55章 軍事政権=国家平和秩序評による権力の掌握への軌跡
06月11日(水) | プア・タイ党は、陸軍から政治活動の禁止命令が出されたことを受け、「党本部を臨時閉鎖する。」と発表。
党本部の臨時閉鎖は政治活動を著しく制限されたことから、「運営コストを削減する必要がある。」とし、今月16日から閉鎖する。党本部は都内ペップリー通のOAIタワー1階。 |
移動体通信2位のトータル・アクセス・コミュニケーション(DTAC)の親会社であるテレノールグループが、一部メディアに対して先月28日に「軍事政権からフェイスブックへのアクセスを規制するよう指示された。」と明かしたことから、国家放送通信委員会(NBTC)からDTACへの批判が出ている。
NBTCのセータポン副会長は、今回親会社が一部メディアに漏らした情報について、「現在の状況下で明かす内容でなくマナー違反だ。」と批判し、「今後DTACの外国人による株式保有比率を詳しく調査する必要がある。」とDTACへの締め付けを強化する考えを示した。「今後外資規制に引っ掛かることが判明した場合、4G帯域の参加権利を剥奪することもあり得る。」と語っている。
DTACは、以前からテレノールグループが上昇するノルウェーやシンガポールの証券取引所への報告書で、タイで規制されている外資出資比率の上限49%を越える記載をしており、業界3位のトゥルームーブから違法と訴えられるなど問題になっていた。 |
都内の陸軍本部で、外務省高官や17ケ国に駐在するタイの大使や総領事を集めた会合が開かれ、ここでプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が自らクーデターの必要性などを説明。プラユット議長は、国際社会で軍事クーデターに批判が出ていることについて、「軍部による全権掌握に同意できない国があり、軍部の行動に全ての国の理解を得ることができないのも承知している。同意しない国に我々が反論したり抗議したりする理由がないこともわかっている。だが、我が国は理解が得られるよう努力する必要がある。」などと述べ、タイの対外イメージ改善のための外交努力が不可欠との考えを強調。 |
今回の軍部による全権掌握について、国家平和秩序評議会(NCPO)のウェラチョン報道官は、タイ外国人特派員協会(FCCT)に集まった報道関係者に対し、「これまでにタイで起きたクーデターとはまったく異なる。」と指摘し、「クーデター」という表現を使わないよう求めた。
タクシン派のインラック政権による強引な憲法改正などに対し、反タクシン派が猛反発。大規模な反政府デモを開始したことから、昨年12月に下院が解散となったが、政府と反タクシン派の対立は収まらず総選挙で新政権を誕生させることもできず、また、対立が暴力にエスカレートし、死傷者が増加してい>た。ウェラチョン報道官によれば、「政府も十分に機能せず、法律も守られない状態となっていたことから、軍部が治安の回復などのために国の統治に乗り出さざるを得なかった。」
なお、国際社会からは批判が出ている軍部による政治介入だが、タイ国内では多くの人が軍部の動きを受け入れており、軍部が今後政治や治安の立て直しに向けてどのような道筋を示してくれるかに注目している。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、アタポン検事総長、スウィチャク議会下院事務局長、スラチャイ情報通信技術(ICT)省次官の3人を解任し、首相府次官室付に異動。3人はいずれも、05月22日のクーデターで崩壊したタクシン派インラック政権寄り。
軍はクーデター後、警察長官ら警察幹部34人、県知事13人、国防次官、法務省特捜局(DSI)局長らタクシン派の幹部官僚を解任。タクシン派の政治家、政治活動家を中心に、今月11日までに400人以上を出頭させ、多数の身柄を拘束。また、テレビ、ラジオを管理下に置き、軍政に批判的な報道を禁じている。 |
インラック前政権が設置した水源管理関連機関の見直しを求める声が関係者の間で強まっている。
インラック政権は2011年の記録的大洪水を受けて、再発防止のため大型治水計画(総工費3500億B)を作成し、関連プロジェクトの実施を一元的に監督する機関を設置した。
だが、タイ・エンジニアリング研究所のスワッタナ顧問などによれば、「同機関は、水利局など既存政府機関と役割が重複しており、逆に洪水対策の推進を妨げる結果を招いている。」
なお、前政権の大型治水計画については、国家平和秩序評議会(NCPO)も疑問を抱いているようで、「計画の下で進められている全てのプロジェクトを見直す必要がある。」として、その実施を一時中止するよう命じている。 |
2014FIFAワールドカップの試合のテレビ放送を巡る、放送事業を監督する国家放送通信委員会(NBTC)と娯楽大手のRS社の論争は、最高行政裁判所がワールドカップ放送権を有すRS側の主張を認め、全64試合のうち22試合のみがテレビで無料放送され、残りは有料チャンネルでしか視聴できないことになった。NBTCは昨年導入した規則に従い、「市民誰でも視聴できるよう地上波で全試合無料放送するべきだ。」と訴えていたが、RS社は「2005年に放映権を獲得しており、その規則には応じられない。」と真っ向から対立していた。
しかし、プラユット陸軍司令官を議長とする国家平和秩序評議会(NCPO)は、「国民に幸福を取り戻す。」とのNCPOの方針にそぐわないとして、NBTCに対し、全試合を無料で視聴できるよう検討を指示。また、「陸軍運営の地上波テレビ局、チャンネル5も無料で試合を放送する用意がある。」としており、これまで通りにワールドカップの試合を全て無料で楽しめる可能性が出てきた。
関係筋によれば、NBTCが全試合を無料放送とすることに対し、RS側は「有料チャンネルからの収入などが得られなくなり7億Bに上る損失が出る。」として、これを補填するようNBTCに要求。NBTCが現在、損失額の詳しい内訳を示すよう求めているところ。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)の報道官、ウィーラチョン大佐が、タイ外国人記者クラブで講演。
ウィーラチョン大佐はいつもの軍服ではなく背広姿で登場。「軍は民主主義の破壊ではなく強化を目指している。」、「(軍によるクーデターは)国家運営の変更に過ぎない。」などとして、「クーデター」という言われ方に違和感を示した。 |
06月12日(木) | 芸能大手のRS社が獲得したサッカーの2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会の放映権について、国家放送通信委員会(NBTC)は、放送権を有す娯楽大手、RS社は予定通り一部の試合のみ無料放送とする予定だったが、NBTCとの話し合いで全試合無料放送する対価として約4億2701万5000Bを受け取ることで合意し、全64試合無料放送での放映されることを決定。
RS社はこれまで、「一部の試合を無料でテレビ放送し、残りは有料チャンネルで中継する。」と主張。最高行政裁判所もRS側の言い分を認める判決を下していた。
だが、国家平和秩序評議会(NCPO)は、「有料放送は限られた人しか視聴できず、『国民に幸福を取り戻す。』とのNCPOの方針に反する」として、NBTCに対し、全試合を無料放送できないかを検討するよう指示していた。その結果、NBTCとRS社の間で有料放送の損失補填をNBTCが支払うことが合意され、全試合が無料放送されることになった。
無料テレビでは軍が所有するチャンネル5が38試合、チャンネル7が29試合、RSのチャンネル8が56試合を放送する予定。有料テレビでは最大手トゥルービジョンズが全試合を放送。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「微笑み、愛、幸せを国民に返す」と銘打ったイベントを15日午後03~08時、都内のルムピニー公園で開催。歌手、俳優、警察の楽隊、警察犬らが出演するほか、警察・軍の医療チームによる健康診断、インフルエンザの予防接種などが行われる。食事、飲料も振る舞われる。いずれも無料。 |
軍事政権は公開中の歴史大作映画「キング・ナレスワン伝説5」の15日午前11時からの回の入場料をタイ全土の映画館160スクリーンで無料とする。3万5000席分で、タイ人限定。愛国心の発揚と軍政への支持取り付けが狙いと見られる。「キング・ナレスワン伝説5」は16世紀にビルマ軍を追い払いタイの独立を回復した英雄、ナレスワン大王を描いた映画の第5部。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長は、陸軍本部に関係各省の代表を集め、総合的な治水事業に関する基本方針を伝えた。骨子は、関係機関、住民らから意見を集め、プミポン国王の治水事業に沿った形で、総合的な対策をまとめる、国内の人的資源を活用する、2015年度予算から5~10年掛けて取り組むなど。
総合治水事業は前政権が外資にほぼ丸投げする形で入札を行ったが、軍政は政府主導で計画を練り直す考え。
タイではタクシン派インラック政権当時の2011年に、中部を中心に大洪水が発生し、ホンダ、ソニーなど日系企業約400社を含む1000社以上の工場が水没した。インラック政権はこれを受け、洪水防止と灌漑を狙った総額3500億Bの大規模な治水事業を打ち出し、昨年06月に事業者入札を実施。韓国水資源公社、支那企業とタイ企業の共同事業体などが落札。しかし、06月中に、市民団体の訴えを受けたタイ中央行政裁判所が政府に対し、事業者との契約前に環境アセスメントと公聴会を実施するよう命令。事業者との正式契約が結ばれないまま、タイの政局は反タクシン派の街頭デモで混乱状態に陥り、今年05月のクーデターでタクシン派政権は崩壊。インラック政権の総合治水事業については、タイ国内の専門家が、「河川の状況や立ち退きが必要になる世帯などの情報が不足している。」と指摘。当初応札を予定していた日本企業の共同事業体は入札条件や事業内容に懸念を示し、昨年04月に入札から撤退。 |
06月13日(金) | 国家平和秩序評議会(NCPO)は、タクシン派が優勢な北部、東北部でタクシン派組織(通称:赤服)の解体を進めている。
北部チエンライ市では、地元のタクシン派団体の解散式が行われ、軍、県庁の担当者が見守る中、タクシン派団体幹部が「タイに幸せを返すため、シャツの色を消す。」などと述べた。タクシン派団体関係者はタクシン派のシンボルカラーである赤服ではなく、黒、白などの服を着用。式典の間中、表情は硬いままだったという。
一方、英字紙バンコクポストが東北部ウドンタニー県のタクシン派団体幹部の話として報じたところによると、「軍政はメンバーの身柄を拘束するなどタクシン派団体を弾圧する一方、反タクシン派団体による政治活動は制限していない。」という。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長は記者会見で、「米農家を支援するため持続可能な農業開発を進める手段が必要。」と力説し、「農家が100%恩恵に与りかつ透明性を備えた支援策が必要。」との理由から、「前政権が導入した事実上の米買い取り制度である米担保融資制度を今回の収穫期で終了する。」と言明。
米担保融資制度をめぐる汚職が理由で、米農家の支援策として、生産コストを引き下げる方策を検討する。また、有機農法の奨励、協同組合システムの復活なども掲げた。
農民からはインラック前政権が実施した米担保融資制度のような従来型の米農家支援策の継続を望む声が出ているが、プラユット議長は、「今問われたら、『米担保融資制度も(民主党政権が採用した)米価保証制度も絶対に実施しない。』と答える。この件について、これ以上質問しないほしい。」と明言。プラユット議長によれば、「米農家を支援するためには、単に米を高値で買い上げたり、米価を保証したりするのではなく、農民の理解を得る形で土壌改善に向けて有機農法を促進するなどして農業生産性を高め、また、農業協同組合のあり方を見直すことなどが必要とされている。」
米担保融資制度はタクシン派インラック政権の目玉政策の一つで、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家に渡り、汚職の温床になっている。」という指摘もあった。
今年01月には、「この制度をめぐり不正が行われた。」として、タイ汚職取締委員会がブンソン元商務相、プーム元副商務相ら15人を刑事告発した。汚職取締委によると、「ブンソン元商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したとしていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。」という。汚職取締委はまた、米担保融資制度をめぐる汚職、巨額の損失について知りながら無視したとして、インラック前首相を職務怠慢で上院で弾劾にかけることを05月に決めた。上院は05月22日のクーデターにともない廃止され、インラック前首相の弾劾は行われない見通し。
米担保融資制度は国際通貨基金(IMF)からも、財政負担が重い割に政策効果が低いと批判を浴びていた。米担保融資制度による最終的な損失額は5000億B近くに上る見通し。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「午前00時~午前04時の夜間外出禁止令をタイ全土で解除する。」と発表。
夜間の外出規制は、国軍が全権を掌握したことに伴い、軍部に反抗する動きを抑え込むなどの目的で全土に発令されたもの。その後、主要な観光地などで解除され、これまでに30を超える県と観光地で夜間外出が自由となっていた。NCPOでは、「暴力発生の兆しがなくなった。」として、「国民への負担を軽減し、観光業を促進するため、夜間外出禁止令の全面的な解除に踏み切ったもの。」と説明。
NCPOはクーデターで全権を掌握した05月22日、午後10時~午前05時の外出を禁じる夜間外出禁止令をタイ全土に発令。28日に外出禁止時間を午前00時~午前04時に短縮し、その後、南部のプーケット島、サムイ島、北部スコータイ県などで夜間外出禁止令を解除したが、クルングテープなど大半の都県では解除していなかった。 |
NBTのニュース制作チームの関係者が、情勢悪化を煽るような内容を報じたことで解雇。NBTは、「13日にNBTが放送したニュースが国家平和秩序評議会(NCPO)の意に反する政治情勢を悪化させかねない内容だったことから、この制作チームの責任者であるチャルーンシーを即日解雇した。」と明らかに。
NCPOは、以前から情勢を混乱させる内容を報道しないようにとテレビ各局に通達しており、場合によっては放送停止に追い込まれる可能性がある。 |
19時半頃 | 都内ラーマ9世通のアソーク交差点近くで手榴弾が爆発し、自動車4台が破損。怪我人はなかった。タイ字紙タイラット、デーリーニュースなどが報じた。 |
夜 | 国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長はテレビ演説で、09月中に暫定政権を設立し、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う考えを示した。
タイの報道関係者の多くは、「プラユット司令官が09月末で定年退官した後、暫定政権の首相に就任する。」と予想している。
プラユット議長は05月22日の軍事クーデターで内閣と国会を廃止、憲法を停止し、全権を掌握した。演説では、「軍政が直接統治する現在は第1段階で、第2段階として、09月中に(軍政が任命する)暫定政権を設立し、10月以降、暫定憲法を施行し、(軍政が任命する)国会を発足させる。」と述べた。第2段階は1年間としている。タイ政府のホームページに掲載されたこの演説のプレスリリースのタイ語版には総選挙への言及はない。英語版には「1年後に選挙を行う。」と記されている。
