49章 インラック下院総選挙強行 反政府派、政府派、米農家のデモ
02月02日(日) | 中央選管の発表によれば、総選挙の投票が完了した投票所は、全国の9万3952ケ所の約89%に当たる8万3669ケ所。投票が中止となったのは全体の10.90%に当たる1万0283ケ所。投票が完了したのは全国の375区のうち306区で、中止に追い込まれたのは18県の69区。また、同18県のうち9県はすべての投票所が投票中止。
クルングテープ都に関しては、6671ケ所の投票所のうち6155ケ所で投票が完了。投票中止となった投票所は全体の7.73%、516ケ所。
タクシン派の地盤である北部、東北部など59県の投票会場では支障なく行われた。
クルングテープでは民主党が主導する反政府デモで多くの投票会場が封鎖され、投票率が前回2011年の下院選の72%を大きく下回る26%に止まった模様。都心の交差点を占拠した反政府デモ会場には、「(選挙に行かず)ピクニックに行こう。」という呼び掛けに応じて反タクシン派の市民多数が集まり、幹線道路上での無料コンサートなどを楽しんだ。
選挙委員会は投票が行えなかった選挙区で早急に投票を行う方針だが、「下院議員の数が下院開会に必要な定足数に達するまでに数ケ月掛かる。」と予想。その間、タクシン派インラック政権は選挙管理内閣として権能が制限され、予算編成などに大きな影響が出る恐れがある。
インラック首相ら政府・与党幹部、チャワリット元首相、バンハーン元首相といった政治家はそれぞれの選挙区で投票。
動向が注目される軍は、プラユット陸軍司令官ら陸海空の3軍司令官とタナサック国軍最高司令官が揃って投票。軍が民主的なプロセスを尊重する姿勢を示したと見られ、軍事クーデターによるインラック政権の転覆は少なくとも当面、可能性が低下したと見られる。
民主党は今回の下院選をボイコットし、アピシット民主党党首(前首相)らは投票しなかった。民主党は今後、「今回の下院選を無効。」として憲法裁判所に訴える方針。また、反政府デモを主導するステープ元副首相(元民主党幹事長)は夜、都内のデモ会場で演説し、「下院選は失敗した。」と、勝利を宣言。「選挙費用38億Bを無駄にした。」と、インラック首相を告発する。」とも表明。
民主党はインラック政権の退陣を要求し、昨年12月08日に党所属の下院議員全員の議員辞職を表明。翌09日、クルングテープで20万人規模の反政府デモを行い、インラック首相を下院解散、総選挙に追い込んだ。しかし、ステープ元副首相はその後、インラック政権を打倒した上で、様々な職種の代表からなる「人民議会」に国権を委ねるという事実上のクーデター計画を打ち出し、下院選を拒否。01月13日からクルングテープの主要交差点をデモ隊で占拠、多数の省庁をデモで閉鎖に追い込み、政府に圧力を掛けている。下院選で連敗中の民主党は12月21日、選挙ボイコットを表明し、デモ隊と足並みを揃えた。
投票会場を封鎖する反政府デモ隊 →
タイ政局の今後の見通しは不透明。与党は下院選で勝利して正統性を示し、事態の収拾を図る方針だが、参加者、支持者合わせ数十万人に上るデモ隊を警察力で排除するのは困難だ。また、2006年から続くタクシン派と反タクシン派の抗争で、事態が話し合いで収拾した例はなく、今回もステープ元副首相は政府との対話を拒否している。インラック首相は辞任も検討したと報じられるが、下院が解散されているため、次期首相の選出方法がどうなるか不明で、民主党・反政府デモ隊に職務放棄で訴えられる可能性もあり、断念した模様。
タイ北部は独立したランナー朝が続き、その後、16~18世紀はビルマの支配下にあった。タイの現王朝の支配下に入り、「タイ」に組み入れられたのは19世紀になってからとされる。東北部も20世紀に入ってから、「タイ」への統合、「タイ化」が本格化した。タイの現チャクリー朝と政府は、こうした異なる地域をまとめ、「タイ国家」の「歴史、文化」の形成を進めてきた。しかし、今回の政治対立は、南北分断のシナリオが一部で浮上する可能性を秘めている。 |
ソムチャイ中央選管委員は投票締め切り後の記者会見で、「今回の総選挙は3つの大きな問題を抱えている。」と指摘。①候補者が1人だけだった16選挙区では、候補者の獲得票数が有権者全体の20%に満たない場合、再度選挙を行う必要がある。②28選挙区が候補者不在だったことについて、選管は憲法裁判所の判断を仰ぐ必要がある。③再選挙をいつ実施するか。また、選管関係筋によれば、選管にはこれら28選挙区で選挙を実施する権限がないため、今回の総選挙が無効とされる可能性が高い。法律では、『混乱・不測の事態のため投票ができなかった選挙区では再選挙を実施する。』と規定されているものの、対象となるのは候補者のいる選挙区であり、28選挙区は該当しない。新たに勅令を発布して総選挙を実施することも可能だが、それ以前の総選挙を補完する形で実施することは不可能で、従って今回の総選挙は無効となる。」 |
今回の総選挙は、政権党プア・タイ党の宿敵、最大野党の民主党が候補を擁立せず、民主党支持者のほとんどが投票しなかったと見られる。
タマサート大学のナカリン副学長は、「今回の選挙は、総選挙ではなく、国民投票とでも呼ぶべきもの。有権者は、政治改革を先行すべきと考えて総選挙に反対して投票に行かなかった有権者、プア・タイ党を勝利させるために投票しようとした有権者、投票に行ったものの、「誰も選ばない」の選択項目を選んだ有権者の3グループに大別できる。また、今回の総選挙を国民投票と捉えた場合、投票の棄権者数がプア・タイ党に投票した人数を上回っていれば、国民の過半数が現政権を受け入れなかったことを意味する。」 |
総選挙投票日を翌日に控えた02月01日に都内ラクシー区で爆発、発砲によって負傷者が出た事件で、治安当局は、現場を撮影した写真などに基づいて「反政府派が発砲した。」との見解を明らかに。
事件は反政府派と政府支持派が対峙していた最中に起きたものだが、首都圏警察のアドゥン副長官は、「反政府派が発砲を始めた。」と明言。
だが、ウィンタイ陸軍副報道官は、現場にいた兵士などの証言に基づいて、「双方が発砲した。」と指摘。「捜査が完了していない時点で一方を非難するのは性急にすぎる。」と警察の対応に苦言を呈した。
なお、反政府派は、現場で写真撮影された発砲者について、「反政府派を装った者だ。」と反論。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)は、デモ隊の安全確保を理由に「都内のデモ拠点7ケ所のうちラープラーオ五叉路と戦勝記念塔での座り込みを中止する。」と発表。
ルンピニー公園のデモ拠点に移動する予定で、PDRC幹部のイッサラは、「投票日以降、暴力事件がさらに起きる恐れがある。政府支持派と武装グループが反政府派への攻撃を計画しているとの情報を摑んでいる。」と述べ、デモ隊を命の危険に晒さないための判断と説明。
PDRCは01月13日から占拠していた都内のラープラーオ五叉路、戦勝記念塔、郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)から撤収する模様。
撤収にともない、反政府デモ隊は09時にラープラーオ五叉路を出発、サパーンクワーイ、戦勝記念塔、ラーチャプラソン交差点を経て、ルムピニー公園までデモ行進し、ラープラーオ五叉路と戦勝記念塔で座り込みを続けていたデモ参加者をルムピニー公園のデモ会場に合流させる予定。
総合庁舎前のデモ会場については、現場を指揮する僧侶に対し、デモ隊を主導するステープ元副首相(元民主党幹事長)が撤収を要請する。 |
西部ラチャブリ県パークトー郡で、米担保融資制度による米の買い上げを求める稲作農家が幹線道路のラーマ2世通を封鎖。農家の代表は政府が「03日中に話し合いに応じない場合は別の幹線道路であるペチャカセーム通も封鎖する。」としている。
米担保融資制度はインラック政権による事実上の米買い取り制度で、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、稲作農家には好評だが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。インラック政権は昨年12月、反政府デモの圧力に屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、米買い取りに必要な資金の手当てができなくなり、支払いを受けられない稲作農家がタイ各地で抗議活動を行っている。 |
夜 | 都内のラーマ4世通の上を走るタイ-日本高架橋を走行していた乗用車が銃撃され、運転していた自営業のタイ人男性(33)と同乗の女性(30)が怪我。タイ日本高架橋が反政府デモ隊によって封鎖していることを知らずに侵入し戻ろうとした際に、何者かから2、3発発砲された。2人は都内サムヤーンで食事をした後、クロントイ方面に向かっていた。デモ隊は01月13日から、ラーマ4世通とシーロム通の交差点(サラデーン交差点)など都内の主要交差点を封鎖。サラデーン交差点の上を通るタイ日本高架橋もデモ隊への攻撃を防ぐため、封鎖していた。 |
02月03日(月) | 野党民主党系の反タイ政府デモ隊は、01月13日から占拠している都内の主要交差点7ケ所のうち、ラープラーオ五叉路と戦勝記念塔から撤収。ラープラーオ五叉路と戦勝記念塔では夜、道路交通が再開。
デモ隊はクルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)のデモ会場も撤収する方針だが、現場を指揮する僧侶が撤収を拒否し、道路占拠が続いている。デモ隊幹部は、総合庁舎前のデモは人数が少なく、無料の食料の配送などに手間がかかっているとして、04日に再度、この僧侶と話し合い、撤収を求める予定。
総合庁舎前からの撤収が実現すれば、民主党系デモ隊が占拠する拠点はショッピング街のパトゥムワン交差点(MBK前)、ラチャプラソン交差点(セントラルワールド前)、高架電車BTSアソーク駅前、ルムピニー公園・サラデーン交差点の4ケ所になる。
民主党系のデモ隊はインラック政権の退陣と02月02日の議会下院総選挙の阻止を掲げ、座り込みのデモを続けてきた。占拠した7ケ所の交差点では、道路を土嚢で封鎖し、巨大なスクリーン、ステージ、テント、簡易トイレなどを設営。党の地盤である南部などから座り込み要員を大型バスで送り込み、1日数百Bの「日当」を支払ってきたとされる。デモ参加者には食事や飲み物を無料で振るまい、演説の合間に歌謡ショーなどを行ってきた。大掛かりなコンサートを複数の場所で連続開催している状況で、経費は1日数百万Bに達していたと見られる。
デモ隊は今回の撤収について、安全上の理由だとしているが、資金繰りが厳しくなってきた可能性もある。下院選という山場を超えた影響もあってか、アソーク駅前のデモ参加者は目に見えて減少した。デモ隊にとって、資金面以外の難題は気温。01月のクルングテープは例年より涼しく、テントで路上生活を送るデモ参加者にとって、比較的過ごしやすかった。しかし、これから03月、04月にかけ、タイは暑熱の季節を迎える。 |
政権党プア・タイ党関係筋によれば、「02月02日に投票が行われた総選挙(定数500)でプア・タイ党は小選挙区約240議席、比例代表約60議席の計300議席あまりを獲得できた。」と見込んでいる。
前回2011年07月の総選挙を上回る議席を獲得したが、獲得票数は前回を下回っており、プア・タイ党の人気低下を指摘する意見も出ている。
中央選挙管理委員会は、02日に行われた総選挙の投票率(暫定)について、今回の投票率は45.84%で、前回総選挙の75%を大きく下回った。都県別の投票率は、クルングテープ都26.2%、西部カンチャナブリ県25.0%、東部ラヨーン県26.1%、チョンブリー県28.3%、チャチュンサオ県47.3%、中部パトゥムタニー県45.0%、アユタヤ県51.1%、サムットプラカン県35.0%、ロッブリー県49.2%、北部チエンマイ県54.7%、ラムプン県72.8%、東北部コンケン県54.9%、ナコーンラチャーシーマー55.8%など。野党の民主党の地盤である南部のクラビー県、チュムポン県、パンガー県、プーケット県、ソンクラー県、スラタニー県などでは反政府デモの影響で投票が行えなかった。全投票所9万3952ケ所のうち、反政府グループの妨害によって一部が閉鎖され、8万3813ケ所。正式な発表は04日に予定。
今回の下院選は民主党がボイコットしたため、実質的に与党プア・タイ党への信任投票となった。政権争いや争点がなかったほか、反政府デモでクルングテープ都、南部などの投票会場が閉鎖されたこともあり、投票率が下がったと見られている。
要因としては、反政府デモ隊の妨害などで一部の投票所で投票ができなかったこと、最大野党の民主党が候補を擁立せず、結果が見えていたことから投票者が少なかったことなどが挙げられる。
だが、プア・タイ党の支持基盤である東北部や北部でもプア・タイ党の獲得票が減っていることから、プア・タイ党が推進してきた米買い上げ制度や大型治水計画などにプア・タイ党の支持者たちが不満を募らせていることが窺える。 |
クルングテープの西に位置するラチャブリー県で、ラチャブリー県と近隣県から集まった農民1000人以上が、政府の米買い上げ制度で代金支払いが遅れていることに抗議して幹線道路の封鎖を開始。
← 米農家による道路封鎖(ラチャブリー県)
また、クルングテープの北約300㎞のピチット県でも、農民400人あまりが同じ理由で幹線道路の封鎖に踏み切った。
米買い上げ制度は、タクシン支持者の多い農民の所得アップを狙ったインラック政権の目玉政策。だが、ここに来て、代金支払いの遅延に各地で農民が抗議の声を上げている。一部の農民は代金を受け取って抗議活動を中止しているが、未だに農民の多くが政府の対応に不満を抱いている。 |
派手なファッションで知られる女性監察医、ポンティップが、反政府集会で02日、「昨年05月に法務省中央科学捜査研究所長から同省監察官に異動になったのは政治家の言うことを聞かなかったため。」と発言。
これに対し、チャイカセム法相は、「所長としての4年の任期満了に伴う異動。」と指摘し、「政治絡みの左遷ではない。」と反論。
法相によれば、「ポンティップは一昨年に任期満了となったが、任期が1年延長されていたもので、任期の途中で所長を解任されたわけではない。」
これに対し、ポンティップは、再び反政府集会で「チャイカセム法相には言及していない。異動命令を出したのは、チャイカセムの前任者であるプラチャー。」と述べ、「チャイカセムを批判するつもりではなかった。」と説明。
また、「私は勤務時間が過ぎてから集会に参加しており、法務省は私を懲戒処分にすることはできない。」と付け加えた。 |
02月04日(火)00時半頃 | タイ南部のフアヒンで、大型トラックに衝突されたピックアップトラックが道路脇の立木に衝突し、ピックアップトラックに乗っていた4人が死亡、6人が重軽傷。死傷した10人はクルングテープ都で座り込みの反政府デモに参加し、地元の南部スラタニー県に帰る途中。野党民主党が主導する反政府デモには民主党の地盤の南部の住民が多数送り込まれている。 |
| 反政府デモ隊により閉鎖されてきたクルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)で、憲法裁判所、中央破産裁判所、最高検察庁、法務省の部局などが業務を再開。
総合庁舎前を占拠するデモ隊の指導者である僧侶が政府側の要請を受け入れた。反政府デモ隊を率いるステープ元副首相(元民主党幹事長)はこの僧侶に対し、総合庁舎前からの撤収を呼びかけているが、僧侶は応じていない。総合庁舎前のデモはデモ参加者に人気がなく、参加者が100人程度に落ち込んでいる。
ステープ元副首相率いる野党民主党系のデモ隊は01月13日から、都内のパトゥムワン交差点(MBK前)、ラチャプラソン交差点(セントラルワールド前)、高架電車BTSアソーク駅前、ルムピニー公園・サラデーン交差点、ラープラーオ五叉路、戦勝記念塔と総合庁舎前を占拠。しかし、議会下院総選挙翌日の03日、このうちラープラーオ五叉路と戦勝記念塔から撤収。安全上の理由としているが、デモの資金繰りが苦しくなってきたという見方も出ている。 |
タクシン派の与党プア・タイ党の幹部は、02日の下院総選挙での獲得議席数が500議席中300議席程度という見通しを示した。小選挙区で230~250議席、比例代表で60議席以上の獲得を予想。 |
今回の総選挙は反政府デモ隊の妨害で01月26日に不在者投票ができなかった選挙区で、02月23日に不在者投票のやり直しが予定されている。
スパチャイ中央選管委員長は、「法律問題やデモ隊の妨害のため実施できないかもしれない。」と述べた。
総選挙に反対する勢力は、「本投票後の不在者投票は違法。」と指摘しているが、選管ではまだこの問題に結論が出ていない。
また、地方の選管の中には、「反政府デモが続いており、23日の投票も妨害される。」と報告している所もある。 |
タイと支那は昨年11月に政府間取引でタイから中国に米120万tを輸出することで合意していたが、支那側がタイ米の輸入を取り止めたことが明らかに。
ニワットタムロン副首相兼商業相は、「国家汚職制圧委員会(NACC)が取引の透明性に疑いを抱いて捜査を開始したため、支那は我々との取引に自信が持てなくなった。」と説明。
政府は現在、米買い上げ制度で代金支払いが滞り、農民の強い反発を招くという問題に直面している。資金調達に躍起になっており、支那の米輸入中止によって政府はさらに困難な状況に追い込まれるとする見方も出ている。
一方、タイ米輸出業者協会のチューキアット名誉会長は、「支那への米120万t輸出はもともと実態のない虚偽だったのではないか。」と指摘。今回の政府による取引キャンセルの発表について、「NACCに捜査を中止させることが狙い。」との見方。タイ米の輸出先とされていた。満洲ハルビン市の国営企業は、「支那当局から長粒米輸入割当を受けていなかった。」という。
チューキアット名誉会長は、「満洲ではタイ米のような長粒米ではなく短粒米が食されている。このため、我々は支那への米輸出話は最初から嘘だと思っていた。」と述べている。
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国内第2位の銀行、官営クルンタイ銀行(KTB)のウォラパック頭取は、「KTBが政府の米買い上げ制度に融資することはない。」と明言。
米買い上げ制度では、代金の支払いが遅延し、米を売った農民が抗議のため幹線道路を封鎖するなどの行動に出ている。
政府は1300億Bの借入を計画しているが、国の法律最高諮問機関、法令委員会も現在の政府、すなわち選挙管理内閣による巨額借入は可能との判断を示している。しかし、米買い上げ制度が不正まみれと指摘されていることもあって、どの銀行も融資に否定的とされる。
一方、「KTBが融資に前向き。」との噂が広まり、役員会が開かれた4日、KTBの行員たちが黒服を着用して融資に反対の意を表明。行員を前にウォラパック頭取は、「役員会では米制度への融資の件は取り上げられなかった。」と述べ、米買い上げ制度に不正横行との批判が出ていることなどを指摘。「私はプロの経営者。誰かに恩返しをする必要はない。」と融資する考えのないことを明らかに。 |
12月09日に解散されたタイ議会下院の前議員の資産をタイ汚職取締委員会が、発表。それによると、反政府デモを主導するステープ元副首相(元民主党幹事長、63)は2011年08月02日の議員就任時の資産報告が資産1億4180万B、負債4790万Bだったのに対し、2013年11月11日に議員辞職した際の資産報告は資産2億1010万B、負債3億2400万Bと、負債が一気に膨らんだ。就任時は所有する地所が59ケ所、9810万B相当だったのに対し、離職時は155ケ所、1億7700万Bとなっており、不動産投資で負債が膨らんだ模様。
ステープは離職時に、不動産のほか、トヨタのランドクルーザーとメルセデス・ベンツ、BMWの乗用車各1台、フォードの乗用車2台を所有。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長は、労働省などいくつかの政府機関が業務を再開したとの報道を受けて、「現在の政府機関の状態をチェックして、開いている政府機関を占拠、封鎖する。」と明言。
平和秩序維持センター(CMPO)は、「政府機関を占拠するデモ隊には断固たる措置を執る」と、非常事態宣言違反に厳しい姿勢で臨む方針を明らかにしているが、ステープは、「政府機関の占拠は、これまでの我々の努力を無駄にしないために不可欠。」と述べている。 |
クルングテープの主要交差点などを占拠する反政府デモ隊は、「チャオプラヤー川に架かるラーマ8世橋の封鎖を解除し、撤収する。」と発表。05日中に撤収を終える見通し。
デモ隊は01月13日から、ラーマ8世橋、都内の高架電車BTSアソーク駅前などを占拠。占拠した場所のうち、都内のラープラーオ五叉路と戦勝記念塔からは03日に撤収。郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)前からも撤収する方向で調整。
ラーマ8世橋からの撤収が終わると、デモ隊の占拠地は総合庁舎前、BTSアソーク駅前、パトゥムワン交差点(MBK前)、ラーチャプラソン交差点(セントラルワールド前)、ルムピニー公園・サラデーン交差点、民主記念塔周辺、タイ首相府周辺の7ケ所。 |
反タクシン派の野党民主党は党役員会で、タクシン派インラック政権の解任、タクシン派与党プア・タイ党の解党、02月02日の議会下院総選挙の無効化を憲法裁判所に求める方針を決めた。
下院選については、「同一日に全選挙区で選挙を行うことを定めた憲法規定に違反した。」として、オンブズマンに対し、憲法裁に選挙の無効を訴える裁判を起こすよう要請。
プア・タイ党については、「下院解散後にインラック政権が非常事態宣言を発令するなど、選挙戦で自党の有利になるよう政府の権力を乱用した。」として、憲法裁に解党と党役員の公民権停止を求める。インラック政権については、「憲法に違反する下院選を強行したとして、2万人の署名を集めて汚職取締委員会に捜査を要請し、汚職取締委が憲法裁に提訴する形を目指す。
憲法裁はタクシン派と反タクシン派の抗争が表面化した2006年以降、一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けている。昨年には、現行憲法の規定で約半数が任命制となっている上院を全議席公選制に変更する憲法改正案を違憲とする判決を下し、改憲を目指したプア・タイ党と対立。こうした経緯から、憲法裁は今回も、民主党との連携プレーで、下院選を無効とし、プア・タイ党を解党、インラック内閣を解任する可能性がある。
下院選を妨害した民主党が選挙が円滑に行われなかったことを理由に政府・与党を訴えるという図式は欧米メディアから批判を浴びている。ただ、憲法裁、選挙委員会、汚職取締委などはいずれも反タクシン派の影響下にあるとみられ、司法闘争ではタクシン派に分がない。ここで問題になるのが、インラック内閣が憲法裁により解任された場合の次期首相の選出。選挙管理内閣が辞任もしくは解任された場合、次の首相をどうやって選ぶかについての憲法上の規定はない。首相は下院議員から選ぶと憲法で規定されているが、選挙の混乱で新しい下院が開会できる目処は立っていない。選挙委員会のソムチャイ委員は、「『内閣が存在しなくなった場合、下院解散中は上院が下院を代行する。』という憲法条文が使用できる。」という見方を示している。ただ、上院は03月02日に任期が切れる上、下院議員がいなければ首相の選出は不可能。
こうした法律上の複雑な方程式をとき、民主党が何らかの方法で政権を奪取するというのが反タクシン派の最終的な目標と見られる。合法的な方法としては、「憲法裁がプア・タイ党を解党し、タクシン派の選挙準備が整わないうちに、民主党が参加して下院選を行い、民主党が勝利する。」というシナリオも考えられる。この場合、02日の下院選の無効化、プア・タイ党解党、インラック内閣解任をどのような順番でいつ行うかが鍵。
03月30日に予定される上院選も重要。上院(定数150)はタイの77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる委員会が選出する。選考委は反タクシン派で固められていることから、上院の約半数は反タクシン派になる見通し。反タクシン派は上院選である程度の県で勝利すれば、上院で多数派になる。 |
02月05日(水) | 反政府グループは、デモ隊によって封鎖していたラーマ8世橋から撤退。タイ地元紙によると、反政府グループによってラーマ8世橋が封鎖されたことで、周辺地域が大渋滞となっており、治安維持部隊から封鎖を解除するよう求められていた。
反政府グループは、「封鎖によって市民への影響が大きいことから、封鎖を解除する。」と発表。 |
民主党のウィラット前下院議員とパイブン上院議員が「インラック首相が非常事態宣言を発令したのは憲法68条に抵触する。」と憲法裁判所に訴えていたが、憲法裁判所は、「裏付けに乏しい。」としてこの訴えを退けた。
憲法68条では、「非民主的手段による政権の転覆や奪取を図った権利行使を禁止する。」と規定されている。
ウィラット前議員らは、「非常事態宣言の発令は、02月02日の総選挙の前に行われており、選挙において政府の立場を有利にするもの。」と主張。だが、憲法裁は、「訴えは十分な裏付けを伴わない。」と判断し却下。 |
刑事裁判所は、法務省特別捜査局(DSI)の請求に伴い、(元民主党幹事長、前民主党下院議員)、サーティット前民主党下院議員ら反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)の幹部19人に非常事態宣言違反で逮捕状を発付することを決めた。刑事裁判所は、状況証拠や目撃情報などから、非常事態宣言違反でを違反していることに間違いはない。」とししている。DSIは、「ステープらが非常事態宣言に違反した。」として逮捕状を請求していた。ステープ元副首相への逮捕状は2通目。
