タイクーデター Thai Coup d'état

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2006年09月19日(火)夜半

タイのテレビ局が一斉に通常放送を中止し、「クーデターが発生。
国軍が全土を掌握。タイ憲法は失効した。」と繰り返し放送を始めた。



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タクシンとタクシン一族の詳説は膨大になったので、
分離してこちら(未完成) → タクシン Thaksin

1981年04月のクーデター未遂事件、1985年09月のクーデター未遂事件、
1991年クーデター(1992年の5月流血事件)は、
こちら → 1991年タイクーデター Thai Coup d'état in 1991

繰り返された政変、戦争、タイ王朝史は、
こちら(アユタヤ朝中期まで完成) → タイの王朝 Thai Dynasty


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51章  憲法裁と上院 インラック首相らの失職判決
05月07日(水)10時ステープ元副首相率いる反政府デモ隊は都内のサトゥプラディット通を出発。チャン通、ナラティワートラーチャナカリン通、シーロム通を経て、拠点とするルムピニー公園までデモ行進。
午後憲法裁判所で外国人ジャーナリストが反政府派関係者に暴行される事件が起きた。タイ地元紙によると、暴行されたのはドイツ人男性で、インラック首相の職権乱用に関する裁判を取材するため、現場を訪れていた。
他の記者とともに外で煙草を吸っていたところ、バイクで乗り付けてきた反政府派関係者に声をかけられ、幹部のところに連行すると言われたため、逃げようとしたところ、暴行を受けた。拉致されそうになったが、近くにいた警察官によって助けられた。幸い男性は軽傷で済んだようだ。このジャーナリストは親政府派とみられ、反政府グループのターゲットになっていた。
2011年に当時のタウィン国家安全保障会議(NSC)事務局長を首相顧問に異動した閣議決定が権力乱用で違憲として、前上院議員が訴えていた裁判で、憲法裁判所は、この人事を承認した閣議に出席していたインラック首相(46)と閣僚9人を失職とする判決を下した。憲法裁は「原告が求めていた後任の首相任命は権限がない。」として却下。
失職したのは問題の人事を承認した閣議に出席していたインラック首相兼国防相、スラポン・トウィチャックチャイクン副首相兼外相、キティラット・ナ・ラノン副首相兼財務相、プロードプラソップ・スラサワディ副首相兼科学技術相、プラチャー・プロムノック副首相、チャルーム・ユーバムルン労相、ユタサック・サシプラパ副国防相、サンティ・プロムワット首相府相、アヌディット・ナコンタップ情報通信技術相、シリワット・カチョンプラサット副農業協同組合相。
今回の判決はタクシンの妹のインラック首相を退陣に追い込んだものの、タクシン派与党プア・タイ党の選挙管理内閣の継続を認めた。
タクシン派政権の打倒、非民選内閣の樹立などを掲げる民主党など反タクシン派の目的は達せられず、クルングテープでの反政府デモや司法、上院を使った政権打倒の試みが続く見通し。
「今回の首相失職は政財界では織り込み済みで、反政府デモ隊を勢いづけることにはなるにせよ、既に落ち込んでいる経済状況が急激に悪化することはない。」との見方が支配的。また、当初、全閣僚が失職し首相代行を任命できないなる可能性も指摘されていたが、24人の閣僚が失職を逃れたことで、タイ政府は早くも07月20日の総選挙実施にむけて準備を進める意向を示している。ただ、投票を強行しても、02月の下院選同様、反タクシン派の選挙妨害、憲法裁による選挙無効判決が予想され、突破口は見出せていない。
憲法裁判所が、人事をめぐる職権乱用でインラック首相と閣僚9人を失職としたことを受け、残る閣僚26人は緊急閣議を開き、ニワッタムロン副首相兼商務相が首相代行を務めることを決めた。
ニワッタムロンは1948年生。シーナカリンウィロート大学卒。米IBMタイ法人でセールスマンから叩き上げて経営幹部まで昇進。その後、タクシンの財閥企業に移り、同財閥の持ち株会社シンの副会長、テレビ会社ITVの会長などを務めた。2012年にインラック内閣に入閣した。
憲法裁判所が高官人事を違憲と判断してインラック首相らを失職としたのを受け、反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「現政権を打倒し、タクシン体制の影響力を一掃するための最後の戦いの開始日を14日から09日に変更した。」と発表。
具体的には、プミポン国王(ラーマ9世)への忠誠を示すために、09日午前09時09分にPDRCが拠点とする都内ルンピニー公園からデモ隊がショッピング街のラーチャプラソン交差点、ラーチャダムリ通、パトムワン交差点に向けて行進を開始する。参加者が多数に上った場合、アンリデュナン通もデモ行進する。
プア・タイ党は、憲法裁判所が高官人事を違憲として同人事を承認したインラック首相ら閣僚10人を失職としたことに対し、「新しい形態のクーデターであり、民主主義を脅かす危険な前例を作ることになった。」と強く非難。抗議の声を上げるよう国民に呼びかけた。
プア・タイ党は、「最高行政裁判所の有罪判決で決着がついたはずの人事問題に関する反タクシン派の上院議員らの訴えを憲法裁が受理した時点から憲法裁の動きを反政府的だ。」と強く批判していた。
プア・タイ党首脳のポキンは、「デモを行ったり、裁判所に訴えたりするという合憲的な手段を用いた反民主主義的な陰謀を国民は許してはいけない。」と述べている。
人事をめぐる職権乱用で憲法裁判所により失職の判決を受けたインラック首相は、離任の記者会見を開き、「選挙で選ばれた首相として、在任中の2年9ケ月と2日、誇りを持って職務に取り組んだ。」、「今後も常に国民の皆さんと共にいる。」などと述べた。

* インラック・チナワット
インラックは1967年、チエンマイ生。9人兄弟の末っ子。事実婚の夫との間に子供が1人いる。チエンマイ大学政治学部卒業後、米ケンタッキー州立大学で行政学修士号を取得。帰国後、兄のタクシン・チナワットが創業したタイ携帯電話サービス最大手アドバンスド・インフォ・サービス(AIS)、チナワット財閥の不動産会社SCアセットなどの経営幹部を務めた。2011年の議会下院選でタクシン派プア・タイ党から出馬、プア・タイ党が過半数を抑え勝利したことから、政治経験がほとんどないまま、タイ初の女性首相となった。
首相就任後すぐに、ホンダ、ソニーなど数百社の工場が水没する大洪水が発生し、有効な対策が打てずに涙ぐむ姿も見られた。2012年は比較的無難に切り抜けたが、2013年、タクシンらへの恩赦を目指したことで、反タクシン派との政治抗争が本格化。クルングテープでの大規模な反政府デモを受け、2013年12月に議会下院を解散したが、2014年02月の下院選は民主党など反タクシン派の妨害を受け、憲法裁が選挙無効の判決を下した。インラック政権は選挙管理内閣として権限が制限され、下院開会、新たな組閣への展望も開けず、漂流が続いていた。
インラック政権の政策面をみると、目玉政策は1台目の自家用車に対する優遇税制、政府による事実上の米買い取り政策である米担保融資制度など。自家用車への優遇税制は2011~2012年の期間中に購入予約が約125万台に達し、一時的に経済成長を押し上げた。しかし、需要の先食いで消費者の購買力が低下し、2013年、2014年は他の消費にも悪影響を及ぼした。米担保融資制度は市価を大きく上回る価格で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、膨大な在庫が積み上がり、最終的に数千億Bの損失を出す見込みで、野党のみならず、国際通貨基金(IMF)、タイ国内のエコノミストからも強い批判を浴びた。このほか、高速鉄道整備、大規模な洪水を防ぐ総合治水事業なども打ち出したが、いずれも企画・調整力の不足、政局の混乱などにより、実現のめどは立っていない。
インラックが曲がりなりにも2年9ケ月間、政権を維持できたのは、女性であることが寄与したと見られる。反タクシン派との正面衝突を避け、柔軟に対応。特に、2006年のクーデターでタクシン政権を倒した軍部とは友好的な関係を築いた。軍は今回の政治混乱で、これまでのところ、反タクシン派が求める軍事クーデターを拒否し、中立的な立場を維持している。
憲法裁判所が、人事をめぐる職権乱用でインラック首相と閣僚9人を失職としたことに対し、タクシン派の与党プア・タイ党(タイのため)は、「憲法裁の判決は違憲であり、民主政体の破壊を目指す新たな形のクーデターの一環。」とする声明を出した。
「2006年以降、プア・タイ党の前身である2つの政党が裁判で解党されて党役員が5年間の公民権停止処分を受けほか、サマック、ソムチャーイ、インラックというタクシン派の3人の首相がいずれも裁判所により失職させられた。」、「司法が権限を超えて政治に介入している。」と批判。また、「反タクシン派の民主党、民主党のステープ元副首相率いる反政府デモ隊、憲法裁など憲法で定められた独立機関の一部が選挙を否定し、非民選内閣の樹立を企んでいる。」と主張。
憲法裁はタクシン派と反タクシン派の抗争が本格化した2006年以降、一貫してタクシン派に不利な判決を下し続けている。昨年11月には、「議員の約半数を憲法裁長官らによる委員会が任命する議会上院を全議席公選制に変更する。」としたタクシン派の憲法改正案を、違憲として葬り去った。今年03月には、運輸交通インフラ整備のための資金2兆Bの調達法案に違憲の判断を下した。デモ隊の選挙妨害と民主党のボイコットで混乱した02月02日の議会下院選についても、無効とする判決を03月に下した。
政府、プア・タイ党は今後の方針について、「07月に下院選の再投票を成功させ、政局の正常化を図る。」としている。ただ、憲法裁の03月の判決により、1選挙区でも投票が行えなければ選挙全体が無効になる可能性が高い。現状では、民主党の強固な地盤である南部で投票が行える見通しは立たず、事態打開の道筋は見えていない。
一方、反タクシン派は今後も、自派が優勢な司法や上院、それにクルングテープでの反政府デモなどで、タクシン派政権の打倒を目指すと見られる。ステープ元副首相と民主党のアピシット党首(前首相)はいずれも、下院選を延期、タクシン派政権を退陣させた上で、非民選内閣による政治改革を進めるというシナリオを示しているが、非民選内閣の法的な裏付けは曖昧で、タクシン派から、「違憲」、「非民主的」という批判を浴びている。
米国務省のサキ報道官は定例会見で、タイ憲法裁判所が、官僚人事をめぐる職権乱用を理由にインラック首相らタイの閣僚10人を事実上解任したことについて、問題の解決に選挙と民選内閣が必要として、非民選内閣樹立を目指す反政府勢力の動きを牽制。
サキ報道官は「タイの政治情勢を注視している。」、「全ての当事者に対し、事態が平和的、民主的に解決されるよう、促し続ける。」などと述べた。
21時10分頃憲法裁判所が官僚人事をめぐる職権乱用を理由にインラック首相ら閣僚10人を事実上解任した07日、タイ王室系の病院、銀行などに擲弾(小型砲弾)が撃ち込まれる事件が相次いだ。
クルングテープ都ラクシー区カムペンペット通のチュラポン病院に擲弾2発が撃ち込まれた。1発は駐車場で爆発し、タクシーの窓ガラスが割れるなどの被害が出た。もう1発は9階で爆発し、建物が破損した。死者、怪我人はなかった。チュラポン病院はプミポン国王の3女のチュラポン王女が院長を務める。
21時30分頃都内チャトゥチャク区ラチャダピセーク通のサイアムコマーシャル銀行(SCB)本店に擲弾2発が撃ち込まれ、1発が8階、もう1発が9階で爆発し、窓ガラスが割れるなどした。死者、怪我人はなかった。SCBはタイ王室が筆頭株主の大手商業銀行。
05月08日(木)
01時10分頃
都内フアイクワーン区ラープラーオ通ソイ34にある憲法裁判所判事宅で手榴弾が爆発し、自動車の窓ガラスが割れ、車庫が破損。死者、怪我人はなかった。
09時半頃民主党のステープ元副首相率いる反政府デモ隊は、高架電車BTSオンヌット駅を出発。都内の幹線道路であるスクムビット通を、アソーク交差点などを経て、ラーチャプラソン交差点を目指してデモ行進。
11時40分頃政府支持派の市民100~150人が、クルングテープ郊外の総合庁舎(チェーンワタナ通)前で座り込みを続ける反政府デモ隊の排除を図ったが、総合庁舎に向かう途中、警察に阻止された。
11時40分頃反政府グループが拠点を構えるルンピニー公園近くで、複数回(報道により2回)の銃声。デモ参加者は「サラデーン交差点の立体交差を走行中のタクシーから発砲された。」と主張。デモ警備隊は、何者かがタイ-日本橋からデモ隊ステージに向け発砲したものと見ている。
事件当時反政府グループを主導するステープは一部の支持者らを連れて、スクンビット通をデモ行進しており、同グループの拠点には少数のデモ関係者のみしかいなかった。この事件による負傷者は出ていない。
13時過ぎ民主党ステープが主導する反政府グループが、都内ラーマ4世通のタイ-日本橋を封鎖。
交通監視センターは、「この影響で周辺地域は大渋滞となっている。移動の際にはラーマ4世通を避けるべき。」
インラック首相ら閣僚10人の失職から一夜明けた08日、クルングテープでは爆破事件や反政府デモなどが起きたものの、商店、企業は通常通り営業し、大きな混乱は発生していない。
民主党のステープ元副首相率いる反政府デモ隊は、都内の幹線道路であるスクムビット通をデモ行進したが、参加者は1000人程度に留まった。
都内で手榴弾や擲弾を用いた事件が立て続けに3件起きたことから、アドゥン警察庁長官は、クルングテープの警備を強化するよう指示したことを明らかに。
狙われたのは、憲法裁の判事の自宅、チュラポン病院、サイアムコマーシャル銀行本店の3カ所。爆発で建物などが損傷したが怪我人は報告されていない。
憲法裁判事の自宅に小型爆弾が投げ込まれた事件については、憲法裁がインラック首相を失職とする判決を下した直後だったことから、政府派の仕業との見方も出ている。だが、プア・タイ党の実動部隊、反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長は、「UDDとは無関係。」と関与を全面的に否定している。
政府による事実上の米買い取り制度の「米担保融資政策をめぐる汚職、巨額の損失について知りながら無視した。」として、インラック首相(当時)が職務怠慢に問われている問題で、国家汚職制圧委員会(NACC)は、「職務怠慢があった。」と判断して上院に対し弾劾することを決定。来週中に上院に申請する。
インラックは先の憲法裁判決ですでに首相失職となっているが、罷免請求を上院が承認すれば、インラックは公民権5年停止となり、この間公職に就いたり表立って政治活動をしたりすることができなくなる。弾劾には全上院議員の5分の3の賛成が必要。上院は議員の約半数を選挙で選び、残りを憲法裁判所長官、汚職取締委委員長など反タクシン派がメンバーの大半を占める委員会が任命するため、反タクシン派が優勢と見られる。ただ、反タクシン派が議席の5分3を抑えているかどうかは不明。
汚職取締委はまた、インラックを刑事告発するかどうかの調査を継続することを決めた。告発した場合、いきなり最高裁判所で判決が下り、有罪になれば、インラックは即収監される可能性がある。このため、インラックが兄のタクシン同様、告訴、判決前に国外に脱出するという噂も流れている。
また、関係筋によれば、「米担保融資制度に関し、国家汚職制圧委員会では他の関係閣僚の責任を追及すべく捜査を行っており、国家汚職制圧委員会による訴追決定によってニワットタムロン首相代行(副首相兼商業相)などが職務停止に追い込まれる可能性がある。」
米担保融資制度はインラック政権の目玉政策の一つで、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。買い上げた米の転売は難航し、膨大な在庫を抱え、最終的に数千億Bの損失を出す見込み。財政負担が重い割に政策効果が低いとして、国際通貨基金(IMF)やタイ国内のエコノミストから、「早急に制度を打ち切るべき。」という意見が相次いだ。「米買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっている。」という指摘もあった。今年01月には、この制度をめぐり不正が行われたとして、汚職取締委がブンソン前商務相、プーム前副商務相ら15人を刑事告発。国家汚職制圧委員会によると、ブンソン前商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したとしていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。
タクシンの法律顧問、ノパドン元外相によれば、「国外逃亡中のタクシンは、妹のインラックらを首相失職とした先の憲法裁判決を法律に違反している。」と批判。その理由は、「憲法裁判定により失職となった者たちに反論の機会を与えなかったから。」という。
タクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で最高裁から禁固2年の有罪判決を受けているが、「不当な判決」と批判して帰国して刑に服すことを拒んでいる。
中央選管のプチョン事務局長は、「07月20日投票で総選挙を実施するための勅令について14日に政府側と協議をする予定だ。」と明らかに。
先の憲法裁判決でインラックが首相失職となったことから、現在、ニワットタムロンが首相代行を務めているが、協議では、①首相代行に勅令発布に向けて国王の承認を求める権限があるか否か、②勅令に「妨害によって総選挙の手続きに問題が生じた場合、選管は総選挙をやり直すべく政府に新たな勅令の発布を勧告できる」との条件を盛り込むことができるか、などが話し合われることになっている。ただ、このような条件をつけることに対して、国の最高法律諮問機関、法令委員会は否定的な姿勢を示している。
民主党ステープ元副首相は、タクシン派与党プア・タイ党が計画している07月20日の下院選を不要と言明。政権打倒、非民選政権の樹立という当初の計画を改めて主張。
一方、検察庁は、ステープ元副首相ら反政府デモの指導者50人を騒乱罪などで起訴する方針を明らかに。
05月09日(金)朝野党民主党のステープ元副首相は拠点である都内のルムピニー公園で演説し、都内のタイ首相府、主要テレビ局でデモを行う方針を明らかに。テレビ局の占拠は行わないとしており、報道番組の内容に圧力をかけることが狙い見られる。デモが行われる予定のテレビ局は、チャンネル3(ラーマ4世通)、チャンネル5(パホンヨーティン通)、チャンネル7(ソイルアムシリミット通)、MCOT・チャンネル9(ラーマ9世通)、チャンネル11(ウィパワディランシット通)。
ステープが主導する反政府デモ隊は、再びラーチャプラソン、セントラルワールド前にステージの設置を開始し道路の一部を封鎖。「タクシン派の現政権を打倒するための最後の戦い」を開始。
デモ隊は以前、ラーチャプラソン地区をはじめ、都内の主要道路数ケ所にステージを設置し「クルングテープ封鎖」を掲げていたが、03月上旬に突然全拠点の撤退を発表し、ルンピニー公園内にデモ隊を集約していた。今回の封鎖がいつまで続くのかは明らかになっていない。ラーチャプラソン交差点自体は、封鎖されていない。
主要なテレビ局5か所を占拠。ステープは、政府発表など現政権に関する報道は一切行わないよう命じた。街頭に繰り出した大勢のデモ隊のため、首都の交通は大混乱。
反政府デモ隊を率いる民主党のステープ元副首相は、首相府前で演説し、同日選出される予定の上院議長と最高裁長官らに対し、非民選政権の樹立、「タクシン・システム(タクシンの利権構造)」の排除などを要求。
デモ隊は、首相府、政府の治安対策本部が設置されているタイ警察スポーツクラブ、地上波テレビ5局などでデモ。首相府、テレビ局でのデモは数日間続く可能性がある。
12時半頃政府治安対策本部が設置されているタイ警察スポーツクラブに反政府デモ隊が突入を図り、警察が催涙弾5~10発を発射。この衝突で2人が負傷した模様。現場は都内のウィパワディランシット通。
上院(定数150)で議長選挙が行われ、反タクシン派のスラチャイ上院議員(61)が96票で選出された。チョンラックは51票に止まった。上院は77議席が公選制、残り73議席が任命制の定数150議席。任命制の73議席を憲法裁判所長官、汚職取締委員会委員長など反タクシン派が大半を占める委員会が任命するため、反タクシン派が優勢。スラチャイは弁護士出身の任命制議員で、2007年の軍事政権下で制定された現行憲法の起草に携わった。
スラチャイの選出に対し、タクシン派与党プア・タイ党は、「今回の上院召集の目的に上院議長の選出が含まれていないなど選出手続きに法的問題がある。」と、内閣法制委員会に諮問する方針を示した。上院議長就任には首相の申請を受け国王が任命する必要があり、内閣法制委の答申があるまで、ニワットタムロン首相代行(副首相兼商務相)による申請を行わない構え。
タイの政争は非民選の暫定政権樹立を掲げる反タクシン・反政府派が首相ら閣僚10人を失い弱体化したタクシン派政権を土俵際に追い込んだ。今後は反タクシン派が優勢な議会上院の動きに注目が集まる。
ステープ元副首相は、上院議長代行に対して、司法との協働で、3日以内に中立首相を選出するよう命じるとともに、「3日のうちに平和的に政権を交代させる。皆が協力すればこれは可能。だが、3日以内に達成できない場合、我々が独自に中立首相を選ぶ。」と宣言。
憲法裁判所が07日、官僚人事をめぐる職権乱用でインラック首相と閣僚9人を失職としたことを受け、政府支持派の市民が、タイ各地で憲法裁判事9人の写真を棺に入れて燃やし、判決に抗議。
憲法裁判事の「葬儀」が行われたのは東部パタヤ市、北部スコータイ県、ラムパン県、ナーン県、中部パトゥムタニー県、アユタヤ県、東北部ナコンラチャシーマー県など。
反政府派が「最終戦」を開始したことを受け、中央選管のスパチャイ委員長は、「状況が悪いままでは、総選挙のやり直しは難しい。」との見解を明らかに。
今のところ、選管と政府は、「総選挙を07月20日投票で実施する。」としているが、反政府派が強く抵抗しており、このままでは総選挙が反政府派の妨害によって再び不成立に終わる可能性が高い。
政府派と反政府派が互いに譲らず、対立がエスカレートし暴力に発展することが懸念されていることから、一部では軍部に介入を求める声が出ているが、プラユット陸軍司令官は、「軍部には問題解決に乗り出す用意があるものの、それは最後の手段。」と述べ、両派に対して法律に則って問題を解決するよう呼びかけた。
かつて反タクシン運動の指揮を執ったソンティは、「国が良い方向に進むことができるのであれば、クーデターは必ずしも悪いとは言えない。」として、軍部の介入を要求している。
だが、プラユット司令官は、「軍部がどちらか一方の要求を受け入れたとしても問題は解決しない。今は合法的な手段で問題を解決するよう努力することが必要。」
05月10日(土)ステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「首相失職となったインラックの代わりにニワットタムロンが首相を務めているのは違法。」として、上院議長に暫定首相を任命するよう要請。
ステープによれば、「先の憲法裁判決でインラックら10人が閣僚失職となったが、残りの閣僚に選挙管理内閣の首相を務められる者はいない。ニワットタムロン副首相が首相代行に任命されたものの、これは違法であり、ニワットタムロンの地位は現在も副首相のまま。昨年12月の解散で下院が存在しないことから、暫定首相を任命する権限は上院議長にある。」ただ、違法の根拠は明確にされていない。
これに対し、政府派の反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長は、「暫定首相を任命するには上院議長が国王の承認を得なければならないが、先に上院でスパチャイ副議長が議長に選出されたものの、まだこの人選は国王陛下のご承認を得ておらず、現時点では暫定首相任命について国王の承認を求められる者が存在しない。」
09、10日、クルングテープ都内と郊外のドンムアン空港を結ぶ自動車専用高架道路ドンムアントールウェイが反政府デモ隊により複数回封鎖され、タクシーで空港に向かっていた外国人らが路上でタクシーから降ろされて飛行機に乗り遅れるなどした。
09日には、自家用車でドンムアントールウェイを走行していた航空機パイロット訓練生のタイ人男性(27)をデモ参加者が停車させて暴行を加え、車に拳銃を発砲した。犯行の様子を撮影した動画がインターネットに投稿され、デモ隊を批判するコメントが相次いだ。
反政府デモを率いる民主党のステープ元副首相は、デモ隊が包囲した首相府で記者会見し、上院議長、憲法裁長官、最高行政裁長官、最高裁長官、選挙委員会委員長に対し、非民選の暫定政権の設立を要求。これに呼応するように、スラチャイ議員は12日に上院の緊急会合を開き、政局混乱の解決策を協議する方針を明らかに。プア・タイ党は「非民選内閣の樹立は違憲。」と批判。
政府・プア・タイ党は07月20日に議会下院選を行い、事態収拾を図る方針だが、実現の目途は立っていない。政府は大規模な反政府デモを受け、昨年12月に下院を解散、今年02月に総選挙を行ったが、民主党のボイコット、反政府デモ隊による選挙妨害で、憲法裁が選挙無効の判決を下した。07月の選挙についても、反タクシン派寄りとされる選挙委員会が早くも先送りを示唆。民主党のアピシット党首(前首相)は「選挙で問題は解決しない。」、「政治改革が先。」との主張を繰り返し、選挙を強行しても、民主党のボイコット、選挙妨害が繰り返される可能性が高い。反タクシン派寄りとされる会計検査院は、「02月の下院選が税金の無駄になった。」として、選挙経費38億Bを政府に請求する方針。
反タクシン・反政府デモ隊は12日にデモの拠点を都内のルムピニー公園から首相府一帯に移動する。」と、デモを指揮するステープ元副首相が明らかに。
一方、タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)は、クルングテープ西部タウィーワタナー区のウタヤーン通(アカサ通)で集会を開始。「民主主義が確保されるまで継続する。」としている。タクシン派は議会下院選による事態の収拾を主張し、非民選内閣の樹立を掲げる反タクシン派と激しく対立しており、UDD幹部は「内戦に近づいている。」と警告。
クルングテープでの反政府デモには昨年11月から今年01月にかけ、多い時で数十万人が参加。しかし、デモ長期化による景気や交通渋滞への悪影響などで支持に陰りが見られ、ステープ元副首相が「最後の戦い」とうたった09日からのデモも、参加者は最大で2万人程度。そのうちかなりの部分は野党・民主党の地盤である南部から、バス、列車で動員された人々。ウタヤーン通のUDDのデモも参加者は1万人程度。
23時頃都内の首相府近くで2度、爆発が起き、男女計2人が負傷、自動車3台、電話ボックスなどが破損しグレネードランチャーで小型砲弾2発が撃ち込まれたと見られている。首相府周辺では09日から、ステープ元副首相率いる反政府デモ隊が座り込みのデモを行っている。
23時25分頃高架電車BTSサナームパオ駅近くで、男性(30)が刃物で胸、腹を刺され重傷を負った。
05月11日(日)02時頃バンコク郊外の私立ランシット大学の校舎に小型砲弾1発が撃ち込まれ、建物が破損。怪我人はなかった。ランシット大学の学長、オーナーは元国会議長。治安当局は政治抗争絡みの犯行と見ている。
人民民主改革委員会(PDRC)は、09日から座り込みのデモを行ってきた地上波テレビ局5局から撤収を決定。デモ隊はルンピニー公園、ラーチャダムヌン通などに移動を開始。テレビ局占拠は、PDRCが09日に始めた「最後の戦い」の一環。チャンネル9では、デモ隊の幹部がテレビ局の協力に感謝するとともに迷惑をかけたことを謝罪して局を後にした。
政府の治安対策本部、平和秩序管理センター(CAPO)は、「逮捕状の出ている人民民主改革委員会(PDRC)幹部14人を警察の特殊部隊を動員して逮捕する。」と発表。関係筋によれば、「これら幹部の表立った行動を抑制することでデモ隊を牽制することが狙いとみられる。」という。
また、CAPO幹部のタリット法務省特別捜査局(DSI)局長によれば、「警察は反政府幹部の逮捕を予定しているものの、デモ隊を強制排除することは考えていない。」
反政府派の人民民主改革委員会(PDRC)がタクシン派の影響力を排除した形で政治改革を断行すべく、憲法裁、最高裁、最高行政裁判所、選管、上院に暫定首相の任命を要求しているが、政界観測筋によれば、要求が受け入れられる可能性は低い。政府側は、「法的根拠がない」とPDRCの要求を非難しているが、同筋は、「暫定首相の任命は、合法かどうかはっきりせず、法律違反に問われる恐れがある。PDRCの要求は実現が困難。」ある判事は、「憲法には、PDRCの要求する暫定首相任命を規定した条文が存在しない。(任命には国王の承認が必要なことから)王室にも影響が及ぶことであり、じっくり検討する必要がある。」
反政府派幹部が政府庁舎(首相府)に自由に出入りしていることから「警備の兵士らが政府庁舎を反政府派に明け渡して引揚げた。」と一部で報じられているが、陸軍の担当者は、「兵士も警察官も警備のため政府庁舎に留まっている。」と述べて、報道内容を否定。」
「『政府庁舎の警備の責任者である大佐が10日午前08時30分に反政府派に政府庁舎を明け渡した。』と軍関係者が認めた。」との情報もあるが、担当者は、「反政府派幹部には政府庁舎内のサンティマイトリー館を記者会見に使うことが許可されているだけ。庁舎全体を自由に使うことが許可されているわけではない。」
14時頃民主党のステープ元副首相率いる反政府デモ隊が拠点としてきた都内のルムピニー公園から首相府近くの国連事務所前への移動を開始。ラーチャダムリ通、ラーマ1世通、サイアム・パラゴン前、パトゥムワン交差点、パヤタイ通、ラーチャテウィー通、ペチャブリー通、ウルポン交差点、ヨマラート交差点、ナーンルン交差点、ピッサヌローク通、クルンカセーム通を経由。
移動先近くにある首相府および国連に対して抗議活動を開始。これを受け在タイ日本大使館からも注意喚起が実施されている。
反政府デモ隊が都心のルムピニー公園から撤収し、首相府近くの国連事務所前に拠点を移動することについて、与党プア・タイ党のチャルーム前労相は、「公園前にある高級ホテル、デュシタニー・バンコクの客室稼働率が下がったからだ。」と述べた。チャルーム前労相の発言は反政府デモ幹部と複数の財閥の密接なつながりを示唆したもの。
タイ政府は今年02月、デモ隊がルムピニー公園前など都心の主要交差点を占拠していた際に、民主党のステープ元副首相(元民主党幹事長)ら反政府デモの指導者を宿泊させている。」として、デュシタニー・バンコクとラーチャプラソン交差点の高級ホテル、インターコンチネンタル・バンコクの経営者を呼び出し、事情を聞いていた。
ステープ元副首相の事実婚の妻シーサクン・プロームパンは民主党の実力者ニポン・プロームパン元農相の妹で、アユタヤ銀行、セメント大手サイアム・シティ・セメント、テレビ局チャンネル7を運営するバンコク・ブロードキャスティング&TVなどに出資するタイ屈指の富豪クリット・ラタナラックと結婚、離婚後、テーチャパイブン財閥のポンテープ元副工業相との間に2男1女を設けた。息子の1人であるエーカナット前民主党下院議員は反政府デモでステープ元副首相の片腕となり、ポンテープも度々反政府集会に駆けつけている。
もう1人のデモ指導者であるナタポン前民主党下院議員は父親がサイアム・シティ・セメントとアユタヤ銀行の会長を務め、妻は不動産などで知られるシーウィコン財閥出身。インターコンチネンタル・バンコクはシーウィコン財閥がオーナー。
反政府デモ隊は今年01月13日から都心の主要交差点を占拠したが、03月02日、唐突に占拠を解除し、拠点の1つであるルムピニー公園に立て籠もった。突然の撤退は様々な憶測を呼んだが、「占拠された交差点周辺にホテル、ショッピングセンターなど様々な権益を持つこうした財閥が、当初は占拠を支持していたものの、デモの長期化で事業への影響が大きくなり、ステープ元副首相に移転を迫った。」という見方も出ていた。
現在も続いている反政府グループによるデモ集会が、過去数十年間で行われた集会で最長となる193日に達した。
過去を振り返ってみると、1992年のチャムローンによる民主化運動時で35日間、2008年のソンティ率いる民主主義市民連合(PAD)による首相官邸および空港占拠時で193日間、2010年の反独裁民主主義同盟(UDD)によるラーチャプラソン地区などの占拠時で69日間。
反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長が、国会議事堂内で09日に上院議長代行に選出されたスラチャイ上院副議長と会談。ステープ元副首相が主張する上院による暫定首相の選出を話し合ったと見られる。
会談後、ステープは、国会議事堂前に集まった支持者に対し、「スパチャイ上院議長代行には『現在、下院議員も首相も存在しないという異常事態であり、上院しか暫定首相を任命できない。』と伝えた。」と説明。スラチャイ副議長を非難した。
現行憲法では「首相は下院での投票で下院議員から選ぶ。」と規定されているが、ステープ元副首相らは、「『下院解散中は上院が国会として活動する。』という条項と『憲法の条項に当てはまらない場合には憲法的慣行に従い決定する。』とした条項を使い、上院が暫定首相を選出できる。」としている。
国会議事堂で上院の会合が開かれていたが、ステープらが発言を許可するようスラチャイ議長代行に要請。反タクシン派の上院議員40人などが賛成の意向を示し、騒乱罪などで逮捕状が出ているステープを国会に入れ、会談に応じたことで、その他の議員の一部から反対の声が挙がる中、スラチャイ議長代行はステープらが国会議事堂内に入ることを許可し、迎賓室で話し合いを行った。
これは、スラチャイ議長代行が反政府派に理解を示したものと受け止められており、政府派の反独裁民主主義同盟(UDD)は強く反発している。
なお、ステープは先に「12日までに上院議長が暫定首相を任命しなければ、PDRCは新たな行動に出る。」と明言していたが、上院議長代行との話し合いで何らかの手応えを得たためか、「この先数日、事態の推移を見守る。」
プア・タイ党幹部のポキンが、「反政府勢力や一部の独立機関と結託して現政権を倒そうと画策している。」と反タクシン派の民主党を非難。
これに対し、民主党は、「プア・タイ党が政権の座に留まるためのでっち上げ。」と強く反論している。
また、ポキンは、「民主党、反政府勢力、独立機関は、クーデターを起こさせようと軍部に圧力をかけており、軍部が拒否した場合、混乱を引き起こして民間人を暫定首相に任命させようとしている。」とも述べている。
一方、ポキンなどプア・タイ党関係者らの批判に対し、民主党の広報担当チャワノンは、「彼らは常に民主主義を口にしているが、本心では(タクシン派による)独裁を望んでいる。」と反論。
陸軍は、「反政府デモの影響で業務に影響が出る恐れがある。」と、「陸軍本部をウィパワディランシット通の兵舎に一時移転することにした。」と発表。
反政府デモ隊は政府庁舎(首相府)周辺に集結しつつあるが、陸軍本部が同庁舎に近接していることから、「このままでは職員の出勤、帰宅に支障が出かねない。」と判断。
陸軍は昨年末に反政府デモ隊が政府庁舎周辺で座り込みを行った際も本部を移転している。
ニワットタムロン首相代行は、国防事務次官の事務所で外国の報道関係者を前に、「07月に総選挙が実施できるよう可能なあらゆる手段を用いる。」と明言。
総選挙は02月に行われたが、不成立の状態が続き最終的に憲法裁によって無効とされたことから、選管と政府の話し合いで07月20日投票でやり直すことになっている。
だが、反政府派が再び妨害に出ることが予想されているほか、法的な問題などで07月20日に実施できない可能性も指摘されているが、首相代行は、「総選挙は、日程が変更になっても、07月中には行わなければならない。」
05月12日(月)タクシンの法律顧問であるノパドン元外相は、タクシンがシンガポールに滞在していることを明らかに。「友人に会うためで、政治とは関係ない。」
タクシンの妹のインラック前首相ら10閣僚は07日、官僚人事をめぐる権力乱用を理由に、憲法裁により閣僚失職。反タクシン派が上院で暫定内閣を設立する動きを見せるなど、タクシン派政権は窮地に追い込まれている。
タクシンは2008年に汚職で実刑判決を受けて以来、タイに帰国していない。普段はドバイを拠点にしているが、情勢が緊迫したことから、タイに近いシンガポールに移動し、情勢分析、政権幹部らとの意思疎通の強化を図る模様。
反タクシン・反政府デモを率いる野党民主党のステープ元副首相は09日に上院議長に選出されたスラチャイ上院副議長と国会で会談。ステープ元副首相が主張する上院による暫定首相の選出を話し合った件を受け、上院は非公式会合でこの問題を検討し、出席した議員の過半数が暫定首相選出を支持。
反タクシン・反政府デモ隊が今年01月から05月12日まで占拠した都内のルムピニー公園で、清掃、危険物の捜索などが行われ、ペットボトルなどゴミ28t、手製爆弾6個、防弾チョッキ10着などが回収された。
ルムピニー公園の清掃は都庁が、放水車4台、ゴミ収集車6台など車両30台以上、清掃員約200人を動員して行った。その後、警察が園内の危険物を捜索した。ルムピニー公園は19日に、一般公開を再開する予定。
デモ隊は12日から、タイ首相府と周辺のラチャダムヌンクラーン通、ラチャダムヌンノーク通、ピッサヌローク通などの一部を占拠している。
05月13日(火)ステープ元副首相は、デモ隊が占拠した首相府で記者会見し、上院に対し、暫定首相の選出を急ぐよう訴えた。
上院は議員の約半数を選挙で選び、残りを憲法裁判所長官、汚職取締委員会委員長など反タクシン派がメンバーの大半を占める委員会が任命するため、反タクシン派が優勢。中でもスラチャイ副議長は強硬な反タクシン派として知られる。
プア・タイ党の広報担当プロムポンは、スラチャイ上院議長代行が国会議事堂内で反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長と会ったことを強く非難。
プロムポンによれば、「ステープ事務局長は反乱罪に問われて逮捕状が出ているにも関わらず、スラチャイ議長代行は国会議事堂内に招き入れて話し合いを行っており、到底容認できない。」
プア・タイ党は14日にも、スラチャイ議長代行とタクシン派の上院議員40人を反政府派に加担した反乱容疑で法務省特別捜査局(DSI)に訴える予定。
昨年12月に下院が解散されたことで現在、立法府で機能しているのは上院だけであることから、現在の政治的混乱を解決するうえで上院の果たす役割に注目が集まっている。
上院では、政治問題の解決策を協議する非公式会合が開かれたが、ここでは、スラチャイ上院議長代行に対し、「枢密院と話し合いを行うべき。」、「政治対立の解消はすべてタクシンにかかっており、タクシンに連絡を取るべき。」、「憲法7条に基づいて暫定首相を早急に任命すべき。」といった意見が出された。
タイ弁護士協会は、タクシンの顧問弁護士が不敬罪を規定した刑法112条の廃止を公然と求めたことを問題視、関係当局に捜査を求める考えを明らかに。
問題の弁護士はカナダ人のロバート・アムステルダム。アムステルダムは10日、クルングテープ都タウィワタナ区ウタヤン通で行われた反独裁民主主義土同盟(UDD)の集会に集まったタクシン支持者を前に、反タクシン派の民主党が不敬罪規定を悪用しているなどとして不敬罪の廃止を求めた。
この発言について、弁護士協会は「不適切」と批判。「外国人であってもタイの国内法を守らなければならない。」と強調し、「自身の発言がタイの安全保障を脅かしかねないことを明確に理解しているかをアムステルダムに尋ねる必要がある。」と述べた。
05月14日(水)法務省特別捜査局(DSI)は、スラチャイ上院議長代行が反乱に加担したとの政権党プア・タイ党の広報担当プロムポンの訴えを受理し、この容疑を検察、警察とともに捜査する方針を明らかに。
プロムポンは、上院議長代行が先に反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長らを国会議事堂内に招き入れて話し合いをしたことを問題視し、DSIに捜査を要請したもの。
タリットDSI局長によれば、「ステープは反乱罪などに問われており、ステープの肩を持った者も罪に問われる。」
刑事裁判所は、法務省特別捜査局(DSI)の請求に伴い、最大の反政府勢力、人民民主改革委員会(PDRC)の幹部30人の逮捕状発付を決定。
DSIは先にPDRC幹部43人を反乱容疑で訴追する方針を固め、これら43人の逮捕状を請求したものだが、刑事裁判所は、「13人はすでに起訴され保釈された身であることから逮捕状は不要。」と判断し、まだ逮捕状の出ていない残り30人に限り逮捕状を発付することにした。なお、反政府デモ指導者のステープなどPDRCの主要な幹部はすでに反乱容疑で逮捕状が出ている。
国外逃亡中のタクシの法律顧問、ノパドンは、「タクシンは反政府デモ指導者のステープと話し合うつもりはない。」と述べ、「タクシンは(反政府派と)交渉する機会をシンガポールで待っているが、私は彼と話し合う考えはない。」とのステープの発言を否定。
「タクシンがシンガポールに滞在中なのは事実だが、これは知人に会うためであり、タクシンはステープと話し合うことなどは考えていない。」また、ノパドンは、「ステープは6ケ月も反政府デモを続けてきたのになんの成果も得ていない。ご苦労なこと。」と述べ、「憲法7条に基づいて暫定首相を任命するというステープの要求を上院が受け入れることはない。」との見通しを示した。
05月15日(木)
02時45分頃
反政府デモ隊が占拠する都内の民主記念塔周辺のコークウア交差点で、ピックアップトラックから自動小銃M16や拳銃による銃撃があり、警備員のスラタニー県から来たナラヨット・チャンペット(21)とチャムポン県から来たソムクアン・ヌアンカナイ(51)が死亡。5分ほどして現場近くのホテルの屋根に設置したRPGから、民主主義記念塔周辺のデモ隊に向けて擲弾M79が2発が撃ち込まれ、23人が怪我。エラワン緊急医療センターは、この事件による死者は2人、負傷者は24人と発表。ナラヨットは胸と腹、ソムクアンは胸と足が損傷。
民主主義記念塔近くで負傷した者も死亡し、死者は計3人となった。
今回の襲撃事件については、反政府派への攻撃であることから、「政府派の仕業」と見る向きもあるものの、「政治対立の当事者以外で何らのかの意図を持って状況を悪化させよう企んでいる者もいる。」と見られるため、警察は、「今のところ犯人像は全く不明。」
午前民主記念塔、首相府などを占拠した反政府デモ隊は、チェーンワタナ通の総合庁舎にある選挙委員会事務所などでデモ。中央選挙管理委員会でのデモ後、選中央選管とニワットタムロン副首相兼商務相(首相代行)が会談を予定しているドンムアン区の空軍士官学校を訪れ、デモ隊を率いる野党民主党のステープ元副首相がニワットタムロン副首相と面会する予定で出発した。
クルングテープ都ドンムアン区のタイ空軍本部で行われていた中央選挙管理委員会とニワットタムロン副首相兼商務相(首相代行)による次期議会下院選に関する協議が反政府デモのため中断に追い込まれた。中央選管側から委員5人全員、政府側からニワットタムロン首相代行、アドゥン警察庁長官、パラドン首相顧問らが出席していた。
中央選管とニワットタムロン副首相ら政府側は午前10時から、選挙の日程や法的な問題に関する協議を開始。
その約20分あまりで(報道により40分後)、空軍本部前でデモが始まり、反政府デモ隊数十人が警備網を突破して「協議に参加させろ。」などと要求したことから、すぐに協議を中止し、政府は現場から急遽退出した。野党民主党のステープ元副首相らデモ隊はその後、協議が行われた空軍本部のホールに侵入。
中央選管と政府は憲法裁判所により無効とされた02月の下院選の再選挙を07月20日に行うことで原則合意していた。政府は下院選を成功させ、事態の収拾を図る方針だが、中央選管はここへ来て、「次の選挙も02月同様、反政府デモ隊による投票妨害で無効になる可能性が高い。」として、延期を示唆している。中央選管はもともと反政府派寄りで、下院選の実施に消極的と見られ、下院選の早期実施は難しい情勢。
一方、反政府派が多数を占める議会上院、最高裁判所、最高行政裁判所、汚職取締委員会などの代表は14日、政治危機の打開策を検討する非公式協議を行った。複数のタイ字紙報道によると、「参加者の多くは反政府派が主張する暫定政権の設立を支持した。」という。ただ、ステープ元副首相らが主張する上院による暫定政権の発足については、法曹界の重鎮であるミーチャイ元上院議長(元副首相)からも憲法違反という指摘がある。
反政府グループのデモ隊が、空軍施設に突入しようとした際に、ピックアップトラックで強引に突入しようとしている動画が動画共有サイトにアップされ話題。動画には、空軍関係者や警察などがバリケードを張っているところに、デモ隊とみられる一派がピックアップトラックで、強硬に突入しようとしている瞬間が映っている。この施設では、暫定政府と選挙管理委員会による会議が行われる予定だったが、この強行突入により妨害されている。