プラユット議長は演説で、「治安維持に関しては、戒厳令の適用をできるだけ避け、一般の法律の適用を心がけている。」と述べた。また、「(タクシン派と反タクシン派の)和解のため、住民が党派の指導者の影響を受けずに自由に話し合う場を319の村で設け、1万人以上が参加した。」と話した。
外交面では、プラユット議長本人が支那と日本の実業家と会談し、理解を得たとしたほか、国防次官代行が支那を訪問したことを明らかにした。
経済面では、「予算の監視監督委員会を設置し、10億B以上の政府事業について、汚職や事業の妥当性を調べる。」と表明。今年度(2013年10月~2014年09月)予算の執行については、不要な事業を中止させ、公務員の国外視察旅行や公用車の購入を認めない方針。来年度(2014年10月~2015年09月)予算は歳出総額が今年度比2%増の2兆5750億B、財政赤字2500億Bを見込み、タクシン派政権のようなバラマキ政策を避け、無駄な歳出を削る方針。
投資誘致については、労働集約型産業からハイテク産業に転換を進める方向で恩典政策を見直す。特にバイオディーゼル、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー、省エネに重点を置く。
教育政策については、タイの歴史、規律、倫理、公共心などの教育を重視。また、ドイツをお手本に、職業訓練教育を改革する考えを示した。 |
06月14日(土) | 国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長が作詞した曲「タイに幸せを取り戻す」が話題を呼んでいる。インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに06日に投稿され、13日までに24万回再生された。
歌詞は「国家は危機に直面している」「手遅れになる前に介入させて欲しい。」、「愛を取り戻すため」、「時間が少しかかるが、待ってもらえないか。」、「兵士は負けない。これは約束だ。」、「タイは良くなる。幸せは戻ってくる。」といった内容。クーデターで全権を掌握した強面の将軍とは思えないソフトな語り口。
タイでは昨年後半から、反タクシン派による大規模なデモが続き、政府機能の一部が麻痺。プラユット議長は反タクシン派が求めるクーデターを拒否し続けていたが、今年05月22日、ついにクーデターに踏み切り、タクシン派政権を打倒。プラユット司令官はクーデターについて、「軍の私利私欲のためではなく、国家機能と治安を回復する必要に迫られた善意の介入。」と主張。今後、タクシン派と反タクシン派の「和解」を進める一方、新憲法を制定し、2015年後半以降に民政移管の議会選挙を行う方針を示した。
軍政はクーデター後、タクシン派の政治家、政治活動家、ジャーナリスト、不敬罪に批判的な学識者ら数百人を召喚し、多数の身柄を拘束した。また、警察長官、県知事などタクシン派の幹部官僚多数を更迭。さらに、テレビ、ラジオを管理下に置き、報道内容を厳しく統制している。しかし、05月22日に発令した夜間外出禁止令は06月13日までで解除した。
一方、「微笑み、幸せを国民に返す。」と謳い、クルングテープで軍楽隊などによるコンサートを開催。国費を投じてサッカーのワールドカップの全試合を地上波テレビで放送させるなど、国民に擦り寄る姿勢も見せている。
プラユット議長は直裁的で厳しいが、質問に明快に答える。また、時折ふざけ、公用車に乗った後に手を振ったりと、人間味もあって、記者仲間の評判は上々だ。「国と王室を思い、クーデターに踏み切った。」という見方が強く、司令官自身への風当たりは、今のところ、さほど強くない。
ただ、地方住民や低所得者層が中心で民主主義を求めるタクシン派と、タクシン派の政治参加を制限したい反タクシン派の溝は深い。両派の和解が1年程度で達成できるとは考えにくく、クーデターは問題を先送りし、新憲法の内容次第では、両派の対立をさらに深刻化させる危険を孕む。 |
タイ軍が起こした今回のクーデターは、議会・選挙制度改革など国家制度の問題のほか、古いタイと新しいタイの国家観の相違にどう取り組むかという宿題を抱えている。
反タクシン派が理想とする従来型のタイは、倫理的に優れた国王を精神的な支柱に、「優れた」人々が国民を指導するエリート体制だ。これを象徴するのが、反タクシン派市民の一部が掲げる「リスペクト・マイ・タックス(私が払う税金を尊重せよ)。」という言葉だ。タイで個人所得税を収めているのは6000万人超の人口の10分の1以下とされる。富裕層、中産階級を中心とする反タクシン派には税金(個人所得税)を払うものだけに国政に参加する権利を与えるべき。」という意識がある。一方、地方住民、貧困層が多いタクシン派の合言葉は「リスペクト・マイ・ボート(私の1票を尊重せよ)。」1人1票の民主主義を尊重し、クーデターや司法による民選政権の転覆、デモによる選挙妨害を止めよ。」
タイは東南アジアで唯一、植民地化を免れた。19世紀後半から近代化を進め、1932年に絶対君主制から立憲君主制に移行したものの、植民地化のような国家の抜本的な変革がないまま、ここまで来た。生き延びた古いシステムや考え方の上に民主主義を接ぎ木しようとした矛盾が混乱の根底にあり、民主主義の安定的な運用を阻んでいるようにみえる。クーデターに踏み切ったプラユット陸軍司令官はタクシン派と反タクシン派の「和解」を実現し、世界的に通用する民主主義の導入を図るとしているが、そもそもクーデター自体が古い制度、考え方そのものという矛盾を孕む。
タイは膨大な土地を所有する特権階級と土地を持たない多数の貧農が併存し、政府高官や軍・警察幹部には有力者一族の名字が並ぶ。一方、普通の会社員が乗用車を所有し、フェイスブックに夢中になり、日本旅行を楽しむ時代になった。19世紀のままのタイと21世紀のタイが同居し、居心地悪そうにしているのが現在のタイと言える。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ副報道官は、「政治絡みとみられる暴力の再燃が認められたエリアには夜間外出禁止令を再び発令する。」と明言。夜間外出禁止令は06月13日に全面解除されたものの、その日に都内ラマ9通アソーク交差点で手榴弾が爆発するという事件が起きている。怪我人はなかったが、爆発で自動車数台と交番が損傷。
ウィンタイ副報道官は、「もし現在のような平穏を保つことができないようなら、夜間の外出を再び禁止せざるを得ない。」と述べた。 |
06月15日(日) | 国家平和秩序評議会(NCPO)が、「映画『キング・ナレスワン伝説5』を全国の映画館で一日限定(15日)無料上映する。」と発表したことで、多数の市民が各映画館に押し寄せ大混乱。都内各所の映画館で夜明け前から映画館前に並ぶ人が続出し長蛇の列となったが、無料上映は午前11時のみだったことから、座席には限りがあり、多くの人が入場できなかった。並んだ市民からの反発も大きく、現場は大混乱となった。そのため各映画館上映回数を増やしたり、上映スクリーン数を増やしたり対応に苦慮していた。
また、映画産業側からは「無料上映の回数を増やす。」という申し出があるというが、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ副報道官は、「再び無料で上映されるかもしれないが、その場合は日時を発表する。」と説明。なお、「無料上映は民間部門の好意によるもの。NCPOが強いたわけではない。」と付け加えた。 |
各国に駐在するタイの大使や総領事によれば、「米国を含む西側の国々は、タイ国内の政治状況が明らかになるにつれてタイへの批判姿勢を和らげている。」
駐米タイ大使は、「国家平和秩序評議会(NCPO)が総選挙の実施などに向けた行程表を発表してからは、米政府からの質問が少なくなった。こちらからもタイ国内の政治状況について必要に応じて米政府に報告をしている。」と説明。
また、米政府が当初、軍事クーデターに否定的な見方を示したことについて、駐米タイ大使は、「状況がよくわからなかったことが原因。だが、軍が今後の計画を明らかにしたことで、米政府も安心したようだ。」と述べた。 |
消息筋によれば、国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、国外逃亡中のタクシンに「タイの政治に関わるな。支持者に『(タクシンに)会いに来るな。』と伝えろ。」と命じた。これに対し、タクシンは、「すでに政治的な活動はしていない。」と返答した。
タクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の刑が確定した犯罪人。だが、タクシン派、プア・タイ党の幹部たちにとってはいまだに大ボスであり、これら幹部によるタクシン詣でもたびたび報じられている。 |
「外国人出稼ぎ労働者は逮捕される。」との噂のため、数万人に及ぶ外国人が慌ててタイを脱出したとされるが、カンボジア人数千人がカンボジアと国境を接するサケオ県の国境通行所を通って帰国。
噂が広まることになったのは、国家平和秩序評議会(NCPO)が外国人労働者の雇用などを検討する委員会の設置を発表したことが原因とされる。
だが、外務省のサック報道官は、「近隣国とは長い友好の歴史もあり、これらの国々から出稼ぎに来た人々は、タイ経済の成長に寄与している重要な存在。『軍部が不法・合法にかかわりなく外国人出稼ぎ労働者を捕らえて強制的に国外退去させようとしている。』といった噂にはまったく根拠がない。」
また、外国人労働者の大量帰国が続いていることに対し、タイ工業連盟(FTI)からは、人手不足問題の悪化を懸念する声が出ている。なお、タイ開発調査研究所(TDRI)の労働問題の専門家、ヨンユットによれば、タイで就労している出稼ぎ外国人は約140万人、うち100万人あまりが不法就労と推定されている。 |
06月16日(月)早朝 | 中部アユタヤ県ラットブアルアング区クローングプラヤバンルア区の民家を捜索し、グレネードランチャーM791丁、擲弾75発、AK-47などを押収、この家を借りていたワッタナ・スブウィチャイン(48)を逮捕。「政治抗争に絡んだクルングテープなどでの爆破銃撃事件に関与した疑いがある。」と見て取り調べを進めている。 |
| カンボジア人の出稼ぎ労働者が、ここ1週間で約12万2000人が一斉帰国。そのため国境の入出国管理局は大混雑となった。一斉帰国の理由として、クーデター以降、「外国人の違法労働者への取り締まりが行われる。」との噂が広まり逃れたと見られている。
国家平和秩序評議会(NCPO)の外国人労働者小委員会のシリチャイ委員長は、「外国人労働者を取り締まるというのは我々の方針ではない。」と明言し、外国人労働者が逮捕を恐れる必要のないことを強調。
ただ、シリチャイ委員長によれば、「漁業や建設業などで深刻な人手不足が生じ、近隣国の出稼ぎ労働者が必要とされているといった問題に有効な解決策が打ち出されておらず、また、関係政府機関の取り組みもまとまりを欠いており、これらの点を改める必要がある。」
このため、NCPOは先に外国人労働者の雇用などに関する問題を検討する委員会を設置。だが、これが一部で「外国人労働者摘発の準備」と受け取られ、外国人出稼ぎ労働者が慌てて帰国する事態を招いた。
ある建設会社のオーナーによれば、「カンボジア人数人が身柄を拘束され、暴行を受けた。」との噂もあって、同社で働くカンボジア人約100人が「家族が心配している。」などの理由で帰国してしまい、業務に大きな支障が出ている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)のヨンユット報道官によれば、NCPOが設置した予算検査委員会は、「透明性や費用対効果などに疑問がある。」として、今年度予算から1件当たり10億B以上が割り当てられている大型公共プロジェクト7件の内容を見直すことを決定。
これらは、タイ国有鉄道(SRT)による客車115両の購入、SRTによる機関車126両の購入、スワンナプーム空港の施設拡張、タイ空港社(AOT)による乗客検査システムの購入、エネルギー政策企画室による省エネ基金設置、TOT社による3Gモバイルネットワーク整備、国家放送通信委員会(NBTC)によるテレビ放送デジタル化に向けた割引クーポン配布の7件。予算検査委員会は見直しの結果を国家汚職制圧委員会(NACC)と会計検査院に報告することになっている。 |
関係筋によれば、国家汚職制圧委員会(NCPO)のもとで、輸送戦略委員会が先に、インラック前政権が打ち出した大型インフラ整備計画の総予算を当初の2兆Bから3兆Bに引き上げると提案していたが、高速鉄道の建設が棚上げされる可能性が高いことから、総予算は2兆4000億B程度とされる見通し。
また、「大型インフラ整備計画は来年から2021年にかけ実施する。」とされているが、輸送関連では、首都圏の鉄道網拡充、自動車専用道の建設、鉄道複線化などは来年度中のスタートの可能性が高い。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)の社会心理部門は軍と教育省幹部の会議で、インラック前政権が目玉政策の1つとして導入した、小中学生に携帯パソコンを無料配布するプログラム「子ども1人にタブレットPC1台」を廃止。
タブレット事業は、第4地域(北部・東北部)の中学1年生に提供するタブレットPC40万2889台の購入に今年度予算から11億B以上が割り当てられ、来年度予算からも58億Bあまりが割り当てられることになっていたが、今後の購入は中止されることになった。
タブレット事業(教育省を監督)の担当者によれば、タブレット事業に割り当てられた予算は、ハイテク機器を導入して授業・学習の効率アップを図るなどの教育プロジェクトに役立てられる予定。タブレット事業の今年度(2013年10月~2014年09月)および来年度の予算、計約70億Bは別事業に回す。事業が途中で打ち切られたことで、タブレットは反タクシン派の地盤である南部や中部では支給され、タクシン派の地盤の北部、東北部では支給されないことになった。 |
06月17日(火) | 「外国人労働者は逮捕される。」との噂が流れ、11日から16日にかけ、タイで働くカンボジア人労働者十数万人が帰国。
外国人労働者が引き上げれば、建設現場などで支障が生じかねないことから、国家平和秩序評議会(NCPO)は16日の通達で、こうした噂を否定。タイ東北部、東部のカンボジア国境で出国審査を待つカンボジア人に兵士、警官が拡声器で噂を信じないよう呼びかけた。
シハサック外務事務次官は、駐タイ・カンボジア大使と話し合い、カンボジア大使館と関係政府機関を結ぶホットラインを設けてカンボジア人労働者からの問い合わせに的確に対抗することなどで合意。シハサック事務次官は、「帰国したカンボジア人については「不法就労だと安い賃金で働かされることになるため、正規の手続きを経てタイに戻って職についてもらいたい。」と述べている。
タイでは国境を接するカンボジア、ビルマ、ラオスからの労働者が建設、精米所、漁船といった「きつい、汚い、危険」の「3K」職場の主力となっている。タイ労働省の労働許可証発行数は04月時点でビルマ人103万5879人、カンボジア人19万4284人、ラオス人6万4378人に上り、不法就労者を含めると、この3国からの労働者は200万人を超える。
国家平和秩序評議会(NCPO)は06月10日に出した布告で、外国人労働者問題の政策審議委員会の設立を発表。12日にはNCPOのプラユット議長が、外国人不法就労者の登録を行うセンターを、国境の東北部ノンカイ、東部サケーオ、北部チエンライ、南部ラノーンの各県に設置する方針を示した。こうした動きに加え、「外国人労働者がタイ兵に射殺された。」といった噂が流れ、カンボジア人不法就労者を中心とする一斉帰国を引き起こしたと見られる。
NCPOは不法就労者の取り締まり強化を否定しているが、政策の方向性としては、「不法就労を正規雇用に切り替えて、身元、住所を把握し、労働者の保護や犯罪防止につなげたい。」としている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「人身取引を取り締まり、外国人出稼ぎ労働者の問題を解決する。」という計画を発表。
