副党首、ソンティラットが幹事長、コープサックが党報道官を務めてきた。
2019年の議会下院総選挙で同党を中心とする連立政権が発足し、ウッタマら3人は非議員として入閣。しかし、今年に入り、閣僚ポストを求める党派閥の突き上げが激しくなったほか、下院選が終わったことで、党の実権を握る勢力がウッタマらの影に隠れる必要性が薄れた。今年06月27日に行われた党執行部役員の改選では、3人はいずれも落選し、プラユット首相の陸軍時代の上官であるプラウィット副首相(元陸軍司令官)が党首に就任。
ウッタマ、ソンティラット、スウィットの3人は離党後の記者会見で、閣僚辞任を否定。プラユット首相は当初、「武漢コロナウィルス感染症対応の緊急時だ。」として内閣改造を急がない姿勢を見せていたが、4人の離党を受け、内閣改造に踏み切る考えを示した。
内閣改造では、パラン・プラチャーラット党の閣僚枠が有力派閥に割り振られる見通し。野党陣営から下院議員を引き込み勢力を拡大した連立与党第2党のプームチャイ・タイ党が閣僚ポストの割り当てを増やすよう要求しているほか、小規模政党の閣僚枠も変更が予想される。
プラユット首相兼国防相(元陸軍司令官)は、2021年度(2020年10月~2021年09月)予算案の国会通過後に内閣改造を行う考えを明らかに。内閣改造の時期は9、10月になると見られる。
ウッタマ財務相らが中核与党パラン・プラチャーラット党から離党したことでプラユット首相も内閣改造が必要との見解を示しているが、これまで経済閣僚チームを率いてきたソムキット副首相はこのほど、「改造は首相の専権事項である。」、「私は高齢であり、何年も前からやる気も失せており、ずっと前から心の準備ができている。」などと述べ、内閣改造でポストを与えられなくても、それを受け入れる用意のあることを示唆。
また、経済と政治について、ソムキット副首相は、「政治問題が経済に大きな影響を及ぼすため、経済を安定させるには政治で波風を立てないことが肝要。」と強調。
07月10日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルスの新規感染報告がなかった。」と発表。
前日から変わらず、累計感染者数は3202人、累計死者数は58人。3087人が退院。
タイでの感染報告は過去46日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
07月11日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに14人確認された。」と発表。
新規感染者は、バーレーンと米国から戻った1人ずつとスーダンから戻った12人の計14人。
累計感染者数が3216人、累計死者数は前日から変わらず58人。
国内感染は過去47日間確認されていない。
07月12日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに帰国者1人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、06月30日に日本から戻った♂(39)で、無症状だったが検査によって07月10日に感染が判明。 06月30日に日本から帰国したタイ人の武漢コロナウィルス感染が確認されたのは2人目。
累計感染者数が3217人、累計死者数は前日から変わらず58人。3088人が退院。
タイでの感染報告は過去48日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
07月13日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに3人確認された。」と発表。
新規感染者は、クウェートから帰国したタイ人♂(48)とバーレーンから帰国したタイ人♀(22)、エジプトから渡航したエジプト人♂(43)3人はいずれもタイ政府による検疫隔離中で、タイ人♂とエジプト人♂は無症状、タイ人♀は発熱症状があった。
武漢肺炎対策本部は、エジプト人♂について、「14日間の強制隔離対象外だった人物で、中部ラヨーン県内のショッピングセンターなどを訪れていたことがわかった。」と発表。このエジプト人♂はエジプト軍関係者で軍に従軍していたことから、現在タイ政府が行っている14日間の強制隔離が免除されていた。そのため、入国後にタイ国内を自由に行動できたことから、今回のような問題となった。
武漢肺炎対策本部は、「現在この男性のタイ国内での足取りを追っており、08日に入国後、09日に日帰りで支那を訪問、11日にタイから出国後、12日に国外で行った検査で陽性反応が出た。」と明らかに。全てウタパオ空港を利用し、ラヨーン県内のホテルに滞在していた。
このエジプト人♂と接触があったと思われる人は、武漢コロナウィルスに感染していないか医療機関で検査するよう呼びかけている。
累計感染者数が3220人、累計死者数は前日から変わらず58人。3090人が退院。
タイ国内での感染は過去49日間確認されていない。
在タイ日本大使館によると、14日午後05時頃から、クルングテープ都ラチャダムヌン通の民主記念塔で、反政府民主化グループが政治集会を予定。
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