http://www.youtube.com/watch?v=vknB6uFOSss

反政府グループの拠点として利用されていたルンピニー公園が、19日より使用可能となる見通し。
デモ隊によって放置されたままのゴミを、現在都職員が処理しており、爆発物処理班も出動し爆発物がないか捜索している。公園内から回収されたゴミは約30tに及んだ。
反政府デモ隊が座り込みを続ける都内ラチャダムヌンクラン通で未明に何者かが自動小銃で発砲したり、擲弾を発射したりしてデモ隊の3人が死亡、23人が重軽傷を負った事件を受けて、プラユット陸軍司令官は、これまでになく強い調子で「政治絡みの暴力事件が続くようなら、軍部は全力で法と秩序を守る行動に出る。」と警告。
プア・タイ党の実動部隊、反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長は、都内タウィワタナ区ウタヤン通での集会において、「上院は暫定首相を任命しようとしているが、これは憲法違反。」、「上院議員らは反乱に加担している。」と非難。 また、17~19日にかけてさらに多くの支持者を動員して集会の規模を拡大する考えを明らかに。チャトポンによれば、「今後3日のうちに反政府派が大きな動きを見せる可能性があり、UDDはこれに備える予定。」
上院調整委員会のチェート委員長は、官民の関係機関の代表と話し合った後、「政治的行き詰まりを打開するために上院が暫定首相を任命することが合意された。」と述べた。
反政府派からは、憲法で想定されていない状況への対処を規定した憲法7条に基づいた上院議長による暫定首相任命を求める意見が出ているが、チェート委員長によれば、「『上院は憲法に基づいて個人をいかなる役職にも任命できる。』と規定した憲法132条2項を適用して暫定首相を任命することが可能。」という。
また、チェート委員長は、「ニワットタムロン首相代行が17日に委員会と話し合うことに同意した。」と明らかにし、「話し合いの中で、スラチャイ上院議長代行が、暫定首相任命の道を開くために現閣僚全員の辞職を首相代行に受け入れさせることができれば良い。」との考え。
05月16日(金)暫定首相任命について、反政府派が期限としていた05月16日の上院非公式会議で何ら合意ができなかったことから、反政府派は自力での実現を目指す方針を明らかに。
ステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長はこの日の会議で暫定首相任命に向けた道筋が示されるものと期待していたようだが、上院非公式会議では結論が出ず、新たに特別会議を開いてさまざまな意見を検討することになった。これを受け、ステープは、「全国のPDRC支部、PDRCを支持する公務員、支持団体などの代表を政府庁舎(首相府)に集めて17日に対応を協議する。」と発表。
ニワットタムロン首相代行は、「上院調整委員会と17日に話し合う予定はない。」と述べ、上院調整委員会のチェート委員長の発言を否定。
チェート委員長は15日、「首相代行が委員会と話し合うことに同意した。」と述べ、話し合いで首相代行が全閣僚辞職を受け入れることに期待を示していた。だが、首相代行によれば、「委員会から招請があったとは聞いておらず、また、週末は北部に出かけることがすでに決まっており、招請があったとしても受けることはできない。」
05月17日(土)反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「最後の戦いで勝利を収めることができなかったら、26日に反政府活動を中止し、27日に警察に出頭する。」と明言。ステープなど反政府派首脳の多くは反乱容疑で逮捕状が出ているものの、今のところ出頭を拒んでいる。
PDRCを中核とする反政府勢力は、反タクシン派が優勢な議会上院に対し、暫定首相を選出するよう求めており、上院議長による暫定首相任命に期待をかけていたが、これが難航していることから最後の賭けに打って出た。ステープは上院の判断先送りに失望を表明。反政府デモ隊から、「タクシンが上院議員35人を1人2億Bで買収した。」という主張も飛び出した。
ステープ事務局長は、「18~26日にかけて使命を全うするために全力を挙げてタクシン体制の一掃を試みる。」と説明。現在の暫定政権を運営する12閣僚に対して用意した辞任届けに署名させる活動を開始、現政権を崩壊後に全国の公的機関や労働組合に働きかけ、一斉ストを行う。予定政府と反政府派の攻防を映画に例えて「この映画はあまりの長編となってしまったが、ハッピーエンドとなるかどうかは国民次第。」と述べ、国民に支持を呼びかけた。
デモ隊は19~21日に各省庁にデモ行進し、22日には政府機関の代表を集め、「タクシン・システム(タクシンの権力構造)」排除の方法を議論する。23~25日にはクルングテープのスクムビット通などで、26日には王宮前広場で、大規模なデモを行う予定。
昨年12月、民主党による大規模な反政府デモでタクシン派インラック政権を下院解散に追い込み、今年02月の下院選はデモ隊による選挙妨害、民主党のボイコットなどで、反タクシン派の憲法裁判所が無効の判決を下した。憲法裁はさらに、今月07日、官僚人事をめぐる権力乱用を理由に、インラック首相ら10閣僚を事実上解任。
タクシン派与党プア・タイ党は速やかに下院選を実施し、事態の収拾を図ろうとしているが、反タクシン派寄りとされる中央選挙管理委員会のソムチャイ委員は18日、暫定的に07月20日投票としていた下院選について、「時間が足りず不可能。」と述べ、先送りする考えを明確にした。また、一部の上院議員は、首相代行のニワットタムロン副首相兼商務相には下院選を実施する権限がないとして、選挙日程を決めるなどした場合はニワットタムロン副首相を告訴する方針を示している。
一方、議会上院は09日、強硬な反タクシン派とされるスラチャイ副議長を議長に選出した。上院(定数150)は議員の約半数を選挙で選び、残りを憲法裁長官、選挙委委員長など反タクシン派がメンバーの大半を占める委員会が任命するため、反タクシン派が優勢。スラチャイ氏はニワットタムロン副首相ら閣僚全員を辞任させた上、上院で暫定首相を任命する構えで、ステープ元副首相、アピシット民主党党首(前首相)らと会談。ただ、こうした手法は違憲、違法の可能性がある上、上院が強引に暫定首相を選出すれば、クルングテープ西部で集会を続けるタクシン派団体、反独裁民主戦線(UDD)が都心に突入し、混乱が拡大する恐れがある。上院はこうした状況を考慮し、先週末の時点では、暫定首相の選出を見送った。
ピラサック上院第2副議長代行は、「上院による暫定首相任命の手続きは80%まで進んでいる。」と述べ、上院が中立的な暫定首相の任命に向けて努力していることを明らかに。
上院は今のところ首相を任命するための明確な方針を打ち出すことができていない。だが、ピサラックによれば、「上院は、国を統治するためにすべての権限を有した暫定首相を任命する最善策を模索中で、結果が出るのは確実。ただ、上院は、暫定首相任命には首相代行がまず辞任することが必要と考えており、このため、最終的な決定を下せずにいる。」
05月18日(日)国営企業の労働団体で構成される国営企業職員関係連合は、首相府で反政府デモ指導者のステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長と話し合った後、共同記者会見を開き、「22日からストライキに入る。」と発表。「現在の選挙管理内閣を辞職に追い込むべく、22日から26日の5日間にわたってストライキを行う。」と宣言し、これに参加するよう全国の国営企業職員に呼びかけた。
ストにどれだけの職員が参加し、どの程度の影響が出るかは不透明だが、タイ国際航空、タイ国鉄、都バス公社などへの影響が懸念される。反タクシン派はタクシン派が連勝している議会下院を無力化し、内閣を総辞職させ、議会上院で暫定首相を選出するという戦略を描いている。
ただ、これまでの国営企業労組による反政府活動といえば、政府機関や閣僚の自宅への電気や水道の供給を止めるといったものだったが、今回のストライキについて同連合のコムサン事務局長は、「閣僚といくつかの政府機関を標的としたストライキであり、一般市民は影響を受けない。」としているだけで、具体的にどのように行動に出るかは明らかにしていない。なお、5日間のストライキは、ステープ氏が先に「反政府デモは26日まで。」と表明したことに呼応したものとなっている。
ステープ人民民主改革委員会(PDRC)事務局長は、「3日間にわたり閣僚に辞任を迫るという作戦を19日に開始する。」と明らかに。具体的には、デモ隊が閣僚に対し直接辞任を呼びかけることになるが、ステープは、「デモ隊は平和的に振る舞い、乱暴はしない。」と述べた。また、この作戦では、ステープが「与党の代表などと話し合う可能性もある。」という。
政府派の反独裁民主主義同盟(UDD)は、2010年のUDDによる過激な大規模反政府デモの最中に命を失った人々の追悼式典をUDDが現在集会を行っている都内タウィワタナ区ウタヤン通の近くで05月19日に執り行う予定。
この大規模反政府デモでは治安部隊との衝突や銃撃・爆弾攻撃などで90人以上が死亡。治安部隊が強制排除に乗り出したことから、UDDは05月19日、拠点としていたクルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点で「デモ終結」を宣言。それ以降毎年、UDDは、当時の民主党政権の責任を追及すべく、ラーチャプラソン交差点で犠牲者追悼式典を行ってきた。
が、今年は、反政府派がクルングテープ中心部で活発な動きを見せていることから、UDDは、『クルングテープ中心部にUDD支持者が集まれば、反政府派との衝突の恐れを口実に軍部がクーデターを起こしかねない。』と判断し、式典の会場を変更することにした。」
05月19日(月)午前反政府デモ隊の一部は、都内トンロー通ソイ25のチャチャート運輸相宅前でデモを行った。
ステープ元副首相率いるデモ隊の本隊約2000人は、インド人街のパーフラットなどをデモ行進し、チャオプラヤー川にかかるメモリアル橋が一時閉鎖。
政府側が先の上院議長と第2上院副議長の選出を問題視し、国の法律最高諮問機関、法令委員会に検討を要請していたことが、05月19日までに明らかになった。スラチャイ上院議長代行らが暫定首相任命に向けて積極的な動きを見せていることから、これを阻止することが狙いと見られる。。
昨年の憲法改正の動きに絡んで上院議長が今年03月に職務停止となったことを受けて、上院では05月09日、スラチャイ第1副議長が議長、ピラサック議員が第2副議長に選出された。国王の承認がまだ得られていないため、2人は今のところそれぞれ議長、第2副議長の代行という身分。また、スラチャイがまだ第1副議長を辞任していないため、第1副議長は選出されなかった。 だが、ニワットタムロン首相代行は、上院の特別会議召集に関する勅令が議長・副議長の選出に言及していないことから、特別会議での議長らの選出は勅令に則ったものではなく問題だと考えているという。。
法令委員会では22日にも議長らの選出について検討する予定。なお、法令委員会の判断は法的拘束力を持たず、法令委員会が違法と判断しただけでは議長・副議長選出が無効とされることはない。
暫定首相任命の道を開くべく、上院のピラサック第2副議長代行とデートウドム議員が、首相代行を務めるニワットタムロン副首相兼商務相とチャイカセム法相と話し合い、選挙管理内閣の総辞職を求めたが、スラチャイ上院議長代行らが要求している内閣総辞職を「選挙管理内閣は新政権誕生まで存続する。」と規定した憲法181条を盾に辞任を拒否。だが、上院は暫定首相任命に向けて新たな策を打ち出す構えを見せている。首相代行らとの話し合いには、スラチャイ上院議長代行が臨む予定だったが、体調不良のため、副議長代行などが代理として話し合いに出席することになった。
ニワットタムロン副首相は「現在の選挙管理内閣は憲法上、次の内閣が発足するまで辞任できない。」と説明。スラチャイ上院議長代行らが上院による首相選出を画策していることについて、「憲法違反だ。」と指摘。
話し合い終了後に姿を見せたスラチャイ議長代行は、「話し合いの結果は満足のいくものではなかった」と認めるとともに、「上院による政治危機打開は鮮明になりつつある。政治危機がさらにエスカレートする前、今週中には新たなプランを決めて発表する。」と明言。また、上院調整委員会の委員長、チェート上院議員も「上院は政治状況を見極めながら、今週中にプランBあるいはプランCの実行を決める。これらのプランには、憲法180条、172条、173条の適用が含まれる。」と述べている。 反政府・反タクシン派の上院議員のグループはニワットタムロン副首相の辞任拒否を受け、上院での首相選出を強行する構えを見せている。
都庁は都内のルムピニー公園の一般公開を再開。
ルムピニー公園は01月から05月12日まで反政府デモ隊に占拠され、デモ隊の撤収後、ペットボトルなどごみ28t、手製爆弾6個、防弾チョッキ10着などが回収された。
国営企業労組で構成される国営企業職員関係連合が「05月22日から5日間にわたってストライキを行う。」と発表したことを受けて、政府の治安対策本部、平和秩序管理センター(CAPO)は21日にも国営企業首脳と対応を協議する予定。国営企業職員関係連合は、「26日までに決着を付ける。」としている反政府派を助勢するため、スト計画を明らかにしたもの。
CAPO幹部の1人は、「政府は、『国営企業職員が国益を考えて、一般市民に迷惑のかかるストライキには参加しない。』と信じている。」と述べている。
ニュースクリップによると、タイ国際航空の労組は22日から労組加入者に休暇を取らせ、反政府デモに参加させる方針。一方、タイ航空の経営側は19日、「22日以降も通常通り運航する。」と表明。タイ国鉄の労組は、「反政府デモに参加するものの、鉄道の運行は通常通り行う。」としている。バンコク都バス公社は通常通り運行する見通し。(報道により、タイ国有鉄道とバンコク大量輸送公社の労働組合は、「組合としてはストを行わないものの、組合員がストに参加することは禁止しない。」)タイ発電公社(EGAT)のスンチャイ総裁は19日、「発電、送電に支障は出ない。」と言明。首都電力公社(MEA)労組はデモ、ストに参加しない。国営電話会社TOTの労組は22日から労組加入者に休暇を取るよう呼びかける方針。ただし、「業務に支障は出ない。」としている。TOTの従業員は計約2万3000人で、このうち労組加入者は約1万8000人。首都水道公社(MWA)労組は「デモに参加するものの、業務に支障は出ない。」としている。
17日に開催されたミス・ユニバース2014タイ大会で、ミス・ユニバース・タイ代表の栄冠を得て賞金の現金100万B、副賞の乗用車「トヨタ・プリウス」、宝飾品などを獲得した、西部カンチャナブリー県出身で、身長170㎝、体重54.5㎏の女優でトークショー司会者で、カセサート大学人文学部3年英語の学生のウェルリー・ディサヤブット(仇名:ファーイ)(22)が、インターネット上でタクシン派団体の反独裁民主主義同盟(UDD)への批判をしていたことが判明し、ネット上などで大炎上。
会場では準ミスになったピムボンコット(仇名:エリー)の人気が高く、ファーイの名前が読み上げられると、観客の一部がブーイングしたり、「エリー!」と連呼するなどした。インターネット上にも、ファーイとエリーの写真を並べ、「ファーイの容姿が劣っている。」との指摘が相次いだ。
ファーイは、11月からインターネットの交流サイト、フェイスブックに、「私は中立ではない。王党派である。」、「UDDは反王室派だ。」、「汚れた赤服(UDD)が国からいなくなれば、タイは清潔になる。」、「私はこれらの邪悪な活動家に激怒している。全員処刑すべきだ。」などと批判を度々投稿していた。
タクシン派市民が強く反発し、タイの人気掲示板パンティップでは、「ファイをミス・ユニバースすべきではない。」との意見が、相次いで書き込まれている状況。ファイへの抗議のフェイスブックでは月曜までに「いいね!」が1万を超えた。炎上してしまったことを知ったファイは、既にツイッターやフェースブックのアカウントを削除しており、現在確認することはできない。今後状況次第では、準ミス・ユニバースの栄冠を剥奪される可能性もある。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア部門の副理事のフィル・ロバートソンは、ファイのツイッターで発言に対し、「多分、もっと相応しい称号は、ミス・政治的分裂#タイでは?美の女王が処刑を求めるとは、恥知らずだ。」とまでわざわざ発言して咎め立てをした。
この糞毛唐、お前何様。お前の発言こそ野蛮で無教養だ。ウィグルやチベットを見て見ぬふりをして、タクシン派を「選挙で選ばれて民主的」だとか擁護しているのは、王制を潰して、タイを植民地化しようという欧米や支那の立場を代弁しているのが透けて見える。日頃評価している青山繁春の最近の意見も同様で、彼の限界を感じ幻滅した。
ファイはチャンネル3のインタビューで、発言について、「私は不注意で若く、無謀でした。もう再び起こしません。」と謝罪。


52章  陸軍が戒厳令を発令 政府派、半反政府派の和解を探る
05月20日(火)03時プラユット陸軍司令官が、タイ国内全域を対象に戒厳令を発令。、政府の治安対策本部である平和秩序管理センター(CAPO)を解散するとともに戒厳令に基づいた軍の行動などを決める平和秩序維持司令部(POMC)を設置。
陸軍は20日未明に主要な地上波テレビ局、衛星テレビ局に兵士を配置した。都内の一部の道路が封鎖されるなど、多少の混乱は見られるものの、現在の暫定政権に影響はない模様。
戒厳令を発令したプラユット大将は、「国民の安全、財産を守るためで、クーデターではない。」、「現在クルングテープ首都圏をはじめ、タイ各地で政治集会が行われる中、ある過激派勢力が定期的に集会参加者を襲撃し多数の死傷者を出しているとした上で、今後各地で暴動が起きる可能性を考慮し戒厳令の発令を決断した。」と語っている。これと同時にテレビ局を管理下に置き報道規制を敷いたこと、暫定政権による保安管理機関を解散し、新たに設立した軍管理の機関に権限を移管したことを明かに。戒厳令の発令は、2006年に起きた軍事クーデター以来8年ぶり。
タイでは昨年から反政府デモが続き、治安当局との衝突や、集会への手榴弾による襲撃などで、昨年11月以降、25人が死亡、782人が負傷。
03時30分 軍がテレビ局に対しプラユット司令官の演説を放送するよう要請。
06時プラユット司令官がテレビ演説で戒厳令発令を発表。
06時30分タクシン・政府派の反独裁民主主義同盟(UDD)が戒厳令に従い、「大規模集会の会場である都内タウィワタナ区ウタヤン通から支持者たちを移動させない。」と発表。
未明に戒厳令を布告したプラユット陸軍司令官は、ラチャダムヌン通と総合庁舎前(チェーンワタナ通)の反政府デモ隊およびクルングテープ西部ウタヤーン通(アカサ通)の政府支持派デモ隊に対し、移動を禁止。
軍は戒厳令を布告して、政府の治安対策本部を解散させ、権限を軍による治安対策司令部に移管させた。また、必要な場合はテレビ放送を管理する。」として、主要な地上波テレビ局、衛星テレビ局に兵士を配置。ウタヤーン通周辺などにも兵士を派遣。
現在タクシン派団体の反独裁民主主義同盟(UDD)はクルングテープ都西部での集会、野党民主党のステープ元副首相率いる反タクシン派団体の人民民主改革委員会(PDRC)の民主記念塔近くでの集会に対し、陸軍が出動し包囲し解散を呼びかけた。
反タクシン・反政府デモ隊は戒厳令発令を受け、20日に予定していたクルングテープでのデモ行進を中止。
政府支持派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)は、「戒厳令発令後も集会を続ける。」と述べている。
陸軍が戒厳令を布告したが、企業、商店のほとんどが通常通り営業し、市民が高架電車BTSで出勤、通学する姿が見られた。「一部企業が社員を自宅待機させた。」という報道があるが、混乱は生じていない。バンコク日本人学校も通常通り授業を行っている。
戒厳令布告を受け、都内ラープラーオ通のショッピングセンター、インペリアルワールド・ラープラーオの5階にあるタクシン・政府支持派団体、反独裁民主主義同盟(UDD、赤服)の事務所周辺にも兵士を配置。
同じ階にある、外国人の査証(ビザ)延長や90日毎の居住地報告などを担当するタイ警察入国管理課の仮設事務所は営業中。
戒厳令を布告したタイ陸軍は、反タクシン・反政府派、タクシン・政治支持派寄りの放送をしていたものを含む衛星テレビ局14局を閉鎖し、放送を中止させ、地方の違法ラジオ局の放送を停止させた。
POMCは、「公正、中立、正確な放送ができると判断された時点で放送再開を許可する。」、また、コミュニティーラジオ局も偏った内容を放送しているところが少なくないため、POMCは、「無許可のラジオ局も閉鎖する。」衛星テレビ局放送停止になったテレビ局は反タクシン派野党民主党系のブルースカイ、反タクシン派系のASTVなど。地上波テレビ局は放送を続けているが、時折、軍からの布告で放送が中断されている。
タイの政治混乱は陸軍による戒厳令布告で新たな局面を迎えた。プラユット陸軍司令官は「クーデターではない。」と主張しているが、政府の権限を奪い、テレビ局、ラジオ局に兵士を送り込み放送内容を管理する手法は実質的なクーデターと言える。陸軍司令官は今日中に、各省の次官、局長、県知事らとも会談する予定。
今後の焦点は軍がタクシン派、反タクシン派のどちらに付くか。タクシン派政府側に立つ場合は、反政府デモを抑え込んで議会下院選を実施させる。反タクシン派につく場合、タクシン派の選挙管理内閣を総辞職させ、反タクシン派が多数を占める上院で新たな内閣を発足させる見通し。
プラユット司令官は2010年のタクシン派デモの鎮圧を指揮し、反タクシン派政権で陸軍司令官に就任。就任時には強硬な反タクシン派と目されたが、昨年後半から続く今回の政争では中立を標榜、事態の合法的な収拾を主張し、「クーデターを行わない。」と繰り返していた。
09時反タクシン・反政府派の人民民主改革委員会(PDRC)が「全ての活動を中止する。」と発表。
10時 ニワットタムロン首相代行が話し合いのため主要閣僚を呼び集める。
10時30分PDRC幹部が協議。
12時プラユット司令官が国軍首脳を招集。
12時30分スラチャイ上院議長代行が「任命上院議員が今後も暫定首相任命に向けて努力する。」と発表。
12時40分学識者グループ、民主主義擁護集団(AFDD)が戒厳令発令に反対を表明。
14時プラユット司令官が話し合いのため政府機関や独立機関、産業界の代表、県知事を呼び集める。
15時PDRCが首相府内サンティマイトリー館を軍に明け渡す。
15時30分プラユット司令官が記者会見を行い、「軍人とその他の公務員は過渡期における国の運営で協力する。私が対立するグループの間に立って仲介役を務める。」と発表。
日本の外務省は、「タイ陸軍がタイ全土に戒厳令を発令した。」として、タイ滞在中・旅行中
の日本人に、政府集会周辺に近づかず、深夜や早朝の外出を極力避けるなど、安全確保に注意するよう呼びかけた。
外務省によると、戒厳令下では、治安維持のため様々な規制措置が取られる可能性があり、すでに放送の規制、政治デモ集会の制限が発表された。今後、在留邦人、旅行者の日常生活や滞在にも影響が及ぶ措置がとられる可能性も排除できない。また、プラユット陸軍司令官を長とする平和・治安維持司令部が20日現在、反政府勢力と政府支持勢力に対し、これまで集会拠点としていた場所に留まることを許可していることから、反政府派は都内のラチャダムヌン通、政府支持派はクルングテープ都西部タウィーワタナー区で集会を続けている。
在タイ日本大使館は、「戒厳令の発令を受け、タイ陸軍がタイ国内の複数の場所に部隊を展開しているとの情報がある。」として、注意を呼びかけた。
陸軍は兵士約40万人を全土に展開。戒厳令布告を報道させるために主要テレビ局に兵士を派遣。大使館によると、陸軍の部隊が展開しているのは、クルングテープ都パトゥムワン区サラデーンからラーチャプラソン、バンナー区バンナー・トラート通、サパーンスーン区ラムカムヘーン通と有料道路の交差点、バンクンティアン区ラーマ2世通ソイ80付近、タウィーワタナー区の政府支持派集会場周辺、ラクシー区警察クラブ(ウィパワディランシット通)、ノンダブリ県ムアンノンタブリ郡の通信衛星会社タイコムなど。
首相代行を務めるニワットタムロン副首相兼商務相は、戒厳令を布告した陸軍に対し、憲法の枠内で行動するよう求めた。また、「平和的に、差別せず、平等であるべき。」と述べ、軍が反政府・反タクシン派側につくことに警戒感を示した。
チャトロン教育相はインターネットの交流サイト、フェイスブックに、「戒厳令について、事前にも事後にも軍から政府に連絡がなかった。」、「戒厳令の理由、目的がわからない。」などと書き込んだ。また、戒厳令で「一時的に暴力ざたが減るかもしれないが、将来、国民の自由を阻害する恐れがある。」として、否定的な考えを示した。
戒厳令を発令したプラユット陸軍司令官は軍を出動させてデモを抑え込み、治安維持を図る一方、激しく対立するタクシン派の政府・与党と反タクシン派を交渉のテーブルに着かせる方針。政治改革や暫定内閣の発足、議会下院選などについて妥協点を見い出させ、膠着状態に陥った政治対立の解消を図る考え。ただ、2005年から続く両派の抗争で、話し合いで決着がついた例はない。交渉が難航すれば、軍がクーデターで全権を掌握する可能性も否定出来ない。
プラユット司令官は、都内ウィパワディランシット通りの陸軍クラブに、プラチン空軍司令官、ナロン海軍司令官、アドゥン警察長官、ターリット法務省特捜局長、各省の事務次官、プチョン選挙委員会事務局長らを呼んで会合を開き、軍への協力を求めた。タクシン派政権の閣僚、反タクシン派の上院議員らは呼ばなかった。また、北部、東北部、南部などの陸軍基地に県知事、地方有力者らを招集し、軍から状況説明を行った。
プラユット司令官は会合後、記者会見。持ち前の丁寧語をほとんど使わないぶっきらぼうな語り口で、「反タクシン派・タクシン派デモにともなう暴力行為を停止させ、政治対立を解消させるため、戒厳令が必要だった。」と主張。その後の質疑応答では、「事態が改善しなければ、3~6ケ月後も戒厳令を維持するか。」という質問に、そこまで長引かないという見通しを示した。「(戒厳令が)クーデターへの一歩か。」という質問には、「誰も答えない質問だ。」と応じた。「下院選はいつか。実施されるのか。」との質問には、「何、耳鼻科に行ったほうがいいな。」と応じ、返答を避けた。政府の現状については、「政府はどこにいる。」と述べた。また、現状では外出禁止令を出す考えがないことを明らかにした。
反政府デモを率いる野党民主党のステープ元副首相(元民主党幹事長)は、陸軍との話し合い後、首相府からデモ隊を撤収させた。戒厳令の布告については、「好む、好まないの意見はない。」と述べ、拠点とする都内のラーチャダムヌン通で反政府集会を継続し、「下院選前の政治改革」、「上院による首相選出」を求める考えを改めて示した。戒厳令に従い、デモ行進は行わない方針。民主党のアピシット党首(前首相)は戒厳令に基本的に賛成する一方、「政治の自由を奪うべきではない。」と述べた。
タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD、通称赤服)のチャトポン議長は戒厳令への反対を表明する一方、陸軍の命令に従い、現在集会を行っている「クルングテープ西部タウィーワタナー区ウタヤーン通(アカサ通)から移動しない。」と言明。チャイカセーム法相は「戒厳令を懸念していない。」と述べ、上院による首相選出は違憲で不可能と改めて指摘。タクシン派の上院議員グループは戒厳令に基本的に賛意を示したが、上院による首相選出を軍が後押しすることに反対を表明。
今回の戒厳令発令に関しては、国家機関の多くが機能不全に陥るか、一部国民の信頼を失い、国家システム全体が極めて弱体化していただけに、一般市民に加え、タクシン派、反タクシン派の双方に、軍の介入を歓迎する雰囲気。
陸軍から突然タイ国内全域を対象に戒厳令が発令されたものの、都内はこれまで通り平穏な様相を呈している。
陸軍最高司令官のプラユット大将は、「今回の戒厳令は市民の安全、治安の維持が目的であり、現時点で外出禁止令を出す予定はない。」、突然発令された戒厳令に混乱しないよう呼びかけていることが大きかったのかも知れない。
ただし都内各所に陸軍が出動し物々しい雰囲気となっている上、一部の道路封鎖などの行動にも出ており、若干の混乱も見られる。また一部メディアによると、タイ南部スラートタニー県にある観光地サムイ島では、戒厳令発令を知った一部の観光客が慌てて、帰国を早めている。
軍はタクシン派暫定政権から治安維持などの権限を剥奪し、新たに治安維持の専門チームを設置。テレビ局を管理下に置き報道統制を敷いた上で、タクシン派と反タクシン派のデモ隊を包囲し、デモ集会の移動を禁じて、対話に応じ解散するよう求めているのが現在の状況。だが、タクシン派、反タクシン派ともに「解散はせず、集会を続行する。」と表明。今後の状況は不透明。
昨年12月に解散した議会下院は反タクシン派デモ隊による投票妨害で選挙の見通しが立っていない。政府は選挙管理内閣で権限が限定されている上、インラック前首相ら閣僚10人が05月、幹部官僚人事をめぐる権力乱用を理由に憲法裁判所により事実上解任され、さらに弱体化した。
憲法裁など司法はタクシン派と反タクシン派の抗争が表面化した2006年以降、タクシン派に不利な恣意的とも取れる判決を下し続け、タクシン派の信頼を失った。議会上院は議員の約半数を選挙で選び、残りを憲法裁長官など反タクシン派がメンバーの大半を占める委員会が任命するため、反タクシン派が優勢。違憲が濃厚な上院による首相選出を画策し、こちらもタクシン派から批判を浴びている。
タイは過去数十年、こうした危機に直面した際に、プミポン国王の圧倒的権威で安定を保ってきた。しかし、国王は86歳と高齢で、健康面の不安もある。国家機構の脆弱性が露呈した今、国王以外に事態収拾に動けるのは軍だけという現実があった。
プラユット司令官はUDDによる2010年の反アピシット政権デモの強制鎮圧を指揮し、2010年、陸軍司令官に昇進。当時の首相はアピシット民主党党首、副首相はステープ。こうした経緯から、プラユット司令官は強硬な反タクシン派と目されたが、2011~2014年のタクシン派インラック政権では、タクシンの妹のインラック前首相と比較的良好な関係を保った。今回の政治混乱では、反タクシン派が度々、クーデターによる政権転覆を呼びかけたにも関わらず、「合法的な手段で解決すべきだ。」として、これまでのところ、中立の姿勢を維持してきた。プラユット司令官は2014年09月に定年退官を控えており、軍を混乱に巻き込みたくないという意思が働いた模様。また、クーデターを繰り返してきた歴代の軍司令官と異なり、実際にクーデターを嫌い、合法的な事態収拾を望む姿勢も垣間見える。
プチョン中央選管事務局長は、「戒厳令が発令されたからといって総選挙が実施されないことはない。」と述べ、総選挙の準備をこれまで通り進めて行く考えを明らかに。 プチョン中央選管事務局長によれば、「下院の解散と総選挙の実施を規定した昨年12月の勅令は現在も有効であり、中央選管は勅令に基づいて総選挙を実施すべく手続きを取って行く責務がある。」、「軍部が設置した平和秩序維持司令部(POMC)が招集した会議に出席したが、プラユット陸軍司令官は総選挙について多くは語らなかった。」という。
ネット上で「タクシン一族の不動産会社、SCアセットで武器が備蓄されているのが見つかり、これが戒厳令発令につながった。」などとする情報が飛び交っていることから、SCアセット社は、「根も葉もない噂であり、武器備蓄の事実はない。」との声明を明らかに。
ネット上の情報では、「SCアセットの入居するチナワット・タワーⅢで19日午後03時20分頃に火災が発生したことからビル内に備蓄されていた武器が見つかった。」とされている。だが、SCアセット社によれば、「火災発生の事実はない。」
また、ネット上には、「押収した武器を撮影した写真」とされる画像もあるが、「これは4年前の武器発見の写真。」とSCアセット社では説明。
政治対立の長期化はさまざまな産業に影響を及ぼしているが、今回の戒厳令発令については、「とりわけ観光業が打撃を受ける。」とする見方も出ている。だが、タイ観光評議会のポンティップ副会長は、「影響は一時的。」との見方を示した。さらに、「『軍の介入によって政治対立が早期に打開される。』といった声が強まっており、観光業にとっては戒厳令発令が好転の兆しと考えることもできる。」という。
05月21日(水)朝タイ字紙マティチョン(インターネット版)によると、タイ陸軍は、東北部とクルングテープ都を結ぶ幹線道路の複数カ所に検問所を設け、クルングテープに向かう車両の検査を行っている。路上検問を行っているのはナコンラーチャーシーマ県、コンケン県など。
東北部はタクシン・政府支持派の地盤。20日に戒厳令を発令し、実権を掌握した陸軍は、軍に反対する勢力が東北からクルングテープに武器を持ち込むことを警戒している模様。ニュースクリップの電話取材に対し陸軍は、検問の具体的な場所を明らかにしなかった。
タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)は、クルングテープ都西部タウィーワタナー区ウタヤーン通(アカサ通)で集会を続けている。午前07時時点で、参加者は3000人程度。
野党ステープ元副首相率いる反タクシン・反政府デモ隊も、都内のタイ首相府、国連事務所周辺を占拠し、集会を続けている。都内の企業、商店は、ほとんどが通常通り営業し、混乱は起きていない。
陸軍最高司令官のプラユット大将は、現在の政情不安に関連する各勢力の代表者を呼びかけ、和解に向けた妥協点を探る会合。都内ウィパワディランシット通の陸軍クラブに、政府派、反政府派、関係当局などの7組織・機関の代表が半ば強制的に招集され、政治危機打開策を協議。招集された人物は、政府代表:副首相ポンテープ(タクシン側近)法務省大臣チャイカセーム(元検察庁長官)、首相府大臣ワラーテープ、文部省副大臣サームサック、エネルギー省大臣ポンサック。上院代表:次期上院議長スラチャイ(上院副会長)、ウッタラディット県上院ピラサック、任命上院デートウドム(他確認中)。選挙管理委員会:委員会会長スッパチャイ、プラウィット、ブンソン、ソムチャイ、秘書官のプチョン。プア・タイ党代表:副党首ウィロート(元副首相)、幹事長プームタム(秘書官)、報道官プロムポン、法律担当シューサック、戦略委員会ワンムハマッド・ノーマター。タクシン派UDD代表:会長チャトポン、ナッタウット(副商務相)、ティダー、ウィラ、コーケーオ。民主党代表:党首アピシット(前首相)、副党首チュリン、副党首ニピット、副党首チャムニー、幹事長チュティ(秘書官)。反政府グループ代表:元副首相ステープ(元民主党幹事長)、サーティット(元民主党)、エーカナット(専門家)、ソムバット、ソムサック(元PAD)。これに、プラユット陸軍司令官、プラチン空軍司令官、ナロン海軍司令官、アドゥン警察長官らが加わった。なお、首相代行のニワットタムロン副首相兼商務相は出席しなかった。
会合は約2時間半(報道により約3時間)続いた。話し合いの具体的な内容は明らかになっていない。出席者は今回の会合を踏まえて、政治危機解決に向けたそれぞれの提案をまとめ、22日に再度、会合を開く予定。
初日の協議で絞り込まれた課題は、総選挙を改革前に実施できるか、改革後に選挙を行うべきか、暫定首相を任命できるか、デモを中止できるか、上院が政治対立解消の任に当たるべきかの5点。出席者はこれらの課題を持ち帰って話し合い、22日の協議で意見を表明する予定。
タクシン派と反タクシン派の軋轢によって国内政情不安が続く中、ついに軍が戒厳令を発動し事態の収拾に乗り出した。暫定政権が権限を持っていた治安維持権を剥奪し、軍を都内各所に展開し、独自の治安維持を開始。突然の動きにもかかわらず、反タクシン派グループを主導するステープは、以前から反タクシン派とされる軍に軍事介入を求めていたこともあり、歓迎ムード。タクシン派は、2006年に軍事クーデターによって政権をひっくり返されたり、2010年には都内中心部で行っていたタクシン派デモ隊を反タクシン派政権指示のもと、現陸軍司令官であるプラユット大将が強制排除を行った過去があり、反発・警戒している。
今回の政争で、反タクシン派は、議会下院選を妨害し、タクシン派内閣を総辞職させた上で、反タクシン派が優勢な上院で新政権を発足させるというシナリオを描いている。これに対し、政府・与党は、上院での首相選出は違憲だとして、速やかに下院選を実施すべきと主張。双方の溝は深く、特に、ステープ元副首相はこれまで、あらゆる交渉を拒否していた。
政治危機の当事者が顔を揃えたという意味で、今回の会合は画期的だ。交渉が決裂した場合、プラユット陸軍司令官は本格的なクーデターに移行して、憲法を停止し、暫定政権を樹立するとみられる。ただ、軍主導でことが進むという路線はすでに敷かれており、クーデターや憲法停止という外聞の悪い事態を避けつつ、落とし所を探る。
タクシン派インラック政権は昨年、タクシン派と反タクシン派の政治抗争で投獄、訴追された人に包括的な恩赦を与える恩赦法案の成立を図った。この法案が成立すると、汚職で実刑判決を受け国外逃亡中のタクシンの帰国が可能になるため、民主党は10月から、クルングテープ都で大規模な反タクシン・反政府デモを開始した。インラック首相は12月、「民意を問う。」として、下院を解散、総選挙に打って出たが、今年02月の下院選は、民主党が選挙をボイコットした上、民主党の地盤のクルングテープ、南部などで反政府デモ隊による投票妨害があり、全国375の選挙区のうち28の選挙区で投票が行えなかった。これを受け、憲法裁は03月、下院選を無効とする判決を下した。憲法裁はさらに、今月07日、官僚人事をめぐる権力乱用を理由に、インラック首相ら10閣僚を事実上解任。タクシン派政権は選挙管理内閣で権限が限定されている上、首相を失い、半ば漂流状態となっている。首相府はデモ隊に封鎖・占拠され、臨時首相府として使用してきた国防次官事務所からも今月20日に追い出された。
ステープ元副首相率いる反政府デモ隊は23~25日に都心のスクムビット通で予定していたデモを中止。
20日に戒厳令を布告し実権を掌握したタイ陸軍がデモ隊の移動を禁じたため。代わりに、デモ隊が占拠を続けているラチャダムヌン通から王宮前広場にかけての一帯で、23~25日の17~21時に集会を開く予定。
22日時点で反政府デモ隊が占拠しているのはラチャダムヌンノーク通の国連ビル前、首相府前、チェーンワタナ通の総合庁舎前。一方、政府支持派はクルングテープ都西部タウィーワタナー区ウタヤーン通(アカサ通)で集会を続けている。
治安当局は、中部サムットサコン県クラトゥムベーン郡のアパートで、銃、爆弾を押収し、ナタンラチャシーマー出身のチャンタナ・ワラコーンスクンキット♀(44)を逮捕。「政治抗争絡みの可能性がある。」と見て捜査を進めている。
押収したのはAK47自動小銃1丁と銃弾777発、ライフル1丁、グレネードランチャー1丁、擲弾(小型砲弾)9発、M3短機関銃2丁、手榴弾3個、手製爆弾8個、タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)の会員証2枚など。
20日夜、治安当局は、中部ロッブリー県ノーンムワン郡で元レンジャー部隊の隊員だったチャオワット・トングプアーク(54)宅を強制捜査、チャオワットを逮捕。AK47自動小銃1丁、銃弾1000発以上、爆発物などを押収。チャオワットは、武器弾薬は3年前に知り合ったクルングテープのナンタナ♀とチャトチャヤ♀のもので、「今年の04月頃に入手して保管して欲しいと依頼され、預かったものだ。」とと供述。
20日の戒厳令の発令のちょうど数時間後、陸軍第3軍管区の部隊が、ピサヌローク県ムアング郡からラマック郡に移動中のUDDの要人ブーンラート・ルアングティムを、ラムカムヘーン大学生殺害に関する逮捕状で拘束。
刑事裁判所は、ニュージーランド在住のティティナント・ケウチャントラノン♀(65)に不敬罪で禁錮1年、執行猶予3年の判決。「被告は2012年07月13日に憲法裁判所前のプミポン国王の肖像画に向かい侮辱的な仕種をした。」として、逮捕、勾留された。刑事裁は被告を有罪と認めたが、躁鬱病を患っていることから、執行猶予付きの判決。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、1990年から2005年にかけ、不敬罪の裁判は年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。
ネット上で、タクシン一族について「戒厳令発令に伴い、逮捕を恐れて国外に脱出した。」、「いつでも出国できるようタイ北部に留まっている。」などの情報が取りざたされていることについて、タクシン派プア・タイ党幹部のソムチャイ元首相は、「妻(タクシンの妹でプア・タイ党幹部のヤオワパ)もインラック前首相も国内にいる。」と述べ、「逃げ出した。」との見方を全面的に否定。
ソムチャイ元首相は、「北部チエンマイには行ったが、娘に会いに行っただけ。」と説明。また、インラックについても、居場所には言及しなかったが、「国内にいる。」と明言。
この他、ソムチャイによれば、「軍に監視されている事実もなく、自由に行動できている。」


53章  7者会談決裂 プラユット司令官が全権を掌握 <<2014年クーデター>>
05月22日(木)14時長引く政治対立を収拾すべく、プラユット陸軍司令官が7者(タクシン派政府、タクシン派与党プア・タイ党、タクシン派団体UDD、野党民主党、民主党系デモ隊PDRC、議会上院、選挙委員会)の代表を召集して開いた会議の2日目の話し合いが始まった。プラユット司令官は21日の会議で、「選挙日程、政治改革、暫定政権の権限など5項目に関し、相手の主張にどこまで譲歩できるか検討カする。」という「課題」を各派に課していた。課題の成果を持ち寄り、各派の妥協点・落としどころを探っていく計画だった。
先陣を切ったのはプア・タイ党のワン・ムハマド・ノー・マター元副首相。「我々にできることは、閣僚全員に休暇をとるよう勧めることくらいだ。」と発言。これに対し、政府代表のチャイカセーム法相は、「暫定政権からの辞職は法に抵触し、後から訴えられる恐れがある。辞職はできない。」と反対。民主党のアピシット党首は、「過去にウィサヌ元副首相が暫定政権から辞職した例を引き合いに出して問題はない。」と発言したが、チャイカセーム法相は譲らなかった。
続いてUDD初代会長のウィラカンが、「この話合いはお互いの宗教心をぶつけ合うようなもの。蓙と枕を用意しないと。陸軍司令官が腰まで水に浸かって洪水対策に乗り出したのに、水はどんどん増えてくる。司令官、あなたが一言、『選挙をやれ。』と声を上げば、それで済むのではないか?誰も司令官を責めたりしない。」UDDの長老の言葉に、司令官はやや気色ばんでこう切り返した。「宗教の話などここで持ち出さなくていい。泳ぎは達者なので、溺れる心配などしてもらわなくて結構。2010年の一件以来、私はそれなりに政治状況をきっちり観察してきた。当時は絶対的な権限がなかったが今は違う。私に楯突こうなどと思わない方がいい。60億Bの話もただの噂(タクシンがプラユット司令官の中立を買うために60億Bを贈賄したという噂)だ。1Bたりとももらっていない。」UDDのチャトポン会長が「今の状況ではどうしたって選挙はできない。選挙が先か改革が先か、国民投票に委ねるしかないのではないか。」と続けた。
さらに議論がしばらく続いた後、PDRC代表のステープ元副首相(元民主党幹事長)がこう言い出した。「これは政党の問題ではなく、我々PDRCとUDDの問題だ。当事者同士で話をつけよう。」アピシット党首は政府を加えて三者で協議をするよう進言したが、プラユット司令官は両派の直談判を認め、別室で協議が行われることになった。進言を無視されたアピシット党首が「あとは両派に任せて残りの者は解散してもいいのではないか。」と提案したが、「結論が出るまではみなで話し合いを続ける。」と却下された。
待つこと約30分。プラユット司令官、UDD、PDRCの三者が会議室に戻り、司令官が協議の結果を伝えようとしたそのとき、ステープ元副首相が「ちょっと。」と立ち上がり、プラユットとチャトポン会長に何事かを耳打ちした。プラユットはこう言った。「何でもない。トイレが使えないという話をしただけだ。」プラユットはさらに政府代表団の方に向き直り、チャイカセーム法相にこう尋ねた。「いずれにせよ、辞職はできないということだな?」、「辞職はできない。」「ならば仕方がない。選挙委はもう選挙の話をする必要はないし、上院も憲法7条(憲法規定外の事態への対応)の議論をする必要はなかろう。」
プラユット陸軍司令官は、政権側とデモ隊のリーダーらを集め陸軍クラブで2日目の会合を開いたが、反タクシン派が要求する内閣総辞職を違憲として政府が拒否し交渉が決裂。
16時32分(報道に
より16時20分頃)
チャイカセーム法相に全ての閣僚の辞任を迫り、それをチャイカセーム法相が拒否したところ、プラユット司令官は椅子から立ち上がると、大きな声でこう言い放った。「申し訳ないが、これより私が全権を掌握させてもらう。」、「政府が譲歩しない、総辞職しないなら、全権を掌握するだけだ。」と述べ、話し合いを打ち切り、プラユット司令官がクーデターを宣言したそのとき、一部の参加者は冗談だと思ったようだ。プラユット司令官が「全員ここに残るように。」と言い残して会議室を出て行った後で、事の重大さを悟ったようだ。
しばらくし、完全武装した兵士が一気に会議室に雪崩込んできた。参加者全員がグループごとに拘束された。興味深いのは、プア・タイ党のプロームポン報道官がUDDと一緒に拘束されたことと、ウィラカンが笑みを浮かべつつも、愛用のステッキをうっかり椅子のところに置き忘れてしまったことだろう。
「だから言ったじゃないか。」と、アピシット党首がワラテープ首相府相とチャチャート運輸相にこう言うと、チャチャートは青ざめた顔で「だから何なんだ?今さらそんなこと言ってどうなる。」と言い返した。軍は民主党とプアタイのメンバーを同じ部屋に拘束した。選挙委員と上院議員はすぐに解放された。
軍は20日に戒厳令を発令し、実権を掌握。21、22日と、反政府デモ隊、野党民主党、閣僚、与党プア・タイ党などの代表を集め、政治危機の解決策を探っていた。
憲法裁判所に失職の判決を下されたインラック前首相は所在不明のままで、暫定政権のニワットタムロン首相代行も失踪し、この会議に参加しなかった。
テレビ、ラジオで、プラユット司令官「迅速に平時の状況を回復して社会を平穏に戻すとともに、政治・経済・社会構造を改革するため、軍が全権を掌握する必要がある。」と宣言。「外交には影響しない。」と述べた。全権掌握を宣言した後、テレビ局、ラジオ局を軍の管轄下に置き、タイの地上波テレビ全局とNHK、BBC、CNNなどを含むほぼ全ての衛星テレビ局は通常放送を停止し、静止画面に音楽が流れている。交渉参加者のうち、上院議員、選挙管理委員は退出を許されたが、残りは全員、軍が身柄を拘束した。
クーデターで全権を掌握した軍部は、「王室に関する条項を除き憲法を一時停止する。」と発表。これにより、選挙管理内閣は消滅。上院は現在の人員で職務を継続する。また、裁判所、独立機関、憲法規定に準拠する機関もそのまま存続し、職務を永続する。
タイは今回も、クーデターに行き着いた。クーデターは1990年代以降だけで3度目。

国民投票で選ばれたはずのタクシン派政権が、各方面からの圧力が強まっている。
2011年の下院総選挙でタクシン派プア・タイ党が下院500議席の過半数を取得し、首相に任命されたタクシンの妹インラック首相だが、先日憲法裁判所による判決で失職。「2011年に国家安全保障局のタウィン事務局長を異動させたことについて職権乱用にあたる。」との理由だが、憲法裁判所などの司法はこれまで事あるごとに、タクシン派には厳しすぎる判決を下しタクシン派政権を崩壊させている。
2008年には当時のタクシン派で首相だったサマックに対して、「テレビ番組に出演して報酬を得たことが大臣の副業規定に抵触する。」として、同様に失職。その後を引き継いだソムチャイも、「2007年時の下院総選挙で不正があった。」として与党幹部の参政権を5年間停止する判決を下し、タクシン派政権丸ごと崩壊。全て憲法裁判所によるものだったことから、司法クーデターとも呼ばれている。
また突然戒厳令を発令し治安維持権を現暫定政権から剥奪し、仲介役に乗り出してきた陸軍も現時点で中立を保っているようにもみえるが、和解案として提示しているのは、現暫定政権を解散し新たな暫定政権を樹立後に選挙を行うというもので、反タクシン派が訴えているものに近い。これまでに2006年の軍事クーデター、2010年のタクシン派デモ隊への強制排除などを見る限り、反タクシン派と見られてもおかしい話ではなく、タクシン派は警戒している。この他反タクシン派が多いとされる上院議会でも、一部議員から暫定政権に解散を求めたり、上院から新たな首相の選出する動きも見られ、徐々に包囲網は狭まっており、タクシン派の選択肢は限られてきている。前年末に反政府デモの活動が高まって以来、28人が死亡、700人が負傷している。


在タイ日本国大使館から注意喚起。
国軍による全権掌握宣言(クーデタ)に伴う注意喚起(2014年5月22日現在)

 平和・治安維持指令部(POMC)は,本日午後4時30分をもって,タイ国内全土において統治権を掌握した旨を宣言しました。
今後,このような状況下では,治安維持のために様々な規制措置が執られ,在留邦人の皆様生活にも影響が及ぶ措置執られる可能性もあります
 既に,大使館はタイ政府関係当局へ邦人の安全確保等申し入れを行っておりますが,不要急の外出は可能な限り控えて,冷静に行動し大使館からのお知らせ等関連情報には十分注意をお願いします。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8502,696-3002
FAX :(66-2)207-8511
読点を付け忘れたり、大使館は焦っているようだ。
タイ軍のウィンタイ報道官はテレビ放送で、「プラユット司令官が率いる軍事評議会がタイを暫定統治する。」と述べた。また、「憲法を停止した。」と表明。ただ、議会の上院と全ての裁判所は引き続き機能する。 これに先立ち、プラユット司令官は全ての勢力を集めた会議を開いていたが、反政府デモを続ける人民民主改革委員会(PDRC)のステープ元副首相は、会議の場から兵士により連れ出されていた。
ウィンタイ報道官はまた、全てのテレビおよびラジオ局に通常の放送を中止し、陸軍に関連するものだけ放映するよう命じた。
国家平和秩序維持評議会(NPOMC)は第11告知で、「君主制を規定した第2章を除き憲法を廃止する。」と明らかにした。これは、憲法を一時停止するとした第5告知を改める内容となっている。また、NPOMCは、「これまで国政を担ってきた選挙管理内閣を廃止したものの、上院、裁判所、独立機関は存続・機能する。」としている。
タイではこれまでに何度となく国軍による全権掌握が起きているが、過去に上院、裁判所、独立機関を機能停止としなかった例がない。
クーデターで全権を掌握したタイ軍は、外出禁止令を出した。22日午後10時から23日午前05時まで(報道により解除時期は未定)。タイ全土が対象。
ただし、タイに入国もしくはタイを出国する人、夜間勤務が必要な病院・工場勤務者、運送関係者、病人などを除く。また、火急な用事で外出が必要な場合には軍の許可を得ることで夜間外出が可能となる。
クーデターで全権を掌握したタイ軍が22日午後10時から23日午前05時まで外出禁止令を出したことを受け、高架電車BTSとエアポートリンク、地下鉄MRTは22日午後09時で、首都圏の路線バスは午後11時で、運行を停止する。
また、「軍によって、午後09時からネット回線が切断される。」との未確認情報も出ている。「軍がネット回線を切断する。」という情報は誤報であることがわかった。