これに対し、PDRC幹部のサーティット前議員は、都内のデモ会場で演説し、「非常事態宣言は違法に発令されたものだ。」と反論。「PDRCの活動には影響しない。」と明言。サティットよれば、「ステープら19人は、インラック首相府を含む全閣僚が辞任し、タクシンの影響力がこの国から完全に排除されるまで出頭しない。」、「逮捕状が出た19人はいずれも反政府デモを継続する。」と宣言。
クルングテープの反政府デモ支持者は数十万人に上る。デモ指導者は常に多数の支持者に囲まれ、逮捕は困難。逮捕に成功しても、大規模なデモを誘発する恐れがある。
一方、政府は04日、反政府デモの取り締まりを強化する方針を打ち出した。反政府デモを資金援助する個人、企業を取引停止処分にするほか、02日の議会下院総選挙で投票会場を十分な理由なく閉鎖したり、投票日直前に辞任するなどした地区選挙委員らの捜査を進める。また、反政府デモ会場で演説するなどしたタイ在住のインド人実業家、サーティット・セーガルを「非常事態宣言に違反した。」として国外追放を発表。サーティットは2000~2003年にインド・タイ商工会議所会頭を務めた。 |
憲法裁判所は、タクシン派の与党プア・タイ党の解党を求めた任命制上院議員と前民主党下院議員の訴えを却下。議員らは、「昨年12月の下院解散後にインラック政権が非常事態宣言を発令するなど、プア・タイ党が選挙戦で自党の有利になるよう政府の権力を乱用した。」と主張したが、憲法裁は根拠が不十分と判断。 |
政権党プア・タイ党は、最大野党の民主党が「政党法94条に違反した。」、「民主党が支援するデモ隊が下院選の投票を妨害阻止した。」、「民主党が政党にその義務を果たすよう求めた政党法94条に違反していることを意味し、民主党には解党、役員の公民権5年停止の処分が下されるべき。」として、選挙管理委員会に対し、プア・タイ党の解党などに向けた手続きを取るよう要請。
プア・タイ党の広報担当、プロムポンによれば、「ステープ元民主党幹事長など反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)幹部9人は民主党と繋がりがあるほか、PDRCは民主党幹部25人と結託して非民主的手段で政権転覆を図っている。」、「ステープの憲法違反は、反乱罪でステープに逮捕状が出ていることからも明らか。」、゛民主党が政党にその義務を果たすよう求めた政党法94条に違反していることを意味し、民主党には解党、役員の公民権5年停止の処分が下されるべき。」と述べた。 |
都内ウィタユー通の在タイ米国大使館前で、小規模なデモ。米国企業の労働争議絡みと見られ、規模は街宣車1台、乗用車10台など。
クルングテープでは01月13日から、野党民主党系のデモ隊が主要交差点などを占拠し、02月02日に行われた下院総選挙を妨害。米国政府は「投票の妨害は人権侵害。」としてデモ隊を非難。 |
上院が03月02日に任期満了となり、03月30日に選挙。期日前投票は23日。期日前投票日、投票日ともに、前日の18時から当日の24時まで酒の販売が禁止される。
上院は定数150で、タイの全77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる委員会が選出する。任期は6年。2008年に行われた上院選の投票率は55.6%。
タイでは野党民主党が主導する大規模な反政府デモにより、昨年12月、インラック首相が議会下院を解散、今年02月02日に総選挙が行われた。しかし、民主党が選挙をボイコットした上、反政府デモ隊が投票を妨害し、下院議員の数が下院開会に必要な定足数に達しない見通し。03月02日までに下院が開会できなければ、タイは一時的に国会が存在しない状態。 |
インラック選挙管理政権は、政治改革を求める反政府デモに次いで、農業政策面でも難しい対応を迫られつつある。
政府の米買い上げ制度を利用して米を売った農民が、代金支払いの遅延に抗議する動きを活発化させており、幹線道路の封鎖などが全国各地で報告されている。
クルングテープ都に西に位置するラチャブリー県と近隣県の農民たちは、政府が話し合いに応ずる姿勢を見せないことから、「道路封鎖では効果がない。」としてクルングテープ都で抗議集会を行うことを決定。農民からは、「政府は農家の問題より総選挙を重要視している。」といった声が挙がっている。
一方、インラック首相は、「政府は農民のために努力している。だが、選挙管理内閣にできることには限度がある。」と説明。 |
インラック政権の地盤でもあるタイ北部チエンライ県に、突如ステープを避難する大型の看板が設置され話題。看板には「選挙で選出された体制を支持。反逆者反対。ステープ体制反対。」と書かれており、県内18郡の主要道路に設置されている。タクシン派の反独裁民主主義同盟(UDD)によるものと見られている。 |
夜 | 反政府デモを主導する野党民主党のステープ元副首相は、都内のデモ会場で演説し、「02日に行われた下院総選挙で、有権者4900万人のうち、棄権と反対票を合わせ、3500万人がタクシン派与党・政府に反対した。」と主張。
民主党の報道官は、「民主党のデモ隊が下院選の投票を妨害した。」として、欧米のメディアから批判されていることに対し、政府が裏で糸を引いている。」と主張。下院選の投票率が46%程度だったことを挙げ、「国民が与党のための選挙を拒否した。」と述べた。
タクシン派政党と民主党の下院選の得票数は、タクシン政権(2001~2006年)の全盛期だった2005年02月がタクシン派政党1899万票、民主党721万票。軍事政権が民政移管のため実施した2007年12月は、軍部が民主党を後押しした結果、タクシン派1234万票、民主党1215万票。タクシン派デモ隊によるバンコク都心部の長期占拠、治安部隊による強制鎮圧という大事件の1年後に行われた2011年07月の総選挙はタクシン派1575万票、民主党1144万票。民主党は今回の下院選をボイコットした。 |
02月06日(木) | タイ政府による事実上の米買い取り制度である米担保融資制度が崩壊しかけている。インラック政権は昨年12月、反政府デモの圧力に屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、米買い取りに必要な資金の手当てができなくなった。政府は銀行からの借り入れで急場をしのぐ方針だが、銀行は融資に応じると、反政府派市民の預金が流出する恐れがあるとして、慎重な姿勢を見せている。
支払いを受けられなくなった米農家はタイ各地で抗議活動を拡大している。タイ当局によると、06日には、中部のシンブリー県、アントン県、スパンブリー県、カンチャナブリー県などで米農家が幹線道路を封鎖。クルングテープ郊外の商務省前でも農家数百人が道路封鎖を開始。
← 米農家による道路封鎖(カンチャナブリー県)
米買い取り資金確保の手段として政府が期待していた在庫米の売却も進んでいない。タイ政府は04日、政府間取引で支那に輸出するはずだったタイ産米120万tについて、支那の国営企業が契約破棄の意向を伝えてきたことを明らかにした。政府はこれを受け、輸出する予定だった米を競売にかける方針。米担保融資制度はインラック政権の目玉政策の1つで、政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めてコメ輸出世界一の座から転落。買い上げた米の転売はほとんど進まず、膨大な在庫を抱え、最終的に数千億Bの損失を出す見込みだ。財政負担が重い割に政策効果が低いとして、国際通貨基金(IMF)やタイ国内のエコノミストから、早急に制度を打ち切るべきという意見が相次いだ。米買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家に渡り、汚職の温床になっている。
01月16日には、この制度をめぐり不正が行われたと、汚職取締委員会がブンソン前商務相、プーム前副商務相ら15人を刑事告発。インラック首相についても、不正を見逃したとして、刑事告発を視野に捜査を進めている。汚職取締委によると、ブンソン商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したとしていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。 |
米担保融資制度などインラック政権の経済政策を以前から厳しく批判しているプリディヤトン元タイ中央銀行総裁(元副首相兼財務相)は、米代金の支払いが遅延し、大勢の農民が抗議の声を上げていることなどを例に挙げて、「現在の選挙管理内閣が機能不全に陥っている。」と指摘、中立的な暫定政権を樹立すべくインラック首相に辞任するよう要求。
これに対し、キティラット副首相兼財務相は、「(辞任要求は)反政府派の非民主的な要求と何ら変わらない。」、「民主主義に反する。」、「タイの政治システムへの諸外国の信頼を繋ぎ止めておくため現政権が存続しなければならないことを理解していない。」などと反論。スラポン副首相兼外相も、「プリディヤトンは首相の椅子を狙っているのではないか。」などと批判。 |
政府の米買い上げ制度で代金支払いが遅延し、全国で農民が抗議の動きを見せている問題で、民主党のアピシット党首は、政府に対し、農民に支払う代金を捻出するために買い上げた米を速やかに売却するよう要請。
アピシット党首によれば、「政府は『自分たちに責任はない。政府も苦しい立場にある。』などと訴えて同情を買うことだけに躍起で、買い上げた米を売却しようとはしていない。法的には選挙管理内閣による米売却には何ら問題がない。にもかかわらず、そうしないのは、政府が抱え込んでいる米の量と品質が公になるのを恐れているからだ。」という。
また、民主党では中部や西部出身の前議員らが、近く、買い上げた米を賠償金とともに農民に返却するよう政府に求めるキャンペーンを開始する予定。 |
反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、米担保融資制度で大勢の農民が代金を受け取れずに苦境に立たされていることから、反政府デモ隊が貯蔵庫から買い上げ米を奪って売却する考えを明らかに。
タクシン支持者の多い農民を助けることで反政府の味方にする戦略のようだ。
ステープによれば、「政府は金融機関から資金を借りて農民への支払いに充てようとしているが、これは、次の政権に借金を残すもので、選挙管理内閣にその権限はない。また、政府は買い上げ米を全て売却しようとしたものの、政府内に影響を受ける者がいたため、これを断念した。」、「政府が米買い上げ制度で購入し、保管中の米は1800万tに及ぶ。」と指摘。 |
20時26分頃 | クルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)前の反政府デモ会場に擲弾2発が撃ち込まれた。立体交差橋から発射されたと見られる擲弾はトイレの近くなどで爆発したが、付近に人はおらず、怪我人はなかった。グレネードランチャーで手榴弾が撃ち込まれた模様。
擲弾はラープラーオ五叉路のデモ拠点に撃ち込まれたことがあるが、チェーンワタナ通では今回が初めて。 |
02月07日(金)未明 | 、タイ中部ラーチャブリー県ムアン・ラーチャブリー郡にある民主党支部に、手榴弾が投げ込まれた。投げ込まれた手榴弾は不発だったため、負傷者は出なかった。 |
| 野党民主党のステープ元副首相率いる反政府デモ隊は、シーロム通を行進し、活動資金を募る模様。
09時半にサトン通のタークシン橋を出発し、チャルーンクルン通、シーロム通を行進し、ルムピニー公園を目指す。募金の目標額は1000万B。 |
政府と中央選管の間で総選挙問題の解決策が話し合われたが、候補者不在の南部8県28選挙区の選挙やり直しなどで意見がまとまらず、再び憲法裁判所の判断を仰がなければならない状況。
中央選管は、「中央選管には選挙やり直しの権限がないため、政府が新たに勅令を発令する必要がある。」と説明。だが、政府は、「昨年12月に発令された解散総選挙の勅令のもとで選挙やり直しが可能。新たな勅令の発令は不要。」と主張し、意見の一致をみることができなかった。
なお、ウィラット前民主党議員など法律専門家からは、「勅令の発令によって実施できるのは全国同時の総選挙に限られる。その場合、02月02日の総選挙は無効となる。」との指摘も出ている。 |
プリディヤトン元タイ中央銀行総裁が「現在の選挙管理内閣は機能不全に陥っている。」などとして首相に辞任を要求したのに対し、インラック首相は、「憲法に基づいて首相の職務を遂行する。」と述べ、辞任しない考えを再確認。
また、プリディヤトンが「全閣僚の辞任後に中立的な暫定政権を樹立する。」としていることについて、インラック首相は、「暫定政権に現在の選挙管理内閣を超える権限があるのだろうか。」と述べ、「暫定政権に強大な権限を持たせることは憲法に違反するため不可能であり、暫定政権を樹立しても現状を打開することはできない。」との見方を示した。 |
最大野党の民主党は先に、今回の総選挙が無効だとしてオンブズマンに対し、憲法裁判所に申し立てをするよう要請したが、オンブズマンは、「権限の範囲外。」と判断し、要請を却下。「憲法244条には、オンブズマンが受理できる訴えが規定されているが、民主党の要請はこれに該当しない。」という。 |
反政府系の大手新聞ASTVプーチャッカーンは06日、クルングテープの主要交差点を占拠した野党民主党系の反政府デモの費用を推定で1日4000万Bと報じた。
デモ隊幹部のエーカナット前民主党下院議員は07日、ニュースクリップに対し、「支援者からの無償支援があり、実際の費用はもっと少ない。」と主張。経費は全て寄付金で賄い、ステープ元副首相(元民主党幹事長)率いるデモ行進の際には1日300万~500万Bの寄付が集まると話した。実際の経費は「政府の調査を受ける可能性がある。」として、明らかにしなかった。
エーカナット前議員は民主党系のデモ会場が1ケ所だった01月08日の時点で、「音響機器やステージ、無料の食事などで、1日400万~500万B費用が掛かる。」と話していた。民主党系の反政府デモ隊は01月13日、都心の主要な交差点7ケ所を占拠。その後、5ケ所に縮小し、道路封鎖、座り込みを続けている。 |
02月08日(土) | デモ隊の妨害で候補者不在となった南部8県の28選挙区での選挙やり直しについて、政権党プア・タイ党幹部らは、「総選挙を完遂する権限は選管にある。」と明言。
政府が選挙やり直しのための勅令発令に依然否定的であることを示しており、「総選挙の完了をみるにはまだだいぶ時間が掛かる。」との見方が強まっている。
一方、中央選管は07日、「28選挙区での選挙やり直しのため政府は勅令を発令しなければならない。」との結論を下した。
これについて、ポンテープ副首相は、「投票から30日以内、すなわち03月04日までに下院議員全体の95%以上(475人以上)の出席をもって、(新政権樹立に向けて)特別国会を開催する必要があるが、これは選管の責任において成し遂げられなければならない」と述べ、「政府による勅令発令はあり得ない。」との考え。また、「選管から勅令発令の求めがあれば、政府は直ちに検討する。」と述べたものの、「選挙やり直しのための勅令発令は前例がない。」と付け加えた。
プア・タイ党の広報担当、プロムポンは、「政府に勅令を発令させるというのは罠。新たな勅令の発布は、02月02日の総選挙が全国で同時に実施されなかったことを意味しており、反政府派に総選挙無効を訴える根拠を与えることになる。」と述べて選管を批判。「下院解散に伴い政府には勅令発令の権限はない。」と指摘し、新たな勅令に反対する考えを明らかにした。 |
米買い上げ制度で代金支払いが遅れ、国内各地で農民が道路を封鎖するなどの抗議行動に出ている問題で、インラック首相が「反政府派が農民を焚きつけている。」と批判。
これに対して、ステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「農民の抗議には一切関与していない。」と強く反論。
政府は反政府派から圧力を掛けられている状態が続いているが、米代金の支払い遅延のため、政府支持者が多いはずの農民からも突き上げを食らっている。
また、PDRCは農民を支援するため、募金活動を開始しているが、07日に「デモ参加者から寄せられた募金が920万9440Bに上った。」と発表。ステープは、「農民を助けるため、クルングテープ都民への募金呼びかけを継続する。」としている。 |
タイ治安当局は、「ステープ元副首相ら反政府デモの指導者を宿泊させているとして、都内の高級ホテル、インターコンチネンタル・バンコクとデュシタニー・バンコクの経営者を11日に呼び出し、事情を聞く。」と発表。
ステープ元副首相らには、「クルングテープなどに発令されている非常事態宣言に違反した。」として、逮捕状が出ている。治安当局は、「ホテル側から満足のいく説明が得られない場合は法的措置を取る。」としている。
ステープ元副首相らが率いる反政府デモ隊は01月13日から、インターコンチネンタル・バンコクがあるラーチャプラソン交差点やデュシタニー・バンコクがあるサラデーン交差点などを占拠。一般のデモ参加者は路上に設営したテントで寝泊まりしているが、「ステープ元副首相ら前民主党下院議員を中心とするデモ隊幹部は高級ホテルに宿泊している。」と一部で報じられていた。 |
19時50分頃 | 、クルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)前の反政府デモ会場で手榴弾が爆発し、タイ人男性2人(42、30)が重傷。総合庁舎前では06日夜にも手榴弾が爆発。このときは怪我人はなかった。また、08日04時頃、爆竹が投げ込まれ、少年(17)が軽い怪我。
クルングテープの反政府デモ関連の死傷者は昨年11月30日から今年02月08日までで、死者10人、負傷者616人に上る。 |
02月09日(日) | 中央選管のプチョン事務局長は、「候補者不在の28選挙区でいつ選挙をやり直すかについて選管と協議するようインラック首相に11日までに文書で要請する。」と明らかに。
また、最大野党の民主党は、総選挙やり直しの手続きを巡って選管と政府の意見が対立している問題を速やかに解決すべく、憲法裁判所の判断を仰ぐよう選管に要求。
民主党の広報担当、チャワノンによれば、「総選挙絡みの問題のため政治は抜き差しならぬ状況に陥っており、これを打開するためには選管による迅速な行動が必要。」 |
警察によれば、東北部ウドンタニー県ムアン郡で01月21日、地元のタクシン派グループのリーダーの1人が銃撃されて負傷した事件で、容疑者の男(39)が「軍人3人に頼まれた」と自供。男は最南部ナラティワート県出身で、「軍人3人とは深南部の部隊に配属されていた際に知り合った。」、「8000Bで銃撃を引き受けたほか、犯行に使用された自動小銃はこれら軍人が用意した。」という。
警察によれば、銃撃事件が政治的なものか、あるいはビジネス絡みのトラブルなど個人的な理由によるものかは未だ不明。 |
中央選管のプチョン事務局長は、「候補者不在の28選挙区でいつ選挙をやり直すかについて選管と協議するようインラック首相に11日までに文書で要請する。」と明らかに。
また、最大野党の民主党は、総選挙やり直しの手続きを巡って選管と政府の意見が対立している問題を速やかに解決すべく、憲法裁判所の判断を仰ぐよう選管に要求。民主党の広報担当、チャワノンによれば、「総選挙絡みの問題のため政治は抜き差しならぬ状況に陥っており、これを打開するためには選管による迅速な行動が必要。」 |
クルングテープ都内ラクシー区で02月02日、反政府デモ隊と政府支持派が対峙していた際に何者かが発砲し、少なくとも6人が負傷した事件で、警察庁の報道官はこのほど、発砲容疑者の写真3枚を公開して市民に情報提供を求めた。
この事件では、目出し帽をかぶってポリ袋を被せた銃を構えている黒服の男の姿がカメラに捉えられていたが、公開写真には、この男と見られる容疑者の顔も写っている。
発砲者については、「反政府派の警備担当者」との指摘もあるが、反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)幹部のイッサラは、軍人との見方。 |
02月10日(月)10時頃 | ステープ元副首相率いる反政府デモ隊は、BTSエカマイ駅前を出発し、エカマイ通、ペッブリー通、トンロー通、スクムビット通を経て、BTSアソーク前まで行進。デモ支持者に米農家に対する支援金を募る。目標額は1000万B。
インラック政権は昨年12月、反政府デモの圧力に屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、米買い取り政策に必要な資金の手当てができなくなり、タイ各地の米農家が買い取りを求め、道路封鎖などの抗議行動を行っている。
一方、タイ外務省は10日、都内のシリキット・ナショナル・コンベンションセンターで、パスポートの発行を開始。クルングテープでのバスポートの発行は反政府デモによる外務省の閉鎖で遅れが出ていた。 |
10時半頃 | 首相府周辺で座り込みを続ける反政府デモ隊が、バンランプー交差点を封鎖し、プラスメン通、プラアーティット通に自動車が進入できなくなった。 |
11時頃 | 反政府デモ隊が占拠する都内の民主記念塔近くのプラナコーン区ラーチャダムヌンクラーン通のパンファーリラート橋近くの中央分離帯で爆弾が爆発。清掃作業員が中央分離帯の花壇の清掃をしていたところ、何者かによって置かれていた爆弾が爆発。清掃作業中のクルングテープ都庁の清掃員6人が負傷、このうち2人が重傷。 |
12時頃 | 反政府デモ隊がクルングテープ都内ラーマ6世通の工業省前に集結し、ラーマ6世通の交通を遮断。 デモ隊は都内アサダン通の内務省前でもデモを行っている。
また、米農家のデモ隊がクルングテープ郊外ムアントンタニーの国防事務次官事務所前でデモ。 |
| 反政府グループとそれを主導する民主党を批判する大型の看板が、都内2ケ所に設置。看板が設置されたのは、ラーマ4世通近くの高速道路沿いとウィパワディランシット通沿い。
「民主主義を破壊し、農夫への米代の支払いを妨害しているのは誰だ?」といった反政府グループを批判する文章が書かれている。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)の幹部、ソムサックは、PDRCが近く、インラック首相を辞任に追い込むために大規模な抗議デモを決行する方針と明らかに。
ソムサックによれば、「反政府デモ隊が座り込みをしていたラチャダムヌン通で、爆発物が爆発して清掃作業員6人が重軽傷を負うなど、反政府デモ隊への攻撃が今後も続く。」と見通し。「このため、新たな大規模デモで早期決着を図ることが必要。」という。 |
米担保融資制度で代金の支払いが遅れ、不満を募らせた農民が商業省前で座り込みを始めるなど抗議行動を拡大させている。政府は、農民代表と話し合いを行ったが、政府側は支払いの期日を示すことができず、批判を浴びることになった。
また、話し合いの中で、ニワットタムロン副首相兼商業相は、「財務省は代金支払いのため銀行から借り入れをする用意しているが、妨害している者がいる。」と訴え、金融機関に政府への融資を働きかけるよう農民に要請。
しかし、農民の代表らは、「資金調達は政府の仕事。」と反発、「政府が我々の米に手を出せないよう米貯蔵庫を封鎖する。」との発言も飛び出した。 |
クルングテープなどに発令されている非常事態宣言違反で逮捕状が出ていた反政府デモ隊幹部でステープに次ぐ実質№2のソンティヤーンは、宿泊先である都内センタラ・グランド・アット・セントラルプラザ・ラープラオで昼食をとるために同ホテルに1人で入ったところを警察官に逮捕された。今回の騒動で、反政府グループ幹部クラスの逮捕は初。他の幹部は、常に反政府デモ隊と行動を共にしていることもあって、まだ逮捕されていない。デモ隊はソンティヤーンの保釈を求める方針。
刑事裁判所は、非常事態宣言に違反したとして反政府グループ幹部19人に逮捕状の発行を許可していた。 |
赤服軍団として知られるタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の首脳、チャトポンはこのほど、反政府デモ隊が政府機関占拠を続けていることに苛立ちを隠さない。
政府の治安対策本部、平和秩序維持センター(CMPO)のチャルーム所長(労相)を名指しで批判するとともに、「内務省からデモ隊を退去させられないならチャルームは所長を辞任すべき。」と述べた。
当局とデモ隊の間で内務省解放について話し合いが行われたが、チャルーム労相は、「警察に何ができるかにかかっている。だが、警察は依然として対デモ隊措置を強化することを望んでいない。」と述べ、デモ隊の退去がいつ実現するかには言及しなかった。
チャトポンによれば、「チャルーム労相はCMPO所長に与えられた権限の行使に消極的であり、治安対策本部のトップとしての役割を十分に果たしていない。」 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)の幹部、ソムサックは、「PDRCが近く、インラック首相を辞任に追い込むために大規模な抗議デモを決行する方針だ。」と明らかに。 |
02月11日(火) | 政府の米担保融資制度で不正が蔓延しているにも拘らず、米担保融資制度を監督する立場にある国家米政策委員会の長であるインラック首相が、「手を拱いている。」と指摘されている。
これに対して、国家汚職制圧委員会(NACC)のウィタヤー副事務局長は、小委員会が間もなく調査を完了し、「首相に責任あり。」との判断を示す見通しを明らかに。小委員会が「罪に問うべき。」と結論づけた場合、首相には弁護の機会が与えられるが、本委員会が首相を訴追するか否かを後に決定する。訴追となれば、インラックは全ての公職から退くことが求められることになる。 |