外交官、外交使節に対する特別待遇でタイ入国時に通常の検疫隔離措置を受けなかったエジプト人♂(43)とスーダン人♀児(9)が武漢コロナウィルスに感染していたことが明らかに。
武漢肺炎対策本部の対策措置検討委員会ナッタポン陸軍副司令官は、昨日明らかになったエジプト人♂の軍関係者から感染が確認された件について、対応を謝罪し、今後このような事態にならないよう各国政府要人などの入国規制を厳格化する方針を示し、「外交官、政府間の取り決めで短期渡航するビジネスマンなどに対する検疫隔離措置の緩和を一時停止する。」と表明。
入国後14日間の強制隔離を逃れる形で、中部ラヨーン県内のデパートなどに買い物に行っていたことが判明し問題となっていた。エジプトの軍関係者で従軍していたことから、現在タイ政府が行っている14日間の強制隔離措置を厳格に実施していなかった。
特に軍関係者だったこともあり、市民からの批判が殺到。
エジプト人♂は計31人からなるエジプト軍使節団の一員。使節団は06日に軍用機でカイロを発ち、アラブ首長国連邦、パキスタンを経由し、08日にラヨーン県のウタパオ空港に到着、同県ラヨーン市のホテル、Dバリーディーバ・セントラル・ラヨーンに宿泊。09日に支那に向かい、10日05時40分、ウタパオ空港に帰着、同じホテルに宿泊。同日09時25分、ラヨーン市内のショッピングセンターを訪れ、翌11日、帰国の途についた。タイ当局は10日に一行の検体採取を行い、12日に男性の武漢コロナウィルス感染を確認。
スーダン人♀児は外交官の父親ら家族4人と10日にエジプト航空(MZ3277便)でタイに入国。空港で検体を採取したほか、同日、父親に連れられ、クルングテープの病院で別途検査を行った。一家は同日、クルングテープ都内スクンビット通ソイ26のマンション、コンドーワンⅩスクムビット2619階に滞在。翌11日、スーダン人♀児の感染が確認された。現時点で濃厚接触者は家族5人、運転手1人、大使館職員1人で合わせて7人。その他接触のあった可能性のある15人ほど。
2人が滞在したホテル、コンドミニアムは感染確認後、一部を閉鎖し消毒を行った。また、ラヨーン県は14日から、感染者が訪れたデパートを2日間休業、県内の全ての学校を数日間臨時休校。
タイ政府の14日の発表によると、タイ国内での感染は過去50日間確認されておらず、武漢コロナウィルスの抑え込みに成功したと見られる。
一方、国内感染0が常態化したことで、感染第2波を引き起こしかねない外国人旅行者の受け入れ再開はハードルが高くなった。タイはイン・バウンド観光がGDP(国内総生産)に占める割合が十数%に上り、雇用も大きい。経済の立て直しには外国人旅行者が欠かせないが、受け入れ再開への道のりは険しい。
東部ラヨーン県のウタパオ空港から入国したエジプト人軍人が武漢コロナウィルスに感染していたこと、同県内の商業施設などを訪れていたことが明らかになったことについて、同県の観光業者団体のトップ、チャユットはこのほど、「07月01日からの移動制限緩和で観光業が回復に向かいつつあるこの時期にこんなことが起きて観光客がラヨンを避けるのではないか心配。」と懸念を明らかに。
今回の出来事については、保健・治安当局の手抜かりを指摘する声もあるが、チャユットによれば、「関係当局が今後しっかり対応して人々に不安を与えないようにすることが重要。」
タイ政府は国内に滞在中の全ての外国人に対する滞在期限の自動延長措置を当初の予定通り7月末で打ち切る模様。
武漢コロナウィルス感染症で帰国やビザ延長手続きが困難になった外国人に対する救済措置として03月下旬に導入。タイ警察入国管理局は、「世界的に状況が改善した。」と判断し、期限を再度延長する可能性は低い。
「観光ビザで入国し滞在期限の自動延長措置で今まで滞在を続けた。」という日本人男性は13日にクルングテープ郊外の入国管理局窓口を訪れた際、「リタイアメントビザの申請か滞在期限の再延長が可能かどうか係員に聞いたが、「07月31日までに出国する以外に選択肢はない。」と言われた。「救済措置はあくまでオーバーステイにかかる罰金を免除するもので、タイ国内でのビザ書き換えや延長はできない。」と説明された。
07月14日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに帰国者7人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、エジプトから08日に帰国した20~32歳のタイ人♂6人と米国から09日に帰国したタイ人♀(66)。7人はいずれもタイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数が3227人、累計死者数は前日から変わらず58人。3091人が退院。
タイ国内での感染は過去50日間確認されていない。
タイ入国後に武漢コロナウィルス感染が確認されたスーダン人外交官の娘とエジプト人軍人の2人が自主隔離をせずに街中に出ていた問題で、プラユット首相はこのほど、関係当局に対し、外国の外交官とその家族や軍事使節団に付与されている特権を見直すよう指示した。感染拡大対策の抜け穴を塞ぐ事を目的としたもの。
プラユット首相は、「外国の外交官やその家族などが軍用機などでタイに入国した場合でも感染拡大防止措置には従わなければならない」と再確認。