在タイ日本国大使館から注意喚起。
国軍による夜間外出禁止令に伴う注意喚起(2014年5月22日現在)

 平和・治安維持指令部(POMC)は,本日より,午後10時~朝5時までの間,外出禁止令をタイ国全土に発出しました。なお,上記委員会によると「空港へ向かう人については,この限りではありませんが,当局より問われる場合はその旨を説明する必要がある。」由です。(つきましては,外出禁止時間中に空港に向かわれる方は,当局よりの照会に備えてE-チケット,パスポート等を提示できるようお勧めします)
 今後も,在留邦人の皆様の生活に影響が及ぶ措置が執られる可能性もありますので,大使館からのお知らせ等関連情報には十分注意をお願いします。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8502,696-3002
FAX :(66-2)207-8511
クーデターで全権を掌握した軍部は、「全ての学校を23~25日、休校する。」と発表。
タイ軍は22日午後10時から23日午前05時までの夜間外出禁止令の適用外を発表。夜間外出禁止令の適用外となるのは、出入国者、職務上外出が必要な工場、航空会社、病院などの従業員、公務員、冷凍・冷蔵品、賞味期限がある物品の物流・輸出入業者、病人の搬送。
クーデターで全権を掌握したタイ軍部は、5人以上による政治集会を禁止した。違反した場合は禁錮1年以内もしくは罰金2万B以下もしくは双方を科す。
軍部は5人以上の政治集会を禁止するとともに、デモ隊に即時帰省を命じ、70台のバスを用意。
人民民主改革委員会(PDRC)のターウォン幹部(元民主党議員)は、軍に対してラチャダムヌン通で抗議集会を展開中の反政府デモ参加者全員を22日中に帰宅させると約束。しかし、暫定内閣の人選がPDRCの理念に反するものであれば、内部で対応を協議する。」と牽制。
一方、タクシン派・反独裁民主義同盟(UDD)の集会場では急襲した兵士が舞台を制圧。ウーェンなど幹部の身柄を拘束するとともに、参加者に即時帰省を命じた。
タクシン派の反独裁民主主義同盟(UDD)も反タクシン派の人民民主改革委員会(PDRC)も20日の戒厳令発令後、「集会を続ける。」と宣言していたが、軍による全権掌握に伴い、集会に参加していた人々がリーダーの指示や軍の命令で帰宅。
都内タウィワタナ区のUDD集会場では、兵士らが幹部の身柄を拘束し、散会を命じた。また、帰宅する人々のために軍からはバスが提供された。
スワンナプームなど国内の主要空港を管理・運営するタイ空港社(AOT)によれば、国軍による全権掌握に伴い夜間外出禁止令が発令されたが、空港は通常通り営業。タイ空港社首脳は、「空港当局は国軍からいかなる命令も受けていない。空港はいつもと同じようにオープンしており、これまで通りに利用できる」と説明。
19時頃タイ字紙マティチョン(電子版)によると、タイ北部チエンマイ市のチャーングプアック門周辺に赤服を着たタクシン支持派の市民約100人が集まり、タクシン派政権を打倒した軍事クーデターを非難し、民主主義の回復を訴えた。
約1時間後、武装した兵士約30人が現場に到着し、赤服に解散するよう指示。赤服はこれを拒否し、現場に居続けたが、軍部の夜間外出禁止令に従い、22時頃、散会。
チエンマイはタクシン、妹のインラック前首相らの地盤。
チャーングプアック門界隈には、その昔チエンマイ系のインターネットで有名な板垣さんも住んでいたトロピカーナやDDパークといった安アパートがあり、日本人の長期滞在者が多い。三鳥やぐでんぐでんなど手頃な寿司屋や飲み屋もある。
ケリー米国務長官は、タイの軍事クーデターについて、「タイ軍の決定に失望している。この軍事クーデターに正当性はない。」と厳しく批判。早急に選挙を実施し、民主主義と文民政権に復帰するよう促した。また、「政党幹部らが拘束されている。」という情報やテレビ、ラジオの閉鎖に懸念を表明。「この行為は米タイ関係、特にタイ軍との関係に悪影響を及ぼすだろう。」と述べ、軍事支援の見直しを表明。米国はタイの2006年のクーデターでも軍事支援を停止している。
岸田文雄外相は、タイで起きた軍事クーデターについて、「遺憾。」であり、「民主的な政治体制が速やかに回復されることを強く求める。」とした談話を出した。外務省は、タイの政変を受け、石川南部アジア部長を長とする外務省連絡室を立ち上げ、「現地の情勢把握、邦人の安全確保に務める。」とか。
欧州連合(EU)も「重大な関心を持って事態の推移を注視している。」、「早急に民主主義のプロセスに戻ることが極めて重要。」とする声明。
タクシンからコメントは得られていないが、タクシン派の活動家マハウォン・カワングは、「当面はこの日の動きを精査する。」と、「直ちにクルングテープで反対集会を開く予定はない。」
クーデターで全権を掌握したタイ軍部はタクシンの妹のインラック前首相、義弟のソムチャーイ元首相らタクシン派幹部23人に対し、23日午前10時にタイ陸軍の施設に出頭するよう命令。出頭命令を受けたのはこのほかに、タクシンの妹、インラックの姉で、ソムチャーイ元首相の妻のヤオワパー元下院議員、タクシンの従兄弟のチャイヤシット元陸軍司令官、タクシンの法律顧問であるノパドン元外相、タクシンの参謀役で、インラック前首相の政策顧問を務めたパンサック、ポーキン元国会議長ら。
軍部はすでに、タクシン派政権の閣僚数人の身柄を拘束したとみられ、首相代行のニワットタムロン副首相兼商務相ら閣僚18人に出頭を命じている。
タイ陸軍のプラユット司令官は、クーデターで全権を掌握し、憲法を一時停止、タクシン派政権を解任。一方、選挙委員会など憲法で規定された独立組織、裁判所、上院といった反タクシン派寄りの組織は存続させた。
軍は反タクシン派の妨害などで実施が遅れている議会下院選を成功させ、民主主義を軌道に戻すという選択肢もあったが、政権追放を掲げる反タクシン派についた。今後、非民選の暫定政権を設立し、政治改革案のとりまとめを図るとみられる。将来的には、民政移管のため、議会下院選を実施すると見られるが、時期や選挙方法は不明。今回の政変を演出した反タクシン派の野党民主党は2001年以降、下院選でタクシン派に4連敗中で、政治改革では、タクシン派の復活を封じる下院改革、選挙制度改革が鍵。
反政府・反タクシン派デモを指揮した民主党のステープ元副首相はデモが本格化した昨年11、12月から、軍にクーデターによる政権追放を呼びかけていた。タクシン派と反タクシン派の調停に最近乗り出したアピシット民主党党首(前首相)は下院選の延期と上院による暫定内閣の設立、政治・選挙制度改革を提案しており、今回の流れはほぼ筋書き通りと言える。
政権を失ったタクシン派にとって、反撃の手立ては反独裁民主主義同盟(UDD、赤服)による大規模な抗議集会ぐらいしかない。実際、UDD幹部の一部は、「クーデターが起きた場合、内戦も辞さない。」として、独自の民兵組織の創設に動いていた。こうした組織が実際にどう出るかはタクシン次第と見られている。
東部パタヤ市では、市庁舎前に市民約100人が集まり、クーデターに抗議。
深夜タイのクーデターで全権を掌握した国家平和秩序維持評議会(陸海空軍と警察で構成)は、「プラユット議長(陸軍司令官)が当面首相代行を務める。」と発表。新たに暫定首相を任命するまでの措置と見られる。閣僚は、各省の事務次官が代行する。
国家平和秩序維持評議会は、インラック前首相らタクシンの一族と側近政治家23人に、23日午前10時までにクルングテープの軍施設へ出頭するよう命じた。首相代行だったニワットタムロンら選挙管理内閣の18閣僚、反政府デモ隊とタクシン派の反独裁民主主義同盟(UDD、赤服)メンバー114人も出頭を命じられている。陸軍施設での協議に出席していた閣僚や与野党指導者、デモ隊、赤服軍団の指導者らが拘束された。インラックらは、クーデターでタクシン派の政権が崩壊し軍主導の体制が発足したことについて説明を受け、抵抗する意思がないか確認を迫られると見られる。一時身柄を拘束される可能性もある。
UDDが数千人規模の政治集会を行っていたクルングテープ都西部には軍部隊を送り込み、集会を強制的に解散させた。この際、「現場で銃声がした。」という報道がある。都内のラチャダムヌン通一帯とチェーンワタナ通の総合庁舎前の反政府・反タクシン派集会はクーデター後、散会した。
首相代行のニワットタムロン副首相兼商務相ら閣僚18人は軍への出頭を命じられた。武闘派として知られるチャルーム前労相とその息子は軍に身柄を拘束された模様。
評議会は午後には、省庁次官や県知事、政府系企業や経済団体トップを招いて今後の方針を説明する。プラユットも午後、各国外交団と会見し、クーデターの経緯を説明する。
05月23日(金)未明22日に軍が拘束した与野党の政治家のうち、反タクシン派の野党民主党の代表団はアピシット党首(前首相)ら全員が、タクシン派与党プア・タイ党幹部と前閣僚は一部が、解放された。
ステープ元副首相ら民主党前下院議員がほとんどを占める反政府・反タクシン派デモ隊幹部は23日も拘束されたままと見られる。
タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長、ナタウット前副商務相らUDD幹部については、中部ロッブリー県の陸軍基地に移送されたという噂がある。
タイ軍によるクーデターから一夜明けた23日、クルングテープではいつも通りの出勤風景がみられ、大きな混乱は生じていない。高架電車BTSとエアポートリンク、地下鉄MRT、路線バス、首都圏の2空港、百貨店などはいずれも通常通り営業。学校は軍の命令で全ての学校と大学は休校となった。
教育テレビを除くすべてのテレビ局は23日朝の時点で静止画像と音楽の放送を続け、通常の番組に戻っていない。
プラユット陸軍総司令官は、選挙実施よりも改革を優先させる方針を明らかにし、プラユット司令官はまた、数百人の公務員を招集し、「この国に秩序をもたらすために協力してほしい。」と呼びかけた。「選挙の前に経済、社会および政治の改革が必要だ。平和的な状況になれば、我々は人々に全権を返す用意ができているプラユット司令官はまた、数百人の公務員を招集し、「この国に秩序をもたらすために協力してほしい」と呼びかけた。「選挙の前に経済、社会および政治の改革が必要だ。平和的な状況になれば、われわれは人々に全権を返す用意ができている」と述べた。」と述べた。軍は、インラックと政治家や活動家を含む154人に対し、出国を禁じた。
10時現在、クーデターで全権を掌握したタイの「国家平和秩序維持評議会」(議長・プラユット陸軍司令官)から出頭を命じられていたチャルーム前労相、ニワットタムロン前副首相兼商務相らタクシン派を中心とする政治家、政治活動家らタクシン側近が続々と出頭している。インラックは出頭に応じる意向だが、姿を見せていない。
タクシンの妹のインラック前首相は姉のヤオワパー前下院議員、義兄のソムチャイ元首相と一緒に、首都クルングテープの陸軍施設に出頭。インラックらタクシン一族をめぐっては「国外に逃亡した。」との臆測もあった。
評議会は、これまでに出頭を命じたインラックらタクシン派の政治家や軍人を含む計155人について、出頭に応じない場合には「逮捕し訴追する。」と警告。評議会の許可なしに出国することも禁止した。
一方、評議会は各国大使らに対し、「23日午後にクルングテープの陸軍施設で開く会合への出席を招請する。」と発表。「タイと同盟諸国との良好な関係を維持し、評議会の活動と努力に関して正しい理解を醸成するため。」と説明。
陸軍は、都内で集会を続けていたタクシン派デモ隊と反タクシン派デモ隊双方を、強制的に解散させた。
タイ地元紙によると、軍による強制解散は昨夜から開始し、地方からデモに参加していた市民に対しては、早朝バスターミナルに送るなどの対応をしたようだ。その際、特に抵抗は見られなかったようだ。野党民主党のステープ元副首相が指揮した反政府・反タクシン派デモ隊は22日、軍によるクーデターでタクシン派政権が崩壊したことを受け、拠点とした都内のラチャダムヌン通り一帯などから撤収。
参加者の多くは民主党の地盤であるタイ南部から動員された人々で、タイ国鉄フアラムポーン駅で故郷への列車を待つ姿が見られた。

デモ隊が去った陸軍本部前を掃除する兵士(ラチャダムヌンノーク通)→ 

正午インラックは軍施設に到着。プラユット司令官はその場にいたが、面会したかは確認が取れていない。プラユットを乗せた乗用車など9台がその場を離れた際に、インラックも同行したかは明らかではない。失脚した政権の閣僚の側近は、「閣僚を含む複数人が拘束された。」と述べた。
インラックの元側近は、「インラックが数時間にわたり電話での連絡ができない状態だった。」と明らかに。
軍は全ての学校と大学の閉鎖を命じ、「23日から25日まで全国の教育機関を休校にする。」と発表。なお、インターネットが遮断されるとの憶測が流れているが、これについては、公式に否定。
首都は落ち着いた状態で、通常の活動が行われているようだ。ただ、複数の目撃証言やソーシャルメディアに掲載された写真によると、クルングテープとチエンマイでは、小規模な学生の集団がクーデターを非難し、民主主義を支持するプラカードを掲げていた。
数十人がタマサート大学から民主記念塔に行進し、クーデターに抗議。クルングテープ芸術文化センター前でもクーデターに反対する市民数十人が集まった。
在チエンマイ日本国総領事館から注意喚起。
タイ北部治安情勢(2014年5月23日現在)

1.22日の国軍による全権掌握宣言(クーデター)以降,国軍による治安維持が行われておりますが,今後,クーデターに反発する団体等による抗議活動が行われることが懸念されます。
2.つきましては,北部タイに渡航・滞在されている方は,報道等からの最新情報の入手に努めるとともに,特にチェンマイ市内チャーンプアック門広場,ターペー門広場は,従来からデモ・集会が行われている広場であり,今後共,同様の動きが出てくることが予想されますので,それらの場所周辺に近づく場合は,十分注意して下さい。

(問い合わせ先)
○在チェンマイ日本国総領事館
電話:(66-53) 203367
FAX:(66-53) 203373
クーデターによる暫定政権の首相に就任するという噂があったキティポン前法務次官は、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、「タイ国外にいて、暫定首相就任の打診は受けていない。」と書き込んだ。クーデターについては、治安回復と政治改革が必要で、「プラユット陸軍司令官が介入したのは喜ばしいことだ。」と支持。
キティポン前次官は在任中の今年04月、反政府・反タクシン派デモを指揮する民主党のステープ元副首相と会談。暫定政権の設立、政治改革の実施など、反タクシン派に同調する姿勢を明確にし、タクシン派政権により、首相顧問に左遷された。
タクシン派デモ隊と反タクシン派デモ隊の幹部は、引き続き陸軍によって身柄を拘束されている模様。タイ地元紙によると、拘束されているのは、タクシン派デモ隊を率いるチャトポン、ナッタウット、ティダー、ウィラカーン、コーケーオおよび、反タクシン派を率いるステープ、サーティット、エーカナット、ソムバット、ソムサック。外部と連絡を取ることもできない。
在タイ日本国大使館から注意喚起。
夜間外出禁止令下におけるスワンナプーム空港利用について(2014年5月23日現在)

1 国家平和治安維持委員会(NPOMC)は,外出禁止令に関して、タイから出入国する者は対象から除外するとしています(つきましては,外出禁止時間中に空港に向かわれる方は,当局よりの照会に備えてE-チケット,パスポート等を提示できるようお勧めします)。
2 上記に関連し、AOT(空港公社)は、夜間に到着客を迎えに空港に行く、あるいは空港へ出発客を送って夜間にバンコクに戻る車を対象に、空港2階3番ドア、あるいは4階3番・5番ドアのところで申し出ることで、必要書類を発行するとしています(但し,これはAOT独自のサービスで必ずしもNPOMCと調整の上でのサービスではないと思われます)。
詳細については下記AOT(空港公社)ホームページを参照ください。
http://suvarnabhumiairport.com/en

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8502,696-3002
FAX :(66-2)207-8511
大手百貨店のセントラルとザ・モールは23日、通常21時、22時の閉店時間を20時に前倒しする。クーデターで全権を掌握した軍部が22日に続き、23日も夜間外出禁止令を出す可能性があるためと見られる。
セントラル・グループが運営するのは、セントラル、ロビンソン、ZEN、セントラルフードホール、トップスなどのデパートやスーパーなど。ただし、ファミリマートのみ、営業時間を22時までとなる。
22日のクーデターで全権を掌握したタイ軍は夜間外出禁止令を解除しておらず、23日も22時から翌日05時まで外出が禁止される見通し。夜間外出禁止令の適用外となるとのは、出入国者、職務上外出が必要な工場、航空会社、病院などの従業員、公務員、冷凍・冷蔵品、賞味期限がある物品の物流・輸出入業者病人の搬送。
高架電車BTSとエアポートリンク、地下鉄MRTは21時で、首都圏の路線バスは23時で運行を終了する予定。運行終了の1時間前には乗車するよう呼びかけている。
クーデターで権力を掌握したタイ軍部は、プラチン空軍司令官を財政、商業、工業などを受け持つ経済担当相に起用。プラユット陸軍司令官が指名。
国軍関係筋によれば、国軍による全権掌握に伴い国政を担当することになった、プラユット陸軍司令官を長とする国家平和秩序維持評議会(NPOMC)が、総選挙で新政権が誕生するまで存続する見通し。
同筋によれば、「プラユット司令官は、国軍の全権掌握で上院が解散とはなっていないため、上院が暫定首相を任命することを望んでいる。」、「上院は、プラユット司令官を暫定首相に任命する考えというが、プラユット司令官は拒否している。このため、プラユット司令官は、総選挙までNPOMCを存続させる心づもりのようだ。」としている。
なお、新首相候補として、キティポン法務事務次官、プラサン中銀総裁の名前も挙がっているが、現時点で両者ともこれを拒否。
タクシン派政権を打倒した22日のクーデターについて、タクシンの顧問のカナダ人弁護士ロバート・アムステルダムは、「タクシンが亡命政府の設立を検討中で、複数の外国政府が亡命政府を受け入れる意向を示した。」と述べた。
16時からNHKは、ラジオ国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」日本語放送(短波放送)のタイ向け24時間臨時送信を開始。タイで22日に起きたクーデターにともない、通常のテレビ放送が中止され、タイのテレビ局を通じて放送してきた「NHKワールドTV」(英語)と「NHKワールド・プレミアム」(日本語)が22日夜から視聴できなくなっているためで、「ラジオ第1」を同時放送するほか、国際放送独自の日本語ニュースや外務省の渡航情報を中心とした「海外安全情報」でタイ関連情報を伝える。
茨城県古河市のKDDI八俣送信所からタイに向けて送信する。短波放送は日本から直接送信できるため、現地当局の規制を受けにくい。タイ向け臨時送信の周波数や変更・終了については、在タイ日本大使館を通じて在留邦人に情報提供するほか、NHKワールドの日本語ホームページなどで知らせる。
小生の掲示板で批判しているように、現在海外でのNHKのTVの日本語放送は有料だし、番組も反日色が強い。金を取っているのに視聴できないという苦情のためのアリバイ作りだろう。会長が替わってほんの僅かの改善の兆しなのか?短波ラジオを持ってもいないし、反日放送協会NHKなど全く信用していない。
18時クーデターで放送が中止されていたタイのテレビ、ラジオの主要局が通常放送を再開。放送を再開したのは地上波テレビ6局、有料テレビ最大手トゥルービジョンズなど。クーデターで全権を掌握した軍が放送再開を許可した。現地に電話を掛けたが通常放送には戻っていない。誤報のようだ。テレビ放送は軍が管理する番組に切り替わっていた。
05月24日(土)クーデターで全権を掌握したタイ軍部は24日までに、命令を受け出頭したインラック前首相ら政治家、政治活動家など百数十人を拘束。出頭命令を受けたのはほとんどがタクシン派で、このうちタクシン派政党プア・タイ党党首のチャルポン前内相とチャトロン前教育相はインターネットの交流サイト、フェイスブックに出頭拒否を表明。
軍は「出頭を拒否した場合は逮捕する。」としている。
クーデターの主導者らに近い人物の話として、「プラユット陸軍司令官が当面首相の役割を担う位置に留まる。」と見られる。
軍部の報道担当者ウィンタイは、国家平和秩序維持評議会が、新たに35人に出頭を命じたことを明らかに。
クーデターでタイの実権を握ったプラユット陸軍司令官(60)は、柔らかな物腰の謹厳な軍人と評される一方、短気な一面もあるとされる。陸軍内の最有力派閥に属 し、2010年10月に軍の最高実力者の地位に上り詰めた。「反王室的傾向が指摘されるタクシン派に不信感を抱いている。」といわれる。

* プラユット・チャンオーチャー
1954年生。士官学校を卒業し、米国留学経験がある。タクシンを追放した2006年のクーデター時にはクルングテープなどを管轄する軍管区の副司令官。同管区司令官に昇任後、陸軍参謀長、陸軍副司令官とエリートコースを歩んだ。約90人の死者を出した2010年のタクシン派デモ隊強制排除の際は陸軍副司令官。
2013年からタクシン派、反タクシン派による政治対立が激化する中、軍の介入を求める声に「中立」を強調。記者からクーデターの可能性について質問が繰り返される度に否定。「二度とその質問はするな。」と声を荒らげたことも。熟慮してから意思決定するタイプ。20日の戒厳令布告に当たっても、何日も深夜まで検討を重ねたという。2014年09月に退官予定だが、戒厳令布告後に「事態収拾まで司令官を続ける。」と宣言。
タイ軍によるクーデターを受け、各地で小規模な抗議デモが発生。パホンヨーティン通の映画館メジャー・ラチャヨーティン前に約100人が集まり、解散を求める兵士数十人と睨み合った。
東北部コンケン県では24日までに、タクシン派約20人が逮捕された。
クーデターで放送が中止されたタイのテレビ、ラジオは午前にケーブルテレビなどの放送が再開。有料テレビ放送トゥルービジョンズのCNN、BBCなどのニュースチャンネルと一部の衛星チャンネルなどは放送中止が続いている。トゥルービジョンズのNHKのチャンネルは午前に放送が再開されたが、午後、相撲中継の途中で再度放送中止。
夜間外出禁止令、24日も継続。
クーデター後に設立された治安維持の最高意思決定機関、国家平和治安維持評議会(NPOMC)は、「上院を解散する。」と発表。これにより下院、上院の認可が必要とされる案件については、NPOMCの長であるプラユット陸軍司令官が認可権を行使することになる。
上院では独自に暫定首相の準備を進めていたが、これで新首相任命は軍部に委ねられることになった。プラユット陸軍司令官を議長とする国家平和秩序評議会(NCPO)は、上院議会を停止させ、全上院議員を解任。
タクシン派と見られていたアドゥン警察庁長官、ニパット国防事務次官、タリット法務省特別捜査局(DSI)局長などを解任。タリットは、民主党など反タクシン勢力の責任を追及する姿勢が明白で、反タクシン派から「タクシン派・インラック政権の肩持っている。」などと厳しい批判を浴びていた。
なお、クーデター直後に設置された、国政などを担当する機関は、国家平和秩序維持評議会(NPOMC)と呼ばれていたが、24日に名称が国家平和秩序評議会(NCPO)に改められた。
タイは上院・下院の2院制からなり、下院議会は昨年12月に解散しており、今回上院が停止したことで、NCPOが完全に立法権を掌握。上院議員の定数は150、このうち77議席が公選制、73議席が任命制で選出されている。先日上院議員の一部が暫定首相を選出しようとする動きを見せるなど、反タクシン派議員が多いことで知られている。そのためこの解散は、タクシン派への配慮との見方も強い。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、タクシン派の政府高官や警察幹部の大量異動を発表。タクシン派の国営企業役員もそのポストから外される可能性が高い。関係筋によれば、~国営企業のトップや役員には、タクシン派・プア・タイ党と太いつながりのある者が少なくない。」
東北部コンケン県で23日に武闘派のタクシン支持者とされる21人が逮捕され、手榴弾3個や300発を超える実弾などが押収されたことなどを受けて、陸軍は、武器や爆発物の調達・所持などに関与した者を厳罰に処す方針を明らかに。
国軍による全権掌握に伴い、ナコンナヨック県、都内のタクシン支持団体・反独裁民主主義同盟(UDD)の集会場近く、ロッブリー県、サムットサコン県で武器が見つかっているが、陸軍は、コンケン県の件も含め「全てが繋がっている。」としており、「タクシン派が武装闘争という形で反撃に出る恐れがある。」と見ている。
関係筋によれば、国家平和秩序評議会(NCPO)が、インラック政権が開始した米担保融資制度でまだ米代金を受け取っていない農民に代金を支払うよう命じたことから、財務省は支払いに充てる約800億Bを1ケ月以内に借り入れる予定。この資金のうち、50億Bは農業農協銀行から、残りは政府保証債の発行で調達することになっている。
なお、農民の多くはタクシン派とされるが、米代金の支払いが滞っていたことから、苦境に追い込まれた大勢の農民がインラック政権(当時)を厳しく批判し、幹線道路を封鎖するなどの実力行使に出ていた。
05月25日(日)午後クルングテープ都心のショッピングセンター、アマリンプラザ前で、軍事クーデターに抗議する集会があり、数百人が「(軍事政権)出て行け!」と連呼。現場はショッピング街のラーチャプラソン交差点近く。治安当局は兵士、警官数百人を周辺に配置する一方、現場に近い高架電車BTSチッロム駅とプルンジット駅を閉鎖。ラマ1世通りの上り車線も現場区間を通行止めにした。
BTS駅と道路の封鎖は午後3時過ぎに解除された。
都心のショッピングセンター、アマリンプラザ前に集結した軍事政権に反対するデモ隊数百人は午後3時ごろ、戦勝記念塔に移動。
治安当局は戦勝記念塔周辺の道路を一部閉鎖。
22日に発令した夜間外出禁止令を25日も解除せず、25日も午後10時から翌日午前05時まで外出が禁止される見通し。CNN、BBC、NHKなどのタイ国内でのテレビ放送禁止を続けている。
在タイ日本国大使館から注意喚起。
タイ国内治安情勢(2014年5月25日現在)

1 報道等によれば,24日,戦勝記念塔付近,パトゥムワン交差点(マーブンクロンセンター)付近などバンコク都内の複数箇所にて,クーデターに反対するデモ集会が発生し,デモ隊と治安当局が対峙,逮捕者が出ました。
2 大使館としましても,引き続き館員を派遣するなど情勢把握に努めていますが,デモがいずれの場所で行われるかは予測がつきません。今後,反クーデター・デモ等に遭遇した場合には,不測の事態が発生する可能性も排除されませんので,不用意に近づかないようにご注意下さい。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8502,696-3002
FAX :(66-2)207-8511
国軍が設置した統治機構、国家平和秩序評議会(NCPO)は、不敬な言動や書き込み、治安関連法違反、NCPOの発した命令の無視を厳しく取り締まる方針を明らかに。また、陸軍幹部は、「プラユット陸軍司令官をNCPO議長に任命する勅命が26日にも下される予定。」と明らかに。
タクシンは、短文投稿サイト、ツイッターに「選挙で選ばれた首相経験者として、クーデターがまた起きたのは悲しいことだ。」などと書き込んだが、亡命政権については言及しなかった。
タクシンは2008年に汚職で実刑判決を受け、以来、タイ国外で事実上の亡命生活を送っている。
一方、反タクシン派民主党のアピシット党首(元首相)はツイッターに「民主主義を守れなかったことを謝罪します。」とコメント。
英紙テレグラフなどによると、プミポン国王(86)の長男のワチラロンコン王太子(61)は先週から、随行員約30人とともに英国のホテルに滞在中。
軍事政権は、バンコク日本人商工会議所の代表を都内の陸軍クラブに呼び、会合を行った。
バンコク日本人商工会議所は、「対タイ外国直接投資の約6割を日本資本が占め、商工会議所の会員企業が1552社に上る。」と指摘。「今回の事態は残念。」と伝え、早期正常化を求めた。
軍政トップのプラユット陸軍司令官はこれに対し、「当面は治安維持を優先するが、外国人投資家の安全を含めた経済活動への配慮は十分に行っていく。」と回答。「経済活動を行う上で問題があれば対応するので、連絡して欲しい。」と述べた。
タイの軍当局筋によると、軍関係施設に拘束されていたインラック前首相は解放された。
プラユット陸軍司令官は26日に、今後の国家運営の枠組みや方針についてテレビ演説し国民に説明予定。司令官はクーデターで設置された国家平和秩序評議会(NCPO)の議長に就任、首相権限を委ねられた。これまで政治や社会改革の具体策を協議する機関や、暫定的な議会などを設置する意向を示しており、詳細を説明して理解を求めると見られる。


54章  国家平和秩序評議会による全権掌握をプミポン国王が承認
05月26日(月)06時半頃
(報道により
06時過ぎ)
都内ラーチャテーウィー区シーアユタヤ通ラーチャプラーロップ交差点近くのバス停でM67型手榴弾が見つかり警察が回収。現場は高架電車BTSパヤタイ駅近くのオフィスビル「マヌライフプレイス」前。
市民からの通報を受け駆けつけた爆発物処理班が、現場で処理。幸い負傷者は出なかった。爆弾を所持していた何者かが検問を恐れ、現場に捨てていったものと見られている。
クルングテープではタクシン派とみられる市民数百人が国軍による全権掌握を非難する集会などを行っている。
これは、5人以上の政治集会を禁止するとの国家平和秩序評議会(NCPO)の命令に反するものだが、警備に当たっている軍隊は強制排除などの強硬手段には出ていない。
一方、クルングテープもともと反タクシン派が優勢で、反タクシン派は国軍がタクシン派政権に終止符を打ったことを歓迎しており、市民が警備中の兵士たちに飲み物を提供するといった姿も見受けられる。
プラユット陸軍司令官は、「軍がクーデターに伴い設立した国家平和秩序評議会(NCPO)の議長に就任することについてプミポン国王から承認を得た。」と表明。
プラユット司令官は、テレビで声明を読み上げ、「デモが再び激化すれば、武力で対応する以外に選択肢はない。できるだけ早期に選挙を実施することを目指す。」と述べたが、具体的な日程は示さなかった。
自らを首班とする国家平和秩序評議会(NCPO)による統治について、プミポン国王の承認を得た。当面はプラユット大将による国家運営が行われ、暫定政権樹立後に時期を見て選挙が行われる見通し。
就任が許可されたことで、今回のクーデターが国王から認められたことになる。
1970年代以降のタイのクーデターではプミポン国王の承認が得られるかどうかが成否を分けた。タクシン政権を追放した2006年のクーデターでは、ソンティ陸軍司令官(当時)がクーデター当日の夜、他の軍司令官、警察長官とともに国王夫妻に面会し、クーデターの承認を得た。プラユット司令官は今回のクーデター後、国王に公式に面会せず、クーデターの実施を書状で通知しただけだった模様。こうした異例の対応は、王室を政治に巻き込まないための配慮と見られている。
クーデターで全権を掌握したプラユット陸軍司令官は、クーデター後初の記者会見。
クーデターを行った理由については、「権力を得ようとしたわけではなく、政治対立が国家にとって危険で経済に悪影響をおよぼすと判断したためで、自分は(反タクシン派でもタクシン派でもない)中立的な立場だと。」主張。
「当面の国家運営は自身がトップを務める国家平和秩序評議会(NCPO)が監督し、各省の事務次官が大臣を代行する。」と説明。自身が首相に就任するかどうかについては回答を避けた。民政移管のための議会選挙については、事態が沈静化したら実施するとして、時期を明示しなかった。反軍政デモは軍法会議で裁く方針で、夜間外出禁止令は当面継続する考えを示した。
タクシン派の政治家、政治活動家、不敬罪に反対する学識者ら百数十人を拘束したことについては、「互いに理解し合うためで、拘束中は兵士と同じ待遇だ。」と説明。
事実上の米買い取り制度の米担保融資制度による米の買い取りが資金の枯渇で中断していることについては、資金を調達し、「26日から農家からの買い取りを再開する。」と表明。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、王族のプリディヤトン・テワクン元財務相(66)、ソムキット・チャトゥシーピタック元財務相(60)ら10人を顧問に任命。
プリディヤトンは米ペンシルベニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)で、タクシン政権下の2001~2006年にタイ中央銀行総裁、軍事政権下の2006~2007年に副首相兼財務相。今回は顧問として経済政策全般を統括する。
ソムキットは米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院MBA。タクシン政権で副首相、財務相を務め、一時はタクシン元首相の後継者に擬せられた。タクシン政権を打倒した2006年の軍事クーデター直前に離反。
その他の顧問は、反タクシン派アピシット政権で国防相(2008~2011年)を務めたプラウィット・ウォンスワン元陸軍司令官(68)、タクシンと士官候補生学校の同期で、2006年のクーデターで実働部隊を指揮したアヌポン・パオジンダー前陸軍司令官(64)、米ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士で、アジア経済危機当時のチャワリット政権(1996~1997年)で商務相を務めたナロンチャイ・アカラセラニー(68)、カリフォルニア大学バークレー校法学博士で、1993~2002年に内閣秘書官長、タクシン政権で副首相を務めたウィサヌ・クルアンガーム(62)ら。
タクシン派政権を打倒し全権を掌握した軍事政権はタクシン派の反撃を抑えこむため、警察幹部、タクシン派有力者の身柄拘束などを進めている。
軍政は22日、軍施設で会合を行っていたタクシン派政党プア・タイ党のチャイカセーム法相、反タクシン派民主党のアピシット党首(元首相)、反タクシン派デモを指揮するステープ元副首相(元民主党幹事長)、タクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD)のチャトポン議長らを拘束。さらに、インラック前首相など有力政治家、閣僚らに出頭を命じ、次々に身柄を拘束。25日には235人に達した。中には2005~2008年に反タクシン派デモを指揮した実業家のソンティ、タイ・ゼネコン(総合建設会社)最大手イタリアンタイ・ディベロップメントのプレームチャイ社長、住宅開発大手ランド・アンド・ハウスのアナン会長兼最高経営責任者(CEO)といった企業経営者、国王夫妻と王位継承者に対する批判を禁じた不敬罪の撤廃を要求する学者らも含まれる。
出頭を拒否したタクシン派政党プア・タイ党党首のチャルポン内相、チャトロン教育相の2人は24日に資産を凍結された。
ステープ元副首相ら反タクシン派デモ隊幹部15人(報道により11人)は釈放され、陸軍の施設から解放され、検察庁に移送されたあと裁判所で罪状認否を行った。これは、ステープらが反乱の罪などに問われているため。ステープらは、22日の国軍による全権掌握に伴い身柄を拘束されていた。他のデモ隊幹部10人とともに、反逆罪などで起訴された。ステープ元副首相は98人が死亡した2010年のタクシン派デモ鎮圧の責任者として、謀殺罪でも起訴された。ステープ元副首相を含む25人は26日中に全員保釈。アピシット党首は23日未明、インラック首相は25日に釈放された模様。
武装蜂起の噂があるUDDについては、幹部の拘束を続けていると見られる。
アドゥン警察長官、ニパット国防次官、ターリット法務省特捜局(DSI)局長らタクシン派の政府幹部を25日にまでに相次いで解任。タクシン寄りとされる警察幹部の大半を免職。
軍政はタクシン派を力で押さえ込む一方、24日、議会上院を廃止し、行政、立法の全権を掌握。また、不敬罪、安全保障関連の刑法違反、軍政命令違反は軍法会議で裁く。」と発表した。22日に発令した22時から05時までの夜間外出禁止令は26日も継続。CNN、BBC、NHKなどの放送も停止したまま。
今回のクーデターは2006年と経緯が似ている。
2006年のクーデターでは、反タクシン派市民による大規模なデモを受け、タクシン首相(当時)が下院を解散、総選挙に踏み切った。しかし、反タクシン派の民主党が選挙をボイコットし、憲法裁判所が選挙結果を無効とする判決を下した。選挙管理内閣として権限を限定されたタクシン内閣は打つ手を失い、09月の長期外遊中にソンティ司令官によるクーデターが発生し、政権が崩壊。
ソンティ司令官はその後、国王の諮問機関である枢密院のスラユット顧問官(元陸軍司令官)を首相とする暫定政権と新憲法起草のための委員会を発足させ、暫定政権の後見人的な役目を果たした。2007年09月末で陸軍司令官を定年退官し、軍政トップの座からも降り、軍政トップはチャリット空軍司令官(当時)が引き継いだ。
2006年のクーデターについては、タクシン派の一部から、プレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)がソンティ司令官に命じて実行させたという見方が出ている。ソンティは定年退官後、軍政がまだ続いていたにも関わらず、表舞台から姿を消し、2011年の下院選に、自身が信奉するイスラム教系の小政党の党首として出馬し当選。国会ではタクシンへの恩赦を支持したり、クーデターに反対するなど、以前とは正反対の立場を取った。一方、チャリット空軍司令官は定年退官後の2011年、枢密顧問官に就任。暫定首相を務めたスラユットは枢密顧問官に戻り、枢密院での序列は3位に上がっている。
今回のクーデターは、反タクシン派デモを受け、タクシンの妹であるインラック首相(当時)が下院を解散、民主党が選挙をボイコットし、民主党系のデモ隊が投票を妨害、憲法裁が選挙無効の判断を下した。

しかし、クーデターそのものをみると、2006年とは異なり、プラユット司令官が独自に決断、実行した可能性が高い。プラユット司令官は今年09月末に定年退官するが、タクシン派対反タクシン派の抗争を自分の手で終結させる意思を示し、10月以降も軍政トップに居座る構え。
2006年のクーデターでは反タクシン派の有力者グループがかなり詳細な計画を立てていたとみられ、クーデターから暫定政権発足、新憲法制定、2007年末の民政移管選挙までの日程が比較的早い段階で明らかにされ、ほぼ予定通り進んだ。プラユット司令官が今回、こうした後ろ盾や詳細な計画なしにクーデターに踏み切ったとすると、民政移管への道筋は、紆余曲折が予想される。
軍部がクーデターに伴い、学者、アナリスト、メディアが軍部についてコメントするのを禁止したことに対し、政府系シンクタンクのタイ開発調査研究所(TDRI)、学識経験者77人、NGO調整委員会がそれぞれこの禁止措置を撤廃するよう国家平和秩序評議会(NCPO)に求める声明を明らかに。
ソムキアットTDRI所長は、「クーデター当日から学術研究の自由が侵されることになったのを深く憂慮している。為政者はさまざまな意見に耳を傾ける必要がある。とりわけ、チェックアンドバランス(政治権力の専制を防ぐ抑制均衡)のメカニズムが存在しない現状においてはなおさら。」と指摘して、発言の自由を認めるよう求めた。
タクシン派インラック政権が導入した事実上の米買い取り制度である米担保融資制度で大勢の農民が米代金を受け取れずにいる問題をを解決するため、国家平和秩序評議会(NCPO)が支払いを命じ、農業農協銀行の窓口でこれら農民への代金支払いを開始。米農家へのタクシン派の支持基盤である農家に手厚く配慮し、クーデターへの反発を抑える狙い。
タクシン支持者の多い農民を支援するという米担保融資制度は、主に反タクシン派から「不正まみれ。」、「財政破綻を招く。」といった厳しい批判を浴びていた。
また、昨年12月の下院解散で政府の権限が制限されたことなどから、政府は資金調達で困難に直面し、農民は預けた米の代金を受け取れず、自殺者まで出る事態となっていた。
このため、まずこれら農民を助けることを決めたもの。タイ国営の農業協同組合銀行(BAAC)を通じ、535万tを買い取る予定。農業農協銀行によれば、代金を受け取っていない農民は約80万人以上、未払いは総額900億B以上。代金支払いは06月中に完了する見通し。
米担保融資制度はインラック政権の目玉政策の1つ。政権発足直後の2011年10月に導入。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。
こうした中、インラック政権は昨年12月、野党民主党が主導する反政府デモに屈して議会下院を解散。政府の機能が選挙管理に限定されたことで、今期の米買い取りに必要な資金1930億Bの一部が不足し、農家への支払いが数ケ月に渡り滞っていた。 米担保融資制度は国際通貨基金(IMF)などから、「財政負担が重い割に政策効果が低い。」と批判を浴びていた。「買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家にわたり、汚職の温床になっている。」という指摘もあった。
今年01月には、「米担保融資制度をめぐり不正が行われた。」として、汚職取締委員会がブンソン元商務相、プーム元副商務相ら15人を刑事告発。汚職取締委によると、「ブンソン元商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引『で支那に輸出した。』としていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。」という。汚職取締委はまた、米担保融資同制度をめぐる汚職、「巨額の損失について知りながら無視した。」として、インラック前首相を職務怠慢で上院で弾劾にかけることを05月に決定。最終的な損失額は5000億B近くに上る見込み。
東部トラート県で02月22日反タクシン派の人民民主改革委員会(PDRC)の集会に対する銃撃などで5歳の女児2人が死亡し、少なくとも35人以上が重軽傷を負った事件で、

赤服軍団に射殺されたウティナン・スリプラシット(25)→ 

 ← トラート県で逮捕された犯人

治安当局はトラート県カオサミング郡の民家を急襲し、銃撃戦の末、潜んでいた犯人3人のうち2人を逮捕。3人目の犯人は、軍のレンジャー、ウティナン・スリプラシット(25)を射殺し、この、ウティナンが所持していた自動小銃を奪って逃走。民家からは、タクシン支持団体の反独裁民主主義同盟(UDD)発行の会員カード、タクシン派のシンボルカラーである赤服、ヘッドバンドなどが見つかっており、犯人らはUDDと繋がりがあると見られている。
また、軍事政権の出頭命令を拒否して姿を消したタクシン派政党プア・タイ党党首の「チャルポング・ルアンスワン前内相の息子チャルウォング・ルアンスワンが所有する北部メーホンソン県パイのリゾートホテル、パイリバーロックリゾートを捜索し、違法伐採されたとみられる大量のチーク材、銃器などを押収した。」と発表。
軍事政権幹部のプラチン空軍司令官は、財務省と国営金融機関の幹部を集め、中期的な経済政策を検討させた。前政権のインフラ整備計画のうち、鉄道の複線化、首都圏の鉄道網整備は継続する方針。高速鉄道建設は当面見送る。総額3500億Bの総合治水事業は一部を実施する方向で検討する。
時限措置で税率が7%に引き下げられている付加価値税(VAT)は来年度(2014年10月~2015年09月)も現在の税率で据え置く考え。2013年から20%に引き下げられた法人税率は20%で恒久化する方向で検討する。個人所得税は現在の税率を2015年末まで据え置く方向。また、基礎控除を6万Bから12万Bに拡大することを検討する。
国内総生産(GDP)伸び率は2.2%を見込む。
タクシンの法律顧問ロバート・アムステルダムが、海外で亡命政権の樹立を検討していることを明かした問題で、カンボジア政府は亡命政権の受け入れを拒否していることがわかった。
カンボジア地元紙によると、「政府高官が憲法の問題上、『タクシン派亡命政権を受け入れることは不可能。』との見方を示した。また、カンボジア通信大臣も、『カンボジア政府が亡命政権を受け入れるようなことはない。』と発言している。」
ロバートは、「今回の軍事クーデターは一切正当性がなく、依然選挙によって勝利したプア・タイ党に統治権がある。」とクーデターを主導した陸軍を批判している。
16時50分から高架電車BTSのパヤタイ駅、戦勝記念塔駅、サナームパオ駅が再度閉鎖された。戦勝記念塔周辺の反軍政デモのため。BTSはデモを受け、14時半から3駅を閉鎖、15時10分に再開していた。17時時点で、戦勝記念塔周辺の反軍政デモは数百人規模。
05月27日(火)陸軍によれば、26日に都内で警備に当たっていた兵士に市民から提供されたペットボトル入り飲料に有害な化学薬品が混入されていたことから、市民と接する任務に就いている兵士 たちに注意を呼びかけた。ただ、飲料を受け取った兵士は、「中身の色などがおかしい。」と感じて飲まなかった。ペットボトルは封が切られていなかったものの、注射器で中身を抜き取って化学薬品を注入したとみられる小さな穴があり、穴は接着剤で塞がれていた。
陸軍の担当者によれば、「兵士が街中で警備に当たることは過去数年間に何度となくあったが、以前にも市民から提供された飲料に異物が混ぜられていたことがあった。」
「インラック政権が開始した米融資担保制度の損失が5000億Bに上る。」と財務省の委員会が発表したことを受けて、国家汚職制圧委員会(NACC)のサンサーン事務局長は、 「NACCが米融資担保制度に絡む不正疑惑を捜査することを決定した。」と明らかに。
財務省の担当者によれば、「預かった米のうち280万tが帳簿に記載があるものの実際には存在しないことが判明している。」一方、米融資担保制度を担当する商業省では「米が紛失した事実はない。」と発表しているものの、商業省事務次官は、「米の売却を数日中止して在庫をくまなく調べる。」と述べている。
ウィンタイ陸軍副報道官は、国家平和秩序評議会(NCPO)が政治対立の解消のため、全国各地に「改革のための和解センター」を設置する計画を明らかに。中核となるセンターは NCPOが運営を担当。地方のセンターはそれぞれ陸軍の1、第2、第3、第4軍管区が管轄。
これは政治対立解消計画の第1段階で、第2段階 としては、暫定憲法の制定、改革などを検討する委員会の設置、改革を実行に移すための立法議会の設置、改革完了後の総選挙実施が予定されている。
午後国家平和秩序評議会(NCPO)の出頭命令を拒否していたチャトロン・チャイセーン前教育相が、記者会見を行うために姿を現した都内のタイ外国人特派員協会(FCCT)で兵士らに身柄を拘束された。チャトロンはすでに資産の凍結処分を受けており、出頭命令を無視したほか、NCPOの指示に反して先に騒乱を引き起こすような声明を発表していることから、軍法会議で裁かれる。
タクシン派プア・タイ党関係筋によれば、「チャトロンは、自身の身柄が拘束されるのを外国人特派員らに見せるため、FCCTに現れることを自ら軍部に通報していた。」
チャトロンは学生活動家だった1970年代に、軍部の弾圧を逃れ、国境地帯のジャングルに潜伏した過去がある。今回のクーデターについては、「軍は政府に協力して公正な法執行に務めるべきだった。」、「クーデターは社会の対立を解消できず、事態を悪化させるだけだ。」と主張。

* チャトロン・チャイセーン
1956年生。チエンマイ大学在学中に軍政に反対する学生活動に参加し、学生委員長を務めた。1976年、軍部の弾圧を逃れ、タイ共産党に参加、国境地帯のジャングルに潜伏。後に渡米し、ニューヨーク州立大学経済学部卒、アメリカン大学経済学修士。1986年から下院連続当選。地盤は東部チャチュンサオ県。副財務相、首相府相などを歴任し、タクシン政権(2001~―2006年)で副首相、教育相。2006年09月の軍事クーデターでタクシン政権が崩壊した後、タクシン派政党タイ・ラック・タイ党の党首代行を務め、解党処分により、2007~2012年に公民権停止処分を受けた。2013年06月から教育相。