この中でNCPOは、とりわけ漁業分野で外国人労働者が搾取されることがないよう法律を順守するよう、また、雇用している外国人の名簿を提出するよう雇用主に命じるとともに、人身取引に関与した政府職員を厳しく罰する方針を明らかに。 |
運輸省関係筋が明らかにしたところによると、プラチン空軍司令官がタイのフラッグキャリア、タイ国際航空(THAI)の取締役会議長を辞任する見通し。これまで政権党だったタクシン派、プア・タイ党に起用された国営企業の取締役に辞任を促すことが狙いとされ、国家平和秩序評議会(NCPO)が打ち出した方針に沿った国営企業56社の役員入れ替えの布石になるものと見られている。
同筋は、「プラチン司令官は、20日の取締役会に先だって19日に辞表を提出すると見られている。これで、『ほかの取締役に辞任を求めながら、自分だけは現職に止まり続けようとしている。』などという批判も収まることになろう。」と述べている。
なお、国家平和秩序評議会(NCPO)で経済担当の副議長を務めるプラチン司令官は、石油・ガス最大手のPTT社の取締役でもあるが、このポストを辞するかどうかは今のところ定かでない。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は来年度予算に組み込まれる国防予算の算概算要求を来月にも発表する見通しだが、国防予算が大幅増となれば、NCPOは厳しい批判に晒される可能性がある。
国防費は、2006年09月に起きた前回のクーデターに伴い、2007年度に2006年度を33.8%上回る約1150億Bに増額され、2008年度も前年度比24.7%増の1430億Bに拡大されたという経緯がある。
2006年のクーデターまでは、国防費は年間3~5%の増加に止まっていた。なお、軍関係筋は、「来年度の国防予算は、今年度とさほど変わらないものになろう。」と述べている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、透明性、費用対効果、必要性などに疑問があるとして、さらに28の公共プロジェクトを見直すことを決めた。NCPOの国家予算検査委員会のアナンタポン委員長によれば、これらのプロジェクトは、今年度予算からそれぞれ10億B以上、総額400億Bあまりが割り当てられているが、中には不必要と思われるものもあり、見直しが必要とされている。
同委員会は、関係機関に可能な限り早期にプロジェクトを精査するよう指示しており、これら機関からの報告に基づいて06月中にプロジェクトの優先順位を決める予定。なお、NCPOは先に大型公共プロジェクト8件の見直しも決めている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、17日までに、放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会(NBTC)に対し、周波数1800MHz帯と900MHz帯の事業者入札など4件の入札の中止を命じた。入札に不正がないか調査する。 |
06月18日(水) | 軍の担当者は、「タイの空の表玄関、スワンナプーム空港でタクシーが乗車拒否するなどの問題を解決すべく、国家平和秩序評議会(NCPO)が1ケ月以内に新しいシステムの導入を予定している。」と明らかに。
陸地輸送局、陸軍、タクシー業界関係者による、違法タクシーに関する会合が行われ、公共輸送システムを改善するというNCPOの方針に沿ったもので、NCPOは外国人旅行者の第一印象に影響するため空港でのサービス改善に優先的に取り組むことを決めた。
担当者によれば、「タクシーは遠距離の客を好み、近距離の客を敬遠する傾向もあり、スワンナプーム空港では影響力を持つ者たちが都内などに向かうタクシーサービスを牛耳り、タクシーから金を取って遠距離客を割り振ったりしている。
その皺寄せがタクシー利用者に及んでおり、乗車を拒否する、客を途中で降ろす、客に不適切な言動をするといった問題が起きている。最終的に軍が空港内に検問所を設置し、監視を強化することを決定。19日よりターミナルビル1階部分に検問所を設置し、一部の違法タクシー業者の取り締まりを行う。
この他、空港ビル4階の出発ラウンジに客を送り届けたタクシーは、これまで出発ラウンジ前で客を乗せることが禁じられていたが、今後はタクシーを待っている客がいれば乗せることができる。だが、出発ラウンジ前でタクシーが客待ちするのはこれまで通り禁止。 |
タイ国内の全権を掌握中の陸軍が、違法労働者の締め付けを強化する方針であることが明らかとなり、各地で本帰国する外国人労働者が急増。タイ地元紙によると、ベトナム人、ピルマ人などの外国人労働者が大量に帰国する流れが続いており、カンボジア人に至ってはここ最近の帰国者が20万人を突破。そのため、各地で関係者らが労働者不足に危機感を抱いている。
南部パッターニー県では、漁業系の労働者の100%近くがビルマ人をはじめとした外国人だが、その多くが違法労働者であったことから、取り締まりを避けるように帰国している。またトラート県でも外国人労働者の流出が続いている。トラート県商工会議所関係者の話では、県内で約3万人のカンボジア労働者が必要なのだが、1日数百人単位で帰国しており、深刻な労働者不足に陥っている。
チラサック労働事務次官は、カンボジア人労働者がとりわけ多い東部のチョンブリー県シラーチャで事業所の代表らと話し合うとともに、労働省が支援を提供できるようどの程度人手が不足しているのかを労働省に報告するよう事業所側に要請。東部では、外国人労働者の5割以上がカンボジア人。
チラサック事務次官によれば、「労働省は事業所が事業を継続できるよう他の地域から労働者を東部に移動させることなどを計画している。カンボジアに帰国した出稼ぎ労働者は10万人を超えているとされるが、その多くは不法就労者と見られている。また、この大量帰国によって農業、漁業、サービス、工業といった部門が大きな打撃を受けている。」
現在経済界から、各地で大量に外国人労働者が流出し、労働力不足に陥る可能性を懸念する声が出ている。 |
放送・通信事業を一元的に管轄する国家放送通信委員会(NBTC)がテレビ・デジタル放送周波数の競売から得た収入数百億Bを国庫に移すことを計画。
国家平和秩序評議会(NCPO)によれば、「この計画は、『現行法のもとではNBTCは周波数競売からの収入508億Bを適切に管理・活用できない。』と会計検査院が報告したことに伴い打ち出されたもの。」
会計検査院はまた、「同収入が国家予算に組み込まれておらず、憲法の精神にも反する。」としている。
この他、NCPOは、国営通信会社のTOTが権利料収入を増やして経営を立て直すことができるよう、2010年制定の周波数割り当て法(FAA)を一部改正して抜け穴を塞ぐことも予定している。 |
都内の戦勝記念塔ローター交差点とその周辺で乗り合いバンが客待ちしていることが交通渋滞の一因となっていることから、国家平和秩序評議会(NCPO)は先に、戦勝記念塔ローター交差点からやや離れた空港線マカサン駅に隣接する空き地を乗り合いバンのターミナルとすることを提案。
だが、空き地を所有するタイ国有鉄道(SRT)のプラパート総裁は、NCPOの担当者との話し合いで、「SRTは空き地の商業開発を予定している。」と、反対する意向を示した。また、プラパート総裁によれば、「バンを戦勝記念塔からマカサン駅に移動させただけでは問題の根本解決にはならない。」 |
06月19日(木) | 都内カンナーヤーオ区で、ロケット弾や自動小銃などが発見された。発見現場は東ウォンウェーン通近くの路上で、自動小銃、RPGロケット弾、拳銃などが入った袋が捨てられていた。タイ陸軍の検問などを恐れて、現場に投棄したものと見られている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「不正を排除する。」などして首都の公共輸送手段を改善する措置の一貫して、オートバイタクシーの料金基準を設定するとの方針を明らかに。
オートバイタクシーは今や料金も比較的安く庶民の足となっている。だが、警察などに影響力を持つ者が運転手たちから所場代や保護料を取っており、また、一部では「料金が高い。」といった苦情も出ている。このため、NCPOは、「これらの問題の解決を最優先課題としている。」NCPOの担当者は、「所場代などを取っているグループは30以上存在する。グループのボスは、現職や退職の政府職員(警察官や軍人を含む)。」と説明。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、労働省の幹部2人を首相府相の閑職に異動。「外国人出稼ぎ労働者が搾取されている。」などの問題の解決を図った措置の一環と見られている。左遷されたのは、雇用局と外国人労働者管理室のトップ。
NCPOの報道官は先に、「(外国人の不法就労を助けて利益を得るといった)外国人労働者絡みの不正の報告が来ている。政府職員が関与している可能性がある。」と述べていた。また、同報道官は、外務省に対し、「タイから出国しようとしていたカンボジア人8人が交通事故死した。」との一部報道についてカンボジア側に説明するよう指示したことを明らかに。
カンボジアからの報道によれば、カンボジアの内相は、「タイ軍がカンボジアに相談せずにカンボジア人の不法就労者を追い出した。」などと批判し、「交通事故死はタイ軍に責任の一端がある。」との見方を示している。
だが、同報道官によれば、関係当局は交通事故死を確認しておらず、何者かが軍を非難するために流した虚偽情報の可能性がある。 |
スワンナプーム空港は旅客ターミナル4階(出発ロビー)からのタクシー乗車を黙認する方針。
スワンナプーム空港は1階のタクシースタンドから通常の運賃に50B上乗せした料金でタクシーに乗車させるため、出発ロビー前の道路でタクシーが客待ちすることを禁止。わざわざ一方通行の回転ゲートを設けて、出発ロビーから外に出た人がタクシーを拾えないようにするなどしていた。
しかし、タイ軍事政権が19日から空港のタクシー利権の摘発、運転手の管理などに乗り出したことから、方針を転換。「今後も出発ロビー前でのタクシーの客待ちは原則禁止するが、客を乗せて出発ロビーに到着したタクシーに、間を置かずに空港からの客が乗り込む場合は容認する。ただ、1階のタクシースタンドと異なり、行き先や運転手名などを空港で把握できないため、安全は保証できない。」と言う。
スワンナプーム空港のタクシーは不透明なシステムや運転手の質の低さなどが問題になっている。運転手は覚醒剤や酒で酩酊していることもあり、外国人だけでなく、タイ人の利用者からも強い不満が出ている。 |
サック外務報道官によれば、「シハサック外務事務次官(外相代行)は、佐藤駐タイ日本大使と会ってタイの現在の政治状況などを説明した。ここで日本から、日本がタイとの協力関係を今後も維持する方針であるという確認を得た。」この他、佐藤駐タイ大使は、シハサック事務次官に対し『いつでも日本を訪れてほしい。歓迎する。』に伝えた。」サック事務次官は来月にも日本を訪問する。 |
05月22日のクーデターで政権を掌握したタイ軍事政権は国際社会での孤立を防ぐため外交努力を続けている。外相代行のシハサック外務次官は16日にラオを訪問したほか、クルングテープで17日に米国のクリスティー・ケニー大使、19日に佐藤重和駐タイ大使と会談。軍政トップのプラユット陸軍司令官はクーデターの3日後にバンコク日本人商工会議所の代表を都内の陸軍クラブに呼び、状況を説明。今月19日には米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、オーストラリアの在タイ商工会議所の代表と会談。 |
06月20日(金) | タイ国際航空の取締役会で、アムポン前会長、アドゥン前警察長官ら取締役4人が辞表を提出。4人はいずれも05月22日のクーデターで崩壊した前政権寄りとされ、軍事政権から辞任圧力が掛かった模様。
タイ航空はタイ財務省が株式の51%を保有するほか、タイ政府系投資ファンド、タイ政府系銀行などが出資し、タイ政府資本の出資比率が約7割に上る。様々な利権を抱え、社内抗争や政治介入が頻繁に発生。2013年に120億B、今年01~03月に26億Bの赤字を計上するなど、経営は低空飛行が続いている。昨年は滑走路をオーバーランするなど事故が相次いだ。こうした状況を受け、昨年12月、就任して1年2ケ月だったソラチャク社長が辞任。今年03月にはアムポンが会長を退き、今年03月にプラチン空軍司令官が後任の会長に就任。
プラチン空軍司令官は、「国営企業の役員入れ替えに先鞭をつけるためタイ国際航空(THAI)の会長を辞任する。」と報じられていたが、「辞任しないことにした。」と明言。プラチン司令官によれば、「国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長から『仕事が山積しているので、会長に止まってほしい。』と言われ、続投を決めた。」
なお、プラチン司令官を除く取締役5人全員は辞任しており、プラチン司令官は「できるだけ早期に新しい取締役を任命したい。」と述べている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)が、先日発表したクルングテープ都内戦勝記念塔近くにある乗り合いバンの停留所をエアポート・レール・リンク(ARL)マッカサン駅に移転する計画について、タイ国鉄道公団(SRT)が反発。
タイ地元紙によると、SRTプラパット総裁は、「停留所の場所を戦勝記念塔からマッカサン駅に移転したとしても、移転先に負担がかかるだけで、根本的な解決にはならない。」と批判。
SRTは移転先一帯の土地を保有しており、周辺地域がさらに渋滞する上、停留所を作っても利益にならないことなどが反発の理由と見られる。 |
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長はテレビ番組の中で、「不法就労者は社会福祉サービスの恩恵に与っていない。」と指摘して、「外国人の不法就労者が雇用主や人身取引組織に搾取されている問題を解決する必要がある。」との見解を明らかに。
また、米政府は同日、「タイをこれまでのウオッチリスト国(監視が必要な国)から人身取引問題が最も酷い国に格下げする。」とした人身取引年次報告書を発表したが、プラユット議長のテレビでの発言はこの発表以前に収録されたもの。 |
タイ国有鉄道(SRT)はこのほど、空港線マッカサン駅に隣接するSRT所有の空き地を乗り合いバンのターミナルとするとの国家平和秩序評議会(NCPO)の案に同意。
NCPOは、「マカサン駅にほど近い戦勝記念塔ローター交差点とその周辺で乗り合いバンが客待ちをしていることが交通渋滞の悪化を招いている。」として、これらのバンをマカサン駅の空き地に移動することを提案。これに対し、プラパートSRT総裁は当初、「空き地の商業開発計画が進められなくなる。」と反対していた。だが、NCPOが、「空き地の利用は一時的な措置。」と説明したことから、SRTの同意が得られた。 |
都内ワントンラン警察署の署長が、首都圏警察の作戦センターに異動。
ワントンラン区メンチャイでは19日夜、警察が違法カジノを摘発し、ギャンブル用のテーブル、カード、チップなどを押収するとともに、従業員と見られるタイ人12人、カンボジア人23人、ビルマ人2人を逮捕しており、署長の異動は懲戒処分と見られている。
手入れをした際、カジノ内には客はいなかった。
また、「違法にもかかわらずカジノが営業できているのは警察幹部などが関わっているため。」との見方が以前からあり、メンチャイのカジノについても「大物の関与」を指摘する声が出ているが、ワチャラポン警察庁長官代行によれば、「今のところ関与を裏付ける証拠は見つかっていない。」 |