武漢肺炎対策本部は本日の2020年7月14日の午前11時30分から緊急の会見を開き、この問題は在タイエジプト大使館が、検疫・隔離の規定に従わずにラヨーン県のホテルに直接連絡するなどして発生したものだと説明、エジプト大使館の対応を批判は午前11時30分から緊急の会見を開き、「この問題は在タイエジプト大使館が、検疫・隔離の規定に従わずにラヨーン県のホテルに直接連絡するなどして発生したものだ。」と説明、エジプト大使館の対応を批判。
エジプト大使館が、31人のエジプト軍関係者がタイを短期間に訪れた際に、タイ政府の指定する検疫・隔離施設に滞在させるのではなく、ラヨーン県のDヴァリホテルに直接連絡し、同ホテルに宿泊させたことで、検疫と隔離のプロセスが回避された事を批判。
タウィシン報道官によると、この31人のエジプト軍関係者07月08日午後07時にエジプトの軍用機EGY1245とEGY1216でタイのラヨーン県のウタパオ空港に着陸しタイに入国。その夜は同日の午後11時にラヨーンのDヴァリホテルへ到着、同ホテルに滞在。09日午前05時30分、この31人のエジプト軍関係者はウタパオ空港から支那成都に飛び、成都での活動を終えた後、同日夜11時30分にウタパオ空港に戻り、ラヨーンのDヴァリホテルには日付が変わった10日午前02時に戻った。ホテルで休んだ後、10日午前11時から、31人のエジプト軍関係者のうち27人はルムトンモールで午後02時56分まで滞在。残りの4人はタクシーに乗ってラヨーンのセントラルプラザのモールへ移動、午後02時から午後06時まで滞在。同日、その後に一行は感染検査を受け、翌日の11日午前11時30分にエジプトへの帰路に着いた。
タウィシン報道官は、一行は全員がマスクを持っていたものの、実際にマスクを着用していたのは監視カメラ映像によると3人だけだった。陽性者は、外ではマスクを着用していた。陽性者の行動履歴を調べた所、特に感染可能性が高いのはラヨーン空港のバンの運転手2人、そして滞在したラヨーンのDヴァリホテルの従業員の7人の合計9人。
また、タウィシン報道官はタイ・チャナアプリにより調査した所、同日の同時間帯にラヨーンのルムトンモールに滞在していた人は394人、セントラルプラザモールに滞在していた人は1,488人と判明しており、この人々には自宅で14日間の隔離を要請。今回の問題により、1000人単位の人が自宅隔離をし、さらに10校の学校が休校を余儀なくされていることを謝罪。
また、このような問題が再発しないようCCSAは対応を変える事を約し、エジプト空軍が今月この後に予定していた07月17日~20日、07月25日~29日のタイへの訪問予定をキャンセルした。
ソムキット副首相、ウッタマ財務相、ソンティラット、エネルギー相、スウィット高等教育・科学・研究革新相の4閣僚とコープサック首相副秘書官長が15日、辞表を提出。
これを受け、プラユット首相(元陸軍司令官)は近く内閣改造に踏み切る。内閣改造では、辞任した4閣僚の枠が与党第1党、パラン・プラチャーラット党の有力下院議員や外部の専門家などに割り当てられる見通し。また、野党陣営から下院議員を引き込み勢力を拡大した与党第2党のプームチャイ・タイ党が閣僚ポストの割り当てを増やすよう要求しており、この煽りで与党第3党のプラチャーティパット(民主)党の閣僚枠が減る可能性がある。
ソムキットが推進してきたタイの環太平洋経済連携協定(TPP)加盟は先行きが不透明となった。プームチャイ・タイ党、民主党は加盟に反対の立場で、ソムキットの失脚により、加盟に向けた推進力は失われた。
ソムキットはプラユット軍事政権(2014~2019年)時代から経済政策を担当。2019年の議会下院選挙後に発足した第2次プラユット政権でも、配下のウッタマら3人とともに非議員として入閣。
しかし今年に入り、パラン・プラチャーラット党の下院議員、主要派閥が閣僚ポストを求めて4人に辞任圧力をかけ、1998年の結党当初から党首を務めたウッタマ、幹事長だったソンティラットが06月の党大会で事実上解任。ウッタマ、ソンティラット、スウィット、コープサックの4人は今月09日、パラン・プラチャーラット党から離党た。

* ソムキット・チャトゥシーピタック
1953年、クルングテープの支那街ヤワラート生。米ノースウエスタン大学経営大学院で経営学博士号(マーケティング)取得。タイ開発研究所(TDRI)教授、消費財大手サハパタナピブン・グループ取締役などを経て、タクシン政権(2001~2006年)で副首相、財務相、商務相を歴任。タクシン政権を倒した2006年の軍事クーデター当日はタイのシントン王女に同行しパリにいた。話すタイ語には支那語訛りがある。
07月15日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに帰国者5人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、13日にシンガポールから帰国したタイ人♂2人(49、43)、02日にアラブ首長国連邦から帰国したタイ人♀(35)とタイ人♂(27)、11日に米国から帰国したタイ人♀(48)で、全員がタイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数が3232人、累計死者数は前日から変わらず58人。3092人が退院。
タイ国内での感染は過去51日間確認されていない。