支那に工作されている日本のマスゴミは報道しないが、タクシン(タクシン自体が支那人)派には、支那の工作により、王政を廃止しタイを支那の属国化を企む工作員か入り込んでいる。支那畜の馬脚が現れている。例として、文化大革命を真似た、カンボジアのポル・ボト派のクメール・ルージュによる国民の上位3分の1~4分の1の虐殺やネパールの王族殺害事件の首謀者、ギャネンドラによる王政崩壊の歴史がある。
国外逃亡中のタクシンが、今月22日のクーデター後から日本を訪れていた。関係者が明らかにした。来日目的は買い物などの私的なもので、今週初め、日本に入国した。滞在は数日間という。
インターネット上には、日本に滞在中のタイ人が撮影した、タクシンが、ノーネクタイの背広姿で若い女性と寄り添って新宿を歩いている写真が投稿されている。タクシンは、軍がクーデターを起こしたことについて、自身のツイッターで「悲しい。」と述べた。
タクシンは、国外逃亡後に首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の刑が確定。だが、判決を不当として帰国して刑に服すのを拒んでいる。
支那人で支那の傀儡、国際逃亡犯のタクシンが女連れで新宿を歩いていたという事実。日本はスパイ天国、情けない。スパイは死刑が世界の常識。スパイ防止法もない。しかも、安倍首相は、昨年10月26日に帝国ホテルでタクシンと、昼食をとりながら会談し、経済問題などについて意見交換したそうだ。当時は傀儡のインラック政権だったにせよ、少なくとも日-タイ問題に関しては、安倍晋三、周りのブレーンともども日本の国益を損ねているという分析もできないほど低能だということになる。少なくとも、アホノミクスは、国賊日銀の白川を斬った以外は、消費税は上げるは、手当を廃止と悪政が続き、移民を流入させようとか、過労死を誘発しようとか、財界、財務省、ユダヤを向いたアホのアホによるアホのための政策=アホリティクスであるのは確か。
タイ工業連盟(FTI)、貿易院、タイ商工会議所(TCC)、タイ銀行協会など経済関連の7つの団体・機関が、 経済の抜本改革を求める要望書を国家平和秩序評議会(NCPO)に提出する方針を発表。これは、政府と民間による投資のあり方などを根本から見直すことで長期的な経済成長を促進して社会の強化や国際競争力の増強を図るというもの。これらの団体・機関は、約1週間をかけて検討を行い、その結果をまとめたものを要望書としてNCPOに提出する予定。
陸軍は軍事クーデター以降、各勢力の関係者253人に出頭命令を出しているが、依然出頭していない人物がいることを明かしている。
陸軍副報道官の話では、「これまでに253人に対し出頭命令を出し、200人が出頭、うち124人を解放、依然53人が出頭していない。」、「出頭していない53人に対して、既に銀行口座凍結の命令を下している。」
国家平和秩序評議会(NCPO)は28日から、外出禁止時間を00時(報道により00時01分)から04時までに短縮。観光業界への影響が大きいことから、タイ国政府観光庁(TAT)などが適用時間の短縮を求めていた。
公共交通機関、ショッピングセンター(SC)が営業時間を延長。公共交通機関の運行時間は高架電車BTSとエアポートリンク、地下鉄MRTが06時~23時、路線バスが04時~23時50分。セントラル・グループ各店、サイアム・パラゴン、サイアム・ディスカバリーなど主要SCは10時~22時営業。コンビニエンスストアは04時~24時営業。
05月28日(水)国家平和秩序評議会(NCPO)のナタワット副報道官は、「NCPOが現在、観光産業への影響を軽減するため来週中に夜間外出禁止令を解除するかどうかを検討中。」と明らかに。
これは、プラユットNCPO議長が先にNCPO内の経済作業部会に対し、南部プーケットと東部チョンブリーの2県の観光業に夜間外出禁止令がどのような影響を及ぼしているかを詳しく調べるよう指示したことによるもの。観光客が多いパタヤやプーケットなどの一部地域のみ夜間外出禁止令を解除することを検討している。夜間外出禁止令は観光業への影響が大きく、観光業界から早期解除を求められている。
ナタワット副報道官は、「これら2県で国軍に反抗するデモが起きなければ、禁止令は解除されるだろう。」と述べている。
夜間外出禁止の時間帯は、当初は午後10時~午前05時だったが、現在は午前03~04時に短縮されている。なお、クルングテープの飲食店については、深夜まで営業していた店から「売り上げが大幅に減った。」との声も出ているが、「夜の客の来店が早まっただけで、いつも通り忙しい。」とする店もある。
28日までに、タクシン派の前閣僚、政治家、政治活動家らを中心とする253人に出頭を命令し、200人が出頭。このうち76人は28日現在拘束中。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、27~28日にかけ、県知事8人を交代させたり閑職に異動し、警察幹部16人を閑職に異動することを決めた。(報道により、タクシン派とされる警察長官ら警察幹部34人、県知事13人などを左遷処分。)
県知事人事は06月02日発効、警察官人事は即時発効となる。この人事は、タクシン派が優勢な県からタクシン派寄りの知事や県警本部長を排除することでタクシン支持者の活動を抑え込むことなどが狙いと見られている。
なお、異動となった警察高官について、ワチャラポン警察庁長官代行は、「インラック政権や赤服軍団(タクシン支持者)に肩入れしていたわけではないが、平和と秩序の維持を妨げる問題が起きかねないため、決断力・実行力に優れた者と交代させることにした」と説明している。
また、NCPOは28日、 首相府のトントン事務次官、国の法律最高諮問機関である法令委員会のチュキアット事務局長を解任。
22日のクーデター直後から身柄を拘束していたタクシン派団体、反独裁民主主義同盟(UDD、通称赤服軍団)幹部のチャトポン元下院議員、ナタウット前副商務相、タクシンの法律顧問のノパドン元外相、前代表のティダーをはじめ10人が釈放された。タクシン派政党のプア・タイ党幹部6人も解放された。釈放後も軍が監視を続け、政治活動を禁止する模様。
チャトポンは、「軍事クーデターを起こした陸軍関係者と会談し、互いに協力して民主主義に戻すことで合意した。戒厳令下で政治活動を行わないことを条件に開放された。」と語った。
クーデターで崩壊した前政権を支持する法律家のウィーラワット・パリウォンは、インターネットの交流サイト、フェイスブックを通じ、軍政の出頭命令を拒否し、英国に出国したことを明らかに。また、タイ国内の「自宅が22日に銃撃を受けた。」と、バイクに2人乗りした男が民家に拳銃を数発発砲する防犯カメラの映像を公開。
午後都内の戦勝記念塔に市民約200人が集まり、軍によるクーデターに抗議。戦勝記念塔での反クーデター集会は23日から続いている。警戒にあたった兵士、警官との間で小競り合いがあった。怪我人はなかった。
クーデターに反対する市民グループは06月01日(日)11時から、都心のラーチャプラソン交差点のショッピングセンター、アマリンプラザ前で集会を開く予定。

 ← わざわざ、装甲車に白スプレーで英語で「ANTI COUP(反クーデター)」と書き(しかもご丁寧に紙にまで印刷してきて)、毛唐のマスゴミのカメラに撮影させて外国勢力の容喙を図るコスプレ赤服軍団。悲劇の主人公を演出しているようだ。日本のカスゴミなど毛唐マスゴミに追従報道しかしないカスダニ。

16時過ぎ(報道
により15時頃)
インターネットの交流サイト、フェイスブックがタイ国内で(報道により約1時間半にわたり)閲覧できなくなった。
公式発表はされていないものの、今朝、反タクシン派のスリヤサイ(元PAD)によって、タクシンが女性と新宿にいる写真をアップし拡散したこと、軍事クーデター反対派(タクシン派)勢力がソーシャルネットワーキングサイトを利用して情勢を煽っていることが原因との見方。軍事クーデターを起こした陸軍は、「情勢を煽るような行為を禁ずる。」としており、それに触れた可能性が高い。
17時過ぎ時点で(報道により16時半頃)、閲覧が可能になった。
22日の軍事クーデター以降、軍が全権を掌握した。その後、都内でクーデターに反対する数百人規模の集会が続き、軍は「フェイスブックで集会を呼びかけている。」として、取り締まる方針を示していた。
情報通信技術省は、「フェイスブックを遮断しろという命令は受けていない。」と主張。
05月29日(木)国家平和秩序評議会(NCPO)は、28日16時過ぎにタイ国内からFacebookフェイスブックにアクセスが出来なくなっていた件について、「技術的な問題だ。」とし、アクセス規制を否定。この一方で、クーデターを批判する書き込みの拡散を阻止するため、ツイッター、インスタグラムをはじめソーシャルメディア企業に協力を要請し、ICT省によると、「現在政治情勢を煽るようなサイト約200サイトについて、アクセス規制をかけている。」インターネット接続業者に対し、200以上(報道により120)のウェブサイトを閲覧出来なくするよう命じた。交流サイト、フェイスブックや短文投稿サイト、ツイッターのクーデターに反対する集会を呼びかけるサイトなどで、いずれもタイ国内で閲覧できなくなった。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「今年と来年の観光収入をそれぞれ2兆B、2兆2000億Bに引き上げるため観光促進に新たに10億B以上を投入する。」との観光スポーツ省の案を承認。
観光スポーツ省を管轄するナロン海軍司令官によれば、「NCPOは外国人観光客の信頼回復などで低迷する観光業を回復させることが急務と判断し、10億Bを超える追加予算申請を認めることにしたもの。」
国家平和秩序評議会(NCPO)が「改革のための和解センター」を設置して政治対立の解消と国民に融和を図ろうとしていることについて、アピシット民主党党首はこのほど、「インラック政権が打ち出した国民和解案のように全ての政治関連犯にただ単に恩赦を適用することがあってはならない。」と警告。
インラック政権の狙いは、恩赦によって国外逃亡中のタクシンの免罪、帰国、政界復帰を果たすことにあったと見られているが、アピシット党首は、「NCPOは、誰もが法律を守らなくてはならず、罪を犯した場合は処罰されるということを徹底させる必要がある。」と述べ、「安易な恩赦適用は国民の順法精神を阻害することになる。」
15時30分国家平和秩序評議会(NCPO)は、クルングテープ中心部の戦勝記念塔でクーデター反対集会が行われる。」との情報があったことから、これを阻止するため、兵士・警察官約1300人(報道により1000人以上)を動員して約3時間にわたって、クーデターに反対する集会が連日行われていた都内の戦勝記念塔に至る道路を封鎖し、近くを通る高架鉄道(BTS)の最寄りの駅を通過させる措置を取るなど、集会を阻止。周辺地域は渋滞となり一部で混乱も見られた。兵士、警官は18時の国歌斉唱後、道路封鎖を解除し撤収。
クーデターで国軍が全権を掌握し、タクシン派政権が崩壊したことから、タクシン支持者とみられる市民たちが連日のようにクーデター反対デモを行っているが、デモ参加者が警備の兵士や警察官に暴力を振るうケースも報告されており、NCPOは暴力のエスカレートを回避すべく反対集会などの阻止に本腰を入れることになったものという。
また、「集会場所がパトゥムワン地区に変更された。」との情報に伴い、バンコク・アート・アンド・カルチャー・センターにも約300人の治安要員が派遣された。当局の動きを察してか、結局集会は行われなかった。
陸軍に出頭したタクシン派グループ幹部らは、情勢を扇動しないことを確約していることから、当面デモが拡大することはなさそうだが、小規模ながらも散発的なデモが続く可能性がある。
シリチャン陸軍副報道官が明らかにしたところによると、国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長(陸軍司令官)はNCPOの各部署の責任者とのテレビ会議で、国政を正常化するための3段階を示し、その実現に向けて検討を行い、結果を速やかに報告するよう指示。第段階は、速やかに行政機関が通常業務をできるようにする。第2段階は、立法機関や改革遂行のための機関を設置するなどして環境の整備を図る。そして、民主主義のルールに完全に則って総選挙を実施できるようにするというのが第3段階。
また、「NCPOがプラユット司令官を暫定首相に任命する。」との見方も出ていたが、ウィンタイNCPO報道官によれば、「NCPOは平和と秩序の回復、国民が直面している喫緊の問題の解決、改革推進のメカニズムの構築などが急務と考え、それに専念する方針であるため、今のところ暫定首相の任命や暫定内閣の設置は考えていない。」
01~03月に都心の主要交差点を占拠するなどした野党民主党系の反タクシン派デモ隊の幹部が、都内の高級フランス料理店「4ギャルソン」を貸し切り、盛大なパーティーを開いた。
デモ隊幹部で富豪のナタポン前民主党下院議員(48)の誕生日パーティーという名目だが、22日の軍事クーデターでタクシン派政権が崩壊し、議会下院選挙の阻止、非民選の暫定政権設立、タクシン派粛清といったデモ隊の筋書き通りに軍が動いていることから、現場は祝勝ムードに包まれた模様。指導者のステープ元副首相(元民主党幹事長)は通常の私服だったものの、それ以外の幹部の多くは軍への支持を表明するためか、迷彩服で登場。
パーティーに参加したのは、ビール大手ブンロート・ブルワリーのオーナー一族で同社副社長のジュティナン・ピロムパクディー、ジュティナンの娘でデモ隊の女性活動家として注目を浴びたチパット・クリダーコン、ナタポンの妻でシーウィコン財閥出身のタヤーらで、いずれも資産数億~数十億Bという大富豪。
このうちチパットさんは背中に「ブラパーパヤック(東の虎)」と書かれた迷彩服のTシャツを着用していた。「ブラパーパヤック」とは東部プランチンブリー県駐屯で王妃の近衛師団である第2歩兵師団の別名。今回のクーデターを指揮したプラユット陸軍司令官(60)、タクシン政権を追放した2006年のクーデターで実働部隊を指揮したアヌポン前陸軍司令官(64)、反タクシン派アピシット政権で国防相(2008~2011年)を務めたプラウィット元陸軍司令官(68)はいずれも第2歩兵師団司令官を務めた経歴がある。プラユット司令官はクーデター後、プラウィット元陸軍司令官とアヌポン前陸軍司令官を軍政顧問に任命している。
チパットさんの母親は王族のモームルアン(王族の称号)・ピヤーパット・ピロムパクディー。ピヤーパットはシリキット王妃の侍女を務め、王妃が支援したタイの歴史大作映画「スリヨータイ」に主演。
昨年10月から今年05月まで続いたステープ元副首相らによるデモでは、デモ参加者、警官など合わせて28人が死亡、827人が怪我をした。今回のパーティーへの批判が多いのは、デモ支持、反対に関わらず、こうした犠牲を軽視するかのように見られるため。
05月30日(金)タイ交通警察は、軍事クーデターに抗議するデモ隊が引き続き抗議活動を行うことを受け、「本日16時より戦勝記念塔につながる4つの道路を封鎖する。」と発表。封鎖時間はデモ隊が解散するまでとしており、周辺地域は大渋滞になるものと見られている。
在タイ日本大使館は、「22日のクーデター以降、タイ各地でデモなどの抗議行動が続いている。」として、タイ滞在・旅行中の日本人に対し、デモ、集会が行われている場所などにできるだけ近づかないよう呼びかけた。
また、「06月01日にクルングテープと地方でクーデターに反対する集会が行われる。」という情報があり、デモ隊が軍・警察と衝突する可能性も排除できない。
陸軍関係筋によれば、「プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、各地の陸軍幹部、県知事、国内治安作戦司令部(ISOC)幹部、NCPO顧問とのビデオ会議の中で、景気を回復させるために付加価値税(VAT)を減税する考えを明らかにし、その可能性を検討するよう指示した。」という。
付加価値税は日本の消費税の当たる税で、現在の税率は7%。プラユット議長は、消費者の負担を軽減して景気を促進するために付加価値税を減税した場合、税収がどの程度増減し、来年度予算にどのような影響があるかを詳しく検討するよう指示したもの。
このほか、プラユット議長は、低所得者が恩恵を受けるよう個人所得税制を改めることについても検討を指示した。
国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長は、テレビ演説の中で、10月までに暫定政府を設置し、同政府が1年をかけて国家改革を進めた後に総選挙が実施されるとの行程表を明らかに。このため、暫定政府は来年度(今年10月~来年09月)予算を執行することが可能としている。
た、プラユット議長は3段階で国政を正常化する考えを表明。
第1段階は、平和と国民の結束を取り戻す。具体的には、タクシン派と反タクシン派の話し合いの場となる「和解センター」を首都と地方に設置し、両派の「和解」を進める。これには2ケ月から3ケ月掛かる見通し。
第2段階では、暫定憲法を制定し、立法機関と国家改革評議会を設置する。改革に重点を置いた第2段階は、改革の進み具合にもよるが約1年程度掛かる見通し。
そして、第3段階では、改正された法律のもとで総選挙を実施する。
プラユット議長は民主主義の前に国家を選択するよう国民に訴える一方、国際社会に対し、「タイの状況を理解し、問題解決の時間を与えてほしい。」と述べた。
この他、経済について、プラユット議長は、インラック前政権が導入した、2兆Bのインフラ整備計画、3500億Bの大規規模の洪水対策といった大型経済プロジェクトを全てを見直す考えも明らかに。
また、NCPOが「国民和解」を目指していることについて、アピシット民主党党首が先に、インラック政権が打ち出した国民和解案のような「政治関連犯への安易な恩赦適用」に危惧を表明していたが、プラユット議長は、「恩赦を用いて国民和解を図るつもりはない。」と明言。
プラユット議長の演説について、米国務省のサキ報道官は定例会見で、「民政復帰に向けたタイの軍事政権の行程表は具体性に乏しい。」、「これまで通り、早期の選挙実施を求める。」と述べた。
「インラック政権の閣僚経験者2人がタイ軍事政権によって軍基地内に拘束された際に、賭博に興じた挙句、喧嘩になった。」と複数のタイ字紙が伝えた。
報道によると、騒動を起こしたのはウォラワット元科学技術相(54)とチュチャート元副内相(68)。2人は無聊を慰めるため、賭博を始めたが、片方の負けが400万Bに膨らみ、口喧嘩になった。ついには物を投げ合うなどし、拘束されていた別の政府関係者らが間に入った。
2人は釈放後の05月30日、報道内容は「事実無根だ。」と否定。ウォラワットは「(チュチャートと)兄弟のように親しくした。」、チュチャートは「我々は大人だ。」と述べた。
タイ軍部は05月22日のクーデターでタクシン派政権を倒し、全権を掌握。06月01日までに、タクシン派の政治家、活動家を中心に324人に出頭を命じ、インラック前首相ら多数の身柄を拘束。
18時過ぎ都内の戦勝記念塔周辺の道路の通行止めが解除。戦勝記念塔周辺の道路はクーデター反対集会を阻止するため、16時から通行止めになっていた。
05月31日(土)プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が先に示した、改革推進、総選挙実施などに向けた行程表について、反タクシン派・民主党のニピット副党首は、「容認できるもの。」と述べ、支持を表明。
行程表では、改革を進めて総選挙を実施するには1年数ケ月かかるとされているが、ニピット副党首は、「長すぎるということはない。」と指摘。また、「民主主義を早期に回復できるようNCPOに協力する必要がある。」と述べ、クーデター反対デモなどNCPOの仕事を妨害する行為を控えるよう呼び掛けた。
06月01日(日)朝都心ラーチャプラソン交差点のショッピングセンター(SC)、ホテルなどが加盟するラーチャプラソン事業者協会によると、軍事政権は01日、ラーチャプラソン交差点一帯を閉鎖。ラーチャプラソン交差点で予定されているクーデター反対集会を阻止するためで、09時から、ラーチャプラソン交差点一帯のプルンジット通、ラチャダムリ通、高架歩道スカイウォーク、高架電車BTSのチッロム駅、プルンチット駅、ラチャダムリ駅を閉鎖。ラーチャプラソン交差点のSCはゲイソンプラザが終日休館するほか、セントラルワールドが営業時間を14~22時に短縮する。
午後都心アソーク交差点のショッピングセンター、ターミナル21前の高架電車BTSアソーク駅に隣接するスカイウォークで、クーデターに抗議する小規模デモ。現場には軍事クーデターに抗議する活動家ら100人程が集まった。軍と警察はデモ隊に解散を呼びかけるも一部が抵抗、デモの中心となっていた4人の市民が拘束を逃れるため、ターミナル21に逃げ込んだため、軍はモールを臨時閉店させた後で封鎖。反クーデターデモを牽制するため、周辺地域を立ち入り禁止とした。また、これを受け、当局は高架電車BTSアソーク駅を14時から閉鎖。これを受け、アソーク駅に隣接するショッピングモール、ターミナル21も臨時休業。
その後、逃げた4人は軍に拘束された。
反クーデターデモを牽制するため、当局は都心のラーチャプラソン交差点一帯とBTSチッロム駅、プルンチット駅、ラチャダムリ駅も閉鎖。
タイで軍事クーデターに抗議する市民が3本の指を立て腕を掲げるジェスチェーを始めた。これは米人気映画「ハンガー・ゲーム」で主人公らが支配者への抵抗を示すジェスチャー。 タイでは05月22日、政治混乱と治安悪化を理由に軍がクーデターに踏み切り、タクシン派の政権を打倒、憲法を停止し、全権を掌握。
クーデター後、軍事政権に反対する一部の市民が選挙の即時実施などを求め都内でデモを行っているが、規模は数十人から100人程度に止まっている。軍政はこうした小規模なデモ隊に対し、数百人の兵士、警官を動員し、周辺の道路、電車駅を閉鎖するなど、徹底して取り締まる姿勢を見せている。市民側はインターネットの交流サイトなどを使って取り締まりをかいくぐり、3本指を掲げ、軍政に抗議。
政府庁舎(首相府)は国政を担う者を象徴する建物だが、ウィラチョン陸軍副報道官は、プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)が同庁舎を執務に使用する考えのないことを明らかに。
庁舎は昨年末に反政府派が近くでデモを開始したことから閉鎖され、また、一時期同派に占拠された。クーデターに伴い反政府派が引き揚げたため、内部の大掃除や修繕が行われ、06月02日に使用が再開されることになった。
だが、ウィラチョン副報道官によれば、国政のトップとなったプ ラユット議長(陸軍司令官)は、政府庁舎には入らず、これまで通り政府庁舎にほど近い陸軍本部で執務を行う予定。
15時半までに高架電車BTSは、クーデター反対のデモで閉鎖していたラチャダムリ駅、チッロム駅、プルンチット駅、アソーク駅での乗降を再開。
06月02日(月)朝首相府が、約半年ぶりに業務再開。昨年11月に反タクシン派デモが激化し、インラック首相への公務妨害を始めたことから、業務を別の場所に移転していた。
軍事クーデターによって反タクシン派デモ隊が解散したことで、先週から業務再開に向けて清掃作業が行われていた。
タイ地元紙によると、「現在陸軍によって設置された国家平和秩序評議会(NCPO)は、今後も陸軍本部内から首相府へ移動されることはない。」
警察当局は、東部チョンブリー県ムアン郡のバナナ畑で対戦車ロケット擲弾27個、 手榴弾150個を発見、押収。爆発物処理班がチェックしたところ、擲弾も箱詰めされた手榴弾も使用可能な状態だった。
軍部は反政府派の集会などに対する銃撃や爆弾攻撃があったことから、現在全国で違法な武器・弾薬所持の摘発に力を入れているが、警察の担当者は、「摘発を恐れた者が擲弾などをバナナ畑に捨てたようだ。」
擲弾と手榴弾は、バナナの花の状態を見に来た農民が偶然発見し、警察に通報。
インラック前政権が打ち出した大型インフラ整備など複数の大型計画が法的問題や厳しい批判などで実施されないままになっている。このため、国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、半年に及ぶ政治対立で低迷したままの経済を早急に活性化させる必要があることから、予算を最も有効に活用するとともに国民が最も恩恵を受ける形でプロジェクトを実施すべく関係部署に詳しい検討を指示。
今のところ、鉄道複線化計画は推進される見通しで、高速鉄道建設計画も実施に向けて費用対効果の検討が行われることになった。このほか、「インラック政権が3500億Bを投入する。」とした、洪水対策を主眼とした大型治水計画関連プロジェクトについても検討が行われる。
タクシン支持者とみられる市民たちが各地でクーデター反対デモを行い、また、総選挙が実施されるまでデモを続けるとしていることについて、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「国を良い方向に進ませるべく平和を回復するのが国軍の責務。治安当局には法を厳格に適用してデモを取り締まる以外に選択肢はない。」と述べて、クーデター反対の動きを阻止する方針を再確認。
また、「クーデター反対の動きがエスカレートすると考えているか。」との記者の質問に対し、ウィンタイ報道官は、「NCPOはそのような見方を取っていない。」と答えた。
この他、治安当局が、クーデターに反対する市民が集会を行うのを阻止するため道路を封鎖していることについて、ソムヨット警察庁副長官は、「道路封鎖は市民に迷惑がかかるため心苦しく思っている。だが、 (クーデター反対派が活動を拡大すれば、これに反発する動きが起きかねないことから)反対派と賛成派の衝突を避けるには道路封鎖は仕方がない。」と説明。
なお、関係筋によれば、タクシン派のシンボルカラーは赤だが、クーデター反対デモを行っているタクシン支持者らは「『支持党派を持たない一般市民が軍部に反発している。』と印象づけるため、敢えて赤服などの着用を避けている。」という。
国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ副報道官はこのほど、亡命政府の樹立を計画しているとされるチャクラポップ元首相府相を見つけ出して罪に問う考えを明らかに。 チャクラポップは、2009年04月のタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)による過激な反政府デモで罪に問われたことから姿をくらましたままだが、カンボジアに潜伏しているとの見方が有力。 カンボジアの地元紙は06月02日、チャクラポップが「『西側の国に組織を設置し、これが亡命政府の樹立につながる。』などと発言した。」と報道。
組織のトップは国外逃亡中のタクシンで、チャクラポップは事務局長を務める予定とされ、また、組織の設置について西側の複数の国と交渉中。
これについて、ウィンタイ副報道官は、「チャクラポップは、事実かどうか定かでないが、NCPOの命令と戒厳令に違反していることは確か。」と述べた。
午後タイの有料テレビ最大手トゥルービジョンズは、CNN、BBC、NHKなどの放送を再開。CNNなどのチャンネルは05月22日の軍事クーデター以来、軍の命令で放送が中止されていた。
06月03日(火)国家平和秩序評議会(NCPO)は、「タイ国内の観光地の一部のみ夜間外出禁止令を解除した。」と発表。
夜間外出禁止令は、戒厳令後に治安維持を目的にタイ国内全域に発令されていたが、今回南部プーケット県、スラートターニー県サムイ島、中部チョンブリー県パタヤの3ケ所のみ解除。3ケ所は外国人観光客が多いタイ観光業の稼ぎ頭。軍による軍事クーデター以降、各国政府から渡航自粛勧告が出されたこともあり、観光業界に甚大な影響が出ていた。軍政は経済への影響を考慮し、先行解除を決めた。クルングテープなどでは夜間外出禁止令を維持する。
しかし、ナタワットNCPO副報道官は、「これら3ケ所ではクーデター反対デモが起きない限り禁止令解除は続く。」と述べ、状況次第では再び禁止令が発令される可能性のあることを示唆。
夜間外出禁止令の適用外となるのは、出入国者、職務上外出が必要な工場、航空会社、病院などの従業員、公務員、冷凍・冷蔵品、賞味期限がある物品の物流・輸出入業者、病人の搬送など。
クルングテープの北約300㎞のペチャブン県ムアン郡ナーグアで、乗り捨てられていたピックアップトラックから自動小銃などを含む大量の武器弾薬が発見された。警察は現在、トラック所有者の特定などを急いでいる。 また、ウドムデートNCPO事務局長によれば、「クーデター後に国内の複数か所で大量の武器・弾薬が見つかっているが、プラユットNCPO議長が先に、これらの武器の中に政治対立絡みの事件で使われたものがないかを早急に調べるよう指示した。」
関係筋によれば、「国家平和秩序評議会(NCPO)が政党法を含む憲法関連4法を復活させるための検討を進めている。」
国軍はクーデターによる全権掌握に伴い、憲法の一時停止を発表。その後、憲法関連9法を廃止したが、間もなくしてNCPOは9法のうち、汚職対策、選挙管理委員会、オンブズマン、会計検査に関する5法を復活させた。残るは、国会議員の選出、政党、国民投票、憲法裁判所の手続きに関する4法。
中央選管のソムチャイ委員によれば、「政党法が廃止されたことで、政党は現在、法的裏付けを失った状態となっているが、政党法が復活すれば、現在戒厳令下であるため活動ができないものの、法的に認められた存在となり政党交付金を受け取ることが可能になる。」
国立タマサート大学のナカリン副学長は、「軍部が残りの基本法の復活を考えているのは、良い兆候。」と述べ評価。
都庁は04日16~19時にタイ軍、警察と協力し、都内の戦勝記念塔で、「人民の幸せの夜」と銘打った、軍楽隊、警察楽団などによるコンサート。
戦勝記念塔では05月22日の軍事クーデター後、軍政に抗議する市民デモが度々行われ、周辺一帯の道路が封鎖された。
06月04日(水)東部トラート県カオサミン郡で02月22日に反政府集会への銃撃・爆弾攻撃で女児2人(共に5)を含む3人が死亡、複数人が負傷した事件で、警察当局は、「実行犯のソムサック・プーンサワット(45)を逮捕した。」と発表するとともに、ソムサックに現場で犯行を再現させた。ソムサック・プーンサワット(45)は、事件に関連して05月26日にトラート県で逮捕された犯人の供述に基づいてカオサミング郡のホテルで逮捕された。
トラートは走行中のピックアップトラックの荷台から手榴弾を反政府集会に向けて投げつけたもので、その後、後続のピックアップトラックに乗った者たちが集会に向けて発砲した。
改革を推進した後に総選挙を実施するとしている国家平和秩序評議会(NCPO)が設置した国家改革作業部会の初会合が開かれた。
議長を務めたスラサック国防事務次官代行によれば、政府機関、関係諸団体、政治や行政にかかわる機関、国軍の代表が出席した国家改革作業部会では、約2時間にわたって話し合いが行われ、国民の間の政治対立、司法制度への信頼の欠如、憎悪を煽る動きや暴力に関する問題を解決するために改革を進めることが基本合意された。
また、スラサック事務次官代行によれば、「作業部会はこれまでに発表された改革の指針に国民の意見を盛り込む予定で、ホームページ、電子メール、電話、改革のための和解センターが開く討論会、国防事務次官オフィスなどを通じて国民の意見を吸い上げる。」
国内3ケ所の観光地に夜間外出禁止令が解かれたことを受け、その他の人気観光地からも解除の要望が出ている。タイ地元紙によると、南部クラビー県のピーピー島では、夜間外出禁止令の影響で、通常時に比べ観光客が50%ほど減少している。
「夜間外出禁止令が発令されていることで、夜遊びができない。」と観光客らの不満も続出しており、観光業界関係者らは頭を悩ませており、「一刻も早く解除して欲しい。」と要望。
カンボジアからの報道によれば、「タイ国境に近いポイペトのカジノでは、タイ軍が05月22日 にクーデターで全権を掌握して以来、タイ人客が半減している。」
タイでは公営賭博場が認められていないため、少なからぬタイ人博打好きが特に週末に隣国のカジノを訪れている。だが、ポイペットにあるクラウンリゾーツ社運営のカジノによれば、「これまでタイ人客は1日当たり200人を超えていたが、 クーデター後は100人をやや上回る程度に減少している。」とのことだ。
午後都内のタイ首相府裏のパドゥンクルンカセーム運河マカワーン橋近くで、重りを付けられた肥料袋に入った死体が見つかった。クーデターに伴い反政府派が引き揚げることになったが、地元住民か「危険物が運河に捨てられているのではない。か」との声があり、軍、警察などがダイバーを使って運河を調べたところ、男性とみられる死体などが見つかったもの。
政府庁舎は反政府派が標的の1つとしていた場所で、反タクシン派は長期間にわたって政府庁舎にほど近いマカワンランサン橋で座り込みを行っていた。現場周辺は反タクシン派のデモ隊が長期間占拠し、デモ隊が袋などを運河に放り込むのが目撃されていた。警察のダイバーが潜水して調査したところ、川底から、雷管、発煙弾、ピストルの空薬莢、自動小銃の弾丸、手榴弾の部品、模擬手榴弾などとともに、肥料袋が見つかり、引き上げて中身を確認したところ、死体だった。死体は腐乱が激しく、身元、性別などはわかっていない。
この他、集会所からは大量の銃弾や発煙弾などが発見された。
クルングテープ中心部の戦勝記念塔周辺で、「人民の幸せの夜」と銘打った国家平和秩序評議会(NCPO)による国民和解イベントが催され、軍、警 察、クルングテープ都庁の楽団などが音楽パフォーマンスを披露。同様のイベントはクルングテープ北隣パトゥムタニー県でも開催されていたが、クルングテープでは初めて。
戦勝記念塔を中心とするロータリー交差点は、タクシン派によるクーデター反対デモを阻止するため、05月末に2回にわたり治安当局によって道路が封鎖されており、対立を象徴する場所となっていた。このため、NCPOは敢えてこの交差点で和解イベントを開催することにしたものと見られる。
06月05日(木)タイはサッカーファンが多いことから、「2014FIFAワールドカップを飲み屋などで観戦できるよう夜間外出禁止令を解除してほしい。」といった声が出ているが、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、「治安の維持ができるかを考える必要がある。」と述べ、「サッカーファンの強い要望だけでは外出禁止令を解除することはできない。」との見解を明らかに。
間もなく開幕するブラジル・ワールドカップでは最も早い試合開始時刻でも23時で外出禁止時間帯(00~04時)の1時間前となっている。
ウィンタイ報道官は、「今のところ状況は平穏。だが、見えないところでどのような動きがあるかはわからない。」、「安易に警戒を緩めるわけにはいかない。」
シハサック外相代行(外務事務次官)は、訪問先のベトナムで「ASEAN加盟国や支那、日本、オーストラリアなどを訪問して軍事政権が総選挙実施のため最善を尽くしていることを説明する。」と明らかに。
政治対立がエスカレートし収拾がつかなくなる恐れがあった中、軍部がインラック政権(当時)では問題を解決できないと判断してクーデターで全権を掌握したことに対し、西洋諸国からは批判の声が挙がっている。
このため、軍部が設置した統治機構、国家平和秩序評議会(NCPO)は、クーデターを起こしたことや現在NCPOが総選挙実施に向けて努力していることなどに理解を求めるべく外相代行を諸外国に派遣することにしたもの。
国家汚職制圧委員会(NACC)のウォラウィット副事務局長は、「米担保融資制度の不正横行に絡んでNACCが小委員会を設置してインラック前首相、商業相経験者3人、前副商業相の資産調査を行うことになった。」と明らかに。 米担保融資制度は、タクシン支持者がほとんどを占める農民を支援するため高値で米を買い上げるなどしたことから巨額の損失を出すことになったが、不正まみれだったことも明らかになっており、当時の関係閣僚も不正蓄財を疑われることになった。小委員会は近く、調査をどのように進めるかを協議する予定。
軍事クーデターへの抗議デモを主導していた、タクシン派グループ「レッド・サンデー」のリーダーのソムバット・ブンガームアノン(46)がタイ東部チョンブリー県パントン郡の友人宅で逮捕。ソムバットは国家平和秩序評議会(NCPO)から出頭命令が出されていたが、拒否し逃亡を続けていた。
ソムバットは出頭命令を受けた後、インターネットの交流サイト、フェイスブックにデカプリオ主演の映画タイトル「Catch me if you can(捕まれられるものなら捕まえてみろ)。」という軍部を揶揄するバナーを書き込み逃走。インターネットを使い、反軍政デモを組織するなどした。ソムバットは直前に新聞社とのインタビューで「即席麺もたくさんあり、数ケ月は大丈夫。コンビニも近くにある。私が自ら出て行かない限り彼らは私を捕らえられない。」と述べており、捜査の手が迫っていたことに全く気づいていなかったようだ。逮捕後、フェイスブックに「捕まってしまった。」と書き込んだ。
NCPOは05月22日のクーデターで全権を掌握した後、タクシン派の政治家、政治活動家、不敬罪の撤廃を訴える学識者ら数百人に出頭を命じ、このうち多数を拘禁。出頭命令を拒否したチャトゥロン前教育相は27日に逮捕され、現在も拘留中。
06月06日(金)国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長(陸軍司令官)は、タイを訪問中の支那の実業家グループと陸軍司令部で会談。プラユット司令官が公の場で外国人と会談するのは05月22日のクーデター後初めて。
プラユット議長は会談で、「3ケ月以内に暫定政権を発足させる。」と述べ、夜間外出禁止令をできるだけ早く解除する考えを示した。また、支那財界に対し、「タイ軍政に協力し、タイに投資して欲しい。」と呼びかけた。
この他、プラユット議長は、「NCPOが対タイ投資を予定している実業家にNCPOが得をするようことを要求することはない」と明言し、NCPOが汚職追放に全力を挙げる方針を強調。これは、今回のクーデターで崩壊したインラック政権などタクシン派政権が常に「汚職まみれ」との批判を浴びていたことによるもの。プラユット議長はまた、「政府機関やその職員らが賄賂を要求するようなことがあったら、私が対応するので直接わたしに連絡してほしい。」と述べた。
西側諸国はタイ軍政に対し、民主主義と法治を早急に回復し、人権と自由を守るよう要求。オーストラリア政府が軍政幹部の入国を禁止するなど、厳しい姿勢を見せている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「00時~04時の夜間外出禁止令を、タイ中部ペチャブリー県チャアーム郡、中部プラチュアブキリカン県フアヒン郡、南部クラビー県、南部パンガー県について、同日付で解除する。」と発表。
軍はクーデターで全権を掌握した05月22日、22時~05時の外出を禁じる夜間外出禁止令をタイ全土に発令。28日に外出禁止時間を00時~04時に短縮。06月03日、南部のプーケット島、サムイ島、東部パタヤ市の3ケ所について、夜間外出禁止令を解除。
タイ各地の道路脇や叢などで、自動小銃、手榴弾などが相次いで見つかった。タクシン派の蜂起を懸念するタイ軍事政権が武器の取り締まりを強化したことから、犯罪者などが摘発を恐れて手持ちの武器を投棄したと見られている。
東部チョンブリ県サタヒープ郡の道路脇で肥料袋に入ったAK47自動小銃1丁と銃弾、中部シンブリー市の道路脇でM16自動小銃1丁と銃弾、手榴弾1個、東部プラチンブリー県の叢で手榴弾2個と拳銃2丁、銃弾、南部チュムポン県でM16自動小銃1丁が見つかった。
06月07日(土)ネット上で「軍部が選管の解散を予定している。」などとする情報が飛び交っていることについて、中央選管のソムチャイ委員は、国家平和秩序評議会(NCPO)の担当者との会合の後、「選管を含む独立機関を解散させたり手直ししたりするという話は聞いていない。」と述べ、「選管解散」が根も葉もない噂との見方を示した。同会合は、中央選管など9つの独立機関の代表を招いて行われたもので、08日にも行われることになっている。
関係筋によれば、NCPO側から独立機関に対しては、これら機関が直面している問題とその解決策をまとめて2日目の会合の中で提出してほしいとの要請があっただけとのこと。
外務省高官が明らかにしたところによると、カンボジアの駐タイ大使が「カンボジア国内でタイの軍政に反対する活動を許さない。」と明言。カンボジアのフン・セン首相も先に同様の趣旨の発言をしていた。
タクシン派の重鎮の一人、チャクラポップ元首相府相が先に「西側の国にタイの軍政に反対する組織を立ち上げる。これを亡命政府の樹立に繋げる。」などと述べており、国家平和秩序評議会(NCPO)がチャクラポップを罪に問う構えを見せていた。
また、フン・セン首相は国外逃亡中のタクシンと以前から親交があり、「カンボジアにはタイで罪に問われたタクシン派幹部らが潜伏している。」とされることから、「カンボジアに亡命政府が樹立される。」との見方も出ていた。
ただ、関係筋は、「カンボジア政府はいまだに親タクシン。にもかかわらず、カンボジアにおいてタクシン派がタイ軍政に反対するのを許さないとしたのは、タクシンが亡命政府樹立に否定的であるからに過ぎない。」と指摘。
プア・タイ党関係筋によれば、クーデターで政権の座から引きずり下ろされたプア・タイ党では、軍政にどのように対応するかなどを巡って意見が分裂している。プア・タイ党は国外逃亡中のタクシンが実質支配しているため、軍部ではプア・タイ党幹部の動きに目を光らせている。
同筋は、「党内の意見は大きく3つに分けられる。第1のグループは、亡命政府を樹立するなどして軍政に対抗しようとしている。第2のグループは、おとなしくしているべきと考えており、また、第3のグループは、巻き返しを狙って事態を静観中。」と説明。
「第1のグループは、タクシンを亡命政府のトップに据えたいと考えているようだが、タクシン自身は乗り気ではない。」という。同筋によれば、「タクシンは、『国民の多くが軍部を支持しており、クーデターに対する外国の批判もさほど厳しくない。このような状況の中で亡命政府を立ち上げるのは得策ではない。』と考えている。」
06月08日(日)クルングテープ中心部ではクーデターに反対するタクシン派とみられる市民たちが毎週日曜日にデモを行っていたが、都内パトゥムワン区の大型ショッピングセンター、サイアム・パラゴン前(報道により都心の高架電車BTSサイアム駅周辺)で、タイ人の男性1人、スラシット・ヌアムシリ(57)と女性6人、ポーンリダ・ブテアー(36)、スモンタ・プレチャスアン(44)とピチャモン・スッコ(41)、ダラニー・サイウボン(58)、アリー・ナミアム(54)とプロイダオ・ウォングウィブロンチャイ(62)は指3本を立てるジェスチャーでクーデター反対を表明したに止まった。この者たちがすぐに抗議を止めたことから、治安要員は写真を撮影しただけで、その場では逮捕しなかったが、しばらくして、スラシットとポーンリダはサイアム・パラゴンの泉の近くで、スモンタ、ピチャモンはサイアムバス停で、ダラニーとアリーとプロイダオはサパンクワイ地区で逮捕された。
治安当局によれば、「08日14時30分からクルングテープでデモが行われる。」との情報があったという。だが、「兵士4000人と警察官2000人がデモ阻止のために動員され。る」と報じられていたこともあって、結局大規模なデモは行われなかった。
指3本を立てるジェスチャーは米人気映画「ハンガー・ゲーム」で主人公らが支配者への抵抗を示す仕草で、タイでも軍政に反対するシンボルとして使われている。
軍政に反対する市民はインターネットの交流サイト、フェイスブックなどを通じ、戦勝記念塔やスワンナプーム空港など首都圏の複数の場所で08日にデモを行うと呼びかけた。軍政はこれを受け、兵士、警官数千人を動員して警戒にあたったほか、地下鉄MRTチャトゥチャク公園駅を15時から18時15分まで閉鎖。チャトゥチャク公園駅前には反軍政派と見られる市民約20人が現れたが、3本指のジェスチャーは示さず、しばらくして立ち去った。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「タイ東部トラート県チャーン島、南部ソンクラー県ハジャイ市、南部スラタニー県パンガン島で、00時~04時の夜間外出禁止令を同日付で解除する。」と発表。
軍はクーデターで全権を掌握した05月22日、22時~05時の外出を禁じる夜間外出禁止令をタイ全土に発令。28日に外出禁止時間を00時~04時に短縮。06月03日、南部のプーケット島、サムイ島、東部パタヤ市の3ケ所について、夜間外出禁止令を解除。06日に中部ペチャブリー県チャアーム郡、中部プラチュアブキリカン県フアヒン郡、南部クラビー県、南部パンガー県で夜間外出禁止令を解除。
国家平和秩序評議会(NCPO)がインラック前政権の打ち出した、洪水防止を目的とした大型治水計画(総工費3500億B)のもとで実施中あるいは実施予定のすべてのプロジェクトを一時中止するよう命じていたことがわかった。 これはプロジェクトの見直しを目的としたもので、NCPOは プロジェクト実施に携わる全ての政府機関に対し、プロジェクト関連の情報をまとめたものを09日までに陸軍本部に提出するよう指示。
関係筋によれば、 「プロジェクトを受注した外国企業を含む業者たちは、プロジェクトの一時中止をNCPOが洪水対策に本腰を入れている証と前向きに評価しており、早い段階でプロ ジェクト再開が可能になると見ており、今のところ契約違反でNCPOを訴えることなどは考えていない。」
06月09日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)は、エネルギー価格体系の改定に向け、プラユットNCPO議長をトップとする国家エネルギー政策評議会(NEPC)を設置。プラユット議長は08日のテレビ番組の中で、「NCPOは全ての人にとって公平になるようエネルギー価格体系を改めることを予定している。」と述べた。ただ、プラユット議長は、「エネルギー改革は複雑でさまざまな側面をもっているため慎重に検討することが必要。一部で要求が出ている大幅な値下げは、輸送、生産、公共サービスなどに影響が及ぶ。」として、早い段階でエネルギー価格を大きく改めることには否定的な姿勢を示した。
NEPCは、NCPOの経済部門担当者、国防、財務、エネルギー、工業、商業5省の事務次官、国家経済社会開発委員会(NESDB)、エネルギー政策企画室、法令委員会、予算庁の代表など18人で構成される。
国家平和秩序評議会(NCPO)は米作農家が米価下落に苦しんでいるといった農業問題の解決に積極的な姿勢をみせているが、NCPOがインラック政権の導入した米融資担保制度のような従来の農民支援策を踏襲する可能性は低い。米融資担保制度は、タクシン支持者の多い農民の所得拡大を図ったものだが、数千億B単位の巨額の損失が生じている。
関係筋によれば、NCPOの米委員会の会合が開かれたが、議長を務めた、NCPOの経済担当部門のナンバー2、チャチャイ大将は、商業、農業、財務の各省、農業農協銀行などから提出された米関連の報告書に不一致が見られたことから、データを精査して再び提出するよう指示した。
この他、商業省が米価が一定レベル以下に値下がりした場合に農家を支援することなどを提案したが、チャチャイ大将は、従来のものとは異なる新しい支援策を考案するよう指示した。
2014年のミス・ユニバース・タイ代表で、容姿や過去の発言をめぐり批判を受けていたウェルリー・ディサヤブット(仇名:ファーイ)(22)が、都内のホテルで記者会見を開き、タイトルを返上。
ウェルリーは「(美しくなるため)出来る限りのことをしようと努力したが、母が、自分の娘を批判されて、眠れなくなるのをみて、両親の幸せがより重要だと考えた。」と涙ながらに話した。
ウェルリーは西部カンチャナブリー県出身で、身長170㎝、体重54.5㎏。タイ国立カセサート大学人文学部で学ぶかたわら、女優、テレビ番組の司会者としても活動中。
05月17日にクルングテープで行われたミス・ユニバース・タイ代表の最終選考会で、見事栄冠を射止めたが、会場では準ミスになったピムボンコット(仇名:エリー)さんの人気が高く、ウェルリーの名前が読み上げられると、観客の一部がブーイングしたり、「エリー」と連呼するなどした。インターネット上では、ウェルリーが「太っている。」という批判が相次いだ。「コンテスト主催者との特別な関係」を指摘する書き込みもあった。
ウェルリーはまた、インターネットの交流サイト、フェイスブックに、タクシン派市民(通称:赤服)について、「UDDは反王室派だ」、「汚れた赤服(UDD)が国からいなくなれば、タイは浄化される。」、「私はこれらの邪悪な活動家に激怒している。」などと過激な批判を度々投稿していたことが発覚し、批判を浴びた。
ウェルリーはタイトル返上に伴い、優勝賞金の現金100万Bや副賞の乗用車「トヨタ・プリウス」、宝飾品などを返還する。ミス・ユニバース世界大会には準ミスのピムボンコットが出場する見通しだが、ピムボンコットは男性と接吻する写真がインターネット上に出回り、こちらもトラブルとなりそうな雲行き。
国家平和秩序評議会(NCPO)の命令で、国会議員の選挙、政党、国民投票を規定した3法が復活。これらの法律はクーデター後に停止されていた。
ただ、NCPOは、「法律が元通りになったものの、国民和解と改革が完了するまで選挙は行わない。」と説明。また、政党法の復活で政党は再び法的裏付けを得ることになったものの、現状では政党は政治活動が禁止されている。
タクシン支持勢力の拠点の1つ、北部チエンマイ県でタクシン派グループ、ラック・チエンマイ51を率いるペチャラワットがこのほど、「国家平和秩序評議会(NCPO)が改革をどのように進めるかを見極める必要がある。」として、北部8県のタクシン派グループの幹部に活動を中止するよう呼びかける考えを明らかにした。
ペチャラワットは05月30日、NCPOの命令に応じて出頭して身柄を拘束され、06月06日に解放されたが、今は「正義を取り戻し、不平等を減らすというNCPOの意図をタクシン支持者も理解してくれるものと信じている。総選挙は1年以内に実施されるだろう。」と述べている。
クルングテープ郊外ノンタブリー県の商店の裏の草むらで、肥料袋に入ったライフル銃3丁、銃弾248発、小型砲弾1発などが見つかった。軍事政権が武器の取り締まりを強化していることから、武器の所有者が摘発を恐れて投棄したと見られている。
06月10日(火)反タクシン派グループを主導するステープが、緊急入院し手術。関係者の話では、「デモ活動中に右腕を上げる機会が多く、右肩を痛めていた。」
10日に手術を行い、数日中にも退院できる見通し。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「タイ国内17県全域と一部地域を対象に夜間外出禁止令を解除する。」と発表。
解除された地域は、ラーチャブリー県、カーンチャナブリー県、ラヨーン県、チャンタブリー県、ナコーンパノム県、ローイエット県、スリン県、ルーイ県、サコンナコーン県、スコータイ県、ターク県、メーホンソーン県、ウッタラディット県、ナーン県、プレー県、トラン県、サトゥーン県全域とペッチャブリー県ペチャブリ市、カオヨイ郡、ノンヤープロン郡、タヤーン郡、バンラート郡、バンレーム郡、ケセーンクラチャーン郡、トラート県トラート市、クロンヤイ郡、カイサミン郡、ボーライ郡、レームゴープ郡、コクルート郡、ソンクラー県ソンクラー市、サダオ郡。
NCPOは先に観光業への影響に配慮して主要観光地のいくつかで夜間外出禁止令を解除したが、状況が正常に戻りつつあることから、さらに20県で夜間外出規制を撤廃することにしたもの。クルングテープ都をはじめタクシン地盤であるチエンマイ県なども解除を検討している。
軍部が設置した、法律専門家からなるチームがこのほど、暫定憲法の草案作成を完了した。クーデターに伴い廃止された憲法(2007年制定)にかわるこの暫定憲法のもと、立法機関や、改革を推進する機関が設置されることになる。 2007年憲法は、国の最高法律諮問機関、法令委員会による草案内容の精査を経てから制定される予定。
一方、立法機関は、さまざまな職種から選ばれた150人で構成される。このほか、暫定憲法がその役目を終えたのち、新憲法が制定されることになるが、改革推進機関の主要任務の1つが、新憲法の草案作成を担当する委員会の設置。同委員会は、改革推進機関、暫定内閣、立法機関、NCPOの代表35人で構成される。
また、新憲法は、改革推進機関の承認を経て制定される予定だが、2007年憲法の制定とは異なり、国民投票は行われない予定。
軍部はクーデターに伴い、戦闘用武器を用いた政治絡みの闘争がエスカレートするのを回避するため、これら武器の不法所持を厳しく取り締まり、これが成果を上げていることから、警察当局も武器、薬物、賭博を取り締まるキャンペーンを06月11日に開始。
軍部による取り締まりでは、武器を隠し持っていた者が逮捕を恐れて投棄したとみられる武器、弾薬などが国内の複数か所で発見されている。
また、警察のキャンペーンについて、ワチャラポン警察庁長官代行は、「国民が安全に生活できるよう最善を尽くす。武器の発見は逐一軍部に報告し、また、武器が犯罪に使用されたものかをチェックする。」と説明。
なお、軍部は先に不法所持の武器を11日までに当局に提出するよう呼びかけていたが、この期限を25日まで延長することを決めた。期限後に武器所持が判明した者は禁錮2~20年の刑が科せられる可能性がある。