中央選管は、「総選挙において01月26日に期日前投票ができなかった83選挙区で04月20日に投票をやり直すことを決定し、02月02日の本投票が中止となった投票所1万284ケ所で04月27日に投票をやり直すことが可能。」との見解を明らかに。「候補者不在の南部8県28選挙区については、政府が選挙実施の勅令を発令すれば、04月20日ないし27日に再選挙をすることができる。だが、反政府デモ隊が再び妨害行為に出ることが予想されるため、04月の投票やり直し・再選挙で総選挙を完了できるかは不透明。」という。 |
反政府デモ隊への爆弾攻撃や銃撃について「外国から連れて来られた者らの犯行。」との指摘が一部で出ている。
パパティップ国防報道官によれば、02月11日にシンガポールで開催された航空ショーにおいて、ユタサック副国防相に対し、カンボジアのティー・バン国防相がカンボジアの民間人や軍人の関与を全面的に否定した。カンボジア当局は「事実関係を明らかにするため調査を実施したが、タイ国内の政治活動に関与したカンボジア兵は1人もいなかった。」ユタサック副国防相は、「カンボジアはタイとの関係に悪影響を及ぼすようなことは望んでいない。もし関与したカンボジア兵がいたなら厳罰に処す。」と明言。 |
東北部ウドンタニー県で地元のタクシン派幹部が01月22日に銃撃され負傷した事件で、警察が軍人らの逮捕状を取ったことから、アドゥン警察長官とプラユット陸軍司令官が、軍人の扱いなどについて話し合った。実行犯とされる男はすでに最南部ナラティワート県で逮捕されており、自供などから警察は先に6人の逮捕状を取ったが、うち4人は軍人と見られる。
また、陸軍報道官は、陸軍が軍人4人に警察の取り調べを受けさせる準備を進めていること、取り調べには軍の担当者が立ち会うこと、容疑者に民間人が含まれるため軍人4人は軍法会議でなく裁判所で裁かれることなどを明らかに。 |
タイのテレビ報道によると、タイのタクシンが先週、ビルマを訪れ、現地で妹のヤオワパー前下院議員とその夫のソムチャーイ元首相らに会った。
インターネットの交流サイト、フェイスブックに、ビルマの寺とみられる場所で仏教儀式に参加したタクシンの写真が掲載され、訪問が明るみに出た。ソムチャーイ元首相は、タクシンとビルマで会ったことを認めたが、「タクシンは仏教儀式のためビルマを訪れただけで、タクシンの関与が噂されるビルマ南東部ダウェイの工業開発とは無関係。」と主張。
タクシンは2006年の軍事クーデターで追放され、国外滞在中の2008年に汚職で懲役2年の実刑判決を受けた。以来、投獄を避けるため、タイに帰国せず、主にドバイに滞在。
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国会議員の資産報告によると、クルングテープの反政府デモを率いる野党民主党の前下院議員9人は、ステープ元副首相を除き、最低でも純資産が1500万B(約4700万円)以上ある。
純資産額はエーカナット前議員が1億160万B(約3億1600万円)、ターウォン前議員が1億98万Bなど。ナタポン前議員に至っては純資産15億8106万バーツ(約49億2300万円)と、庶民からかけ離れた資産家。ナタポン前議員は父親が大手セメントメーカー、サイアム・シティ・セメントと昨年三菱東京UFJ銀行に買収されたアユタヤ銀行の会長を務め、妻は不動産などで知られるシーウィコン財閥出身。因みに、ステープ元副首相ら反政府デモ幹部を宿泊させているとして、タイ治安当局が調査対象に上げた高級ホテル「インターコンチネンタル・バンコク」はシーウィコン財閥がオーナー。
ステープ元副首相は資産2億1140万B、負債3億2398万Bとなっているが、息子が年商10億B以上、利益1億B超の会社の社長を務めるなど、資金力に問題はない。 |
21時頃 | 都内のタイ首相府前の反政府デモ会場で、会場の警備を担当する男性2人が口論の末、ナイフで切り合い、1人(30)が頭などに怪我して、病院に搬送された。現場では発砲もあった模様だが、搬送された男性は銃傷は負っていない。 |
02月12日(水)12時半頃 | タマサート大学歴史学講師のソムサックの都内の自宅に銃弾が撃ち込まれ、乗用車が破損、家の窓ガラスが割れるなどした。怪我人はなかった。ソムサックは当時、自宅にいた。
犯人はバイクに2人乗りした男で、ソムサック宅に向け、拳銃を発砲した上、レンガを投げ込んだ。
ソムサックは過去に何度か不敬罪の疑いをかけられていた。今月07日には、「インターネットの交流サイトに王室を批判するコメントを書き込んだとして、ソムサックを不敬罪の疑いで調査する。」と陸軍が発表。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、1990年から2005年にかけ、不敬罪の裁判は年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計400件以上に上る。今月07日には、タイの王族21人が連名で、インターネット上に王室批判を書き込んだとして、6人の捜査を警察に要求。 |
13時過ぎ | 都内バーンスー区ウィパワディーランシット通のPTT本社前で、何者かが反政府グループに向け乱射。タイ地元紙によると、この乱射による負傷者は出ていない。犯人は高速道路から発砲したものと見られており、現在地元警察らが犯人の行方を捜索中。 |
| 反政府デモ隊は、サラデーン交差点からパホンヨーティン通の天然資源環境省森林局まで、街宣車2台、ピックアップトラック15台、バス2台、バイク約20台で行進し、森林局の入口を封鎖。
13時時点で、森林局前のパホンヨーティン通は下り車線が封鎖されている。 |
憲法裁判所は、「憲法68条に抵触する。」として02月02日投票の総選挙の無効を求めたウィラット前民主党議員の訴えを証拠不十分で却下。
民主党は、「下院選が同一日に全選挙区で投票できなかったこと、下院解散後にインラック政権が非常事態宣言を発令したことなどを理由に、今回の下院選が違憲な方法による権力の掌握を禁じた憲法条項に違反したと主張。
憲法68条は、憲法で保障された権利、権限を用いて立憲君主制に基づいた民主主義のルールに違反することや、憲法で保障されていない手段で国家統治の権限を取得することなどを禁じている。
ウィラットは、「今回の総選挙は『全国で同時に実施する。』との憲法規定に違反しており、憲法68条で禁止されている行為に該当する。」などとなどと申し立てていたが、憲法裁は、「訴えは十分な裏付けに欠ける。」と判断し、却下することになった。
また、憲法裁は、「ステープ元首相など人民民主改革委員会(PDRC)首脳らが憲法68条に違反した。」との政権党プア・タイ党の広報担当プロムポンの訴えも却下。
憲法裁判所によれば、「PDRCによる抗議活動は、タクシンらに恩赦を与える恩赦法案と現政権による国の統治に反対するものであり、非憲法的手段による民主的政権の転覆や権力奪取を目的としたものではない。」
タイでは昨年10月から、タクシン派政府・与党と反タクシン派野党民主党の対立が激化。12月にクルングテープで数十万人規模の反政府デモがあり、政府は下院を解散、総選挙に追い込まれた。しかし、民主党は下院選をボイコットした上、今年01月13日からクルングテープの主要交差点をデモ隊で占拠。02月02日の下院選では民主党の地盤である南部とクルングテープの投票会場でデモ隊による投票妨害があり、全国の投票会場の1割以上で投票が行えなかった。
当選する下院議員の数が下院開会に必要な定足数に届かないことが確実なことから、選挙委員会は11日、投票が行えなかった選挙区での期日前投票と投票を04月20日と27日にやり直す方針を示した。事態の沈静化を期待し、やり直し投票の日程を大きく遅らせる作戦。ただ、憲法では下院選の投票日から30日以内に下院を開会すると規定されており、やり直し投票を04月まで遅らせれば、この規定に違反することになる。
反政府デモ隊はインラック首相の退陣と、様々な職種の代表からなる「人民議会」への権力委譲を要求しているが、政府は違憲、違法だとして応じていない。憲法では首相は下院議員から選ばれると規定されているため、下院が開会できない状態で首相が辞任すれば、後任の首相の選出が行えない。 |
政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)が反政府デモを抑え込もうと、デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)に資金援助している企業や個人の名前を公表しようとしていることに対し、援助者といわれる人々から早くも「確固たる証拠もなく名指しされたら名誉毀損でCMPOを訴える。」といった反発の声が挙がっている。
資金援助者は136及ぶ企業や個人とされるが、CMPOは11日に資金援助者名の公表延期を決定。
また、公表に向けて、資金洗浄対策室(AMLO)と警察庁、法務省特別捜査局(DSI)、麻薬制圧委員会、国税局に対し資金援助者に関する詳しい調査を要請。
だが、関係筋からの情報として資金援助者とされる企業や個人の名前が報道されたことで、CMPOを批判する意見が出ている。
「援助者」と報じられた企業の1つ、消費財大手サハ・グループの子会社サハ・パタナピブンのブンチャイ社長は、「驚いてはいない。(CMPOがサハ・パタナピブン社を支援者とみていることは)2週間ほど前からわかっていた。だが、当社は政治とは関わりなく、私の家族も中立の立場にある」と説明。また、「CMPOは、PDRCへの資金援助を止めさせたいだけで、援助者を本気で訴追するつもりはないだろう。」との見方を示した。 |
南部8県の28選挙区が反政府デモ隊の妨害で候補者不在となっている問題で、中央選管は、同選挙区での再選挙実施に向けて、立候補受付の期間と投票日を決めるべく新たな勅令を発令するよう文書で正式にインラック首相に要請。中央選管によれば、「法律では、立候補受付は総選挙実施の勅令発令から20日以内に完了する、すなわち昨年12月29日までに立候補受付を行わなければならなかったと明記されている。このため、『下院を解散して02月02日に総選挙を実施する。』とした12月09日発令の勅令に基づいて選管が28選挙区での再選挙の日程を決めることは不可能であり、政府が改めて勅令を発令する必要がある。」
ただ、「勅令で実施される選挙は、総選挙を補完するものではなく、新たな総選挙でなければならない。」との法律専門家の指摘もあり、政府サイドは、「02月総選挙を無効とするための陰謀。」などと疑い、今のところ勅令発令には否定的な姿勢を取っている。
中央選挙管理委員会は、「反政府グループによって妨害を受け一部地域で投票が行うことができなかった有権者向けの総選挙再投票日について、04月27日に行う。」と発表。
タイ地元紙によると、投票中止となった39選挙区で再投票が行われることが決定したものの、残りの28選挙区については政府と選挙管理委員会による合意が得られず、日程の目処が立っていない。期日前投票も同グループの妨害によって一部地域で投票が行えなかったため、この再投票も04月20日に行われる。 |
政府の米担保融資制度で代金支払いの遅延に不満を募らせている農民が、全国各地で幹線道路を封鎖するなどの行動。中央農業委員会のウボンサック委員長は、「政府に代金を支払わせるため、中部、北部、南部の24県の農民代表がそれぞれの県の農民を動員して19日にクルングテープで抗議集会を行うことで意見が一致した。」と発表。
具体的には、米代金を受け取っていない農民がこれらの県から荷物運搬などに使う低速の農業用自動車で隊列を組んでクルングテープに向かうことになっているが、ウボンサック委員長は、クルングテープのどこで集会を行うかには言及しなかった。
反政府派から退陣要求を突きつけられている政府は、代金の支払いが遅れていることで、政府支持者であるはずの農民からも突き上げを食らう格好となっている。
また、反政府派が米代金を受け取れずに困っている農民を助けるためウボンサックで募金活動を行っているが、ウボンサック委員長は、「ウボンサックでの集会は代金支払いを可能にすることが目的。政治的なものではない。農民たちの上京のためにいかなる政治勢力からも財政的支援を受けない。」と明言。 |
02月13日(木)未明 | 、都内BTSラーチャテーウィー駅近くで、爆発物が爆発。タイ地元紙によると、爆発物は大型の爆竹が爆発したものと見られており、幸い近くには誰もいなかったことから負傷者は出なかった。反政府グループのデモ隊に向けて投げ込まれたようだ。 |
| 刑事裁判所は、今月01日に都内ラクシー交差点で起きた銃撃事件の容疑者3人の逮捕状請求を証拠不十分で却下。
この事件では、今月02日の議会下院総選挙の投票会場の準備妨害を図った反政府派の市民数百人と政府支持派の市民が衝突し、双方が数十分間にわたり銃を撃ち合い、タイ人6人と米国人カメラマンの計7人が怪我。選挙委員会はこの事件を受け、ラクシー区での投票を中止。 |
中央選管が候補者不在の28選挙区で再選挙を実施するため、政府に勅令を発令するよう求めていることについて、ポンテープ副首相は、「勅令発令が可能かを判断するよう法令委員会(国の法律最高諮問機関)に求めた。」と明らかに。
ポンテープ副首相によれば、「勅令発令には検討すべき点が多々あり、これまでのところ法令委員会も法律問題が発生する可能性を指摘している。ただ、法令委員会が正式な見解を示しても、法的拘束力を持たないため、最終的には憲法裁判所の判断を仰ぐ必要がある。しかし、政府はまだ憲法裁判所に判断を求めるか否かを決めていない。」 |
現在の政治危機を打開するため各方面から「政府と反政府派の仲介役を務めたい」という声が挙がっていることについて、インラック首相は、「平和が取り戻せるなら、人民民主改革委員会(PDRC)の提言に耳を傾けたい。」と発言し、政府と反政府派の交渉に協力する考えを明らかに。
だが、「様々な法的手続きが必要になるため、交渉に直接関わることはできない、」、「当事者とみられては困る。」、「(問題が起きているのは)私のせいではない。」などと述べ、インラック首相が自ら反政府派に対応する必要はないというこれまでの姿勢を変えなかった。また、ウィサヌ元副首相の名前が仲介役の候補として挙がっていることについて、インラック首相は、「見識ある人ということしか知らない。」と述べるに留まった。 |
国家治安委員会(NSC)のパラドン事務局長は、「反政府デモ隊が座り込みを続けている交差点などの車両通行量を増やすため、警察が14日にも強硬手段を用いないデモ隊の部分退去実現に向け動き出す見通しだ。」と明らかに。
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)は政府に圧力をかけるべく、都内の複数か所をデモ拠点とし、支持者を動員して座り込みを継続しているが、パラドン事務局長は、「市民生活に影響が出ており、無数の苦情が寄せられている。警察が法を執行するのは妥当と思う。」と発言。「当局の措置が暴力を誘発するのではないか。」との質問に対しては、「力ずくで退去させることはない。」と返答。
一方、PDRCは、「部分的退去」を反政府派の勢力を殺ぐための作戦と見ており、「当局がデモ隊排除に踏み切ったら、他のデモ拠点のデモ隊は排除を阻止するため応援に駆けつけてほしい。」と呼びかけている。 |
政府の米担保融資制度で代金支払いが遅れている問題で、タイ農民協会のプラシット会長は、「政府は来週中に解決しなければならない。さもなくば、農民は大規模な抗議集会を決行する。」と述べた。
政府は、「支払いに充てる資金の調達に苦慮している。」と釈明しており、これに対しては、「米担保融資制度で農民から預かった米を売却すれば良い。」との意見が出ている。
だが、関係筋によれば、「政府は、保管している米の量や品質を偽っていたことが明らかになるのを恐れて売却に二の足を踏んでいる。」プラシット会長は、「農民が代金を受け取れるよう政府は米担保融資制度で預かった米に関する情報をすべて開示すべき。」としている。 |
02月14日(金)朝 | 政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)は、1500人に及ぶ機動隊を動員して政府庁舎周辺からデモ隊を排除し、テントなどを撤去。
奪還を予定しているのは、首相府前、内務省前(アサダン通)クルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)前、エネルギー省、タイ国営石油会社PTTなどが入居するエナジー・コンプレックス(ウィパワディランシット通)前。いずれも、デモを主導する野党民主党系のデモ会場ではなく、土嚢で道路を封鎖するなどした陣地内に、数十人から百人程度の反政府派市民が立て籠もっている。
ただ、機動隊が現場に到着した時点でデモ隊のほとんどは退去しており、「デモ隊と警察の間で話がついていたのではないか。」とする見方も出ている。
また、チェーンワタナ通の政府総合庁舎近くのデモ拠点では、朝から数百人の警察官がデモ隊を排除する動きを見せていたものの、デモ隊が抵抗し流血の惨事となる恐れがあったためか、「強硬な鎮圧は行わない。」としており、警察官は昼前には引き揚げた。
「首相府前、内務省前、総合庁舎前には警官数百人が出動したが、正午頃までに撤退した。」と報じられた。
野党民主党系のデモ会場は都心のパトゥムワン交差点、ラーチャプラソン交差点、アソーク交差点、サラデーン交差点の4ケ所で、一帯は歩行者天国状態になり、14日もコンサートなどが行われている。 |
11時頃 | 都内マカワンランサン橋の反政府デモ会場で爆発があり、タイ字紙記者の女性(52)とタイ人男性(30)が怪我をして病院に運ばれた。大型の爆竹が投げ込まれたと見られている。現場は首相府近く。 |
| 政府の米担保融資制度で米代金の支払いが遅れて大勢の農民が政府を批判し、抗議行動を拡大させようとしている問題で、インラック首相は、「政府貯蓄銀行(GSB)から170億Bを借り入れたことによって17日から支払いをすることが可能になった。」と明らかに。「この額では、代金を受け取っていない農民全員に代金を支払うことは不可能だが、支払い再開で農民の抗議が暫くは治まる。」と政府は説明。
170億Bは、GSBが農民への米代金支払いを担当している農業農協銀行(BAAC)に融資するもの。関係筋によれば、「支払いの手続きにある程度時間がかかるため、BAACが支払うことができるのは1週間に20億~30億B。170億Bを支払うには1ケ月程度かかる。このため政府は『農民が抗議をエスカレートさせることはない。』と楽観視しているようだ。」 |
政治危機を打開すべく政府と反政府派に話し合いをさせようとする動きがあることについて、反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「政府と交渉すべきことは何もない。」と述べ、大規模デモなどで政府に圧力をかけ続けてゆく方針に変わりのないことを再確認。「反政府側には『政府との話し合いを取り持つ。』という提案がいくつか来ている。」というが、ステープは、「勝敗がはっきりするまで闘い続ける。」と明言。「交渉の余地はない。」としている。 |
19時40分頃 | 都内ラチャダピセーク通の刑事裁判所の7階部分で爆発。窓ガラスが割れるなどした。怪我人はなかった。通りの反対側からグレネードランチャーで手榴弾が撃ち込まれたと見られている。
クルングテープでは01月半ばから、野党民主党が主導するデモ隊が主要交差点を占拠する異常事態が続いている。デモ会場に手榴弾が撃ち込まれる事件も数回起きた。今回の事件は、こうした政争が関係している可能性があると見られている。 |
02月15日(土)03時半頃 | トヨタ自動車のタイ法人トヨタ・モーター・タイランドのプラモン・スティウォン会長の都内イエンアカート通ソイ2の自宅に銃弾数発が撃ち込まれ、窓ガラスが割れるなどした。怪我人はなかった。
「プラモン会長は、クルングテープの主要交差点を占拠した反政府デモに資金援助を行っている可能性があるとして政府が調査している。」と、タイ字紙が報道。プラモン会長はデモ隊への資金援助を否定している。 |
02月16日(日) | 政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)のチャルーム所長(労相)は、「今週中に、デモ拠点5か所からデモ隊を退去させることにさらに力を入れる。」と述べた。CMPOは、反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)に座り込みをやめるよう呼びかけてきたが、効を奏しなかったことから、デモ拠点の奪回のために様々な手段を用いることにしたものという。具体的には、テレビ番組の中で反政府側と公開討論を行うことなどが予定されている。
チャルーム所長は、「我々がいかに忍耐強く対応しているかを国民に伝えることができる。だが、PDRCは、政府との交渉を全面的に拒否しており、公開討論に代表を送り込むことは考えにくい。」 |
02月02日投票の総選挙を完了させるための政府と中央選管の協議が02月17日に予定されていることについて、政権党プア・タイ党の広報担当プロムポンは、「何も進展はないだろう。」と、否定的な見方を示した。プロムポンによれば、「協議では、選管が自らを正当化する主張を展開し、実のある意見交換はできない見通し。」、「総選挙を完了させるには、一部の選挙区、投票所で選挙、投票のやり直しが必要だが、選管は再選挙には政府による勅令発令が必要。」と主張。
一方、政府は、選管が再選挙を実施することが可能との立場を変えていない。
プロムポンは、「新たな勅令を発令すれば、02月総選挙が無効とされ、プア・タイ党の解党処分へと繋がる。」と述べている。 |
「政府は政府貯蓄銀行(GSB)から170億Bを借り入れて米担保融資制度の下で、農業農協銀行(BAAC)を通じて農民への米代金支払いを02月17日に再開する。」と報じられている。これに対してGSB労組は、「預金者の信頼を損なう。」として、同行経営陣に対し、BAACへの融資を直ちに停止するよう要求。
BAAC労組も、「農民への米代金支払いのための資金元は定かでないが、GSBからの融資が使われることが判明したなら行動を起こす。」と表明し、予定通りに米の代金を支払うことができない可能性が出てきた。
ネット上では、「不正まみれの制度を支援するものであり、GSBの預金者は預金を全て引き出すべき。」といった声が広まっている。
このような批判に対し、ウォラウィットGSB頭取は、「総額200億Bに上る融資は、問題を抱える米担保融資制度を支援するためのものではない。当行の役員会が融資を承認するに当たって、融資を米担保融資制度のために使うという要求はなかった。」と釈明。「(今回の融資で)これまでにBACCに移った資金は数十億B。」と明らかに。なお、米担保融資制度でまだ代金を受け取っていない農民は100万人以上で、未払い代金は総額1300億B余りに上る。」という。 |
02月17日(月) | 警察によると、インラック首相が臨時オフィスを置いているクルングテープ郊外ムアントンタニーの国防次官事務所に、米農家のデモ隊が侵入し、首相との直接対話を要求。
インラック政権は昨年12月、反政府デモの圧力に屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、政府による事実上の米買い取り制度である米担保融資制度に必要な資金の手当てができなくなった。米の買い上げが滞ったことで、米農家が反発し、各地でデモが起きている。
この問題で、タイの国営銀行である政府貯蓄銀行(GSB)は16日、米買い上げの資金50億Bを政府に融資したことを認めた。都内パホンヨーティン通のGSB本店前には17日、中部アユタヤ県の米農家がバス10台を連ねて訪れ、GSBの支援に謝意を示した。 |
ステープ元副首相をはじめ、ニティトーンなど主要な幹部が率いる反政府デモ隊は、都内の首相府にデモ行進し、入り口に土嚢を積んでセメントを撒き封鎖。政府はデモ隊を阻止せず無抵抗だった。
政府は14日、首相府などの奪還を目指し、警官隊を動員したが、デモ隊との衝突を避けて撤退していた。 |
国営銀行、政府貯蓄銀行(GSB)で、野党民主党の地盤であるクルングテープと南部の支店を中心に、預金約300億Bが1日で引き出される騒ぎ。
事実上の米買い取り制度「米担保融資制度」で米農家への支払いを担当する国営銀行、農業協同組合銀行(BAAC)に対し、GSBが50億Bを融資したことが16日明らかになり、これに反発した民主党支持者らが預金を引き出したと見られる。
これを受け、GSBのウォラウィット社長は、BAACに対する追加融資150億Bの実施を見合わせ、取り付け騒ぎに備え、支店の現金を通常の2、3倍に増やす方針を明らかに。
インラック政権は昨年12月、民主党が主導する反政府デモに屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、コメ担保融資制度に必要な資金約1300億Bの手当てができなくなった。米の買い上げが滞ったことで、米農家によるデモが地方や商務省本省などで発生。16日午後にはクルングテープ郊外のスワンナプーム空港の旅客ターミナル前で米農家十数人が外国人らに米を渡し、窮状を訴える騒ぎがあった。17日にはインラック首相が臨時オフィスを置いているクルングテープ郊外の国防次官事務所に米農家のデモ隊が侵入し、首相との直接対話を要求。
政府は米買い取りの資金を在庫米の販売や銀行融資で工面しようとしているが、政府間取引で支那に輸出するはずだったタイ産米120万tについて、支那の国営企業が契約破棄の意向を伝えてきたことが02月に入り明らかになるなど、在庫米の売却は難航。銀行からの融資も今回の騒ぎで極めて困難になったと見られている。
米担保融資制度はインラック政権の目玉政策の一つで、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めてコメ輸出世界一の座から転落。