タイ保健省は、「クルングテープ都内およびラヨーン県内で武漢コロナウィルスに感染していないか大規模な検査を行った結果、現時点で感染者は出ていない。」と発表。
この検査は、武漢コロナウィルス感染者2人が同地域で隔離施設外を移動したため、この2人と接触の恐れがあった人を対象に行った。感染が確認されたエジプト軍関係者と接触の恐れがあった1336人、スーダン人少女と接触の恐れがあった267人。15日に検査を行った1252人については、結果待ち。
東部ラヨーン県で商業施設などを訪れたエジプトの軍事使節団のメンバー1人が武漢コロナウィルスに感染していたことが判明して問題となっているが、保健省疾病対策局のスワンナチャイ局長は、「感染していたのは軍人1人だけで、マスクも着用し、食事もしていないので、他人を感染させた可能性はきわめて低い。」
一行が移動に使用した車の運転手など感染リスクの高い11人全員が検査を受け自主隔離をしており、これまでに3人の陰性が判明している。
経済閣僚チームを構成するウッタマ財務相、ソンティラット、エネルギー相、スウィット高等教育科学研究革新相、および同チームを率いてきたソムキット副首相が、辞任の手続。これで間もなく内閣改造が行われる見通しとなった。関係筋によれば、ソムキッ氏は同日、健康問題を理由に副首相辞任の意向をプラユット首相に伝えた。
なお、タイ銀行協会のプリーディー会長は過去に経済閣僚チームのリーダーを務めるというオファーを断ったことがあるが、先に政府関係者に同チームを率いる用意のあることを伝えた。
世界銀行のエコノミスト、アーヴィンド・ナイアールによれば、武漢コロナウィルス問題で打撃を受けたタイ経済が元の状態に回復するのに2年かかる可能性があるという。これは、タイのGDPに大きく貢献している貿易と国際観光が打撃を受けていることによるもので、タイはこの地域で最も経済的被害を受けた国の1つ。
ナイアールはまた、「タイは経済を活性化させるため東部経済回廊(EEC)といった大型インフラプロジェクトへの投資を継続するとともに失業者を減らすように努力する必要がある。このほか、公共投資のシステムを改めて透明性と合理性を高める必要もある。」
07月16日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者4人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、13日にアラブ首長国連邦から帰国したタイ人♂(33)とタイ人♀(25)、08日にエジプトから帰国したタイ人♂学生(27)、11日に米国から帰国したタイ人♀(51)で、米国から帰国した♀を除く3人は無症状。
累計感染者数が3236人、累計死者数は前日から変わらず58人。3095人が退院。
タイ国内での感染は過去52日間確認されていない。
武漢コロナウィルスに感染した外交使節団員のエジプト人♂(43)とスーダン人外交官の娘(9)が検疫隔離を経ずにタイの市中に出た問題で、タイ政府は接触した可能性がある1603人のPCR検査を実施し、「全員が陰性だった。」と発表。
エジプト人♂は今月08日と10日に東部ラヨン県ラヨーン市のホテルに宿泊し、10日、市内のショッピングセンターや飲食店を訪れた。ラヨーン県ではこれを受け、学校の臨時休校などの措置を取った。
スーダン人♀児は外交官の父親ら家族4人と10日にクルングテープに到着。空港で検体を採取したほか、同日、父親に連れられ、クルングテープの病院で別途検査を行い、翌11日、武漢コロナウィルス感染が確認された。一家は10日、クルングテープ都内のマンションに滞在。
07月17日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者3人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、スーダンから10日に帰国しタイ東部チョンブリ県で検疫隔離中のタイ人♀3人(28、23、22))。2人は無症状、1人は咳などの症状。先にスーダン大使の娘の感染が確認されたが、3人はこの娘と同じフライトで帰国。
累計感染者数が3239人、累計死者数は前日から変わらず58人。3096人が退院。
タイ国内での感染は過去53日間確認されていない。
在タイ日本大使館によると、18日午後05時頃から、クルングテープ都ラチャダムヌン通の民主記念塔で、反政府学生グループが政治集会を予定。
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
07月18日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者7人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、米国、バーレーン、エジプトから戻ったそれぞれ2人、1人、4人。
累計感染者数が3246人、累計死者数は前日から変わらず58人。
タイ国内での感染は過去54日間確認されていない。
プラユット政権の退陣を求める学生ら約1000人(主催者によると、2000人以上)が、クルングテープの民主記念塔前で集会。軍事政権下の2017年に公布された憲法の改正などを求め、政府による言論弾圧を非難。
集会参加者は国会の即時解散、民主主義を制限する現憲法の改正などを要求。「2週間以内に要求が受け入れられなければ活動を強化する。」と警告。