警察は、「都内で銃器不法所持容疑のキットティッポング・チャンチュムことナン(28)を逮捕し、M16自動小銃1丁、手榴弾3個、銃弾などを押収した。」と発表。
銃器の売買が行われるという情報を?み、19日夕方、都内のガソリンスタンドでバイクに乗った容疑者を逮捕、バイクに積んであった箱からM16などを押収。さらに、ナンの供述に基づき、都内の民家を捜索し、銃弾、爆弾などを発見。 |
06月21日(土) | 国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、国営企業56社の代表を集めた会合の中で、投資額1億B以上のプロジェクトについても財務省の認可を求めるよう要請。NCPOは大型公共投資プロジェクトの見直しを発表していたが、その対象が投資が比較的小さなプロジェクトにまで拡大されることを意味している。
この他、NCPOは国営企業に対し、財務状態を改善するため、これら企業の首脳に付与されている特権についても見直しを行うよう指示。関係筋によれば、「1億B以上のプロジェクトは、すでに実施が決まっていても、受注業者との契約が済んでいないものは財務省による内容精査が必要。」 |
国防省はこのほど、今年度末の09月30日をもって定年退官となる、国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長(陸軍司令官)や、NCPOの重要ポストにあるタナサック国軍最高司令官、ナロン海軍司令官、プラチン空軍司令官など軍幹部役400人の名簿を発表。
発表は毎年この時期に行われているもので、政界観測筋は、「プラユット司令官の定年退官が確定したことを意味するものではない。国防省は09月30日までにプラユット司令官らの退官延期を決定、発表する可能性もある。」と指摘。また、09月中に暫定政権が設置される予定だが、同筋によれば、「考えられるシナリオは、定年退官してもNCPO議長のポストに止まって暫定政権を監督する、退官せずに陸軍司令官としてNCPO議長を続けて暫定政権を監督する、NCPOの人気が高いことを受けてプラユットが自ら暫定政権の首相に就任するの3つ。ただ、プラユット司令官自身は、NCPOが矢継ぎ早にさまざまな解決策を打ち出していることなどから評価する声が多いものの、その成果が出るかなど今後の状況次第では人気が続かない可能性もあると考えている。」
1991年02月の軍事クーデターでは、軍首脳部が「政治には介入しない。」と繰り返していたにもかかわらず、翌1992年の総選挙後にスチンダ陸軍司令官(当時)が首相を務めることが決まり、これに市民が猛反発して流血の惨事「暗黒の5月事件」が起きたが、今回のプラユット議長の首相就任には、「以前の政変とは状況がまったく異なる。」との見方が大半を占める。 |
最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長(元副首相)は、都内で催された夕食会の席上、集まったPDRC支持者約100人を前に、「タクシンの影響力を一掃すべく、2010年からプラユット陸軍司令官と話し合っていた。」と暴露。
ステープは、「(05月20日の)戒厳令発令の前、プラユット司令官からプラユット司令官が(南鮮製無料通信アプリ)、LINEを使い、『あなたもPDRC支持者たちも疲労困憊だ。軍部が(タクシンの影響力を一掃するという)役目を引き継ぐ。これが軍部の務め。』と言われた。」と話している。なお、ステープによれば、昨年末から05月の軍部の全権掌握までにPDRCの反政府活動に投じられた資金は総額14億Bあまり。うち約4億BはPDRCの幹部や家族から提供され、残り約10億Bは支持者からの寄付。
ステープが長く幹事長を務めた反タクシン派の民主党は2001年以降、議会下院選でタクシン派政党に4連敗中。民主党は1997年と2008年に連立の組み直しで政権を奪取したが、いずれも軍などの介入の結果と見られている。2010年には、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が当時の民主党政権を退陣に追い込もうとクルングテープで過激な反政府運動を展開したが、これは05月に治安部隊がデモ隊強制排除に踏み切り制圧されることになった。プラユット大将は同年10月に陸軍司令官に就任。ステープは当時、治安担当の副首相だった。
ステープは昨年から今年にかけてのデモで、「選挙前の政治改革」を掲げ、議会下院選を投票妨害などで阻止する一方、軍にクーデターによる政権打倒を訴えた。04月下旬にタクシン派と反タクシン派の調停に乗り出したアピシット民主党党首(元首相)も下院選の延期とタクシン派内閣の総辞職、非民選の暫定内閣の設立、政治・選挙制度改革を提案し、ステープと歩調を揃えていた。
プラユット司令官は今回のクーデターで、非民選の暫定政権と政治改革議会を発足させ、約1年かけて、選挙制度などの政治改革を推進し、その後、民政移管選挙の準備に入るとしており、ステープ、民主党のシナリオ通りの展開となっている。こうした経緯や人間関係から、タクシン派、民主派の市民の間では、ステープとプラユット司令官が裏で手を結んでいたと疑う声があり、今回の報道はこうした見方を裏付けるものと言える。 |
06月22日(日) | タクシン派のプア・タイ党を率いてきたチャルポン元内相が先に、プア・タイ党党首を辞任し、これに伴い、党役員全員が解任。
チャルポンは、軍部による全権掌握を非難し、また、出国したまま外国に止まって軍部の出頭命令を無視し続けている。このため、チャルポンは、「このままでは党にまで咎めが及ぶと考えて、06月16日に「(軍が全権を掌握した)05月22日に遡って党首を辞任する。」と文書で党に伝えてきた。 |
国家汚職制圧委員会(NACC)のウィチャー委員によれば、「関連法を改正することで、公務員・政治家の絡む汚職事件への関与が疑われる民間企業をNACCが捜査できるようにすることが現在、検討されている。」
現行法では、NACCの捜査対象は公的ポストにある者だけに限定されている。だが、汚職事件に民間企業が深く関与していることが少なくないため、民間企業の取り調べができないことが捜査の障害となっている。
なお、ウィチャー委員によれば、「多くの国で汚職問題の解決に当たっている政府機関に民間企業を捜査する権限が付与されている。」 |
タイ字紙カオソッドなどによると、クルングテープの高架電車BTSサイアム駅とチッロム駅の周辺で、軍事政権に批判的な行動をしたとされる市民10人以上が検挙された。検挙されたのは、全体主義国家が支配する未来を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984」を読んでいた男性、「リスペクト・マイ・ボート」と印刷されたTシャツを着ていた女性ら。タイのテレビ、ラジオは軍政の統制下にあり、こうした検挙を報じていない。 |
外国人違法労働者の取り締まりが強化されると明らかになって以降、ビルマ人、ベトナム人、カンボジア人などが突然帰国しておりタイ国内各地で労働力不足に悩まされる状況となっているが、逆に正規でタイに入国し働くカンボジア人が増加。
タイ地元紙などによると、先週カンボジアのフン・セン首相が急遽パスポートの作成手数料を現行の124ドルから4ドルに値下げしたことで、これまでパスポート無しでタイに不法入国して働いていた人が、パスポートを取得して正規のルートでタイで働く流れになっている。現在プノンペンの人材紹介会社には職探しをする市民が殺到しており、徐々にタイにカンボジア人労働者が戻ってくるではと一部で楽観視されている。 |
06月23日(月)朝 | AK47ライフル銃および200発のM16の弾薬がチョンブリー県サタヒープ郡のスクムビット通の屋根のあるバス待合所の近くで地元住民によって見つかった。
銃や弾薬は良好な状態で、国家平和秩序評議会(NCPO)によって命じられた兵器の違法所持に対する摘発を恐れて捨てられたものと見られる。 |
| カオソッドなどを発行するマティチョンのカンチャイ社長は軍政の出頭命令に応じず、逮捕状が出ていたが、健康状態の悪化を理由に、逮捕状が取り消された。 |
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、「タクシンの影響力一掃について最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長と個人的に話し合ったことはない。」と述べ、ステープ事務局長の先の発言の内容を否定。ステープの発言は、2010年に当時の民主党政権の退陣を迫ってタクシン派が過激な反政府運動を展開したことを受けて、ステープとプラユット陸軍司令官がタクシン派の勢力削減を長年にわたり謀議してきたと受け取れるもの。
だが、NCPOのウィンタイ報道官によれば、「プラユット議長は、『ステープ氏と密談したことはない。、(プラユット議長は)前政権のインラック前首相からの指示で(デモ隊など)各方面との交渉にあたったが、成功しなかった。』と述べた。」
関係筋によれば、NCPOは反タクシン派の主張に沿うようにタクシン派を排除する措置を打ち出してはいるものの、国民和解の実現にも努力しており、プラユット議長は、「ステープ発言のせいで『軍部と反政府派が結託していた。』と受け止められてタクシン派が反発し、NCPOの計画遂行に支障が出るのではないか。」と危惧している。 |
欧州連合(EU)は、タイ軍がタクシン派政権を追放して全権を掌握したことを受け、「民主的な政権が樹立されるまで、EU・タイ間の政府関係者などの公式訪問を中止し、すべてのパートーナーシップ協定についても交渉などを棚上げする。」との声明を発表。
これに対し、タイ外務省は、「EUの決定には失望した。欧州諸国には、関係維持と長期的利益の観点から決定の見直しを求めたい。」とコメント。また、シハサック外務事務次官(外相代行)は、「EU加盟国の駐タイ大使と今回の決定について話し合う。」と述べた。
また、タイ商工会議所のポンシン副会頭によれば、「タイ・EU間自由貿易協定に関する対話が1~2年中止されると予想されるが、この間にタイ側は、協定締結のプラス面、マイナス面を詳しく検討するとともに、EUがこれまでに外国と締結した自由貿易協定について比較・検討することが望まれる。」 |
06月24日(火) | 05月22日のクーデター後、軍の出頭命令を拒否して行方をくらましたタクシン派政党プア・タイ党のチャルポン党首(前内相)は、チャクラポップ元首相府相とタクシンの側近2人とで「軍事政権に抵抗する組織を発足させた。」と発表。また、軍部を批判言動でプア・タイ党に影響が及ぶのを避けるため既に党首を辞任。組織の名称は、人権と民主主義のための自由タイ組織(FTHD)(タイ語通称、セーリータイ)。
チャルポンはすでにタイを出国したと見られる。不敬罪に問われているチャクラポップ元首相府相も国外逃亡中。
チャルポンはインターネットに投稿した動画の中で、背広姿で声明を読み上げ、プラユット陸軍司令官によるクーデターを、「国内法にも国際法にも違反し、強盗に等しい。」、「民選政権を力で倒し」、「人権、民主主義を蹂躙した。」などと批判。「セーリータイは国際法に則り、暴力に訴えず、民主主義と人権の回復を目指す。」と謳った。インターネットの交流サイト、フェイスブックのセーリータイのページをタイ国内で閲覧しようとすると、「このウェブサイトは不適切な内容、情報を含むため、タイ情報通信技術省が閉鎖した。」という表示が現れ、閲覧できない。
関係筋によれば、前党首らは、06月24日がタイが絶対君主制から立憲君主制に移行した82年前の立憲革命の記念日であるため、抵抗組織樹立の発表の日に選んだ。また、「自由タイ」という名称を使ったのは、大東亜戦争中にタイに進駐した日本軍に抵抗した地下抵抗運動「自由タイ」に自分たちを準えたもの。大東亜戦争での反日組織「自由タイ」を名乗っているので明らかなように、タクシン派やプア・タイ党は反日。
* チャルポン・ルアングスワン
チャルポンは1946年生。チュラロンコーン大学行政学修士。タクシン政権(2001~2006年)で法務次官、労働次官などを歴任し、定年退官後、タクシン派政党に加わった。2011年の下院総選挙ではプア・タイ党の比例代表11位。総選挙後発足したタクシン派インラック政権(2011~2014年)で運輸相、内相を務めた。 |
タクシン派抵抗組織、人権と民主主義のための自由タイ組織(FTHD)発足の発表について、NCPOのウィンタイ報道官は、「外務省は諸外国に対し、『現在の状況下でこのような組織を設置するのは不適切。』と説明し、この動きに協力しないよう呼びかけている。ほとんどの国は、自国内で混乱が生じる恐れがあるため、このような組織が活動するのを容認しないだろう。」と述べた。
なお、プア・タイ党の幹部の1人は、「チャルポンらが勝手にやっていること。党とは無関係。」と述べ、タクシンも支援には消極的と見られ、「抵抗組織が拡大する可能性は低い。」との見方が支配的。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「有力者による不正などの問題を解決すべく首都圏のタクシーサービスを適正に管理する体制を2ケ月以内に作り上げる。」との計画を明らかに。
NCPOの担当者によれば、計画では、①関連法を厳格に施行してタクシーサービスに有力者が介入できないようにする、②適正なタクシーサービスを提供できるよう法律・規則を改正して当局の権限を強化する、③適正なサービス提供を持続できるよう努力するという3段階で実施される。
また、首都圏警察はこのほど、「多数の露天商が歩道で商売し、歩行者に迷惑が掛かっている問題を解決するため、人通りの多い都内5ケ所で露天商を規制する措置を来月にも実施する。」と発表。 |
関係当局の発表によれば、軍と警察の合同捜査チームが、東北タイの玄関口、ナコーンラチャシマー県で戦闘用武器の不法所持容疑でノッパドン・ペッチマダン(42)を逮捕。M16やAK47といった自動小銃9丁、M79グレネードランチャー1丁、各種の銃弾や擲弾を押収。
警察によれば、タクシン派が東北部で武装闘争を計画しているとの情報について捜査していたところ、この男の存在が浮上してきたもの。 |
サムットプラカン地方裁判所は、「プレジデント・アグリ・トレーディング社が7年前に受注した政府の米取引で1億4540万B相当の米を着服した。」として当時プレジデント・アグリ・トレーディング社の社長で、米取引の大物、アピチャートに禁錮3年の有罪判決を言い渡した。アピチャートは判決を不服として控訴する姿勢を見せている。
アピチャートはタクシン首相やワタナー商業相(ともに当時)と昵懇の仲とされていたことから、「米取引の受注にも特別な計らいがあった。」との批判が出ていた。 |
米国務省のスコット・マーセル東アジア太平洋局主席副次官補は 、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会で、05月22日のクーデターで軍事政権が発足したタイの現状について答弁。
マーセル主席副次官補は「過去10年タイで続いている政治的社会的な混乱について、最も単純化すれば、タクシンの支持派と反対派の対立で、社会、経済、地理的な要因が絡み合っている。」と指摘。今回のクーデターについては、「政治家、学識者、ジャーナリスト、反軍政デモ参加者らの身柄を拘束し、メディアの検閲を強化するなど、タクシン政権を追放した2006年のクーデターより抑圧的で、前回よりも軍政による統治期間が長くなる。」という見通しを示した。軍政がタクシン派と反タクシン派の和解を掲げていることについては、「クーデターと抑圧で和解が達成されるとは見ていない。」と述べた。また、「軍政がタクシン派の官僚、国営企業幹部の更迭を進める一方、通信事業などで外資規制の強化を検討している。」米国の外交姿勢については、「選挙で指導者、政策を選ぶ民主主義の原則を支持し、クーデターへの反対を重ねて表明してきたと説明。クーデター後、タイに対する安全保障関連の支援470万ドルを凍結し、高官の交流、軍事演習、軍と警察の訓練プログラムを停止した。」と述べた。 |