買い上げた米の転売はほとんど進まず、膨大な在庫を抱え、最終的に数千億Bの損失を出す見込みだ。財政負担が重い割に政策効果が低いとして、国際通貨基金(IMF)やタイ国内のエコノミストから、早急に制度を打ち切るべきという意見が相次いだ。「米買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっている。」という指摘もある。
今年01月には、この「制度をめぐり不正が行われた。」として、タイ汚職取締委員会がブンソン前商務相、プーム前副商務相ら15人を刑事告発した。インラック首相についても、「不正を見逃した。」として、刑事告発を視野に捜査を進めている。汚職取締委によると、ブンソン商務相らは「農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出した。」としていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い |
米質入れ制度で100万人を超える農民への米代金支払いが遅れている。キティラット副首相兼財務相は、選挙管理内閣が仮の執務室としている、都内チェーンワタナ通の国防事務次官事務所に押しかけた農民らにが現在の状況を説明。しかし、支払いの期日を提示できなかったことから、農民らが怒りだし、キティラットに罵声を浴びせたり、飲料水のペットボトルなどを投げつけたりする事態に発展。キティラット副首相は話の途中で、警備陣に守られてオフィス内に引き揚げることになった。
キティラットは農民らを前に、「政府は代金を支払おうと努力している。だが、選挙管理内閣であるため手続きが遅れている。」などと釈明し、理解を求めた。
農民からは、「政府が何をしているかはどうでもよい。我々が知りたいのは代金支払いの期日。」といった強い批判の声が上がり、「政府は退陣しろ。」という意見も飛び出した。 |
政府の米質入れ制度で農民への米代金支払いを担当する農業農協銀行(BAAC)に対する政府貯蓄銀行(GSB)の融資に批判が強まっている。GSBは、預金引き出しが約300億Bに上ったことから、対BAAC融資を急遽停止することを決めた。
ウォラウィットGSB頭取は、「これ以上BACCには融資しない。これまでに融資した50億Bもまだ使っていないなら返却してもらう。」と述べた。
GSBによれば、通常は1日の預金引き出しが70億B程度であるものの、17日は新規の預金約100億Bに対し引き出しが約300億Bに上り、差額が約200億Bに達するという異常な事態となった。また、預金引き出しが多かったのはクルングテープ首都圏と南部で、前者の預金はGSBの預金全体の4割を占めている。
なお、不正横行との批判を受けている米質入れ制度では、米代金を受け取れずにいる大勢の農民が抗議の声を上げており、政府が代金支払いに充てる資金の調達に躍起になっている。
この問題に巻き込まれるのを嫌ってGSBの労組が対BAAC融資の中止をGSB経営陣に要求。ネット上でも、この融資を批判し、GSBからの預金引き出しを呼びかける動きが拡大していた。 |
政府と中央選管との協議で、政府は、「憲法では、『総選挙は投票日から30日以内に完了させなければならない。』と規定されている。選管が総選挙完了の責務を果たさなければならないの明白。」と主張。政府はこれまでと同じように選管に対し、一部の選挙区や投票所での選挙・投票のやり直しを実施するよう要求。
一方、選管も、「再選挙を実施する権限は選管にはない。」などと指摘し、これまでの姿勢を変えず、協議は平行線のまま終わった。
協議に出席した法律専門家からは、「憲法裁判所の判断を仰ぐべき。」との意見も出された。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長は、「19日に官僚全員を辞任に追い込むための決戦に臨む。」と宣言し、全国の支持者に対し、クルングテープに集結するよう呼びかけた。
一方、政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)のトップ、チャルーム労相は、「反政府デモのため政府が事実上放棄した政府庁舎(首相府)で19日にインラック首相が執務を再開できるようにする。」と宣言しており、決戦はこれに呼応したものとも考えられる。 |
政府の米質入れ制度への融資に批判が巻き起こっている問題で、政府貯蓄銀行(GSB)では大量の預金が引き出され、GSBトップが引責辞任する事態となっている。一方、大手商業銀行バンコック、サイアム・コマーシャル(SCB)、カシコンの3行の預金が急増している。
SCB首脳によれば、「SCBでは02月17日だけで個人・法人による新規の預金が数十億Bに上った。」という。
業界筋は、「大手3行は、米質入れ制度に関わっていないため、GSBから預金を引き出した人の多くがこれら3行に預金を移しているようだ。」と指摘している。 |
02月18日(火)朝 | タイ治安当局は、エネルギー省、タイ国営石油会社PTTなどが入居する都内ウィパワディランシット通のエナジー・コンプレックス前の反政府デモ会場を警官約1500人を動員して奪還し、デモ指導者2人を逮捕。デモ参加者は数十人で、警官隊との衝突はなかった。
治安当局は18日中に、エネルギー省のほか、、首相府、内務省(アサダン通)、民主記念塔近くのラチャダムヌン通、クルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)を奪回する方針を示している。このうち、総合庁舎については、封鎖された車線の一部の解除にデモ隊側が合意。
反政府デモを主導する野党民主党のステープ元副首相は朝、デモ隊の拠点であるパトゥムワン交差点から首相府前に移動し、デモ参加者に対し、徹底抗戦を呼びかけた。首相府前ではデモ隊と警官隊の睨み合いが続いている。
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11時過ぎ | 反政府デモ隊が占拠した都内ラチャダムヌンクラーン通の民主記念塔周辺で、警官隊が催涙ガス弾を発射してデモ隊の強制排除を図り、デモ隊と衝突し多数の死傷者が出た。警察がデモ隊の選挙地の撤去をしようとしたところで衝突となり、警察側がゴム弾や催涙弾を使用、デモ隊側が拳銃で応酬。
警察によると、都内ラチャダムヌンクラーン通の民主記念塔周辺で起きた警官隊と反政府デモ隊の衝突で、警官数人が負傷、警官1人が銃で頭を撃たれ死亡。また、手榴弾と見られる爆発物が爆発。
警官隊は朝から、民主記念塔周辺を占拠した反政府デモ隊に催涙ガス弾を発射するなどし、強制排除を図った。しかし、爆発や銃撃を受け、13時頃までに撤退。クルングテープの救急センターによると、この衝突で、警官、デモ参加者合わせ44人が負傷し、病院に運ばれた。報道により、警察側に死者1人、双方あわせて58人が負傷。
民主記念塔周辺では12時頃、デモ隊がソムキアット元議員を奪還し、多数の負傷者が出たことを受け、警察は1時間ほどで撤退。
反政府デモ隊と警官隊は首相府周辺でも衝突し、怪我人が出た模様。 |
| 民主記念塔で起きた警察と反政府デモ隊の衝突による死者が3人となったことがわかった。タイ地元紙によると、 エラワン緊急医療センターは本日の衝突による死者が3人、負傷者が59人となったと発表。
昨年11月30日から現時点までの一連の騒動による死者は14人、負傷者は691人。 |
クルングテープ救急センターによると、民主記念塔周辺で起きた警官隊と反政府デモ隊の衝突で、警官1人(45)とデモ参加者3人(52、43、29)の計、男性4人が死亡、66人が負傷。死亡した警官は銃で胸を、デモ参加者の1人は頭を撃たれた。
クルングテープの反政府デモ関連の死傷者は昨年11月30日から今年02月18日までで、死者15人、負傷者686人になった。
一方、警察は、エネルギー省、タイ国営石油会社PTTなどが入居する都内ウィパワディランシット通のエナジー・コンプレックス前の反政府デモ会場でデモ参加者の男性96人、女性48人、民主記念塔周辺で男女39人を逮捕した。 |
平和秩序維持センター(CMPO)の命令で反政府デモ隊の拠点のひとつ、都内ラチャダムヌンクラン通パンファ橋を奪還しようとした警官隊とデモ隊が、衝突し、民間人3人と警察官1人の計4人が死亡し、64人余りが重軽傷を負う事態。
警察が催涙弾やゴム弾を使用したほか、ラチャダムヌンノーク通に移動しようとした警官隊が擲弾や銃による攻撃を受けた。
デモ隊によれば、警察は当初、パンファ橋のデモ隊に対し、交通渋滞を緩和するため車両の通行スペースを広げるよう要請。
だが、パンファ橋から立ち退くよう即座に要求し、テントやステージを撤去し始めたため、デモ隊が抵抗したものという。
また、「警官隊に対して高い建物から何者かが擲弾を発射したり発砲したりした。」と報じられているが、犯人らがどのような目的で攻撃してきたかは今のところ不明。
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タイ中部ノンタブリー県にある商務省に農家の集団が現れ、商務省の出入口に鍵をかけ妨害を始めた。タイ地元紙によると、この集団は米担保融資制度の利用を求めており、商務省関係者が交渉にあたったが合意は得られていない。 |
民事裁判所は、反政府グループが求めていた非常事態宣言の取り消しに関して、15時頃裁定を下す予定。反政府グループは「クルングテープ首都圏に非常事態宣言を発令する必要な理由はない。」と、非常事態宣言の解除及び強制排除の禁止を求めている。
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国家汚職制圧委員会(NACC)は、「政府の米担保融資制度で不正が横行していたにも拘らずインラック首相が何ら対策を講じなかったのは職務怠慢。」との判断を示し、首相に27日に容疑に対する言い分を述べるよう命じた。米質入れ制度は、以前から「汚職まみれ」との批判があり、政府も部分的にこれを認めていた。
また、インラック首相は、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会のトップであることから責任を問われることになった。
NACCは03月半ばには首相を訴追するか否かを決定する見通しだが、訴追となれば、インラック首相は首相職を含む全ての公職を解かれることになる。 |
国家汚職防止委員会は、「インラック政権が進めた米担保融資制度について、職権乱用等の容疑で告発する予定である。」と明かに。国家汚職防止委員会は、「首相が汚職や巨額な損失が発生することを知りながら、この制度を進めていた。」として、「職権乱用や職務怠慢にあたる。」としている。今後首相から事情聴取などを行った上で、検察に告発する方針。 |
政府貯蓄銀行(GSB)が、「米担保融資制度」で米農家への支払いを行う農業農協銀行(BAAC)への融資を行ったことで波紋が広がっている。
融資が農民への米代金支払いに使われることに強い批判が出ており、大勢の利用者が02月17日に続き18日も、GSBで預金を引き出し、2日間における同行の保有預金額が480億Bあまり減少することになった。この事態を受けて、ウォラウィットGSB頭取は責任をとって辞表を提出。
約100億Bの新規預金に対し、預金引き出しは17日、約300億Bに上り、GSBの保有預金額は約200億B減少。
また、ソムチャイ元首相など政権党プア・タイ党幹部や政府を支持する実業家らが、引き出しに歯止めをかけるため、他行から引き出した資金をGSBに預金した。
だが、関係筋によれば、18日も新規預金120億Bに対し引き出しが約400億Bに拡大し、保有預金額がさらに280億Bほど減少することになった。 |
タクシン派インラック政権による事実上の米買い取り制度「米担保融資制度」が弱体化した政権の致命傷になりかねない見通しとなってきた。
汚職取締委員会は、インラック首相が米担保融資制度による汚職、巨額の損失について知りながら無視したとして、職務怠慢、権力乱用で告発することを決めた。27日に首相を召喚して容疑を伝え、その後、議会上院での弾劾を請求するか、また、刑事裁判を求め検察庁に書類送検するかどうかを正式に決める。検察が起訴したとしても、刑事裁判は時間がかかる見通しだが、上院での弾劾は成立すれば首相失職となる。
一方、コメ担保融資制度で米農家への支払いを担当するタイの国営金融機関、農業協同組合銀行(BAAC)に50億Bを融資したタイ政府貯蓄銀行(GSB)は、この政策に反対する反タクシン派の野党民主党の支持者らによる取り付け騒ぎで、17、18日に預金数百億Bが流出した。GSBのウォラウィット社長は、責任を取り辞表を提出し、BAACに対する追加融資150億Bは中止された。
取り付け騒ぎが起きたのは、民主党の地盤であるクルングテープと南部で、預金の流出額は17日1日で約300億Bに達した。預金流出は18日も続き、一部の支店では用意していた現金がなくなった。また、GSBの行員の一部は融資に抗議して黒い服を着用して出勤し、ウォラウィット社長の辞任を要求した。
テレビ報道によると、クルングテープでは18日、「農家を支援したい。」、「取り付け騒ぎを沈静化させたい。」といった理由でGSBに口座を開き、1人で数千万~数億Bを預金した実業家のグループもあった。ソムチャーイ元首相らタクシン派与党プア・タイ党の幹部もGSBで預金口座を開設。
インラック政権は昨年12月、民主党が主導する反政府デモに屈して議会下院を解散、総選挙に踏み切った。これにより、政府の機能が選挙管理に限定され、米担保融資制度に必要な資金約1300億Bの手当てができなくなった。政府は米買い取りの資金を在庫米の販売や銀行融資で工面しようとしているが、政府間取引で支那に輸出するはずだったタイ産米120万tについて、支那の国営企業が契約破棄の意向を伝えてきたことが02月に入り明らかになるなど、在庫米の売却は難航している。銀行からの融資獲得も、GSBの取り付け騒ぎでさらに困難になったとみられている。融資がうわさされたサイアムコマーシャル銀行は18日に噂を否定。米買い取り資金のための国債を購入するといううわさが立った国営空港運営会社エアポーツ・オブ・タイランド(AOT)では18日、社員による抗議集会が行われた。
米の買い上げが滞ったことで、米農家によるデモが地方や商務省本省などで発生。16日午後にはクルングテープ郊外のスワンナプーム空港の旅客ターミナル前で米農家十数人が外国人らに米を渡し、窮状を訴える騒ぎがあった。17日にはインラック首相が臨時オフィスを置いているクルングテープ郊外の国防次官事務所に米農家のデモ隊が侵入し、首相との直接対話を要求。
インラック首相は18日、テレビ演説を行い、「反政府勢力の妨害で米農家への支払いができなくなった。」と主張。政権を転覆し、非民主的な政府を打ち立てることを狙った政治ゲームの人質に米農家がなっているとして、反政府勢力を非難した。また、汚職取締委に対し、政治目的のために捜査を行わないよう求めた。
米担保融資制度はインラック政権の目玉政策の一つで、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。
買い上げた米の転売はほとんど進まず、膨大な在庫を抱え、最終的に数千億Bの損失を出す見込み。「財政負担が重い割に政策効果が低い。」として、国際通貨基金(IMF)やタイ国内のエコノミストから、「早急に制度を打ち切るべき。」という意見が相次いだ。「米買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっている。」という指摘もある。
今年01月には、この制度を巡り不正が行われたとして、汚職取締委がブンソン前商務相、プーム前副商務相ら15人を刑事告発した。汚職取締委によると、「ブンソン商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出した。」としていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。
米担保融資制度に関する汚職防止委の調査は微妙なタイミングで進んでいる。インラック首相の弾劾が行われる可能性があるタイの議会上院は定数150で、タイの全77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる反タクシン派色の強い委員会が選出する。任期は6年。03月02日に任期満了となり、03月30日に選挙が行われる。
現在の上院で強硬な反タクシン派は40人程度と見られる。しかし、次の上院は選出制議員のほぼ全員が反タクシン派になるとみられ、反タクシン派は選挙である程度の議席を抑えれば、容易に過半数を抑えられる見通し。こうした状況になれば、インラック首相の弾劾が成立する可能性は高まると予想される。
首相が失職した場合、問題になるのは後任選び。憲法の規定で、首相は下院議員から選ばれるが、下院は現在解散した状態で、今年02月02日に行われた下院選では、民主党が選挙をボイコットした上、反政府デモ隊が投票を妨害し、下院議員の数が下院開会に必要な定足数に達していない。選挙委は投票が行えなかった選挙区での選挙を04月下旬に行う方針だが、憲法では下院選の投票日から30日以内に下院を開会すると規定されており、02月02日の下院選はこの規定に違反したとして、無効となる可能性がある。こうした状況で首相が失職すれば、タイは政府が存在しないまま漂流することになりかねない。 |
中央選管のスパチャイ委員長は、「準備時間が足りないため03月02日に再選挙をすることはできない。」と述べて、政府の要望に添って02月総選挙を完了させることは不可能との見解を明らかに。
政府と選管の間で17日に行われた協議で、政府側は、「憲法では、総選挙は投票から30日以内、すなわち03月04日までに完了させなければならないと明記されている。」として、選管に03月02日に再選挙を実施するよう要請。
また、スパチャイ委員長によれば、中央選管は19日にも、政府側の要請が法に反しないか検討する予定。
だが、中央選管は、「選管に再選挙を行う権限はない。」との立場を変えておらず、再選挙実施の要請を受け入れることは考えにくい。 |
02月19日(水) | 中央選挙管理委員会は、02日の下院総選挙で、反政府デモによる妨害などで投票が行えなかった投票会場のうち、東部ラヨーンなど5県の投票会場101ケ所で03月02日に投票をやり直す方針を明らかに。投票が行えなかった南部8県については、04月20日に期日前投票、27日に投票を行うという日程を白紙に戻した。
タクシン派の与党プア・タイ党は、「下院選の投票日から30日以内に下院を開会する。」と憲法で規定されているとして、早期の投票やり直しを求めていた。中央選管はプア・タイ党の要請を拒否した形で、02月02日の下院選が憲法裁判所により無効とされる可能性が強まった。中央選管は反タクシン派の影響が強い組織とみられ、02日の下院選については当初から、投票日を数ケ月延期するよう政府に申し入れていた。 |
反政府デモを主導する野党民主党のターウォン前下院議員が、「現在行っているデモは平和的なものであるため、非常事態宣言を発令するべきではない。」として、インラック政権が首都圏に発令している非常事態宣言 について、インラック首相兼国防相らを訴えた裁判で、民事裁判所は、「政府(選挙管理内閣)に非常事態宣言を発令する権限はなく、宣言は無効。」などとする訴えに対し、「政府は非常事態宣言発令の権限を有す。」との判断。
しかし、民事裁は非常事態宣言の解除を命じなかったものの、政府に対し、デモ隊の強制排除、バリケードの撤去、道路、通信の遮断、5人以上の集会禁止、指定した建物への進入禁止、集会場所への出入り禁止などを禁じ、実質的に原告勝訴の判決。判決に従えば、政府はデモ隊の強制排除ができなくなり、非常事態宣言の意味はほとんどなくなる。
ターウォンは、民事裁の判断について、「政府に対し銃の保有を許可したが、その使用を禁じたもの。」と指摘。判断を受けて、18日に警官隊がデモ拠点奪還しようとした際に銃撃などで死亡したデモ隊の遺族らと、デモ隊強制排除の責任を問うべくインラック首相やチャルーム労相などを告訴するかを話し合う考えを明らかに。
デモ隊は01月中旬から、クルングテープの主要交差点を占拠し、土嚢で道路を封鎖。路上にステージや大型スクリーン、音響機器、テント、簡易トイレ、屋台などを設営し、連日、演説やコンサートを行っている。
非常事態宣言は5人以上の集会禁止、容疑なしでの30日間の身柄拘束、報道統制などを合法化するもので、01月21日、クルングテープ都全域と隣接するノンタブリー県、スワンナプーム空港があるサムットプラカン県バンプリ郡、パトゥムタニー県ラードルムケーウ郡に発令。 |
インラック首相が先にテレビを通じて、「農民も国内経済も米担保融資制度の恩恵を受けている。」などと訴えたことに対し、中央選管のソムチャイ委員は、「総選挙が完了していないため、憲法や公職選挙法に違反する可能性がある。」と指摘。
具体的には、公共のメディアを使って有権者の支持を得ようとしたことが選挙法60条、農民に見返りを約束したことが53条、国家予算を用いることによる有権者への支持呼びかけが憲法181条4項、首相が中立の立場を守らなかったことが選挙法57条に抵触すると考えられる。 |
国家汚職制圧委員会(NACC)が米担保融資制度の不正横行問題に絡んでインラック首相を告発する方針を固め、首相に出頭・釈明するよう求めている。これについて、関係筋は、「首相は自ら出頭せずに文書で釈明する。」との見通し。
NACCは03月半ばに首相を訴追するか否かを発表する見通しで、訴追となれば、その時点で首相は停職となる。また、今回の告発は、首相罷免請求手続きの一環であり、NACCと上院を経て最高裁が判決を下すことになる。上院では、議員5分の3以上の出席をもって罷免を請求するか否かを決定する必要がある。
だが、ニコム上院議長によれば、「現在上院議員50人が上院選挙関連の憲法改正に絡んで不正行為の罪に問われており、罷免請求の決定で定足数割れとなる恐れがある。」
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反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長は、タクシン一族の関連ビジネスを今後は標的とする方針を発表。
手始めにデモ隊が、タクシンと妹のインラック・チナワット首相に圧力をかけるため、チナワット財閥の企業が入居する都内ウィパワディランシット通のオフィスビル、チナワットタワー3で連日デモを行う作戦を明らかにし、「我々はビジネスに関する話し合いに行くのである。」と述べ、違法行為ではないとアピール。
民主党のステープ元副首相率いるデモ隊は、インラック首相が臨時オフィスを置いているクルングテープ郊外ムアントンタニーの国防次官事務所、治安対策本部が設置されている都内ラクシー区のタイ警察スポーツクラブ、チナワットタワー3などにデモ行進。ステープは、政府が執務に使用している国防事務次官オフィスの代表と話し合い、オフィスを政府に使わせないよう要請したことを明らかに。
ステープ元副首相は、チナワットタワー3とデモ隊が占拠するパトゥムワン交差点で演説。「チナワットタワー3に入居するチナワット財閥の企業の営業を妨害し、閉鎖、倒産に追い込む。」と宣言。当初の標的はチナワット財閥の不動産会社SCアセット、タクシンが創業し、2006年にシンガポール政府の投資会社テマセクに売却したタイ携帯電話キャリア最大手アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)などで、ステープ元副首相はチナワット財閥の製品、サービスのボイコットや株式売却を呼びかけた。
チナワットタワー3のウェブサイトによると、SCアセット、AISのほか、ブリヂストン、いすゞ、フジクラ、アサツーディ・ケイ、オルガノ、日信工業といった日系企業のタイ子会社のオフィスがある。
タイ証券取引所(SET)株価指数は前日比0.4%安で、SCアセットは3.6%安、AISは0.9%安。 |
15時頃 | 都内ウィパワディランシット通のオフィスビル、チナワットタワー3ビル前で反政府デモ。入居企業の社員らに対し、安全のため退出するよう求め、退出後、出入口を閉鎖。警察によると、デモ隊はチナワットタワー3前から退去。 |
18時50分頃 | クルングテープ救急センターによると、、都内の高速道路を走行していた反政府デモ隊のピックアップトラックがラープラーオ出口近くで銃撃を受け、ピックアップトラックに乗っていた男性2人(40、24)が怪我。
一方、クルングテープ救急センターによると、18日に都内の民主記念塔周辺で起きたデモ隊と警官隊の衝突による死者は警官1人(45)、デモ参加者4人(52、43、29、29)の計5人に増えた。負傷者は警官26人、兵士1人、一般人42人の計69人。 |
02月20日(木)午前 | 都内のオフィスビル、チナワットタワー3前に反政府デモ隊数百人が集まり、ビル前のウィパワディランシット通の道路交通が麻痺。タイ警察によると、デモ隊の規模は街宣車1台、自動車約20台、バス4台、バイク約100台で、チナワットタワー3に入居するタクシン関連の企業に向け、「出て行け!」などと叫んでいる。 |
| 反政府デモ隊幹部のイッサラ僧侶らは、都内ワントーンラーン区にあるタクシン財閥系列のSCパークホテル(客室数220)に嫌がらせの目的でバス8台などで押しかけ、予約してあった20室へのチェックインを要求。ホテルは「他の宿泊客の迷惑になる。」として拒否し、ホテルは急遽、臨時休業に追い込まれた。この一派を主導していたイッサラ僧侶は、「宿泊するため訪れたのにキャンセルされることはありえない。」とし、その場でホテルに損害賠償12万Bおよび支払い済みの予約金返還を請求。ホテルも側は支払わざるを得ず、「ガソリン代」などの名目でイッサラ僧侶の要求をほぼ全て呑む形で現金で支払われた。 |
18日に都内の民主記念塔周辺で起きた反政府デモ隊と警官隊の衝突の際、しゃがみ込んで楯で身を守ろうとする警官隊の前に投げ込まれた手榴弾を捨て身で同僚を守ろうとしたティラデート警察上級曹長(44)が飛び出しを蹴り返そうとするが、その瞬間に爆発。反政府デモへの対応で、勤務先の東部チョンブリー県の警察署から応援に駆りだされていた。