一部の参加者は「プラユット首相は辞めろ。」と叫び、警官隊と押し合いになっが、怪我人や逮捕者はなかった。
武漢コロナウィルス対策を理由に強権姿勢を見せる政権に対し、政権への不満を訴えた。抗議活動は断続的に続く見込みで、政治的緊張が高まる可能性もある。
07月19日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者3人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、シンガポールから戻った2人とスーダンから戻った1人の計3人。
累計感染者数が3249人、累計死者数は前日から変わらず58人。3096人が退院。
タイ国内での感染は過去55日間、検疫隔離中の帰国者のみで、国内感染は確認されていない。
一方、武漢ウィルスに感染した外交使節団員のエジプト人♂(43)とスーダン人外交官の娘(9)が検疫隔離を経ずにタイの市中に出た問題で、タイ政府は、「接触した可能性がある者ら6379人のPCR検査を実施し、5565人が陰性で、814人の検査結果を待っている。」と発表。
北部チエンマイ市、東北部ウボンラチャタニー市で、プラユット政権の退陣を求める学生らによる反政府集会。

← チエンマイ、ターペー門前での反政府集会

武漢肺炎対策本部(CCSA)のタウィシン広報担当は、武漢コロナウィルス感染拡大を防止するため行われていた制限措置の第6段階緩和策が今週開かれるCCSAの定例会議で検討される予定。」と明らかに。
第6段階緩和策では、出稼ぎ労働者を含む外国人については5グループの入国が許可される見通し。
連立政権を率いる国民国家の力党(PPRP)は21日にも内閣改造に備えて閣僚候補リストをプラユット首相に提出する予定。PPRPでは同党に与えられている閣僚ポスト割り当ての中で誰を閣僚に推すかを21日の党執行委員会で正式決定し首相に報告する。閣僚候補リストを公表するか否かも委員会で決められる予定。
07月20日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者1人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、シンガポールから06日に帰国し検疫隔離中のタイ人♂(52)。
累計感染者数が3250人、累計死者数は前日から変わらず58人。3096人が退院。
タイ国内での感染は過去56日間確認されていない。
また「先日問題となっていた強制隔離対象外の人物から武漢コロナウィルスに感染者が出たことで、クルングテープ都内で364人に対して行った検査は全て陰性だった。」と発表。ラヨーン県で6501人を対象に行った検査では、現時点で6287人は陰性、残り214人は検査結果待ち。
在タイ日本大使館によると、20日午後05時頃から、クルングテープ都内のタイ陸軍本部前(ラチャダムヌンノーク通)で反政府集会が行われる予定。
大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。
プラユット政権の退陣を求める反政府集会がクルングテープ都内のタイ陸軍本部前で行われた。
主催者は「要求が受け入れられなければ抗議を続ける。」と述べ、当局は主催者らの訴追を検討している。
武漢肺炎対策本部(CCSA)ののタウィシン広報担当はこのほど、「政府の財政的負担を軽減すべく、帰国したタイ人には2週間の隔離にかかる費用を負担するよう求める。」と述べた。国が定めた施設での2週間の隔離にかかる費用は、薬代を除いて1人当たり1万400Bほどと言う。 タウィシンによれば、「外国から帰国するタイ人が増加しているため隔離施設の確保などのために政府の支出が増えている。これまでにタイに戻ったタイ人は6万人を超えている。余裕のある人は自費で高級ホテルなどに泊まり自己隔離してほしい。」
プラユット内閣のジャトゥモンコン労相とテーワン首相府相が辞表を提出。
チャトゥモンコン労相は王族で、財務事務次官、タイ中央銀行総裁などを歴任。2014年の反政府デモを主導したグループの流れをくむルワム・パラン・プラチャー・チャート・タイ党(議会下院5議席)の党首だったが、今年06月、党の内紛から党首辞任に追い込まれていた。 テーワン首相府相はチャート・パタナー党(下院4議席)の実質的なオーナーであるスワット元副首相の弟。与党第2党のプームチャイ・タイ党(下院61議席)、第1党のパラン・プラチャーラット党(同118議席)が野党陣営から下院議員を引き込み勢力を拡大する中、チャート・パっタナー党は内閣改造で閣僚ポストを失う可能性が指摘されている。
プラユット内閣では15日に経済政策担当のソムキット副首相、16日にウっタマ財務相、ソンティラット、エネルギー相、スウィット高等教育・科学・研究革新相が辞任し、内閣改造への流れが加速している。
プラユット内閣で15日に経済政策担当のソムキッド副首相、16日にウッタマ財務相、ソンティラット、エネルギー相、スウィット高等教育・科学・研究革新相、20日にチャトゥモンコン労相とテーワン首相府相が辞任し、内閣改造への流れが加速。
プラユット首相兼国防相(元陸軍司令官、66)は当初、武漢肺炎対策を優先し内閣改造に難色を示していた。しかし、武漢肺炎対策の巨額の予算が決まったことで、連立各党が閣僚ポストの配分を求め圧力をかけ、プラユット首相が持つ閣僚枠の4人が辞任に追い込まれた。こうした動きに、小規模政党に所属するチャトゥモンコン労相とテーワン首相府相が党の事情から続いた。