欧州連合(EU)が23日の外務理事会で、タイとのパートナーシップ協力協定調印を見送り、相互の公式訪問を取り止めることを決めたことについて、外務省のシハサック次官は、ミゲル・サンズ駐タイEU大使を外務省に呼び、EUの対応に失望を表明。EUに対し、タイの情勢に関する一層の理解を求めた。
タイで05月22日にクーデターが起き、軍が政権を掌握したことに対する制裁で、EU加盟各国はタイとの軍事協力も見直す方針。EUはタイ軍政に対し、選挙による民主主義と憲政への早期復帰、人権の保護などを要求している。 |
タイの2大政党のひとつである民主党のアピシット党首(元首相)が活動を活発化。20日にケニー駐タイ米国大使と会談したほか、同日、米有名大学の教員、学生らと懇談。24日にはノードゴード駐タイ・ノルウェー大使と会談。
アピシット党首は05月22日の軍事クーデターで身柄を拘束されたが、数時間後に解放。拘束が数日間に及んだインラック前首相とは対照的。2大政党のもう1つであるプア・タイ党のチャルポン党首(前内相)は軍事政権の出頭命令を拒否して地下に潜伏し、24日、インターネット上で、抵抗組織の発足を発表している。 |
昨年10月~今年05月のクルングテープでの大規模な反タクシン・反政府デモを指揮したステープ元副首相(64)が、デモ開始以来初めて、地元の南部スラタニー県に帰郷し、スラタニー空港で支持者数百人の出迎えを受けた。支持者らはステープに花を渡したり、一緒に記念撮影。
今回のデモでは民主党幹部の財閥関係者らの先頭に立ち、タクシンやその支持層である東北地方住民らに対するクルングテープの中間層の反感を巧みに盛り上げ、一時は街頭デモに数十万人を動員。01~03月にはクルングテープの主要交差点を占拠。官僚からもかなりの支持を集めた。最後には、当初から望んでいた軍事クーデターでタクシン派政権が崩壊し、デモ隊が目標としていたタクシン派政権追放を実現。 |
06月25日(水) | 東北部ナコーンラチャシマー県でノッパドン・ペッチマダン(42)が大量の武器・弾薬の不法所持容疑で逮捕された事件で、警察当局は、 背後にいるとみられる資金提供者を特定すべく捜査を進める方針を明らかに。
ノッパドンは、民間企業の社員で、また、副業でも収入を得ていたとされるが、 警察は、「武器や弾薬は新品であり、容疑者が自分の金で購入したものとは考えられない。資金提供者を特定できれば、武器・弾薬を集めさせた黒幕も明らかに なる。」と説明。これらの武器・弾薬は、軍部の全権掌握に反対する武闘派のタクシン支持者らが武装闘争に用いようとしていたものと見られている。 |
タイ軍と米軍がタイで主催している合同軍事演習「コブラ・ゴールド」について、米議会で「来年もタイで実施すれば、タイ軍による全権掌握、国家統治を認めることになる」などとする批判意見が出たことに対し、国家平和秩序評議会(NCPO)のプラチン副議長(空軍司令官)は、 「演習実施は、主催国のタイと米国双方の利益になっている。他国で実施すれば、タイも米国も不利益を被る。」と述べ、「演習を引き続きタイで実施すべき。」との考えを表明。
また、軍関係筋によれば、「タイという東南アジアの要衝で合同軍事演習を実施することは米国にとって大きなメリットがある。このため、 『実施国変更』は単なるポーズにすぎず、実際に米国が他国で実施することは考えにくい。」という。
コブラ・ゴールドは1982年から毎年行われており、 今年は02月にタイ兵約4000人、米兵約9000人のほか、シンガポール、日本、南鮮、インドネシア、マレーシアの部隊によって実施された。また支那軍が初めて参加。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、暴力や王室批判を煽るような虚偽情報の流布を防止するため、メディアを監視する5つの委員会を設置することを決定。NCPOの担当者によれば、委員会は、警察、陸海空3軍、外務省、首相府、政府広報局などの代表で構成される。それぞれの委員会が、ラジオ・テレ ビ番組、印刷物、インターネット上での発言、外国メディアなどをモニターし、その結果をプラユットNCPO議長に報告。
NCPOの担当者は、「発信された内容が公正なものである限り、法的措置は執らない。」と述べている。だが、報道関係者からは、「我々報道のプロは、クーデターや王室を批判しないよう慎重な報道を行っており、NCPOによる報道規制は、NCPOのイメージを悪化させるだけ。」といった批判も出ている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)№2のプラチン空軍司令官(NCPO副議長)は、寧賦魁駐タイ支那大使と都内の空軍本部で会談。
プラチン司令官は軍政の経済政策を説明。寧は「タイは支那の友好国であり、タイの政治安定と経済発展を希望する。」などと伝えた。 |
クルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点。ここに店舗を構える商業施設などからなるラートプラチャプラソン・スクエア商取引協会(RSTA)のチャイ会長はこのほど、「国家平和秩序評議会(NCPO)が国内状況の正常化に努めていることを国際社会に示すためにも、NCPOは外国人観光客を呼び込み、小売業を促進する措置などを打ち出す必要がある。」との考えを表明。具体的には、①外国人が安全に国内を旅行できることをアピールする、②外国人のショッピングに特典を付与する、③ファッション製品の材料の輸入税を減税してタイ・ブランドの製品の競争力を強化するなどの措置が望まれる。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は会合で、報道統制を強化する方針を打ち出した。安全保障や治安維持を脅かす情報、王室、王位継承者、王族への憎しみを引き起こす内容などの取り締まりを強化するため、ラジオ、テレビ、印刷媒体、ネット媒体、外国メディアのそれぞれを監視する5つの作業部会を設置。
タイ・ジャーナリスト協会は、軍政の動きに対し、不快感を表明し、報道の自由を尊重するよう訴えた。 |
06月26日(木) | 国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、市民の不平・不満、苦情、提案、要求、意見などを受け付けるた4めつの窓口を開設。これらは、NCPOが設けたウェブサイトに書き込む「www.1111.go.th」、電話による「ホットライン・コールセンター1111」、切手不要の郵便による「私書箱1111」、本人が直接出向いて意見などを伝える「コンタクトセンター」(所在地・政府合同庁舎ゲート4)。
関係筋によれば、「NCPOが諸問題に前向きに取り組んでいることから、大勢の市民がプラユットNCPO議長の執務する陸軍本部に陳情に訪れている。このため、NCPOは、市民がNCPOに意見などを伝えやすくしようとホットラインなどを開設することにしたもの。」 |
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、政府汚職対策委員会(PACC)に対し、軍人による汚職の摘発にも力を入れるよう要請。NCPOの担当者は、「我々軍人も法律を守らなければならない。PACCに対しては、軍による武器調達に汚職がなかったかも検証するよう要請した。」と述べている。
なお、汚職を撲滅するために制定された法律では、政府機関や国営企業に10万Bを超える物品やサービスの購入において汚職防止のため価格の公表が義務づけられている。 |
米国が先にタイを人身取引問題が最も酷い国の1つとしたことについて、国家平和秩序評議会(NCPO)幹部のパイブン陸軍司令官補はこのほど、「法律の施行が不十分であり、汚職が問題解決を妨げていた可能性がある。」NCPOの法律問題担当部門のトップであるパイブン陸軍司令官補によれば、「治安機関の代表などが近く、効果的な問題解決策を打ち出すために話し合うことになっている。タイに関しては、不法就労の外国人出稼ぎ労働者が非常に多く、また、政府職員が不正に関与していることなどが大きな人身取引問題とされている。長期にわたる慢性的な問題だが、解決する必要がある。」と述べた。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は100万人を超えるといわれるビルマ、カンボジア、ラオからの不法就労者に労働許可証取得を促すため、労働許可証発行業務を一括して行うワンストップセンターを国内の全都県に設置する方針。
第1弾として、東部サケーウ県、トラート県、チャンタブリー県、東北部スリン県のカンボジア国境4ケ所に労働者登録センターを開設し、業務を開始。センターでは就労を希望するカンボジア人の身元、職歴などを登録し、健康診断を行い、暫定的な労働許可証を発行。タイ人雇用者は暫定的な許可証の発行から60日内に、労働者を雇用する都県で正規の労働許可証を取得する。
06月30日には、タイ水産業の拠点で外国人労働者が多い中部サムットサコン県に登録センターを開設し、不法就労のビルマ人、カンボジア人、ラオ人に暫定労働許可証を発行。雇用者に正規の労働許可証を取得させ、欧米が強く批判している、外国人不法就労者の漁船での「奴隷労働」の取り締まりを目指す。
タイでは国境を接するカンボジア、ビルマ、ラオからの労働者が建設、精米所、漁船といった「きつい、汚い、危険」の「3K」職場の主力となっている。タイ労働省の労働許可証発行数は04月時点でビルマ人103万5879人、カンボジア人19万4284人、ラオ人6万4378人に上った。ただ、労働許可証取得の手間やコストを嫌う雇用者も多く、100万人以上の不法就労者が存在する。」と見られている。
このうちカンボジア人の不法就労者は、タイ軍政が不法就労者を取り締まるという噂から、06月中旬から下旬にかけ、約20万人が帰国した。タイ東部などでは建設業、観光業などで労働者が不足し、大きな打撃を受けた。
「タイ国内の不法就労者は売春、漁船での奴隷労働などで収奪されている。」という指摘がある。米国務省は世界の人身売買状況に関する2014年版の報告書で、タイの評価を、これまでの4段階評価の下から2番目から、制裁対象となりうる最低ランクに引き下げ、「軍、警察、官僚が人身売買に関与している。」と批判。
NCPOはこれに対し、「(人身売買に対する)タイの取り組みを理解していない。」(シハサック外務次官)などと失望を表明。一方で、今回のセンター設置にみられるように、外国人労働者を制度内に取り入れて、人身売買組織を排除する動きも見せている。NCPOトップのプラユット陸軍司令官は20日のテレビ演説で、外国人不法就労者問題に触れ、不法就労者がタイで仕事を続けることを当面認める一方、就労許可の取得手続き、費用などを見直し、不法就労者を減らす方針を示した。 |
06月27日(金) | 国家平和秩序評議会(NCPO)は、来年10月頃には総選挙を実施し民政に復帰する見通しを明らかに。
NCPOのプラユット議長は、現在専門らを集め暫定憲法の草案の作成を進めており、来月中にも暫定憲法を公布、09月には暫定政権を発足できるとし、来年10月頃には総選挙を実施し、軍事政権から民主化される見通しとテレビ演説を通じて国民に語った。 |
チュラロンコーン大学の卒業式で卒業生代表で政治学部卒業のチパット・クリダコーン(28)♀が、反タクシン派デモ隊に度々参加し物議を呼ぶ発言をしていたことが明らかとなり批判が集まっている。
チパットがフェイスブックに投稿した内容は、「我々は戦うべきです、みんなが平等ではないことを明らかにするまで革命すること、悪人は善人と対等になるべきではない、そして愚民は賢民と対等になる権限も必要はない。」と1人1票の民主主義を否定する内容とも取れるもので、多くの市民から批判が集まっている。
チパットは反タクシン派の人民民主改革委員会(PDRC)の共同代表で、シンハビール、チャーングビールのブンロート醸造の相続人だが、過激な発言のため、ビールの営業に影響があることを恐れた父親サンティ・ピロムパクディー、ブンロート醸造社長は、一族の姓の「ピロムパクディー」を名乗らさせず、母親の旧姓の「クリダーコン」に改姓させた。 |
06月28日(土) | 国家平和秩序評議会(NCPO)は、警察高官、県知事らに続き、国営企業でもタクシン派の粛清を進めている。
空港運営会社エアポーツ・オブ・タイランド(AOT)では、タクシン政権で報道官を務めたシター会長ら取締役5人が、タイ国際航空ではタクシン派のアドゥン前警察長官ら取締役4人が辞任。この他に辞任したのは、港湾公社(PAT)のカムロンウィット会長(前首都警察司令官)、タイ国鉄(SRT)のブンソム会長(チュラロンコーン大学工学部長)、タイ電車公社(MRTA)のラチャニー会長、国営石油会社PTTのパーンプリー会長と取締役2人、政府宝籤局のアタクリット会長(警察少将)、タイ発電公社(EGAT)のアンチャリー会長、クルンタイ銀行(KTB)のウォラウィット会長と取締役4人、倉庫公社のパイロート会長、政府住宅銀行のアーパトラー取締役など。
国営企業の取締役ポストは軍・警察高官、官僚、政治家らが多額の副収入を得られるため、政権交代に伴い頻繁に入れ替えが起こる。ただ、今回は軍政がタクシン派の影響力排除を目指していることから、異例の大量辞任となった模様。 |
06月29日(日) | 05月のクーデターで全権を掌握したプラユット陸軍司令官はテレビ演説などを通じ、政治、司法、経済、教育に渡る幅広い改革に取り組む姿勢を見せている。しかし、具体的な内容は不透明で、プラユット司令官が自ら区切った1年の間に広範な改革を成し遂げられるかどうかには疑問符がつく。また、時間を区切ったことで、次回の選挙でタクシン派の復活を予想する官僚らが改革に真剣に取り組まない可能性もある。
プラユット司令官は今後の日程として、09月までに暫定政権を設立、暫定憲法を施行し、(軍政が任命する)国会を発足させ、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う方針。自身が暫定政権の首相に就任するかどうかは明らかにしていない。治安維持に関しては、「戒厳令の適用をできるだけ避け、一般の法律の適用を心掛ける。」
経済面では、予算の監視監督委員会を設置し、10億B以上の政府事業について、汚職や事業の妥当性を調べる方針。今年度(2013年10月~2014年09月)予算の執行については、不要な事業を中止させ、公務員の国外視察旅行や公用車の購入を認めない。来年度(2014年10月~2015年09月)予算は歳出総額が今年度比2%増の2兆5750億B、財政赤字2500億Bを見込み、タクシン派政権のばらまき政策を避け、無駄な歳出を削る。投資誘致については、労働集約型産業からハイテク産業に転換を進める方向で恩典政策を見直す。特にバイオディーゼル、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー、省エネに重点を置く。教育政策については、タイの歴史、規律、倫理、公共心などを重視。ドイツをお手本に、職業訓練教育を改革する考え。
前政権の主要政策のうち、事実上の米買い取り制度である米担保融資制度は今回の収穫期で終了。同制度をめぐる汚職が理由で、米農家の支援策として、生産コストを引き下げる方策を検討。また、有機農法の奨励、協同組合システムの復活なども掲げた。洪水防止、灌漑を目的とした治水事業については、関係機関、住民らから意見を集め、プミポン国王の治水事業に沿った形で、総合的な対策をまとめる、国内の人的資源を活用するといった基本方針を打ち出した。前政権はホンダ、ソニーなど1000社以上の工場が水没した2011年のタイ中部大洪水の再発防止を掲げ、総額3500億Bの大規模な治水事業を打ち出した。昨年06月に入札を実施し、韓国水資源公社などが落札したが、政局の混乱で正式な契約には至っていない。前政権は外資に事業をほぼ丸投げする形だったが、軍政はタイ国内の組織、人材を活用し、計画を練り直す考えの。小学1年生全員にタブレット端末を無料で支給する政策も廃止が決まった。タブレット事業の予算約70億Bは別事業に回す。周波数1800?帯と900?帯の事業者入札は不正の有無を調査するため延期する。 |