55章  軍事政権=国家平和秩序評による権力の掌握への軌跡
06月11日(水)プア・タイ党は、陸軍から政治活動の禁止命令が出されたことを受け、「党本部を臨時閉鎖する。」と発表。
党本部の臨時閉鎖は政治活動を著しく制限されたことから、「運営コストを削減する必要がある。」とし、今月16日から閉鎖する。党本部は都内ペップリー通のOAIタワー1階。
移動体通信2位のトータル・アクセス・コミュニケーション(DTAC)の親会社であるテレノールグループが、一部メディアに対して先月28日に「軍事政権からフェイスブックへのアクセスを規制するよう指示された。」と明かしたことから、国家放送通信委員会(NBTC)からDTACへの批判が出ている。
NBTCのセータポン副会長は、今回親会社が一部メディアに漏らした情報について、「現在の状況下で明かす内容でなくマナー違反だ。」と批判し、「今後DTACの外国人による株式保有比率を詳しく調査する必要がある。」とDTACへの締め付けを強化する考えを示した。「今後外資規制に引っ掛かることが判明した場合、4G帯域の参加権利を剥奪することもあり得る。」と語っている。
DTACは、以前からテレノールグループが上昇するノルウェーやシンガポールの証券取引所への報告書で、タイで規制されている外資出資比率の上限49%を越える記載をしており、業界3位のトゥルームーブから違法と訴えられるなど問題になっていた。
都内の陸軍本部で、外務省高官や17ケ国に駐在するタイの大使や総領事を集めた会合が開かれ、ここでプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が自らクーデターの必要性などを説明。プラユット議長は、国際社会で軍事クーデターに批判が出ていることについて、「軍部による全権掌握に同意できない国があり、軍部の行動に全ての国の理解を得ることができないのも承知している。同意しない国に我々が反論したり抗議したりする理由がないこともわかっている。だが、我が国は理解が得られるよう努力する必要がある。」などと述べ、タイの対外イメージ改善のための外交努力が不可欠との考えを強調。
今回の軍部による全権掌握について、国家平和秩序評議会(NCPO)のウェラチョン報道官は、タイ外国人特派員協会(FCCT)に集まった報道関係者に対し、「これまでにタイで起きたクーデターとはまったく異なる。」と指摘し、「クーデター」という表現を使わないよう求めた。
タクシン派のインラック政権による強引な憲法改正などに対し、反タクシン派が猛反発。大規模な反政府デモを開始したことから、昨年12月に下院が解散となったが、政府と反タクシン派の対立は収まらず総選挙で新政権を誕生させることもできず、また、対立が暴力にエスカレートし、死傷者が増加してい>た。ウェラチョン報道官によれば、「政府も十分に機能せず、法律も守られない状態となっていたことから、軍部が治安の回復などのために国の統治に乗り出さざるを得なかった。」
なお、国際社会からは批判が出ている軍部による政治介入だが、タイ国内では多くの人が軍部の動きを受け入れており、軍部が今後政治や治安の立て直しに向けてどのような道筋を示してくれるかに注目している。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、アタポン検事総長、スウィチャク議会下院事務局長、スラチャイ情報通信技術(ICT)省次官の3人を解任し、首相府次官室付に異動。3人はいずれも、05月22日のクーデターで崩壊したタクシン派インラック政権寄り。
軍はクーデター後、警察長官ら警察幹部34人、県知事13人、国防次官、法務省特捜局(DSI)局長らタクシン派の幹部官僚を解任。タクシン派の政治家、政治活動家を中心に、今月11日までに400人以上を出頭させ、多数の身柄を拘束。また、テレビ、ラジオを管理下に置き、軍政に批判的な報道を禁じている。
インラック前政権が設置した水源管理関連機関の見直しを求める声が関係者の間で強まっている。
インラック政権は2011年の記録的大洪水を受けて、再発防止のため大型治水計画(総工費3500億B)を作成し、関連プロジェクトの実施を一元的に監督する機関を設置した。
だが、タイ・エンジニアリング研究所のスワッタナ顧問などによれば、「同機関は、水利局など既存政府機関と役割が重複しており、逆に洪水対策の推進を妨げる結果を招いている。」
なお、前政権の大型治水計画については、国家平和秩序評議会(NCPO)も疑問を抱いているようで、「計画の下で進められている全てのプロジェクトを見直す必要がある。」として、その実施を一時中止するよう命じている。
2014FIFAワールドカップの試合のテレビ放送を巡る、放送事業を監督する国家放送通信委員会(NBTC)と娯楽大手のRS社の論争は、最高行政裁判所がワールドカップ放送権を有すRS側の主張を認め、全64試合のうち22試合のみがテレビで無料放送され、残りは有料チャンネルでしか視聴できないことになった。NBTCは昨年導入した規則に従い、「市民誰でも視聴できるよう地上波で全試合無料放送するべきだ。」と訴えていたが、RS社は「2005年に放映権を獲得しており、その規則には応じられない。」と真っ向から対立していた。
しかし、プラユット陸軍司令官を議長とする国家平和秩序評議会(NCPO)は、「国民に幸福を取り戻す。」とのNCPOの方針にそぐわないとして、NBTCに対し、全試合を無料で視聴できるよう検討を指示。また、「陸軍運営の地上波テレビ局、チャンネル5も無料で試合を放送する用意がある。」としており、これまで通りにワールドカップの試合を全て無料で楽しめる可能性が出てきた。
関係筋によれば、NBTCが全試合を無料放送とすることに対し、RS側は「有料チャンネルからの収入などが得られなくなり7億Bに上る損失が出る。」として、これを補填するようNBTCに要求。NBTCが現在、損失額の詳しい内訳を示すよう求めているところ。
国家平和秩序評議会(NCPO)の報道官、ウィーラチョン大佐が、タイ外国人記者クラブで講演。
ウィーラチョン大佐はいつもの軍服ではなく背広姿で登場。「軍は民主主義の破壊ではなく強化を目指している。」、「(軍によるクーデターは)国家運営の変更に過ぎない。」などとして、「クーデター」という言われ方に違和感を示した。
06月12日(木)芸能大手のRS社が獲得したサッカーの2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会の放映権について、国家放送通信委員会(NBTC)は、放送権を有す娯楽大手、RS社は予定通り一部の試合のみ無料放送とする予定だったが、NBTCとの話し合いで全試合無料放送する対価として約4億2701万5000Bを受け取ることで合意し、全64試合無料放送での放映されることを決定。
RS社はこれまで、「一部の試合を無料でテレビ放送し、残りは有料チャンネルで中継する。」と主張。最高行政裁判所もRS側の言い分を認める判決を下していた。
だが、国家平和秩序評議会(NCPO)は、「有料放送は限られた人しか視聴できず、『国民に幸福を取り戻す。』とのNCPOの方針に反する」として、NBTCに対し、全試合を無料放送できないかを検討するよう指示していた。その結果、NBTCとRS社の間で有料放送の損失補填をNBTCが支払うことが合意され、全試合が無料放送されることになった。
無料テレビでは軍が所有するチャンネル5が38試合、チャンネル7が29試合、RSのチャンネル8が56試合を放送する予定。有料テレビでは最大手トゥルービジョンズが全試合を放送。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「微笑み、愛、幸せを国民に返す」と銘打ったイベントを15日午後03~08時、都内のルムピニー公園で開催。歌手、俳優、警察の楽隊、警察犬らが出演するほか、警察・軍の医療チームによる健康診断、インフルエンザの予防接種などが行われる。食事、飲料も振る舞われる。いずれも無料。
軍事政権は公開中の歴史大作映画「キング・ナレスワン伝説5」の15日午前11時からの回の入場料をタイ全土の映画館160スクリーンで無料とする。3万5000席分で、タイ人限定。愛国心の発揚と軍政への支持取り付けが狙いと見られる。「キング・ナレスワン伝説5」は16世紀にビルマ軍を追い払いタイの独立を回復した英雄、ナレスワン大王を描いた映画の第5部。
国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長は、陸軍本部に関係各省の代表を集め、総合的な治水事業に関する基本方針を伝えた。骨子は、関係機関、住民らから意見を集め、プミポン国王の治水事業に沿った形で、総合的な対策をまとめる、国内の人的資源を活用する、2015年度予算から5~10年掛けて取り組むなど。
総合治水事業は前政権が外資にほぼ丸投げする形で入札を行ったが、軍政は政府主導で計画を練り直す考え。
タイではタクシン派インラック政権当時の2011年に、中部を中心に大洪水が発生し、ホンダ、ソニーなど日系企業約400社を含む1000社以上の工場が水没した。インラック政権はこれを受け、洪水防止と灌漑を狙った総額3500億Bの大規模な治水事業を打ち出し、昨年06月に事業者入札を実施。韓国水資源公社、支那企業とタイ企業の共同事業体などが落札。しかし、06月中に、市民団体の訴えを受けたタイ中央行政裁判所が政府に対し、事業者との契約前に環境アセスメントと公聴会を実施するよう命令。事業者との正式契約が結ばれないまま、タイの政局は反タクシン派の街頭デモで混乱状態に陥り、今年05月のクーデターでタクシン派政権は崩壊。インラック政権の総合治水事業については、タイ国内の専門家が、「河川の状況や立ち退きが必要になる世帯などの情報が不足している。」と指摘。当初応札を予定していた日本企業の共同事業体は入札条件や事業内容に懸念を示し、昨年04月に入札から撤退。
06月13日(金)国家平和秩序評議会(NCPO)は、タクシン派が優勢な北部、東北部でタクシン派組織(通称:赤服)の解体を進めている。
北部チエンライ市では、地元のタクシン派団体の解散式が行われ、軍、県庁の担当者が見守る中、タクシン派団体幹部が「タイに幸せを返すため、シャツの色を消す。」などと述べた。タクシン派団体関係者はタクシン派のシンボルカラーである赤服ではなく、黒、白などの服を着用。式典の間中、表情は硬いままだったという。
一方、英字紙バンコクポストが東北部ウドンタニー県のタクシン派団体幹部の話として報じたところによると、「軍政はメンバーの身柄を拘束するなどタクシン派団体を弾圧する一方、反タクシン派団体による政治活動は制限していない。」という。
国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長は記者会見で、「米農家を支援するため持続可能な農業開発を進める手段が必要。」と力説し、「農家が100%恩恵に与りかつ透明性を備えた支援策が必要。」との理由から、「前政権が導入した事実上の米買い取り制度である米担保融資制度を今回の収穫期で終了する。」と言明。
米担保融資制度をめぐる汚職が理由で、米農家の支援策として、生産コストを引き下げる方策を検討する。また、有機農法の奨励、協同組合システムの復活なども掲げた。
農民からはインラック前政権が実施した米担保融資制度のような従来型の米農家支援策の継続を望む声が出ているが、プラユット議長は、「今問われたら、『米担保融資制度も(民主党政権が採用した)米価保証制度も絶対に実施しない。』と答える。この件について、これ以上質問しないほしい。」と明言。プラユット議長によれば、「米農家を支援するためには、単に米を高値で買い上げたり、米価を保証したりするのではなく、農民の理解を得る形で土壌改善に向けて有機農法を促進するなどして農業生産性を高め、また、農業協同組合のあり方を見直すことなどが必要とされている。」
米担保融資制度はタクシン派インラック政権の目玉政策の一つで、政権発足直後の2011年10月に導入された。政府が市価の約4割高で米を買い取ったため、米農家には好評だったが、タイ産米は価格上昇で輸出量が激減し、2012年には1981年以来初めて米輸出世界一の座から転落した。また、政府が米の国際価格の上昇を待って売却を遅らせた結果、膨大な在庫が積み上がった。買い取り資金の大半が精米業者、輸出業者、政治家、大規模農家に渡り、汚職の温床になっている。」という指摘もあった。
今年01月には、「この制度をめぐり不正が行われた。」として、タイ汚職取締委員会がブンソン元商務相、プーム元副商務相ら15人を刑事告発した。汚職取締委によると、「ブンソン元商務相らは農家から買い取った米の一部を政府間取引で支那に輸出したとしていたが、実際には米は輸出されず、タイ国内の業者に販売された。取引は帳簿に掲載されず、脱税の疑いも強い。」という。汚職取締委はまた、米担保融資制度をめぐる汚職、巨額の損失について知りながら無視したとして、インラック前首相を職務怠慢で上院で弾劾にかけることを05月に決めた。上院は05月22日のクーデターにともない廃止され、インラック前首相の弾劾は行われない見通し。
米担保融資制度は国際通貨基金(IMF)からも、財政負担が重い割に政策効果が低いと批判を浴びていた。米担保融資制度による最終的な損失額は5000億B近くに上る見通し。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「午前00時~午前04時の夜間外出禁止令をタイ全土で解除する。」と発表。
夜間の外出規制は、国軍が全権を掌握したことに伴い、軍部に反抗する動きを抑え込むなどの目的で全土に発令されたもの。その後、主要な観光地などで解除され、これまでに30を超える県と観光地で夜間外出が自由となっていた。NCPOでは、「暴力発生の兆しがなくなった。」として、「国民への負担を軽減し、観光業を促進するため、夜間外出禁止令の全面的な解除に踏み切ったもの。」と説明。
NCPOはクーデターで全権を掌握した05月22日、午後10時~午前05時の外出を禁じる夜間外出禁止令をタイ全土に発令。28日に外出禁止時間を午前00時~午前04時に短縮し、その後、南部のプーケット島、サムイ島、北部スコータイ県などで夜間外出禁止令を解除したが、クルングテープなど大半の都県では解除していなかった。
NBTのニュース制作チームの関係者が、情勢悪化を煽るような内容を報じたことで解雇。NBTは、「13日にNBTが放送したニュースが国家平和秩序評議会(NCPO)の意に反する政治情勢を悪化させかねない内容だったことから、この制作チームの責任者であるチャルーンシーを即日解雇した。」と明らかに。
NCPOは、以前から情勢を混乱させる内容を報道しないようにとテレビ各局に通達しており、場合によっては放送停止に追い込まれる可能性がある。
19時半頃都内ラーマ9世通のアソーク交差点近くで手榴弾が爆発し、自動車4台が破損。怪我人はなかった。タイ字紙タイラット、デーリーニュースなどが報じた。
国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長はテレビ演説で、09月中に暫定政権を設立し、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う考えを示した。
タイの報道関係者の多くは、「プラユット司令官が09月末で定年退官した後、暫定政権の首相に就任する。」と予想している。
プラユット議長は05月22日の軍事クーデターで内閣と国会を廃止、憲法を停止し、全権を掌握した。演説では、「軍政が直接統治する現在は第1段階で、第2段階として、09月中に(軍政が任命する)暫定政権を設立し、10月以降、暫定憲法を施行し、(軍政が任命する)国会を発足させる。」と述べた。第2段階は1年間としている。タイ政府のホームページに掲載されたこの演説のプレスリリースのタイ語版には総選挙への言及はない。英語版には「1年後に選挙を行う。」と記されている。
プラユット議長は演説で、「治安維持に関しては、戒厳令の適用をできるだけ避け、一般の法律の適用を心がけている。」と述べた。また、「(タクシン派と反タクシン派の)和解のため、住民が党派の指導者の影響を受けずに自由に話し合う場を319の村で設け、1万人以上が参加した。」と話した。
外交面では、プラユット議長本人が支那と日本の実業家と会談し、理解を得たとしたほか、国防次官代行が支那を訪問したことを明らかにした。
経済面では、「予算の監視監督委員会を設置し、10億B以上の政府事業について、汚職や事業の妥当性を調べる。」と表明。今年度(2013年10月~2014年09月)予算の執行については、不要な事業を中止させ、公務員の国外視察旅行や公用車の購入を認めない方針。来年度(2014年10月~2015年09月)予算は歳出総額が今年度比2%増の2兆5750億B、財政赤字2500億Bを見込み、タクシン派政権のようなバラマキ政策を避け、無駄な歳出を削る方針。
投資誘致については、労働集約型産業からハイテク産業に転換を進める方向で恩典政策を見直す。特にバイオディーゼル、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー、省エネに重点を置く。
教育政策については、タイの歴史、規律、倫理、公共心などの教育を重視。また、ドイツをお手本に、職業訓練教育を改革する考えを示した。
06月14日(土)国家平和秩序評議会(NCPO)プラユット議長が作詞した曲「タイに幸せを取り戻す」が話題を呼んでいる。インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブに06日に投稿され、13日までに24万回再生された。
歌詞は「国家は危機に直面している」「手遅れになる前に介入させて欲しい。」、「愛を取り戻すため」、「時間が少しかかるが、待ってもらえないか。」、「兵士は負けない。これは約束だ。」、「タイは良くなる。幸せは戻ってくる。」といった内容。クーデターで全権を掌握した強面の将軍とは思えないソフトな語り口。
タイでは昨年後半から、反タクシン派による大規模なデモが続き、政府機能の一部が麻痺。プラユット議長は反タクシン派が求めるクーデターを拒否し続けていたが、今年05月22日、ついにクーデターに踏み切り、タクシン派政権を打倒。プラユット司令官はクーデターについて、「軍の私利私欲のためではなく、国家機能と治安を回復する必要に迫られた善意の介入。」と主張。今後、タクシン派と反タクシン派の「和解」を進める一方、新憲法を制定し、2015年後半以降に民政移管の議会選挙を行う方針を示した。
軍政はクーデター後、タクシン派の政治家、政治活動家、ジャーナリスト、不敬罪に批判的な学識者ら数百人を召喚し、多数の身柄を拘束した。また、警察長官、県知事などタクシン派の幹部官僚多数を更迭。さらに、テレビ、ラジオを管理下に置き、報道内容を厳しく統制している。しかし、05月22日に発令した夜間外出禁止令は06月13日までで解除した。
一方、「微笑み、幸せを国民に返す。」と謳い、クルングテープで軍楽隊などによるコンサートを開催。国費を投じてサッカーのワールドカップの全試合を地上波テレビで放送させるなど、国民に擦り寄る姿勢も見せている。
プラユット議長は直裁的で厳しいが、質問に明快に答える。また、時折ふざけ、公用車に乗った後に手を振ったりと、人間味もあって、記者仲間の評判は上々だ。「国と王室を思い、クーデターに踏み切った。」という見方が強く、司令官自身への風当たりは、今のところ、さほど強くない。
ただ、地方住民や低所得者層が中心で民主主義を求めるタクシン派と、タクシン派の政治参加を制限したい反タクシン派の溝は深い。両派の和解が1年程度で達成できるとは考えにくく、クーデターは問題を先送りし、新憲法の内容次第では、両派の対立をさらに深刻化させる危険を孕む。
タイ軍が起こした今回のクーデターは、議会・選挙制度改革など国家制度の問題のほか、古いタイと新しいタイの国家観の相違にどう取り組むかという宿題を抱えている。
反タクシン派が理想とする従来型のタイは、倫理的に優れた国王を精神的な支柱に、「優れた」人々が国民を指導するエリート体制だ。これを象徴するのが、反タクシン派市民の一部が掲げる「リスペクト・マイ・タックス(私が払う税金を尊重せよ)。」という言葉だ。タイで個人所得税を収めているのは6000万人超の人口の10分の1以下とされる。富裕層、中産階級を中心とする反タクシン派には税金(個人所得税)を払うものだけに国政に参加する権利を与えるべき。」という意識がある。一方、地方住民、貧困層が多いタクシン派の合言葉は「リスペクト・マイ・ボート(私の1票を尊重せよ)。」1人1票の民主主義を尊重し、クーデターや司法による民選政権の転覆、デモによる選挙妨害を止めよ。」
タイは東南アジアで唯一、植民地化を免れた。19世紀後半から近代化を進め、1932年に絶対君主制から立憲君主制に移行したものの、植民地化のような国家の抜本的な変革がないまま、ここまで来た。生き延びた古いシステムや考え方の上に民主主義を接ぎ木しようとした矛盾が混乱の根底にあり、民主主義の安定的な運用を阻んでいるようにみえる。クーデターに踏み切ったプラユット陸軍司令官はタクシン派と反タクシン派の「和解」を実現し、世界的に通用する民主主義の導入を図るとしているが、そもそもクーデター自体が古い制度、考え方そのものという矛盾を孕む。
タイは膨大な土地を所有する特権階級と土地を持たない多数の貧農が併存し、政府高官や軍・警察幹部には有力者一族の名字が並ぶ。一方、普通の会社員が乗用車を所有し、フェイスブックに夢中になり、日本旅行を楽しむ時代になった。19世紀のままのタイと21世紀のタイが同居し、居心地悪そうにしているのが現在のタイと言える。
国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ副報道官は、「政治絡みとみられる暴力の再燃が認められたエリアには夜間外出禁止令を再び発令する。」と明言。夜間外出禁止令は06月13日に全面解除されたものの、その日に都内ラマ9通アソーク交差点で手榴弾が爆発するという事件が起きている。怪我人はなかったが、爆発で自動車数台と交番が損傷。 ウィンタイ副報道官は、「もし現在のような平穏を保つことができないようなら、夜間の外出を再び禁止せざるを得ない。」と述べた。
06月15日(日)国家平和秩序評議会(NCPO)が、「映画『キング・ナレスワン伝説5』を全国の映画館で一日限定(15日)無料上映する。」と発表したことで、多数の市民が各映画館に押し寄せ大混乱。都内各所の映画館で夜明け前から映画館前に並ぶ人が続出し長蛇の列となったが、無料上映は午前11時のみだったことから、座席には限りがあり、多くの人が入場できなかった。並んだ市民からの反発も大きく、現場は大混乱となった。そのため各映画館上映回数を増やしたり、上映スクリーン数を増やしたり対応に苦慮していた。 また、映画産業側からは「無料上映の回数を増やす。」という申し出があるというが、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ副報道官は、「再び無料で上映されるかもしれないが、その場合は日時を発表する。」と説明。なお、「無料上映は民間部門の好意によるもの。NCPOが強いたわけではない。」と付け加えた。
各国に駐在するタイの大使や総領事によれば、「米国を含む西側の国々は、タイ国内の政治状況が明らかになるにつれてタイへの批判姿勢を和らげている。」
駐米タイ大使は、「国家平和秩序評議会(NCPO)が総選挙の実施などに向けた行程表を発表してからは、米政府からの質問が少なくなった。こちらからもタイ国内の政治状況について必要に応じて米政府に報告をしている。」と説明。
また、米政府が当初、軍事クーデターに否定的な見方を示したことについて、駐米タイ大使は、「状況がよくわからなかったことが原因。だが、軍が今後の計画を明らかにしたことで、米政府も安心したようだ。」と述べた。
消息筋によれば、国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、国外逃亡中のタクシンに「タイの政治に関わるな。支持者に『(タクシンに)会いに来るな。』と伝えろ。」と命じた。これに対し、タクシンは、「すでに政治的な活動はしていない。」と返答した。
タクシンは、首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の刑が確定した犯罪人。だが、タクシン派、プア・タイ党の幹部たちにとってはいまだに大ボスであり、これら幹部によるタクシン詣でもたびたび報じられている。
「外国人出稼ぎ労働者は逮捕される。」との噂のため、数万人に及ぶ外国人が慌ててタイを脱出したとされるが、カンボジア人数千人がカンボジアと国境を接するサケオ県の国境通行所を通って帰国。
噂が広まることになったのは、国家平和秩序評議会(NCPO)が外国人労働者の雇用などを検討する委員会の設置を発表したことが原因とされる。
だが、外務省のサック報道官は、「近隣国とは長い友好の歴史もあり、これらの国々から出稼ぎに来た人々は、タイ経済の成長に寄与している重要な存在。『軍部が不法・合法にかかわりなく外国人出稼ぎ労働者を捕らえて強制的に国外退去させようとしている。』といった噂にはまったく根拠がない。」
また、外国人労働者の大量帰国が続いていることに対し、タイ工業連盟(FTI)からは、人手不足問題の悪化を懸念する声が出ている。なお、タイ開発調査研究所(TDRI)の労働問題の専門家、ヨンユットによれば、タイで就労している出稼ぎ外国人は約140万人、うち100万人あまりが不法就労と推定されている。
06月16日(月)早朝中部アユタヤ県ラットブアルアング区クローングプラヤバンルア区の民家を捜索し、グレネードランチャーM791丁、擲弾75発、AK-47などを押収、この家を借りていたワッタナ・スブウィチャイン(48)を逮捕。「政治抗争に絡んだクルングテープなどでの爆破銃撃事件に関与した疑いがある。」と見て取り調べを進めている。 
カンボジア人の出稼ぎ労働者が、ここ1週間で約12万2000人が一斉帰国。そのため国境の入出国管理局は大混雑となった。一斉帰国の理由として、クーデター以降、「外国人の違法労働者への取り締まりが行われる。」との噂が広まり逃れたと見られている。
国家平和秩序評議会(NCPO)の外国人労働者小委員会のシリチャイ委員長は、「外国人労働者を取り締まるというのは我々の方針ではない。」と明言し、外国人労働者が逮捕を恐れる必要のないことを強調。
ただ、シリチャイ委員長によれば、「漁業や建設業などで深刻な人手不足が生じ、近隣国の出稼ぎ労働者が必要とされているといった問題に有効な解決策が打ち出されておらず、また、関係政府機関の取り組みもまとまりを欠いており、これらの点を改める必要がある。」
このため、NCPOは先に外国人労働者の雇用などに関する問題を検討する委員会を設置。だが、これが一部で「外国人労働者摘発の準備」と受け取られ、外国人出稼ぎ労働者が慌てて帰国する事態を招いた。
ある建設会社のオーナーによれば、「カンボジア人数人が身柄を拘束され、暴行を受けた。」との噂もあって、同社で働くカンボジア人約100人が「家族が心配している。」などの理由で帰国してしまい、業務に大きな支障が出ている。
国家平和秩序評議会(NCPO)のヨンユット報道官によれば、NCPOが設置した予算検査委員会は、「透明性や費用対効果などに疑問がある。」として、今年度予算から1件当たり10億B以上が割り当てられている大型公共プロジェクト7件の内容を見直すことを決定。
これらは、タイ国有鉄道(SRT)による客車115両の購入、SRTによる機関車126両の購入、スワンナプーム空港の施設拡張、タイ空港社(AOT)による乗客検査システムの購入、エネルギー政策企画室による省エネ基金設置、TOT社による3Gモバイルネットワーク整備、国家放送通信委員会(NBTC)によるテレビ放送デジタル化に向けた割引クーポン配布の7件。予算検査委員会は見直しの結果を国家汚職制圧委員会(NACC)と会計検査院に報告することになっている。
関係筋によれば、国家汚職制圧委員会(NCPO)のもとで、輸送戦略委員会が先に、インラック前政権が打ち出した大型インフラ整備計画の総予算を当初の2兆Bから3兆Bに引き上げると提案していたが、高速鉄道の建設が棚上げされる可能性が高いことから、総予算は2兆4000億B程度とされる見通し。
また、「大型インフラ整備計画は来年から2021年にかけ実施する。」とされているが、輸送関連では、首都圏の鉄道網拡充、自動車専用道の建設、鉄道複線化などは来年度中のスタートの可能性が高い。
国家平和秩序評議会(NCPO)の社会心理部門は軍と教育省幹部の会議で、インラック前政権が目玉政策の1つとして導入した、小中学生に携帯パソコンを無料配布するプログラム「子ども1人にタブレットPC1台」を廃止。
タブレット事業は、第4地域(北部・東北部)の中学1年生に提供するタブレットPC40万2889台の購入に今年度予算から11億B以上が割り当てられ、来年度予算からも58億Bあまりが割り当てられることになっていたが、今後の購入は中止されることになった。
タブレット事業(教育省を監督)の担当者によれば、タブレット事業に割り当てられた予算は、ハイテク機器を導入して授業・学習の効率アップを図るなどの教育プロジェクトに役立てられる予定。タブレット事業の今年度(2013年10月~2014年09月)および来年度の予算、計約70億Bは別事業に回す。事業が途中で打ち切られたことで、タブレットは反タクシン派の地盤である南部や中部では支給され、タクシン派の地盤の北部、東北部では支給されないことになった。
06月17日(火)「外国人労働者は逮捕される。」との噂が流れ、11日から16日にかけ、タイで働くカンボジア人労働者十数万人が帰国。
外国人労働者が引き上げれば、建設現場などで支障が生じかねないことから、国家平和秩序評議会(NCPO)は16日の通達で、こうした噂を否定。タイ東北部、東部のカンボジア国境で出国審査を待つカンボジア人に兵士、警官が拡声器で噂を信じないよう呼びかけた。
シハサック外務事務次官は、駐タイ・カンボジア大使と話し合い、カンボジア大使館と関係政府機関を結ぶホットラインを設けてカンボジア人労働者からの問い合わせに的確に対抗することなどで合意。シハサック事務次官は、「帰国したカンボジア人については「不法就労だと安い賃金で働かされることになるため、正規の手続きを経てタイに戻って職についてもらいたい。」と述べている。
タイでは国境を接するカンボジア、ビルマ、ラオスからの労働者が建設、精米所、漁船といった「きつい、汚い、危険」の「3K」職場の主力となっている。タイ労働省の労働許可証発行数は04月時点でビルマ人103万5879人、カンボジア人19万4284人、ラオス人6万4378人に上り、不法就労者を含めると、この3国からの労働者は200万人を超える。
国家平和秩序評議会(NCPO)は06月10日に出した布告で、外国人労働者問題の政策審議委員会の設立を発表。12日にはNCPOのプラユット議長が、外国人不法就労者の登録を行うセンターを、国境の東北部ノンカイ、東部サケーオ、北部チエンライ、南部ラノーンの各県に設置する方針を示した。こうした動きに加え、「外国人労働者がタイ兵に射殺された。」といった噂が流れ、カンボジア人不法就労者を中心とする一斉帰国を引き起こしたと見られる。
NCPOは不法就労者の取り締まり強化を否定しているが、政策の方向性としては、「不法就労を正規雇用に切り替えて、身元、住所を把握し、労働者の保護や犯罪防止につなげたい。」としている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「人身取引を取り締まり、外国人出稼ぎ労働者の問題を解決する。」という計画を発表。
この中でNCPOは、とりわけ漁業分野で外国人労働者が搾取されることがないよう法律を順守するよう、また、雇用している外国人の名簿を提出するよう雇用主に命じるとともに、人身取引に関与した政府職員を厳しく罰する方針を明らかに。
運輸省関係筋が明らかにしたところによると、プラチン空軍司令官がタイのフラッグキャリア、タイ国際航空(THAI)の取締役会議長を辞任する見通し。これまで政権党だったタクシン派、プア・タイ党に起用された国営企業の取締役に辞任を促すことが狙いとされ、国家平和秩序評議会(NCPO)が打ち出した方針に沿った国営企業56社の役員入れ替えの布石になるものと見られている。
同筋は、「プラチン司令官は、20日の取締役会に先だって19日に辞表を提出すると見られている。これで、『ほかの取締役に辞任を求めながら、自分だけは現職に止まり続けようとしている。』などという批判も収まることになろう。」と述べている。
なお、国家平和秩序評議会(NCPO)で経済担当の副議長を務めるプラチン司令官は、石油・ガス最大手のPTT社の取締役でもあるが、このポストを辞するかどうかは今のところ定かでない。
国家平和秩序評議会(NCPO)は来年度予算に組み込まれる国防予算の算概算要求を来月にも発表する見通しだが、国防予算が大幅増となれば、NCPOは厳しい批判に晒される可能性がある。
国防費は、2006年09月に起きた前回のクーデターに伴い、2007年度に2006年度を33.8%上回る約1150億Bに増額され、2008年度も前年度比24.7%増の1430億Bに拡大されたという経緯がある。
2006年のクーデターまでは、国防費は年間3~5%の増加に止まっていた。なお、軍関係筋は、「来年度の国防予算は、今年度とさほど変わらないものになろう。」と述べている。
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、透明性、費用対効果、必要性などに疑問があるとして、さらに28の公共プロジェクトを見直すことを決めた。NCPOの国家予算検査委員会のアナンタポン委員長によれば、これらのプロジェクトは、今年度予算からそれぞれ10億B以上、総額400億Bあまりが割り当てられているが、中には不必要と思われるものもあり、見直しが必要とされている。
同委員会は、関係機関に可能な限り早期にプロジェクトを精査するよう指示しており、これら機関からの報告に基づいて06月中にプロジェクトの優先順位を決める予定。なお、NCPOは先に大型公共プロジェクト8件の見直しも決めている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、17日までに、放送通信事業を管理監督するタイ放送通信委員会(NBTC)に対し、周波数1800MHz帯と900MHz帯の事業者入札など4件の入札の中止を命じた。入札に不正がないか調査する。
06月18日(水)軍の担当者は、「タイの空の表玄関、スワンナプーム空港でタクシーが乗車拒否するなどの問題を解決すべく、国家平和秩序評議会(NCPO)が1ケ月以内に新しいシステムの導入を予定している。」と明らかに。
陸地輸送局、陸軍、タクシー業界関係者による、違法タクシーに関する会合が行われ、公共輸送システムを改善するというNCPOの方針に沿ったもので、NCPOは外国人旅行者の第一印象に影響するため空港でのサービス改善に優先的に取り組むことを決めた。
担当者によれば、「タクシーは遠距離の客を好み、近距離の客を敬遠する傾向もあり、スワンナプーム空港では影響力を持つ者たちが都内などに向かうタクシーサービスを牛耳り、タクシーから金を取って遠距離客を割り振ったりしている。 その皺寄せがタクシー利用者に及んでおり、乗車を拒否する、客を途中で降ろす、客に不適切な言動をするといった問題が起きている。最終的に軍が空港内に検問所を設置し、監視を強化することを決定。19日よりターミナルビル1階部分に検問所を設置し、一部の違法タクシー業者の取り締まりを行う。
この他、空港ビル4階の出発ラウンジに客を送り届けたタクシーは、これまで出発ラウンジ前で客を乗せることが禁じられていたが、今後はタクシーを待っている客がいれば乗せることができる。だが、出発ラウンジ前でタクシーが客待ちするのはこれまで通り禁止。
タイ国内の全権を掌握中の陸軍が、違法労働者の締め付けを強化する方針であることが明らかとなり、各地で本帰国する外国人労働者が急増。タイ地元紙によると、ベトナム人、ピルマ人などの外国人労働者が大量に帰国する流れが続いており、カンボジア人に至ってはここ最近の帰国者が20万人を突破。そのため、各地で関係者らが労働者不足に危機感を抱いている。
南部パッターニー県では、漁業系の労働者の100%近くがビルマ人をはじめとした外国人だが、その多くが違法労働者であったことから、取り締まりを避けるように帰国している。またトラート県でも外国人労働者の流出が続いている。トラート県商工会議所関係者の話では、県内で約3万人のカンボジア労働者が必要なのだが、1日数百人単位で帰国しており、深刻な労働者不足に陥っている。
チラサック労働事務次官は、カンボジア人労働者がとりわけ多い東部のチョンブリー県シラーチャで事業所の代表らと話し合うとともに、労働省が支援を提供できるようどの程度人手が不足しているのかを労働省に報告するよう事業所側に要請。東部では、外国人労働者の5割以上がカンボジア人。
チラサック事務次官によれば、「労働省は事業所が事業を継続できるよう他の地域から労働者を東部に移動させることなどを計画している。カンボジアに帰国した出稼ぎ労働者は10万人を超えているとされるが、その多くは不法就労者と見られている。また、この大量帰国によって農業、漁業、サービス、工業といった部門が大きな打撃を受けている。」
現在経済界から、各地で大量に外国人労働者が流出し、労働力不足に陥る可能性を懸念する声が出ている。
放送・通信事業を一元的に管轄する国家放送通信委員会(NBTC)がテレビ・デジタル放送周波数の競売から得た収入数百億Bを国庫に移すことを計画。
国家平和秩序評議会(NCPO)によれば、「この計画は、『現行法のもとではNBTCは周波数競売からの収入508億Bを適切に管理・活用できない。』と会計検査院が報告したことに伴い打ち出されたもの。」
会計検査院はまた、「同収入が国家予算に組み込まれておらず、憲法の精神にも反する。」としている。
この他、NCPOは、国営通信会社のTOTが権利料収入を増やして経営を立て直すことができるよう、2010年制定の周波数割り当て法(FAA)を一部改正して抜け穴を塞ぐことも予定している。
都内の戦勝記念塔ローター交差点とその周辺で乗り合いバンが客待ちしていることが交通渋滞の一因となっていることから、国家平和秩序評議会(NCPO)は先に、戦勝記念塔ローター交差点からやや離れた空港線マカサン駅に隣接する空き地を乗り合いバンのターミナルとすることを提案。
だが、空き地を所有するタイ国有鉄道(SRT)のプラパート総裁は、NCPOの担当者との話し合いで、「SRTは空き地の商業開発を予定している。」と、反対する意向を示した。また、プラパート総裁によれば、「バンを戦勝記念塔からマカサン駅に移動させただけでは問題の根本解決にはならない。」
06月19日(木)都内カンナーヤーオ区で、ロケット弾や自動小銃などが発見された。発見現場は東ウォンウェーン通近くの路上で、自動小銃、RPGロケット弾、拳銃などが入った袋が捨てられていた。タイ陸軍の検問などを恐れて、現場に投棄したものと見られている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「不正を排除する。」などして首都の公共輸送手段を改善する措置の一貫して、オートバイタクシーの料金基準を設定するとの方針を明らかに。
オートバイタクシーは今や料金も比較的安く庶民の足となっている。だが、警察などに影響力を持つ者が運転手たちから所場代や保護料を取っており、また、一部では「料金が高い。」といった苦情も出ている。このため、NCPOは、「これらの問題の解決を最優先課題としている。」NCPOの担当者は、「所場代などを取っているグループは30以上存在する。グループのボスは、現職や退職の政府職員(警察官や軍人を含む)。」と説明。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、労働省の幹部2人を首相府相の閑職に異動。「外国人出稼ぎ労働者が搾取されている。」などの問題の解決を図った措置の一環と見られている。左遷されたのは、雇用局と外国人労働者管理室のトップ。
NCPOの報道官は先に、「(外国人の不法就労を助けて利益を得るといった)外国人労働者絡みの不正の報告が来ている。政府職員が関与している可能性がある。」と述べていた。また、同報道官は、外務省に対し、「タイから出国しようとしていたカンボジア人8人が交通事故死した。」との一部報道についてカンボジア側に説明するよう指示したことを明らかに。
カンボジアからの報道によれば、カンボジアの内相は、「タイ軍がカンボジアに相談せずにカンボジア人の不法就労者を追い出した。」などと批判し、「交通事故死はタイ軍に責任の一端がある。」との見方を示している。 だが、同報道官によれば、関係当局は交通事故死を確認しておらず、何者かが軍を非難するために流した虚偽情報の可能性がある。
スワンナプーム空港は旅客ターミナル4階(出発ロビー)からのタクシー乗車を黙認する方針。
スワンナプーム空港は1階のタクシースタンドから通常の運賃に50B上乗せした料金でタクシーに乗車させるため、出発ロビー前の道路でタクシーが客待ちすることを禁止。わざわざ一方通行の回転ゲートを設けて、出発ロビーから外に出た人がタクシーを拾えないようにするなどしていた。
しかし、タイ軍事政権が19日から空港のタクシー利権の摘発、運転手の管理などに乗り出したことから、方針を転換。「今後も出発ロビー前でのタクシーの客待ちは原則禁止するが、客を乗せて出発ロビーに到着したタクシーに、間を置かずに空港からの客が乗り込む場合は容認する。ただ、1階のタクシースタンドと異なり、行き先や運転手名などを空港で把握できないため、安全は保証できない。」と言う。
スワンナプーム空港のタクシーは不透明なシステムや運転手の質の低さなどが問題になっている。運転手は覚醒剤や酒で酩酊していることもあり、外国人だけでなく、タイ人の利用者からも強い不満が出ている。
サック外務報道官によれば、「シハサック外務事務次官(外相代行)は、佐藤駐タイ日本大使と会ってタイの現在の政治状況などを説明した。ここで日本から、日本がタイとの協力関係を今後も維持する方針であるという確認を得た。」この他、佐藤駐タイ大使は、シハサック事務次官に対し『いつでも日本を訪れてほしい。歓迎する。』に伝えた。」サック事務次官は来月にも日本を訪問する。
05月22日のクーデターで政権を掌握したタイ軍事政権は国際社会での孤立を防ぐため外交努力を続けている。外相代行のシハサック外務次官は16日にラオを訪問したほか、クルングテープで17日に米国のクリスティー・ケニー大使、19日に佐藤重和駐タイ大使と会談。軍政トップのプラユット陸軍司令官はクーデターの3日後にバンコク日本人商工会議所の代表を都内の陸軍クラブに呼び、状況を説明。今月19日には米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、オーストラリアの在タイ商工会議所の代表と会談。
06月20日(金)タイ国際航空の取締役会で、アムポン前会長、アドゥン前警察長官ら取締役4人が辞表を提出。4人はいずれも05月22日のクーデターで崩壊した前政権寄りとされ、軍事政権から辞任圧力が掛かった模様。
タイ航空はタイ財務省が株式の51%を保有するほか、タイ政府系投資ファンド、タイ政府系銀行などが出資し、タイ政府資本の出資比率が約7割に上る。様々な利権を抱え、社内抗争や政治介入が頻繁に発生。2013年に120億B、今年01~03月に26億Bの赤字を計上するなど、経営は低空飛行が続いている。昨年は滑走路をオーバーランするなど事故が相次いだ。こうした状況を受け、昨年12月、就任して1年2ケ月だったソラチャク社長が辞任。今年03月にはアムポンが会長を退き、今年03月にプラチン空軍司令官が後任の会長に就任。
プラチン空軍司令官は、「国営企業の役員入れ替えに先鞭をつけるためタイ国際航空(THAI)の会長を辞任する。」と報じられていたが、「辞任しないことにした。」と明言。プラチン司令官によれば、「国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長から『仕事が山積しているので、会長に止まってほしい。』と言われ、続投を決めた。」
なお、プラチン司令官を除く取締役5人全員は辞任しており、プラチン司令官は「できるだけ早期に新しい取締役を任命したい。」と述べている。
国家平和秩序評議会(NCPO)が、先日発表したクルングテープ都内戦勝記念塔近くにある乗り合いバンの停留所をエアポート・レール・リンク(ARL)マッカサン駅に移転する計画について、タイ国鉄道公団(SRT)が反発。
タイ地元紙によると、SRTプラパット総裁は、「停留所の場所を戦勝記念塔からマッカサン駅に移転したとしても、移転先に負担がかかるだけで、根本的な解決にはならない。」と批判。
SRTは移転先一帯の土地を保有しており、周辺地域がさらに渋滞する上、停留所を作っても利益にならないことなどが反発の理由と見られる。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長はテレビ番組の中で、「不法就労者は社会福祉サービスの恩恵に与っていない。」と指摘して、「外国人の不法就労者が雇用主や人身取引組織に搾取されている問題を解決する必要がある。」との見解を明らかに。
また、米政府は同日、「タイをこれまでのウオッチリスト国(監視が必要な国)から人身取引問題が最も酷い国に格下げする。」とした人身取引年次報告書を発表したが、プラユット議長のテレビでの発言はこの発表以前に収録されたもの。
タイ国有鉄道(SRT)はこのほど、空港線マッカサン駅に隣接するSRT所有の空き地を乗り合いバンのターミナルとするとの国家平和秩序評議会(NCPO)の案に同意。
NCPOは、「マカサン駅にほど近い戦勝記念塔ローター交差点とその周辺で乗り合いバンが客待ちをしていることが交通渋滞の悪化を招いている。」として、これらのバンをマカサン駅の空き地に移動することを提案。これに対し、プラパートSRT総裁は当初、「空き地の商業開発計画が進められなくなる。」と反対していた。だが、NCPOが、「空き地の利用は一時的な措置。」と説明したことから、SRTの同意が得られた。
都内ワントンラン警察署の署長が、首都圏警察の作戦センターに異動。
ワントンラン区メンチャイでは19日夜、警察が違法カジノを摘発し、ギャンブル用のテーブル、カード、チップなどを押収するとともに、従業員と見られるタイ人12人、カンボジア人23人、ビルマ人2人を逮捕しており、署長の異動は懲戒処分と見られている。
手入れをした際、カジノ内には客はいなかった。
また、「違法にもかかわらずカジノが営業できているのは警察幹部などが関わっているため。」との見方が以前からあり、メンチャイのカジノについても「大物の関与」を指摘する声が出ているが、ワチャラポン警察庁長官代行によれば、「今のところ関与を裏付ける証拠は見つかっていない。」
警察は、「都内で銃器不法所持容疑のキットティッポング・チャンチュムことナン(28)を逮捕し、M16自動小銃1丁、手榴弾3個、銃弾などを押収した。」と発表。
銃器の売買が行われるという情報を?み、19日夕方、都内のガソリンスタンドでバイクに乗った容疑者を逮捕、バイクに積んであった箱からM16などを押収。さらに、ナンの供述に基づき、都内の民家を捜索し、銃弾、爆弾などを発見。
06月21日(土)国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、国営企業56社の代表を集めた会合の中で、投資額1億B以上のプロジェクトについても財務省の認可を求めるよう要請。NCPOは大型公共投資プロジェクトの見直しを発表していたが、その対象が投資が比較的小さなプロジェクトにまで拡大されることを意味している。
この他、NCPOは国営企業に対し、財務状態を改善するため、これら企業の首脳に付与されている特権についても見直しを行うよう指示。関係筋によれば、「1億B以上のプロジェクトは、すでに実施が決まっていても、受注業者との契約が済んでいないものは財務省による内容精査が必要。」
国防省はこのほど、今年度末の09月30日をもって定年退官となる、国家平和秩序評議会(NCPO)のプラユット議長(陸軍司令官)や、NCPOの重要ポストにあるタナサック国軍最高司令官、ナロン海軍司令官、プラチン空軍司令官など軍幹部役400人の名簿を発表。
発表は毎年この時期に行われているもので、政界観測筋は、「プラユット司令官の定年退官が確定したことを意味するものではない。国防省は09月30日までにプラユット司令官らの退官延期を決定、発表する可能性もある。」と指摘。また、09月中に暫定政権が設置される予定だが、同筋によれば、「考えられるシナリオは、定年退官してもNCPO議長のポストに止まって暫定政権を監督する、退官せずに陸軍司令官としてNCPO議長を続けて暫定政権を監督する、NCPOの人気が高いことを受けてプラユットが自ら暫定政権の首相に就任するの3つ。ただ、プラユット司令官自身は、NCPOが矢継ぎ早にさまざまな解決策を打ち出していることなどから評価する声が多いものの、その成果が出るかなど今後の状況次第では人気が続かない可能性もあると考えている。」
1991年02月の軍事クーデターでは、軍首脳部が「政治には介入しない。」と繰り返していたにもかかわらず、翌1992年の総選挙後にスチンダ陸軍司令官(当時)が首相を務めることが決まり、これに市民が猛反発して流血の惨事「暗黒の5月事件」が起きたが、今回のプラユット議長の首相就任には、「以前の政変とは状況がまったく異なる。」との見方が大半を占める。
最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長(元副首相)は、都内で催された夕食会の席上、集まったPDRC支持者約100人を前に、「タクシンの影響力を一掃すべく、2010年からプラユット陸軍司令官と話し合っていた。」と暴露。
ステープは、「(05月20日の)戒厳令発令の前、プラユット司令官からプラユット司令官が(南鮮製無料通信アプリ)、LINEを使い、『あなたもPDRC支持者たちも疲労困憊だ。軍部が(タクシンの影響力を一掃するという)役目を引き継ぐ。これが軍部の務め。』と言われた。」と話している。なお、ステープによれば、昨年末から05月の軍部の全権掌握までにPDRCの反政府活動に投じられた資金は総額14億Bあまり。うち約4億BはPDRCの幹部や家族から提供され、残り約10億Bは支持者からの寄付。
ステープが長く幹事長を務めた反タクシン派の民主党は2001年以降、議会下院選でタクシン派政党に4連敗中。民主党は1997年と2008年に連立の組み直しで政権を奪取したが、いずれも軍などの介入の結果と見られている。2010年には、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が当時の民主党政権を退陣に追い込もうとクルングテープで過激な反政府運動を展開したが、これは05月に治安部隊がデモ隊強制排除に踏み切り制圧されることになった。プラユット大将は同年10月に陸軍司令官に就任。ステープは当時、治安担当の副首相だった。
ステープは昨年から今年にかけてのデモで、「選挙前の政治改革」を掲げ、議会下院選を投票妨害などで阻止する一方、軍にクーデターによる政権打倒を訴えた。04月下旬にタクシン派と反タクシン派の調停に乗り出したアピシット民主党党首(元首相)も下院選の延期とタクシン派内閣の総辞職、非民選の暫定内閣の設立、政治・選挙制度改革を提案し、ステープと歩調を揃えていた。