プラユット首相は軍の支持が権力基盤で、非議員で政党に所属していない。一方、プラユット首相の陸軍時代の上官で一部メディアが「影の首相」と呼ぶプラウィット副首相(元陸軍司令官、74)は議会下院(定数500)の与党第1党で親軍政党のパラン・プラチャーラット党(議席数118)の党首で、軍にも強い影響力を持つ。今回の内閣改造はプラウィット副首相が調整し、首相を押し切ったと見られ、プラユット首相とプラウィット副首相の力関係が浮き彫りになった。
ただ、現政権の中核であるプラユット首相、プラウィット副首相、アヌポン内相(元陸軍司令官、70)はタイ陸軍の同じ派閥に属し、結束は固いと見られる。プラウィット副首相はシリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団司令官(別名、ブラパーパヤック=東の虎)から陸軍司令官になる出世ルートを切り開き、アヌポン内相、プラユット首相は同じルートで陸軍司令官に昇進。
プラユット首相は陸軍司令官だった2014年、クルングテープで発生した大規模な反政府デモをきっかけにクーデターを起こし、タクシン派の民選政権を倒して軍事政権を発足させた。内外の圧力を受け、2019年03月に2011年以来初めての議会下院選挙を実施。パラン・プラチャーラット党、プームチャイ・タイ党(現議席数61)、プラチャーティパット(民主)党(同52)などと、軍政が議員を選任した非民選の議会上院(定数250)の支持を受け、首相に再任。
 下院での与野党の勢力は当初、きっ抗していたが、今年2月に政党法違反で解党された野党第2党、新未来党などから主にプームチャイ・タイ党が下院議員を引き込むことに成功し、与党陣営は現在、275議席前後を確保。
勢力を拡大したプームチャイ・タイ党は閣僚ポストの増枠を要求。パラン・プラチャーラット党では非議員で入閣したソムキット、ウッタマら4閣僚のポストの一部を下院議員に引き渡すよう求める圧力が強まり、06月の党大会で、党首だったウっタマ、幹事長だったソンティラットらを事実上解任し、後任の党首にプラウィット副首相が就任。
07月21日(火)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者5人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、08日にエジプトから帰国したタイ人♂学生3人(28、25、20)と18日にスーダンから帰国したタイ人♂学生1人(35)、07日に日本から帰国したタイ人♂1人(26)で、日本から帰国した♂は発熱、嗅覚障害などの症状があった。他の4人は無症状。
日本からの帰国者は06月30日に帰国した♂2人も武漢肺炎感染が確認されている。
累計感染者数が3255人、累計死者数は前日から変わらず58人。3105人が退院。
タイ国内での感染は過去57日間確認されていない。
有効な武漢肺炎対策を打ち出すためとして発出されている非常事態宣言について「政府が政治的に利用している。」といった批判意見が増えているが、武漢肺炎制限措置緩和特別委員会のナタポン副委員長はこのほど、「武漢肺炎制限措置緩和特別委員会のソムサック委員長(国家安全保障会議事務局長)が07月22日に開かれる武漢肺炎対策本部の定例会議で非常事態宣言の1ヶ月延長を求める予定。」と明らかに。
ただ、先にクルングテープで宣言撤廃を要求する政治集会も行われたこともあったことから、特別委員会としては、宣言延長と同時に暴動鎮圧に関する条項を宣言から削除するよう提言する予定とのこと。なお、非常事態宣言は今のところ07月末日までとされている。
近く行われる見通しの内閣改造について、プラユット首相は、「誰をどの閣僚ポストに就かせるかは決めている。残っているのは閣僚に値する人物であるかのチェックだけ。」と述べ、改造の準備が最終段階に入ろうとしていることを明らかに。
「経済閣僚の人選などに絡んで中核与党のパラン・プラチャーラット党内で意見の対立が生じている。」と報じられているが、プラユット首相は「党首のプラウィット副首相と話をしたが問題は起きていない。」と強弁。新閣僚の人選の噂に関する報道陣の質問にも答えなかった。
07月22日(水)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者6人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、08日にエジプトから帰国したタイ人♂4人と10日に米国から帰国したタイ人♀1人、16日にドイツから帰国したタイ人♀1人で、いずれもタイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数が3261人、累計死者数は前日から変わらず58人。3105人が退院。
タイ国内での感染は過去58日間確認されていない。
武漢肺炎対策本部は、「クルングテープ都とラヨーン県で行った武漢コロナウィルスの大規模検査で、感染者は確認されなかった。」と発表。
この検査は、入国後14日間の強制隔離対象外の人から感染者が確認されたことで、この感染者が移動した地域で接触の可能性があった人全員を検査していた。総検査数は7000件ほど。