手榴弾の爆発で両足を骨折するなど重傷を負い、都内の警察病院に入院中。手榴弾を蹴ろうとした理由については、TV局の取材に対し、「考える時間はなかった。」、「体が勝手に動いた。」などと話した。
18日の衝突では、警官1人とデモ参加者4人の計5人が銃で撃たれるなどして死亡、69人が手榴弾や銃で負傷した。警察は「楯と警棒、催涙ガス弾、ゴム弾しか使用していない。」と主張。デモ隊も武装を否定し、誰が発砲し、手榴弾を投げたかは明らかになっていない。
ただ、この日の衝突では、警察に逮捕されたデモ隊指導者が、銃撃、爆発による混乱の中、黒服の男らによって警察車両から奪還されるという事件もあった。治安当局はプロの仕事とみており、軍の一部がデモ隊に加勢したという疑いが浮上している。 |
プア・タイ党関係筋によれば、「プア・タイ党は、今のところ反政府派の圧力に屈せずあくまでもインラック首相を支え続けていく。」との姿勢を崩していない。
しかし、反政府や農民が訴訟を起こすなどしてインラック首相が、さらに大きな困難に直面することが懸念されることから、プア・タイ党がインラック首相の降板を選択することも考えられる。タクシン派政権では、一族と直接的な関わりのないサマック元バンコク都知事が首相を務めたこともある。
同筋は「首相に必要とされる資質は、プア・タイ党のことをよく理解し、党のために働いてくれること。サマックのような独断専行タイプが首相を任させることはないだろう。」と述べて、首相ポストを狙っているとも噂されているチャルーム労相がインラック首相の後釜に選ばれる可能性を暗に否定。 |
米担保融資制度で米代金を受け取れない農民が抗議行動をエスカレートさせている問題で、「政府は農民への支払いに充てる資金の調達に躍起になっている。」と報じられている。だが、タイ空港社(AOT)のシタ会長は、「政府から国債購入の要請があったが断った。」と明らかに。
すでに「政府がAOTから資金を調達しようとしている。」との情報が広まっており、AOTでは職員から抗議の声が上がっていた。
AOT職員を前にシタ会長は、「キティラット副首相兼財務相から国債購入の要請があったのは事実。だが、利率がわずか2.6%で、銀行預金の平均利率3~4%を下回るものだったため、購入しないことにした。」と説明。 |
政府の米担保融資制度で代金支払いの遅延を不満とする農民が、全国で抗議の動きに出ている。
北部や中部の県の農民約5000人が、政府に自分たちの意見に耳を傾けさせようとスワンナプーム国際空港に向かっており、空港利用者への影響が懸念される。
低速の農業用トラック約700台に乗り込んだ農民らは20日夜はアユタヤ県で宿泊した。21日、中部アユタヤ県バンパインを出発し、スワンナプーム国際空港に午後に到達する見通し。
← クルングテープに向かう米農家のデモ隊(アユタヤ県)
農民のリーダーは、「我々は空港を占拠するつもりはない。滑走路に入り込むことは絶対にない。だが、空港に向かう道路上に留まる者も出るかもしれず、利用者に迷惑がかかる恐れもある。」と述べている。農民らは、「いつ米代金を受け取れるかを明らかにするよう政府に要求しているもので、明確な回答がない場合、空港周辺に留まり続ける可能性がある。」という。米農家は商務省の本省、各局を封鎖も警告し、米代金を早急に支払うよう政府に要求。
インラック政権は発足直後の2011年10月に、事実上の米買い取り制度である米担保融資制度を導入した。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、インラック政権は昨年12月、野党民主党が主導する反政府デモに屈して議会下院を解散。政府の機能が選挙管理に限定されたことで、今期の米買い取りに必要な資金約1300億Bの手当てができなくなった。
政府は銀行融資で買い取り資金の工面を図ったが、国営金融機関の政府貯蓄銀行(GSB)が米農家への支払いを担当する別の国営金融機関、農業協同組合銀行(BAAC)に50億Bを融資したことが16日に明らかになると、民主党の地盤であるクルングテープと南部のGSB支店で取り付け騒ぎが発生し、17~19日の3日間で計940億Bの預金がGSBから流出した。これを受け、GSBはBAACへの追加融資を中止し、GSBのウォラウィット社長は辞任した。GSBの預金残高は2013年06月末で1兆8053億Bで、預金流出による経営危機は起きない見通し。
一方、汚職取締委員会が18日、「米担保融資制度の汚職、巨額の損失について知りながら無視した。」として、インラック首相を職務怠慢、権力乱用で告発する方針を固めたことに対し、インラック首相は20日、インターネットの交流サイト、フェイスブックに反論を書き込んだ。首相は自らの無実を主張し、「汚職取締委が民主党による捜査要求から21日間という、かつてない短期間で自分を刑事事件の犯人にした。」と指摘し、「政権転覆を狙った動きだ。」と示唆。
反政府デモを主導するステープ元副首相(元民主党幹事長)は、都内のデモ会場で演説し、「明日、人民政府が発足すれば、3日以内に米農家に全額を支払う」と述べた。ステープ元副首相はインラック政権を打倒した上で、様々な職種の代表からなる「人民議会」に国権を委ねるという事実上のクーデターを主張している。 |
夜 | 反政府デモを主導するステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局は、ビジネス街シーロムのデモ会場で演説し、「タクシン一族の資金源をぶっつぶす必要がある。我々の標的は(携帯最大手の)アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)だ。」と述べた。
AISはタクシンが創設した移動通信事業会社。現在は株の過半数を取得したシンガポールの政府系企業によって運営されている。ステープは、「タクシン一族がAISを所有していたときよりは少ないだろうが、一族が現在も株を保有していることは否定できない。」と指摘。AIS利用者に対し、「SIMカードを返却して、我々の反タクシン・キャンペーンに参加してほしい」と呼びかけた。
その他、タクシン関連の企業のボイコット、営業妨害などを改めて呼びかけた。ボイコット、営業妨害の対象に挙がった他の企業は携帯電話販売のMリンクアジア、メディアのボイスTVなど。「ラーマ9病院とチナワット大学は標的から外す。」と述べた。
また、タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD、通称赤服)が反政府デモ会場を襲撃するという噂について言及し、「かかってこい。」、「ポップコーン売りが待っている。」などと述べた。ポップコーン売りとは、議会下院総選挙前日の02月01日、都内ラクシー区で政府支持者らを銃撃したとされる武装グループの通称。
反政府デモ隊の攻勢を受け、UDDは23日に東北部ナコンラチャーシーマーで各地区の幹部を集め会議を開き、政治改革や反政府デモへの対応策などを協議する。19日にはUDD幹部のナタウット副商務相、チャトポン元下院議員らがクルングテープで演説。「前面に出てステープらと戦う。」と述べた。
非常事態宣言による治安対策本部のトップで反政府デモの取り締まりを担当するチャルーム労相は、テレビ演説を行い、民事裁判所が19日にデモ隊の強制排除などを禁じたことに対し、「デモ隊は銃を所持し、道路を占拠して土嚢を積み上げ、庁舎から備品を盗んだ。」と指摘。「デモ隊幹部に逮捕状が出ている。」とも述べ、民事裁の判断に疑問を示した。また、デモ隊が同日、都内のオフィスビル、チナワットタワー3を封鎖したことに言及し、「警官を動員すれば裁判所命令に違反して逮捕される。」と述べ民事裁を皮肉った。 |
22時半頃 | 都内ウィパワディランシット通のバンチャーク・ペトロリアムのガソリンスタンドの屋根で手榴弾が爆発。自動車1台と建物が破損。現場は非常事態宣言による治安対策本部が設置されているタイ警察スポーツクラブから約150m。警察は治安対策本部を狙い、近くを走る自動車専用高架道路ドンムアントールウェイからグレネードランチャーで手榴弾が撃ち込まれたと見ている。デーリーニュースが報じた。 |
02月21日(金)01時半頃 | クルングテープ郊外の野外動物園「サファリワールド」近くのサイアムコマーシャル銀行支店前で爆発。ATM
(現金自動預払機)などが破損した。怪我人はなかった。警察は「旧ソ連の対戦車擲弾(小型砲弾)発射機で擲弾が撃ち込まれた。」と見ている。 |
| 政府の米担保融資制度での米代金の支払い遅延に不満を募らせている農民数千人が抗議のためスワンナプーム空港を包囲する構えを見せていたが、政府が約1週間のうちに代金を支払うと約束したことから、米農家のデモ隊が政府の説得に応じ、中部アユタヤ県で散会。
大部分は帰宅するが、一部はクルングテープの商務省前で行われている米農家のデモに参加する模様。
タクシン支持者の多い農民を支援するためインラック政権が 開始した米担保融資制度のもとでは、全国で約100万人の農民が代金を受け取れずにいるとされ、全国各地で農民が抗議行動に出ている。
今回政府が空港に向かっていた農民らに支払いを約束したことについて、関係筋は、「全国から農民がクルングテープに集結して抗議がエスカレートするのを回避するため、一部の農民に代金を支払って農民の足並みを乱そうとしたもの。」と指摘。 |
プア・タイ党など与党4党が、 現在の政府が選挙管理内閣で権限が限られていることから、「政治の空白が長期に及べば、甚大な経済的損失を被ることになる。」などとする声明を発表して、中央選管に対し、早期に総選挙を完了させるよう要請。
プア・タイ党のチャルポン党首によれば、「憲法では、『総選挙は投票から30日以内に下院議員の95%、475人以上の出席をもって国会を召集しなければならない。』と規定されている。これは選管の役割であり、期限内に国会が召集できなければ、選管は憲法違反に問われることになる。」という。
一方、候補者不在の南部8県の28選挙区について選管は、「選管には再選挙を実施する権限がなく、政府による勅令発令が不可欠。」として、「選管だけで総選挙を完了させることはできない。」との姿勢を変えていない。 |
20時半頃 | クルングテープ救急センターによると、反政府デモ隊が占拠する都内のプラトゥーナム交差点で爆発。男性5人(40、33、27、20、19)、女性1人(48)が怪我をして病院に運ばれた。交差点の上を走る立体交差橋から手榴弾が投げ込まれたと見られている。現場はバンコク伊勢丹などがあるショッピング街。
ほど近いパトゥムワンのデモ拠点ではデモ指導者ステープが毎日演説を行い、その中継映像がラーチャプラソン交差点でも流されており、これを見に人が集まっていたところで爆発が起きた。警察によれば、「何者か歩道橋から手榴弾を投げ込んだものと考えられる。」という。 |
02月22日(土) | タカ派的な言動で知られたワンロップ元国内治安作戦司令部司令官が、政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)に加わる可能性が出てきた。このため、「反政府デモ隊に対し治安当局が強硬手段を用いるのではないか。」との見方が広まっている。
現在インラック首相の治安顧問を務めるワンロップに CMPOが参加を打診したことは、プア・タイ党が明らかにし、本人もその直後、CMPOから接触のあったことを認めた。
ワンロップは、「政府が望むなら拒否できない。首相とはまだ話をしていないが、正式な要請があれば、受ける用意がある。」と述べた。
また、「ワンロップが加わったことでCMPOがデモ隊の強制排除など強硬手段に訴えるのではないか。」といった 懸念の声があがっていることに対し、ワンロップは、「私は77歳の退役軍人。かつてのような武闘派ではない。」と述べ、「ワンロップの参加でCMPOの対反政府デモ隊方針が大きく変更されることはない。」との見方を示した。 |
プア・タイ党など与党4党が先に選管に対し、「総選挙を完了させることは選管の役目」として、一部の選挙区と投票所で選挙と投票をやり直すよう要請したことに対し、中央選管のソムチャイ委員は、 「選管は法で許されたことしかできない。」と述べて、「選管が選挙・投票をやり直して総選挙を完了させることは不可能。」と改めて強調。
中央選管によれば、「中央選管には再選挙実施の権限がないため、政府が選挙実施の勅令を発令する必要がある。」という。
だが、政府側も、「新たな勅令発令が憲法違反、プア・タイ党の解党処分に繋がる虞れがある。」として、再選挙実施にかかわることを拒否し続けている。
また、任期満了に伴う上院議員選挙が03月30日に予定されていることについて、ソムチャイ委員は、「リスクを減らすため上院選挙と(反政府デモ隊の妨害が予想される)再選挙・投票やり直しを同時には行わない。上院選挙は、問題が起きたとしても、総選挙の投票日(02月02日)ほど厄介なことにはならないだろう。」き述べている。 |
21時半頃 | 中部トラート県カオサミン郡のインチャルーン市場で反政府デモ隊が集会を行っていたところ爆弾攻撃と銃撃があり、屋台でヌードルを売っていた商人の娘(5)が頭部を撃たれて死亡。34人あまりが重軽傷を負った。
カンボジアと国境を接するトラート県の事件については、軍関係者から「武装外国人グループの犯行」との見方も出ている。 |
02月23日(日) | プア・タイ党の広報担当プロムポンは、政府が総選挙を完了させるよう求めているにもかかわらず、選管がこれに応じようとしないことから、「選管を警察に訴える用意がある。」と明らかに。
総選挙では、南部8県の28選挙区が反政府デモ隊の妨害で候補者不在となっていることから、立候補受付と投票をやり直す必要がある。だが、選管は、「我々には権限がない。政府が新たに勅令を発令する必要がある。」と主張。
一方、政府も、「総選挙を完了させるのは選管の仕事」として、勅令発令を拒否し続けている。このため、選管は、再選挙実施の権限について憲法裁判所の判断を仰ぐことを検討中という。
これについて、プロムポンは、「選管は責任を政府と憲法裁に押しつけようとしている。」と批判。 |
17時頃 | クルングテープ救急センターによると、都心のショッピング街、ラーチャプラソン交差点の反政府デモ会場で爆発があり、女性と少年が死亡、22人が怪我。「手榴弾が爆発した。」と見られている。
エラワン緊急医療センターは、この事件による死亡者が3人、負傷者が22人(報道により21人)に達したと発表。死亡者は、5歳の男の子、6歳の女の子、40歳前後の女性。
爆発があったのは仏系ディスカウントストア、ビッグCスーパーセンター・ラーチャダムリ店前。ラーチャダムリ通を挟んだ反対側にはバンコク伊勢丹などが入居する大規模ショッピングセンター、セントラルワールド。
現場から約400m離れたプラトゥーナム交差点では21日夜に、手榴弾と見られる爆発があり、6人が負傷。
また、保健省によると、22日夜、東部トラート県の反政府デモ会場に銃弾や手榴弾が撃ち込まれ、5歳の女児が死亡、34人が重軽傷。 |
| タクシン派の政権与党プア・タイ党は、「議会上院や憲法裁判所を使ってタクシン派インラック政権の転覆を図っている。」として、反タクシン派勢力を非難。
プア・タイ党は、「反政府デモでクルングテープの主要交差点を占拠したステープ元副首相(元民主党幹事長)らが、米買い取り制度をめぐる汚職を理由に、議会上院での弾劾で、インラック首相と全閣僚を失職させる、投票から30日以内に議会下院を開会できなかったとして、憲法裁判所が02月02日の下院選を無効にする、公選制と憲法裁長官らによる選出制が併用されている上院議員の選出方法をすべて公選制とする憲法改正案を支持した上下両院の議員308人を憲法裁が公職追放処分にするというシナリオを描いている。」と主張。
プア・タイ党はまた、「02日の下院選で反政府派による妨害で投票できなかった選挙区での投票のやり直しを選挙委員会が行おうとしない。」として、選挙委の告訴を検討していることを明らかに。憲法の規定では、下院は投票から30日以内に開会するとされており、03月04日までに開会できなければ、選挙自体が無効とされる可能性がある。しかし、選挙委員会は04月下旬にやり直し選挙を行う方針で、与党と対立している。
憲法裁、選挙委、汚職取締委員会などはいずれも反タクシン派の影響下にあると見られ、デモを主導する野党民主党は、こうした機関と連携して、インラック政権の打倒を狙っているとみられる。軍は中立を標榜し、デモ隊の排除や選挙妨害の阻止などで政府に協力しない構えだ。タクシン派は選挙以外に事態収拾のシナリオを描けていないが、デモ隊と選挙委に選挙を阻まれている。 |
02月22日から23日にかけクルングテープと東部トラート県で反政府デモ隊に対する擲弾攻撃や銃撃で男女児を含む4人が死亡し、50人以上が負傷。
デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)幹部は、「犯人は武装した者たち。彼らは政府の支援を受けている。」と政府を厳しく非難。 |
反政府デモ隊が集まっている場所で手榴弾が投げ込まれたり、擲弾が撃ち込まれたり、銃撃があったりして死傷者が出る事件が多発している。インラック首相は、「タイ人のすることではない。」と武器の使用などを非難。インラック首相によれば、「政治的考えが異なっても、それを表明する方法はいくらでもあるはず。相手を黙らせるために爆弾や銃を使うことは隣人を思いやる気持ちの強いタイ人がすべきことではない。」また、「自らの政治的立場を有利にするために人命を軽んじるのはテロ。政府はこのような行為を許さない。犯人が誰であろうと捕らえて裁く。」と明言。
一方、政府支持派の反独裁民主主義同盟(UDD)は、東北部ナコンラチャーシーマーで集会を開き、反政府派への不満を露わにした。 |
午後 | 都内ラチャダピセーク通の民事裁判所の駐車場で手榴弾が見つかり、警察の爆発物処理班が爆破処理。タクシン派インラック政権と反タクシン派勢力の抗争絡みと見られている。 |
02月24日(月) | クルングテープ救急センターによると、23日午後に都心のショッピング街、ラーチャプラソン交差点の反政府デモ会場で手榴弾が爆発した事件で、脳と肝臓に重傷を負ったタイ人女児(6)が24日06時25分、入院先のラマティボディー病院で死亡。この事件による死者は女児と脳と肺に致命的損傷を受けた弟(4)、女性(59)の計3人。幼い姉弟2人は親類の女性などと買い物に来ていたもので、帰宅しようと大型量販店ビッグCの前でトゥクトゥクに乗り込んだところ、何者かによって発射された擲弾の爆発で重傷を負った。親類の女性もICUで治療を受けていた。
また、18日に民主記念塔周辺で起きた警官隊と反政府デモ隊の衝突で重傷を負った男性警官も24日、入院先の病院で死亡。18日の衝突による死者は警官2人、デモ参加者4人の6人。
22日夜に東部トラート県の反政府デモ会場で手榴弾の爆発や銃撃が起きた事件では、死亡したとされる女児(5)が生存し、東部ラヨーン県内の病院で治療を受けていることがわかった。ニュースクリップが女児の入院先の病院に確認。
反政府デモ関連の死者は昨年11月30日から今年02月24日までで20人。負傷者は700人を超えた。 |
反政府デモ隊を狙ったと見られる爆弾攻撃・銃撃で死傷者が出る事件が相次いでいる。陸軍関係筋によれば、プラユット陸軍司令官は暴力の応酬を回避すべく、インラック首相に対し、クルングテープでの大規模集会開催をタクシン支持団体の反独裁民主主義同盟(UDD)に思い止まらせるよう要請。
これまでに発生した事件から、反政府派を支援する武装グループのほか、UDDなど政府支持派に味方する武装グループも存在すると考えられる。
プラユット司令官は、「UDDがクルングテープで大規模集会を行えば、対立が激化し、それぞれのグループがさらに過激な行動に出て当局の手に負えなくなる恐れがある。」と懸念している。 |
クルングテープの主要交差点を占拠した反政府デモ隊がタクシン関連企業の営業妨害やボイコットに乗り出し、標的となった企業の株価が軒並み下落。
18~24日の株価下落率はタクシンの妹のヤオワパー元下院議員の一族がオーナーの携帯電話販売会社Mリンク・アジアが16.7%、タクシンの娘がオーナーの不動産会社SCアセット11.6%、タクシンが創業し、2006年にシンガポール政府の投資会社テマセクに売却したタイ携帯電話キャリア最大手アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)7.2%など。
反政府デモ隊は24日、スクムビット通ソイ62のMリンク・アジア本社、ウィパワディランシット通のタクシン系インターネットテレビ会社ボイスTV、労働省、ラーマ6世通の科学技術省などにデモ行進。 |
タイ軍の最高実力者であるプラユット陸軍司令官は、陸軍傘下の地上波テレビ局チャンネル5で演説し、軍事クーデターを改めて否定し、タクシン派インラック政権と反タクシン派・反政府デモ隊に対し、対話による平和的な解決を呼びかけた。反政府デモ会場で手榴弾爆発、銃撃などが相次いだことについては、「2010年のタクシン派による反政府デモに関与した勢力が関わっている。」と述べ、タクシン派の武装グループによる犯行という見方を示した。
インラック首相は、クーデターの噂について、震え声で、「最後まで職務を果たす。」とだけ述べた。 |
「クリスティー・ケニー駐タイ米国大使が南鮮トンスルランドに転任になる。」という噂について、在バンコク米国大使館は、「ケニー大使は今年後半まで在任する。」として、噂を否定。
ケニー大使については、タイの反タクシン派の上院議員が23日、インターネットの交流サイト、フェイスブックに「駐タイ米国大使は韓国への転任が決まった。タイの政治に干渉したためだ。」、「近く良いニュースがあると伝えておいたが、次の大使はタイをよく理解している。」、「今後、国際社会は我々(反タクシン派)をより良く理解するはずだ。」と書き込んでいた。
ケニー大使はタイ王室に対する不敬罪を批判するなどし、反タクシン・反政府派の一部から、タクシン派寄りと見做されている。反タクシン派による02月02日の議会下院選の妨害を米外務省が批判したこともあり、米大使館のフェイスブックには、「まともな大使を送れ。」、「米国はタイに干渉するな。」といった反タクシン派市民による批判のコメントが書き込まれている。 |
反タクシン・反政府デモ隊幹部の仏教僧侶ルアンプープッタイサラ僧とタクシンの義弟のソムチャーイ元首相が、事態打開に向け、直接対談したことが明らかに。話し合いの詳しい内容は不明。ルアンプー僧によると、「2人は03月04日に再度会う予定。」という。
ソムチャーイ元首相はタクシン派与党プア・タイ党の実質的なトップで、タクシンと極めて近い。
ルアンプー僧はクルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)の反政府デモ会場を取り仕切っている。ただ、デモ隊の最高幹部はステープ元副首相ら野党民主党の前下院議員が占め、ルアンプー僧の発言力がどの程度かは不明。 |
刑事裁判所は、反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)幹部13人の逮捕状請求を却下。この請求は、法務省特別捜査局(DSI)が「13人が非常事態宣言に違反した」として提出していたもの。
だが、刑事裁判所は、「PDRCは武器を用いずに平和的にデモを行っており、非常事態宣言で取り締まることはできない。」と判断。これは、民事裁判所が先に示した「非常事態宣言では、平和的なデモを行っている市民たちを強制排除することはできない。」との判断に従ったものと見られる。 |
クルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点で擲弾が爆発して死傷者が出た02月23日の事件について、首都圏警察幹部は、「現場の北に位置するプラトゥーナム交差点から擲弾が発射された可能性が高い。」との見方を示した。
使用された口径4㎝の投擲弾は、M79グレネードランチャーで発射するもので、有効射程は150mという。また、「警察は犯人を特定するため、現場周辺の防犯カメラの映像のチェックなどに力を入れている。」という。 |
19時半頃 | 都内パヤタイ区セシリ2通の高級住宅街で爆発があり、民家1棟とBMWの乗用車1台が破損。怪我人はなかった。
現場はバーンスー区カムペーンペット通にある民主党本部から約50m。
警察は「何者かが民主党本部を狙ってグレネードランチャーで手榴弾を発射した。」と見ている。 |
02月25日(火)01時頃 | 都内ルムピニー公園の反政府デモ会場で度々爆発や銃撃があり、デモの警備隊2人が負傷。現場はチュラロンコーン病院前。
反政府デモ隊は01月13日から、クルングテープの主要交差点を占拠。今月21日にはプラトゥーナム交差点、23日にはラーチャプラソン交差点の反政府デモ会場で手榴弾と見られる爆発があり、死傷者が出た。
反政府デモ隊はこのほかに、パトゥムワン交差点、アソーク交差点、総合庁舎前(チェーンワタナ通)を占拠。
タイ地元紙によると、現場はルンピニー公園前、アンリドゥナン、サラデーン交差点、スリウォン交差点などで、負傷者は病院に搬送された。 |
11時頃 | 警察によると、都内ウィパワディランシット通のオフィスビル、チナワットタワー3前に反政府デモ隊約200人が集まり、入居するタクシン・チナワット関連の企業に向け、「出て行け!」などと叫んだ。チナワットタワー3はデモの間、正面玄関を閉鎖。デモ隊は13時頃、現場から撤収。
チナワットタワー3のホームページによると、同ビルにはチナワット財閥の不動産会社SCアセット、タクシンが創業し、2006年にシンガポール政府の投資会社テマセクに売却したタイ携帯電話キャリア最大手アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)などのほか、ブリヂストン、いすゞ、フジクラ、アサツーディ・ケイ、オルガノ、日信工業などのタイ子会社のオフィスがある。