プラユット司令官は今回のクーデターで、非民選の暫定政権と政治改革議会を発足させ、約1年かけて、選挙制度などの政治改革を推進し、その後、民政移管選挙の準備に入るとしており、ステープ、民主党のシナリオ通りの展開となっている。こうした経緯や人間関係から、タクシン派、民主派の市民の間では、ステープとプラユット司令官が裏で手を結んでいたと疑う声があり、今回の報道はこうした見方を裏付けるものと言える。
06月22日(日)タクシン派のプア・タイ党を率いてきたチャルポン元内相が先に、プア・タイ党党首を辞任し、これに伴い、党役員全員が解任。
チャルポンは、軍部による全権掌握を非難し、また、出国したまま外国に止まって軍部の出頭命令を無視し続けている。このため、チャルポンは、「このままでは党にまで咎めが及ぶと考えて、06月16日に「(軍が全権を掌握した)05月22日に遡って党首を辞任する。」と文書で党に伝えてきた。
国家汚職制圧委員会(NACC)のウィチャー委員によれば、「関連法を改正することで、公務員・政治家の絡む汚職事件への関与が疑われる民間企業をNACCが捜査できるようにすることが現在、検討されている。」
現行法では、NACCの捜査対象は公的ポストにある者だけに限定されている。だが、汚職事件に民間企業が深く関与していることが少なくないため、民間企業の取り調べができないことが捜査の障害となっている。
なお、ウィチャー委員によれば、「多くの国で汚職問題の解決に当たっている政府機関に民間企業を捜査する権限が付与されている。」
タイ字紙カオソッドなどによると、クルングテープの高架電車BTSサイアム駅とチッロム駅の周辺で、軍事政権に批判的な行動をしたとされる市民10人以上が検挙された。検挙されたのは、全体主義国家が支配する未来を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984」を読んでいた男性、「リスペクト・マイ・ボート」と印刷されたTシャツを着ていた女性ら。タイのテレビ、ラジオは軍政の統制下にあり、こうした検挙を報じていない。
外国人違法労働者の取り締まりが強化されると明らかになって以降、ビルマ人、ベトナム人、カンボジア人などが突然帰国しておりタイ国内各地で労働力不足に悩まされる状況となっているが、逆に正規でタイに入国し働くカンボジア人が増加。
タイ地元紙などによると、先週カンボジアのフン・セン首相が急遽パスポートの作成手数料を現行の124ドルから4ドルに値下げしたことで、これまでパスポート無しでタイに不法入国して働いていた人が、パスポートを取得して正規のルートでタイで働く流れになっている。現在プノンペンの人材紹介会社には職探しをする市民が殺到しており、徐々にタイにカンボジア人労働者が戻ってくるではと一部で楽観視されている。
06月23日(月)朝AK47ライフル銃および200発のM16の弾薬がチョンブリー県サタヒープ郡のスクムビット通の屋根のあるバス待合所の近くで地元住民によって見つかった。
銃や弾薬は良好な状態で、国家平和秩序評議会(NCPO)によって命じられた兵器の違法所持に対する摘発を恐れて捨てられたものと見られる。
カオソッドなどを発行するマティチョンのカンチャイ社長は軍政の出頭命令に応じず、逮捕状が出ていたが、健康状態の悪化を理由に、逮捕状が取り消された。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、「タクシンの影響力一掃について最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)のステープ事務局長と個人的に話し合ったことはない。」と述べ、ステープ事務局長の先の発言の内容を否定。ステープの発言は、2010年に当時の民主党政権の退陣を迫ってタクシン派が過激な反政府運動を展開したことを受けて、ステープとプラユット陸軍司令官がタクシン派の勢力削減を長年にわたり謀議してきたと受け取れるもの。
だが、NCPOのウィンタイ報道官によれば、「プラユット議長は、『ステープ氏と密談したことはない。、(プラユット議長は)前政権のインラック前首相からの指示で(デモ隊など)各方面との交渉にあたったが、成功しなかった。』と述べた。」
関係筋によれば、NCPOは反タクシン派の主張に沿うようにタクシン派を排除する措置を打ち出してはいるものの、国民和解の実現にも努力しており、プラユット議長は、「ステープ発言のせいで『軍部と反政府派が結託していた。』と受け止められてタクシン派が反発し、NCPOの計画遂行に支障が出るのではないか。」と危惧している。
欧州連合(EU)は、タイ軍がタクシン派政権を追放して全権を掌握したことを受け、「民主的な政権が樹立されるまで、EU・タイ間の政府関係者などの公式訪問を中止し、すべてのパートーナーシップ協定についても交渉などを棚上げする。」との声明を発表。
これに対し、タイ外務省は、「EUの決定には失望した。欧州諸国には、関係維持と長期的利益の観点から決定の見直しを求めたい。」とコメント。また、シハサック外務事務次官(外相代行)は、「EU加盟国の駐タイ大使と今回の決定について話し合う。」と述べた。
また、タイ商工会議所のポンシン副会頭によれば、「タイ・EU間自由貿易協定に関する対話が1~2年中止されると予想されるが、この間にタイ側は、協定締結のプラス面、マイナス面を詳しく検討するとともに、EUがこれまでに外国と締結した自由貿易協定について比較・検討することが望まれる。」
06月24日(火)05月22日のクーデター後、軍の出頭命令を拒否して行方をくらましたタクシン派政党プア・タイ党のチャルポン党首(前内相)は、チャクラポップ元首相府相とタクシンの側近2人とで「軍事政権に抵抗する組織を発足させた。」と発表。また、軍部を批判言動でプア・タイ党に影響が及ぶのを避けるため既に党首を辞任。組織の名称は、人権と民主主義のための自由タイ組織(FTHD)(タイ語通称、セーリータイ)。
チャルポンはすでにタイを出国したと見られる。不敬罪に問われているチャクラポップ元首相府相も国外逃亡中。
チャルポンはインターネットに投稿した動画の中で、背広姿で声明を読み上げ、プラユット陸軍司令官によるクーデターを、「国内法にも国際法にも違反し、強盗に等しい。」、「民選政権を力で倒し」、「人権、民主主義を蹂躙した。」などと批判。「セーリータイは国際法に則り、暴力に訴えず、民主主義と人権の回復を目指す。」と謳った。インターネットの交流サイト、フェイスブックのセーリータイのページをタイ国内で閲覧しようとすると、「このウェブサイトは不適切な内容、情報を含むため、タイ情報通信技術省が閉鎖した。」という表示が現れ、閲覧できない。
関係筋によれば、前党首らは、06月24日がタイが絶対君主制から立憲君主制に移行した82年前の立憲革命の記念日であるため、抵抗組織樹立の発表の日に選んだ。また、「自由タイ」という名称を使ったのは、大東亜戦争中にタイに進駐した日本軍に抵抗した地下抵抗運動「自由タイ」に自分たちを準えたもの。大東亜戦争での反日組織「自由タイ」を名乗っているので明らかなように、タクシン派やプア・タイ党は反日。

* チャルポン・ルアングスワン
チャルポンは1946年生。チュラロンコーン大学行政学修士。タクシン政権(2001~2006年)で法務次官、労働次官などを歴任し、定年退官後、タクシン派政党に加わった。2011年の下院総選挙ではプア・タイ党の比例代表11位。総選挙後発足したタクシン派インラック政権(2011~2014年)で運輸相、内相を務めた。
タクシン派抵抗組織、人権と民主主義のための自由タイ組織(FTHD)発足の発表について、NCPOのウィンタイ報道官は、「外務省は諸外国に対し、『現在の状況下でこのような組織を設置するのは不適切。』と説明し、この動きに協力しないよう呼びかけている。ほとんどの国は、自国内で混乱が生じる恐れがあるため、このような組織が活動するのを容認しないだろう。」と述べた。
なお、プア・タイ党の幹部の1人は、「チャルポンらが勝手にやっていること。党とは無関係。」と述べ、タクシンも支援には消極的と見られ、「抵抗組織が拡大する可能性は低い。」との見方が支配的。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「有力者による不正などの問題を解決すべく首都圏のタクシーサービスを適正に管理する体制を2ケ月以内に作り上げる。」との計画を明らかに。
NCPOの担当者によれば、計画では、①関連法を厳格に施行してタクシーサービスに有力者が介入できないようにする、②適正なタクシーサービスを提供できるよう法律・規則を改正して当局の権限を強化する、③適正なサービス提供を持続できるよう努力するという3段階で実施される。
また、首都圏警察はこのほど、「多数の露天商が歩道で商売し、歩行者に迷惑が掛かっている問題を解決するため、人通りの多い都内5ケ所で露天商を規制する措置を来月にも実施する。」と発表。
関係当局の発表によれば、軍と警察の合同捜査チームが、東北タイの玄関口、ナコーンラチャシマー県で戦闘用武器の不法所持容疑でノッパドン・ペッチマダン(42)を逮捕。M16やAK47といった自動小銃9丁、M79グレネードランチャー1丁、各種の銃弾や擲弾を押収。
警察によれば、タクシン派が東北部で武装闘争を計画しているとの情報について捜査していたところ、この男の存在が浮上してきたもの。
サムットプラカン地方裁判所は、「プレジデント・アグリ・トレーディング社が7年前に受注した政府の米取引で1億4540万B相当の米を着服した。」として当時プレジデント・アグリ・トレーディング社の社長で、米取引の大物、アピチャートに禁錮3年の有罪判決を言い渡した。アピチャートは判決を不服として控訴する姿勢を見せている。
アピチャートはタクシン首相やワタナー商業相(ともに当時)と昵懇の仲とされていたことから、「米取引の受注にも特別な計らいがあった。」との批判が出ていた。
米国務省のスコット・マーセル東アジア太平洋局主席副次官補は
、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会で、05月22日のクーデターで軍事政権が発足したタイの現状について答弁。 マーセル主席副次官補は「過去10年タイで続いている政治的社会的な混乱について、最も単純化すれば、タクシンの支持派と反対派の対立で、社会、経済、地理的な要因が絡み合っている。」と指摘。今回のクーデターについては、「政治家、学識者、ジャーナリスト、反軍政デモ参加者らの身柄を拘束し、メディアの検閲を強化するなど、タクシン政権を追放した2006年のクーデターより抑圧的で、前回よりも軍政による統治期間が長くなる。」という見通しを示した。軍政がタクシン派と反タクシン派の和解を掲げていることについては、「クーデターと抑圧で和解が達成されるとは見ていない。」と述べた。また、「軍政がタクシン派の官僚、国営企業幹部の更迭を進める一方、通信事業などで外資規制の強化を検討している。」米国の外交姿勢については、「選挙で指導者、政策を選ぶ民主主義の原則を支持し、クーデターへの反対を重ねて表明してきたと説明。クーデター後、タイに対する安全保障関連の支援470万ドルを凍結し、高官の交流、軍事演習、軍と警察の訓練プログラムを停止した。」と述べた。
欧州連合(EU)が23日の外務理事会で、タイとのパートナーシップ協力協定調印を見送り、相互の公式訪問を取り止めることを決めたことについて、外務省のシハサック次官は、ミゲル・サンズ駐タイEU大使を外務省に呼び、EUの対応に失望を表明。EUに対し、タイの情勢に関する一層の理解を求めた。
タイで05月22日にクーデターが起き、軍が政権を掌握したことに対する制裁で、EU加盟各国はタイとの軍事協力も見直す方針。EUはタイ軍政に対し、選挙による民主主義と憲政への早期復帰、人権の保護などを要求している。
タイの2大政党のひとつである民主党のアピシット党首(元首相)が活動を活発化。20日にケニー駐タイ米国大使と会談したほか、同日、米有名大学の教員、学生らと懇談。24日にはノードゴード駐タイ・ノルウェー大使と会談。
アピシット党首は05月22日の軍事クーデターで身柄を拘束されたが、数時間後に解放。拘束が数日間に及んだインラック前首相とは対照的。2大政党のもう1つであるプア・タイ党のチャルポン党首(前内相)は軍事政権の出頭命令を拒否して地下に潜伏し、24日、インターネット上で、抵抗組織の発足を発表している。
昨年10月~今年05月のクルングテープでの大規模な反タクシン・反政府デモを指揮したステープ元副首相(64)が、デモ開始以来初めて、地元の南部スラタニー県に帰郷し、スラタニー空港で支持者数百人の出迎えを受けた。支持者らはステープに花を渡したり、一緒に記念撮影。
今回のデモでは民主党幹部の財閥関係者らの先頭に立ち、タクシンやその支持層である東北地方住民らに対するクルングテープの中間層の反感を巧みに盛り上げ、一時は街頭デモに数十万人を動員。01~03月にはクルングテープの主要交差点を占拠。官僚からもかなりの支持を集めた。最後には、当初から望んでいた軍事クーデターでタクシン派政権が崩壊し、デモ隊が目標としていたタクシン派政権追放を実現。
06月25日(水)東北部ナコーンラチャシマー県でノッパドン・ペッチマダン(42)が大量の武器・弾薬の不法所持容疑で逮捕された事件で、警察当局は、 背後にいるとみられる資金提供者を特定すべく捜査を進める方針を明らかに。
ノッパドンは、民間企業の社員で、また、副業でも収入を得ていたとされるが、 警察は、「武器や弾薬は新品であり、容疑者が自分の金で購入したものとは考えられない。資金提供者を特定できれば、武器・弾薬を集めさせた黒幕も明らかに なる。」と説明。これらの武器・弾薬は、軍部の全権掌握に反対する武闘派のタクシン支持者らが武装闘争に用いようとしていたものと見られている。
タイ軍と米軍がタイで主催している合同軍事演習「コブラ・ゴールド」について、米議会で「来年もタイで実施すれば、タイ軍による全権掌握、国家統治を認めることになる」などとする批判意見が出たことに対し、国家平和秩序評議会(NCPO)のプラチン副議長(空軍司令官)は、 「演習実施は、主催国のタイと米国双方の利益になっている。他国で実施すれば、タイも米国も不利益を被る。」と述べ、「演習を引き続きタイで実施すべき。」との考えを表明。
また、軍関係筋によれば、「タイという東南アジアの要衝で合同軍事演習を実施することは米国にとって大きなメリットがある。このため、 『実施国変更』は単なるポーズにすぎず、実際に米国が他国で実施することは考えにくい。」という。
コブラ・ゴールドは1982年から毎年行われており、 今年は02月にタイ兵約4000人、米兵約9000人のほか、シンガポール、日本、南鮮、インドネシア、マレーシアの部隊によって実施された。また支那軍が初めて参加。
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、暴力や王室批判を煽るような虚偽情報の流布を防止するため、メディアを監視する5つの委員会を設置することを決定。NCPOの担当者によれば、委員会は、警察、陸海空3軍、外務省、首相府、政府広報局などの代表で構成される。それぞれの委員会が、ラジオ・テレ ビ番組、印刷物、インターネット上での発言、外国メディアなどをモニターし、その結果をプラユットNCPO議長に報告。
NCPOの担当者は、「発信された内容が公正なものである限り、法的措置は執らない。」と述べている。だが、報道関係者からは、「我々報道のプロは、クーデターや王室を批判しないよう慎重な報道を行っており、NCPOによる報道規制は、NCPOのイメージを悪化させるだけ。」といった批判も出ている。
国家平和秩序評議会(NCPO)№2のプラチン空軍司令官(NCPO副議長)は、寧賦魁駐タイ支那大使と都内の空軍本部で会談。
プラチン司令官は軍政の経済政策を説明。寧は「タイは支那の友好国であり、タイの政治安定と経済発展を希望する。」などと伝えた。
クルングテープ中心部のラーチャプラソン交差点。ここに店舗を構える商業施設などからなるラートプラチャプラソン・スクエア商取引協会(RSTA)のチャイ会長はこのほど、「国家平和秩序評議会(NCPO)が国内状況の正常化に努めていることを国際社会に示すためにも、NCPOは外国人観光客を呼び込み、小売業を促進する措置などを打ち出す必要がある。」との考えを表明。具体的には、①外国人が安全に国内を旅行できることをアピールする、②外国人のショッピングに特典を付与する、③ファッション製品の材料の輸入税を減税してタイ・ブランドの製品の競争力を強化するなどの措置が望まれる。
国家平和秩序評議会(NCPO)は会合で、報道統制を強化する方針を打ち出した。安全保障や治安維持を脅かす情報、王室、王位継承者、王族への憎しみを引き起こす内容などの取り締まりを強化するため、ラジオ、テレビ、印刷媒体、ネット媒体、外国メディアのそれぞれを監視する5つの作業部会を設置。
タイ・ジャーナリスト協会は、軍政の動きに対し、不快感を表明し、報道の自由を尊重するよう訴えた。
06月26日(木)国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、市民の不平・不満、苦情、提案、要求、意見などを受け付けるた4めつの窓口を開設。これらは、NCPOが設けたウェブサイトに書き込む「www.1111.go.th」、電話による「ホットライン・コールセンター1111」、切手不要の郵便による「私書箱1111」、本人が直接出向いて意見などを伝える「コンタクトセンター」(所在地・政府合同庁舎ゲート4)。
関係筋によれば、「NCPOが諸問題に前向きに取り組んでいることから、大勢の市民がプラユットNCPO議長の執務する陸軍本部に陳情に訪れている。このため、NCPOは、市民がNCPOに意見などを伝えやすくしようとホットラインなどを開設することにしたもの。」
国家平和秩序評議会(NCPO)はこのほど、政府汚職対策委員会(PACC)に対し、軍人による汚職の摘発にも力を入れるよう要請。NCPOの担当者は、「我々軍人も法律を守らなければならない。PACCに対しては、軍による武器調達に汚職がなかったかも検証するよう要請した。」と述べている。
なお、汚職を撲滅するために制定された法律では、政府機関や国営企業に10万Bを超える物品やサービスの購入において汚職防止のため価格の公表が義務づけられている。
米国が先にタイを人身取引問題が最も酷い国の1つとしたことについて、国家平和秩序評議会(NCPO)幹部のパイブン陸軍司令官補はこのほど、「法律の施行が不十分であり、汚職が問題解決を妨げていた可能性がある。」NCPOの法律問題担当部門のトップであるパイブン陸軍司令官補によれば、「治安機関の代表などが近く、効果的な問題解決策を打ち出すために話し合うことになっている。タイに関しては、不法就労の外国人出稼ぎ労働者が非常に多く、また、政府職員が不正に関与していることなどが大きな人身取引問題とされている。長期にわたる慢性的な問題だが、解決する必要がある。」と述べた。
国家平和秩序評議会(NCPO)は100万人を超えるといわれるビルマ、カンボジア、ラオからの不法就労者に労働許可証取得を促すため、労働許可証発行業務を一括して行うワンストップセンターを国内の全都県に設置する方針。
第1弾として、東部サケーウ県、トラート県、チャンタブリー県、東北部スリン県のカンボジア国境4ケ所に労働者登録センターを開設し、業務を開始。センターでは就労を希望するカンボジア人の身元、職歴などを登録し、健康診断を行い、暫定的な労働許可証を発行。タイ人雇用者は暫定的な許可証の発行から60日内に、労働者を雇用する都県で正規の労働許可証を取得する。
06月30日には、タイ水産業の拠点で外国人労働者が多い中部サムットサコン県に登録センターを開設し、不法就労のビルマ人、カンボジア人、ラオ人に暫定労働許可証を発行。雇用者に正規の労働許可証を取得させ、欧米が強く批判している、外国人不法就労者の漁船での「奴隷労働」の取り締まりを目指す。
タイでは国境を接するカンボジア、ビルマ、ラオからの労働者が建設、精米所、漁船といった「きつい、汚い、危険」の「3K」職場の主力となっている。タイ労働省の労働許可証発行数は04月時点でビルマ人103万5879人、カンボジア人19万4284人、ラオ人6万4378人に上った。ただ、労働許可証取得の手間やコストを嫌う雇用者も多く、100万人以上の不法就労者が存在する。」と見られている。
このうちカンボジア人の不法就労者は、タイ軍政が不法就労者を取り締まるという噂から、06月中旬から下旬にかけ、約20万人が帰国した。タイ東部などでは建設業、観光業などで労働者が不足し、大きな打撃を受けた。
「タイ国内の不法就労者は売春、漁船での奴隷労働などで収奪されている。」という指摘がある。米国務省は世界の人身売買状況に関する2014年版の報告書で、タイの評価を、これまでの4段階評価の下から2番目から、制裁対象となりうる最低ランクに引き下げ、「軍、警察、官僚が人身売買に関与している。」と批判。
NCPOはこれに対し、「(人身売買に対する)タイの取り組みを理解していない。」(シハサック外務次官)などと失望を表明。一方で、今回のセンター設置にみられるように、外国人労働者を制度内に取り入れて、人身売買組織を排除する動きも見せている。NCPOトップのプラユット陸軍司令官は20日のテレビ演説で、外国人不法就労者問題に触れ、不法就労者がタイで仕事を続けることを当面認める一方、就労許可の取得手続き、費用などを見直し、不法就労者を減らす方針を示した。
06月27日(金)国家平和秩序評議会(NCPO)は、来年10月頃には総選挙を実施し民政に復帰する見通しを明らかに。
NCPOのプラユット議長は、現在専門らを集め暫定憲法の草案の作成を進めており、来月中にも暫定憲法を公布、09月には暫定政権を発足できるとし、来年10月頃には総選挙を実施し、軍事政権から民主化される見通しとテレビ演説を通じて国民に語った。
チュラロンコーン大学の卒業式で卒業生代表で政治学部卒業のチパット・クリダコーン(28)♀が、反タクシン派デモ隊に度々参加し物議を呼ぶ発言をしていたことが明らかとなり批判が集まっている。
チパットがフェイスブックに投稿した内容は、「我々は戦うべきです、みんなが平等ではないことを明らかにするまで革命すること、悪人は善人と対等になるべきではない、そして愚民は賢民と対等になる権限も必要はない。」と1人1票の民主主義を否定する内容とも取れるもので、多くの市民から批判が集まっている。
チパットは反タクシン派の人民民主改革委員会(PDRC)の共同代表で、シンハビール、チャーングビールのブンロート醸造の相続人だが、過激な発言のため、ビールの営業に影響があることを恐れた父親サンティ・ピロムパクディー、ブンロート醸造社長は、一族の姓の「ピロムパクディー」を名乗らさせず、母親の旧姓の「クリダーコン」に改姓させた。
06月28日(土)国家平和秩序評議会(NCPO)は、警察高官、県知事らに続き、国営企業でもタクシン派の粛清を進めている。
空港運営会社エアポーツ・オブ・タイランド(AOT)では、タクシン政権で報道官を務めたシター会長ら取締役5人が、タイ国際航空ではタクシン派のアドゥン前警察長官ら取締役4人が辞任。この他に辞任したのは、港湾公社(PAT)のカムロンウィット会長(前首都警察司令官)、タイ国鉄(SRT)のブンソム会長(チュラロンコーン大学工学部長)、タイ電車公社(MRTA)のラチャニー会長、国営石油会社PTTのパーンプリー会長と取締役2人、政府宝籤局のアタクリット会長(警察少将)、タイ発電公社(EGAT)のアンチャリー会長、クルンタイ銀行(KTB)のウォラウィット会長と取締役4人、倉庫公社のパイロート会長、政府住宅銀行のアーパトラー取締役など。
国営企業の取締役ポストは軍・警察高官、官僚、政治家らが多額の副収入を得られるため、政権交代に伴い頻繁に入れ替えが起こる。ただ、今回は軍政がタクシン派の影響力排除を目指していることから、異例の大量辞任となった模様。
06月29日(日)05月のクーデターで全権を掌握したプラユット陸軍司令官はテレビ演説などを通じ、政治、司法、経済、教育に渡る幅広い改革に取り組む姿勢を見せている。しかし、具体的な内容は不透明で、プラユット司令官が自ら区切った1年の間に広範な改革を成し遂げられるかどうかには疑問符がつく。また、時間を区切ったことで、次回の選挙でタクシン派の復活を予想する官僚らが改革に真剣に取り組まない可能性もある。
プラユット司令官は今後の日程として、09月までに暫定政権を設立、暫定憲法を施行し、(軍政が任命する)国会を発足させ、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う方針。自身が暫定政権の首相に就任するかどうかは明らかにしていない。治安維持に関しては、「戒厳令の適用をできるだけ避け、一般の法律の適用を心掛ける。」
経済面では、予算の監視監督委員会を設置し、10億B以上の政府事業について、汚職や事業の妥当性を調べる方針。今年度(2013年10月~2014年09月)予算の執行については、不要な事業を中止させ、公務員の国外視察旅行や公用車の購入を認めない。来年度(2014年10月~2015年09月)予算は歳出総額が今年度比2%増の2兆5750億B、財政赤字2500億Bを見込み、タクシン派政権のばらまき政策を避け、無駄な歳出を削る。投資誘致については、労働集約型産業からハイテク産業に転換を進める方向で恩典政策を見直す。特にバイオディーゼル、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー、省エネに重点を置く。教育政策については、タイの歴史、規律、倫理、公共心などを重視。ドイツをお手本に、職業訓練教育を改革する考え。
前政権の主要政策のうち、事実上の米買い取り制度である米担保融資制度は今回の収穫期で終了。同制度をめぐる汚職が理由で、米農家の支援策として、生産コストを引き下げる方策を検討。また、有機農法の奨励、協同組合システムの復活なども掲げた。洪水防止、灌漑を目的とした治水事業については、関係機関、住民らから意見を集め、プミポン国王の治水事業に沿った形で、総合的な対策をまとめる、国内の人的資源を活用するといった基本方針を打ち出した。前政権はホンダ、ソニーなど1000社以上の工場が水没した2011年のタイ中部大洪水の再発防止を掲げ、総額3500億Bの大規模な治水事業を打ち出した。昨年06月に入札を実施し、韓国水資源公社などが落札したが、政局の混乱で正式な契約には至っていない。前政権は外資に事業をほぼ丸投げする形だったが、軍政はタイ国内の組織、人材を活用し、計画を練り直す考えの。小学1年生全員にタブレット端末を無料で支給する政策も廃止が決まった。タブレット事業の予算約70億Bは別事業に回す。周波数1800?帯と900?帯の事業者入札は不正の有無を調査するため延期する。
06月30日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)の和解改革委員会(CRR)が、国家改革を実現すべくさまざまな政治勢力と話し合いを行っている。CRRの委員長、スラサック国防事務次官は、 「これまでにプア・タイ党、民主党、人民民主改革委員会(PDRC)、反独裁民主主義同盟(UDD)の代表らと話し合いを行った。」と述べ、「改革について1000件以上の意見がCRRに寄せられている。」と明らかに。これらの意見をまとめたものがプラユットNCPO議長に報告される予定。
なお、UDD関係筋によれば、「CRRとの話し合いではUDDの代表に10分程度しか発言の時間が与えられておらず、UDDからは、『我々が話し合いに参加することに意味があるのか。』、『NCPOは不誠実。』といった不満の声が上がっている。」
シハサック外務事務次官(外相代行)は、「国家平和秩序評議会(NCPO)の命令を無視して未だに出頭していないタクシン派幹部に対し外務省が旅券を無効とする措置を執った。」とを明らかに。これら幹部には、チャクラポップ元首相府相やチャルポン前プア・タイ党党首などが含まれる。
シハサック次官によれば、「軍事裁判所が逮捕状を発付したことに受け、外務省は規則に基づき、06月26日にこれら幹部の旅券を無効とした。」同規則では、「逮捕状が出た容疑者については旅券を無効とすることが可能。」とされている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、外国人出稼ぎ労働者の不法就労問題の解決策の一環として、外国人労働者登録センターを、漁業、水産物加工の拠点であるサムットサコン県に開設。
100万人を超えるとみられるビルマ、カンボジア、ラオからの不法就労者を制度内に取り込み、犯罪やタイの雇用者、官憲による人権侵害の防止を目指す。センターでは労働許可証取得を希望する人の尿検査、健康診断、書類審査などを行い、2ケ月間の暫定労働許可証を発行。雇用者、国籍、身元などの確認後、1~2年間の労働許可証を発行する。 暫定労働許可証の発行手数料を従来の4180Bから1305B(健康診断料、3ケ月間の保険証などを含む)に値下げしたこともあり、開設初日は申請者が殺到。コンピュータの故障など様々なトラブルがあったが、1990人に暫定労働許可証が発行された。
06月26日に、東部サケーウ県、トラート県、チャンタブリー県、東北部スリン県のカンボジア国境4ケ所に労働者登録センターを開設。今後、全都県にセンターを設け、不法就労者の削減を図る。
NCPOによれば、「不法就労は、雇用側につけ込まれて労働者が搾取されるという人身取引問題を引き起こしており、当局への登録を行わせることで不法就労者を減らすことが必要。」
国家平和秩序評議会(NCPO)は、ソムチャイ運輸省次官、チョート天然資源環境省次官を首相府付顧問に左遷し、財務省などで局長クラスの人事異動を行った。
一方、タイ観光庁(TAT)とタイ・コンベンション&エキシビション事務局の会長を兼任するペンスダーが06月27日、辞表を提出。
07月01日(火)国境侵犯などの罪で3年以上にわたりカンボジアで獄に繋がれていた反タクシン派組織、民主主義市民連合(PAD)の分派であるタイ愛国者ネットワーク(TPN)のウィーラ・ソムクワムキットが、カンボジを訪れたシハサック外務事務次官(外相代行)が「人道的対処を望む。」とのプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長の要請を伝えたことに伴い、シアヌーク前カンボジア国王の死去から1年に伴う恩赦によって釈放され、02日のフライトでタイに帰国予定。
ウィーラとパニット・ウィキットスレ民主党議員(当時)らは2010年12月、タイ・カンボジア国境を訪れた際、「カンボジア領に侵入した。」などの理由でカンボジア兵に捕らえられた。このうち5人は執行猶予付きの刑でタイに帰国したが、ウィーラの女性秘書ラトリー・ピパタナパイブーンが懲役6年、ウィーラが懲役8年の実刑判決を受けた。ラトリーは昨年、シアヌーク前国王の死去にともなう恩赦で釈放された。
タイとカンボジアは両国国境にある山上遺跡カオ・プラウィハーン(プレアビヒア)周辺の土地の領有権をめぐり、2008~2011年に武力衝突し、他の全員は昨年初めまでに釈放された。
だが、ウィーラだけはスパイ罪などが追加されて禁錮8年の刑を言い渡されたことから、カンボジア政府はこれまで刑の重さを理由にタイの釈放要求を却下していた。なお、スパイ容疑については捏造の批判もある。また、カンボジアのフン・セン首相はタクシンと親しく、タクシン支持を表明していたこともあり、また、ウィーラが反タクシン派の活動家であることから、「政治的に利用する目的で重い罪を負わせて人質に取った。」との見方も出ていた。
07月02日(水)外国人出稼ぎ労働者の不法就労問題の解決策の一環として06月30日にサムットサコン県に開設したワンストップサービスセンターが07月15日までにチャチュンサオ、アユタヤ、サムットプラカン、チョンブリー、ラヨーン、スラタニー、ソンクラーの7県にも開設予定。労働省雇用局によれば、登録手続きを行った外国人に仮の労働・滞在許可証と発行する。
また、サムットサコン県のセンター(ラオ人、カンボジア人、ビルマ人向け)では、07月02日までの3日間に2966人が登録。06月26日にスリン、サケオ、チャンタブリー3県のタイ・カンボジア国境に外国人出稼ぎ労働者向けの登録受付所が開設されており、これまでにカンボジア人3713人が登録を済ませた。関係当局の説明によれば、「センターの開設は、外国人が合法的に就労し福祉サービスを受けられるようにすることで不法就労の外国人が搾取されるのを防ぐことが狙い。」
カンボジアでスパイ罪などで禁錮 8年の刑を受けて3年以上服役した反タクシン派の活動家、ウィーラが07月01日にシアヌーク前カンボジア国王の死去から1年に伴う恩赦で釈放され、02日にタイ帰国を果たしたことについて、シハサック外務事務次官(外相代行)は、「釈放は無条件。」と述べ、カンボジアと裏取引があったとの見方を否定。

07月02日朝、プノンペン空港でタイへ帰国の途につくウィーラ・ソムクワムキット → 

釈放は、先にカンボジアを訪れた同事務次官が「人道的な対処を望む。」とのプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長の要望をカンボジアに伝えたことから実現することになった。だが、シハサック事務次官とカンボジア政府高官との話し合いの中で「カンボジアがタイで捕らえられたカンボジア人出稼ぎ労働者14人の釈放を求めた。」と報じられたことから、「カンボジア人労働者を釈放するという裏取引があった。」との見方が出ていた。
シハサック事務次官は、「カンボジアが特別な配慮を要求したという事実はない。ウィーラの釈放はタイとカンボジアの友好関係を反映したもの。」と説明。
国家平和秩序評議会(NCPO)がインラック前政権の打ち出した公共投資計画の見直しを進め、関連プロジェクトを受注した企業から計画の取り消しなどを懸念する声が出ているが、プラユットNCPO議長は、この不安を払拭すべく、陸軍本部を訪れた南鮮企業の代表らに対し、治水とインフラ整備に関する2つの大型計画の実施を確約。「これらの大型計画については、どんぶり勘定といった批判が出ていたことから、NCPOは内容を精査することにしたものの、計画の必要性は認識しており、計画を全て取り消すことなどは考えていない。」という。また、プラユット議長は、南鮮企業の幹部らに対し、「NCPOは韓国を含む外国からの投資を今後もサポートしてゆく。我々による国家統治と外国投資への支援を信頼してほしい。」と呼びかけた。
なお、大型治水計画(総投資額3500億B)では、南鮮企業がプロジェクトを受注することになったものの、昨年12月の下院解散に伴い、今年初めに予定されていた契約調印が延期されたままとなっている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、法人税、個人所得税、付加価値税(VAT)の税率を現行の水準で据え置くことを決めた。
タクシン派の前政権は2013年に、個人所得税率を5~35%、法人税率を20%に、それぞれ引き下げた。軍政はこの措置を2015年も継続する。VATの税率は景気刺激のための時限措置として、1999年04月に10%から7%に引き下げられ、今年09月末で期限が切れる。NCPOは2015年09月末まで現行の7%で据え置く。
07月03日(木)民政移管に向けた重要なステップのひとつである暫定憲法の制定は、草案の一部修正が必要なため、08月発効となる見通し。国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、NCPOが法律専門家チームの作成した憲法草案の内容を検討し、一部手直しが必要と判断したことなどを明らかに。
どの部分をどのように修正するかは明らかにされていないが、修正を経て07月末に国王陛下のご承認を求めることになるため、暫定憲法は08月に制定される見通し。暫定憲法下で暫定政権が設置され、NCPO政権下で改革が進められ、新憲法が制定される。そして、新憲法の下での総選挙で下院議員が選出され、国民の代表からなる政権が誕生する。 このほか、関係筋によれば、「暫定憲法草案の検討においてNCPO首脳からは、『大衆迎合政策に巨額の国家予算が投入されるのを防止する仕組みを、暫定政権下で暫定憲法に代わって制定される新憲法に盛り込むべき。』との意見が示された。」
インラック前政権が導入した米担保融資制度で農民から預かった米の大量紛失や品質低下が報告されていることから、国家平和秩序評議会(NCPO)の指示のもと、保管されている米の一斉検査を開始。
東北部スリン県では保管米が汚れていてコクゾウムシに食い荒らされているのが見つかった。スリン県で検査に当たっている第36検査チームの責任者によれば、害虫などが確認されたのはムアン郡(県庁所在地)のペンメン中央倉庫。第36検査チームは27ケ所を検査する予定だが、初日の検査で品質問題が明らかになったことから、第36検査チームの責任者は、「(米が紛失していないかという)量の問題より質の問題の方が非常に気がかり。」と述べている。また、東北部ブリラム県では、別のチームによって検査が行われたが、ここでも米の品質劣化が判明。
米担保融資制度は、タクシン派のインラック前政権がタクシン支持者が大多数を占める農民を支援するために導入したもの。だが、実質的には高値で米を買い取るものであったため、巨額の国家予算が投じられたことで厳しい批判が浴びせられたほか、高値故に米の買い手がなかなか見つからず、民間業者に保管を委託していた米が大量に紛失したり、品質が劣化するという問題が起きている。
国家汚職制圧委員会(NACC)のパンテープ委員長によれば、」NACCは、政治任用職や官僚の資産チェックにおけるNACCの権限を強化することを検討している。具体的には、政治家や政府高官に関連する一定額以上の金の動きについて金融機関に情報をすべて提出させる権限などをNACCに付与するというもので、これに関しては先に国家平和秩序評議会(NCPO)や金融機関の代表と話し合いが行われた。」
現行法では、金融機関に資金の遣り取りに関する情報を提出させる権限が付与されているのは資金洗浄対策室(AMLO)のみとなっている。
都内のホテルで開かれた米独立記念日を祝う米国大使館主催のパーティーに、前政権の閣僚らが出席する一方、プラユット陸軍司令官ら軍事政権幹部は招待されなかった。パーティーに出席した前政権の関係者は、チャトゥロン前教育相、キティラット前副首相兼財務相、チャチャート前運輸相、スラナン前首相秘書官長ら。ケニー駐タイ米国大使の出迎えを受けた。このうちチャトゥロンは05月22日の軍事クーデター後、軍政による出頭命令を拒否して逮捕、拘束され、現在保釈中。
脳梗塞で04月30日に67歳で死去したピーラパン前科学技術相の葬儀が、都内の仏教寺院で行われ、インラック前首相ら前政権の閣僚多数が参列。インラック前首相は同日都内のホテルで行われた米国大使館の米独立記念日のパーティーには出席しなかった。
07月04日(金)日本国兵庫県議会議員の野々村竜太郎による会見がお茶の間を賑わせているが、タイでもこの会見がネット上で取り上げられ一部で話題。

 ← 嘘泣き(声闘)と朝鮮飲み、、「この朝鮮が」発言、朝鮮式数字を表す指の使い方の野々村竜太郎(47)