タイ政府は武漢コロナウィルス感染症対策で強権的な措置を可能とする非常事態宣言の期限を今月末から08月末に1ヶ月間延長。ソムサック国家安全保障評議会事務局長が明らかに。
ソムサック事務局長は「入国・帰国者の14日間の検疫隔離などのため非常事態宣言が必要。」と主張、宣言解除には感染病法などの改正が必要という考えを示した。また、「非常事態宣言はあくまで武漢コロナウィルス感染症対策だけに用いられる。」と、政治集会の禁止などを行わない方針を示唆。野党や民主活動家グループは、「政府が非常事態宣言を使い反政府派の政治活動を抑え込んでいる。」として、非常事態宣言の延長に反対していた。
タイ政府は03月26日に非常事態宣言を発令し、夜間外出禁止、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会の禁止、入国規制といった措置を導入。こうした措置の多くはすでに解除されている。
07月23日(木)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者8人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、政府による検疫隔離中の08日と17日にエジプトから帰国したタイ人♂4人(24、21、21、20)と10日にスーダンから帰国したタイ人♂と♀(20、20)、18日に米国から帰国したタイ人♀2人(23、22)で、エジプトから帰国した4人は無症状、それ以外の4人は発熱、咳などの症状がある。
累計感染者数が3269人、累計死者数は前日から変わらず58人。3105人が退院。重症が1人。
タイ国内での感染は過去59日間確認されていない。
地域別の感染者数はクルングテープ都と北郊のノンタブリー県が計1796人、北部95人、中部523人、東北部111人、南部744人。南部はイスラム教徒が多く、中東などへの留学生やインドネシア、マレーシアなどで宗教行事に参加者の感染が報告されている。
近く行われる内閣改造について、プラユット首相は、「新閣僚には遅くとも1年の内に実力を示してもらいたい。」と述べに、「財務相やエネルギー相に名前の挙がっている外部の者たちはまだ入閣の意向が確認されていない。」と説明。
また、プラユット首相によれば、今回の内閣改造は先に辞任した経済閣僚などの後任を選ぶために行われるもので、08月半ばまでには完了する見通し。
エナジードリンク「レッドブル」の創業者の孫であるウォラユット(38)が2012年に高級スポーツカーでクルングテープ都内を暴走しオートバイの警察官をはねて死なせて逃走した事件で、捜査当局はこのほど、ウォラユットを訴追しないことを決め、これに伴いウォラユットの逮捕状も無効となった。
これに対しネット上では、「金持ちを優遇したもの。」といった批判が殺到。この決定については、23日夜の報道で国民が知ることとなったが、検察などは説明を行っておらず、決定に至った経緯は不明。
07月24日(金)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者10人の感染が確認された。」と発表。米国のハワイで実施された合同軍事演習に参加したタイの軍人151人が帰国したが、そのうち11人が発熱、咳、喉の痛みなどの症状が出ている。現在クルングテープのプラモンクットクラオ病院に入院中の11人には武漢肺炎の検査が実施されているが、まだ結果は出ていない。タイの兵士たちは今回の合同軍事演習に21日間にわたって参加。
新規感染者は、米国で訓練に参加し22日にハワイから帰国したタイ軍兵士6人(20~32)と、16日にドイツから帰国したタイ人♂(18)、18日にオランダから帰国したタイ人♀(37)、10日にスーダンから帰国したタイ人♀(23)、12日にパキスタンから帰国したタイ人♀(18)で、全員がタイ政府による検疫隔離中。
累計感染者数が3279人、累計死者数は前日から変わらず58人。3107人が退院。重症者数は1人。
タイ国内での感染は過去60日間確認されていない。
07月25日(土)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者3人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、スーダンから帰国のタイ人♀(23)。07月10日にタイ入国し、チョンブリー県の隔離施設で検疫中。症状なし。アメリカから帰国のタイ人♀(14)。07月11日にタイ入国し、クルングテープの隔離施設で検疫中。喉の痛み。アメリカから帰国のタイ人♂(23)。07月11日にタイ入国し、クルングテープの隔離施設で検疫中。症状なし。
累計感染者数が3282人、累計死者数は前日から変わらず58人。3109人が退院。
タイ国内での感染は過去61日間確認されていない。
在タイ日本大使館によると、25日から31日にかけ、タイ各地で反政府集会が行われる予定。大使館はタイに滞在中の日本人に対し、集会現場に近づかないよう注意喚起。

バンコクほかタイ国内各地における政治集会(7月25日(土)以降)

・インターネット上の情報によれば、本日(7月25日)以降、以下の日時・場所において、反政府グループ等による政治集会が行われる見込みです。
・不測の事態に備え、政治集会が行われている現場周辺にはできる限り近づかないようにするなど、ご自身の身の安全を確保してください。