反政府デモ隊は、チナワットタワー3のほか、ラーマ6世通の内務省公共土木事業都市計画局、カセサート大学などでデモを行った。 |
| 米担保融資制度で米代金を受け取れずにいる農民への支払いのため、政府は2月25日、中央予算から200億Bを引き出すという国家米政策委員会案を承認。
ただ、現在の政府は選挙管理内閣であるため、中央予算の使用について選管の承認を得ることが必要とされている。
ニワットタムロン副首相兼商業相によれば、「財務省は農民への支払いに充てるため商業銀行からの借り入れなどを予定しているものの、2ケ月程度かかることから、中央予算の一部を支払いに使う必要がある。」 |
チュラロンコーン大学で開かれた討論会で、学識経験者からインラック首相に対し国民の安全を確保するためリーダーシップを発揮するよう求める意見が相次いだ。
出席者の1人、チュラロンコーン大学政治学部のナルモン講師によれば、「クルングテープと東部トラート県の反政府デモ隊の集会場で先に起きた爆弾攻撃・銃撃事件では幼い子ども4人が犠牲となったが、首相がこのような惨事の再発防止に力を入れているようには見えない。首相は特定勢力の代表ではなく国のリーダーであり、国民全員の安全を確保するために最善を尽くす必要がある。」
ほか、出席者からは、「テレビやラジオで相手を非難する発言が放送されていることが対立を激化させる原因の1つとなっている。」として、関係当局に過激な発言の放送を規制するよう求める意見も出た。 |
パクディハン政府副報道官によれば、インラック首相は閣議で、反政府デモ隊による政府機関占拠などで生じた被害に関する情報をまとめて、反政府派幹部に損害賠償を請求するよう関係閣僚に指示。
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)による「首都封鎖」で政府の建物が一部壊されたり、複数の政府機関が業務停止や仕事場の移転を余儀なくされたりしている。これによって生じた損失や出費については、民事訴訟を起こしてPDRC幹部に損害賠償を求める必要があるとのことだ。 |
02月26日(水) 00時~02時 | 都内にある反政府グループの拠点近くで、銃撃・爆発事件が相次いで発生。
タイ地元紙によると、現場はラーチャプラソン交差点、プラトゥーナム交差点、パトゥムワン交差点、サラデーン交差点などで、1時間ほど銃撃、爆発とみられる音が断続的に続いた。武装グループとデモ会場の警備員が銃を撃ち合ったと見られている。この事件による負傷者は出ていない。 |
11時頃 | タクシン・政府支持派約200人がクルングテープ郊外ノンタブリーの汚職取締委員会本部に押しかけ、職員を退去させた後、入り口を鎖で封鎖。
タクシン派は汚職取締委員会の委員全員の辞任を要求。汚職取締委本部前にステージを設け、座り込みを開始。
汚職取締委は米担保融資制度の汚職疑惑をめぐり、インラック首相を職務怠慢、権力乱用で告発する方針。タクシン派は「汚職取締委が同種の汚職疑惑で反タクシン派のアピシット政権を捜査した際には捜査が全く進展しなかった。ダブルスタンダード(二重基準)だ。」と批判。 |
| インラック首相は、北部チエンライを訪れ、地元住民から歓迎を受けた。インラック首相は27日、生まれ故郷の北部チエンマイを訪れる予定。 |
スラポン副首相兼外相は、クルングテープ都心部を占拠した反政府デモ隊との交渉に向け、国連の無能で有名な南鮮人の潘基文事務総長に助力を求めたことを明らかに。「電話で直接話した。」という。スラポン副首相は「デモを主導する野党民主党が現政権下では公正な選挙が不可能だ。」と主張している点に言及し、国連の支援を得て公正な選挙を実施する考えも示した。 |
反政府デモ隊の妨害で候補者不在となっている南部8県28選挙区での再選挙実施について、中央選管のソムチャイ委員は、政府と選管のどちらに権限があるかの判断を憲法裁判所に求める準備を進めていることを明らかに。
中央選管は「選管には再選挙実施の権限がない。」として、政府に対し、再選挙を行うための勅令の発令を要請。一方、政府は、勅令発令が02月02日の総選挙の無効と憲法違反によるプア・タイ党の解党処分を恐れて「選管には総選挙を完了させる責任があり、選管が再選挙を実施しなければならない。」との姿勢を変えていない。
国の法律最高諮問機関、法令委員会は、政府の立場を支持する見解を示しているものの、法的拘束力を持たないこともあって選管は憲法裁の判断を仰ぐことにしたもの。ソムチャイ委員によれば、「憲法裁への要請案は27日に中央選管の本委員会に諮られ承認される見通し。」という。 |
都心のショッピングセンター、エムポリアムで、買い物をしていたタクシンの元妻のポチャマンを、野党民主党のナタポン前下院議員ら反タクシン・反政府デモ隊幹部らがホイッスルを吹き鳴らして追い回す騒ぎ。ポチャマンは足早にバンに乗り込み、立ち去った。 |
19時頃 | 都内ラクシー区ウィパワディランシット通のテレビ局タイPBSとウィパワディランシット通を挟んで向かいに位置する警察スポーツクラブとに擲弾が撃ち込まれた。
PBSには2発が撃ち込まれ、1発は駐車スペースで爆発して職員の乗用車3台が損傷し、もう1発は不発。破損。怪我人はなかった。
警察スポーツクラブには非常事態宣言による治安対策本部(CMPO)が設置されている。CMPOの敷地内に撃ち込まれた擲弾は1発で、警察官の詰めるテントに命中したが不発。
「手榴弾は近くを走る自動車専用高架道路ドンムアントールウェイからグM79グレネードランチャーで発射された。」と見られている。
20日にも、現場から約150m離れたガソリンスタンドで手榴弾が爆発し、自動車1台と建物が破損。これまでにも反政府デモ隊の集まっている場所に、擲弾が撃ち込まれる事件が起きているが、政府機関を狙ったとみられる攻撃は今回が初めて。 |
02月27日(木) | 反政府デモ隊は、ラーマ6世通の外務省、工業省、ナコンチャイシー通の財務省物品税局、ラープラーオ通、スクムビット通などを、街宣車、ピックアップトラックなどを連ねてデモ行進。
一方、政府支持派市民は26日から、クルングテープ郊外の汚職取締委員会本部前のサナームビンナム通を占拠し、汚職取締委員全員の辞任を要求。汚職取締委は米の買い取り制度をめぐる職務怠慢容疑でインラック首相を告発する準備を進めている。 |
政府が米担保融資制度のもとで農民に米代金を支払うため中央予算から200億Bを引き出すこと決め、中央選管に承認を求めたことに対し、ソムチャイ中央選管委員は、「支払いが『選挙期間中の有権者への利益供与』と判断されて憲法違反となる恐れがある。」として、政府に200億Bの使い道を詳しく説明するよう要請。
現在の政府は権限の限られた選挙管理内閣であるため、予算の使用などについて選管から承認を得ることが必要とされている。また、憲法181条4項では、選挙結果に影響を及ぼすような政府資産の使用を禁ずると規定されている。また、同条3項で選挙管理内閣が次の政府に負担を強いることを禁じていることから、ソムチャイ委員は、「選管が200億B引き出しを承認するには政府が合憲であることを証明する必要がある。」としている。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長は、インラック首相が反政府側との和平会談に前向きとも思える姿勢を示したことに対し、都内シーロムのデモ拠点で支持者を前に「インラック首相が私と話し合いたいというなら、1対1で行い、テレビ中継しなければならない。」と述べ、条件が整えば交渉に応ずる考えを示した。
これまで、ステープは、「インラック政権代行の完全打倒を目指す。」と、「インラック首相からの会談要請には応じない。」と語っていた。
だが、話し合いの内容について、「首相が兄(国外逃亡中のタクシン)の免罪を求めてきたら、答えはノー。」、「没収資産460億Bの返却を求めてきたら、答えはノー。」、「首相が辞任するというなら、答えはイエス。」とも述べており、「今のところ2人が交渉の席に着くのは難しい。」との見方が支配的。ステープによれば、「首相が交渉可能との姿勢を見せたのは、政府が追い詰められていることの証。また、首相が直接対話に応じる用意があるのかいまだはっきりしない。」 |
反政府デモ隊の拠点や政府機関などに対する擲弾攻撃が報告されていることから、プラユット陸軍司令官は、軍の関係部署に対し、都内とりわけ高架道路や高層ビルのパトロールを強化するよう指示。
これまでの事件では、M79グレネードランチャーで発射する口径4㎝の擲弾が使われている。有効射程は約150m。また、M79はライフル型で持ち運びが容易。先に政府の治安対策本部やテレビ局に擲弾が撃ち込まれる事件があったが、警察は犯人が高架道路を走行中の自動車から発射したと見ている。 |
米担保融資制度に絡んでインラック首相の職務怠慢容疑を捜査している国家汚職制圧委員会(NACC)の出頭要請に対し、首相が自ら出向かずに代理人をNACCに遣わせたことについて、最大野党の民主党のアピシット党首は、「民主主義ではリーダーが不正のチェックなどに常に重きを置くことが重要。そのチェックによって非があるとされたリーダーは容疑を真摯に受け止めることが重要。」と述べ、代わりに弁護士を出頭させたインラック首相を「民主主義国家のリーダーらしからぬ。」と批判。
インラック首相は、「多忙」を理由にNACCの出頭要請を事実上無視したものだが、関係筋によれば、「インラック首相らタクシン派がNACCを反タクシン派とみていることが背景にある。」 |
タクシン・政府支持派の一部は、東北部ナコンラチャシーマー市で記者会見を開き、東北部の若者60万人で新たなタクシン派組織を結成する構想を明らかに。
「クルングテープの反タクシン・反政府デモ隊が民主政体の転覆に成功すれば、タクシン派、民主派との間で内戦になる可能性がある。」と主張。新たな組織が武装して反政府勢力と争う可能性を示唆。
タクシン派の中核団体、反独裁民主主義同盟(UDD、通称赤服)のティーダ会長は、タクシン派の「軍」創設を否定。「国家分断を想定していない。」とも述べた。
タイでは反タクシン派が優勢なクルングテープ、南部と、タクシン派の地盤である北部、東北部の間で対立が強まり、最悪の場合、内戦、国家分裂に向かうという指摘も出始めている。タイ軍の最高実力者であるプラユット陸軍司令官も25日、政治対立が内戦に発展する危険性を懸念。 |
21時50分頃 | 反政府デモ隊が占拠するクルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)近くで手榴弾が爆発。怪我人はなかった。
陸軍は反政府デモ会場周辺で手榴弾の爆発、銃撃などが相次いだことを受け、デモ会場周辺に兵士の詰所を設け、警戒に当たっている。
23日に都心のショッピング街、ラーチャプラソン交差点の反政府デモ会場で手榴弾が爆発し、♀(59)と姉弟(6、4)が死亡した事件で、政府は、死亡した姉弟の父親に見舞金20万Bを贈った。 |
深夜 | 都内スクムビット通ソイ18のナタポン前議員宅に手製爆弾のようなものが投げ込まれたが、爆発しなかった。ナタポン前議員は父親が大手セメントメーカー、サイアム・シティ・セメントと昨年三菱東京UFJ銀行に買収されたアユタヤ銀行の会長を務め、妻は不動産などで知られるシーウィコン財閥出身。
26日に都心のショッピングセンター、エムポリアムで、買い物をしていたタクシンの元妻のポチャマンをホイッスルを吹き鳴らして追い回した。 |
02月28日(金)05時頃 | クルングテープ郊外ノンタブリ市のサナームビンナム通で消火器のボンベを使った時限爆弾が見つかり、警察の爆発物処理班が回収。現場は政府支持派市民が座り込みのデモを行っている汚職取締委員会本部近く。 |
夜 | 反政府デモを率いるステープ元副首相は、「01月13日から継続してきた都心封鎖を03月03日から解除する。」と発表。ステープによれば、「デモ会場は今後ルンピニー公園内のみとし、ここを拠点に反政府活動を強化させる。」と、パトゥムワン交差点、ラチャプラソン交差点、アソーク交差点のデモ会場を閉鎖し、ルムピニー公園に集約する。
具体的には、タクシン一族に関係する企業の活動を妨害するほか、官公庁職員に対して職場放棄を呼びかけていく。また、「このゲームを03月中旬で終了させる。」として、早期決着を宣言。
なお、ステープはこの日の演説で、都心封鎖によりクルングテープ都民、小売業、ホテル業に大きな打撃を与えたことを容認。「これまで我慢してくれてありがとう。」と謝意を示した。
一方、チェーンワタナ通の政府合同庁舎前道路を占拠しているグループはこれまでのところ、撤収を拒否。代表格のルアンプープッタイサラ僧は「最後の一人になるまで戦いを続ける。」と息巻いている。
タクシン派インラック政権の転覆には、軍事クーデター、もしくは司法による首相の失職、与党の解党が必要と見られるが、軍の最高実力者であるプラユット陸軍司令官は再三に渡りクーデターを否定。司法判断による首相の失職にも少なくとも数ケ月は掛かる見通しだった。
ステープ元副首相が突然、デモの事実上の終息を表明した理由は不明だが、デモの黒幕とみられる勢力がタクシンと何らかの手打ちを行った可能性がありそう。「少なく見積もって1日数百万Bに上るデモの費用が重荷になった。」という側面も否定出来ない。デモで被害を被った財界から圧力が掛かったとも考えられる。 |
| プラユット陸軍司令官は、「現在の政治的行き詰まりを打開するため軍部がクーデターを起こす可能性があるのか。」との報道陣の質問に対し、「他の手段が効を奏しないなら、特別な手段が必要かもしれない。」と述べて、軍部がクーデターによる政治危機解決を視野に入れていることを示唆。
関係筋によれば、軍事クーデターでタクシン派政権を倒し、政治をリセットしたとしても、2006年09月のクーデター同様、タクシン派と反タクシン派の対立が続き、軍部に批判が集まる可能性が高いこともあり、軍部は現在の政治危機に対し不介入の立場を取ってきた。
だが、反政府デモの長期化に伴いてき弾攻撃や銃撃で死傷する者が増えていることから、プラユット司令官は、「クーデターが起きるかどうか明言できない。クーデターは違法だが、危機を打開する手段でもある」と述べている。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)が都内のデモ拠点4ケ所からデモ隊を撤収させ03月03日に「『都心封鎖』を解除する。」と発表したことについて、中央選管のソムチャイ委員は、話し合いで政治危機を打開する可能性が高まったとの認識を示すとともに、「政府は封鎖解除を反政府派の衰勢と捉えるべきではない。」と警告。
PDRCは「拠点4ケ所で座り込みを続けていたデモ隊をルンピニー公園内に集結させる。」としているが、ソムチャイ委員によれば、「この状況に対し政府が『自分たちが有利になった。』と判断して高圧的な行動などに出れば、大きな過ちを犯すことになりかねない。」 |
03月01日(土)03時頃 | 不動産取引の大物、反タクシン・反政府派幹部であるナタポン前民主党下院議員の義母でシーウィコン財閥のクンイン(高位の女性の称号)・サシマー・シーウィコンのナコンラチャーシーマー県パクチョン郡の別荘にピックアップトラックでやってきた男たちが銃弾30発あまりを撃ち込んで逃走。サシマーは別荘内で就寝中だったが、怪我はなかった。
02月26日にサシマーの娘タヤと夫のナタポン前民主党議員が反タクシン派市民とともにとともに、都内のエムポリアムで買い物をしていたタクシンの元妻ポチャマンに対しホイッスルを吹き鳴らして追い回した。この報復に27日深夜にナタポン前議員の自宅(スクンビット通ソイ18)にパイプ爆弾が投げ込まれたが、爆発しなかった。今回の銃撃も政治絡みと考えられる。現地警察は、「命を狙ったものではなく、単なる脅しの可能性が高い。」としており、サシマーも同様に考えている。サシマーによれば、「ホイッスル騒動の後、ポチャマンに電話をして『娘夫婦を叱った。』と伝えており、またポチャマンが銃撃に関与しているとは考えられない。」 |
| タクシン系の市民が、ルンピニー公園で反政府グループの警備隊に数日間に渡り監禁・リンチされ、川に投げ込まれる事件が起きた。
タイ地元紙によると、被害にあった男性(33)は先月24日、仕事帰りにルンピニー公園で休憩していたところ、反政府グループの警備隊に所持品検査をされ、親政府派であることがわかると、監禁・リンチされたという。そして今月01日に車に乗せられ、バーンパゴン川に投げ捨てられたとのこと。投げ捨てられた際、拘束具を付けられ、目隠しを付けた状態だったが、幸い近くを通りがかった船に助けられ、現在病院で治療中。 |
03月02日(日) | 野党民主党が主導する反政府デモ隊は、01月13日から占拠してきた都内のラーチャプラソン交差点、パトゥムワン交差点、アソーク交差点、サラデーン交差点から撤収。デモ会場をルムピニー公園1ケ所に縮小。
クルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)の道路占拠を指揮する仏教僧侶ルアンプープッタイサラ僧は「デモを継続する。」と言明。
デモ隊を率いる民主党のステープ元副首相は、ルムピニー公園で演説。「タクシンの影響力排除、タクシンの妹のインラック首相の退陣を要求するデモを継続する。」と宣言。支持者に対し、タクシン関連企業の営業妨害、ボイコットの強化を呼びかけた。
クルングテープの主要交差点の占拠解除で首都の生活はほぼ平常に戻る見通し。しかし、反タクシン派とタクシン派インラック政権・与党プア・タイ党との抗争は今後、舞台を司法に移して続くと見られる。 |
02月02日の下院総選挙で、反政府デモなどによる妨害で投票が行えなかった投票会場のうち、東部ラヨーンなど5県の投票会場106ケ所(有権者数9万6429人)で投票。
選挙委員会によると、投票はほぼ問題なく行われたものの、下院選自体が無効になる可能性があることなどから、投票率は10.2%に留まった。
02月02日の下院選では野党民主党の地盤である南部やクルングテープなどの投票会場で反政府デモ隊による投票妨害があり、全国の投票会場の1割以上で投票が行えなかった。当選する下院議員の数は下院開会に必要な定足数に届かず、タイは政府、国会ともに機能不全に陥っている。
タイの憲法は下院選の投票日から30日以内に下院を開会すると規定しているが、南部8県では依然として投票が実施されておらず、03月04日までの下院開会は不可能な状況。 |
03月03日(月)10時半 | 都内ラチャダーピセーク通の刑事裁判所に、何者かが手榴弾2個が投げ込まれ、このうち1発がフェンスのそばで爆発した。けが人はなかった。もう1発は裁判所の駐車場に落ち、爆発しなかった。1個は起爆が不完全で、もう1個は不発。怪我人は出ていない。
警察は現場からバイクで走り去った男2人の行方を追っている。
刑事裁判所では02月14日にも手榴弾が爆発し、建物が破損。
「予断を許さない状況が続いている。」として、スラポン副首相兼外相は、非常事態宣言の適用期間が延長されるとの見通しを明らかに。非常事態宣言は、反政府派による「クルングテープ封鎖」に伴い01月22日から60日首都圏に適用されることになった。だが、スラポン副首相は、「クルングテープでは(爆弾攻撃・銃撃といった)事件が依然起きている。刑事裁判所が攻撃されたことで宣言の適用期間が延長されることになるだろう。」
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| 民主党のステープ元副首相が率いる反政府デモ隊は01月13日から占拠してきた都内のパトゥムワン交差点、ラーチャプラソン交差点、アソーク交差点から02日に撤収し、拠点を都内のルムピニー公園に集約。3ケ所の交通は通常通りに戻った。
ただ、ルムピニー公園前のサラデーン交差点は午前の時点で立体交差橋とラーチャダムリ通の一部が依然として封鎖されている。
また、タイ首相府やラーチャダムヌンノーク通周辺、クルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)では民主党と別系統の反政府デモが続き、内務省、教育省、運輸省などが閉鎖されたまま。 |
中央選管のプチョン事務局長は、南部8県の28選挙区での再選挙実施の権限について、04日にも憲法裁判所に判断を要請するとの見通しを明らかに。
今回の総選挙では、反政府デモ隊の妨害でこれら選挙区が候補者不在となっており、改めて立候補の受付と投票を行う必要がある。中央選管は、「再選挙実施には政府による勅令発令が必要。」と指摘する一方、政府は、「総選挙を完了させるのは選管の役目。」として、勅令発令を拒否し続けており、再選挙実施の目処が立たない状態が続いている。 |
インラック首相と反政府デモ指導者ステープがともに話し合いの姿勢を示しながら、いまだに対話が実現していない。タイ工業連盟(FTI)やタイ銀行協会など主要経済7団体は、両者に対し条件をつけずに話し合いに臨むよう要請。
話し合いの条件として、ステープは1対1のテレビ生中継を、インラック首相は、専門家の同席を条件にあげている。
また、インラック首相は、「(現在の閣僚が全員辞任して暫定的な)政権を設置し(中立の人物を)首相に任命するといった非民主的な提案は受け入れない。」と明言。
だが、経済団体は、「互いに相手が受け入れ難い条件を示していては、話し合いは実現しない。国益と国民が1つにまとまることを最優先に考え、条件を取っ払って話し合いに臨む必要がある。」 |
タクシン派の現政権と反タクシン派の反政府勢力の対立状態が続く中、北部チエンマイで政府支持派のグループが北タイの分離独立を求めるような動きを見せたとされた。問題となっているのは、チエンマイの街中などに出現した「ソー・ポー・ポー・ラーンナー」と書かれた垂れ幕。ラーンナーは数百年前に北タイに存在した王朝で、軍の担当者によれば、垂れ幕を設置したのは政府支持派。
軍部は、同グループを警察に訴えたほか、インラック首相も「政府は分離独立の動きを支持しない。」と明言。
「ソー・ポー・ポー」は「民主人民共和国」のタイ語頭文字であることから、北タイを「ラーンナー民主共和国」として独立させることを要求したものと考えられる。一方、「ソー・ポー・ポー」は学識者150人以上からなる「民主国防会議」のタイ語頭文字でもあり、同団体の関係者は、「垂れ幕に書かれているのは『ラーンナー民主国防会議』の意であり、『ラーンナー民主人民共和国』ではない。」 |
03月04日(火) | 3月30日投票のタイ議会上院選の立候補受付が04~08日、各都県で行われる。初日の04日は立候補の妨害などの混乱はなかった。
02月02日投票の議会下院選は昨年12月の立候補受付の際から、クルングテープや南部で反政府デモ隊による妨害があり、南部で候補者0の選挙区が続出した。投票日も激しい妨害があり、現在も当選者の数が下院開会に必要な定足数に達していない。上院は定数150で、タイの全77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる委員会が選出する。任期は6年。2008年に行われた上院選の投票率は55.6%。 |
政府は米担保融資制度を利用する農民に支払う米代金200億Bを調達できることになった。権限を持つ中央選管は、05月末までに返却することを条件に引き出しを許可。
だが、商業省前で座り込みを続ける農民らは、「一部の農民が金を受け取れるだけ。」として、抗議を継続する構え。農民の代表は、「支払いを受けられるのは、10月~11月に米を預けた農民だけ。それ以外の農民は今後も支払いを待たなければならない。政府が選挙管理内閣であることを理由に支払いをさらに遅らせるつもりなら、閣僚全員が辞職して新しい政権を誕生させるべき。」 |
北部チエンマイでタクシン派のグループが北タイの分離独立を求めているとされる問題で、タクシン支持団体「反独裁民主主義同盟(UDD)」幹部のウェーンは、「『ラック・チェンマイ51』(UDD傘下グループ)が分離独立を要求したことは一度もない。」と反論。ウェーンによれば、「反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)が手詰まり状態に陥っているため、『タクシン派が北タイの分離独立を求めている。』とでっち上げて、インラック政権の責任を追及しようとしている。」 |
候補者不在の南部8県28選挙区で、総選挙のやり直しが必要とされている。ただ、再選挙の実施に向けた手続きを巡り、政府と選管の意見が対立。
中央選管のプチョン事務局長は、憲法裁判所に対し、「選管に再選挙実施の権限があるか。」、「再選挙実施には政府による新たな勅令発令が必要か。」の2点に加え、「勅令発令による再選挙は28選挙区で実施するのか、あるいは全国で行うのか。」についても判断を求めたことを明らかに。
「再選挙実施には、選管に権限がないため、政府が勅令を発令する必要がある。」というのが選管の立場。
一方、法律専門家から「総選挙は憲法で全国で同時に行うと規定されている。総選挙を補完するための再選挙を実施することは不可能。再選挙ではなく総選挙をやり直すしかない。」との意見も出ている。
付け加えれた第3の質問について、スパチャイ中央選管委員長は、「憲法裁が『全国で実施』と判断した場合、新たに総選挙を行うことになり、02月02日投票の総選挙は無効となる。」と説明。 |
学者らで構成されるグループ「サイアム・プラチャティワット」は、「現政権は、総選挙が不完全な状態で終わったことから、正統性を失った。」との見解を表明。
憲法では、「総選挙は投票から30日以内に下院議員500人の95%以上の出席をもって特別国会を開催して新首相を選出する。」と規定されているが、30日を経過しても一部の選挙区では立候補の受付も済んでいない。サイアム・プラチャティワットによれば、「インラック政権は昨年12月09日の下院解散で選挙管理内閣となった。選挙管理内閣の役目は総選挙を実施して新政権を設置することだが、これが果たせなかったことから、選挙管理内閣が存続することはもはや不可能。」