タイの人気ポータルサイトでは、この会見時の報道が動画共有サイト、ユーチューブから引用する形で取り上げられている。タイ人ネットユーザーらはこのことについて、「タイでは偽爆発物探知機購入などの汚職事件なんてもうすっかり忘れ去られたね。日本ではたった三百万円程度でこんなに泣いているぞ。」というコメントをはじめ、野々村議員に対して「あんた、タイに来なよ。こっちは厚顔無恥な人が多いから、(同じように)平気な顔をしていられるよ。汚職で手に入れた金を使い、子供を海外留学させて。平民を舐めきっている。(親の汚職で金を得た子供対して)海外留学できたのは、親の汚職で得たお金だと自覚もない。」、「タイだったら何百億でも大丈夫。」と腐敗しきった国内の政治に不満を持つタイ人からのコメントが多かった。
ブラジル、イギリス、フランス、スペイン、イタリアでも笑いのネタ。朝鮮人が日本人を装って日本の威信を毀損している。ヒュンダイやサムスン、LGなどの朝鮮企業は、海外では日本企業に成りすまして宣伝、日本製であるかのように消費者を騙して販売している。海外では、ヒュンダイやサムスンによる成りすまし作戦に騙され、日本製だと信じて朝鮮企業製品を購入する消費者が多い。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、毎週金曜日放送のテレビ番組「国民に幸福を取り戻す」の中で、「タイ経済の今年の成長率を2%以上に引き上げるため、低所得者の所得を増やすとともに中小企業が銀行の融資を受けやすくする緊急措置を実施する。」と明言。
今年の経済成長率は今のところ、わずか1.5%程度に止まると見込まれているものの、NCPOは、政府系銀行に融資条件の緩和を要請して経済活動を促進するなどして経済成長に拍車をかけたい考え。この他、NCPOは、輸出を促進すべく、過剰なB 高を防いでBの安定化を図る方針。
07月05日(土)インラック前政権が米融資担保制度で農民から買い上げた米に関する調査で、大量の米が紛失したり、品質が劣化したりしていることが判明。
調査は07月03日に開始された。国家平和秩序評議会(NCPO)が保管米の調査のため設置した小委員会の責任者、首相府のパナッダー事務次官代行は、「03日と04日の検査だけで大量の米の所在が不明であることが判明した。」と指摘。また、コクゾウムシが見つかるなど品質面の問題が確認された米も多かったという。このほか、米を詰めた袋に記された整理番号が帳簿と合致しないなど杜撰な管理が多くの倉庫で見つかった。
なお、今回の検査では、約1800におよぶ倉庫に保管されている1000万tあまりの米の存在、状態が調べられることになっている。
07月06日(日)政府宝籤庁(GLO)発行の宝籤が定価(2枚1組80B)を上回る価格で販売されている問題について、プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長はテレビ番組の中で、「GLOと取扱業者の間で取り交わした契約が有効であるため、NCPOは今のところ宝籤の販売価格を80Bに引き下げることができない。」と説明。さらに、「取扱業者の存在が価格上昇に繋がっている。」として、これら業者との契約を更新しない可能性を示した。
GLOが2週間に1回発行・抽選を行っている宝籤はそのほとんどが大手取扱業者を経て販売されているのが現状で、NCPOが業者との契約を見直すことは抜本的な解決策と考えられる。だが、ギャンブル問題に詳しいランシット大学のサンシット教授によれば、「宝籤販売を巡る利権構造にメスを入れずに大手業者に協力を求めるだけでは問題の根本解決は難しい。業者との契約は1年有効。その契約の更新の便宜を図ってもらうため業者から政治家にカネが渡っていたのが現実であり、これを改めない限り、民政移管後に同じことが繰り返される。」という。
カンボジアに3年以上にわたり捕らえられていた反タクシン派の活動家ウィーラが先に釈放され、タイに帰国したのを祝うパーティーが、都内のロイヤル・ターフ・クラブで開催されたが、国家平和秩序評議会(NCPO)は、「政治集会禁止令違反に当たる。」として、ウィーラとパーティーを主催した政治グループ「ピタク・サイアム」の創設者、ブンラートの2人に出頭を命じた。
NCPOは、同パーティーの開催や出席者の発言が政治的対立を再燃させ、NCPOが目指す国民和解の障害となることを懸念したものと見られる。
300人以上が出席した同パーティーの席上、ウィーラは、「私の釈放のために誠実さを見せてくれなかった。」と述べ、民主党政権(2008~2011年)とインラック政権(2011~2014年)を批判。だが、ウィーラの釈放に尽力したNCPOから口止めされたことから、それ以上突っ込んだ政治的発言はしなかった。
07月07日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)が不法就労の外国人出稼ぎ労働者が低賃金で働かされている問題に積極的に取り組んでおり、近隣諸国がこれを評価する姿勢を示している。
具体的には、不法入国あるいは必要書類を所持していない外国人などに手数料を取って職業を斡旋する者たちが存在し、その結果、これら外国人が低賃金で働かされたり、福祉サービスを受けられなかったりしていることから、NCPOは、外国人が労働・滞在許可を取得しやすくするためのワンストップサービスセンターを各地に開設している。
ラオ、ビルマ、カンボジアという近隣3ケ国の駐タイ大使がサムットプラカン県にオープンしたセンターを視察し、NCPOの取り組みに支持を表明。サムットプラカンのほか、チョンブリー、ラヨーン、アユタヤ、チャチュンサオ、スラタニー、ソンクラーの6県にもセンターが開設された。サムットプラカン県知事によれば、サムットプラカン県で働く外国人出稼ぎ労働者は約5万人。その内訳はビルマ人約3万人、カンボジア人約1万5000人、ラオ人約5000人。
07月08日(火)軍部による取り締まりで先に発見された戦闘用武器の調達などに関与した疑いで逮捕状の出ていた元プア・タイ党幹部のマナット元陸軍第3管区副司令官が、警察庁犯罪制圧課本部に出頭し逮捕された。マナットは、武闘派のタクシン支持者たちとの繋がりが疑われていた人物。「糖尿病や眼病のため 今まで出頭できなかった。」と釈明。20万Bで保釈を申請したものの、非協力的との理由で保釈が拒否された。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、関係政府機関に対し、近隣国との国境貿易を拡大すべく、国境通行所と関連施設の拡大・改善を検討するよう国家経済社会開発委員会(NESDB)などに指示。
アーコムNESDB事務局長によれば、国境通行所は、南部ソンクラー県の2ケ所、ターク、サケオ、トラート3県の各1ケ所の計5ケ所の拡大・改善にまず力が入れられる予定。また、来年度(今年10月~)はこれら国境通行所と主要都市を結ぶ自動車道が整備される予定。
この他、NCPOは、国境貿易の促進に関連してターク、チエンライ、ムクダハンといった隣国と国境を接する県に経済特区を設けることにも並々ならぬ意欲を示している。
07月09日(水)タイ軍事政権は、外国人旅行者が多い南部プーケット島のパトンビーチに兵士ら約200人を派遣し、飲食やマッサージなどの無許可の露店を撤去した。観光地としてのイメージ回復が狙い。
兵士、地元役場職員らが浜辺を見まわっている際に、パトンビーチで物売りやマッサージなどで生計を立てている約300人が取り締まりの緩和を嘆願。
プーケットは高額なタクシー運賃、レンタルジェットスキー業者による恐喝・暴行、海での事故などが頻発し、自国民が被害にあった各国の大使館がタイ政府に頻繁に苦情を申し入れていた。軍政は06月初旬にプーケットのタクシーの一斉取り締まりに乗り出すなど、プーケットの浄化に取り組む姿勢を見せている。
都内バンナーで今年01月、総選挙の実施に反対する反タクシン団体のリーダー、スティンが射殺された事件で、警察当局は、「クルングテープに隣接するサムットプラカン県プラプラデーンで実行犯のスラキット・チャイモングコン(36)を逮捕し、スラキットの自宅から11㎜ピストルを押収した。」と発表。
スラキットは、ピストルの所持は認めたものの、犯行への関与は全面否定している。警察によれば、「防犯カメラの映像を繰り返し調べた結果、『車上にいたスティンが20mほど離れた低い位置からピストルで撃たれた。』との結論に至り、これがスラキットの特定に繋がった。」
>国連の会議に出席するため現在ニューヨークを訪問中のシハサック外務事務次官(外相代行)が、米国の有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に対し、タイ軍によるクーデターの背景などを説明。今回のクーデターについては、政治対立を解消して国内を正常化することが目的であったにせよ、選挙によって国民に選ばれたインラック政権が倒されたことから、西側の国々から批判を受けることになった。
シハサック事務次官は、同紙に対し、「タイ軍が全権を掌握したのは平和を取り戻し、民主主義を前進させるため。クーデターは、タイを国家として正常な状態にするための最後の手段だった。」などと説明。
バンコク日本人商工会議所(JCC)の古賀会頭らは、タイ軍事政権の経済担当であるプラチン空軍司令官とクルングテープの空軍本部で会談。
商工会議所はプラチン司令官に対し、「05月末のプラユット陸軍司令官との会談で要望した課題のうち、、夜間外出禁止令の解除、マスメディアへの制限の緩和、タイ投資委員会(BOI)の大型案件承認、外交・経済アドバイザーの登用、軍政による英語版ウエブサイト開設などが実施された。」と評価。
今後の要望としては、選挙による民主主義に戻るための道筋やスケジュールに基づくアクションプランを着実に実行すること@経済政策が、経済やビジネスの専門家による運営や意思決定にて行われる政府を確立すること、経済やビジネスへの介入は、経済や市民生活の安定に必要な措置にできる限り限定すること、汚職撲滅のため、税関や各種プロジェクトを含む政府の手続きについて、透明性や効率性を向上させるため、きっちりと設計された制度を導入すること。例えば、プロジェクトの承認や入札における客観的な基準を公開するほか、入札結果も公開すること。関税の分類や評価などの相違に対するペナルティについて、税関職員への報酬制度を廃止すること、AEC、2015年末までにASEAN+6で交渉が終了するRCEP、タイEU-FTAなどのFTAやEPAについて、タイがリーダーシップを取るため、海外に向かっていく積極的な通商政策を促進すること、近隣諸国とのコネクティビティを改善するため、計画や資金確保に関する必要な見直しを行った上で、道路、鉄道、ビルマへの東西経済回廊や南部経済回廊などといったハードインフラ、および、税関手続きや越境交通協定といったソフトインフラの整備を促進すること、治水計画について必要な見直しを行い、洪水対策を着実に実施していくこと、域内にて、タイをより進化したハブとするために、教育やトレーニングを通じて人材育成に努め、また、イノベーションやR&Dを促進すること、効率的なチャネルを通じて、適正価格で、安定的なエネルギー供給を確保すること、重要なサポーティングインダストリー(裾野産業)である中小企業に対して、資金調達や技術・情報へのアクセスに関して支援を行うこと、タイの国際競争力の強化を図るため、サービス業の投資促進の際に障害となるものを排除すること。サービス業の投資について、段階的に自由化を進めること、地域統括会社ROHをタイに設置する者に対して、更なるインセンティブを設けることを挙げた。
その上で、上記のような「個別の課題に取り組んでいくためにも、また、国際社会における信頼を回復するためにも、できる限り早期の民政への移管、選挙による民主体制復帰が実現することが重要である、日系企業は、この地域において長年にわたるパートナーであるタイとともに発展することに、強くコミットしていることを改めて表明する、施策の検討に際しては、政府手続きにおける透明性の確保、市場経済の尊重、経済の開放(RCEPR、FTAの推進など)による競争力強化の3点について、十分留意して欲しい。」と伝えた。
これに対し、プラチン司令官は、「民主化に向けた3段階のロードマップについて、現在は第1段階だが、順調に進んでいる今後は、平和と秩序を維持しつつ、経済の発展に努めなければならないことを認識している。また海外における信頼回復と海外投資の誘致にも努めていく、JCCが主張している『行政手続き等の透明性』、『市場経済の尊重』、『経済の開放』については、我々自身もその重要性を強く認識している。」と回答。
具体的な取り組みとして、交通輸送、エネルギーインフラ、治水対策に関する作業部会を設置すると述べた。洪水対策については、「最重要視しているが、従来の3500億Bの治水マスタープランはタイ全域を対象としておらず不十分。」と指摘し、全国を対象としたプランを作り、実行する方針を示した。「税関職員の報奨制度について、スムーズな行政手続きの支障となっていると認識している。」と述べ、「改善したい。」と話した。市場経済の尊重については、「必要以上の経済や市場への介入はするつもりはないと説明。AECやRCEPの重要性は認識している。」と述べた。サービス業の段階的な自由化については、「競争によってより高度化されると認識しており、利用者にとっても利便性が高まることになる。」と述べた。中小企業対策としては、中小企業監督委員会(委員長、プラユット陸軍司令官)を立ち上げ、技術力の向上、タイのローカルブランド育成、資金調達やマーケット拡大の支援などに取り組む考えを示した。
プラチン司令官はまた、JCCからの要望は基本的に理解できるとして、今後もJCCとの対話を続けたいという意向を示した。
07月10日(木)国家平和秩序評議会(NCPO)は、全国の知事、副知事、郡長、県警本部長などを集めた会議で、地方行政体の職員人事における県知事、郡長の権限を強化すべく関連法を改正することを決定。現在のところ、県職員の昇進などはすべて内務省が決めており、県知事などには決定権がない。
この会議で議長を務めた、NCPOの法律担当部門のトップ、パイブン陸軍司令官補によれば、「地方行政体の活動や職員の処遇については、これら行政体の責任者に裁量権を与えるのが望ましい。」また、今回の会議では、薬物乱用問題をいかに解決するかについても意見が交換された。パイブン司令官補は、会議出席者に対し、「問題解決に何が必要か報告してほしい。私が対応する。」と呼びかけた。
軍事政権は10日付けで、タイ国鉄(SRT)のプラパット・チョングサングアン総裁を解任。

被害者の少女コーチャコーン・ピタックチュンモン(仇名:ケーム)(14、報道により13) → 

今月05日、SRTの寝台車両で乗客の少女コーチャコーン・ピタックチュンモン(仇名:ケーム)(14、報道により13)が強姦、殺害された事件が直接の原因と見られる。
この事件では、寝台車担当のSRT臨時職員のワンチャイ・セーンカオ(22)が殺人、強姦などの容疑で逮捕され、犯行を認めている。プラパットは事件後、再発防止に取り組むとして、辞任を拒否していた。
プラパットは1955年生。米カリフォルニア州立大学犯罪学修士。弁護士を経て、1997~2008年にタイ電車公社(MRTA)総裁を務めた。2008年にタクシン派政党から都知事選に出馬し落選。タクシン派インラック政権当時の2012年にSRT総裁に就任。

 ← 左から強姦殺人犯ワンチャイ・セーンカオ(22)とプラパット・チョングサングアンSRT総裁

軍政は政府要職からのタクシン派追放を進めており、今回の事件前から、プラパットの解任は時間の問題と見られていた。
07月11日(金)今年03月にクルングテープやノンタブリー県で反政府デモ隊などに擲弾が撃ち込まれた事件で、警察当局は、「ナロングサック・プライアラム(31)をノンタブリー県ムアン郡の自宅アパートで逮捕し、アパートから擲弾、手榴弾などを押収した。」と発表。は国家平和秩序評議会(NCPO)が出頭を求めていた数百人のうちの1人で、逮捕状が出ていた。
ナロングサックは取り調べに対し、03月07日、27日、29日の3回にわたって反政府デモ隊などに向けて擲弾を発射したことを認めている。また、ナロングサックはその都度、都内のデパートである男から擲弾と報酬3000~4000Bを受け取っていた。
「近く暫定憲法が制定され、これに伴い戒厳令が解除される。」と見られていたが、戒厳令がこの先1年程度解除されない可能性が出てきた。
国家平和秩序評議会(NCPO)の法律担当部門のトップ、パイブン陸軍司令官補は、「暫定憲法が制定された時点で戒厳令が解除されるかはまだはっきりしていない。」と述べ、軍部が治安維持において強力な権限を有する状態がしばらく続く可能性を示唆。また、「暫定政権下で設置される暫定政権の首相にプラユットNCPO議長が就任する。」との見方が以前から出ているが、パイブン司令官補は、これに関する質問に明確な返答をしなかった。
軍部は政治対立が深刻化し、混乱がエスカレートしつつあったことから05月20日に戒厳令を発令。それでも対立解消の兆しが見えなかったことから22日、クーデターによる全権掌握に踏み切った。
タクシン派のプア・タイ党関係筋によれば、プア・タイ党の大ボスであるタクシンは07月26日に65歳になるのを祝ってパリでパーティーを催す予定。だが、プア・タイ党幹部は国家平和秩序評議会(NCPO)の許可がないと出国できないため、パーティーに出席するのは近親者のみとなる見通し。実妹のインラック前首相が出席するかは不明。
同筋によれば、タクシンはタイの近隣国にも姿を見せているが、タイの近くで誕生パーティーをすると「政治的活動」と受け取られる恐れがあることから、今年はパリでパーティーを催すことにした。
なお、タクシンは首相在任中の汚職(職権乱用)で禁錮2年の刑が確定した犯罪人だが、判決を不当として帰国して刑に服すことを拒んでいる。
軍事政権の外相代行を務めるシーハサック外務次官は、北京で支那の王毅外相、楊潔?国務委員(副首相級)と会談。
タイ外務省によると、シーハサック次官はタクシン派の民選政権を打倒した05月22日の軍事クーデターとその後の軍政に対する支那の理解に謝意を示し、タイ中関係の一層の強化に取り組む考えを伝えた。また、支那が主導し設立準備を進めている国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への支持を表明。 支那は「支那とタイの国交樹立40周年に当たる2015年に、プミポン国王の側近のプレム枢密院議長(元首相、元陸軍司令官)を支那に招待したい。」と伝えた。
欧州連合、米国、オーストラリアはクーデター後、タイとの相互の公式訪問を取り止め、軍事交流を停止するなどし、タイ軍政との関係が冷え込んでいる。こうした中、支那は外相代行に過ぎないシーハサック次官の応接に国務委員が乗り出し、厚遇が際立った格好。プレム議長らと対立するタクシンは予てから、支那政府との密接な関係を誇示してきた。孤立化する支那は今回、反タクシン派軍政の外相代行を厚遇し、プレム議長を招待することで、タイの反タクシン派勢力への影響力強化を図った。
タイ警察は、「都内トゥンクル区のマンションを捜索し、擲弾(小型砲弾)数十発、擲弾発射器1丁、自動小銃1丁、拳銃1丁、弾薬などを押収した。」と発表。武器が見つかった部屋はクルングテープで反タクシン派デモが行われていた際に、女が賃借契約を結んだ。05月の軍事クーデター後は人の出入りが途絶えていた。
07月12日(土)国家平和秩序評議会(NCPO)がタイ国内のキャンプに収容されているビルマ難民約13万人の本国送還を予定していることに対し、人権活動家などから「ビルマで難民が迫害を受ける恐れがある。」といった懸念の声が上がっている。本国送還は、プラユットNCPO議長が先に来タイしたビルマの国軍最高司令官と会談した後に発表したもの。
国家人権委員会のニラン委員は、「タイ・ビルマ両国がノン・ルフールマン原則(命や自由が脅かされかねない場所に難民や亡命者を追放及び送還することを禁止するとした国際法上の原則)に則って難民の本国送還を準備する必要がある。」と述べ、ビルマ難民が本国で迫害を受けることがあってはならないとの考えを示した。
また、チュラロンコーン大学アジア移住研究センターのスパン所長も、「ビルマ難民が本国で安全に生活できるようビルマ政府は少数武装勢力と和平交渉をして戦闘のない状態を作り出す必要がある。」と述べている。
07月14日(月)今年02月に都内で擲弾攻撃など反政府デモ隊を狙ったとみられる3件の事件が発生したことについて、ソムヨット警察庁副長官はこのほど、犯人7人を特定し逮捕状をとったことを明らかに。これらの事件では子どもを含む3人が死亡、21人が負傷。
警察は07月初めにノンタブリー県で戦闘用武器の所持などの容疑で男を逮捕したが、この男の供述などから02月の事件に関与した者たちを割り出した。
07月15日(火)最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)の事務局長として昨年末から05月のクーデターまで大規模な反政府デモを指揮したステープ元副首相が、郷里の南部スラタニー県の寺で頭を丸めて仏門に入った。出家の儀式に列席したのは限られた近親者のみだった。民主党元下院議員のテープタイが自身のツイッター上で明かした。
関係筋によれば、「反政府デモに関連して爆弾攻撃や銃撃が発生し、複数の市民が死傷したことから、ステープはこれを悼んで仏門に入ることを決めた。」という。
関係者のほとんどが出家を事前に知らされておらず、PDRC幹部も数人しか出家することについて漏らしていなかった。ステープの妻も「突然のことでわけがわからない。」と当惑していた。
一部の報道では、数週間後に還俗すると見られている。タイではトラブルを起こした政治家、芸能人などが「禊ぎ」のため短期間出家することが一般的に行われている。
02月23日に都内ラーチャプラソン地区のフランス系ディスカウントストア、ビッグCラーチャダムリ店前で擲弾攻撃により女性(59)と幼い姉弟(姉(6)弟(4))が死亡、20人以上が負傷した事件で、警察当局は、指名手配中の7人のうち、タウィーチャイ・ウィチャカム(39)、スントーン・ピプアノック(49)、チャトチャワン・プラップバムルング(45)、ソムスリー・マリット(40)の4人を逮捕。スクサン・ロムウォング(32)、カンニカー・ウォングトゥア(38)とウィチアン・スクピロム(45)の男2人、女1人は捕まっていない。
また、「M79グレネードランチャー1丁、M16自動小銃1丁、擲弾や手榴弾35個を押収した。」と発表し、現場で実行犯を伴って犯行の再現を行った。
都内サイマイ地区の民家でて擲弾攻撃について謀議。23日にピックアップトラック3台に分乗して都心部に向かい、うち1人がプラトゥーナム交差点の立体交差橋を走行中のトラックから擲弾を発射したもの。
この事件は、ラーチャプラソン地区に集まっていた反政府デモ隊を狙ったものと見られているが、今のところ背後関係はまだ明らかになっていない。
国家平和秩序評議会(NCPO)による警察機構改革に対し、一部の前議員などから懸念の声があがっている。 この改革は、法改正で警察幹部の人事権を持つ警察委員会の構成を改めるなどとしたもので、NCPOが07月14日に発表した。政権の息のかかった者が警察トップに任命されて警察が過度に政権寄りの姿勢をとることなどを回避しようとしたものと見られている。
NCPO副議長のアドゥン前警察庁長官は、「警察が適材の人材を自らトップに選ぶことが可能になる。」と指摘する一方、アタウィット前民主党議員は、「政治的な影響力の排除を評価しつつも、警察機構に対する政府の権限が弱められた結果、警察が強大すぎる権限を持つ事態が懸念される。」としている。
また、タクシン派プア・タイ党関係筋は、警察委員会に軍の代表が加わることについて、「軍はすべてをコントロールしようとすべきではない。」と批判。また、「民政移管後に政治家によって(軍が行った警察機構改革が)改められることになろう。」と述べている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、「任期満了となった地方公共団体の長や議員については選挙を行わず、新しい長や議員は選考委員会によって任命される。」と発表。国政に携わってきた政治家たちが地方政治で影響力を拡大するのを防ぐとともに、国内の政治状況を安定した状態に保つことが狙いと見られる。
NCPOの発表によれば、任期満了となった者の後任は、クルングテープ都議会については内務事務次官を長とする選考委員会、県議会などについては県知事を長とする選考委員会によって任命される。
07月16日(水)南部ナコンシータマラート発クルングテープ行の寝台列車内で13歳の少女が強姦され、プラチュアプキリカン県内の線路脇で遺体で見つかった事件で、検察は列車に乗務していたワンチャイ・セーンカオ(22)を強姦殺人容疑で起訴。初公判はプラチュアプキリカン県のフアヒン地方裁判所で22日に開かれる予定。
この強姦事件が発生後、プラパットSRT総裁による釈明会見時にワンチャイについて「下請け業者の従業員。国鉄職員ではない。」など不適切な発言があり、後にSRTのウェブサイトに「ワンチャイが06月半ばにSRTの採用試験に合格した。」との記載のあったことが判明。「責任をとって総裁は辞任すべき。」と批判が殺到。その後、現在全権を有する軍による解任命令が出され、現在総裁は空席となっている。
国家平和秩序評議会(NCPO)による地方選挙の中止に対し、一部では批判的な意見も出ている。タウィン前民主党議員は、「民主主義の原則に反するものであり、政治家としては受け入れ難い」と発言。ただ、「戒厳令下では政治的な活動が禁止されており、NCPOは地方選挙を中止する以外に選択肢はなかったのだろう。地方選挙はNCPOが改革を達成した後に再開されることになろう。」と述べた。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、官民合同委員会との会議の中で、民間部門から提出された景気刺激策5案を承認。これらは、商取引、工業開発、観光、流通、法改正などに関連するもの。これらの案については、関係政府機関が詳しい検討を行い、その結果が来月の会議に報告されることになっている。
タクシン政権(2001~2006年)の導入した医療費30B制度における医療費増額などの見直し案が先に国家平和秩序評議会(NCPO)と保健省の会議で取り上げられたことから、これに反対する意見が巻き起こっている。これに対し、保健省は「増額が決まったわけではなく、また、保健省が増額を支持している事実もない。」と釈明。 しかし、医療関係者からは、「医療費30B制度が医療機関の財政状態を悪化させ、医療サービスの低下を招いている。」として、増額を支持する意見も出ている。それによると、「医療費30B制度では1回の診察・治療に対し外来患者は30Bを支払い、保健当局から病院に約300Bが提供される。だが、実際のコストは約600Bで採算が取れない。入院の場合も実際のコストが1万~1万2000Bに上るにも関わらず、提供されるのは約6000Bに止まっている。このため、国内の約1000に及ぶ国立病院のうち約400あまりが財政難に陥っている。この他、この制度のせいで軽い風邪などでも病院を訪れる人が増加して医療スタッフは多忙を極め、本当に治療が必要な人に迅速に対応できない状態が続いている。」と言う。
仏教寺院ワット・パークナームパーシーチャルーンの住職で大僧正代行を務める高僧、ソムデートプラマハーラチャマンカラーチャーン僧は、プラユット司令官の代理として挨拶に訪れたウドムデート副陸軍司令官と会った後、記者団に対し、「これまでの振る舞い、強さからみて、プラユット司令官は首相に相応しい。」、「首相になるかどうかは司令官次第。」などと述べた。
タイ軍政は近く、「暫定政権を発足させる。」としており、プラユット司令官が自ら首相に就任するという見方が出ている。大僧正代行の今回の発言は、司令官に首相就任のお墨付きを与えた形。
07月17日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)は、「米融資担保制度の不正蔓延などについて職務怠慢があった。」、「NACCがこの制度を利用した汚職が起きており、一刻も早く中止すべきと訴えていたにも関わらず、インラック前首相がこの制度を継続したことは職務怠慢に当たる。」として、委員7人全員がインラック前首相の起訴を決定。NACCは来週にも検察当局に対し、インラックを最高裁判所に起訴するよう要請する見通し。
米担保融資制度はインラック前政権がタクシン支持者が大多数を占める農家を支援するために導入したもので、巨額の損失や不正の蔓延が指摘されていたが、適切な措置が執られなかった。タイ政府は約5000億Bの損失を発生させた。
有罪となれば、前首相は公民権5年停止に処され、5年間にわたって政治の表舞台に立てなくなる可能性が高い。
また、現在インラックは海外への渡航を禁じられているが、国家平和秩序評議会(NCPO)が07月20日~08月10日までの出国を認めたことから、一部では「軍部からインラックに対して海外亡命を働きかけているのでは。」、「インラックが外国に出たまま戻らないのではないか。」との見方も出ている。
この出国は、実兄のタクシンが07月26日に65歳の誕生日を迎えるのを祝ってパリで誕生パーティーが催されるのに合わせたもの。タクシンは2008年、 保釈中に裁判所から出国が許可されて支那北京を訪問したが、そのままタイに戻らず、現在も国外逃亡を続けている。
だが、反タクシン派のソムチャイ前上院議員によれば、「インラック前首相がタクシンのようにタイに戻らない可能性は低い。」という。その理由としては、「軍部がいずれ国家統治から退くこと、インラックの資産の大半がタイ国内にあること、NACCが議会に汚職などの時効を30年に延長するよう要請する方針であることなどが挙げられる。」という。なお、タイでは罪を犯した者が国外に逃亡しても時効停止とはならず、外国で時効成立を待って帰国することが可能。
国家汚職制圧委員会(NACC)は、放送通信事業を管理監督する国家放送通信委員会(NBTC)に対し、周波数入札を約1年間延期し、事業、入札の透明性、公平性を高めるよう法令を整備することを命じた。これにより、今年08月と11月に予定されていた第4世代(4G)携帯電話サービス用の周波数1800MHz帯と900MHz帯の事業者入札は2015年07月以降に延期される。
07月18日(金)インラック前首相は、「外国に出たままタイに戻らないのではないか。」との見方が出ていることに対し、「私はタイ国民を見捨てはしない。タイに戻ってくる。」と明言。インラックは23日午前01時に欧州に向けて出国し、08月10日までに帰国することになっている。
インラックが国家平和秩序評議会(NCPO)から出国の許可を得た直後、国家汚職制圧委員会(NACC)が米融資担保制度の不正蔓延などに絡んでインラックの訴追を決定を発表。このため、「実兄のタクシンと同じように訴追を免れるため国外逃亡するのではないか。」と一部で報じられていた。
また、インラックは、NACCの決定について、「性急な判断で、公正ではない。」と批判。
07月19日(土)国家平和秩序評議会(NCPO)が18日、「国民の間に不和を招きかねない。」といった理由でNCPOに批判的な報道などをしないようマスメディアに改めて要請したことに対し、報道機関から懸念の声が上がっている。
タイ記者協会(TJA)のプラディット会長は、「ジャーナリストはすでにバランスを考慮しながら事実を正確に報じており、また、NCPOも報道機関にルールを守らせる権限を有している。これまで以上に報道が制約されることは国民の知る権利に影響する。」との懸念を表明。
新たな「協力要請」は、対立、混乱、誤解を招きかねない不適切な内容を報じた場合、NCPOは当該メディアを閉鎖し、法的措置を執るとされており、その対象は、印刷媒体から放送、インターネットにまで及ぶとされている。 なお、NCPOのウィンタイ報道官は、「メディアはすでに協力的であり、NCPOはこれまで以上の協力を期待していない。」と述べ、「18日の発表は新たな協力要請ではなく、これまでの要請の確認に過ぎない。」と説明。
07月20日(日)チエンマイ県のスリヤ知事は、「チエンマイはもはやどんな色にも染まっていない。」と述べ、「県内から政治対立が一掃された。」と宣言。タクシン派が赤色、反タクシン派が黄色をシンボルカラーとしていたことから、「色がない」は「デモなど政治的な動きがない」との意味。
同知事は、「チエンマイにはもはや色はない。赤も黄も存在しない。あるのは緑だけ。緑といっても自然界の緑であり、軍(戦闘服)の緑ではない。」チエンマイはタクシンの出身地であり、タクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)が幅をきかせている。このため、「チエンマイ平定」は大きな意味を持つ。
だが、「チエンマイのタクシン支持者たちがおとなしくしているのは、巻き返しのタイミングを窺っているだけ。」とも考えられる。
07月21日(月)国家平和秩序評議会(NCPO)が先に軍政批判が国民の不和を煽る恐れがあるなどとして報道機関に改めて「協力」を要請したことにメディアが「国民の知る権利が侵されかねない。」と懸念を表明している問題で、NCPOの改革キャンペーン担当者のスラサック国防事務次官が、タイ記者協会(TJA)の代表と会って話を聞いた。
プラディットTJA会長によれば、「協力要請」にメディア側から批判的な意見が出ていることから、プラユットNCPO議長がスラサック事務次官にメディアの声に耳を傾けるよう指示したものという。このため、関係筋は、「NCPOが報道規制を緩める可能性がある。」としている。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、投資政策の策定や投資案件の認可を担当する「タイ投資委員会(BOI)をタイ工業省傘下からタイ首相府の管轄下に移行させる。」と発表
国家平和秩序評議会(NCPO)は22日から27日にかけ、都内の王宮前広場周辺で、「国家に幸福を返す和解フェスティバル」と銘打った大規模なイベントを行う。イベントでは露店多数が出店するほか、歴史大作映画「ナレスワン大王」シリーズと「スリヨータイ」の無料上映が行われる。会場周辺のプラタートゥ通、プラチャン通、マハーラート通などでは交通規制が敷かれる。