【バンコクにおける政治集会】
・7月25日(土)17時頃から バンコクのラチャプラソン交差点(エラワン廟近く)
・7月26日(日)16時頃から バンコクのラチャダムヌン通り(Ratchadamnoen Avenue)にある民主記念塔前マクドナルド店内
・7月26日(日)16時頃から バンコクのラチャダムヌン通り(Ratchadamnoen Avenue)にある民主記念塔隣サトリーウィタヤー女学校前
・7月26日(日)18時半頃から バンコクのラチャダムヌン通り(Ratchadamnoen Avenue)にある民主記念塔前
・7月30日(木)17時頃から バンコク都トンブリ地区タクシン大王像前

【各地における政治集会】
・7月25日(土)16時頃から ナコンシタマラート県ナームアン公園
・7月25日(土)17時頃から サムットプラカーン県庁前
・7月25日(土)17時頃から チェンライ県時計塔前
・7月25日(土)17時頃から ペチャブン県ロムサック郡時計塔前
・7月25日(土)18時頃から カンチャナブリ県カンチャヌクロ学校前
・7月26日(日)17時頃から プーケット県サパーンヒンロータリー前
・7月26日(日)17時頃から チャンタブリ県三角運動公園
・7月26日(日)17時頃から ノンブアランプー県スワンスカパープ
・7月26日(日)17時頃から ノンカイ県パヤナーク像前
・7月27日(月)17時頃から  パヤオ県パヤオ湖歩行者天国
・7月27日(月)17時頃から サケオ県アランヤプラテート郡プラサヤムテワティラート前
・7月29日(水)16時半頃から アムナートチャルーン県時計塔前
・7月29日(水)16時半頃から ナーン県クワンムアンナーン(ナイトバザール)
・7月29日(水)17時頃から ナコンサワン県ウタヤーンサワン第13門付近
・7月29日(水)17時頃から スパンブリ県庁前
・7月30日(木)17時頃から ナコンパノム県(調整中)
・7月31日(金)17時半頃から ピサヌローク県ナレスワン大学社会学部前

つきましては、在留邦人及び旅行者の皆様におかれましては、不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努めるとともに、可能な限り現場周辺には近づかず、お出かけの際につきましても安全確保には十分注意を払って下さい。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8500、696-3000
FAX:(66-2)207-8511
所在地: 177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
(ウィタユ通り、ルンピニー警察署とMRTルンピニー駅のほぼ中間)
07月26日(日)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者9人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、フィリピンから戻った♂(30)、バーレーンから戻った♀(30)、インドネシアから戻った♂(19)と♀2人(43、45)、シンガポールから戻った♂2人(48、49)、エジプトから戻った♂(23)、サウジアラビアから戻った♂(30)の計9人。
累計感染者数が3291人、累計死者数58人と重症者数1人は前日から変わらず増加なし。3109人が退院。
タイ国内での感染は過去62日間確認されていない。
エナジードリンク「レッドブル」の創業者の孫として裕福な家庭に生まれたウォラユット(38)が2012年に高級外車で都内を暴走してオートバイの警察官をはねて死なせたまま逃走した事件で、捜査当局がウォラユットを訴追しないと決めたとされることについて、当局からまだ説明がないことから、検察などに説明を求める声が強まっている。
この決定の理由を記した検察の文書を読んだというある弁護士によれば、事故を目撃した2人が「オートバイの警察官は急に車線を変更して跳ねられて死亡した。」との証言が今となって出てきたことが、ウォラユットを訴追しないとの決定の理由と説明されていたという。
タマサート大学の副学長で、法律が専門のプリンヤは07月25日、「検察と警察は国民に説明する必要がある。国民が司法に疑いを抱いたままにしておくことはできない。警察は『訴追しない。』と検察が決定したことに抵抗しておらず、その理由も明らかにする必要がある。」との見解を明らかに。
一方、ナルモン政府報道官はこのほど、「プラユット首相が同事件の捜査などに関する情報を収集するよう関係当局に指示した。」と明らかに。また、プラユット首相はマスコミなどに対しこの件をことさら大きく報じないよう求めた
07月27日(月)武漢肺炎対策本部は、「武漢コロナウィルス感染者が新たに検疫隔離中の帰国者4人の感染が確認された。」と発表。
新規感染者は、3人はアメリカから、1人は台湾から帰国したタイ人。
累計感染者数が3295人、累計死者数58人は前日から変わらず増加なし。3111人が退院。
タイ国内での感染は過去63日間確認されていない。
07月28日(火)
07月29日(水)
07月30日(木)
07月31日(金)



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