だが、政府は、「30日期限が適用されるのは通常の状態に限られ、現在の状態は当てはまらない。下院議員補充を定めた憲法規定を適用すれば、総選挙は投票から180日以内に完了させれば良い。」として、「選挙管理内閣は選挙を完了させることが可能。従って、選挙管理内閣が存続することも合法。」と主張。 |
夜 | ノンタブリー県にある国家汚職防止委員会本部に爆発物が投げ込まれる事件。タイ地元紙によると、投げ込まれた爆発物は旧式の手榴弾とみられており、幸い夜だったことから負傷者は出なかった。 |
03月05日(水)未明 | クルングテープ都クローントイ区スクンビット通ソイ18ある反政府グループ幹部宅に、爆発物が投げ込まれる事件。投げ込まれた住宅は、反政府グループ幹部ナッタポン邸。投げ込まれた手榴弾は、あえて爆発しないように投げ込まれており、何者かが脅迫する目的で投げ込んだものと見られている。 |
| インラック首相は、予定されていたコンケン県行きを中止し、プラユット陸軍司令官と会談。
何が話し合われたかは明らかではないが、タクシン支持者が北タイの分離独立を求めているとされる問題で政府と軍部の関係がギクシャクしていると報じられていることから、「首相が軍部との関係を修復しようと陸軍司令官に会った。」との見方も出ている。
国防相を兼任するインラック首相は04日に国防評議会の会議で議長を務め、ここでプラユット司令官と会っていたが、04日夕方、05日に予定されていたコンケン県での旱魃視察を「政治情勢が流動的との理由で中止する。」と発表。首相は翌05日、ドンムアンの空軍本部で再びプラユット司令官と会って約1時間にわたって話し合ったもの。関係筋によれば、話し合いでは、今年の国軍幹部の人事異動、政治的行き詰まりの打開策、政府と軍部の間の理解促進と関係改善が取り上げられた。
関係筋によれば、インラック首相は旱魃視察のための東北部コンケン県行きを急遽キャンセルして、プラユット陸軍司令官と会談したが、ここで司令官に仲介役を務めてほしいと伝えた。また、ステープは、1対1の話し合いとテレビ中継を求めているが、首相はあくまでも非公開の話し合いを望んでいる。首相の要請に対し、プラユット司令官は、「ステープ氏に話し合いをさせようと何度か試みたが、彼は非公開では話し合わないとの姿勢を変えなかった。」と返答。
また、関係筋によれば、インラック首相はプラユット司令官に対し、「(ステープとの)話し合いは意見の相違を埋めて行き詰まりを打開するというよりは、国民の支持を得ることが狙い。」と説明した。 |
法務省特別捜査局(DSI)のタリット局長は、政府の治安対策本である平和秩序維持センター(CMPO)が人民民主改革委員会(PDRC)による反政府デモが合法か否かの判断を憲法裁判所に求める方針だと明らかに。これまでに同様の訴えがいくつか憲法裁に起こされているが、タリット局長は、「CMPOはデモが違法であることを証明するに十分な証拠を添えて憲法裁に提訴する」と述べている。
なお、民事裁判所は、「PDRCによるデモは平和的であり、非常事態宣言違反で取り締まることはできない。」との判断を示しており、刑事裁判所もこの判断を尊重した判断を示している。 |
国家汚職制圧委員会(NACC)が米担保融資制度の不正横行に絡んでインラック首相の責任を問おうとしていることから、先にタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の支持者らがNACC本部前で抗議集会を行った問題で、ウィタヤーNACC副事務局長は、「集会へのチャルポン内相とナタウット副商業相の関与を示す証拠がある。」と指摘。2人を刑事告訴する考えを明らかに。
副事務局長によれば、「抗議集会を撮影した動画に2人が写っていた。」この集会は、NACC職員の出入りを妨害しようとしたもの。これに2人が加担していたなら、国に仕える者による不誠実行為を禁じた刑法157条に抵触し、禁錮1~10年の刑に処せられる可能性がある。 |
03月06日(木) | 警察によると、都内のルムピニー公園を拠点とする野党民主党系の反タイ政府デモ隊は都心のショッピングセンター、セントラルワールド前のタイ警察本部(ラーマ1世通)とクルングテープ北郊ノンタブリ市の法務省刑務局前でデモ。
別系統の反政府デモ隊は都内の支那大使館(ラチャダピセーク通)、英国大使館(ウィタユー通)、米国大使館(ウィタユー通)などにデモ行進。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)の支持者たちは、警察庁本部前に集まって、「タクシン支持団体、主義同盟(UDD)の関係者らが北タイの分離独立を求めているのは反逆罪に当たる。」と訴え、「反逆者」に法的措置を執るようアドゥン警察庁長官に要求。PDRCによれば、「UDDの支持者らがチエンマイ、チエンライ、パヤオ、ナコンサワン、ピサヌロークの5県に設置した『ラーンナー民主共和国』と書かれたプラカードは、北タイの分離独立を求めたもので、反逆罪に該当する。」という。
ほか、別のPDRC支持者らが犯罪制圧課(CSD)本部前で気勢を上げて、「北タイの分離独立を支持している。」として政府とUDDに法的措置を執るようCSDに求めた。 |
オンブズマンは、02月02日投票の総選挙が有効か否かを判断するよう憲法裁判所に請求。タマサート大学法学部のキティポンがオンブズマンに対し、総選挙の無効を訴えたことによるもの。
キティポンによれば、「総選挙は南部8県の28選挙区が候補者不在となっており、政府と選管はこれら選挙区で再選挙が必要としている。だが、「総選挙は全国で同時に実施する。」との憲法規定に違反する。ほか、一部の選挙区で立候補受付の会場が事前の告知無しに変更されていたことなども問題だ。」 |
国家汚職制圧委員会(NACC)は米担保融資制度の不正横行に絡んでインラック首相の職務怠慢の罪に問う方針を固め、03月14日までに首相に出頭するよう要請。
だが、政権党プア・タイ党の法律専門家チームのメンバー、ピラパンは、「首相が出頭期限の延長をNACCに申し入れる見通し。」だと明らかに。「首相は出頭して潔白を主張することにしているが、潔白を裏付ける書類が膨大な量に及ぶ。このため、書類の準備にだいぶ時間がかかり、期限までに出頭するのは難しい。 |
03月07日(金) 01時20分頃 | 反政府グループが拠点を構える都内ルンピニー公園東側のウィタユー通で銃声とみられる音が数回し、ウィタユー通を歩いていた女性(32)が手に被弾。現場は在タイ日本大使館近く。 |
02時50分頃 | ルンピニー公園脇の通の女性が撃たれた場所の近くで、走行中のタクシーが銃撃を受け、運転していた男性が肘に被弾。ルムピニー公園周辺での2度の発砲とも、ルンピニー公園の方角から発砲があったと見られている |
午前 | 反政府デモ隊は、都内パホンヨーティン通のオフィスビル、チナワットタワー2前でデモを行った後、同じ通りの農業協同組合銀行前に移動。 |
夜 | 総合庁舎近くのモンクットワタナ病院に銃弾が撃ち込まれた。怪我人はなかった。 |
03月08日(土)02時半頃 | クルングテープ郊外の総合庁舎前(チェーンワタナ通)の反政府デモ会場周辺で発砲事件。男性1人が怪我をして病院に搬送された。 |
| 03月30日投票の上院議員選挙の立候補受付が締め切られた。クルングテープでは計18人が立候補の手続きを済ませた。
上院は定数150で、うち77人は77都県から1人ずつ選挙で選ばれ、残り73人は憲法裁判所長官などからなる選考委員会によって選出されることになっている。
なお、2008年の前回上院選ではクルングテープから立候補したのは38人で、今回はこれを大きく下回ることになったが、クルングテープ選管のアノップ委員は、「現在の政治的混乱が影響しているのだろう。」と説明。 |
中央選管のプラウィット委員によれば、上院議員選挙の立候補受付期間(03月03~07日)に全国で457人が立候補届出。上院議員150人のうち任命制の73人を除く77人が03月30日に投票によってこれら候補者の中から選ばれる。
プラウィット委員は、「立候補者数は、2008年の前回上院選に比べて約10%少ないが、満足している。投票率は70%以上(前回56%)を目標にしている。」と述べた。
また、プラウィット委員によれば、「反政府デモ隊の妨害で総選挙の投票ができなかった南部の県について、中央選管は11日にやり直し投票の日程を決定する予定。」今のところ、やり直し投票は、ヤラー、ナラティワート、パタニーの3県で04月05日、サトゥン、ナコンシータマラート、プーケット、パンガー、チュムポン、ラノーンの6県で04月27日に実施するとの案が出ている。また、候補者不在の南部8県28選挙区での再選挙はまだ実施の目処が立っていない。
ほか、今回の総選挙の有効性を問う訴えが憲法裁判所に起こされ、総選挙が無効とされる可能性があることについて、プラウィット委員は、「憲法裁によって無効の判断が示されるまで選管は総選挙を完了させるべく努力する。」と述べている。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)の警備担当者らに暴行を受けたとされる、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の警備担当者だった男性が、「わたしの殺害を指示したのはPDRC幹部のイッサラ。」と訴えている。殺人未遂容疑などで逮捕状の出ているイッサラー(前民主党議員)は、男性に対する暴行へ関与を否定し、反政府デモが終わるまで警察に出頭しない考えを明らかに。
現在、都内の警察病院で傷の治療を受けている、クルングテープの会社で警備員を務めるこの男性は、「PDRCが拠点とする都内ルンピニー公園でPDRCの警備担当者らに数日間にわたり拘束、暴行された後、バンパコン川に投げ込まれ、貨物船に救助された。」と説明しており、「イサラ氏がわたしの殺害を指示した」とも主張。この訴えに伴い、警察はイッサラーとPDRCの警備担当者5人の逮捕状を取った。
だが、イッサラー、「男のことは知らない。警備担当者から誰かを拘束したとの報告も受けていない。」と述べて、関与を全面的に否定。 |
03月09日(日) 02時45分頃 | 反政府勢力の人民民主改革委員会(PDRC)が拠点としている都内ルンピニー公園に面するウィタユー(ワイヤレス)通で、タクシー運転手が銃撃で額に掠り傷を負うという事件が発生。タクシーは、銃撃でドアに穴が開き、窓ガラスも割れてタイヤもパンク。
だが、発砲時の状況について運転手とPDRC側の言い分が食い違っている。
運転手によれば、「酒に酔った客をラーマ2世通から公園まで乗せ、公園の第1ゲート前で停車したところ、PDRCの警備担当者と思われる男が大声でタクシーにその場から去るように指示。直後に大きな花火の爆発音がして何者かがタクシーに向け発砲したあと、乗客はタクシーを降りて逃げ去った。」という。
一方、PDRC側の説明によれば、「タクシーは公園の周りを何度か回った後、第2ゲートから第1ゲートにかけて走行中に車内の誰かが公園に向けて発砲。このため、公園内から何者かがタクシーに向け反撃の発砲をしたもの。」という。PDRCは、「タクシーに発砲したのが誰かははっきりしないが、少なくともPDRCの警備担当者ではない。」 |
| 03月30日投票のタイ議会上院選の立候補受付が04~08日、各都県で行われ、468人が立候補。
上院は定数150で、タイの全77都県から各1人を選挙で選び、残る73人を憲法裁判所長官、最高裁判事、選挙委員長らからなる委員会が選出する。任期は6年。2008年に行われた上院選の投票率は55.6%。
今回の上院選ではクルングテープで、警察犯罪制圧課司令官のスピサーン警察少将(60)、強硬な反タクシン派として知られるチャルワン元会計検査院長(68)ら18人が立候補。中部サムットプラカン県のアサワヘーム家、パトゥムタニ県のハーンサワット家、東部サケーオ県のティエントーン家といった地方の政財界を牛耳る有力一族も地元で一族から候補者を擁立。 |
23時頃 | 都心のランスワン通の路上検問で、タイ軍兵士の男2人(25、23)が乗ったピックアップトラックから、M16自動小銃1丁、拳銃1丁、銃弾約2000発、催涙ガス弾2発、ナイフなどが見つかり、警察が2人を逮捕。
現場はルムピニー公園の反政府デモ会場近く。警察は2人が反政府デモ隊に雇われていた可能性があるとみて捜査を進めている。2人は取り調べに対し黙秘を続けている。 |
03月10日(月)午前 | 反タクシン派の反政府デモ隊は、都内パホンヨーティン通のオフィスビル、チナワットタワー2前でデモを行った。現場では一部車線が閉鎖された。
チナワットタワー2にはタクシンが創業し、2006年にシンガポール政府の投資会社テマセクに売却したタイ携帯電話キャリア最大手アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)のオフィスがある |
| 国家治安委員会(NSC)のパラドン事務局長はこのほど、「承認を得るため非常事態宣言の解除案が今週中にインラック首相に提出される。」と明らかに。
政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)は03月07日の会議で非常事態宣言の解除に同意しており、インラック首相の判断待ちの状態。非常事態宣言が解除された場合、代わりに首都圏に国内治安法が適用されることになる。
非常事態宣言は、反政府派が「クルングテープ封鎖」に踏み切ったことからクルングテープ首都圏に発令されており、適用期間は03月22日までの60日間。
だが、経済界などからは、「宣言発令によって『クルングテープは危険』とのイメージが強まって観光や商売が打撃を受けている。」として早期の解除を求める声が出ている。 |
02月に行われた総選挙が完了せず、新首相を選ぶための特別国会開催の目処も立っていない。一方、中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は、「選挙・投票を阻止するための訴えがなく、デモ隊による妨害もなければ、選管は05月中には475人以上の下院議員当選を認定することができるだろう。06月には新政権が誕生する。」と述べた。
特別国会開催には、下院議員500人の95%以上、すなわち475人以上の出席が不可欠。なお、今回の総選挙は、反政府デモ隊の妨害で期日前投票、本投票も不完全な状態となっており、選管は本投票から40日あまりが経過した現在も、当選認定が全くできない状態となっている。また、総選挙の有効性を問う訴えも憲法裁に起こされており、無効とされることも十分考えられる。 |
22時半頃 | クルングテープ郊外のディスカウントストア、テスコロータス・チェーンワタナ店前で手榴弾が爆発し、路面が破損。怪我人はなかった。現場は総合庁舎前(チェーンワタナ通)の反政府デモ会場近く。 |
03月11日(火) 05時20分頃 | 反政府デモ隊が占拠する都内ルムピニー公園で爆発があり、デモ参加者のタイ人男性(34)が怪我をして病院に運ばれた。この男性が寝泊まりしていたテント内で、爆竹を空き缶に詰めた手製爆弾が誤爆したと見られている。現場はサラシン通に面した公園北側。
ルムピニー公園東側のウィタユー通では07日未明に2度発砲事件があり、通行人のタイ人女性とタクシー運転手のタイ人男性が怪我。 |
| 中央選管のソムチャイ委員は、選管が昨年03月のクルングテープ都知事選におけるスクムパン(現都知事)の当選を無効としたと発表。
当選の無効・都知事選やり直しは、控訴裁判所が最終決定を下すことになるが、控訴裁判所が選管の申し立てを受理した時点でスクムパン都知事(最大野党・民主党所属)は選挙をやり直すかどうかの判断が下るまで休職となり、副知事が職務を代行する。
スクムパンは、今回の選管に判断について、「1年も経ってから決定を下すとは恥ずべきこと。」と述べている。
2013年の都知事選では2選を目指した野党民主党のスクムパン都知事が125.6万票を獲得し当選。タクシン派与党プア・タイ党が擁立したポンサパット麻薬取締委員会事務局長は107.8万票で次点。
中央選管は選挙違反の具体的な内容を明らかにしていないが、タイのメディアは、民主党のステープ元幹事長(元首相)らが都知事選の応援演説で、「『タクシンがタイの政体を王国から大統領制の共和国に変更することを目指している。』などと発言したことを問題視した。」と報じた。ステープ元幹事長はクルングテープで昨年10月から続く大規模な反政府デモの指者。
昨年の都知事選については、次点で落選となったポンサパット、プア・タイ党候補などから「スクムパン陣営がポンサパット氏を中傷した。」といった訴えが出ていた。この訴えに対し、中央選管は委員5人のうち3人の同意をもって「選挙違反があった。」と判断するに至った。ただ、スクムパン本人には違反がなかったとされ、スクムパンは都知事選に再出馬することが可能。
クルングテープ都知事は任期4年で、月給11万3560B。タイの77都県中、県知事が公選制なのはクルングテープだけで、残76県の知事は内務省から派遣される官僚。 |
最大の反政府勢力、人民民主改革委員会(PDRC)の幹部タウォンによれば、PDRCが拠点としている都内ルンピニー公園で発砲によって負傷者が出る事件が相次いでいることから、ルンピニー公園の警備においてPDRCの警備担当者、警察、軍が協力することになった。ルンピニー公園の周辺では、数回にわたって発砲事件が発生しており、11日早朝にも公園の第4ゲート近くで擲弾によるとみられる爆発があり、PDRCの警備担当者ら3人が負傷。うち1人は重傷。 |
政府は首都圏に適用されている非常事態宣言を解除する動きを見せているが、インラック首相はこのほど、「治安当局が現在の状況、今後の見通しなどを詳しく検討し、それに基づいて閣議で宣言解除の可否が決定されることになる。」と述べた。
非常事態宣言については、「タイのイメージ悪化につながっている。」として、経済界などが解除を強く求めている。
だが、首相によれば、「関係当局が解除が治安の悪化につながらないと確信できなければ、政府も解除に踏み切ることはできない。」 |
中央選挙管理委員会は、02月02日の下院選と01月26日の下院選期日前投票で、野党民主党が主導する反政府デなどで投票が行えなかった投票会場のうち、南部を中心とする11県で04月05日と27日に投票をやり直す方針を明らかに。南部のヤラー県、ナラティワート県、パタニー県、中部プラチュアブキリカーン県、クルングテープ都04月05日、南部サトゥン県、ナコンシータマラート県、プーケット県、パンガー県、チュムポン県、ラノン県で04月27日に実施。反政府デモ隊による妨害などで立候補者がいない南部8県の28の選挙区については、投票日程を決めていない。
下院選は立候補や投票の妨害で当選者の数が下院開会に必要な定足数に届いていない。憲法は投票日から30日以内に下院を開会すると規定しており、下院選は無効となる可能性が高いと見られている。 |
03月12日(水)午後 | 昨年11月に国会を通過した運輸交通インフラ整備のための資金2兆Bの調達法案が違憲として野党民主党が訴えた裁判で、憲法裁判所は、原告の主張を認め、同法案を違憲とする判決を下した。
タクシン派与党プア・タイ党の下院議員が法案の採決の際に欠席した同僚議員の投票を代行するなど国会での手続きに問題があったほか、法案の内容自体も憲法違反と判断。
2兆Bはタイの国家予算に匹敵する額で、財務省が融資や国債により国内外で調達し、7年に及ぶ大規模な開発を行い、返済は50年にわたる見通しだった。タクシン派インラック政権はこの法案で資金を調達し、線路の複線化、ピルマなど近隣国との交通網整備、クルングテープと地方を結ぶ高速鉄道の建設、港湾整備などを進め、2020年まで国内総生産(GDP)を年1%押し上げ、50万人の雇用を生み出すとしていた。
だが、政府は、近い将来に米担保融資制度の不正横行に絡んでインラック首相が罷免となる恐れがあることから、インフラ整備の遅延を深刻な問題とは捉えていない。
憲法裁の判決について、インラック首相は、訪問先の東北部チャイヤプーム県で、記者団に対し、「隣国との交通網を整備し、タイが東南アジア諸国連合(ASEAN)のハブになるはずだった。」、「失望した。政府は全力を尽くした。」などと話した。民主党が首相の失職を目指し一連の裁判を起こす構えであることについては、「法律を使って権利を奪うべきではない。」、「少なくとも公正さが必要だ。」などと主張し、次の政権がその重要性を理解し、大型インフラ警備計画を引き継いでくれるとの見通しを示した。
また、チャルーム労相は、「(2兆B借入が違憲とされたことは)それほど興奮することではない。それより国家汚職制圧委員会(NACC)が米担保融資制度の不正横行に絡んで職務怠慢でインラック首相の罷免手続きを進める方が心配。」と発言。ただ、「NACCが罷免を請求した時点で首相は停職となるが、他の閣僚が代わりを務めるため、政府は存続できる。」
2兆バB借り入れに対しては、インフラ整備計画で実施するプロジェクトに具体的内容が決まっていないものが少なくなかったことから、「どんぶり勘定」、「汚職の温床」といった厳しい批判が出ていた。なお、今回の違憲判断を受け、最大野党民主党は、政府の責任を追及すべく、インラック首相の罷免を請求する構えを見せている。
インラック首相は民主党が主導する大規模な反政府デモを受け、昨年12月、議会下院を解散した。今年02月02日に下院選が行われたが、民主党の地盤である南部とクルングテープで、反政府デモ隊による妨害で立候補や投票が行えない選挙区が続出。現在も当選者の数が下院開会に必要な定足数に達していない。「憲法では、下院選から30日以内に下院を開会、下院開会から30日内に首相を選出と定められていることから、民主党など反政府勢力は下院選から60日後にインラック政権の任期は切れる。」と主張、憲法裁などに判断を求める姿勢を見せている。 |
| 下院選にタクシン派与党プア・タイ党から出馬した弁護士のチャレー候補(51)が、中央選挙管理委員会に下院選の当選者の発表を命じるよう求める裁判を中央行政裁判所で起こした。チャレー候補は、「投票日から1ケ月以上経っても当選者を発表しない。」として、中央選管を批判している。 |
米担保融資制度の不正横行に絡んで国家汚職制圧委員会(NACC)が職務怠慢でインラック首相の罷免を請求しようとしている問題で、インラック首相は、弁護士を通じてNACCに対し、出頭期限を45日延期するよう要請。NACCは首相に対し、14日までに出頭し、容疑について説明を受け、反論があればそれを述べるよう求めている。弁護士によれば、「インラック首相は自らの潔白を確信しているが、それを裏付ける証拠の準備に時間がかかっていることから、出頭期限の延期を要請したもの。」
なお、NACCは首相の釈明を聞いてから罷免を請求するか否かを決定することになるが、請求した時点で首相は停職となることから、「出頭期限の延期請求は、罷免請求をさせないための時間稼ぎ。」との見方が支配的。 |
03月13日(木)未明 | 中部チョンブリー県ムアンチョンブリー郡にある親政府派の反独裁民主主義同盟(UDD)幹部宅に爆弾が投げ込まれる事件。ガレージに駐車してあった車3台が被害を受けたものの、人的な被害はなかった。犯人の行方はわかっていない。 |
| インラック政権による米担保融資政策の破綻を受け、米農家の抗議活動が活発化。
12日には米農家約300人が商務省本省の電気を止め、商務省前に大量の米を投棄。商務省は同日予定していた米の競売の延期を余儀なくされた。米農家は同日、財務省でも米を投棄。13日にも再度、財務省前に大量のコメを投棄し、省内に卵や腐った魚を投げ込むなどした。
← 米農家が抗議のため、財務省前に米を投棄。
インラック政権は発足直後の2011年10月に、事実上の米買い取り制度である米担保融資制度を導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、インラック政権は昨年12月、野党民主党が主導する反政府デモに屈して議会下院を解散。政府の機能が選挙管理に限定されたことで、今期の米買い取りに必要な資金約1300億Bの手当てができなくなった。
政府は銀行融資で買い取り資金の工面を図ったが、国営金融機関の政府貯蓄銀行(GSB)が米農家への支払いを担当する別の国営金融機関、農業協同組合銀行(BAAC)に50億Bを融資したことが02月中旬に明らかになると、民主党の地盤であるクルングテープと南部のGSB支店で取り付け騒ぎが発生し、02月17~19日の3日間で計940億Bの預金がGSBから流出。これを受け、GSBはBAACへの追加融資を中止し、GSBのウォラウィット社長は辞任。 |
政府の治安対策本部、平和秩序維持センター(CMPO)のメンバー、タリット法務省特別捜査局(DSI)局長は、「治安関係機関のほとんどが非常事態宣言の解除に賛成している。」と述べ、CMPOが来週にも政府に宣言解除を進言するとの見通しを明らかにした。宣言の適用期間は03月22日までの60日間とされている。
関係筋によれば、「反政府派も『支持者を大量動員して政府に圧力をかける戦略は最早不要。」と宣言していることもあり、国内の状況は一時に比べて落ち着いている。治安関係者の多くが宣言解除は可能と考えている。」 |
インラック首相が米担保融資制度の不正横行などの責任を問われている問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)は、首相の出頭・釈明の期限延長を15日間とすることを決定。これまで、期限は03月13日とされていたが、首相は先に弁護士を通じて期限の45日間延長を要請。だが、NACCは、「それほど長くは待てない。」として、15日以内に出頭するよう求めた。