06月30日(月) | 国家平和秩序評議会(NCPO)の和解改革委員会(CRR)が、国家改革を実現すべくさまざまな政治勢力と話し合いを行っている。CRRの委員長、スラサック国防事務次官は、 「これまでにプア・タイ党、民主党、人民民主改革委員会(PDRC)、反独裁民主主義同盟(UDD)の代表らと話し合いを行った。」と述べ、「改革について1000件以上の意見がCRRに寄せられている。」と明らかに。これらの意見をまとめたものがプラユットNCPO議長に報告される予定。
なお、UDD関係筋によれば、「CRRとの話し合いではUDDの代表に10分程度しか発言の時間が与えられておらず、UDDからは、『我々が話し合いに参加することに意味があるのか。』、『NCPOは不誠実。』といった不満の声が上がっている。」 |
シハサック外務事務次官(外相代行)は、「国家平和秩序評議会(NCPO)の命令を無視して未だに出頭していないタクシン派幹部に対し外務省が旅券を無効とする措置を執った。」とを明らかに。これら幹部には、チャクラポップ元首相府相やチャルポン前プア・タイ党党首などが含まれる。
シハサック次官によれば、「軍事裁判所が逮捕状を発付したことに受け、外務省は規則に基づき、06月26日にこれら幹部の旅券を無効とした。」同規則では、「逮捕状が出た容疑者については旅券を無効とすることが可能。」とされている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、外国人出稼ぎ労働者の不法就労問題の解決策の一環として、外国人労働者登録センターを、漁業、水産物加工の拠点であるサムットサコン県に開設。
100万人を超えるとみられるビルマ、カンボジア、ラオからの不法就労者を制度内に取り込み、犯罪やタイの雇用者、官憲による人権侵害の防止を目指す。センターでは労働許可証取得を希望する人の尿検査、健康診断、書類審査などを行い、2ケ月間の暫定労働許可証を発行。雇用者、国籍、身元などの確認後、1~2年間の労働許可証を発行する。
暫定労働許可証の発行手数料を従来の4180Bから1305B(健康診断料、3ケ月間の保険証などを含む)に値下げしたこともあり、開設初日は申請者が殺到。コンピュータの故障など様々なトラブルがあったが、1990人に暫定労働許可証が発行された。
06月26日に、東部サケーウ県、トラート県、チャンタブリー県、東北部スリン県のカンボジア国境4ケ所に労働者登録センターを開設。今後、全都県にセンターを設け、不法就労者の削減を図る。
NCPOによれば、「不法就労は、雇用側につけ込まれて労働者が搾取されるという人身取引問題を引き起こしており、当局への登録を行わせることで不法就労者を減らすことが必要。」 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、ソムチャイ運輸省次官、チョート天然資源環境省次官を首相府付顧問に左遷し、財務省などで局長クラスの人事異動を行った。
一方、タイ観光庁(TAT)とタイ・コンベンション&エキシビション事務局の会長を兼任するペンスダーが06月27日、辞表を提出。 |
07月01日(火) | 国境侵犯などの罪で3年以上にわたりカンボジアで獄に繋がれていた反タクシン派組織、民主主義市民連合(PAD)の分派であるタイ愛国者ネットワーク(TPN)のウィーラ・ソムクワムキットが、カンボジを訪れたシハサック外務事務次官(外相代行)が「人道的対処を望む。」とのプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長の要請を伝えたことに伴い、シアヌーク前カンボジア国王の死去から1年に伴う恩赦によって釈放され、02日のフライトでタイに帰国予定。
ウィーラとパニット・ウィキットスレ民主党議員(当時)らは2010年12月、タイ・カンボジア国境を訪れた際、「カンボジア領に侵入した。」などの理由でカンボジア兵に捕らえられた。このうち5人は執行猶予付きの刑でタイに帰国したが、ウィーラの女性秘書ラトリー・ピパタナパイブーンが懲役6年、ウィーラが懲役8年の実刑判決を受けた。ラトリーは昨年、シアヌーク前国王の死去にともなう恩赦で釈放された。
タイとカンボジアは両国国境にある山上遺跡カオ・プラウィハーン(プレアビヒア)周辺の土地の領有権をめぐり、2008~2011年に武力衝突し、他の全員は昨年初めまでに釈放された。
だが、ウィーラだけはスパイ罪などが追加されて禁錮8年の刑を言い渡されたことから、カンボジア政府はこれまで刑の重さを理由にタイの釈放要求を却下していた。なお、スパイ容疑については捏造の批判もある。また、カンボジアのフン・セン首相はタクシンと親しく、タクシン支持を表明していたこともあり、また、ウィーラが反タクシン派の活動家であることから、「政治的に利用する目的で重い罪を負わせて人質に取った。」との見方も出ていた。 |
07月02日(水) | 外国人出稼ぎ労働者の不法就労問題の解決策の一環として06月30日にサムットサコン県に開設したワンストップサービスセンターが07月15日までにチャチュンサオ、アユタヤ、サムットプラカン、チョンブリー、ラヨーン、スラタニー、ソンクラーの7県にも開設予定。労働省雇用局によれば、登録手続きを行った外国人に仮の労働・滞在許可証と発行する。
また、サムットサコン県のセンター(ラオ人、カンボジア人、ビルマ人向け)では、07月02日までの3日間に2966人が登録。06月26日にスリン、サケオ、チャンタブリー3県のタイ・カンボジア国境に外国人出稼ぎ労働者向けの登録受付所が開設されており、これまでにカンボジア人3713人が登録を済ませた。関係当局の説明によれば、「センターの開設は、外国人が合法的に就労し福祉サービスを受けられるようにすることで不法就労の外国人が搾取されるのを防ぐことが狙い。」 |
カンボジアでスパイ罪などで禁錮 8年の刑を受けて3年以上服役した反タクシン派の活動家、ウィーラが07月01日にシアヌーク前カンボジア国王の死去から1年に伴う恩赦で釈放され、02日にタイ帰国を果たしたことについて、シハサック外務事務次官(外相代行)は、「釈放は無条件。」と述べ、カンボジアと裏取引があったとの見方を否定。
07月02日朝、プノンペン空港でタイへ帰国の途につくウィーラ・ソムクワムキット →
釈放は、先にカンボジアを訪れた同事務次官が「人道的な対処を望む。」とのプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長の要望をカンボジアに伝えたことから実現することになった。だが、シハサック事務次官とカンボジア政府高官との話し合いの中で「カンボジアがタイで捕らえられたカンボジア人出稼ぎ労働者14人の釈放を求めた。」と報じられたことから、「カンボジア人労働者を釈放するという裏取引があった。」との見方が出ていた。
シハサック事務次官は、「カンボジアが特別な配慮を要求したという事実はない。ウィーラの釈放はタイとカンボジアの友好関係を反映したもの。」と説明。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)がインラック前政権の打ち出した公共投資計画の見直しを進め、関連プロジェクトを受注した企業から計画の取り消しなどを懸念する声が出ているが、プラユットNCPO議長は、この不安を払拭すべく、陸軍本部を訪れた南鮮企業の代表らに対し、治水とインフラ整備に関する2つの大型計画の実施を確約。「これらの大型計画については、どんぶり勘定といった批判が出ていたことから、NCPOは内容を精査することにしたものの、計画の必要性は認識しており、計画を全て取り消すことなどは考えていない。」という。また、プラユット議長は、南鮮企業の幹部らに対し、「NCPOは韓国を含む外国からの投資を今後もサポートしてゆく。我々による国家統治と外国投資への支援を信頼してほしい。」と呼びかけた。
なお、大型治水計画(総投資額3500億B)では、南鮮企業がプロジェクトを受注することになったものの、昨年12月の下院解散に伴い、今年初めに予定されていた契約調印が延期されたままとなっている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、法人税、個人所得税、付加価値税(VAT)の税率を現行の水準で据え置くことを決めた。
タクシン派の前政権は2013年に、個人所得税率を5~35%、法人税率を20%に、それぞれ引き下げた。軍政はこの措置を2015年も継続する。VATの税率は景気刺激のための時限措置として、1999年04月に10%から7%に引き下げられ、今年09月末で期限が切れる。NCPOは2015年09月末まで現行の7%で据え置く。 |
07月03日(木) | 民政移管に向けた重要なステップのひとつである暫定憲法の制定は、草案の一部修正が必要なため、08月発効となる見通し。国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、NCPOが法律専門家チームの作成した憲法草案の内容を検討し、一部手直しが必要と判断したことなどを明らかに。
どの部分をどのように修正するかは明らかにされていないが、修正を経て07月末に国王陛下のご承認を求めることになるため、暫定憲法は08月に制定される見通し。暫定憲法下で暫定政権が設置され、NCPO政権下で改革が進められ、新憲法が制定される。そして、新憲法の下での総選挙で下院議員が選出され、国民の代表からなる政権が誕生する。
このほか、関係筋によれば、「暫定憲法草案の検討においてNCPO首脳からは、『大衆迎合政策に巨額の国家予算が投入されるのを防止する仕組みを、暫定政権下で暫定憲法に代わって制定される新憲法に盛り込むべき。』との意見が示された。」 |
インラック前政権が導入した米担保融資制度で農民から預かった米の大量紛失や品質低下が報告されていることから、国家平和秩序評議会(NCPO)の指示のもと、保管されている米の一斉検査を開始。
東北部スリン県では保管米が汚れていてコクゾウムシに食い荒らされているのが見つかった。スリン県で検査に当たっている第36検査チームの責任者によれば、害虫などが確認されたのはムアン郡(県庁所在地)のペンメン中央倉庫。第36検査チームは27ケ所を検査する予定だが、初日の検査で品質問題が明らかになったことから、第36検査チームの責任者は、「(米が紛失していないかという)量の問題より質の問題の方が非常に気がかり。」と述べている。また、東北部ブリラム県では、別のチームによって検査が行われたが、ここでも米の品質劣化が判明。
米担保融資制度は、タクシン派のインラック前政権がタクシン支持者が大多数を占める農民を支援するために導入したもの。だが、実質的には高値で米を買い取るものであったため、巨額の国家予算が投じられたことで厳しい批判が浴びせられたほか、高値故に米の買い手がなかなか見つからず、民間業者に保管を委託していた米が大量に紛失したり、品質が劣化するという問題が起きている。 |
国家汚職制圧委員会(NACC)のパンテープ委員長によれば、」NACCは、政治任用職や官僚の資産チェックにおけるNACCの権限を強化することを検討している。具体的には、政治家や政府高官に関連する一定額以上の金の動きについて金融機関に情報をすべて提出させる権限などをNACCに付与するというもので、これに関しては先に国家平和秩序評議会(NCPO)や金融機関の代表と話し合いが行われた。」
現行法では、金融機関に資金の遣り取りに関する情報を提出させる権限が付与されているのは資金洗浄対策室(AMLO)のみとなっている。 |
夜 | 都内のホテルで開かれた米独立記念日を祝う米国大使館主催のパーティーに、前政権の閣僚らが出席する一方、プラユット陸軍司令官ら軍事政権幹部は招待されなかった。パーティーに出席した前政権の関係者は、チャトゥロン前教育相、キティラット前副首相兼財務相、チャチャート前運輸相、スラナン前首相秘書官長ら。ケニー駐タイ米国大使の出迎えを受けた。このうちチャトゥロンは05月22日の軍事クーデター後、軍政による出頭命令を拒否して逮捕、拘束され、現在保釈中。 |
脳梗塞で04月30日に67歳で死去したピーラパン前科学技術相の葬儀が、都内の仏教寺院で行われ、インラック前首相ら前政権の閣僚多数が参列。インラック前首相は同日都内のホテルで行われた米国大使館の米独立記念日のパーティーには出席しなかった。 |
07月04日(金) | 日本国兵庫県議会議員の野々村竜太郎による会見がお茶の間を賑わせているが、タイでもこの会見がネット上で取り上げられ一部で話題。
← 嘘泣き(声闘)と朝鮮飲み、、「この朝鮮が」発言、朝鮮式数字を表す指の使い方の野々村竜太郎(47)
タイの人気ポータルサイトでは、この会見時の報道が動画共有サイト、ユーチューブから引用する形で取り上げられている。タイ人ネットユーザーらはこのことについて、「タイでは偽爆発物探知機購入などの汚職事件なんてもうすっかり忘れ去られたね。日本ではたった三百万円程度でこんなに泣いているぞ。」というコメントをはじめ、野々村議員に対して「あんた、タイに来なよ。こっちは厚顔無恥な人が多いから、(同じように)平気な顔をしていられるよ。汚職で手に入れた金を使い、子供を海外留学させて。平民を舐めきっている。(親の汚職で金を得た子供対して)海外留学できたのは、親の汚職で得たお金だと自覚もない。」、「タイだったら何百億でも大丈夫。」と腐敗しきった国内の政治に不満を持つタイ人からのコメントが多かった。
ブラジル、イギリス、フランス、スペイン、イタリアでも笑いのネタ。朝鮮人が日本人を装って日本の威信を毀損している。ヒュンダイやサムスン、LGなどの朝鮮企業は、海外では日本企業に成りすまして宣伝、日本製であるかのように消費者を騙して販売している。海外では、ヒュンダイやサムスンによる成りすまし作戦に騙され、日本製だと信じて朝鮮企業製品を購入する消費者が多い。 |
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、毎週金曜日放送のテレビ番組「国民に幸福を取り戻す」の中で、「タイ経済の今年の成長率を2%以上に引き上げるため、低所得者の所得を増やすとともに中小企業が銀行の融資を受けやすくする緊急措置を実施する。」と明言。
今年の経済成長率は今のところ、わずか1.5%程度に止まると見込まれているものの、NCPOは、政府系銀行に融資条件の緩和を要請して経済活動を促進するなどして経済成長に拍車をかけたい考え。この他、NCPOは、輸出を促進すべく、過剰なB
高を防いでBの安定化を図る方針。 |
07月05日(土) | インラック前政権が米融資担保制度で農民から買い上げた米に関する調査で、大量の米が紛失したり、品質が劣化したりしていることが判明。
調査は07月03日に開始された。国家平和秩序評議会(NCPO)が保管米の調査のため設置した小委員会の責任者、首相府のパナッダー事務次官代行は、「03日と04日の検査だけで大量の米の所在が不明であることが判明した。」と指摘。また、コクゾウムシが見つかるなど品質面の問題が確認された米も多かったという。このほか、米を詰めた袋に記された整理番号が帳簿と合致しないなど杜撰な管理が多くの倉庫で見つかった。
なお、今回の検査では、約1800におよぶ倉庫に保管されている1000万tあまりの米の存在、状態が調べられることになっている。 |
07月06日(日) | 政府宝籤庁(GLO)発行の宝籤が定価(2枚1組80B)を上回る価格で販売されている問題について、プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長はテレビ番組の中で、「GLOと取扱業者の間で取り交わした契約が有効であるため、NCPOは今のところ宝籤の販売価格を80Bに引き下げることができない。」と説明。さらに、「取扱業者の存在が価格上昇に繋がっている。」として、これら業者との契約を更新しない可能性を示した。