56章  暫定憲法制定、暫定国会「国民議会」招集で権力の基盤強化
07月22日(火)民政移管に向けた準備作業の準拠となる暫定憲法が、プミポン国王の承認に伴い官報に掲載され発効。
暫定憲法は、プラチュアッ プキリカン県フアヒンのクライカンウォン離宮で、プミポン国王からプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長に手渡された。プラユット司令官が公の場で国王に面会するのはクーデター後初めて。
新憲法の制定まで使用されるもので、全48条。立法議会、内閣、国家改革評議会、新憲法起草委員会などの設置が規定されている。国会の設置。議員は220人で、軍政が選び、国王が任命する。政党役員などは議員資格がない、内閣の設置。36人の閣僚で構成され、国会が首相を、首相が閣僚を選び、国王が任命する、国家改革案を取りまとめる国家改革議会の設置。議員は250人で、NCPOが選び、国王が任命する。
暫定憲法に代わる憲法起草委員会は36人で構成され、、委員長はNCPOによって任命される。120日以内に憲法案をまとめる、残りの委員35人は、20人が国家改革評議会、15人が立法議会、さらに内閣およびNCPOによりそれぞれ5人任命される。なお、内閣は35人以下とされている。必要な場合は軍政が全権を掌握できる、暫定憲法48条では、軍部による05月22日の全権掌握・インラック政権排除に関与した者、軍政の命令に従った者は罪に問わないとしている。このほか、暫定憲法では、暫定内閣では対処できない事態が生じたことを想定し、行政、立法、司法に関する権限をNCPO議長が行使でき、NCPOと内閣の同意、立法議会の承認をもって暫定憲法を改正することができる。
インラック前政権が導入した米担保融資制度で農民から買い上げた米の保管状態のひどさが国家平和秩序評議会(NCPO)による検査で次々に明らかになっているが、チャチュンサオ県でも、 倉庫に保管されていた米が劣悪な状態であることが発覚。
倉庫には米8万8005袋が保管されているが、その多くが袋が破れていたり、コクゾウムシが発生したりしていた。
米担保融資制度は、タクシン支持者が大部分を占める農民への支援を目的に開始されたもの。だが、高値で買い上げたことから、前政権は米をなかなか売りさばくことができず、倉庫に長期にわたって保管されることになった。その間に米が盗まれたり、品質が劣化した。
国営企業の赤字体質を改めるとの国家平和秩序評議会(NCPO)の方針に基づいて、国営企業政策室(SEPO)が赤字続きの国営企業に対し、07月中に事業改善計画を提出するよう求めた。対象となるのは、タイ国有鉄道(SRT)、バンコク大量輸送公社(BMTA)、タイ中小企業開発銀行など。SRTの累積赤字は、今年03月31日現在で1110億Bに上っている。
NCPOは国営企業の立て直しにも意欲を見せており、すでに複数の国営企業でNCPOの意向を受けて取締役が交代している。
最大の反タクシン勢力、人民民主改革委員会(PDRC)による反政府デモへの攻撃に関連して、警察がアピチャート・プアングペット(42)とウォラポング・ポンマイウォンディー(44)を逮捕したことが、07月22日までに明らかに。
これら2人が具体的にどの事件に関わったかは明らかにされていないが、関係筋は、「都内バンタットトン通で手榴弾が爆発してデモ隊1人が死亡、39人が負傷した今年01月の事件に関与したと見られる。」としている。
取り調べに対し、これら容疑者は、手榴弾を隠し持っていたことを自白。警察が東部チョンブリー県の関係先を捜索し、複数の手榴弾を見つけた。
国家平和秩序評議会(NCPO)は、支那が主導するアジア地域のインフラ整備に融資することを目的とするアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加する方針を決定。
AIIBは日本が主導して設立されたアジア開発銀行(ADB)に対抗する機関として、支那がアジア各国に働きかけて設立準備が進められている。来年にも設立が予定されており、日本や欧米各国は参加しない。
07月23日(水)国家平和秩序評議会(NCPO)によって作成された暫定憲法が23日、プミポン国王の承認を得て正式に公布された。この憲法は来年行われる予定の総選挙まで適用される。
暫定憲法が22日に発効したことに関連して、国家平和秩序評議会(NCPO)の法律顧問ウィサヌは記者会見で、「暫定憲法に代わる新憲法は汚職一掃などに関連する条文を有する暫定憲法を骨格とするものとされなければならない。」と述べ、「汚職・不正を根絶するための条文が新憲法に盛り込まれる。」との認識を示した。
これは、立憲君主制、効果的な汚職追放メカニズム、国家予算の使用における透明性確保、長期に及ぶ財政負担を国に強いる大衆迎合政策の排除など10項目を検討するよう新憲法起草委員会に求めた暫定憲法35条の説明の中でウィサヌが言及したもの。
また、暫定内閣などが対応できない事態を想定してNCPOが強力な権限を維持することを認めた暫定憲法44条に懸念の声が一部から出ていることについて、ウィサヌは、「暫定憲法に規定されているものの、NCPOが実際に権限を行使する事態は考えにくい。」、「NCPOには首相を含む閣僚を解任する権限は付与されていない。」と説明。「暫定内閣発足後もNCPOが主導的役割を果たすことはない。」との見方を示した。
なお、暫定憲法は、民政移管までの国家統治を司るものであり、暫定政権下で作成・制定される新憲法のもとで来年10月にも総選挙が実施され、民政移管が完了することになる。
この憲法にはNCPOの議長で陸軍司令官であるプラユット大将が首相になることを禁じておらず、プラユット大将が臨時の首相の座に付くのではとの見方が広がっている。
チャンチャオ法務事務次官代行は、「法務省の下にある資金洗浄対策室(AMLO)を独立機関とするなどの4つの法改正案が国家平和秩序評議会(NCPO)に承認された。」と明らかに。これらの案は近く設置される立法議会・内閣によって承認され、法改正が実現することになる。
シンガポール軍のン・チーメン司令官が来タイ。国家平和秩序評議会(NCPO)トップのプラユット陸軍司令官とタイ陸軍本部で会談。
プラユット司令官は「タイはシンガポールを重要な同盟国と認識し、シンガポール軍によるタイ軍人材の訓練コースについて感謝している。」などと述べた。
07月24日(木)インラック前首相が、兄のタクシンの誕生日25日にパリの高級ホテルで行われる兄のタクシンの65歳の誕生日パーティーに出席するため、1人息子のスパセーク・アモンラチャット15点の手荷物とともに00時09分発のタイ国際航空TG930便でフランスのパリに出発。タクシンの元妻ポッチャマーン、子のパーントーングテー、ピントーングター、ペートーングターンらとともに出席し、その後、英国、ドイツ、ベルギー、米国を巡る。
インラックは国家平和秩序評議会(NCPO)に海外への渡航許可が禁じられていたが、先日NCPOによって渡航許可が下りていた。「このままタイに帰国せずタクシン同様に亡命するのでは。」と一部で報道されていたが、インラックは「08月10日までに帰国する。」と述べ、その報道を否定してパリに飛び立っていった。
国外逃亡中のタクシンの長男パーントーングテーが、タクシンと実妹のインラックがパリで再会を喜んで抱き合っている写真をネット上に投稿。
インラックは先に国家平和秩序評議会(NCPO)の許可を得て出国。また、タクシンは26日に65歳になるのを祝ってパリで近親者だけを招いて誕生パーティーを催す予定。パーントーングテーによれば、「散髪をしている最中に誰かが(スマートフォンに)写真を送ってきたもの。」
07月26日(土)陸軍関係筋によれば、国家平和秩序評議会(NCPO)が現在外遊中のインラック前首相の動向に目を光らせている。
インラックはフランス、英国、ドイツ、ベルギー、米国を訪問するためNCPOから許可を得て先にタイを出国したが、NCPOは、訪問先で政治的な話し合いなどをしないよう伝えており、また、警察大佐がインラックに同行し、その動きを監視している。」
インラックは08月10日に帰国する予定だが、米担保融資制度の不正蔓延などに絡む職務怠慢容疑で裁判にかけられる見通しであることから、「訴追を免れるためタイに戻らない。」との見方も出ている。
国外逃亡中のタクシンの65歳の誕生日を祝う行事が、都内ラートプラオ区インペリアル・デパート内のタクシン支持団体、反独裁民主主義同盟(UDD)」本部で執り行われたが、軍部の要請で中止となった。国家平和秩序評議会(NCPO)は、誕生日祝いが催されるとの情報を事前に入手していた。
また、「UDD本部に踏み込んだ兵士らが壁に掛けられていたタクシンとインラックの写真を撤去するよう命じた。」と一部で報じられたが、NCPOのウィンタイ報道官はこれを否定。「出席者の同意のもとに誕生祝いが中止された。」と述べ、「強制はなかった。」と説明。
07月28日(月)先の暫定憲法発効に伴い新年度がスタートする10月01日までに暫定内閣が設置される見通しだが、消息筋はこのほど、「プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が暫定内閣の首相に任命され、NCPO議長と首相を兼任する。」との見方。この他、プラユット議長に近いアヌポン元陸軍司令官が副首相兼国防相、イティポン元空軍司令官が副首相、プラチン空軍司令官が副首相兼運輸相、タナサック国軍最高司令官が外相、パイブン陸軍司令官補が国防・内務事務次官に任命される見通し。
また、09月末で陸軍司令官を定年退官するプラユット議長に代わってウドムデート陸軍副司令官が司令官に昇格する可能性が高い。暫定憲法下では、 200人の議員で構成される暫定立法議会が設置されることになっているが、プラユット議長はすでに議員リストを国王に提出しており、今週中にも承認が得られる見通し。
軍事政権顧問のソムキッド元副首相が支那を訪問し、李源潮国家副主席と会談。ソムキッド元副首相は軍政トップのプラユット陸軍司令官の習近平国家主席宛の親書を手渡し、タイの政治状況を説明。李副主席は「タイの状況はよく理解している。」、「他の国とは違い、支那は他国の内政に干渉しない。」などと話した。
ソムキッドはタクシン政権(2001~2006年)で副首相、財務相を務め、一時はタクシンの後継者に擬せられたが、タクシン政権を打倒した2006年の軍事クーデター直前に離反。クルングテープの支那街ヤワラート生まれで支那語が堪能で、タイ語には強い支那語訛りがある。
欧州連合、米国、オーストラリアは今年05月に起きたタイのクーデター後、タイとの相互の公式訪問を取り止め、軍事交流を停止するなどし、タイ軍政との関係が冷え込んでいる。こうした中、支那は07月中旬にタイのシーハサック外務次官(外相代行)が訪支した際に、王毅外相、楊潔?国務委員(副首相級)が会談に応じるなど厚遇し、タイ軍政との距離を縮めている。
今年初めに都内のバンタットトン通や戦勝記念塔近くで反政府デモ隊に手榴弾が投げつけられて死傷者が出た事件で、犯行に関与したとみられる4人のうち、ナッタパン・バングラ(40)とチャロエン・プロムチャート(38)が、銃の不法所持容疑などで逮捕された。
ソムヨット警察庁副長官によれば、この事件では先に逮捕されたアピチャート・プアングペット(42)が「ロシア製手榴弾RGD-5を4人の男に渡した。」と供述したことから、4人が指名手配され、うち2人が逮捕されることになった。残りのクリッサダ・チャイカヘとパァサナイ・パナットの2人は依然逃走中。逮捕されたナッタパンは、手榴弾を受け取ったことは認めているものの、「使用していない。」と主張している。また、逃走中のクリッサダは、手榴弾4個を受け取ったと見られるが、国外に逃亡した可能性が高い。
07月29日(火)国家平和秩序評議会(NCPO)は、今月末に期限を迎える一部バスと3等列車の無料乗車政策について、更に6ケ月間延長することを決定。この政策は、景気刺激及び低所得者支援を目的に打ち出されたもの。
国家平和秩序評議会(NCPO)と警察はこのほど、全国で展開されている銃不法所持、薬物密売、違法賭博などの一斉取り締まりの成果を発表。
銃不法所持については、2779人を逮捕し、自動小銃30丁、ライフル688丁、ピストル911丁、手榴弾45個などを押収。薬物については、7万0635人を逮捕し、覚せい剤8300万錠、粉末の覚せい剤1000㎏、ヘロイン400㎏などを押収。また、2万2752人を違法賭博で逮捕。違法に伐採された丸太など410万?を押収。
なお、押収した銃器の一部が陸軍第1管区本部で報道関係者に公開された。
警察当局はこのほど、不法滞在者のタイ再入国を制限する措置を打ち出した。許された滞在期間を超えてタイにとどまった者はこれまで最高2万Bの罰金を支払うことで出国し再びタイに入国することができた。しかし、今後は不法滞在期間が90日以上、1年以上、3年以上、5年以上の場合、それぞれタイ出国時から1年間、3年間、5年間、10年間タイに入国することが禁止される。
タクシンが政権を握ってから、貧乏な長期滞在者やビールなど酒類の規制が厳しくなった。反タクシンになっても踏襲して、下らない規制が強化されている。
ビールなど酒類は毎日昼下がりの時間帯の販売を禁止し、選挙や仏教絡みの日は、販売も飲み屋や食堂などでの飲酒もできない。しかもそういう禁酒日が増え続けている。特に近年、警官が見回り、厳格化され、観光地の食堂でビールすら飲めない。クーデターと、国鉄臨時職員のワンチャイ・セーンカオ(22)の強姦殺人事件を契機に列車の中でビールも飲めなくなった。しかも酒税が上がり続け、ビール1本の値段は20年前の3倍には上がった。ビアシンに至っては、大瓶の製造すら止めている。暑い最中にピアシンの大瓶を食堂で飲むのが楽しみの1つだったのだが、それすらできなくなった。タイは他の国と比べても実に意味のない詰まらない規制だらけで息が詰まる国になってしまった。本当は行きたくないのだが、行かなければならない。日本の規制と消費税増税、福祉切り捨てとどっこいの亡国政策だ。いい加減にしてくれ。
タイを訪れたカンボジアのティー・バン国防相は、カンボジアが近く世界遺産カオプラウィハーン(プレアビヒア)の周辺地域の領有権問題についてタイと協議するとの見通しを明らかにした。
ティー・バン国防相はその前に、プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長と会談し、また、ここでは領有権問題は取り上げられなかった。しかし、ティー・バン国防相によれば、「2国間関係は改善しており、今が領有権問題について意見を交わす良い機会。」
国際司法裁判所は昨年11月、「タイ・カンボジア国境に位置するプレアビヒアはカンボジアに領有権があり、タイは兵士を引き揚げなければならない。」との判断を下した。だが、この判断は、隣接する国境未画定区域4.6?の領有権には触れておらず、両国間の話し合いで決着をつけることが必要とされている。
07月30日(水)暫定憲法の発効に伴い近く暫定立法議会と暫定内閣が設置される見通しだが、関係筋は、「任命議員220人からなる立法議会は、125~140人が軍人で占められる見通しである。」と明らかに。内訳は、60人が陸軍、20人が海軍、20人が空軍、20~30人が国軍司令部、5~10人が国防事務次官室から選ばれる予定。また、10人が警察庁から選ばれることになっており、それ以外fは元上院議員、学識経験者、NGO関係者、実業家などで構成される見込み。なお、立法議会は08月半ばにも始動する見通し。
07月31日(木)プミポン国王は、軍事政権が推薦した暫定国会(定数220)の議員200人を任命。過半数は退役、現役の軍人で、軍政のお手盛り国会と言えそうだ。初会合は07日に行われる見通し。
軍人以外の議員は軍政顧問のナロンチャイ元商務相、裁判所関係者、元官僚、元大学学長、元上院議員などで、財界からは、東芝タイランドのコープカーン会長、消費財大手サハパタナピブンのブンチャイ社長、タイ工業連盟(FTI)のスパン会長、タイ商業会議所のイッサラ会頭らが選ばれた。政治家、政党関係者の名前はない。
暫定国会は今後、暫定内閣の首相を選出、首相が閣僚を選び、国王が任命する。国会、内閣はいずれも軍が管理することになる。
暫定立法議会の議員200人が正式に決まり、氏名が公表されたが、その陣容から、国家平和秩序評議会(NCPO)が民政移管プランの完遂を最優先していることが明らかに。
議員の内訳は、現役軍人73人、退役軍人25人、現職警察官5人、元警察官4人、現職の公務員・国営企業役員16人、元公務員・国営企業役員27人、元上院議員22人、学識経験者12人、実業家12人、その他4人。
また、現役・退役軍人の内訳は、陸軍65人(大将37人、中将21人、少将7人)、海軍18人(大将13人、中将5人)、空軍15人(大将14人、中将1人)。
プラユットNCPO議長は、「現役・退役軍人が議員の約半数を占めることに批判が出るのは当然と考えたが、立法議会は1年という短期間で国家改革を成し遂げなければならず、これを最優先に考えて議員を決める必要があった。」と説明。退役軍人など軍関係者が105人と過半数を占めている。
今月中に暫定政権の首相が選出される予定だが、これも陸軍最高司令官でありクーデター主導者のプラユット大将が選出されるものと見られており、軍による統治が今後も続く模様。
タイの人権保護団体インターネット・ダイアローグ・オン・ロー・リフォームによると、タイのウボンラチャタニー県裁判所は、ウボンラチャタニー県在住のタイ人男性(28、報道により27)に不敬罪で禁錮14年10ケ月の実刑判決。名前は明らかにされていない。
05月のクーデターで政権を握ったタイ軍事政権が不起訴となった過去の事件を掘り返し、短期の裁判で重刑を科した。主要タイ字紙の多くはこの事件を報道せず、軍政が王室批判の取り締まりと報道統制を強めていることが浮き彫りとなった。
男性はインターネットの交流サイト、フェイスブックで王室を批判したとして2012年03月に逮捕されたが、不起訴となった。しかし、軍政はクーデター直後の今年06月01日、男性に出頭を命令。男性は13日に出頭、逮捕され、16日に起訴された。
不敬罪はタイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の懲役が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、1990年から2005年にかけ、不敬罪の裁判は年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。
08月03日(日)タクシン派の女性活動家クリッサダが前言を翻して「軍に拷問された。」と訴えている問題で、国家平和秩序評議会(NCPO)のウィンタイ報道官は、クリッサダの主張を全面的に否定し、「自らの身の安全のために嘘をついた可能性がある。」との見方。
クリッサダは出頭命令を無視したことから05月28日に逮捕され、その後約1ケ月にわたって身柄を拘束されることになった。解放直後「待遇は悪くなかった。」と述べていたものの、最近になって「身柄拘束中に拷問があった。」と発言。ウィンタイ報道官によれば、「クリッサダが軍政に協力的と見られて身に危険が及ぶことを懸念し、『軍政に非協力的だった。』と印象づけるため嘘をついたものと考えられる。」
暫定立法議会関係筋によれば、「議員の約半数を占める現役・退役軍人のほとんどがプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長を暫定首相に推している。」、「議会では、08月07日に初会合が開かれ議長が選出される見通しだが、首相は翌08日に選ばれる。」、「プラユット議長はすでに実質的に首相の役割を果たしており、暫定首相に適任。(現役・退役軍人の議員のほとんどがプラユット議長の首相就任を支持しているため)プラユット議長を首相に推挙するのに事前の根回しは必要ない。」と述べている。
08月04日(月)軍事政権は支那人と台湾人に対し、タイの旅行ビザ申請料(1000B)を08~10月の3ケ月間、無料にする。
05月のクーデターなど政治の混乱で、タイを訪れる外国人が減少しているため、支那人旅行者の誘致を図る。
タイ観光スポーツ省によると、今年01~06月にタイを訪れた外国人は前年同期比10.2%減の1177.6万人で、このうち支那人は23.4%減、187.8万人と国・地域別で最も多かった。
米ポップトップ社が制作したシミュレーションゲーム「トロピコ5」が、文化省文化振興局の機関によって国家の治安を脅かすおそれがあるとして販売禁止命令が下された模様。
タイ地元紙によると、このゲームをタイ国内で販売する予定だったニューエラタイランドは、「文化省文化振興局の機関によって『ゲーム内容の一部が国家の治安を脅かす虞がある。』と判断されたことを受け、タイ国内での販売は不可能になった。」とFacebook上で発表。
トロピコ5は、カリブ海の島国を統治支配者となり国家運営を行っていくシミュレーションゲーム。
立法議会は07日の初会合で議長を選出することになっているが、立法議会議員200人の約1割を占める元上院議員は法律専門家のポンペットを第1議長に推挙する見通し。ポンペットはオンブズマンであり、また、国家平和秩序評議会(NCPO)の法律顧問を務めている。
元上院議員のピラサック議員は、「元上院議員の立法議会議員からはポンペット氏を第1議長に推す意見が出ている。ポンペット氏は暫定憲法の起草に携わった1人であり、暫定憲法の精神をよく理解している。」、「元上院議員の間では、第2議長候補としてスラチャイ元上院議長の名があがっている。」と指摘。
08月05日(火)軍事政権は毎週金曜日に放送しているプラユット陸軍司令官によるテレビ演説番組「国内にいる人に幸福を返す」の放送時間を08日から変更。これまでは20時15分から1時間~1時間半に渡り、地上波全局と有料テレビなどの複数の局で、プラユット司令官が現状説明や今後の政策などについて熱弁を振るってきた。今後は17時からの放送となる。
軍政は放送時間変更について、「地方の生活リズムはクルングテープと異なり、20時開始は遅すぎると判断した。」、「プラユット司令官の都合。」などと説明。
「国内にいる人に幸福を返す」が放送されていた時間帯は通常、各局の人気ドラマなど並ぶゴールデンタイム。
国家汚職制圧委員会(NACC)は、米担保融資制度の不正蔓延などに絡む職務怠慢容疑でインラック前首相を送検する手続きを取った。米担保融資制度は国に巨額の損失をもたらし、また、不正が蔓延していたにもかかわらず、米担保融資制度を監督する国家米政策委員会のトップだったインラック首相(当時)は「何ら対策を講じなかった。」としてその責任を問われることになった。
また、インラックは10日に帰国予定であるものの、「訴追を免れるためタイに戻らない。」との見方も出ているが、インラックの代理人である弁護士は、「帰国予定変更の知らせは受けていない。」と述べ、インラックが予定通りに帰国するとの考えを示した。
08月06日(水)文化省文化振興局の委員会によってシミュレーションゲーム「トロピコ5」が、タイ国内での販売を禁止された件で、禁止理由が発表された。
タイ地元紙によると、文化省文化振興局チャーイ局長は「このゲームが、自分の国を持って国の名前をや国王の名前を決めることができるため、タイ王室を侮辱する行為に抵触する恐れがあり、国家の安全を脅かしかねないことが販売禁止の理由。」と語っている。
05月22日の軍事クーデターの直前に発令された戒厳令について、カムパナート陸軍副参謀長は、「近く設置される暫定内閣が国家平和秩序評議会(NCPO)の提言に基づいて解除するかどうかを決めることになる。」との見通しを明らかに。
戒厳令は、非常時に際して行政・司法権の停止と軍による国の全部または一部の支配を実現する非常法。軍部は05月20日に戒厳令を発令して対立する政治勢力間の和解実現に乗り出したものの、これら勢力が強硬姿勢を変えなかったことから、22日、クーデターという形で全権を掌握。
カムパナート副参謀長によれば、「NCPOは先に戒厳令解除を検討したものの、現時点での解除は早計と判断し、少なくとも暫定内閣発足まで戒厳令を継続すべき。」
なお、プラユットNCPO議長は、「戒厳令は暫定内閣発足後にNCPOが治安・秩序を維持するのに有効であり、継続すべき。」との考えを明らかにしている。
午後、タイ中部ノンタブリー県バーングルワイ郡ナコーンイン通りのバンコクノーイ運河の橋近くで、投棄されたプラスチック袋の中から大量の爆弾が見つかった。
何者かが取り締りが強化されたことを受け、その取り締まりから逃れるため現場に投棄したものと見られる。発見されたプラスチック袋には、使用可能な手榴弾や催涙ガス弾が入っていた。
08月07日(木)ワチラロンコン王太子は、プミポン国王の代理として、軍事政権が設置した暫定国会「国民議会」(定数220)を招集。国民議会は軍政が議員200人を推薦し、7月末にプミポン国王が任命。議員に任命された200人のうち、先に辞退した2人に続いて、政党の副党首だったインタラットが2008年12月に公民権5年停止となっていたため議員を辞職したことから、議員のうち3人は議員資格違反で辞職し、現在の議員は197人。過半数は退役、現役の軍人で、残りは元上院議員、裁判所関係者、元官僚、元大学学長など。05月のクーデターでタクシン派政権を倒した軍政の性格を反映し、反タクシン派が目立つ。軍政トップのプラユット陸軍司令官は自らが描く政治改革のスムーズな実現を目指し、批判を承知で国民議会の過半数を軍人で抑えた。国民議会と内閣の発足で、タイは三権の体裁を整えるが、軍政下の暫定憲法は軍政に強い権限を与えており、国民議会、内閣は軍政の管理下に置かれる。国民議会では08日に制服第1・第2議長が選出されることになっている。
軍政は中低所得者層、地方住民を中心とするタクシン派と特権階級、クルングテープの中間層が多い反タクシン派の和解を目標に掲げており、今後1年程度かけ、新憲法の制定、政治改革などを推進し、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う方針。改革のメニューには選挙違反の罰則強化、バラマキ政策の禁止などが上がっているが、相続税の導入など貧富の差の是正に向けた施策を見送り、タクシン派の復権阻止を狙った小手先の選挙制度改革だけに終わるようだと、「和解」は画餅となる。
国民議会は08日に議長、副議長を選出する見通し。その後、国民議会が暫定内閣の首相を選出、首相が閣僚を選び、国王が任命する。
反タクシン派団体、民主主義市民連合(PAD)の創設者で実業家のソンティ・リムトーングクン(66)が証券取引法違反に問われた裁判で、控訴裁判所は、1審の判決を支持し、被告に懲役20年の実刑判決を下した。
ソンティは判決後、収監された。最高裁判所は07、08日と保釈の審査を行わず、ソンティは早くても13日まで刑務所で過ごす見通し。ソンティほどの大物が収監され、保釈が見送られるのは異例。
判決によると、ソンティは1996~1997年にかけ、自らが創業した新聞社マネジャー・メディア・グループ(MGR)の経営状況を偽り、タイ国営クルンタイ銀行(KTB)から約11億Bの融資を受けた。2012年に1審で実刑判決を受け、即日控訴し、1000万Bの保釈保証金で保釈。
MGRは1983年創業。主力の経済紙「プーチャッカーン」が1980年代の経済成長で部数を伸ばし、1990年にタイ証券取引所(SET)に上場。その後、通信衛星、携帯電話サービス、英字紙へと事業展開を図ったが、急拡張と1997年のアジア経済危機で経営破綻し、1999年に会社更生法の適用を受けた。MGRは2001年の下院総選挙で全社を挙げてタクシン派政党を支持。同年、タクシン政権が発足すると、ソンティと親しい銀行家のウィロート・ヌアンケーがKTBの社長になり、KTBはウィロート社長の下、MGRに対する債権16億Bを放棄。しかし、MGRの経営再建は失敗し、2008年に裁判所が破産を宣告。傘下の新聞、雑誌はその後、スタッフごとPAD系の別会社に移動し、発行を続けている。
商業省は、国家平和秩序評議会(NCPO)の指示を受け、輸出業者、精米業者、米取扱業者らを集め、政府が保管している米16万7000tの初回入札を行った。今回の米は、政府が実施した米担保融資制度の下、2011年から2014年の間に集められ、タイ国内27ケ所の倉庫に保管されていたもの。
ただ今回の入札では、参加した46業者のうち、政府が設定した最低制限価格を上回る価格を提示した業者がいなかったことから、政府は一番高い値段を提示した業者と価格交渉を行うか、それとも基準価格を下回る値段で販売するについて、今後協議する方針。
商業省では「世界市場では米価格が上昇しており、急いで放出する必要はない。再度入札を行えばいい。」と強気の姿勢を見せるが、業者らは「今回の入札価格は倉庫引き渡し価格であり、輸送コストや人件費を考えると、今回提示した以上の金額を提示するつもりはない。」と言い切る。 一方、タイ米輸出協会のチャラン会長は「他の米輸出国では作付が悪く、米が不足している。また、米輸入国々では天候不順の可能性などを見越して国内備蓄を増やしている。そのため、1t当たり390US$だったタイ米輸出価格が今では450US$となっており、このままでいけば500US$に達することもありうる。」と話す。人気の高いジャスミン米も970~980US$だった輸出価格が1050US$に上昇しているほか、タイ国内価格もtあたり7000Bから8500B値上がりしている。国内外で米の需要が高まっていることから、政府保管米が今後、現行価格より高値で取引される可能性も否定できない。
08月08日(金)タイの暫定国会「国民議会」(定数220)は、議長に現行暫定憲法の起草に携わった法律専門家でオンブズマンのポンペット・ウィチットチョンチャイ元最高裁判事(66)、第1副議長にスラチャイ・リヤンブンルートチャイ元上院副議長(61)と第2副議長にピーラサク・ポージット元上院議員(54)を選出。いずれも全会一致。
また、議長に選出されたことを受けてポンペット議員は「オンブズマンが立法議会の仕事ぶりをチェックする役目も担っていることから、立法議会議員とオンブズマンを兼ねることで問題が起きかねない。」と認める一方で、「立法議会のメンバーに任命されたことは合法であり、この上なく名誉なこと。」と述べている。
なお、暫定憲法41条では、「政治任用職採用に関するいかなる禁止事項も立法議会、国家平和秩序評議会(NCPO)、新憲法起草委員会のメンバー採用には適用されない。」と規定されている。
08月09日(土)05月22日の軍事クーデターへの国王の関与を示唆するような見方が一部で出ていることについて、プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は、「軍部による全権掌握は私が自ら決めたもの。国王陛下の命令などなかった。」と力説するとともに、「国王陛下を巻き込むようなことがあってはならない。」と強い調子で警告。
クーデターによってインラック政権が排除され、軍部が国家統治を担うことになったことから国際社会からは非難の声があがることになったが、プラユット議長は、「(クーデターが)正しかったかどうかについては私が全ての責任を負う。国王陛下には触れないでほしい。私は毎日陛下の肖像画を前に敬意を表し、また、許しを請うている。」と述べている。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)はフォーラムの席上、電力の安定供給を確保するというエネルギー安全保障の観点から、石炭を燃料とする火力発電に力を入れる方針であること、また、原子力発電所の建設は考えていないことを明らかに。石炭を使った火力発電は、新技術の導入によってクリーンな発電との評価が高まっている。
議長は、「原発の建設は不可能だが、石炭火力発電所については、関係当局に対し、その可能性と必要性、そして、健康と環境への影響を検討するよう指示した。」と述べた。
警察当局は、武器不法所持容疑などでタクシン派の女性活動家クリサッダの逮捕状を取ったことを明らかに。
クリサッダは、05月22日のクーデターに伴い軍部から出頭を命じられたが、これに従わなかったことから逮捕された。また、先に解放され、当初は「身柄拘束中の待遇に問題はなかった。」と述べていたものの、その後一転して「拷問があった。」と主張していた。
警察によれば、先に武器不法所持で逮捕された犯人がクリサッダから自動小銃M16を受け取ったことを自供している。なお、国家平和秩序評議会(NCPO)は、「拷問」に関する活動家の言い分を「まったくのデタラメ。」(ウィンタイNCPO報道官)と真っ向から否定している。
08月10日(日)スラチャイ立法議会副議長は、暫定首相選出は08月21日か22日になるとの見通しを明らかに。これは、来年度予算の審議・承認が立法議会にとって最優先課題であることによるもの。15日の立法議会ではまず予算案が取り上げられる予定。。
スラチャイ副議長は、「誰を首相にするかは立法議会が決めることだが、個人的にはプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が首相にふさわしいと考えている。」と述べた。
22時頃タクシンの誕生日を祝うため、07月下旬から1人息子とともに欧州へ渡航していたインラックが予定通りに、ドンムアン空港に帰国。
翌日(11日)、早速クルングテープ郊外のスーパーマーケットで食料品などを購入し、買い物客の求めに応じ記念撮影するなどし、写真がネット上にアップされている。
インラックが政権運営時に進めた米担保融資制度で、国家汚職防止委員会はこの制度に絡んだ汚職が多発した責任がインラックにあるとして、職務怠慢で起訴する方針を決定している。このことから、「今回の渡航でタイに帰国せず国外逃亡をするのでは。」との見方が広まっていた。
インラックは07月23日、タイから空路フランスに向かい、パリの空港で出迎えた兄のタクシンとしっかりと抱き合った。07月26日には、パリの高級ホテルで行われたタクシンの65歳の誕生日パーティーに、タクシンの元妻ポッチャマーン、子供らとともに出席。その後、英国、ドイツ、ベルギー、米国を巡り、シンガポールからのプライベートジェット機でバンコク郊外のドンムアン空港に降り立った。
インラックは、外遊スケジュールを提出して国家平和秩序評議会(NCPO)の許可を得て出国していたもので、同スケジュールでは088月10日に帰国することになっていた。インラックはスケジュールを変更して帰国前にシンガポールに立ち寄ったが、この変更はNCPOに事前に連絡済みだった。タクシンは2008年、支那滞在中にタイで汚職で実刑判決を受け、以来、タイに帰国していない。
08月12日(火)先に発効した暫定憲法のもとで設置された立法議会。その構成員である議員197人に対し、活動家や学識経験者から、「資産申告をすべき。」との声が上がっている。これは、議員が権限を悪用して私腹を肥やすのを防ぐ必要があるというのが理由。
国会議員や閣僚には、国家汚職制圧委員会(NACC)への資産申告が義務づけられている。だが、サンサーンNACC事務局長によれば、「立法議会は特殊な機関であり、その議員は現行法で求められている資産報告の適用対象外。」
08月13日(水)ポンペット立法議会議長によれば、08月14日に立法議会の正副議長選出に対する国王の承認が得られる見通しであることから、議会では15日に来年度予算案を審議し、来週には首相指名ができる見通し。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長は首相就任について明言を避けているが、プラユット議長が首相に指名されるとの見方が有力。
また、立法議会の副議長に選出されたスラチャイ議員によれば、遅くとも08月中には首相が決まる見通し。
国家平和秩序評議会(NCPO)が、国家改革評議会(NRC)の評議員173人を選ぶための選考委員会の委員18人を決定したことに対し、「委員に視野の狭い官僚が多すぎる。」、「委員の選考が偏っている。」といった批判が一部で出ている。NRCは11分野に及ぶ改革を監督する機関で、250人の評議員で構成される。評議員のうち173人は、今回設置された選考委員会によって決められ、残り77人は77都県に設置される選考委員会がそれぞれ1人を選出することになっている。
ロサナ元上院議員は、エネルギー分野の改革を担当する評議員を決める選考委員に複数の元PTT幹部が含まれていることに懸念を表明し、「改革によってPTTなどの完全民営化が図られる恐れがある。」と警告。
このほか、元プア・タイ党議員などからは、「あらゆる職業から選考委員を選ぶべきなのに、それがなされていない。」といった批判的意見も出ている。一方、ランシット大学の政治学者ワンウィチットは、「改革はよいスタートを切ることができた。」と選考委員の人選を評価。元民主党議員からも「選考委員の選び方には合格点を与えられる」といった肯定的な見方が示されている。
なお、NRC評議員の候補者受付は14日、中央選挙管理委員会で開始され、25団体の推す29人が候補者登録を行った。
08月14日(木)国家汚職制圧委員会(NACC)は、「立法議会の議員は資産申告が必要。」との判断。
サンサーンNACC事務局長は先に「立法議会は特殊な機関であり、国会議員や閣僚に資産報告を義務づけた法律は適用されない。」と述べていた。だが、上院事務局の要請に伴い、NACCは汚職の防止・撲滅に関する法律について検討し、「立法議会議員197人も資産申告をしなければならない。」との判断に至ったもの。
従って、議員は任命から30日以内、すなわち09月07日までにNACCに資産申告を行う必要がある。
申告の内容は後に公表される。また、暫定憲法下で政治改革などを進めるため設置される国家改革評議会の評議員について、サンサーン事務局長は、「まだ任命されていないため、NACCは、資産申告義務があるかどうかをまだ判断していない。」と説明。
08月15日(金)未明クルングテープ都内ラチャダムヌンノーク通の陸軍本部周辺の路上で、軍事政権トップのプラユット陸軍司令官、軍などを批判するビラ数百枚が見つかった。防犯カメラの映像によると、ビラはタクシー1台とバイク1台からばら蒔かれた。
08月17日(日)「汚職防止のため国会議員や閣僚に資産申告を義務づけた現行法を現在国家統治などに携わっている者にも適用すべき。」との声が出ている中、国家平和秩序評議会(NCPO)法律部門トップのパイブン陸軍司令官補は、「NCPOのメンバーも近く国家汚職制圧委員会(NACC)に資産申告を行うことになった。」と明らかに。資産申告では、NCPOのポストに就く前の資産、それから約3ケ月を経た現時点の資産が報告される予定。
立法議会のピラサック副議長は、「県知事などが国家改革評議会(NRC)の評議員を恣意的に選ぼうとしている。」と指摘。「このままでは透明性を欠いたままに評議員が選ばれかねない。」との懸念を表明。
政治改革など11分野の改革を担うNRCは250人の評議員で構成される。評議員は候補を公募し、候補者の中から173人を先に設置された選考委員会が選び、残り77人を77都県にそれぞれ設置された選考委員会が1人ずつ選出することになっている。都県レベルの選考委員会は知事、選管の代表など5人で構成される。
ピラサック副議長によれば、「複数の県で知事が選考委員に不適切な指示をしており、知事が特定の人物を評議員に選ぼうとしている恐れがある。」
なお、05月22日の軍部による全権掌握に伴い、軍部が設置した国家平和秩序評議会(NCPO)が国家統治を担ってきたが、今後、NCPOは一歩退き、先に発足した立法議会、近く設置されるNRCと内閣が国家統治や民政移管に向けた準備作業などにおいて重要な役割を果たすことになる。
08月18日(月)立法議会で、来年度(今年10月~)の国家予算案(2兆5750億B)が満場一致で第1読会を通過。予算案審議に臨んだのは立法議会議員197人のうち186人。採決の結果は賛成183、反対0、棄権3(立法議会正副議長3人)。
国家予算案は第2読会に向けて50人からなる委員会によって内容が精査される。
採決に先立ちプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)は、来年度予算について、「私が権力の座にいるのは1年程度と短期であることから、将来にわたって国民に負担を強いないものにした。」と力説し、予算案への支持を呼びかけた。
また、議員17人が質疑に立ったが、これらは皆民間人で、議員全体の半数を占める軍や警察の関係者からは質問が出なかった。
なお、NCPOにとっては改革を成功させて政治を立て直すことだけでなく、来年度予算の成立・執行をもって経済再生の道筋をつけることも最優先課題となっている。また、来年度のスタートが迫っており、予算案の審議にある程度時間がかかることから、立法議会では首相指名を後回しにして、最初の審議で予算案を取り上げることになった。
08月19日(火)先に立法議会の第1読会を満場一致で通過した来年度予算案に対し、大政党のプア・タイ党や民主党の元議員らから批判の声が上がっている。
アピシット民主党党首は、 国家平和秩序評議会(NCPO)が同予算案の中で村落基金への資金提供や作物栽培補助金を中止するとしたことについて、「資金循環を阻害し、とりわけ作物価格の下落に見舞われている農家の購買力をさらに低下させ、景気を上向かせることが困難になる。景気刺激策の方向性もまだ定まっていない。」などと批判。
また、アムヌアイ前プア・タイ党議員も、「予算を20~30%、少なくとも250億B程度削減できる。」との見方を示し、予算案の精査のため50人の委員会が設置されたことについて、「分野別に専門家からなるチームを編成して検討に当たらせるべき。」と注文をつけた。
なお、NCPOの経済部門ナンバー2で、精査委員会の委員長を務めるチャチャイ大将は、「委員会は予算局の規則に厳格に従って予算案をチェックする。」としている。
11分野の改革を担う国家改革評議会(NRC)の評議員250人が公募で選ばれることになっているが、「応募する人が少ないのは、公募が見せかけで、評議員が既に決まっているため。」といった批判の声が一部で上がっている。
これに対し、スラサック国防事務次官は、 評議員が決定済みとの見方を全面的に否定し、「09月02日の応募締め切りが近づけば応募者が増える。」との見通しを明らかに。
評議員については、「各都県の選考委員の一部に不適切な言動があった。」と報じられているが、スラシット前プア・タイ党議員などは、「誰を評議員に選ぶかが既に決まっている。希望者を募るのは時間の無駄。」と訴えている。
なお、これまでに応募したのは約400人。09月02日までに応募した人の中から選考委員会が10月02日までに250人を評議員に選ぶことになっている。
財務省によると、財務省が国家平和秩序評議会(NCPO)に対して提案した、社会公平の実現、格差是正、そして税収増による国家発展を目的とした税制改革について、プラユット議長が賛成を示し、固定資産税(土地・家屋)の導入に関して草案を行い国民立法議会に提案するよう命じ、合わせて、相続税の導入についても盛り込むよう命じた。
財務省では、「負の所得税(Negative Income Tax)の導入に対し80%もの国民が賛成しており、これに関しても、国民立法議会に提案したい。」と述べた。
08月20日(水)必要性を指摘する声が多数ありながら、これまで実現できなかった相続税導入が、現実のものになろうとしている。
相続税率を5~-30% とした財務省案はすでに国家平和秩序評議会(NCPO)によって承認され、現在、国の最高法律諮問機関である法令委員会が内容の詳しいチェックを行っている。法令委員会のお墨付きが得られれば、閣議そして立法議会で審議・承認される見通し。
財務省国税局のプラソン局長によれば、「相続税の対象となるのは、不動産、自動車、有価証券など。高値で取引されることもある僧侶を象ったペンダントトップや腕時計などは今のところ課税の対象外。」プラソン局長は、「現時点では相続がどの程度になるかわからないため、相続税収入の目標は設定していない。」と説明。
タイでは以前から、何度か当局が相続税の導入をしようとしたことがあったが、たびたび導入反対派に押し切られて導入が見送られている。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長を議長としてに開かれた国家警察委員会で、反政府デモ隊の警護や治安維持などで功績のあったソムヨット警察大将を警察庁長官に任命することが全会一致で決定。
NCPOは全権掌握後、軍部に反抗する勢力による武装闘争を封じ込めるために全国で戦闘用武器の一斉取り締まりを実施したが、このキャンペーンにおけるソムヨット警察大将の働きも高く評価されていた。また、関係筋は、「ソムヨットは過去に『タクシンから警察トップへの就任の話があっても断る。』と述べていたが、これも長官に選ばれた理由の一つ。」と述べている。
08月21日(木)軍事政権が設置した暫定国会「国民議会」(定数220、現議員数197)は、軍政トップのプラユット・チャンオーチャー陸軍司令官を議員の1人がプラユット議長をタイの第29代首相に指名。
首相指名に出席したのは立法議会議員197人のうち194人。首相候補決定に必要な5分の1の議員数を上回る188人が賛同。他の候補が出ないまま、プラユット議長を首相に指名することの賛否を問い、賛成191票、棄権3票(国民議会の正副議長3人)を除く171人全員が賛意を表明した。投票といっても候補者になっていたのはプラユット議長のみ。この国民議会議員は、退役軍人など軍関係者が過半数を占める中、ほぼ全会一致で首相に選出。今後プミポン国王の承認を得た上で、正式に任命される。
プラユット議長は、約1年後と見られている民政移管(総選挙実施・新政権誕生)まで首相として国の舵取りを任されることになる。また、首相には、政治、経済、社会と多岐にわたる問題の解決が求められている。 これについて、アピシット民主党党首は、「プラユット首相の働きぶりが評価されるかどうかは、政治改革を成功させられるかどうかにかかっている。」
プラユット司令官はシリキット王妃の親衛隊である陸軍第21歩兵連隊(別名、王妃の虎兵士)の設立64周年式典に出席するため、東部チョンブリー県の第21歩兵連隊司令部を訪れており、国会には姿をみせなかった。式典にはプラユット議長、妻でチュラロンコーン大学元准教授のナラーポン、アヌポン前陸軍司令官(64)らが出席。
プラユット議長は1954年、東北部ナコンラチャシーマー県生。陸軍士官学校23期卒。第21歩兵連隊長、王妃の近衛師団である第2歩兵師団(東部プランチンブリー県駐屯)司令官、陸軍第1管区司令官を経て、王党派、反タクシン派のアピシット政権(2008~2011年)当時の2010年に陸軍司令官に就任。今年05月22日にクーデターを起こし、タクシン派政権を倒して全権を掌握した。通称は「トゥー」で、「ビッグ・トゥー」と呼ばれることが多い。
第2歩兵師団は「ブラパーパヤック(東の虎)」と呼ばれる。第2歩兵師団の出身者はタクシン政権を追放した2006年のクーデターで実働部隊を指揮したアヌポン前陸軍司令官、アピシット政権で国防相を務めたプラウィット元陸軍司令官(69)らで、2005年から続くタクシン派と反タクシン派の抗争の中で、影響力を強めている。
軍政は中低所得者層、地方住民を中心とするタクシン派と特権階級、クルングテープの中間層が多い反タクシン派の和解を目標に掲げており、今後1年程度かけ、新憲法の制定、政治改革などを推進し、来年09、10月以降に民政移管のための議会選挙を行う方針。任期を約1年に限っている上、民政復帰でタクシン派が復権するという見方も強く、官僚機構、政党、財界などが軍政にどこまで協力するかは不透明。
観光業界などから戒厳令の解除を求める声が高まっているが、国家平和秩序評議会(NCPO)シリンチャイ報道官は、「現在国民は特に戒厳令の影響はなく通常の生活を送ることができている。解除の必要はない。」と語った。「外国人観光客も徐々に戻り始めていること、国家運営上治安の維持のため戒厳令が必要である。」
08月22日(金)立法議会で首相に選出されたプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長はテレビ番組の中で、「NCPOと近く設置される内閣が役割を分担して国家統治に当たる。」と説明。
内閣が設置され次第、内閣とNCPOが話し合ってそれぞれがどの分野を担当するかを決めることになる。プラユット議長によれば、NCPOが担当する分野は、NCPOが有す特別な権限の行使が必要とされる分野。具体的には、汚職の一掃、薬物取引の撲滅、森林破壊の防止などを担うことになる。
また、軍部が国民和解の実現を課題の一つに掲げていることから「政治関連犯に恩赦が適用される。」との見方があるが、プラユット議長は、「恩赦計画は存在しない。」と明言。政治絡みで服役している者たちを釈放する考えのないことを明らかに。
タクシン派・インラック前政権は、国民和解のためとしてタクシン派、反タクシン派両派の政治関連犯を恩赦で釈放する計画を打ち出したものの、「タクシンの免罪・帰国・政界復帰が狙い。」との疑いが強まり、逆に反タクシン派の強い反発を招くことになった。
08月23日(土)関係筋によれば、先に立法議会で首相に選出されたプラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が、重要ポストと目されている国防相を兼任する可能性がある。また、NCPOの副議長4人も入閣し、副首相と他の閣僚ポストを兼任する見通し。国王のご承認を得て正式に首相に就任することになるプラユット議長は現在、誰にどの閣僚ポストを任せるかを検討中。
08月24日(日)クルングテープ中心部の戦勝記念塔から北に向かってパホンヨティン通をデモ行進していた、反タクシン団体幹部のウィーラや環境保護活動家など7人が戒厳令違反で逮捕された。
ウィーラは国境地帯でカンボジア兵に捕らえられ、スパイ容疑などで長期間服役して先に恩赦で釈放され帰国したばかり。ウィーラらは、南部で石炭火力発電に反対しエネルギー改革を求めている環境保護活動家らを支援するためクルングテープでデモ行進を決行したもの。
首都圏警察は、「政治集会を禁止した戒厳令に違反するため、デモ行進を中止するよう求めていたが、聞き入れられなかった。」
国家放送通信委員会(NBTC)のタコン事務局長は、国家平和秩序評議会(NCPO)が衛星テレビ12局の放送再開を許可したことを明らかに。これらのテレビ局は、軍部が全権を掌握した05月22日から軍の命令で放送を中止している。タコン事務局長は、「NCPOの規則に違反しないことが、放送再開の条件。放送はNBTCの同意のもとに再開されることになるが、この件については25日に協議する予定。」と述べている。
また、NCPOはこれらテレビ局に対し、正確で偏りのない放送を心がける必要があると伝えており、反タクシン色の強いブルースカイ、タクシン派のアジアアップデートやUDDといった衛星テレビ局は番組内容の見直しを迫られている。
08月25日(月)プミポン国王は、24日、暫定国会で21日に首相指名を受けたプラユット陸軍司令官を第29代のタイ首相に任命。
プラユット司令官は、クルングテープの陸軍司令部で任命書を受領し、正式に首相に就任。プラユット首相は、「暫定内閣と国家平和秩序評議会(NCPO)が緊密に連携することになる。」と強調。「内閣とNCPOは透明性を確保すべく互いに仕事ぶりをチェックしあうものの、互いにその領分を侵さない。」「汚職取り締まりや政治改革に取り組む。」と述べ、この他、新年度スタート(10月01日)までに完了する見通しの組閣について、「個人に過剰な関心を示さないでほしい。」と述べ、マスコミが閣僚の人選などを大きく取り上げることに注意を促した。
なお、現行の暫定憲法のもとで内閣を上回る権限を付与されたNCPOは、内閣の権限ではうまく対応できない問題の解決に当たることになっているが、関係筋によれば、「プラユットはNCPOの体制をより盤石なものにすべくNCPOのメンバーを現在の8人から憲法規定で上限とされた15人まで増やすことを考えている。」
プラユット内閣の主要閣僚について、大手テレビ局チャンネル3は、「プラユット首相が国防相を兼任するほか、プラチン空軍司令官が副首相兼運輸相、ナロン海軍司令官が副首相兼教育相、タナサク国軍最高司令官が副首相兼外相、アヌポン前陸軍司令官が内相、王族のプリディヤトン元副首相・元タイ中央銀行総裁が副首相兼財務相、ナロンチャイ元商務相がエネルギー相、ナロン保健次官が保健相の候補に上がっている。」と報じた。
プラユット陸軍司令官が首相に就任したことについて、日本政府は、「暫定首相の任命が、議会選挙を通じた民主的な体制への円滑かつ早期の移行に向けた一歩となることを強く期待する。」と外務報道官談話を発表。また、タイ国内の基本的な権利と自由の保護が引き続き重要とする考えを表明。
証券取引法違反で懲役20年の実刑判決を受け07日から収監されていた政治活動家、実業家のソンティ・リムトーングクン(66)が、保釈保証金1200万Bで保釈。ソンティほどの大物が一定期間保釈を見送られ、収監されるのは異例。
08月26日(火)国家平和秩序評議会(NCPO)議長を務めるプラユット首相はNCPOの会議で、NCPOに対し、通常の法律を適用して違法行為などに取り締まり、現行の暫定憲法下でNCPOに付与されている特別な権限や戒厳令の適用を最大限控えるよう指示。
同会議は、現行憲法でNCPO議長が組閣まで首相とその他の閣僚の権限を行使すると規定されていることから、プラユット議長の首相就任を受けた初閣議に当たるものとなっている。ここで、プラユット首相は、「法の施行において治安当局は、戒厳令適用が不可欠な場合以外は通常の法律に則ってほしい。」と強調。
タナサック国軍最高司令官がプラユット首相の命を受けて08月30~31日にかけカンボジアを訪問する予定。カンボジアのフン・セン首相との会談では2国間の領土問題が取り上げられる見通し。
タイとカンボジアは国境に位置する世界遺産「カオプラウィハーン(プレアビヒア)」の周辺地域の領有権を巡って対立した状態が続いており
、これに決着をつけることがタイにとって大きな課題の一つ。
関係筋によれば、国家平和秩序評議会(NCPO)副議長(治安担当)を務めるタナサック司令官のカンボジア訪問は、先にタイを訪れたカンボジアのティー・バン副首相兼国防相とプラユットとの話し合いの中で合意されていたもの。
官営農業農協銀行(BAAC)によれば、「闇金融を一掃する。」という国家平和秩序評議会(NCPO)の方針に沿って、高利貸しから金を借りている農家を救済すべく、これら農家を対象としたリファイナンス・プログラムに総額100億Bを投入する予定。
農家が受けられる融資は1人当たり10万Bまでで金利は12%。貸付期間は、2年ごとの更新で最長10年となっている。BAACではこのプログラムのもとで農家約15万人への貸し付けを見込んでいる。
08月27日(水)午後ナロンチャイ元商業相は、報道陣に対し、立法議会議員を辞職するため立法議会事務局に辞表を提出したことを明らかに。
現行の暫定憲法では立法議会議員が閣僚を兼ねることが禁止されており、「入閣に備えた辞職。」との見方が広まっている。ただ、ナロンチャイは、辞職の理由について「時間があまりなく、やらなければならない ことがたくさんある。」とだけ説明。「経済担当閣僚に起用されるのでは。」といった質問には返答しなかった。
ナロンチャイはタクシン政権で副首相に抜擢されたことがあり、また、現在は、国家平和秩序評議会(NCPO)の経済顧問を務めている。
プラユット首相(陸軍司令官)は、陸軍司令部で、タイ欧州ビジネス協会の代表団と会談。
プラユット首相は「タイが全ての面で世界的な水準に追いつくには時間が必要だ。」という認識を示し、早期の民政復帰を求める欧州連合(EU)に理解を求めた。また、「タイの漁船などで奴隷労働が行われている。」という報道について、早急に問題を解決する意思を示した。
タナサック国軍最高司令官は、 「閣僚ポストを引き受けるか。」との質問に対し、「国のために最善を尽くす用意がある。」と述べ、要請があれば入閣する意向であることを明らかに。
タナサック司令官は、国家平和秩序評議会(NCPO)の副議長を務めており、プラユット内閣では副首相兼外相に抜擢されるとの見方も出ている。
また、タナサック司令官はNCPO副議長として現在すでに4つの省を管轄しているが、「複数の省を任されたらどうするか。」との質問に対し、にっこりほほえんで「要請されたらやる。」と明言。
なお、タナサック司令官は、27~28日にかけてインドネシア、09月01~02日かけてカンボジアを訪問する予定。
政治改革など11分野の改革を遂行する国家改革評議会(NRC)の評議員250人が公募で選ばれることになっているが、中央選挙管理委員会は、「NRC評議員になるため、これまでに3174人が応募の手続きを済ませた。」と発表。
応募の受付期間は、08月14日-09月02日。応募者の内訳は、1284人が法人の推挙を受けた者、残りが77都県にそれぞれ設置された選考委員会に応募の手続きを行った者となっている。
NRCが担う改革は、政治対立の解消や国民和解の実現に向けた国内環境の整備に欠かせないものであり、改革の出来不出来が今回の政変の評価を大きく左右すると見られている。
組閣が完了するまで人事を凍結することが、アムポン内閣官房長官から各省の事務次官に指示。これは、人事などの透明性を確保するという国家平和秩序評議会(NCPO)の方針に基づいたもの。
内閣が発足する前に不適切な人員の入れ替えが行われるのを避けるとともに、新大臣が方針を打ち出すのを待って、その方針に沿って適材適所の人事を行うことが狙いと見られている。
08月28日(木)2010年のタクシン支持団体・反独裁民主主義同盟(UDD)による過激な反政府デモに関連して当時のアピシット首相(民主党党首)とステープ副首相が殺人・殺人未遂で訴えられた事例について、刑事裁判所は、「このような事案を扱う権限があるのは最高裁判所であり、刑事裁判所ではない。」と、訴えを却下。
UDDによる大規模デモでは、デモ隊が治安部隊と衝突するなどして大勢の死傷者が出ることになったが、遺族などが「責任はデモ制圧を命じたアピシット首相とステープ副首相(治安担当)にある。」と主張。タクシン派・インラック政権のもとでタクシン派寄りとされた法務省特別捜査局(DSI)による送検を経て2人は起訴されることになった。
なお、刑事裁判所によれば、「ア ピシット、ステープ両氏は非常事態を宣言し、デモ鎮圧を命じ、これが結果的に死傷者を出すことになったものの、2人の行為は首相、副首相の権限を越えるものではなかった。」
プラユット首相兼陸軍司令官は、日本電産の永守重信社長と陸軍本部で会談。プラユット首相はタイの現状を説明し、タイの改革に対する日本の理解を求めた。また、「新内閣が09月中に仕事を始める。」と伝えた。
立法議会のノララット事務局長代行が明らかにしたところによると、国家経済社会開発委員会(NESDB)のアコム事務局長が立法議会議員を辞職。これで議員辞職は4人となり、現時点での 議員数は193人。
アコム事務局長も辞職の理由を明らかにしていない。関係筋によれば、プラユット首相は09月末まで(今年度中)に組閣すると述べており、また、現行の暫定憲法では立法議会議員が閣僚を兼ねるのが禁じられていることから、「議員辞職は入閣に備えたもの。」との見方が支配的。
08月29日(金)組閣を前に「軍人が閣僚の大半を占める。」といった見方が出ている中、プラユット首相(国家平和秩序評議会議長)はテレビ番組の中で、「治安が完全に回復されたとは言えない現状では、信頼の置ける軍人に国家統治に協力してもらう必要がある。」と述べて、軍人色の強い内閣が誕生することへの理解を求めた。同時に、「仕事をしない者は代わってもらう。役に立たない者は出ていってもらう。汚職をした者は監獄に行ってもらう。それだけだ。何も心配はいらない。」と述べて、閣僚が軍人だろうが誰であろうと、その仕事ぶりを注視し、不適格者なら排除する意向を強調。
08月30日(土)王室管理事務局は、「検査の結果、プミポン国王の健康状態は良好。」と発表。プミポン国王はプラチュアプキリカーン県のクライカンウォン離宮に1年以上滞在していたことから、08月06日から設備の整ったクルングテープのシリラート病院で検査を受けた。
検査を担当した医師によれば、「X線検査などでは問題は見つからず、29日に行った血液検査でも栄養状態良好、炎症無し。体重も増えており、以前より健康になっている。」との結果。
民政移管まで国政を担う暫定内閣は、プミポン国王がプラユット首相以外の閣僚の人選を承認。31日に官報に掲載されて正式発足する運び。新閣僚は09月02日、都内シリラート病院で入院中のプミポン国王を迎えて執り行われる宣誓式に臨む予定。
暫定内閣の陣容は、当初の予想通り、首相を除く閣僚32人中11人と約3分の1を占める軍関係者が、運輸、商業、内務、教育、外務、国防、法務といった主要閣僚ポストに就いた。
一方、経済分野については、国家平和秩序評議会(NCPO)も専門知識が必要と判断。これまでNCPOで経済を担当していた者ではなく、プリディヤトン元副首相兼財務相が経済担当の副首相を務めることになった。軍関係者が大臣となった省でも、その分野に精通した高級技術官僚などが副大臣に任命された。
08月31日(日)クルングテープ都チャトゥチャク区で、2010年の大規模反政府デモの最中に治安部隊との衝突などでデモ隊に死傷者が出たことに関連し当時のアピシット首相とステープ副首相を処罰するよう求めるビラを配った3人の身柄を警察か一時拘束。3人は、反独裁民主主義同盟(UDD)によるデモの最中に死亡したUDD関係者の遺族という。首都圏警察によれば、刑事裁判所が先にアピシットらを殺人・殺人未遂罪に問うとした訴えを却下したことから、3人は「アピシット、ステープ両氏が無罪放免になった。」と誤解、腹を立ててビラを配ったものと見られる。
なお、インラック前政権下で法務省特別捜査局(DSI)がアピシット民主党党首らを殺人容疑などで送検したことについては、当時のタリットDSI局長がタクシン派寄りで、また、タクシンの免罪が狙いとされるタクシン派の政治関連犯恩赦案に民主党が反対だったため、反タクシン派は、「アピシット党首らを犯罪人、すなわち恩赦の恩恵を受ける側にすることで、民主党に恩赦案を受け入れさせようとした陰謀。」などと反発。
プラユット・チャンオーチャー首相・陸軍司令官が提出した閣僚名簿を、プミポン国王が承認し、プラユット内閣が発足した。軍人と官僚中心で、特に陸軍主導の態勢。
閣僚は32人で、退役、現役の軍人、警官が12人(陸軍9人、海軍、空軍、警察各1人)を占める。女性は観光スポーツ相のコープカーン・ワタナウォラーンクーン前東芝タイランド会長と副商務相のアピラディー・タントラーポン元商務省副次官の2人。
プラウィット・ウォンスワン元国防相・元陸軍司令官、アヌポン・パオジンダー元陸軍司令官というプラユット首相の元上司2人がそれぞれ、副首相兼国防相、内相という重要ポストに就いた。3人はいずれもシリキット王妃の近衛師団である第2歩兵師団(別名、ブラパーパヤック:東の虎)司令官を務めた経歴があり、「ブラパーパヤック」閥の影響力拡大が指摘されている。
現役の軍人ではタナサック・パティマープラコン国軍最高司令官が副首相兼外相、プラチン・チャントーン空軍司令官が運輸相、ナロン・ピパッタナーサイ海軍司令官が教育相、チャチャイ・サリカンヤ陸軍司令官補が商務相、また、スラサック・カーンチャナラット国防省次官が労相に就任。
経済関連では、前回の軍事政権であるスラユット政権(2006~007年)で副首相兼財務相を務めた王族のプリディヤトン・テワクン元タイ中銀行総裁が副首相、スラユット政権で副財務相だったソムマイ・パーシー元財務省副次官が財務相、チャクラモン・パースクワニット元工業省次官が工業相、1996~1997年のチャワリット政権で商務相を務めた実業家のナロンチャイ・アカラセラニーがエネルギー相、ポンチャイ・ルジプラパー元エネルギー省次官・元情報通信技術省次官が情報通信技術相、アーコム・トゥームピタヤーパイシット国家経済社会開発委員会(NESDB)事務局長が副運輸相に就任。農相にはピティポン・プンブン・ナ・アユタヤ元天然資源環境省次官・元農業協同組合省次官が就いた。また、1993~2002年に内閣秘書官長、タクシン政権で副首相を務めた法律家のウィサヌ・クルアンガームが副首相として入閣。
2006年の軍事クーデターでタクシン政権を倒し発足したスラユット内閣は官僚中心で、当時のスラユット首相(枢密顧問官、元陸軍司令官)が明確な方向性を示さなかったこともあり、改革は進まなかった。当初高かった政府の支持率は一貫して下がり続け、2007年の民政移管選挙でタクシン派の復活を許した。プラユット内閣は軍人重視という面ではスラユット内閣と異なるが、元次官などを古巣の大臣に充てる手法は似ている。
プラユット国家平和秩序評議会(NCPO)議長が首相を務める暫定内閣の顔ぶれが正式に決まったことについて、軍人が主要ポストに就いたものの、専門家が経済閣僚に起用されたことから、財界はこれを評価し好意的な反応を示している。
タイ工業連盟(FTI)のワンロップ副会長は、「経済閣僚の人選は適切。NCPOは反汚職の姿勢を貫いており、(NCPOの選んだ経済閣僚の働きぶりに)期待している。」と発言。
バンコク銀行のコシット会長も「(経済)閣僚は経済を前進させる手腕を持った専門家。信頼できる人々であり、外国側とも信頼関係を築くことができる。」と述べている。
09月01日(月)カンボジアのティー・バン副首相兼国防相は、カンボジアを訪問したタイのタナサック外相一行に対し、今後もタイと緊密な関係を維持する意向であることを再確認するとともに、タイの軍政が国内問題に積極的に取り組んで成果を上げていることを称賛。
また、カンボジアは、過去にフン・セン首相がタクシン支持を表明するなど、タクシン派に肩入れする姿勢を鮮明にしていたこともあるが、ティー国防相は、タナサック外相を前に、「カンボジアは誰であろうとカンボジア国内でタイ軍政への反対活動をするのを許さない。」と明言。
09月02日(火)11分野の改革を担う国家改革評議会(米原子力規制委員会)の評議員250人を公募で選ぶため08月14日に開始された応募の受付が締め切られた。応募者数は最終日が921人で合計6729人。
評議員は国家平和秩序評議会(NCPO)が設置した選考委員会が173人、77都県に設けられた選考委員会がそれぞれ1人、計77人を選出。また、応募では希望の分野を選ぶことになっていたが、希望者数は教育改革が619人と最も多く、次いで社会改革の567人、地方行政改革の383人といった順。最も少なかったのはマスメディア改革の171人。
様々な分野での改革断行は、反タクシン派が国外逃亡中のタクシンなどの影響力を一掃するために求めていたもの。
プラユット首相は、国家平和秩序評議会(NCPO)の会議の席上、「治安対策を緩めるのに適切な時期は到来していない。戒厳令はまだ必要。」と述べ、「暫定内閣発足に合わせて戒厳令を解除することはできない。」との認識。
戒厳令は、行政権・司法権の一部ないし全部を軍隊の権力下に移すというもの。その解除に踏み切らないのは、NCPOが「軍部主導の国家統治を脅かす事態が起きかねない。」と現在も懸念しているため。
09月03日(水)国連人権高等弁務官事務所東南アジア地域事務所は、「軍事政権下のタイで、人権活動家に対する締め付けが強まっている。」と強い懸念。
タイでは02日、05月22日の軍事クーデター後の人権状況に関する報告会が人権問題の弁護士、非政府組織などにより開かれる予定だったが、軍政の圧力により、中止に追い込まれた。
国連人権高等弁務官事務所は~軍政が他にも人権関連のイベントを中止させたり、人権活動家を警察に出頭させるなどした。」と指摘し、軍政に対し、国際人権規約を順守するよう呼びかけた。
国家平和秩序評議会(NCPO)が地元有力者などによって保護森林や国有地などが不法占拠されているという長年にわたる問題に取り組んでいるが、国内治安作戦司令部(ISOC)はこのほど、「保護森林などの所有権を主張するため不正手段で取得された土地権利書が10万通にも及ぶ。」との見方を示し、全国の関係政府機関に対し、不法占拠が疑われる土地については権利書が適正なものであるかを確認するよう命じたことを 明らかに。
確認の結果は09月中にISOCに報告される予定で、これを受けてISOCの作業部会が権利書の取り消しなどの検討を開始することになっている。
国家平和秩序評議会(NCPO)の治安部隊の責任者、ティラチャイ陸軍第1管区司令官によれば、09月05日のNCPO会議で、戒厳令の部分解除が提案される見通し。
治安維持などにおける軍の権限を強化する戒厳令は、05月20日発令され、22日に軍部が全権を掌握した後も継続されたまま。
これに対し、経済界などからは「イメージが悪く、外国人が寄りつかない。」といった理由で解除の要望が出ている。ティラチャイ司令官は、「私が管轄する全ての部署に対し、NCPOにとって脅威となる状況が存在するかを確かめ、結果を報告するよう指示した。 それに基づいて、反軍政の動きのない地域は戒厳令を解除するようプラユット首相(NCPO議長)に提言する。パタヤ、チエンマイ、チエンライ、ラヨーン、 南部の一部県などの観光地で戒厳令が解除される可能性が高い。」



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