NACCによれば、「米担保融資制度では巨額の損失が生じ、不正が横行していたにも関わらず、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会のトップ、インラック首相は何ら対策を講じず、職務怠慢があったのは明らか。」NACCは首相の罷免を請求する方針を固めており、首相の出頭・釈明を待って請求に踏み切る見通し。罷免請求した時点で首相は停職となる。 |
スラポン副首相兼外相が長引く政治対立に終止符を打つためとして、無能で定評のある南鮮土人の潘基文国連事務総長に仲介を要請したことに外務省内で反対意見が巻き起こっていることから、スラポン外相は、「14日にも外務省幹部らに会って話を聞く予定だ。」と述べた。
外務省では、職員70人あまりが連名で国連介入に反対する公開書簡を幹部に送りつけており、ネット上でも書簡が公開されている。これら職員によれば、「国連がタイの内政に関与することは国益を損なう恐れがあり、賛成できない。」という。
一方、スラポンは、「対立がさらにエスカレートして内戦状態となれば、いずれ国連が平和維持に乗り出すのであり、現時点で国連トップに仲介を求めても問題はないはず。」と言い切る。
だが、これに対しては、「タクシン派政権の存続を目的に国連を介入させ、国際世論を味方につけようとしたもの。しかし、これは、国内問題を自力では解決できないと世界に表明することに等しく、国益を大きく損なうことになる。」といった批判が出ている。ある外務省職員は、「スラポン外相が言い出したこと、例えば、反政府派を非難する声明をASEANに発表させるといったことに対しては、省内に反対意見が少なくない。」
タクシン派に対しては、以前から反タクシン派が「自らの利益が最優先。国益は二の次」といった批判があり、今回の潘基文への介入要請についても反タクシン派から非難の声が上がっている。 |
中央選挙管理委員会が昨年のクルングテープク都知事選におけるスクムパン候補(現都知事)の当選無効を決めたことを受け、プア・タイ党のプムタム幹事長は、「裁判所が承認し当選無効が確定したら、我が党は候補者擁立の準備に入る。」と明言。
昨年の都知事選では、最大野党・民主党所属のスクムパンが126万票あまりを獲得して当選。タイ貢献党のポンサパット候補は108万票あまりで次点。
プムタム幹事長によれば、「プア・タイ党が昨年11月と12月に実施した調査では、クルングテープでは依然として民主党が人気トップでプア・タイ党は2位。しかしながら、民主党など反タクシン勢力が交差点占拠などで都民に迷惑をかけていることから、民主党とプア・タイ党の差が縮まっていることが考えられる。このため、都知事選でプア・タイ党が勝利することも不可能ではない。」
プア・タイ党内では、早くもチャチャート運輸相を候補に推す声が挙がっている。 |
複数のタイ字紙報道によると、タクシン派与党プア・タイ党幹部とタクシン派インラック政権の複数の閣僚が先週、北京でタクシンに会い、タイの政治情勢を説明し、指示を求めた。
タクシンはタイの現況について、「国際社会はインラック政権に正統性があると見ているとして、必要な場合は反政府デモ隊の違法行為を厳正に取り締まるべき。」と主張。02月02日に実施された議会下院選については、「民主党系の反政府デモ隊による妨害で、投票から30日以内に下院が開会できなかったため、憲法違反で選挙自体が無効になる可能性が高い。ただ、民主党が参加して下院選をやり直すことになれば、選挙で事態が収拾できる。」として、期待を示した。
タクシン相はまた、「プア・タイ党には元外交官や博士、研究者ら優秀な人材がたくさんいるが、自分に対し誠実な人は少ない。」とこぼした。妹のインラック首相については、「首相側近が政治を知らず、自分が人を送り込んでも、首相が受け入れない。」として、持て余し気味であることを示唆。 |
03月14日(金) | 政治の行き詰まり状態を打開するため、7つの独立機関の代表が政府と反政府派の間の仲介役を務めることなどを話し合った。出席したのは、中央選挙管理委員会、オンブズマン、国家汚職制圧委員会(NACC)、国家会計評議会、国家人権委員会(NHRC)、国家経済社会諮問委員会(NESAC)、検察庁(OAG)の7機関。
ソムチャイ中央選管委員によれば、「協議では交渉の枠組みなどが打ち出されたが、これについては、17日にチェンワタナ通のオンブズマン事務所でこれら機関の代表の出席の下、発表が行われる予定。今回の協議は、『独立機関は政治危機解決において十分に役割を果たしていない。』との批判、『独立機関の介入を望む。』との国民の意見に応えるために行われた。」 |
中央選管が昨年03月の都知事選におけるスクムパン候補(現都知事)の当選を無効としたことから、都知事選がやり直しとなる見通しだが、チャチャート運輸相は「プア・タイ党がチャチャートを出馬させようとしている。」との報道を全面的に否定。
前回の都知事選では、プア・タイ党のポンサパット候補は次点に終わり当選を逃した。都知事選がやり直されれば、プア・タイ党が候補を擁立するのは確実と見られており、党内には早くもチャチャートを推す声が出ている。
だが、チャチャートは、「都知事選出馬については、打診もないし、興味もない。都知事の仕事は簡単なものではない。私は運輸面に詳しいだけで、都知事を務めるには力量不足。」 |
政治危機を解決するためとしてスラポン副首相兼外相が南鮮の無能で汚職まみれの潘基文国連事務総長の介入を求めたことに対し、外務省職員の多くが依然反対の態度を示している。
外務省内で強い反対意見が出ていることから、スラポンは、幹部職員に会って話を聞いたが、これは形ばかりのもので、スラポンは国連トップへの要請の正当性を主張し、幹部職員に十分な発言時間を与えなかった。
シハサック外務事務次官は、「タイ国内の状況は国連に介入を要請するほど悪化していない。」と反発。
関係筋は、「タクシン派の現政権は、自らの正しさを国際社会にアピールしようと国連に問題解決への協力を要請したもの。国連が乗り出せば、タイが国内問題を自力で解決できないということを世界に知らしめることになり、タイのイメージ悪化は避けられない。タクシン派が国益より現政権の存続を優先させているのは明らか。」 |
03月15日(土) | タクシン支持団体の反独裁民主主義同盟(UDD)のティーダ議長は、中部アユタヤ県で開かれたUDDの集会で支持者を前に、「議長ポストをUDD幹部のチャトポンに移譲する。」と発表。UDDは、政権党プア・タイ党の実動部隊とされる組織。シンボルカラーは赤で、UDD支持者たちは「赤服軍団」と呼ばれている。
UDDによれば、「今回のアユタヤ集会は、憲法裁判所などタクシン派の現政権に厳しい姿勢を示している反タクシン派寄りの独立機関に抗議することが目的。UDDは近くパタヤでも同様の目的で集会を行う予定。」 |
夜 | クルングテープの反政府デモを主導するステープ・トゥアクスバン元副首相(元民主党幹事長)の事実婚の妻シーサクン・プロームパンの都内タウィーワタナ区の自宅に、手榴弾が撃ち込まれた。怪我人はなかった。
警察は16日、現場検証のためシーサクン宅を訪れたが、家の警備員に敷地内に入ることを拒否された。
シーサクンは野党民主党の実力者ニポン・プロームパン元農相の妹。テレビ局チャンネル7を運営するバンコク・ブロードキャスティング&TV、アユタヤ銀行、セメント大手サイアム・シティ・セメントなどに出資するタイ屈指の富豪クリット・ラタナラックと結婚、離婚した後、テーチャパイブン財閥のポンテープ・テーチャパイブン(元副工業相)との間に2男1女を設けた。その後、ステープと内縁関係になった。ラタナラック財閥、テーチャパイブン財閥の関係者はステープ率いる反政府デモに参加している。 |
03月16日(日) | タクシン支持団体、反独裁民主着主義同盟(UDD)の議長に選ばれたチャトポンは、「次の戦いは大規模なものになる。」と明言。ただ、「UDDのとる戦術は平和的であり、武器は使わない。」とも強調。
チャトポンは、2010年に当時の民主党政権の退陣などを求めてUDDが展開した大規模反政府デモで主導的役割を果たした一人であり、UDD幹部の中でも強硬派として知られている。
今回の反タクシン勢力によるクルングテープを中心とした反政府活動に対し、UDDはこれまで政府の意向もあってか、過激な行動を控えているように見えるが、チャトポンがUDDのトップに就いたことでUDDが攻勢に出るとの見方が広がっている。 |
反政府デモを主導する人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長はこのほど、新聞社とのインタビューの中で、「政府支持派が武装グループを投入する事態となったら、PDRCは支持者たちを帰宅させる方針。」と明らかに。
ステープ事務局長によれば、「政権党プア・タイ党の実動部隊である反独裁民主主義同盟(UDD)が地方で大規模集会を開催するなど最近になって活発な動きを見せているが、これは、インラック政権が手詰まりに陥った結果。また、UDDが武装グループを動員してPDRCに攻撃を仕掛けてくる可能性がある。だが、そのような場合、PDRCは政府派と反政府が武器を手に戦うような事態を避けるため、デモ拠点で座り込みを続けている支持者らを一旦家に帰らせる。」 |
政府の治安対策本部である平和秩序維持センター(CMPO)の最高責任者、チャルーム労相は、「非常事態宣言の「解除案が18日の閣議で取り上げられる。」と述べた。
チャルームによれば、非常事態宣言はタイの投資・観光環境に影響しており、解除することが望ましい。」
また、反政府勢力が依然としてデモを続けていることから、首都圏には非常事態宣言に代えて国内保治安法が適用される予定。
なお、複数の独立機関が政治危機打開に向けて政府と反政府勢力の仲介をする動きを見せていることについて、チャルームは、「善意によるものと思われるが、独立機関の役割ではない。」と突き放した。 |
03月17日(月)早朝 | クルングテープ都内ラチャダピセーク通の最高検察庁前と裁判官研修施設前で手製爆弾2個が見つかり、警察の爆発物処理班が処理。怪我人はなかった。現場周辺のラチャダピセーク通は爆弾処理のため一時通行止めになり、激しい渋滞が発生。 |
21時半頃 | クルングテープ郊外ノンタブリー県ノンタブリー市にある国家汚職防止委員会本部近くの民家の庭で爆発があり、塀などが破損。怪我人はなかった。
爆発が起きたのは汚職取締委員会本部近くの退役陸軍大将宅で、グレネードランチャーで手榴弾が撃ち込まれたと見られている。
国家汚職防止委員会本部では今月04日、建物の前庭で手榴弾が爆発し、芝生に穴が開いた。怪我人はなかった。汚職取締委は事実上の米担保融資制度をめぐる汚職疑惑について、タクシンの妹のインラック首相らの捜査を進めている。 |
03月18日(火)早朝 | 都内プルンチット地区にあるプルンチット通とトンソン通の交差点にあるオフィスビル、トンソンタワーの玄関口近くで手榴弾を発見。
タイ地元紙によると、安全ピンは外された状態で発見され、警察の爆発物処理班によって処理。トンソンタワーは高架電車BTSチッロム駅とプルンジット駅の間にある19階建てのビルで、タイの不動産会社ノーブル・ディベロップメント、博報堂バンコクなどがオフィスを構えている。
ノーブルのキティ・タナーキットアムヌアイ会長兼最高経営責任者(CEO)の息子のタナットは昨年10月から続く野党民主党系の反政府デモに積極的に関わり、社員をデモに参加させるなどした。今月15日には、キティラット副首相兼財務相らがサッカーをしていた都内のサッカーコートに他の反政府デモ参加者らとともに乱入。「何が起きようと、社会にこのような人間がいる場所をなくしてやる。」と宣言した後、ホイッスルを吹き鳴らしてキティラット副首相に近づき、辞任するよう要求。この時の様子はデモ参加者側がビデオ撮影し、インターネット上に公開されている。 |
| オンブズマンや中央選管など6つの独立機関が、「現在の政治の行き詰まり状態を打開するため、政府と反政府勢力が選んだ代理人に話し合いを任せる。」との案を明らかに。
当初7機関が共同で和解案を打ち出すとしていたが、検察庁が法執行機関が関わるのは不適切と考えたためか抜けることになった。発表された案によれば、インラック首相とステープ人民民主改革委員会(PDRC)がそれぞれ代理人10人を指名し、代理人を絞り込んだ後で解決策を協議する。
だが、インラック首相は、「ステープの出方を見極めるのが先。」と側近に伝えたとされ、これに対し、ステープは17日夜、ルンピニー公園で座り込みを続ける支持者を前に、「インラック首相には『待つ必要はない。』と伝えたい。私は誰も指名しない。」と明言。
ステープによれば、「独立機関の努力は評価するものの、インラック首相とその兄、タクシンは、タクシン派がこの国を牛耳っている状態を何が何でも続けさせようと躍起になっており、代理人が話し合ったところで解決策を見いだすことなど不可能。」 |
タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の新議長に強硬派のチャトポンが選ばれたことで、UDDが反政府派に攻勢をかけるとの見方が広まる中、プラユット陸軍司令官はこのほど、「UDD幹部と交渉する用意があるか。」との質問に対し、「このグループの者たちが国民にリーダーとして受け入れられるかを問いたい。リーダーは誇りを持ち、また、他から尊敬される人物でなければならない。」と述べ、UDD幹部らに不快感を露わにした。
チャトポンは、2010年に当時の民主党政権の退陣などを求めてUDDがクルングテープで展開した過激な大規模反政府デモの主導者の1人で、テロ容疑に問われている。
プラユット司令官は、UDD幹部について、「いかなる重要性も見いだせない。」と言い切っている。 |
02月02日の下院選挙が無効とオンブズマンが訴えた裁判で、憲法裁判所は近く判決を下す見通し。
下院選は野党民主党のボイコットと反政府デモ隊による立候補・投票妨害で、当選者が下院開会に必要な定足数に達していない。オンブズマンはこうした状況について、下院選が全国で同じ日に実施できなかった、投票日から30日以内に下院を開会できなかった、インラック政権が選挙期間中の01月に非常事態宣言を発令したなどの点で憲法違反と主張。
今回の裁判について、タクシン派の与党プア・タイ党は記者会見を開き、「民主党、選挙管理委員会、オンブズマン、憲法裁などが共謀し、最初から下院選を無効にする計画だった可能性がある。」と主張。「民主党系デモ隊による妨害で投票が行えなかった選挙区での選挙のやり直しを選挙委が大幅に遅らせ、訴える権限がないオンブズマンからの訴えを憲法裁が受理した。」などと、「こうした機関が民主主義の破壊を企てている。」と批判。 |
独立6機関が先に政治危機打開のために政府と反政府派の推す中立の人物らによる話し合いを提言したことについて、インラック首相は、最大の反政府勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長が提言に否定的なことを指摘し、「政府だけが中立の人物を指名しても意味がない。」との考えを示した。
インラックはまた、国王が昨年12月05日の誕生日に国民に任務の遂行を呼びかけたことを引き合いに出して、「ルールを守って任務を遂行すれば、正義がもたらされ、問題の解決に繋がる。」と強調。
関係筋によれば、これは、「ルールを守っている政府に反政府派が理不尽な要求を突きつけている」との従来の政府の主張に基づいたもので、「反政府派の要求は何があっても受け入れない。」と改めて表明したもの。 |
インラック首相は15日、北部チエンマイ県の食堂を訪れた際に、車から降りるときに躓いて靱帯を損傷。完治には2ケ月ほどかかると見られ、18日に中部ナコンパトム県で開かれた閣議には車椅子で現れた。
インラック首相はクルングテープでの反政府デモや、議会下院選挙の有効性をめぐる裁判、米担保融資制度に関する汚職捜査などで窮地に立たされており、気苦労がまた1つ増えた形。 |
プア・タイ党は、「憲法裁判所に総選挙無効の訴えを受理する権限はない。」との見方を示した。
02月総選挙については、様々な問題が生じており、憲法裁が無効との判断を示す可能性が高いとされる。だが、プア・タイ党は、総選挙無効がプア・タイ党の解党処分に繋がることなどを恐れ、「憲法に従えば、まだ総選挙は有効で、再選挙を行うなどして総選挙を完了させることは可能。」と主張。このため、「憲法裁に権限なし。」と主張することで、「憲法裁判断を受け入れる必要はない。」とアピール。
プア・タイ党によれば、「総選挙無効の訴えはオンブズマンによって提起されたものだが、オンブズマンにはこの種の訴えを起こす権限はなく、憲法裁がこのような訴えを受理することもその権限を逸脱することになる。」 |
政府は閣議で、景気・観光のさらなる落ち込みを回避する必要があるとして、首都圏に発令されていた非常事態宣言を19日に解除することになった。
非常事態宣言は、反政府派がクルングテープの主要交差点を占拠する「都心封鎖」に踏み切ったことなどを受けて01月下旬に発令されたが、実業界からは、「反政府デモによる影響より、非常事態宣言発令による影響の方が深刻。」として、宣言の早期解除を望む声が続出していた。
なお、宣言解除後も首都圏には国内治安法が適用されることから、政府の治安対策本部の名称も平和秩序維持センター(CMPO)から平和秩序管理センター(CAPO)に戻される。
非常事態宣言は5人以上の集会禁止、報道統制などを合法化するもので、01月13日に反政府デモ隊がクルングテープの主要交差点を占拠したことを受け、同22日に発令。しかし、国軍がデモ隊の強制排除に反対する姿勢を明確にしたため実効性はなく、02月には、デモ隊側の訴えを受けた民事裁判所が非常事態宣言による強制排除や集会禁止などを禁じる命令を出し、有名無実となっていた。03月02日にはデモ隊がクルングテープ都内のルムピニー公園に撤退し、観光業界などから、非常事態宣言の解除を求める声が強まっていた。
デモ隊の撤収後、クルングテープの日常生活はほぼ通常通りに戻ったが、ルムピニー公園や司法機関の周辺では発砲や爆弾騒ぎが続発。こうした状況に対応するため、政府は19日から、軍・警察主体の国内安全保障司令部(ISOC)に関係政府機関の動員、特定の建物、地域への進入禁止、外出禁止、集会禁止、移動禁止などの権限を与える国内治安法を、クルングテープ都とノンタブリ県の全域、サムットプラカン県バンプリ郡、パトゥムタニー県ラードルムケーウ郡に発令。期間は04月30日まで。 |
22時45分頃 | 都内ペッブリー通の路上検問で、拳銃、銃弾、ナイフ、反政府デモ隊が使用するホイッスルなどを所持したタクシー乗客の男を警察が逮捕した。男はラーマ4世で回収されたものとよく似た手製爆弾3個を所持。 |
03月19日(水)02時頃 | タクシン派団体、反独裁民主着主義同盟(UDD、通称赤服)のチャトポン会長(48)のクルングテープ都サイマイ区の自宅と隣接する別のUDD幹部宅に銃弾が撃ち込まれた。怪我人はなかった。
チャトポンは今月16日、UDDの会長に就任し、2010年にUDDによる反政府デモを強制排除を指揮したプラユット陸軍司令官と批判合戦を繰り広げていた。
チャトポンは南部スラタニー県出身で、現在反タクシン派デモを率いているステープ元副首相(元民主党幹事長)と同郷。家が貧しく、10代からクルングテープの寺に寄宿。職業訓練校を卒業した後、北部チエンマイの山岳地帯で3年間ボランティアの教員を務めた。その後クルングテープで入試のないタイ国立ラムカムヘーン大学に入学。1992年の民主化闘争に参加し、その後、タクシン派政党に参加した。反タクシン派のアピシット民主党連立政権下の2010年04~05月、UDDのデモ隊を率いてクルングテープ都心部を占拠し、同年05月19日、UDDは軍により強制排除された。このときの一連の衝突によるデモ参加者、警官、兵士を合わせ死者91人、負傷者2000人以上に上った。
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未明 | 都内の地下鉄MRTルムピニー駅前のタイ-ベルギー橋近くのラーマ4世通とウィタユー通の交差点で不審物が見つかった。手榴弾は道路の真ん中に落ちており、爆発物処理班が現場を封鎖し処理された。この影響で一時現場付近は大渋滞となった。
警察が回収したところ、瓶に爆竹を詰め黒いテープを巻いた手製爆弾。現場は反政府デモ隊が立て籠もるルムピニー公園傍で、300mほど先に在タイ日本大使館がある。 |
| 憲法裁判所長官は、「オンブズマンのポーンペット、インラック首相の代理人であるポンテープ副首相、中央選管のスパチャイ委員長の証言に伴い、憲法裁判所が21日に02月総選挙が有効か無効かの判断を示す予定。」と明らかに。
02月総選挙は、反政府デモ隊の妨害のため一部の選挙区、投票所で立候補受付や投票ができなかった。このため、国立タマサート大学法学部のキティポンがオンブズマンに「総選挙は違憲であり無効。」との訴えを起こし、オンブズマンが憲法裁に判断を求めることになった。
だが、政権党プア・タイ党は、「オンブズマンがこのような訴えをすることは権限の範囲外。従って、憲法裁がオンブズマンの訴えを受理し、判断を下すことも憲法裁の権限を逸脱している。」と、「もし総選挙無効の判断が示されたとしても、これに認めない。」と表明。
事態打開につながるとの期待が出ている憲法裁判断だが、憲法裁判断を政府が無視することで手詰まり状態がさらに深刻化することも予想される。 |
クルングテープ都ラクシー区で総選挙投票日の前日02月01日に反政府派と政府支持派の市民が対峙する中、発砲などで負傷者が出た事件で、警察は03月19日、犯人とされる男を南部スラタニー県の反政府デモ関係者の家で逮捕。
捕まったのは北部ピッサヌローク県出身の男(24)で、犯行当時、ポップコーンの袋に自動小銃を入れていた映像から、「ポップコーン・ガンマン」と呼ばれていた。男は犯行を認め、「1日300Bで反政府デモ会場の警備に雇われていた。」と供述。「銃撃に使用したM16自動小銃はデモ隊の別の警備員から支給されたもので、犯行後、返却した。」と話した。
ラクシー交差点では事件当日、投票会場の準備妨害を図った反政府派の市民数百人と政府支持派の市民が衝突し、双方が数十分にわたり銃を撃ち合い、タイ人6人と米国人カメラマンの計7人が怪我をした。選挙委員会はこの事件を受け、ラクシー区での投票を中止。
が捕らえられたスラタニー県は、最大の反政府勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長の生まれ故郷。政府の治安対策本部のトップ、チャルーム労相によれば、「PDRCの警備担当の最高責任者の妻の実家に容疑者が潜伏しているとの情報を得て、スラタニー県で逮捕した。」 |
タイ商工会議所(TCC)のイッサラ会頭によれば、「政治危機が暴力に発展する事態となれば、タイ経済の成長がマイナス2%にまで落ち込む恐れがある。長引く反政府デモと非常事態宣言の発令が経済に打撃を与えており、経済的損失は最大で1000億Bに上ったと見られる。政治危機がさらに長引く、あるいは、暴力にエスカレートするようなら、今年のタイ経済成長率は0%となりかねず、マイナス2%まで悪化することも考えられる。」 |
03月20日(木) | 上院関連改憲案が上院通過後に憲法裁判所によって違憲とされた問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)は、「上院関連改憲案の上院審議などにおいてニコム上院議長に憲法違反があった。」と判断しニコム議長の罷免のを請求を決定。
これに伴い法に従ってニコム議長は停職となり、スラチャイ第1副議長が上院議長を代行する。関係筋によれば、ニコムはこれまでタクシン派寄りとの批判を浴びてきたが、スラチャイ副議長は厳格な法律専門家として知られており、現在のタクシン派政権を特別扱いすることはないと予想される。
また、インラック首相が停職となる可能性が出ているが、憲法7条に基づいて中立の人物を首相に指名するとなれば、スラチャイ上院議長代行が重要な役割を果たすことになるという。
なお、上院議長の罷免には、上院での罷免請求承認と裁判所の決定が必要だが、上院で請求が却下される可能性もあり、また、上院議員が03月30日投票の選挙で入れ替わることになっていることから曲折も予想される。 |
民主党の広報担当、チャワノンは、「02月総選挙が無効とされ、総選挙がやり直されることになっても民主党は再び総選挙をボイコットする可能性がある。」との見方を示した。
憲法裁判所は21日に総選挙無効の訴えに対し判断を示すことになっている。民主党は今回の総選挙をボイコットし、候補を擁立していない。チャワノンは、「憲法裁によって総選挙が無効とされ、すぐに総選挙がやり直されるなら、国民の大多数も民主党もこれを受け入れることはできない。国家改革が実施されるまで総選挙を行うべきではないというのが民主党の立場だ。」 |
東部チョンブリー県パナトニコム郡で、池で漁をしていた者が「砲弾などが網にかかった。」と警察に通報し、警察によって池から迫撃砲弾約90発と自動小銃1丁などが引き揚げられた。
砲弾はタイ語の記号が刻まれたタイ製で、すべて使用可能な状態。また、古いものではなく、1~2ケ月ほど前に池に沈められたものと見られる。地元警察は、「有力者か武器商人が隠しておいたものではないか。」としているが、警察庁のアヌチャ副報道官は、「反政府派が持ち込んだ可能性がある。」との見方。 |
タイ東部チョンブリー県の池で、漁師の網に砲弾1発がかかり、警察が池の底を調べたところ、砲弾61発、AK47自動小銃1丁、銃弾50発などが見つかった。1、2ケ月前に投棄されたものとみられている。警察はクルングテープで続く反政府デモと関連がある可能性があると見て捜査を進めている。 |
23時半頃 | クルングテープ都内エカマイ通ソイ30の民家2棟の屋根に手榴弾2個が落ちて爆発し、住人のタイ人男性(43)が怪我をして病院に運ばれた。現場はチャラン憲法裁判事の自宅から薬300mほど。警察は何者かが判事宅を狙いグレネードランチャーで手榴弾を撃った可能性があると見て捜査を進めている。 |