GLOが2週間に1回発行・抽選を行っている宝籤はそのほとんどが大手取扱業者を経て販売されているのが現状で、NCPOが業者との契約を見直すことは抜本的な解決策と考えられる。だが、ギャンブル問題に詳しいランシット大学のサンシット教授によれば、「宝籤販売を巡る利権構造にメスを入れずに大手業者に協力を求めるだけでは問題の根本解決は難しい。業者との契約は1年有効。その契約の更新の便宜を図ってもらうため業者から政治家にカネが渡っていたのが現実であり、これを改めない限り、民政移管後に同じことが繰り返される。」という。 |
カンボジアに3年以上にわたり捕らえられていた反タクシン派の活動家ウィーラが先に釈放され、タイに帰国したのを祝うパーティーが、都内のロイヤル・ターフ・クラブで開催されたが、国家平和秩序評議会(NCPO)は、「政治集会禁止令違反に当たる。」として、ウィーラとパーティーを主催した政治グループ「ピタク・サイアム」の創設者、ブンラートの2人に出頭を命じた。
NCPOは、同パーティーの開催や出席者の発言が政治的対立を再燃させ、NCPOが目指す国民和解の障害となることを懸念したものと見られる。
300人以上が出席した同パーティーの席上、ウィーラは、「私の釈放のために誠実さを見せてくれなかった。」と述べ、民主党政権(2008~2011年)とインラック政権(2011~2014年)を批判。だが、ウィーラの釈放に尽力したNCPOから口止めされたことから、それ以上突っ込んだ政治的発言はしなかった。 |
07月07日(月) | 国家平和秩序評議会(NCPO)が不法就労の外国人出稼ぎ労働者が低賃金で働かされている問題に積極的に取り組んでおり、近隣諸国がこれを評価する姿勢を示している。
具体的には、不法入国あるいは必要書類を所持していない外国人などに手数料を取って職業を斡旋する者たちが存在し、その結果、これら外国人が低賃金で働かされたり、福祉サービスを受けられなかったりしていることから、NCPOは、外国人が労働・滞在許可を取得しやすくするためのワンストップサービスセンターを各地に開設している。
ラオ、ビルマ、カンボジアという近隣3ケ国の駐タイ大使がサムットプラカン県にオープンしたセンターを視察し、NCPOの取り組みに支持を表明。サムットプラカンのほか、チョンブリー、ラヨーン、アユタヤ、チャチュンサオ、スラタニー、ソンクラーの6県にもセンターが開設された。サムットプラカン県知事によれば、サムットプラカン県で働く外国人出稼ぎ労働者は約5万人。その内訳はビルマ人約3万人、カンボジア人約1万5000人、ラオ人約5000人。 |
07月08日(火) | 軍部による取り締まりで先に発見された戦闘用武器の調達などに関与した疑いで逮捕状の出ていた元プア・タイ党幹部のマナット元陸軍第3管区副司令官が、警察庁犯罪制圧課本部に出頭し逮捕された。マナットは、武闘派のタクシン支持者たちとの繋がりが疑われていた人物。「糖尿病や眼病のため 今まで出頭できなかった。」と釈明。20万Bで保釈を申請したものの、非協力的との理由で保釈が拒否された。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、関係政府機関に対し、近隣国との国境貿易を拡大すべく、国境通行所と関連施設の拡大・改善を検討するよう国家経済社会開発委員会(NESDB)などに指示。
アーコムNESDB事務局長によれば、国境通行所は、南部ソンクラー県の2ケ所、ターク、サケオ、トラート3県の各1ケ所の計5ケ所の拡大・改善にまず力が入れられる予定。また、来年度(今年10月~)はこれら国境通行所と主要都市を結ぶ自動車道が整備される予定。
この他、NCPOは、国境貿易の促進に関連してターク、チエンライ、ムクダハンといった隣国と国境を接する県に経済特区を設けることにも並々ならぬ意欲を示している。 |
07月09日(水) | タイ軍事政権は、外国人旅行者が多い南部プーケット島のパトンビーチに兵士ら約200人を派遣し、飲食やマッサージなどの無許可の露店を撤去した。観光地としてのイメージ回復が狙い。
兵士、地元役場職員らが浜辺を見まわっている際に、パトンビーチで物売りやマッサージなどで生計を立てている約300人が取り締まりの緩和を嘆願。
プーケットは高額なタクシー運賃、レンタルジェットスキー業者による恐喝・暴行、海での事故などが頻発し、自国民が被害にあった各国の大使館がタイ政府に頻繁に苦情を申し入れていた。軍政は06月初旬にプーケットのタクシーの一斉取り締まりに乗り出すなど、プーケットの浄化に取り組む姿勢を見せている。 |
都内バンナーで今年01月、総選挙の実施に反対する反タクシン団体のリーダー、スティンが射殺された事件で、警察当局は、「クルングテープに隣接するサムットプラカン県プラプラデーンで実行犯のスラキット・チャイモングコン(36)を逮捕し、スラキットの自宅から11㎜ピストルを押収した。」と発表。
スラキットは、ピストルの所持は認めたものの、犯行への関与は全面否定している。警察によれば、「防犯カメラの映像を繰り返し調べた結果、『車上にいたスティンが20mほど離れた低い位置からピストルで撃たれた。』との結論に至り、これがスラキットの特定に繋がった。」 |
>国連の会議に出席するため現在ニューヨークを訪問中のシハサック外務事務次官(外相代行)が、米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に対し、タイ軍によるクーデターの背景などを説明。今回のクーデターについては、政治対立を解消して国内を正常化することが目的であったにせよ、選挙によって国民に選ばれたインラック政権が倒されたことから、西側の国々から批判を受けることになった。
シハサック事務次官は、同紙に対し、「タイ軍が全権を掌握したのは平和を取り戻し、民主主義を前進させるため。クーデターは、タイを国家として正常な状態にするための最後の手段だった。」などと説明。 |
バンコク日本人商工会議所(JCC)の古賀会頭らは、タイ軍事政権の経済担当であるプラチン空軍司令官とクルングテープの空軍本部で会談。
商工会議所はプラチン司令官に対し、「05月末のプラユット陸軍司令官との会談で要望した課題のうち、、夜間外出禁止令の解除、マスメディアへの制限の緩和、タイ投資委員会(BOI)の大型案件承認、外交・経済アドバイザーの登用、軍政による英語版ウエブサイト開設などが実施された。」と評価。
今後の要望としては、選挙による民主主義に戻るための道筋やスケジュールに基づくアクションプランを着実に実行すること@経済政策が、経済やビジネスの専門家による運営や意思決定にて行われる政府を確立すること、経済やビジネスへの介入は、経済や市民生活の安定に必要な措置にできる限り限定すること、汚職撲滅のため、税関や各種プロジェクトを含む政府の手続きについて、透明性や効率性を向上させるため、きっちりと設計された制度を導入すること。例えば、プロジェクトの承認や入札における客観的な基準を公開するほか、入札結果も公開すること。関税の分類や評価などの相違に対するペナルティについて、税関職員への報酬制度を廃止すること、AEC、2015年末までにASEAN+6で交渉が終了するRCEP、タイEU-FTAなどのFTAやEPAについて、タイがリーダーシップを取るため、海外に向かっていく積極的な通商政策を促進すること、近隣諸国とのコネクティビティを改善するため、計画や資金確保に関する必要な見直しを行った上で、道路、鉄道、ビルマへの東西経済回廊や南部経済回廊などといったハードインフラ、および、税関手続きや越境交通協定といったソフトインフラの整備を促進すること、治水計画について必要な見直しを行い、洪水対策を着実に実施していくこと、域内にて、タイをより進化したハブとするために、教育やトレーニングを通じて人材育成に努め、また、イノベーションやR&Dを促進すること、効率的なチャネルを通じて、適正価格で、安定的なエネルギー供給を確保すること、重要なサポーティングインダストリー(裾野産業)である中小企業に対して、資金調達や技術・情報へのアクセスに関して支援を行うこと、タイの国際競争力の強化を図るため、サービス業の投資促進の際に障害となるものを排除すること。サービス業の投資について、段階的に自由化を進めること、地域統括会社ROHをタイに設置する者に対して、更なるインセンティブを設けることを挙げた。
その上で、上記のような「個別の課題に取り組んでいくためにも、また、国際社会における信頼を回復するためにも、できる限り早期の民政への移管、選挙による民主体制復帰が実現することが重要である、日系企業は、この地域において長年にわたるパートナーであるタイとともに発展することに、強くコミットしていることを改めて表明する、施策の検討に際しては、政府手続きにおける透明性の確保、市場経済の尊重、経済の開放(RCEPR、FTAの推進など)による競争力強化の3点について、十分留意して欲しい。」と伝えた。
これに対し、プラチン司令官は、「民主化に向けた3段階のロードマップについて、現在は第1段階だが、順調に進んでいる今後は、平和と秩序を維持しつつ、経済の発展に努めなければならないことを認識している。また海外における信頼回復と海外投資の誘致にも努めていく、JCCが主張している『行政手続き等の透明性』、『市場経済の尊重』、『経済の開放』については、我々自身もその重要性を強く認識している。」と回答。
具体的な取り組みとして、交通輸送、エネルギーインフラ、治水対策に関する作業部会を設置すると述べた。洪水対策については、「最重要視しているが、従来の3500億Bの治水マスタープランはタイ全域を対象としておらず不十分。」と指摘し、全国を対象としたプランを作り、実行する方針を示した。「税関職員の報奨制度について、スムーズな行政手続きの支障となっていると認識している。」と述べ、「改善したい。」と話した。市場経済の尊重については、「必要以上の経済や市場への介入はするつもりはないと説明。AECやRCEPの重要性は認識している。」と述べた。サービス業の段階的な自由化については、「競争によってより高度化されると認識しており、利用者にとっても利便性が高まることになる。」と述べた。中小企業対策としては、中小企業監督委員会(委員長、プラユット陸軍司令官)を立ち上げ、技術力の向上、タイのローカルブランド育成、資金調達やマーケット拡大の支援などに取り組む考えを示した。
プラチン司令官はまた、JCCからの要望は基本的に理解できるとして、今後もJCCとの対話を続けたいという意向を示した。 |
07月10日(木) | 国家平和秩序評議会(NCPO)は、全国の知事、副知事、郡長、県警本部長などを集めた会議で、地方行政体の職員人事における県知事、郡長の権限を強化すべく関連法を改正することを決定。現在のところ、県職員の昇進などはすべて内務省が決めており、県知事などには決定権がない。
この会議で議長を務めた、NCPOの法律担当部門のトップ、パイブン陸軍司令官補によれば、「地方行政体の活動や職員の処遇については、これら行政体の責任者に裁量権を与えるのが望ましい。」また、今回の会議では、薬物乱用問題をいかに解決するかについても意見が交換された。パイブン司令官補は、会議出席者に対し、「問題解決に何が必要か報告してほしい。私が対応する。」と呼びかけた。 |
軍事政権は10日付けで、タイ国鉄(SRT)のプラパット・チョングサングアン総裁を解任。
被害者の少女コーチャコーン・ピタックチュンモン(仇名:ケーム)(14、報道により13) →
今月05日、SRTの寝台車両で乗客の少女コーチャコーン・ピタックチュンモン(仇名:ケーム)(14、報道により13)が強姦、殺害された事件が直接の原因と見られる。
この事件では、寝台車担当のSRT臨時職員のワンチャイ・セーンカオ(22)が殺人、強姦などの容疑で逮捕され、犯行を認めている。プラパットは事件後、再発防止に取り組むとして、辞任を拒否していた。
プラパットは1955年生。米カリフォルニア州立大学犯罪学修士。弁護士を経て、1997~2008年にタイ電車公社(MRTA)総裁を務めた。2008年にタクシン派政党から都知事選に出馬し落選。タクシン派インラック政権当時の2012年にSRT総裁に就任。
← 左から強姦殺人犯ワンチャイ・セーンカオ(22)とプラパット・チョングサングアンSRT総裁
軍政は政府要職からのタクシン派追放を進めており、今回の事件前から、プラパットの解任は時間の問題と見られていた。 |
07月11日(金) | 今年03月にクルングテープやノンタブリー県で反政府デモ隊などに擲弾が撃ち込まれた事件で、警察当局は、「ナロングサック・プライアラム(31)をノンタブリー県ムアン郡の自宅アパートで逮捕し、アパートから擲弾、手榴弾などを押収した。」と発表。は国家平和秩序評議会(NCPO)が出頭を求めていた数百人のうちの1人で、逮捕状が出ていた。
ナロングサックは取り調べに対し、03月07日、27日、29日の3回にわたって反政府デモ隊などに向けて擲弾を発射したことを認めている。また、ナロングサックはその都度、都内のデパートである男から擲弾と報酬3000~4000Bを受け取っていた。 |
「近く暫定憲法が制定され、これに伴い戒厳令が解除される。」と見られていたが、戒厳令がこの先1年程度解除されない可能性が出てきた。
国家平和秩序評議会(NCPO)の法律担当部門のトップ、パイブン陸軍司令官補は、「暫定憲法が制定された時点で戒厳令が解除されるかはまだはっきりしていない。」と述べ、軍部が治安維持において強力な権限を有する状態がしばらく続く可能性を示唆。また、「暫定政権下で設置される暫定政権の首相にプラユットNCPO議長が就任する。」との見方が以前から出ているが、パイブン司令官補は、これに関する質問に明確な返答をしなかった。
軍部は政治対立が深刻化し、混乱がエスカレートしつつあったことから05月20日に戒厳令を発令。それでも対立解消の兆しが見えなかったことから22日、クーデターによる全権掌握に踏み切った。 |
タクシン派のプア・タイ党関係筋によれば、プア・タイ党の大ボスであるタクシンは07月26日に65歳になるのを祝ってパリでパーティーを催す予定。だが、プア・タイ党幹部は国家平和秩序評議会(NCPO)の許可がないと出国できないため、パーティーに出席するのは近親者のみとなる見通し。実妹のインラック前首相が出席するかは不明。
同筋によれば、タクシンはタイの近隣国にも姿を見せているが、タイの近くで誕生パーティーをすると「政治的活動」と受け取られる恐れがあることから、今年はパリでパーティーを催すことにした。
なお、タクシンは首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の刑が確定した犯罪人だが、判決を不当として帰国して刑に服すことを拒んでいる。 |
軍事政権の外相代行を務めるシーハサック外務次官は、北京で支那の王毅外相、楊潔?国務委員(副首相級)と会談。
タイ外務省によると、シーハサック次官はタクシン派の民選政権を打倒した05月22日の軍事クーデターとその後の軍政に対する支那の理解に謝意を示し、タイ中関係の一層の強化に取り組む考えを伝えた。また、支那が主導し設立準備を進めている国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への支持を表明。
支那は「支那とタイの国交樹立40周年に当たる2015年に、プミポン国王の側近のプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)を支那に招待したい。」と伝えた。
欧州連合、米国、オーストラリアはクーデター後、タイとの相互の公式訪問を取り止め、軍事交流を停止するなどし、タイ軍政との関係が冷え込んでいる。こうした中、支那は外相代行に過ぎないシーハサック次官の応接に国務委員が乗り出し、厚遇が際立った格好。プレム議長らと対立するタクシンは予てから、支那政府との密接な関係を誇示してきた。孤立化する支那は今回、反タクシン派軍政の外相代行を厚遇し、プレム議長を招待することで、タイの反タクシン派勢力への影響力強化を図った。 |
タイ警察は、「都内トゥンクル区のマンションを捜索し、擲弾(小型砲弾)数十発、擲弾発射器1丁、自動小銃1丁、拳銃1丁、弾薬などを押収した。」と発表。武器が見つかった部屋はクルングテープで反タクシン派デモが行われていた際に、女が賃借契約を結んだ。05月の軍事クーデター後は人の出入りが途絶えていた。 |
07月12日(土) | 国家平和秩序評議会(NCPO)がタイ国内のキャンプに収容されているビルマ難民約13万人の本国送還を予定していることに対し、人権活動家などから「ビルマで難民が迫害を受ける恐れがある。」といった懸念の声が上がっている。本国送還は、プラユットNCPO議長が先に来タイしたビルマの国軍最高司令官と会談した後に発表したもの。
国家人権委員会のニラン委員は、「タイ・ビルマ両国がノン・ルフールマン原則(命や自由が脅かされかねない場所に難民や亡命者を追放及び送還することを禁止するとした国際法上の原則)に則って難民の本国送還を準備する必要がある。」と述べ、ビルマ難民が本国で迫害を受けることがあってはならないとの考えを示した。
また、チュラロンコーン大学アジア移住研究センターのスパン所長も、「ビルマ難民が本国で安全に生活できるようビルマ政府は少数武装勢力と和平交渉をして戦闘のない状態を作り出す必要がある。」と述べている。 |
07月14日(月) | 今年02月に都内で擲弾攻撃など反政府デモ隊を狙ったとみられる3件の事件が発生したことについて、ソムヨット警察庁副長官はこのほど、犯人7人を特定し逮捕状をとったことを明らかに。これらの事件では子どもを含む3人が死亡、21人が負傷。
警察は07月初めにノンタブリー県で戦闘用武器の所持などの容疑で男を逮捕したが、この男の供述などから02月の事件に関与した者たちを割り出した。 |
07月15日(火) | 最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)の事務局長として昨年末から05月のクーデターまで大規模な反政府デモを指揮したステープ元副首相が、郷里の南部スラタニー県の寺で頭を丸めて仏門に入った。出家の儀式に列席したのは限られた近親者のみだった。民主党元下院議員のテープタイが自身のツイッター上で明かした。
関係筋によれば、「反政府デモに関連して爆弾攻撃や銃撃が発生し、複数の市民が死傷したことから、ステープはこれを悼んで仏門に入ることを決めた。」という。
関係者のほとんどが出家を事前に知らされておらず、PDRC幹部も数人しか出家することについて漏らしていなかった。ステープの妻も「突然のことでわけがわからない。」と当惑していた。
一部の報道では、数週間後に還俗すると見られている。タイではトラブルを起こした政治家、芸能人などが「禊ぎ」のため短期間出家することが一般的に行われている。 |
02月23日に都内ラーチャプラソン地区のフランス系ディスカウントストア、ビッグCラーチャダムリ店前で擲弾攻撃により女性(59)と幼い姉弟(姉(6)弟(4))が死亡、20人以上が負傷した事件で、警察当局は、指名手配中の7人のうち、タウィーチャイ・ウィチャカム(39)、スントーン・ピプアノック(49)、チャトチャワン・プラップバムルング(45)、ソムスリー・マリット(40)の4人を逮捕。スクサン・ロムウォング(32)、カンニカー・ウォングトゥア(38)とウィチアン・スクピロム(45)の男2人、女1人は捕まっていない。
また、「M79グレネードランチャー1丁、M16自動小銃1丁、擲弾や手榴弾35個を押収した。」と発表し、現場で実行犯を伴って犯行の再現を行った。
都内サイマイ地区の民家でて擲弾攻撃について謀議。23日にピックアップトラック3台に分乗して都心部に向かい、うち1人がプラトゥーナム交差点の立体交差橋を走行中のトラックから擲弾を発射したもの。
この事件は、ラーチャプラソン地区に集まっていた反政府デモ隊を狙ったものと見られているが、今のところ背後関係はまだ明らかになっていない。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)による警察機構改革に対し、一部の前議員などから懸念の声があがっている。
この改革は、法改正で警察幹部の人事権を持つ警察委員会の構成を改めるなどとしたもので、NCPOが07月14日に発表した。政権の息のかかった者が警察トップに任命されて警察が過度に政権寄りの姿勢をとることなどを回避しようとしたものと見られている。
NCPO副議長のアドゥン前警察庁長官は、「警察が適材の人材を自らトップに選ぶことが可能になる。」と指摘する一方、アタウィット前民主党議員は、「政治的な影響力の排除を評価しつつも、警察機構に対する政府の権限が弱められた結果、警察が強大すぎる権限を持つ事態が懸念される。」としている。
また、タクシン派プア・タイ党関係筋は、警察委員会に軍の代表が加わることについて、「軍はすべてをコントロールしようとすべきではない。」と批判。また、「民政移管後に政治家によって(軍が行った警察機構改革が)改められることになろう。」と述べている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「任期満了となった地方公共団体の長や議員については選挙を行わず、新しい長や議員は選考委員会によって任命される。」と発表。国政に携わってきた政治家たちが地方政治で影響力を拡大するのを防ぐとともに、国内の政治状況を安定した状態に保つことが狙いと見られる。
NCPOの発表によれば、任期満了となった者の後任は、クルングテープ都議会については内務事務次官を長とする選考委員会、県議会などについては県知事を長とする選考委員会によって任命される。 |
07月16日(水) | 南部ナコンシータマラート発クルングテープ行の寝台列車内で13歳の少女が強姦され、プラチュアプキリカン県内の線路脇で遺体で見つかった事件で、検察は列車に乗務していたワンチャイ・セーンカオ(22)を強姦殺人容疑で起訴。初公判はプラチュアプキリカン県のフアヒン地方裁判所で22日に開かれる予定。
この強姦事件が発生後、プラパットSRT総裁による釈明会見時にワンチャイについて「下請け業者の従業員。国鉄職員ではない。」など不適切な発言があり、後にSRTのウェブサイトに「ワンチャイが06月半ばにSRTの採用試験に合格した。」との記載のあったことが判明。「責任をとって総裁は辞任すべき。」と批判が殺到。その後、現在全権を有する軍による解任命令が出され、現在総裁は空席となっている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)による地方選挙の中止に対し、一部では批判的な意見も出ている。タウィン前民主党議員は、「民主主義の原則に反するものであり、政治家としては受け入れ難い」と発言。ただ、「戒厳令下では政治的な活動が禁止されており、NCPOは地方選挙を中止する以外に選択肢はなかったのだろう。地方選挙はNCPOが改革を達成した後に再開されることになろう。」と述べた。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、官民合同委員会との会議の中で、民間部門から提出された景気刺激策5案を承認。これらは、商取引、工業開発、観光、流通、法改正などに関連するもの。これらの案については、関係政府機関が詳しい検討を行い、その結果が来月の会議に報告されることになっている。 |
タクシン政権(2001~2006年)の導入した医療費30B制度における医療費増額などの見直し案が先に国家平和秩序評議会(NCPO)と保健省の会議で取り上げられたことから、これに反対する意見が巻き起こっている。これに対し、保健省は「増額が決まったわけではなく、また、保健省が増額を支持している事実もない。」と釈明。
しかし、医療関係者からは、「医療費30B制度が医療機関の財政状態を悪化させ、医療サービスの低下を招いている。」として、増額を支持する意見も出ている。それによると、「医療費30B制度では1回の診察・治療に対し外来患者は30Bを支払い、保健当局から病院に約300Bが提供される。だが、実際のコストは約600Bで採算が取れない。入院の場合も実際のコストが1万~1万2000Bに上るにも関わらず、提供されるのは約6000Bに止まっている。このため、国内の約1000に及ぶ国立病院のうち約400あまりが財政難に陥っている。この他、この制度のせいで軽い風邪などでも病院を訪れる人が増加して医療スタッフは多忙を極め、本当に治療が必要な人に迅速に対応できない状態が続いている。」と言う。 |
仏教寺院ワット・パークナームパーシーチャルーンの住職で大僧正代行を務める高僧、ソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧は、プラユット司令官の代理として挨拶に訪れたウドムデート副陸軍司令官と会った後、記者団に対し、「これまでの振る舞い、強さからみて、プラユット司令官は首相に相応しい。」、「首相になるかどうかは司令官次第。」などと述べた。
タイ軍政は近く、「暫定政権を発足させる。」としており、プラユット司令官が自ら首相に就任するという見方が出ている。大僧正代行の今回の発言は、司令官に首相就任のお墨付きを与えた形。 |
07月17日(木) | 国家汚職制圧委員会(NACC)は、「米融資担保制度の不正蔓延などについて職務怠慢があった。」、「NACCがこの制度を利用した汚職が起きており、一刻も早く中止すべきと訴えていたにも関わらず、インラック前首相がこの制度を継続したことは職務怠慢に当たる。」として、委員7人全員がインラック前首相の起訴を決定。NACCは来週にも検察当局に対し、インラックを最高裁判所に起訴するよう要請する見通し。
米担保融資制度はインラック前政権がタクシン支持者が大多数を占める農家を支援するために導入したもので、巨額の損失や不正の蔓延が指摘されていたが、適切な措置が執られなかった。タイ政府は約5000億Bの損失を発生させた。
有罪となれば、前首相は公民権5年停止に処され、5年間にわたって政治の表舞台に立てなくなる可能性が高い。
また、現在インラックは海外への渡航を禁じられているが、国家平和秩序評議会(NCPO)が07月20日~08月10日までの出国を認めたことから、一部では「軍部からインラックに対して海外亡命を働きかけているのでは。」、「インラックが外国に出たまま戻らないのではないか。」との見方も出ている。
この出国は、実兄のタクシンが07月26日に65歳の誕生日を迎えるのを祝ってパリで誕生パーティーが催されるのに合わせたもの。タクシンは2008年、 保釈中に裁判所から出国が許可されて支那北京を訪問したが、そのままタイに戻らず、現在も国外逃亡を続けている。
だが、反タクシン派のソムチャイ前上院議員によれば、「インラック前首相がタクシンのようにタイに戻らない可能性は低い。」という。その理由としては、「軍部がいずれ国家統治から退くこと、インラックの資産の大半がタイ国内にあること、NACCが議会に汚職などの時効を30年に延長するよう要請する方針であることなどが挙げられる。」という。なお、タイでは罪を犯した者が国外に逃亡しても時効停止とはならず、外国で時効成立を待って帰国することが可能。 |
国家汚職制圧委員会(NACC)は、放送通信事業を管理監督する国家放送通信委員会(NBTC)に対し、周波数入札を約1年間延期し、事業、入札の透明性、公平性を高めるよう法令を整備することを命じた。これにより、今年08月と11月に予定されていた第4世代(4G)携帯電話サービス用の周波数1800MHz帯と900MHz帯の事業者入札は2015年07月以降に延期される。 |
07月18日(金) | インラック前首相は、「外国に出たままタイに戻らないのではないか。」との見方が出ていることに対し、「私はタイ国民を見捨てはしない。タイに戻ってくる。」と明言。インラックは23日午前01時に欧州に向けて出国し、08月10日までに帰国することになっている。
インラックが国家平和秩序評議会(NCPO)から出国の許可を得た直後、国家汚職制圧委員会(NACC)が米融資担保制度の不正蔓延などに絡んでインラックの訴追を決定を発表。このため、「実兄のタクシンと同じように訴追を免れるため国外逃亡するのではないか。」と一部で報じられていた。
また、インラックは、NACCの決定について、「性急な判断で、公正ではない。」と批判。 |
07月19日(土) | 国家平和秩序評議会(NCPO)が18日、「国民の間に不和を招きかねない。」といった理由でNCPOに批判的な報道などをしないようマスメディアに改めて要請したことに対し、報道機関から懸念の声が上がっている。
タイ記者協会(TJA)のプラディット会長は、「ジャーナリストはすでにバランスを考慮しながら事実を正確に報じており、また、NCPOも報道機関にルールを守らせる権限を有している。これまで以上に報道が制約されることは国民の知る権利に影響する。」との懸念を表明。
新たな「協力要請」は、対立、混乱、誤解を招きかねない不適切な内容を報じた場合、NCPOは当該メディアを閉鎖し、法的措置を執るとされており、その対象は、印刷媒体から放送、インターネットにまで及ぶとされている。
なお、NCPOのウィンタイ報道官は、「メディアはすでに協力的であり、NCPOはこれまで以上の協力を期待していない。」と述べ、「18日の発表は新たな協力要請ではなく、これまでの要請の確認に過ぎない。」と説明。 |
07月20日(日) | チエンマイ県のスリヤ知事は、「チエンマイはもはやどんな色にも染まっていない。」と述べ、「県内から政治対立が一掃された。」と宣言。タクシン派が赤色、反タクシン派が黄色をシンボルカラーとしていたことから、「色がない」は「デモなど政治的な動きがない」との意味。
同知事は、「チエンマイにはもはや色はない。赤も黄も存在しない。あるのは緑だけ。緑といっても自然界の緑であり、軍(戦闘服)の緑ではない。」チエンマイはタクシンの出身地であり、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が幅をきかせている。このため、「チエンマイ平定」は大きな意味を持つ。
だが、「チエンマイのタクシン支持者たちがおとなしくしているのは、巻き返しのタイミングを窺っているだけ。」とも考えられる。 |
07月21日(月) | 国家平和秩序評議会(NCPO)が先に軍政批判が国民の不和を煽る恐れがあるなどとして報道機関に改めて「協力」を要請したことにメディアが「国民の知る権利が侵されかねない。」と懸念を表明している問題で、NCPOの改革キャンペーン担当者のスラサック国防事務次官が、タイ記者協会(TJA)の代表と会って話を聞いた。
プラディットTJA会長によれば、「協力要請」にメディア側から批判的な意見が出ていることから、プラユットNCPO議長がスラサック事務次官にメディアの声に耳を傾けるよう指示したものという。このため、関係筋は、「NCPOが報道規制を緩める可能性がある。」としている。 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は、投資政策の策定や投資案件の認可を担当する「タイ投資委員会(BOI)をタイ工業省傘下からタイ首相府の管轄下に移行させる。」と発表 |
国家平和秩序評議会(NCPO)は22日から27日にかけ、都内の王宮前広場周辺で、「国家に幸福を返す和解フェスティバル」と銘打った大規模なイベントを行う。イベントでは露店多数が出店するほか、歴史大作映画「ナレスワン大王」シリーズと「スリヨータイ」の無料上映が行われる。会場周辺のプラタートゥ通、プラチャン通、マハーラート通などでは交通規制が敷かれる。 |